JP5229488B2 - カーボンナノ複合体、それを含む分散液および樹脂組成物、ならびにカーボンナノ複合体の製造方法 - Google Patents

カーボンナノ複合体、それを含む分散液および樹脂組成物、ならびにカーボンナノ複合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノ複合体およびその製造方法に関し、より詳しくは、カーボンナノ構造体とこれに吸着したイミド基含有構成単位を含むビニル系重合体とを含有するカーボンナノ複合体およびその製造方法に関する。また、本発明はこのカーボンナノ複合体を含有する分散液および樹脂組成物に関する。
カーボンナノチューブ(CNT)に代表されるカーボンナノ構造体は、熱伝導性、電気伝導性、機械的特性などに優れ、また貯蔵安定性も有することから注目され、例えば、電子デバイス材料、顕微鏡探針、電界放出ディスプレイ用エミッタ、リチウム二次電池負極などの電極材料、燃料電池の拡散層やセパレーター、電界効果トランジスタ、ドラッグデリバリーシステム用材料などの医療用材料、樹脂やセラミックスとの複合材料、分子貯蔵材料などへの用途展開に向けた開発が進められている。しかしながら、カーボンナノ構造体は、ファンデルワールス力により凝集しやすく、溶媒中や樹脂中での分散性が悪いため、前記特性を十分に発揮できないという問題があった。
そこで、カーボンナノチューブの溶媒中での分散性を向上させるため、種々の方法が提案されている。例えば、国際公開第2002/016257号パンフレット(特許文献1)には、少なくとも1つのポリマー分子で少なくとも部分的にコーティングされた単層カーボンナノチューブを含む組成物が開示され、前記ポリマーとしてポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホネート、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアリルアミンなどが例示されている。国際公開第2002/076888号パンフレット(特許文献2)には、重合体がカーボンナノチューブ上に吸着した粉末が開示され、前記重合体としてアラビアゴム、カラゲナン、ペクチン、ポリガラクトウロン酸、アルギン酸、キトサンなどの親水性重合体が例示されている。しかしながら、特許文献1の組成物や特許文献2の粉末は、分散性、特に有機溶媒中や樹脂中への分散性が未だ不十分であり、また耐熱性にも劣るものであった。
また、特開2004−2850号公報(特許文献3)には、ナノチューブにポリマーを非共有結合的に結合させてナノチューブを可溶化させる方法が開示され、前記ポリマーとしてポリ(アリーレンエチニリレン)およびポリ(3−デシルチオフェン)が開示されている。しかしながら、この方法により可溶化されたナノチューブにおいてはポリマーの溶媒への溶解性が劣り、溶媒中や樹脂中へのナノチューブの分散性は未だ不十分であった。また、ポリ(3−デシルチオフェン)は融点が低く、耐熱性が不十分であった。
さらに、Petar Petrovら、CHEM.COMMUN.、2003年、2904−2905頁(非特許文献1)には、カーボンナノチューブに対して親和性を示すピレニル基を含有するビニル系共重合体とカーボンナノチューブとの複合体が開示されている。しかしながら、このカーボンナノチューブ複合体は溶媒中に良好に分散するものの、耐熱性に劣るものであった。
カーボンナノチューブ複合体を電気電子部品や自動車部品などの樹脂複合材料に使用する場合には、これらの樹脂複合材料が蓄熱しやすく、放熱特性(熱伝導性)と耐熱性が要求されるため、カーボンナノチューブ複合体は、ポリアリーレンスルフィド、液晶ポリマー、耐熱ポリアミドなどの耐熱に優れた高機能樹脂と混合されるが、従来のカーボンナノチューブ複合体においては、コーティング樹脂がこれらの耐熱性樹脂の溶融温度で熱分解するという問題や、高温での使用環境下においてブリードアウトするといった問題があり、コーティング樹脂の耐熱性を向上させる必要があった。
特開2004−250646号公報(特許文献4)には、耐熱性の高い複合材料として、カーボンナノチューブを熱硬化型イミドオリゴマー中に分散させた後に熱硬化させたポリイミド複合材料が開示されている。このポリイミド複合材料はカーボンナノチューブと熱硬化型ポリイミドとを複合化しているため、耐熱性に優れている。しかしながら、ポリイミドは溶媒に難溶性であるため、ポリイミド複合材料は分散性に劣る傾向にあった。
このため、従来のカーボンナノチューブ複合体では、溶媒中や樹脂中での分散性および耐熱性が未だ不十分であり、分散性および耐熱性により優れたカーボンナノチューブ複合体が求められている。
国際公開第2002/016257号パンフレット 国際公開第2002/076888号パンフレット 特開2004−2850号公報 特開2004−250646号公報
Petar Petrovら、CHEM.COMMUN.、2003年、2904−2905頁
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、溶媒中や樹脂中での分散性に優れ且つ耐熱性に優れたカーボンナノ複合体、それを含む分散液および樹脂組成物、ならびに前記カーボンナノ複合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、イミド基含有構成単位を含むビニル系重合体を、カーボンナノ構造体に吸着させることにより、溶媒中や樹脂中での分散性に優れ且つ耐熱性に優れたカーボンナノ複合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のカーボンナノ複合体は、カーボンナノ構造体と、前記カーボンナノ構造体に吸着し且つイミド基含有構成単位を含むビニル系重合体とを含有し、前記ビニル系重合体の吸着量が前記カーボンナノ構造体100質量部に対して0.1質量部以上であることを特徴とするものである。また、本発明の分散液および樹脂組成物は、本発明のカーボンナノ複合体と溶媒または樹脂とを含有することを特徴とするものである。
前記ビニル系重合体は、さらにイミド基含有構成単位以外のビニル系モノマー単位を含むことが好ましく、熱分解温度は290℃以上であることが好ましい。また、前記イミド基含有構成単位にはマレイミド系モノマー単位が含まれていることが好ましい。また、前記カーボンナノ構造体の平均直径は1μm以下であることが好ましい。
また、本発明のカーボンナノ複合体の製造方法は、カーボンナノ構造体と、イミド基含有構成単位を含むビニル系重合体とを溶媒中で混合して前記カーボンナノ構造体に前記ビニル系重合体を吸着させることを特徴とする方法である。
なお、本発明のカーボンナノ複合体が分散性および耐熱性に優れる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、耐熱性に優れたイミド基を有する環構造が本発明にかかるビニル系重合体に含まれているため、このビニル系重合体を含む本発明のカーボンナノ複合体の耐熱性が高まるものと推察される。また、本発明のカーボンナノ複合体においては、本発明にかかるビニル系重合体がカーボンナノ構造体に吸着するイミド基含有構造単位を有しつつも、その主鎖骨格がビニルポリマー骨格であるため、芳香族ポリイミドに代表されるポリイミドと比較して極性が低い傾向にあり、溶媒や樹脂との親和性が高くなる。このため、前記ビニル系重合体が吸着したカーボンナノ構造体は溶媒中や樹脂中での分散性に優れたものになると推察される。
一方、芳香族ポリイミドに代表されるポリイミドは主鎖にイミド結合が存在するため、運動性が完全に制限され、且つ極性も極めて高くなる。このため、溶媒への溶解性や樹脂との親和性が低くなり、前記ポリイミドが吸着したカーボンナノ構造体の分散性も低下するものと推察される。
本発明によれば、溶媒中や樹脂中での分散性に優れ且つ耐熱性に優れたカーボンナノ複合体、それを含む分散液および樹脂組成物を得ることが可能となる。
右側は実施例A1で得た高濃度のカーボンナノ複合体のコロイドを示す写真であり、左側は比較例A1で得た高濃度のカーボンナノ構造体のコロイドを示す写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
<カーボンナノ複合体>
先ず、本発明のカーボンナノ複合体について説明する。本発明のカーボンナノ複合体は、カーボンナノ構造体と、このカーボンナノ構造体に吸着し且つイミド基含有構成単位を含むビニル系重合体(以下、「イミド基含有ビニル系重合体」という)とを含有することを特徴とするものである。
本発明のカーボンナノ複合体において、前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体との吸着は、非共有結合によるものであっても、共有結合によるものであっても、またこれらの組み合わせであってもよいが、カーボンナノ構造体の表面構造を破壊せず、欠陥を形成せず、カーボンナノ構造体が本来有する熱伝導性、電気伝導性および機械的特性などの優れた特性を効果的に発現する傾向にあるという点で少なくとも非共有結合による吸着を含むことが好ましい。
本発明において「非共有結合による吸着」とは、前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体との間に生じる共有結合以外の相互作用による吸着を意味する。このような非共有結合(共有結合以外の相互作用)としては、例えば、ファンデルワールス力、電荷移動相互作用、疎水性相互作用、静電引力、水素結合、π−π相互作用、CH−π相互作用などが挙げられる。前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体との間には、ファンデルワールス力および/または電荷移動相互作用が主に生じると推察されるが、例えば、イミド基含有構成単位がアリール基を含有する場合には、前記ファンデルワールス力および/または前記電荷移動相互作用に加えて、アリール基とカーボンナノ構造体のグラフェン構造とのπ−π相互作用が生じ、また、イミド基含有構成単位がアルキル基を含有する場合には、前記ファンデルワールス力および/または前記電荷移動相互作用に加えて、CH−π相互作用が生じると推察される。このような非共有結合による吸着のうち、ファンデルワールス力、電荷移動相互作用、π−π相互作用、CH−π相互作用を利用するものが好ましい。また、ファンデルワールス力および/または電荷移動相互作用とπ−π相互作用とが隣接して発現するため、イミド基含有構成単位にはアリール基が含まれていることが好ましい。これにより、イミド基含有ビニル系重合体の吸着量が増大し、吸着安定性が向上する。なお、非共有結合による吸着であっても洗浄などによりイミド基含有ビニル系重合体が容易に脱離しない理由は必ずしも定かではないが、本発明のカーボンナノ複合体においては、イミド基含有構成単位のファンデルワールス力などによる作用が強く働いているためと推察される。
一方、前記共有結合による吸着は、前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体とが共有結合を介して吸着するものであれば特に制限されないが、例えば、カーボンナノ構造体に酸処理などを施してカルボキシル基などを導入し、このカルボキシル基を起点にビニル基やハロゲン原子などを導入し、このビニル基やハロゲン原子などを起点としてラジカル重合またはリビングラジカル重合などによりカーボンナノ構造体にイミド基含有ビニル系重合体をグラフト導入したものなどが、前記共有結合により吸着したカーボンナノ複合体として挙げられる。なお、カルボキシル基などを導入したカーボンナノ構造体としては、例えば、CNT社製のCtube200などが挙げられる。また、重合時、溶液加工時、または溶融加工時にラジカル的付加反応により直接カーボンナノ構造体にイミド基含有ビニル系重合体を導入したものも前記共有結合により吸着したカーボンナノ複合体として挙げることができる。
このようなカーボンナノ構造体とイミド基含有ビニル系重合体との吸着は、イミド基含有ビニル系重合体に対する良溶媒中にカーボンナノ複合体を分散させたり、前記良溶媒によりカーボンナノ複合体を洗浄濾過した場合においてもカーボンナノ複合体中に残存していることが好ましい。
(カーボンナノ構造体)
本発明に用いられるカーボンナノ構造体としては特に制限はなく、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノコーン、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、カーボンナノウォール、フラーレン、グラファイト、カーボンフレーク、ナノグラフェン(グラフェンナノリボンなど)、およびこれらの誘導体などが挙げられるが、熱伝導性の向上および機械強度の向上という観点から、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノコーン、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、カーボンナノウォール、グラファイト、ナノグラフェンなどの異方性カーボンナノ構造体が好ましく、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノコーンおよびカーボンナノチューブがより好ましく、カーボンナノファイバーおよびカーボンナノチューブが特に好ましい。これらのカーボンナノ構造体は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明においてカーボンナノ構造体としてカーボンナノチューブおよび/またはカーボンナノファイバーを使用する場合、これらは単層、多層(2層以上)のいずれのものも用いることができ、用途に応じて使い分けたり、併用したりすることができる。
