JP5197846B2 - 腎疾患重篤度を判定する方法又は装置若しくはその作動方法 - Google Patents

腎疾患重篤度を判定する方法又は装置若しくはその作動方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5197846B2
JP5197846B2 JP2011511478A JP2011511478A JP5197846B2 JP 5197846 B2 JP5197846 B2 JP 5197846B2 JP 2011511478 A JP2011511478 A JP 2011511478A JP 2011511478 A JP2011511478 A JP 2011511478A JP 5197846 B2 JP5197846 B2 JP 5197846B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
abundance
dialysis
marker
blood
severity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011511478A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2010126146A1 (ja
Inventor
紀陽 田仲
雅弘 河野
恵美子 佐藤
功一 藤原
Original Assignee
紀陽 田仲
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 紀陽 田仲 filed Critical 紀陽 田仲
Priority to JP2011511478A priority Critical patent/JP5197846B2/ja
Publication of JPWO2010126146A1 publication Critical patent/JPWO2010126146A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5197846B2 publication Critical patent/JP5197846B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/5308Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for analytes not provided for elsewhere, e.g. nucleic acids, uric acid, worms, mites
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2800/00Detection or diagnosis of diseases
    • G01N2800/34Genitourinary disorders
    • G01N2800/347Renal failures; Glomerular diseases; Tubulointerstitial diseases, e.g. nephritic syndrome, glomerulonephritis; Renovascular diseases, e.g. renal artery occlusion, nephropathy

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • External Artificial Organs (AREA)

