以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデジタル一眼レフレックスカメラ(以下、単にカメラと略記する)を背面側から見た外観斜視図である。
図1に於いて、カメラ10はカメラボディ30と、このカメラボディ30の前面に交換可能に取り付けられた交換レンズ20と、を有して構成される。
カメラボディ30の上面部には、このパワースイッチレバー101と、モードダイヤル102と、コマンドダイアル103と、レリーズスイッチに対応したシャッタボタン104等が設けられている。また、カメラボディ30の背面側には、撮影者が被写体を観察するためのファインダ34と、このファインダ34の下方に位置する背面液晶モニタ(LCD)87が設けられている。更に、このLCD87の右側には、OKボタン105及び十字ボタン106等が設けられている。
パワースイッチレバー101は、当該カメラ10の電源のオン/オフをするための手動操作部材である。このパワースイッチレバー101が回動操作されることにより、当該カメラ10のメイン電源のオン/オフが切り換えられる。
モードダイヤル102は、撮影時の撮影モードを設定するための操作部材である。このモードダイヤル102が所定方向に回転操作されることによって、撮影時の撮影モードが設定される。
コマンドダイアル103は、このカメラ10で実行可能なコマンド選択するための部材である。このコマンドダイアル103が所定方向に回転操作されることによって、所望のコマンドが設定される。
シャッタボタン104は、撮影準備動作及び露光動作を実行させるためのボタンである。このシャッタボタン104は、第1レリーズスイッチと第2レリーズスイッチの2段式のスイッチで構成されており、シャッタボタン104が半押し操作されることによって、第1レリーズスイッチがオンされて測光処理や測距処理などの撮影準備動作が実行される。また、シャッタボタン104が全押し操作されることによって、第2レリーズスイッチがオンされて露光動作が実行される。
OKボタン105は、前記コマンドダイアル103等が操作されたりしてLCD87に表示された項目を選択、決定するためのボタンである。このOKボタン105の周囲に配置された十字ボタン106は、前記LCD87に表示された複数の項目の中から所望の項目を選択したり、表示画面を切り替えたりするためのボタンである。
図2は、図1のカメラの電気系を主とする全体構成を説明するための図である。
交換レンズ20の内部には、焦点調節及び焦点距離調節用の撮影光学系21と、開口量を調節するための絞り22が配置されている。撮影光学系21は光学系駆動機構23によって駆動され、絞り22は絞り駆動機構24によって駆動されるように、それぞれ接続されている。
前記光学系駆動機構23及び絞り駆動機構24は、それぞれレンズCPU25に接続されている。このレンズCPU25は、通信接点である通信端子110を介して、カメラボディ30に接続されている。レンズCPU25は交換レンズ20内の制御を行うものであり、光学系駆動機構23を制御してピント合わせやズーム駆動を行うと共に、絞り駆動機構24を制御して絞り値制御を行う。また、レンズCPU25は、撮影光学系21の少なくとも焦点位置に基づいて撮影倍率に関する情報を出力するための倍率出力手段としての機能を有している。
カメラボディ30内には、回動可能なクイックリターンミラー31が設けられている。このクイックリターンミラー31は、図示されない被写体像を観察光学系に反射するために撮影光学系21の光軸に対して45度傾いた位置(下降位置、被写体像観察位置、挿入位置)と、被写体像を後述する撮像素子44に導くために跳ね上がった位置(上昇位置、退避位置)との間で回動可能となっている。このクイックリターンミラー31の上方には、フォーカシングスクリーン32、及び被写体像を左右反転させるためのペンタプリズム33が配置されている。
このペンタプリズム33の出射側(図2に於いて右側)には、被写体像観察用の接眼光学系35が配置されると共に、この接眼光学系35の脇であって被写体像の観察に邪魔にならない位置に測光センサ36が配置されている。この測光センサ36は、測光処理回路37に接続される。更に、測光センサ36の出力は、測光処理回路37によって増幅処理やアナログ−デジタル変換等の処理がなされる。
