以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(本発明の実施形態に係る判定対象となる画像の一例)
本発明の実施形態に係る画像判定装置について説明する前に、まず、本発明の実施形態に係る判定対象となる画像の一例について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る判定対象となる画像の一例を示す説明図である。ここで、図1(a)は、高精細なHD解像度の画像を示している。また、図1(b)は、SD解像度の画像を示しており、図1(c)は、SD解像度の画像をアップコンバートしてサイドパネルが付加された画像(以下、「擬似HD解像度の画像」という。)を示している。
本発明の実施形態に係る画像判定装置は、入力される画像信号に基づいて、画像信号が示す画像が図1(c)のようにサイドパネルが付加された擬似HD解像度の画像であるかを判定することができる。
〔サイドパネルが付加された擬似HD解像度の画像の例〕
ここで、図1(c)に示す擬似HD解像度の画像について、より詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態に係る擬似HD解像度の画像の一例を示す説明図である。
図2に示すように、本発明の実施形態に係る擬似HD解像度の画像は、サイドパネルが付加された2のサイドパネル領域と、サイドパネルが付加されていない領域(以下、「中央領域」という。)に分けることができる。また、以下では、2のサイドパネル領域のうち、画像が表示装置が備える表示画面に表示された場合において、画像をみるユーザからみて向かって左端にサイドパネルが付加される一のサイドパネル領域を「左サイドパネル領域」、また、画像をみるユーザからみて向かって右端にサイドパネルが付加される他のサイドパネル領域を「右サイドパネル領域」とする。
また、本発明の実施形態に係る擬似HD解像度の画像には、付加的な画像(以下、「付加画像」という。)が重畳される場合もある。ここで、付加画像としては、例えば、図2に示される時刻表示や、テロップなどが挙げられるが、上記に限られない。以下では、図2に示すように付加的な画像が重畳された領域を「付加画像領域」という。なお、図2では、付加画像領域が中央領域に重畳された例を示しているが、本発明の実施形態に係る付加画像領域が中央領域に重畳されることに限られないことは、言うまでもない。
本発明の実施形態に係る画像判定装置は、2のサイドパネル領域および中央領域それぞれの領域に対して画像判定を行うことにより、入力される画像信号に基づいて、画像信号が示す画像が図1(c)のようにサイドパネルが付加された擬似HD解像度の画像であるかを判定することができる。
なお、図2では、擬似HD解像度の画像を例として本発明の実施形態に係る2のサイドパネル領域、中央領域、および付加領域を示した。しかしながら、上記各領域は、擬似HD解像度の画像に設定されることに限られず、図1(a)に示すHD解像度の画像にも同様に設定することができる。したがって、本発明の実施形態に係る2のサイドパネル領域は、サイドパネルが付加される可能性のある領域、そして中央領域は、サイドパネルが付加されない領域として定義することができる。以下では、画像信号が示す画像がHD解像度の画像であるか、または擬似HD解像度の画像であるかに関わらず、画像信号が示す画像に2のサイドパネル領域、中央領域、および付加領域が設定可能であるとして説明する。
(第1の実施形態)
次に、本発明の実施形態に係る画像判定装置について説明する。なお、以下では、本発明の実施形態に係る画像判定装置に画像信号が入力されるものとして説明するが、画像判定装置に入力される画像信号は、静止画像を示すものであってもよいし、または、動画像(いわゆる映像)であってもよい。
また、本発明の実施形態に係る画像判定装置に入力される画像信号は、例えば、デジタル放送などで用いられるデジタル信号であってもよいし、上記に限られず、例えば、アナログ放送などで用いられるアナログ信号とすることもできる。なお、本発明の実施形態に係る画像判定装置に入力される画像信号は、例えば、放送局から送信され画像判定装置が受信したものとすることができるが、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画像判定装置に入力される画像信号は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して外部装置から送信され画像判定装置が受信したものであってもよいし、または、画像判定装置が備える記憶部に保持された映像ファイルや画像ファイルを画像判定装置が読み出したものであってもよい。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100を示すブロック図である。図3を参照すると、画像判定装置100は、付加画像領域検出部102と、判定領域設定部104と、第1領域判定部106と、第2領域判定部108と、サイドパネル判定部110とを備える。
また、画像判定装置100は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などで構成され画像判定装置100全体を制御することが可能な制御部(図示せず)や、制御部が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(Read Only Memory;図示せず)、制御部により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(Random Access Memory;図示せず)、画像判定装置100が判定を行う画像などを記憶可能な記憶部(図示せず)、放送局などから送信され画像信号を受信する受信部(図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)などを備えてもよい。画像判定装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により上記各構成要素間を接続することができる。ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、フラッシュメモリ(flash memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)、光磁気ディスク(Magneto Optical Disk)などが挙げられるが、上記に限られない。また、操作部(図示せず)としては、例えば、キーボード(keyboard)やマウス(mouse)などの操作入力デバイスや、ボタン、方向キー、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられるが、上記に限られない。
付加画像領域検出部102は、入力される画像信号から付加画像を検出し、付加画像領域を設定する。ここで、付加画像領域検出部102は、例えば、以下のように付加画像領域を設定することができる。
