本発明は、液晶表示装置に関し、特に、アクティブマトリクス型TFT液晶表示装置に適用して有効な技術に関するものである。
従来、テレビやパーソナルコンピュータのモニタなどに用いられる表示装置として、アクティブマトリクス型TFT液晶表示装置(以下、単にTFT液晶表示装置という。)がある。
前記TFT液晶表示装置は、2枚の基板の間に液晶を封入した液晶表示パネルを有する表示装置である。このとき、前記2枚の基板のうちの一方の基板は、一般に、TFT基板と呼ばれており、たとえば、ガラス基板などの絶縁基板の表面に、複数本の走査信号線および複数本の映像信号線、複数個のTFT素子(アクティブ素子)および複数個の画素電極などが形成されている。また、前記2枚の基板のうちの他方の基板は、一般に、対向基板と呼ばれており、たとえば、ガラス基板などの絶縁基板の表面に、前記表示領域を画素毎の領域に分割する遮光膜やカラーフィルタなどが形成されている。なお、前記画素電極と対になって前記液晶を駆動させる対向電極は、前記TFT基板側に形成されていることもあるし、前記対向基板側に形成されていることもある。
前記液晶表示パネルは、映像や画像を表示する表示領域が多数個の画素の集合で設定されており、各画素は、TFT素子およびTFT素子のソースに接続している画素電極を有する。このとき、各TFT素子は、ドレインが映像信号線に接続しており、ゲートが走査信号線に接続している。なお、本明細書では、前記TFT素子のソースとドレインについて、画素電極に接続しているほうをソースと呼び、映像信号線に接続しているほうをドレインと呼ぶが、この逆、すなわち、画素電極に接続しているほうをドレインと呼び、映像信号線に接続しているほうをソースと呼ぶこともある。また、実際の液晶表示パネルでは、映像信号線に加えられた映像信号の電位と、対向電極の電位との関係により、TFT素子のソースとドレインの関係が逐次入れ替わる。
従来の前記液晶表示パネルにおいて、2本の隣接する映像信号線の間に、映像信号線の延在方向に沿って配置された複数個の画素電極は、たとえば、各画素電極に接続しているTFT素子を介して、前記2本の隣接する映像信号線のうちのいずれか一方の映像信号線に接続している。このとき、従来の一般的な液晶表示パネルでは、前記各画素電極に接続している各TFT素子のドレインは、すべて、前記2本の映像信号線のうちの同じ映像信号線に接続している。
また、近年の液晶表示パネルには、たとえば、2本の隣接する映像信号線の間に、前記2本の隣接する映像信号線のうちの一方の映像信号線にドレインが接続しているTFT素子と、他方の映像信号線にドレインが接続しているTFT素子とを、前記映像信号線の延在方向に沿って交互に配置した液晶表示パネルがある(たとえば、特許文献1を参照。)。このような液晶表示パネルにおいて、2本の隣接する映像信号線の間に、映像信号線の延在方向に沿って配置された複数個の画素電極は、たとえば、TFT素子を介して前記2本の隣接する映像信号線のうちの一方の映像信号線に接続している画素電極と、他方の映像信号線に接続している画素電極とが、映像信号線の延在方向に沿って交互に並んでいる。
また、特許文献1の液晶表示パネルは、たとえば、走査信号線の延在方向に並んでいる複数個の画素電極の列ごとに見た場合、各画素電極が当該画素電極の右側に配置されている映像信号線に接続している列と、各画素電極が当該画素電極の左側に配置されている映像信号線に接続している列とが、交互に並んでいる。すなわち、1本の映像信号線には、当該映像信号線の右側にある画素電極と、左側にある画素電極とが、交互に接続している。そのため、特許文献1の液晶表示パネルにおける画素の配置は、たとえば、千鳥配置などと呼ばれることがある。
また、従来のTFT液晶表示装置のうちの、前記特許文献1に記載されたような構成(千鳥配置)の液晶表示装置は、各映像信号線に映像信号を加えるときに、たとえば、2本の隣接する映像信号線に加わる映像信号の極性の関係が、反対の関係になるように加える。すなわち、2本の隣接する映像信号線のうちの、一方の映像信号線に加える映像信号の電位が対向電極の電位よりも高い場合、他方の映像信号線に加える映像信号線の電位は、対向電極の電位よりも低い。また、1本の映像信号線に加わる映像信号の極性は、たとえば、1フレーム期間毎に入れ替わり、あるフレーム期間に加わる映像信号の電位が対向電極の電位よりも高い場合、次のフレーム期間に加わる映像信号線の電位は、対向電極の電位よりも低い。
すなわち、前記特許文献1の液晶表示装置は、列毎反転駆動と呼ばれる駆動方法に対応した映像信号を加えることで、ドット反転駆動と呼ばれる駆動方法で液晶表示パネルを駆動させることができる。そのため、映像信号(階調電圧)を生成するドライバICの発熱量を低減でき、熱による動作不良や故障を低減できるという利点がある。
特開平10−90712号公報
ところで、液晶テレビなどのTFT液晶表示装置では、近年、画面のちらつきを抑えたり、動画の表示性能を向上させたりするための高リフレッシュレート化が進んでいる。
しかしながら、従来のTFT液晶表示装置では、高リフレッシュレート化が進むにつれて、たとえば、前記TFT素子(アクティブ素子)を介して、前記映像信号線に加えられた映像信号(階調電圧)を前記画素電極に書き込む際に、書き込み不足が生じ、画質が劣化するという問題があった。
また、従来のTFT液晶表示装置のうちの、前記特許文献1の液晶表示装置は、上記のようにドライバICの発熱量を低減できるという利点がある一方で、たとえば、横筋と呼ばれる現象が発生しやすく、当該横筋により画質が劣化するという問題があった。
本発明の目的は、たとえば、液晶表示装置のドライバICの発熱量を低減するとともに、画質の劣化を低減することが可能な技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概略を説明すれば、以下の通りである。
(1)一対の基板の間に液晶材料を封入した液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルの表示制御を行う制御回路基板とを有し、前記一対の基板のうちの一方の基板は、絶縁基板の表面上に、複数本の走査信号線と、複数本の映像信号線と、複数個のTFT素子と、前記TFT素子のソースに接続している複数個の画素電極とが配置されており、かつ、2本の隣接する映像信号線の間に、前記映像信号線の延在方向に沿って配置されている複数個の画素電極は、TFT素子を介して前記2本の隣接する映像信号線のうちの一方の映像信号線に接続している画素電極と、TFT素子を介して前記2本の隣接する映像信号線のうちの他方の映像信号線に接続している画素電極とが交互に並んでいる液晶表示装置であって、前記制御回路基板は、当該表示装置の外部から入力された各画素電極に書き込む入力階調データについて、前記複数個の画素電極のうちの1つの画素電極に書き込む入力階調データと、前記1つの画素電極がTFT素子を介して接続している映像信号線における、前記1つの画素電極の前段の画素電極に書き込む入力階調データとを比較し、前記2つの入力階調データの階調差に基づいて、前記1つの画素電極に書き込む入力階調データを補正する階調補正手段を有する液晶表示装置。
(2)前記(1)の液晶表示装置において、前記階調補正手段は、前記1つの画素電極に書き込む入力階調データの階調数をKn、前記前段の画素電極に書き込む入力階調データの階調数をKn−1とし、補正係数をCとしたときに、前記1つの画素電極に書き込む階調データの階調数を、下記式1で表されるKn'に補正する液晶表示装置。
Kn'=int{(Kn−1−Kn)×C}+Kn ・・・(式1)
