この明細書および特許請求の範囲において、「コンデンサ」という用語には、通常のコンデンサの他に凝縮部および過冷却部を有するサブクールコンデンサを含むものとする。
図13、図14および図16に関する説明において、同一物には同一符号を付す。
従来、車両用空調装置として、図13に示すように、圧縮機(120)、圧縮機(120)で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ(121)(冷媒冷却器)、コンデンサ(121)で冷却された冷媒を減圧する膨張弁(122)(減圧器)、減圧された気液混相の冷媒を蒸発させるエバポレータ(123)を備えており、膨張弁(122)が、エバポレータ(123)から流出した後の冷媒の温度および圧力を検出する検出部(126)を有し、膨張弁(122)の絞り開度が、エバポレータ(123)から流出した後の冷媒の温度および圧力に基づいて調整されるようになされたものが広く用いられていた。
図13に示す車両用空調装置においては、図15および図17に破線で示すように、圧縮機(120)で圧縮された高温高圧の気液混相の冷媒(図15および図17状態a参照)は、コンデンサ(121)において冷却され(図15および図17状態b参照)、膨張弁(122)において断熱膨張させられて減圧される(図15および図17状態c参照)。減圧された気液混相の冷媒はエバポレータ(123)に入り、エバポレータ(123)内を流れる間に通風間隙を流れる空気を冷却して気相となる。エバポレータ(123)を通過した気相の冷媒は(図15および図17状態d参照)、圧縮機(120)に送られて圧縮される。
ところで、近年、車両用空調装置の冷却性能、すなわちエバポレータ(123)の冷却性能のさらなる向上を目的として、図14に示すように、圧縮機(120)、圧縮機(120)で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ(121)、コンデンサ(121)で冷却された冷媒を減圧する膨張弁(122)、減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ(123)、およびコンデンサ(121)から流出してきた高温の冷媒が流れる高温側冷媒流路とエバポレータ(123)から流出してきた低温の冷媒が流れる低温側冷媒流路とを有しかつ高温冷媒と低温冷媒とを熱交換させる中間熱交換器(124)を備えており、膨張弁(122)が、エバポレータ(123)から流出しかつ中間熱交換器(124)の低温側冷媒流路に流入する前の冷媒の温度および圧力を検出する検出部(126)を有し、膨張弁(122)の絞り開度が、エバポレータ(123)から流出しかつ中間熱交換器(124)の低温側冷媒流路に流入する前の冷媒の温度および圧力に基づいて調整されるようになされた車両用空調装置が提案されている(特許文献1参照)。
図14に示す車両用空調装置においては、図15に実線で示すように、圧縮機(120)で圧縮された高温高圧の気液混相の冷媒(図15状態A参照)は、コンデンサ(121)において冷却され(図15状態B参照)、中間熱交換器(124)の高温側冷媒流路を流れる際に、エバポレータ(123)から流出しかつ低温側冷媒流路を流れる比較的低温の冷媒によりさらに冷却される(図15状態C参照)。中間熱交換器(124)において冷却された高圧の冷媒は膨張弁(122)において断熱膨張させられて減圧される(図15状態D参照)。減圧された気液混相の冷媒はエバポレータ(123)に入り、エバポレータ(123)内を流れる間に通風間隙を流れる空気を冷却して気相となる(図15状態E参照)。エバポレータ(123)を通過した気相の冷媒は中間熱交換器(124)の低温側冷媒流路を通過する。中間熱交換器(124)の低温側冷媒流路を通過する低温側冷媒は、高温側冷媒流路を流れる高温側冷媒により過熱されて温度が上昇させられ(図15状態F参照)、この状態で圧縮機(120)に送られて圧縮される。すなわち、図13に示す車両用空調装置に比べて、膨張弁(122)に流入する液相冷媒の温度を低下させ、エバポレータ(123)に流入する冷媒中の液相の占める割合を比較的大きくすることにより比エンタルピー値をαの分だけ下げ、これによりエバポレータ(123)の入口と出口との間のエネルギ差を大きくしてエバポレータ(123)の冷却性能を向上させている。
しかしながら、特許文献1記載の車両用空調装置の場合、膨張弁(122)の絞り開度が、エバポレータ(123)から流出しかつ中間熱交換器(124)の低圧冷媒流路に流入する前の冷媒の温度および圧力に基づいて、調整されるようになされているので、エバポレータ(123)から流出した直後の冷媒をすべて気化した状態にせざるを得ない。したがって、中間熱交換器(124)の低圧冷媒流路には一定のスーパーヒートを有する気相冷媒が流入し、中間熱交換器(124)の低圧冷媒流路を通過する際に、さらに高圧冷媒流路を流れる高圧冷媒と熱交換をし、さらに温度が上昇した状態で圧縮機(120)に流入する。したがって、圧縮機(120)に流入する冷媒の密度が低下するので、冷媒流量が低下して意図したとおりにエバポレータ(123)の冷却性能を向上させることができない。しかも、圧縮機(120)の吐出側においてもまた冷媒の温度が上昇するので、図13に示す車両用空調装置に比べて圧縮機(120)の寿命が低下する。