また、前記カーボンナノ構造体には炭素以外の原子、分子などが含まれていてもよく、必要に応じて金属や他のナノ構造体を内包させてもよい。
このようなカーボンナノ構造体の平均直径は特に制限されないが、1μm以下が好ましく、800nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましく、300nm以下が特に好ましく、200nm以下が最も好ましい。カーボンナノ構造体の平均直径が前記上限を超えると、カーボンナノ複合体を樹脂と混合して樹脂複合材として使用する際に、少量の添加では十分に耐熱性が向上(荷重たわみ温度が上昇、熱線膨張係数が低下)しなかったり、引張強度、衝撃強度などの機械強度が十分に発現しない傾向にある。また、射出成形などのせん断条件下で加工する際にはカーボンナノ複合体がせん断力による配向の影響を受けやすくなる傾向にある。なお、カーボンナノ構造体の平均直径の下限値は特に制限されないが、0.4nmが好ましく、0.5nmがより好ましい。
また、前記カーボンナノ構造体のアスペクト比は特に制限されないが、カーボンナノ複合体を樹脂と混合して樹脂複合材として使用する際に少量の添加で引張強度、衝撃強度などの機械強度が向上し、熱線膨張が低下するという観点、さらに、熱伝導性が要求される用途においてはカーボンナノ複合体やこれを含む樹脂複合材の熱伝導性が向上するという観点から、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上がさらに好ましくは、40以上が特に好ましく、80以上が最も好ましい。
本発明においては、ラマン分光光度計で測定して得られるカーボンナノ構造体のラマンスペクトルのピークのうち、グラフェン構造での炭素原子のずれ振動に起因する約1585cm−1付近に観察されるGバンドと、グラフェン構造にダングリングボンドのような欠陥があると観測される約1350cm−1付近に観察されるDバンドの比(G/D)は特に制限されないが、高熱伝導樹脂材料など高熱伝導性が要求される用途においては、0.1以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1.0以上がさらに好ましく、3.0以上が特に好ましく、5.0以上が最も好ましい。G/Dが前記下限未満になると熱伝導性が十分に向上しない傾向にある。
このようなカーボンナノ構造体は、レーザーアブレーション法、アーク合成法、化学気相成長法(CVD法)、溶融紡糸法などの従来公知の製造方法を用途に応じて適宜選択することにより製造できるが、本発明に用いられるカーボンナノ構造体はこれらの方法により製造されたものに限定されるものではない。
(イミド基含有ビニル系重合体)
本発明に用いられるイミド基含有ビニル系重合体は、イミド基含有構成単位を含むものであり、さらにイミド基含有構成単位以外のビニル系モノマー単位(以下、「その他のビニル系モノマー単位」という)を含むことが好ましい。本発明において「モノマー単位」とは、モノマーから誘導された構成単位、またはそれと同じ構造を持つ構成単位を意味する。
前記イミド基含有構成単位としては、下記式(1):
(式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、Rは水素原子、またはアルキル基、アルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基などの1価の有機基を表す)
で表されるマレイミド系モノマー単位、下記式(2):
(式(2)中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、Rは水素原子、またはアルキル基、アルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基などの1価の有機基を表す)
で表されるグルタルイミド基含有構成単位、および
N−アルケニルイミド単位およびその誘導体単位などが挙げられる。
前記マレイミド系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ヘプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミドおよびN−n−ドデシルマレイミドといったN−アルキルマレイミド;N−アセチレニルマレイミドおよびN−プロピニルマレイミドといったN−アルキニルマレイミド;N−ベンジルマレイミド、N−メチルベンジルマレイミド、N−フェニルエチルマレイミド、N−フェニルエチルマレイミド、N−ナフチルメチルマレイミド、N−ナフチルエチルマレイミドといったN−アラルキルマレイミド;N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロドデシルマレイミドおよびN−アダマンチルマレイミドに代表されるN−無置換シクロアルキルマレイミド、N−メチルシクロヘキシルマレイミドに代表されるN−置換シクロアルキルマレイミドといったN−シクロアルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ナフタレニルマレイミド、N−ペリレニルマレイミド、N−ペンタセニルマレイミド、N−ターフェニルマレイミド、N−フェナンスレニルマレイミド、N−テトラセニルマレイミド、N−アントラセニルマレイミドおよびN−ピレニルマレイミドに代表されるN−無置換アリールマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチル)フェニルマレイミド、N−(4−ドデシルフェニル)マレイミド、N−トリルマレイミドおよびN−キシリルマレイミドに代表されるN−アルキル置換アリールマレイミド、N−(4−アミノフェニル)マレイミドに代表されるN−アミノ置換アリールマレイミド、N−アセチレニルフェニルマレイミドおよびN−プロピニルフェニルマレイミドに代表されるN−アルキニル置換アリールマレイミド、N−ビフェニルマレイミドに代表されるN−アリール置換アリールマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−ペンタフルオロフェニルマレイミドおよびN−テトラフルオロフェニルマレイミドに代表されるN−ハロゲン置換アリールマレイミドといったN−アリールマレイミド;N−ピリジルマレイミド、N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド、N−3−(9−アルキルカルバゾイル)マレイミドおよびN−(9−アクリジニル)マレイミドといった複素環で置換されたマレイミド;N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミドおよび4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンといったビスマレイミド;N−フルオロマレイミド、N−クロロマレイミド、N−ブロモマレイミド、およびN−ヨードマレイミドといったハロゲン化マレイミド;N−アミノマレイミド、N−アセチルマレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシメチルマレイミド、N−ヒドロキシエチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、p−カルボキシフェニルマレイミド、N−(2−カルボキシエチル)マレイミド、6−マレイミドカプロン酸、N−t−ブトキシカルボニルマレイミド、3−マレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミド、6−マレイミドヘキサン酸N−ヒドロキシスクシンイミド、3−[2−(2−マレイミドエトキシ)エチルカルバモイル]−2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニロキシ、3−マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミドなどが挙げられる。これらのマレイミド系モノマーは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、これらのマレイミド系モノマーは、必要に応じてスルホン基やスルホンイミド基などの水溶性の置換基やトリアルコキシシリル基などのシリル基を有していてもよい。さらに、これらのマレイミド系モノマーの塩を使用することもできる。
前記グルタルイミド基としては特に制限はないが、例えば、グルタルイミド、N−メチルグルタルイミド、N−エチルグルタルイミド、N−n−プロピルグルタルイミド、N−イソプロピルグルタルイミド、N−n−ブチルグルタルイミド、N−イソブチルグルタルイミド、N−tert−ブチルグルタルイミド、N−n−ペンチルグルタルイミド、N−n−ヘキシルグルタルイミド、N−n−ヘプチルグルタルイミド、N−n−オクチルグルタルイミドおよびN−n−ドデシルグルタルイミドといったN−アルキルグルタルイミド;N−アセチレニルグルタルイミドおよびN−プロピニルグルタルイミドといったN−アルキニルグルタルイミド;N−ベンジルグルタルイミドおよびN−メチルベンジルグルタルイミドといったN−アラルキルグルタルイミド;N−シクロヘキシルグルタルイミドに代表されるN−無置換シクロアルキルグルタルイミド、N−メチルシクロヘキシルグルタルイミドに代表されるN−置換シクロアルキルグルタルイミドといったN−シクロアルキルグルタルイミド;N−フェニルグルタルイミド、N−ナフチルグルタルイミド、N−アントラセニルグルタルイミドおよびN−ピレニルグルタルイミドに代表されるN−無置換アリールグルタルイミド、N−トリルグルタルイミドおよびN−キシリルグルタルイミドに代表されるアルキル置換アリールグルタルイミド、N−(4−アミノフェニル)グルタルイミドに代表されるN−アミノ置換アリールグルタルイミド、N−アセチレニルフェニルグルタルイミドおよびN−プロピニルフェニルグルタルイミドに代表されるN−アルキニル置換アリールグルタルイミド、N−ビフェニルグルタルイミドに代表されるN−アリール置換アリールグルタルイミド、N−(2−クロロフェニル)グルタルイミド、N−(2−ブロモフェニル)グルタルイミド、N−(2,6−ジクロロフェニル)グルタルイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)グルタルイミド、N−(2,6−ジブロモフェニル)グルタルイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)グルタルイミド、N−ペンタフルオロフェニルグルタルイミドおよびN−テトラフルオロフェニルグルタルイミドに代表されるN−ハロゲン置換アリールグルタルイミドといったN−アリールグルタルイミド;N−フルオログルタルイミド、N−クロログルタルイミド、N−ブロモグルタルイミドおよびN−ヨードグルタルイミドといったハロゲン化グルタルイミドなどが挙げられる。これらのグルタルイミド基は1種が単独で含まれていても2種以上が含まれていてもよい。これらのうち、N−アリールグルタルイミドが好ましい。
前記N−アルケニルイミドおよびその誘導体としては特に制限はないが、例えば、N−ビニルコハク酸イミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカルバゾールおよび1−ビニルイミダゾールなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明にかかるイミド基含有ビニル系重合体おいて、このようなイミド基含有構成単位は1種が単独で含まれていても2種以上が含まれていてもよい。また、これらのイミド基含有構成単位のうち、カーボンナノ構造体の分散性の向上および耐熱性の向上という観点から、マレイミド系モノマー単位が好ましく、マレイミドモノマー単位、N−シクロアルキルマレイミドモノマー単位、N−アリールマレイミドモノマー単位、複素環で置換されたマレイミドモノマー単位、およびN−アルキルマレイミドモノマー単位のうちの少なくとも1種がより好ましく、N−アリールマレイミドモノマー単位が特に好ましい。N−アリールマレイミドモノマー単位を含むイミド基含有ビニル系重合体を用いるとファンデルワールス力および/または電荷移動相互作用とπ−π相互作用とが発現すると推察され、イミド基含有ビニル系重合体の吸着量および吸着安定性が向上する。
