JP5204619B2 - 水性塗料用のワキ防止剤 - Google Patents

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Description

本発明は、熱硬化型水性塗料に含有させるもので、その塗料で形成した塗膜を焼付ける際に表面での泡の生成を防止する水性塗料用のワキ防止剤に関するものである。
工業用材料、自動車車体のような原材料、建材、建造物、日用品原材等を塗装するのに、水性塗料や油性塗料が用いられる。
中でも、水性塗料は、溶剤として揮発性で引火性の有機溶剤を含有する油性塗料に比べ、主溶剤として安全で安価な水を含有したものなので、作業者に対する安全性、環境に対する保全性、成分簡素化や作業工程の短縮などによる経済性の観点から、その需要が、増加している。特に、工業用材料の塗装、自動車車体の塗装などの塗装ラインに用いられる熱硬化型塗料は、油性塗料から水性塗料へ急速に、変更されつつある。
このような水性塗料は、主溶媒が水であるから水特有の物性に起因して生じる様々な問題点を、有する。その一つとして、水の蒸発潜熱が高いわりに沸点が低いことに起因し、その塗料で形成した塗膜を焼付ける際に表面でピンホールや泡沫痕を生じて、所謂ワキを形成し易いという問題点がある。
そこで、ワキを防止するために、ワキの一因が泡現象であるという観点から、水性塗料に、水系消泡剤が含有されている。このような水系消泡剤として、公知のジメチルシリコン、変性シリコン、高級脂肪酸金属石鹸、鉱物、界面活性剤が、用いられている。これらの消泡剤は元来、室温〜高々50℃という低温で発生する発泡現象を抑制するためのものであるので、焼付けの際のような高温で形成する際に発生するワキの抑制効果は不十分である。さらに消泡剤を用いるとハジキ、ヘコミ、層間付着性の低下等の副作用を引き起してしまう。
一方、熱硬化型塗料用ワキ防止剤として、特許文献1や特許文献2に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインnープロピルエーテル、ベンゾインisoープロピルエーテル、ベンゾインnーブチルエーテル、ベンゾインisoーブチルエーテルのようなベンゾインの炭素数1〜4のアルキルエーテル化物が、開示されている。これらの熱硬化型塗料用ワキ防止剤は、親油性であるため、熱硬化型水性塗料に含有されていると、水系塗料中の水系溶媒との相溶性が悪いものである。その所為で、このワキ防止剤を含有する水系塗料で塗布して得られる塗膜は、その平滑性や鮮映性が不十分となったり、ワキ防止剤が固形物のまま浮き出てしまうために生じるブツ、ハジキ等によって塗膜の仕上がり外観が損なわれたりするうえ、ワキ防止効果が弱いという、欠点を有していた。
特公平2−390号公報 特開平4−93374号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、水性塗料に含有されその水系成分との相溶性が良く、その水性塗料で塗装されて形成される塗装膜の平滑性や鮮映性や仕上がり外観を優れたものにするワキ防止剤を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載の水性塗料用の焼き付け時でのワキ防止剤は、 水性塗料に添加されるもので、それの塗装後100℃〜290℃での焼き付け時での泡によるワキを防止する水性塗料用のワキ防止剤であって、下記化学式(1)
CH=C(R)−COO−(C2mO)-R2 ・・・(1)
(化学式(1)中、Rは水素原子またはメチル基、−R2は水素原子または炭素原子数1〜22のアルキル基、mは2〜4の数、nは2〜100の数)で表されるエーテル基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)の5〜90重量部と、下記化学式(2)
CH=C(R)−COO−R ・・・(2)
(化学式(2)中、Rは水素原子またはメチル基、−Rは炭素原子数1〜22のアルキル基)で表されるアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)の95〜10重量部との共重合体を含有しており、該共重合体の重量平均分子量を3000〜500000としその曇点を35〜85℃とすることにより、該ワキを防止することを特徴とする。
請求項2に記載のワキ防止剤は、請求項1に記載されたもので、該共重合体が、該モノマー(A)及び該モノマー(B)と、下記化学式(3)
CH=CH−O−R・・・・(3)
(化学式(3)中、−Rは炭素原子数〜22のアルキル基)で表されるビニルエーテルモノマー(C)との100:1〜65の重量比の共重合体であることを特徴とする。
請求項3に記載のワキ防止剤は、請求項1又は2に記載されたもので、該共重合体が、その溶解性パラメーターを8.5〜18.0とすることを特徴とする。
請求項4に記載の水性塗料は、請求項1〜3の何れかに記載のワキ防止剤と、水性塗料成分とを含有することを特徴とする。
請求項5に記載の塗装膜は、請求項4に記載の水性塗料が、基材に塗装されて硬化して形成されていることを特徴とする。
本発明の水性塗料用のワキ防止剤は、水性塗料の水系成分、特に水系溶剤との相溶性に優れている。そのため、水性塗料に含有させたときに、粒状のまま残存することなく、均質に溶解又は分散し、長期間均一状態のまま維持される。このワキ防止剤を含有する水系塗料で塗装されて形成される塗装膜は、ピンホールや泡沫痕のようなワキが発生していないものであり、しかも平滑性や鮮映性に優れ、またブツやハジキを生じないから塗膜の仕上がり特性に優れ、外観が綺麗であるというものである。
発明を実施するための好ましい形態
以下、本発明を実施するための好ましい形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の水性塗料用のワキ防止剤は、下記化学式(1)
CH=C(R)−COO−(C2mO)-R2 ・・・(1)
(化学式(1)中、Rは水素原子またはメチル基、−R2は水素原子または炭素原子数1〜22のアルキル基、mは2〜4の整数、nは2〜100の整数。それらの混合物であってもよい。)で表されるエーテル基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)の5〜90重量部と、下記化学式(2)