また、図13に示す車両用空調装置に比べてエバポレータ(123)の冷却性能を向上させた車両用空調装置として、図16に示すように、圧縮機(120)、圧縮機(120)で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ(121)、コンデンサ(121)で冷却された冷媒を減圧する温度式膨張弁(122)、減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ(123)、コンデンサ(121)から流出してきた高温の冷媒が流れる高温側冷媒流路とエバポレータ(123)から流出してきた低温の冷媒が流れる低温側冷媒流路とを有しかつ高温冷媒と低温冷媒とを熱交換させる中間熱交換器(124)、および中間熱交換器(124)を通過した高圧の冷媒をさらに減圧する絞り弁(125)を備えており、膨張弁(122)が、中間熱交換器(124)の低温側冷媒流路から流出しかつ圧縮機(120)に流入する前の冷媒の温度および圧力を検出する検出部(126)を有し、膨張弁(122)の絞り開度が、中間熱交換器(124)の低温側冷媒流路から流出しかつ圧縮機(120)に流入する前の冷媒の温度および圧力に基づいて調整されるようになされた車両用空調装置が提案されている(特許文献2参照)。
図16に示す車両用空調装置においては、図17に実線で示すように、圧縮機(120)で圧縮された高温高圧の気液混相の冷媒(図17状態A参照)は、コンデンサ(121)において冷却され(図17状態B参照)、膨張弁(122)において断熱膨張させられて減圧される(図17状態C参照)。減圧された気液混相の冷媒は、中間熱交換器(124)の高温側冷媒流路を流れる際に、エバポレータ(123)から流出しかつ低温側冷媒流路を流れる比較的低温の冷媒によりさらに冷却されて液相となる(図17状態D参照)。液相となった冷媒は、絞り弁(125)を通過する際に断熱膨張させられてさらに減圧される(図17状態E参照)。減圧された気液混相の冷媒は、エバポレータ(123)に入り、エバポレータ(123)内を流れる間に通風間隙を流れる空気を冷却して気相となる(図17状態F参照)。エバポレータ(123)を通過した気相の冷媒は中間熱交換器(124)の低温側冷媒流路を通過する。中間熱交換器(124)の低温側冷媒流路を通過する低温側冷媒は、高温側冷媒流路を流れる高温側冷媒により過熱されて温度が上昇させられ(図17状態G参照)、この状態で圧縮機(120)に送られて圧縮される。すなわち、図13に示す車両用空調装置に比べて、絞り弁(125)に流入する液相冷媒の温度を低下させ、エバポレータ(123)に流入する冷媒中の液相の占める割合を比較的大きくすることにより比エンタルピー値をβの分だけ下げ、これによりエバポレータ(123)の入口と出口との間のエネルギ差を大きくしてエバポレータ(123)の冷却性能を向上させている。
また、特許文献2記載の車両用空調装置では、膨張弁(122)の絞り開度が、エバポレータ(123)から流出しかつ中間熱交換器(124)の低温側冷媒流路を通過した後の冷媒の温度および圧力に基づいて調整されるようになされているので、エバポレータ(123)から流出する冷媒を気液混相とすることができる。したがって、圧縮機(120)に流入する冷媒の密度の低下を防止することが可能になって冷媒流量の低下を抑制することができ、特許文献1記載の車両用空調装置に比べて、意図したとおりにエバポレータ(123)の冷却性能を向上させることができる。しかも、圧縮機(120)に流入する冷媒の温度が過度に上昇することはないので、特許文献1記載の車両用空調装置に比べて圧縮機(120)の寿命がのびる。
しかしながら、特許文献2記載の車両用空調装置によれば、中間熱交換器(124)の高温側冷媒流路に流入する高温側の冷媒は膨張弁(122)に流入する前の液相状態よりも温度が低下するために、中間熱交換器(124)を大型化する必要がある。しかも、中間熱交換器(124)の高温側冷媒流路に流入する高温側の冷媒は気液混相となっているので、体積が増加するとともに流速が早くなっており、過度の圧力上昇を防止するためには中間熱交換器(124)の高温側冷媒流路の流路断面積を大きくする必要があり、これによっても中間熱交換器(124)が大型化する。さらに、膨張弁(122)および絞り弁(125)において減圧されるので、エネルギの損失が大きくなり、圧縮機(120)の動力を大きくする必要がある。
なお、図示は省略したが、図13、図14および図16に示す車両用空調装置は、冷媒の気液を分離する気液分離器を備えている。
特開2006−162238号公報
特開平5−196321号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、図13に示す車両用空調装置に比較してエバポレータの冷却性能が向上するとともに、圧縮機の寿命低下を防止し、さらに中間熱交換器の大型化を防止しうる車両用空調装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)圧縮機、圧縮機で圧縮された冷媒を冷却する冷媒冷却器、冷媒冷却器で冷却された冷媒を減圧する減圧器、減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ、および冷媒冷却器から流出するとともに減圧器により減圧される前の高圧の冷媒とエバポレータから流出してきた低圧の冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、減圧器が膨張弁からなり、膨張弁の絞り開度が、エバポレータから流出して中間熱交換器を通過した後の冷媒の温度および圧力に基づいて調整されるようになされている車両用空調装置において、