前記クイックリターンミラー31の中央付近はハーフミラーで構成されており、このクイックリターンミラー31の背面には、ハーフミラー部で透過した被写体光をカメラ本体30の下部に反射するためのサブミラー51が設けられている。このサブミラー51は、クイックリターンミラー31に対して回動可能である。サブミラー51は、クイックリターンミラー31が跳ね上がっているときにはハーフミラー部を覆う位置に回動し、クイックリターンミラー31が被写体像観察位置(挿入位置)にあるときには、図示される如くクイックリターンミラー31に対して開いた位置にある。このクイックリターンミラー31は、可動ミラー駆動機構56によって駆動されている。
クイックリターンミラー31の後方には、前述した露光時間制御用のフォーカルプレーンシャッタ41が配置されている。このフォーカルプレーンシャッタ41はシャッタ駆動機構57によって駆動制御される。
フォーカルプレーンシャッタ41の後方には、防塵フィルタ42、赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ43が配置されている。防塵フィルタ42の周囲には圧電素子42aが固定されており、この圧電素子42aは防塵フィルタ駆動回路59によって、超音波で振動する。防塵フィルタ42の付着した塵埃は、圧電素子42aに発生する振動波によって、除塵される。
赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ43は、被写体光束から赤外光成分と、高周波成分を除去するための光学フィルタである。防塵フィルタ42、圧電素子42a、赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ43及び撮像素子44は、塵埃等が侵入しないように、防振ユニット45として気密に一体に構成されている。この防振ユニット45は、防振ユニット駆動回路60によって圧電素子42aが駆動されて振動されることにより、前述した塵埃等の侵入を防止する。
赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ43の後方には、前述した撮像素子44が配置されており、撮影光学系21によって結像される被写体像を電気信号に光電変換する。尚、撮像素子44としては、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の二次元撮像素子を使用できることは言うまでもない。
撮像素子44は撮像素子駆動回路46に接続されており、この撮像素子駆動回路46によって、撮像素子44の電荷蓄積の開始及び終了の制御や、また撮像素子44から画像信号の読出し等が行われる。撮像素子駆動回路46は、画像処理回路72に接続されている。
また、サブミラー51の下方には位相差AFセンサ(測距センサ)52が配置されており、この測距センサ52の出力は測距処理回路53に接続されている。測距センサ52は、撮影光学系21によって結像される被写体像の焦点ズレ量(デフォーカス量)を測定するために、撮影光学系21の周辺光束を2光束に分離する公知の位相差AF光学系と一対のセンサとから構成されている。
振動子検出素子65は、カメラボディ30の振動を検出するために設けられているもので、カメラボディ30の長手方向に対して水平方向及び垂直方向(X軸方向及びY軸方向)の振動を検出する。この振動検出素子65は、例えば、前記2軸について回転量を検出する角速度センサや、2軸の移動量を検出する加速度センサ等により構成される。振動検出素子65は、前記2軸方向の振動を検出した信号を処理するための検出素子信号処理回路66を介して、入出力回路67に接続されている。
前記画像処理回路72は、ライブビュー表示のための画素間引き処理、拡大表示のための切り出し処理等の画像処理のための前処理を行う。また、画像処理回路72は、デジタル画像データのデジタル的増幅(デジタルゲイン調整処理)、色補正、ガンマ(γ)補正、コントラスト補正、ライブビュー表示用画像生成等の各種の画像処理を行う。更に、画像処理回路72は、デジタル画像データを用いて被写体輝度の測定(測光)も行う。
