しかしながら、上記の如き従来の技術では、伝熱プレート間に流れを制御するための閉塞部を設けることについて考慮されていない。したがって、積層型流路要素について、流れ制御用の閉塞部を設ける構造について改善の余地がある。
本発明は、上記事実を考慮して、積層方向に隣り合う平板部間に適正に閉塞部を形成することができる積層型流路要素を得ることが目的である。
請求項1記載の発明に係る積層型流路要素は、平板部から流路壁が立設された複数の流路形成部材を前記流路壁の立設方向に積層すると共に、該積層方向に隣り合う一方の前記流路形成部材の前記流路壁が他方の前記流路形成部材の平板部に接合されて成り、前記積層方向に隣り合う少なくとも一対の前記平板部間には、流路と、該流路以外の空間を周壁で囲んで成り該周壁の少なくとも一部において前記流路を流れる流体の該周壁の内側への流入を防止することで該流路を流れる流体の流れを制御するための閉塞部と、が形成されており、前記閉塞部は、前記周壁及び該周壁の内側に設けられた支持壁が、それぞれ前記積層方向に隣り合う一方の前記流路形成部材の平板部から立設されると共に、他方の前記流路形成部材の平板部にロウ付け又は拡散接合にて接合されて構成されている。
請求項1記載の積層型流路要素では、積層された流路形成部材における流路壁の高さ分だけ積層方向に離間されている平板部間に、流体を流通させる流路が形成されている。流路壁は、流路の内外を区画する流路外壁を構成するものを含み、流体の流れ方向に沿った流路隔壁や案内壁となるものを含んでも良い。また、複数の平板部間(流路)のうち少なくとも一部の平板部間には、例えば流体の流れ方向を変換したり、流れが生じない領域を形成したり、流れを分岐させたりする等、流体の流れを制御するための閉塞部が、該平板部間の空間の一部を占有するように部分的に形成されている。
ここで、本積層型流路要素では、積層方向に隣り合う平板部間に周壁及び支持壁が介在して閉塞部が形成されているため、これら閉塞部を構成する周壁及び支持壁には積層方向に適正な荷重を付与することができる。これにより、積層方向に隣接する平板部間で流路壁、周壁、及び支持壁を適正に接合することが可能となり、平板部間に流路及び閉塞部を適正に形成することができる。すなわち、例えば中実構造の閉塞部のように単位面積当たりの積層方向の荷重が不足することが防止され、シール不良や接合不良が生じないように閉塞部を形成することが可能になる。
このように、請求項1記載の積層型流路要素では、積層方向に隣り合う平板部間に適正に閉塞部を形成することができる。
また、本積層型流路要素では、各流路形成部材の平板部と流路壁、閉塞部が設けられる部分については平板部と周壁及び支持壁がロウ付け又は拡散接合にて接合される。ロウ付けでは、ロウ材の溶解に伴う沈み込み変形が生じたる場合があるが、上記した周壁内に支持壁を設ける構成によって適正な接合が担保される。したがって、ロウ付けによって複数の流路形成部材を接合して成る積層型流路要素について、閉塞部を適正に形成することができる。一方、拡散接合では、接合時に積層界面に所要の荷重を付加することが要求されるが、閉塞部を中空構造とすることで積層界面に所要の荷重を作用させることができる。特に、周壁内に支持壁が設けられた構成では、一層均等に積層界面に荷重を作用させることができる。したがって、拡散接合によって複数の流路形成部材を接合して成る積層型流路要素について、閉塞部を適正に形成することができる。
請求項2記載の発明に係る積層型流路要素は、請求項1記載の積層型流路要素において、前記周壁及び支持壁は、前記閉塞部における単位面積あたりの前記積層方向の荷重密度が、前記流路形成部材における前記積層方向の平均荷重密度の50%以上となるように設けられている。
請求項2記載の積層型流路要素では、閉塞部の荷重密度が流路形成部材の平均荷重密度の50%以上となるように周壁及び支持壁が設けられているため、該周壁及び支持壁は、積層方向に適正な荷重が作用されて、積層方向に隣り合う流路形成部材の平板部に適正に接合される。特に、本積層型流路要素では、周壁及び支持壁に荷重を支持させることで、閉塞部における荷重密度を流路形成部材の平均荷重密度の50%以上としているため、閉塞部の各部で荷重を分散して支持することができる。すなわち、積層方向に隣り合う流路形成部材の流路壁、周壁、支持壁が閉塞部を構成する平板部に接合する場合に、該隣り合う流路形成部材の流路壁、周壁、支持壁の荷重を、閉塞部の各部に分散して支持することができ、各流路形成部材の接合安定性が向上する。
請求項3記載の発明に係る積層型流路要素は、請求項1又は請求項2記載の積層型流路要素において、前記周壁及び支持壁は、前記閉塞部における単位面積あたりの前記積層方向の荷重密度が、前記流路形成部材における前記積層方向の平均荷重密度の75%以上となるように設けられている。
請求項3記載の積層型流路要素では、閉塞部の荷重密度が流路形成部材の平均荷重密度の75%以上となるように周壁及び支持壁が設けられているため、該周壁及び支持壁は、積層方向に一層適正な荷重が作用されて、積層方向に隣り合う流路形成部材の平板部に一層適正に接合される。特に、本積層型流路要素では、周壁及び支持壁に荷重を支持させることで、閉塞部における荷重密度を流路形成部材の平均荷重密度の75%以上としているため、閉塞部の各部で荷重を分散して支持することができる。すなわち、積層方向に隣り合う流路形成部材の流路壁、周壁、支持壁が閉塞部を構成する平板部に接合する場合に、該隣り合う流路形成部材の流路壁、周壁、支持壁の荷重を、閉塞部の各部に分散して支持することができ、各流路形成部材の接合安定性が一層向上する。
