JP5218020B2 - 電子透かし情報の埋め込みおよび抽出を行うための装置およびプログラム - Google Patents

電子透かし情報の埋め込みおよび抽出を行うための装置およびプログラム Download PDF

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この発明は、電子透かし情報の埋め込み伝送技術に係り、特に空気中を伝播する音響信号等を対象とした電子透かし情報の埋め込みおよび抽出を行うための装置およびプログラムに関する。
音響信号等のキャリア信号に電子透かし情報を埋め込む技術として、振幅変調方式、位相変調方式、音響OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)方式、エコーハイディング方式等の各埋め込み技術がある。振幅変調方式は、キャリア信号を帯域分割したサブキャリアに対し、埋め込み対象である電子透かし情報のシンボル列に応じた振幅変調処理を施すことにより、シンボル列のキャリア信号への埋め込みを行う技術である(例えば特許文献1、2参照)。位相変調方式は、キャリア信号を全域通過フィルタに通し、その際に、全域通過フィルタの周波数位相特性を埋め込み対象であるシンボルに応じて変化させる方式である(例えば特許文献3参照)。音響OFDM方式は、各々オーディオ帯域に属し、かつ、直交関係にある複数のサブキャリア、すなわち、シンボルフレーム長の逆数に相当する周波数間隔を持った各サブキャリアに対し(非特許文献1参照)、埋め込み対象であるシンボル列に応じた変調を施して加算し、この加算後の信号とマスク音等の音響信号とを加算することにより、シンボル列の埋め込まれた音響信号を得る方式である(例えば特許文献4参照)。エコーハイディング方式は、埋め込み対象であるシンボルに応じた時間差を持った2つのインパルス応答をキャリア信号に畳み込むことにより、シンボルに応じた遅延時間を持ったエコー音信号をキャリア信号に重畳させる方式である(例えば特許文献5参照)。
特許第3659321号 特開2006−251676号公報 特開2003−44067号公報 特開2007−104598号公報 特許第3554825号 OFDM/OFDMA教科書、pp.51−55、株式会社インプレスR&D、2008年9月21日発行 マルチレート信号処理とフィルタバンク、科学技術出版、2002年3月10日発行
ところで、振幅変調方式の埋め込み技術は、雑音に対する頑健性が弱いという問題、すなわち、シンボルの埋め込まれたキャリア信号がその伝播過程において雑音に晒されるとき、キャリア信号の受信側においてキャリア信号からシンボルを抽出するのが困難になるという問題があった。また、位相変調方式の埋め込み技術は、雑音に対する頑健性は振幅変調方式よりも優れているものの、シンボルの埋め込まれたキャリア信号の受信側において、シンボルの抽出のために、シンボルの埋め込みに伴うキャリア信号の位相の変化量を求める必要があるため、原信号、すなわち、シンボル埋め込み前のキャリア信号が必要であるという問題があった。また、音響OFDM方式の埋め込み技術では、シンボルに応じた変調のなされた後の各サブキャリアに着目すると、各サブキャリアにおけるシンボル間の区切り位置においてサブキャリアの位相の不連続が生じ、これが聴感上の違和感を発生させる原因となるという問題があった。また、エコーハイディング方式は、キャリア信号が空気中を伝播する過程においてエコーが発生し、このエコーの成分を含んだ状態のキャリア信号が受信されるような場合に、キャリア信号とエコーの成分との位相関係如何によっては、キャリア信号からシンボルを抽出することが困難になるという問題があった。
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、シンボルの埋め込まれたキャリア信号からシンボルを抽出するに当たって原信号が不要であり、シンボルの埋め込まれたキャリア信号を音として伝播させる際に聴感上の違和感を発生させることが少なく、かつ、伝播過程において発生する雑音やエコーに対する頑健性に優れた電子透かし情報の埋め込み伝送技術を提供することを目的とする。
この発明は、キャリア信号に帯域分割を施し、複数帯域のサブキャリアを生成するサブキャリア生成手段と、埋め込み対象である電子透かし情報のデータシンボル列を示す連続した波形のデータシンボル用変調信号を生成するデータシンボル用変調信号生成手段と、前記複数帯域のサブキャリアの少なくとも一部の帯域のサブキャリアをデータシンボル列の埋め込み先であるデータキャリアとし、前記データキャリアの位相成分を前記データシンボル用変調信号により置き換える位相変調手段と、前記位相変調手段の処理を経た前記複数帯域のサブキャリアに帯域合成を施し、電子透かし情報の埋め込まれたキャリア信号として出力するキャリア合成手段とを具備することを特徴とする電子透かし情報の埋め込み装置を提供する。
かかる発明によれば、キャリア信号を構成するサブキャリア信号の位相成分を、電子透かし情報のデータシンボル列を示す連続した波形のデータシンボル用変調信号に置き換えて出力するので、シンボルの埋め込まれたキャリア信号からシンボルを抽出するに当たって原信号が不要であり、シンボルの埋め込まれたキャリア信号を音として伝播させる際に聴感上の違和感を発生させることが少なく、かつ、伝播過程において発生する雑音やエコーに対する頑健性を高めることができる。
以下、図面を参照し、この発明の一実施形態について説明する。図1は、キャリア信号に電子透かし情報を埋め込む埋め込み装置100の構成を示すブロック図である。そして、図2は、この電子透かし情報の埋め込まれたキャリア信号から電子透かし情報を抽出する本実施形態による抽出装置200の構成を示すブロック図である。なお、埋め込み装置100および抽出装置200の各々は、キャリア信号へ電子透かし情報を埋め込む処理またはキャリア信号から電子透かし情報を抽出する処理を実行する専用のハードウェアとして実現してもよいし、埋め込み処理や抽出処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現してもよい。
