JP5219147B2 - 色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の治療薬 - Google Patents

色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の治療薬 Download PDF

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Description

本発明は、色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の治療薬に関する。より具体的には、色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の増殖を抑制し、手術後の再発を予防する治療薬に関する。
色素性絨毛結節性滑膜炎と腱鞘骨巨細胞腫は同一疾患群に属し、炎症性疾患とも腫瘍性疾患とも呼ばれているが原因は不明である。これらは関節リウマチとは全く異なる疾患群であり、病理組織学的に滑膜の増殖、ヘモジデリンの沈着、巨細胞の出現を特徴としている。関節に発症すると色素性絨毛結節性滑膜炎といわれ、腱鞘に発症すると腱鞘骨巨細胞腫といわれる。これら疾患では関節破壊や骨浸潤が認められる。色素性絨毛結節性滑膜炎は100万人に3〜4人に発症する程度と言われているが、今のところ治療方法は手術による切除しかなく、またその30〜40%には再発がみられるといった問題がある(例えば下記非特許文献1、2参照)。
Adam Greenspan著、守屋秀繁、北原宏、富田勝郎訳、「整形外科放射線診断学」、原著3版、南光堂、南光堂、2004年、p.743 鈴木昌彦、「専門医トレーニング講座(画像偏)・54」、2002年、第37巻、第7号別冊、p849−852
そこで、本発明は、上記課題を鑑み、色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の有用な新規治療薬を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題につき鋭意検討を行っていたところ、ミゾリビンが色素性絨毛結節性滑膜炎と腱鞘骨巨細胞腫由来の細胞からのサイトカインの放出を抑制し、また、RANKL(receptor activator of NF−κB Ligand)の発現を低下させ破骨細胞の活性化を抑えて骨破壊を防ぐことを発見し、本発明を完成させるに至った。
即ち、上記課題を解決する一手段に係る色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の治療薬は、ミゾリビンを含有する。ここで「ミゾリビン」とは、4−カルバモイル−1−β−D−リボフラノシル−イミダゾリウム−5−オレイトをいう。
また、本手段において、限定されるわけではないが、治療薬はミゾリビンを50mg以上1g以下の範囲内で含んでなることが好ましい。
以上のとおり本発明は、ミゾリビンを含有している。ミゾリビンは色素性絨毛結節性滑膜炎と腱鞘骨巨細胞腫由来の細胞からのサイトカインの放出を抑制し、また、RANKLの発現を低下させることで破骨細胞の活性化を抑制し骨破壊を防ぐことが可能であり、色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の有用な治療薬となる。
細胞+mediumにミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度で添加して48時間培養後にMTT assayを用いて細胞障害性を検討した結果を示す図である。 細胞+medium+LPS(Lipopolysaccharide)10μg/mLで刺激してミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度でそれぞれ添加して48時間培養後にMTT assayを用いて細胞障害性を検討した結果を示す図である。 細胞+medium+TNFα(Tumor necrosis factor−α)1000U/mLで刺激してミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度でそれぞれ添加して48時間培養後にMTT assayを用いて細胞障害性を検討した結果を示す図である。 細胞+medium+IL−1β(Interleukin−1β)1000U/mLで刺激してミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度でそれぞれ添加して48時間培養後にMTT assayを用いて細胞障害性を検討した結果を示す図である。 細胞+mediumにミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度でそれぞれ添加したときにどの程度Interleukin−6産生を抑制するかを検討した結果を示す図である。 細胞+medium+LPS 10μg/mLで刺激してミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度でそれぞれ添加したときにどの程度Interleukin−6産生を抑制するかを検討した結果を示す図である。 