(3)前記(2)の液晶表示装置において、前記補正係数Cは、前記2つの入力階調データの階調数の差Kn−1−Knの関数で表される第1の補正係数α、前記1つの画素電極の周辺における温度の関数で表される第2の補正係数β、前記1つの画素電極に接続しているTFT素子が接続している映像信号線と、当該TFT素子が接続している走査信号線の信号入力端との距離の関数で表される第3の補正係数γ1、前記1つの画素電極に接続しているTFT素子が接続している走査信号線と、当該TFT素子が接続している映像信号線の信号入力端との距離の関数で表される第4の補正係数γ2のうちのいずれか1つ、または2つ以上の積で表される液晶表示装置。
(4)前記(3)の液晶表示装置において、前記第1の補正係数αは、前記2つの入力階調データの階調数の差Kn−1−Knが負の値の場合には正の値であり、前記2つの入力階調データの階調数の差Kn−1−Knが正の値の場合には負の値であり、かつ、前記2つの入力階調データの階調数の差Kn−1−Knの絶対値が大きいほど、前記補正係数αの絶対値が大きい液晶表示装置。
(5)前記(3)の液晶表示装置において、前記第2の補正係数βは、あらかじめ定められた特定温度を境にし、前記1つの画素電極の周辺における温度が前記特定温度よりも高い場合には、前記特定温度との温度差に寄らず一定の値であり、前記1つの画素電極の周辺における温度が前記特定温度よりも低い場合には、負の値であり、かつ、当該特定温度との温度差が大きいほど、前記補正係数βの絶対値が大きい液晶表示装置。
(6)前記(3)の液晶表示装置において、前記第3の補正係数γ1は、あらかじめ定められた特定距離を境にし、前記1つの画素電極に接続しているTFT素子が接続している映像信号線と、当該TFT素子が接続している走査信号線の信号入力端との距離が前記特定距離よりも短い場合には、前記特定距離との差によらず一定の値であり、前記1つの画素電極に接続しているTFT素子が接続している映像信号線と、当該TFT素子が接続している走査信号線の信号入力端との距離が前記特定距離よりも長い場合には、負の値であり、かつ、当該特定距離との差が大きいほど、前記第3の補正係数γ1の絶対値が大きい液晶表示装置。
(7)前記(6)の液晶表示装置において、前記特定距離は、前記走査信号線の信号入力端に最も近い位置に配置された映像信号線と、当該走査信号線の信号入力端との距離よりも短い液晶表示装置。
(8)前記(3)の液晶表示装置において、前記第4の補正係数γ2は、あらかじめ定められた特定距離を境にし、前記1つの画素電極に接続しているTFT素子が接続している走査信号線と、当該TFT素子が接続している映像信号線の信号入力端との距離が前記特定距離よりも短い場合には、前記特定距離との差によらず一定の値であり、前記1つの画素電極に接続しているTFT素子が接続している走査信号線と、当該TFT素子が接続している映像信号線の信号入力端との距離が前記特定距離よりも長い場合には、負の値であり、かつ、当該特定距離との差が大きいほど、前記第4の補正係数γ2の絶対値が大きい液晶表示装置。
(9)前記(8)の液晶表示装置において、前記特定距離は、前記映像信号線の信号入力端に最も近い位置に配置された走査信号線と、当該映像信号線の信号入力端との距離よりも短い液晶表示装置。
本発明の液晶表示装置によれば、ドライバICの発熱量を低減できるとともに、横筋と呼ばれる現象の発生による画質の劣化を低減できる。
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1(a)乃至図1(e)は、本発明に関わるTFT液晶表示装置の一構成例を説明するための模式図である。
図1(a)は、本発明に関わるTFT液晶表示装置の概略構成の一例を示す模式ブロック図である。図1(b)は、図1(a)に示した液晶表示パネルにおける表示領域の概略構成の一例を示す模式回路図である。図1(c)は、TFT液晶表示装置に入力される入力階調データの一構成例を示す模式図である。図1(d)は、入力階調データを並べ替えた出力階調データの一構成例を示す模式図である。図1(e)は、図1(a)に示した液晶表示パネルの駆動方法の一例を示す模式図である。
本発明に関わるTFT液晶表示装置は、たとえば、図1(a)に示すように、複数本の走査信号線GLおよび複数本の映像信号線DLを有する液晶表示パネル1と、データドライバ2と、ゲートドライバ3と、制御回路基板4とを有する。
また、図1(a)では省略しているが、TFT液晶表示装置は、液晶表示パネル1、データドライバ2、ゲートドライバ3、および制御回路基板4のほかにも、いくつかの回路部品などを有することはもちろんであり、たとえば、TFT液晶表示装置が透過型または半透過型である場合は、バックライトユニットと呼ばれる光源を有する。
液晶表示パネル1は、TFT基板と対向基板との間に液晶材料を封入した表示パネルである。液晶表示パネル1の表示領域DAは、複数個のマトリクス状に配置された画素の集合として設定されており、1つの画素は、たとえば、2本の隣接する走査信号線GLと2本の隣接する映像信号線DLとで囲まれる領域の大きさに相当する。このとき、各画素は、たとえば、図1(b)に示すように、アクティブ素子(スイッチング素子と呼ぶこともある)であるTFT素子Trと、TFT素子Trのソースに接続している画素電極PXとを有する。
また、各TFT素子Trのドレインは、当該TFT素子Trのソースに接続している画素電極を挟んで隣接する2本の映像信号線DLのうちのいずれか一方の映像信号線DLに接続しており、各TFT素子のゲートは、当該TFT素子Trのソースに接続している画素電極PXを挟んで隣接する2本の走査信号線GLのうちのいずれか一方の走査信号線GLに接続している。すなわち、2本の隣接する映像信号線DLの間に配置された画素電極PXは、TFT素子Trを介して前記2本の隣接する映像信号線DLのうちのいずれか一方の映像信号線に接続している。
またこのとき、画素電極PXは、TFT基板と対向基板との間に封入された液晶材料LC、およびTFT基板または対向基板に設けられた対向電極CTとともに画素容量(液晶容量と呼ぶこともある)を形成している。
また、本発明に関わるTFT液晶表示装置の液晶表示パネル1において、2本の隣接する映像信号線DLの間に、映像信号線DLの延在方向に沿って配置された複数個の画素電極は、TFT素子Trを介して前記2本の隣接する映像信号線DLのうちの一方の映像信号線DLに接続している画素電極PXと、TFT素子を介して他方の映像信号線DLに接続している画素電極PXとが、映像信号線DLの延在方向に沿って交互に並んでいる。
また、液晶表示パネル1は、たとえば、走査信号線GLの延在方向に並んでいる複数個の画素電極PXの列ごとに見た場合、各画素電極PXが当該画素電極PXの左側に配置されている映像信号線DLに接続している列と、各画素電極PXが当該画素電極PXの右側に配置されている映像信号線DLに接続している列とが、交互に並んでいる。すなわち、1本の映像信号線DLには、当該映像信号線DLの右側にある画素電極PXと、左側にある画素電極PXとが、交互に接続している。そのため、図1(b)に示したような画素の配置は、たとえば、千鳥配置などと呼ばれることがある。
また、従来の一般的なTFT液晶表示装置において、映像信号線DLの延在方向に並んだ複数個の画素電極PXが共通の1本の映像信号線DLに接続している場合、表示領域DAの横方向の画素数がM画素(Mは任意の自然数)であると、実際に映像信号が加わる映像信号線DLはM本である。なお、カラー表示に対応したTFT液晶表示装置の場合、映像または画像の1ドット(または1ピクセル)は、複数個のサブ画素で構成されており、たとえば、RGB方式のカラーTFT液晶表示装置の場合、走査信号線GLの延在方向に並んだ3つのサブ画素によって映像または画像の1ドットが構成される。そのため、RGB方式のカラーTFT液晶表示装置において表示領域DAの横方向がMドットの場合、実際に映像信号が加わる映像信号線DLは3M本である。
これに対し、本発明に関わるTFT液晶表示装置では、表示領域DAの横方向の画素数がM画素の場合、実際に映像信号が加わる映像信号線DLはM+1本である。また、RGB方式のカラーTFT液晶表示装置において、表示領域DAの横方向がMドットの場合、実際に映像信号が加わる映像信号線DLは3M+1本である。
