JP5216186B2 - 高結晶性複合金属酸化物微粉末の製法 - Google Patents

高結晶性複合金属酸化物微粉末の製法 Download PDF

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Description

本発明は、誘電体や圧電体などの電子部品材料として有用な高結晶性の複合金属酸化物を製造する方法に関し、特に、強誘電性を示す高結晶性で微粉末状の複合金属酸化物を、比較的低温の水熱合成反応によって効率よく製造することのできる方法に関するものである。
例えばチタン酸バリウムに代表される高結晶性の複合金属酸化物微粒子が、誘電体や圧電体などの電子部品用素材として有用な高誘電性材料であることは公知であり(特許文献1)、またその製法についても、例えば固相反応法、シュウ酸法、ゾルゲル法、水熱合成法などが知られている。しかしこれらの方法の中でも、得られるチタン酸バリウムの誘電特性や生産性が良好で且つナノレベルの微粒子が得られ易いなどの理由から、上記特許文献1でも採用されている水熱合成法は有用な方法と思われる。
ちなみに、特許文献1などに記載されている水熱合成法とは、チタン(Ti)源となる化合物(塩化チタン、硫酸チタン、チタンアルコキシド、水酸化チタンなど)とバリウム(Ba)源(硝酸バリウム、塩化バリウム、水酸化バリウムなど)を、濃度が0.2モル前後のアルカリ水溶液中、400℃以上の亜臨界乃至超臨界状態で加圧・加熱反応させる方法であり、得られるチタン酸バリウムは、1次粒子径が30nm程度の極めて微細で結晶化度が高く、優れた誘電特性を有する複合金属酸化物となる。
しかしこの水熱反応は、400℃を超える高温・高圧で行わねばならないため、オートクレーブの如き耐高温高圧の反応設備が必要となり、安全対策なども含めて多大な設備費を要するばかりでなく、温度や圧力の管理などを含めた操業性にも細心の注意が必要となる。しかも、Ti源の全てをチタン酸バリウムに変換するには、Ti源に対して過剰量のBa源(Ba/Ti>1)を添加しなければならず、余剰分のBaはそのままロスとなるため反応収率を下げる原因になる。
一方、例えば非特許文献1には、Ti源として水酸化チタンまたはチタニウムアルコキシド、Ba源として水酸化バリウムを使用し、これらを1モル程度の濃度の水酸化カリウムを含む強アルカリ条件下に100℃前後の温度で加熱反応させることにより、チタン酸バリウムを製造する方法が開示されている。また非特許文献2には、Ti源としてチタニウムテトラプロポキシド、Ba源として水酸化バリウムを使用し、イソプロピルアルコール/精製水混合溶媒を用いて1モル程度の濃度の水酸化カリウムを含む強アルカリ条件下に、炭酸ガス除去雰囲気中85〜150℃の比較的低温で加熱反応させてチタン酸バリウムを製造する方法が開示されている。
これらの方法は、オートクレーブの如き耐熱耐圧装置を使用せずとも、比較的低い圧力と温度で反応を進めることができることから、上記特許文献1に指摘される様な問題は生じない。ところが、これらの方法によって得られるチタン酸バリウムは、結晶化度が低くて誘電特性が乏しいため、強誘電特性が求められる用途には適用し難く、また平均粒径で100nmレベル以上の粗粒物しか得られず、10ナノレベルの微粉末は得られ難い。
特開2003−261329号公報 Powder.Tech.,110,(2000)2 J.Eur.Ceram.Soc.,19,(1999)973
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、チタン酸バリウムに代表される複合金属酸化物からなる高結晶性の微粉末を、比較的低い温度、圧力条件の下で効率良く製造することのできる方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明の製法は、高結晶性の微粉末状複合金属酸化物を製造する方法であって、Tiおよび/またはZrの酸化物、水酸化物、アルコキシド、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種を、10モル濃度以上のアルカリ金属水酸化物水性液中、Ba,Sr,Pbから選ばれる1以上の元素の酸化物、水酸化物、アルコキシド、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種と反応させ、下記式(1)で示される微粉末状の複合金属酸化物を得るところに要旨が存在する。