本発明にかかるその他のビニル系モノマーとしては、イミド基含有重合体の有機溶媒や水といった各種溶媒への溶解性や各種樹脂との親和性が向上するという観点においては不飽和カルボン酸エステルモノマー、シアン化ビニル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、不飽和カルボン酸モノマー、その酸無水物およびその誘導体、エポキシ基含有ビニル系モノマー、オキサゾリン基含有ビニル系モノマー、アミノ基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー、ポリアルキレングリコール基含有ビニル系モノマー、シロキサン構造含有ビニル系モノマー、シリル基含有ビニル系モノマー、カチオン性ビニル系モノマーおよびアニオン性ビニル系モノマーが好ましい。中でも、例えば、本発明のカーボンナノ複合体を、ポリフェニレンスルフィドなどのポリアリーレンスルフィドやポリエステル、ポリアミドといった樹脂と混合する際のカーボンナノ複合体の分散性が向上するという観点においては不飽和カルボン酸モノマー、その酸無水物およびその誘導体、エポキシ基含有ビニル系モノマー、オキサゾリン基含有ビニル系モノマーがより好ましく、アルカンやエーテルなどの無極性溶媒へのカーボンナノ複合体の分散性の向上という観点においてはシロキサン構造含有ビニル系モノマーおよびシリル基含有ビニル系モノマーがより好ましい。また、水やアルコールなどの高極性溶媒中にカーボンナノ複合体を高度に分散させるという観点においては不飽和カルボン酸モノマー、その酸無水物およびその誘導体、アミノ基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー、ポリアルキレングリコール基含有ビニル系モノマー、カチオン性ビニル系モノマー、アニオン性ビニル系モノマーなどがより好ましい。これらのその他のビニル系モノマーは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、本発明においては、前記その他のビニル系モノマー以外にも、例えば、オレフィン系モノマー、ハロゲン化ビニル系モノマー、カルボン酸不飽和エステルモノマー、ビニルエーテルモノマーなどのビニル系モノマーを用いることもできる。これらのビニル系モノマーも1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記不飽和カルボン酸エステルモノマーとしては特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、および(メタ)アクリル酸シクロヘキシルといった(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチルに代表される(メタ)アクリル酸ハロゲン化アルキルエステルなどが挙げられる。
また、前記シアン化ビニル系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられる。前記芳香族ビニル系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、クロロスチレン、およびブロモスチレンなどが挙げられる。
前記不飽和カルボン酸モノマーとしては特に制限はないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸といった不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、およびメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸といった不飽和ジカルボン酸、ならびにマレイン酸モノメチルおよびマレイン酸モノエチルに代表される不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステルなどが挙げられる。また、酸無水物としては特に制限はないが、例えば、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水クロトン酸、メチル無水マレイン酸、メチル無水フマル酸、無水メサコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、およびメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などの不飽和ジカルボン酸無水物などが挙げられる。さらに、誘導体としては特に制限はないが、例えば、不飽和カルボン酸モノマーの金属塩、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチルといった(メタ)アクリル酸のアルキルエステル誘導体類などが挙げられる。
前記エポキシ基含有ビニル系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、マレイン酸グリシジル、フマル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル、グルタコン酸グリシジルといった不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、p−グリシジルスチレン、アリルグリシジルエーテルおよびスチレン−p−グリシジルエーテルなどが挙げられる。
前記オキサゾリン基含有ビニル系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、5−メチル−2−ビニル−オキサゾリン、2−イソプロぺニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリン、2−スチリル−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−ビニル−オキサゾリン、および4,4−ジメチル−2−イソプロペニル−オキサゾリンなどが挙げられる。
前記アミノ基含有ビニル系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、N−ビニルジエチルアミンおよびN−アセチルビニルアミンといったビニルアミン系誘導体類、アリルアミン、メタアリルアミンおよびN−メチルアリルアミンに代表されるアリルアミン系誘導体類、ならびにp−アミノスチレンに代表されるアミノスチレン類などが挙げられる。
前記アミド基含有ビニル系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミドおよびN−フェニル(メタ)アクリルアミドといったアクリルアミド類などが挙げられる。また、N−ビニル−2−ピロリドンといったアミド基含有ビニル系モノマー類縁体も用いることができる。
前記ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルといった(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−5−ヒドロキシ−2−ペンテンおよび4−ジヒドロキシ−2−ブテンといったヒドロキシアルケンなどが挙げられる。前記ポリアルキレングリコール基含有ビニル系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記シロキサン構造含有ビニル系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、α−メチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α−エチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α−プロピル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α−メトキシ−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、およびα−エトキシ−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサンといった(メタ)アクリロキシ基含有オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。
前記シリル基含有ビニル系モノマーとしては特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メチルジエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メチルジエトキシシリルプロピル、および(メタ)アクリル酸メチルジエトキシシリルプロピルといったアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル;トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびp−スチリルトリメトキシシランといったアルコキシシリル基含有ビニルモノマー;ビニルトリクロルシランに代表されるビニル基を含有し酸素原子を含まないシラン化合物などが挙げられる。
前記オレフィン系モノマーとしてはエチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、2−エチル−1−ブテン、2−エチル−2−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−エチル−2−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−2−ヘキセン、2−エチル−1−ヘキセン、1−メチル−1−ヘプテン、イソオクテン、2−メチル−1−オクテン、イソプレン、ネオプレン、ブタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンおよび環状オレフィンなどが挙げられ、前記ハロゲン化ビニル系モノマーとしては塩化ビニルなどが挙げられる。前記カルボン酸不飽和エステルモノマーとしては酢酸ビニルおよび酢酸イソプロぺニルなどが挙げられ、前記ビニルエーテルモノマーとしてはビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられる。前記カチオン性ビニル系モノマーとしてはジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩、アリルイミン塩酸塩、アリルアミン塩酸塩などが挙げられ、前記アニオン性ビニル系モノマーとしてはスチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸リチウムなどが挙げられる。
本発明に用いられるイミド基含有ビニル系重合体の数平均分子量は特に制限されないが、0.1万以上が好ましく、カーボンナノ構造体表面への吸着量および吸着安定性が向上するという観点から、0.3万以上がより好ましく、0.5万以上が特に好ましい。また、イミド基含有ビニル系重合体の数平均分子量は500万以下が好ましく、100万以下がより好ましく、50万以下が特に好ましい。イミド基含有ビニル系重合体の数平均分子量が前記上限を超えると流動性が低下しやすい傾向にある。さらに、イミド基含有ビニル系重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は特に制限されず、単分散であっても多峰分散であってもよいが、得られるカーボンナノ複合体の耐熱性の向上という観点においては限りなく1に近い値が好ましい。
本発明において、イミド基含有ビニル系重合体中のイミド基含有構成単位の含有率は特に制限されず、100質量%でもよいが、溶媒への溶解性の向上という観点から99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましい。また、イミド基含有構成単位の含有率は0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上が特に好ましく、5質量%以上が最も好ましい。イミド基含有構成単位の含有率が前記下限未満になるとカーボンナノ構造体への非共有結合量(吸着量)が減少したり、非共有結合安定性(吸着安定性)が低下しやすい傾向にあり、また、得られるカーボンナノ複合体やこれを含む樹脂複合材の耐熱性が低下しやすい傾向にある。なお、イミド基含有ビニル系重合体中のイミド基含有構成単位の割合はH−NMR測定によって求めることができる
本発明に用いられるイミド基含有ビニル系重合体は、溶媒との親和性およびカーボンナノ構造体との親和性の双方に優れており、カーボンナノ構造体との吸着性、特に吸着安定性に優れるとともに、得られるカーボンナノ複合体は分散性に優れている。
前記イミド基含有ビニル系重合体の製造方法としては特に制限はないが、以下の方法が挙げられる。例えば、イミド基含有ビニル系重合体がマレイミド系モノマー単位を含む場合には、マレイミド系モノマーおよび必要に応じてその他のビニル系モノマーを(共)重合する方法;α,β−不飽和カルボン酸無水物、α,β−不飽和カルボン酸およびα,β−不飽和カルボン酸エステルのうち少なくとも1種のモノマーを(共)重合した後、得られた(共)重合体と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、アニリン、9−(アミノメチル)アントラセン、2−アミノメチルアントラセン、1−ピレンアミンおよび1−ピレンメチルアミンなどの第1級アミンとを反応させて無水マレイン酸基をイミド化する方法が挙げられる。