まず、電子透かし情報の埋め込み装置100について説明する。図1に示すように、埋め込み装置100は、変調信号生成部110と、サブキャリア生成部120と、埋め込み部130と、キャリア合成部140とを有する。
変調信号生成部110は、埋め込み対象であるデータシンボル列を示すデータシンボル用変調信号を生成するデータシンボル用変調信号生成部111と、データシンボル列の同期信号であるパイロットシンボル列を示すパイロットシンボル用変調信号を生成するパイロットシンボル用変調信号生成部112とを有する。本実施形態において、1個のデータシンボルを示す1周期分のデータシンボル用変調信号は、Nb個のサンプルからなるサンプル列である。また、本実施形態において、シンボルは2値情報(ビット)である。そして、ビット“0”を示すデータシンボル用変調信号は、下記式(1)に示すNb個のサンプル列Gpm0(n)(n=0〜Nb−1)からなり、ビット“1”を示すデータシンボル用変調信号は、下記式(2)に示すNb個のサンプル列Gpm1(n)(n=0〜Nb−1)からなる。ただし、下記式(1)および(2)において、Apmは、0<Apm<πを満たす数値である。データシンボル用変調信号生成部111は、データシンボル“0”に対応したデータシンボル用変調信号のサンプル列Gpm0(n)(n=0〜Nb−1)とデータシンボル“1”に対応したデータシンボル用変調信号のサンプル列Gpm1(n)(n=0〜Nb−1)とを内蔵のメモリに記憶している。そして、埋め込むべきデータシンボルが“0”であるときは前者のサンプル列Gpm0(n)(n=0〜Nb−1)を、埋め込むべきデータシンボルが“1”であるときは後者のサンプル列Gpm1(n)(n=0〜Nb−1)をメモリから読み出して埋め込み部130に供給する。
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パイロットシンボル用変調信号は、データシンボル用変調信号と同じ周期(サンプル数)を持った信号である。例えば上記式(1)に示すサンプル列Gpm0(n)(n=0〜Nb−1)を1周期分のパイロットシンボル用変調信号として用いてもよい。パイロットシンボル用変調信号生成部112は、データシンボル用変調信号生成部111が1個のデータシンボル“0”または“1”に対応したデータシンボル用変調信号のNb個のサンプル列を埋め込み部130に供給するとき、1周期分のパイロットシンボル用変調信号のサンプル列を埋め込み部130に供給する。
本実施形態において1個のデータシンボルを示す1周期分のデータシンボル用変調信号は、上記式(1)および(2)にも示されるように、1周期内において飛躍のない連続した波形を有する。また、データシンボル“0”を表すものもデータシンボル“1”を表すものも、データシンボルの境界のタイミング(n=0のタイミング)においてデータシンボル用変調信号のサンプル値は0となる。このため、先行するデータシンボルを示す1周期分のデータシンボル用変調信号と後続のデータシンボルを示す1周期分のデータシンボル用変調信号との境界においてもデータシンボル用変調信号の波形は飛躍のない連続したものとなる。従って、電子透かし情報のシンボル列を表すデータシンボル用変調信号の波形は、全区間を通じて連続した波形となる。パイロットシンボル用変調信号も同様である。この点に本実施形態の1つの特徴がある。
サブキャリア生成部120は、音響信号等のキャリア信号をデータシンボル列およびパイロットシンボル列の埋め込み先となる互いに帯域の異なった複数のサブキャリアに分割する手段である。このサブキャリア生成部120から得られる複数のサブキャリアの各々を1シンボルフレームの長さに区切った各区間が1シンボル分のデータシンボルまたはパイロットシンボルの埋め込み先となる。ここで、キャリア信号を複数のサブキャリアに分割するのは、1シンボルフレームの区間内において、データシンボルまたはパイロットシンボルの埋め込み先となる信号数(ここではサブキャリアの数)を増加させ、データレートを向上させるためである。
サブキャリア生成部120は、帯域分割部121と、帯域グループ化部122と、データ/パイロットキャリア分離部123とを有する。本実施形態における帯域分割部121は、図3(a)に例示するように、入力されるサンプルをMサンプルに1個の割合で選択して出力する2M個のダウンサンプラ1211(k=0〜M−1)と、その後段の2M個の分析フィルタ1212(k=0〜2M−1)と、行列演算部1213とを有する分析フィルタバンクである。より具体的には、帯域分割部121である分析フィルタバンクは、複素指数変調フィルタバンクであり、余弦変調フィルタバンク(Cosine Modulated Filter Bank:CMFB)と正弦変調フィルタバンク(Sine Modulated Filter Bank:SMFB)とを並列化した機能構成となっている。
この複素指数変調フィルタバンクにおける分析フィルタ1212(k=0〜2M−1)の各々は、下記式(3)を満足するプロトタイプフィルタp(n)を下記式(4)に示すように指数変調関数により変調したポリフェ−ズ表現による分析フィルタを実現するものである。ただし、下記式(3)において、n=0〜Nであり、N=2mM−1(mは1以上の整数)である。
Figure 0005218020
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プロトタイプフィルタp(n)は、複素指数変調フィルタの実数部である余弦変調フィルタのプロトタイプフィルタを設計し、この余弦変調フィルタのプロトタイプフィルタを使用する。余弦変調フィルタのプロトタイプフィルタの設計に当たっては、サブキャリアの変調を行った場合に帯域の隣接したサブキャリア間で消去し切れないエイリアジングによる埋め込みシンボルの歪みをできるだけ発生させないように配慮する必要がある。そこで、無変調時において帯域の隣接したサブキャリア間でのエイリアジングを消去するのに有効な擬似QMF(Quadrature Mirror Filter;直交ミラーフィルタ)バンクの設計手法を採用する。具体的には、非特許文献2の第8章の8.2節に記載されているように、下記式(5)に示す評価関数φを最小化するプロトタイプフィルタp(n)を求める。ただし、下記式(5)において0<α<1である。