ABO……(1)
(式中、AはBa,Sr,Pbよりなる群から選択される1種以上の元素、BはTiおよび/またはZrを表す)
上記複合金属酸化物微粉末の合成反応に使用するアルカリ金属水酸化物として好ましいの、は水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。またこの合成反応は、90〜150℃の温度で効率よく進行し、例えば平均粒子径で10〜100nmの範囲の微粉末状で、誘電特性に優れた高結晶性の複合金属酸化物を効率よく得ることができる。
本発明によれば、チタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウム、ジルコン酸バリウムやジルコン酸ストロンチウム等の複合金属酸化物であって、極めて微細で優れた誘電特性と高結晶性を有する複合金属酸化物微粉末を、格別の耐熱耐圧設備を要することなく、安全にしかも効率よく製造できる。
本発明者らは前述した様な従来技術の下で、特に水熱合成反応に焦点を絞って、より簡素な設備と方法で、より高性能の複合金属酸化物微粉末を得ることのできる製法の開発を期して研究を重ねてきた。その結果、上記の様に、Ti源および/またはZr源と、これらの金属と複合されるBa,Sr,Pbから選ばれる1以上の元素源とを、10モル濃度以上のアルカリ金属水酸化物水性液中で反応させれば、従来例の如く反応温度を400℃以上といった高温にせずとも、150℃前後の温度でそれらの複合金属酸化物を効率よく得ることができ、しかも得られる複合金属酸化物は極めて微細な粉末であって、結晶性や誘電特性においても非常に優れたものになることを知り、上記本発明に想到した。
以下、本発明で使用する原料物質や反応条件などについて詳細に説明していく。
本発明で使用する第1の金属化合物は、チタン酸塩やジルコン酸塩の構成要素となるTiおよび/またはZrの酸化物、水酸化物、アルコキシド、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物である。アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなどが挙げられ、有機酸塩としてはシュウ酸塩、酢酸塩、アセチルアセテート錯体などが、また無機酸塩としては硫酸チタニルなど、ハロゲン化物としては塩化物、臭化物、フッ化物、沃化物が例示される。
また、上記第1の金属化合物と複合される第2の金属化合物は、上記チタン酸塩やジルコン酸塩と複合することで、優れた誘電特性と高結晶性を有する微細な複合金属酸化物を与える化合物であり、Ba,Sr,Pbから選択される1以上の元素の酸化物、水酸化物、アルコキシド、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が使用される。これら第2の金属化合物の具体例としては、上記第1の金属化合物の場合と同様に、酸化物や水酸化物の他、アルコキシドとしてメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなど、有機酸塩としてシュウ酸塩、酢酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩などが、無機酸塩として炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、塩素酸塩など、ハロゲン化物としては塩化物、臭化物、フッ化物、沃化物が例示される。
また本発明で用いるアルカリ金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを挙げることができ、これらの中でも特に好ましいのは水酸化カリウムである。
