JP5222473B6 - アンモニア酸化法及びアンモニア酸化用の触媒充填物 - Google Patents

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本発明は、アンモニア酸化法に適した、改良された触媒充填設計物(an improved catalyst charge design)に関する。さらに詳細には、本発明は、工業技術的および経済的な利点をもたらすと考えられる、二段階もしくは多段階の触媒充填物(a catalyst charge)に関する。
空気を使用してアンモニアを酸化して、硝酸製造用の一酸化窒素を、あるいは硝酸塩化学肥料や硝酸塩爆薬の製造用の一酸化窒素を形成させることは、20世紀初頭から確立されており(オストワルド法)、世界中で広く使用されている。確立されている方法は、アンモニアと空気中の酸素との反応のための触媒として、白金ガーゼもしくは白金合金ガーゼを使用する。シアン化水素を製造するためのアンドリュッソー法は、本質的に類似した技術を使用しており、したがって本発明の範囲内に含まれると見なすべきである。Ptガーゼは通常、上下に装着した幾つかのガーゼの“パック”として供給される。連続した状態のガーゼは、フィラメントの厚さ、合金の組成、および他の様式が変わってよい。
操作時に、白金が、プロセス条件(たとえば圧力)に応じてより多い程度またはより少ない程度に、物理的に又はカーゼからの蒸発によって失われる。白金は、プラントにおけるより温度の低い部分に集まるけれども、白金の回収は困難であることが実証されている。パラジウム(Pd)をベースとし、触媒ガーゼの下流近くに装着される1つ以上の“捕集”ガーゼまたは“ゲッター”ガーゼを組み込むことが知られている。捕集ガーゼ(catchment gauzes)は、失われたPtのうちの高い割合のPtを集めるが、これと同時に、ある割合のPd自体が捕集ガーゼから移動していく。別々のPd捕集ガーゼを組み込む代わりに、第2もしくは第3のカーゼ中にPdフィラメントを組み込むことができる。このような場合、回収されたPdは触媒として有効に作用し続ける。しかしながら、本出願者らによる最近の研究では、Pdガーゼが、Ptガーゼに比較して、N2および/またはN2Oのレベルを最大で数倍にまで増大させることがある、ということが強く示されている。1つのメカニズムは下記のとおりである。
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N2とN2Oの生成が、残留アンモニアの不完全な酸化によるものなのか、あるいは残留アンモニアとNOxとの反応によるものなのか、という点については現在解明されていないが、明らかになっているのは、残留アンモニアが望ましくない物質である、ということである。さらに、NOとNO2の総収率に及ぼす影響のために、NOの消失(たとえば上記の反応によって)またはアンモニアもしくはNOxのN2への転化は望ましくない。本出願者らによる、織ったガーゼに代わる編んだガーゼの開発と導入は別として、過去20年にわたってPtガーゼをベースとする技術にはほとんど進歩がない。
Ptガーゼの資本コストがかなり大きいことから、アンモニアの酸化に対し卑金属触媒の開発が進められている。これらの触媒は一般にコバルト化合物(たとえば、Co酸化物やペロブスカイト)をベースとしている。しかしながら、最良とされるCoペロブスカイト触媒は、資本コストがより低いことのほかに、Ptベースガーゼ触媒を凌ぐ幾らかの技術的利点をもたらすけれども、多くの欠点はそのまま残り(主として、大気中のイオウ化合物からの毒作用に対する感受性が高い)、したがって現在公有財産になっている範囲においては試験的に使用されていて、工業規模での利用はごく限られている。
白金ガーゼとCo含有物質とを組み合わせるべく幾つかの試みがなされている。たとえば、ケミカル・アブストラクツ114:188430は、1-2Ptグリッドと下流のCo3O4触媒とを組み合わせることを説明している。このような触媒は、NOの形成に対し350℃にて最も高い選択性を示すとされており、この温度は、従来のPtガーゼ触媒の使用温度よりはるかに低く、したがってアンモニア酸化プラントでの通常の使用温度より低い。Co3O4触媒は850℃以上の温度で相変化を起こすことが知られているので、Co3O4触媒に対しては低い温度が必要とされ、この結果、アンモニア酸化プロセスにおいて、NOに対してより低い選択性を有するCoOが形成される。さらに、生成するN2Oのレベルに関しては全く言及していない。WO99/64352は、白金ガーゼ触媒で処理した後にCo含有触媒で、処理することが説明されており、この場合、副反応(たとえば亜酸化窒素の形成)が減少することが主張されている。しかしながら、この組み合わせ触媒系は、実験室装置において良くても7000ppmのN2Oレベルを示しているにすぎない。該特許出願は放棄されており、我々はこの技術のいかなる商業化も認識していない。実際のところ、依然として白金ガーゼまたは白金合金ガーゼが、市場において、商業化が可能で且つ実用的に受け入れ可能な唯一の技術である。
ガーゼメーカーは、各プラントに対して、あるいはプラントの各バーナーに対して個別にガーゼパックを設計している。パック設計物がプラント運転条件下にて可能な最大の転化率を目指す、というのは最先端の検討方式である。なぜなら、白金ガーゼが使用中に劣化していくにつれて転化効率が徐々に低下するからである。最終的に転化率が許容しえないレベルにまで低下すると、プラントのキャンペーン(campaign)を終了させ、触媒を取り替える。したがって、第1の白金族金属触媒エレメントに対する転化率が完全より低く意図的に選定されている、という触媒パックまたは触媒充填物を設計することは、経験にそぐわない考え方である。転化率が不完全であるとガス流れ中にアンモニアが残留し、副反応によってN2Oを生成する機会が増大するようである。実際、当業界においては、収率の低下が極めて重大なことであるとされている。アンモニアのスリップ(ammonia slip)が、N2を生成する副反応を引き起こすことがあり、これが明らかに収率の低下を引き起こし、そしてアンモニアのスリップがさらに、触媒の下流にて爆発性の硝酸アンモニウムを形成する可能性を増大させる。