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ここで、上記式(5)におけるφおよびφは、下記式(6)および(7)により与えられる。ただし、下記式(6)および(7)において、ε>0であり、P(ejω)はプロトタイプフィルタp(n)の周波数応答であり、p(n)にFFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)を施すことにより得られる。すなわち、プロトタイプフィルタp(n)にFFTを施した結果である周波数応答P(ejω)が上記式(5)の評価関数φを最小化するようにプロトタイプフィルタp(n)の内容を定めるのである。
Figure 0005218020
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図3(a)において、X(z)はキャリア信号のサンプルx(n)のz変換、z−1は1サンプル遅延、X(z)(k=0〜M−1)はサブキャリアのサンプルのz変換である。また、行列演算部1213は、式(8)に示す要素tknからなる2M×Mの複素値行列{tkn}(k=0〜M−1、n=0〜2M−1)を分析フィルタ1212(k=0〜2M−1)の2M個の出力サンプル列に乗算し、M帯域分のサブキャリアのサンプルXk(z)(k=0〜M−1)を生成するものである。
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図1において、帯域グループ化部122は、以上のようにして帯域分割部121から出力されるM帯域のサブキャリアを各々帯域の近いもの同士の複数のサブキャリアのグループである複数のグループに分ける。これらの複数のグループの各々は、データシンボルの埋め込み先であるデータキャリアのグループまたはパイロットシンボルの埋め込み先であるパイロットキャリアのグループとなる。データシンボルの埋め込み先となるデータキャリアのグループと、このデータシンボルの同期信号としての役割を果たすパイロットシンボルの埋め込み先となるパイロットキャリアのグループは周波数軸上において隣接していることが好ましい。データキャリアのグループとパイロットキャリアのグループとの関係は1対1の関係でなくてもよい。例えば1つのパイロットキャリアのグループを周波数軸上においてその両側にある2つのデータキャリアのグループに対応付け、当該パイロットキャリアのグループに対し、その両側のデータキャリアのグループに埋め込む各データシンボルの同期信号としての役割を果たすパイロットシンボルを埋め込んでもよい。
ここで、複数のグループ(データキャリアのグループまたはパイロットキャリアのグループ)の各々の帯域幅は、埋め込み装置100から抽出装置200までの音響信号の伝送過程において発生することが予想される残響のインパルス応答時間長によって決定されることが望ましい。理想的には対をなすデータキャリアのグループとパイロットキャリアのグループの全体としての帯域幅が同応答時間長の逆数に比べて十分に短いという条件が満たされる場合には、データキャリアのグループおよびパイロットキャリアのグループの全帯域内において残響による位相変動が同様であるとみなせる。1つのグループを何個のデータキャリアまたはパイロットキャリアにより構成するかは、この条件を満たす範囲内において決定する。残響のインパルス応答時間長の逆数が短い場合には、1つのグループを1つのデータキャリアまたは1つのパイロットキャリアのみにより構成することもあり得る。
データ/パイロットキャリア分離部123は、帯域グループ化部122によって分けられた複数のグループをデータキャリアのグループ同士の群とパイロットキャリアのグループ同士の群とに分離する。
埋め込み部130は、振幅/位相分離部131と、位相変調部132と、振幅/位相結合部133とを有する。振幅/位相分離部131は、データキャリアのグループ内およびパイロットキャリアのグループ内の各サブキャリアのサンプルを振幅成分と位相成分とに分離する。さらに詳述すると、第k帯域のサブキャリアの時刻nにおけるサンプルの実数部をXkr(n)、虚数部をXki(n)とした場合、振幅/位相分離部131は、下記式(9)によりサンプルの振幅成分A(n)を算出し、下記式(10)によりサンプルの位相成分φ(n)を算出する。
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位相変調部132は、データキャリアのサンプルの位相成分をデータシンボル用変調信号のサンプルにより置き換えるとともに、パイロットキャリアのサンプルの位相成分をパイロットシンボル用変調信号のサンプルにより置き換える。その際に、位相変調部132は、複数のデータキャリアのグループおよび複数のパイロットキャリアのグループの各グループ毎に、当該グループの中央の帯域において関数値が高く、当該グループの上限の帯域および下限の帯域において関数値の低い窓関数を用いて、当該グループ内の各帯域のデータキャリアまたはパイロットキャリアの位相成分と置き換えるデータシンボル用変調信号またはパイロットシンボル用変調信号の振幅を各帯域の関数値により制限する。勿論、1つのグループに1つのデータキャリアまたはパイロットキャリアしか含まれていない場合にはこの窓関数掛けは行わない。