CH=C(R)−COO−R ・・・(2)
で表されるアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)の10〜95重量部との共重合体、及び希釈溶媒を含有するものである。共重合体は、重量平均分子量を3000〜500000とするものであり、ISO1065−1975(E)の「エチレンオキシド系非イオン界面活性剤−曇り点測定法」の中の「測定法B」に準拠して測定した曇点が35〜85℃とするものである。このような重合体であるワキ防止剤は、優れたワキ防止効果を奏する。このワキ防止剤は、特に熱硬化型水性塗料に添加されて、優れたワキ防止効果を発揮する。
本発明の水性塗料は、例えば熱硬化型水性塗料であり、このワキ防止剤と、水性樹脂のようなバインダ、水や溶媒、必要に応じて顔料やその他の添加剤のような水性塗料成分とを、含有しているものである。
本発明の塗装膜は、水性塗料が、基材に塗装されて加熱により、硬化し焼き付けられて形成されたものである。
ワキ防止剤中の共重合体として、モノマー(A)とモノマー(B)との共重合体の例を示したが、モノマー(A)及びモノマー(B)と、化学式(3)
CH=CH−O−R・・・・(3)
で表されるビニルエーテルモノマー(C)、及び/又はモノマー(A)〜(C)以外の不飽和モノマー(D)との共重合体であってもよい。
より具体的には、モノマー(A)は、前記化学式(1)で表されるもので、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を繰返し単位としその繰返し数2〜100とするポリ−オキシアルキレン(メタ)アクリレートである。モノマー(A)は、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(エチレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸ポリ(エチレン−プロピレン)グリコール(エチレングリコール−プロピレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸ポリ(エチレン−テトラメチレン)グリコール(エチレングリコール−テトラメチレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコール(エチレングリコール−プロピレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリ(エチレン−テトラメチレン)グリコール(エチレングリコール−テトラメチレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸ブトキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコール(エチレングリコール−プロピレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸オクトキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコール(エチレングリコール−プロピレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸ラウロキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸ステアロキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの重合数2〜100のもの)エステル等のようなエーテル基含有アルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。モノマー(A)は、これらを単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。また、モノマー(A)は、5〜95重量部用いられることが好ましい。
モノマー(B)は、前記化学式(2)で表されるもので、炭素数1〜22で直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。モノマー(B)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−,iso−、又はtert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、tert−アミル(メタ)アクリレート、sec−アミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。モノマー(B)は、これらを単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。また、モノマー(B)は、10〜95重量部用いられていることが好ましい。
モノマー(C)は、炭素数1〜22で直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルである。モノマー(C)は、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−,iso−、又はtert−ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ウンデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ヘキサビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルのようなアルキルビニルエーテル類が挙げられる。モノマー(C)は、これらを単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。共重合体中、モノマー(A)及びモノマー(B)の合計と、モノマー(C)とが、重量比で100:1〜65であることが好ましく、100:5〜55であると一層好ましい。このような重量比で含有された共重合体を含有したワキ防止剤は、優れたワキ防止効果を奏する。