特に、白金ガーゼ触媒または白金合金ガーゼ触媒の資本コストが高いことから、使用時における触媒からの高価な白金の損失と相俟って、アンモニア酸化プラントのオペレータに対して、そして触媒充填物の設計者に対して改良された選択が依然として求められている。本発明の目的(そのうちの1つ以上は、好ましい実施態様において、そして好ましい条件下において操作するときに達成される、と思われる)は以下のように表わすことができる、と我々は考えている:
N2Oの生成を少なくしてアンモニアの転化率を高くすること;
圧力低下、収率、および寿命(“キャンペーン長さ”)の1つ以上においてほぼ同等であるか又は改善をもたらすこと;
白金族金属の在庫減少の可能性を高めること;および
始動時と運転停止時における操作を改良すること。
以後、“白金族金属”に対し“PGM”という略語を使用する場合がある。
したがって本発明は、アンモニア源(たとえば、アンモニアそのものや尿素プラントからのオフガス)と酸素源との混合物を含む供給ガスを触媒上に通すこと、および700〜1000℃の温度で操作することを含み、表面積の大きい白金族金属触媒を含むアンモニア酸化用の第一段階触媒上に供給ガスを通して、窒素酸化物、酸素、未反応アンモニア、および酸素源を含む第一段階生成物を得て、前記第一段階生成物をアンモニア酸化用の第二段階触媒と組み合わせて使用すること、および前記第一段階触媒上に供給ガスを通しているときにはアンモニア酸化を完全には行わず、第二段階触媒上に前記第一段階生成物を通しているときにアンモニア酸化を完全に行って第二段階生成物を得ることを特徴とする、アンドリュッソー法を含むアンモニア酸化法を提供する。好ましい操作条件下では、第二段階触媒からのアンモニアスリップはごくわずかであり、したがって第二段階生成物中においてN2Oの生成が少ない。
当然ながら、第一段階触媒と第二段階触媒は同じものではない。
本発明の方法は、理想的な条件下においてはキャンペーン寿命(campaign life)の増大をもたらすと考えられる。本発明の他の考えられる利点としては、貴金属コストの減少による運転コストの低減やプロセス副生物の全体的放出の減少による環境パフォーマンスの向上、などがある。
本発明は、別の態様において、アンモニアと酸素源を含む特定の供給原料に対してアンモニアを酸化するための触媒充填物を設計する、アンドリュッソー法を含んだ方法を提供し、前記方法は、表面積の大きい白金族金属触媒を含んだアンモニア酸化用の上流の第1の触媒を、前記供給原料中のアンモニアの不完全な量、すなわち20%〜最大99%を酸化して、窒素酸化物、残留アンモニア、および酸素源を含有する設計された第一段階生成物が生成するように、充分な量および適切な物理的配置状態にて組み込むこと;および設置すべき第2のアンモニア酸化触媒を前記第1の触媒の下流に組み込むこと、このとき第二段階触媒は、設計された第一段階生成物中の残留アンモニアを酸化するよう、適切な物理的配置状態にて過剰量で存在する;を含む。好ましい実施態様においては、触媒充填物は、第二段階触媒が、かなり高いN2O分解活性を有する状態で使用されるように、また第二段階における温度が、N2Oの50%が分解される(好ましくはN2Oの80%以上が分解される、さらに好ましくは90%以上が分解される)温度より高くなるように設計される。
本発明はさらに、本発明の第2の態様にしたがって設計される、アンモニア酸化のための触媒充填物を提供する。さらなる態様においては、本発明は、高収率で広範なキャンペーンのアンモニア酸化法における触媒充填物の使用を提供する。高収率と広範なキャンペーンはいずれも、これまでの最先端のPtガーゼ触媒パックまたはPt合金ガーゼ触媒パックと同等である。
本発明の触媒充填物は、従来のガーゼパックに対して直接置き換えられるものであるのが望ましい。本発明の触媒充填物は、バーナーのサイズと取扱い上の要件に応じて、単一の充填物ユニットとして作製されていてもよいし、あるいは区分けされた形(たとえば、四分円形充填物、蝶番式の四分円形充填物、もしくは連結式の四分円形充填物)で作製されてもよい。触媒充填物は、単一充填物ユニットであろうと、何らかの仕方で分割されていようと、全ての成分を一体化した様式で含むのが望ましい。
理解しておかねばならないことは、本発明は、第一段階触媒と第二段階触媒とを画定する上でバリエーション〔たとえば、必須の2つの触媒層の前、中間、または後に1つ以上の他の層を組み込む(こうした他の層が触媒作用を有する場合でも)〕を含む、という点である。
本発明の利点は、本発明の種々の利点の少なくとも一部を得るのに、圧力、予熱、および処理量(“装入量”)等の従来のプラント運転パラメータ変える必要がない、ということである。第一段階触媒と第二段階触媒の全体に対するガス空間速度は(“GHSV”)は100,000hr-1のオーダーであるのが望ましく、50,000〜200,000hr-1であるのが適切である。
第一段階触媒の適切な設計物は、通常の運転条件下では20〜99%の転化率(好ましくは60〜99%の転化率、さらに好ましくは75%より大きい転化率、特に50〜70%の転化率)をもたらすが、幾つかの実施態様においては、第一段階に対してアンモニアの85〜95%を転化させるのが望ましい。本発明は1600ppm未満のN2O(好ましくは600ppm未満のN2O、さらに好ましくは500ppm未満のN2O、たとえば100〜200ppmの範囲のN2O)を含む第二段階生成物をもたらすのが望ましい。第二段階触媒がN2Oの分解に対して特に活性である場合、あるいは下流に別個のN2O分解触媒が存在する場合、アンモニア酸化プロセスにおけるガス成分の多くがN2Oの分解を実際に阻害する、ということを我々は発見した。したがって、このような触媒を選択する前に代表的な試験を行うことが重要である。