本発明に関わるTFT液晶表示装置において映像や画像を表示するときには、まず、当該TFT液晶表示装置の外部から入力される入力階調データ群Kin、制御信号CS、および電源電圧Vなどの入力信号を、制御回路基板4で受信する。制御回路基板4は、たとえば、入力階調データKinを出力階調データKoutに変換し、出力階調データKout、データドライバ制御信号CS1、電源電圧V1などをデータドライバ2に送信し、ゲートドライバ制御信号CS2、電源電圧V2などをゲートドライバ3に送信する。
入力階調データKinは、たとえば、図1(c)に示すような構成になっている。なお、図1(c)において、HLn(n=1,2,3,4,5)は、走査信号線GLの延在方向に並んだ画素の画素電極に対する階調データの列を表しており、BLm(m=1,2,3,4,5)は、各画素電極に対する階調データKn,mのブロックを表している。各画素の表示階調が256階調の場合、1つの階調データKn,mのブロックは8ビットになる。
従来の一般的なTFT液晶表示装置の場合、各列HLnのブロックBLmの階調データKn,mは、共通の1本の映像信号線DLmに入力されるので、表示領域DAの横方向の画素数がM画素(Mは任意の自然数)の場合、1つの列HLnの階調データは、Mブロックで構成される。また、RGB方式のカラーTFT液晶表示装置において、表示領域DAの横方向がMドットの場合、1つの列HLnの階調データは、3Mブロックで構成される。
一方、本発明に関わるTFT液晶表示装置の場合、1本の映像信号線DLmには、たとえば、nが奇数の列HLnのブロックBLmの階調データKn,mと、nが偶数の列HLnのブロックBLm+1の階調データKn,m+1とを交互に入力する必要がある。そのため、本発明に関わるTFT液晶表示装置では、制御回路基板4において、入力階調データKinを、たとえば、図1(d)に示すような構成の出力階調データKoutに変換する。なお、図1(d)における各階調データKn,mは、図1(c)における階調データKn,mと一致させている。
このとき、出力階調データKoutにおける1つの列HLnの階調データは、M+1ブロック(RGB方式のカラーTFT液晶表示装置の場合は3M+1ブロック)で構成される。
なお、図1(d)における列HL2、列HL4などのnが偶数の列HLnの先頭のブロックBL1の階調データKDは、ダミーの階調データであり、たとえば、0階調の階調データまたは1つ前の列HLn−1のブロックBL1と同じ階調データにする。また、図示は省略するが、列HL1、列HL3、列HL5などのnが奇数の列HLnの最後のブロックBLM+1(またはBL3M+1)も、ダミーの階調データにする。
制御回路基板4において作成(変換)された出力階調データKoutは、データドライバ2に送信される。制御回路基板4とデータドライバ2とは、たとえば、フレキシブルプリント配線板や別の回路基板を介して接続されており、出力階調データKoutは、前記フレキシブルプリント配線板や前記別の回路基板を経由してデータドライバ2に入力される。
データドライバ2は、図1(d)に示したような構成の出力階調データKoutの各階調データKn,mに基づき、各画素電極PXに書き込む映像信号(階調電圧信号)を生成する。そして、生成した映像信号を、ゲートドライバ3から各走査信号線GLに入力される走査信号と同期させて、各映像信号線DLに加える。
このとき、データドライバ2から各映像信号線DLに加える映像信号は、たとえば、図1(e)に示すように、1フレーム期間における2本の隣接する映像信号線に加わる映像信号の極性が、一方は常に正極性(+)になり、他方は常に負極性(−)になるようにする。なお、前記映像信号の極性は、映像信号線DLからTFT素子Trを介して画素電極PXに書き込まれた映像信号の電位と、対向電極CTの電位との関係を表しており、画素電極PXの電位が対向電極CTの電位よりも高くなる場合を正極性といい、画素電極PXの電位が対向電極CTの電位よりも低くなる場合を負極性という。
またこのとき、2本の映像信号線DL(たとえば、DLm−1とDLm)の間に並んでいる画素電極PXについてみると、正極性(+)の画素電極PXと負極性(−)の画素電極PXが交互に並んでいる。また、2つの走査信号線GL(たとえば、GLnとGLn+1)の間に並んでいる画素電極PXについてみたときも、正極性(+)の画素電極PXと負極性(−)の画素電極PXが交互に並んでいる。
また、あるフレーム期間における各映像信号線DLに加わる映像信号の極性が、図1(e)に示したような関係にあるとき、次のフレーム期間における各映像信号線DLに加わる映像信号の極性は、正極性(+)と負極性(−)が入れ替わる。そして、さらに次のフレーム期間における各映像信号線DLに加わる映像信号の極性は、図1(e)に示したような関係になる。
すなわち、本発明に関わるTFT液晶表示装置は、データドライバ2において列毎反転と呼ばれる駆動方式に対応した映像信号を生成して各映像信号線DLに加えることで、液晶表示パネル1をドット反転と呼ばれる駆動方式で駆動させることができる。そのため、データドライバ2における処理の負荷が軽減し、データドライバ2の発熱量を低減できる。
しかしながら、本発明に関わるTFT液晶表示装置における従来の駆動方法では、高リフレッシュレート(たとえば、120Hz)で駆動させると、横筋と呼ばれる現象が発生しやすくなる。なお、前記横筋と呼ばれる現象は、たとえば、偶数番目の水平ライン(画素の列)と奇数番目の水平ラインとで輝度や色度が、映像信号で指定された輝度や色度とは異なってみえる現象である。
本発明に関わるTFT液晶表示装置において前記横筋が発生する原因は、種々考えられるが、特に、2つの画素電極の階調電圧の差、各画素の温度、および各画素の映像信号線または走査信号線の信号入力端からの距離が、横筋の発生に大きく関わっていることを、本願発明者らは見いだした。そこで、以下に、横筋が発生する主な要因毎に、傾向と横筋を低減する方法について説明する。
図2(a)および図2(b)は、本発明に関わるTFT液晶表示装置において横筋が発生する原因のうちの1つめの原因を説明するための模式図である。
図2(a)は、本発明に関わるTFT液晶表示装置における各画素の階調の一例を示す模式回路図である。図2(b)は、図2(a)に示した2つの画素電極PX1,PX2に書き込まれる階調電圧の一例を示す模式波形図である。
本発明に係わるTFT液晶表示装置が、一般的なRGB方式のカラーTFT液晶表示装置の場合、図1(e)に示した、2本の隣接する映像信号線DL(たとえば、DLm−1とDLm)と2本の隣接する走査信号線GL(たとえば、GLnとGLn+1)とで囲まれた領域に相当する1つの画素はサブ画素であり、走査信号線GLの延在方向に並んだ3つのサブ画素により、映像または画像の1ドットが構成される。
また、一般的なRGB方式のカラーTFT液晶表示装置の場合、図1(e)に示した、2本の隣接する映像信号線DL(たとえば、DLm−1とDLm)の間にある画素電極PXを有するサブ画素は、すべて同じ色であり、R(赤)、G(緑)、およびB(青)のいずれかである。また、2本の隣接する走査信号線GL(たとえば、GLnとGLn+1)の間にある画素電極PXを有するサブ画素は、たとえば、赤のサブ画素、緑のサブ画素、および青のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでいる。
このようなRGB方式のカラーTFT液晶表示装置において、横筋が発生する原因のうちの1つめの原因を説明するにあたり、各サブ画素の色と画素電極PXに書き込む階調電圧の階調数の関係が、図2(a)に示したような関係になっている場合を例に挙げる。なお、図2(a)において、Ruは赤のサブ画素の列、Gu−1,Guは緑のサブ画素の列、Bu−1,Buは青のサブ画素の列であり、各画素電極PXに示した数値が、入力階調データKinにおける各画素の表示階調である。すなわち、図2(a)に示した例では、各ドットが100階調の赤と、100階調の緑と、250階調の青とを足し合わせて得られる色で表示されている。
