JP5234694B2 - Iii族窒化物の製造方法 - Google Patents
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Description
窒化ホウ素は金属窒化物ではなく、窒化タリウムは有毒なタリウムの窒化物であるために取り扱いが危険であるので以下の説明から除外する。
しかし、純度が必要とされる半導体用窒化アルミニウムの作製は、トリメチルアルミニウムとアンモニアを原料とし有機金属気相成長(MOVPE)法によりサファイア等の基板上に成長させる方法が主流である。
基板を使用しないバルク窒化アルミニウムの作製方法としては、溶融アルミニウムと窒素を反応させる昇華法があげられるが、該昇華法においては、1000℃以上の高温が必要であるという問題がある。
ところが、いずれの方法も窒素源として窒素を用いるため、窒素の分解、励起にはプラズマを使用する等特別な工夫が必要であるという問題がある。
しかし、インジウムと窒素に解離する温度が極めて低く、成長温度での窒素分子の平衡蒸気圧が高いため結晶成長が難しいという問題点があった。このためトリメチルインジウム、アンモニアを原料として有機金属気相成長(MOVPE)法により作製する場合、窒化ガリウムの成長温度である1050℃より低い450℃で成長させなければならない。低温ではアンモニアの分解が極めて遅いため、窒素をプラズマ等で励起する方法が提案されている。
また、バルク窒化インジウムについては報告例がほとんどないのが現状である。
しかしながら、この方法の場合には、固体の酸化ガリウムと固体の窒化リチウムとを反応させることとなり、得られる窒化ガリウムの結晶成長が起こり難いという問題がある。
これに対して、液体である金属ガリウムと窒化リチウムとを反応させることにより、窒化ガリウムの結晶成長を期待することが考えられる。ところが、金属ガリウムと窒化リチウムから窒化ガリウムを得る反応におけるギブス反応生成自由エネルギーは、室温において51.1kJ/molと大きく、ガリウムと窒化リチウムとを直接反応させることは困難である。
また、窒化リチウムは不安定な物質であるために、取扱いが困難であるという問題もある。
IV族遷移金属(Ti、Zr、Hf)とV族遷移金属(V、Nb、Ta)の窒化物は、一般に耐薬品性、耐摩耗性が良好であることから、例えば、切削工具の表面処理に使用されている。特に、ZrN、TiNは、金属溶融用のるつぼ、NbNは超伝導性コーティング、TiNはマイクロエレクトロニクス分野において拡散バリヤーとして、また、TaNは、薄膜抵抗体、高温圧力センサー、銅の酸化を抑えるパシベーション膜、耐磨耗性ハードコーティングとして、夫々利用されている。
しかしながら、これらの遷移金属窒化物の製造についても、従来の方法では、高温、高圧が必要であるという問題がある。
III族金属酸化物に含まれるIII族金属と窒素(N)とから、III族窒化物を得ることができる。しかし、窒素源として窒素(N2)を用いる場合、N2を分解する必要があるため、低温、低圧下においてこれを実現することは困難である。
そこで、上記反応を非酸素雰囲気下において行うことによって、LiGaO2などの他の物質の生成を抑制することが考えられる。
そこで、第1の参考発明においては、III族金属とリチウムアミド(LiNH2)とを、非酸素雰囲気中において反応させることによりIII族窒化物を得る。即ち、例えば750℃、0.1MPaという低温、低圧下においても液体の状態となりうるIII族金属を用いることにより、得られるIII族窒化物の結晶成長を促進することができる。また、窒素源としてリチウムアミドを用いることにより、III族金属との反応におけるギブス反応生成自由エネルギーが小さくなり、III族窒化物の生成が円滑に行われる。
これにより、III族窒化物を、低温、低圧において得ることができる。
また、リチウムアミドは、比較的安定な物質であるため、その取扱いが容易である。かかる観点からも、窒素源としてリチウムアミドを用いる利点がある。
該リチウムアミドとガリウムとを反応させて、窒化ガリウムを得ることを特徴とする窒化ガリウムの製造方法にある(請求項1)。
上記窒化ガリウムの製造方法においては、ガリウムと窒化リチウムとを、アンモニア雰囲気中において加熱処理する。
本製造方法の場合にも、低温、低圧下においても液体の状態となりうるガリウムを用いることにより、得られる窒化ガリウムの結晶成長を促進することができる。
また、リチウムアミドは、比較的安定な物質であるため、その取扱いが容易である。かかる観点からも、窒素源としてリチウムアミドを用いる利点がある。
これにより、遷移金属窒化物を、低温、低圧において得ることができる。
