図1には、ウェビング巻取装置10が車両前後方向一側から見た側面図にて示されており、図6には、本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置10が車両前後方向一側かつ車幅方向内側から見た分解斜視図にて示されている。なお、図面では、車幅方向内側を矢印INで示し、車両前後方向一側を矢印LOで示し、上方を矢印UPで示す。
図6に示す如く、本実施の形態に係るウェビング巻取装置10には、支持部材としての断面U字形板状のフレーム12が設けられており、フレーム12には、車幅方向内側の背板12Aと、車両前後方向一側の脚板12Bと、車両前後方向他側の脚板12Cと、が設けられている。フレーム12は、背板12Aにおいて、車両に固定されており、これにより、ウェビング巻取装置10が車両に設置されている。
脚板12B及び脚板12Cには、それぞれ円状の配置孔14A及び配置孔14Bが貫通形成されており、配置孔14Aと配置孔14Bとは、互いに対向されている。脚板12Bには、略台形状の挿入孔16が貫通形成されており、挿入孔16は、配置孔14Aに連通されている。
フレーム12の脚板12B(配置孔14A)と脚板12C(配置孔14B)との間には、巻取軸を構成する巻取部材としての略円筒状のスプール18が回転可能に配置されている。スプール18の脚板12B側の一端は、配置孔14Aの脚板12C側近傍に配置されており、スプール18の脚板12C側の他端は、配置孔14B内に配置されている。
スプール18には、長尺帯状のウェビング20(ベルト)が基端側から巻き取られており、ウェビング20は、フレーム12から上側へ延出されて、車両のシート(図示省略)に着座した乗員に装着される。また、スプール18が巻取方向(図6の矢印Aの方向)へ回転されることで、ウェビング20がスプール18に巻き取られると共に、ウェビング20がスプール18から引き出されることで、スプール18が引出方向(図6の矢印Bの方向)へ回転される。
スプール18内には、中心軸に沿って、巻取軸及びフォースリミッタ機構を構成するエネルギー吸収部材としてのトーションシャフト22が挿入されており、トーションシャフト22の脚板12B側の一端22Aは、スプール18の一端面から突出されている。トーションシャフト22の脚板12C側の他端22Bは、スプール18の他端内に回転不能に嵌合されており、トーションシャフト22は、スプール18と一体に回転可能にされている。
スプール18の一端には、回転部材としての略円柱状のロックギヤ24が設けられており、ロックギヤ24には、中心軸に沿って、トーションシャフト22が貫通されている。
図6及び図7に示す如く、ロックギヤ24のスプール18側部分には、略円筒状のスリーブ部26が設けられており、スリーブ部26は、スプール18の一端内に回転可能に嵌入されている。スリーブ部26内には、トーションシャフト22の一端22A近傍が回転不能に嵌合されており、ロックギヤ24は、トーションシャフト22と一体に回転可能にされている。
ロックギヤ24のスプール18とは反対側部分には、ギヤ部28が設けられており、ギヤ部28は、脚板12Bの配置孔14A内に配置されている。ギヤ部28の外周全体には、ラチェット歯28A(外歯)が形成されており、ウェビング20のスプール18からの急激な引き出し時や車両の急減速時には、ラチェット歯28Aにパウルロック(図示省略)が係合することで、ロックギヤ24の引出方向への回転が規制(ロック)されて、スプール18の引出方向への回転を阻止することができる。
ロックギヤ24のスプール18とは反対側の面には、クラッチ機構を構成する円柱状のクラッチ凹部30が形成されており、クラッチ凹部30の外周面は、摩擦係数が高くされている。
図1に示す如く、フレーム12の脚板12B外側には、ラック&ピニオン方式によるプリテンショナ機構32が設けられている。
図6及び図7にも示す如く、プリテンショナ機構32には、保持部材としての樹脂製で略円環状のギヤケース34が設けられており、ギヤケース34は、脚板12Bに固定されている。ギヤケース34の外周部は、ロックギヤ24のギヤ部28の外周部分を被覆しており、ギヤケース34内には、ロックギヤ24のクラッチ凹部30が配置されると共に、トーションシャフト22の一端22Aが貫通されている。