請求項4記載の発明に係る積層型流路要素は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の積層型流路要素において、前記支持壁は、互いに対向する壁部を有するように構成されており、前記壁部の対向間隔が前記流路壁の平均間隔の2倍以下に設定されている。
請求項4記載の積層型流路要素では、周壁内での支持壁の壁部間距離の最大値が流路壁の平均間隔の2倍以下であるため、閉塞部における積層方向の荷重はより均等に分散されて、各流路形成部材の接合安定性がより一層向上する。なお、支持壁の互いに対向する壁部は、例えば、並列された複数の壁部、千鳥状や渦巻状に形成された支持壁における厚み方向に隣り合う壁部とされる。
請求項5記載の発明に係る積層型流路要素は、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の積層型流路要素において、前記閉塞部の周壁における流体の流れに伴って動圧が他の部分と比較して高くなる部分には、該周壁の内外を連通する開口部が形成されていない。
請求項5記載の積層型流路要素では、例えば流体の流れ方向上流側を向く部分とか流れ方向が変化される部分とかの、周壁における流体の流れに伴い動圧が高くなる部分に開口部が形成されていないので、周壁内での流れが生じることが防止され、閉塞部による流体の流れの制御性が確保される。
請求項6記載の発明に係る積層型流路要素は、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の積層型流路要素において、前記閉塞部は、前記支持壁の長手方向の少なくも一端が前記周壁から離間されると共に、前記周壁の内外を連通する開口部が該周壁に形成されて構成されている。
請求項6記載の積層型流路要素では、支持壁の少なくとも一端が離間されている周壁に開口部が形成されているため、該周壁内に密閉空間が形成されることなく閉塞部が形成される。これにより、例えば複数の流路形成部材の接合に伴い密閉空間内の流体が膨張したり収縮したりことがない。すなわち、本積層型流路要素では、閉塞部を設けることによる平板部の変形が防止される。
また、ロウ付けでは、周壁内の流体が加熱・冷却されたりする場合があるが、周壁に開口部を設けることで平板部の変形が防止される。したがって、ロウ付けによって複数の流路形成部材を接合して成る積層型流路要素について、閉塞部を適正に形成することができる。
請求項7記載の発明に係る積層型流路要素は、平板部から流路壁が立設された複数の流路形成部材を前記流路壁の立設方向に積層すると共に、該積層方向に隣り合う一方の前記流路形成部材の前記流路壁が他方の前記流路形成部材の平板部に接合されて成り、前記積層方向に隣り合う少なくとも一対の前記平板部間には、流路と、該流路以外の空間を周壁で囲んで成り該周壁の少なくとも一部において前記流路を流れる流体の該周壁の内側への流入を防止することで該流路を流れる流体の流れを制御するための閉塞部と、が形成されており、前記閉塞部は、前記積層方向に隣り合う一方の前記流路形成部材の平板部から立設されると共に他方の前記流路形成部材の平板部にロウ付け又は拡散接合にて接合された前記周壁に、該周壁の内側と前記流路とを連通する開口部を形成して構成されている積層型流路要素。
請求項7記載の積層型流路要素では、積層された流路形成部材における流路壁の高さ分だけ積層方向に離間されている平板部間に、流体を流通させる流路が形成されている。流路壁は、流路の内外を区画する流路外壁を構成するものを含み、流体の流れ方向に沿った流路隔壁となるものを含んでも良い。また、複数の平板部間のうち少なくとも一部の平板部間には、例えば流体の流れ方向を変換したり、流れが生じない領域を形成したり、流れを分岐させたりする等、流体の流れを制御するための閉塞部が、該平板部間の空間の一部を占有するように部分的に形成されている。
ここで、本積層型流路要素では、周壁に開口部を設けて閉塞部が構成されているため、換言すれば、周壁内に密閉空間が形成されることなく閉塞部が形成されているため、例えば複数の流路形成部材の接合に伴い密閉空間内の流体が膨張したり収縮したりことがない。すなわち、本積層型流路要素では、密閉空間内の圧力変化による流路形成部材の平板部の変形が防止され、適正に閉塞部を設けることができる。また、閉塞部は中空構造として形成されるので、例えば中実構造の閉塞部のように単位面積当たりの積層方向の荷重が不足することが防止され、シール不良や接合不良が生じないように閉塞部を形成することが可能になる。
このように、請求項7記載の積層型流路要素では、積層方向に隣り合う平板部間に適正に閉塞部を形成することができる。
また、本積層型流路要素では、各流路形成部材の平板部と流路壁、閉塞部が設けられる部分については平板部と周壁及び支持壁がロウ付け又は拡散接合にて接合される。ロウ付けでは、周壁内の流体が加熱・冷却されたりする場合があるが、周壁に開口部を設けることで平板部の変形が防止される。したがって、ロウ付けによって複数の流路形成部材を接合して成る積層型流路要素について、閉塞部を適正に形成することができる。一方、拡散接合では、接合時に積層界面に所要の荷重を付加することが要求されるが、閉塞部を中空構造とすることで積層界面に所要の荷重を作用させることができる。したがって、拡散接合によって複数の流路形成部材を接合して成る積層型流路要素について、閉塞部を適正に形成することができる。
