JP5221962B2 - シート切断装置 - Google Patents
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しかし、上述の切断工程においては、図10に示すように、切断刃6の先端部はシート材Sを突き抜けて下方の平坦面4に当接するから、例えば、前記平坦面4が、別のシート材や、傷の付き易い材料で形成されている場合、上に重なったシート材Sの切断軌跡に沿って前記平坦面4も、切れたり傷ついたりする危険性がある。
従って、これを防止するために、図11に示すように、予め、シート材Sの切断予定軌跡の下方に、例えば、金属板や他の材料で形成された下敷き部材20を配置しておき、その状態で前記シート材Sの切断を行わなければならなかった。
従って、下敷き部材を平坦面とシート材との間に配置しておく手間や、シート材の切断の後、その下敷き部材を抜きとらなければならず、切断に手間が掛かるという問題点があった。そして、切断距離が長い場合には、この下敷き部材の設置作業や抜き取り作業を何回も繰り替えさなければならないから、より手間が掛かっていた。
即ち、ガード部材を備えてあるから、シート材の切断時には、前記シート材と前記平坦面との間でガード部材が平坦面を切断刃からガードすることができ、その状態のままシート材の切断を行うことができる。
従って、従来のように、シート材の切断時に、下敷き部材を平坦面とシート材との間に予め配置しておいたり、シート材の切断の後、その下敷き部材を抜き取ったりする必要が無くなり、シート材の切断作業を効率よく実施することが可能となる。
そして、このような作用効果は、切断距離が長い場合でも同様に期待できるから、連続して切断作業を実施することができ、従来に比べて、より切断作業の効率の向上を図ることが可能となる。
従って、前記平坦面に対する応力集中を防止でき、前記平坦面への傷つけをより一層防止し易くなる。更には、平坦面に対する単位面積当たりの接当圧を少なくでき、当該シート切断装置を平坦面上を滑らしてスムースに摺動させることが可能となり、切断操作力をより低減でき、小さい力でシート材を切断することが可能となる。
更には、前記ガード部材が、平坦面上に面接当した状態で切断方向に沿って移動できるから、装置本体にそれぞれ一体的に設けられている切断刃に関しても同様に、平坦面に沿って安定した姿勢を維持した状態でシート材の切断を実施することが可能となる。その結果、切断方向が狂いにくく、且つ、より好ましい状態での切断を叶えることが可能となる。
また、板状部材で構成されているガード部材が、切断方向に沿って細長いから、平坦面上を当該シート切断装置が移動する際に、平坦面上に多少の起伏があっても、その起伏に沿って乗り越えやすくなり、あたかも「スキー板」のような挙動によって、平坦面上の移動をよりスムースに行うことが可能となる。
即ち、スムースに切断操作を行うことが可能となる。
また、前記取付部に取付方向変更手段を設けてあるので、操作する人が操作しやすい方向にハンドル部の傾斜姿勢を変更することができ、より操作性を向上させることができる。ここで言う操作しやすい方向とは、一例としては、操作する人の利き腕に合った方向であったり、切断経路の側方に障害物(例えば、立ち上がり壁等)がある場合はそれを避けた方向を意味する。
本発明の第2の特徴構成は、平坦面上に重ねた状態のシート材を切断自在な切断刃を、装置本体に設けてあるシート切断装置であって、前記切断刃による前記シート材の切断方向に沿って前記装置本体を進行操作して前記切断刃で前記シート材を切断させるハンドル部を、前記装置本体と一体的に設けてあり、前記装置本体には、前記切断刃によるシート材の切断時に前記シート材と前記平坦面との間に位置することで前記平坦面を切断刃からガードするガード部材が一体に設けてあり、前記ガード部材は、前記切断方向に沿って細長く、且つ、前記平坦面上に面接当自在な板状部材で構成してあると共に、前記切断方向での先端部に、下面が先端側ほど上がった傾斜面部を形成してあり、前記ガード部材より上方に離間させて、前記ガード部材より幅広の板部が設けてあり、前記板部の側縁部の端面部には、接当物に対する摩擦軽減材が設けてあるところにある。