細胞+medium+TNFα 1000U/mLで刺激してミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度で添加したときにどの程度Interleukin−6産生を抑制するかを検討した結果を示す図である。 細胞+medium+IL−1β 1000U/mLで刺激してミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度でそれぞれ添加したときにどの程度Interleukin−6産生を抑制するかを検討した結果を示す図である。 細胞+medium+LPS 10μg/mLで刺激してミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度でそれぞれ添加して48時間培養し、その後細胞を集めてRNAを抽出し、Real−time PCRで各サンプル中に存在するRANKLのmRNA量を比較した結果を示す図である。 細胞+medium+TNFα 1000U/mLで刺激してミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度でそれぞれ添加して48時間培養したし、その後細胞を集めてRNAを抽出し、Real−time PCRで各サンプル中に存在するRANKLのmRNA量を比較した結果を示す図である。 細胞+medium IL−1β 1000U/mLで刺激してミゾリビンをそれぞれ1,10,100μg/mLの濃度で添加して48時間培養し、その後細胞を集めてRNAを抽出し、Real−time PCRで各サンプル中に存在するRANKLのmRNA量を比較した結果を示す図である。 細胞をIL−1β 1000U/mLで刺激して、ミゾリビンを10μg/mLの濃度で添加して72時間培養し、その後細胞を集めて溶解し、免疫沈降法及び電気泳動法により、各サンプル中に存在するRANKLタンパク量を比較した結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であることはいうまでもない。
本実施形態に係る色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の治療薬(以下「本治療薬」という。)は、ミゾリビンを含有してなることを特徴とする。ミゾリビンは、色素性絨毛結節性滑膜炎と腱鞘骨巨細胞腫中の細胞のRANKLの発現を低下させることで破骨細胞の活性化を抑制して骨破壊を抑制することができ、色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の治療薬となる。
実際にミゾリビンは、濃度依存性に色素性絨毛結節性滑膜炎由来細胞の増殖とInterleukin−6産生を抑制し、さらに該細胞のRANKL発現も抑制した。Interleukin−6は、B細胞分化因子として発見されたサイトカインの一種であり、多くの炎症反応発現に関与し、B細胞を分化させ抗体産生を促すほか、Interleukin−3との相乗効果に基づいた増殖促進作用を有することが知られている。このように、Interleukin−6はさまざまな炎症性疾患や自己免疫疾患などの病態と関連をもつことが明らかになってきている。RANKLは TNF−α スーパーファミリーに属する膜結合型のサイトカインであり、主に骨芽細胞やT細胞上に発現する。骨芽細胞やT細胞上のRANKLが前駆破骨細胞に発現するRANKに結合することにより前駆破骨細胞は破骨細胞へと分化・成熟し増殖する。また、RANKLの発現がInterleukin−1やプロスタグランジンEなどの炎症メデイエーターによって誘導されることが知られており、これらの炎症性メデイエーターによるRANKLの過剰産生が炎症局所における破骨細胞の増殖や活性化を招き、炎症性骨吸収を引き起こすと考えられている。したがって、ミゾリビンを使用して、病変部位の細胞の増殖、Interleukin−6産生、及び該細胞のRANKL発現を抑制することにより、炎症反応、破骨細胞の増殖や活性化、及び炎症性骨吸収を抑制でき、それにより色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の治療を実施できる。このようにミゾリビンは、滑膜細胞の増殖の抑制剤、滑膜細胞のInterleukin−6産生阻害剤、滑膜細胞のRANKL発現阻害剤、並びに色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の治療薬として使用できる。
本治療薬は、ミゾリビンの他、薬学的に許容しうる通常の担体や、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝材、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を含有することができる。また、本治療薬は、ミゾリビンに加えて、その他の化合物を活性成分として含んでいてもよい。
