JP5206159B2 - 証券鑑別装置 - Google Patents

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Description

この発明は、磁性インクにより印刷された記番号を有する有価証券や証拠証券などの証券の真偽を鑑別する証券鑑別装置に関する。
近年、紙幣等の証券の偽造が大きな問題となっている。証券が磁性インクを用いて印刷されている場合に、証券の真偽を、証券の磁気信号の強弱より鑑別する方法が知られている。
証券に共通して印刷されている特定の文字や図形(例えば、紙幣の人物像)に磁性インクが用いられている場合には、これらの文字及び図形の磁気信号を磁気センサで読み取ることにより証券の真偽を鑑別することができる。この場合、磁気信号の強弱は、予め定められた共通かつ単一の標準パターン(閾値)との比較により決定することができる(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−108922号公報
しかし、記番号のように、同じ種類の証券であっても、証券ごとに異なる文字が磁性インクで印刷されている場合がある。この場合には、たとえ真券であっても、記番号の文字の配列によって磁気信号の強弱が異なる。より具体的には、(1)記番号“888”と、(2)記番号“111”とでは、真券であっても、磁気信号強度は、“888”>“111”となる。
この場合には、上述のような共通かつ単一の標準パターン(閾値)を用いる鑑別方法では、証券の真偽を鑑別することが難しい。
この発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものである。従って、この発明の目的は、同一種の証券において、証券ごとに異なる文字や図形が磁性インクで印刷されている場合に、その証券の真偽を磁気信号により鑑別することが可能な証券鑑別装置を提供することにある。
この発明の発明者は、鋭意検討の結果、走査対象文字ごとに鑑定のための参照閾値を予め測定しておいて、実際の走査対象文字が走査されたときの磁気信号を参照閾値と比較することによって、証券の真偽を鑑別できることに想到した。
すなわち、この発明の証券鑑別装置は、証券の磁気を帯びた記番号を構成する文字列の文字群を走査して磁気信号を出力する磁気センサ部と、文字群ごとに証券の真偽を鑑定するための判断基準を参照閾値として、文字群と対応付けられて、読出し可能に予め記憶している記憶部と、磁気センサ部で文字群を現に走査して得られた磁気信号の検出レベルと、記憶部から読出されかつ現に走査された文字群と関係づけられた参照閾値とを比較して鑑定を行う処理部と、文字群を撮像して画像を読み取る画像読取部とを備えている。
ここで記憶部は、参照閾値を与える文字群の画素数を参照画素数として用いて、参照閾値と文字群との対応付けを行って、参照閾値を記憶している。
処理部は、文字群を現に走査して順次に得られる検出レベルのうちの最大レベルを検出するレベル検出部と、読取られた画像を画素化し、かつ最大レベルの発生に寄与した画素数を最大画素数として出力する画素化部と、出力された最大画素数と参照画素数との照合を行う照合部と、照合によって最大画素数と一致する参照画素数の文字群に対応する参照閾値の読み出しを行う読出部とを含む。
この証券鑑別装置において、磁気センサ部は、文字列の配列方向に直交する方向に文字列の領域を、文字群を走査できる一定の走査幅で走査して、磁気信号を出力する磁気検出ヘッドを備えることが好ましい。
また、処理部は、証券の真偽の鑑別を行う鑑別部を含むことが好ましい。
この発明の証券鑑別装置は、上述のように構成したので、同一種の証券において、証券ごとに異なる文字が磁性インクで印刷されている場合に、この文字の配列から得られる磁気信号により、その証券の真偽を鑑別することができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示したものにすぎない。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。
図1は、この実施の形態の証券鑑別装置の構成を示す機能ブロック図である。図2は、証券の模式図である。図3は、証券鑑別装置の構成の説明に資する模式図である。
図1を参照して、この実施の形態が適用される証券鑑別装置の構成の概略につき、簡単に説明する。