本発明において極めて重要で且つ特異な要素は、該アルカリ金属水酸化物を、水性液濃度で10モル以上の高濃度物として水熱反応に使用するところにある。ちなみに、前掲の従来技術(非特許文献1,2)にも記載されている如く、水熱合成反応によってチタン酸バリウムなどの複合金属酸化物を製造する際に、反応にアルカリ水酸化物の水性液を使用することは周知である。ところが、該反応に使用する水性液のアルカリ水酸化物濃度は、水性液のpHで10程度以上の強アルカリにすることを意図して決められており、その濃度は高々1モル程度に過ぎない。
しかしこの程度のアルカリ濃度では、前掲の特許文献1でも採用されている様に、400℃程度を超える高温・高圧条件を採用しなければ反応が効率よく進行せず、10nmレベルの微粉末を得ることはできない。このことは前掲の非特許文献1,2によって得られる複合金属酸化物についても同じであり、平均粒径でせいぜい100nmレベルまでが限度で、満足のいく誘電特性や高結晶性のものは得られない。
ところが本発明では、水熱反応の媒体として用いる水性液のアルカリ金属水酸化物濃度を少なくとも10モル濃度以上に高め、こうした超高濃度アルカリ水性液中で反応を行うことにより、上記第1の金属化合物と第2の金属化合物との反応を低圧(基本的には常圧レベル)低温(例えば60〜90℃)で進行可能とし、しかも高結晶性で優れた誘電特性を有する微粉末状の複合金属酸化物を製造可能にしている。こうした低温低圧の水熱反応を効率よく進める上で、より好ましいアルカリ水酸化物の濃度は12モル以上である。該濃度の上限は特に存在しないが、原材料に含まれる結晶水のため、たとえば原材料としてBa(OH)・8HOを用いた場合は、水酸化リチウムは30モル、水酸化ナトリウムは58モル、水酸化カリウムは50モルが限界となる。10モル以上の濃度で更に濃度を高めた場合、粒子径は小さくなる方向に進むが、10モル以下の濃度変化に対する粒子径の変化に比べると非常に小さい。原料コストや洗浄コストを考慮すると、10〜20モルの範囲がより好ましい。
好ましい反応温度は60℃以上、より好ましくは90℃以上で、150℃以下、より好ましくは120℃以下であり、反応時間は原料化合物の種類や反応温度などにもよるが、0.5時間程度で十分であり、一般的には1〜20時間の範囲とするのがよい。なお反応の終了は、生成物の粉末X線回折測定を行い、原料に由来する回折線が消失したことによって確認すればよい。
尚、上記の様に高濃度のアルカリ水酸化物水性液中では、前記第1の金属化合物や第2の金属化合物の殆ど全てが加水分解によって一旦金属水酸化物に変化するので、これら原料化合物の選択基準は特に存在しない。言い換えると、高濃度アルカリ水酸化物水性液中で金属水酸化物に加水分解する化合物であれば全て使用可能である。反応は水性系で行われ、水の存在を必須とするが、原料化合物の種類によってはアルコール等を併用した水性液中で行われる。
得られる目的物は、前記式(1)で示される複合金属酸化物であり、好ましい具体例としては、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、ジルコン酸バリウム(BaZrO)、ジルコン酸ストロンチウム(SrZrO)、ジルコン酸鉛(PbZrO)、チタン酸・ジルコン酸バリウム(BaTiZr1‐x)、チタン酸・ジルコン酸ストロンチウム(SrTiZr1‐x)、チタン酸・ジルコン酸鉛(PbTiZr1‐x)、チタン酸バリウム・ストロンチウム(BaSr1-yTiO)、ジルコン酸バリウム・ストロンチウム(BaSr1-yZrO)、チタン酸・ジルコン酸バリウム・ストロンチウム(BaSr1-yTiZr1‐x)、チタン酸・ジルコン酸バリウム・鉛(BaPb1‐yTiZr1‐x)、チタン酸・ジルコン酸ストロンチウム・鉛(SrPb1‐yTiZr1‐x)、チタン酸バリウム・ストロンチウム・鉛(BaSrPb1‐x‐yTiO)、ジルコン酸バリウム・ストロンチウム・鉛(BaSrPb1‐x‐yZrO)などが例示される。
上記の中でも特に好ましいのは、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、ジルコン酸バリウム(BaZrO)、ジルコン酸ストロンチウム(SrZrO)、チタン酸・ジルコン酸バリウム(BaTiZr1‐x)、チタン酸・ジルコン酸ストロンチウム(SrTiZr1‐x)などである。