また、イミド基含有ビニル系重合体がグルタルイミド基含有構成単位を含む場合には、例えば、特公昭64−2603号公報、特公平4−61007号公報、特許第2561043号公報などに記載の方法により製造することができる。イミド基含有ビニル系重合体がアルケニルイミド単位を含有する場合には、例えば、N−アルケニルイミドを(共)重合させることにより製造することができる。
これら(共)重合における反応連鎖の伝達媒体としては特に制限はないが、ラジカルやイオンが挙げられる。また、分子量分布の狭いイミド基含有ビニル系重合体が得られるという観点からリビング重合も好ましい。これらのうち、ラジカル重合またはリビングラジカル重合がより好ましく、工業性の観点からラジカル重合が特に好ましい。
ラジカル重合やイオン重合における重合方法については特に制限はなく、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合などの公知の重合方法を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、回分式、連続式のいずれの重合方法でもよい。また、無水マレイン酸基をイミド化してマレイミド系モノマー単位を含有する重合体を製造する場合には、例えば、塊状重合、溶液重合または塊状懸濁重合などにより無水マレイン酸基含有重合体を調製した後、塊状状態、溶液状態または懸濁状態で無水マレイン酸基をイミド化することより、目的の重合体を得ることができる。
また、前記イミド基含有ビニル系重合体の製造の際には、従来公知の重合開始剤、連鎖移動剤、触媒、分散安定剤および溶媒などを用いることができる。
本発明にかかるイミド基含有ビニル系重合体が共重合体である場合には、共重合体のシーケンスには特に制限はなく、例えば、ランダム、ブロック、交互、グラフト、ハイパーブランチなどのデンドリティックおよびスターポリマーなどの分岐状のいずれのものでもよいが、分散性の観点から、ランダム、ブロック、交互、グラフトのうち少なくとも1種が好ましく、ランダムシーケンスがより好ましい。
(カーボンナノ複合体の特性)
本発明のカーボンナノ複合体は、前記カーボンナノ構造体に前記イミド基含有ビニル系重合体が吸着したものである。従来、平均直径が1μm以下のカーボンナノ構造体は、凝集しやすく溶媒中や樹脂中に分散させることは困難であり、その傾向は平均直径が小さいほど強かったが、平均直径が1μm以下のカーボンナノ構造体に前記イミド基含有ビニル系重合体を吸着させることによって溶媒中や樹脂中に均一に分散させることが可能となる。また、従来、アスペクト比が大きいカーボンナノ構造体も、凝集しやすく溶媒中や樹脂中に分散させることが困難な傾向にあったが、アスペクト比が大きいカーボンナノ構造体に前記イミド基含有ビニル系重合体を吸着させることによって溶媒中や樹脂中に均一に分散させることが可能となる。
カーボンナノ複合体は、元来、電荷的にほぼ中性であり、溶媒中や樹脂中への分散性は低いが、前記G/D値が大きくなることによりカーボンナノ構造体はグラフェン構造の欠陥が少なくなり、極性が低下して溶媒中や樹脂中への分散性が低下する傾向にあるため、従来、G/D値が大きなカーボンナノ構造体を溶媒中や樹脂中に良好に分散させることは困難であった。また、公知の分散剤を用いてカーボンナノ構造体の溶媒中や樹脂中への分散を試みても、G/D値が大きなカーボンナノ構造体は、グラフェン構造がほぼ完全であるため、吸着した分散剤が脱離しやすい傾向にあった。一方、前記イミド基含有ビニル系重合体を用いると、化学修飾やグラフェン構造の欠陥の有無に関わらず、G/D値が大きなカーボンナノ構造体に前記イミド基含有ビニル系重合体が吸着し、カーボンナノ複合体を溶媒中や樹脂中に均一に分散させることが可能となる。
本発明のカーボンナノ複合体において、前記イミド基含有ビニル系重合体の吸着量は特に制限されないが、カーボンナノ複合体の分散性および流動性(成形加工性)の向上の観点から、カーボンナノ構造体100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましく、2.0質量部以上が特に好ましく、3.0質量部以上が最も好ましい。イミド基含有ビニル系重合体の吸着量が前記下限未満になるとカーボンナノ複合体の分散性および流動性(成形加工性)が低下しやすい傾向にある。また、イミド基含有ビニル系重合体の吸着量は、カーボンナノ構造体100質量部に対して200質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、カーボンナノ複合体を含む樹脂組成物の剛性や吸着安定性の向上の観点から、95質量部以下がさらに好ましく、90質量部以下が特に好ましく、80質量部以下が最も好ましい。
また、本発明のカーボンナノ複合体において、前記イミド基含有ビニル系重合体の吸着安定性は特に制限されないが、1%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましく、50%以上が特に好ましく、60%以上が最も好ましい。なお、吸着安定性とは、カーボンナノ複合体を含む分散液に30分間の超音波処理(例えば、発振周波数45kHz)を施した後、この分散液をこれに含まれる溶媒の3倍量の溶媒で洗浄しながら吸引濾過し、この洗浄・吸引濾過操作前後のイミド基含有ビニル系重合体の吸着量の変化の割合で定義されるものである。
<カーボンナノ複合体の製造方法>
本発明のカーボンナノ複合体の製造方法としては、前記カーボンナノ構造体に前記イミド基含有ビニル系重合体を吸着させることが可能な方法であれば特に制限はないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
(i)前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体とを溶媒中で混合する方法。
(ii)前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体とを溶媒を使用せずに混合する方法。
(iii)前記カーボンナノ構造体と溶融させた前記イミド基含有ビニル系重合体とを混合する方法。
(iv)前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体とを溶媒を使用せずに混合した後、前記イミド基含有ビニル系重合体を溶融させる方法。
(v)前記カーボンナノ構造体の存在下で、必要に応じて溶媒を用いて前記イミド基含有ビニル系重合体を重合(無水マレイン酸基をイミド化する場合も含む)する方法。
これらの製造方法は単独で実施しても2つ以上を組み合わせて実施してもよい。また、本発明の製造方法においては、前記混合の際または前記重合後に、超音波処理、振動、攪拌、外場の印加(例えば、電場印加、磁場印加など)、溶融混錬などを少なくとも1つ施すことが好ましく、中でも超音波処理を施すことがより好ましい。これらの混合方法のうち、前記(i)の製造方法が特に好ましく、さらに超音波処理を施すことが最も好ましい。前記超音波処理としては特に制限はないが、例えば、超音波洗浄機を用いる方法や超音波ホモジナイザーを用いる方法などが挙げられる。
本発明の製造方法において、前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体とを混合する方法については特に制限はなく、一括で混合しても分割して混合してもよい。また、その順序については、前記カーボンナノ構造体に前記イミド基含有ビニル系重合体を添加してもよいし、前記イミド基含有ビニル系重合体に前記カーボンナノ構造体を添加してもよいし、前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体とを同時に添加してもよいし、交互に添加してもよいが、先にイミド基含有ビニル系重合体の少なくとも一部を溶解あるいは溶融させて、次いでカーボンナノ構造体を添加することが、カーボンナノ構造体へのイミド基含有ビニル系重合体の吸着量の増加および吸着安定性の向上の観点から特に好ましい。
本発明の製造方法においては、前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体とを混合する際に他の樹脂や添加剤を添加してもよい。この樹脂や添加剤も一括で混合しても分割して混合してもよい。また、その順序についても特に制限はない。
溶融混練を施して混合する場合には、前記カーボンナノ構造体、前記イミド基含有ビニル系重合体、必要に応じて樹脂および/または添加剤をそれぞれペレット状、粉末状または細片状にしたものを、攪拌機、ドライブレンダーまたは手混合などにより均一に混合した後、一軸または多軸のベントを有する押出機、ゴムロール機、またはバンバリーミキサーなどを用いて溶融混練することができる。
前記カーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル系重合体との混合比率は特に制限されないが、前記イミド基含有ビニル系重合体の添加量は、カーボンナノ構造体100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましく、2.0質量部以上が特に好ましく、3.0質量部以上が最も好ましい。前記イミド基含有ビニル系重合体の添加量が前記下限未満になるとカーボンナノ複合体の分散性および耐熱性が低下しやすい傾向にある。また、前記イミド基含有ビニル系重合体の添加量は、カーボンナノ構造体100質量部に対して100000質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましく、カーボンナノ複合体を含む樹脂組成物の流動性(成形加工性)や、熱伝導性が求められる用途における熱伝導性の向上の観点から、100質量部以下がさらに好ましく、95質量部以下が特に好ましく、90質量部以下が最も好ましい。
混合時の温度は特に制限されず、0℃未満でもよいが、0℃以上が好ましく、室温(23℃)以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましく、35℃以上が特に好ましく、40℃以上が最も好ましい。混合時の温度が前記下限未満になると吸着量および吸着安定性が十分に向上しない傾向にある。また、前記イミド基含有ビニル系重合体の溶解性を高め、吸着性を向上させるという観点から混合時の温度は高い方が好ましく、前記イミド基含有ビニル系重合体が耐熱性に優れるため、幅広い温度の選択が可能であるが、その上限は500℃が好ましく、450℃がより好ましく、400℃が特に好ましい。
前記(i)または(v)の製造方法において用いられる溶媒としては特に制限はないが、有機溶媒および水が挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。前記有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロフェノール、ジクロロベンゼン、フェノール、テトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、N−ジメチルピロリドン、ペンタン、ヘキサン、ネオペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ジエチルエーテルなどが挙げられる。これらの有機溶媒も1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。また、本発明においては、エポキシ樹脂などの硬化樹脂の主剤や架橋剤などの原料を溶媒として用いることもできる。
また、前記(i)または(v)の製造方法において、溶媒中でカーボンナノ複合体を製造する場合には、カーボンナノ構造体の添加量の下限は特に制限されないが、溶媒100質量部に対して0.0001質量部が好ましく、0.001質量部がより好ましく、0.005質量部がさらに好ましく、0.1質量部が特に好ましい。また、カーボンナノ構造体の添加量の上限は特に制限されないが、溶媒100質量部に対して1質量部が好ましく、0.1質量部がより好ましく、0.09質量部がさらに好ましく、0.08質量部が特に好ましい。カーボンナノ構造体の添加量が前記下限未満になるとカーボンナノ複合体の生産性が低下する傾向にある。他方、前記上限を超えるとカーボンナノ構造体の分散性が低下して凝集が起こりやすく、イミド基含有ビニル系重合体の吸着量が減少しやすく、吸着安定性が低下しやすい傾向にあるが、前記好適な上限を超えた場合でも、例えば分散液中の凝集や沈殿がない部分(例えば、上澄み液など)を回収することなどによって良質な分散液を得ることができる。
また、前記(i)または(v)の製造方法により前記カーボンナノ構造体に前記イミド基含有ビニル系重合体を吸着させた後、濾過、遠心分離と濾過との組み合わせ、再沈殿、溶媒の除去(乾燥など)、溶媒を含んだままの溶融混練、カーボンナノ複合体のサンプリングなどによりカーボンナノ複合体を得ることができる。
さらに、前記(i)または(v)の製造方法により前記カーボンナノ構造体に前記イミド基含有ビニル系重合体を吸着させた場合には、必要に応じて、混合後の分散液を濾過して溶媒および溶媒に溶解した未吸着の重合体を除去し、カーボンナノ複合体を回収することができる。除去した未吸着の重合体は回収して再利用することもできる。また、前記イミド基含有ビニル系重合体に対する貧溶媒で再沈殿させることにより、カーボンナノ複合体を回収することもできる。