請求項8記載の発明に係る積層型流路要素は、請求項6又は請求項7記載の積層型流路要素において、前記開口部は、前記周壁における流体の流れに伴う動圧が他の部分と比較して低くなる部分に形成されている。
請求項8記載の積層型流路要素では、例えば流体の流れ方向上流側を向く部分とか流れ方向が変化される部分とかの、周壁における流体の流れに伴い動圧が高くなる部分に開口部が形成されていないので、周壁内での流れが生じることが防止され、閉塞部による流体の流れの制御性が確保される。
以上説明したように本発明に係る積層型流路要素は、積層方向に隣り合う平板部間に適正に閉塞部を形成することができるという優れた効果を有する。
本発明の効果を図5に示す模式図を用いて補足すると、本発明に係る積層型流路要素100では、図5(A)に示される如く平板部102から複数の流路壁104が立設された流路形成部材106に閉塞部108が設けられた構成において、該閉塞部108が周壁110と支持壁112とを有するため、厚み方向に積層された流路形成部材106の閉塞部108を含む各部で積層方向の荷重密度の均一化が図られる。これにより、積層された各流路形成部材106の接合安定性が向上し、閉塞部108を適正に設けることができる。特に、閉塞部108の単位面積あたりの荷重密度を流路形成部材106全体の平均荷重密度の50%以上とすることで接合安定性を一層向上させることができ、75%以上とすることで接合安定性をより一層向上させることができる。例えば図5(D)に比較例として示される如く、流路形成部材106が中実の閉塞部202を有する積層型流路要素200では、接合面積が過大となる閉塞部202で接合荷重が不足するが、積層型流路要素100では、積層された流路形成部材106を適正に接合することができる。
また、積層型流路要素100は、複数の支持壁112対向間隔dが複数の流路壁104の平均間隔tの2倍以下となるように配置されているので、閉塞部108の範囲内においても積層方向の荷重密度を均等化しながら、該閉塞部108の荷重密度を平均荷重密度の50%以上、75%以上にすることができる。例えば、図5(B)に示される如く周壁110内に支持壁112が疎に設けられている本発明に含まれる積層型流路要素120、図5(C)に示される如く周壁110内に支持壁112が設けられていない本発明に含まれる積層型流路要素130では、それぞれ閉塞部108内の荷重密度がばらつきやすい。これに対して積層型流路要素100では、比較的面積の大きな閉塞部108において、積層方向の荷重密度を均等化することができる。
さらに、積層型流路要素100、120、130は、周壁110に開口部114が設けられているため、閉塞部108が密閉空間として構成されることがない。例えば、図5(E)に比較例として示される如く環状の周壁212で密閉構造の閉塞部214が形成される積層型流路要素210では、該閉塞部214の内外の圧力差等に起因して平板部102が変形してしまう場合があるが、積層型流路要素100、120、130では、開口部114によって閉塞部108内外の圧力差が生じることが防止されるので、平板部102の変形が防止される。また、開口部114は、閉塞部108(周壁110)における流体の流れ方向(矢印F参照)の下流側に配置されているので、開口部114の形成部位では流体の流動に伴う動圧が低く、閉塞部108による流れの制御性が確保されると共に閉塞部108への流入を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る積層型流路要素としてのプレート積層型熱交換器10について、図1〜図4に基づいて説明する。
図4には、プレート積層型熱交換器10を備えて構成された熱交換装置12の概略全体構成が平面図にて示されており、図1には、熱交換装置12の要部である積層型流路要素としてのプレート積層型熱交換器10が一部分解した斜視図にて示されている。
図4に示される如く、熱交換装置12は、第1流体と第2流体との熱交換を行うプレート積層型熱交換器10と、プレート積層型熱交換器10に第1流体を導くための第1流体入口ヘッダ14と、プレート積層型熱交換器10から第1流体を排出するための第1流体出口ヘッダ16と、プレート積層型熱交換器10に第2流体を導くための第2流体入口ヘッダ18と、プレート積層型熱交換器10から第2流体を排出するための第2流体出口ヘッダ20とを有して構成されている。
また、図1に示される如く、熱交換装置12のプレート積層型熱交換器10は、第1流体が流通する第1流路22を形成するための複数の第1伝熱プレート24と、第2流体が流通する第2流路26を形成する複数の第2伝熱プレート28とがそれぞれ厚み方向に積層して構成されている。これにより、プレート積層型熱交換器10は、第1流路22と第2流路26とが、それぞれ積層方向に離間して複数形成されている。
この実施形態では、プレート積層型熱交換器10は、それぞれ複数の第1伝熱プレート24と第2伝熱プレート28とが交互に積層されることで、第1流路22と第2流路26とが積層方向に交互に設けられて構成されている。また、この実施形態では、プレート積層型熱交換器10は、第1流体と第2流体とが略同じ方向に流動しながら熱交換を行う並行流型の熱交換部10Aを有するとされている。
そして、プレート積層型熱交換器10では、第1流体入口ヘッダ14と熱交換部10Aとを連通させる第1流体導入部10Bと、第2流体入口ヘッダ18と熱交換部10Aとを連通させる第2流体導入部10Cとが、熱交換部10Aでの第1流体及び第2流体の流れ方向(図4に示す矢印F参照)の上流側において、該流れ方向との交差方向の異なる側に略Y字を成すように突出されている。これにより、熱交換装置12では、第1流体入口ヘッダ14と第2流体入口ヘッダ18とが干渉しないように配置されている。