中間熱交換器が、エバポレータの冷媒出口に通じるとともに、低温低圧冷媒流出口を有する低温低圧冷媒流通体と、低温低圧冷媒流通体に接合され、かつ高温高圧冷媒流入口および高温高圧冷媒流出口を有する高温高圧冷媒流通体と、低温低圧冷媒流通体に固定され、かつエバポレータの冷媒入口に通じる低温高圧冷媒流路および低温低圧冷媒流出口に通じる低温低圧冷媒流路を有する第1の継手と、高温高圧冷媒流通体に固定され、かつ高温高圧冷媒流入口に通じる入り側冷媒流路および高温高圧冷媒流出口に通じる出側冷媒流路を有する第2の継手とを備えており、第1継手に、第1継手の低温高圧冷媒流路に通じる高圧冷媒供給路および第1継手の低温低圧冷媒流路に通じる低圧冷媒排出路を有する膨張弁が固定されるようになされ、第2継手の出側高温高圧冷媒流路と膨張弁の高圧冷媒供給路とが連通手段により通じさせられるようになされている車両用空調装置。
2)中間熱交換器が、エバポレータの冷媒入口に通じるとともに、低温高圧冷媒流入口を有する低温高圧冷媒流通体を備えており、第1継手が低温高圧冷媒流通体および低温低圧冷媒流通体に跨って固定され、第1継手の低温高圧冷媒流路が低温高圧冷媒流通体の低温高圧冷媒流入口に連通させられることにより、第1継手の低温高圧冷媒流路がエバポレータの冷媒入口に通じさせられている上記1)記載の車両用空調装置。
3)中間熱交換器の低温高圧冷媒流通体および低温低圧冷媒流通体が、互いに積層状に接合された2枚の金属板からなる扁平中空体により形成され、扁平中空体の両金属板間に、低温高圧冷媒流通用膨出部および低温低圧冷媒流通用膨出部が設けられている上記2)記載の車両用空調装置。
4)中間熱交換器の低温低圧冷媒流通用膨出部内にインナーフィンが配置されて両金属板に接合されている上記3)記載の車両用空調装置。
5)中間熱交換器の低温高圧冷媒流通体および低温低圧冷媒流通体がエバポレータに接合されている上記2)〜4)のうちのいずれかに記載の車両用空調装置。
6)中間熱交換器の高温高圧冷媒流通体が、互いに積層状に接合された2枚の金属板間に、高温高圧冷媒流通用膨出部が設けられることによって形成されている上記1)〜5)のうちのいずれかに記載の車両用空調装置。
7)両金属板のうちの少なくともいずれか一方に、高温高圧冷媒流通用膨出部内に突出した補強リブが形成されて他方の金属板に接合されている上記6)記載の車両用空調装置。
上記1)の車両用空調装置によれば、減圧器が膨張弁からなり、温度式膨張弁の絞り開度が、エバポレータから流出して中間熱交換器を通過した後の冷媒の温度および圧力に基づいて、調整されるようになされているので、エバポレータから流出する冷媒を気液混相の状態に制御することが可能になる。したがって、圧縮機に流入する冷媒の密度の低下を防止することが可能になって冷媒流量の低下を抑制することができ、特許文献1記載の車両用空調装置に比べて、意図したとおりにエバポレータの冷却性能を向上させることができる。しかも、圧縮機に流入する冷媒の温度が過度に上昇することはないので、特許文献1記載の車両用空調装置に比べて圧縮機の寿命がのびる。
また、中間熱交換器に流入する高温側冷媒は膨張弁により減圧される前の液相であるから、その温度は、特許文献2記載の車両用空調装置における中間熱交換器内に流入する高温側冷媒の温度よりも高くなり、中間熱交換器の熱交換効率が向上する。しかも、中間熱交換器の高温側冷媒流路に流入する高温側冷媒は液相であるから、特許文献2記載の車両用空調装置における中間熱交換器内に流入する高温側冷媒に比べて体積が減少しているとともに流速が遅くなっており、中間熱交換器の高温側冷媒流路の流路断面積を小さくすることができる。したがって、中間熱交換器の小型化を図ることができる。また、冷媒は膨張弁により減圧されるだけであるから、エネルギの損失が小さくなり、特許文献2記載の車両用空調装置に比べて圧縮機の動力を小さくすることができる。
上記1)および2)の車両用空調装置によれば、中間熱交換器を配置するためのスペースが小さくすることができる。
上記3)の車両用空調装置によれば、中間熱交換器の低温高圧冷媒流通体および低温低圧冷媒流通体の構成が簡単になる。
上記4)の車両用空調装置によれば、中間熱交換器の低温低圧冷媒側の伝熱面積が大きくなり、中間熱交換器の熱交換効率が向上する。
上記6)の車両用空調装置によれば、中間熱交換器の高温高圧冷媒流通体の構成が簡単になる。
上記7)の車両用空調装置によれば、中間熱交換器の高温高圧冷媒流通体の耐圧性が向上する。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、図1〜図12を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、以下の説明において、図2、図4および図12の上下、左右を上下、左右といい、通風間隙を流れる空気の下流側(図2、図10および図12に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとする。