薬学的に許容しうる通常の担体や調剤用配合成分として、例えば水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトースなどが挙げられる。これらは、剤形に応じて適宜1種類又は2種類以上を組み合わせて使用される。
また本治療薬は、経口的又は非経口的に投与することができる。非経口経路として、通常の静脈内投与、動脈内投与の他、皮下、皮内、筋肉内などへの投与を挙げることができる。経口的な投与としては、通常用いられる投与形態、例えば錠剤、丸剤、粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液などとして投与する形態を採用することができる。非経口的な投与としては、通常用いられる投与形態、例えば水溶液製剤、乳剤、懸濁液、リポソーム製剤などにしたものをそのまま又は注射によって局所的に投与する形態が採用できる。また本治療薬は、持続性又は徐放性剤形として調製することができる。
本治療薬の用量範囲は特に限定されず、含有される成分の有効性、投与形態、投与経路、疾患の種類、対象の性質(体重、年齢、病状及び他の医薬の使用の有無など)、及び担当医師の判断などに応じて適宜選択される。例えば経口投与の場合1日当り50mg以上1g以下の範囲内で投与することが好ましく、より好ましくは300mg以上600mgの範囲内である。しかしながら、用量は上記例示した用量に限定されず、当該分野においてよく知られた最適化のための一般的な常套的実験を用いてこれらの用量の変更を行うことができる。上記用量は1日1回乃至数回に分けて投与することができ、数日又は数週間に1回の割合で間欠的に投与してもよい。
また、本治療薬は、限定されるわけではないが、色素性絨毛結節性滑膜炎と腱鞘骨巨細胞腫であることが判明した場合に投与することが好ましく、また患部の摘出手術を行う場合、その一定の期間前に投与することも好ましく、摘出手術を行った後に再発防止のために投与することも好ましい。更には、摘出手術の際、この手術部位を本治療薬に浸すことも好ましい。
本発明の別の実施形態として、ミゾリビンを含有する治療薬を色素性絨毛結節性滑膜炎又は腱鞘骨巨細胞腫の患者に投与することを特徴とする、これら疾患の治療、進行の予防、及び/又は手術後の再発防止を実施できる方法を挙げることができる。
また、本発明の別の実施形態として、色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の治療薬の製造、並びに色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫の治療方法、これら疾患の進行の予防方法及びこれら疾患の手術後の再発防止方法におけるミゾリビンを含有する治療薬の使用を挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されない。以下の実施例は、色素性絨毛結節性滑膜炎に罹患した患者よりインフォームドコンセントを得て、該患者の摘出患部から調製した滑膜細胞を使用して実施した。
ここで、ミゾリビンを含有する治療薬の効果について確認を行った。この結果を以下に示す。
まず、色素性絨毛結節性滑膜炎に罹患した7名の患者から、摘出手術により患部を摘出し、コラゲナーゼとトリプシンEDTAで単一細胞(Single cells)となるように処理し、3〜5代系代培養した。次に、DMEM溶液(以下「medium」という。)約10mLに先ほど培養した細胞1×10個含まれるように(1)〜(4)のサンプルを作製した。そして、96ウェルプレートを使用して1ウェルあたり1×10として実験を行った。
(1)細胞+mediumのみ(コントロール)
(2)細胞+medium +LPS 10μg/mLで刺激
(3)細胞+medium +TNFα 1000U/mLで刺激
(4)細胞+medium IL−1β 1000U/mLで刺激
次に、上記(1)から(4)の各サンプルに対して、ミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度でそれぞれ添加して48時間培養し、MTT assayを用いてミゾリビンの細胞障害性を検討した。なお、MTT assayは、淡黄色物質であるMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)が生細胞のミトコンドリア中に存在する酵素により暗青色に変化する際発する光の吸光度を測定し、その変化量を定量化する方法である。
この結果を図1〜図4にそれぞれ示す(図中、PVS1〜7は各患者から摘出した。サンプルの番号を示す。)。この結果、細胞障害性がミゾリビンに対して濃度依存性を有していることを確認した。
次にLipopolysaccharide(以下「LPS」という。)、Tumor necrosis factor−α(以下「TNF−α」という。)、Interleukin−1β(以下「IL−1β」という。)などで刺激すると細胞はInterleukin−6の産生を増加させるが、ミゾリビンを同時に1,10,100μg/mLの濃度で添加したときにどの程度Interleukin−6産生を抑制するかを検討した。
(5)細胞+mediumのみ (コントロール)