ギヤケース34の外周部には、所定数(本実施の形態では3つ)の円柱状の保持ピン36(シェアピン)が一体に形成されており、保持ピン36は、ギヤケース34からロックギヤ24とは反対側へ突出されている。ギヤケース34の外周部には、湾曲板状の案内板38が一体に形成されており、案内板38は、ギヤケース34からロックギヤ24とは反対側へ突出されると共に、ロックギヤ24のギヤ部28外周に沿って湾曲されている。ギヤケース34の外周部には、案内板38の巻取方向側において、断面略L字形柱状の係止柱40が一体に形成されており、係止柱40は、ギヤケース34からロックギヤ24とは反対側へ突出されている。
図2、図8及び図9に詳細に示す如く、ギヤケース34の外周部には、案内板38の巻取方向側近傍において、制限部材としての制限爪42が一体に形成されており、制限爪42は、ギヤケース34からロックギヤ24とは反対側へ突出されている。制限爪42には、長尺矩形柱状の制限柱44が設けられており、制限柱44は、基端がギヤケース34と一体にされると共に、弾性(可撓性)を有している。制限柱44の先端には、断面台形状の制限突起46が一体に形成されており、制限突起46は、制限柱44からギヤケース34の内周側に突出されると共に、ロックギヤ24側の面が制限柱44の長手方向に対して垂直に配置されている。
制限突起46の引出方向側の面は、傾斜面としての第1当接面46Aにされると共に、制限突起46の巻取方向側の面は、追加傾斜面としての第2当接面46Bにされており、第1当接面46A及び第2当接面46Bは、巻取方向へ向かうに従いロックギヤ24(下記クラッチプレート44)の内周側へ向かう方向(引出方向へ向かうに従いロックギヤ24(下記クラッチプレート44)の外周側へ向かう方向)へ傾斜されている。
図2に詳細に示す如く、ギヤケース34の外周部は、制限爪42と係止柱40との間の一部において、ロックギヤ24のギヤ部28の外周部分を露出させている。
図1、図2、図6及び図7に示す如く、ギヤケース34のロックギヤ24とは反対側には、クラッチ機構を構成する装着部材(位置決め対象)としての略円環板状のクラッチプレート48が配置されている。クラッチプレート48の外周縁には、半円状の装着孔50が所定数(本実施の形態では6つ)形成されており、位置決め部としての所定数の装着孔50は、クラッチプレート48の周方向に沿って等間隔に配置されている。一部(本実施の形態では3つ)の装着孔50には、ギヤケース34の保持ピン36が嵌入されており、これにより、クラッチプレート48がギヤケース34に保持されている。
クラッチプレート48の内周には、L字形板状の延出部52が所定数(本実施の形態では6つ)一体に形成されており、所定数の延出部52は、クラッチプレート48の周方向に沿って等間隔に配置されている。延出部52の基端側部分は、クラッチプレート48の周方向へ延出されており、延出部52の先端側部分は、クラッチプレート48の径方向内側へ延出されている。延出部52の先端には、柱状の噛込部54が一体に形成されており、噛込部54は、延出部52からギヤケース34側へ突出されて、ギヤケース34内側を介してロックギヤ24のクラッチ凹部30内に挿入されている。噛込部54は、クラッチ凹部30の外周面から離間されており、クラッチプレート48は、ロックギヤ24の回転を許容している。
クラッチプレート48の内周側には、駆動部材としてのピニオン56が設けられており、ピニオン56には、中心軸に沿って、トーションシャフト22の一端22Aが回転可能に貫通されている。ピニオン56のロックギヤ24とは反対側部分には、歯車58が設けられており、歯車58の外周全体には、ピニオン歯58Aが形成されている。
ピニオン56のロックギヤ24側部分には、クラッチ機構を構成するクラッチ部60が形成されており、クラッチ部60は、ロックギヤ24のクラッチ凹部30内に挿入されている。クラッチ部60の外周面には、所定数(本実施の形態では6つ)の凸部60Aが形成されており、所定数の凸部60Aは、クラッチ部60の周方向に沿って等間隔に配置されると共に、それぞれ突出高さが引出方向へ向かうに従い徐々に高くされている。クラッチ部60には、各凸部60Aの巻取方向側部分において、クラッチプレート48の噛込部54が装着(押圧接触)されており、これにより、ピニオン56がクラッチプレート48に保持されている。
クラッチプレート48の外周部には、ギヤケース34とは反対側において、移動部材としての樹脂製でブロック状のスライダ62が設けられている。スライダ62には、スライダ本体64が設けられており、スライダ本体64は、クラッチプレート48の外周部に沿って湾曲されると共に、ギヤケース34の案内板38及び制限爪42の内周側に配置されている。