図1は車両用空調装置の構成を示し、図2は図1の車両用空調装置に用いられるエバポレータおよび中間熱交換器の全体構成と膨張弁を示し、図3〜図9はエバポレータおよび中間熱交換器の要部の構成を示し、図10はエバポレータ、中間熱交換器および膨張弁における冷媒の流れを示す。
図1において、この発明による車両用空調装置は、圧縮機(1)、圧縮機(1)で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ(2)(冷媒冷却器)、コンデンサ(2)で冷却された冷媒を減圧する温度式の膨張弁(3)(減圧器)、減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ(4)、およびコンデンサ(2)から流出するとともに膨張弁(3)により減圧される前の高温高圧の冷媒とエバポレータ(4)から流出してきた低温低圧の冷媒とを熱交換させる中間熱交換器(5)を備えており、膨張弁(3)が、エバポレータ(4)から流出して中間熱交換器(5)を通過した後の冷媒の温度および圧力を検出する検出部(6)を有し、膨張弁(3)の絞り開度が、エバポレータ(4)から流出して中間熱交換器(5)を通過した後の冷媒の温度および圧力に基づいて調整されるようになされているものである。
なお、図示は省略したが、図1に示す車両用空調装置は、冷媒の気液を分離する気液分離器を備えている。
図2〜図8に示すように、車両用空調装置のエバポレータ(4)と中間熱交換器(5)とは一体に形成されている。エバポレータ(4)は積層型エバポレータと称されるものであって、幅方向を前後方向(通風方向)に向けて左右方向に積層状に並べられるとともに相互に接合された縦長方形の複数のエバポレータ形成用扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)と、左端のエバポレータ形成用扁平中空体(10B)に接合されたアルミニウム製サイドプレート(11)とを備えている。中間熱交換器(5)は、低温高圧冷媒流通部(13)(低温高圧冷媒流通体)および低温低圧冷媒流通部(14)(低温低圧冷媒流通体)を有するとともに、右端のエバポレータ形成用扁平中空体(10A)の外側に幅方向を前後方向に向けて配置されて当該エバポレータ形成用扁平中空体(10A)に接合された中間熱交換器形成用扁平中空体(12)と、中間熱交換器形成用扁平中空体(12)の外側に幅方向を前後方向に向けて配置されて中間熱交換器形成用扁平中空体(12)に接合された扁平中空状の高温高圧冷媒流通体(15)とを備えている。以下、図2〜図10に関する説明において、エバポレータ形成用扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)を第1扁平中空体と称し、中間熱交換器形成用扁平中空体(12)を第2扁平中空体と称するものとする。
エバポレータ(4)は、左右方向にのびる冷媒入口ヘッダ部(16)と、冷媒入口ヘッダ部(16)の上方に設けられるとともに左右方向にのび、かつ右端が冷媒入口ヘッダ部(16)の右端よりも右方に位置する第1中間ヘッダ部(17)と、冷媒入口ヘッダ部(16)の右側に連なって設けられた左右方向にのびる第2中間ヘッダ部(18)と、第2中間ヘッダ部(18)の上方において第1中間ヘッダ部(17)の右方に連なって設けられた左右方向にのびる冷媒出口ヘッダ部(19)とを有している。冷媒入口ヘッダ部(16)の右端に冷媒入口(21)が形成され、冷媒出口ヘッダ部(19)の右端に冷媒出口(22)が形成されている。
第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)は、周縁部どうしが互いにろう付された2枚の縦長方形状アルミニウム板(23A)(23B)(23C)(23D)よりなる。すべてのアルミニウム板(23A)(23B)(23C)(23D)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、左右両方から見た外形は同一となっている。第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)を構成する2枚のアルミニウム板(23A)(23B)(23C)(23D)間には、上下方向にのびる前後2つの膨出状冷媒流通管部(24)(25)と、両冷媒流通管部(24)(25)の上下両端部にそれぞれ連なる膨出状ヘッダ形成部(26)(27)とが設けられている。第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)におけるヘッダ形成部(26)(27)の左右方向の高さは、冷媒流通管部(24)(25)の左右方向の高さよりも大きくなっており、隣接する第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)のヘッダ形成部(26)(27)どうしが相互にろう付されている。第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)の前後の冷媒流通管部(24)(25)に跨るように、アルミニウム製コルゲート状インナーフィン(28)が配置されており、両アルミニウム板(23A)(23B)(23C)(23D)にろう付されている。なお、各冷媒流通管部(24)(25)内に別々にアルミニウム製コルゲート状インナーフィンが配置されていてもよい。