Description

本発明は、腎疾患重篤度を判定する方法又は装置若しくはその作動方法に関する。また、本発明は、腎疾患患者に対して使用される透析装置及びその作動方法にも関する。
種々の腎障害によって腎機能が低下した状態を腎不全と呼び、その末期の症状を特に尿毒症と呼ぶことがある。また、尿毒症はこの他にも生体の恒常性維持機構の破綻から生じることも指摘されている。
この尿毒症の原因となる物質は尿毒症物質(uremic toxin;尿毒症性毒素)と呼ばれる。尿毒症物質は腎機能障害が進んで腎不全状態に陥った時に体内に出現し蓄積することが知られている。これら尿毒症物質は、特に尿毒症患者の血漿中において健常者よりも高濃度で存在している。その血漿中濃度は尿毒症の症状の程度に相関しているとされる。
これまでに尿毒症物質として尿素、クレアチニン、副甲状腺ホルモン、水素イオン、及びカリウム等が指摘されている。
これら腎疾患の治療目的で現在透析治療が行われている。透析治療を実施するに際しては、血漿中におけるクレアチニン濃度を指標としてその実施の要否を判断しているのが現状である。
さらに、この透析治療を実施する時間については血漿中の尿素濃度を指標としてその効果を判断することにより決定しているのが現状である。
しかしながら、このようにして行われている透析治療導入の判断、及び透析治療効果の判断には不完全な面があることが長年に渡り指摘されてきた(非特許文献1)。それにもかかわらず、現在に至るまで、適切な判断指標となりうるような尿毒症物質は明らかにされていない。
Vanholder R, DeSmet R, Lesaffer G. Dissociation between dialysis adequacy and Kt/V. Semin Dial 2002; 15: 3-7
本発明は、腎疾患重篤度を判定する方法又は装置若しくはその作動方法を提供することを課題とする。また、本発明は、腎疾患患者に対して使用される透析装置及びその作動方法を提供することも課題とする。
本発明者らは試行錯誤を日夜重ねながら、透析治療を受けている患者(透析患者)の透析前血漿及び透析後血漿、並びに健常者の血漿の三者を互いに綿密に比較し、多大な労力をかけて透析患者にのみ特異的に多く存在する低分子化合物の検索を行った。
この長期間に渡る困難な作業を経て、本発明者らは遂に特定の低分子化合物が透析患者にのみ特異的に多く存在することを突き止めた。さらに本発明者らは、これら特定の低分子化合物の血漿中存在量がそれぞれ透析治療導入の適切な判断、及び透析治療効果の適切な判断における指標となりうることを明らかにし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次の通りである:
項1.腎疾患重篤度を判定する方法であって、
(A)血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する工程;及び
(B)工程(A)において評価されたマーカーのうち少なくとも1種の存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定する工程
を含むことを特徴とする方法。
項2.腎疾患重篤度を判定する装置であって:
(A)ヒトから採取した血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する手段;及び
(B)手段(A)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、少なくとも1種の評価されたマーカーの存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定する手段
を備えることを特徴とする装置。
項3.コリンの前記基準存在量が20〜40μmol/Lであり、O-ブタノイルカルニチンの前記基準存在量が30〜50μmol/Lであり、N1-メチルイノシンの前記基準存在量が0.6〜1.4μmol/Lであり、N2,N2,-ジメチルグアノシンの前記基準存在量が0.2〜0.5μmol/Lであり、N4-アセチルシチジンの前記基準存在量が250〜400 nmol/Lである、項2に記載の装置。
項4.項2に記載の装置の作動方法であって:
(a)ヒトから採取した血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価するように手段(A)を作動する工程;及び
(b)工程(a)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、少なくとも1種の評価されたマーカーの存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定するように手段(B)を作動する工程
からなることを特徴とする作動方法。
項5.コリンの前記基準存在量が20〜40μmol/Lであり、O-ブタノイルカルニチンの前記基準存在量が30〜50μmol/Lであり、N1-メチルイノシンの前記基準存在量が0.6〜1.4μmol/Lであり、N2,N2,-ジメチルグアノシンの前記基準存在量が0.2〜0.5μmol/Lであり、N4-アセチルシチジンの前記基準存在量が250〜400 nmol/Lである、項4に記載の方法。
項6.腎疾患患者に対して透析を行う方法であって:
(I)腎疾患患者に対して透析を行う工程;
(II)当該腎疾患患者から血液由来検体を採取する工程;
(III)工程(II)により採取された血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、及びN2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、馬尿酸、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する工程;
(IV)工程(III)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、評価された全てのマーカーの存在量が基準存在量以下である場合には手段(I)による透析を終了する工程
を含むことを特徴とする方法。
項7.腎疾患患者に対して使用される透析装置であって:
(I)腎疾患患者に対して透析を行う手段;
(II)当該腎疾患患者から血液由来検体を採取する手段;
(III)手段(II)により採取された血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、馬尿酸、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する手段;
(IV)手段(III)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、評価された全てのマーカーの存在量が基準存在量以下である場合には手段(I)による透析を終了する手段
を備えることを特徴とする装置。
項8.コリンの前記基準存在量が20〜40μmol/Lであり、O-ブタノイルカルニチンの前記基準存在量が30〜50μmol/Lであり、N1-メチルイノシンの前記基準存在量が0.6〜1.4μmol/Lであり、N2,N2,-ジメチルグアノシンの前記基準存在量が0.2〜0.5μmol/Lであり、キヌレニンの前記基準存在量が2〜4 μmol/Lであり、フェニルアセチルグルタミンの前記基準存在量が20〜150 nmol/Lであり、馬尿酸の前記基準存在量が24〜100 μmol/Lであり、N4-アセチルシチジンの前記基準存在量が250〜400 nmol/Lである、項7に記載の装置。
項9.項7に記載の透析装置の作動方法であって:
(i)腎疾患患者に対して透析を行うように手段(I)を作動する工程;
(ii)当該腎疾患患者から血液由来検体を採取するように手段(II)を作動する工程;
(iii)工程(ii)により採取された血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、馬尿酸、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価するように手段(III)を作動する工程;
(iv)工程(iii)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、評価された全てのマーカーの存在量が基準存在量以下である場合には工程(i)を終了するように手段(IV)を作動する工程
からなることを特徴とする作動方法。
項10.コリンの前記基準存在量が20〜40μmol/Lであり、O-ブタノイルカルニチンの前記基準存在量が30〜50μmol/Lであり、N1-メチルイノシンの前記基準存在量が0.6〜1.4μmol/Lであり、N2,N2,-ジメチルグアノシンの前記基準存在量が0.2〜0.5μmol/Lであり、キヌレニンの前記基準存在量が2〜4 μmol/Lであり、フェニルアセチルグルタミンの前記基準存在量が20〜150 nmol/Lであり、馬尿酸の前記基準存在量が24〜100 μmol/Lであり、N4-アセチルシチジンの前記基準存在量が250〜400 nmol/Lである、項9に記載の方法。
項11.腎疾患重篤度を判定する方法であって、血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価し、少なくとも1種の評価されたマーカーの存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定することを特徴とする方法。
項12.腎疾患重篤度を判定するキットであって、コリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーを検出するために必要な材料を含むキット。
項13.透析効果を判定するキットであって、コリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、馬尿酸、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーを検出するために必要な材料を含むキット。
本発明によれば、新規なヒト血漿由来マーカーを用いることにより、透析治療導入の判断、及び透析治療効果の判断を従来よりも適切に行うことができる。
特に、本発明によれば、簡便に、低コストで、かつ短時間で透析治療導入の判断、及び透析治療効果の判断を行うことができる。
また、本発明により腎疾患重篤度を判定し、又は腎疾患患者に対して透析を行うことで、多くの腎疾患患者、そしてその診断及び治療等に携わる医療機関の双方が大きなメリットを享受できることが期待される。
患者毎の透析前後のクレアチニン量のグラフである。 透析前後の患者、健常人それぞれのクレアチニン量の平均値のグラフである。 正イオン測定 [M+H]+ で透析患者に多く含まれており透析をすることで有意に減少する18ピークの透析前、透析後、及び健常人の血漿検体に含まれる量を相対面積として比較したグラフである。 負イオン測定 [M-H]- で透析患者に多く含まれており透析をすることで有意に減少する6ピークの透析前、透析後、及び健常人の血漿検体に含まれる量を相対面積として比較したグラフである。 ピークの絞込みの流れを示す図面である。 Aグループの中でも有意水準1%で差が認められたピークを示す図面である。それぞれのピークの相対面積を箱ひげ図で表したグラフである。中心の○は中央値、箱は25%〜75%値、エラーバーは10%〜90%値を示している。Aグループは透析前vs透析後、透析前vs健常人で有意に差が認められ、ばらつきが大きく、透析することで健常人レベルまで減少するピークである。 Aグループの中でも有意水準5%で差が認められたピークを示す図面である。それぞれのピークの相対面積を箱ひげ図で表したグラフである。Aグループは透析前vs透析後、透析前vs健常人で有意に差が認められ、ばらつきが大きく、透析することで健常人レベルまで減少するピークである。 Bグループのピークを示す図面である。それぞれのピークの相対面積を箱ひげ図で表したグラフである。Bグループは透析前vs透析後、透析後vs健常人、透析前vs健常人の全ての群間で有意に差が認められ、ばらつきが大きく、透析しても健常人レベルまで減少しないピークである。 Cグループのピークを示す図面である。それぞれのピークの相対面積を箱ひげ図で表したグラフである。Cグループは透析前vs透析後、透析後vs健常人、透析前vs健常人の全ての群間で有意に差が認められ、ばらつきが小さく、透析しても健常人レベルまで減少しないピークである。
1.腎疾患重篤度を判定する方法
本発明の腎疾患重篤度を判定する方法は、(A)血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する工程;及び(B)工程(A)において評価されたマーカーのうち少なくとも1種の存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定する工程を含むことを特徴とする方法である。
本発明の腎疾患重篤度を判定する方法は、血液由来検体を検査対象とし、その血液由来検体が腎疾患重篤度の高い患者由来のものであるのか否かを判定することができる方法である。
また、本発明の腎疾患重篤度を判定する方法は、患者の腎疾患重篤度を判定するために、患者の血液由来検体を検査対象として検査を行う方法である。
現在透析治療を受けていない患者に対しては、本発明の腎疾患重篤度を判定する方法により判定した重篤度に基づいて透析治療導入の要否を決定してもよい。すなわち、重篤度が高いと判断された場合には、透析治療導入が必要であると判断し、重篤度が低いと判断された場合には、透析治療導入が不要であると判断してもよい。
本発明の腎疾患重篤度を判定する方法は、マーカー存在量評価工程(A)、及び腎疾患重篤度判定工程(B)を含む。以下、各工程に分けて本発明を詳述する。
(A)マーカー存在量評価工程
マーカー存在量評価工程は、ヒトから採取した血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する工程である。
血液由来検体としては、全血、血清、又は血漿を用いることができる。その中では血清及び血漿が好ましい。さらに分離時間を早めることができるという観点、又は評価対象マーカーの分解を防ぐという観点では、血漿がより好ましい。なお、評価対象マーカーの分解を防ぐためにこれらの血液由来検体に対してキレート作用等により抗凝固作用を示す物質を添加してもよい。そのような抗凝固作用を示す物質としてはEDTA(Ethylene Diamine-Tetraacetic Acid)等が挙げられる。また、同じ目的でタンパク質分解酵素阻害作用を示す物質を添加してもよい。そのような抗凝固作用を示す物質としてはアプロチニン等が挙げられる。
