JP5216125B2 - 動的音響最適化方法および装置 - Google Patents

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Description

(発明の分野)
本発明は、観測点に放射された希望の音響信号を雑音に依存して調整する装置および方法に関するとともに、それに用いられる歪み適応(adaptive warped)デジタルフィルタに関する。
(発明の背景)
音楽や音声が、雑音に満ちた環境内で電気音響システムを通じて提供されるとき、通常、背後の雑音のために快適な聴取が困難である。雑音に満ちた中で音楽や音声が聴かれるような空間は、たとえば、自動車の車内である。背後の雑音は、エンジン、タイヤ、送風機などのモータや、風騒音や自動車内の他の機器から発生し、速度、路面状態および自動車の運転状態の関数となる。自動車の乗員は、この時間変化する背後の雑音に対して、音量調節器を回して、音楽や音声として提供される希望の信号を調整する。
音響を動的に最適化する方法および装置は、「動的音響最適化方法および装置(Method and Apparatus for Dynamic Sound Optimization)」(米国特許第5,434,922号明細書および同第5,615,270号明細書)として公知である。上記の明細書には、希望信号の音量を背後の雑音の関数として自動的に調整する方法および装置が開示されている。これによると、観測空間の全体音がマイクロフォンによって評価され、その全体音と一致する信号が抽出器に与えられる。そして、抽出器によってその信号から雑音信号成分が抽出される。続く増幅評価段において、この抽出雑音信号成分と音源からの原信号とが比較され、この比較の結果が、希望音響信号の音量設定に用いられる。
上記の雑音信号成分を抽出する方法における問題点は、希望信号の成分が抽出雑音信号成分に含まれているという点である。したがって、抽出雑音信号のレベルは実際の雑音レベルよりも高く、抽出雑音信号のみで音量を調節した場合には、高めの音量が設定されてしまい音量が増大してしまう。そして、高めの音量が設定されることによって、抽出雑音信号成分中に残存する希望信号成分が増大し、いわゆるゲイン・チェイス(gain chase)によって、音量レベルが最大限に達してしまう。このため、車内の聴取者が手動で介入するか、または、―米国特許第5,434,922号明細書および同第5,615,270号明細書に記載されているように―ゲイン・チェイスを抑制するために比較的高価なシステムを実現する必要がある。
一方、適応デジタルフィルタなどの適応型の回路網(networks)は、時間離散信号処理の分野、特に、システム解析、データ伝送系のエコー抑制、音声処理および電気音響学の分野において重要である。適応型回路網は、固定型の回路網と比較して、伝送特性を実現する回路網パラメータが、明確に示された特性関数に応じて最適に設定されることにその特徴がある。そのような特性関数の1つとして、たとえば、基準信号に対する適応型回路網の出力信号の平均二乗誤差(MSE:mean squared error)を最小化するものが挙げられる。
適応デジタルフィルタは、たとえば、延長方向に所定量の重み付きタップを備えた遅延線から構成される。全タップによって重み付けされた出力信号は加算されて一の出力信号となる。したがって、個々のタップによる信号の重み付けは、誤差信号を最小化するために連続的に調整される。ここで、誤差信号は、たとえば、フィルタの出力信号から基準信号を減算したときに生成されるようなものである。このようないわゆる最小二乗平均(LMS:least mean square)法の他にも基準信号に対して出力信号を最適化する方法と
して、逐次最小二乗(Recursive Least Squares)、QR分解最小二乗(QR Decomposition Least Squares)、最小二乗格子(Least Squares Lattice)、QR分解格子(QR Decomposition Lattice)または勾配適応格子(Gradient Adaptive Lattice)、ゼロフォーシング(Zero Forcing)、確率勾配(Stochastic Gradient)などがある。これら方法については、たとえば、ヘイキン(Haykin)著、「適応フィルタ理論(Adaptive Filter Theory)」、第2版、1991年、プレンチィスホール(Prentice Hall)社や、J.G.プロアキス(Proakis)著、「デジタル通信(Digital Communication)」、1995年、マグローヒル(McGraw Hill)社、634ページ〜676ページや、D.A.ピエール(Pierre)著、「最適化理論と応用 (Optimization Theory with Applications)」、1969年、ニューヨーク、ウィリーアンドサンズ(Wiley and Sons)社などに記載されている。
適応フィルタの重要な応用範囲として、音響的に好ましくない環境下に設置された音響再生装置の動的音響最適化についての分野がある。自動車内は、そもそもボディーの特性が好ましくないうえに、時間変化する背後の雑音が加わるため、特に好ましくない環境となっている。米国特許第5,434,922号明細書および第5,615,270号明細書には、適応フィルタを用いて自動車内の音質を改善させる方法および構造が示されている。車内の音響特性がより複雑で雑音成分がより多くなるにつれて、音響を最適化するための適応フィルタまたは適応フィルタ群として、より複雑で高価なものが必要となる。しかし、特に自動車の場合、装備されるアプリケーション、特に適応フィルタにあてられる予算はごくわずかである。したがって、アプリケーションにあてる予算を増やすかまたは音響の品質低下を我慢するかのどちらかとなる。
(発明の概要)
本発明の実施形態に係る、ある環境内で音響放射器から放射された音響出力を雑音に依存して調整する装置は、希望の電気信号を供給する信号源と、この希望の電気信号が与えられ、当該希望電気信号から、加工された希望電気信号を生成する調節装置を備えたものである。加工希望電気信号は、これから、上記音響出力を生成する音響放射器に与えられる。さらに、本装置は、音響放射器の音響出力に係る成分と音響雑音成分とが含まれる上記環境内の音響を取り込む収音器を備えている。収音器は、上記環境内の音響の音響出力成分に該当する成分と音響雑音成分に該当する成分とを含む観測信号を供給する。本装置は、観測信号が与えられ、少なくとも、観測信号の音響雑音成分を表す抽出雑音信号を生成する抽出器と抽出雑音信号および観測信号から得られる少なくとも一つの付加信号が供給される制御器とをさらに備えている。調節装置は、制御器が生成する制御信号が与えられ、この制御信号に応じて、上記加工された希望電気信号を変化させる。
本発明の一実施形態では、上記制御器に状態信号が与えられている。これによると、付加情報、たとえば、(音量調節器などによる)音量設定からだけではなく、自動車内に設置されている場合には、車速およびエンジン速度などからの付加情報によって、希望信号の音量および/またはその他の変数に影響を及ぼすことができる。
好ましくは、上記抽出器は、少なくとも一つの適応フィルタを有するものとする。これは、たとえば、最小二乗平均法に従って機能することができるものである。
観測信号から雑音信号成分の抽出については、上記抽出器を、希望信号の送信元である信号源に接続してもよいし、また、加工希望信号の送信元である信号処理装置に接続してもよい。
一方、本発明に係る方法は、希望の電気信号の生成し、それを制御信号の関数として加工し、およびその加工された希望電気信号から希望の音響信号を生成するといった処理を適宜提供するものである。これによると、音響雑音信号が重畳された希望の音響信号に基づいて生成される電気観測信号が観測点で聴取される。その後、観測信号に含まれる雑音信号成分が抽出される。そして、観測信号に含まれる雑音信号成分と観測信号から得られる信号とが一体化されて、制御信号が生成される。
視点を変えると、観測信号から得られる信号は、観測信号中の希望信号成分とスプリアス信号成分との和に該当する、かつ/または観測信号から得られる信号、すなわち希望信号成分に該当するものと言える。
また、本発明の一実施形態として、遅延素子のそれぞれの位相応答を設定することによって、周波数分解能に歪みがかけられる適応デジタルフィルタを提供する。これにより、非常に重要でより高い分解能が必要な周波数範囲と、低い分解能でもよい周波数範囲とが区別される。その結果、より低コストで、所望の音響品質を達成する適応デジタルフィルタを実現することができる。
また、本発明に係るある実施形態では、適応フィルタは、複数の遅延素子および当該複数の遅延素子に接続された係数回路網を有し、入力信号のフィルタリングを行って出力信号を生成するフィルタ部を備えたものとする。係数回路網は、出力信号が基準信号に応じて最適化されるよう、制御信号によって制御される。また、この適応フィルタは、位相応答が可変であり、周波数分解能に歪みがかかるように当該位相応答が選択されるフィルタ素子である遅延素子を複数有するものとする。
また、本発明の一実施形態に係る適応フィルタとして、複数の遅延素子および当該複数の遅延素子に接続された係数回路網を有するフィルタ部を備えたものとする。この適応デジタルフィルタは、入力信号のフィルタリングを行って出力信号を生成する。係数回路網は、出力信号が基準信号に応じて最適化されるように、制御装置によって制御される。さらに、位相応答が可変の複数のフィルタ部が設けられる。ここで、これら位相応答は、適応デジタルフィルタの周波数分解能に歪みがかかるように設定される。すべての公知のフィルタタイプ、たとえば、有限インパルス応答フィルタ(FIR)、無限インパルス応答フィルタ(IIR)、または波長デジタルフィルタといった具体的なフィルタ構造と具体的な伝達特性を呈するものが、フィルタ部として使用可能である。係数回路網の係数を制御する制御部は、逐次最小二乗、QR分解最小二乗、最小二乗格子、QR分解格子または勾配適応格子、ゼロフォーシング、確率勾配など上述したどのような最適化方法でも用いることができる。さらに、上述した、ヘイキン著、「適応フィルタ理論」第2版、1991年、プレンチィスホール社、J.G.プロアキス著、「デジタル通信」1995年、マグローヒル社、634ページ〜676ページや、D.A.ピエール著、「最適化理論と応用」1969年、ニューヨーク、ウィリーアンドサンズ社に記載された内容も参考にすることができる。
好ましくは、上記フィルタ部は、前記複数の遅延素子が直列に接続され、前記複数の遅延素子上および/または前記複数の遅延素子間に設けられた各タップのうち対応するものの下流側に接続され、一の係数で評価を行うための係数リンクと、当該係数リンクの下流側に接続されたアナログ加算器とを備え、出力端から出力信号を供給するものとする。出力に全体的なアナログ加算器を有するこの有限インパルス応答フィルタは、高い安定性と実行能力という特徴を持つ。なお、個々の係数は制御部の手前で修正される。
好ましい品質機能として、最小二乗平均法(LMS)、特に遅延最小二乗平均法を用いるものとする。これら方法は、比較的少ない出費で高精度を実現するという特徴を持つ。
また、本発明に係る適応フィルタの一実施形態では、全通過フィルタ、特に一次の全通過フィルタが、位相応答が可変のフィルタ素子として最良のものとして用いている。これにより、4つの実施形態が、基本的な全通過型のフィルタとして構成することができる。
一方、本発明に係る、入力信号の適応デジタルフィルタリング方法は、特に、信号プロセッサなどのソフトウェアによって実現するのに適している。本発明に係る適応デジタルフィルタリング方法によると、入力信号は制御可能なフィルタリング特性に応じてフィルタリングされ、そのフィルタリングは遅延処理および計算処理によって実現される。フィルタリング特性は、出力信号が基準信号に応じて最適化されるように制御される。これによると、位相応答を変化させて位相をシフトさせて遅延処理が行われ、その位相応答を調整することによって周波数分解能に歪みがかかる。フィルタリングは、選択された品質機能(上述したようなもの)によってフィルタリング特性を制御できるのと同様に、選択可能なフィルタタイプ、フィルタ構造および伝達特性に応じて、実行することができる。本発明では、さらに別の実施形態において、遅延を発生させるべく、有限インパルス応答フィルタリング、品質機能としての最小二乗平均法または遅延最小二乗平均法、および/または全通過フィルタリングを用いる。
本発明に係る適応デジタルフィルタは、雑音に依存して希望の音響信号が放射される装置に好適であり、特に、自動車内での使用に適している。これによると、心理音響学的特性を考慮して、低周波における周波数分解能が、高周波数におけるものよりも高くなるように、周波数分解能に歪みがかけられる。これにより、人間の聴覚特性により適した最適化が達成される。
好ましくは、本発明に係る適応デジタルフィルタは、希望の電気信号を発生させる信号源と、当該信号源の下流側に位置し、加工された希望電気信号を生成する可変の信号処理装置とを備えた装置において用いられるものとする。この装置には、さらに、上記信号処理装置の下流側に設けられ、加工された希望電気信号から希望の音響信号を生成する音響調節装置(an acoustic baffle)と、当該希望の音響信号およびこれに観測位置における音響雑音信号が重畳された信号から電気観測信号を生成する音響レシーバとが備えられる。そして、音響レシーバの下流側には、観測信号に含まれる雑音信号成分を抽出する抽出器があり、その下流側には、観測信号から得られる少なくとも一つの信号を受け、雑音信号および観測信号の両方から上記信号処理装置用の制御信号を生成する制御装置がある。