下記式(11)は、データキャリアの位相成分に関して、位相変調部132が実行する演算処理の内容を示すものである。この式(11)に示すように、各帯域kのデータキャリアに関し、当該帯域kに埋め込むデータシンボルbが“0”である場合には、位相変調部132は、当該帯域kのデータキャリアのサンプルの位相成分φ(n)を、そのときデータシンボル用変調信号生成部111が出力するシンボル“0”に対応したデータシンボル用変調信号のサンプルGpm0(n)に当該帯域kに対応した窓関数値w(k)を乗算したものに置き換える。一方、当該帯域kに埋め込むデータシンボルbが“1”である場合には、当該帯域kのデータキャリアのサンプルの位相成分φ(n)を、そのときデータシンボル用変調信号生成部111が出力するシンボル“1”に対応したデータシンボル用変調信号のサンプルGpm1(n)に当該帯域kに対応した窓関数値w(k)を乗算したものに置き換えるのである。パイロットキャリアのサンプルの位相成分に関しては、パイロット変調用信号のサンプルに当該帯域に対応した窓関数値を乗算したものに置き換える。
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このようにデータキャリアまたはパイロットキャリアのグループ毎に当該グループ内の各帯域のデータシンボル用変調信号またはパイロットシンボル用変調信号に窓関数掛けを行うのは、グループの境界付近の帯域においてサブキャリアに位相成分として埋め込むデータシンボル用変調信号またはパイロットシンボル用変調信号の振幅を低下させることにより、帯域間の位相の急激な変化を抑制し、聴感上の違和感が発生するのを防止するためである。
振幅/位相結合部133は、振幅/位相分離部131から出力されたデータキャリアの振幅成分およびパイロットキャリアの振幅成分の各々と、振幅/位相分離部131から出力され、かつ、位相変調部132の処理(データシンボル用変調信号またはパイロットシンボル用変調信号との置き換えおよび窓掛け処理)を経たデータキャリアの位相成分およびパイロットキャリアの位相成分の各々とを結合させ、複素形式のデータキャリアおよびパイロットキャリアを合成する。さらに詳述すると、振幅/位相結合部133は、帯域kのデータキャリアまたはパイロットキャリアのサンプルの振幅成分をA(n)、位相成分をφ(n)とした場合、下記式(12)により帯域kのサブキャリアのサンプルX(n)を算出する。
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図4は以上説明したサブキャリア生成部120および埋め込み部130の各部の処理内容を示すものである。図4に示すように、サブキャリア生成部120では、キャリア信号のmMサンプルが与えられる毎に、それまでの最新の2mMサンプルを用いて、一帯域当たりmサンプルのサブキャリアがM帯域分生成され、埋め込み部130の振幅/位相分離部131ではM帯域の各サブキャリアの各サンプルが振幅成分と位相成分とに分離される。そして、位相変調部132では、帯域グループ化の操作が行われた場合には、フレーム長Nbのシンボルフレーム毎に、データキャリアの各グループにおけるデータキャリアのサンプルの位相成分が、埋め込み対象であるシンボルbを示すデータシンボル用変調信号のサンプルに帯域kに応じた窓関数値w(k)を乗算したものに置き換えられ、かつ、パイロットキャリアの各グループにおけるパイロットキャリアのサンプルの位相成分が、パイロットシンボル用変調信号のサンプルに帯域kに応じた窓関数値w(k)を乗算したものに置き換えられる。そして、この位相変調部132の処理を経たデータキャリアのサンプルの位相成分およびパイロットキャリアのサンプルの位相成分と、振幅/位相分離部131から出力されたデータキャリアのサンプルの振幅成分およびパイロットキャリアのサンプルの振幅成分とが各々結合され、複素形式のデータキャリアのサンプルおよびパイロットキャリアのサンプルが得られるのである。
図1において、キャリア合成部140は、データ/パイロットキャリア合成部141と、帯域グループ分離部142と、帯域合成部143とを有する。ここで、データ/パイロットキャリア合成部141は、振幅/位相結合部133から得られるデータキャリアのグループおよびパイロットキャリアのグループをデータ/パイロットキャリア分離部123の処理を経る前の並び順に並び換える。また、帯域グループ分離部142は、データ/パイロットキャリア合成部141の処理を経たデータキャリアおよびパイロットキャリアを帯域グループ化部122によるグループ化を経る前の並び順に並び替える。そして、帯域合成部143は、帯域グループ分離部142から出力されるM帯域分のサブキャリア(データキャリアおよびパイロットキャリア)の帯域合成を行い、時間領域のキャリア信号に変換する。
本実施形態において、帯域合成部143は、M帯域の合成フィルタバンクである。図3(b)に示すように、この合成フィルタバンクは、行列演算部1431と、2M個の合成フィルタ1432(k=0〜2M−1)と、その後段の2M個のアップサンプラ1433(k=0〜2M−1)とを有する。なお、図3(b)において、X(z)(k=0〜M−1)はサブキャリアのサンプルのz変換、X(z)は帯域合成されたキャリア信号のサンプルx(n)のz変換である。ここで、行列演算部1431は、帯域分割部121の行列演算部1213が用いた行列の転置行列をM帯域のサブキャリアのサンプルに乗算し、2M個のサンプルを生成して合成フィルタ1432(k=0〜2M−1)に供給する。合成フィルタ1432(k=0〜2M−1)は、帯域分割部121の分析フィルタ1212(k=0〜2M−1)と同様なフィルタ処理を各々に与えられるサンプルに施して、アップサンプラ1433(k=0〜2M−1)に出力する。アップサンプラ1433(k=0〜2M−1)は、各々に入力されるサブキャリアの各サンプル間にM−1個の零サンプルを挿入し、サブキャリアのサンプリング周波数をM倍にする。このアップサンプラ1433(k=0〜2M−1)の各出力サンプルを1サンプルずつ位相をずらして加算したものが帯域合成されたキャリア信号となる。
以上が埋め込み装置100の詳細である。