モノマー(D)は、モノマー(A)〜(C)以外の共重合性不飽和モノマーであれば、特に限定されない。このモノマー(D)は、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸である(メタ)アクリル酸類;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルエステルのような(メタ)アクリル酸アラルキルエステル類;アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクロイルモルフォリンのような(メタ)アクリルアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンのような芳香族炭化水素系ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル類;ジアリルフタレートのようなアリル化合物類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミドのような脂肪族炭化水素系ビニル化合物が挙げられる。モノマー(D)は、これらを単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。共重合体中、モノマー(A)及びモノマー(B)及び共存するならモノマー(C)の合計と、モノマー(D)とが、重量比で100:0.5〜50であることが好ましい。このような重量比で含有された共重合体を含有したワキ防止剤は、優れたワキ防止効果を奏する。
これらのモノマーを用いて共重合体を合成する方法として、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法が挙げられる。その共重合を行うための開始剤として、通常使用されるアゾ重合開始剤や、過酸化物が、挙げられる。共重合体の合成方法によって、ワキ防止剤の効能や機能は影響されないから、その合成方法は、特に制限されない。
この共重合体を合成する具体的な方法は、共重合成分である各モノマーを、ラジカル重合開始剤存在下、溶媒中に滴下して加熱することにより、ランダム共重合させて生成させるというものである。別な方法は、共重合成分である各モノマーを、ブロック共重合開始剤存在下、別々に順次、溶媒中に滴下して加熱することにより、ブロック共重合させて生成させるというものである。共重合体は、ワキ防止効果を阻害しない限りは、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のような如何なる形態を取ってもよい。
共重合体を合成するのに用いられるラジカル重合開始剤は、一般的にラジカル重合に用いられる開始剤であれば、特に限定されないが、例えば、過酸化物、アゾ化合物等を使用することができ、より具体的には、パーブチルD(日油(株)の商品名)、パーブチルO(日油(株)の商品名)、パーオクタO(日油(株)の商品名)が挙げられる。また、ブロック共重合開始剤は、例えば、2段分解型2官能開始剤が挙げられ、より具体的には、1,1−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサンが挙げられる。
ワキ防止剤中の希釈溶剤は、一般的に用いられる有機溶剤であれば、特に限定されないが、例えば、シクロヘキサンのような炭化水素系溶剤;シクロヘキサノン、アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶剤;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル系溶剤;酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートのようなエステル系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、3−メチル−3−メトキシブタノールのようなアルコール系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、単独で使用されてもよく、混合して使用されてもよく、さらに水と混合して使用されてもよい。
ワキ防止剤は、この共重合体のみからなっていてもよいが、共重合体20〜70重量部と、希釈溶媒30〜80重量部とが、含有されていることが好ましい。
共重合体は、曇点を35〜85℃とするものである。曇点が85℃を越えても、また30℃を下廻っても親水性/疎水性のバランスが崩れてしまう結果、ワキ防止剤が、十分なワキ防止効果を奏しなくなってしまう。共重合体の曇点は、35〜80℃であると一層好ましい。
その曇点とは、非イオン系界面活性剤でもあるこの共重合体の親水性の尺度となるものである。曇点の高い共重合体ほど、親水性が大きいことを示している。このような曇点の測定法は、ISO1065−1975(E)の「エチレンオキシド系非イオン界面活性剤−曇り点測定法」の中の「測定法B」に準拠して、以下のようにして行われる。先ず25質量%のブチルジグリコール(ブタノール/エチレンオキシド(EO)2モル付加物)水溶液に、試料を10質量%濃度になるように溶解する。次いでこの試料溶液約5ccを試験管に採り、試験管中に温度計を入れて攪拌しながら徐々に加熱すると終には試料溶液が白濁する。試料溶液が完全に白濁する温度を読みとり、これを曇点とする。なお、曇点の測定においてブチルジグリコールの濃度は、0〜50重量%の範囲で変更して、測定することが可能である。
曇点がこの範囲内にある共重合体を含有するワキ防止剤が優れたワキ防止作用を奏するメカニズムの詳細は、必ずしも明らかでないが、以下の通りである。