<カーボンナノ複合体を含む分散液および樹脂組成物>
本発明の分散液は、本発明のカーボンナノ複合体および溶媒を含むものである。前記溶媒としては前記混合方法において例示したものが挙げられる。本発明においては、カーボンナノ複合体を溶媒中で調製してそのまま分散液として使用することもできるが、本発明のカーボンナノ複合体が再分散性に優れているため、カーボンナノ複合体を溶媒に添加して超音波処理などを施すことにより分散液を製造することもできる。
また、本発明の樹脂組成物は、本発明のカーボンナノ複合体および樹脂を含むものである。カーボンナノ複合体の含有率は特に制限されないが、樹脂組成物100質量%に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、0.2質量%以上が特に好ましく、また、90質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。カーボンナノ複合体の含有率が前記下限未満になると本発明の樹脂組成物を成形加工して得られる樹脂複合材の熱伝導性および機械強度が低下しやすい傾向にあり、他方、前記上限を超えると樹脂組成物の流動性が低下しやすい傾向にある。また、本発明の樹脂組成物の溶融粘度は特に制限されないが、成形温度におけるMFRで0.05〜500g/(10分、荷重2.16kg)であることが好ましく、0.1〜200g/(10分、荷重2.16kg)であることがより好ましい。
前記樹脂としては特に制限はないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性イミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミド、熱硬化性シリコーン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、およびウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン樹脂、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、およびスチレン−ブタジエン−スチレン樹脂といった芳香族ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、これらの共重合体、およびアクリルゴムといったアクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル樹脂、およびアクリロニトリル−ブタジエン樹脂といったシアン化ビニル系樹脂、イミド基含有ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、およびエチレンプロピレンゴムといったポリオレフィン系樹脂、酸または酸無水物変性ポリオレフィン系樹脂、エポキシ変性ポリオレフィン樹脂、酸または酸無水物変性アクリル系エラストマー、エポキシ変性アクリルエラストマー、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチルテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルに代表されるフッ素系樹脂、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルアミドなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの樹脂のうち、熱可塑性樹脂が好ましく、その中でも熱伝導性および機械強度の観点から結晶性樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、およびエチレンプロピレンゴムなどのポリオレフィン系樹脂、酸または酸無水物変性ポリオレフィン系樹脂、エポキシ変性ポリオレフィン樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチルテレフタレート、液晶ポリエステル、ポリアリーレンスルフィド、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルなどのフッ素系樹脂、ポリ乳酸、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルアミドなど)がより好ましく、280℃以上の加工温度を必要とする結晶性樹脂がさらに好ましく、290℃以上の加工温度を必要とする結晶性樹脂(例えば、液晶ポリエステル、ポリアリーレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂および290℃以上の加工温度を必要とするポリアミドなど)が特に好ましく、耐熱性と成形加工性の観点からポリアリーレンスルフィドおよび液晶ポリエステルが最も好ましい。本発明にかかるイミド基含有ビニル系重合体は耐熱性に優れているため、本発明のカーボンナノ複合体を、例えば、290℃以上の高い加工温度を必要とする結晶性樹脂中に良好に分散させることが可能である。
本発明の樹脂組成物においては、発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。このような添加剤としては特に制限はないが、例えば、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、粘度調整剤、着色剤、シランカップリング剤などの表面処理剤、タルク、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、雲母鉱物およびカオリン鉱物に代表される層状ケイ酸塩、ガラス繊維、炭素繊維、シリカや熱伝導性フィラーなどの充填剤、エラストマー類などが挙げられる。
前記熱伝導性フィラーとしては特に制限はないが、例えば、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ダイヤモンド、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの熱伝導性フィラーは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。この熱伝導性フィラーの熱伝導率としては特に制限はないが、0.5W/mK以上が好ましく、1W/mK以上がより好ましく、5W/mK以上がさらに好ましく、10W/mK以上が特に好ましく、20W/mK以上が最も好ましい。本発明の樹脂組成物における熱伝導性フィラーの含有率は特に制限されないが、樹脂組成物100質量%に対して0.1〜90質量%が好ましく、0.1〜80質量%がより好ましく、0.1〜70質量%がさらに好ましく、0.1〜50質量%が特に好ましい。熱伝導性フィラーの含有率が前記下限未満になると得られる樹脂複合材の熱伝導性が十分に向上しない傾向にあり、前記上限を超えると樹脂組成物の流動性が低下しやすい傾向にある。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては特に制限はなく、樹脂中にフィラーを分散させる際に採用される従来公知の混合方法が挙げられる。例えば、溶媒中で樹脂と本発明のカーボンナノ複合体と必要に応じて各種添加剤とを混合する方法、一軸または多軸のベントを有する押出機、ゴムロール機、またはバンバリーミキサーなどを用いて樹脂と本発明のカーボンナノ複合体と必要に応じて各種添加剤とを溶融混練する方法などが挙げられる。また、樹脂として低粘度の熱硬化性樹脂を用いる場合には自公転ミキサーを用いて複合化処理を施すことにより混合することも可能である。
また、本発明の樹脂組成物は、カーボンナノ複合体と樹脂を混合すること以外に、樹脂中でカーボンナノ構造体と前記イミド基含有ビニル重合体を混合してカーボンナノ構造体に前記イミド基含有ビニル重合体を吸着させることによっても製造することができる。前記混合方法としては、例えば、溶融混練、溶媒中での超音波処理、撹拌処理などによる混合方法が挙げられる。さらに、樹脂、本発明のカーボンナノ複合体および各種添加剤を混合する方法については特に制限はなく、一括で混合しても分割して混合してもよい。また、その順序についても特に制限はなく、特定の成分を予備混合した後、残りの成分を混合してもよい。
本発明の樹脂組成物の調製の際に用いるカーボンナノ複合体は、乾燥処理が施されていてもよいし、溶媒(有機溶媒および/または水)を含んでいてもよい。乾燥処理の温度については特に制限はないが、乾燥時の凝集を防ぐ観点から凍結乾燥させることが好ましい。また、カーボンナノ複合体が凝集している場合には、それをそのまま用いても樹脂中で速やかに分散するが、粉砕や凍結粉砕を施して予め解砕することが好ましい。
また、本発明においては、カーボンナノ複合体の分散性を向上させるために、樹脂の一部および/または各種添加剤を予めカーボンナノ複合体と予備混合させることが好ましい。予備混合の方法としては、例えば、溶媒中で混合させる方法、溶融させた樹脂とカーボンナノ複合体とを混合させる方法、攪拌機、ドライブレンダーまたは手混合などにより混合する方法、カーボンナノ複合体の製造時に樹脂の少なくとも一部および/または各種添加剤を混合する方法などが挙げられる。中でも、溶媒中で混合させる方法が好ましく、樹脂の少なくとも一部および/または各種添加剤を溶媒中に溶解および/または分散(溶解を伴わないもの)させ、これに本発明のカーボンナノ複合体を添加して混合させる方法、または、本発明のカーボンナノ複合体を含む分散液に樹脂の少なくとも一部および/または各種添加剤を添加して混合させる方法がより好ましい。なお、予備混合する際の樹脂の形状は特に制限されず、例えば、粉状、ペレット状、粒状、タブレット状、繊維状などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物に、射出成形、プレス成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、ガスアシスト成形、インサート成形、2色成形、外場を利用した成形(例えば、磁場成形、電場を利用した成形など)などの従来公知の成形加工を施すことにより樹脂複合材を得ることができる。成形温度については特に制限はないが、本発明のカーボンナノ複合体が耐熱性に優れる(イミド基含有ビニル系重合体の熱分解温度が高い)ため、例えば、290℃以上、300℃以上または310℃以上の高温での成形も可能となる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、ビニル系重合体およびカーボンナノ複合体の各種物性は以下の方法により測定した。
(1)ビニル系重合体の数平均分子量の測定方法
ビニル系重合体2mgをクロロホルム2mlに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、「GPC」と略す。昭和電工(株)製「Shodex GPC−101」、ポンプ:昭和電工(株)製「DU−H7000」、カラム:昭和電工(株)製「K−805L」を直列に3本接続)を用いて、カラム温度40℃の条件でビニル系重合体の数平均分子量を測定した。検出器は紫外線検出器(昭和電工(株)製「RI−71S」)を用いた。数平均分子量および分子量分布は標準ポリスチレン(分子量1310〜分子量2210000の範囲で9点測定)による換算値として求めた。
(2)H−NMRによるビニル系重合体の組成分析方法
ビニル系重合体を重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、30℃、400MHzの条件でH−NMR測定を実施し、得られた各構成単位のプロトンの積分値を求め、これらの比からビニル系重合体中の各構成単位のモル比を決定し、質量比に換算した。表1には各構成単位のプロトンについての化学シフトの一例を示す。
(3)カーボンナノ複合体の再分散性の評価方法
カーボンナノ複合体2mgを表4に示す溶媒50gに添加し、これに超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B−220」を使用、発振周波数45kHz)を30分間施してカーボンナノ複合体を再分散させた。超音波処理直後の分散液遠心分離(相対遠心加速度1000Gで1時間)を施した後、20時間静置した。静置後の上澄み液についてUV−可視光吸収スペクトルを測定し、650nmの吸光度により再分散性(耐沈降性)を評価した。なお、前記吸光度の値が大きいほど遠心分離後もカーボンナノ複合体は溶媒中に多く分散し、再分散性(耐沈降性)に優れていることを意味する。
(4)ビニル系重合体の吸着量および熱分解温度の測定方法
先ず、カーボンナノ構造体およびビニル系重合体をそれぞれ真空乾燥して残留溶媒などの揮発分を除去した後、それぞれについて熱重量分析装置(理学電機(株)製「Thermo plus TG8120」)を用いて窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で室温から500℃まで加熱して熱重量分析(TGA)を実施し、カーボンナノ構造体およびビニル系重合体の熱分解開始温度および熱分解終了温度を測定した。なお、通常、質量減少が開始した時点の温度を熱分解開始温度とし、質量減少が終了した時点の温度を熱分解終了温度としたが、500℃の時点で質量減少が終了していない場合には質量減少が終了するまでさらに昇温して熱分解終了温度を測定した。また、前記熱重量分析において質量減少が5質量%となったときの温度をビニル系重合体の熱分解温度とした。