このとき、図2(a)において、2本の隣接する走査信号線GLn−1,GLnの間にある画素電極PXには、それぞれ、図1(d)に示した出力階調データKoutのうちの、列HLnの階調データKn,mが書き込まれる。同様に、図2(a)において、2本の隣接する走査信号線GLn,GLn+1の間にある画素電極PXには、それぞれ、図1(d)に示した出力階調データKoutのうちの、列HLn+1の階調データKn+1,mが書き込まれる。また、2本の隣接する走査信号線GLn+1,GLn+2の間にある画素電極PXには、それぞれ、図1(d)に示した出力階調データKoutのうちの、列HLn+2の階調データKn+2,mが書き込まれる。
RGB方式のカラーTFT液晶表示装置において、図2(a)に示したような表示をする場合、たとえば、2つの隣接するサブ画素の列Bu−1,Ruの間を通る映像信号線DLmには、たとえば、図2(b)の上側に示したように、列Bu−1にある画素電極PXに書き込むための青色における250階調に相当する電圧V250の映像信号と、列Ruにある画素電極PXに書き込むための赤色における100階調に相当する電圧V100の映像信号とが交互に入れ替わる映像信号DATAmが加わっている。なお、図2(b)の上側に示した波形図のDATAmにおいて、Sn,Sn+1,Sn+2の3つの区間は、それぞれ、図2(a)に示した出力階調データの列HLn,HLn+1,HLn+2における該当ブロックの階調データに基づく映像信号が加えられている区間である。
このとき、図2(a)に示した画素電極PX1に着目すると、赤色における100階調に相当する電圧V100の映像信号が書き込まれるときの走査信号Vgの波形、共通電圧Vcomの波形、および画素電極PX1の電圧Vpxの波形と、映像信号線DLmに加わっている映像信号DATAmの波形との関係は、たとえば、図2(b)の上側に示したような関係になっている。すなわち、画素電極PX1の電圧Vpxは、走査信号線GLn+1の走査信号Vgがオンになった直後、たとえば、映像信号線DLmにおける画素電極PX1の前段の画素電極PX3に書き込む映像信号の電圧V250の影響により急激に上昇し、その状態から本来の電圧V100の映像信号が書き込まれる。その結果、走査信号Vgの立ち下がりが始まる時点での、映像信号DATAmにおける画素電極PX1に対する階調電圧と、実際に画素電極PX1に書き込まれた電圧との電位差ΔV1は小さくなる。
一方、2つの隣接するサブ画素の列Ru,Guの間を通る映像信号線DLm+1には、たとえば、図2(b)の下側に示したように、列Ruにある画素電極PXに書き込むための赤色における100階調に相当する電圧V100の映像信号と、列Guにある画素電極PXに書き込むための緑色における100階調に相当する電圧V100の映像信号とが交互に入れ替わる映像信号DATAm+1が加わっている。なお、図2(b)の下側に示した波形図のDATAm+1において、Sn+1,Sn+2,Sn+3の3つの区間は、それぞれ、図2(a)に示した出力階調データの列HLn+1,HLn+2、および図示していない列HLn+3における該当ブロックの階調データに基づく映像信号が加えられている区間である。
このとき、図2(a)に示した画素電極PX2に着目すると、赤色における100階調に相当する電圧V100の映像信号が書き込まれるときの走査信号Vgの波形、共通電圧Vcomの波形、および画素電極PX2の電圧Vpxの波形と、映像信号線DLm+1に加わっている映像信号DATAm+1の波形との関係は、たとえば、図2(b)の下側に示したような関係になっている。すなわち、画素電極PX2の電圧Vpxは、走査信号線GLn+2の走査信号Vgがオンになった直後、たとえば、映像信号線DLm+1における画素電極PX2の前段の画素電極PX4に書き込む映像信号の電圧V100の影響によりゆるやかに上昇し、その状態から本来の電圧V100の映像信号が書き込まれる。その結果、走査信号Vgの立ち下がりが始まる時点での、映像信号DATAm+1における画素電極PX2に対する階調電圧と、実際に画素電極PX2に書き込まれた電圧との電位差ΔV2は、映像信号DATAmにおける画素電極PX1に対する階調電圧と、実際に画素電極PX1に書き込まれた電圧との電位差ΔV1よりも大きくなる。
2つの画素電極PX1,PX2は、同じサブ画素の列Ruにある画素電極であるため、本来なら赤色における100階調に相当する電圧V100が書き込まれなければならない。しかしながら、実際には、図2(b)に示したように、映像信号線DLmに加わっている映像信号DATAmにおける階調電圧V100と画素電極PX1に実際に書き込まれた電圧との電位差ΔV1と、映像信号線DLm+1に加わっている映像信号DATAm+1における階調電圧V100と画素電極PX2に実際に書き込まれた電圧との電位差ΔV2との大きさが異なる。すなわち、TFT素子を介して映像信号線DLmに接続している画素電極PX1と、TFT素子を介して映像信号線DLm+1に接続している画素電極PX2とでは、書き込み不足の不足量が異なる。
そのため、従来のTFT液晶表示装置では、画素電極PX1を有する画素の階調(輝度)と、画素電極PX2を有する画素の階調(輝度)が異なる値になり、横筋と呼ばれる現象が発生し、画質が劣化するという問題が発生していた。
なお、図2(a)に示した各画素電極の階調数は、横筋と呼ばれる現象が目立ちやすい組み合わせの一例であり、他の階調数の組み合わせであっても、横筋と呼ばれる現象は発生する。また、図2(a)では、同じ色の表示を担う複数のサブ画素の列にある画素電極、たとえば、サブ画素の列Bu−1にある画素電極とサブ画素の列Buにある画素電極が、すべて同じ階調数である場合を例に挙げているが、各列における画素電極の階調数が任意の組み合わせであっても、横筋と呼ばれる現象は発生する。またさらに、図2(a)では、同じサブ画素の列にある複数個の画素電極、たとえば、サブ画素の列Ruにある画素電極が、すべて同じ階調数である場合を例に挙げているが、各画素電極の階調数が任意の組み合わせであっても、横筋と呼ばれる現象は発生する。
このような原因による横筋の発生を防ぐには、たとえば、画素電極PX1に書き込む映像信号の階調を低くして、画素電極PX1の書き込み不足量を、画素電極PX2の書き込み不足量ΔVに近づければよい。
図3(a)および図3(b)は、本発明による実施例1のTFT液晶表示装置の駆動方法の原理を説明するための模式図である。
図3(a)は、実施例1の液晶表示装置の駆動方法の一例を示す模式回路図である。図3(b)は、図3(a)に示した2つの画素電極PX1,PX2に書き込まれる階調電圧の一例を示す模式波形図である。
本発明に関わるTFT液晶表示装置において横筋と呼ばれる現象が発生する原因のうちの1つめの原因は、たとえば、図2(a)および図2(b)に示した例のように、画素電極PX1に書き込まれた階調電圧の書き込み不足量ΔV1と、画素電極PX2に書き込まれた階調電圧の書き込み不足量ΔV2との差が大きくなるということである。
すなわち、図2(a)に示したような表示をするときに、画素電極PX1に書き込まれた階調電圧の書き込み不足量ΔV1と、画素電極PX2に書き込まれた階調電圧の書き込み不足量ΔV2との差が小さくなれば、横筋の発生を低減する(目立たなくする)ことができると考えられる。画素電極PX1に書き込まれた階調電圧の書き込み不足量ΔV1と、画素電極PX2に書き込まれた階調電圧の書き込み不足量ΔV2との差を小さくするためには、たとえば、映像信号線DLmにおいて、画素電極PX1の前段の画素電極PX3に対する映像信号と、画素電極PX1に対する映像信号との階調差に基づいて、画素電極PX1に書き込む映像信号の階調を補正すればよい。