ワキ防止剤が含まれた水性塗料を基材に塗布し、塗布層を形成する。すると、ワキ防止剤中の共重合体のエーテル結合基のような親水性基に、共存する水分子が水素結合により相互作用している結果、共重合体が、水に溶解しつつ、塗布層内で均質に分散する。そのとき塗布層に、溶存空気が残存している。塗布層を乾燥し、焼付けする際、加熱と共に、共重合体と相互作用している水分子が、共重合体の曇点である35〜85℃で共重合体から脱離し、共重合体の結晶性が、向上する。その結果、共重合体は、親水性の性質から、むしろ疎水性の性質が強くなり、塗布層内でブリードする。一方、残存する溶存空気は、加熱の際に、水性塗料中の溶媒と共に、微小な泡となって大気中へ抜け出すが、共重合体の結晶性が向上し極性が低下して共重合体が油溶性となっていることによって、その微小な泡を破泡する。それにより、ワキ防止作用が、発現されているものと推察される。このワキ防止剤の作用は、一般的な消泡剤による脱泡、抑泡、破泡のメカニズムのうち、特に破泡と同様なメカニズムによって発現するものであると考えられる。
このような共重合体の極性を表現する方法の一つとして、溶解性パラメーター(SP値)が用いられる。SP値は、分子構造から推算でき、様々な計算手法が知られている。その中で、Fedorsの理論SP値は、共重合体の密度パラメーターが不要なため、比較的簡単に求められることから、しばしば用いられているものである。Fedorsの理論SP値は、下記数式(1)から求められる。
Figure 0005204619
(数式(1)中Δe、Δvは、それぞれの原子または原子団の蒸発エネルギーおよびモル体積を表す。)
SP値は、数値が高い程、極性が高いことを示している。このワキ防止剤中の共重合体のSP値は、8.5〜18.0であることが好ましい。そのSP値が8.5未満であると、共重合体の極性が低すぎて水性塗料中で共重合体が十分に溶解できず、均質な水性塗料の調製が困難となったり、たとえ均質に水性塗料が調製できたとしても、共重合体の溶解性が悪過ぎるために塗装膜の表面に共重合体の凝集塊が露出して凹凸を生じ外観を損ねたりする。一方、SP値が20.0を超える共重合体を用いて形成された塗装膜は、共重合体の極性が高すぎて水性塗料との相溶性が良過ぎることで、塗装膜表面に共重合体が配向しない結果、十分な表面調整効果を得ることができなくなってしまう。SP値は、8.5〜16.0であると一層好ましい。
この共重合体の重量平均分子量は、3000〜500000であることが好ましい。重量平均分子量が、3000未満の場合、塗装膜の強度などの物性が低下してしまい、500000を超える場合、塗装膜表面にハジキ、濁りなどを生じて外観を損なってしまう。重量平均分子量は、3000〜300000であると、一層好ましい。重量平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算して得られるものである。
水性塗料は、このワキ防止剤の0.01〜10.0重量部、アクリル樹脂、アルキド樹脂のような被膜形成樹脂成分の0.3〜10.0重量部、必要に応じてエタノール、ブチルセロソルブ、水のような溶媒が含まれたものである。カーボンブラック、べんがら(酸化第二鉄)、酸化チタンなどで例示される無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系、キナクドリン系などで例示される有機顔料、アルミニウム、マイカで例示される光輝性顔料のような顔料が含まれていてもよい。水性塗料は、これらの成分を配合して、混練して調製したものである。
熱硬化型水性塗料に含有される水性樹脂として、アクリル樹脂、ビニル樹脂、オイルフリーアルキド樹脂、油変成アルキド樹脂、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂などが挙げられる。また、この様な水性樹脂の架橋剤として用いられる水溶性アミノ樹脂としては、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−メチロールメラミンおよびそれらのメチルエーテル化物、尿素−ホルムアルデヒド縮合物、尿素−メラミン共縮合物が挙げられる。
水性塗料中、ワキ防止剤は、水や有機溶媒で予め適当な濃度に希釈した溶液の状態で添加しても、またそのままで添加してもよい。その添加量は、水性塗料、例えば熱硬化型水性塗料に対し、0.3〜10.0質量%であり、好ましくは0.5〜5.0質量%である。
熱硬化性水性塗料へのワキ防止剤の添加方法としては、水性樹脂の合成時に添加する方法であってもよく、顔料分散時に添加する方法であってもよく、塗料調製の最後に添加する方法であってもよく、何れの添加方法であってもワキ防止効果の発現に影響はない。
水性塗料は一般的に塗装に適する粘度に水または溶剤で希釈して使用する。またこの水性塗料には、必要に応じて通常使用されている、顔料、紫外線吸収剤、消泡剤、ハジキ防止剤、増粘剤などの塗料用添加剤を適量含有させてもよい。
水性塗料は、金属、セラミックス、プラスチック、ガラス、陶器、木材、紙、布帛、不織布などでできた基材上に、塗布又は噴霧されて塗装される。
水性塗料の塗装方法は、常法に従って、エアースプレー塗装、エアレス塗装、静電エアースプレー塗装、静電エアレス塗装、コイルコーター塗装等の手段により行われる。焼き付けは常法に従い、例えば電気式熱風乾燥機、間接熱風炉、直接熱風炉、遠赤外炉等を用い、塗膜を約100℃〜約290℃間の温度で約数10秒〜約45分間保持することにより行われる。
以下に、本発明を適用するワキ防止剤を調製した例を製造例1〜5に示し、本発明を適用外のワキ防止剤を調製した例を比較例1〜6に示す。
(製造例1)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)100重量部を入れて、液温を110℃に保温した。窒素雰囲気下で、ドデシルメタクリレート50重量部、メトキシポリエチレングリコール9モル付加物モノメタクリレートであるライトエステル130MA(共栄社化学(株)製の商品名)50重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)5重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィット溶液に滴下した。110℃で2時間反応させて、ワキ防止剤としてアクリル系共重合体液を、得た。得られたアクリル系共重合体液を用いて、それに含有されている共重合体の重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算値として求めたところ、11000であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は、55℃であった。Fedors法により求めた理論SP値は、9.2であった。