そして、エバポレータ(4)のすべての第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)は、冷媒入口ヘッダ部(16)および第1中間ヘッダ部(17)に通じる冷媒流通管部(24)(25)を有する第1群(30)と、第1中間ヘッダ部(17)および第2中間ヘッダ部(18)に通じる冷媒流通管部(24)(25)を有する第2群(31)と、第2中間ヘッダ部(18)および冷媒出口ヘッダ部(19)に通じる冷媒流通管部(24)(25)を有する第3群(32)とに分けられている。第1群(30)の第1扁平中空体(10A)(10B)の下側のヘッダ形成部(27)によって冷媒入口ヘッダ部(16)が形成され、第1群(30)および第2群(31)の第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)の上側のヘッダ形成部(26)によって第1中間ヘッダ部(17)が形成され、第2群(31)および第3群(32)の第1扁平中空体(10A)(10C)(10D)の下側のヘッダ形成部(27)によって第2中間ヘッダ部(18)が形成され、第3群(32)の第1扁平中空体(10A)の上側のヘッダ形成部(26)によって冷媒出口ヘッダ部(19)が形成されている。また、隣接する第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)の冷媒流通管部(24)(25)どうしの間が通風間隙となり、通風間隙にアルミニウム製コルゲート状アウターフィン(33)が配置されて第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)にろう付されている。また、第1群(30)の左端部の第1扁平中空体(10B)の冷媒流通管部(24)(25)とサイドプレート(5)との間にもアウターフィン(33)が配置され、第1扁平中空体(10B)およびサイドプレート(11)にろう付されている。
第1群(30)の左端部に位置する第1扁平中空体(10B)と、第2群(31)の左右両端部に位置する第1扁平中空体(10C)(10D)とを除く大部分の第1扁平中空体(10A)の詳細な構成を図7に示す。図7に示すように、第1扁平中空体(10A)を構成する右側のアルミニウム板(23A)は、上下方向に伸びかつ右方に膨出した前後2つの管部形成用膨出部(34)と、両管部形成用膨出部(34)の上下両端に連なり、かつ右方に膨出するとともに管部形成用膨出部(34)よりも膨出高さの高い2つのヘッダ形成用膨出部(35)とを備えている。各ヘッダ形成用膨出部(35)の頂壁はほぼ全体が打ち抜かれて貫通穴(36)が形成されている。第1扁平中空体(10A)を構成する左側のアルミニウム板(23A)は、右側アルミニウム板(23A)を左右逆向きにしたものであり、同一部分には同一符号を付す。そして、2枚のアルミニウム板(23A)を、インナーフィン(28)を介して膨出部(34)(35)の開口どうしが対向するように組み合わせてろう付することにより、第1扁平中空体(10A)が形成されている。また、隣接する2つの第1扁平中空体(10A)のヘッダ形成部(26)(27)どうしは、第1扁平中空体(10A)のヘッダ形成用膨出部(35)の貫通穴(36)どうしが通じるように相互にろう付されており、これにより隣り合う第1扁平中空体(10A)のヘッダ形成部(26)(27)どうしが連通状に接合されている。ここで、第3群(32)の右端部の第1扁平中空体(10A)の右側アルミニウム板(23A)における上側ヘッダ形成用膨出部(35)の膨出頂壁に形成された貫通穴(36)が、熱交換部(3)の冷媒出口ヘッダ部(19)から冷媒が送り出される冷媒出口(22)となっている。
詳細な図示は省略したが、第1群(30)の左端部に位置する第1扁平中空体(10B)の左側アルミニウム板(23B)の上下2つのヘッダ形成用膨出部(35)の膨出頂壁には貫通穴は形成されていない。第2群(31)の左端部に位置する第1扁平中空体(10C)の左側アルミニウム板(23C)の下側ヘッダ形成用膨出部(35)の膨出頂壁には貫通穴は形成されておらず、当該膨出頂壁が冷媒入口ヘッダ部(16)と第2中間ヘッダ部(18)との間を仕切る仕切壁(37)となっている。そして、冷媒入口ヘッダ部(16)と第2中間ヘッダ部(18)との間を仕切る仕切壁(37)に、熱交換部(3)の冷媒入口ヘッダ部(16)内に冷媒を送り込む円形の冷媒入口(21)が貫通状に形成されている。さらに、第2群(31)の右端部に位置する第1扁平中空体(10D)の右側アルミニウム板(23D)の上側のヘッダ形成用膨出部(35)の膨出頂壁には貫通穴は形成されておらず、当該膨出頂壁が第1中間ヘッダ部(17)と冷媒出口ヘッダ部(19)との間を仕切る仕切壁(38)となっている。これらの第1扁平中空体(10B)(10C)(10D)の他方のアルミニウム板は、図7に示すアルミニウム板(23A)と同じ構成である。なお、これらの第1扁平中空体(10B)(10C)(10D)と、左右少なくともいずれか一方に隣接する第1扁平中空体(10A)とは、ヘッダ形成用膨出部(35)の膨出頂壁どうしが相互にろう付されており、これにより隣り合う第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)どうしが相互に接合されている。