証券鑑別装置10は、ユーザインターフェース部12と、磁気センサ部14と、画像読取部16と、CPU17の機能手段である処理部18と、記憶部20とを主として備えている。
処理部18と記憶部20はコンピュータ22の構成部分である。CPU17は、さらに制御部24と内部メモリ26を含んでいる。また、コンピュータ22には、キーボード、マウスその他の公知の任意好適な入力部40や、ディスプレイ等の表示装置を備えた出力部42が接続されている。
入力部40は、周知の通り、コンピュータ22への所要の情報を入力するための装置である。
出力部42は、周知の通り、コンピュータ22へ入力された情報や、処理された情報等の、コンピュータ22から出力する情報を自動的、或いは入力部40からの指令に応答して、画面表示等で外部へ出力する装置である。
記憶部20は、周知の通り、メモリとしてのRAMやROMで構成されている。
CPU17は、ROM等に読出し自在に格納されているプログラムを読出して、当該プログラムを実行することにより、この実施の形態では、CPU17の機能手段として、レベル検出部28、画素化部30、照合部31、読出部32及び鑑別部34を実現する。これら機能手段が行う処理の詳細については後述する。
なお、制御部24は、周知の通り、プログラムの命令の解読及びコンピュータの動作に必要な種々のデータのやり取り、タイミング制御、処理の指令、コンピュータ全体の制御を行う構成部分である。
また、内部メモリ26は、情報やデータの書込みや読出しがされるレジスタ等のメモリである。
なお、コンピュータ22に対する信号の入出力は、周知の通りA/D変換回路又はD/A変換回路を経て行われる。
ユーザインターフェース部12(以下、「UI部12」と称する。)は、証券投入部12aと真券保管庫12bとを備えている。
証券投入部12aは、証券鑑別装置10の本体に設けられていて、真贋が鑑定されるべき証券102が投入される開口である。また、証券投入部12aには、後述する過程で偽券と鑑別された証券102が戻される。
真券保管庫12bは、後述する処理により真券と判定された証券102を保管するための、言わば金庫である。
なお、この明細書で、「証券」とは、財産法上の権利、義務に関する記載をした紙片であって、少なくとも記番号が磁性インクで印刷されたものを示す。例えば、証券102には、紙幣、株券、債券、宝くじ等が含まれる。
図2に証券102の一例としての紙幣104の模式図を示す。紙幣104には、紙幣104に共通した文字、模様等の他に、紙幣104に固有の記番号106が磁性インクで印刷されている。ここで、記番号とは、個々の証券を特定するために証券に印刷された文字の組合せのことを示す。
より詳細には、記番号とは、数字、アルファベット、仮名、漢字及び記号の文字の群から選ばれた1種又は2種以上の文字の並びとして構成されている。なお、記番号を構成する文字は、外国の文字、例えば、ハングル、アラビア文字、ロシア語等であってもよい。
以下の説明において、記番号106を構成する文字の並びのことを文字列Aと称し、また、文字として数字を例に挙げて説明する。
磁気センサ部14は、証券投入部12aに投入された証券102から出力電圧Voを測定する。より詳細には、磁気センサ部14は、記番号が磁性インクで印刷された証券102の文字列Aから出力電圧Voを測定する機能を有する。そして、測定された出力電圧Voは、後述する処理部18のレベル検出部28へと出力される。
ここで、図3を参照して磁気センサ部14についてより詳細に説明する。図3(A)は、磁気センサ部14の構成を概略的に示す模式図である。図3(B)は、磁気センサ部14から出力される出力電圧Voの説明に供する模式図である。図3(C)は、磁気センサ部14の走査に伴い出力される出力電圧Voの変化の様子の説明に供する模式図である。図3(D)は、出力電圧Voの磁気信号Sへの変換の様子を示す模式図である。
図3(A)に示すように、磁気センサ部14は、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2と、永久磁石14aとを備えており、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2は磁気センサ部14の走査の方向に直列に配置されている。磁気センサ部14は、後述する制御部24からの命令に従い画像読取部16と協働して動作する。