また、血液由来検体は採取後にいったん凍結保存等された場合には、必要に応じてあらかじめ前処理工程に供してからマーカーの存在量を評価する手段(A)に供してもよい。前処理工程としては、例えば遠心分離等により不要物を除去する工程が挙げられる。例えば、血液由来検体として血漿を用いる場合は、必要に応じて、遠心分離して沈殿物を除去してから手段(A)に供してもよい。遠心分離の条件としては、例えば、3,000〜10,000 g、5〜10分間が好ましい。例えば、10,000g、10分間等が挙げられる。前処理工程としては、さらに、必要に応じて固相抽出工程に供してもよい。例えば、疎水性吸着剤を用いる工程が挙げられる。この場合、疎水性吸着剤を固相抽出カラムとして固相抽出を行ってもよい。疎水性吸着剤である固相抽出カラムとしては例えば、Sep-Pak Light Cartrides C18カラム(日本ウォーターズ株式会社)が挙げられる。この場合、例えば、90%メタノールを用いて溶出することができる。
コリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する工程は、これらの存在の有無を確認することができる工程、又は定量的に測定することができる工程であればよく限定されない。
評価手段の検出限界をあるマーカーの基準存在量以上となるように調整すれば、この評価手段を用いることによって、検体においてマーカーが基準存在量以上存在しているか否かを評価することができる。この場合、存在の有無を確認する工程としては、例えば、評価手段の検出限界以下であればマーカーが存在しないと評価し、一方、検出限界以上であればマーカーが存在すると評価する工程が挙げられる。
定量的に測定する工程としては、例えば、液体クロマトグラフ−飛行時間型質量分析計(LC-TOF MS)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分光光度計、化学発光計測器等が挙げられる。再現性、又は測定精度という観点ではLC-TOF MSが好ましい。
例えば、評価する工程としてLC-TOF MSを用いる場合、あらかじめ血液由来検体中に複数種の内部標準物質を添加してからLC-TOF MSにて分析を行い、マーカーに対応するm/zのピーク面積を内部標準物質に対応するm/zのピーク面積の平均面積で割った値を相対面積(以下、「m/zピーク相対面積」という。)とし、これを異なる血液由来検体間で比較することにより存在量を評価することが挙げられる。
内部標準物質としては、例えば、benzyloxycarbonyl-L-tyrosyl-L-glutamic acid (Z-Tyr-Glu)、tosyl-L-arginine methyl ester monohydrochloride (Tos-Arg-OMe・HCl)等を用いることができる。
液体クロマトグラフィー(LC)に用いるカラムは、マーカーを解析することができればよく限定されない。逆相カラムであってもよいし、順相カラムであってもよい。逆相カラムが好ましい。充填剤もマーカーを解析することができればよく限定されない。例えば、C18(オクタデシル)が挙げられる。粒子系や長さは適宜設定することができる。
測定誤差を勘案すると、LC-TOF MSによればコリンは正イオン測定 [M+H]+で精密質量(m/z)が104.11±10 mDaと計測される。O-ブタノイルカルニチンは正イオン測定 [M+H]+で精密質量(m/z)が232.14±10 mDaと計測される。N1-メチルイノシンは正イオン測定 [M+H]+で精密質量(m/z)が283.10±10 mDaと計測される。N2,N2,-ジメチルグアノシンは正イオン測定 [M+H]+で保持時間が6.52(min)かつ精密質量(m/z)が312.13±10 mDaと計測される。
より迅速な、又はより簡便な判定が求められる場合は、コリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される1種のマーカーの存在量を評価することが好ましい。より確実な判定が求められる場合は、これらの群より選択される2種以上のマーカーの存在量を評価することが好ましい。求められる確実性の程度に応じて3種のマーカーの存在量を評価してもよいし、4種のマーカーの存在量を評価してもよい。
従来はクレアチニンが透析導入の指標とされているが、男性や筋肉量が多い若者等は元来クレアチニン量が多いとされ、透析導入時期が早くなってしまうという傾向がある。一方、女性や筋肉量が少ない高齢者等は元来クレアチニン量が少ないとされ、透析導入時期を的確に判断しにくい傾向がある。これに対して、コリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンはいずれも従来マーカーとしては用いられてこなかった。したがって、これらをマーカーとして用いることにより、透析導入時期をより適切に設定することができる。
(B)腎疾患重篤度判定工程
腎疾患重篤度判定工程は、(B)工程(A)において評価されたマーカーのうち少なくとも1種の存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定する工程である。
工程(A)がマーカーの存在の有無のみを確認する工程である場合、「マーカーの存在量が基準存在量以上である」ときとは、マーカーが存在していると確認されるときのことを意味する。
これに対して、工程(A)がマーカーの存在量を定量的に評価する工程である場合には、それぞれのマーカーの健常者における存在量と、腎疾患患者における存在量との間の値を基準存在量として用いることができる。健常者における存在量、及び腎疾患患者における存在量としては、それぞれ複数の者から得られた存在量の平均値を用いることが好ましい。健常者における存在量と、腎疾患患者における存在量との間の値のうちどの値を基準存在量として用いるかは、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度によって変動しうる。
評価する手段としてLC-TOF MSを用い、存在量としてm/zピーク相対面積を用いる場合は、少なくとも一人、好ましくは複数の健常者の血液由来検体のm/zピーク相対面積の平均値を基準存在量として用いればよい。
存在量として血漿中濃度を用いる場合は、健常者におけるコリンの存在量は血漿中に10〜15μmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は15〜45μmol/L 程度であるので、例えば、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が低い場合には15〜25μmol/Lの範囲内、より好ましくは15〜20μmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。これに対して、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が高い場合には35〜45μmol/Lの範囲内、より好ましくは40〜45μmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。また、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が上記の中間である場合には20〜40μmol/Lの範囲内、より好ましくは25〜35μmol/Lの範囲内、さらに好ましくは25〜30μmol/Lの範囲内又は30〜35μmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。
健常者におけるO-ブタノイルカルニチンの存在量は血漿中に5〜50μmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は20〜80μmol/L 程度であるので、例えば、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が低い場合には5〜25μmol/Lの範囲内、より好ましくは10〜20μmol/Lの範囲内、さらに好ましくは10〜15μmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。これに対して、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が高い場合には60〜80μmol/Lの範囲内、より好ましくは65〜75μmol/Lの範囲内、さらに好ましくは70〜75μmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。また、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が上記の中間である場合には30〜50μmol/Lの範囲内、より好ましくは35〜45μmol/Lの範囲内、さらに好ましくは40〜45μmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。
健常者におけるN1-メチルイノシンの存在量は血漿中に10〜150 nmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は500〜2,500 nmol/L 程度であるので、例えば、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が低い場合には10〜500 nmol/Lの範囲内、より好ましくは150〜500 nmol/L、さらに好ましくは200〜300 nmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。これに対して、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が高い場合には1,500〜2,500 nmol/Lの範囲内、より好ましくは1,700〜2,300 nmol/Lの範囲内、さらに好ましくは1,900〜2,100 nmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。また、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が上記の中間である場合には600〜1,400 nmol/Lの範囲内、より好ましくは700〜1,300 nmol/Lの範囲内、さらに好ましくは800〜1,200 nmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。
健常者におけるN2,N2,-ジメチルグアノシンの存在量は血漿中に15〜50 nmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は200〜800 nmol/L 程度であるので、例えば、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が低い場合には50〜200 nmol/Lの範囲内、より好ましくは100〜150 nmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。これに対して、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が高い場合には600〜800 nmol/Lの範囲内、より好ましくは700〜800 nmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。また、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が上記の中間である場合には200〜500 nmol/Lの範囲内、より好ましくは300〜400 nmol/Lの範囲内で基準存在量を決定することができる。
健常者におけるN4-アセチルシチジンの存在量は血漿中に150〜250nmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は300〜400 nmol/L 程度であるので、例えば、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が高い場合には150〜250 nmol/Lの範囲内、より好ましくは200〜250 nmol/Lの範囲内とすることができる。これに対して、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が低い場合には300〜400 nmol/Lの範囲内、より好ましくは350〜400 nmol/Lの範囲内とすることができる。また、判定しようとする「重篤度の高さ」の程度が上記の中間である場合には250〜400 nmol/Lの範囲内、より好ましくは250〜300 nmol/Lの範囲内とすることができる。
2.腎疾患重篤度を判定する装置
本発明の腎疾患重篤度を判定する装置は、(A)ヒトから採取した血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する手段;及び(B)手段(A)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、少なくとも1種の評価されたマーカーの存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定する手段を備えることを特徴とする装置である。
本発明の腎疾患重篤度を判定する装置は、マーカー存在量評価手段(A)と、腎疾患重篤度判定手段(B)とを備える。以下、手段ごとに分けて本発明を詳述する。
(A)マーカー存在量評価手段
マーカー存在量評価手段は、ヒトから採取した血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する手段である。
マーカー存在量評価手段は、本発明の腎疾患重篤度を判定する方法において説明したマーカー存在量評価工程を実施する手段である。マーカー存在量評価手段についての説明はこのマーカー存在量評価工程に関する説明と同様であるため省略する。
(B)腎疾患重篤度判定手段
腎疾患重篤度判定手段は、手段(A)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、少なくとも1種の評価されたマーカーの存在量が基準存在量以上である場合には当該血漿試料の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定する手段である。
手段(A)がマーカーの存在の有無のみを確認する手段である場合、基準存在量としては「存在する」という情報を基準存在量とすればよい。
これに対して、工程(A)がマーカーの存在量を定量的に評価する工程である場合には、本発明の腎疾患重篤度を判定する方法の腎疾患重篤度判定工程において説明したのと同様にして決定された基準存在量を用いればよい。
手段(A)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較する手段は、手段(A)により評価されたマーカーの存在量をメモリーに記憶された基準存在量と比較する手段であってもよい。