同様に、プレート積層型熱交換器10では、第1流体出口ヘッダ16と熱交換部10Aとを連通させる第1流体排出部10Dと、第2流体出口ヘッダ20と熱交換部10Aとを連通させる第2流体排出部10Eとが、熱交換部10Aでの第1及び第2流体の流れ方向の上流側において、該流れ方向との交差方向の異なる側に略Y字を成すように突出されている。これにより、熱交換装置12では、第1流体出口ヘッダ16と第2流体出口ヘッダ20とが干渉しないように配置されている。
したがって、熱交換部10Aは、並行流型熱交換部を成す矩形状部分の上下両側に略三角形状の交差流型熱交換部が連設された如く、図4に示される如く略六角形状に形成されている。換言すれば、プレート積層型熱交換器10は、並行流(対向流でも良い)型の熱交換部10Aを有しながら、マニホルドとして把握することができる第1流体入口ヘッダ14、第1流体出口ヘッダ16、第2流体入口ヘッダ18、第2流体出口ヘッダ20を干渉させない構成を実現している。
以下、プレート積層型熱交換器10について、より具体的に説明する。
図1及び図2に示される如く、それぞれ流路形成部材としての第1伝熱プレート24及び第2伝熱プレート28は、平面視で同じ形状の薄板(薄膜)状に形成された平板部30を有している。平板部30は、熱交換部10Aを構成する略六角形状の熱交換隔壁部30Aから、第1流体導入部10B、第2流体導入部10C、第1流体排出部10D、第2流体排出部10Eを構成する第1流体導入隔壁部30B、第2流体導入隔壁部30C、第1流体排出隔壁部30D、第2流体排出隔壁部30Eがそれぞれ張り出されて形成されている。
図1及び図2に示される如く、第1伝熱プレート24では、平板部30の周縁部に沿って流路壁としての外壁32が立設されている。外壁32は、第1流路22の上下流端すなわち、第1流体導入隔壁部30Bにおける第1流体入口ヘッダ14に開口する第1流体上流端、第1流体排出隔壁部30Dにおける第1流体出口ヘッダ16に開口する第1流体下流端を除き立設されている。これにより、第1伝熱プレート24には、第1流体入口ヘッダ14に連通される第1流路入口22A、第1流体出口ヘッダ16に連通される第1流路出口22Bが形成されている。
また、第1伝熱プレート24は、外壁32における第2流体導入隔壁部30Cの第2流体上流端を閉止する第2流体上流閉止壁34によって第2流体入口ヘッダ18に対し非連通とされると共に、外壁32における第2流体排出隔壁部30Eの第2流体下流端を閉止する第2流体下流閉止壁36によって第2流体出口ヘッダ20に対し非連通とされるようになっている。
一方、図1及び図2に示される如く、第2伝熱プレート28では、平板部30の周縁部に沿って流路壁としての外壁38が立設されている。外壁38は、第2流路26の上下流端すなわち、第2流体導入隔壁部30Cにおける第2流体入口ヘッダ18に開口する第2流体上流端、第2流体排出隔壁部30Eにおける第2流体出口ヘッダ20に開口する第2流体下流端を除き立設されている。これにより、第2伝熱プレート28には、第2流体入口ヘッダ18に連通される第2流路入口26A、第1流体出口ヘッダ16に連通される第2流路出口26Bが形成されている。
また、第2伝熱プレート28は、外壁38における第1流体導入隔壁部30Bの第1流体上流端を閉止する第1流体上流閉止壁40によって第1流体入口ヘッダ14に対し非連通とされると共に、外壁38における第1流体排出隔壁部30Dの第1流体下流端を閉止する第1流体下流閉止壁42によって第1流体出口ヘッダ16に対し非連通とされるようになっている。
以上により、熱交換装置12では、第1流体入口ヘッダ14からプレート積層型熱交換器10に導入された第1流体は、第2流路26に導入されることなく、複数の第1流路22を流通して第1流体出口ヘッダ16から排出されるようになっている。同様に、第2流体入口ヘッダ18からプレート積層型熱交換器10に導入された第2流体は、第1流路22に導入されることなく、複数の第2流路26を流通して第2流体出口ヘッダ20から排出されるようになっている。
また、図1及び図2に示される如く、プレート積層型熱交換器10を構成する第1伝熱プレート24は、平板部30から立設された流路壁としての流路隔壁44を有する。流路隔壁44は、第1流路22の第1流体流れ方向に沿って延在されると共に、該流れ方向との交差方向に並列して複数設けられている。これにより、第1流路22は、複数の分割流路(マイクロチャンネル)22Cに分割されている。同様に、第2伝熱プレート28は、平板部30から立設された流路壁としての流路隔壁46を有する。流路隔壁46は、第2流路26の第2流体流れ方向に沿って延在されると共に、該流れ方向との交差方向に並列して複数設けられている。これにより、第2流路26は、複数の分割流路(マイクロチャンネル)26Cに分割されている。
そして、図1及び図2に示される如く、第1伝熱プレート24では、熱交換隔壁部30Aと第2流体導入隔壁部30Cとを隔てるように、ガイド壁48が平板部30から立設されている。ガイド壁48は、外壁32における第2流体上流閉止壁34を含み第2流体導入隔壁部30Cの外縁を囲む部分とで、平面視で略台形状の閉塞部50の周壁52を構成している。また、第1伝熱プレート24では、熱交換隔壁部30Aと第2流体排出隔壁部30Eとを隔てるように、ガイド壁54が平板部30から立設されている。ガイド壁54は、外壁32における第2流体下流閉止壁36を含み第2流体排出隔壁部30Eの外縁を囲む部分とで、平面視で略台形状の閉塞部55の周壁56を構成している。