次に、カーボンナノ複合体を真空乾燥して残留溶媒などの揮発分を除去した後、熱重量分析装置(理学電機(株)製「Thermo plus TG8120」)を用いて窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で室温から500℃まで(カーボンナノ複合体に含まれるビニル系重合体の熱分解終了温度が500℃以上の場合には熱分解終了温度まで)加熱して熱重量分析を実施した。カーボンナノ複合体の質量減少のうちのビニル系重合体に由来するものをカーボンナノ複合体へのビニル系重合体の吸着量とし、カーボンナノ構造体100質量部に対する量[質量部]で表した。また、前記熱重量分析において、ビニル系重合体の吸着量に対して5質量%の質量減少が観察された時点の温度をカーボンナノ複合体に吸着したビニル系重合体の熱分解温度とした。例えば、カーボンナノ構造体100質量部に対して20質量部のビニル系重合体が吸着したカーボンナノ複合体の場合、前記熱重量分析において1質量部の重量減少が観察された時点の温度をビニル系重合体の熱分解温度とした。
(5)吸着安定性の評価方法
表4に示す溶媒100質量部にカーボンナノ複合体0.05質量部を添加し、これに超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B−220」を使用、発振周波数45kHz)を30分間施してカーボンナノ複合体を含む分散液を得た。次いで、桐山漏斗(フィルター:オムニポアメンブレンフィルター、孔径1.0μm)を用い、300質量部のクロロホルムを用いて洗浄しながら、前記分散液を吸引濾過した。その後、濾滓を真空乾燥して溶媒を完全に留去してカーボンナノ複合体を回収した。
この回収したカーボンナノ複合体について前記(4)の測定方法と同様の方法により熱重量分析を実施し、カーボンナノ構造体100質量部に対するビニル系重合体の吸着量[質量部]を求め、下記式:
吸着安定性[%]=前記洗浄・吸引濾過操作後のビニル系重合体の吸着量/
前記洗浄・吸引濾過操作前のビニル系重合体の吸着量×100
により求められる値により吸着安定性を評価した。
また、カーボンナノ構造体としては以下のものを使用した。なお、カーボンナノ構造体のG/D値は、レーザーラマン分光システム(日本分光(株)製「NRS−3300」)を用い、励起レーザー波長532nmにおいてラマンスペクトルを測定し、約1585cm−1付近に観察されるGバンドと約1350cm−1付近に観察されるDバンドのラマンスペクトルのピーク強度から求めた。
カーボンナノ構造体(A−1):
多層カーボンナノチューブ(CNT社製「Ctube100」、平均直径10〜40
nm、アスペクト比100以上、G/D値:0.9、窒素雰囲気下での熱分解温度は
600℃超過)。
カーボンナノ構造体(A−2):
多層カーボンナノチューブ(ナノカーボンテクノロジーズ(株)製「MWNT−7」、
平均直径40〜90nm、アスペクト比100以上、G/D値:8.0、窒素雰囲気下
での熱分解温度は600℃超過)。
カーボンナノ構造体(A−3):
カーボンナノファイバー(昭和電工(株)製「VGCF」、平均直径150nm、ア
スペクト比60、G/D値9.6、窒素雰囲気下での熱分解温度は600℃超過)。
カーボンナノ構造体(A−4):
単層カーボンナノチューブ(CNI社製、平均直径0.8〜1.2nm、アスペクト比
83以上、G/D値:16.0、窒素雰囲気下での熱分解温度は600℃超過)。
(調製例1)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の調製:
撹拌機と還流管を備えた反応容器に、スチレン30質量部およびメチルエチルケトン50質量部を仕込み、この溶液を攪拌しながら系内を窒素ガスで置換した後、80℃に昇温した。次に、N−フェニルマレイミド40質量部とスチレン30質量部とt−ドデシルメルカプタン0.05質量部と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部とをメチルエチルケトン140質量部に溶解した溶液を、攪拌しながら80℃で4時間かけて等速添加し、さらに80℃で1時間熟成して重合を終了した。冷却後、溶液を過剰量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、沈殿物を真空乾燥して溶媒を完全に留去し、イミド基含有ビニル系重合体(B−1)を得た。
GPCを用いて測定したこのイミド基含有ビニル系重合体(B−1)の数平均分子量は10.8万であり、分子量分布は4.0であった。また、このイミド基含有ビニル系重合体(B−1)についてH−NMR測定を実施し、各構成単位の割合を求めたところ、N−フェニルマレイミド単位は45質量%、スチレン単位は55質量%であった。
(調製例2)
イミド基含有ビニル系重合体(B−2)の調製:
撹拌機と還流管を備えた反応容器に、N−フェニルマレイミド100質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部およびメチルエチルケトン500質量部を仕込み、この溶液を攪拌しながら系内を窒素ガスで置換した後、80℃に昇温した。その後、80℃で4時間保持し、重合を終了した。冷却後、溶液を過剰量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、沈殿物を真空乾燥して溶媒を完全に留去し、イミド基含有ビニル系重合体(B−2)を得た。GPCを用いて測定したこのイミド基含有ビニル系重合体(B−2)の数平均分子量は1.7万であり、分子量分布は3.4であった。
(調製例3)
イミド基含有ビニル系重合体(B−3)の調製:
N−フェニルマレイミドの代わりにN−ピレニルマレイミド13質量部およびスチレン87質量部を用い、メチルエチルケトンの代わりにクロロホルム1750質量部を用い、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの量を0.3質量部に変更し、重合温度を60℃に変更し、重合時間(保持時間)を8時間に変更した以外は調製例2と同様にして、イミド基含有ビニル系重合体(B−3)を得た。
GPCを用いて測定したこのイミド基含有ビニル系重合体(B−3)の数平均分子量は1.0万であり、分子量分布は2.2であった。また、このイミド基含有ビニル系重合体(B−3)についてH−NMR測定を実施し、各構成単位の割合を求めたところ、N−ピレニルマレイミド単位は20質量%、スチレン単位は80質量%であった。
(調製例4)
イミド基含有ビニル系重合体(B−4)の調製:
N−フェニルマレイミドの代わりにN−メチルマレイミド55質量部およびメタクリル酸メチル45質量部を用いた以外は調製例2と同様にして、イミド基含有ビニル系重合体(B−4)を得た。
GPCを用いて測定したこのイミド基含有ビニル系重合体(B−4)の数平均分子量は2.5万であり、分子量分布は6.7であった。また、このイミド基含有ビニル系重合体(B−4)についてH−NMR測定を実施し、各構成単位の割合を求めたところ、N−メチルマレイミド単位は45質量%、メタクリル酸メチル単位は55質量%であった。
(調製例5)
イミド基含有ビニル系重合体(B−5)の調製:
N−フェニルマレイミド100質量部の代わりにN−フェニルマレイミド13質量部およびメタクリル酸2−ジメチルアミノエチル87質量部を用い、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部およびメチルエチルケトン500質量部に加えてさらにn−ドデシルメルカプタン0.1質量部を用いた以外は調製例2と同様にして、イミド基含有ビニル系重合体(B−5)を得た。
GPCを用いて測定したこのイミド基含有ビニル系重合体(B−5)の数平均分子量は0.9万であり、分子量分布は2.8であった。また、このイミド基含有ビニル系重合体(B−5)についてH−NMR測定を実施し、各構成単位の割合を求めたところ、N−フェニルマレイミド単位は10質量%、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル単位は90質量%であった。また、このイミド基含有ビニル系重合体(B−5)はクロロホルムおよびテトラヒドロフランに良好に溶解し、且つイオン交換水にも良好に溶解したことから、両親媒性であることが確認された。
(調製例6)
メタクリル酸1−ピレニルメチルの調製:
1−ピレンメタノール5.0gおよびトリエチルアミン4.34gをテトラヒドロフラン100mlに溶解し、0℃で塩化メタクリロイル2.25gを滴下した後、室温で1時間撹拌した。析出物を酢酸エチルで洗浄しながら濾過し、濾液と洗浄液とを混合してこれを硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフ(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、真空乾燥してメタクリル酸1−ピレニルメチルを得た。
(調製例7)
ポリメタクリル酸メチルの調製:
撹拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル100質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部、およびメチルエチルケトン500質量部を仕込み、この溶液を攪拌しながら系内を窒素ガスで置換した後、温度を80℃まで昇温した。その後、80℃で4時間保持し、重合を終了した。冷却後、溶液を過剰量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、沈殿物を真空乾燥して溶媒を完全に留去し、ポリメタクリル酸メチルを得た。GPCを用いて測定したこのポリメタクリル酸メチルの数平均分子量は1.0万であり、分子量分布は2.3であった。
(調製例8)
メタクリル酸メチル/メタクリル酸1−ピレニルメチル共重合体(C−1)の調製:
メタクリル酸メチル100質量部の代わりにメタクリル酸メチル70質量部および調製例6で得たメタクリル酸1−ピレニルメチル30質量部を用い、メチルエチルケトンの代わりにトルエン550質量部を用いた以外は調製例7と同様にして、メタクリル酸メチル/メタクリル酸1−ピレニルメチル共重合体(C−1)を得た。
GPCを用いて測定したこのメタクリル酸メチル/メタクリル酸1−ピレニルメチル共重合体(C−1)の数平均分子量は1.0万であり、分子量分布は2.4であった。また、このメタクリル酸メチル/メタクリル酸1−ピレニルメチル共重合体(C−1)についてH−NMR測定を実施し、各構成単位の割合を求めたところ、メタクリル酸メチル単位が80質量%、メタクリル酸1−ピレニルメチル単位が20質量%であった。
(実施例A1)
(1)低濃度分散液の分散性
クロロホルム50gにイミド基含有ビニル系重合体(B−1)1.6mgとカーボンナノ構造体(A−1)2mgとを添加し、これに超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B−220」を使用、発振周波数45kHz)を1時間施して低濃度分散液を得た。超音波処理直後の分散液に遠心分離(相対遠心加速度1000Gで1時間)を施した後、20時間静置した。静置後の上澄み液についてUV−可視光吸収スペクトルを測定し、650nmの吸光度により分散性(耐沈降性)を評価した。その結果を表2に示す。なお、前記吸光度の値が大きいほど遠心分離後もカーボンナノ複合体は溶媒中に多く分散し、分散性(耐沈降性)に優れていることを意味する。
(2)高濃度分散液の分散性
スクリュー管瓶にイミド基含有ビニル系重合体(B−1)6.4mg、カーボンナノ構造体(A−2)8mgおよびクロロホルム12gを入れ、これに超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B−220」を使用、発振周波数45kHz)を1時間施して高濃度分散液を得た。この分散液を1分間静置した後、スクリュー管瓶を傾斜させて気液界面近傍の分散液の分散状態を目視により観察し、下記基準で判定した。その結果を表2に示す。また、図1(右)には静置後の高濃度分散液(コロイド)の写真を示す。
A:凝集は観察されず、均一に分散したもの。
B:凝集は観察されたが、均一に分散したもの。
C:凝集が解けず、不均一に分散したもの(凝集物と溶媒とに分離した部分が観察されたもの)。
(実施例A2)
クロロホルムの代わりにテトラヒドロフラン(THF)50gまたは12gを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(実施例A3)