勿論、切断対象のシート材は、上述のような状況に設置される防水シートに限るものではなく、他の箇所に設置される防水シートであったり、全く異なる環境下で切断される他のシート材であってもよく、それらを総称してシート材という。
そして、屋上スラブ1上には、平坦なスラブ面に沿わせてスラブ防水シート3が敷設されている。従って、本発明においていう平坦面4とは、当該実施形態においては、このスラブ防水シート3の表面を指す。但し、平坦面4といえども、多少の起伏や、スラブ防水シート3どうしの重ね継手の盛り上がり等は存在するもので、それらを含めて平坦面と総称している。
一方、立ち上がり壁2の内周壁面にも壁防水シート(シート材の一例)Sが接着してあり、前記スラブ防水シート3の端縁部上に、壁防水シートSの下縁部を接着一体化することで、屋上スラブ1と立ち上がり壁2とに渡った一連の防水層が形成されている。
当該シート切断装置Kは、スラブ防水シート3上に壁防水シートSを接着する前に、下縁部を切り揃えるのに使用することができる。
即ち、図1、図2に示すように、スラブ防水シート3の平坦面4上に、壁防水シートSを重ねた状態でその壁防水シートSを切断して、スラブ防水シート3に対する端部重なり幅寸法Bが所定の寸法となるように切り揃えるものである。従って、壁防水シートSの切断ラインは、平面視において立ち上がり壁2の内周面ラインに対して前記端部重なり幅寸法Bだけ離間した平行線の位置に設定される。
シート切断装置Kは、金属製で、図4、図5に示すように、上下に隙間を空けて並設された一対の板部5A、5Cと、それら板部5A、5Cどうしを一体に連結する連結部5Bとを備えた装置本体5、及び、切断刃6、及び、ハンドル部7を設けて構成してある。
そして、下方の板部5Cにおける前記切断方向の後端側で、前記連結部5Bを介して前記上方の板部5Aと一体化が図られている。
また、切断方向の前端側における幅方向中間部には、前記切断刃6の先端部が嵌入自在な凹溝8が形成してあり、前記壁防水シートSの切断時には、この凹溝8内に切断刃6の先端部が嵌入できる。この凹溝8内に切断刃6の先端を嵌入させた状態で切断すると、切断刃6の上下両端部が支持されることで撓み難くなり、安定した姿勢で切断を進めることができ、予定した切断ラインに沿って真っ直ぐに切ることが可能となる。
また、切断刃6と前記スラブ防水シート3との間に、当該下方の板部5Cが位置していることで、スラブ防水シート3の平坦面4を切断刃6からガードすることができる。因みに、当該、下方の板部5Cによって、本発明に係わるガード部材が構成されている。
一方、下方の板部5Cの下面には、前記スラブ防水シート3上を滑らせて移動する際の摩擦抵抗を軽減できるように、例えば、テフロン(商品名)等の摩擦軽減材mを貼着してある。また、下方の板部5Cの切断方向の前端部は、下面が先端側ほど上がった傾斜面部9として形成してあり、前記スラブ防水シート3上を滑らせて切断方向に移動する際に、スラブ防水シート3の重ね継手の盛り上がり部分や、多少の起伏等があっても、前記傾斜面部9によって乗り越えていけるように構成されている。
そして、上方の板部5Aにおける切断方向の後端側で、前記連結部5Bを介して前記下方の板部5Cと一体化が図られている。
また、切断方向の前端側における幅方向中間部には、前記切断刃6の刃取付部10が設けてあり、図に示すように、別体の切断刃6を上方から下方へ貫通状態に挿通させてボルト固定できるように構成されている。
そして、この刃取付部10は、挿通した切断刃6の刃の稜線が下方側ほど切断方向前方側に位置する傾斜姿勢となるように設計されている。従って、前記下方の板部5Cの凹溝8の位置より後方側に刃取付部10の刃挿通部が配置されている。