付加画像領域検出部102は、例えば、付加画像のエッジ部分を抽出するための第1のフィルタと、付加画像の平坦部分を抽出するための第2フィルタを備え、エッジ部分と平坦部分とが入れ子の関係にある領域(または平坦部分がエッジ部分に囲まれている領域)を付加画像として検出することができる。ここで、第1のフィルタは、例えば、遮断周波数(所定の閾値)以上の周波数の画像信号だけを通過させ、遮断周波数より小さな周波数の画像信号を減衰させるハイパス・フィルタ(High-Pass Filter)で構成することができる。また、第2フィルタは、例えば、遮断周波数(所定の閾値)以下の周波数の画像信号だけを通過させ、遮断周波数より大きな周波数の画像信号を減衰させるローパス・フィルタ(Low-Pass Filter)で構成することができる。なお、付加画像領域検出部102における付加画像の検出手段が上記に限られないことは、言うまでもない。
また、付加画像領域検出部102は、検出された付加画像を含む領域を付加画像領域として設定することができる。ここで、付加画像領域検出部102は、例えば、検出された付加画像と同一の領域を付加画像領域として設定してもよいし、または、検出された付加画像を含む矩形の領域を付加画像領域として設定することもできるが、上記に限られない。
判定領域設定部104は、入力される画像信号が示す画像を判定するための判定領域を複数設定する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る判定領域設定部104における判定領域の設定例を示す説明図である。
判定領域設定部104は、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれに少なくとも1以上の判定領域を設定することができる。また、判定領域設定部104は、付加画像領域検出部102が検出し設定する付加画像領域に応じて、付加画像領域と判定領域とが重ならないように判定領域を設定することができる。図4では、左サイドパネル領域に判定領域L1〜L3が設定され、中央領域に判定領域C1〜C5が設定され、そして右サイドパネル領域に判定領域R1〜R3が設定された例を示している。
図4に示すように、判定領域設定部104が左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおいて少なくとも1以上の判定領域を設定することによって、画像判定装置100は、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおいて画像判定を行うことができる。したがって、画像判定装置100は、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおける画像判定結果に応じて、サイドパネルの付加を判定することができる。本発明の実施形態に係る画像判定、およびサイドパネルの付加の判定については、後述する。
ここで、判定領域設定部104は、図4に示すように、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおいて相異なる数の判定領域を設定することができる。さらに、判定領域設定部104は、判定領域それぞれの大きさも任意に設定することができる。なお、判定領域設定部104が、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおいて同一の数の判定領域を設けること、および/または、判定領域それぞれの大きさを同一とすることができることは、言うまでもない。
また、判定領域設定部104は、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおける画像判定をより正確に行うために、上記各領域の端から所定の距離離れた位置に判定領域を設定することもできる。これは、例えば、画像信号が示す画像に付加されうるサイドパネルの大きさ(主に水平方向の幅)が入力される画像信号に応じてばらつく場合があり、当該ばらつきによって、設定された2のサイドパネル領域と、入力される画像信号が示す画像に付加されたサイドパネルとが一致しないことが生じうるからである。ここで、上記所定の距離の情報は、例えば、判定領域設定部104が記憶部を備え、当該記憶部に記憶されてもよい。ここで、判定領域設定部104が備える記憶部としては、例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、上記所定の距離の情報は、例えば、画像判定装置100の記憶部(図示せず)に記憶され、判定領域設定部104が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。
再度、図3を参照して画像判定装置100について説明する。第1領域判定部106は、判定領域設定部104において設定された判定領域それぞれに対して画像判定を行う(第1の画像判定)。ここで、本発明の実施形態に係る画像判定の原理について説明する。
[画像判定の原理]
図5は、本発明の実施形態に係る画像判定の原理を説明するための説明図である。ここで、図5は、図1(a)に示すHD解像度の画像と、図1(c)に示す擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を示すため、横軸に正規化角周波数をとり、縦軸に振幅のパワースペクトルをとって、画像における周波数と振幅との関係を示している。
図5を参照すると、図1(a)に示すHD解像度の画像と、図1(c)に示す擬似HD解像度の画像とは、図5における周波数が低い帯域(以下、「低域の周波数帯域」という。)では、振幅が大きな信号を有し、周波数が高くなる程、信号の振幅は減衰することが分かる。ここで、図5に示すような低域の周波数帯域で振幅が大きく、また、周波数が高くなるに従って振幅が減衰する周波数振幅特性は、自然画像などの一般的な画像で成立する。
ここで、図5に基づいて、HD解像度の画像の信号と、擬似HD解像度の画像の信号とを比較すると、低域の周波数帯域では、同様に信号が分布しているが、振幅の減衰率が異なることが分かる。すなわち、図5における低域の周波数帯域より周波数が高い帯域(以下、「中域の周波数帯域」という。)では、図5の領域Aに存在する信号は主にHD解像度の画像の信号であり、擬似HD解像度の画像の信号は極少量しか存在しない。したがって、振幅の減衰率は、HD解像度の画像よりも、擬似HD解像度の画像の方が大きくなる。
また、図5における中域の周波数帯域よりもさらに周波数が高い領域(以下、「高域の周波数帯域」という。)では、擬似HD解像度の画像の信号はほとんど分布せず、HD解像度の画像の信号は分布するという差異が認められる。なお、上述した図5に示す周波数振幅特性は、図1(a)と図1(c)との画像に限られず、ほぼ全ての画像が同様の傾向を示す。
したがって、画像判定装置100では、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とにおける、振幅の減衰率の違いに着目し、数式1に示す指標(以下、「HD度」という。)を画像の判定に用いる。
HD度=(|周波数帯域2の振幅に相当する特性値|の平均値)/(|周波数帯域1の振幅に相当する特性値|の平均値)