また、手段(A)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較する手段は、本装置を操作する者が基準存在量と比較することができるようにする手段であってもよい。例えば、手段(A)により評価されたマーカーの存在量を、本装置を操作する者に対して視覚的又は聴覚的に伝達する手段を備えていてもよい。視覚的に伝達する手段としては、マーカーの存在量を表示する表示部が挙げられる。聴覚的に伝達する手段としては、マーカーの存在量を音声で知らせる音声発信部が挙げられる。
腎疾患重篤度判定手段はさらに判定結果を示す手段を備えていてもよい。判定結果を示す手段は限定されないが、判定結果を別に設ける表示部に視覚的に表示する手段であってもよいし、判定結果を聴覚的に示す手段であってもよいし、又は判定結果をさらに外部に伝達する手段であってもよい。
3.腎疾患重篤度を判定する装置の作動方法
本発明の腎疾患重篤度を判定する装置の作動方法は、(a)ヒトから採取した血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価するように手段(A)を作動する工程;及び(b)工程(a)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、少なくとも1種の評価されたマーカーの存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定するように手段(B)を作動する工程からなることを特徴とする作動方法である。
血液由来検体、マーカー、及びマーカーの存在量を評価する工程についての説明は本発明の腎疾患重篤度を判定する装置に関する説明と同様であるため省略する。
4.腎疾患患者に対して使用される透析装置、又は腎疾患患者に対して透析を行う方法
本発明の腎疾患患者に対して使用される透析装置は、(I)腎疾患患者に対して透析を行う手段;(II)当該腎疾患患者から血液由来検体を採取する手段;(III)手段(II)により採取された血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、馬尿酸、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する手段;(IV)手段(III)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、評価された全てのマーカーの存在量が基準存在量以下である場合には手段(I)による透析を終了する手段を備えることを特徴とする装置である。
本発明の腎疾患患者に対して透析を行う方法は、(I)腎疾患患者に対して透析を行う工程;(II)当該腎疾患患者から血液由来検体を採取する工程;(III)工程(II)により採取された血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、及びN2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、馬尿酸、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する工程;(IV)工程(III)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、評価された全てのマーカーの存在量が基準存在量以下である場合には手段(I)による透析を終了する工程を含むことを特徴とする方法である。本発明の腎疾患患者に対して透析を行う方法は、本発明の腎疾患患者に対して使用される透析装置を方法として把握したものである。したがって、本発明の腎疾患患者に対して透析を行う方法は、以下の本発明の腎疾患患者に対して使用される透析装置についての説明に準じて実施することができる。このため、本発明の腎疾患患者に対して透析を行う方法についての説明は省略する。
本発明の腎疾患患者に対して使用される透析装置は、透析手段(I)、血液由来検体採取手段(II)、マーカー存在量評価手段(III)、及び透析終了手段(IV)を備える。以下、手段ごとに分けて本発明を詳述する。
(I)透析手段
透析手段は、腎疾患患者に対して透析を行う手段である。
透析手段は、腎疾患患者に対して透析を行う手段として通常用いられるものであってもよく限定されない。例えば、血液中の老廃物等をダイアライザーによる透析で除去する透析部と、透析部に透析液を供給する輸液部と、透析部で除水された除水液を外部へと排出する排液部とから主に構成される。
例えば、透析部は、一般的な構成の装置であってもよく、腎疾患患者の血管から体外へと吸い出した血液を血液回路中に送液するための血液ポンプ、及び送液された血液中の老廃物等を透析液側へと拡散及び限外ろ過により移行させるダイアライザー等を備えてもよい。この場合における血液の流れについて説明すると、腎疾患患者の血管から体外へと吸い出した血液は血液ポンプの働きによりダイアライザーへと送られ、ダイアライザーを通った血液は再び体内へと戻される。また、この場合における透析液の流れを説明すると、輸液部から送り出される透析液は、まず透析液回路内に通され、ダイアライザー内で除水処理に供された後に排液部に送られ排液される。
(II)血液由来検体採取手段
血液由来検体採取手段は、当該腎疾患患者から血液由来検体を採取する手段である。
血液由来検体採取手段は、透析手段の血液回路において、血液を体外に取り出してからダイアライザーに送液されるまでの区間のいずれかに設けられていてもよいし、透析手段とは別途設けられていてもよい。
血液由来検体採取手段は、一定時間毎に当該腎疾患患者から血液由来検体を採取する手段であってもよい。一定時間としては、限定されないが、例えば0〜240時間が好ましく、0〜120時間がより好ましく、0〜60時間がさらに好ましい。
血液由来検体採取手段は、メモリーに記憶された時間毎に当該腎疾患患者から血液由来検体を採取する手段であってもよい。
血液由来検体採取手段において腎疾患患者から採取する血液由来検体は、透析廃液であってもよい。
(III)マーカー存在量評価手段
マーカー存在量評価手段は、前記血液由来検体採取手段により採取された血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、馬尿酸、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する手段である。
特にN1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンは、クレアチニン等の従来の指標に基づく透析によっては十分に除去できない物質である。このため、これらの存在量を指標として透析を行うことにより、従来よりも治療効果の高い透析方法を提供することができる。
特にN1-メチルイノシン、N4-アセチルシチジン、及びN2,N2,-ジメチルグアノシンは変動係数が小さく、体重や性別、透析歴等の背景によって影響されない成分である。これらの成分は、個人間のばらつきが少ないことから、腎機能の指標となっているクレアチニンの代替に利用できる。
透析は、臨床診断、日常生活困難度、及びクレアチニン量が8mg/dL以上であること等を目安として導入時期が決められる。しかし、クレアチニン量は筋肉量によっても左右されるので、例えば体重30kgの高齢女性のクレアチニン量が1.2 mg/dLであり基準値を上回っていたとしても、実際には腎機能が働いていないという可能性もある。これに対して、患者背景に依存しない成分であれば、絶対的な特定の基準を透析導入の指標として利用することが可能である。したがって、N1-メチルイノシン、N4-アセチルシチジン、及びN2,N2,-ジメチルグアノシンは透析効果を示す指標として用いることができるだけでなく、透析導入する際の腎機能評価の指標としても利用できる。
また、特にキヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、及び馬尿酸は、Kt/Vを指標とした現在の透析治療によって、健常人レベルにまで減少する成分である。これらの成分が透析治療の際に健常人レベルにまで減少していなければ、透析治療が不十分であるという目安になる。
(II)により採取された血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、馬尿酸、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を採取後逐次に評価してもよい。
マーカー存在量評価手段についての説明は本発明の腎疾患重篤度を判定する装置に関する発明と同様であるため省略する。
(IV)透析終了手段
透析終了手段は、前記マーカー存在量評価手段により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、評価された全てのマーカーの存在量が基準存在量以下である場合には透析手段による透析を終了する手段である。
この場合における基準存在量とは、透析患者においてマーカーが透析により除去されているか否かの指標となりうる存在量である。すなわち、評価されたマーカーの存在量が基準存在量以下である場合には、当該マーカーが一定以上透析により除去されており一定の透析効果が達成できていると判断できるので、その段階で透析を終了することが患者負担の低減、及び治療効率の観点から望ましいといえる。
基準存在量として血漿中濃度を用いる場合、健常者におけるコリンの存在量は血漿中に10〜15μmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は15〜45μmol/L 程度であるので、例えば、達成しようとする透析効果の程度が高い場合には15〜25μmol/Lの範囲内、より好ましくは15〜20μmol/Lの範囲内とすることができる。これに対して、達成しようとする透析効果の程度が低い場合には35〜45μmol/Lの範囲内、より好ましくは40〜45μmol/Lの範囲内とすることができる。また、達成しようとする透析効果の程度が上記の中間である場合には20〜40μmol/Lの範囲内、より好ましくは25〜35μmol/Lの範囲内、さらに好ましくは25〜30μmol/Lの範囲内又は30〜35μmol/Lの範囲内とすることができる。
健常者におけるO-ブタノイルカルニチンの存在量は血漿中に5〜50μmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は20〜80μmol/L 程度であるので、例えば、達成しようとする透析効果の程度が高い場合には5〜25μmol/Lの範囲内、より好ましくは10〜20μmol/Lの範囲内、さらに好ましくは10〜15μmol/Lの範囲内とすることができる。これに対して、達成しようとする透析効果の程度が低い場合には60〜80μmol/Lの範囲内、より好ましくは65〜75μmol/Lの範囲内、さらに好ましくは70〜75μmol/Lの範囲内とすることができる。また、達成しようとする透析効果の程度が上記の中間である場合には30〜50μmol/Lの範囲内、より好ましくは35〜45μmol/Lの範囲内、さらに好ましくは40〜45μmol/Lの範囲内とすることができる。
健常者におけるN1-メチルイノシンの存在量は血漿中に10〜150 nmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は500〜2,500 nmol/L 程度であるので、例えば、達成しようとする透析効果の程度が高い場合には10〜500 nmol/Lの範囲内、より好ましくは150〜500 nmol/L、さらに好ましくは200〜300 nmol/Lの範囲内とすることができる。これに対して、達成しようとする透析効果の程度が低い場合には1,500〜2,500 nmol/Lの範囲内、より好ましくは1,700〜2,300 nmol/Lの範囲内、さらに好ましくは1,900〜2,100 nmol/Lの範囲内とすることができる。また、達成しようとする透析効果の程度が上記の中間である場合には600〜1,400 nmol/Lの範囲内、より好ましくは700〜1,300 nmol/Lの範囲内、さらに好ましくは800〜1,200 nmol/Lの範囲内とすることができる。
健常者におけるN2,N2,-ジメチルグアノシンの存在量は血漿中に15〜50 nmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は200〜800 nmol/L 程度であるので、例えば、達成しようとする透析効果の程度が高い場合には50〜200 nmol/Lの範囲内、より好ましくは100〜150 nmol/Lの範囲内とすることができる。これに対して、達成しようとする透析効果の程度が低い場合には600〜800 nmol/Lの範囲内、より好ましくは700〜800 nmol/Lの範囲内とすることができる。また、達成しようとする透析効果の程度が上記の中間である場合には200〜500 nmol/Lの範囲内、より好ましくは300〜400 nmol/Lの範囲内とすることができる。
健常者におけるキヌレニンの存在量は血漿中に1.25〜2.2μmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は2.2〜5.5 μmol/L 程度であるので、例えば、達成しようとする透析効果の程度が高い場合には1.25〜2.2 μmol/Lの範囲内、より好ましくは1.5〜2.2 μmol/L、さらに好ましくは2〜2.5 nmol/Lの範囲内とすることができる。これに対して、達成しようとする透析効果の程度が低い場合には3〜5 μmol/Lの範囲内、より好ましくは4〜5 μmol/Lの範囲内、さらに好ましくは2.5〜4 μmol/Lの範囲内とすることができる。また、達成しようとする透析効果の程度が上記の中間である場合には2〜4 μmol/Lの範囲内、より好ましくは3〜4 μmol/Lの範囲内とすることができる。
健常者におけるフェニルアセチルグルタミンの存在量は血漿中に18 μmol/L 以下であり、腎疾患患者における存在量は20〜460 μmol/L 程度であるので、例えば、達成しようとする透析効果の程度が高い場合には18 μmol/L以下の範囲内、より好ましくは18〜20 μmol/Lの範囲内とすることができる。これに対して、達成しようとする透析効果の程度が低い場合には200〜460 nmol/Lの範囲内、より好ましくは300〜460 nmol/Lの範囲内、さらに好ましくは400〜460 nmol/Lの範囲内とすることができる。また、達成しようとする透析効果の程度が上記の中間である場合には20〜150 nmol/Lの範囲内、より好ましくは50〜100 nmol/Lの範囲内とすることができる。