第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2は、従来公知の磁気抵抗効果素子からなる。すなわち、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2は、検出された磁気の強さにより抵抗値が変化する。この性質を利用して、磁気センサ部14は、文字列Aの磁場の変化を電圧の変化として検出する。
ここで、例えば、図4(A)に示すように、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の後述する走査方向に沿った長さD1及びD2は、互いに等しく、かつ走査方向に沿った文字の長さHよりも短いとする。また、これら両磁気検出ヘッドMR1及びMR2は、例えば、後述する走査方向に沿って互いに所定の距離Gだけ離間して配置されている。さらに、図3(A)に示すように、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2は、電気的に直列に接続されていて、それぞれの可変抵抗値をR1及びR2とする。なお、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2に磁界が印加されていない場合の可変抵抗値R1と可変抵抗値R2とは等しい値とする(R1=R2)。
第1磁気検出ヘッドMR1側の端子Tiから定電圧Viが印加され、第2磁気検出ヘッドMR2側は接地されている。そして、磁気センサ部14からの出力としての出力電圧Voは、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の間の端子Toから出力される。
永久磁石14aは、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の磁化の方向を揃えるためのものである。
図3(B)を参照して、磁気センサ部14を用いて磁性インク100が印刷された証券102を走査する例につき説明する。また、図3(C)を参照して、磁気センサ部14から出力される出力電圧Voの変化の様子について説明する。
出力電圧Voは、従来周知のオームの法則より可変抵抗値R1及びR2を用いると、下記式(1)のように表わすことができる。
Vo=(R2*Vi)/(R1+R2)・・・(1)
なお、(1)式より明らかなように、Voは、0(V)<Vo<Vi(V)の間で変化する値である(図3(C))。
つまり、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の両者ともが、磁性インク100が印刷された領域に存在する場合(図3(B)のstate2)、並びに、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の両者ともが、磁性インク100が印刷されていない領域に存在する場合(図3(B)のstate4)には、可変抵抗値R1及びR2が等しくなる(R1=R2)よって、磁気センサ部14からの出力電圧Voは、Vi/2となる(図3(C)のstate2及び4)。
一方、図3(B)のstate1及びstate3に示すように、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1とMR2が磁性インク100を跨いで存在している場合には、磁気センサ部14からは大きな出力電圧Voが出力される。
より詳細には、state1に示すように、第1磁気検出ヘッドMR1が磁性インク100上に存在し、かつ第2磁気検出ヘッドMR2が磁性インク100上に存在しない場合には、第1磁気ヘッドMR1の可変抵抗値R1が増大する。従って、式(1)より、出力電圧Voは、Vi/2よりも小さな値に変化する(図3(C)のstate1)。
また、state3に示すように、第1磁気検出ヘッドMR1が磁性インク100上に存在せず、かつ第2磁気検出ヘッドMR2が磁性インク100上に存在する場合には、磁気センサ部14が出力する出力電圧Voは、Vi/2よりも大きな値に変化する(図3(C)のstate3)。
このように、磁気センサ部14からは、電圧の形で出力電圧Voが出力される。この出力電圧Voは、後述する処理部18のレベル検出部28で動作するソフトウエアにより、磁気信号Sへと変換される。