・・・(数式1)
数式1における周波数帯域1の下限周波数は、周波数帯域2の下限周波数よりも低い周波数に設定される。したがって、図5に示す周波数振幅特性より、HD度は、0≦HD度<1の値をとる。ここで、HD度が0(零)となるのは、周波数帯域2において、振幅に相当する特性値(以下、「振幅特性値」という。)が存在しない場合である。
ここで、振幅特性値は、振幅そのものとしてもよいし、振幅のパワースペクトルとすることもできる。なお、振幅特性値は、上記に限られないことは、言うまでもない。また、数式1に示す平均値は、相加平均で求めることができるが、係る算出方法に限られず、例えば、相乗平均としてもよいし、所定の重み付けをした重み付け平均とすることもできる。
なお、数式1では、HD度をより正確に求めるために、“振幅特性値の絶対値”の平均値に基づいてHD度を算出しているが、係る算出方法に限られず、“絶対値算出前の振幅特性値”に基づいてHD度を算出することができることは、言うまでもない。
HD度は、周波数帯域1における振幅特性値の平均値と、周波数帯域2における振幅特性値の平均値との相対値であるので、図2に示される上述したHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との減衰率の違いを表すことができる。したがって、判定する画像のHD度が0(零)に近い値をとればとる程、判定する画像は、擬似HD解像度の画像である確率は非常に高くなり、また、判定する画像のHD度が1に近い値をとればとる程、判定する画像は、HD解像度の画像であるといえる。
本発明の実施形態に係る画像判定装置100は、図5に示すようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。
[第1領域判定部の構成例]
次に、上述した画像判定の原理を用いた第1領域判定部106の構成を具体的に説明する。図6は、本発明の第1の実施形態に係る第1領域判定部106の構成例を示すブロック図である。
図6を参照すると、第1領域判定部106は、周波数帯域信号検出部150と、ノイズ除去部152と、平均値算出部154と、相対値算出部156と、画像判定部158とを備える。
周波数帯域信号検出部150は、第1周波数帯域信号検出部160と、第2周波数帯域信号検出部162とを備え、入力される画像信号のフィルタリングを行う。第1周波数帯域信号検出部160と第2周波数帯域信号検出部162とは、例えば、画素ごとに処理を行い、特定の周波数帯域の画像信号のみを通過させ、その他の帯域の画像信号を減衰させるバンドパス・フィルタ(Band-Pass Filter;以下、「BPF」という。)で構成することができる。
第1周波数帯域信号検出部160は、例えば、SD解像度の画像からアップコンバートされた画像におけるナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限より低域の周波数帯域を通過させ、かつ、DC(Direct Current)成分を通過させない低域のBPFで構成される。
また、第2周波数帯域信号検出部162は、例えば、SD解像度の画像からアップコンバートされた画像におけるナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限の近傍を通過させる中域のBPFで構成される。ここで、第1周波数帯域信号検出部160を構成する低域のBPFと、第2周波数帯域信号検出部162を構成する中域のBPFとは、周波数帯域が一部重なっていても構わない。
また、SD解像度の画像をHD解像度の画像へアップコンバートする方式としては、サイドパネル方式に限られず、例えば、トップ&ボトムクロップ方式、ストレッチ方式などが挙げられる。そして、SD解像度の画像からアップコンバートされた画像におけるナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限は、アップコンバートする方式によって異なる。すなわち、図5に示すように、HD解像度、および擬似HD解像度における正規化したナイキスト周波数がa(a=π)である場合、トップ&ボトムクロップ方式、および、ストレッチ方式でアップコンバートされた画像のナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限bは、b=(3/8)×aであり、サイドパネル方式でアップコンバートされた画像のナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限cは、c=(4/9)×aである。
したがって、第1周波数帯域信号検出部160と第2周波数帯域信号検出部162とは、例えば、第1周波数帯域信号検出部160をナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限bを基準に設定し、第2周波数帯域信号検出部162をナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限cを基準に設定することができる。なお、第1周波数帯域信号検出部160と第2周波数帯域信号検出部162とは、上記に限られず、第1周波数帯域信号検出部160と第2周波数帯域信号検出部162との双方を、ナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限b、または上限cを基準に設定してもよい。
また、第1周波数帯域信号検出部160と第2周波数帯域信号検出部162とを構成するBPFは、検出能力を高めるために、サイドローブを低減する必要がある。したがって、第1の実施形態に係るBPFは、例えば、Sinc関数にハミング窓関数(Hamming window function)を乗じた関数を用いてフィルタ係数値を設定し、当該フィルタ係数値に相当するようにタップの数を設定してBPFを構成する。
上記構成をとることにより、第1の実施形態に係るBPFは、離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform)を用いるよりも、サイドローブを低減し、かつ、メインローブを短形波により近づけることができる。なお、フィルタ係数値を設定するために用いる窓関数は、ハミング窓関数に限られず、ハニング窓関数(Hanning window function)やガウス窓関数(Gaussian window function)などを用いることができることは、言うまでもない。また、第1の実施形態に係るBPFは、上記構成に限られず、デジタルフィルタで構成することもできる。
なお、第1周波数帯域信号検出部160と第2周波数帯域信号検出部162とは、ハイパス・フィルタで構成することもできる。また、第1周波数帯域信号検出部160と第2周波数帯域信号検出部162とを、ローパス・フィルタで構成することもできる。ただし、ローパス・フィルタを用いる場合、周波数が0(零)の信号に相当する平均輝度の影響を受け、平均輝度によって、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との判定が正確に行えない場合がある。