本発明の全ての態様において、第一段階触媒は、表面積の大きい白金族金属のアンモニア酸化触媒(好ましくは、Pt、Pt5RhやPt10Rh等のPt合金、または他のPt合金)である。実際にどのような合金が選択されるかは、本発明にとって重要なことではなく、第一段階触媒は他の合金成分(たとえば、CoやIr)を含んでもよい。PtまたはPt合金は、フィラメント形態〔たとえば、延伸フィラメントや延伸ワイヤー(便宜的には、編んだガーゼまたは織ったガーゼとして)〕であってもよいし、あるいはリボン形態(不織の層として)であってもよい。連続的に構成されたガーゼまたは層は、種々の合金もしくは金属、種々の合金もしくは金属の混合物、および/または、種々のサイズのフィラメントを含んでよい。このようなガーゼもしくは層は、従来の方法で容易に製造することができる。第一段階触媒は、増大した厚みをもたらすよう三次元ニッティングによって製造される、編んだガーゼの“パッド”(フィラメントのループがパッドの深さを通して延びている)であってもよいし、あるいはこうした“パッド”を含んでよい。
しかしながら本発明は、表面積が大きくて圧力低下の少ない別の触媒系を含み、このときPt触媒もしくはPt合金触媒が卑金属担体またはセラミック担体上に担持され、こうした触媒系は、フィラメント状であっても、ビーズ品または造形品であっても、発泡金属または発泡セラミックの形態であっても、あるいはモノリス形態(たとえば、金属ハニカムやセラミックハニカム)、グリッド、またはスタティックミキサーなどであってもよい。Pt触媒またはPt合金触媒は、それ自体を酸化物粒子に担持させることもできるし、あるいは金属担体もしくはセラミック担体上の酸化物被膜上に付着させることもできる。このような酸化物粒子または酸化物担体は、触媒技術において充分に確立されている。このような担持触媒は、ガーゼ触媒と比較して、キャンペーン長さにおいて利点をもたらすことがある。ガーゼの構造的一体性は、フィラメントからのPtの損失によってかなり影響を受けるからである。
PtやPt合金にとって関心の高い、担体(たとえば、セラミックや金属)上への有望な付着方法は、燃焼フレーム溶射法(combustion flame spraying)や真空プラズマもしくは大気プラズマ溶射法(表面積の大きい多孔質付着層が得られる)を含む。貴金属の塩もしくは錯体を担体上に付着させるための他の従来法、および焼成もしくは還元を行って金属を生成させるための他の従来法も使用できることはいうまでもない。金属溶射法を使用して、表面積の大きいPt層をPtガーゼもしくはPt合金ガーゼ上に付着させることができ、このような層により、プロセスを開始させるための触媒作用の始まりがさらに促進されることがある。
本発明により、所定の設計物を作製する上で使用されるPtまたはPt合金の全体としての量を少なくすることができる。このような貴金属の“節約(thrifting)”は、プラントオペーレータにとって大きな経済的価値をもたらす。特に、第二段階のアンモニア酸化触媒が、WO98/28073に記載の特定のコバルト酸ランタン-セリウム触媒の層である場合、コバルト酸塩触媒を触媒集成体中に組み込む前に、NO効率を大幅に低下させることなく、使用されている白金合金ガーゼの20重量%以上、好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40重量%以上を取り替えることができ、その上、亜酸化窒素のレベルを、組み込む前に得られたレベルの50%未満に低下させる、ということを我々は見出した。しかしながら、ある基礎的研究から、特定の利点は、PtまたはPt合金を、従来のガーゼのみの触媒パックの重量の多くても90%までの量にて使用することによるものである(第二段階触媒の量は相対的に少なくなる)、ということがわかる。
第二段階触媒は、多種多様な触媒から選択することができる。1つの態様においては、第二段階触媒は、白金族金属触媒(担持されていてもよく、たとえば、Rhベース触媒および/またはIrベース触媒)であってよく、卑金属もしくは卑金属酸化物であるか、または卑金属もしくは卑金属酸化物を含んでよく(特に、卑金属が遷移金属もしくは希土類金属である場合)、そしてたとえば、鉄、ニッケル、コバルト、およびマンガンの1種以上を含んでよく、あるいは銀、担持白金、担持パラジウム、もしくは担持ルテニウムであるか、または銀、担持白金、担持パラジウム、もしくは担持ルテニウムを含んでよい。第二段階触媒は、1種以上の卑金属と1種以上の貴金属との混合物であってよい。たとえば、初期の研究によれば、造形された触媒担体上に分散・担持されたRh触媒は、残留アンモニアの酸化を完全なものにするのに有効であるとともに、望ましくない副反応が減少する、ということが示されている。このようなRh触媒は、他の成分もしくは促進剤(たとえば、他の白金族金属触媒)を含んでもよいけれども、初期の検討によると、このような第二段階触媒は、触媒成分もしくは促進成分を含有しないのが好ましく、また担体上が本質的にRhからなるのが好ましい。