前記上下の板部5A、5C間に壁防水シートSを位置させて、切断方向に沿って当該装置本体5を移動させると、前記切断刃6によって壁防水シートSを切断することができる。その際、切断刃6の姿勢が、上述のとおり上向きの傾斜姿勢となっているので、壁防水シートSを、下方のスラブ防水シート3より浮かせながら切断することができ、その結果、両シート間に隙間を形成して、前記下方の板部5Cが進入しやすくすることができ、切断方向への装置本体5のスライド抵抗を低減することが可能となる。
また、上方の板部5Aの側縁部の端面部には、下方の板部5Cの下面に貼着してある摩擦軽減材mと同様に、摩擦軽減材mを貼着してある(図5参照)。これによって、上方の板部5Aの側縁部を、前記立ち上がり壁2の表面に重なっている壁防水シートS表面に沿わせて切断方向に移動させることで、立ち上がり壁2を切断移動のガイドとして利用する際に、スムースに移動することができるようになる。
尚、上方の板部5Aは、前記壁防水シートSの切断時に、切断刃Sによって浮かせたシート材がそのまま上昇し続けるのを阻止する働きもあり、シート材を切断刃Sの好ましい切断位置から逸脱しないように抑止している。当該上方の板部5Aによって、本発明に係わる上昇阻止部が構成されている。
また、上方の板部5Aにおける前記連結部5Bとの連結箇所と、前記切断刃6の刃取付部10との間には、前記ハンドル部7が取り付けてある。
具体的には、ハンドル部7の下端部に、円板形状の取付板11aが形成してあり、取付板11aの下面中央部には、円形断面の回転軸部11bが下方へ突出状態に設けてある。そして、取付板11aには、固定用ボルト11cが螺合してある。一方、取付部11に対応する上方の板部5Aの部分には、前記回転軸部11bが回転自在な状態に嵌入自在な嵌入穴11dが形成してあると共に、前記固定用ボルト11cが螺合するボルト穴11eが形成してある。
そして、ボルト穴11eは、ハンドル部7の上記各姿勢によって固定できるように、三つ形成してある。これらのボルト穴11eの内、一つを選択して固定用ボルト11cを螺合固定することで、ハンドル部7を、前方傾斜姿勢、又は、右前方傾斜姿勢、又は、左前方傾斜姿勢にセットすることができる。前記複数のボルト穴11eと、固定用ボルト11cとで、前記取付方向変更手段Tが構成されている。
従って、従来のように、シート材の切断時に、下敷き部材をシート材の下に予め配置しておいたり、切断の後に下敷き部材を抜き取ったりする必要が無くなり、シート材の切断作業を効率よく実施することが可能となる。
以下に他の実施の形態を説明する。
また、切断対象のシート材は、防水シートに限るものではなく、防水以外の用途として形成されているものであってもよい。また、材質は、紙材や布材や合成樹脂材やその他の材料の単独又は複合によって形成したものであってもよく、それらを含めてシート材と総称する。
そして、当該シート切断装置を載置した状態で移動させる平坦面としては、先の実施形態で説明した防水シートによって構成されたものに限らず、他用途のシート材であったり、もしくは、シート材以外にも、下地そのものであってもよく、それらを含めて、平坦面という。
〈2〉 当該シート切断装置Kは、先の実施形態で説明したように、切断刃6を取り付けた上方の板部5Aと、間隔をあけて下方に位置する下方の板部5Cとを備えた構成に限るものではない。
その別実施例の一例は、例えば、切断刃6を下方の板部5Cに対して、上方へ突出する状態に一体的に取り付けてあってもよい(例えば、図6参照)。
また、上方の板部5Aは、必ずしも設けておかなくてもよい。
更には、上方の板部5Aに関する形状変更も可能で、板状に形成することに限るものではない。
一方、切断刃6の姿勢は、先の実施形態で説明したように、上下に延びる刃の稜線が下方側ほど切断方向前方側に位置する傾斜姿勢として設けるものに限らず、前記稜線が直立する姿勢であったり、稜線が上方側ほど切断方向前方側に位置する傾斜姿勢として設けるものであってもよい(例えば、図6、図7参照)。