一方、図1及び図2に示される如く、第2伝熱プレート28では、熱交換隔壁部30Aと第1流体導入隔壁部30Bとを隔てるように、ガイド壁58が平板部30から立設されている。ガイド壁58は、外壁38における第1流体上流閉止壁40を含み第1流体導入隔壁部30Bの外縁を囲む部分とで、平面視で略台形状の閉塞部60の周壁62を構成している。また、第2伝熱プレート28では、熱交換隔壁部30Aと第1流体排出隔壁部30Dとを隔てるように、ガイド壁64が平板部30から立設されている。ガイド壁64は、外壁38における第1流体下流閉止壁42を含み第2流体排出隔壁部30Eの外縁を囲む部分とで、平面視で略台形状の閉塞部65の周壁66を構成している。
閉塞部50は、第2流体が第2流体導入隔壁部30Cで第1流体の流れが生じることを防止すると共に、ガイド壁48を流路隔壁44と略平行に位置させて第1流体を流路隔壁44による案内方向に沿って案内させるといった、第1流体の流れを制御する機能を有する。同様に、閉塞部55は、第2流体排出隔壁部30Eでの第1流体の流れ防止、及び該第1流体の案内の流れ制御機能を有する。また、閉塞部60は、熱交換隔壁部30Aでの第2流体の流れ防止、及び該第2流体の案内の流れ制御機能を有し、閉塞部65は、第1流体排出隔壁部30Dでの第1流体の流れ防止、及び該第1流体の案内の流れ制御機能を有する。
さらに、これら閉塞部50、55、60、65は、それぞれ積層方向に隣り合う第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28の積層方向の荷重を支持する機能を果たすようになっている。すなわち、第1伝熱プレート24では、外壁32、流路隔壁44、ガイド壁48、54、周壁52、56、及び後述する支持壁68の平板部30からの突出高が略一致されており、第2伝熱プレート28では、外壁38、流路隔壁46、ガイド壁58、64、周壁62、66、及び後述する支持壁68の平板部30からの突出高が略一致されている。
図1及び図2に示される如く、これらの閉塞部50、55、60、65における周壁52、56、62、66の内側における平板部30からは、それぞれ複数の支持壁68が立設されている。第1伝熱プレート24の閉塞部50、55に設けられた複数の支持壁68は、それぞれ積層方向に隣り合う第2伝熱プレート28の流路隔壁46(第2流体導入隔壁部30C、第2流体排出隔壁部30Eに設けられた部分)に沿って長手とされ、壁厚み方向に並列して配置されている。また、第2伝熱プレート28の閉塞部60、65に設けられた複数の支持壁68は、それぞれ積層方向に隣り合う第1伝熱プレート24の流路隔壁44(第1流体導入隔壁部30B、第1流体排出隔壁部30Dに設けられた部分)に沿って長手とされ、壁厚み方向に並列して配置されている。
そして、各閉塞部50、55、60、65の周壁52、56、62、66及び複数の支持壁68は、これら閉塞部50、55、60、65における単位面積あたりの積層方向の荷重密度である閉塞部荷重密度Fdpが、第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28の全体としての積層方向の平均荷重密度Fdaの50%以上、この実施形態では75%以上になるように、寸法、形状、配置等が決められている。
平均荷重密度Fdaは、第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28を構成する平板部30の面積S当たりに隣接する平板部30に当接する部分が占める面積sの割合(s/S)で、積層方向の荷重Faを除した(Fa/s)/Sとされる。より具体的には、第1伝熱プレート24については、平板部30から立設された外壁32、流路隔壁44、周壁52(ガイド壁48を含む)、周壁56(ガイド壁54を含む)、複数の支持壁68における相手方の平板部30に当接する端面の総面積が上記の面積sとされ、第2伝熱プレート28については、平板部30から立設された外壁38、流路隔壁46、周壁62(ガイド壁58を含む)、周壁66(ガイド壁64を含む)、複数の支持壁68における相手方の平板部30に当接する端面の総面積が上記の面積sとされ、プレート積層型熱交換器10の積層方向に作用する総荷重を面積sで除した値である荷重密度f(=F/s)をさらに平板部30の面積Sで除して平均荷重密度Faが得られる。この実施形態では、第1伝熱プレート24と第2伝熱プレート28とで平均荷重密度は同じになる。
一方、閉塞部荷重密度Fdpは、第1伝熱プレート24では、外壁32、ガイド壁48、54(周壁52、56)、流路隔壁44、及び支持壁68の少なくとも一部を含む任意の荷重点廻りの単位面積Spにおける荷重密度とされ、閉塞部50、55のそれぞれに作用する積層方向の荷重Fpを単位面積Spに含まれる荷重点の面積spで除して、Fdp=(Fp/sp)/Spとされる。同様に、第2伝熱プレート28では、外壁38、ガイド壁58、64(周壁52、66)、外壁38、流路隔壁46、支持壁68の少なくとも一部を含む任意の荷重点廻りの単位面積Spにおける荷重密度とされ、閉塞部50、55のそれぞれに作用する積層方向の荷重Fpを単位面積Spに含まれる荷重点の面積spで除して、Fdp=(Fp/sp)/Spとされる。そして、プレート積層型熱交換器10は、各閉塞部50、55、60、65における単位面積Sp毎の閉塞部荷重密度Fdpの偏差δが第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28全体の平均荷重密度Fdaの50%以下となるように、流路隔壁44、流路隔壁46、支持壁68の寸法、形状、配置等が決められている。