したがって、周波数帯域信号検出部150は、周波数が0(零)の画像信号を通過させないフィルタが好ましく、BPFに限られず、任意のフィルタで構成することができる。
ノイズ除去部152は、第1ノイズ除去部164と、第2ノイズ除去部166とを備え、周波数帯域信号検出部150から出力される画像信号のノイズの除去を行うことができる。第1ノイズ除去部164は、第1周波数帯域信号検出部160が画素ごとにフィルタリングした画像信号のノイズを除去し、画素ごとに振幅特性値を出力する。また、第2ノイズ除去部166は、第2周波数帯域信号検出部162が画素ごとにフィルタリングした画像信号のノイズを除去する。
ここで、ノイズ除去部152におけるノイズの除去は、例えば、周波数帯域信号検出部150が通過させる周波数帯域ごとに、ノイズとみなす振幅特性値の閾値を予め設定することにより行うことができる。
平均値算出部154は、第1平均値算出部168と、第2平均値算出部170とを備え、ノイズ除去部152から出力される振幅特性値の平均値を算出することができる。第1平均値算出部168には、第1ノイズ除去部164によりノイズが除去された画素ごとの振幅特性値が入力され、第1平均値算出部168は、振幅特性値の絶対値の平均値を算出する。また、第2平均値算出部170には、第2ノイズ除去部166によりノイズが除去された画素ごとの振幅特性値が入力され、第2平均値算出部170は、振幅特性値の絶対値の平均値を算出する。
ここで、第1平均値算出部168と第2平均値算出部170とにおける平均値は、例えば、相加平均で求めることができる。なお、平均値算出部154における平均値の算出方法は、相加平均に限られず、例えば、相乗平均や重み付け平均など、様々な方法で算出できることは、言うまでもない。
相対値算出部156は、平均値算出部154の出力、すなわち、第1平均値算出部168と第2平均値算出部170とからそれぞれ出力される、振幅特性値の絶対値の平均値を用いて相対値を算出する。ここで、相対値算出部156が算出する相対値は、数式1に示すHD度に相当する。したがって、相対値算出部156における相対値の算出は、数式1に従い、例えば、下記に示す数式2で求めることができる。
HD度=相対値算出部156が算出する相対値
=(第2平均算出部170が算出した平均値)/(第1平均算出部168が算出した平均値)
・・・(数式2)
なお、相対値算出部156が算出する相対値、すなわちHD度の算出方法は、数式2に限られず、例えば、対数(常用対数)を用いて下記の数式3で求めることもできる。
HD度=相対値算出部156が算出する相対値
=log(第2平均算出部170が算出した平均値)−log(第1平均算出部168が算出した平均値)
・・・(数式3)
また、相対値算出部156は、例えば、判定する領域が全て「黒」の単一信号レベルであるとき、すなわち、当該領域における画像信号成分がないときには、数式2または数式3により相対値が算出できない場合がある。上記の場合には、相対値算出部156は、例えば、「判定不能」を示す例外値を出力することができる(例外処理)。なお、相対値算出部156における例外処理は、上記に限られず、例えば、相対値算出部156が予め規定された相対値を出力してもよい。ここで、上記予め規定された相対値は、例えば、第1領域判定部106が記憶部を備え、当該記憶部に記憶されてもよい。ここで、第1領域判定部106が備える記憶部としては、例えば、EEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。
画像判定部158は、相対値算出部156が算出した相対値、すなわち、HD度を用いて画像の判定を行う。ここで、判定される画像は、上述したように、相対値算出部156が算出したHD度が0(零)に近い値をとればとる程、擬似HD解像度の画像である確率は非常に高くなる。また、判定される画像は、相対値算出部156が算出したHD度が1に近い値をとればとる程、HD解像度の画像である確率が非常に高い。したがって、画像判定部158は、予め設けられた閾値に基づいて、HD度が閾値以上であれば、画像をHD解像度の画像であると判定し、また、HD度が閾値未満であれば、画像を擬似HD解像度の画像であると判定することができる。
なお、画像判定部158における画像の判定は、上記に限られず、HD度の値そのものを、HD解像度の画像である確率値として捉え、HD解像度の画像である確からしさを判定することができることは、言うまでもない。
第1領域判定部106は、例えば、図6に示す構成により、図5に示すようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。
〔第1領域判定部の第1の変形例〕
本発明の実施形態に係る第1領域判定部は、例えば、図6に示す構成により画像の判定を行うことができる。しかしながら、本発明の実施形態に係る第1領域判定部は、図6に示す構成に限られない。
例えば、本発明の実施形態に係る第1領域判定部は、数式1に示すHD度(相対値)の信頼度をより高めるために、例えば、図6に示す構成に加えてさらに標本数信頼度設定部と、平均値信頼度設定部と、相対値信頼度設定部とを備えることができる。
標本数信頼度設定部は、例えば、ノイズ除去部がノイズを除去した画像信号における振幅特性値の標本数に基づく第1信頼度を設定することができる。平均値信頼度設定部は、平均値算出部が算出した平均値に基づく第2信頼度を設定することができる。ここで、第1信頼度および第2信頼度それぞれは、例えば、閾値処理により“0”(信頼度が低い)または“1”(信頼度が高い)という2値を設定することができるが、上記に限られない。
相対値信頼度設定部は、例えば、第1信頼度および第2信頼度をAND演算することにより、相対値に対する第3信頼度を設定することができる。
第1の変形例に係る画像判定部は、第3信頼度に基づいて、例えば、第3信頼度が高い場合には画像の判定を行い、また、第3信頼度が低い場合には、「判定を行わない」あるいは「判定不能」という判定結果を出力することができる。
第1の変形例に係る第1領域判定部は、上記構成であっても、図5に示すようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。
また、第1の変形例に係る第1領域判定部は、(1)振幅特性値の標本数、(2)振幅特性値の平均値の値、という数式1に示すHD度(相対値)の信頼度を低下させる要因に基づいて設定される信頼度(第3信頼度)を用いて画像の判定を行うことができる。したがって、第1の変形例に係る第1領域判定部は、画像の判定における誤判定を低減することができる。
〔第1領域判定部の第2の変形例〕
図6に示す第1領域判定部106および第1の変形例に係る第1領域判定部は、図5に示すようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用して画像の判定を行う構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る第1領域判定部は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る第1領域判定部は、ハイパス・フィルタを備え、ハイパス・フィルタを通過した画像信号の積算値に応じて画像の判定を行うこともできる。