第二段階触媒として適切であると考えられる触媒としては、コバルト含有アンモニア酸化触媒、コバルト非含有アンモニア酸化触媒、およびこれらの混合物がある。これらの物質には、Au;担持PGM触媒;La2O3;Co3O4(必要に応じて少量のLiO2を含む);特定のスピネル(たとえばCoAl2O4);特定の置換ABO3物質;特定のペロブスカイト〔たとえばLaCoO3、A-部位の部分置換(たとえば最大で20モル%)がたとえばSrもしくはCeでなされているLaCoO3、あるいはB-部位の部分置換(たとえば最大で50モル%)がたとえばCuでなされているLaCoO3を含む〕;La2CoO4;アルミナ、トリア、セリア、酸化亜鉛、もしくは酸化セリウム上に担持されたCo3O4;希土類元素もしくはトリウムによって促進され、必要に応じてMn、Fe、Mg、Cr、もしくはNbの酸化物の1種以上を含有するCo3O4またはBi2O3;およびPtを担体上に含んだCoOx;が含まれる。第二段階触媒は、Co含有アンモニア酸化触媒(特に、Coと1種以上の希土類酸化物との混合物、最も好ましいのはWO98/28073に記載の物質)であってよい。
担持触媒の場合、こうした触媒は、従来の方法(一般には、含浸工程と焼成工程を含む)にしたがって製造することができる。このような担持触媒は、担体の全体にわたって分散された状態であってもよいし、あるいは表面スキン上に、または孔の中もしくは周りに存在していてもよい。しかしながら、触媒を付着させる方法は、本発明にとって重要なことであるとは思われない。燃焼フレーム溶射法を、あるいは真空プラズマもしくは大気プラズマ溶射法を使用する金属溶射によって、金属(特に白金族金属)を付着させることができる可能性について説明したい。このような方法により、表面積の大きい(多孔質の)金属層を、セラミック担体または均一な金属触媒担体上に付着させることができる。類似の技術を使用して卑金属酸化物を付着させることができる(特に、溶射が酸素もしくは空気の存在下にて行われるとき)。触媒の適切な組み込みは、特定の条件に対する実験によって確実に行うことができるが、白金族金属(通常はRhが好まれる)の場合は、一般には0.1〜10重量%であり、より適切には0.3〜5重量%であり、最も適切には0.5〜1.5重量%であり、そして卑金属の場合は、一般には1〜20重量%であり、より適切には5〜15重量%である。卑金属触媒は、少量の促進剤を含んでよい。
触媒担体は、低い圧力低下と相俟って充分な表面積をもたらすものであれば、いかなる耐熱金属担体もしくはセラミック担体であってもよい。適切な金属担体としては、耐熱性のステンレス鋼があり、これらのステンレス鋼は、触媒の付着性を向上させることができる不動態化成分〔“フェクラロイ(Fecralloy)”として知られている合金を挙げることができる〕を含んでよい。適切なセラミックとしては、アルミナ、アルミナ-シリケート、コージライト、ジルコニア、またはジルコン-ムライト等をベースとするセラミックがある。アルミナは、Rh第二段階触媒に対する好ましい担体のようである。金属担体は通常、発泡金属の形態でなければ本質的に多孔性を有していないけれども、表面積、および担体が、触媒を大きな表面積にわたって分散された状態で担う能力は、ウォッシュコート・コーティングによって改良することができる。適切なウォッシュコートとコーティング技術は、当業者には公知であり、アルミナ、ジルコニア、セリア、アルミナ-シリカ、ランタナ-アルミナ、およびこれらの混合物の1種以上を含んでよい。自動車排ガス規制触媒から知られているように、ウォッシュコートは、触媒表面積に寄与する(ウォッシュコートを高温で安定化させることを含む)だけでなく、触媒のより効果的な使用にも寄与することがある。したがって、ウォッシュコートは他の成分を含んでよく、これらの成分は一般には、1種以上の金属酸化物または混合金属酸化物(特に、遷移金属または希土類金属からの酸化物)である。
造形担体は、適切に造形されたセラミック担体のペレットまたは押出物(たとえば、シリンダー、リング、複数ホールのシリンダー、複数ローブの担体、または表面積が大きくて圧力低下の少ない他の造形担体)である。造形担体は、表面積の大きいモノリス〔たとえば、フロースルー(flow-through)のハニカムもしくはフォーム、またはセラミックの織布もしくは不織布〕であってもよい。現時点で好ましい担体は、“ラシッヒリング”としてよく知られている担体であり、これらの担体は、高度に多孔質であるのが望ましく、適切なサイズ(たとえば、5〜40mmの直径)を有するのが望ましい。これらの担体は、選択された触媒組成物中に含浸することもできるし、あるいは選択された触媒組成物で被覆することもできる。
第二段階触媒は、単独で使用することもできるし、あるいは触媒作用をもたない物質と混合して、または他の触媒を担っている物質と混合して使用することもできる。第二段階触媒は、モノリシック構造の触媒担体上に担持させる(付着させる)こともできるし、あるいは粒状物である場合は、金属グリッド上または金属グリッド間に担持させることもできる。
第一段階触媒と第二段階触媒との間に、中間層が配置されていてもよい。この中間層は不活性であってよく、触媒の一方もしくは両方に対する支持体として作用するか、あるいはある機能を有してよい。機能性中間層としては、ガス成分を吸収する中間層;ガス成分を、第一段階生成物もしくは第二段階生成物に関して、不活性であるか又は比較的無害である生成物に転化させる中間層;ガス成分を、NO生成物もしくはNOに転化される生成物に転化させる中間層;あるいはガス生成物を、第二段階の反応において望ましくない副反応を引き起こさない生成物に転化させる中間層;がある。たとえば、第二段階触媒が、大気成分(たとえばイオウ)やガス供給原料中に見られる他の物質(Fe,Se)に対して感受性である(たとえば不活性化される)場合、中間層は、アブソーバーもしくはゲッターとして作用してよい。この点で、我々が出願している同時係属の英国特許出願第0309747.4号の開示内容を参照により本明細書に含める。