次に図2を参照し、電子透かし情報の抽出装置200について説明する。本実施形態による抽出装置200の動作は同期探索フェーズとデータ抽出フェーズとに大別することができる。ここで、同期探索フェーズとは、キャリア信号のパイロットキャリアにおけるパイロットシンボルの埋め込み区間、すなわち、キャリア信号のデータキャリアにおけるデータシンボルの埋め込み区間を概略的に探索するフェーズである。また、データ抽出フェーズとは、同期探索フェーズにより探索されたデータシンボル列の埋め込み区間からデータシンボル列を抽出するフェーズである。以下説明する各部は、同期探索フェーズとデータ抽出フェーズとで動作が異なる場合がある。
バッファ210は、電子透かし情報の埋め込まれたキャリア信号を蓄積する装置である。例えば音響信号をキャリア信号として用いる場合、前述した埋め込み装置100により電子透かし情報の埋め込まれたキャリア信号(音響信号)は、音として空気中に放音され、図示しない収音装置により収音され、音声波形の時系列サンプルであるキャリア信号となってバッファ210に蓄積される。
基準信号生成部220は、データシンボル用基準信号生成部221と、パイロットシンボル用基準信号生成部222とを有する。データシンボル用基準信号生成部221は、データシンボル“0”を示すデータシンボル用変調信号と同様な波形のデータシンボル用基準信号の1周期分(Nb個)のサンプル列Gpm0(n)(n=0〜Nb−1)を出力する機能とデータシンボル“1”を示すデータシンボル用変調信号と同様な波形のデータシンボル用基準信号の1周期分(Nb個)のサンプル列Gpm1(n)(n=0〜Nb−1)を出力する機能を有する。また、パイロットシンボル用基準信号生成部222は、埋め込み装置100のパイロットシンボル用変調信号生成部112が出力するパイロットシンボル用変調信号と同様な波形のパイロットシンボル用基準信号の1周期分(Nb個)のサンプル列を出力する機能を有する。
サブキャリア生成部230は、埋め込み装置100のサブキャリア生成部120のものと同様な帯域分割部231と、帯域グループ化部232と、データ/パイロットキャリア分離部233とを有する。このサブキャリア生成部230は、バッファ210から読み出されるキャリア信号をM帯域のサブキャリアに帯域分割し、データキャリアのグループとパイロットキャリアのグループに分けて出力する。
復調処理部240は、振幅/位相分離部241と、位相復調部242とを有する。ここで、振幅/位相分離部241と、埋め込み装置100の振幅/位相分離部131と同様、複素値であるデータキャリアおよびパイロットキャリアの各サンプルを振幅成分と位相成分とに分離する。位相復調部242は、後述するフレーム同期探索部250による制御の下、データキャリアにおけるデータシンボル列の埋め込み区間を探索するための信号処理およびデータシンボル列の抽出に備えて埋め込み区間内のデータキャリアの位相成分を補正する信号処理を行う。
フレーム同期探索部250は、バッファ210に記憶されたキャリア信号の読み出し制御を行うとともに抽出装置200の各部のタイミング制御を行う装置である。このフレーム同期探索部250は、バッファ210にキャリア信号が蓄積されると、同期探索フェーズを実行するための各部の制御を行い、その後、データ抽出フェーズを実行するための各部の制御を行う。
同期探索フェーズにおいて、フレーム同期探索部250は、各パイロットキャリアの位相成分に基づきパイロットシンボル列の埋め込み区間の開始点の概略的な位置を求める概略同期探索処理を実行する。具体的には、図5に示す処理を各帯域のパイロットキャリアの各々について実施する。
図5に示す例では、1つのパイロットキャリアを示すストライプが示されている。このストライプを上下方向に区切る実線は、パイロットシンボルが埋め込まれているか否かを調べる評価区間の境界を例示するものである。また、ストライプ内の破線による正弦波は、パイロットキャリアの位相成分に内在するパイロットシンボル用変調信号波形を例示するものであり、上下方向の破線はパイロットシンボルの境界を例示するものである。
最初、キャリア信号の先頭位置Bから始まる1シンボルフレーム分の区間(2mML個のサンプルを含む区間)を評価区間として、この評価区間内のキャリア信号をバッファ210から読み出し、サブキャリア生成部230および振幅/位相分離部241に処理させる。そして、振幅/位相分離部241から出力される情報のうちキャリア信号における1つのパイロットキャリアの1シンボルフレーム分のサンプル列(Nb個のサンプル)の位相成分とパイロットシンボル用基準信号生成部222が出力するパイロットシンボル用基準信号のサンプル列(Nb個のサンプル)との相互相関係数を位相復調部242に算出させ、この相互相関係数を蓄積する。
さらに詳述すると、このときパイロットシンボル用基準信号生成部222は、例えば1周期分のパイロットシンボル用基準信号のサンプル列に対し、最後尾のサンプルをサンプル列の先頭に移動するという巡回シフト操作を繰り返し施すことにより、初期位相が1サンプルずつずれた各1周期分のパイロットシンボル用基準信号を順次出力する。位相復調部242は、評価区間内のキャリア信号から生成された1つのパイロットキャリアのサンプル列の位相成分と、このパイロットシンボル用基準信号生成部222が順次出力する各パイロットシンボル用基準信号との相互相関係数を各々算出し、フレーム同期探索部250は各相互相関係数を蓄積するのである。
フレーム同期探索部250は、このようにして蓄積された各相互相関係数の中に所定の閾値を越えるものがあるか否かを判定する。そして、所定の閾値を越える相互相関係数がない場合、フレーム同期探索部250は、キャリア信号の現在の評価区間内にパイロットシンボルが埋め込まれていないとみなし、評価区間の先頭を現在の位置Bから1シンボルフレーム相当の長さだけ後方の区切り位置Bにシフトさせる。そして、区切り位置Bから始まる新たな評価区間について上記と同様な処理を繰り返すのである。
評価区間がパイロットシンボル列の埋め込み区間から完全に外れている間は、位相復調部242が出力する相互相関係数はほぼ0(すなわち、無相関)になるので、フレーム同期探索部250は、評価区間の先頭位置を先頭位置Bから区切り位置Bへ、区切り位置Bから区切り位置Bへ、…という具合に順次後方へシフトしてゆく。