(製造例2)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)100重量部を入れて、液温を110℃に保温した。窒素雰囲気下で、オクタデシルメタクリレート50重量部、メトキシポリエチレングリコール23モル付加物モノメタクリレートであるNKエステルM−230G(新中村(株)製の商品名)50重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)5重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィット溶液に滴下した。110℃で2時間反応させて、ワキ防止剤としてアクリル系共重合体液を、得た。得られたアクリル系共重合体液について重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算値として求めたところ、9000であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は、78℃であった。Fedors法により求めた理論SP値は、9.1であった。
(製造例3)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)100重量部を入れて、液温を110℃に保温した。窒素雰囲気下で、ドデシルビニルエーテール10重量部、nブチルメタクリレート40重量部、メトキシポリエチレングリコール9モル付加物モノメタクリレートであるライトエステル130MA(共栄社化学(株)製の商品名)50重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)3重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィット溶液に滴下した。110℃で2時間反応させて、ワキ防止剤としてアクリル系共重合体液を、得た。得られたアクリル系共重合体液について重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算値として求めたところ、15000であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は、55℃であった。Fedors法により求めた理論SP値は、9.5であった。
(製造例4)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)100重量部を入れて、液温を110℃に保温した。窒素雰囲気下で、2エチルヘキシルメタクリレート50重量部、メトキシトリエチレングリコールモノメタクリレート50重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)5重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィット溶液に滴下させた。110℃で2時間反応させ、ワキ防止剤として、アクリル系共重合体液を、得た。得られたアクリル系共重合体液について重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算した値で求めたところ、9000であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は、35℃であった。Fedors法により求めた理論SP値は、9.4であった。
(製造例5)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)100重量部を入れて、液温を110℃に保温した。窒素雰囲気下で、オクタデシルメタクリレート50重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部、メトキシポリエチレングリコール9モル付加物モノメタクリレートであるライトエステル130MA(共栄社化学(株)製の商品名)45重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)1重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィット溶液に滴下した。110℃で2時間反応させ、ワキ防止剤として、アクリル系共重合体液を、得た。得られたアクリル系共重合体液について重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算値として求めたところ、33000であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は、60℃であった。Fedors法により求めた理論SP値は、9.4であった。
(製造例6)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)50重量部を入れて、液温を110℃に保温した。窒素雰囲気下で、ドデシルメタクリレート50重量部、メトキシポリエチレングリコール9モル付加物モノメタクリレートであるライトエステル130MA(共栄社化学(株)製の商品名)50重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)0.5重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィット溶液に滴下した。85℃で4時間反応させて、ワキ防止剤としてアクリル系共重合体液を、得た。得られたアクリル系共重合体液を用いて、それに含有されている共重合体の重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算値として求めたところ、160000であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は、55℃であった。Fedors法により求めた理論SP値は、9.2であった。