図8に詳細に示すように、第2扁平中空体(12)は、右方から見た形状が第1扁平中空体(12)とほぼ同一であり、周縁部どうしが互いにろう付された2枚の縦長方形状アルミニウム板(40)(41)よりなる。両アルミニウム板(40)(41)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる。そして、2枚のアルミニウム板(40)(41)間には、エバポレータ(4)の冷媒入口ヘッダ部(16)の冷媒入口(21)に通じる膨出状低温高圧冷媒流通部(13)と、冷媒出口ヘッダ部(19)の冷媒出口(22)に通じる膨出状低温低圧冷媒流通部(14)とが設けられている。低温高圧冷媒流通部(13)および低温低圧冷媒流通部(14)の左右両側面、すなわち外側面は平坦面となっている。また、第2扁平中空体(12)には低温高圧冷媒流通部(13)内に通じる低温高圧冷媒流入口(42)と、低温低圧冷媒流通部(14)内に通じる低温低圧冷媒流出口(43)とが形成されている。さらに、第2扁平中空体(12)の低温高圧冷媒流通部(13)と、エバポレータ(4)の冷媒入口ヘッダ部(16)とは、アルミニウム製の冷媒導入パイプ(44)によって通じさせられている(図4参照)。
第2扁平中空体(12)を構成する右側アルミニウム板(40)の下部には低温高圧冷媒流通用膨出部(45)が形成され、右側アルミニウム板(40)における低温高圧冷媒流通用膨出部(45)よりも上方の部分には低温低圧冷媒流通用膨出部(46)が形成されている。低温高圧冷媒流通用膨出部(45)の下端部は右側アルミニウム板(40)の下端部に位置し、同上端部は右側アルミニウム板(40)の上下方向の中央部よりも若干上方に位置している。低温高圧冷媒流通用膨出部(45)の平坦な膨出頂壁の上端部に低温高圧冷媒流入口(42)が形成されている。低温高圧冷媒流通用膨出部(45)の平坦な膨出頂壁には、上下方向にのびるとともに左方に突出した複数の補強リブ(47)が前後方向に間隔をおいて一体に形成されており、左側アルミニウム板(41)にろう付されている。低温低圧冷媒流通用膨出部(46)の上端部は右側アルミニウム板(40)の上端部に位置し、同下端部は低温高圧冷媒流通用膨出部(45)の上端部よりも上方に位置しており、低温低圧冷媒流通用膨出部(46)の平坦な膨出頂壁の下端部に低温低圧冷媒流出口(43)が形成されている。低温低圧冷媒流通用膨出部(46)内には、アルミニウムベア材製のコルゲート状インナーフィン(48)が、上下方向にのびる複数の流路を形成するように配置されており、両アルミニウム板(40)(41)にろう付されている。また、低温低圧冷媒流通用膨出部(46)は、上下両部分を除いて、前後方向の幅が等しくなっている。
第2扁平中空体(12)を構成する左側のアルミニウム板(41)は、大部分の第1扁平中空体(10A)の左側アルミニウム板(23A)における上下両端部のヘッダ形成用膨出部(35)と同様な形状の上下2つの左方膨出部(51)を備えている。上側左方膨出部(51)の膨出頂壁には、第1扁平中空体(10A)の左側アルミニウム板(23A)におけるヘッダ形成用膨出部(35)の貫通穴(36)と同じ形状の貫通穴(52)が形成されている。第2扁平中空体(12)の上側左方膨出部(51)と、第3群(32)の右端部の第1扁平中空体(10A)の右側アルミニウム板(23A)の上側のヘッダ形成用膨出部(35)とは、貫通穴(52)(36)どうしが通じるように相互にろう付されており、これにより低温低圧冷媒流通部(14)が冷媒出口(22)に通じている。また、第2扁平中空体(12)の下側左方膨出部(51)の膨出頂壁には、円形のパイプ挿入穴(53)が貫通状に形成されている。第2扁平中空体(12)の下側左方膨出部(51)と、第3群(32)の右端部の第1扁平中空体(10A)の右側アルミニウム板(23A)の下側ヘッダ形成用膨出部(35)とは、パイプ挿入穴(53)が貫通穴(36)の範囲内に位置するように相互にろう付されている。そして、冷媒導入パイプ(44)の一端部がパイプ挿入穴(53)に挿入されて左側アルミニウム板(41)の下側左方膨出部(51)の膨出頂壁にろう付され、同じく他端部が熱交換部(3)の第2群(31)の左端部の第1扁平中空体(10C)の左側アルミニウム板(23C)における下側ヘッダ形成用膨出部(35)の膨出頂壁に形成された冷媒入口(21)に挿入されて当該膨出頂壁にろう付されており、これにより低温高圧冷媒流通部(13)が冷媒入口(21)に通じている。
第2扁平中空体(12)に、低温高圧冷媒流通部(13)の低温高圧冷媒流入口(42)に通じる低温高圧冷媒流路(55)および低温低圧冷媒流通部(14)の低温低圧冷媒流出口(43)に通じる低温低圧冷媒流路(56)を有するアルミニウムベア材製の第1継手(54)が固定されている。第1継手(54)は、低温高圧冷媒流通用膨出部(45)の膨出頂壁および低温低圧冷媒流通用膨出部(46)の膨出頂壁に跨ってろう付されている。第1継手(54)に、第1継手(54)の低温高圧冷媒流路(55)に通じる高圧冷媒供給路(57)および第1継手(54)の低温低圧冷媒流路(56)に通じる低圧冷媒排出路(58)を有する温度式の膨張弁(3)が固定されている。
