JP5231072B2 - 被膜形成方法 - Google Patents

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本発明は、表面に凹凸を有する基板に均一な厚さの被膜を形成する方法に関する。
MEMS(Micro Electro Mechanical System)のような超微細加工を要する半導体や、厚膜用の配線基板をホトリソグラフィ技術を利用して製造する際に、従来からホトレジスト膜を基板表面に形成している。特に、MEMSにはマイクロメータサイズのセンサ、アクチュエータなども含まれ、半導体回路と異なり基板表面にその深さが100〜1000μm程度の高アスペクト比の凹凸部が形成されている。このような凹凸部にエッチングなどの微細加工を施す場合には、凹凸部表面に均一な厚さのレジスト膜を形成する必要がある。
特に凹部に、例えば貫通電極用のホールを形成するなど、レジスト膜をマスクとしたエッチングなどの加工処理を施したい場合には、凹部に形成されるレジスト膜が100〜1000μmもあるとレジスト膜の現像処理に著しく時間を要するため、その短縮化のために、凹部に形成されるレジスト膜は、凸部と同程度に薄く形成される必要がある。
均一な厚さのレジスト膜を形成する先行技術として、特許文献1〜3に開示される内容が知られている。
特許文献1に開示される内容は、立体構造を持つサンプル上にスプレーコーティングにより成膜した後、サンプルをシンナー蒸気を多量に含む雰囲気中にある時間置いてレジスト剤の拡散移動を促し、サンプルのレジスト膜に含まれる微小な穴や膜厚の局所的な不均一を修正して膜厚の均一化を図るものである。
特許文献2に開示される内容は、塗布膜形成装置の構成として、塗布液を粒子状に噴霧する噴霧ノズルと、該噴霧ノズルから噴霧される塗布液の粒子の状態を検出する粒子状態検出部と、上記塗布対象物表面から噴霧ノズルまでの高さを調整するノズル高さ調整手段とを有し、上記噴霧ノズルは、塗布液の噴霧用気体の圧力を調整する噴霧圧調整手段と、塗布液の噴霧量を調整する噴霧量調整手段とを備え、塗布対象物を載置するワークステージは上記塗布対象物を加熱する温度調整手段と、上記塗布対象物表面に形成された塗布膜の状態を検出する膜状態検出部と、上記塗布対象物の温度を検出する対象物温度検出部とを備え、上記粒子状態検出部と膜状態検出部及び対象物温度検出部から検出された情報に基づき、上記ノズル高さ調整手段、噴霧圧調整手段、噴霧量調整手段及び温度調整手段の内の一つ、又はこれらを組み合わせて制御することで均一な厚さの被膜を形成するようにしている。
特許文献3に開示される内容は、ワーク(基板の凹凸面)に噴霧されるレジスト微粒子を運ぶ気流の速度を高速とし、且つワークに達する時点でのレイノルズ数Reが4300を超えるようにすることで均一な厚さの被膜を形成するようにしたものである。
特開2003−236799号公報 特開2005−334754号公報 特開2006−055756号公報
特許文献1に開示される技術では、凹部の底に塗布されたレジストにピンホールが発生しやすい。ピンホールがあるままリソグラフィを行なうと、形成されるパターンの欠陥となるので、製品不良の原因となる。そこで、スプレーコーティングする際に、膜厚を増やしてレジストの量を多くすれば、膜中にピンホールが生じる確率は減少するが、レジスト膜の厚膜化は最適な露光・現像条件の局所的変化となりオーバー露光の条件を使わざるをえず、パターン形状が歪んだり、解像度を落とす結果となる。
特許文献2には、噴霧圧調整手段、噴霧量調整手段、温度調整手段、膜状態検出部、対象物温度検出部など多くの制御ファクターが存在し、制御が複雑になるとともに、これらのファクターだけでは凹凸表面に均一な厚さの被膜を形成することができない。
また、特許文献3に提案されるように、スプレーコーティングのレジスト微粒子の速度を高速とし、且つワークに達する時点でのレイノルズ数Reを高めても、微細な凹部の表面、特に側壁と底面に形成される被膜の厚みを均一にすることは困難である。
上記課題を解決するため本発明は、前記被膜の形成を異なる第1及び第2の2回の塗布工程に分けて行い、第1の塗布工程で少なくとも前記凹部の底部から壁部の中間深さ位置に至るまで被膜を形成し、第2の塗布工程で少なくとも前記凹部の中間深さ位置から凸部の上面に至るまで被膜を形成し、前記第1の塗布工程はスピンコーティングまたはスプレーコーティングにより塗布後に塗布液を加熱してリフローさせ、前記第2の塗布工程はスプレーコーティングにより塗布後に塗布液を加熱するようにした。
前記第1及び第2の塗布工程は同時に行うことはできないが、どちらを先に行ってもよい。
また前記第1の塗布工程は例えばスピンコーティイングまたはスプレーコーティングにより塗布後に塗布液を加熱してリフローさせ、前記第2の塗布工程は例えばスプレーコーティングにより塗布後に塗布液を加熱する。前記リフローの温度は20〜100℃、前記第2の塗布工程後の加熱処理の温度は70〜150℃が適当である。
本発明によれば、微細な高アスペクト比の凹凸を有する基板の表面に均一な厚さ、即ち凹部の底面、凹部の側壁および凸部の上面に連続したほぼ均一な厚さの被膜(レジスト膜)を形成することができる。