健常者における馬尿酸の存在量は血漿中に5 μmol/L 以下であり、腎疾患患者における存在量は24〜750 μmol/L 程度であるので、例えば、達成しようとする透析効果の程度が高い場合には5 μmol/L以下の範囲内、より好ましくは5〜15 μmol/L、さらに好ましくは15〜24 μmol/Lの範囲内とすることができる。これに対して、達成しようとする透析効果の程度が低い場合には500〜750 μmol/Lの範囲内、より好ましくは600〜750 μmol/Lの範囲内、さらに好ましくは700〜750 μmol/Lの範囲内とすることができる。また、達成しようとする透析効果の程度が上記の中間である場合には24〜100 μmol/Lの範囲内、より好ましくは50〜80 μmol/Lの範囲内とすることができる。
健常者におけるN4-アセチルシチジンの存在量は血漿中に150〜250nmol/L 程度であり、腎疾患患者における存在量は300〜400 nmol/L 程度であるので、例えば、達成しようとする透析効果の程度が高い場合には150〜250 nmol/Lの範囲内、より好ましくは200〜250 nmol/Lの範囲内とすることができる。これに対して、達成しようとする透析効果の程度が低い場合には300〜400 nmol/Lの範囲内、より好ましくは350〜400 nmol/Lの範囲内とすることができる。また、達成しようとする透析効果の程度が上記の中間である場合には250〜400 nmol/Lの範囲内、より好ましくは250〜300 nmol/Lの範囲内とすることができる。
マーカー存在量評価手段により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較する手段は、マーカー存在量評価手段により評価されたマーカーの存在量をメモリーに記憶された基準存在量と比較する手段であってもよい。
また、マーカー存在量評価手段により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較する手段は、本装置を操作する者が基準存在量と比較することができるようにする手段であってもよい。例えば、マーカー存在量評価手段により評価されたマーカーの存在量を、本装置を操作する者に対して視覚的又は聴覚的に伝達する手段を備えていてもよい。視覚的に伝達する手段としては、マーカーの存在量を表示する表示部が挙げられる。聴覚的に伝達する手段としては、マーカーの存在量を音声で知らせる音声発信部が挙げられる。
具体的に透析を終了させる手段としては、自動的に透析を終了させる手段であってもよいし、あるいは透析装置の操作者に対して透析終了を指示するメッセージを発する手段であってもよい。そのようなメッセージを発する手段としては、例えば、別に設けられた表示部に透析終了を指示するメッセージを視覚的に表示する手段であってもよいし、それを聴覚的に伝える手段であってもよい。
透析終了手段についてのその他の説明は本発明の腎疾患重篤度を判定する装置における腎疾患重篤度判定手段に関する説明と同様であるため省略する。
5.腎疾患患者に対して使用される透析装置の作動方法
本発明の腎疾患患者に対して使用される透析装置の作動方法は、(i)腎疾患患者に対して透析を行うように手段(I)を作動する工程;(ii)当該腎疾患患者から血液由来検体を採取するように手段(II)を作動する工程;(iii)工程(ii)により採取された血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、及びN2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、馬尿酸、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価するように手段(III)を作動する工程;(iv)工程(iii)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、評価された全てのマーカーの存在量が基準存在量以下である場合には工程(i)を終了するように手段(IV)を作動する工程からなることを特徴とする作動方法である。
血液由来検体、及びマーカーについての説明は本発明の腎疾患重篤度を判定する装置に関する説明、及び腎疾患患者に対して使用される透析装置に関する説明と同様であるため省略する。
6.腎疾患重篤度を判定するキット
本発明の腎疾患重篤度を判定するキットは、コリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーを検出するために必要な材料を含むキットである。
コリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーを検出するために必要な材料は、これらマーカーを検出することができればよく限定されない。例えば、これらマーカーと特異的に反応する物質等が挙げられる。そのような物質を血液由来検体に作用させて、反応産物の有無又は濃度を検出することによりマーカーを検出することができる。これらマーカーと特異的に反応する物質としては、例えば、これらマーカーを特異的に代謝する酵素が挙げられる。例えば、酵素として加水分解酵素を用い、この加水分解酵素がマーカーに特異的に作用することにより二酸化炭素(CO2)と水(H2O)が生じて酸素(O2)濃度が減少するような場合には、酸素濃度の減少を例えば酸素電極等を用いて検出することによりマーカー存在量の定量分析が可能となる。
7.透析効果を判定するキット
本発明の透析効果を判定するキットは、コリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、馬尿酸、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーを検出するために必要な材料を含むキットである。
マーカーについての説明は、「腎疾患患者に対して使用される透析装置」においてしたのと同様である。
マーカーを検出するために必要な材料は、腎疾患重篤度を判定するキットにおいて説明したのと同様である。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例にのみ限定されるものではない。
1.ヒト血液由来検体を用いて、腎疾患重篤度又は透析効果の指標となりうるマーカーの探索を行った。
血液由来検体としては、血漿検体を用いた。血漿検体としては、病院にて透析患者から採血後に分離した血漿検体を20検体用いた。比較のため、同透析患者からそれぞれ得られた透析廃液を10検体用いた。また、対照検体として、健常人10人についてそれぞれ同様に血漿検体を得た。
透析患者の情報とIDは表1の通りである。
Figure 0005197846
分析手段としては、LC-TOF MSを用いた。分析は次の通り行った。血漿検体を10,000 gで15分間遠心分離し、沈殿物を除去した。これを固相カラム(Sep-Pak Light CartridgesC18cartridge;日本ウォーターズ株式会社)を用いて固相抽出を次の手順で行い、得られたものをLC-TOF MSに供する測定試料とした。
[固相抽出条件]
手順1.固相カラムを1 mL MetOHでコンディショニングする。
手順2.固相カラムを1 mL超純水で平衡化する。
手順3.血漿検体500 μLを固相カラムにロードする。
手順4.超純水2 mLで洗浄する。
手順5.90% MetOH 300μLで溶出する。
手順6.溶出した試料に内部標準物質としてbenzyloxycarbonyl-L-tyrosyl-L-glutamic acid (Z-Tyr-Glu)、tosyl-L-arginine methyl ester monohydrochloride (Tos-Arg-OMe・HCl)を添加した。
この測定試料をLC-TOF MSに供した。液体クロマトグラフィー(LC)の条件は次の通りとした。
[LC条件]
LC装置:Agilent1100 Series(JEOL)
カラム:Cadenza C18 2×150 mm, 3 mm(Imtakt)
プレカラム:TCI OPTI-GURD Fit ODS(TCI)
移動相A:0.05% ギ酸
移動相B:アセトニトリル
溶離:移動相A中5%から95 %への移動相Bの直線勾配 0〜15 min
移動相A中95%から100%への移動相Bの直線勾配 15〜20 min
移動相Bを100%保持 20〜35 min
流速:0.2 mL/min
測定試料量:5μL
飛行時間型質量分析(TOF MS)の条件は次の通りとした。
[TOF MS条件]
測定範囲:m/z 70〜1,000
オリフィス1電圧:10〜40V、-10〜 (-40) V 掃引
イオンガイド電圧:500〜2,500 V掃引
検出器:2,800 V
測定装置:The Accu TOF JMS-T100LC(JEOL)
透析前後の血漿検体、透析廃液、及び健常人の血漿検体に、内部標準物質として2種類のアミノ酸誘導体を混合して分析を行い、その[M+H]+ (ESI Positive) イオン又は [M-H]-(ESI Negative) イオンのピーク面積を内部標準物質のピーク面積の平均値で割った値を相対面積として比較した。
また、これらのピークについて多重検定Tukey-Kramer法を用いた有意差検定を行った。有意差検定は、それぞれ透析前vs透析後、透析前vs健常人、及び透析後vs健常人で行った。
なお、透析効果の指標として、透析患者の透析前血漿検体(Pre-HD)、透析後血漿検体(Post-HD)、及び健常人血漿検体(Healthy Control)にそれぞれ含まれているクレアチニン量を測定した。その結果を図1及び図2に示す。
その結果、血漿検体中のクレアチニン量は透析前に9.6±3.11 mg/dLであり、透析後に4.67±2.03 mg/dLであった。この結果から、クレアチニン量は透析を行うことによって約50%減少していることが分かった。
透析前の血漿検体からPositiveモードで351ピーク、及びNegativeモードで214ピークをそれぞれピックアップし、それぞれのピークを定量し、相対面積を算出した。HPLC分析の保持時間とMS分析の精密質量(m/z)(質量電荷比)に基づいて「保持時間_質量電荷比(m/z)」(本命名に際して質量電荷比(m/z)は小数点以下第2位までの値とし、かつ小数点を略記する)のようにそれぞれのピークを命名した。これらのピークのうち、透析前の相対面積が0.0005以上のピークである、正イオン測定 [M+H]+ で検出された241ピーク、及び負イオン測定 [M-H]- で検出された209ピークをそれぞれ解析対象とした。
透析患者特有のマーカーを検討するため、これらのピークについて多重検定Tukey-Kramer法による有意差検定を行った。検定はそれぞれ透析前 vs. 透析後、透析前 vs. 健常人、及び透析後 vs. 健常人で行った。この結果を表2に示す。正イオン測定 [M+H]+、及び負イオン測定 [M-H]- の検定結果はそれぞれ、表3〜5及び表6〜8に示す。表中「**」は1%水準で違いがあり(p<0.01)、「*」は5%水準で違いがある(p<0.05)ということをそれぞれ表している。この結果から、透析患者と健常人との間では約25%の成分が有意に(p<0.01)異なっているということが分かった。
Figure 0005197846
Figure 0005197846
Figure 0005197846
Figure 0005197846
Figure 0005197846
Figure 0005197846
Figure 0005197846
さらに健常人と透析前の血漿成分で有意差(P<0.01)のあるピークのうち、透析前患者に多く含まれる成分は正イオン測定 [M+H]+で46ピーク、負イオン測定 [M-H]- で46ピークであった。さらに健常人と有意に差のあるピークのうち、透析患者に多く含まれており透析をすることで有意に減少するピークは正イオン測定 [M+H]+ で18ピーク(2.03_10411、2.26_28612、3.70_22916、3.80_25712、5.43_28315、6.52_31215、6.87_23217、8.29_23113、8.29_49526、8.32_26513、8.32_52928、8.51_18008、8.64_30415、9.24_38924、9.36_52732、9.87_44725、9.91_54136、10.54_30023)、及び負イオン測定 [M-H]- で6ピーク(3.93_19714、5.55_32728、6.57_21117、7.19_41131、8.25_26322、及び8.32_30924)であった。
5.43_28315はN1-メチルイノシンであり、6.52_31215はN2,N2,-ジメチルグアノシンであり、2.03_10411はコリンであり、6.87_23217はO-ブタノイルカルニチンであった。
2.26_28612はN4-アセチルシチジン、8.32_26513及び8.25_26322はフェニルアセチルグルタミン、8.32_52928はフェニルアセチルグルタミン二量体、8.51_18008は馬尿酸であると推定された。