高温高圧冷媒流通体(15)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ周縁部どうしが互いにろう付された2枚の縦長方形状アルミニウム板(60)(61)よりなり、その上下方向の寸法は第2扁平中空体(12)の低温低圧冷媒流通部(14)の上下方向の寸法とほぼ同一である。そして、2枚のアルミニウム板(60)(61)間には、右方から見て下方に開口したU字状である膨出状高温高圧冷媒流通部(62)が設けられている。また、高温高圧冷媒流通体(15)には、高温高圧冷媒流通部(62)内に通じる高温高圧冷媒流入口(63)および高温高圧冷媒流出口(64)とが形成されている。
高温高圧冷媒流通体(15)を構成する右側のアルミニウム板(60)は、右方から見て下方に開口したU字状である高温高圧冷媒流通用膨出部(65)を備えている。高温高圧冷媒流通用膨出部(65)の前後両下端部は、第2扁平中空体(12)の低温高圧冷媒流入口(42)および低温低圧冷媒流出口(43)よりも上方に位置しており、高温高圧冷媒流通用膨出部(65)の平坦な膨出頂壁の後側下端部に高温高圧冷媒流入口(63)が形成され、同じく前側下端部に高温高圧冷媒流出口(64)が形成されている。高温高圧冷媒流通用膨出部(65)の平坦な膨出頂壁には、右方から見て下方に開口したU字状であるとともに左方に突出した複数の補強リブ(66)が間隔をおいて一体に形成されている。
高温高圧冷媒流通体(15)を構成する左側のアルミニウム板(61)は、右側アルミニウム板(60)とは左右対称の形状であり、同一部分には同一符号を付す。なお、左側アルミニウム板(61)には、高温高圧冷媒流入口(63)および高温高圧冷媒流出口(64)は形成されていない。そして、両アルミニウム板(60)(61)の補強リブ(66)どうしがろう付されている。
高温高圧冷媒流通体(15)に、高温高圧冷媒流通部(62)の高温高圧冷媒流入口(63)に通じる入り側高温高圧冷媒流路(68)および高温高圧冷媒流出口(64)に通じる出側高温高圧冷媒流路(69)を有するアルミニウムベア材製の第2継手(67)が固定されている。第2継手(67)は、高温高圧冷媒流通用膨出部(65)の膨出頂壁の前後両下端部に跨ってろう付されている。
図9に詳細に示すように、第2継手(67)と膨張弁(3)とに跨るように、冷媒流制御部材(70)がねじ止めされている。冷媒流制御部材(70)は、第2継手(67)の入り側高温高圧冷媒流路(68)に通じる冷媒導入口(71)と、第2継手(67)の出側高温高圧冷媒流路(69)と膨張弁(3)の高圧冷媒供給路(57)とを通じさせる連通管(72)と、膨張弁(3)の低圧冷媒排出路(58)に通じる冷媒導出口(73)とを備えている。冷媒流制御部材(70)の冷媒導入口(71)にコンデンサ(2)からのびる配管が接続され、冷媒導出口(73)に圧縮機(1)にのびる配管が接続されている。
上述した車両用空調装置の動作について、図1、図10および図11を参照して説明する。
圧縮機(1)で圧縮された高温高圧の気液混相の冷媒(図11状態A参照)は、コンデンサ(2)において冷却され(図11状態B参照)、冷媒流制御部材(70)の冷媒導入口(71)および第2継手(67)の入り側高温高圧冷媒流路(68)を通り、高温高圧冷媒流入口(63)から中間熱交換器(5)の高温高圧冷媒流通体(15)の高温高圧冷媒流通部(62)内に流入し、高温高圧冷媒流通部(62)内を流れる。高温高圧冷媒流通部(62)内に入った高温高圧の冷媒は、高温高圧冷媒流通部(62)内を流れる間に、後述する第2扁平中空体(12)の低温低圧冷媒流通部(14)内を流れる比較的低温の低温低圧冷媒によりさらに冷却される(図11状態C参照)。したがって、膨張弁(3)に流入する前の冷媒は、図13に示す車両用空調装置に比べて、図11にγで示す分だけ過冷却される。
高温高圧冷媒流通部(62)内を流れた冷媒は、高温高圧冷媒流出口(64)から流出し、第2継手(67)の出側高温高圧冷媒流路(69)を通り、冷媒流制御部材(70)の連通管(72)を通って膨張弁(3)の高圧冷媒供給路(57)内に流入し、高圧冷媒供給路(57)を流れる間に断熱膨張させられて減圧される(図11状態D参照)。減圧された気液混相の冷媒は、低温高圧冷媒流入口(42)から第2扁平中空体(12)の低温高圧冷媒流通部(13)内に入って低温高圧冷媒流通部(13)内を流れ、冷媒導入パイプ(44)および冷媒入口(21)を通ってエバポレータ(4)の冷媒入口ヘッダ部(16)内に入る。冷媒入口ヘッダ部(16)内に入った冷媒は、第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)の冷媒流通管部(24)(25)を通り、第1中間ヘッダ部(17)および第2中間ヘッダ部(18)を経て冷媒出口ヘッダ部(19)内に入る。そして、気液混相の冷媒は、第1扁平中空体(10A)(10B)(10C)(10D)の冷媒流通管部(24)(25)を流れる間に、通風間隙を図2および図10に矢印Xで示す方向に流れる空気と熱交換をする。