〈3〉 前記ハンドル部7は、先の実施形態で説明したように、前記装置本体5に対して一方向に傾斜した状態に取り付けてあるものに限らず、直立状態に取り付けてあってもよい。
また、傾斜した状態に取り付ける場合、必ずしも傾斜方向を変更自在な取付方向変更手段Tを設けてなくてもよい。
そして、取付方向変更手段Tを設ける場合、先の実施形態で説明したように、上方の板部5Aに設けた複数のボルト穴11eと、前記取付板11aに設けた固定用ボルト11cとで構成することに限らず、図8に示すように、ボルト穴11eに替えて、挿通できる上方の板部5Aに形成した円弧軌跡上の長穴11fと固定用ナット11gとを設け、前記固定用ボルト11cを長穴11fに挿通させて、円弧軌跡上の任意の位置でハンドル部7を固定して傾斜方向を変更固定できるように構成するものであってもよい。
〈4〉 前記傾斜面部9は、先の実施形態のように、下方の板部5Cの切断方向の前端部下面をソリ型に形成したものに限らず、例えば、図9に示すように、帯板状の前記下方の板部5Cの前端縁部に、丸棒Rを沿わせて一体化し、その丸棒Rの外周面によって当該傾斜面部9を構成するものであってもよい。この場合、前記下方の板部5Cの削り加工等を省略でき、より簡単に傾斜面部を形成することができる。
〈5〉 当該シート切断装置Kに関する先の説明では、屋上スラブ上に載置して使用する形態を説明したから、その位置関係に伴って上下という表現を使用しているが、例えば、壁の表面に沿わせてシート切断を行う場合は、上下方向は横方向に変化するものであり、本装置の使用形態は、水平面上に載置して使用するものばかりに限定されない。
5 装置本体
5A 上方の板部(上側阻止部の一例)
5C 下方の板部(ガード部材の一例)
6 切断刃
7 ハンドル部
9 傾斜面部
11 取付部
S 壁防水シート(シート材の一例)
T 取付方向変更手段
Claims (2)
- 平坦面上に重ねた状態のシート材を切断自在な切断刃を、装置本体に設けてあるシート切断装置であって、
前記切断刃による前記シート材の切断方向に沿って前記装置本体を進行操作して前記切断刃で前記シート材を切断させるハンドル部を、前記装置本体と一体的に設けてあり、前記装置本体には、前記切断刃によるシート材の切断時に前記シート材と前記平坦面との間に位置することで前記平坦面を切断刃からガードするガード部材が一体に設けてあり、前記ガード部材は、前記切断方向に沿って細長く、且つ、前記平坦面上に面接当自在な板状部材で構成してあると共に、前記切断方向での先端部に、下面が先端側ほど上がった傾斜面部を形成してあり、前記ハンドル部は、前記装置本体に対して一方向に傾斜した状態に取り付けてあり、その取付部には、前記装置本体の平面視における前記ハンドル部の取付方向を変更自在な取付方向変更手段が設けてあるシート切断装置。 - 平坦面上に重ねた状態のシート材を切断自在な切断刃を、装置本体に設けてあるシート切断装置であって、
前記切断刃による前記シート材の切断方向に沿って前記装置本体を進行操作して前記切断刃で前記シート材を切断させるハンドル部を、前記装置本体と一体的に設けてあり、前記装置本体には、前記切断刃によるシート材の切断時に前記シート材と前記平坦面との間に位置することで前記平坦面を切断刃からガードするガード部材が一体に設けてあり、前記ガード部材は、前記切断方向に沿って細長く、且つ、前記平坦面上に面接当自在な板状部材で構成してあると共に、前記切断方向での先端部に、下面が先端側ほど上がった傾斜面部を形成してあり、前記ガード部材より上方に離間させて、前記ガード部材より幅広の板部が設けてあり、前記板部の側縁部の端面部には、接当物に対する摩擦軽減材が設けてあるシート切断装置。
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