再度、図3を参照して画像判定装置100について説明する。第2領域判定部108は、第1領域判定部106が各判定領域に対して行った画像判定結果に基づいて、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおける画像の判定を行う(第2の画像判定)。
第2領域判定部108は、例えば、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおいて、各判定領域の判定結果の集計を行い、HD解像度の画像領域であると判定された判定領域の数が所定の閾値以上の場合に「HD」領域であると判定することができる。ここで、所定の閾値の情報は、例えば、第2領域判定部108が記憶部を備え、当該記憶部に記憶されてもよい。第2領域判定部108が備える記憶部としては、例えば、EEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、上記所定の閾値の情報は、例えば、画像判定装置100の記憶部(図示せず)に記憶され、判定領域設定部104が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。また、上記所定の閾値の情報は、例えば、予め規定された固定の値であってもよいし、または、ユーザ入力に応じて適宜設定されてもよい。
また、第2領域判定部108は、例えば、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおいて、集計された判定結果の総数が多い結果を用いて画像を判定することもできる。
なお、第2領域判定部108における集計は、例えば、判定領域の位置や大きさに応じた重み付けがなされた重み付け集計であってもよい。
第2領域判定部108は、例えば、上述した方法によって、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおける画像の判定を行うことができる。
サイドパネル判定部110は、第2領域判定部108が判定した左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおける判定結果に基づいて、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であるか否かを判定する。図7は、本発明の第1の実施形態に係る高精細のサイドパネルと判定する基準の一例を示す説明図である。
サイドパネル判定部110は、図7に示すように、例えば、2のサイドパネル領域の双方が「HD」領域であると判定され、また、中央領域が「擬似HD」領域であると判定された場合に、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であると判定することができる。
また、サイドパネル判定部110は、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおける画像の判定結果が、図7に示す以外の場合には、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)ではないと判定することができる。
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100は、画像の判定を行う判定領域を複数設定(より厳密には、2のサイドパネル領域および中央領域においてそれぞれ1以上の判定領域を設定)する。そして、画像判定装置100は、判定領域それぞれに対して、図5に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる(第1の画像判定)。また、画像判定装置100は、判定領域それぞれにおける画像判定結果に基づいて、2のサイドパネル領域および中央領域それぞれにおける画像の判定を行い(第2の画像判定)、当該画像判定結果に基づいて入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であるか否かを判定することができる。
したがって、画像判定装置100は、サイドパネルの付加を判定する従来の技術を用いた画像判定装置(従来の画像判定装置)のように、ハードウェアリソースを過度に必要とせず、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
また、画像判定装置100は、サイドパネル領域にテクスチャが存在する場合、あるいは画像信号がMPEG符号化情報を有さない信号であった場合であっても、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
(第2の実施形態)
上記では、第1の実施形態として、例えば、図7に示すような2のサイドパネル領域の双方が「HD」領域であると判定され、また、中央領域が「擬似HD」領域であると判定された場合に、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であると判定するに係る画像判定装置について示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る画像判定装置における判定基準は、上記に限られない。そこで、次に、第1の実施形態に係る判定基準を拡張した一の判定基準を有する第2の実施形態に係る画像判定装置について説明する。
[第2の実施形態に係る画像判定装置が判定対象とする画像の例]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置が判定対象とする画像の例を示す説明図である。
画像信号が示す画像に付加される一のサイドパネル領域が、例えば、図8(a)に示すように全て「黒」の単一信号レベルであるとき、すなわち、当該領域における画像信号成分がないときには、本発明の実施形態に係る画像処理装置は、当該一のサイドパネル領域(図8(a)の右サイドパネル領域)の判定を行うことができない場合がある(図8(b))。これは、本発明の実施形態に係る画像処理装置が、図5に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用して画像の判定を行っているためである。
ここで、第1の実施形態に係る画像判定装置100は、例えば図8(b)に示すように、一のサイドパネル領域が「HD」領域であると判定され、また、中央領域が「擬似HD」領域と判定され、そして、他のサイドパネル領域が「判定不能」である場合には、上述したように高解像度のサイドパネルが付加された画像であると判定しない。
そこで、第2の実施形態に係る画像判定装置では、サイドパネル領域が単一信号レベルであるかを第1の実施形態に係る画像判定装置100の判定基準にさらに加えることにより、高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行う。