好ましくは、観測信号から得られる少なくとも一つの信号は、希望信号成分と雑音信号成分との和、および/または観測信号の希望信号成分に該当するものとする。これにより、観測信号から得られる信号もまた、抽出器によって生成することができる。さらに、状態信号が、信号処理要素を制御する要素として与えられるものとする。これにより、生成された希望信号の音量および/またはその他のパラメータに、(たとえば、増幅器の)音量調節などの付加的な情報、自動車の車速およびエンジン速度などによる影響を及ぼすことができる。好ましくは、本発明に係る適応デジタルフィルタは、マイクロフォン信号から希望信号および/または雑音信号の抽出に用いられるものとする。
上記係数回路網の係数を制御する制御部は、逐次最小二乗、QR分解最小二乗、最小二乗格子、QR分解格子または勾配適応格子、ゼロフォーシング、確率勾配など上述のどのような最適化方法をも用いることが可能である。さらに、上述した、ヘイキン著、「適応フィルタ理論」、第2版、1991年、プレンチィスホール社、J.G.プロアキス著、「デジタル通信」1995年、マグローヒル社、634ページ〜676ページ、またはD.A.ピエール著、「最適化理論と応用」、1969年、ニューヨーク、ウィリーアンドサンズ社に記載された内容も参考にすることができる。
そして、本発明の実施形態では、動的音響最適化装置および方法によって、周囲の雑音に基づいて音量が制御される。動的制御器(dynamic controller)として圧縮器(compressor)を用い、周囲の雑音を用いて圧縮器の比率を制御し、この圧縮器の出力を制御信号として、可変増幅器の利得の制御に用いることが好ましい。また、好ましくは、マイクロフォンによって供給される観測信号から抽出された抽出雑音信号を、上記周囲の雑音の信号として用いるものとする。抽出雑音信号を用いて圧縮器を直接制御する場合に抽出雑音信号の誤差に起因するゲイン・チェイスの局面を回避すべく、補正係数によって抽出雑音信号を補正するものとする。補正係数は、音源信号または加工された音源信号(可変利得増幅器の出力)のレベルの関数として、圧縮器曲線の最小傾斜(最大圧縮器比率)に制限をかけるものである。
本発明のさらなる適用可能分野は、以下の詳細な説明から明らかになる。詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示す例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことに留意すべきである。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1) ある環境内で音響変換器によって放射される音響出力を雑音に依存して調整する装置であって、
希望の電気信号を供給する信号源と、
前記希望の電気信号が与えられ、これから、加工された希望信号を生成し、当該加工希望信号を、これから、前記音響出力を生成する前記音響変換器に与える調節装置と、
前記音響出力に係る音響出力成分と音響雑音成分とを含む前記環境内の音響を検出し、当該音響出力成分に該当する観測音響出力成分と当該音響雑音成分に該当する観測雑音成分とを含む観測信号を供給する収音器と、
前記観測信号が与えられ、少なくとも、前記観測信号の前記観測雑音成分を表す抽出雑音信号を生成する抽出器と、
前記抽出雑音信号と前記観測信号から得られる少なくとも一つの付加信号とが与えられ、前記調節装置に与えられる制御信号を生成する制御器とを備え、
前記音響の調節装置は、前記制御信号に応じて、前記加工された希望の電気信号を変化させる
ことを特徴とする装置。
(項目2) 前記観測信号から得られる前記少なくとも一つの付加信号は、前記抽出器によって抽出され、かつ、前記観測音響出力成分を表す抽出音響出力成分信号を含む
ことを特徴とする項目1記載の装置。
(項目3) 前記制御器は、前記抽出音響出力成分信号の前記抽出雑音信号に対する比として定義される信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する
ことを特徴とする項目2記載の装置。
(項目4) 前記制御器は、前記抽出雑音信号が前記抽出音響出力成分信号よりも大きいとき、前記抽出音響出力成分信号の前記抽出雑音信号に対する前記信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する
ことを特徴とする項目3記載の装置。
(項目5) 前記観測信号から得られる前記少なくとも一つの付加信号は、前記観測信号を含む
ことを特徴とする項目1記載の装置。
(項目6) 音量設定、エンジンRPMおよび車速のうちの少なくとも一つに該当する少なくとも一つの状態信号が、前記制御器に与えられ、前記制御器による前記制御信号の生成に用いられる
ことを特徴とする項目1記載の装置。
(項目7) 前記加工希望信号は、前記抽出器の入力に与えられる
ことを特徴とする項目1記載の装置。
(項目8) 前記希望の電気信号は、前記抽出器の入力に与えられる
ことを特徴とする項目1記載の装置。
(項目9) 前記抽出器は、少なくとも一つの適応フィルタをさらに備えている
ことを特徴とする項目1記載の装置。
(項目10) ある環境内で音響変換器によって放射される音響出力を雑音に依存して調整する方法であって、
希望の電気信号を生成する工程と、
前記希望の電気信号から、加工された希望電気信号を生成する工程と、
前記音響変換器が、前記加工された希望電気信号から前記音響出力を生成する工程と、
前記環境内の音響を観測し、これから、前記音響出力に係る音響出力成分と音響雑音成分とを含む観測信号を生成する工程と、
前記観測信号から、少なくとも、前記音響雑音成分に係る抽出雑音信号を抽出する工程と、
前記抽出雑音信号と前記観測信号から得られる少なくとも一つの付加信号との両方から制御信号を生成する工程と、
前記制御信号に応じて、前記加工された希望電気信号を変化させる工程とを有する
ことを特徴とする方法。
(項目11) 前記観測信号から得られる前記少なくとも一つの付加信号は、前記観測信号を含む
ことを特徴とする項目10記載の方法。
(項目12) 前記観測信号から得られる前記少なくとも一つの付加信号は、前記音響出力成分に係る信号を含む
ことを特徴とする項目10記載の方法。
(項目13) 前記観測信号から前記音響出力成分に係る抽出音響出力成分信号を抽出する工程をさらに有し、
前記制御信号を生成する工程は、前記抽出音響出力成分信号と前記抽出雑音信号との比として定義される信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する
ことを特徴とする項目10記載の方法。
(項目14) 前記制御器は、前記抽出雑音信号が前記抽出音響出力成分信号よりも大きいとき、前記抽出音響出力成分信号の前記抽出雑音信号に対する信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する
ことを特徴とする項目13記載の方法。
(項目15) 動的に音響を最適化するオーディオシステムであって、
希望の電気信号を供給する信号源と、
前記希望の電気信号が与えられ、これから、加工された希望電気信号を生成する調節装置と、
前記加工された希望電気信号が与えられ、これから、ある環境内で放射される音響出力を生成する音響変換器と、
前記音響出力に係る成分と音響雑音成分とを含む前記環境内の音響を検出し、前記音響出力の成分に該当する観測音響出力成分と前記音響雑音成分に該当する観測雑音成分とを含む観測信号を供給する収音器と、
前記観測信号が与えられ、少なくとも、前記観測信号の前記観測雑音成分を表す抽出雑音信号を生成する抽出器と、
前記抽出雑音信号と前記観測信号から得られる少なくとも一つの付加信号とが与えられ、前記抽出雑音信号と前記観測信号から得られる前記少なくとも一つの付加信号とに応じて、前記調節装置に与えられる制御信号を生成する制御器とを
備え、
前記音響の調節装置は、前記制御信号に応じて、前記加工された希望電気信号を変化させる
ことを特徴とするオーディオシステム。
(項目16) 前記観測信号から得られる前記少なくとも一つの付加信号は、前記抽出器によって抽出され、かつ、前記観測音響出力成分を表す抽出音響出力信号を含む
ことを特徴とする項目15記載のオーディオシステム。
(項目17) 前記制御器は、前記抽出音響出力信号の前記抽出雑音信号に対する比として定義される信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する
ことを特徴とする項目16記載のオーディオシステム。
(項目18) 前記制御器は、前記抽出雑音信号が前記抽出音響出力信号よりも大きいとき、前記抽出音響出力信号の前記抽出雑音信号に対する信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する
ことを特徴とする項目17記載のオーディオシステム。
(項目19) 前記制御器によって前記抽出雑音信号を用いて前記制御信号が生成される前に、前記抽出雑音信号から前記環境内の音声の影響を、少なくとも部分的に、除去する音声活動検出器をさらに備えている
ことを特徴とする項目15記載のオーディオシステム。
(項目20) 複数の遅延素子および当該複数の遅延素子に接続された係数回路網を有し、入力信号のフィルタリングを行って出力信号を生成するフィルタ部と、
基準信号に応じて前記出力信号が最適化されるように前記係数回路網を制御する制御部とを備え、
前記複数の遅延素子は、位相応答が可変であり、周波数分解能に歪みがかかるように当該位相応答が選択されるフィルタ素子を含む
ことを特徴とする適応デジタルフィルタ。
(項目21) 前記複数の遅延素子は、直列に接続されたものであり、
前記複数の遅延素子に設けられた各タップのうち対応するものの下流側に接続され、一の係数で評価を行うための係数リンクと、
前記係数回路網の下流側に接続され、前記出力信号を出力するアナログ加算器とをさらに備えている
ことを特徴とする項目20記載の適応デジタルフィルタ。
(項目22) 前記出力信号は、最小二乗平均法および遅延最小二乗平均法のいずれかを用いて最適化される
ことを特徴とする項目20記載の適応デジタルフィルタ。
(項目23) 前記複数の遅延素子は、周波数応答が可変の全通過フィルタを含む
ことを特徴とする項目20記載の適応デジタルフィルタ。
(項目24) 遅延処理および計算処理によって入力信号のフィルタリングを行い、出力信号が基準信号に応じて最適化されるように、制御可能なフィルタリング特性を制御し、当該フィルタリング特性に応じて前記出力信号を生成する適応デジタルフィルタリング方法であって、
位相応答を変化させ、位相をシフトさせて前記遅延処理を行う工程と、
歪みがかかった周波数分解能によって前記位相応答を設定する工程とを有する
ことを特徴とする方法。
(項目25) 前記入力信号を多重に遅延させて多重の遅延入力信号を生成する工程と、
前記各遅延入力信号を、それぞれの係数を用いて調整する工程と、
前記調整された遅延入力信号を累積した出力として、前記出力信号を生成する工程とをさらに有する
ことを特徴とする項目24記載の方法。
(項目26) 最小二乗平均法および遅延最小二乗平均法のいずれかを用いて前記出力信号を最適化する工程をさらに有する
ことを特徴とする項目24記載の方法。
(項目27) 全通過のフィルタリングによって位相シフト処理を行う工程をさらに有す

ことを特徴とする項目24記載の方法。
(項目28) ある環境内で放射された希望の音響信号を雑音に依存して調整する装置であって、
希望の信号を供給する信号源と、
前記希望の信号が与えられ、当該希望信号から、加工された希望信号を生成する調節部と、
前記加工された希望信号が与えられ、当該加工希望信号から前記希望の音響信号を生成する音響変換器と、
前記環境内の音響を検出し、これから、前記希望の音響信号に該当する観測音響成分と音響雑音成分とを含む観測信号を生成する収音器と、
前記観測信号と前記希望信号および前記加工希望信号のいずれか一方とが与えられ、前記観測雑音成分に係る抽出雑音信号および前記観測音響成分に係る抽出希望音響信号のうちの少なくとも一方を生成する歪み適応デジタルフィルタを有する抽出器と、
前記抽出器によって生成された信号と前記観測信号から得られる少なくとも一つの付加信号とが与えられ、制御信号を生成する制御器とを備え、
前記制御信号は、前記調節部に与えられ、当該調節部は、これに応じて前記加工された希望信号を変化させる
ことを特徴とする装置。
(項目29) 前記抽出器は、
複数の遅延素子および当該複数の遅延素子に接続された係数回路網を有し、前記観測信号と前記希望信号および前記加工希望信号のいずれかと一方とについてフィルタリングを行って前記抽出雑音信号を生成するフィルタ部と、
基準信号に応じて前記抽出雑音信号が最適化されるように前記係数回路網を制御する制御部とを備えたものであり、
位相応答が可変のフィルタ素子が、前記複数の遅延素子として用いられ、かつ、
前記位相応答は、歪みがかかった周波数分解能によって設定されるものである
ことを特徴とする項目28記載の装置。