前記画像処理回路72は、ASIC(Appliciantion Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)70内のデータバス71に接続されている。このデータバス71には、入出力回路67、シーケンスコントローラ(以下、ボディCPUと称する)75、圧縮伸張回路76、ビデオ信号出力回路77、SDRAM制御回路78、通信回路80、記録媒体制御回路81、フラッシュメモリ制御回路82、スイッチ検知回路83が接続されている。
データバス71に接続されているボディCPU75は、フラッシュメモリ92に記憶されているプログラムに従ってこのカメラ10の動作を制御する。圧縮伸張回路76は、SDRAM89に記憶された画像データを、JPEGやTIFF等の圧縮方式で圧縮するための回路である。また、SDRAM89や記録媒体91に記録されている画像データの伸張も行う。尚、画像圧縮はJPEGやTIFFに限らず、他の圧縮方式も適用可能である。
ビデオ信号出力回路77は、液晶モニタ駆動回路86を介して背面液晶モニタ87に接続される。前記ビデオ信号出力回路77は、SDRAM89や記録媒体91に記憶された画像データを、背面液晶モニタ87に表示するためのビデオ信号に変換するための回路である。液晶モニタ駆動回路86は、バックライト装置88にも接続されており、背面液晶モニタ87のバックライトの制御を行う。
前記SDRAM89は、SDRAM制御回路78を介してデータバス71に接続されている。このSDRAM89は、画像処理回路72によって画像処理された画像データ、または圧縮伸張回路76によって圧縮された画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリである。
前述した測光処理回路37、撮像素子駆動回路46、測距処理回路53、可動ミラー駆動機構56、シャッタ駆動機構57、防塵フィルタ駆動回路59、防振ユニット駆動回路60及び検出素子信号処理回路66に接続される入出力回路67は、データバス71を介してボディCPU75等の各回路とデータの入出力を制御する。
レンズCPU25と通信端子110を介して接続された通信回路80は、データバス71に接続され、ボディCPU75等とのデータのやりとりや制御命令の通信を行う。データバス71に接続された記録媒体制御回路81は、記録媒体91に接続されており、この記録媒体91への画像データ等の記録及び画像データ等の読み出しの制御を行う。
前記記録媒体91は、撮像素子44から出力された画像と共に、レンズCPU25により検出された撮影倍率と振動検出素子65によるカメラの位置とを記録する。また、記録媒体91は、xDピクチャカード(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリカード(登録商標)またはメモリスティック(登録商標)等の書き替え可能な記録媒体の何れかが装填可能となるように構成され、カメラボディ30に対して着脱自在となっている。その他、通信端子110を介してハードディスクを接続可能に構成してもよい。
フラッシュメモリ制御回路82は、フラッシュメモリ(Flash Memory)92に接続されている。このフラッシュメモリ92は、このカメラ10の動作を制御するためのプログラムが記憶されており、ボディCPU75はこのフラッシュメモリ92に記憶されたプログラムに従って当該カメラ10の制御を行う。また、詳細を後述するように、各撮影コマでのカメラの移動量及び撮影倍率の例を示した表も記憶されている。尚、フラッシュメモリ92は、電気的に書き替え可能な不揮発性メモリである。
パワースイッチ93は、カメラ10のパワーオンオフを制御するためのパワースイッチレバー101に連動する。このパワースイッチ93は、スイッチ検知回路83を介してデータバス71に接続されている。また、前述したモードダイヤル102、コマンドダイアル103、シャッタボタン104等を含むパワースイッチ93以外のその他の種スイッチの出力も、スイッチ検知回路83を介してデータバス71に接続されている。
また、着脱検知スイッチ95は、カメラボディ30のボディマウントの近傍に配置されており、カメラボディ30に交換レンズ20が装着されているか否かの判定を行うために使用される。着脱検知スイッチ95の出力は、スイッチ検知回路83を介してデータバス71に接続されている。