[第2の実施形態に係る画像判定装置200の構成例]
図9は、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200を示す説明図である。
図9を参照すると、第2の実施形態に係る画像判定装置200は、第1の実施形態に係る画像判定装置100の構成と基本的に同様の構成を有しているが、画像判定装置100と比較すると、単一信号レベル領域判定部202をさらに備え、またサイドパネル判定部204における判定基準が異なる。
また、画像判定装置200は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、例えば、MPUなどで構成される制御部(図示せず)や、ROM(図示せず)、RAM(図示せず)、記憶部(図示せず)、受信部(図示せず)、操作部(図示せず)などを備えてもよい。
画像判定装置200が備える付加画像領域検出部102、判定領域設定部104、第1領域判定部106、および第2領域判定部108は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の機能を有している。したがって、画像判定装置200は、図5に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおいて画像の判定を行うことができる。
単一信号レベル領域判定部202は、付加画像領域検出部102が検出し設定した付加画像領域が除外された領域を判定する領域とすることができ、判定する領域がある特定の信号レベルの領域であるか否かを判定することができる。ここで、単一信号レベル領域判定部202が判定する領域は、例えば、第2領域判定部108が判定する領域、すなわち、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域とすることができる。なお、図9では、単一信号レベル領域判定部202に付加画像領域検出部102の検出結果が入力される構成を示しているが、第2の実施形態に係る画像判定装置の構成は、上記に限られない。例えば、第2の実施形態に係る画像判定装置は、単一信号レベル領域判定部202に付加画像領域検出部102の検出結果が入力されない構成とすることもできる。
また、単一信号レベル領域判定部202は、例えば、左サイドパネル領域、中央領域、右サイドパネル領域それぞれにおいて、画像信号の最大レベルの信号が予め設定された第1閾値よりも低く、かつ、画像信号の最小レベルの信号が第2閾値よりも高い場合に単一信号レベルの領域であると判定することができる。ここで、上記第1閾値および上記第2閾値としては、例えば、以下の条件を満たす値を設定することができる。
・第1閾値 > 第2閾値
・第1閾値 ≒ 第2閾値
なお、上記第1閾値および上記第2閾値の情報は、例えば、単一信号レベル領域判定部202が記憶部を備え、当該記憶部に記憶されてもよい。ここで、単一信号レベル領域判定部202が備える記憶部としては、例えば、EEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。また、上記第1閾値および上記第2閾値の情報は、例えば、画像判定装置200の記憶部(図示せず)に記憶され、単一信号レベル領域判定部202が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。さらに、上記第1閾値および上記第2閾値は、例えば、予め規定された固定の値であってもよいし、または、ユーザ入力に応じて適宜設定されてもよい。
また、単一信号レベル領域判定部202における単一信号レベルの領域の判定処理は、上記に限られない。例えば、単一信号レベル領域判定部202は、「単一信号レベルの領域では、隣接画素間の信号の差分値はどの隣接画素間においても0に近い値を示すこと」を利用して単一信号レベルの領域を判定することもできる。上記の場合、単一信号レベル領域判定部202は、例えば、隣接する画素間の画素信号の差分値を元にヒストグラムを構成し、所定の閾値(第1の閾値)以上の値を有する画素差分値の総数が所定の閾値(第2の閾値)より小さい場合(すなわち、所定の閾値(第1の閾値)以上の値を有する画素差分値の頻度が少ない場合)に、単一信号レベルの領域であると判定することもできる。
サイドパネル判定部204は、第2領域判定部108の判定結果と、単一信号レベル領域判定部202の判定結果に基づいて、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であるか否かを判定する。図10は、本発明の第2の実施形態に係る高精細のサイドパネルと判定する基準の一例を示す説明図である。
ここで、サイドパネル判定部204は、例えば、以下の(A)、(B)の判定基準によって、以下の場合に入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であると判定することができる。
(A)第1の実施形態と同様の判定基準による判定
2のサイドパネル領域の双方が「HD」領域であると判定され、また、中央領域が「擬似HD」領域であると判定された場合(図7の場合)
(B)第2の実施形態の判定基準による判定
一のサイドパネル領域が「HD」領域であると判定され、また、中央領域が「擬似HD」領域であると判定され、他のサイドパネル領域が「単一信号レベル」領域であると判定された場合(図10の場合)
また、サイドパネル判定部204は、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおける画像の判定結果と、「単一信号レベル」領域の判定結果とが、上記(A)、(B)以外の場合には、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)ではないと判定することができる。
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、画像の判定を行う判定領域を複数設定(より厳密には、2のサイドパネル領域および中央領域においてそれぞれ1以上の判定領域を設定)する。そして、画像判定装置200は、判定領域それぞれに対して、図5に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。また、画像判定装置200は、(1)判定領域それぞれにおける画像判定結果に基づく2のサイドパネル領域および中央領域それぞれにおける画像の判定結果、および(2)2のサイドパネル領域および中央領域それぞれに対する単一信号レベルの判定結果、に基づいて、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であるか否かを判定することができる。
したがって、画像判定装置200は、サイドパネルの付加を判定する従来の技術を用いた画像判定装置(従来の画像判定装置)のように、ハードウェアリソースを過度に必要とせず、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