これにより、プレート積層型熱交換器10では、上記の通り単位面積当たりの閉塞部荷重密度Fdpが第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28全体の平均荷重密度Fdaの50%以上とされている。この実施形態では、上記した偏差δが第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28全体の平均荷重密度の25%以下となるように流路隔壁44、流路隔壁46、支持壁68の寸法、形状、配置等が決められることで、各閉塞部50、55、60、65の閉塞部荷重密度Fdpが、第2伝熱プレート28全体の平均荷重密度Faの75%以上なる構成とされている。なお、プレート積層型熱交換器10では、流路隔壁44、流路隔壁46で区画された複数の分割流路22C、26Bの流路幅(後述する平均間隔t)よりも広い幅を有すると共に閉塞部50等の面積以下の面積となる所定形状(通常は、その領域内に複数の流路隔壁44、流路隔壁46、又は支持壁68を含む)の面積が上記の単位面積Spとして設定されており、外壁32、38内における上記の所定形状の範囲(面積内)には、流路隔壁44、流路隔壁46、支持壁68の少なくとも何れかが存在する構成(流路隔壁44、流路隔壁46、支持壁68の配置)とされている。
また、プレート積層型熱交換器10では、第1伝熱プレート24の各閉塞部50、55を構成する各複数の支持壁68の並列方向における離間間隔dは、積層方向に隣接する第2伝熱プレート28を区画する流路隔壁46の平均間隔tの200%(2倍)以下に設定されている。この実施形態では、流路隔壁46の平均間隔tとして、熱交換部10Aにおける並行流を成す部分の平均間隔tを用いている。
なお、複数の支持壁68の離間間隔dの平均間隔tに対する割合の関係を図3を用いて補足すると、例えば、図3(A)のように離間間隔dと平均間隔tとが一致する場合が100%、図3(B)のように支持壁68が流路隔壁46の1つおきに配置されるような場合が200%、図3(C)のように支持壁68が流路隔壁46の2つおきに配置される場合が300%となる。この実施形態では、並列方向に隣接する支持壁68の間隔dが流路隔壁46の平均間隔tの200%以下であるため、図3(C)に如き構成は含まれない。なお、積層方向に隣接する第1伝熱プレート24の複数の支持壁68と、第2伝熱プレート28の流路隔壁46とは、その位置(荷重伝達部位)が一致している必要はなく、並列方向にオフセットされていても良い。
さらに、上記した第1伝熱プレート24の場合と同様に(図3には括弧内に符号を示すように)、プレート積層型熱交換器10では、第2伝熱プレート28の各閉塞部60、65を構成する各複数の支持壁68の並列方向における離間間隔dは、積層方向に隣接する第1伝熱プレート24を区画する流路隔壁44の平均間隔tの200%(2倍)以下に設定されている。
また、図1及び図2に示される如く、各閉塞部50、55、60、65の支持壁68は、それぞれの長手方向の少なくとも一端部が周壁52、56、62、66から離間されている。この実施形態では、各支持壁68は、それぞれの長手方向両端部が周壁52、56、62、66から離間して独立して平板部30から立設されている。これにより、プレート積層型熱交換器10では、閉塞部50、55、60、65内に閉空間が形成されない構成とされている。
そして、図1及び図2に示される如く、第1伝熱プレート24の閉塞部50、55を構成する周壁52、56には、それぞれ第1流路22に向けて開口する開口部70が形成されている。すなわち、開口部70は、閉塞部50においてはガイド壁48に設けられており、閉塞部55においてはガイド壁54に設けられている。これら開口部70は、それぞれ周壁52、56における第1流路22を流れる第1流体の動圧が他の部分よりも低くなる部分に配置されている。
具体的には、プレート積層型熱交換器10では、第1流体の流れ方向が変化する流路隔壁44の上流側屈曲部44Aの近傍で、それよりも上流の直線的な導入部分である第1流体導入隔壁部30B側に対し動圧が高くなる。このため、閉塞部50の開口部70は、周壁52を構成するガイド壁48における第1流体の上流端側に配置されている。また、プレート積層型熱交換器10では、第1流体の流れ方向が変化する流路隔壁44の下流側屈曲部44Bの近傍で、それよりも下流の直線的な排出部分である第1流体排出隔壁部30D側に対し動圧が高くなる。このため、閉塞部55の開口部70は、周壁56を構成するガイド壁54における第1流体の下流端側に配置されている。
一方、図1及び図2に示される如く、第2伝熱プレート28の閉塞部60、65を構成する周壁62、66には、それぞれ第2流路26に向けて開口する開口部70が形成されている。すなわち、開口部70は、閉塞部60においてはガイド壁58に設けられており、閉塞部65においてはガイド壁64に設けられている。これら開口部70は、それぞれ周壁62、66における第2流路26を流れる第2流体の動圧が他の部分よりも低くなる部分に配置されている。