実施例1の液晶表示装置の駆動方法では、図2(a)に示したような表示をするときに、出力階調データKoutにおける画素電極PX1に対する階調データを、たとえば、図3(a)に示すように、100階調から98階調に補正し、その補正された出力階調データKoutに基づいて生成された映像信号を画素電極PX1に書き込む。こうすると、画素電極PX1に、赤色における98階調に相当する電圧V98の映像信号が書き込まれるときの走査信号Vgの波形、共通電圧Vcomの波形、および画素電極PX1の電圧Vpxの波形と、映像信号線DLmに加わっている映像信号DATAmの波形との関係は、たとえば、図3(b)の上側に示したような関係になる。
このとき、画素電極PX1に書き込まれた電圧Vpxと映像信号DATAmにおける階調電圧との電位差ΔV1(すなわち書き込み不足量)は、98階調に相当する電圧V98の映像信号を書き込ませたときの電位差である。そのため、図3(b)に点線で示した100階調に相当する電圧V100のとき映像信号と、98階調の映像信号で画素電極PX1に書き込まれた電圧Vpxとの電位差ΔV1’は、図2(b)に示した電位差ΔV1よりも大きくなる。
またこのとき、画素電極PX2に書き込む映像信号の階調を補正せずに100階調のままにしておくと、たとえば、画素電極PX2に書き込まれる階調電圧Vpxの波形は、図3(b)の下側に示した波形、すなわち図2(b)の下側に示した波形と同じ波形であり、映像信号DATAm+1における階調電圧V100と画素電極PX2に書き込まれた電圧Vpxとの電位差は、図2(b)に示した電位差Δ2と同じである。
したがって、実施例1のTFT液晶表示装置の駆動方法では、走査信号Vgの立ち下がりが始まる時点での映像信号DATAmの階調電圧と実際に画素電極PX1に書き込まれた電圧との電位差ΔV1'と、走査信号Vgの立ち下がりが始まる時点での映像信号DATAm+1の階調電圧と実際に画素電極PX2に書き込まれた電圧との電位差ΔV2との差(ΔV2−ΔV1')が、ΔV2−ΔV1よりも小さくなる。そのため、画素電極PX1を有する画素の階調(輝度)と、画素電極PX2を有する画素の階調(輝度)との差が小さくなり、横筋と呼ばれる現象の発生による画質が劣化を回避できる。
図4(a)乃至図4(c)は、実施例1のTFT液晶表示装置における階調データの補正方法の一具体例を説明するための模式図である。
図4(a)は、比較する2つの階調データの階調差と横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。図4(b)は、比較する2つの階調データの階調差と補正係数との関係、および比較する2つの階調データの階調差と補正後の横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。図4(c)は、一般的なTFT液晶表示装置における液晶への印加電位と階調との関係の一例を示す模式グラフ図である。
従来のTFT液晶表示装置において、ある1つの画素電極に書き込む映像信号の階調数Knと、前記ある1つの画素電極と同じ映像信号線であり、かつ、前記ある1つの画素電極の前段の画素電極に書き込む映像信号の階調数Kn−1との階調差ΔK(=Kn−1−Kn)と、階調差ΔKのときにおける前記ある1つの画素電極を有する画素における横筋レベルSLVとの関係は、たとえば、図4(a)に実線で示したプロファイルP1のようになる。なお、図4(a)に示したグラフ図には、階調差ΔKが−255から255までのプロファイルP1を示している。
このように、従来のTFT液晶表示装置では、階調差ΔKが負の値のときには、前記ある1つの画素電極に書き込まれた映像信号の階調が、入力階調データにおける階調よりも低くなり、階調差ΔKが正の値のときには、前記ある1つの画素電極に書き込まれた映像信号の階調が、入力階調データにおける階調よりも高くなる。
また、図4(a)に示したプロファイルP1は、階調数ΔKが−180から−120付近の横筋レベルSLVが著しく低くなり、階調数ΔKが120から180付近の横筋レベルSLVが著しく高くなっている。これは、この領域(中間調)において、画素の階調(輝度)の変化が、電位差の変化に対して敏感になるためである。中間調において、電位変化に対する輝度変化が敏感になる理由を、図4(c)に示した、液晶への印加電位Vと階調Kの関係の一例を示すグラフを用いて簡単に説明する。図4(c)に示したグラフによると、64階調(K=64)から192階調(K=192)あたりの中間調の範囲では、低階調側(K<63)や高階調側(K>193)よりも、印加電位Vの変化に対して階調Kの変化が大きい(すなわち、グラフの傾きが大きい)ことが分かる。このことから、中間調では、電位Vの変化に対する輝度変化が敏感であるといえる。
このことから、階調数Knが中間調であり、かつ、階調差ΔKの絶対値が大きい場合は、たとえば、図4(b)に示したように、横筋レベルSLVの絶対値が大きくなると考えられる。
なお、図4(c)に示したような階調K−印加電位Vの関係は、液晶材料の電気光学的な特性に依存する。依存する液晶材料の特性としては、たとえば、弾性定数や誘電率異方性、あるいはプレチルト角などがある。
2つの画素電極に書き込まれた映像信号の階調差ΔKと横筋レベルSLVに、図4(a)のような関係がある場合、この横筋レベルSLVを低減するには、たとえば、図4(b)に示すような関数f(ΔK)で与えられる補正係数αを用いた下記式2により、前記ある1つの画素電極に対する階調データKnを、階調データKn’に補正すればよい。
Kn’=int{(Kn−1−Kn)×α}+Kn ・・・(式2)
上記式2において、int{(Kn−1−Kn)×α}は、(Kn−1−Kn)×αの整数部分のみをとるという意味である。
関数f(ΔK)は、図4(b)に示すように、階調差ΔKが負の値のときは補正係数αが正の値になり、階調差ΔKが正の値のときは補正係数αが負の値になる関数である。また、関数f(ΔK)は、階調差ΔKが大きいほど、補正係数αの絶対値が大きくなる関数である。
実施例1のTFT液晶表示装置の駆動方法を、図2(a)に示したような表示をする際に適用すると、画素電極PX1に対する階調データKnは100階調であり、画素電極PX1の前段の画素電極PX4に対する階調データKn−1は250階調である。そのため、上記式2を用いると、画素電極PX1に対する階調データKn’は、下記式3のようになる。
Kn’=int{150×α}+100 ・・・(式3)
上記式3における補正係数αは、図4(b)に示した関数f(ΔK)から負の値であり、上記式3におけるKn’は100より小さい値(Kn’<100)になる。そのため、画素電極PX1に階調データKn’に基づいて生成した映像信号(階調電圧)を書き込むと、たとえば、図3(a)および図3(b)に示したように、画素電極PX1の書き込み不足量Δ1’と画素電極PX2の書き込み不足量Δ2の差が小さくなり、横筋が目立ちにくくなる。
すなわち、実施例1の液晶表示装置の駆動方法を適用した場合、図4(b)に示すように、横筋レベルSLVがプロファイルP1からプロファイルP1’に変化し、全体的に横筋レベルSLVが小さくなる。そのため、横筋による画質の劣化を低減できる。
図5は、実施例1のTFT液晶表示装置の駆動方法を実現する補正回路の一構成例を示す模式ブロック図である。
実施例1のTFT液晶表示装置の駆動方法を実現するためには、たとえば、図1(a)に示した制御回路基板4に、たとえば、図4(a)に示すような構成の補正回路401を設ければよい。補正回路401は、たとえば、階調データ並替手段401aと、ラインメモリ401cと、階調補正手段401bとを有する。
TFT液晶表示装置(制御回路基板4)に入力される入力階調データKinは、たとえば、図1(c)に示したような形式になっている。そのため、まず、階調データ並替手段401において、入力階調データKinを、たとえば、図1(d)に示したような構成の出力階調データKoutに並べ替える(変換する)。