(製造例7)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)100重量部を入れて、液温を110℃に保温した。窒素雰囲気下で、nブチルアクリレート30重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート40重量部、メトキシポリエチレングリコール9モル付加物モノメタクリレートであるライトエステル130MA(共栄社化学(株)製の商品名)30重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)5重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィット溶液に滴下した。110℃で2時間反応させ、ワキ防止剤として、アクリル系共重合体液を、得た。得られたアクリル系共重合体液について重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算値として求めたところ、12000であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は、60℃であった。Fedors法により求めた理論SP値は、11.5であった。
(比較例1)
ベンゾイン(精工化学製、製品名:セイクオールZ)を、ワキ防止剤として用いた。
(比較例2)
ベンゾインイソプロピルエーテル(精工化学製、製品名:セイクオールBIP)を、ワキ防止剤として用いた。
(比較例3)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)100重量部を入れて、液温を110℃に保温した。窒素雰囲気下で、ドデシルメタクリレート50重量部、メトキシトリエチレングリコールモノメタクリレート30重量部、エトキシジエチレングリコールアクリレートであるライトエステルEC−A(共栄社化学(株)製の商品名)20重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)5重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィット溶液に滴下した。110℃で2時間反応させ、ワキ防止剤として、アクリル系共重合体液を、得た。得られたアクリル系共重合体液について重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算値として求めたところ、9000であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は28℃であった。Fedors法により求めた理論SP値は、9.2であった。
(比較例4)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)100重量部を入れて、液温を110℃に保温した。窒素雰囲気下で、ドデシルメタクリレート70重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート30重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)3重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィットに滴下させた。110℃で2時間反応させ、ワキ防止剤として、アクリル系共重合体液を得た。得られたアクリル系共重合体液について重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算値として求めたところ、20000であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は、観測されなかった。Fedors法により求めた理論SP値は、10.4であった。
(比較例5)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)100重量部を入れて、液温を110℃に保温した。窒素雰囲気下で、ドデシルメタクリレート80重量部、アクリル酸20重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)3重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィット溶液に滴下した。110℃で2時間反応させた後、60℃に冷却し、トリエチルアミン10重量部滴下し中和させ、ワキ防止剤として、アクリル系共重合体液を得た。得られたアクリル系共重合体液について重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算値として求めたところ、15000であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は、観測されなかった。Fedors法により求めた理論SP値は、9.8(未中和での共重合体)であった。
(比較例6)
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下槽を備えた容器に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであるソルフィット((株)クラレ製の商品名)100重量部を入れて、液温を120℃に保温した。窒素雰囲気下で、nブチルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部、パーオクタO(日油(株)製の商品名)15重量部の混合溶液を約2時間かけてソルフィット溶液に滴下した。120℃で2時間反応させ、ワキ防止剤として、アクリル系共重合体液を得た。得られたアクリル系共重合体液について重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算値として求めたところ、2500であった。また、25質量%のブチルジグリコール水溶液法による曇点は、観測されなかった。Fedors法により求めた理論SP値は、10.4であった。