上記加熱反応の後は、反応によって生成する固形物(複合金属酸化物)を任意の方法で固液分離し、水洗してアルカリ水酸化物などを洗浄除去してから乾燥すると、用いた原料化合物に応じた複合金属酸化物微粉末を得ることができる。従って、前記第1および第2の金属化合物として各々1種の化合物を使用すれば、1種類の複合金属酸化物を得ることができるし、また2種以上の化合物を併用すれば、その使用比率に応じた原子比でそれらの金属を含んだ複合金属酸化物を得ることができる。
なお、上記の様に目的物は水性の反応液中に微粉末状で析出してくるが、これを濾過や遠心分離などで固液分離してから乾燥すると、微粉末同士が付着し合って2次凝集し易いので、反応溶媒からアルカリ水酸化物などを十分に洗浄除去した後、噴霧乾燥法や凍結乾燥法などによって乾燥し、目的物を微粉末状で得ることが推奨される。
目的物は、平均粒径で通常10〜100nmの範囲、より一般的には20〜50nmの範囲の微粉末として得られるが、目的物の平均粒径は原料化合物の種類により変わってくる他、反応条件、例えば反応媒体となるアルカリ水酸化物の濃度、反応温度、反応時間などによっても変わってくる。
そして、本発明者らが確認したところでは、アルカリ水酸化物の濃度を高めるほど、得られる複合金属酸化物の平均粒径は微細化する傾向がみられ、また反応温度が高くなるほど平均粒径は大きくなる傾向がある。従ってこうした傾向を活かし、用いる原料化合物の種類に応じてアルカリ水酸化物の濃度や反応温度を調整すれば、所望に応じた粒度の微粉末を得ることができる。
かくして得られる本発明の複合金属酸化物微粉末は、10ナノレベルの極めて微細な粉末であるばかりか、粒度分布が狭い粒径の揃った微粉末であり、且つ強誘電特性と高結晶性といった優れた特性を有し、圧電性や半導性などにも優れているので、例えばセラミックコンデンサ、セラミック積層コンデンサ、薄膜コンデンサ、PTCRサーミスタ、導電性薄膜、圧電素子などとして、電子・電気部品用に幅広く有効に活用することができ、更には白色顔料として化粧品用の紫外線防止成分などとしても利用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、下記実験で採用した物性の評価法は下記の通りである。
平均粒径(一次粒子径)および粒度分布:
走査型電子顕微鏡(SEM)で3箇所の写真撮影を行ない、写真に写っている粒子の数と粒子径を調べ、数平均粒子径と粒度分布を求めた。
誘電特性:
各供試粉体を、焼結が起こらない様にラバープレスでペレット状に成形して誘電率を測定した。
結晶性:
電界放射型透過電子顕微鏡(TEM)観察により電子線回折パターン測定を行ない、また、粉末X線回折測定(XRD)を行って求めた。
実施例1(反応時間の影響)
内径4cm、高さ10cm、内容積約100cmのポリテトラフルオロエチレン製容器(Sanplatec corp社製)に、TiO粉末(日本アエロジル社製の品番「P−25」、平均粒径20μm)1.8g、蒸留水3.24g、水酸化バリウム8水和物(和光純薬社製)7.06gおよび水酸化カリウム(和光純薬社製)12.8gを入れ、これをステンレス製の耐圧容器内に入れて密封し、150℃で0.5時間、1時間、2時間、3.5時間、15時間および20時間加熱して水熱反応を行った。KOH濃度は30モル/kgでK/Ti=10であった。
反応終了後、室温にまで冷却してから生成した微粉末を固液分離し、水で洗浄してから100〜150℃で乾燥することにより、微粉末状の複合金属酸化物を得た。
得られた複合酸化物微粉末のSEM写真を図1(左側は反応時間0.5時間で得たもの、右側は反応時間15時間で得たものである)に、またXRDパターンを図2に示す。またSEM写真から平均粒子径と粒度分布を調べ、結果を表1に示した。
表1およびSEM写真からも明らかな様に、処理時間が短いほど粒子径は小さくなる。また図2のXRDパターンから、反応時間0.5時間後から既にBaTiOが生成していることが分かる。更に各XRDパターンのピークはシャープで、反応時間に依存せずほぼ同じであり、0.5時間で高結晶性のBaTiOが生成していることを示している。
実施例2(反応温度の影響)