階調データ並替手段401aで並べ替えた出力階調データKoutは、列HLn毎に、階調補正手段401bおよびラインメモリ401cに転送される。階調補正手段401bは、列HLnの各ブロックBLmの階調データと、ラインメモリ401cで保持している列HLn−1の各ブロックBLmの階調データとを比較し、たとえば、階調差ΔKと、図4(b)に示したような補正係数α=f(ΔK)と式2を用いて、列HLnの各ブロックBLmの階調データを補正する。その後は、補正された出力階調データKout’をデータドライバ2に転送し、各映像信号線DLに加える映像信号(階調電圧信号)を生成し、たとえば、制御回路基板4などで制御されているタイミング(クロック信号)に基づいて、各映像信号線DLに映像信号を加えるとともに、各走査信号線GLに加える走査信号を順次オンにしていくことで、1フレーム期間分の映像または画像を液晶表示パネル1に表示させる。
以上説明したように、実施例1のTFT液晶表示装置およびその駆動方法によれば、2つの画素に対する階調データの階調差ΔKに依存する横筋を低減し、TFT液晶表示装置の画質の劣化を防ぐことができる。
なお、補正係数αは、図4(b)に示した関数f(ΔK)に限らず、他の関数g(ΔK)を用いて求めてもよいことはもちろんである。
また、図5に示した補正回路401は、実施例1の駆動方法を実現するための回路構成の一例である。すなわち、図3(a)および図3(b)、ならびに図4(b)を参照して説明したような方法で、各画素電極PXに書き込む映像信号の階調を補正することができれば、別の構成であってもよいことはもちろんである。
図6(a)および図6(b)は、本発明による実施例2のTFT液晶表示装置における階調データの補正方法の一具体例を説明するための模式図である。
図6(a)は、画素電極およびその周辺の温度と横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。図6(b)は、画素電極およびその周辺の温度と補正係数との関係、および画素電極およびその周辺の温度と補正後の横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。
実施例1では、2つの画素に対する階調データの階調差ΔKに依存する横筋を低減するTFT液晶表示装置の構成および駆動方法について説明した。しかしながら、従来のTFT液晶表示装置において横筋が発生する原因には、そのほかに、たとえば、液晶表示パネルの温度が関係している。
従来のTFT液晶表示装置における液晶表示パネル1の温度Tempと横筋レベルSLVとの関係は、たとえば、図6(a)に示したプロファイルP2で表される。
なお、図6(a)には、プロファイルP2の一例として、2つの画素に対する階調データ(階調数)Kn−1,Knがそれぞれ、Kn−1=250,Kn=100の場合における、当該2つの画素の周辺における温度Tempと、横筋レベルSLVとの関係を示している。
また、図6(a)に示したグラフにおける縦軸の横筋レベルSLVは、前記2つの画素の周辺における温度の変化のみに依存する横筋レベルであり、実施例1で説明した階調差ΔKに依存する成分を取り除いた横筋レベルである。
すなわち、従来のTFT液晶表示装置において、ある特定の映像または画像を表示しながら液晶表示パネル1の温度を変えた場合、室温(20℃から30℃)あるいはそれより高温では横筋レベルSLVがほぼ0(ゼロ)であっても、温度を下げていくと、温度が低くなるにつれて横筋レベルSLVが徐々に大きくなっていく。
液晶表示パネル1の温度Tempと横筋レベルSLVに、図6(a)のような関係がある場合、この温度に依存する横筋レベルSLVを低減するには、たとえば、図6(b)に示すような関数f(Temp)で与えられる補正係数βを用いた下記式4により、前記ある1つの画素電極に対する階調データKnを、階調データKn’に補正すればよい。
Kn’=int{(Kn−1−Kn)×β}+Kn ・・・(式4)
上記式4において、int{(Kn−1−Kn)×β}は、(Kn−1−Kn)×βの整数部分のみをとるという意味である。
関数f(Temp)は、図6(b)に示すように、ある特定の温度よりも高い温度のときは補正係数βが0(ゼロ)になり、ある特定の温度よりも低い温度のときは補正係数βが負の値になる関数である。また、関数f(Temp)は、液晶表示パネルの温度と前記ある特定の温度との差が大きいほど、補正係数βの絶対値が大きくなる関数である。
なお、前記ある特定の温度は、たとえば、図6(a)に示したプロファイルP2において、横筋レベルが0(ゼロ)から正の値に変わる温度、言い換えると、室温よりも高い温度における値が一定のプロファイル成分と、室温よりも低い温度における値が変化するプロファイル成分との交点(接点)の温度にする。
実施例2のTFT液晶表示装置の駆動方法を、図2(a)に示したような表示をする際に適用すると、画素電極PX1に対する階調データKnは100階調であり、画素電極PX1の前段の画素電極PX4に対する階調データKn−1は250階調である。そのため、上記式4を用いると、画素電極PX1に対する階調データKn’は、下記式5のようになる。
Kn’=int{150×β}+100 ・・・(式5)
上記式5における補正係数βは、たとえば、図6(b)に示したような関数f(Temp)で常に0以下の値(β≦0)であるから、上記式5におけるKn’は100より小さい値(Kn’≦100)になる。そのため、画素電極PX1に階調データKn’に基づいて生成した映像信号(階調電圧)を書き込むと、たとえば、気温が氷点下(0度以下)の環境で使用する場合などでも、横筋が目立ちにくくなる。
すなわち、実施例2の液晶表示装置の駆動方法を適用した場合、図6(b)に示すように、温度に依存した横筋レベルSLVがプロファイルP2からプロファイルP2’に変化し、全体的に横筋レベルSLVが小さくなる。そのため、温度に依存した横筋による画質の劣化を低減できる。
ところで、液晶テレビなどの大画面のTFT液晶表示装置では、液晶表示パネル1の表示領域DAの各点(各画素)における温度が不均一であり、特定の温度分布を示す。そのため、実施例2のような駆動方法を適用する場合、温度Tempは、液晶表示パネル1の温度ではなく、補正の対象になる画素(画素電極)およびその周辺の温度にする。しかしながら、各画素の温度を測定することは困難である。そのため、実施例2のような駆動方法を適用する場合、TFT液晶表示装置内のある特定の箇所の温度を測定し、その温度から、補正の対象になる画素およびその周辺の温度Tempを見積もる。
図7(a)および図7(b)は、実施例2の駆動方法を実現するTFT液晶表示装置の一構成例を示す模式図である。
図7(a)は、実施例2のTFT液晶表示装置の駆動方法を実現する補正回路の一構成例を示す模式ブロック図である。図7(b)は、温度センサの設置位置の一例を示す模式図である。
実施例2のTFT液晶表示装置の駆動方法を実現するためには、たとえば、図1(a)に示した制御回路基板4に、たとえば、図7(a)に示すような構成の補正回路401を設ければよい。補正回路401は、たとえば、階調データ並替手段401aと、ラインメモリ401cと、階調補正手段401bと、温度見積手段401dとを有する。温度見積手段401dは、TFT液晶表示装置内に設置された温度センサ5と接続しており、温度センサ5で検出した温度に基づいて液晶表示パネル1の表示領域DAの各画素の温度を見積もる。温度センサ5は、たとえば、図7(b)に示すように、制御回路基板4とデータドライバ2とを接続するフレキシブルプリント配線板6および他の回路基板7のうちの、回路基板7に設ける。
TFT液晶表示装置(制御回路基板4)に入力される入力階調データKinは、たとえば、図1(c)に示したような形式になっている。そのため、まず、階調データ並替手段401において、入力階調データKinを、たとえば、図1(d)に示したような構成の出力階調データKoutに並べ替える(変換する)。