図3は、本実施の形態に於けるカメラの光学系を説明するための概略断面を示すもので、(a)は通常状態を示した図、(b)は撮像状態を示した図である。
図3(a)の通常状態には、交換レンズ20内の撮影光学系21を通った被写体光束は、挿入位置にあるクイックリターンミラー31によって上方に反射され、フォーカシングスクリーン32、ペンタプリズム33及び接眼光学系35を通って、撮影者の目に導かれる。その一方、クイックリンミラー31のハーフミラー部を透過した被写体光束は、サブミラー51で反射されて、測距センサ52及び測距処理回路53を含むAFユニット54に導かれる。被写体観察時には、このようにして焦点距離が求められる。
また、図3(b)の撮像時には、クイックリターンミラー31及びサブミラー51が退避位置に移動するため、撮影光学系21を通った被写体光束は、撮像素子44に結像する。この撮像素子44によって光電変換された画像信号に基づいて、画像処理回路等で画像処理が行われる。
尚、図中107は被写体に対して補助光を発光するためのフラッシュユニットであり、図3(a)に示される被写体観察時はカメラボディ30に格納されているが、図3(b)に示される撮影時はカメラボディ30よりポップアップして、上方に固定されるようになっている。
図4は、カメラボディ30内の振動検出素子65と、実際に検出された振動を打ち消すためのアクチュエータの配置例を示した図である。
図4に於いて、防振ユニット45の一部に、撮像素子44を含む当該防振ユニット45をX軸方向に移動させるためのX軸方向駆動アクチュエータ121と、同じくY軸方向に移動させるためのY軸方向駆動アクチュエータ122とが、それぞれ設けられている。
次に、図5のフローチャート及び図6のタイミングチャートを参照して、本発明の第1の実施形態に於けるカメラのマクロ撮影動作について説明する。尚、一眼レフカメラの通常の撮影動作については、周知であるのでここでは説明を省略する。
図5は本発明の第1の実施形態に於けるカメラのマクロ撮影動作について説明するためのフローチャートであり、図6は本発明の第1の実施形態に於けるカメラのマクロ撮影動作について説明するためのタイミングチャートである。尚、この図6のタイミングチャートは、図5のフローチャートのステップS12以降の処理動作に対応している。
尚、この制御動作は、主にボディCPU75によって行われる。
パワースイッチレバー101が操作されてカメラ10の電源がオン(ON)されると、先ずステップS1にて、シャッタボタン104が半押し操作されて、第1レリーズスイッチがオンされる。次いで、ステップS2に於いて、主要被写体の選定が行われる。ここで、主要被写体が選定されなければ前記ステップS1に移行し、選定されたならばステップS3に移行する。
ステップS3では、OKボタン105がオンされる。そして、ステップS4にて前記ステップS1でオンされた第1レリーズスイッチが一旦オフ(OFF)にされた後、続くステップS5にて再度第1レリーズスイッチがオンにされる。
次に、ステップS6に於いて、前記ステップS2にて選定された主要被写体に対して、撮影範囲が指定されたか否かが判定される。ここでは、当該撮影範囲の遠距離側について指定されたか否かが判定される。ここで、撮影範囲が指定されない場合は前記ステップS4に移行し、指定された場合は、ステップS7に移行してOKボタン105がオンされる。これにより、遠距離側の撮影範囲が決定される。この後、ステップS8にて、一旦、第1レリーズスイッチがオフにされる。
そして、ステップS9にて第1レリーズスイッチがオンされると、続くステップS10に於いて、今度は前記ステップS2にて選定された主要被写体に対して、撮影範囲の近距離側について指定されたか否かが判定される。ここで、撮影範囲が指定されない場合は前記ステップS8に移行し、指定された場合は、ステップS11に移行してOKボタン105がオンされる。これにより、近距離側の撮影範囲が決定される。つまり、全体の撮影範囲が決定される。
ここで、ステップS12に於いて、マクロ撮影を中止(キャンセル)するか否かが判定される。その結果、マクロ撮影を中止する場合は本シーケンスが終了する。これに対して、マクロ撮影を実行する場合は、ステップS13以下の処理動作が実行される。