スライダ本体64のクラッチプレート48側の面には、位置決め部材としての円柱状の装着ピン66(シェアピン)が所定数(本実施の形態では2つ)突出形成されており、所定数の装着ピン66は、それぞれクラッチプレート48の装着孔50に圧入(潰れ挿入)されている。これにより、スライダ62が、クラッチプレート48に装着(位置決め及び保持)されて、クラッチプレート48と一体に回転可能にされている。
スライダ本体64には、矩形柱状の第1制限凹部68が形成されており、第1制限凹部68は、クラッチプレート48の外周側及びクラッチプレート48とは反対側に開放されている。スライダ本体64には、第1制限凹部68の引出方向側において、矩形柱状の第2制限凹部70が形成されており、第2制限凹部70は、クラッチプレート48の外周側及びクラッチプレート48とは反対側に開放されている。
図8及び図9にも示す如く、スライダ本体64のクラッチプレート48外周側の近傍には、制限爪42の制限柱44が配置されると共に、スライダ本体64の第1制限凹部68には、制限爪42の制限突起46が挿入されており、スライダ62(スライダ本体64)は、制限柱44によってクラッチプレート48の外周側への変位を制限されると共に、制限突起46によってクラッチプレート48とは反対側への変位を制限されている。
スライダ本体64には、第1制限凹部68と第2制限凹部70との間において、台形柱状の制限突部72が形成されており、制限突部72は、第1制限凹部68と第2制限凹部70とを分離している。制限突部72の巻取方向側の面は、傾斜面としての第3当接面72Aにされると共に、制限突部72の引出方向側の面は、追加傾斜面としての第4当接面72Bにされており、第3当接面72A及び第4当接面72Bは、巻取方向へ向かうに従いクラッチプレート48の内周側へ向かう方向(引出方向へ向かうに従いクラッチプレート48の外周側へ向かう方向)へ傾斜されている。
スライダ本体64の巻取方向側の一端には、係止部としての正面視T字状かつ側面視断面L字状のストッパ74が一体に形成されており、ストッパ74は、基端側部分においてクラッチプレート48の外周側に突出されると共に、先端側部分においてクラッチプレート48側に突出されている。
クラッチプレート48の外周側には、係合部材としてのパウル76が配置されており、パウル76は、中央部分において、側壁12Bに回動可能に支持されている。パウル76の一端とギヤケース34との間には、付勢手段としての圧縮コイルスプリング78が架け渡されており、圧縮コイルスプリング78は、パウル76の他端がクラッチプレート48側へ回動する方向へパウル76を付勢している。
パウル76の他端には、係合部76Aが一体に形成されており、係合部76Aは、パウル76から脚板12B側へ突出されている。係合部76Aは、脚板12Bの挿入孔16に挿入されており、係合部76Aは、スライダ62のストッパ74に係合されている。これにより、圧縮コイルスプリング78の付勢力によるパウル76の回動が係止されており、係合部76Aは、ロックギヤ24のギヤ部28(ラチェット歯28A)に噛合(係合)されていない。
図1及び図6に示す如く、ギヤケース34の上側かつ背板12A側には、収容部材としての有底円筒状のシリンダ80が設けられており、シリンダ80は、略上下方向に沿って配置されている。シリンダ80は、脚板12Bに固定されており、シリンダ80の下端は、ピニオン56の上側において開口されている。
シリンダ80内の上端(底部)には、ガス発生装置82が固定されており、ガス発生装置82は、シリンダ80の上端を閉塞している。ガス発生装置82は、車両の制御装置84に電気的に接続されており、制御装置84には、車両の検知装置86が電気的に接続されている。検知装置86が車両の緊急状態(衝突)を検知した際(車両の緊急時)には、制御装置84の制御によって、プリテンショナ機構32が作動されることで、ガス発生装置82が高圧のガスを瞬時に発生してシリンダ80内の上端に供給可能にされている。