図3(D)を参照してより具体的に説明すると、レベル検出部28は、出力電圧Voに対して、Vi/2(V)を差し引く(Vo−Vi/2)。この処理により、Voは、例えばstate1において負の値となる。そこで、これを解消するために、負の値を取るVoに(−1)を乗じて、正の値に変換する。このようにして、出力電圧Voは、磁気信号Sへと変換される。なお、以下の説明では、この磁気信号Sは、説明の便宜上、磁気センサ部14が読取って得られた信号と解して説明する。
続いて、図4を参照して、磁気センサ部14による文字列Aの走査について詳細に説明する。図4(A)は、磁気センサ部14の記番号走査の様子を概略的に示す模式図である。図4(B)は、磁気センサ部14が文字列Aを走査している最中の様子を段階的に示す模式図である。図4(C)は、図4(A)に示した走査により得られる磁気信号Sの変化を模式的に示した図である。図4(C)において、横軸は、磁気センサ部14の走査距離(任意単位)を示し、及び縦軸は、磁気センサ部14から得られる磁気信号Sの強度(任意単位)を示す。
磁気センサ部14の第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2は、記番号106を構成する数字及び文字の配列方向に直交する方向に文字列Aを走査する。すなわち、磁気センサ部14は、証券102の上端部から下端部に掛けて移動され、その過程で、磁性インク100が印刷された領域から磁気信号Sを読み取る。
ここで、「記番号106を構成する数字及び文字の配列方向」とは、図4(A)に一例として示した記番号“884982”の最上位の桁の数字、すなわち6桁目の“8”から、最下位の桁の数字又は文字、すなわち1桁目の“2”に向かう方向のことを言う。以降、この方向を「幅方向」と称する。また、証券の紙面と平行な面内で、この幅方向に直交する方向、すなわち、磁気センサ部14が走査を行う方向のことを、「走査方向」と称する。
なお、この実施の形態においては、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2のそれぞれの走査幅は、例えば、記番号106の数字及び文字の3桁分の幅とし、かつ、両磁気検出ヘッドMR1及びMR2の走査方向における間隔は、両磁気検出ヘッドMR1及びMR2の全部又は一部が、同時に数字に被さる距離とする。以降、文字列Aにおいて、この走査幅に含まれる文字のことを文字群と称する。したがって、ここで説明する例では、磁気センサ部14は、1回目の走査が終了した後、幅方向に、走査幅分だけ移動して、再び2回目以降の文字群の走査を行う。
図4(B)及び(C)を参照して、磁気センサ部14が文字列Aを走査する様子、及び走査の過程で得られる磁気信号Sの強度変化について、より詳細に説明する。図4(B)は、磁気センサ部14が記番号106の4〜6桁目の文字群を走査方向に走査している途中の様子を3段階で示している。
図4(B)の第1段階(1st)は、証券102の上端から走査方向に走査してきた磁気センサ部14が、記番号106を走査し始めた状態を示している。より具体的には、第1磁気検出ヘッドMR1(斜線で示した領域)が、例えば文字群“884”の一部分上に対向して位置し、かつ、第2磁気検出ヘッドMR2(斜線で示した領域)が文字群“884”上から外れた位置にある。
既に説明したように、磁気センサ部14は、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1とMR2の出力電圧として式(1)で求められるVoを出力する。よって、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2がこのように配置されている場合に、磁気センサ部14は大きな磁気信号Sを出力する。
図4(C)の領域A1は、1stまでの走査過程で得られる磁気信号Sの強度変化を示している。すなわち、走査の初期段階において、第1磁気検出ヘッドMR1が記番号106に至っていない場合には、磁気信号Sはほとんど検出されない。さらに走査が進み、第1磁気検出ヘッドMR1が記番号106に掛かり始めると、磁気信号Sの強度が徐々に大きくなっていく。そして、図4(B)の1stの位置、すなわち、式(1)で求められる出力電圧Voが最小となる位置において、磁気信号SのピークP1を出力する。