必要に応じて、プレ第一段階層やポスト第二段階層などの他の構成成分を、触媒充填物または触媒パック中に組み込むことができる。このような層は、中間層の場合と同じように、不活性であっても、機能性であってもよい。機能性の層は、キャンペーン寿命(campaign lifetime)を向上させることがあり、またある意味では反応全体の質を向上させることがある。本発明の触媒充填物中の物理的層(physical layer)のほかに、本発明は、効率や他の面での性能を向上させるさらなる手段(触媒充填物自体から離れている場合もある)を含んでよい。たとえば、イオウの除去は、LaCo酸化物タイプの第二段階触媒に対しては有利であると考えられ、適切なイオウ除去保護層(a sulphur removal guard bed)の1つの例は、ランタナまたは類似の酸化物を含む。
第一段階触媒と第二段階触媒は同一ではないが、最先端の自動車触媒コーティング技術が適用されたモノリス等の支持体に一方または他方を担持させて、“縞模様の”触媒(この場合、同じモノリスに異なった触媒成分のバンドが施される)を得ることができる、と考えることができる。当然ながら、これを使用して、第一段階触媒と第二段階触媒を単一のモノリスに付着させることができ、このような構造物は、本発明の範囲内に含まれると考えるべきである。
本発明者らは、触媒充填物等の多くの実施態様を検討した。これらの実施態様は全て、本発明によるものと見なすべきであり、読者の理解の助けとなるよう下記にて説明する。言うまでもないことであるが、実施態様のうちの特定のものは、一部重複する場合もあるし、あるいは他の実施態様のサブセットである場合もある。そしてさらに言うまでもないことであるが、本発明がこれらの実施態様の説明に限定されることはない。
実施態様A. 〔第一段階のPt触媒もしくはPt合金触媒〕+〔第二段階のアンモニア酸化触媒〕(N2Oの形成を阻害するか、あるいは触媒作用的にN2Oを比較的無害の副生物に転化させる)。特に、(i)第一段階触媒が、担持されたPt触媒もしくはPt合金触媒であって、第二段階触媒がCoをベースとしており、および/または、本発明の方法が、第一段階触媒を通り過ぎた時点で、設計された特定のアンモニアスリップを組み込んでいる場合、あるいは(ii)Coをベースとしていない第二段階触媒とさらなる層との組み合わせ、またはN2O分解触媒の組み込み、の場合。実施態様A(i)は、供給ガス中のアンモニアの90〜99%を反応させるように設計された第一段階触媒と、低レベルのN2O(望ましくは500ppm未満のN2O、さらに望ましくは200ppm未満のN2O)を生成しつつアンモニアの残部を酸化する第二段階触媒とを組み合わせて含むのが望ましい。
実施態様B. 非ガーゼPGMの第一段階触媒(たとえば、第一段階触媒が担持されたPt触媒もしくはPt合金触媒であり、第二段階触媒がN2Oの分解に対して高い活性を有する場合)。
実施態様C. PtもしくはPt合金の第一段階触媒、および担持された白金族金属の第二段階触媒。
実施態様D. PtもしくはPt合金の第一段階触媒、第一段階触媒の下流部分もしくは第二段階触媒の上流部分における中間層または追加の構成成分。特に、中間層または追加構成成分が、第二段階触媒に及ぼすイオウ成分の影響を取り除くか又は減少させるための保護層として作用する場合。第二段階触媒は、Coをベースとするペロブスカイト触媒であるのが適切である。
実施態様E. 必要に応じて中間層を含んでよい第一段階触媒と第二段階触媒。第一段階からのアンモニアスリップが20〜99重量%(好ましくは50〜70重量%)の範囲となるように設計・操作される。特に、初期設計のアンモニアスリップがごくわずかであり、第二段階生成物のN2O含量が1600ppm未満(好ましくは500ppm未満)である場合。
実施態様F. PtもしくはPt合金の第一段階触媒とCoをベースとしない第二段階触媒。第二段階触媒の下流にてN2O分解触媒を床/層として組み合わせるか、あるいはN2O分解触媒を第二段階触媒内に組み込む。たとえば、第二段階触媒が担持された白金族金属触媒であって、N2O分解触媒がCoをベースとする触媒である。この実施態様(本質的に三層系)は、高収率のシステムやプロセスにとって特に有利であることが実証されている。
実施態様G. 第一段階触媒および第二段階触媒とPt捕集成分(Pdをベースとする捕集ガーゼが適切であり、たとえば、第二段階触媒の上流または下流に取り付けられる)とを組み合わせる。驚くべきことに、Pd捕集ガーゼはN2Oの生成に寄与することがあるけれども、アンモニアが第一段階触媒から第二段階触媒にスリップする本発明においては、Pdガーゼを下に(すなわち、第二段階触媒の下流に)配置すると、Pd捕集ガーゼを第一段階触媒と第二段階触媒との間に配置した場合と比較してN2Oの生成を減少させることがある、ということを我々は見出した。いかなるPd含有ガーゼも、Pt触媒の下流に配置すれば、Pt捕集効果を有するものと考えられる。しかしながら、捕集ガーゼは、パラジウムを10重量%より多く含有するのが好ましく、40重量%より多く含有するのがさらに好ましく、70重量%より多く含有するのが特に好ましい。Pdをベースとする捕集ガーゼは、少量(10重量%未満)の合金化元素(たとえば、Ni、Au、またはCo等)を含んでよく、そしてさらに白金を含んでもよい。代表的な捕集ガーゼは5%Ni:95%Pdである。Pd捕集ガーゼは、N2Oのレベルを減少させるように作製し、5重量%未満のロジウムを含むのが好ましい。好ましい捕集ガーゼは、パラジウム、白金、およびロジウムを含む。このようなガーゼは、8〜25重量%(好ましくは10〜20重量%)の白金を含んでよい。ある例の適切な捕集ガーゼ材料は、92重量%より多いパラジウム、2〜4重量%のロジウム、および残部の白金を含み、また別のある例の適切な捕集ガーゼ材料は、82〜83重量%のパラジウム、2.5〜3.5重量%のロジウム、および残部の白金を含む。
実施態様H. 第一段階触媒と、被覆された白金族金属である第二段階触媒あるいは第二段階触媒と白金族金属担持触媒との混合物。