(項目30) 前記周波数分解能は、高周波よりも低周波の分解能の方がより高くなるように歪みがかけられる
ことを特徴とする項目29記載の装置。
(項目31) 前記抽出器は、第1および第2の抽出雑音信号を生成する第1および第2の歪み適応フィルタを有するものであり、
前記第1および第2の歪み適応フィルタの一方は、第1の周波数範囲において前記第1の抽出雑音成分を生成するように構成されたものであり、
前記第1および第2の歪み適応フィルタの他方は、第2の周波数範囲において前記第2の抽出雑音成分を生成するように構成されたものである
ことを特徴とする項目29記載の装置。
(項目32) 前記第1の歪み適応フィルタの歪みパラメータは0.9であり、
前記第2の歪み適応フィルタの歪みパラメータは0.99である
ことを特徴とする項目31記載の装置。
(項目33) 前記抽出器は、前記制御器に与えられる前記少なくとも一つの付加信号を生成する
ことを特徴とする項目29記載の装置。
(項目34) 前記抽出器は、前記抽出雑音信号および前記抽出希望音響信号の両方を生成し、当該抽出雑音信号および当該抽出希望音響信号の両方を前記制御器に与えるものであり、
前記抽出希望音響信号は、前記制御器に与えられる前記少なくとも一つの付加信号を含むものである
ことを特徴とする項目29記載の装置。
(項目35) 前記制御部は、少なくとも一つの状態信号が与えられる
ことを特徴とする項目29記載の装置。
(項目36) 前記少なくとも一つの状態信号は、音量設定、エンジンRPMおよび車速のうちの少なくとも一つに該当する
ことを特徴とする項目35記載の装置。
(項目37) 動的に音響を最適化するオーディオシステムであって、
希望の信号を出力とする信号源と、
前記希望の信号が与えられ、当該希望信号から、加工された希望信号を生成する調節部と、
前記加工された希望信号が与えられ、これから、ある環境内で放射される音響出力を生成する音響変換器と、
前記環境内で音響を検出し、前記音響出力に係る観測音響成分と、前記環境内の音響雑音に係る観測雑音成分とを含む観測信号を生成する収音器と、
前記観測雑音成分に係る抽出雑音信号を少なくとも抽出する歪み適応デジタルフィルタを有し、前記観測信号が与えられる抽出器と、
前記抽出雑音信号が与えられ、少なくとも部分的に、前記抽出雑音信号に基づいて制御信号を生成する制御器とを備え、
前記制御信号は、前記調節部に与えられ、かつ、当該調節部は、それに応じて前記加工希望信号を変化させる
ことを特徴とするオーディオシステム。
(項目38) 前記抽出器は、第1および第2の抽出雑音信号を生成する第1および第2の歪み適応フィルタを有するものであり、
前記第1および第2の歪み適応フィルタの一方は、第1の周波数範囲において前記第1の抽出雑音成分を生成するように構成されたものであり、
前記第1および第2の歪み適応フィルタの他方は、第2の周波数範囲において前記第2の抽出雑音成分を生成するように構成されたものである
ことを特徴とする項目37記載の装置。
(項目39) 前記第1の歪み適応フィルタの歪みパラメータは0.9であり、
前記第2の歪み適応フィルタの歪みパラメータは0.99である
ことを特徴とする項目38記載の装置。
(項目40) 動的に音響を最適化するオーディオシステムであって、
希望の信号を生成する信号源と、
前記希望の信号が与えられ、当該希望信号から、加工された希望信号を生成する調節部と、
前記加工された希望信号が与えられ、ある環境内で放射される音響出力を生成する音響変換器と、
前記環境内の音響を検出し、前記音響出力に係る観測音響成分と前記環境内の音響雑音に係る観測雑音成分とを含む観測信号を生成する収音器と、
前記観測雑音成分に係る抽出雑音成分を抽出する適応フィルタを有し、前記観測信号が与えられ、補正係数で前記観測雑音成分を補正して補正抽出雑音信号を生成する抽出器と、
前記希望信号から得られる信号が入力として与えられるとともに、前記観測雑音成分に係る前記補正抽出雑音信号が制御入力として与えられ、入力端に与えられた前記希望信号を前記補正抽出雑音信号に応じて変化させ、前記調節部に与えられる制御信号を生成する動的制御器とを備え、
前記調節部は、前記制御信号に応じて、前記加工された希望信号を変化させる
ことを特徴とするオーディオシステム。
(項目41) 前記動的制御器は、圧縮器を含むものであり、
前記補正抽出雑音信号は、前記圧縮器の比率を設定する制御信号を含むものである
ことを特徴とする項目40記載のオーディオシステム。
(項目42) 前記希望信号および前記加工された希望信号のいずれか一方の関数として、前記補正係数を生成する関数プロセッサをさらに備えている
ことを特徴とする項目40記載のオーディオシステム。
(項目43) 前記関数プロセッサは、前記補正係数を1から0まで変化させるものであり、
前記補正係数は、前記希望信号および前記加工された希望信号の前記いずれか一方が最小レベルよりも低いときは1であり、前記希望信号および前記加工された希望信号の前記いずれか一方が前記最小レベルと最大レベルとの間にあるときは1と0との間であり、前記希望信号および前記加工された希望信号の前記いずれか一方が前記最大レベルよりも高いときは0である
ことを特徴とする項目40記載のオーディオシステム。
(項目44) 前記希望信号から得られ、前記動的制御器の入力信号として与えられる信号は、前記希望信号を含む
ことを特徴とする項目40記載のオーディオシステム。
(項目45) 前記観測信号および前記希望信号が与えられ、前記動的制御器に入力信号として与えられる前記希望信号から得られる前記信号を得る第2の適応フィルタをさらに備え、
前記第2の適応フィルタによって得られた前記信号は、少なくとも部分的に、風騒音を補正する
ことを特徴とする項目41記載のオーディオシステム。
(項目46) 前記第2の適応フィルタは、系統インバータを含む
ことを特徴とする項目45記載のオーディオシステム。
(項目47) 前記希望信号は、前記第2の適応フィルタに与えられる複数の希望信号を含むものであり、
前記第2の適応フィルタは、前記複数の希望信号のそれぞれから、前記動的制御器の最大値検出器に与えられる信号を得るものであり、
前記最大値検出器は、前記動的制御器への前記入力信号として、前記複数の希望信号から前記第2の適応フィルタによって得られる信号のうち最大レベルのものを供給するものである
ことを特徴とする項目46記載のオーディオシステム。
(項目48) 前記第2の適応フィルタは、当該第2の適応フィルタを含む複数の適応フィルタを含み、前記複数の希望信号のいずれか一つが、当該複数の適応フィルタにおいて対応するいずれか一つに与えられるものであり、
前記第2の適応フィルタを含む前記複数の適応フィルタの各出力は、前記動的制御器の前記最大値検出器に接続されている
ことを特徴とする項目46記載のオーディオシステム。
(項目49) 前記希望信号は、複数の希望信号を含むものであり、
前記動的制御器は、前記複数の希望信号が与えられる最大値検出器を有するものであり、
前記最大値検出器は、前記動的制御器への前記入力信号として、前記複数の希望信号のうち最大レベルのものを供給するものである
ことを特徴とする項目40記載のオーディオシステム。
(項目50) 前記適応フィルタは、歪み適応フィルタを含む
ことを特徴とする項目40記載のオーディオシステム。
(項目51) 前記抽出器と前記動的制御器との間に接続され、少なくとも部分的に、前記補正抽出雑音信号から、前記環境内の音声活動の影響を消去する音声活動検出器をさらに備えた
ことを特徴とする項目40記載のオーディオシステム。
本発明に係る装置の第1の実施形態を示す図である。 本発明に係る装置の第2の実施形態を示す図である。 図1に示した本発明の第1の実施形態に係る装置に用いられる適応フィルタを示す図である。 適応フィルタの基本構造を示す図である。 本発明に係る適応デジタルフィルタのフィルタ部の好ましい実施形態を示す図である。 本発明に係る適応デジタルフィルタのフィルタ素子の位相応答すなわち周波数歪み関数を示すグラフである。 さまざまな位相応答に対する本発明に係る適応デジタルフィルタの周波数分解能を示すグラフである。 希望信号を音響に依存して整合する装置の実施形態を示す図である。 希望信号を音響に依存して整合する装置の実施形態を示す図である。 希望信号を音響に依存して整合する装置において本発明に係る適応デジタルフィルタを備えた抽出器の実施形態を示す図である。 本発明に係る適応デジタルフィルタに適用される全通過フィルタの実施形態を示す図である。 本発明に係る適応デジタルフィルタに適用される全通過フィルタの実施形態を示す図である。 希望信号を音響に依存して整合する装置における制御装置の実施形態を示す図である。 希望信号を音響に依存して整合する装置における制御装置の実施形態を示す図である。 希望信号を音響に依存して整合する装置における制御装置の実施形態を示す図である。 音声認識装置の実施形態を示す図である。 希望信号を音響に依存して整合する装置における制御装置の実施形態を示す図である。 希望信号を音響に依存して整合する装置における制御装置の実施形態を示す図である。 図17および図18の装置の性能を示すグラフである。 希望信号を音響に依存して整合する装置における制御装置の実施形態を示す図である。 希望信号を音響に依存して整合する装置における制御装置の実施形態を示す図である。 図21の装置の性能を示すグラフである。 希望信号を音響に依存して整合する装置における制御装置の実施形態を示す図である。 希望信号を音響に依存して整合する装置における制御装置の実施形態を示す図である。 図24の装置の性能を示すグラフである。 動的音響最適化装置の実施形態を示す図である。 図26の装置の処理ブロックの実施形態を示す図である。 動的音響最適化装置の実施形態を示す図である。 図28の装置の処理ブロックの実施形態を示す図である。 図26および図28の装置の実施形態において用いられる複数の入力信号(SC)の決定を示す図である。 図29の処理ブロックの実施形態における伝達関数ブロックの代表的な伝達関数を示すグラフである。 図28の装置の動的制御器の実施形態を示す図である。 図28の装置の動的制御器の実施形態を示す図である。 図33の装置の性能を示すグラフである。
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、詳細な説明および添付の図面からより深く理解できるであろう。
以下に説明する好ましい実施形態は、単に本発明の本質を例示するものであり、本発明、その適用範囲や用途を限定するものではない。
図1は、本発明に係る装置の第1の実施形態を示す。本装置は、CDプレーヤ、MP3プレーヤ、ラジオ受信機、オーディオカセットプレーヤ、その他音響伝達/再生装置などの信号源1を備えている。信号原1からは、希望の、つまり原信号Sが出力される。希望信号Sは、信号源1の出力端に直列に接続された調節装置2に与えられる。調節装置2は、制御信号Cによって、音量、および/または圧縮の程度、音響などの他の信号特性を変化させ、希望信号Sから、加工された希望信号SLを生成する。そして、加工希望信号SLは、音響放射装置、つまり音響変換器3に与えられる。音響変換器3は、加工希望信号SLから希望音響信号SAを生成する。音響放射装置は、一または複数のスピーカに加えて、それに関連する出力段、そしてデジタル制御される場合には適当なデジタル‐アナログ変換器を有する。
収音器として動作するマイクロフォン4は、希望音響信号SAおよび音響雑音信号NAを受ける。自動車内の場合、音響雑音信号NAは、路面騒音、エンジン騒音および/または
車内のその他の騒音からなる。マイクロフォン4では音響雑音信号NAが希望電気信号SAに重畳されており、マイクロフォン4は、希望音響信号SAおよび音響雑音信号NAから電気観測信号Mを生成する。希望音響信号SAおよび音響雑音信号NAはマイクロフォンを通じて変換されることによって、スプリアスつまり雑音信号NMと希望信号SMとの和に等しい電気観測信号Mとなる。観測信号Mは抽出器5に与えられ、抽出器5は、観測信号Mから抽出希望信号S´Mおよび抽出雑音信号N´Mを生成する。そして、制御装置6は、抽出希望信号S´Mおよび抽出雑音信号N´Mから制御信号Cを生成する。
再生信号の経路は、信号源1から音響放射装置3まで延びている。音量、音色、圧縮などの音響効果は、調節装置2によって調整することが可能である。
調節装置2は、制御信号Cによって制御される。制御信号Cは、抽出器5に与えられた加工希望信号SLおよび観測信号Mから生成される。希望電気信号SMおよび雑音信号NM
は、マイクロフォン4によって収音される希望音響信号SAおよび音響雑音信号NAにそれぞれ該当する。そして、抽出希望信号S´Mおよび抽出雑音信号N´Mは、抽出器5によって生成される。抽出希望信号S´Mは、基本的には、希望音響信号SAと一致する。希望音響信号SAは、観測点を囲む空間からのパルス応答を混ぜ合わせたものである。また、抽
出雑音信号N´Mは、充満する周辺雑音に該当する。
抽出雑音信号N´Mに含まれる誤差を最小化するために、抽出希望信号S´Mもまた制御装置6に与えられる。抽出希望信号S´Mは、希望信号成分、すなわち観測信号Mに含ま
れる信号SMを模擬的に表したものである。抽出器5は、抽出器5内で模擬的に表された
空間的なパルス応答が混ぜ合わされた加工希望信号SLから、抽出希望信号S´Mを生成する。したがって、抽出希望信号S´Mは、希望音響信号SAに極めて近いものである。