階調データ並替手段401aで並べ替えた出力階調データKoutは、列HLn毎に、階調補正手段401bおよびラインメモリ401cに転送される。階調補正手段401bは、列HLnの各ブロックBLmの階調データと、ラインメモリ401cで保持している列HLn−1の各ブロックBLmの階調データとを比較し、たとえば、温度見積手段401dで見積もった温度Tempと、図6(b)に示したような補正係数β=f(Temp)と式4を用いて、列HLnの各ブロックBLmの階調データを補正する。その後は、補正された出力階調データKout’をデータドライバ2に転送し、各映像信号線DLに加える映像信号(階調電圧信号)を生成し、たとえば、制御回路基板4などで制御されているタイミング(クロック信号)に基づいて、各映像信号線DLに映像信号を加えるとともに、各走査信号線GLに加える走査信号を順次オンにしていくことで、1フレーム期間分の映像または画像を液晶表示パネル1に表示させる。
以上説明したように、実施例2のTFT液晶表示装置およびその駆動方法によれば、液晶表示パネルの温度に依存する横筋を低減でき、TFT液晶表示装置の画質の劣化を防ぐことができる。
なお、補正係数βは、図6(b)に示した関数f(Temp)に限らず、他の関数g(Temp)を用いて求めてもよいことはもちろんである。
また、図7(a)に示した補正回路401は、実施例2の駆動方法を実現するための回路構成の一例である。すなわち、図6(b)を参照して説明したような方法で、各画素電極PXに書き込む映像信号の階調を補正することができれば、別の構成であってもよいことはもちろんである。またさらに、温度センサ5は、図7(b)に示した位置に限らず、任意の位置に設置してもよいことはもちろんである。
図8(a)乃至図8(e)は、本発明による実施例3のTFT液晶表示装置における階調データの補正方法の一具体例を説明するための模式図である。
図8(a)は、映像信号線の入力端から画素までの距離と横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。図8(b)は、映像信号線の入力端から画素までの距離と補正係数との関係、および映像信号線の入力端から画素までの距離と補正後の横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。図8(c)は、走査信号線の入力端から画素までの距離と横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。図8(d)は、走査信号線の入力端から画素までの距離と補正係数との関係、および走査信号線の入力端から画素までの距離と補正後の横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。図8(e)は、実施例3の補正方法の変形例を説明するための模式図である。
実施例1では、2つの画素に対する階調データの階調差ΔKの大きさに依存する横筋を低減するTFT液晶表示装置の構成および駆動方法について説明し、実施例2では、液晶表示パネル(各画素)の温度Tempに依存する横筋を低減するTFT液晶表示装置の構成および駆動方法について説明した。しかしながら、従来のTFT液晶表示装置において横筋が発生する原因には、そのほかに、たとえば、映像信号線の信号入力端と画素との距離および走査信号線の信号入力端と画素との距離も関係している。
従来のTFT液晶表示装置において、映像信号線DLの信号入力端と画素との距離と、横筋レベルSLVとの関係は、たとえば、図8(a)に示したプロファイルP3で表される。なお、図8(a)では、映像信号線DLの信号入力端と画素との実際の距離ではなく、各画素のTFT素子のゲートが接続している走査信号線GLnの番号nを横軸にしている。また、走査信号線GLnの番号nは、映像信号線DLの信号入力端に最も近い走査信号線を1にし、映像信号線DLの信号入力端に遠ざかるにつれて番号が大きくなるようにつけている。
また、図8(a)には、プロファイルP3の一例として、2つの画素に対する階調データ(階調数)Kn−1,Knがそれぞれ、Kn−1=250,Kn=100の場合における、当該2つの画素の映像信号線の信号入力端からの距離と、横筋レベルSLVとの関係を示している。
また、図8(a)に示したグラフにおける縦軸の横筋レベルSLVは、前記2つの画素の映像信号線の信号入力端からの距離の変化のみに依存する横筋レベルであり、実施例1で説明した階調差ΔKに依存する成分や、実施例2で説明した温度Tempに依存する成分を取り除いた横筋レベルである。
すなわち、従来のTFT液晶表示装置において、ある特定の映像または画像を表示しながら、映像信号線の延在方向に沿って並んだ各画素の横筋レベルを調べると、映像信号線の信号入力端から遠ざかるにつれて、横筋レベルSLVが徐々に大きくなっていく。
映像信号線の信号入力端からの距離と横筋レベルSLVに、図8(a)のような関係がある場合、この距離に依存する横筋レベルSLVを低減するには、たとえば、図8(b)に示すような関数f(n)で与えられる補正係数γ1を用いた下記式6により、前記ある1つの画素電極に対する階調データKnを、階調データKn’に補正すればよい。
Kn’=int{(Kn−1−Kn)×γ1}+Kn ・・・(式6)
上記式6において、int{(Kn−1−Kn)×γ1}は、(Kn−1−Kn)×γ1の整数部分のみをとるという意味である。
関数f(n)は、図8(b)に示すように、常に負の値であり、nが大きくなるほど補正係数γ1の絶対値が大きくなる関数である。
実施例3のTFT液晶表示装置の駆動方法を、図2(a)に示したような表示をする際に適用すると、画素電極PX1に対する階調データKnは100階調であり、画素電極PX1の前段の画素電極PX4に対する階調データKn−1は250階調である。そのため、上記式5を用いると、画素電極PX1に対する階調データKn’は、下記式7のようになる。
Kn’=int{150×γ1}+100 ・・・(式7)
上記式7における補正係数γ1は、たとえば、図8(b)に示したような関数f(n)で常に負の値(γ1<0)であるから、上記式7におけるKn’は100より小さい値(Kn’<100)になる。そのため、画素電極PX1に階調データKn’に基づいて生成した映像信号(階調電圧)を書き込むと、たとえば、映像信号線DLの信号入力端からの距離が長くても、横筋が目立ちにくくなる。
すなわち、実施例3の液晶表示装置の駆動方法を適用した場合、図8(b)に示すように、映像信号線の信号入力端からの距離に依存した横筋レベルSLVがプロファイルP3からプロファイルP3’に変化し、全体的に横筋レベルSLVが小さくなる。そのため、映像信号線の信号入力端からの距離に依存した横筋による画質の劣化を低減できる。
また、従来のTFT液晶表示装置において、走査信号線GLの信号入力端と画素との距離と、横筋のレベルSLVとの関係は、たとえば、図8(c)に示したプロファイルP4で表される。なお、図8(c)では、映像信号線DLの信号入力端と画素との実際の距離ではなく、各画素のTFT素子のドレインが接続している映像信号線DLmの番号mを横軸にしている。また、映像信号線DLmの番号mは、走査信号線GLの信号入力端に最も近い映像信号線を1にし、走査信号線GLの信号入力端に遠ざかるにつれて番号が大きくなるようにつけている。
また、図8(c)には、プロファイルP4の一例として、2つの画素に対する階調データ(階調数)Kn−1,Knがそれぞれ、Kn−1=250,Kn=100の場合における、当該2つの画素の走査信号線の信号入力端からの距離と、横筋レベルSLVとの関係を示している。
また、図8(c)に示したグラフにおける縦軸の横筋レベルSLVは、前記2つの画素の走査信号線の信号入力端からの距離の変化のみに依存する横筋レベルであり、実施例1で説明した階調差ΔKに依存する成分や、実施例2で説明した温度Tempに依存する成分などを取り除いた横筋レベルである。