シリンダ80内には、移動部材としてのピストン88が設けられており、ピストン88は、シリンダ80内を下側へ移動可能にされている。ピストン88には、上部以外の部分において、矩形柱状のラック90が設けられており、ラック90の背板12Aとは反対側の部分には、ラック歯90Aが形成されている。ラック90は、シリンダ80の下端から突出されており、ラック90の下端は、ピニオン56の歯車58の上側近傍に配置されている。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
以上の構成のウェビング巻取装置10では、図5に示す如く、車両の緊急時(検知装置86が車両の衝突を検知した際)に、制御装置84の制御によって、プリテンショナ機構32が作動されることで、ガス発生装置82が高圧のガスを瞬時に発生してシリンダ80内の上端に供給する。このため、ピストン88が当該ガスの圧力(内圧)を上側(一側)から受けて、ピストン88が下側(他側)へ移動される。これにより、ピストン88のラック90(ラック歯90A)がピニオン56の歯車58(ピニオン歯58A)に噛合されて、ピニオン56が巻取方向へ回転される。
ピニオン56が巻取方向へ回転された際には、クラッチプレート48の噛込部54がピニオン56のクラッチ部60における凸部60Aの巻取方向側部分から引出方向側部分に移動されることで、クラッチプレート48の延出部52がクラッチプレート48の外周側へ変形移動されつつ、噛込部54がロックギヤ24のクラッチ凹部30外周面側へ移動される。このため、噛込部54がクラッチ部60(凸部60Aの周面)とロックギヤ24(クラッチ凹部30の外周面)との間に噛み込まれる(係合される)ことで、ピニオン56、クラッチプレート48、ロックギヤ24、トーションシャフト22及びスプール18が一体回転可能にされる。これにより、クラッチプレート48の装着孔50に嵌入されたギヤケース34の保持ピン36が装着孔50の周縁によって破断されて、クラッチプレート48のギヤケース34への保持が解除されることで、ピニオン56、クラッチプレート48、ロックギヤ24、トーションシャフト22及びスプール18が一体に巻取方向へ回転される。このため、スプール18にウェビング20が巻き取られて、ウェビング20による乗員の拘束力が増加される。
図3及び図4に示す如く、プリテンショナ機構32が作動されて、クラッチプレート48が巻取方向へ回転された際には、クラッチプレート48と一体にスライダ62が巻取方向へ回転(移動)されて、スライダ62のストッパ74がギヤケース34の係止柱40に当接する。これにより、スライダ62の装着ピン66がクラッチプレート48の装着孔50周縁によって破断されて、スライダ62のクラッチプレート48への装着が解除されることで、スライダ62の巻取方向への回転が係止される(クラッチプレート48の巻取方向への回転は係止されない)。
また、スライダ62が巻取方向へ回転されることで、スライダ62(ストッパ74)のパウル76(係合部76A)との係合が解除される。このため、パウル76が圧縮コイルスプリング78の付勢力によって回動されて、係合部76Aがロックギヤ24のギヤ部28(ラチェット歯28A)に噛合(係合)される。これにより、パウル76がロックギヤ24の引出方向への回転をロック(規制)可能にされる(ロックギヤ24の巻取方向への回転は許可される)。
このため、乗員の移動力(慣性力等)によってウェビング20が引っ張られることによるウェビング20のスプール18からの引出力が、プリテンショナ機構32の作動によるウェビング20のスプール18への巻取力に比し、大きくなって、スプール18の回転方向が巻取方向から引出方向へ変更された際には、パウル76がロックギヤ24の引出方向への回転をロックする。これにより、トーションシャフト22及びスプール18の引出方向への回転が制限されて、ウェビング20のスプール18からの引き出しが制限される。したがって、早期にウェビング20のスプール18からの引き出しを制限でき、乗員を効果的に拘束できる(プリテンショナ機構32の作動により増加された乗員の拘束力が減少することを抑制できる)。
さらに、パウル76がロックギヤ24(トーションシャフト22の一端22A側)の引出方向への回転をロックした後において、乗員からウェビング20及びスプール18を介してトーションシャフト22の他端22Bに作用する引出方向への荷重が、フォースリミッタ荷重(トーションシャフト22が捩れ変形される荷重)以上になった際には、フォースリミッタ機構が作動されることで、トーションシャフト22が、捩れ変形されて、他端22B側を一端22A側に対し引出方向へ回転される。これにより、スプール18が引出方向へ回転されて、スプール18からウェビング20が引き出されることで、ウェビング20から乗員へ作用する荷重(乗員の運動エネルギー)がトーションシャフト22の捩れ変形によって吸収される。