クロロホルムの代わりにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gまたは12gを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(実施例A4)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにイミド基含有ビニル系重合体(B−2)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(実施例A5)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにイミド基含有ビニル系重合体(B−3)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(実施例A6)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにイミド基含有ビニル系重合体(B−4)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(実施例A7)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにイミド基含有ビニル系重合体(B−5)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例A1)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)を使用せず、クロロホルム50gにカーボンナノ構造体(A−1)2mgを分散、またはクロロホルム12gにカーボンナノ構造体(A−2)8mgを分散させた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。また、図1(左)には1分間静置後の高濃度の分散液(コロイド)の写真を示す。
(比較例A2)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにスチレン(和光純薬工業(株)製)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例A3)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにN−フェニルマレイミド(和光純薬工業(株)製)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例A4)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりに調製例6で得たメタクリル酸1−ピレニルメチル1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例A5)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにポリスチレン(Polymer Source社製、数平均分子量107000、重量平均分子量/数平均分子量:1.51)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例A6)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにスチレン/アクリロニトリル/オキサゾリン共重合体((株)日本触媒製「エポクロスRAS−1005」)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例A7)
ポリアミドイミドのNMP溶液(荒川化学工業(株)製「コンポラセンAI1301」、固形分19.8質量%)をクロロホルムに注ぎ込んだところ、ポリアミドイミドが析出したため、溶媒としてはNMPを使用した。
50gのNMPに対して1.6mgのポリアミドイミドと2mgのカーボンナノ構造体(A−1)とが含まれるように、NMPと前記ポリアミドのNMP溶液とカーボンナノ構造体(A−1)とを混合して低濃度分散液を調製し、また12gのNMPに6.4mgのポリアミドイミドと8mgのカーボンナノ構造体(A−2)とが含まれるように、NMPと前記ポリアミドのNMP溶液とカーボンナノ構造体(A−2)とを混合して高濃度分散液を調製した以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例A8)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにポリビニルピロリドン(和光純薬工業(株)製「ポリビニルピロリドンK30」)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例A9)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりに調製例7で得たポリメタクリル酸メチル1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例A10)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにメタクリル酸メチル/メタクリル酸1−ピレニルメチル共重合体(C−1)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例A11)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Aldrich社製、重量平均分子量70000)1.6mgまたは6.4mgを用いた以外は実施例A1と同様にして(1)低濃度分散液および(2)高濃度分散液の分散性を評価した。その結果を表2に示す。なお、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムはクロロホルムに不溶であった。
表2に示した結果から明らかなように、本発明にかかるイミド基含有ビニル系重合体を用いてクロロホルム中またはNMP中でカーボンナノ複合体を調製した場合(実施例A1、A3〜A7)には、カーボンナノ構造体を同種の溶媒中に分散させた場合(比較例A1)や本発明にかかるイミド基含有ビニル系重合体の代わりに低分子化合物や他の重合体を用いて同種の溶媒中でカーボンナノ複合体を調製した場合(比較例A2〜A11)に比べて、低濃度分散液および高濃度分散液のいずれにおいても優れた分散性を示すことが確認された。
また、イミド基を含有する重合体としてポリアミドイミドを用いた場合(比較例A7)には、ポリアミドイミドがNMPなどの極限られた溶媒にしか溶解しないため、使用できる溶媒が制限されるが、本発明にかかるイミド基含有ビニル系重合体を用いた場合(実施例A1〜A3)にはクロロホルム、THF、NMPのいずれの溶媒中においてもカーボンナノ複合体は良好に分散することが確認された。
(実施例B1)
イオン交換水50gにイミド基含有ビニル系重合体(B−5)3.2mgおよびカーボンナノ構造体(A−1)4mgを添加し、これに超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B−220」を使用、発振周波数45kHz)を1時間施した後、分散液に遠心分離(相対遠心加速度1000Gで1時間)を施した後、20時間静置した。静置後の上澄み液についてUV−可視光吸収スペクトルを測定し、650nmの吸光度により分散性(耐沈降性)を評価した。その結果を表3に示す。なお、前記吸光度の値が大きいほど遠心分離後もカーボンナノ複合体は溶媒中に多く分散し、分散性(耐沈降性)に優れていることを意味する。
(比較例B1)
イオン交換水50gにカーボンナノ構造体(A−1)4mgを添加し、これに超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B−220」を使用、発振周波数45kHz)を1時間施した以外は実施例B1と同様にして分散液を調製し、吸光度による分散性の評価を実施した。その結果を表3に示す。
(比較例B2)
イミド基含有ビニル系重合体(B−5)の代わりにポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Aldrich社製、重量平均分子量70000)3.2mgを用いた以外は実施例B1と同様にして分散液を調製し、吸光度による分散性の評価を実施した。その結果を表3に示す。
(比較例B3)
イミド基含有ビニル系重合体(B−5)の代わりにポリビニルピロリドン(和光純薬工業(株)製「ポリビニルピロリドンK30」)3.2mgを用いた以外は実施例B1と同様にして分散液を調製し、吸光度による分散性の評価を実施した。その結果を表3に示す。
表3に示した結果から明らかなように、本発明にかかるカーボンナノ複合体(実施例B1)を含む分散液は、従来の分散剤であるポリスチレンスルホン酸ナトリウムやポリビニルピロリドンを用いた場合(比較例B2〜B3)に比べて、その上澄み液の吸光度が高く、濃度が最も高いものであり、本発明のカーボンナノ複合体は有機溶媒中だけでなくイオン交換水中においても良好に分散することが確認された。
(実施例C1)
先ず、クロロホルム100質量部にイミド基含有ビニル系重合体(B−1)0.04質量部を添加し、次いで、カーボンナノ構造体(A−1)0.05質量部を添加し、これに超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B−220」を使用、発振周波数45kHz)を1時間施してカーボンナノ複合体を含む分散液を得た。次いで、桐山漏斗(フィルター:オムニポアメンブレンフィルター、孔径1.0μm)を用い、300質量部のクロロホルムを用いて洗浄しながら、前記分散液を吸引濾過した。その後、濾滓を真空乾燥して溶媒を完全に留去し、カーボンナノ構造体(A−1)にイミド基含有ビニル系重合体(B−1)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。
このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(実施例C2)
カーボンナノ構造体(A−1)の代わりにカーボンナノ構造体(A−2)0.05質量部を用いた以外は実施例C1と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にイミド基含有ビニル系重合体(B−1)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(実施例C3)
カーボンナノ構造体(A−1)の代わりにカーボンナノ構造体(A−3)0.05質量部を用いた以外は実施例C1と同様にしてカーボンナノ構造体(A−3)にイミド基含有ビニル系重合体(B−1)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(実施例C4)
カーボンナノ構造体(A−1)の代わりにカーボンナノ構造体(A−4)0.05質量部を用いた以外は実施例C1と同様にしてカーボンナノ構造体(A−4)にイミド基含有ビニル系重合体(B−1)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(実施例C5)
クロロホルムの代わりにNMPを100質量部用いた以外は実施例C2と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にイミド基含有ビニル系重合体(B−1)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(実施例C6)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにイミド基含有ビニル系重合体(B−2)0.04質量部を用いた以外は実施例C2と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にイミド基含有ビニル系重合体(B−2)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(実施例C7)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにイミド基含有ビニル系重合体(B−3)0.04質量部を用いた以外は実施例C2と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にイミド基含有ビニル系重合体(B−3)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(実施例C8)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにイミド基含有ビニル系重合体(B−4)0.04質量部を用いた以外は実施例C2と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にイミド基含有ビニル系重合体(B−4)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(実施例C9)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにイミド基含有ビニル系重合体(B−5)0.04質量部を用いた以外は実施例C2と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にイミド基含有ビニル系重合体(B−5)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(比較例C1)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにN−フェニルマレイミド(和光純薬工業(株)製)0.04質量部を用いた以外は実施例C1と同様にしてカーボンナノ構造体(A−1)にN−フェニルマレイミドが吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(比較例C2)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりに調製例6で得たメタクリル酸1−ピレニルメチル0.04質量部を用いた以外は実施例C2と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にメタクリル酸1−ピレニルメチルが吸着したカーボンナノ複合体の調製を試みたが、得られた試料について前記(4)の測定方法と同様の方法よりメタクリル酸1−ピレニルメチルの吸着量を測定したところ、カーボンナノ構造体(A−2)にメタクリル酸1−ピレニルメチルは吸着していないことが確認された。