図2に、本発明の第2の実施形態を示す。図2に示した第2の実施形態は、図1に示した実施形態と同様であるが、抽出器5に代えて抽出器7を設けている。抽出器7は、加工希望信号SLではなく、信号源1の出力から希望信号Sを受ける。制御装置8は、図1の
制御装置6を置き換えたものである。制御装置8は、抽出希望信号S´Mおよび抽出雑音
信号N´Mによって作動する以外に、観測信号Mならびに状態信号R、VおよびPによっ
ても作動する。状態信号Rは現在のエンジン速度を示し、状態信号Vは車速を示し、状態信号Pは音量調節器の設定を示す。本発明の主たる内容は、抽出希望信号S´Mが、制御
信号Cを生成する制御装置6または8の内部において比較されることにある。
信号源1から出力された希望信号Sまたは加工希望信号SLと比較して、抽出希望信号
S´Mを用いることについての特に有利な点は、観測空間に充満する原信号がマイクロフ
ォン4に収音されるため、抽出希望信号S´Mがこの原信号に一致することにある。すな
わち、抽出希望信号S´Mは、観測空間の真の状態を最もよく表している。また、概して
、信号源1からの希望信号Sではなく、加工希望信号SLを用いる利点は、抽出器5が、
調節装置2において希望信号Sに施される加工と同じ処理を行う必要がないということにある。
抽出器5および7は、多くの公知の適応フィルタのうちのいずれか一つを備えている。公知の適応フィルタとして、LMSフィルタ、RLSフィルタ、QR分解LSフィルタ、LS格子フィルタ、QR分解格子フィルタ、勾配適応格子フィルタなどがある。好ましくは、最小二乗平均(LMS:least mean square)による方法または遅延最小二乗平均
(DLMS:delayed least mean square)による方法といった、デジタル信号プロセッサによって極めて効果的かつ効率的に利用できるような方法に従って機能する適応フィルタを選択するものとする。
図3は、図1の抽出器5において用いられる適応フィルタの実施形態を示す。一般的に、好ましくは、空間内に置かれた音響再生装置ごとに、加工希望信号SLによって作動す
る特定の適応フィルタが必要とされる。しかし、利用可能なコンピュータの処理能力に制限があるため、そのような構成は実際的ではない。システム全体における音響再生装置と同数の適応フィルタを用いるのが好ましいが、そうではなく、わずか1個または2個の適応フィルタによって抽出雑音信号S´Mを算出する場合には誤差が生じてしまう。この誤
差は抽出雑音信号N´Mに顕著に現れる。しかし、加工された増幅出力信号の合計信号ま
たはスピーカ作動信号を用いて抽出希望信号S´Mを抽出することによって、誤差を最小
化することができる。
さらに、適応フィルタのフィルタコアは、有限インパルス応答(FIR:finite impulse response)フィルタや無限インパルス応答(IIR:infinite impulse response)フィルタといった従来のフィルタである。このため、抽出雑音信号N´Mにおいて顕著
になる誤差が再び生じる。本実施形態では、図1の抽出器5における適応フィルタのフィルタコアとして、従来のFIRフィルタを用いている。抽出器5は、LMS法(勾配減少法(gradient decrease method))を用いて、高速かつ容易に係数を算出することができる。
図3に示すように、抽出器5はサンプリングレート低減装置9を備えている。サンプリングレート低減装置9は、観測信号Mが与えられ、等化器などのフィルタ10の入力に直列に接続されている。加工希望信号SLの第2の信号経路には、等化器などのフィルタ1
2への入力を出力するサンプリングレート低減装置11が含まれている。フィルタ12は、遅延装置13に直列に接続されている。遅延装置13の出力は、フィルタコア14に入力される。フィルタコア14は、適応フィルタとして設けられたものである。フィルタコア14の出力信号は、減算器15によってフィルタ10の出力信号から減算される。そして、抽出雑音信号N´Mは、減算器15から出力される。また、抽出希望信号S´Mは、フィルタコア14から出力される。
フィルタコア14は、基本的に非再帰形フィルタ構成をしており、直列に接続された複数の遅延素子16を有する。遅延素子16の入力タップは、遅延素子16間に配置された係数素子17を通じてアナログ加算器18に入力される。アナログ加算器18の出力は、フィルタコア14の出力であり、したがって、抽出希望信号S´Mを表す。係数素子17
は、最小二乗平均(LMS)法に従って機能する係数算出装置19によって同時に制御される。係数算出装置19は、抽出雑音信号N´Mを基準として係数素子17を調整する。
FIRフィルタ構造をしたフィルタコア14について、周波数分解能dfは、フィルタ長lから次式のように算出することができる。
df=fa/l
ここで、faはヘルツ単位のサンプリング周波数、lはタップ数単位のフィルタ長、そし
てdfはヘルツ単位の周波数分解能である。同式から、フィルタ長lおよびサンプリング周波数faが、周波数分解能dfおよび適応フィルタの特性にどのように影響を及ぼすか
がわかる。フィルタ長lが長い、またはサンプリング周波数faが低いほど、周波数分解
能dfは向上する。すなわち、個々のスペクトル線間の相互影響が改善される。適応フィルタから出力される抽出雑音信号N´Mにおいて、品質や誤差は、それぞれ増加させるこ
ともできるし、また減少させることもできる。解析される周波数帯を約1kHzの上側遮断周波数に限定しても、自動車内などの多くの場合には許容し得る。したがって、抽出器5または7のいずれかに供給されるすべての信号は、たとえば、fa=2kHzの新たなサン
プリング周波数で二次サンプリングをすることができる。これは、原サンプリング周波数faと比較するに、演算時間について有利なだけではなく、一定のフィルタ長による周波
数分解能を大幅に向上させることができる。結果として、実施に必要な費用を大幅に削減することができる。
適応フィルタについて、図1に示した実施例に基づいて説明したが、適応フィルタは、図2に示した実施形態についても同様に適用することができる。
次に、図4を参照しながら説明する。フィルタ部101は、入力信号102を受け、この入力信号をフィルタリングして出力信号103を生成する。フィルタ部101の伝達特性は制御信号104によって変更可能である。制御部105は、フィルタ部101の出力信号および基準信号106に応じて制御信号104を生成する。制御部105は、最小二乗平均(LMS)法に従って機能する。制御部105は、基準信号106から出力信号103を減算する減算器107と、減算器107の出力を受けてそれを増幅する増幅器108とを備えている。増幅器108は、所定の増幅作用を呈する。最小二乗平均法を用いる場合、増幅器108の出力を遅延させるべく、遅延素子109を増幅器108の下流側に挿入することも可能である。係数が可変であるフィルタであればどのようなものでも、フィルタ部101として用いることができ、フィルタ部101の伝達特性は調整可能となる。
図5は、本発明の実施形態に係る歪み適応フィルタ(warped adaptive filter)を示す。図5によると、有限インパルス応答(FIR)フィルタは、その出力側に全体を加算するアナログ加算器110を備えている。アナログ加算器110の入力は、制御可能な係数素子112を通じて、遅延素子111によって構成された遅延線のタップに接続されている。遅延素子111は、タップと制御可能な係数素子112との間に挿入されている。係数素子112は制御信号104によって制御される。好ましくは、位相応答が可変のフィルタ素子を用いて、一次の全通過フィルタとして、次式の伝達関数D(z)を呈する遅延素子111を実現するものとする。
D(z)=(z-1-λ)/(1-λz-1)
フィルタ素子111の位相応答φは、フィルタ素子111のフィルタ係数λを用いて設定することができる。図5のフィルタ部101の周波数歪み関数は、全通過フィルタ素子111のフィルタ係数である歪みパラメータ(warping parameters)λによって設定す
ることができる。線形の周波数軸は、全通過フィルタ素子111の位相応答を用いて、新たな歪み周波数軸に変換される。この位相応答は係数λにのみ左右される。図6は、周波数分解能が、周波数および係数、つまり歪みパラメータλに応じて変化する様子を示す。図7は、周波数分解能が、係数、つまり歪みパラメータλに左右されることをより明確に示す。
図7において、周波数分解能Δfは周波数fを用いて示されており、さまざまな値のフ
ィルタ係数λに基づいている。転回点の周波数(λ=0)は、周波数分解能が1に等しい周波数である。したがって、周波数分解能は次式のように算出される。
Δfw(f,λ)=fwarp(f,λ)・(1-λ2)/(1+λ2+2λ・cos(2πfwarp(f,λ)/f
s))
ただし、fwarp(f,λ)=f+(fs/π)・arctan(λ・sin(2πf/fs)/(1-λ・cos(2πf/
s)))
ここで、fsはサンプリング周波数、fw(f,λ)は周波数に基づいて変化する適応フィルタの周波数分解能、およびfwarp(f,λ)は全通過の周波数応答に対応する新たな周波数を示す。
したがって、転回点の周波数fTPは、歪み適応フィルタが従来のフィルタと等しい周波数分解能を有するような周波数である。これは次式のように算出される。
TP=(fs/2π)・arccos(λ)
なお、フィルタ係数λが正値の場合、周波数範囲が低いほど周波数分解能が向上する。また、転回点の周波数fTPよりも高い周波数範囲においては、従来のフィルタと比べて周波数分解能が低下する。
本発明の歪み適応フィルタは、観測位置に放射された希望の音響信号を、音響に依存して調整する装置に好適である。図8は、放射された希望音響信号を音響に依存して調整する装置を示す。CDプレーヤ、MP3プレーヤ、ラジオ受信機、オーディオカセットプレーヤ、その他音響再生装置などの信号源113は、希望信号Sを出力する。希望信号Sは、制御信号Cに応じて希望信号Sを加工して加工された希望信号SLを出力する調節部1
14に与えられる。この加工希望信号SLは、音量および/または圧縮の程度、音色など
の他の信号特性について加工が施されたものである。加工希望信号SLは、音響変換器1
15に入力される。音響変換器115は、加工希望信号SLから希望音響信号SAを生成する。音響変換器115は、一または数個の拡声器を備えるとともに、場合によってデジタル制御を行う場合には、デジタル‐アナログ変換器に相当する出力段を備えている。
希望音響信号SAは、音響レシーバとして機能するマイクロフォン116によって受け
取られる。このとき、希望音響信号SAに重畳された音響雑音信号NAが受け取られる。この重畳される信号は、車両騒音、エンジン騒音およびその他騒音が同時に生じる自動車内においてみられるものである。マイクロフォン116は、希望音響信号SAおよび音響雑
音信号NAに基づいて電気観測信号を生成する。すなわち、電気観測信号は、希望音響信
号SAおよび音響雑音信号NAをマイクロフォン116によって変換した後の雑音信号NM
と希望信号SMとの和に等しい。観測された信号つまりマイクロフォン信号M、および加
工希望信号SLは、抽出器117に入力される。抽出器117は、マイクロフォン信号M
から抽出された抽出希望信号S´Mおよび抽出雑音信号N´Mを生成する。制御装置118は、抽出希望信号S´Mおよび抽出雑音信号N´Mから制御信号Cを生成する。
再生信号の経路は、信号源113から音響変換器115まで延びている。音量、音色、圧縮などの音響再生は、調節部114によって行われる。調整部114は、加工希望信号SLおよび観測信号Mから得られる制御信号Cによって制御される。マイクロフォン11
6に取り込まれた希望信号SMおよび雑音信号NMは、それぞれ希望音響信号SAおよび音
響雑音信号NAに対応している。抽出希望信号S´Mは、抽出器117によって、加工希望信号SLを用いてマイクロフォン信号Mからフィルタリングすることによって抽出される
。抽出希望信号S´Mは、抽出雑音信号N´Mを生成するために、減算器119によってマイクロフォン信号Mから除去される。減算器119に代えて、図4に示した適応フィルタAFにおける減算器107の出力信号を、抽出雑音信号として制御部118に与えてもよい。同様に、マイクロフォン信号Mを制御部118に与えてもよい。当業者であれば、任意の付加的なフィルタおよび/またはサンプリング低減手段を図8中に取り入れてもよいことがわかるであろう。残余誤差を別にすれば、抽出希望信号S´Mは、基本的に、希望
音響信号SAと一致するものであり、それは、観測空間内のインパルス応答と混ぜ合わさ
れたものである。また、抽出雑音信号N´Mは、残余誤差を別にすれば、充満する環境音
と一致する。
抽出雑音信号N´Mに含まれる誤差を最小化するために、抽出希望信号S´Mが制御部118に入力される。抽出希望信号S´Mは、観測信号Mの希望信号成分SMを模擬的に表したものである。つまり、抽出希望信号S´Mは、抽出器117によって、周囲のインパル
ス応答を模擬的に表したものと混ぜ合わされた加工希望信号SLから生成される。したが
って、抽出希望信号S´Mは、希望音響信号SAに極めて近いものとなる。
図9に示した実施形態は、図8に示した実施形態と同様に動作するが、減算器119が省かれている。抽出雑音信号N´Mは、抽出器120によって直接生成される。加工希望
信号SLを受ける抽出器117を用いることなく、抽出器120は、信号源113の出力
から希望信号Sを直接受ける。さらに、制御部118を置き換えたものである制御部121は、観測信号M、状態信号R,V,Pならびに抽出希望信号S´Mおよび抽出雑音信号