(6)細胞+medium +LPS 10μg/mLで刺激
(7)細胞+medium +TNFα 1000U/mLで刺激
(8)細胞+medium IL−1β 1000U/mLで刺激
これらの(5)から(8)の群に対してミゾリビンを1,10,100μg/mLの濃度で添加して48時間培養した。このときに培養液中に放出されているInterleukin−6濃度をELISA法で評価した。Interleukin6の放出はミゾリビンの濃度依存性に低下していた。代表的なサンプル(図1におけるPVS3)のデータを図5乃至図8に示す。この結果、ミゾリビンは無刺激でPVSのIL−6産生を抑制するとともに、LPS、TNFα、IL−1β刺激によるPVSのIL−6産生も抑制することを確認した。
また、色素性絨毛結節性滑膜炎と腱鞘骨巨細胞腫由来の細胞はRANKLを発現している。RANKLは、TNFスーパーファミリーに属する膜結合型蛋白であり、骨芽細胞などの破骨細胞形成支持細胞の表面上に発現し、細胞接触を介して前駆細胞にシグナルを伝達し、破骨細胞への分化を誘導する。Lipopolysaccharide、Tumor necrosis factor−α、Inerleukin−1などで刺激すると細胞はRANKLの発現を増加させるが、ミゾリビンを同時に添加したときにどの程度RANKLの発現を抑制するかを検討した。
(9)細胞+medium +LPS 10μg/mLで刺激
(10)細胞+medium +TNFα 1000U/mLで刺激
(11)細胞+medium IL−1β 1000 U/mLで刺激
これらの(9)から(11)の群に対してミゾリビンをそれぞれ1,10,100μg/mLの濃度で添加して48時間培養した。48時間後に細胞を集めてRNAを抽出し、cDNAを合成した。これをReal−time PCRで分析することで各サンプル中に存在するRANKLのmRNA量を比較した。培養細胞中のRANKL遺伝子mRNA発現量はミゾリビンの濃度依存性に低下していた。代表的なサンプルのデータ(PVS6)を図9乃至図11に示す。この結果、ミゾリビンはLPS、TNFα、IL−1β刺激によるPVSのRANKL発現を抑制することを確認した。
以上のとおり、ミゾリビンは濃度依存性に色素性絨毛結節性滑膜炎由来細胞の増殖とInterleukin−6産生を抑制し、色素性絨毛結節性滑膜炎由来細胞のRANKL発現も抑制した。これにより、色素性絨毛結節性滑膜炎と腱鞘骨巨細胞腫を縮小させ、破骨細胞の活性化も抑制することから、ミゾリビンは色素性絨毛結節性滑膜炎と腱鞘骨巨細胞腫の病巣を縮小させる治療薬として、また進行を予防する治療薬として使用することが可能となる。
色素性絨毛結節性滑膜炎由来の滑膜細胞におけるRANKL発現に対するミゾリビンの作用の検討を検討した。
まず、色素性絨毛結節性滑膜炎に罹患した患者から摘出手術により摘出した患部を、コラゲナーゼとトリプシンEDTAで単一細胞(Single cells)となるように処理し、3〜5代系代培養した。コンフリュエントに達した細胞をTripsin−EDTAで回収し、4℃にて2800rpm,5分間の遠心処理を行った。上清を吸引除去して、5%FBS加DMEM 10mLに懸濁した。細胞数1×10/mLとなるよう5%FBS加DMEMにて調製し、6ウエルプレートに2mL/wellにて播種し、37℃、5%COにて培養を開始した。培養開始24時間後にメディウムを1%FBS加DMEMに交換した。メディウム交換48時間後に37℃に加温した12%FBS加DMEMを2mL/wellずつ加えた。
次に、下記の濃度になるよう調製した各薬剤を200μL/wellにて添加した(n=4)。
1.Control
2.IL−1β(1000U/mL)
3.IL−1β(1000U/mL)+ミゾリビン(10μg/mL)
薬剤添加72時間後に培地を除去し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後、液体窒素で凍結3秒、室温解凍30秒を3回繰り返した。Lysis bufferを100μL/well添加し、セルスクレイパーを用いて細胞を回収し、マイクロチューブに移した。4℃にて15000rpmで20分間遠心処理後、上清を回収し、Bio−Rad Dc Protein Assay Kitを用いてタンパク定量を行った。
タンパク定量後、タンパク40μgを含む量の上清とLysis bufferを合わせて200μLにし、以下の方法で免疫沈降を行った。
Protein−G/Sepharoseビーズをマイクロチューブに入れて5000rpmで30秒間遠心処理し、上清を除去した。その後、50%エタノールを加えて攪拌ローターで1分間攪拌し、5000rpmで10〜20秒間遠心処理し、上清を除去することにより洗浄を行った。10%エタノールを用いて遠心処理による洗浄を同様に繰り返した。その後、蒸留水を用いて遠心処理による洗浄を同様に3回繰り返した。さらに、Lysis bufferを加えて10分攪拌し、5000rpmで30秒間遠心処理して上清を除去することによる洗浄を3回繰り返した。ビーズの体積と同量のLysis bufferを加えて懸濁した。