なお、得られた試料、すなわちカーボンナノ構造体(A−2)について、前記(3)の評価方法と同様の方法により再分散性を評価した。その結果を表4に示す。
(比較例C3)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにポリスチレン(Polymer Source社製、数平均分子量107000、重量平均分子量/数平均分子量:1.51)0.04質量部を用いた以外は実施例C2と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にポリスチレンが吸着したカーボンナノ複合体の調製を試みたが、得られた試料について前記方法よりポリスチレンの吸着量を測定したところ、カーボンナノ構造体(A−2)にポリスチレンは吸着していないことが確認された。
なお、得られた試料、すなわちカーボンナノ構造体(A−2)について、前記(3)の評価方法と同様の方法により再分散性を評価した。その結果を表4に示す。
(比較例C4)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにスチレン/アクリロニトリル/オキサゾリン共重合体((株)日本触媒製「エポクロスRAS−1005」)0.04質量部を用いた以外は実施例C1と同様にしてカーボンナノ構造体(A−1)にスチレン/アクリロニトリル/オキサゾリン共重合体が吸着したカーボンナノ複合体の調製を試みたが、得られた試料について前記方法よりスチレン/アクリロニトリル/オキサゾリン共重合体の吸着量を測定したところ、カーボンナノ構造体(A−1)にスチレン/アクリロニトリル/オキサゾリン共重合体は吸着していないことが確認された。
なお、得られた試料、すなわちカーボンナノ構造体(A−1)について、前記(3)の評価方法と同様の方法により再分散性を評価した。その結果を表4に示す。
(比較例C5)
100質量部のNMPに対して0.04質量部のポリアミドイミドと0.05質量部のカーボンナノ構造体(A−2)とが含まれるように、NMPとポリアミドイミドのNMP溶液(荒川化学工業(株)製「コンポラセンAI1301」、固形分19.8質量%)とカーボンナノ構造体(A−2)とを混合した以外は実施例C5と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にポリアミドイミドが吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(比較例C6)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにポリビニルピロリドン(和光純薬工業(株)製「ポリビニルピロリドンK30」)0.04質量部を用いた以外は実施例C2と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にポリビニルピロリドンが吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(比較例C7)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりに調製例7で得たポリメタクリル酸メチル0.04質量部を用いた以外は実施例C1と同様にしてカーボンナノ構造体(A−1)にポリメタクリル酸メチルが吸着したカーボンナノ複合体の調製を試みたが、得られた試料について前記方法よりポリメタクリル酸メチルの吸着量を測定したところ、カーボンナノ構造体(A−1)にポリメタクリル酸メチルは吸着していないことが確認された。
なお、得られた試料、すなわちカーボンナノ構造体(A−1)について、前記(3)の評価方法と同様の方法により再分散性を評価した。その結果を表4に示す。
(比較例C8)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにメタクリル酸メチル/メタクリル酸1−ピレニルメチル共重合体(C−1)0.04質量部を用いた以外は実施例C1と同様にしてカーボンナノ構造体(A−1)にメタクリル酸メチル/メタクリル酸1−ピレニルメチル共重合体(C−1)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
(比較例C9)
イミド基含有ビニル系重合体(B−1)の代わりにメタクリル酸メチル/メタクリル酸1−ピレニルメチル共重合体(C−1)0.04質量部を用いた以外は実施例C2と同様にしてカーボンナノ構造体(A−2)にメタクリル酸メチル/メタクリル酸1−ピレニルメチル共重合体(C−1)が吸着したカーボンナノ複合体を得た。このカーボンナノ複合体の再分散性、吸着量、吸着安定性および熱分解温度を前記(3)〜(5)の方法により評価した。その結果を表4に示す。
表4に示した結果から明らかなように、本発明にかかるイミド基含有ビニル系重合体を用いた場合(実施例C1〜C9)には、本発明のカーボンナノ複合体を溶媒中に良好に分散可能であることが確認された。
一方、本発明にかかるイミド基含有ビニル系重合体の代わりに低分子量化合物を用いた場合(比較例C1〜C2)やイミド基含有ビニル系重合体以外の重合体を用いた場合(比較例C3〜C7)には、カーボンナノ構造体に低分子量化合物や重合体の吸着が確認されていないか、あるいは吸着量が少なく、カーボンナノ構造体を凝集させずに溶媒中に分散させることは困難であった。他方、ピレニル基を含有するビニル系重合体を用いた場合(比較例C8〜C9)には、前記低分子量化合物や前記イミド基含有ビニル系重合体以外の重合体と比較してカーボンナノ複合体を溶媒中に分散させることが可能であった。
また、イミド基含有ビニル系重合体が吸着した本発明のカーボンナノ複合体(実施例C1〜C9)は、ポリアミドイミドやピレニル基含有ビニル系重合体が吸着したカーボンナノ複合体(比較例C5、C8、C9)に比べて重合体の吸着安定性に優れたものであることが確認された。
さらに、イミド基含有ビニル系重合体が吸着した本発明のカーボンナノ複合体(実施例C1〜C9)は、ピレニル基含有ビニル系重合体が吸着したカーボンナノ複合体(比較例C8〜C9)に比べて重合体の熱分解温度が高く、耐熱性に優れたものであることが確認された。
(実施例D1)
実施例C2で得たカーボンナノ複合体1.053容量%とポリフェニレンスルフィド樹脂(アルドリッチ社製ポリフェニレンスルフィド、溶融粘度275poise(310℃))98.947容量%とを含有する混合物700cmをドライブレンドにより調製した。ここで、カーボンナノ複合体の配合量は、カーボンナノ構造体へのイミド基含有ビニル系重合体の吸着量を考慮に入れた上で、混合物100容量%中に含まれるカーボンナノ構造体の容量が1容量%となるように計量して決定し、カーボンナノ複合体を除く残りがポリフェニレンスルフィド樹脂となるように前記混合物を調製した。この混合物を、ベントを備えた二軸押出機((株)テクノベル製、スクリュ径15mm、L/D=60)を用いてシリンダ設定温度300℃、スクリュー回転数100rpmの条件で溶融混練した。吐出された混練物をストランド状に押し出し、冷却後にカッターにより切断してペレット状の樹脂組成物を得た。このペレットはカーボンナノ複合体が均一に分散されたものであり、その外観は良好であった。また、ベントのルッキングガラスにイミド基含有ビニル系重合体の分解揮発生成物などの付着は確認されなかった。
得られたペレットを130℃で6時間真空乾燥した後、成形温度300℃、金型温度130℃の条件で射出成形を行い、厚み2mmの成形品を得た。この成形品から25mm×25mm×2mmの試料を切出し、定常法熱伝導率測定装置(アルバック理工(株)製「
GH−1」)を用い、厚さ方向(流動方向に対して垂直方向)の熱伝導率を40℃(上下の温度差24℃)で測定した。熱伝導率は0.36W/mKであった。
(比較例D1)
実施例C2で得たカーボンナノ複合体の代わりにカーボンナノ構造体(A−2)1容量%を用い、ポリフェニレンスルフィド樹脂の量を99容量%に変更した以外は実施例D1と同様にしてペレット状の樹脂組成物を作製した。このペレットにおいてカーボンナノ構造体(A−2)は均一に分散しておらず、ペレットの外観は実施例D1のものに比べて劣るものであった。また、得られたペレットを用いて実施例D1と同様にして成形品を作製して熱伝導率を測定したところ、0.32W/mKであった。
(比較例D2)
カーボンナノ複合体を使用しなかった以外は実施例D1と同様にしてポリフェニレンスルフィド樹脂(アルドリッチ社製ポリフェニレンスルフィド、溶融粘度275poise(310℃))700cmを溶融混練してペレットを作製した後、成形品を作製し、その熱伝導率を測定したところ0.24W/mKであった。
実施例D1および比較例D1〜D2に示した結果から明らかなように、本発明のカーボンナノ複合体を配合したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物(実施例D1)は、カーボンナノ構造体を配合した場合(比較例D1)に比べてカーボンナノ複合体の分散性および成形品の熱伝導率が向上した。これにより少量のカーボンナノ複合体の添加で系の増粘を抑制しながら効率的な熱伝導率の向上が可能であることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、溶媒中や樹脂中での分散性に優れたカーボンナノ複合体を得ることが可能となる。また、本発明のカーボンナノ複合体は耐熱性に優れているため、製造時に高温が要求される高耐熱樹脂などへ添加するといった高温での使用や均一分散が可能となる。
したがって、本発明のカーボンナノ複合体は、カーボンナノ構造体が本来有する特性を生かせる用途、例えば、機械特性が求められる用途、電磁波遮蔽が求められる用途、耐熱性が求められる用途、寸法性が求められる用途(熱線膨張係数の低下)、熱伝導性が求められる用途、電気伝導性が要求される用途など様々な用途に展開可能であり、これらの特性が要求される樹脂成形体、樹脂シート、樹脂フィルムなどに好適に用いることができる。
また、本発明においては高価な原料や製造プロセスは不要であり、カーボンナノ複合体や分散液、樹脂組成物の生産コストを削減することも可能となる。

Claims (8)

  1. カーボンナノ構造体と、前記カーボンナノ構造体に吸着し且つイミド基含有構成単位を含むビニル系重合体とを含有し、
    前記ビニル系重合体の吸着量が前記カーボンナノ構造体100質量部に対して0.1質量部以上であることを特徴とするカーボンナノ複合体。
  2. 前記ビニル系重合体がさらにイミド基含有構成単位以外のビニル系モノマー単位を含むことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノ複合体。
  3. 前記イミド基含有構成単位がマレイミド系モノマー単位を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノ複合体。
  4. 前記ビニル系重合体の熱分解温度が290℃以上であることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載のカーボンナノ複合体。
  5. 前記カーボンナノ構造体の平均直径が1μm以下であることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載のカーボンナノ複合体。
  6. 請求項1〜のうちのいずれか一項に記載のカーボンナノ複合体と溶媒とを含有することを特徴とする分散液。
  7. 請求項1〜のうちのいずれか一項に記載のカーボンナノ複合体と樹脂とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
  8. カーボンナノ構造体と、イミド基含有構成単位を含むビニル系重合体とを溶媒中で混合して前記カーボンナノ構造体に前記ビニル系重合体を吸着させることを特徴とするカーボンナノ複合体の製造方法。
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