冷媒出口ヘッダ部(19)内に入った低温低圧の冷媒は、冷媒出口(22)を通って中間熱交換器(5)の第2扁平中空体(12)の低温低圧冷媒流通部(14)内に流入する(図11状態E参照)。そして、低温低圧冷媒流通部(14)内を流れる間に、高温高圧冷媒流通体(15)の高温高圧冷媒流通部(62)内を流れる高温高圧冷媒と熱交換して当該冷媒を冷却するとともに、低温低圧側の冷媒の温度は上昇する(図11状態F参照)。低温低圧冷媒流通部(14)内を流れた冷媒は、低温低圧冷媒流出口(43)から流出し、第1継手(54)の低温低圧冷媒流路(56)を通るとともに、膨張弁(3)の低温冷媒排出路(58)を経て冷媒流制御部材(70)の冷媒導出口(73)を通って圧縮機(1)に送られる。そして、膨張弁(3)の低温冷媒排出路(58)を流れる気液混相の冷媒の温度および圧力が膨張弁(3)の検出部(6)により検出され、膨張弁(3)の絞り開度が、低温冷媒排出路(58)を流れる気液混相の冷媒の温度および圧力に基づいて調整される。
図12は、エバポレータおよび中間熱交換器の中間熱交換器形成用扁平中空体の変形例を示す。
図12において、エバポレータ(80)は、上下方向に間隔をおいて配置された左右方向にのびるアルミニウム製上ヘッダタンク(81)およびアルミニウム製下ヘッダタンク(82)と、両ヘッダタンク(81)(82)間に前後方向に間隔をおいて設けられた前後2列の熱交換管列(83A)(83B)とを備えている。エバポレータ(80)の上下両ヘッダタンク(81)(82)内は、それぞれ仕切部材(84)(85)により左右方向にのびる前後2つの区画(86)(87)(88)(89)に仕切られている。前後両熱交換管列(83A)(83B)は、幅方向を前後方向に向けるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(91)からなり、前側熱交換管列(83A)の熱交換管(91)は上下両ヘッダタンク(81)(82)の前側区画(86)(88)内に通じるように上下両ヘッダタンク(81)(82)にろう付され、後側熱交換管列(83B)の熱交換管(91)は上下両ヘッダタンク(81)(82)の後側区画(87)(89)内に通じるように上下両ヘッダタンク(81)(82)にろう付されている。
下ヘッダタンク(82)の前側区画(88)内は、左右方向の中程よりも右側の位置に配置された第1仕切板(92)により2つのヘッダ部(93)(94)に仕切られている。また、上ヘッダタンク(81)の前側区画(86)内は、左右方向の中程よりも左側の位置に配置された第2仕切板(95)により2つのヘッダ部(96)(97)に仕切られ、同じく後側区画(87)内は、左右方向の中程でかつ第1仕切板(92)と第2仕切板(95)との間の位置に配置された第3仕切板(98)により2つのヘッダ部(99)(101)に仕切られている。そして、下ヘッダタンク(82)の前側区画(88)内の右側のヘッダ部(93)が冷媒入口ヘッダ部(93)、上ヘッダタンク(81)の前側区画(86)内の右側のヘッダ部(96)が第1中間ヘッダ部(96)、下ヘッダタンク(82)の前側区画(88)内の左側のヘッダ部(94)が第2中間ヘッダ部(94)、上ヘッダタンク(81)の前側区画(86)内の左側のヘッダ部(97)が第3中間ヘッダ部(97)、上ヘッダタンク(81)の後側区画(87)内の左側のヘッダ部(99)が第4中間ヘッダ部(99)、下ヘッダタンク(82)の後側区画(89)内の全体が第5中間ヘッダ部(102)、および上ヘッダタンク(81)の後側区画(87)内の右側ヘッダ部(101)が冷媒出口ヘッダ部(101)となっている。冷媒入口ヘッダ部(93)の右端に冷媒入口(103)が形成され、冷媒出口ヘッダ部(102)の右端に冷媒出口(104)が形成されている。なお、上下両ヘッダタンク(81)(82)の前後両区画(86)(87)(88)(89)の左端開口はキャップ(105)により閉鎖されている。また、第3中間ヘッダ部(97)部内と第4中間ヘッダ部(99)内とは、仕切部材(84)に形成された複数の連通穴(106)を介して通じさせられている。
中間熱交換器(5)の中間熱交換器用扁平中空体(110)を形成する左側アルミニウム板(111)は全体に平坦で、上下両端部がエバポレータ(80)の上下両ヘッダタンク(81)(82)の右端にろう付されている。左側アルミニウム板(111)の下端部の前側には、エバポレータ(80)の冷媒入口(103)に通じる冷媒流入口(112)が形成され、同じく上端部の後側にはエバポレータ(80)の冷媒出口(104)に通じる冷媒流出口(113)が形成されている。また、左側アルミニウム板(111)の上端部の前側部分により上ヘッダタンク(81)の前側区画(86)の右端開口が閉鎖され、同じく下端部の後側部分により下ヘッダタンク(82)の後側区画(89)の右端開口が閉鎖されている。中間熱交換器(5)のその他の構成は、上述した中間熱交換器(5)と同様である。
上記実施形態において、低温高圧冷媒流通部(13)と低温低圧冷媒流通部(14)は、第2扁平中空体(12)に一体に設けられているが、これに限定されるものではなく、低温高圧冷媒流通体と低温低圧冷媒流通体とは別個に設けられていてもよい。