実施態様I. 第一段階触媒と第二段階触媒。中間層(特に、イオウ防止保護床)を含み、そして第二段階触媒の下流に、特定のN2O分解触媒のさらなる床もしくは層を含む。
実施態様J. 第一段階触媒の上流に保護床(a guard bed)を含んだ触媒充填物。この保護床は、Ptに対する触媒毒であろうと、第二段階触媒に対する触媒毒であろうと、特に触媒毒を除去することがある。したがってこの保護床は、Fe、Si、Cl、Pb、As、S、およびP等の物質を除去することがある。
実施態様K. 第一段階触媒およびCoをベースとしない第二段階触媒と、下流の2つの床(特に、N2O分解触媒と捕集床)との組み合わせ。たとえば、第一段階触媒、白金族金属をベースとする第二段階触媒、CoをベースとするN2O分解触媒、およびPd捕集ガーゼ。
一般に、本発明を実証する上でなされる試験により、N2Oの高い転化率は、約850℃より高い温度(最良の第二段階触媒の場合よりは低い温度)で得られる、ということが示されている。このことから、活性の第一段階触媒を選択し、第二段階においてN2Oを分解すべく、ライトオフ温度(light-off temperature)(適切には少なくとも700℃、好ましくは少なくとも850℃)より高い温度が得られるよう触媒を設計・配置するのが好ましい、ということがわかる。したがって、高い割合(すなわち50容量%より多い量)のアンモニアを第一段階で酸化して、第二段階での効率的なN2O分解のための充分な発熱量を得るのが望ましい、と考えられる。
作業ベンチスケールの実施例、小さなパイロット規模の実施例、および実物大プラントでの試験の実施例に言及することによって本発明を説明する。
(実施例1:第二段階触媒サンプルの作製)
A. 従来の触媒作製法を使用して、工業用の多孔質γ-アルミナのラシッヒリング〔たとえば、セイント-ゴバイン・ノルプロ社(Saint-Gobain Norpro)から市販〕に0.1重量%のRhを含浸し、サンプルを乾燥・焼成し、そして圧潰して、250〜355ミクロンの粒径範囲に篩い分けした。
B. サンプルAの場合と同じリングに0.2重量%のRhを組み込んだ圧潰サンプルを、同様の方法で作製した。
C. 標準的なウォッシュコーティング法を使用して、0.5重量%のRhをアルミナに担持させた粉末触媒を、高度に多孔質のα-アルミナセラミックのラシッヒリングに施した。サンプルAの場合と同様に、乾燥し、焼成し、そして圧潰した。コーティングされた生成物上に対するRhの最終的な組み込み量は0.03重量%であった。
95%Pt5%Rhの編んだ単一ガーゼを使用して、空気中10%NH3を含有する供給流れに対して触媒反応を起こさせ、これによりNOx、N2O、スチーム、窒素、および未反応のNH3と酸素を含む第一段階生成物を得た。この第一段階生成物を、第二段階触媒A、B、およびCのそれぞれを収容するもう一つの反応器中に直接送った。この装置は、第二段階触媒上の温度を450〜800℃の範囲で変えることができ、出口流れの組成をN2Oに関して分析することができる、というような装置であった(得られた結果を図1に示す;転化率はN2Oの転化率を示している)。サンプルAと比較して、より組み込み量の多いサンプルBに対してより高い転化率が示されている。サンプルCに対する転化率がより低いということは、同等程度の結果を得るのには、より多くの量を使用する必要がある、ということを示している。
(実施例2)
高い処理量のパラレル反応器にて、種々の市販酸化物担体および工業所有権を有する酸化物担体(混合酸化物担体を含む)に担持された、従来の方法で作製される種々の金属触媒もしくは金属酸化物触媒を使用して、多くの試験を行った。N2Oの分解に対する試験から、下記のような結論が得られた。
1. 担持された卑金属酸化物触媒は活性が低いが、Ni(好ましくはCeO2担持Ni)は最も活性が高い;
2. PGM触媒の場合、同等の組み込み量において、Rh>Pd>Ir>>RuまたはPt;
3. 混合PGM触媒は、単一PGM金属触媒を凌ぐ利点を殆どもたらさないか、場合によっては劣ることがある;
4. 他の金属を加えると、Rhの性能が低下しやすい;
5. Rh触媒の絶対的な活性は担体に依存し、アルミナまたはセリア/アルミナ/ジルコニアが最良である;および
6. PtとRuは、“高い”組み込み量(>5%)において適度な活性を示す。
(実施例3)
実施例2からの最も活性の高いN2O分解触媒(アルミナ担持0.5%Rh)と、WO98/28073にしたがって製造したLaCeCo酸化物触媒とを、NOx、酸素、および水蒸気を含む代表的なガスにて種々の温度で、“フレッシュ”の場合、および使用済み触媒を示すべく空気中1000℃での熱水エージング後の場合において比較した。フレッシュなRh触媒は、約500℃から最良の性能を示し、約800℃にて100%の転化率に達した。しかしながら、エージングしたLaCeCo酸化物触媒は、900℃において90%より大きい転化率を示した。
(実施例4)
上記実施例からの好ましい担持触媒を、実験室においてアンモニア酸化に関して試験し、NOxへの転化率およびN2Oへの転化率を測定した。得られた結果を下記の表に示す。
下記の結果から、アンモニア酸化のみに関しては(N2O分解活性は無視する)、WO98/28073のLaCeCo酸化物は良好なアンモニア酸化性能を示し、N2Oの生成は少なく、試験した担持白金族金属触媒より良好である。白金族金属の活性は、N2O分解に対する活性の逆である。すなわち:
Pt>Pd>Rh
Pdは、NOxとN2Oに対する選択性が同等なので、高レベルのN2Oを生成する。
Figure 0005222473
(実施例5)