N´Mを入力とする。状態信号Rは現在のエンジン速度に関するものであり、状態信号V
は車速に関するものであり、状態信号Pは音量増幅器の設定に関するものである。
図8および図9に示した実施形態では、制御信号Cを生成するために、抽出雑音信号N´Mに加えて抽出希望信号S´Mが制御部118および121に入力される。希望信号Sや加工希望信号SLよりもむしろ抽出希望信号S´Mを用いることについての特に有利な点は、観測環境内に放射された音源信号が録音手段によって録音されるため、抽出器117または120によってマイクロフォン信号(NM+SM)から抽出された抽出希望信号S´M
がこの音源信号と一致することにある。すなわち、抽出希望信号S´Mは、観測環境の実
際の状態を反映している。また、加工希望信号SLを用いる方が、調整部114によって
希望信号Sに施された加工処理を抽出器117または120によって追従しなくてもよくなるため、希望信号Sを用いる場合よりも概して有利である。
抽出器117および抽出器120では、本発明に係る歪み適応フィルタを使用する。適応フィルタは、上述したような品質機能を実現するなど、さまざまな制御機能に用いられることが知られている。適応フィルタは、最小二乗平均(LMS)アルゴリズムや方法、または遅延最小二乗平均(DLMS)アルゴリズムや方法の応用分野に好んで用いられる。適応フィルタは、デジタル信号プロセッサを用いることによって非常に効果的かつ効率的に機能する。図8および図9に示した実施形態では、図5に示した歪み適応フィルタは、信号源113からの希望信号Sまたは調節部114が出力する加工希望信号SLを、入
力信号102として受ける。このとき、マイクロフォン信号Mは、図4に示した基準信号106のような基準信号となる。
小型のフィルタによって、ある特定の周波数範囲内で、高いサンプリング周波数で高い周波数分解能を達成しなければならない局面において、歪み適応フィルタを使用することによる効果は特に大きい。たとえば、約1kHzまでの低周波数範囲においてサンプリング周波数を44.1kHzおよびフィルタ長を40タップとした場合において、従来の適応フィルタと歪み適応フィルタと比較すると、1kHzにおける周波数分解能が、従来のフィルタを用いると1100Hzとなるのに対して、歪み適応フィルタを用いると170Hzとなる。この場合、サンプリング周波数が44.1kHzでありかつ限界周波数が1kHzであるように変数を特定すると、歪み適応フィルタのフィルタ係数すなわち歪みパラメータはλ=0.9となる。
実際には、音響に依存して希望の音響信号を調整する装置においては、特に、2個の歪み適応フィルタを実装するものとする。ここで、2重フィルタシステムの一方のフィルタは上述の特性を示し、他方のフィルタは約150Hzまでの低周波数範囲を扱うものとする。これにより、広範な周波数範囲を通常のサンプリング周波数で分割することができる。持続期間が40タップおよびサンプリング周波数が44.1kHzのとき、遮断周波数を150Hzとするこのようなフィルタのフィルタ係数すなわち歪みパラメータはλ=0.99となる。
図10に、このような分離された歪み適応フィルタの構造を示す。図10には、図5に示したタイプの歪み適応フィルタが2個示されている。ここで、歪み適応フィルタAF1の歪みパラメータはλ=0.9であり、歪み適応フィルタAF2の歪みパラメータはλ=0.99である。両フィルタともマイクロフォン信号Mを入力として制御される。また、調節部114の出力から得た加工希望信号SLを基準信号とする。最も低い周波数範囲に
おける高分解能の抽出雑音信号N´M(low)および低周波数範囲における高分解能の
抽出雑音信号N´M(high)が、信号103として出力される。歪み適応フィルタA
F1,AF2は、さらに出力信号103´を生成する。出力信号103´として、最も低い周波数での高分解能の抽出希望信号S´M(low)および低周波数での高分解能の抽
出希望信号S´M(high)が供給される。それぞれの機能範囲は、歪み適応フィルタ
AF1,AF2の下流側の低域通過フィルタ122,123によって最適に決定される。低域通過フィルタ123の遮断周波数fg2は150Hzといった値であり、低域通過フィルタ122の遮断周波数fg1はこれよりも高く1kHzといった値である。各信号N´M(l
ow),S´M(low),N´M(high)およびS´M(high)は、制御部11
8または121によってそれぞれ処理されて合計される、または、始めに合計されてからまとめて処理される。
図10に示したような歪み適応フィルタを2重化した実施形態によると、40タップの持続期間および170Hzのサンプリングレートによって、1kHzの分解能周波数が達成される。従来のフィルタの場合、170Hzのサンプリングレートでは200タップのフィルタ持続期間が必要となる。本発明では、抽出器117および120は、雑音信号成分N´Mに加えて、信号成分S´Mを供給する。これは、抽出器117および120内部で図10に示したような周波数分割が行われた場合に発生する。雑音信号N´Mの誤差は確実には
除外することができないからである。誤差は、特に、観測領域内の音響再生メディアに見られるように、複数の適応フィルタが用いられる場合に、生じやすい。
全通過フィルタであればどのようなタイプのものでも使用可能である。図11および図12は、一次の全通過フィルタの典型的な実施形態を示す。これらのフィルタを用いることによって、通常、実施コストを低減することができる。図11に示した全通過フィルタの場合、入力信号i(n)が、係数がλ1である係数素子124および伝達関数がz-1
ある遅延素子125に与えられる。係数素子124および遅延素子125の出力は、アナログ加算器126の入力に接続されている。アナログ加算器126の出力は、全通過フィルタの出力信号o(n)である。出力信号o(n)は、伝達関数がz-1である遅延素子127を通り、係数がλ1である係数素子128に入力される。係数素子128の出力はアナロ
グ加算器126に入力される。
図12に示した全通過フィルタの場合、入力信号i(n)が、アナログ加算器129およびアナログ加算器130に入力される。アナログ加算器129の出力は、係数がλ2
ある係数素子131を通じてアナログ加算器130に入力される。アナログ加算器130の出力は、インバータ132によって反転され、遅延素子133に入力される。遅延素子133の出力は、アナログ加算器129およびアナログ加算器134に入力される。出力信号o(n)は、アナログ加算器134の出力側のタップから出力される。
図12に示した全通過フィルタは、インバータ132の代わりに、同様の構成をした段を追加挿入してカスケード接続することによって、より高次の全通過フィルタとすることができる。図示した全通過フィルタ以外にも、他のどのような形態の全通過フィルタ、およびラゲールフィルタ(Laguere filters)などの他のフィルタ素子をも使用することができる。
図13は、図9に示した制御装置121の好ましい実施形態を示す。図13の制御装置121は、2つの補正段135および136を備えている。これら補正段135および136には、抽出信号成分N´M(high)およびN´M(low)のそれぞれと、抽出希望信号成分S´M(high)およびS´M(low)のそれぞれとが与えられる。なお、雑音信号NMと希望信号SMとの合成信号を、補正段135および136に入力してもよい。補正段136からの出力信号は、低周波数用に補正された希望信号KN(low)であり、これは信号生成器138に入力される。補正段135からの出力信号は、選択的に活性化されて高周波成分用に補正された雑音信号KN(high)を出力する音声認識部137を通り、信号生成器138に入力される。制御信号Cは、上記の各入力から生成される。補正段135および136は、抽出雑音信号成分N´Mに含まれる残余誤差に制限を
かける。さらに、音声認識部137は、補正段135の出力信号を処理して、制御信号Cにおける音声エネルギーの影響を取り除く。なお、補正段135および136によって、増幅器の音量設定Pを調整するようにしてもよい。また、図8に示した制御信号生成器118は、車速V、増幅器の音量設定P、エンジン速度(RPM)などに関するデータを受けるようにしてもよい。
図14は、図8に示した制御装置118の好ましい実施形態を示す。制御装置118は、抽出希望信号成分S´Mおよび抽出雑音信号成分N´Mを受ける乗算器139を備えている。また、抽出希望信号成分S´Mは平方要素140に入力され、抽出雑音信号成分N´Mは平方要素141に入力される。全通過フィルタで実現可能な平均値生成器142,143,144は、乗算器139および両平方要素140および141からの信号を入力とする。平均値生成器142および144の出力は、入力信号の平方根を算出する要素146に信号を出力する乗算器145に入力される。要素146の出力、および平均値生成器143からの出力を受ける絶対値要素147の出力は、除算器148に入力される。抽出雑音信号成分N´Mによって制御される制御可能係数素子149は、除算器148からの出
力を受ける。こうして、係数素子149から補正雑音信号KNが出力される。
ところで、2つの信号XおよびYの相互相関係数CCCについては、次式のように算出される。
CCC=|Σ(x-mean(x))・(y-mean(y))|/√Σ(x-mean(x))2・(y-mean(y))2
図15に、図14の実施形態に対する別の実施形態を示す。マイクロフォン信号M、抽出雑音信号N´Mおよび抽出希望信号S´Mは、平均値生成器150、151および152にそれぞれ与えられる。平均値生成器150および151の出力信号は、減算器153に入力される。減算器153は、これら入力した信号を互いに減じて、信号σ1 2を生成する。平均値生成器152の出力信号は、減算器154に入力される。減算器154は、この入力した信号から信号閾値THを減じて、信号σ2 2を生成する。下流側の比較段155では、信号σ1 2と信号σ2 2とが比較される。そして、σ1 2≦σ2 2のとき、平均値生成器151の出力信号σN 2は、遅延段156において1ステップだけ遅延される。遅延された信号σN 2は、デクリメント段157で低減され、信号σD 2として識別器段158に入力される。識別器段158は、信号σD 2と増幅器の音量設定を表す信号Pとを比較する。そして、信号σD 2が信号P以上のとき、信号σD 2が出力され、これ以外のとき、信号σD 2は信号Pと等しくなるように設定される。
信号σN 2が主として環境内の音響によって定まるとき、判別子155においてyes枝Yが選択されることはない。つまり、抽出雑音信号N´Mに含まれる誤差はごくわずかで
あり、抽出雑音信号N´Mは制御信号Cの生成に用いることができる。問題は、信号σN 2
が、主として、適応フィルタでは算出不可能な、加工希望信号SLの成分によって定まる
場合である。この場合、識別子155においてyes枝Yが選択される。
yes岐Yが選択された場合、平均値生成器には、最後に検出された音響レベルが入力されている。そして、平均値生成器は、係数を低減しながら時定数τで徐々に下方調節され、増幅器の音量が操作者の設定した最小の値Pに到達する、または、識別子155においてno枝nに進むように、信号σN 2中の雑音のレベルが増加される。
音声活動の検出は、さまざまな手段で行うことが可能である。音声活動検出の実現に、最も単純かつ非常に有効であろうと考えられる手法は、短期間と長期間のエネルギーとを比較することである。この概念は、L.R.ラビナー(Rabiner)およびR.W.シェイフ
ァー(Schafer)著、「音声信号のデジタル信号処理(Digital Signal Processing of Speech Signals)」、プレンティスホール(Prentice Hall)社(1978)に記載されて
おり、音声認識部137などの音声活動検出部を実現する際の実例として用いることができる。この概念によると、音声とは、短期間では高レベルのエネルギーを含むが長期間に亘ると少量のエネルギーしか有さないようなパルス信号であると説明されている。
これについて、図16に示すように、音声によって濁ったおそれのある雑音信号nが車内で捕らえられ、この雑音信号nから、平均ブロック200において短期持続エネルギーレベルXが生成されるとともに、平均ブロック202において長期持続エネルギーレベルが生成される。ブロック200および202は、たとえば、値平均器によって構成可能である。そして、長期持続エネルギーレベルは、安全余裕(safety margin)を設けるべく、ブロック204において閾値分だけ上昇され、上昇長期エネルギーレベルYとなる。そして、短期エネルギーレベルXおよび上昇長期エネルギーレベルYは、ブロック206において互いに比較される。ブロック206では、時定数を適当に選択することによって、音声が存在するか否かを判定することができる。そして、短期エネルギーレベルXが上昇長期エネルギーレベルYよりも大きいとき、ブロック208においてカウンタがリセットされ、ブロック210においてデクリメントされる。一方、短期エネルギーレベルXが上昇長期エネルギーレベルYよりも大きくないとき、ブロック210においてカウンタがデクリメントされる。ブロック212では、カウンタがゼロであるか否かを調べるための検査が行われる。そして、カウンタがゼロのとき、ブロック214において雑音信号nは雑音信号n−1と等しくなるように設定される。一方、カウンタがゼロでないとき、ブロック216においてカウンタがインクリメントされ、ブロック218において雑音信号nは長期エネルギーレベルn−1と等しくなるように設定される。これに関して、音声が検出された場合、最近の最新の長期持続レベルは、音声エネルギーによってまだ影響を受けておらず(または、少なくとも強い影響は受けておらず)、一定期間、出力値nとして送られることになる。当該期間は外部から設定することができ、カウンタが既に動作してしまったかまたは動作中であるにかかわらず、音声が検出されるとすぐに自動的にリセットされる。