上記のように滑膜細胞から調製したTotal lysateにウサギ抗RANKL抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)を加えて1時間攪拌し、さらに上記ビーズ懸濁液を加えて1時間攪拌後、遠心処理して上清を除去した。ビーズをPBSで攪拌洗浄(5分間,3回)し、ビーズと同量のSample buffer(×2)を加え、99℃で3分間煮沸した。氷冷した後遠心処理し、ボルテックスミキサーにて10秒間攪拌してさらに遠心処理したものをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)用サンプルとして用いた。
コントロールとしてβ−アクチン(β−actin)を測定した。β−actinについては免疫沈降を行わず、タンパク量が15μg/wellになるように各サンプルをLysis bufferで希釈し、Sample buffer(×4)を加え、99℃で3分間煮沸後氷冷し、SDS−PAGE用サンプルとして用いた。
SDS−PAGE及びウエスタンブロットを次のように行った。まず、10% ポリアクリルアミドゲルを用い、スタッキングゲルを50V、ランニングゲルを100Vで泳動した。その後、ゲルをトランスファーバッファーに浸した後、ニトロセルロース膜を用い、200mAで30分間転写を行った。ニトロセルロース膜をTBS−Tで軽く洗浄し、5%−スキムミルク・TBS−T溶液中にて30分間ブロッキングを行い、TBS−Tで5分間、3回振とう洗浄した。1次抗体を添加し、4℃で一晩振とうして抗体を反応させた。その後、ニトロセルロース膜をTBS−Tで10分間、3回振とう洗浄した。次に2次抗体を添加し、室温で1時間振とうして抗体を反応させた。TBS−Tで15分間、3回振とう洗浄した。ECL試薬により発光させ、LAS−1000Plusイメージスキャナーで検出した。RANKLの検出には1次抗体としてウサギ抗RANKL抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)を1%BSA/0.5%FBS/TBS−T溶液で1/250希釈して用い、2次抗体としてホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)結合抗ウサギIgG抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)を1%スキムミルク/TBS−Tで1/5000希釈して用いた。β−actinの検出には1次抗体としてマウス抗β−actin抗体(SIGMA社製)を1%BSA/0.5%FBS/TBS−T溶液で1/1000希釈して用い、2次抗体としてHRP結合抗マウスIgG抗体(Cell Signaling社製)を1%スキムミルク/TBS−Tで1/5000希釈して用いた。
使用した各バッファーの組成を以下に示す。
Lysis buffer:50mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、1% TritonX−100、10mM−β−グリセロホスフェート、1mM オルトバナジン酸ナトリウム、1% プロテアーゼインヒビターカクテル、1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)/エタノール。但し、PMSFは使用直前に添加。
Sample buffer:10% シュークロース、5% 2−メルカプトエタノール、2% SDS、62.5mM Tris−HCl(pH6.8)、1% ブロモフェノールブルー(数滴)。
Running buffer:25mM Tris、192mM グリシン、0.1% SDS。
Transfer buffer:25mM Tris、192mM グリシン、20% メタノール。
TBS−T:13.7mM NaCl、0.268mM KCl、25mM Tris、0.05% Tween20。
Blocking buffer:5%スキムミルク/TBS−T。
滑膜細胞中のRANKLタンパクはIL−1βの添加により増加し、IL−1βの添加により増加したRANKLタンパクはミゾリビンの添加により低下した。その結果を図12に示す。この結果、ミゾリビンは、色素性絨毛結節性滑膜炎由来の滑膜細胞におけるLPS刺激によるRANKL発現を抑制することを確認した。
ミゾリビンは濃度依存性に色素性絨毛結節性滑膜炎由来滑膜細胞の増殖とInterleukin−6産生を抑制し、さらに色素性絨毛結節性滑膜炎由来滑膜細胞のRANKL発現も抑制する作用を示した。本発明に係るミゾリビンを含む治療薬により、色素性絨毛結節性滑膜炎及び腱鞘骨巨細胞腫における細胞増殖、炎症反応及び骨破壊の抑制が可能であり、それによりこれら疾患の治療、進行の予防、及び手術後の再発防止が可能である。このように、本発明は医薬開発分野において利用可能な有用な発明である。

Claims (2)

  1. ミゾリビンを含有する色素性絨毛結節性滑膜炎及び/又は腱鞘骨巨細胞腫の治療薬。
  2. 前記ミゾリビンを50mg以上1g以下の範囲内で含んでなる請求項1記載の治療薬。
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