上記実施例1において、反応温度を60℃、90℃、120℃および150℃に変え、反応時間を全て20時間とした以外は実施例1と全く同様にして水熱反応および生成物の分離回収を行い、微粉末状の複合酸化物を得た。
得られた複合酸化物のSEM写真を図3(左側は反応温度90℃で得たもの、右側は反応温度120℃で得たものである)に、XRDパターンを図4に示す。また、図3のSEM写真から平均粒子径と粒度分布を調べ、結果を表2に示した。
表2からも明らかな様に、反応温度が低いほど粒子径は小さくなり、反応温度が高くなるにつれて粒子径は大きくなる。また図4のXRDパターンを見ると、温度の上昇と共に回折線はシャープになり、粒子が大きくなっていることを確認できる。
実施例3(濃度の影響)
前記実施例1において、KOH濃度を0,1,2,4,10,20,30,50モル/kgで変化させ、反応温度を150℃、反応時間を20時間とした以外は実施例1と全く同様にして水熱反応および生成物の分離回収を行い、微粉末状の複合酸化物を得た。
得られた複合酸化物のSEM写真を図5(左側はKOH濃度1モル/kgで得たもの、右側はKOH濃度50モル/kgで得たものである)に、XRDパターンを図6に、また、TEM写真および電子線回折を図7に示す。また、図5のSEM写真から平均粒子径と粒度分布を調べ、結果を表3に示した。
図5からも明らかな様に、1モルのKOH水溶液では、粒径が300nmのサイズまで進んだ粒子が観察される。そして、KOH濃度が大きくなるにつれて平均粒子径は小さくなり、10モル濃度では50nmになる。XRDパターンを見ると、KOH濃度が高くなるにつれて回折線はブロードになっている。図7のTEM観察および電子線回折パターンは50モル濃度で得たものであるが、粒子は空隙などのない単結晶粒子で格子縞がはっきり観察された。また、回折パターンはスポットで得られ、粒子一つ一つが単結晶であることから、XRDパターンの回折線のブロードニングが結晶子の大きさをそのまま反映していると言える。
粒子径の最も小さい50モル/kgで得たサンプルの誘電率を測定したところ、30nmの微粒子であるにも拘らず比誘電率は55〜96であることが確認された。
実施例4(アルカリ金属)
前記実施例1において、水酸化カリウムに代えて水酸化リチウム5.24gを使用し、精製水0.2g、酸化チタン(P25)1.0gを加えて150℃で20時間加熱して水熱反応を行った。あるいは、水酸化ナトリウム5.19g、精製水6.68g、酸化チタン(P25)1.0gを加えて150℃で20時間加熱して水熱反応を行った。
以下は前記実施例1と全く同様にして水熱反応および生成物の分離回収を行い、微粉末状の複合酸化物を得た。
得られた複合酸化物のSEM写真を図8(左側はLiOHを用いて得たもの、右側はNaOHを用いて得たものである)に、XRDパターンを図9に示す。また、図8のSEM写真から平均粒子径と粒度分布を調べ、結果を表4に示した。
図8のSEM写真より、LiOHを用いた場合の粒子は小さく均質であることが分かる。しかしNaOHを用いた場合は、300nm近くまで成長した粒子が観察される。XRDパターンを見ると、いずれもBaTiO単一相であり、いずれもシャープな回折線で結晶性の高い粒子であることを確認できる。
実施例5(塩化物)
前記実施例1において、水酸化バリウム8水和物に代えて、水酸化バリウム8水和物9.85gと37%の塩酸水溶液6.13gを予め反応させて塩化バリウムを得た。これに、水酸化カリウム12.54g、精製水1.73g、酸化チタン(P25)2.5gを加え、反応温度を150℃、反応時間を20時間とした以外は実施例1と同様にして水熱反応および生成物の分離回収を行い、微粉末状の複合酸化物を得た。
得られた複合酸化物のSEM写真を図10、XRDパターンを図11に示す。また、図10のSEM写真から平均粒子径と粒度分布を調べ、結果を表5に示した。
これらの結果から、バリウム源として塩化物を用いた場合も水酸化物を用いた場合も、全く違いがないことが分かる。
実施例6(ストロンチウム)
前記実施例1において、水酸化バリウム8水和物に代えて水酸化ストロンチウム8水和物を使用し、以下は実施例1と全く同様にして水熱反応および生成物の分離回収を行い、微粉末状の複合酸化物を得た。得られた複合酸化物のSEM写真を図12に、XRDパターンを図13に示す。また、図12のSEM写真から平均粒子径と粒度分布を調べ、結果を表6に示した。