アンモニア雰囲気中においては、窒化リチウムがアンモニアと反応してリチウムアミドが生成されるために、上記第2の参考発明と同様に、低温、低圧下において、リチウムアミドと遷移金属原料物質とが反応して遷移金属窒化物を円滑に生成することができると考えられる。
また、第2の参考発明及び第3の参考発明において、上記遷移金属窒化物としては、例えば、窒化タンタル(TaN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化チタン(TiN)、窒化ニオブ(NbN)などがあげられる。
また、上記遷移金属原料物質としては、例えば、Ti、Zr、Ta、Nb等の遷移金属そのもの、或いはこれらの酸化物等を用いることができる。
また、上記不活性ガス等によって、反応容器内を例えば0.1〜1MPaの加圧雰囲気とすることもできる。
この場合には、リチウムアミドが分解して生じるリチウム(Li)とアンモニア(NH3)とが反応して、リチウムアミド(LiNH2)が再生する。それ故、III族金属が消費尽くされるまで反応を継続させることができる。
この場合には、発光ダイオード用基板、レーザーダイオード用材料等として有用な窒化ガリウムを、低温、低圧において得ることができる。
また、ガリウム(Ga)は、融点が29.8℃と低いため、低温におけるリチウムアミドとの反応が液相反応となる。そのため、得られる窒化ガリウム(GaN)の結晶成長を充分に促進することができる。
この場合には、リチウムアミドが分解して生じるリチウムとアンモニアとが反応して、リチウムアミドが再生する。それ故、遷移金属原料物質が消費尽くされるまで反応を継続させることができる。
本発明の参考例にかかるIII族窒化物の製造方法につき、図1〜図3を用いて説明する。
本例のIII族窒化物の製造方法においては、III族金属であるガリウム(Ga)とリチウムアミド(LiNH2)とを、非酸素雰囲気中において反応させることにより、III族窒化物である窒化ガリウム(GaN)を得る。
窒素封入グローブボックス中でガリウム(Ga)(ナカライテスク製:純度99.9999%)0.250g(3.59mmol)、リチウムアミド(LiNH2)0.493g(21.5mmol)を秤量し、グラファイトるつぼ1にそれぞれ加えた。なお、リチウムアミドは窒化リチウム(Li3N)(アルドリッチ製、純度不明)を圧力0.1MPaのアンモニア(太陽日酸製:純度99.999%)雰囲気中で300℃、6時間処理することにより作製した。
次に、バルブ42を閉じ、バルブ41を開き圧力容器2に窒素ガス5(太陽日酸製:純度99.9995%)を導入し0.1MPaの圧力で加圧した。これにより、上記圧力容器2内を酸素濃度0.001vol%の非酸素雰囲気(窒素雰囲気)とした。
図2において、○がGaNの回折ピークを表す。なお、●は、試料台(substrate)の回折ピークである。
また、この窒化ガリウムをSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、図3に示すごとく、約50μmの板状結晶となって大きく成長していることが確認された。
Ga+LiNH2 → GaN+LiH+1/2H2
酸化ガリウムに含まれるガリウム金属と、窒素(N)とから、窒化ガリウムを得ることができる。しかし、窒素源として窒素(N2)を用いる場合、N2を分解する必要があるため、低温、低圧下においてこれを実現することは困難である。
これにより、窒化ガリウムを、低温、低圧において得ることができる。
また、リチウムアミドは、比較的安定な物質であるため、その取扱いが容易である。かかる観点からも、窒素源としてリチウムアミドを用いる利点がある。
本例のIII族窒化物の製造方法においては、III族金属であるガリウム(Ga)とリチウムアミド(LiNH2)とを、アンモニア雰囲気中において反応させることにより、III族窒化物である窒化ガリウム(GaN)を得る。
参考例1と同様にグラファイトるつぼ1にガリウム(ナカライテスク製:純度99.9999%)0.250g(3.59mmol)、リチウムアミド0.493g(21.5mmol)を秤量し、グラファイトるつぼ1にそれぞれ加えた。次に、図1に示すステンレス製の圧力容器2にグラファイトるつぼ1を静置した。圧力容器2を電気炉3にセットすると共に窒素ガス配管4に取付けられたバルブ42を介して真空ホースを接続し、真空ポンプにより上記圧力容器内を0.2Torr(26.6Pa)まで減圧した(矢印D)。
次いで、アンモニア加圧しながら圧力容器2を750℃、12時間加熱し反応させた。反応終了後、圧力容器2を冷却し、グラファイトるつぼ1の中の生成物6を取り出した。生成物6に1規定塩酸を加え未反応のリチウムアミドを溶解した。この溶液をろ紙によりろ過することにより固形生成物を得た。
図4において、○がGaNの回折ピークを表す。なお、●は、試料台(substrate)の回折ピークである。