図1、図2、図8および図9にそれぞれ示した制御装置6、8、118および121は多くの異なる方法で実現可能であり、上述した内容はそのうちの一部である。
制御装置6、8、118および121は、主として、制御すべきもの、およびこれと同時に、確実に定められるべき制御信号Cによって、その実施形態が決まる。すなわち、ゲイン・チェイスの局面、つまり正帰還が回避されこととなる。信号対雑音比(SNR)から制御信号Cを決定するのが、安定した制御信号を生成するための最も単純な方法である。この場合、この決定が、線形領域、対数領域あるいはその他の領域で行われるか否かは、重要ではない。
図17は、信号対雑音比を線形領域において求める単純方法を示したブロック図である。ここで、信号対雑音比は制御信号Cとして用いられる。抽出器5(図1)、抽出器7(図2)、抽出器117(図8)または抽出器120(図9)のいずれかによって生成された抽出希望信号S´Mおよび抽出雑音信号N´Mは、重み係数がそれぞれV1およびV2であるスケーラ300および302によってそれぞれスケーリングが行われる。スケーラ300および302の出力は、レベルメータ304および306を通って処理され、信号LS(これは、希望の信号S´Mのレベルを表す)および信号LN(これは、抽出雑音信号N
´Mのレベルを表す)が生成される。そして、ブロック308においてレベルLNとレベルLSとが比較される。そして、レベルLNがレベルLSよりも大きいときにのみ、ブロック
310において信号対雑音比が算出され、ブロック312において1から信号対雑音比を減算することによって制御信号Cが決定されるといった制御が行われる。一方、レベルLSがレベルLNよりも大きいときは、雑音を無視することができるため、信号対雑音比に従って制御信号Cを調整する必要はない。
重み係数V1およびV2は、調節の最大ダイナミクスを決定付けるスケーリングに影響を及ぼす。この場合、係数V1またはV2を領域に応じて修正しなければならない。もちろん両方を修正することも可能である。この点に関して、ブロック308においてNo枝側が正しく機能し、ブロック314において正確な制御信号Cが算出されるためにも、デシベル(dB)単位で修正を行わなければならない。これと同時に、利得値は、線形の制御が行われるように、すなわち、制御動作が影響を及ぼさないように選択されるべきである。
図18は、図17に示されたのと同じ単純方法の実施例を示す。ただし、ここでは、線形領域ではなく対数領域を用いるものとする。同様の構成要素は同様の符号で参照する。生成されたLSおよびLNが比較ブロック308において比較され、LNがLSよりも大きいとき、XはLNと等しい値に設定される。これ以外のとき、XはLSと等しい値に設定される。そして、ブロック313において、LsのLog2がとられ、ブロック315において、XのLog2がとられる。加算器314では、LsのLog2値からXのLog2値が減算され、この結果について、ブロック316においてantilog2がとられる。そして
、ブロック318から信号対雑音比が出力され、ブロック320において最小値と比較される。信号対雑音比が最小値よりも小さいとき、利得(制御信号C)は最小値と等しい値に設定される。これ以外のとき、利得(制御信号C)は信号対雑音比と等しい値に設定される。
図19は、最大制御範囲を24dBとしたときの入力レベルおよび雑音の関数としての利得を示すグラフである。図19からわかるように、制御曲線の形状は一定であり、雑音の大きさLNによって上下に変位するのみである。この場合、曲線形状は、入力レベル(LS)の上昇とともに出力レベル(利得)が連続的に縮小していき、信号対雑音比の値に
よって特定される点に自動的に到達するような形状となる。この点から先は、出力レベル(利得)は、線形領域で実現される場合にはNo枝の処理、また対数領域で実現される場合にはMinValによって決定され、線形的に変化して最大音量となる。出力レベル(利得)を連続的に縮小させることは、ゲイン・チェイスの局面、すなわち正帰還を回避するうえで不可欠である。これにより、音量が大きい(高入力レベル)ときに、音量が勝手に急上昇(出力レベルが上昇)するといった現象を防止することができる。
図17および図18の単純方法にはいくつかの欠点もある。たとえば、制御範囲から線形範囲への比較的急な遷移、すなわち過度の圧縮比がそうである。これは、不正な音量追従(volume follow-up)という悪影響を及ぼす。また、信号対雑音比によって定められ
る圧縮比は、調整することができない。さらに、制御範囲から線形範囲への遷移、すなわち制御曲線における折れ目は、背後の雑音のみによって決まる。これもまた、好まざる音量追従を引き起こす要因となる。さらに、SNR値を直接用いることは理想的ではなく、調節に過度の変動を生じさせることとなる。これらの欠点は、制御信号Cの決定に用いられるアルゴリズムに、選択的に手を加えることによって解消することができる。たとえば、図17に示した線形領域での実現の場合、圧縮比、すなわち制御範囲から線形範囲への遷移は、信号の流れの中における後段部分に数学関数(たとえば、指数関数)を選択的に挿入することによって、緩和したり制御したりすることができる。
図20に、図17に示した線形領域の方法に上記の数学関数を応用した修正例を示す。同様の要素は同様の参照符号で参照し、図20の実施形態と図17の実施形態との相違点のみを説明する。図20に示したように、利得は、ブロック312によって決定された後、ブロック322における関数によって修正される。
図21は、図18に示した対数領域の方法についての修正例を示す。同様の要素は同様の参照符号で参照し、図21の実施形態と図18の実施形態との相違点のみを説明する。対数領域の方法が線形領域の方法よりも優れている点は、対数領域の方法の方が、非常に圧縮比を制御し易いという点である。図18および図21の実施形態では、1回の乗算によってこれを実現することができる。図21の実施形態では、制御ブロック326によって制御される比率(ratio)ブロック324が、加算器314とantilog2
ロック316との間に挿入されている。
図22は、図21の実施形態の動的関係について、最大制御範囲を24dBとしたときの入力レベルおよび雑音の関数としての利得を示すグラフである。ここで、乗算係数ratioは、入力レベルの関数として外部から制御される。なお、乗算係数ratioは、最終的な圧縮比を定めるものであり、入力レベルなどの特定の関数に基づいて制御される。雑音レベルまたは雑音レベルと入力レベルとの合成を用いて関数による処理を行って、希望のratio値を生成することも可能である。また、音量や速度などの異なるパラメータの関数として、外部からratio値を修正することも可能である。これは、場合に応じて決定すればよい。
図17および図18の実施形態を図20および図21の実施形態に修正することによって、図17および図18の実施形態における上記欠点がいくつか解消される。さらに修正を行うことにより、これら欠点をさらに多く解消することができる。たとえば、入力レベルに応じて音量の範囲を設定することによって、効果的な動的関係を得ることができる。
図23は、制御範囲の制御を付加した、図21の実施形態に対する修正例を示す。同様の要素は同様の参照符号で参照する。これによると、図23の実施形態は、スケーラ300および302に接続された制御ブロック328を追加した点のみが、図21の実施形態と異なっている。この実施形態では、スケーラV1およびV2の変更が可能である。
図24は、制御範囲の制御を付加した、図20の実施形態に対する修正例を示す。同様の要素は同様の参照符号で参照する。図24の実施形態もまた、スケーラ300および302に接続された制御ブロック328を備えている。比較ブロック308において、LN
がLSよりも大きいとき、XはLNと等しい値に設定される。これ以外のとき、XはLS
等しい値に設定される。ブロック330において、信号対雑音比はLS/Xによって算出
される。ブロック322において、利得が関数によって処理された後、比較ブロック332において、その結果の値と最小値との比較が行われる。結果値が最小値よりも大きいとき、利得、つまり制御信号Cは結果値と等しい値に設定される。これ以外のとき、利得は最小値と等しい値に設定される。
図23および図24の実施形態において、制御範囲は、たとえば、音量や速度など、またはこれらの組合せなどのさまざまな要素の関数によって制御することができる。しかし、制御範囲は入力レベルの関数として制御することが好ましい。この理由は、低入力レベルは低雑音レベルによってマスクされるため、制御範囲の要件は、高入力レベルに対するものよりも低入力レベルに対するものの方がより重要となるからである。
図25は、図23の実施形態の動的関係のグラフである。ここでは、制御範囲は、入力レベルなどの関数として外部から制御される。さらに、雑音や出力レベルなどで制御して非線形に音量追従を行うなどの修正が可能である。しかし、そのようなさらなる修正によって、コスト増という問題が生じる。このことから、対数領域での実現の方がより容易である。また、音量調節の安定化を最重要視する場合には、信号対雑音比を用いて、利得、すなわち制御信号Cを制御することが望ましい。
図17〜25の実施形態は、調節によってシステムの動的関係にどの程度の効果がもたらされるのかを示している。これに関して、制御信号Cを生成するこれらの実施形態、すなわち制御装置6(図1)、制御装置8(図2)、制御装置118(図8)および制御装置121(図9)を具現化したものは、制御される動的制御器(dynamic controller)
、すなわち制御される圧縮器により近いものとなっている。当業者であればわかるように、圧縮器とは、信号の微弱成分を増幅し、強大成分を減衰させる装置である。そのような動的制御器は、好ましくは、適当な一の制御信号によって安定して制御されるべきであるが、一以上の制御信号による制御も可能である。また、そのような動的制御器は、動的制御器のすべての機能性を発揮するものでなければならない。したがって、圧縮器を用いてそのような動的制御器を実現することが好ましいことである。なぜなら、圧縮器には既に、弱い入力信号を上昇させる、すなわち音量を制御可能にするために必要とされる基本的な機能が備わっているからである。理想的には、純粋な雑音信号を用いて圧縮器を制御すべきであるが、既に述べたように、安価に生成できる雑音信号は純粋な雑音信号とは異なったものであり、したがって、ゲイン・チェイスが生じてしまう。
図26は、本発明に係る、動的制御器を用いた動的音響最適化装置400の実施形態を簡略化したブロック図である。装置400は、CDプレーヤ、MP3プレーヤ、ラジオ受信機、オーディオカセットプレーヤなどの信号源402を備えている。信号源402は、電気音響信号Sを可変利得増幅器404に出力する。制御信号Cは、可変利得増幅器404の利得を変更して、スピーカ406を駆動する加工音源信号SLを生成する。
マイクロフォン408は、聴取環境内の音響を観測し、周囲の雑音信号Nおよびオーディオ音響信号SMを含む電気観測信号SM+Nを生成する。オーディオ音響信号SMは、空
間的なインパルス応答が複雑に絡み合った、スピーカ406から出力された信号と一致する。すなわち、信号SMは、スピーカ406から聴取環境に放射された出力を表す。観測信号、すなわちマイクロフォン信号SM+N、および電気音響信号Sは、処理ブロック4
10に与えられる。処理ブロック410は、入力信号SCおよび制御信号RCを生成し、動的制御器412に与える。動的制御器412は、制御信号Cを生成するものであり、好ましくは圧縮器で実現するものとする。処理ブロック410が観測信号SM+Nおよび音源
信号Sから生成する、破線で示したような抽出雑音信号N´M、および音量や速度などの
付加的な制御パラメータなどを、動的制御器412に任意に与えてもよい。しかし、処理ブロック410から動的制御器412に任意に与えられる抽出雑音信号N´Mは、動的制
御器412の制御ではなく、雑音レベルに合わせたイコライジング(equalizing)などの他の用途に用いられるものとする。可変利得増幅器404、処理ブロック410および動的制御器412は、一または複数の信号プロセッサまたはマイクロプロセッサにおけるソフトウェアなどのように、デジタル的に実現することができる。
図27は、処理ブロック410を詳細に示す。処理ブロック410は、制御信号RC
作成する。制御信号RCは、音源信号Sおよびマイクロフォン信号SM+Nを歪み適応フィルタ414(たとえば、上述したようなもの)に与えて抽出雑音信号N´Mを抽出し、音
源信号Sから補正係数CORRを決定し、そして抽出雑音信号N´Mに補正係数CORR
を反映させるべく乗算器416で抽出雑音信号N´Mに補正係数CORRを乗算すること
によって得られる。歪み適応フィルタ414のタップの重みは、抽出雑音信号N´Mに応