具体的には、プレート積層型熱交換器10では、第2流体の流れ方向が変化する流路隔壁46の上流側屈曲部46Aの近傍で、それよりも上流の直線的な導入部分である第2流体導入隔壁部30B側に対し動圧が高くなる。このため、閉塞部60の開口部70は、周壁62を構成するガイド壁58における第2流体の上流端側に配置されている。また、プレート積層型熱交換器10では、第2流体の流れ方向が変化する流路隔壁46の下流側屈曲部46Bの近傍で、それよりも下流の直線的な排出部分である第1流体排出隔壁部30D側に対し動圧が高くなる。このため、閉塞部65の開口部70は、周壁66を構成するガイド壁64における第2流体の下流端側に配置されている。
以上説明した第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28を所定数ずつ交互に積層すると共に積層方向に隣接する第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28を接合することで、プレート積層型熱交換器10が構成されている。第1伝熱プレート24の平板部30には、第2伝熱プレート28の外壁38、流路隔壁46、ガイド壁58、64、周壁62、66、及び支持壁68が接合され、第2伝熱プレート28の平板部30には、第1伝熱プレート24の外壁32、流路隔壁44、ガイド壁48、54、周壁52、56、及び支持壁68が接合されている。この実施形態では、積層方向に隣接する第1伝熱プレート24と第2伝熱プレート28とは、ロウ付けにて接合されている。
そして、このように構成されたプレート積層型熱交換器10の第1流体導入部10Bに第1流体入口ヘッダ14を取り付け第2流体導入部10Cに第2流体入口ヘッダ18を取り付け、第1流体排出部10Dに第1流体出口ヘッダ16を取り付け、第2流体排出部10Eに第2流体出口ヘッダ20を取り付けることで、熱交換装置12が構成されている。この実施形態では、プレート積層型熱交換器10は、第1流体及び第2流体の一方又は双方がガス(気体)である用途に適用されるようになっている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
上記構成の熱交換装置12では、第1流体入口ヘッダ14に導入された第1流体が第1流体導入部10Bから各層の第1流路22に導入され第1流体排出部10Dを経由して第1流体出口ヘッダ16に排出されると共に、第2流体入口ヘッダ18に導入された第2流体が第2流体導入部10Cから各層の第2流路26に導入され第2流体排出部10Eを経由して第2流体出口ヘッダ20に排出される。第1流路22、第2流路26における熱交換部10Aを構成する部分では、第1流体と第2流体とが平板部30を介して熱交換を行う。
この際、第1伝熱プレート24には、閉塞部50、55が設けられているため、第1流体は、第2流体導入隔壁部30C、第2流体排出隔壁部30Eを流れることなく、かつ流路隔壁44と平行を成すように設けられたガイド壁48、54に案内されて第1流路22をスムースに流れる(第1流体の流れが制御される)。同様に、第2伝熱プレート28には、閉塞部60、65が設けられているため、第2流体は、第1流体導入隔壁部30B、第1流体排出隔壁部30Dを流れることなく、かつ流路隔壁46と平行を成すように設けられたガイド壁58、64に案内されて第2流路26をスムースに流れる(第2流体の流れが制御される)。またこの際、各閉塞部50、55、60、65には、第1流体、第2流体の流動に伴い動圧が高くなる部分に開口部70が設けられていないので、第1流体、第2流体の流れに脈動等の不安定挙動を生じることが防止される。
ここで、熱交換装置12を構成するプレート積層型熱交換器10では、各閉塞部50、55、60、65は、それぞれの周壁52、56、62、66内に支持壁68が配置されることで、それぞれ積層方向における単位面積あたりの荷重密度が第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28全体としての平均荷重密度の50%以上である75%以上とされているため、積層された各第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28の各部に略均等に積層方向の荷重が作用する。これにより、プレート積層型熱交換器10では、各第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28の接合安定性を向上することができる。
具体的には、各第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28がロウ付けにて接合されるプレート積層型熱交換器10では、第1伝熱プレート24から第2伝熱プレート28への荷重伝達面である外壁32、流路隔壁44、ガイド壁48、54を含む周壁52、56、及び各支持壁68における荷重が所定範囲の差で略均等されると共に、第2伝熱プレート28から第1伝熱プレート24への荷重伝達面である外壁38、流路隔壁46、ガイド壁58、64を含む周壁62、66、及び各支持壁68における荷重が所定範囲の差で略均等されるため、積層方向の荷重軸のずれの防止に寄与する。これにより、ロウ付けの際のロウ材の溶解による沈み込み変形(第1伝熱プレート24と第2伝熱プレート28との近接)量が各部で一定となり、各層において適正な姿勢で第1伝熱プレート24と第2伝熱プレート28とが接合される。