ステップS13では、シャッタボタン104が全押し操作されて、第2レリーズスイッチがオンされる(図6(a)参照)。すると、可動ミラー駆動機構76内の図示されないモータが駆動されて、クイックリターンミラー31(及びサブミラー51)が挿入位置から退避位置へ移動される。そして、ミラーが退避位置に移動したならば、図譜には示されないが、ミラースイッチ(SW)によって検知される(図6(b)〜(d)参照)。また、このとき、図6(f)には示されていないが、ステップS14にて、撮影光学系21が、前記ステップS6及びS7で決定された遠距離側の指定位置に移動される。
次いで、ステップS15に於いて、撮像素子44が駆動されて1コマの撮影が行われる(図6(e)参照)。この1コマの撮影が行われると、続くステップS16にて撮影されたコマが最終コマであるか否かが判定される。ここで、最終コマでない場合は、ステップS17に移行して、撮影光学系21が所定量ずつ近距離側(至近側)に駆動される(図6(f)参照)。その後、前記ステップS15へ移行する。
すなわち、ステップS15〜S17に於いて、前記ステップS6、S7及びS10、S11で決定された撮影範囲内で最終コマになるまで、1コマ撮影と撮影光学系21の移動が繰り返される(図6(e)、(f)参照)。撮影光学系21の移動は、撮像素子44が駆動されて撮像している時間と次の撮像時間との間に行われる。
また、このステップS15の撮影時には、カメラ10のブレ補正用としてカメラの移動量が検出されて補正される(図6(h)参照)。この移動量とは、撮影時の撮影者により発生する手ブレ量のことであり、振動検出素子65によって検出される。この手ブレによるカメラ移動量(ブレ量)は、図6(g)に示されるように、最初の1コマ目の位置より該当するコマの撮影位置がどれだけ移動したかを表したものであり、X軸方向、Y軸方向に於いて検出される。尚、1コマ毎のカメラ移動量(ブレ量)は、振動検出素子65で検出された各コマの露光中の平均値に基づいている。
図7は、前記ステップS15〜S17に於いて検出された各撮影コマでのカメラの移動量及び撮影倍率の例を示した表である。図7に示されるX軸方向、Y軸方向のカメラの移動量に対して、ブレ補正機構であるX軸方向駆動アクチュエータ121、Y軸方向駆動アクチュエータ122によって撮像素子44が移動されることにより、当該撮影コマのブレが補正(倍率補正、位置ズレ補正)される。
このようにして、撮影が最終コマに到達したならば、ステップS16からステップS18に移行する。
そして、ステップS18及びS19にて、前記主要被写体が合焦しているコマに対して、前記ステップS15〜S17にて撮影された各コマの撮影倍率及び各コマの位置が補正される。
前記ステップS18では、図7の表に示される各コマの倍率に基づいて倍率が補正される。また、ステップS19では、各コマの位置が補正される。そして、ステップS20にて、全てのコマが所定のエリアに分割される。
次に、ステップS21にて、前記ステップS20で分割された所定エリアから、最も合焦度合いの高いコマが選択される。すると、続くステップS22にて、選択された各エリア画像が合成されて、1枚の画像が作成される。その後、ステップS23にて合成された画像が、背面液晶モニタ87にて表示されると共に記録媒体91に保存(記録)され、本シーケンスが終了する。
図8は、前述したシーケンスにより得られた撮影画像の例を示したもので、(a)は基準となる1コマ目の画像の例を示した図、(b)はNコマ目の画像の例を示した図、(c)は(b)のNコマ目の画像を補正した画像の例を示した図である。
図8(a)に示されるように、1コマ目の画像1301 は、背景となる花131に合焦した画像であるとする。また、図8(b)に示されるNコマ目の画像130N は、主要被写体となる虫132の頭部に合焦している状態であり、前述した図7の表より、1コマ目の画像に対して位置ズレ量がΔX(N) 、ΔY(N) 、倍率がM(N) となっている。そして、この図8(b)の画像130N に対して、前述したような倍率補正及び位置補正が行われると、図8(c)に示されるように、背景の花131及び虫132の大きさ及び位置が補正され、且つ、虫132の頭部に合焦した画像130NHになる。