以下に本発明に係る被膜形成方法を添付図面を参照して説明する。図1(a)および(b)は本発明に係る被膜形成方法の第1の塗布工程を説明した図、図2(a)および(b)は本発明に係る被膜形成方法の第2の塗布工程を説明した図である。なおここでは、被膜の形成状況を分かりやすくするため、基板1を敢えて低アスペクト比の凹凸で表しているが、実際には、径が60μm、かつ深さが100μmのホールの基板である。
塗布前の基板1の表面には凹部2と凸部3が連続して形成されている。第1の塗布工程では、図1(a)に示すように、基板1をホットプレート4上にセットし、次いでスプレーノズルでもよいが図1(b)に示すように、スピンコータのノズル5から基板1の表面に向けて塗布液6を供給する。塗布液6はホトレジスト塗布液であり、ポジ型又はネガ型のいずれでも良い。ここで凹凸部は非常に高アスペクト比であることから供給された塗布液6は凹部2の底部まで届きにくく図1(b)に示ように、塗布液の大半は、凸部3の少なくとも中央の深さから上面に至るまでの領域に被膜が形成される。なお、第1の塗布工程は、スピンコート法やスプレーコート法にこだわらず、スリットコート法等、基板に塗布膜が形成されるのであれば、いかなる塗布方法でも利用することができる。
上記の如くして第1の塗布工程で被膜が形成されたら、ホットプレート4によって塗布液6を加熱してリフローする。加熱温度は20〜100℃とし、加熱時間は1〜5minとする。この加熱処理によって、図1(c)に示すように、塗布液6は下方に下がり凹部2の底部から壁部の中間深さ位置に至るまで被膜7を形成する。この被膜7によって、凹部2の少なくとも底部から壁部中間深さ位置に至るまでほぼ均一な厚さの被膜が形成される。
次いで第2の塗布工程を施す。第2の塗布工程では、スプレーノズル8を用いて塗布液9を基板1の表面に向けて噴霧する。すると、スプレーノズル5から噴霧された塗布液9は、凹部2の底部までは届きにくく、図2(a)に示すように、凹部2の中間深さ位置から凸部3の上面に至るまでの領域に被膜10が形成される。なお、スプレーノズル2は塗り残しが生じないようにするため、2回コーティングを行いしかも2回のコーティングの向きを90°異ならせるようにすることが好ましい。
この後、ホットプレート4によって被膜10を加熱する。加熱の条件は、例えば70〜150℃で1〜3minとする。この被膜10と前記被膜7によって、図2(b)に示すように、凹部2及び凸部3の全面に均一な厚さの被膜11が形成される。
なお、被膜10は凸部に形成されるため、特に凸部に微細加工を施す必要が無い場合には、塗布液9は感光性の材料(いわゆるホトレジスト塗布液)でなくても良く、スプレー塗布に適し、かつアルカリ現像液に対して不溶性あるいは難溶性の材料であれば良い。
このようにしてほぼ均一な厚さの被膜を形成した後、例えば基板1の凹部に貫通電極用のホールを形成したい場合には、凹部2に形成された被膜11の一部を選択的露光し、塗布液6がポジ型レジスト液であった場合には、続くアルカリ水溶液(例えば2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)による現像工程で光が当たったところの被膜11が除去されるので、それをマスクとして公知のエッチング処理を施し、次いで残りの被膜11を剥離液やアッシング処理などにより除去することで、凹部2の底部にホールが形成された基板1を得ることができる。
本発明は、このように凹部に形成されるレジスト膜厚を薄く形成できるため、現像処理にかかる時間を大幅に短縮することができる。
前記実施例では、先に第1の塗布工程を行ったが、第2の塗布工程を先に行ってもよい。
本発明に係る被膜形成方法は、ホトリソグラフィー技術を利用したMEMSや貫通電極を有する基板の作製などに利用可能である。
(a)〜(c)は本発明に係る被膜形成方法の第1の塗布工程を説明した図 (a)〜(b)は本発明に係る被膜形成方法の第2の塗布工程を説明した図
符号の説明
1…基板、2…凹部、3…凸部、4…ホットプレート、5…スピンコータのノズル、6…塗布液、7,10、11…被膜、8…スプレーノズル、9…塗布液。

Claims (2)

  1. 表面に凹凸部を有する基板に対して被膜を形成する方法であって、前記被膜の形成を異なる第1及び第2の2回の塗布工程に分けて行い、第1の塗布工程で少なくとも前記凹部の底部から壁部の中間深さ位置に至るまで被膜を形成し、第2の塗布工程で少なくとも前記凹部の中間深さ位置から凸部の上面に至るまで被膜を形成し、
    前記第1の塗布工程はスピンコーティングまたはスプレーコーティングにより塗布後に塗布液を加熱してリフローさせ、前記第2の塗布工程はスプレーコーティングにより塗布後に塗布液を加熱することを特徴とする被膜形成方法。
  2. 請求項に記載の被膜形成方法において、前記リフローの温度は20〜100℃とし、前記加熱の温度は70〜150℃とすることを特徴とする被膜形成方法。
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