本発明の触媒充填物〔“Prolok”95%Pt5%Rhの編んだ6枚の触媒ガーゼからなる、ジョンソン・マッテーイ(Johnson Matthey)から市販、第二段階触媒(“本発明”)としてのWO98/28073によるLaCeCo酸化物の3mm円筒状ペレットで構成される50mm床の上流に据え付けられた第一段階触媒として〕を、同じ6枚組みの“Prolok”ガーゼ(“比較品”)の床と比較した。工業的なアンモニア酸化プラントをシミュレートする条件(200℃での予熱、4.5バールの絶対圧力にて空気中10.5%のNH3、および供給原料の流量7.7m3/hr)にて、内径40mmの管状反応器中を使用して30日にわたって試験を行った。
赤外線・UV-vis分光分析を使用して、乾燥生成物ガス中の[NO]濃度、[NO2]濃度、および[N2O]濃度を測定した。赤外線分光分析を使用して、ガス状供給物中の[NH3]濃度を測定した。下記の式を使用して、窒素収支に基づいて触媒の効率を算出した:NOxに対する効率=[[NO]+[NO2]]/[NH3] (反応でのモル体積変化に対する補正を含む)
得られた結果を考察することで下記のような結論を導き出すことができた:
ライトオフ(Light off): 本発明は比較品よりはるかに良好である;
効率: 本発明は比較品と同等である;
N2Oの生成: 本発明での程度は比較品より良好である;
SO2に対する耐性: 本発明は、比較品と同程度の耐性である(24日めから50ppbのSO2が加えられる*);
N2Oの分解: 21日めから供給物に100ppmが加えられる-本発明では、全てのN2Oが分解される;比較品ではごくわずかな分解。
*プラントでの典型的なSO2レベルは5ppbであり、したがってこの試験は加速効果をもたらす。
(実施例6)
アンモニアの濃度が10%±0.5%であること、本発明の充填物が3枚のProlokガーゼと、同じ第二段階触媒の深さ25mmの床からなること以外は、実施例5と同じ条件下にて、30日間にわたるさらに一対の試験を行った。
結論は下記のとおりであった:
ライトオフ: 本発明は比較品より良好である;
効率: 比較品のほうが本発明より約1%良好である;
N2Oの生成: 本発明での程度は比較品より良好である;
N2Oの分解: 11、12日めに100ppmのN2Oが導入される。本発明では、約60%が分解され、比較品での分解はゼロである;
SO2に対する耐性: どちらも効率に対する影響はないが、本発明の場合は、11日を超えると、N2Oのレベルが180ppmのベースラインから約800ppmまで上昇する。比較品の場合は、N2Oレベルに対する影響はない;
SO2の回収: 700ppmのN2Oレベルにまで回復。
(実施例7)
4枚のProlokガーゼと、同じ第二段階触媒の深さ50mmの床とを組み合わせて使用し、同じ装置に対して同じ比較品触媒を使用して、さらに一対の試験を行った。試験条件は種々の工業プラントをモデルとした:圧力は10バール絶対圧であり;流量は10m3/hrであり;アンモニアの濃度は10%であり;そして予熱温度は237℃であった。
結論は下記のとおりであった:
ライトオフ: 本発明は比較品より良好である;
効率: 比較品のほうが本発明より約1.5%良好である;
N2Oの生成: 本発明での程度は比較品より良好である;
N2Oの分解: 18日めから100ppmを導入;比較品は影響を受けなかったが、本発明では100%分解した;
SO2に対する耐性: 19日めに50ppbのSO2を導入。効率には影響がなかったが、N2Oのレベルが徐々に上昇した。
(実施例8)
比較品が、1枚のProlokガーゼを5mmのペレット化アルミナ上に配置してなること、そして本発明が、1枚のProlokガーゼを50mmのLaCeCo酸化物ペレット上に配置してなること以外は、実施例5と同じ条件下にて、24日間にわたるさらに一対の試験を行った。これらの配置構成物は、PGM触媒の組み込み量の大幅な減少と、第二段階触媒への高レベルのアンモニアスリップを示す。
結論は下記のとおりであった:
効率: 本発明は比較品より約12%効率が高い;
N2Oの生成: 本発明での程度は比較品より低い;
N2Oの分解とSO2の耐性については試験しなかった。
(実施例9)
実施例8に記載の方法にしたがってさらに一対の試験(どちらも本発明にしたがう)を行った。5重量%のNi-Pd合金を含んだPd捕集ガーゼを、単一のProlokシートと50mmのLaCeCoO3ペレットとの間に(集成体1)、あるいはLaCeCoO3ペレットの後に(すなわち下流に)配置した(集成体2)。
結論は下記のとおりであった:
効率: 集成体2は、集成体1より約4%良好である;
N2Oの生成: 集成体2>集成体1。しかしながら、その程度はどちらも比較品より低い;
N2Oの分解: 測定せず;
SO2の耐性: 集成体2>集成体1。
(実施例10)
アンモニアを、内径28mmの管状の実験室反応器にて空気で酸化した。反応条件は下記のとおりであった:
流量: 空気-アンモニア混合物を3.3±0.1m3/hr;
組成: 10.5±0.3%NH3;
予熱温度: 203℃;
圧力と出口温度を下記の表に示すように変えた。
質量分析計を使用して、生成物ガス中のNO、NO2、およびN2Oの組成を分析した。赤外分光光度計を使用して、ガス状供給物中の[NH3]濃度を測定した。下記の式を使用して、窒素収支に基づいて触媒の効率を算出した:NOxに対する効率=[[NO]+[NO2]]/[NH3] (Arを内部標準として使用して、反応でのモル体積変化に対する補正を含む)
反応器中に配置された触媒集成体は、下記のいずれかを含んだ:
a) 1枚の76μm白金-ロジウムガーゼ(NitroLok95:5、ジョンソン・マッテーイ社から市販)を50mmのLa0.8Ce0.2CoO3ペレット(3mm)上に配置、または
b) 2枚の白金-ロジウムガーゼを使用して実施例10aの繰り返し、または
c) 1枚の76μm白金-ロジウムガーゼを、実施例1に記載の方法にしたがって作製した25mmのアルミナ担持0.5重量%Rh触媒上に配置、または