このようにして補正された画像が、図9に示されるように各コマ毎に得られる。そして、1コマ目の基準画像1301 と、各コマの補正画像1302H,1303H,…,130NH,…,130EHが合成された画像が、画像130H となる。この画像130H は、前述したようにして、それぞれのコマで合焦し、且つ大きさ、位置が整えられた被写体(花131及び虫132)を合成した画像となる。したがって、この合成画像130H が、本実施形態により得られた、広範囲にピントの合ったマクロ撮影の写真とされる。
このように、第1の実施形態によれば、カメラだけで、高価なソフトウエアを必要とせずに、広範囲にピントの合ったマクロ撮影の写真を容易に得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
前述した第1の実施形態では光軸に対して垂直となるカメラボディの長手方向に対して水平方向(X軸方向)及び垂直方向(Y軸方向)の振動を検出して補正したが、本第2の実施形態ではカメラの交換レンズの光軸方向(Z軸方向)の振動を検出して補正するものである。
尚、以下に述べる第2の実施形態に於いては、カメラシステムの構成及び基本的な動作については、図1乃至図9に示される第1の実施形態のカメラシステムの構成及び動作と同じであるので、これらの構成及び動作については、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び説明は省略するものとし、異なる動作についてのみ説明する。
図10は、カメラボディ30内の振動検出素子65aと、実際に検出された振動を打ち消すためのアクチュエータの配置例を示した図である。
図10に於いて、防振ユニット45の一部には、X軸方向駆動アクチュエータ121、Y軸方向駆動アクチュエータ122と同様に、図示されないがZ軸方向に移動させるためのZ軸方向駆動アクチュエータが、それぞれ設けられている。この振動検出素子65aは、例えば、3軸について回転量を検出する角速度センサや、3軸の移動量を検出する加速度センサ等により構成される。
次に、図11のタイミングチャートを参照して、本発明の第2の実施形態に於けるカメラのマクロ撮影動作について説明する。尚、本第2の実施形態に於いて、基本的な動作については前述した第1の実施形態に於ける図5のフローチャートと同じであり、ブレ補正でZ軸方向の処理動作が加わるだけである。したがって、ここでは図5のフローチャートを参照して、そのステップS15〜S23の処理動作についてのみ説明する。また、一眼レフカメラの通常の撮影動作については、周知であるのでここでは説明を省略する。
ステップS15に於いて、撮像素子44が駆動されて1コマの撮影が行われる(図11(e)参照)と共に、カメラ10のブレ補正用としてカメラの移動量が検出される。この1コマの撮影が行われると、続くステップS16にて撮影されたコマが最終コマであるか否かが判定される。ここで、最終コマでない場合は、ステップS17に移行して、撮影光学系21が所定量ずつ近距離側(至近側)に駆動される(図11(f)参照)。その後、前記ステップS15へ移行する。
すなわち、ステップS15〜S17に於いて、ステップS6、S7及びS10、S11で決定された撮影範囲内で最終コマになるまで、1コマ撮影と撮影光学系21の移動が繰り返される(図11(e)、(f)参照)。撮影光学系21の移動は、撮像素子44が駆動されて撮像している時間と次の撮像時間との間に行われる。
尚、前記移動量とは、撮影時の撮影者により発生する手ブレ量のことであり、振動検出素子65aによって検出される。この手ブレによるブレ量は、X軸方向及びY軸方向については、図11(g)に示されるように、最初の1コマ目の位置より該当するコマの撮影位置がどれだけ移動したかを表したものであり、Z軸方向については基準の光軸方向に対してのブレ量である。
図12は、第2の実施形態に於けるステップS15〜S17で検出された各撮影コマでのカメラの移動量及び撮影倍率の例を示した表である。図12に示されるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のカメラの移動量に対して、ブレ補正機構によって撮像素子44が移動されることにより、当該撮影コマのブレが補正される。
このようにして、撮影が最終コマに到達したならば、ステップS16からステップS18に移行する。