ところで、プリテンショナ機構32では、スライダ62(スライダ本体64)の装着ピン66がクラッチプレート48の装着孔50に圧入されることで、スライダ62がクラッチプレート48に装着されている。
ここで、スライダ本体64のクラッチプレート48外周側の近傍には、ギヤケース34の制限爪42の制限柱44が配置されると共に、スライダ本体64の第1制限凹部68には、制限爪42の制限突起46が挿入されており、スライダ62(スライダ本体64)は、制限柱44によってクラッチプレート48の外周側への変位を制限されると共に、制限突起46によってクラッチプレート48とは反対側への変位を制限されている。これにより、次の組付工程までの搬送時には、スライダ62の振動によるクラッチプレート48からの脱落を効果的に制限できる。
さらに、制限爪42の制限突起46の第1当接面46A及びスライダ本体64の制限突部72の第3当接面72Aが、引出方向へ向かうに従いクラッチプレート48の外周側へ向かう方向へ傾斜されている。
このため、プリテンショナ機構32が作動されて、クラッチプレート48と一体にスライダ62が巻取方向へ回転された際には、図3に示す如く、第1当接面46Aが第3当接面72Aに当接されることで、制限柱44がクラッチプレート48の外周側へ弾性変形されつつ、制限突起46がクラッチプレート48の外周側へ移動されて、制限突起46が第3当接面72Aを乗り越える。これにより、制限爪42がスライダ62の巻取方向への回転を許容することで、スライダ62(ストッパ74)のパウル76(係合部76A)との係合を解除できる。
また、制限突起46が第3当接面72Aを乗り越えた後には、図4に示す如く、制限突起46が制限突部72を乗り越えて、制限柱44のクラッチプレート48外周側への弾性変形が解除されつつ、制限突起46がクラッチプレート48の内周側へ移動される。これにより、制限柱44がスライダ本体64のクラッチプレート48外周側の近傍に配置されると共に、制限突起46がスライダ本体64の第2制限凹部70に挿入される。
このため、スライダ62のストッパ74がギヤケース34の係止柱40に当接して、スライダ62のクラッチプレート48への装着が解除されても、スライダ62(スライダ本体64)が、制限柱44によってクラッチプレート48の外周側への変位を制限されると共に、制限突起46によってクラッチプレート48とは反対側への変位を制限される。これにより、スライダ62の位置を効果的に安定させることができる。
また、制限突起46の第2当接面46B及び制限突部72の第4当接面72Bが、巻取方向へ向かうに従いクラッチプレート48の内周側へ向かう方向へ傾斜されている。
このため、スライダ62のクラッチプレート48への装着が解除された後に、仮にスライダ62が引出方向へ回転されても、第4当接面72Bが第2当接面46Bに当接することで、制限突起46がギヤケース34の外周側へ移動されて制限突起46が第4当接面72Bを乗り越えることが制限される。これにより、スライダ62の位置を一層安定させることができる。
なお、本実施の形態では、スライダ62(スライダ本体64)に第1制限凹部68及び第2制限凹部70を形成して第1制限凹部68と第2制限凹部70との間に制限突部72を形成した構成としたが、スライダ62(スライダ本体64)に第1制限凹部68及び第2制限凹部70を形成せずに制限突部72をスライダ62(スライダ本体64)からクラッチプレート48とは反対側に突出させた構成としてもよい。
また、本実施の形態では、制限爪42の制限突起46の第1当接面46A及びスライダ本体64の制限突部72の第3当接面72Aを引出方向へ向かうに従いクラッチプレート48の外周側へ向かう方向へ傾斜させた構成としたが、第1当接面46A及び第3当接面72Aの少なくとも一方を引出方向へ向かうに従いクラッチプレート48の外周側へ向かう方向へ傾斜させた構成であればよい。
さらに、本実施の形態では、制限爪42の制限突起46の第2当接面46B及びスライダ本体64の制限突部72の第4当接面72Bを巻取方向へ向かうに従いクラッチプレート48の内周側へ向かう方向へ傾斜させた構成としたが、第2当接面46B及び第4当接面72Bの少なくとも一方をクラッチプレート48の周方向に垂直にした構成としてもよい。