そして、図5に例示するように、区切り位置Bから始まる区間が評価区間となり、評価区間内にパイロットシンボルの先頭部分が位置するような位相関係になったとき、位相復調部242から得られる相互相関係数が上昇する。そこで、フレーム同期探索部250は、この状態において位相復調部242から得られる相互相関係数の履歴を監視し、相互相関係数がピークとなったときのパイロットシンボル用基準信号の位相遅れ量を求め、区切り位置Bからこの位相遅れ量だけ後の位置をパイロットシンボル列の埋め込み区間の開始位置とする。
概略同期探索処理では、以上の処理を各帯域のパイロットキャリアについて実施し、パイロットキャリアの帯域毎に埋め込み区間の開始位置を各々求める。図6は、キャリア信号を帯域分割した各サブキャリア位相成分のうちデータキャリアDk(k=1、2、…)の位相成分の波形、パイロットキャリアPk(k=1、2、…)の位相成分の波形を例示するものである。図6に例示するように、抽出装置200側においてキャリア信号を帯域分割することにより得られる各サブキャリアの位相は、帯域に依存して変化する。これは、帯域分割部121における分析フィルタバンクを構成する各分析フィルタおよび帯域合成部143における合成フィルタバンクを構成する各合成フィルタは、直線位相特性を持たないためである(非特許文献2の8.1.4節参照)。そこで、本実施形態では、概略同期探索処理において、図6に例示するように、各帯域のパイロットキャリアについて求めた埋め込み区間の開始位置を平均化し、その結果を全帯域についての埋め込み区間の開始点の概略的な位置とし、この位置から始まる一シンボルフレーム長の各区間Fs0、Fs1、Fs2、…を各シンボルの埋め込み区間と判定する。このように平均化された開始点の位置を概略的な開始点の位置として用いるのは、1つのパイロットキャリアから求めた開始点の位置を全帯域についての埋め込み区間の開始点として用いると、この開始点から大きく外れた位置に開始点のあるデータキャリアからのシンボルの抽出が不正確なものになるからである。
次に、データ抽出フェーズにおいて、フレーム同期探索部250は、バッファ210内のキャリア信号のサンプルを、同期探索フェーズにおいて求めたデータシンボル列の埋め込み区間の開始点の概略的な位置から順に読み出し、サブキャリア生成部230および振幅/位相分離部131に処理させる。そして、フレーム同期探索部250による制御の下、位相復調部242は次の処理を実行する。まず、振幅/位相分離部131から得られるパイロットキャリアのグループにおける各パイロットキャリアの各位相成分に埋め込み装置100の位相変調部132が用いるものを同様な窓関数値w(k)を必要に応じて乗算する。そして、フレーム同期位置、すなわち、上述したデータシンボル列の埋め込み区間の開始点の概略的な位置から始まる1シンボルフレーム長間隔で並んだ各位置において、窓関数値乗算後の各位相成分を用いて得られたパイロットキャリアのグループの位相成分のずれを求め、このずれを信号伝送時の残響等による位相変動とする。こうして得られた位相変動分が、対応するデータキャリアのグループの位相変動分に等しいとみなして、対応するデータキャリアのグループの位相変動分を補正する。そして、この補正後のデータキャリアの位相成分をシンボル抽出部260に出力する。
シンボル抽出部260には、データシンボル“0”を示すデータシンボル用基準信号とデータシンボル“1”を示すデータシンボル用基準信号がデータシンボル用基準信号生成部221から供給される。シンボル抽出部260は、1シンボルフレーム分の補正後のデータキャリアの位相成分を位相復調部242から受け取る毎に、その1シンボルフレーム分の位相成分とデータシンボル“0”を示すデータシンボル用基準信号との相互相関係数corr0を算出するとともに、その1シンボルフレーム分の位相成分とデータシンボル“1”を示すデータシンボル用基準信号との相互相関係数corr1を算出する。そして、corr0>corr1であれば、データキャリアに埋め込まれたデータシンボルは“0”、corr0<corr1であれば、データキャリアに埋め込まれたデータシンボルは“1”であると判定し、判定結果に基づき、埋め込まれた電子透かし情報のシンボルを出力する。
以上が本実施形態による抽出装置200の詳細である。
以上説明した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)本実施形態によれば、キャリア信号中のデータキャリアの位相成分をデータシンボル列を示す連続した波形の変調信号により置き換えて伝送するので、キャリア信号からデータシンボルを抽出するに当たって原信号が不要である。また、データシンボル列を示す変調信号はデータキャリアの位相成分としてキャリア信号に埋め込まれるので、キャリア信号の伝播過程において発生する雑音やエコーに対する埋め込みシンボルの頑健性を高めることができる。また、キャリア信号のデータキャリアに位相成分として埋め込まれた変調信号はデータシンボル列全体を通じて連続した波形の信号なので、データシンボルの埋め込まれたキャリア信号を音として伝播させる際に聴感上の違和感を発生させることが少ない。