そして、ステップS18及びS19にて、前記主要被写体が合焦しているコマに対して、前記ステップS15〜S17にて撮影された各コマの撮影倍率及び各コマの位置が補正される。
前記ステップS18では、図12の表に示される各コマの倍率に基づいて倍率が補正される。また、ステップS19では、前記ステップS17の撮影光学系21の駆動により発生したブレに対して、各コマの位置が補正される。そして、ステップS20にて、全てのコマが所定のエリアに分割される。
次に、ステップS21にて、前記ステップS20で分割された所定エリアから、最も合焦度合いの高いコマが選択される。すると、続くステップS22にて、選択された各エリア画像が合成されて、1枚の画像が作成される。その後、ステップS23にて合成された画像が、背面液晶モニタ87にて表示されると共に記録媒体91に保存(記録)され、本シーケンスが終了する。
図13は、前述したシーケンスにより得られた撮影画像の例を示したもので、(a)は基準となる1コマ目の画像の例を示した図、(b)はNコマ目の画像の例を示した図、(c)は(b)のNコマ目の画像を補正した画像の例を示した図である。
図13(a)に示されるように、1コマ目の画像1301 は、背景となる花131に合焦した画像であるとする。また、図13(b)に示されるNコマ目の画像130N は、主要被写体となる虫132の頭部に合焦している状態であり、前述した図12の表より、1コマ目の画像に対して位置ズレ量がΔX(N) 、ΔY(N) 、ΔZ(N) 、倍率がM(N) となっている。そして、この図13(b)の画像130N に対して、前述したような倍率補正及び位置補正が行われると、図13(c)に示されるように、背景の花131及び虫132の大きさ及び位置が補正され、且つ、虫132の頭部に合焦した画像130NHになる。
このようにして補正された画像が、各コマ毎に得られる。そして、1コマ目の基準画像1301 と、各コマの補正画像1302H,1303H,…,130NH,…,130EHが合成された画像が、画像130H となる。この画像130H は、前述したようにして、それぞれのコマで合焦し、且つ大きさ、位置が整えられた被写体(花131及び虫132)を合成した画像となる。したがって、この合成画像130H が、本実施形態により得られた、広範囲にピントの合ったマクロ撮影の写真とされる。
このように、第2の実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、カメラだけで、高価なソフトウエアを必要とせずに、広範囲にピントの合ったマクロ撮影の写真を容易に得ることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
前述した第1及び第2の実施形態は、マクロ撮影の写真の取得及び画像の合成をカメラに於いて行っていたが、これに限られるものではない。本第3の実施形態に於いては、カメラではマクロ撮影の写真の取得を行い、画像の合成はカメラとは別体のパーソナルコンピュータにて行うようにしている。
尚、以下に述べる第3の実施形態に於いては、カメラシステムの構成及び基本的な動作については、図1乃至図9に示される第1の実施形態のカメラシステムの構成及び動作と同じであるので、これらの構成及び動作については、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び説明は省略するものとし、異なる動作についてのみ説明する。
図14は、本発明の第3の実施形態に係るカメラシステムの電気系を主とする全体構成を説明するための図である。
図14に於けるカメラシステムが前述した図2のカメラシステムと異なるのは、カメラボディ3と通信可能なパーソナルコンピュータ(PC)140を備えている点だけである。このパーソナルコンピュータ140では、後述するように、マクロ撮影により得られた複数の画像の合成が主に行われる。
次に、図15及び図16のフローチャートを参照して、本発明の第3の実施形態に於けるカメラのマクロ撮影動作について説明する。尚、一眼レフカメラの通常の撮影動作については、周知であるのでここでは説明を省略する。
図15は本発明の第3の実施形態に於けるカメラのマクロ撮影動作について説明するためのフローチャートであり、図16は本発明の第3の実施形態に於けるパーソナルコンピュータのマクロ撮影された画像の合成動作について説明するためのフローチャートである。