また、画像判定装置200は、従来の画像判定装置が判定を行うことができないサイドパネル領域の信号レベルが高いレベルの信号である場合や、サイドパネル領域にテクスチャが存在する場合、あるいは画像信号がMPEG符号化情報を有さない信号であった場合であっても、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
(第3の実施形態)
上記では、第1の実施形態に係る判定基準を拡張した判定基準を有する画像判定装置として、第2の実施形態に係る画像判定装置200を挙げて説明した。しかしながら、本発明の実施形態に係る画像判定装置における判定基準は、第1、第2の実施形態に係る判定基準に限られない。そこで、次に、第1の実施形態に係る判定基準を拡張した他の判定基準を有する第3の実施形態に係る画像判定装置について説明する。
図11は、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300を示す説明図である。
図11を参照すると、第3の実施形態に係る画像判定装置300は、第1の実施形態に係る画像判定装置100の構成と基本的に同様の構成を有しているが、画像判定装置100と比較すると、サイドパネル境界検出部302をさらに備え、またサイドパネル判定部304における判定基準が異なる。
また、画像判定装置300は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、例えば、MPUなどで構成される制御部(図示せず)や、ROM(図示せず)、RAM(図示せず)、記憶部(図示せず)、受信部(図示せず)、操作部(図示せず)などを備えてもよい。
画像判定装置300が備える付加画像領域検出部102、判定領域設定部104、第1領域判定部106、および第2領域判定部108は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の機能を有している。したがって、画像判定装置300は、図5に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおいて画像の判定を行うことができる。
サイドパネル境界検出部302は、サイドパネル領域と中央領域との間の境界(以下、「サイドパネル境界」という。)、すなわち、左サイドパネル領域と中央領域との間の境界、および右サイドパネル領域と中央領域との間のサイドパネル境界を検出することができる。また、サイドパネル境界検出部302は、付加画像領域検出部102が検出し設定した付加画像領域が除外された領域を、サイドパネル境界を検出する領域とすることができる。なお、図11では、サイドパネル境界検出部302に付加画像領域検出部102の検出結果が入力される構成を示しているが、第3の実施形態に係る画像判定装置の構成は、上記に限られない。例えば、第3の実施形態に係る画像判定装置は、サイドパネル境界検出部302に付加画像領域検出部102の検出結果が入力されない構成とすることもできる。
ここで、サイドパネル境界検出部302は、例えば、サイドパネル境界が検出される可能性がある領域(規定の領域)において、水平方向のハイパス・フィルタの出力の絶対値を垂直方向に積算し、当該積算値に基づく閾値処理によりサイドパネル境界を検出することができる。上記閾値処理は、例えば、上記積算値と予め設定されたサイドパネル基準値との間の誤差が所定の閾値を超えるか否かでサイドパネルを検出する処理とすることができるが、上記に限られない。なお、サイドパネル境界検出部302におけるサイドパネル境界の検出方法は、上記に限られないことは、言うまでもない。
なお、上記サイドパネル基準値および上記所定の閾値の情報は、例えば、サイドパネル境界検出部302が記憶部を備え、当該記憶部に記憶されてもよい。ここで、サイドパネル境界検出部302が備える記憶部としては、例えば、EEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。また、上記サイドパネル基準値および上記所定の閾値の情報は、例えば、画像判定装置300の記憶部(図示せず)に記憶され、サイドパネル境界検出部302が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。さらに、記サイドパネル基準値および上記所定の閾値の情報は、例えば、予め規定された固定の値であってもよいし、または、ユーザ入力に応じて適宜設定されてもよい。
サイドパネル判定部304は、第2領域判定部108の判定結果と、サイドパネル境界検出部302の判定結果に基づいて、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であるか否かを判定する。図12は、本発明の第3の実施形態に係る高精細のサイドパネルと判定する基準の一例を示す説明図である。
ここで、サイドパネル判定部304は、例えば、以下の(a)、(b)の判定基準によって、以下の場合に入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であると判定することができる。
(a)第1の実施形態と同様の判定基準による判定
2のサイドパネル領域の双方が「HD」領域であると判定され、また、中央領域が「擬似HD」領域であると判定された場合(図7の場合)
(b)第3の実施形態の判定基準による判定
一のサイドパネル領域が「HD」領域であると判定され、また、中央領域が「擬似HD」領域であると判定され、他のサイドパネル領域が「判定不能」のとき、他のサイドパネル領域と中央領域との間のサイドパネル領域が検出された場合(図11の場合)
また、サイドパネル判定部304は、左サイドパネル領域、中央領域、および右サイドパネル領域それぞれにおける画像の判定結果と、サイドパネル領域の検出結果とが、上記(a)、(b)以外の場合には、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)ではないと判定することができる。
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、画像の判定を行う判定領域を複数設定(より厳密には、2のサイドパネル領域および中央領域においてそれぞれ1以上の判定領域を設定)する。そして、画像判定装置300は、判定領域それぞれに対して、図5に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。また、画像判定装置300は、(1)判定領域それぞれにおける画像判定結果に基づく2のサイドパネル領域および中央領域それぞれにおける画像の判定結果、および(2)サイドパネル境界の検出結果、に基づいて、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であるか否かを判定することができる。
したがって、画像判定装置300は、サイドパネルの付加を判定する従来の技術を用いた画像判定装置(従来の画像判定装置)のように、ハードウェアリソースを過度に必要とせず、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