残りのピークはいずれもこれまでに報告されている尿毒性物質のものとは一致しないことが分かった。測定装置の誤差等を考慮すると、3.70_22916は上の条件のLC-TOF MSによる正イオン測定 [M+H]+で保持時間が3.70±0.5(min)かつ精密質量 (m/z)が229.14±10 mDa (mDa:ミリダルトン1 mDa=0.001 amu)である、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、3.80_25712は正イオン測定 [M+H]+で保持時間が3.80±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が257.11±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、8.29_23113は正イオン測定 [M+H]+で保持時間が8.29±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が231.10±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、8.29_49526は正イオン測定 [M+H]+で保持時間が8.29±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が495.21±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、8.64_30415は正イオン測定 [M+H]+で保持時間が8.64±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が304.12±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、9.24_38924は正イオン測定 [M+H]+で保持時間が9.24±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が389.21±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、9.36_52732は正イオン測定 [M+H]+で保持時間が9.36±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が527.28±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、9.87_44725は正イオン測定 [M+H]+で保持時間が9.87±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が447.22±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、9.91_54136は正イオン測定 [M+H]+で保持時間が9.91±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が541.31±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、10.54_30023は正イオン測定 [M+H]+で保持時間が10.54±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が300.21±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、3.93_19714は負イオン測定 [M-H]-で保持時間が3.93±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が197.06±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、5.55_32728は負イオン測定 [M-H]-で保持時間が5.55±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が327.09±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、6.57_21117は負イオン測定 [M-H]-で保持時間が6.57±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が211.08±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、7.19_41131は負イオン測定 [M-H]-で保持時間が7.19±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が411.13±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
同様に、8.32_30924は負イオン測定 [M-H]-で保持時間が8.32±0.5(min)かつ精密質量(m/z)が309. 10±10 mDaである、尿毒性物質としては知られていない物質に由来するピークである。
正イオン測定 [M+H]+ で透析患者に多く含まれており透析をすることで有意に減少する18ピークの透析前、透析後、及び健常人の血漿検体に含まれる量を相対面積として比較した結果、3.80_25712、5.43_28315(N1-メチルイノシン)、及び6.52_31215(N2,N2,-ジメチルグアノシン)の三マーカーは、透析後と健常人でp<0.01で有意に透析患者に多く含まれていることが分かった(図3)。なお、透析後(Post-HD)及び健常人(Healthy Control)において「**」とあるのは、それぞれ透析前(Pre-HD)のものに比べて1%水準で違いがある(p<0.01)ことを示している。「†」とあるのは、透析後(Post-HD)と健常人(Healthy Control)に1%水準で違いがある(p<0.01)ことを示している。
この三マーカーに関しては十分に除去されていないということを示している。他の15ピークは透析後と健常人で有意な差が認められないことから、透析を行うことで健常人レベルまで十分に除去される物質であることを示している。
これらの三マーカーを指標として透析を行うことで、透析時間をより適切に調整することができる。また、これら三マーカーを利用することで、より健常人の血漿成分に近い成分となるまで透析治療を行うことができる。
負イオン測定 [M-H]- で透析患者に多く含まれており透析をすることで有意に減少する6ピークの透析前、透析後、及び健常人の血漿検体に含まれる量を相対面積として比較した結果、いずれも透析後と健常人で有意な差が認められないことから、これらは全て透析を行うことで健常人レベルまで十分に除去される物質であることを示している。
2.表9に示す各ピークを別の飛行時間型質量分析(TOF MS)で分析した。分析は次の条件で行った他は前述したのと同様に行った。
[LC条件]
LC装置:Prominence(Shimadzu)
カラム:Cadenza C18 2×150 mm, 3 mm(Imtakt)
プレカラム:TCI OPTI-GURD Fit ODS(TCI)
移動相A:0.05% ギ酸
移動相B:アセトニトリル
溶離:移動相A中5%から95 %への移動相Bの直線勾配 0〜15 min
移動相A中95%から100%への移動相Bの直線勾配 15〜20 min
移動相Bを100%保持 20〜35 min
流速:0.2 mL/min
測定試料量:5μL
[TOF MS条件]
測定範囲:m/z 100〜1,000
プローブ電圧: 4.5kV
Curved desolvation line:200 oC
ネブライザーガス流速: 1.5 L/min
測定装置:LCMS-IT-TOF (Shimadzu)
結果を表9に示す。なお、斜体の成分に関しては前述の測定時に検出された成分の中に数値が似ているものがあるものの、両者は異なる成分であると考えられる。また、空白は、前述の測定時に検出された成分に対応する成分が検出されなかったことを示している。
Figure 0005197846
PBは血漿、dは透析廃液を試料としており、数字は検体番号を示している。JEOLはThe Accu TOF T100LC、ShimadzuはLCMS-IT-TOFで測定した精密質量を示した。なおJEOLで測定したデータは内部標準物質を二つ使用しているので、それぞれの内部標準物質で補正したデータをTos(342)、Z(444)と示した。
3.先述のものとは別のピークの絞込み方法を用いて新たな解析を行った。
10名の透析患者と16名の健常人について調査した。その情報を表10に示した。透析患者の平均年齢は64.3±13.3歳、健常人の平均年齢は46.7±14.7歳であった。Kt/V、尿素減少率(URR)、血漿クレアチニン濃度、血中尿素窒素(BUN)の平均は、それぞれ1.092±0.169,67±4%、11.66±2.86mg/dL、及び68.2±10.7%であった。生化学検査の結果から、10人の患者に異常値は認められなかった。
Figure 0005197846
図5に、ピークの絞込みの流れを簡単に示した。LC-MS解析ではSN比20以上で、透析前患者の血漿中にESI-positiveで350ピーク、ESI-negativeでは211ピークが存在していた。これらのピークについて分散分析(ANOVA)検定を行い、ANOVA検定で有意に差があるピークについてTukey-Kramer法で統計処理を行った。
表11にTukey-Kramer法による結果を示した。およそ30%の成分が透析前と健常人で異なっていた。このピークのうち、ESI-positiveの76ピークとESI-negativeの92ピークが健常人よりも透析患者に多く存在していた。さらにこれらのピークのうち、ESI-positiveの22ピークとESI-negativeの32ピークが透析を行うことで、有意に減少した成分であった。表12に、Tukey-Kramer法のそれぞれのピークの結果と、ピーク内のばらつき(Coefficient of variance: CV)を示した。**は有意水準1%、*は有意水準5%で群間に差が認められたピークを示す。
Figure 0005197846
Figure 0005197846
マーカー候補のESI-positive22成分、及びESI-negative32成分の透析前後の測定結果を比較した結果より、これらのマーカーを次の3グループに分けることができた。Aグループ:患者個人間でばらつきがあり、透析を行うことで健常人レベルまで減少する。Bグループ:個人間でばらつきがあり、透析を行っても健常人レベルまで減少しない。Cグループ:個人間でばらつきがない。
Aグループは43 peaks(Positive: 14 peaks, Negative: 29 peaks)あった。これらのピークは、透析前vs.健常人、透析前vs.透析後で有意に差が認められ、ピーク内でばらつきが認められた。図6及び7には、Aグループの中でも有意水準1%で差が認められたピークを示した。
Bグループは6 peaks(Positive: 3 peaks, Negative: 3 peaks)(図8)あった。これらのピークは、透析前vs.健常人、透析前vs.透析後、透析後vs.健常人の全ての群間で有意に差が認められ、ピーク内でばらつきが認められた。
Cグループは5 peaks(Positive: 5 peaks)(図9)あった。これらのピークはピーク内のばらつきが小さいため、ある一定のレベルで存在していた。これらのピークは全ての群間で有意差が認められた。
次に、現在、治療マーカーとして汎用されているクレアチニン、BUN、Kt/V、及びURRとの比較を行った。表13に現在の汎用マーカーと今回見出したマーカー候補成分との相関関数を示した。**は有意水準1%、*は有意水準5%で相関関係が認められたピークを示す。No.1(コリン)、11(N2,N2,-ジメチルグアノシン)、18、及び22がクレアチニンと相関を示し、このうちNo.1(コリン)のみが負の相関を示した。特に、No.11(N2,N2,-ジメチルグアノシン)、22はp<0.01でクレアチニンに高い相関を示した。
Figure 0005197846
BUNとの相関については、No.13が負の相関、No.43が正の相関を示したが、それ以外のピークでは相関は認められなかった。
Kt/Vとの相関については、3、5、23及び53(N-α-アセチル-L-アルギニン)が負の相関を示した。
URRとの相関については、No.21、30、及び51が正の相関を示した。
最後に、これらのマーカー候補成分のうち、これまでに報告されている尿毒症物質と一致するかについて検討を行った。精密質量からこれまで報告されている尿毒性物質90成分と一致する物質をHuman Metabolome DatabaseとMass Bankで検索し、プロダクトイオンから尿毒性物質を同定した。その結果、表14に示す通り、11つのピークが9成分と一致した。No.7はm/z 283.0987を示しており、この成分はHMDBからl-メチルイノシン(N1-メチルイノシン)(metabocardHMDB02721)であると暫定的に推測された。m/z 283.0987のプロダクトイオンからm/z 151.0632が得られ、既報値と一致したためl-メチルイノシンと同定した。
No.9はm/z 209.0908を示しており、HMDBからキヌレニン(Kynurenine)(metabocardHMDB00684)と推定した。No.9のプロダクトイオンからm/z 192.0681が得られ、Massbank database (www.massbank.jp)のパターンと一致したためKynurenineと同定した。
No.10はm/z 286.0951を示しており、HMDBからN4-アセチルシチジン(HMDB04824)であると推定した。m/z 286.0951のプロダクトイオンからm/z 154.0608が得られ、既報値と一致することからN4-アセチルシチジンと同定した。
No.11、及び17はHMDBからそれぞれN2,N2,-ジメチルグアノシン(HMDB04824)と馬尿酸(Hippuric acid)(HMDB00714)であると推定した。これらの物質は、標準物質の測定結果と一致したことからそれぞれN2,N2,-ジメチルグアノシン及び馬尿酸と同定した。No.15、16、及び31は、HMDBからフェニルアセチルグルタミン(Phenylacetylglutamine)(HMDB06344)と推定した。しかしながら、この物質のフラグメンテーションパターンはこれまでに報告されていない。同様にNo.32、51、53はそれぞれm/z 212.0028、377.1887,215.1223が得られ、インドキシル硫酸、ペントシジン、N-α-アセチル-L-アルギニンと推定した。
残りの43ピークに関しては、既知の尿毒性物質と一致するものはなかった。
Figure 0005197846
腎障害によって体に蓄積する物質の一つにクレアチニンが知られている。実際にクレアチニンは現在、腎機能の指標として利用されている。これまでにも透析によってクレアチニンレベルは有意に減少することが報告されている。本発明者らは、透析によるクレアチニンの変化を調べた結果、透析することによって透析後にクレアチニンは有意に減少するが、健常人のレベルにまでは減少していないことが分かった。現在、透析はKt/Vを指標として行われているが、この方法ではクレアチニンが十分に除去されていないといえる。
本発明者らが検討したところによれば、上述の通り、Aグループの成分はKt/Vを指標とした現在の透析治療によって、健常人レベルにまで減少するが、BグループとCグループの各成分は、Kt/Vを指標とした現在の透析治療では健常人レベルにまで減少させることができない。
No.9(キヌレニン)、No.15、16、31(フェニルアセチルグルタミン)、及び17(馬尿酸)、No.32(インドキシル硫酸)、No.51(ペントシジン)、No.53(N-α-アセチル-L-アルギニン)はAグループに属するが、Aグループの成分が透析治療の際に健常人レベルにまで減少していなかったら、透析治療が不十分であるという目安になる。
Bグループは、Aグループとは反対に、健常人レベルにまで減少しない成分であるから、透析治療の際に健常人レベルにまで減少していたら、過剰な透析治療であるという判断ができる。
No.7(l-メチルイノシン)、No.10(N4-アセチルシチジン)、及びNo.11(N2,N2,-ジメチルグアノシン)はCグループに属するが、体重や性別、透析歴等の背景によって影響されない成分である。Cグループは、個人間のばらつきが少ないことから、腎機能の指標となっているクレアチニンの代替に利用できる。
結果として、CグループはURRのような透析による減少率を示す指標や、クレアチニンやBUNのような腎機能評価の指標として利用することで透析導入時期の判断も可能となる。またAグループ、Bグループ、Cグループを組み合わせることで、個人に合わせた至適透析量の指標となる。