また、この窒化ガリウムをSEMにより観察したところ、図5に示すごとく、50〜60μmの塊状結晶となって大きく成長していることが確認できた。
本例においては、III族金属であるガリウム(Ga)と窒化リチウム(Li3N)とを、アンモニア(NH3)雰囲気中において加熱処理することによりIII族窒化物である窒化ガリウム(GaN)を得る。
参考例1と同様にグラファイトるつぼ1にガリウム(ナカライテスク製:純度99.9999%)0.250g(3.59mmol)、窒化リチウム0.250g(7.18mmol)を秤量し、グラファイトるつぼ1にそれぞれ加えた。次に、図1に示すステンレス製の圧力容器2にグラファイトるつぼ1を静置した。圧力容器2を電気炉3にセットすると共に窒素ガス配管4に取付けられたバルブ42を介して真空ホースを接続し、真空ポンプにより上記圧力容器内を0.2Torr(26.6Pa)まで減圧した。
次いで、アンモニア加圧しながら圧力容器2を750℃、24時間加熱し反応させた。反応終了後、圧力容器2を冷却し、グラファイトるつぼ1の中の生成物6を取り出した。生成物6に1規定塩酸を加え未反応のリチウムアミドを溶解した。この溶液をろ紙によりろ過することにより固形生成物を得た。
また、この窒化ガリウムをSEMにより観察したところ、図7に示すごとく、約100μmの板状結晶となって大きく成長していることが確認できた。
2Ga+Li3N+NH3 → 2GaN+3LiH
この反応におけるギブス反応生成自由エネルギーは、−217.4kJ/mol(室温)とマイナスとなる。
本例においては、遷移金属原料物質であるタンタル(Ta)とリチウムアミド(LiNH2)とを、非酸素雰囲気中において反応させることにより遷移金属窒化物である窒化タンタル(TaN)を得る。
参考例1と同様にグラファイトるつぼ1に酸化タンタルTa2O5(アルドリッチ製:純度99.99%)0.441g(1mmol)、リチウムアミド0.183g(8mmol)を秤量し、グラファイトるつぼ1にそれぞれ加えた。次に、図1に示すステンレス製の圧力容器2にグラファイトるつぼ1を静置した。圧力容器2を電気炉3にセットすると共に窒素ガス配管4に取付けられたバルブ42を介して真空ホースを接続し、真空ポンプにより上記圧力容器内を0.2Torr(26.6Pa)まで減圧した(矢印D)。
次いで、窒素加圧しながら圧力容器2を400℃、500℃、600℃の3種の温度条件にて、6時間加熱し反応させた。反応終了後、圧力容器2を冷却し、グラファイトるつぼ1の中の生成物6を取り出した。生成物6に1規定塩酸を加え未反応のリチウムアミドを溶解した。この溶液をろ紙によりろ過することにより固形生成物を得た。
図8において、○がTaN、●がTa2O5、◇がLiTaO3の回折ピークをそれぞれ表す。なお、×は、試料台(substrate)の回折ピークである。
また、反応温度500℃にて得られた窒化タンタルをSEMにより観察したところ、図9に示すごとく、約30〜40μmの結晶が確認できた。
本例においては、遷移金属原料物質である酸化タンタル(Ta2O5)と窒化リチウム(Li3N)とを、アンモニア雰囲気中において加熱処理することにより遷移金属窒化物である窒化タンタル(TaN)を得る。
参考例1と同様にグラファイトるつぼ1に酸化タンタル(アルドリッチ製:純度99.99%)0.441g(1mmol)、窒化リチウム0.0696g(2mmol)を秤量し、グラファイトるつぼ1にそれぞれ加えた。次に、図1に示すステンレス製の圧力容器2にグラファイトるつぼ1を静置した。圧力容器2を電気炉3にセットすると共に窒素ガス配管4に取付けられたバルブ42を介して真空ホースを接続し、真空ポンプにより上記圧力容器内を0.2Torr(26.6Pa)まで減圧した。
次いで、アンモニア加圧しながら圧力容器2を300℃、6時間反応させることによりリチウムアミドを生成させ、引き続き反応温度を400℃、500℃、600℃の3種の温度条件にて、6時間加熱し反応させた。反応終了後、圧力容器2を冷却し、グラファイトるつぼ1の中の生成物6を取り出した。生成物6に1規定塩酸を加え未反応のリチウムアミドを溶解した。この溶液をろ紙によりろ過することにより固形生成物を得た。
また、反応温度500℃にて得られた窒化タンタルをSEMにより観察したところ、図11に示すごとく、約30〜40μmの結晶が確認できた。
2 圧力容器
3 電気炉
4 窒素ガス配管
5 窒素ガス
50 アンモニアガス
6 生成物
Claims (1)
- ガリウムと窒化リチウムとを、アンモニア雰囲気中において加熱処理することにより、窒化リチウムとアンモニアとを反応させてリチウムアミドを生成させると共に、
該リチウムアミドとガリウムとを反応させて、窒化ガリウムを得ることを特徴とする窒化ガリウムの製造方法。
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