d) 2枚のPd:Ni(95:5)捕集ガーゼをPt酸化触媒とRh/Al2O3酸化触媒との間に配置する、という形での実施例10cの繰り返し。
15〜21時間にわたって試験を行った。定常状態の条件下にて3〜5時間にわたって得られた結果を下記の表に示す。
Figure 0005222473
同じ装置を使用して同様の条件下で比較すると、4枚の白金-ロジウムガーゼは2345ppmのN2Oを生成する(90.0%の効率にて)。さらに、1枚の白金-ロジウムガーゼの下に配置された50mmのペレット化CuAl2O4(亜酸化窒素分解触媒)は、わずか58%の効率しか示さず、278ppmのN2Oを生成する。したがって、本発明の触媒集成体は、高い効率と少ないN2O生成との組み合わせをもたらすことができ、このとき白金の量はかなり少なくて済み、この結果、第一段階触媒と第二段階触媒との間でアンモニアのスリップが起こる。
(実施例11)
6枚のPt:Rh(92:8)(ジョンソン・マッテーイ社からNitrolok800およびNitrolok760として市販)、4枚のPt:Rh(95:5)(ジョンソン・マッテーイ社からProlok750として市販)、および1枚のPt:Rh:Pd(90:5:5)(ジョンソン・マッテーイ社からNitrolok820として市販)からなる第一段階触媒(総重量24.25kg)と、WO98/28073にしたがって作製したペレット化La1-xCexCoO3の深さ100mmの床からなる第二段階触媒(4孔ペレットの形態、480kg)とを含んだ触媒集成体を使用して実物大のプラント試験を行った。
プラントの運転パラメータは下記のとおりであった。
Figure 0005222473
結果は下記のとおりであった。
スタート効率94%(これは、一般的に使用されるPtガーゼのみの単一段階法と同等である)。エンド効率90%(90日にて、設計キャンペーンの長さ):平均効率92%(90日にて)。本発明による燃焼排ガス中の平均N2Oは154ppm、Ptガーゼのみの単一段階法に対する463ppmに比較して少ない。したがって本発明は、N2Oの生成量を50%以上も減らしている。Ptガーゼのみの単一段階法は余分な15kgの白金触媒を必要とし、このことは本発明が、触媒集成体に対して相当量の白金節減をもたらすということを示している。実際の試験継続時間は、90日の設計と比較して112日であった(112日での平均効率は91%であった)。したがって本発明は、キャンペーン長さにおいて20%以上の増大をもたらした。試験後のガーゼを調べることにより、アンモニアが第一段階触媒からコバルト触媒へとスリップしていることが示された。白金触媒からの重量損失を算出することによって、全アンモニア酸化の29.3%がLa1-xCexCoO3触媒によって起こっていることがわかった。

Claims (7)

  1. アンモニア源と酸素源との混合物を含む供給ガスを触媒上に通すこと、および700〜1000℃の温度で操作することを含み、表面積の大きい白金族金属触媒を含むアンモニア酸化用の第一段階触媒上に供給ガスを通して、アンモニアの20〜99%の転化率を達成し、かつ窒素酸化物、酸素および未反応アンモニアを含む第一段階生成物を得て、前記第一段階生成物をアンモニア酸化用の第二段階触媒上に通してアンモニア酸化を完全に行ってごく少量の未反応アンモニア及び500ppm未満のN2Oを含む第二段階生成物を得ることを特徴とし、
    第二段階触媒が、LaCoO3Laの最大で20モル%の部分置換がSrもしくはCeでなされているLaCoO3、Coの最大で50モル%の部分置換がCuでなされているLaCoO3、およびLa2CoO4よりなる群から選択される、N2O分解触媒として有効であるコバルト含有アンモニア酸化触媒である、
    アンドリュッソー法を含むアンモニア酸化法。
  2. 700℃以上の第二段階温度が確実に得られるように操作する、請求項1に記載の酸化法。
  3. 第二段階触媒が第二段階温度において80%より多いN2Oを分解するのに有効である、請求項1またはに記載の酸化法。
  4. 無害化された形態の触媒毒を吸収するか又は無害化された形態の触媒毒に転化させること;第一段階触媒から移動される白金を吸収または捕集すること;および第二段階生成物中に存在するN2Oを触媒作用によって分解させること;から選択される1つ以上の追加段階を使用することを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化法。
  5. 第一段階触媒と第二段階触媒の間にパラジウムを含有する捕集ガーゼを配置する、請求項4に記載の酸化法。
  6. 捕集ガーゼが5重量%未満のロジウムを含む、請求項5に記載の酸化法。
  7. 編んだガーゼまたは織ったガーゼの形態の表面積の大きい白金族金属触媒を含む第一段階触媒と、粒状物またはモノリス上に担持されたアンモニア酸化用の第二段階触媒を含む、アンモニア酸化用の触媒充填物であって、
    該触媒充填物が700〜1000℃の温度で操作されるように設計・構成され、ここで第一段階触媒はアンモニアの20〜99%の転化率を達成し、かつ窒素酸化物、酸素及び未反応アンモニアを含む第一段階生成物を得るように設計・構成され、そして第二段階触媒はアンモニア酸化を完全に行ってごく少量の未反応アンモニア及び500ppm未満のN2Oを含む第二段階生成物を得るように設計・構成されており、
    第二段階触媒が、LaCoO3、Laの最大で20モル%の部分置換がSrもしくはCeでなされているLaCoO3、Coの最大で50モル%の部分置換がCuでなされているLaCoO3、およびLa2CoO4よりなる群から選択される、N2O分解触媒として有効であるコバルト含有アンモニア酸化触媒である、
    前記のアンモニア酸化用の触媒充填物。
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