また、画像判定装置300は、従来の画像判定装置が判定を行うことができないサイドパネル領域の信号レベルが高いレベルの信号である場合や、サイドパネル領域にテクスチャが存在する場合、あるいは画像信号がMPEG符号化情報を有さない信号であった場合であっても、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
(第4の実施形態)
本発明の実施形態に係る画像判定装置は、上述した第1〜第3の実施形態の構成に限られず、例えば、第1の実施形態に係る画像判定装置100の構成に加え、第2の実施形態に係る単一信号レベル領域判定部202と、第3の実施形態に係るサイドパネル境界検出部302との双方を備えることもできる。
上記構成であっても、本発明の第4の実施形態に係る画像判定装置は、第1〜第3の実施形態に係る画像判定装置と同様に、サイドパネルの付加を判定する従来の技術を用いた画像判定装置(従来の画像判定装置)のように、ハードウェアリソースを過度に必要とせず、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
また、第4の実施形態に係る画像判定装置は、第1〜第3の実施形態に係る画像判定装置と同様に、従来の画像判定装置が判定を行うことができないサイドパネル領域の信号レベルが高いレベルの信号である場合や、サイドパネル領域にテクスチャが存在する場合、あるいは画像信号がMPEG符号化情報を有さない信号であった場合であっても、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第4の実施形態に係る画像判定装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
以上、本発明の第1〜第4の実施形態として、画像判定装置を挙げて説明したが、本発明の第1〜第4の実施形態は、係る形態に限られず、テレビ受信機、有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display)とも呼ばれる。)やFED(Field Emission Display;電界放出ディスプレイ)あるいはPDP(Plasma Display Panel;プラズマディスプレイ)などの表示装置、PDA(Personal Digital Assistants)やUMPC(Ultra Mobile Personal Computer)などのコンピュータ、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などの携帯型通信装置などに適用することができる。
(画像判定方法)
次に、本発明の実施形態に係る画像判定方法について説明する。図13は、本発明の実施形態に係る画像判定方法の一例を示す流れ図である。
まず、画像判定装置は、画像判定を行う判定領域を設定する(S100)。ここで、画像判定装置は、2のサイドパネル領域、中央領域それぞれにおいて少なくとも1以上の判定領域を設定することができる。
また、ステップS100において設定される判定領域は、例えば、付加画像が含まれる付加画像領域以外の領域とすることができる。
画像判定装置は、ステップS100において設定された判定領域ごとに画像の判定を行う(S102;第1の画像判定)。ここで、ステップS102における画像の判定は、図5に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用することにより行うことができる。
ステップS102において判定された各判定領域の画像判定結果に基づいて、画像判定装置は、2のサイドパネル領域、中央領域それぞれに対して画像の判定を行う(S104;第2の画像判定)。ここで、ステップS104における判定は、例えば、2のサイドパネル領域、中央領域それぞれにおいて判定結果の集計を行い、HD解像度の画像領域であると判定された判定領域の数が所定の閾値以上の場合に「HD」領域であると判定することができるが、上記に限られない。
ステップS106における2のサイドパネル領域、中央領域それぞれの判定結果に基づいて、画像判定装置は、高精細のサイドパネルの付加を判定する(S106)。ここで、画像判定装置は、例えば、2のサイドパネル領域、中央領域それぞれの判定結果が図7に示す状態のとき、入力された画像信号が示す画像が高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であると判定することができる。
以上のステップS100〜ステップS106に示すように、本発明の実施形態に係る画像判定方法は、画像の判定を行う判定領域を複数設定(より厳密には、2のサイドパネル領域および中央領域においてそれぞれ1以上の判定領域を設定)する。また、本発明の実施形態に係る画像判定方法は、設定された各判定領域に対して、図5に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用して画像の判定を行う。そして、本発明の実施形態に係る画像判定方法は、各判定領域における画像の判定結果に基づいて2のサイドパネル領域および中央領域それぞれにおける画像の判定を行い、入力された画像信号が示す画像が、高精細のサイドパネルが付加された画像(擬似HD解像度の画像)であるかを判定する。
したがって、本発明の実施形態に係る画像判定方法を用いる画像判定装置は、サイドパネルの付加を判定する従来の技術を用いた画像判定装置(従来の画像判定装置)のように、ハードウェアリソースを過度に必要とせず、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
また、本発明の実施形態に係る画像判定方法を用いる画像判定装置は、従来の画像判定装置が判定を行うことができないサイドパネル領域の信号レベルが高いレベルの信号である場合や、サイドパネル領域にテクスチャが存在する場合、あるいは画像信号がMPEG符号化情報を有さない信号であった場合であっても、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、第1〜第4の実施形態に係る画像判定装置では、付加画像領域検出部を備える構成を示したが、本発明の実施形態は、かかる構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画像判定装置は、付加画像領域検出部を備えない構成とすることもできる。かかる構成であっても、本発明の実施形態に係る画像判定装置は、サイドパネルの付加を判定する従来の技術を用いた画像判定装置(従来の画像判定装置)のように、ハードウェアリソースを過度に必要とせず、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができ、また、サイドパネル領域の信号レベルが高いレベルの信号である場合や、サイドパネル領域にテクスチャが存在する場合、あるいは画像信号がMPEG符号化情報を有さない信号であった場合であっても、画像信号に基づいて高精細のサイドパネルが付加された画像の判定を行うことができる。
上述した構成は、当業者が容易に変更し得る程度のことであり、本発明の等価範囲に属するものと理解すべきである。