例えば、図6に示される比較例では、積層される伝熱プレート200に中実(バルク状)の閉塞部202が形成されている。この場合、閉塞部202における相手方平板部30との当接面積が過大となるため、閉塞部202での荷重密度が不足してしまう。この荷重密度の不足は接合安定性を低下させ、閉塞部202での接合不良の原因と成り得る。さらに、流体流路22、26と外部との境界を成すように配置されている閉塞部202の接合不良は、流体の外部リークの原因と成り得る。
これに対し本発明の実施形態に係るプレート積層型熱交換器10では、上記の通り閉塞部50、55、60、65には適正な荷重が作用するので、第1伝熱プレート24と第2伝熱プレート28とは高い接合安定性で適正に接合される。特に、プレート積層型熱交換器10では、複数の支持壁68の間隔dが流路隔壁44、46の平均間隔tの200%以内に設定されているため、各閉塞部50、55、60、65において部分的に複数の支持壁68の密度が疎になることが防止され、各閉塞部50、55、60、65の範囲内(周壁52等の内側)においても積層方向の荷重を略均等に作用させることができ、接合安定性を一層向上させることができる。
またここで、プレート積層型熱交換器10では、各閉塞部50、55、60、65に開口部70が設けられると共に、各支持壁68が周壁52、56、62、66とは独立して30から立設されているため、第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28の積層状態で、閉塞部50、55、60、65は第1流路22又は第2流路26と連通され密閉空間を構成しない。これにより、閉塞部50、55、60、65の内圧変化による平板部30の変形が防止される。
例えば、図7に示される比較例では、積層される伝熱プレート210に切れ目のない周壁212にて構成される閉塞部214が設けられている。この閉塞部214は、周壁212を積層される伝熱プレート210の平板部30に接合することで、密閉空間として構成される。この場合、例えばロウ付けに伴う加熱による閉塞部214内のガス圧(体積)変化や真空ロウ付けの際の閉塞部214内外の圧力差に起因して、平板部30が変形してしまうことが懸念される。
これに対してプレート積層型熱交換器10では、閉塞部50、55、60、65が密閉空間として形成されないので、換言すれば、閉塞部50、55、60、65の内外で圧力差が生じない構成であるため、上記した図7の比較例の如き平板部30の変形が防止される。そして、これら閉塞部50、55、60、65の内外を連通する開口部70は、周壁52、56、62、66における流体の流動に伴う動圧が高くなる部分からずらして配置されているため、これら閉塞部50、55、60、65による流体の流れ制御性に影響を与えることがない。
なお、上記した実施形態では、積層方向に隣り合う第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28がロウ付けにて接合された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、積層方向に隣り合う第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28が拡散接合にて接合された構成としても良い。この構成においても、上記の通り積層された第1伝熱プレート24、28の各部に作用する積層方向荷重密度が略均等化されるので、各接合部において拡散接合に必要な界面荷重を確保することができる。
また、上記した実施形態では、本発明に係る積層型流路要素がプレート積層型熱交換器10に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、炭化水素原料を改質する改質流路と該改質流路に熱を供給するための燃焼流路とを含む熱交換型改質装置、アノード流路とカソード流路とを有する燃料電池等の反応器に本発明に係る積層型流路要素を適用しても良く、また例えば、第1流体の熱で液状の第2流体を気化させるための蒸発器に本発明に係る積層型流路要素を適用しても良く、さらに例えば、2種類以上の流体を混合する混合器(の整流部分)に本発明に係る積層型流路要素を適用しても良い。混合器に適用する構成では、例えば第1伝熱プレート24、第2伝熱プレート28の下流端が共通の混合用ヘッダに連通されるように、全体として略Y字状に構成することができる。さらにまた例えば、単一の流体流路を多数に分割する用途に本発明に係る積層型流路要素を適用しても良い。このような用途として、例えば排気ガスを浄化するための触媒コンバータ等を挙げることができる。したがって、本発明は、異なる流体の流路を形成する第1伝熱プレート24と第2伝熱プレート28とを交互に積層する構成に限定されることもなく、用途に応じて、同じ伝熱プレートを積層したり、第1伝熱プレート一層に対し複数層の第2伝熱プレートを積層したりしても良い。
さらに、上記した実施形態では、第1流体と第2流体とが熱交換部10Aにおいて同じ方向に流れる例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、直交流型の熱交換器(反応器、蒸発器)に本発明を適用することも可能である。この場合、例えば、略十字形状に形成された伝熱プレート交差部分を熱交換部10Aとすると共に該熱交換部10Aからの張り出し部分を第1流体導入部10B、第2流体導入部10C、第1流体排出部10D、第2流体排出部10Eとして、本発明の閉塞部構造を適用することが可能である。