(2)サブキャリア間の周波数間隔が短い状況では、仮に隣接する帯域の2つのデータキャリアの一方の位相成分がシンボル“0”に対応した正弦波により置き換えられ、他方の位相成分がシンボル“1”に対応した正弦波により置き換えられると、帯域の隣接したデータキャリア間で急激な位相の変化が生じ、聴感上の違和感を生じさせる。しかしながら、本実施形態では、帯域の隣接した複数のサブキャリアをグループ化し、グループ内の複数のサブキャリアの位相成分を同一シンボルに対応した同一の波形の変調信号に置き換えている。従って、同一グループ内では、隣接するサブキャリア間での位相成分の急激な変化が回避される。一方、例えばデータキャリアのグループが2つ隣接しており、高域側のグループにはシンボル“0”が埋め込まれ、低域側のグループにはシンボル“1”が埋め込まれるような場合がある。この場合、何ら策を講じないとすると、高域側のグループの下限の帯域のデータキャリアの位相成分と低域側のグループの上限の帯域のデータキャリアの位相成分との間に急激な位相変化が生じて好ましくない。そこで、本実施形態では、各グループ毎にグループ内の複数のサブキャリアを跨る窓関数を各サブキャリアの位相成分と置き換える変調信号に乗算し、グループ内における各サブキャリア間の位相成分の変化を緩やかなものにしつつ、グループ間の境界付近におけるサブキャリア間の位相成分の変化を抑えている。従って、サブキャリア間の周波数間隔が狭い状況において、キャリア信号が音として出力されたときに聴感上の違和感が生じるのを防止することができる。
(3)キャリア信号が埋め込み装置100のスピーカ(図示略)から音として放射されるとき、あるいは音であるキャリア信号が壁により反射されるとき、あるいはキャリア信号が抽出装置200のマイクロホン(図示略)により受信されるとき、キャリア信号を構成する各サブキャリアには、帯域毎のスピーカからマイクロフォンまでの伝達関数の位相特性に応じた位相ずれが生じる。しかしながら、本実施形態における埋め込み装置100では、データキャリアと隣接する帯域のサブキャリアをパイロットキャリアとし、このパイロットキャリアの位相成分を、パイロットシンボルを表す正弦波の変調信号に置き換えている。また、本実施形態における抽出装置200では、受信したキャリア信号において、データキャリアに生じている位相ずれは、データキャリアと隣接した帯域のパイロットキャリアに生じている位相ずれと同じであるとみなし、パイロットキャリアの位相成分に基づいてデータキャリアの位相成分の補正を行っている。従って、キャリア信号の伝送過程においてサブキャリアに帯域に依存した位相ずれが発生する状況においても、データキャリアの位相成分に埋め込まれたシンボルを安定して抽出することができる。
<他の実施形態>
以上、この発明の一実施形態を説明したが、この発明には、他にも各種の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)埋め込み装置100の帯域グループ化部232、帯域グループ分離部142、抽出装置200の帯域グループ化部232を省略し、サブキャリアをグループ化せず、1系統のデータシンボル列を1つのデータキャリアに埋め込み、1系統のパイロットシンボル列を1つのパイロットキャリアに埋め込んで伝送してもよい。
(2)キャリア信号のサンプリング周波数が高いと、シンボルの埋め込みに利用可能な低域のサブキャリアの数が少なくなる。そのため、帯域分割の数Mを大きくして、シンボルの埋め込みに利用可能な低域のサブキャリアの数を増加させる必要がある。しかし、帯域分割の数Mを大きくするためには、プロトタイプフィルタの通過帯域を非常に狭くする必要があり、プロトタイプフィルタの設計が難しくなる。そこで、このような不都合を回避するため、必要に応じてキャリア信号をリサンプルし、サンプリング周波数を低くしてシンボルの埋め込みを行うようにしてもよい。図7はその構成例を示すものである。この構成例では、サンプリング周波数44.1kHzのキャリア信号はHPF311とLPF301により8k〜22.05kHzの高域成分と0〜8kHzの低域成分に分けられる。LPF301を通過した低域成分はダウンサンプラ302によってダウンサンプルされ、上述した埋め込み装置100に供給される。埋め込み装置100は、ダウンサンプラ302を介して与えられるキャリア信号の例えば4k〜8kHzの帯域のサブキャリアにシンボルを埋め込み、帯域合成してキャリア信号を出力する。アップサンプラ303は、このキャリア信号のサンプリング周波数を元のサンプリング周波数44.1kHzに戻す。LPF304は、アップサンプラ303のアップサンプリングによって発生した高域ノイズをキャリア信号から除去する。そして、加算器320は、このLPF304を通過したキャリア信号(0〜8kHz)と、HPF311を通過したキャリア信号の高域成分(8k〜22.05kHz)とを加算し、例えばスピーカから音として出力する。この構成によれば、埋め込み装置100に与えられるキャリア信号のサンプリング周波数が低いため、同埋め込み装置100においてキャリア信号を帯域分割してサブキャリアを生成する際、帯域分割の数Mが小さくても、シンボルの埋め込みに利用可能な低域のサブキャリアの数が多くなるので、プロトタイプフィルタの設計が容易になる。
この発明の一実施形態による電子透かし情報の埋め込み装置100の構成を示すブロック図である。 同実施形態による電子透かし情報の抽出装置200の構成を示すブロック図である。 同埋め込み装置100において用いられる分析フィルタバンクと合成フィルタバンクの構成例を示すブロック図である。 同埋め込み装置100におけるサブキャリア生成部120および埋め込み部130の処理内容を示す図である。 同抽出装置200において行われる概略同期探索処理の内容を示す図である。 同抽出装置200において帯域分割により得られる各サブキャリアの位相波形を例示する図である。 この発明の他の実施形態による電子透かし情報の埋め込み装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
100……埋め込み装置、200……抽出装置、110……変調信号生成部、111……データシンボル用変調信号生成部、112……パイロットシンボル用変調信号生成部、120,230……サブキャリア生成部、121,231……帯域分割部、122,232……帯域グループ化部、123,233……データ/パイロットキャリア分離部、130……埋め込み部、131……振幅/位相分離部、132……位相変調部、133……振幅/位相結合部、140……キャリア合成部、141……データ/パイロットキャリア合成部、142……帯域グループ分離部、143……帯域合成部、210……バッファ、220……基準信号生成部、221……データシンボル用基準信号生成部、222……パイロットシンボル用基準信号生成部、240……復調処理部、241……振幅/位相分離部、242……位相復調部、250……フレーム同期探索部、260……シンボル抽出部、301,304……LPF、311……HPF、302……ダウンサンプラ、303……アップサンプラ、320……加算器。