図4(B)の第2段階(2nd)は、第1段階(1st)よりも走査が進んだ段階を示している。2ndでは、第1磁気検出ヘッドMR1が文字群“884”の下側の部分に対向して位置し、及び第2磁気検出ヘッドMR2が文字群“884”の上側の部分に対向して位置する。つまり、両磁気検出ヘッドMR1及びMR2ともに、文字群“884”上に位置している。
この場合には、上述した理由により、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の出力が相殺される。よって、この場合には、磁気センサ部14から得られる磁気信号Sは、図4(C)のピークP1よりも弱くなっていく。
図4(C)の領域A2は、このように第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の出力が相殺される領域における磁気信号Sの強度変化を示している。すなわち、この領域A2では、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の記番号106の走査のタイミングのズレが磁気信号Sの強度を決定する。その結果、領域A2での磁気信号Sは、ピークP1から減少し、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の出力の相殺度が最大となる位置(2ndの位置)においてボトムBを取り、その後、再びピークP2に向かって増加する。
図4(B)の第3段階(3rd)は、第2段階(2nd)よりもさらに走査が進んだ段階を示している。3rdでは、第1磁気検出ヘッドMR1は、文字群“884”から完全に外れ、及び第2磁気検出ヘッドMR2が文字群“884”の一部分上に残っている。既に説明した理由により、このような配置の場合には、磁気センサ部14から得られる磁気信号Sの強度は式(1)で求められる出力電圧Voが最大となる位置においてピーク値P2を出力する。
図4(C)の領域A3は、3rdの走査過程で得られる磁気信号Sの変化を示している。領域A3において、3rdの状態でピークP2を取った磁気信号Sは、第2磁気検出ヘッドMR2が記番号106から外れていくにつれて徐々に減少していく。
再び、図1を参照して、画像読取部16について説明する。
画像読取部16は、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の1回の走査幅と等しい幅の文字列Aの画像としての文字列AA(図5(A))を証券102から読み取る機能を有する。そして、画像読取部16は読み取られた文字列AAを後述する処理部18の画素化部30に出力する。
画像読取部16は、例えば、従来公知のCCDイメージセンサやCMOSを用いたセンサとして構成することができる。画像読取部16は、後述する制御部24からの命令に従って、磁気センサ部14と協働して動作する。
図4(B)の場合を例に挙げて説明すると、画像読取部16は、図5(A)に示すように、証券102上の数字の並び“884”の画像を文字列AAとして読み取る。
続いて、CPU17について説明する。
CPU17に含まれる処理部18は、既に説明したように、機能手段としてのレベル検出部28、画素化部30、照合部31、読出部32、及び鑑別部34を備えている。
レベル検出部28は、磁気センサ部14から文字群を現に走査して順次に得られる出力電圧Voを磁気信号Sへと変換する。さらに、この変換された磁気信号Sの検出レベルから最大レベルを検出する機能を有する。
これら磁気信号Sの検出レベルとこの最大レベルは内部メモリ26に一時的に記憶される。そして、レベル検出部28は、読出部32の処理の終了にタイミングを合わせて、記憶していた磁気信号Sの検出レベルを、内部メモリ26から読出して、鑑別部34に出力する。
次に、図5(B)を参照して、画素化部30についてより詳細に説明する。
画素化部30は、画像読取部16から出力された文字列AAから、数字及び文字に対応する領域を画素化した画素化画像AB(図5(B)参照)を作成し、内部メモリ26に一時的に記憶する。そして、後述するように、画素化部30は、画素化画像ABから、磁気センサ部14から出力される磁気信号Sの最大値に寄与する画素領域中の画素の総和としての最大画素数Nmaxを算出して、その結果を記憶部20に一時的に記憶する。