じて、最小二乗平均(LMS)法に従って設定される。音源信号Sおよびマイクロフォン信号SM+Nは、歪み適応フィルタ414に与えられる前にダウンサンプリングされる。
すなわち、音源信号Sおよびマイクロフォン信号SM+Nは、間引き(decimation)フィ
ルタ418および420(これらは、アンチエイリアシング(anti-aliasing)フィルタ
である)にそれぞれ入力され、間引きフィルタ418および420の出力は、間引き段422および424にそれぞれ入力される。乗算器416において補正係数CORRを抽出雑音信号N´Mに反映させて制御信号RCを生成する前に、抽出雑音信号N´Mは、スケー
ラ426、高域通過フィルタ428、音声活動検出ブロック(VAD:Voice Activity
Detection)430および平均ブロック432によって処理される。
処理ブロック410は、音源信号Sを伝達関数ブロック434への入力として、補正係数CORRを生成する。音源信号Sは、伝達関数ブロック434に入力される前に、スケーラ436、高域通過フィルタ438および平均ブロック440によって処理される。
音源信号Sおよび抽出雑音信号N´Mは、スケーラ426および436を用いて、振幅
およびエネルギーについて同じスケールで正規化される。高域通過フィルタ428は、車内の雑音が与える心理的な音響の側面を考慮したものである。車内では、高めの可聴周波数よりも可聴下の低い周波数の方がより強く重み付けされており(つまり、高いエネルギー量を有している)、よりよい制御特性を得るには、可聴下の低い周波数を減衰またはフィルタリングする必要がある。高域通過フィルタ438は、処理された音源信号Sをアナログ的にフィルタリングする。音声活動検出ブロック430は、システムが、音声ではなく、送風機、風、路面、エンジンの騒音などの真の干渉雑音に反応するように、抽出雑音信号N´Mに紛れ込んだ音声信号を消去する。
処理ブロック410は、好ましくは圧縮器である動的制御器412への入力信号SC
生成するが、その前に、間引きフィルタ442および間引き段444によって音源信号Sをダウンサンプリングし、また、ダウンサンプリングされたマイクロフォン信号SM+N
を適応フィルタ446に与える。適応フィルタ446は、出力信号SCに応じて、LMS
法に従って設定されたタップの重みを有する短有限インパルス応答(FIR)フィルタであることが好ましい。これに関して、適応フィルタ446は、聴取環境に紛れ込む音響成分を除去する系統インバータ(system inverter)として機能する。特に、適応フィルタ446は、少なくともある程度の風騒音を補正する。
好ましくは、間引きフィルタ418、420および442ならびに間引き段422、424および444を実装する方がよいが、省略してもよい。また、好ましくは、スケーラ426および436、フィルタ428および438、ならびに音声活動検出ブロック430を実装する方がよいが、省略してもよい。
この点に関して、ダウンサンプリングを行わない、または、ごくわずかしかダウンサンプリングを行わない場合、図27に示した破線の経路(1)、(2)および(3)の信号を用いることができる。これにより、間引きされた信号Sと同様に、各信号S´Mおよび
Cに、元の音源信号Sの信号成分のすべてまたは大部分を確実に含ませることができる
。これは、制御信号RCを正確に生成するうえで重要である。ある程度の誤差が許容でき
る場合には、破線の経路(1)、(2)および(3)で示した上記の信号は、大きく間引きをする場合についても用いることもできるが、これはあまり好ましくない。好ましくは、純粋な信号を用いるものとする。
図26および図27に示した装置400の実施形態における欠点は、一時的に出力され、調節される音楽信号のエネルギーを考慮していない点である。しかし、加工音源信号SLは、この情報を含んでおり、制御信号RCを生成するうえでうまく用いることができる。
図28は、加工された希望音源信号SLを用いて制御信号RCを生成するようにした、装置400の修正例を示す。同様の要素は同様の参照符号で参照し、図28の装置450と図26の装置400との相違点のみを説明する。処理ブロック410は、装置450において、加工音源信号SLを入力する処理ブロック452に置き換えられている。
図29は、図28に示した処理ブロック452の実施形態を示す。なお、上と同様に、選択的な信号経路を破線で示している。処理ブロック452は、図27に示した処理ブロック410と多くの点で類似している。同様の要素を同様の参照符号で参照し、装置452と装置410との相違点のみを説明する。装置452と装置410との主たる相違点は、間引きフィルタ420および間引き段424を通って歪み適応フィルタ414に入力される信号が、音源信号Sではなく、加工音源信号SLであるという点である。加工音源信
号SLには、調整された音源信号S中の瞬間的なエネルギー量に関する情報が含まれてお
り、これは、制御信号RCを正確に生成するうえで重要である。
一般には、複数の音源信号(たとえば、ステレオ信号の左右のステレオチャンネル)が存在する(SC1〜SCn)ため、入力信号(SC1〜SCn)は、音源信号SCごとに同様
の方法で生成される。これに関して、図30に示すように、各入力信号SCは、破線で示
すように一の適応フィルタ446によって、または複数の適応フィルタ446、すなわち入力信号SCごとに一の適応フィルタによって生成することができる。適応フィルタ44
6を複数ではなく1個だけ使用することによって、ある程度の誤差は生じるが、実装すべき適応フィルタ446が1個でよいため、より低コストでシステムを実現することができる。
装置400および装置450に係る音量制御のための基本的なアプローチは、周囲の雑音に基づいて音量を制御すると言うものである。これら装置は、動的制御器412として、可変利得増幅器404の利得を制御する制御信号Cする圧縮器を用い、周囲の雑音を用いて圧縮比を制御して、音量の制御をすることが好ましい。しかし、既に説明したように、抽出雑音信号N´Mには、それを生成する歪み適応フィルタ414が有限長であるため
、誤差が含まれる。したがって、抽出雑音信号N´Mは、マイクロフォン信号SM+Nの雑音成分のみからなる真の周囲の雑音ではない。さらに、抽出雑音信号N´Mは、マイクロ
フォン信号SM+Nのオーディオ音響信号成分SMの一部をも含んでいる。したがって、もし抽出雑音信号N´Mのみを用いて圧縮比RCを制御するならば、スピーカ406からの出力音が増大して抽出雑音信号N´Mが増大し、結果としてゲイン・チェイスの局面に至る
こととなるであろう。このため、装置400および450は、補正係数CORRを用いて抽出雑音信号N´Mを補正するものとする。補正係数CORRによって、圧縮器曲線の最
小勾配(最大圧縮器比率)は、音源信号Sのレベルの関数として、制限がかけられる。
図31は、加工音源信号SLから補正係数CORRを決定する図29の伝達関数ブロッ
ク434における伝達関数f(x)の代表例を示す。同様の伝達関数を、図27の伝達関数ブロック434における伝達関数に用いることができる。図31からわかるように、補正係数CORRは、加工音源信号SLのレベルが最小レベルよりも低いときに1であり、
それから、加工音源信号SLのレベルが最大レベルを超えて0となるまで変化する。補正
係数CORRを抽出雑音信号N´Mに反映させることにより、加工音源信号SLのレベルが最大レベルを超えたとき、装置450は非活性(動的音量制御が行われないという意味)となり、加工音源信号SLのレベルが最小レベルよりも低いとき、装置450は抽出雑音
信号N´Mに基づいて音量を制御し、そして、加工音源信号SLのレベルが最小レベルと最大レベルとの間にあるとき、装置450は、低減された抽出雑音信号N´M、すなわち補
正係数CORRで乗算されたN´Mに基づいて音量を制御するというように作用する。
図32は、動的制御器412として使用可能な圧縮器を簡略化したものを示す。入力信号(SC1〜SCn)は、最大値ブロック460によって処理される。最大値ブロック460は、これら入力信号SCのうち最大値のものを決定し、その入力信号SCを平均ブロック462に出力する。平均ブロック462は、この入力信号SCの平均を求め、それに対応
する対数信号がlog2ブロック464によって生成される。ここで、図32において、
乗算器466をRatioと示すこととする。これは、log2ブロック464によって
生成された信号を制御信号RCで乗算することによって、動的制御器412である圧縮器
の比率が設定されることになるからである。乗算器466の出力は、antilog2
ロック468によって線形信号に変換される。この線形信号は、可変利得増幅器404の利得を制御する制御信号Cである。
図33は、図32の圧縮器の修正例を示す。ここでは、速度に関する制御信号(Speed)やユーザが音量調節をすることによって与えられる音量制御信号(Volume)などの任意の制御パラメータが用いられる。たとえば、動的制御器412として用いることが好ましい圧縮器を用いて音量感を増大させたい場合には、音量制御信号を用いて、雑音に連動した圧縮器の制御が、加工音源信号SLの限定された範囲内でのみ行われるよう
にして、ゲイン・チェイスを回避しなければならない。この場合、圧縮器を、実際の目盛に接近した場合にのみ適当な方法で活性化するものとする。図32および図33の実施形態において同様の要素は同様の参照符号で参照し、図32および図33の実施形態間の相違点のみを説明する。log2ブロック464の出力は乗算器470に与えられ、音量制
御装置472によって生成された音量制御信号で乗算される。乗算器466の出力および乗算器470の出力は、加算器472および474によってそれぞれ処理されて信号aおよびbがそれぞれ生成された後、比較ブロック476において比較される。信号aが信号bよりも小さいとき、信号bがantilog2ブロック478によって処理され、制御
信号Cとしての線形信号が生成される。これ以外のとき、信号aがantilog2ブロ
ック478によって処理され、制御信号Cが生成される。
図34は、図33に示した実施形態の動的制御器を用いた装置450の性能を示す。図34から、音量制御信号を変更することによる効果がわかる。雑音に連動した制御信号RCおよび音量制御信号を用いる場合、これら2つの信号のいずれか大きい方を用いて、可
変利得増幅器404の音量を制御する制御信号Cを生成すればよいことがわかるであろう。
本発明の説明は本質的に例示的なものに過ぎない。したがって、本発明の主旨から逸脱しない変形も本発明の範囲内にあるものと意図される。そのような変形は、本発明の真意および範囲から逸脱したものとみなすべきではない。

Claims (35)

  1. ある環境内で音響変換器によって放射される音響出力を雑音に依存して調整する装置であって、
    希望の電気信号を供給する信号源と、
    前記希望の電気信号が供給される調節装置であって、前記調節装置は、前記希望の電気信号から、加工された希望信号を生成し、前記加工された希望信号は、前記加工された希望信号から前記音響出力を生成する前記音響変換器に供給される、調節装置と、
    前記音響出力に係る音響出力成分と音響雑音成分とを含む前記環境内の音響を検出し、前記音響出力成分に対応する観測音響出力成分と前記音響雑音成分に対応する観測雑音成分とを含む観測信号を供給する収音器と、
    前記観測信号が供給される抽出器であって、前記抽出器は、少なくとも、前記観測信号の前記観測雑音成分を表す抽出雑音信号と、前記観測音響出力成分を表す抽出音響出力成分信号とを生成する、抽出器と、
    前記抽出雑音信号と前記抽出音響出力成分信号とが供給される制御器であって、前記制御器は、前記抽出雑音信号と前記抽出音響出力成分信号とに基づいて前記調節装置に供給される制御信号を生成する、制御器と
    前記制御器によって前記抽出雑音信号を用いて前記制御信号が生成される前に、前記抽出雑音信号から前記環境内の音声に起因して生成される前記抽出雑音信号の一部を、少なくとも部分的に、除去する音声活動検出器とを備え、
    前記音響の調節装置は、前記制御信号に応答して、加工された希望の電気信号を変化させる、装置。
  2. 前記制御器は、前記抽出音響出力成分信号の前記抽出雑音信号に対する比として定義される信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する、請求項1に記載の装置。
  3. 前記制御器は、前記抽出雑音信号が前記抽出音響出力成分信号よりも大きいとき、前記抽出音響出力成分信号の前記抽出雑音信号に対する前記信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する、請求項2に記載の装置。
  4. 音量設定、エンジンRPMおよび車速のうちの少なくとも一つに対応する少なくとも一つの状態信号が、前記制御器に供給され、前記制御信号の生成において前記制御器により用いられる、請求項1に記載の装置。
  5. 前記加工された希望信号は、前記抽出器の入力に供給される、請求項1に記載の装置。
  6. 前記希望の電気信号は、前記抽出器の入力に供給される、請求項1に記載の装置。
  7. 前記抽出器は、少なくとも一つの適応フィルタをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
  8. ある環境内で音響変換器によって放射される音響出力を雑音に依存して調整する方法であって、