Claims (5)

  1. キャリア信号に帯域分割を施し、複数帯域のサブキャリアを生成するサブキャリア生成手段と、
    埋め込み対象である電子透かし情報のデータシンボル列を示す連続した波形のデータシンボル用変調信号を生成するデータシンボル用変調信号生成手段と、
    前記データシンボル列の同期信号であるパイロットシンボル列を示す連続した波形のパイロットシンボル用変調信号を生成するパイロットシンボル用変調信号生成手段と、
    前記複数帯域のサブキャリアの少なくとも一部の帯域のサブキャリアをデータシンボル列の埋め込み先であるデータキャリアとし、前記データキャリアの位相成分を前記データシンボル用変調信号により置き換え、前記複数帯域のサブキャリアの少なくとも一部の帯域のサブキャリアであって、前記データキャリア以外のものをパイロットシンボル列の埋め込み先であるパイロットキャリアとし、前記パイロットキャリアの位相成分を前記パイロットシンボル用変調信号により置き換える位相変調手段と、
    前記位相変調手段の処理を経た前記複数帯域のサブキャリアに帯域合成を施し、電子透かし情報の埋め込まれたキャリア信号として出力するキャリア合成手段と
    を具備することを特徴とする電子透かし情報の埋め込み装置。
  2. 前記位相変調手段は、前記複数帯域のサブキャリアを各々帯域の近いもの同士のグループからなる複数のデータキャリアのグループおよび複数のパイロットキャリアのグループに分け、前記複数のデータキャリアのグループ内の全てのデータキャリアの位相成分を前記データシンボル用変調信号により置き換えるとともに、前記複数のパイロットキャリアのグループ内の全てのパイロットキャリアの位相成分を前記パイロットシンボル用変調信号により置き換え、かつ、その際に、前記複数のデータキャリアのグループおよび前記複数のパイロットキャリアのグループの各グループ毎に、当該グループの中央の帯域において関数値が高く、当該グループの上限の帯域および下限の帯域において関数値の低い窓関数を用いて、当該グループ内の各帯域のデータキャリアまたはパイロットキャリアの位相成分と置き換えるデータシンボル用変調信号またはパイロットシンボル用変調信号の振幅を各帯域の関数値により制限することを特徴とする請求項1に記載の電子透かし情報の埋め込み装置。
  3. キャリア信号を受け取って帯域分割を施し、複数帯域のサブキャリアを出力する帯域分割手段と、
    前記複数帯域のサブキャリアの中から電子透かし情報のデータシンボル列の埋め込み先であるデータキャリアと同期信号であるパイロットシンボル列の埋め込み先であるパイロットキャリアとを特定し、前記データキャリアの位相成分と前記パイロットキャリアの位相成分を抽出し、前記パイロットキャリアの位相成分により前記データキャリアの位相成分を補正して出力する復調処理手段と、
    前記復調処理手段から出力される補正後のデータキャリアの位相成分と所定のシンボルを示す基準信号との相互相関係数を算出し、算出した相互相関係数に基づいて前記データキャリアに位相成分として埋め込まれた電子透かし情報のシンボルを判定するシンボル抽出手段と
    を具備することを特徴とする電子透かし情報の抽出装置。
  4. コンピュータを、
    キャリア信号に帯域分割を施し、複数帯域のサブキャリアを生成するサブキャリア生成手段と、
    埋め込み対象である電子透かし情報のデータシンボル列を示す連続した波形のデータシンボル用変調信号を生成するデータシンボル用変調信号生成手段と、
    前記データシンボル列の同期信号であるパイロットシンボル列を示す連続した波形のパイロットシンボル用変調信号を生成するパイロットシンボル用変調信号生成手段と、
    前記複数帯域のサブキャリアの少なくとも一部の帯域のサブキャリアをデータシンボル列の埋め込み先であるデータキャリアとし、前記データキャリアの位相成分を前記データシンボル用変調信号により置き換え、前記複数帯域のサブキャリアの少なくとも一部の帯域のサブキャリアであって、前記データキャリア以外のものをパイロットシンボル列の埋め込み先であるパイロットキャリアとし、前記パイロットキャリアの位相成分を前記パイロットシンボル用変調信号により置き換える位相変調手段と、
    前記位相変調手段の処理を経た前記複数帯域のサブキャリアに帯域合成を施し、電子透かし情報の埋め込まれたキャリア信号として出力するキャリア合成手段と
    して機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  5. コンピュータを、
    キャリア信号を受け取って帯域分割を施し、複数帯域のサブキャリアを出力する帯域分割手段と、
    前記複数のサブキャリアの中から電子透かし情報のデータシンボル列の埋め込み先であるデータキャリアと同期信号であるパイロットシンボル列の埋め込み先であるパイロットキャリアとを特定し、前記データキャリアの位相成分と前記パイロットキャリアの位相成分とを抽出し、前記パイロットキャリアの位相成分により前記データキャリアの位相成分を補正して出力する復調処理手段と、
    前記復調処理手段から出力される補正後のデータキャリアの位相成分と所定のシンボルを示す基準信号との相互相関係数を算出し、算出した相互相関係数に基づいて前記データキャリアに位相成分として埋め込まれた電子透かし情報のシンボルを判定するシンボル抽出手段と
    して機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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