次に、本発明を適用する水性塗料を調製した例と、それを硬化させて塗装膜を形成させた例とを、実施例1〜2に示す。
(実施例1)
(1.1評価用熱硬化型水性塗料組成物の調製)
ビニル変性アルキド樹脂ウォーターゾールBCD3050(DIC(株)製の商品名)278.1重量部、酸化チタンであるテイカJR−600A(テイカ(株)製の商品名)300重量部、消泡剤アクアレン832(共栄社化学(株)製の商品名)0.3重量部、イオン交換水30重量部、および直径1.5〜2.0mmのガラスビーズ300重量部を900mlガラス瓶に加え、ペイントシェーカーにより2時間攪拌し、その後、ウォーターゾールBCD3050(DIC(株)製の商品名)307.2重量部、メラミン樹脂サイメル303(日本サイテックインダストリーズ(株)製の商品名)68.1重量部、アクアレン832(共栄社化学(株)製の商品名)0.3重量部を加えてレッドダウンしてガラスビーズを濾別した後、フォードカップNo.4を用いて45秒/25℃にイオン交換水で希釈して評価用熱硬化型水性塗料組成物を調製した。
(1.2ワキ防止剤の添加による水性塗料の調製)
この水性塗料物に、実施例1〜5及び比較例1〜6で調製したワキ防止剤を固形分で0.5重量%を加え、1500rpmで5分間混合し、夫々、水性塗料を調製した。
(実施例2)
口径1.5mmで吐出圧3.0kg/cmのエアスプレー(ワイダーW−61カップガン:岩田塗装(株)製の商品名)により、温度25℃、湿度70%の条件下でアルミ板にコーティング剤を傾斜塗装し、セッティング5分間後、プレヒートを60℃で10分間行った後、140℃で30分間加熱し、焼き付けて硬化させた塗装膜を得た。
製造例及び比較例で調製したワキ防止剤を用いて作製した塗装膜について、以下のようにして、ワキ限界膜厚、平滑性、鮮映性の各物性評価を行った。
(ワキ限界膜厚の測定)
傾斜塗装して膜厚差のある塗板の塗膜を電磁膜厚計を用いて、ワキの発生する最小の膜厚(ワキ限界膜厚)を測定する。ワキ限界膜厚の数値が高い程、ワキ発生抑制効果が優れている。添加剤なしの塗料の測定値を基準として、ワキ限界膜厚が45μm以上の場合が○、25〜45μm未満の場合が△、25μm以下の場合を×とする3段階で評価した。その結果を表1に示す。
(平滑性の測定)
ワキ限界膜厚で作製したのと同様な塗板を用いて、20〜30μmの膜厚で塗膜状態を目視にて評価した。塗膜表面にハジキやクレーターが認められないものを○、塗膜表面にハジキやクレーター、ブツが少し認められるものを△、塗膜表面にハジキやクレーター、ブツが多く認められるものを×とする三段階で評価した。その結果を表1に示す。
(鮮映性の測定)
ワキ限界膜厚で作製したのと同様な塗板を用いて、20μmの膜厚での20°グロスをグロス計(Byk社製)にて、それぞれ5個所測定し、平均値を求めた。添加剤なしの塗料の測定値を基準として、鮮映性が70以上の場合が○、60〜70未満の場合が△、60以下の場合を×とする3段階で評価した。その結果を表1に示す。鮮映性が70未満であると、ワキ防止剤無添加の塗膜鮮映性を損なっているため不十分である。
Figure 0005204619
表1から明らかな通り、製造例1〜7のワキ防止剤を用いて形成した塗装膜は、ワキ限界膜厚が45〜60μmもありワキ発生抑制効果が十分であり平滑性や鮮映性に優れていた。一方、ワキ防止剤無添加、又は比較例1〜6のワキ防止剤を用いて形成した塗装膜は、ワキ限界膜厚が、40μm以下であってワキ発生抑制効果が不十分であり平滑性や鮮映性に不十分であった。
本発明を適用するワキ防止剤は、工業用材料、自動車車体、建材、建造物、日用品原材を塗装する水性塗料に含有させて、用いられる。この水性塗料をこれら被塗装体に塗装し焼き付けて形成した塗装膜は、被塗装体の外観を綺麗にし、その表面を保護するのに有用である。

Claims (5)

  1. 水性塗料に添加されるもので、それの塗装後100℃〜290℃での焼き付け時での泡によるワキを防止する水性塗料用のワキ防止剤であって、下記化学式(1)
    CH=C(R)−COO−(C2mO)-R2 ・・・(1)
    (化学式(1)中、Rは水素原子またはメチル基、−R2は水素原子または炭素原子数1〜22のアルキル基、mは2〜4の数、nは2〜100の数)で表されるエーテル基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)の5〜90重量部と、下記化学式(2)
    CH=C(R)−COO−R ・・・(2)
    (化学式(2)中、Rは水素原子またはメチル基、−Rは炭素原子数1〜22のアルキル基)で表されるアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)の95〜10重量部との共重合体を含有しており、該共重合体の重量平均分子量を3000〜500000としその曇点を35〜85℃とすることにより、該ワキを防止することを特徴とする水性塗料用の焼き付け時でのワキ防止剤。
  2. 該共重合体が、該モノマー(A)及び該モノマー(B)と、下記化学式(3)
    CH=CH−O−R ・・・(3)
    (化学式(3)中、−Rは炭素原子数〜22のアルキル基)で表されるビニルエーテルモノマー(C)との100:1〜65の重量比の共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のワキ防止剤。
  3. 該共重合体が、その溶解性パラメーターを8.5〜18.0とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のワキ防止剤。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のワキ防止剤と、水性塗料成分とを含有することを特徴とする水性塗料。
  5. 請求項4に記載の水性塗料が、基材に塗装されて硬化して形成されていることを特徴とする塗装膜。
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