この目的のために、画素化部30は、まず第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2の磁気検出領域のそれぞれに対応して処理が必要な画素成分を特定するための第1及び第2画素読取窓W1及びW2を生成する(図中、斜線部)。
画素化部30は、画素化画像AB上で第1及び第2画素読取窓W1及びW2を走査方向(矢印Cで示す。)と直交する方向の1画素ラインごとに走査方向に走査する。その様子は、たとえて言うならば、第1及び第2磁気検出ヘッドMR1及びMR2が文字列AAを走査するのとよく類似している。
走査の各ステップにおいて、第1及び第2画素読取窓W1及びW2は、それぞれの画素領域内に存在する画素数をカウントするようにプログラムされている。ここで、第1画素読取窓W1によって順次に特定された画素領域についてカウントした画素数をni(W1)とし、同様に、第2画素読取窓W2によって順次に特定された画素領域についてカウントした画素数をni(W2)とする。ここで、添字iは、走査のステップ番号、すなわち、走査方向に数えて何画素ライン目を走査しているかを示す。
このとき、画素化部30は、走査の各ステップにおいて、差分画素数Niとして|ni(W1)−ni(W2)|を算出する。そして、この差分画素数Niを記憶部20に一時的に記憶する。そして、走査終了後、画素化部30は、記憶部20に記憶されている差分画素数N1,N2,・・・・を互いに比較して、差分画素数Niの最大値としての最大画素数Nmaxを算出して、記憶部20に一時的に記憶する。
例えば、図5(B)の画素化画像ABでは、図に示した状態、すなわち第1画素読取窓W1が文字群“884”の数字の一部分にかかり、第2画素読取窓W2が数字から外れているときに、最大画素数Nmaxが得られる。つまり、図5(B)では、n(W1)=42(黒色の画素の部分)、及びn(W2)=0であり、よって、Nmax=|42−0|=42となる。
また、図5(C)には、画素化画像ABが文字群“111”である場合を例示している。この場合は、例えば、第1画素読取窓W1が数字の一部分にかかり、第2画素読取窓W2が数字から外れているときに、最大画素数Nmaxが得られる。つまり、図5(C)では、n(W1)=27、及びn(W2)=0であり、よって、Nmax=|27−0|=27となる。
このようにして算出された最大画素数Nmaxは、記憶部20から読出されて、照合部31、読出部32へと出力される。
再び図1を参照すると、照合部31は、画素化部30から出力される照合のために用いる最大画素数Nmaxをキーとして、記憶部20を検索し、最大画素数Nmaxと、記憶部20に記憶されている参照画素数との照合を行う。
読出部32は、照合部31により行われる照合によって最大画素数Nmaxと一致する参照画素数の文字群に対応する参照閾値の読み出しを行う。そして、読出部32は、読出された参照閾値を鑑別部34へと出力する機能を有する。
ここで、参照閾値とは、証券の真偽を区別する磁気信号の強度の判定レベルに対応していて、後述するように予め記憶部20に記憶されている。既に説明したように、磁気センサ部14が測定する磁気信号Sの強度は検出レベルとして与えられ、文字群ごとに異なっている(つまり、文字群“884”と文字群“111”とでは、文字群“884”の方が磁気信号Sの最大レベルが大きい。)。
従って、全ての文字群について、単一の閾値を当てはめると、証券の真偽を誤って鑑別する恐れがある。そこで、この実施の形態の証券鑑別装置10では、好ましくは、文字群ごとに、より正確には、1個の文字群に含まれる可能性がある全ての文字の組合せにおける最大画素数ごとに、予め閾値を算出しておきデータベース化しておくのがよい。
これにより、たとえ記番号が異なったとしても、記番号ごとに適切な閾値を当てはめ、証券の真偽を鑑別することができる。
なお、以降、混乱を避けるために、照合部31から記憶部20へと出力される最大画素数を添字無しの「Nmax」と記載し、記憶部20に予め記憶されている最大画素数を添字jつきの「Nmax(j)」と記載する。
記憶部20には、上述したように、1個の文字群に含まれる可能性がある文字の組合せの全てについて、予め算出されている最大画素数Nmax(j)(jは自然数)のそれぞれに対応付けられた参照閾値Th(j)が記憶されている。図1中では、その対応関係をNmax(1)→Th(1),Nmax(2)→Th(2),・・,Nmax(j)→Th(j)・・・で示してある。従って、最大画素数Nmax(j)が分かれば、これに対応する参照閾値Th(j)を読出すことができる。