すなわち、従来のTFT液晶表示装置において、ある特定の映像または画像を表示しながら、走査信号線の延在方向に沿って並んだ各画素の横筋レベルを調べると、走査信号線の信号入力端から遠ざかるにつれて、横筋レベルSLVが徐々に大きくなっていく。
走査信号線の信号入力端からの距離と横筋レベルSLVに、図8(c)のような関係がある場合、この距離に依存する横筋レベルSLVを低減するには、たとえば、図8(d)に示すような関数f(m)で与えられる補正係数γ2を用いた下記式8により、前記ある1つの画素電極に対する階調データKnを、階調データKn’に補正すればよい。
Kn’=int{(Kn−1−Kn)×γ2}+Kn ・・・(式8)
上記式8において、int{(Kn−1−Kn)×γ2}は、(Kn−1−Kn)×γ2の整数部分のみをとるという意味である。
関数f(m)は、図8(d)に示すように、常に負の値であり、mが大きくなるほど補正係数γ2の絶対値が小さくなる関数である。
実施例3のTFT液晶表示装置の駆動方法を、図2(a)に示したような表示をする際に適用すると、画素電極PX1に対する階調データKnは100階調であり、画素電極PX1の前段の画素電極PX4に対する階調データKn−1は250階調である。そのため、上記式8を用いると、画素電極PX1に対する階調データKn’は、下記式9のようになる。
Kn’=int{150×γ2}+100 ・・・(式9)
上記式9における補正係数γ2は、たとえば、図8(d)に示したような関数f(m)で常に負の値(γ2<0)であるから、上記式9におけるKn’は100より小さい値(Kn’<100)になる。そのため、画素電極PX1に階調データKn’に基づいて生成した映像信号(階調電圧)を書き込むと、たとえば、走査信号線GLの信号入力端からの距離が長くても、当該距離に依存する横筋が目立ちにくくなる。
すなわち、実施例3の液晶表示装置の駆動方法を適用した場合、図8(d)に示すように、走査信号線の信号入力端からの距離に依存した横筋レベルSLVがプロファイルP4からプロファイルP4’に変化し、全体的に横筋レベルSLVが小さくなる。そのため、走査信号線の信号入力端からの距離に依存した横筋による画質の劣化も低減できる。
実施例3のような補正方法でTFT液晶表示装置を駆動させる場合は、制御回路基板4に、たとえば、図5に示したような補正回路401を設ければよい。そして、階調補正手段401bにおいて、たとえば、上記式6および式8に基づいて、各画素の階調データKnをKn’に補正すればよい。
以上説明したように、実施例3のTFT液晶表示装置およびその駆動方法によれば、映像信号線の信号入力端からの距離および走査信号線の信号入力端からの距離に依存する横筋を低減でき、TFT液晶表示装置の画質の劣化を防ぐことができる。
なお、補正係数γ1は、図8(b)に示した関数f(n)に限らず、他の関数g(n)を用いて求めてもよいことはもちろんである。他の関数g(n)としては、たとえば、図8(e)に示すように、映像信号線の信号入力端からの距離がある特定の距離になる番号xの走査信号線GLxを境にし、走査信号線GLxよりも映像信号線の信号入力端側にある画素に対しては距離によらず一定の値であり、映像信号線の信号入力端からの距離が走査信号線GLxよりも大きい画素に対しては距離に大きくなるにつれて補正係数γ1の絶対値が大きくなるような関数が上げられる。同様に、補正係数γ2は、図8(d)に示した関数f(m)に限らず、他の関数g(m)を用いて求めてもよいことはもちろんである。
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
たとえば、実施例1では、階調差ΔKの関数f(ΔK)で与えられる補正係数αのみを用いて階調データを補正している。また、実施例2では、温度の関数f(Temp)で与えられる補正係数βのみを用いて階調データを補正している。また、実施例3では、信号入力端からの距離の関数f(n),f(m)で与えられる補正係数γ1,γ2のみを用いて階調データを補正している。
しかしながら、TFT液晶表示装置において発生する横筋は、階調数の差ΔK、温度Temp、信号入力端からの距離などの要因が複合している。そのため、前記各実施例で説明したような点をふまえ、下記式10を用いて階調データKnをKn’に補正してもよいことはもちろんである。
Kn’=int{(Kn−1−Kn)×α×β×γ1×γ2}+Kn ・・・(式10)
また、これに限らず、補正係数α,β,γ1,γ2のうちの2つまたは3つを選択して補正してもよいことはもちろんである。
本発明に関わるTFT液晶表示装置の概略構成の一例を示す模式ブロック図である。
図1(a)に示した液晶表示パネルにおける表示領域の概略構成の一例を示す模式回路図である。
TFT液晶表示装置に入力される入力階調データの一構成例を示す模式図である。
入力階調データを並べ替えた出力階調データの一構成例を示す模式図である。
図1(a)に示した液晶表示パネルの駆動方法の一例を示す模式図である。
本発明に関わるTFT液晶表示装置における各画素の階調の一例を示す模式回路図である。
図2(a)に示した2つの画素電極PX1,PX2に書き込まれる階調電圧の一例を示す模式波形図である。
実施例1の液晶表示装置の駆動方法の一例を示す模式回路図である。
図3(a)に示した2つの画素電極PX1,PX2に書き込まれる階調電圧の一例を示す模式波形図である。
比較する2つの階調データの階調差と横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。
比較する2つの階調データの階調差と補正係数との関係、および比較する2つの階調データの階調差と補正後の横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。
一般的なTFT液晶表示装置における液晶への印加電位と階調との関係の一例を示す模式グラフ図である。
実施例1のTFT液晶表示装置の駆動方法を実現する補正回路の一構成例を示す模式ブロック図である。
画素電極およびその周辺の温度と横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。
画素電極およびその周辺の温度と補正係数との関係、および画素電極およびその周辺の温度と補正後の横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。
実施例2のTFT液晶表示装置の駆動方法を実現する補正回路の一構成例を示す模式ブロック図である。
温度センサの設置位置の一例を示す模式図である。
映像信号線の入力端から画素までの距離と横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。
映像信号線の入力端から画素までの距離と補正係数との関係、および映像信号線の入力端から画素までの距離と補正後の横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。
走査信号線の入力端から画素までの距離と横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。
走査信号線の入力端から画素までの距離と補正係数との関係、および走査信号線の入力端から画素までの距離と補正後の横筋のレベルとの関係の一例を示す模式グラフ図である。
実施例3の補正方法の変形例を説明するための模式図である。
符号の説明
1…液晶表示パネル
2…データドライバ
3…ゲートドライバ
4…制御回路
401…補正回路基板
401a…階調データ並替手段
401b…階調補正手段
401c…ラインメモリ
401d…温度見積手段
5…温度センサ
6…フレキシブルプリント配線板
7…回路基板
GL,GLn−1,GLn,GLn+1,GLn+2…走査信号線
DL,DLm−2,DLm−1,DLm,DLm+1,DLm+2,DLm+3…映像信号線
Tr…TFT素子
PX,PX1,PX2,PX3,PX4…画素電極
LC…液晶材料
CT…対向電極