Claims (7)

  1. 腎疾患重篤度を判定する方法であって、
    (A)血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する工程;及び
    (B)工程(A)において評価されたマーカーのうち少なくとも1種の存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 腎疾患重篤度を判定する装置であって:
    (A)ヒトから採取した血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する手段;及び
    (B)手段(A)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、少なくとも1種の評価されたマーカーの存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定する手段
    を備えることを特徴とする装置。
  3. 請求項2に記載の装置の作動方法であって:
    (a)ヒトから採取した血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価するように手段(A)を作動する工程;及び
    (b)工程(a)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、少なくとも1種の評価されたマーカーの存在量が基準存在量以上である場合には当該血液由来検体の提供者における腎疾患重篤度が高いと判定するように手段(B)を作動する工程
    からなることを特徴とする作動方法。
  4. 腎疾患患者に対して使用される透析装置であって:
    (I)腎疾患患者に対して透析を行う手段;
    (II)当該腎疾患患者から血液由来検体を採取する手段;
    (III)手段(II)により採取された血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価する手段;
    (IV)手段(III)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、評価された全てのマーカーの存在量が基準存在量以下である場合には手段(I)による透析を終了する手段
    を備えることを特徴とする装置。
  5. 請求項に記載の透析装置の作動方法であって:
    (i)腎疾患患者に対して透析を行うように手段(I)を作動する工程;
    (ii)当該腎疾患患者から血液由来検体を採取する手段(II)により採取された血液由来検体におけるコリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの存在量を評価するように手段(III)を作動する工程;
    iii)工程(ii)により評価されたマーカーの存在量を基準存在量と比較し、評価された全てのマーカーの存在量が基準存在量以下である場合には、手段(I)を作動する工程を終了するように手段(IV)を作動する工程
    からなることを特徴とする作動方法。
  6. 腎疾患重篤度を判定するキットであって、コリンO-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーを検出するために必要な材料を含むキット。
  7. 透析効果を判定するキットであって、コリン、O-ブタノイルカルニチン、N1-メチルイノシン、N2,N2,-ジメチルグアノシン、キヌレニン、フェニルアセチルグルタミン、及びN4-アセチルシチジンからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーを検出するために必要な材料を含むキット。
JP2011511478A 2009-04-30 2010-04-30 腎疾患重篤度を判定する方法又は装置若しくはその作動方法 Expired - Fee Related JP5197846B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011511478A JP5197846B2 (ja) 2009-04-30 2010-04-30 腎疾患重篤度を判定する方法又は装置若しくはその作動方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009111652 2009-04-30
JP2009111652 2009-04-30
PCT/JP2010/057713 WO2010126146A1 (ja) 2009-04-30 2010-04-30 腎疾患重篤度を判定する方法又は装置若しくはその作動方法
JP2011511478A JP5197846B2 (ja) 2009-04-30 2010-04-30 腎疾患重篤度を判定する方法又は装置若しくはその作動方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010126146A1 JPWO2010126146A1 (ja) 2012-11-01
JP5197846B2 true JP5197846B2 (ja) 2013-05-15