記憶部20に記憶されている最大画素数Nmax(j)は、既に説明した画素化部30の動作と同様にして求められる。また、記憶部20に記憶されている参照閾値Th(j)は、真券であるか偽券であるかと、最大画素数Nmax(j)とが予め分かっている多数の証券から得られた磁気信号Sをもとにして求められている。
より詳細には、最大画素数Nmax(j)が等しい、多数の真券(使い古しの証券及び新しい証券を含む)から得られた磁気信号Sの平均値AvTと、多数の偽券から得られた磁気信号Sの平均値AvFと比較することにより、Th(j)=AvT−σの形で与えられる。ここで、σは、真券の磁気信号のバラツキである。
鑑別部34は、記憶部20に記憶されている文字列AAに対応する磁気信号Sの検出レベルと、記憶部20から読出された文字列AAに対応する参照閾値Th(j)とを比較する機能を有する。
つまり、磁気信号Sの検出レベル≧参照閾値Th(j)の場合には、該証券を真券と鑑別し、逆に、磁気信号Sの検出レベル<参照閾値Th(j)の場合には、該証券を偽券と鑑別する。
この鑑別結果は制御部24へと出力され、制御部24は、証券が真券の場合には、該証券を真券保管庫12bに格納するとともに、出力部42へ送り、ディスプレイや警告灯や警報音等で表示する。制御部24は、証券が偽券の場合には、該証券を証券投入部12aに戻す。
次に、図6を参照して、この実施の形態の証券鑑別装置10の動作について説明する。図6は、証券鑑別装置10の動作の流れを示すフローチャートである。なお、図中、Sはフローのステップを表わす。
まず、S1において、鑑別されるべき証券102が、UI部12の証券投入部12aに投入される。これにより、記憶部20から制御部24に読み込まれていたプログラムが起動する。
次に、S2において、制御部24の指令に従い、画像読取部16が、投入された証券102の文字列Aから、文字列AAを読み取る。読み取られた文字列AAは、処理部18の画素化部30に出力される。
続いて、S3において、制御部24の指令に従い磁気センサ部14が証券102の文字列Aの走査を行い、出力電圧Voを測定する。測定された出力電圧Voは、処理部18のレベル検出部28に出力され、レベル検出部28で、磁気信号Sとしての検出レベルに変換され、続いて、この検出レベルが内部メモリ26に一時的に記憶される。
次に、S4において、制御部24の指令に従い、処理部18の画素化部30において、入力された文字列AAの数字及び文字の領域から画素化された画素化画像ABが作成される。さらに、画素化部30は、この画素化画像ABを既に説明した第1及び第2画素読取窓W1及びW2で走査して、画素化画像ABの最大画素数Nmaxを算出する。このようにして算出された最大画素数Nmaxは、処理部18の照合部31、読出部32へと出力される。
次に、S5において、制御部24の指令に従い、照合部31は、画素化部30から送られた最大画素数Nmaxをキーとして、記憶部20の検索を行う。既に説明したように、記憶部20には、最大画素数Nmax(j)と参照閾値Th(j)との全ての組合せが記憶されている。照合部31は、Nmax=Nmax(j)となる最大画素数を記憶部20の中から検索する。一致するものが見つかった場合、読出部32は、この最大画素数Nmax(j)に対応する参照閾値Th(j)を読出し、鑑別部34へと出力する。
次に、S6において、制御部24の指令に従い、鑑別部34は、記憶部20に記憶されていた磁気信号Sの検出レベルを読み出す。一方、記憶部20から読出部32によって参照閾値Th(j)を出力し、検出レベルと参照閾値Th(j)とを比較して、証券102の真偽の鑑別を行う。
ここで、参照閾値Th(j)≦磁気信号Sの検出レベルの場合には、証券102は真券と判断され、鑑別情報(Y)が、制御部24へと出力される。また、参照閾値Th(j)>磁気信号Sの検出レベルの場合には、証券102は偽券と判断され、鑑別情報(N)が、制御部24へと出力される。
S7では、証券102が真券の場合の処理が行われる。鑑別情報(Y)を受け取った制御部24は、UI部12に指令を送り、証券投入部12aに存在する証券102を真券保管庫12bへと移送させる。