    希望の電気信号を生成する工程と、
    前記希望の電気信号から、加工された希望電気信号を生成する工程と、
    前記音響変換器が、前記加工された希望電気信号から前記音響出力を生成する工程と、
    前記環境内の音響を観測し、前記音響から、前記音響出力に係る音響出力成分と音響雑音成分とを含む観測信号を生成する工程と、
    前記観測信号から、少なくとも、前記音響雑音成分に係る抽出雑音信号と、前記観測音響出力成分を表す抽出音響出力成分信号とを抽出する工程と、
    前記抽出雑音信号から前記環境内の音声に起因して生成される前記抽出雑音信号の一部を、少なくとも部分的に、除去することにより、補正雑音信号を生成する工程と、
    前記補正雑音信号と前記抽出音響出力成分信号との両方から制御信号を生成する工程と、
    前記制御信号に応答して、前記加工された希望電気信号を変化させる工程と
    を含む、方法。
  9. 前記制御信号を生成する工程は、前記抽出音響出力成分信号と前記補正雑音信号との比として定義される信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成することを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 制御器は、前記補正雑音信号が前記抽出音響出力成分信号よりも大きいとき、前記抽出音響出力成分信号の前記補正雑音信号に対する信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する、請求項9に記載の方法。
  11. 動的音響最適化を有するオーディオシステムであって、
    希望の電気信号を供給する信号源と、
    前記希望の電気信号が供給される調節装置であって、前記希望の電気信号から、加工された希望電気信号を生成する調節装置と、
    前記加工された希望電気信号が供給される音響変換器であって、前記加工された希望電気信号から、ある環境内で放射される音響出力を生成する音響変換器と、
    前記音響出力に係る成分と音響雑音成分とを含む前記環境内の音響を検出し、前記音響出力の成分に対応する観測音響出力成分と前記音響雑音成分に対応する観測雑音成分とを含む観測信号を供給する収音器と、
    前記観測信号が供給される抽出器であって、少なくとも、前記観測信号の前記観測雑音成分を表す抽出雑音信号と、前記観測音響出力成分を表す抽出音響出力成分信号とを生成する抽出器と、
    前記抽出雑音信号と前記抽出音響出力成分信号とが供給される制御器であって、前記制御器は、前記抽出雑音信号と前記抽出音響出力成分信号とに応答して、前記調節装置に供給される制御信号を生成し、前記音響の調節装置は、前記制御信号に応答して、前記加工された希望電気信号を変化させる、制御器と
    前記制御器によって前記抽出雑音信号を用いて前記制御信号が生成される前に、前記抽出雑音信号から前記環境内の音声に起因して生成される前記抽出雑音信号の一部を、少なくとも部分的に、除去する音声活動検出器とを備え、オーディオシステム。
  12. 前記制御器は、前記抽出音響出力信号の前記抽出雑音信号に対する比として定義される信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する、請求項11に記載のオーディオシステム。
  13. 前記制御器は、前記抽出雑音信号が前記抽出音響出力信号よりも大きいとき、前記抽出音響出力信号の前記抽出雑音信号に対する信号対雑音比に基づいて前記制御信号を生成する、請求項12に記載のオーディオシステム。
  14. ある環境内で放射された希望の音響信号を雑音に依存して調整する装置であって、
    希望の信号を供給する信号源と、
    前記希望の信号が供給される調節部であって、前記希望の信号から、加工された希望信号を生成する調節部と、
    前記加工された希望信号が供給される音響変換器であって、前記加工された希望信号から前記希望の音響信号を生成する音響変換器と、
    前記環境内の音響を検出し、前記音響から、前記希望の音響信号に係る観測音響成分と音響雑音成分とを含む観測信号を生成する収音器と、
    前記観測信号と前記希望の信号および前記加工された希望信号のいずれか一方とが供給され、少なくとも、前記観測雑音成分に係る抽出雑音信号および前記観測音響成分に係る抽出希望音響信号を生成する歪み適応デジタルフィルタを含む抽出器と、
    前記抽出器によって生成された信号が供給される制御器であって、前記制御器は、制御信号を生成し、前記制御信号は、前記調節部に供給され、前記調節部は、前記制御信号に応答して前記加工された希望信号を変化させる、制御器と
    前記制御器によって前記抽出雑音信号を用いて前記制御信号が生成される前に、前記抽出雑音信号から前記環境内の音声に起因して生成される前記抽出雑音信号の一部を、少なくとも部分的に、除去する音声活動検出器とを備える、装置。
  15. 前記抽出器は、
    複数の遅延素子および前記複数の遅延素子に接続された係数回路網を含むフィルタ部であって、前記観測信号と前記希望信号および前記加工された希望信号のいずれかと一方とについてフィルタリングを行って前記抽出雑音信号を生成するフィルタ部と、
    基準信号に対して前記抽出雑音信号が最適化されるように前記係数回路網を制御する制御部とを備え、
    可変の位相応答を有するフィルタ素子が、前記複数の遅延素子として用いられ、前記可変の位相応答は、歪みがかかった周波数分解能によって設定される、請求項14に記載の装置。
  16. 前記周波数分解能は、高周波よりも低周波の分解能の方がより高くなるように歪みがかけられる、請求項15に記載の装置。
  17. 前記抽出器は、第1および第2の抽出雑音信号を生成する第1および第2の歪み適応フィルタを含み、
    前記第1および第2の歪み適応フィルタの一方は、第1の周波数範囲において前記第1の抽出雑音信号を生成するように構成されており、
    前記第1および第2の歪み適応フィルタの他方は、第2の周波数範囲において前記第2の抽出雑音信号を生成するように構成されている、請求項15に記載の装置。
  18. 前記第1の歪み適応フィルタは、0.9の歪みパラメータを有し、前記第2の歪み適応フィルタは、0.99の歪みパラメータを有する、請求項17に記載の装置。
  19. 前記制御部は、少なくとも一つの状態信号が供給される、請求項15に記載の装置。
  20. 前記少なくとも一つの状態信号は、音量設定、エンジンRPMおよび車速のうちの少なくとも一つに対応する、請求項19に記載の装置。
  21. 動的音響最適化を有するオーディオシステムであって、
    出力端において希望の信号を供給する信号源と、
    前記希望の信号が供給される調節部であって、前記希望の信号から、加工された希望信号を生成する調節部と、
    前記加工された希望信号が供給される音響変換器であって、前記加工された希望信号から、ある環境内で放射される音響出力を生成する音響変換器と、
    前記環境内で音響を検出し、前記音響出力に係る観測音響成分と、前記環境内の音響雑音に係る観測雑音成分とを含む観測信号を生成する収音器と、
    前記観測信号が供給される抽出器であって、前記観測雑音成分に係る抽出雑音信号と前記観測音響出力成分を表す抽出音響出力成分信号とを少なくとも抽出する歪み適応デジタルフィルタを含む抽出器と、
    前記抽出雑音信号と前記抽出音響出力成分信号とが供給される制御器であって、前記制御器は、少なくとも部分的に、前記抽出雑音信号および前記抽出音響出力成分信号に基づいて制御信号を生成し、前記制御信号は、前記調節部に供給され、前記調節部は、前記制御信号に応答して前記加工された希望信号を変化させる、制御器と
    前記制御器によって前記抽出雑音信号を用いて前記制御信号が生成される前に、前記抽出雑音信号から前記環境内の音声に起因して生成される前記抽出雑音信号の一部を、少なくとも部分的に、除去する音声活動検出器とを備える、オーディオシステム。
  22. 前記抽出器は、第1および第2の抽出雑音信号を生成する第1および第2の歪み適応フィルタを含み、
    前記第1および第2の歪み適応フィルタの一方は、第1の周波数範囲において前記第1の抽出雑音信号を生成するように構成されており、
    前記第1および第2の歪み適応フィルタの他方は、第2の周波数範囲において前記第2の抽出雑音信号を生成するように構成されている、請求項21に記載のオーディオシステム。
  23. 前記第1の歪み適応フィルタは、0.9の歪みパラメータを有し、前記第2の歪み適応フィルタは、0.99の歪みパラメータを有する、請求項22に記載のオーディオシステム。
  24. 動的音響最適化を有するオーディオシステムであって、
    希望の信号を生成する信号源と、
    前記希望の信号が供給される調節部であって、前記希望の信号から、加工された希望信号を生成する調節部と、
    前記加工された希望信号が供給される音響変換器であって、前記加工された希望信号から、ある環境内で放射される音響出力を生成する音響変換器と、
    前記環境内の音響を検出し、前記音響出力に係る観測音響成分と前記環境内の音響雑音に係る観測雑音成分とを含む観測信号を生成する収音器と、
    前記観測信号が供給される抽出器であって、前記抽出器は、前記観測雑音成分に係る抽出雑音信号と前記観測音響出力成分を表す抽出音響出力成分信号とを抽出する適応フィルタを含み、前記観測雑音成分は、補正係数で補正され補正抽出雑音信号を生成する、抽出器と、
    前記希望の信号から得られる信号が入力信号として供給されるとともに、前記観測雑音成分に係る前記補正抽出雑音信号および前記抽出音響出力信号が制御入力として供給される制御であって、前記制御器は、入力端に供給された前記希望の信号を前記補正抽出雑音信号に応答して変化させ、前記調節部に供給される制御信号を生成し、前記調節部は、前記制御信号に応答して、前記加工された希望信号を変化させる、制御器と
    前記制御器によって前記補正抽出雑音信号を用いて前記制御信号が生成される前に、前記補正抽出雑音信号から前記環境内の音声に起因して生成される前記補正抽出雑音信号の一部を、少なくとも部分的に、除去する音声活動検出器とを備える、オーディオシステム。
  25. 前記制御器は、圧縮器を含み、
    前記補正抽出雑音信号は、前記圧縮器の比率を設定する制御信号を含む、請求項24に載のオーディオシステム。
  26. 前記希望の信号および前記加工された希望信号のいずれか一方の関数として、前記補正係数を生成する関数プロセッサをさらに備える、請求項24に記載のオーディオシステム。
  27. 前記関数プロセッサは、前記補正係数を1から0まで変化させ、
    前記補正係数は、前記希望の信号および前記加工された希望信号の前記いずれか一方が最小レベルよりも低いときは1であり、前記希望の信号および前記加工された希望信号の前記いずれか一方が前記最小レベルと最大レベルとの間にあるときは1と0との間であり、前記希望の信号および前記加工された希望信号の前記いずれか一方が前記最大レベルよりも高いときは0である、請求項24に記載のオーディオシステム。
  28. 前記希望の信号から得られ、前記制御器の入力信号として供給される信号は、前記希望の信号を含む、請求項24に記載のオーディオシステム。
  29. 前記観測信号および前記希望信号が供給される第2の適応フィルタであって、前記制御器に入力信号として供給される前記得られる信号を得る第2の適応フィルタをさらに備え、
    前記得られる信号は、少なくとも部分的に、風騒音を補正する、請求項25に記載のオーディオシステム。
  30. 前記第2の適応フィルタは、系統インバータを含む、請求項29に記載のオーディオシステム。
  31. 前記希望の信号は、前記第2の適応フィルタに供給される複数の希望信号を含み、
    前記第2の適応フィルタは、前記複数の希望信号のそれぞれから、前記制御器の最大値検出器に供給される信号を得るものであり、
    前記最大値検出器は、前記制御器への前記入力信号として、前記複数の希望信号から前記第2の適応フィルタによって得られる信号のうち最大レベルのものを供給する、請求項30に記載のオーディオシステム。
  32. 前記第2の適応フィルタは、前記第2の適応フィルタを含む複数の適応フィルタを含み、前記複数の希望信号のいずれか一つが、前記複数の適応フィルタのうちのそれぞれ一つの適応フィルタに供給され、
    前記第2の適応フィルタを含む前記複数の適応フィルタの各々の出力は、前記制御器の前記最大値検出器に接続されている、請求項30に記載のオーディオシステム。
  33. 前記希望の信号は、複数の希望信号を含み、
    前記制御器は、前記複数の希望信号が供給される最大値検出器を含み、
    前記最大値検出器は、前記制御器への前記入力信号として、前記複数の希望信号のうち最大レベルのものを供給する、請求項24に記載のオーディオシステム。
  34. 前記適応フィルタは、歪み適応フィルタを含む、請求項24に記載のオーディオシステム。
  35. 前記抽出器と前記制御器との間に接続され、少なくとも部分的に、前記補正抽出雑音信号から、前記環境内の音声活動の影響を消去する音声活動検出器をさらに備える、請求項24に記載のオーディオシステム。
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