尚、図15のフローチャート(ステップS31〜S47)は、前述した第1の実施形態に於ける図5のフローチャートのステップS1〜S17と同じであるので、対応するステップ番号を参照するものとしてここでは説明を省略する。
図15のフローチャートのマクロ撮影による処理動作が終了したならば、パソコン140にて図16のフローチャートが開始される。
先ず、ステップS51にて、カメラ10からマクロ撮影がなされた画像のファイルが読み込まれる。次いで、ステップS52にて読み込まれた複数の画像の中から、基準となるコマが選定される。
次に、ステップS53に於いて、前記ステップS52にて選定された基準コマを基に、合成する画像の合成範囲が指定される。ここでは、当該合成範囲の遠距離側について指定される。そして、続くステップS54では、前記合成範囲の近距離側が指定される。これにより、合成範囲が決定される。
この後、ステップS55にて、前記ステップS52で選定された基準コマに対して、各コマの倍率に基づいて倍率が補正される。また、ステップS56では、前記ステップS52で選定された基準コマに対して位置を合わせるべく、各コマの位置が補正される。
次いで、ステップS57にて、全てのコマが所定のエリアに分割される。更に、ステップS58にて、前記ステップS57で分割された所定エリアから、最も合焦度合いの高いコマが選択される。すると、続くステップS59にて、選択された各エリア画像が合成されて、1枚の画像が作成される。その後、ステップS60にて、合成された画像がモニタに表示されると共に記録媒体に保存(記録)される。
この第3の実施形態のように、カメラ側でマクロ撮影の複数の画像を取得し、パーソナルコンピュータ側で画像を合成するようにしても、広範囲にピントの合ったマクロ撮影の写真を容易に得ることができる。
尚、前述した第1乃至第3の実施形態では、本カメラ及びカメラシステムを広範囲にピントの合ったマクロ撮影の場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、複数撮影されたマクロ撮影の画像の中から所望の位置にピントの合った画像を選択してソフトフォーカスの画像を得ることも可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
更に、前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
10…カメラ、20…交換レンズ、21…撮影光学系、22…絞り、23…光学系駆動機構、24…絞り駆動機構、25…レンズCPU、30…カメラボディ、31…クイックリターンミラー、32…フォーカシングスクリーン、33…ペンタプリズム、35…接眼光学系、36…測光センサ、37…測光処理回路、41…フォーカルプレーンシャッタ、42…防塵フィルタ、43…赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ、44…撮像素子、45…防振ユニット、46…撮像素子駆動回路、51…サブミラー、52…測距センサ、53…測距処理回路、56…可動ミラー駆動機構、57…シャッタ駆動機構、59…防塵フィルタ駆動回路、60…防振ユニット駆動回路、65…振動子検出素子、66…検出素子信号処理回路、67…入出力回路、70…ASIC(Appliciantion Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)、71…データバス、72…画像処理回路、75…シーケンスコントローラ(ボディCPU)、76…圧縮伸張回路、77…ビデオ信号出力回路、78…SDRAM制御回路、80…通信回路、81…記録媒体制御回路、82…フラッシュメモリ制御回路、83…スイッチ検知回路、86…液晶モニタ駆動回路、87…背面液晶モニタ、88…バックライト装置、89…SDRAM、91…記録媒体、92…フラッシュメモリ(Flash Memory)、93…パワースイッチ、94…その他のスイッチ、95…着脱検知スイッチ、101…パワースイッチレバー、102…モードダイヤル、103…コマンドダイアル、104…シャッタボタン104、105…OKボタン、106…十字ボタン、110…通信端子。