S8では、証券102が偽券の場合の処理が行われる。鑑別情報(N)を受け取った制御部24は、UI部12に指令を送り、証券投入部12aに存在する証券102を、そのまま証券投入部12aに置いておく。
このように、この実施の形態の証券鑑別装置10によれば、証券102ごとに異なる文字が磁性インクで印刷されている場合に、その証券の真偽を磁気信号により鑑別することが可能となる。
また、磁気センサ部14が、2つの磁気検出ヘッドMR1及びMR2を有しており、磁気信号Sとして両磁気検出ヘッドMR1及びMR2の出力の差分を与える。その結果、磁気信号Sに重畳されるノイズを相殺して減少させることができ、S/Nの良い磁気信号Sを得ることができる。
なお、磁気センサ部14が備える磁気検出ヘッドの個数は2個には限定されない。例えば、磁気検出ヘッドは1個のみでも良い。
また、この実施の形態では、記番号106を3桁ずつ磁気センサ部14で読み取る場合について説明した。しかし、記番号106の読取り桁数(走査幅)は、3桁には限定されない。設計に応じて任意好適な桁数(走査幅)とすることができる。
証券鑑別装置の構成を示す機能ブロック図である。 証券の模式図である。 (A)は、磁気センサ部の構成を概略的に示す模式図である。(B)は、磁気センサ部から出力される磁気信号Sの説明に供する模式図である。(C)は、磁気センサ部の走査に伴い出力される出力電圧の変化の様子の説明に供する模式図である。(D)は、出力電圧Voの磁気信号Sへの変換の様子を示す模式図である。 (A)は、磁気センサ部14の記番号走査の様子を概略的に示す模式図である。(B)は、磁気センサ部14が文字列Aを走査している最中の様子を示す模式図である。(C)は、図4(A)に示した走査により得られる磁気信号Sの変化を模式的に示した図である。 (A)は記番号画像の模式図である。(B)は画素化画像からの最大画素数の算出の説明に資する模式図である。(C)は、別の画素化画像からの最大画素数の算出の説明に資する模式図である。 証券鑑別装置の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
10 証券鑑別装置
12 UI部
12a 証券投入部
12b 真券保管庫
14 磁気センサ部
16 画像読取部
17 CPU
18 処理部
20 記憶部
22 コンピュータ
24 制御部
26 内部メモリ
28 レベル検出部
30 画素化部
31 照合部
32 読出部
34 鑑別部

Claims (3)

  1. 証券の磁気を帯びた記番号を構成する文字列の文字群を走査して磁気信号を出力する磁気センサ部と、
    前記文字群ごとに前記証券の真偽を鑑定するための判断基準を参照閾値として、前記文字群と対応付けられて、読出し可能に予め記憶している記憶部と、
    前記磁気センサ部で文字群を現に走査して得られた磁気信号の検出レベルと、前記記憶部から読出されかつ現に走査された前記文字群と関係づけられた前記参照閾値とを比較して鑑定を行う処理部と、
    前記文字群を撮像して画像を読み取る画像読取部とを備えており、
    前記記憶部は、前記参照閾値を与える文字群の画素数を参照画素数として用いて、該参照閾値と該文字群との対応付けを行って、前記参照閾値を記憶しており、
    前記処理部は、文字群を現に走査して順次に得られる前記検出レベルのうちの最大レベルを検出するレベル検出部と、
    読取られた前記画像を画素化し、かつ前記最大レベルの発生に寄与した画素数を最大画素数として出力する画素化部と、
    出力された該最大画素数と前記参照画素数との照合を行う照合部と、
    該照合によって前記最大画素数と一致する参照画素数の文字群に対応する参照閾値の読み出しを行う読出部とを含む
    ことを特徴とする証券鑑別装置。
  2. 前記磁気センサ部は、前記文字列の配列方向に直交する方向に前記文字列の領域を、前記文字群を走査できる一定の走査幅で走査して、前記磁気信号を出力する磁気検出ヘッドを備えることを特徴とする請求項1に記載の証券鑑別装置。
  3. 前記処理部は、証券の真偽の鑑別を行う鑑別部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の証券鑑別装置。
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