これらの結果からも明らかな様に、この実験では平均粒径30nmの微粒子が得られている。また、図13のXRDパターンが示す様に、高結晶性のSrTiO単一相であることが確認された。
実施例7(鉛)
前記実施例1において、水酸化バリウム8水和物に代えて、酸化鉛6.975g、水酸化カリウム12.54g、精製水11.2g、酸化チタン(P25)2.5gを使用し、温度を150℃、時間を20時間として実施例1と全く同様に水熱反応および生成物の分離回収を行い、微粉末状の複合酸化物を得た。
得られた複合酸化物のSEM写真を図14に、XRDパターンを図15に示す。また、図14のSEM写真から平均粒子径と粒度分布を調べ、結果を表7に示した。
図14や表7からも明らかな様に、得られた粉末は平均粒径30nmの微粒子であり、また図15のXRDパターンからも明らかな様に、高結晶性のPbTiO単一相であることが分かる。
実施例8(ジルコニウム)
前記実施例7において、酸化チタンに代えてジルコニウムテトライソブトキシドの加水分解物0.77g、酸化鉛1.4g、水酸化カリウム6.27g、精製水5.6gを使用し、温度を150℃、反応時間を20時間とした以外は実施例1と同様にして水熱反応および生成物の分離回収を行い、微粉末状の複合酸化物を得た。
得られた複合酸化物のSEM写真を図16に、またXRDパターンを図17に示す。また、図16のSEM写真から平均粒子径と粒度分布を調べ、結果を表8に示した。
これらの結果から、得られた複合酸化物は30nm前後の微粒子が存在するものの平均粒径は600nmであり、図17のXRDパターンが示す様に高結晶性のPbZrO単一相であることが確認された。
実施例1で得た微粉末状複合酸化物のSEM写真である。 実施例1で得た微粉末状複合酸化物のXRDパターンである。 実施例2で得た微粉末状複合酸化物のSEM写真である。 実施例2で得た微粉末状複合酸化物のXRDパターンである。 実施例3で得た微粉末状複合酸化物のSEM写真である。 実施例3で得た微粉末状複合酸化物のXRDパターンである。 実施例3で得た微粉末状複合酸化物のTEMおよび電子線回折パターンである。 実施例4で得た微粉末状複合酸化物のSEM写真である。 実施例4で得た微粉末状複合酸化物のXRDパターンである。 実施例5で得た微粉末状複合酸化物のSEM写真である。 実施例5で得た微粉末状複合酸化物のXRDパターンである。 実施例6で得た微粉末状複合酸化物のSEM写真である。 実施例6で得た微粉末状複合酸化物のXRDパターンである。 実施例7で得た微粉末状複合酸化物のSEM写真である。 実施例7で得た微粉末状複合酸化物のXRDパターンである。 実施例8で得た微粉末状複合酸化物のSEM写真である。 実施例8で得た微粉末状複合酸化物のXRDパターンである。

Claims (4)

  1. Tiおよび/またはZrの酸化物、水酸化物、アルコキシド、有機酸塩から選ばれる少なくとも1種を、20モル濃度以上のアルカリ金属水酸化物水性液中、Ba,Sr,Pbから選択される1以上の元素の酸化物、水酸化物、アルコキシド、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種と反応させ、下記式(1)で示される微粉末状の複合金属酸化物を得ることを特徴とする高結晶性複合金属酸化物微粉末の製法。
    ABO……(1)
    (式中、AはBa,Sr,Pbよりなる群から選択される1種以上の元素、BはTiおよび/またはZrを表す)
  2. 反応を90〜150℃の温度で行う請求項1に記載の製法。
  3. アルカリ金属水酸化物として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれる少なくとも1種を使用する請求項1または2に記載の製法。
  4. 平均粒子径が10〜100nmの複合金属酸化物微粉末を得る請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
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