Family

ID=43032288

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011511478A Expired - Fee Related JP5197846B2 (ja) 2009-04-30 2010-04-30 腎疾患重篤度を判定する方法又は装置若しくはその作動方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5197846B2 (ja)
WO (1) WO2010126146A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190137147A (ko) * 2017-04-18 2019-12-10 고쿠리츠다이가쿠호진 도호쿠다이가쿠 알칼리성화제에 의한 혈액 정화

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA3067107C (en) * 2010-06-03 2022-07-12 Idexx Laboratories, Inc. Markers for renal disease
JP5717128B2 (ja) * 2010-11-24 2015-05-13 国立大学法人東北大学 染色体優性多発性嚢胞腎の判定方法及び予防・治療薬のスクリーニング方法
MX365061B (es) 2013-05-14 2019-05-22 Metabolon Inc Biomarcadores relacionados a la funcion renal y metodos para usar los mismos.
EP3229026A1 (en) * 2016-04-06 2017-10-11 Universite De Bordeaux Biomarkers for the diagnosis of inflammation-related diseases
WO2018118630A1 (en) 2016-12-19 2018-06-28 Metabolon, Inc. Mass spectrometry assay method for detection and quantitation of kidney function metabolites
WO2018193648A1 (ja) * 2017-04-18 2018-10-25 国立大学法人東北大学 アルカリ性化剤による血液浄化
JP2018177752A (ja) * 2017-04-18 2018-11-15 国立大学法人東北大学 アルカリ性化剤による血液浄化

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06296685A (ja) * 1993-03-05 1994-10-25 Gambro Lundia Ab 透析または類似の処置の効果測定方法
JPH0848693A (ja) * 1994-06-03 1996-02-20 Seikagaku Kogyo Co Ltd 新規グリセロ糖リン脂質とその抗体及びマイコプラズマの検出法
JP2000511411A (ja) * 1996-05-01 2000-09-05 ザ ロックフェラー ユニヴァーシティ 抗―肺炎球菌ワクチン用のコリン結合タンパク質
JP2007530016A (ja) * 2004-02-27 2007-11-01 ザ ジェネラル ホスピタル コーポレーション 発毛のための方法および組成物

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BRPI0621006A2 (pt) * 2006-01-20 2011-11-29 Mosaiques Diagnostics & Therap método e marcadores para o diagnóstico de doenças renais
JP2008032395A (ja) * 2006-07-26 2008-02-14 Yokogawa Electric Corp 人工透析患者に対する血液診断方法および透析装置
WO2008065806A1 (fr) * 2006-11-29 2008-06-05 Shimadzu Corporation Spectrométrie de masse d'un échantillon biologique par immunoprécipitation

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06296685A (ja) * 1993-03-05 1994-10-25 Gambro Lundia Ab 透析または類似の処置の効果測定方法
JPH0848693A (ja) * 1994-06-03 1996-02-20 Seikagaku Kogyo Co Ltd 新規グリセロ糖リン脂質とその抗体及びマイコプラズマの検出法
JP2000511411A (ja) * 1996-05-01 2000-09-05 ザ ロックフェラー ユニヴァーシティ 抗―肺炎球菌ワクチン用のコリン結合タンパク質
JP2007530016A (ja) * 2004-02-27 2007-11-01 ザ ジェネラル ホスピタル コーポレーション 発毛のための方法および組成物

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6012041457; 田中好子: '尿毒症性蛋白結合阻害物質に関する研究: フラン化合物ならびに馬尿酸の測定' 東京女子医科大学雑誌 62(8), 1992, 746-747 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190137147A (ko) * 2017-04-18 2019-12-10 고쿠리츠다이가쿠호진 도호쿠다이가쿠 알칼리성화제에 의한 혈액 정화
KR102685723B1 (ko) 2017-04-18 2024-07-16 고쿠리츠다이가쿠호진 도호쿠다이가쿠 시트르산의 의약적으로 허용 가능한 염, 혹은 그 수화물 또는 그들의 혼합물을 포함하는 의약 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2010126146A1 (ja) 2012-11-01
WO2010126146A1 (ja) 2010-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5197846B2 (ja) 腎疾患重篤度を判定する方法又は装置若しくはその作動方法
US20210116467A1 (en) Diabetes-related biomarkers and treatment of diabetes-related conditions
EP2565646B1 (en) Diagnostic marker for kidney diseases and use thereof
WO2018176808A1 (zh) 与重度少弱精子症相关的生物标志物的筛选与应用
CN112630311A (zh) 用于检测情感障碍的代谢标记物和试剂盒及使用方法
JP5348595B2 (ja) 線維筋痛症の検査法
CN111521828A (zh) Rsph9作为少弱精症诊断标志物或治疗靶点的应用
Pinto de Almeida et al. Renal dysfunction in Brazilian lead workers
CN104764796A (zh) 基于MALDI-ToF MS的血液中糖化血红蛋白含量检测方法
JP5832429B2 (ja) 慢性腎臓病の病期を判定する方法又は装置若しくはその作動方法
WO2018117064A1 (ja) うつ状態を呈する疾患を検査する方法
WO2010136059A1 (en) Urinary gm2 activator protein as a marker of acute renal failure or the risk of developing acute renal failure
EP3358347B1 (en) Marker for determining diabetic nephropathy
CN112924608A (zh) 一种用于糖尿病早期诊断的多肽标志物及检测试剂盒和方法
EP1195373B1 (en) Method for separation of 5-hydroxycreatinine
Hellin et al. Very low-molecular-mass fragments of albumin in the plasma of patients with focal segmental glomerulosclerosis
EP2594938B1 (en) Ex-vivo method for the early diagnosis of minimal hepatic encephalopathy by means of the determination of 3-nitrotyrosine in serum
JP7434678B2 (ja) 認知症又はそのリスクの検査方法
WO2024135740A1 (ja) 猫の腎機能障害の検査方法
WO2023079706A1 (ja) 糖尿病性腎症の判定方法
Penescu et al. The applications of mass spectrometry for identifying modern biochemical markers of nephropathies
Kim et al. Proteomics in diabetic nephropathy
송다영 Quantitative Measurement of Biotin by LC-MS/MS in Human Serum and the Effect of Multivitamin and Renal Function on Biotin Concentration
WO2020223646A1 (en) Methods for cancer detection by evaluation of alpha-1-antitrypsin (aat) and chymotrypsin-like elastase in gastrointestinal lavage fluid samples
CN118362740A (zh) 尿液中n-糖基化蛋白组合作为靶标在诊断临床前期和mci期阿尔茨海默病中的应用

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20120802

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120814

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121010

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130205

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160215

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees