以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(画像判定の原理)
まず、本発明における画像判定の原理について説明する。
図1は、HD解像度の画像とSD解像度の画像をアップコンバートした画像とを示す説明図である。ここで、図1(a)は、HD解像度の画像を示している。また、図1(b)は、SD解像度の画像を示しており、図1(c)は、SD解像度の画像をアップコンバートした画像(以下、「擬似HD解像度の画像」という。)を示している。
また、図1(c)に示すように、擬似HD解像度の画像は、無効領域としてのサイドパネルが付加されているとは限らない。したがって、従来の画像判定の技術では、図1(c)のようなサイドパネルを含まない擬似HD解像度の画像を判定することができない。そこで本発明は、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とを判別するために、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用する。
図2は、図1(a)に示すHD解像度の画像と、図1(c)に示す擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を説明する説明図である。図2は、横軸に正規化角周波数をとり、縦軸に振幅のパワースペクトルをとって、画像における周波数と振幅との関係を示している。
図2を参照すると、図1(a)に示すHD解像度の画像と、図1(c)に示す擬似HD解像度の画像とは、図2における周波数が低い帯域(以下、「低域の周波数帯域」という。)では、振幅が大きな信号を有し、周波数が高くなる程、信号の振幅は減衰することが分かる。ここで、図2に示すような低域の周波数帯域で振幅が大きく、また、周波数が高くなるに従って振幅が減衰する周波数振幅特性は、自然画像などの一般的な画像で成立する。
ここで、図2に基づいて、HD解像度の画像の信号と、擬似HD解像度の画像の信号とを比較すると、低域の周波数帯域では、同様に信号が分布しているが、振幅の減衰率が異なることが分かる。すなわち、図2における低域の周波数帯域より周波数が高い帯域(以下、「中域の周波数帯域」という。)では、図2の領域Aに存在する信号は主にHD解像度の画像の信号であり、擬似HD解像度の画像の信号は極少量しか存在しない。したがって、振幅の減衰率は、HD解像度の画像よりも、擬似HD解像度の画像の方が大きくなる。
また、図2における中域の周波数帯域よりもさらに周波数が高い領域(以下、「高域の周波数帯域」という。)では、擬似HD解像度の画像の信号はほとんど分布せず、HD解像度の画像の信号は分布するという差異が認められる。なお、上述した図2に示す周波数振幅特性は、図1(a)と図1(c)との画像に限られず、ほぼ全ての画像が同様の傾向を示す。
したがって、本発明に係る実施形態では、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とにおける、振幅の減衰率の違いに着目し、数式1に示す指標(以下、「HD度」という。)を画像の判定に用いる。
HD度=(|周波数帯域2の振幅に相当する特性値|の平均値)/(|周波数帯域1の振幅に相当する特性値|の平均値)
・・・(数式1)
数式1における周波数帯域1の下限周波数は、周波数帯域2の下限周波数よりも低い周波数に設定される。したがって、図2に示す周波数振幅特性より、HD度は、0≦HD度<1の値をとる。ここで、HD度が0(零)となるのは、周波数帯域2において、振幅に相当する特性値(以下、「振幅特性値」という。)が存在しない場合である。
ここで、振幅特性値は、振幅そのものとしてもよいし、振幅のパワースペクトルとすることもできる。なお、振幅特性値は、上記に限られないことは、言うまでもない。また、数式1に示す平均値は、相加平均で求めることができるが、係る算出方法に限られず、例えば、相乗平均としてもよいし、所定の重み付けをした重み付け平均とすることもできる。
なお、数式1では、HD度をより正確に求めるために、“振幅特性値の絶対値”の平均値に基づいてHD度を算出しているが、係る算出方法に限られず、“絶対値算出前の振幅特性値”に基づいてHD度を算出することができることは、言うまでもない。
HD度は、周波数帯域1における振幅特性値の平均値と、周波数帯域2における振幅特性値の平均値との相対値であるので、図2に示される上述したHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との減衰率の違いを表すことができる。したがって、判定する画像のHD度が0(零)に近い値をとればとる程、判定する画像は、擬似HD解像度の画像である確率は非常に高くなり、また、判定する画像のHD度が1に近い値をとればとる程、判定する画像は、HD解像度の画像であるといえる。
(第1の実施形態)
次に、上述した画像判定の原理を用いた画像判定装置について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100を示す説明図である。
図3を参照すると、第1の実施形態に係る画像判定装置100は、周波数帯域信号検出部110と、ノイズ除去部120と、平均値算出部130と、相対値算出部140と、画像判定部150とを備える。
また、画像判定装置100は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などで構成され画像判定装置100全体を制御することが可能な制御部(図示せず)や、制御部が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(Read Only Memory;図示せず)、制御部により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(Random Access Memory;図示せず)、画像判定装置100が判定を行う画像などを記憶可能な記憶部(図示せず)、放送局などから送信され画像信号を受信する受信部(図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)などを備えてもよい。画像判定装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により上記各構成要素間を接続することができる。ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、フラッシュメモリ(flash memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)、光磁気ディスク(Magneto Optical Disk)などが挙げられるが、上記に限られない。また、操作部(図示せず)としては、例えば、キーボード(keyboard)やマウス(mouse)などの操作入力デバイスや、ボタン、方向キー、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられるが、上記に限られない。
画像判定装置100には、例えば、放送局などから送信される画像信号、あるいは、記憶部(図示せず)に保持された画像の画像信号などが入力される。ここで、画像判定装置100に入力される画像信号は、静止画像を示すものであってもよいし、または、動画像(いわゆる映像)であってもよい。
周波数帯域信号検出部110は、第1周波数帯域検出手段112と、第2周波数帯域検出手段114とを備える。第1周波数帯域検出手段112と第2周波数帯域検出手段114とは、例えば、画素ごとに処理を行い、特定の周波数帯域の画像信号のみを通過させ、その他の帯域の画像信号を減衰させるバンドパス・フィルタ(Band-Pass Filter;以下、「BPF」という。)で構成することができる。
第1周波数帯域検出手段112は、例えば、SD解像度の画像からアップコンバートされた画像におけるナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限より低域の周波数帯域を通過させ、かつ、DC(Direct Current)成分を通過させない低域のBPFで構成される。
また、第2周波数帯域検出手段114は、例えば、SD解像度の画像からアップコンバートされた画像におけるナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限の近傍を通過させる中域のBPFで構成される。
ここで、第1周波数帯域検出手段112を構成する低域のBPFと、第2周波数帯域検出手段114を構成する中域のBPFとは、周波数帯域が一部重なっていても構わない。また、SD解像度の画像からアップコンバートされた画像におけるナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限は、アップコンバートする方式によって異なる。すなわち、図2に示すように、HD解像度、および擬似HD解像度における正規化したナイキスト周波数がa(a=π)である場合、トップ&ボトムクロップ方式、および、ストレッチ方式でアップコンバートされた画像のナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限bは、b=(3/8)×aであり、サイドパネル方式でアップコンバートされた画像のナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限cは、c=(4/9)×aである。
したがって、第1周波数帯域検出手段112と第2周波数帯域検出手段114とは、例えば、第1周波数帯域検出手段112をナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限bを基準に設定し、第2周波数帯域検出手段114をナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限cを基準に設定することができる。なお、第1周波数帯域検出手段112と第2周波数帯域検出手段114とは、上記に限られず、第1周波数帯域検出手段112と第2周波数帯域検出手段114との双方を、ナイキスト周波数に対する理論上有効な周波数の上限bを基準に設定してもよい。
また、第1周波数帯域検出手段112と第2周波数帯域検出手段114とを構成するBPFは、検出能力を高めるために、サイドローブを低減する必要がある。したがって、第1の実施形態に係るBPFは、例えば、Sinc関数にハミング窓関数(Hamming window function)を乗じた関数を用いてフィルタ係数値を設定し、当該フィルタ係数値に相当するようにタップの数を設定してBPFを構成する。
上記構成をとることにより、第1の実施形態に係るBPFは、離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform)を用いるよりも、サイドローブを低減し、かつ、メインローブを矩形波により近づけることができる。なお、フィルタ係数値を設定するために用いる窓関数は、ハミング窓関数に限られず、ハニング窓関数(Hanning window function)やガウス窓関数(Gaussian window function)などを用いることができることは、言うまでもない。また、第1の実施形態に係るBPFは、上記構成に限られず、デジタルフィルタで構成することもできる。
なお、第1周波数帯域検出手段112と第2周波数帯域検出手段114とは、BPFに限られず、遮断周波数以上の周波数の画像信号だけを通過させ、遮断周波数より小さな周波数の画像信号を減衰させるハイパス・フィルタ(High-Pass Filter)で構成することもできる。また、第1周波数帯域検出手段112と第2周波数帯域検出手段114とを、遮断周波数以下の周波数の画像信号だけを通過させ、遮断周波数より大きな周波数の画像信号を減衰させるローパス・フィルタ(Low-Pass Filter)で構成することもできる。ただし、ローパス・フィルタを用いる場合、周波数が0(零)の信号に相当する平均輝度の影響を受け、平均輝度によって、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との判定が正確に行えない場合がある。
したがって、周波数帯域信号検出部110は、周波数が0(零)の画像信号を通過させないフィルタが好ましく、BPFに限られず、任意のフィルタで構成することができる。
ノイズ除去部120は、第1ノイズ除去手段122と、第2ノイズ除去手段124とを備える。第1ノイズ除去手段122は、第1周波数帯域検出手段112が画素ごとにフィルタリングした画像信号のノイズを除去し、画素ごとに振幅特性値を出力する。また、第2ノイズ除去手段124は、第2周波数帯域検出手段114が画素ごとにフィルタリングした画像信号のノイズを除去する。
ここで、ノイズ除去部120におけるノイズの除去は、例えば、周波数帯域信号検出部110が通過させる周波数帯域ごとに、ノイズとみなす振幅特性値の閾値を予め設定することにより行うことができる。またノイズ除去部120におけるノイズの除去は、画像判定装置100が周波数帯域信号検出部110が通過させる周波数帯域ごとにノイズを検出するノイズ計測部(図示せず)を備え、ノイズ計測部が計測したノイズの計測結果に基づいて行うこともできる。なお、ノイズ除去部120におけるノイズの除去手段は、上記に限られないことは、言うまでもない。
平均値算出部130は、第1平均値算出手段132と、第2平均値算出手段134とを備える。第1平均値算出手段132には、第1ノイズ除去手段122によりノイズが除去された画素ごとの振幅特性値が入力され、第1平均値算出手段132は、振幅特性値の絶対値の平均値を算出する。また、第2平均値算出手段134には、第2ノイズ除去手段124によりノイズが除去された画素ごとの振幅特性値が入力され、第2平均値算出手段134は、振幅特性値の絶対値の平均値を算出する。
ここで、第1平均値算出手段132と第2平均値算出手段134とにおける平均値は、例えば、相加平均で求めることができる。なお、平均値算出部130における平均値の算出方法は、相加平均に限られず、例えば、相乗平均や重み付け平均など、様々な方法で算出できることは、言うまでもない。
相対値算出部140は、平均値算出部130の出力、すなわち、第1平均値算出手段132と第2平均値算出手段134とからそれぞれ出力される、振幅特性値の絶対値の平均値を用いて相対値を算出する。ここで、相対値算出部140が算出する相対値は、数式1に示すHD度に相当する。したがって、相対値算出部140における相対値の算出は、数式1に従い、例えば、下記に示す数式2で求めることができる。
HD度=相対値算出部140が算出する相対値
=(第2平均算出手段134が算出した平均値)/(第1平均算出手段132が算出した平均値)
・・・(数式2)
なお、相対値算出部140が算出する相対値、すなわちHD度の算出方法は、数式2に限られず、例えば、対数を用いて表すこともできることは、言うまでもない。
画像判定部150は、相対値算出部140が算出した相対値、すなわち、HD度を用いて画像の判定を行う。ここで、判定される画像は、上述したように、相対値算出部140が算出したHD度が0(零)に近い値をとればとる程、擬似HD解像度の画像である確率は非常に高くなる。また、判定される画像は、相対値算出部140が算出したHD度が1に近い値をとればとる程、HD解像度の画像である確率が非常に高い。したがって、画像判定部150は、予め設けられた閾値に基づいて、HD度が閾値以上であれば、画像をHD解像度の画像であると判定し、また、HD度が閾値未満であれば、画像を擬似HD解像度の画像であると判定することができる。
なお、画像判定部150における画像の判定は、上記に限られず、HD度の値そのものを、HD解像度の画像である確率値として捉え、HD解像度の画像である確からしさを判定することができることは、言うまでもない。
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。
したがって、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100は、従来の画像判定装置のように、SD解像度の画像がアップコンバートされるときにサイドパネルが付加されることを必要とはせず、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。
(第1の画像判定方法)
次に、本発明の実施形態に係る第1の画像判定方法について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る第1の画像判定方法の一例を示す流れ図である。
まず、画像判定装置は、入力された画像信号から、複数の周波数帯域の信号を検出する(S100)。ここで、上記信号の検出は、画素ごとに行うことができる。
画像判定装置は、ステップS100において画素ごとに検出された複数の周波数帯域の信号ごとに、振幅特性値の平均値を算出する(S102)。ここで、上記振幅特性値は、振幅の値そのものであってもよいし、また、パワースペクトルとすることもできる。また、平均値の算出方法は、相加平均に限られず、例えば、相乗平均、あるいは、重み付け平均など、様々な算出方法を用いることができる。
画像判定装置は、ステップS102において複数の周波数帯域の信号ごとに算出された平均値のうち、一の平均値に対する他の平均値の相対値を算出する(S104)。ここで、相対値は、例えば、上記他の平均値を上記一の平均値で除算して求めることができるし、あるいは、上記他の平均値の対数をとった値から上記一の平均値の対数をとった値を減算して求めてもよい。
また、上記一の平均値を導いた周波数帯域の下限周波数は、上記他の平均値を導いた周波数帯域の下限周波数よりも低く設定される。したがって、算出された相対値は、図2に示すHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を表すことができる。
画像判定装置は、ステップS104において算出された相対値に基づいて画像を判定する(S106)。ここで、上記相対値は、0(零)に近い値をとればとる程、擬似HD解像度の画像である確率は非常に高く、また、1に近い値をとればとる程、HD解像度の画像である確率が非常に高い。したがって、画像判定装置は、予め設けられた閾値に基づいて、HD度が閾値以上であれば、画像をHD解像度の画像であると判定し、また、HD度が閾値未満であれば、画像を擬似HD解像度の画像であると判定することができる。
なお、ステップS106における画像の判定は、上記に限られず、HD度の値そのものを、HD解像度の画像である確率値として捉え、HD解像度の画像である確からしさを判定することができることは、言うまでもない。
以上のステップS100〜ステップS106に示すように、本発明の実施形態に係る第1の画像判定方法は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。
したがって、本発明の実施形態に係る第1の画像判定方法は、従来の画像判定方法のように、アップコンバート時にサイドパネルが付加される必要はなく、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。
(第2の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100では、HD度としての相対値を一つ算出する構成について説明した。次に、HD度としての相対値を複数算出する構成により画像判定を行う画像判定装置について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200を示す説明図である。
図5を参照すると、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200は、周波数帯域信号検出部210と、ノイズ除去部220と、平均値算出部230と、相対値算出部240と、画像判定部250とを備える。
また、画像判定装置200は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、例えば、MPUなどで構成される制御部(図示せず)や、ROM(図示せず)、RAM(図示せず)、記憶部(図示せず)、受信部(図示せず)、操作部(図示せず)などを備えてもよい。
画像判定装置200の各部の基本的な作用効果は、第1の実施形態に係る画像判定装置100の各部と同様であるが、画像判定装置100と画像判定装置200との違いは、周波数帯域信号検出部210が第1周波数帯域検出手段212〜第n周波数帯域検出手段218(ここで、nは、3以上の整数である。)を備える、すなわち、3つ以上の周波数帯域検出手段を備えることである。ここで、周波数帯域信号検出部210が備える周波数帯域検出手段は、画像判定装置100と同様に、BPFで構成することができるが、第1周波数帯域検出手段212、第2周波数帯域検出手段214、第3周波数帯域検出手段、…、第n周波数帯域検出手段218と、nが大きくなるに従って、BPFが通過させる周波数の下限もまた大きくなるように構成される。
同様に、画像判定装置100と画像判定装置200との違いは、ノイズ除去部220が第1ノイズ除去手段222〜第nノイズ除去手段228を備え、平均値算出部230が第1平均値算出手段232〜第n平均値算出手段238を備え、そして、相対値算出部240が第1相対値算出手段242〜第n−1相対値算出手段244を備えることである。また、画像判定部250には、複数の相対値が入力される。
ここで、相対値算出部240の第1相対値算出手段242は、第1平均値算出手段232が算出した平均値に対する第2平均値算出手段234が算出した平均値の相対値を算出する。また、第n−1相対値算出手段244は、第1平均値算出手段232が算出した平均値に対する第n平均値算出手段238が算出した平均値の相対値を算出する。したがって、相対値算出部240は、第1平均値算出手段232が算出した平均値を基準とした複数の相対値を算出することができる。
画像判定部250は、相対値算出部240が算出した複数の相対値を用いて、画像の判定を行う。ここで、画像判定部250は、上記複数の相対値のうちの一つの相対値に基づいて画像の判定を行うことができる。例えば、画像判定部250は、0(零)より大きな値をとった複数の相対値のうち、下限周波数が最も大きな周波数帯域を用いて算出された相対値、すなわち、nが最も大きな相対値算出手段が算出した相対値が、所定の閾値以上かあるいは未満かに基づいて、画像の判定を行うことができる。なお、一つの相対値に基づく画像の判定は、上記に限られず、算出された任意の相対値を用いてもよいことは、言うまでもない。
ここで、図2に示されるように、周波数が高域にいけばいく程、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが含む振幅の平均値の差は小さくなる。したがって、画像判定部250は、例えば、画像の判定に用いる閾値を周波数帯域ごとに予め複数設け、画像の判定に用いる周波数帯域ごとに閾値を適宜変更して画像の判定を行うことができる。
また、画像判定部250は、算出された複数の相対値に基づいて画像の判定を行うこともできる。例えば、画像判定部250は、算出された複数の相対値全てに対して、それぞれ上述した閾値を利用した画像の判定を行い、判定結果が多い方を、画像判定部250の画像判定結果としてもよい。なお、複数の相対値に基づく画像の判定は、上記に限られず、算出された任意の数の相対値を用いてもよいことは、言うまでもない。
また、画像判定部250における画像の判定は、例えば、相対値算出部240が算出した複数の相対値それぞれについて、画像の判定に用いる閾値との差の値を算出し、算出された複数の差の値の平均値と標準偏差を算出することもできる。上記の場合、標準偏差が予め定められた所定の範囲内の値とならなかったときは、画像判定部250は、差の値が大きな値を異常値として除外して、再度差の値の平均値と標準偏差とを算出する。そして、画像判定部250は、標準偏差が予め定められた所定の範囲内の値となるまで上述した操作を繰り返す。最終的に標準偏差が予め定められた所定の範囲内の値となったとき、画像判定部250は、差の値平均値が正の値であればHD解像度の画像であると判定し、また、差の値平均値が負の値であれば擬似HD解像度の画像であると判定することができる。なお、画像判定部250における画像の判定は、上記に限られないことは、言うまでもない。
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用して、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対するより高域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値を複数算出し、複数の相対値を用いて画像の判定を行うことができる。
したがって、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200は、従来の画像判定装置のように、SD解像度の画像がアップコンバートされるときにサイドパネルが付加されることを必要とはせず、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。
また、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200は、複数の相対値を用いて画像の判定を行うことができるので、例えば、特定の周波数帯域に信号が存在しない画像であっても、他の周波数帯域の信号に基づいて、画像の判定を行うことができる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置について説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300を示す説明図である。
図6を参照すると、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300は、図5に示す本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200と同様の構成と機能を有しており、画像判定装置200と比較すると、相対値算出部340の第1相対値算出手段342〜第n相対値算出手段344における、相対値を算出する基準値が異なる。
また、画像判定装置300は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、例えば、MPUなどで構成される制御部(図示せず)や、ROM(図示せず)、RAM(図示せず)、記憶部(図示せず)、受信部(図示せず)、操作部(図示せず)などを備えてもよい。
具体的には、画像判定装置300では、第1相対値算出手段342が、第1平均値算出手段232が算出した平均値に対する第2平均値算出手段234が算出した平均値の相対値を算出する。そして、第n/2相対値算出手段344が、第n−1平均値算出手段236が算出した平均値に対する第n平均値算出手段238が算出した平均値の相対値を算出する。したがって、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200では、全ての相対値が第1平均値算出手段232が算出した平均値を基準として算出されるのに対して、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300は、相対値を算出する場合に、相対値を算出する基準となる平均値を導く周波数帯域を変えるという差異がある。
本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300は、上述のように相対値を算出することにより、画像の周波数振幅特性が、図2に示すような特性を示さず、例えば、低域の周波数において振幅特性値を有さない特殊な画像を判定する場合であっても、例えば、中域の周波数帯域の振幅特性値を基準として画像の判定を行うことが可能となる。
また、画像判定装置300は、相対値を用いた画像の判定を本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200と同様に行うことができる。
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、基準となる周波数帯域を複数設けることにより、基準となる周波数帯域における振幅特性値の平均値に対するより高域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値をそれぞれ算出することができる。そして、画像判定装置300は、算出された複数の相対値を用いて、画像の判定を行う。
したがって、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300は、従来の画像判定装置のように、SD解像度の画像がアップコンバートされるときにサイドパネルが付加されることを必要とはせず、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。
また、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300は、判定する画像が図2に示されるような周波数振幅特性を有さない特殊な画像であっても、画像に制限されることなく、画像の判定を行うことができる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。
(第4の実施形態)
上述した本発明に係る第1〜第3の実施形態では、判定する画像全体が、HD解像度の画像、あるいは、擬似HD解像度の画像のどちらであるかを判定する画像判定装置について説明した。しかしながら、放送局などから送信される画像信号には、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在している場合がある。そこで、次に、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在している場合において画像の判定をそれぞれの画像領域に対して行うことが可能な実施形態について説明する。
図7は、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在している画像を示す説明図である。図7(a)は、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在している画像を示す説明図であり、図7(b)は、図7(a)の画像を局所領域に分けた場合の説明図である。
図7(a)に示すように、例えば、ニュース番組などにおいて、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在する場合がある。図7(a)のような画像の場合、画像全体に対して判定を行ったとしても、正確な判定結果が得られない場合が想定される。そこで、以下では、本発明に係る第4の実施形態として、図7(b)に示すように画像全体を複数の局所領域に分け、局所領域ごとに画像の判定を行うことが可能な画像判定装置について説明する。
図8は、本発明の第4の実施形態に係る画像判定装置400を示す説明図である。
図8を参照すると、本発明の第4の実施形態に係る画像判定装置400は、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の構成を有しており、画像判定装置100と比較すると、平均値算出部430と、相対値算出部440と、画像判定部450とが異なる。
また、画像判定装置400は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、例えば、MPUなどで構成される制御部(図示せず)や、ROM(図示せず)、RAM(図示せず)、記憶部(図示せず)、受信部(図示せず)、操作部(図示せず)などを備えてもよい。
周波数帯域信号検出部110は、第1周波数帯域検出手段112と、第2周波数帯域検出手段114とを備える。第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、第1周波数帯域検出手段112と第2周波数帯域検出手段114とは、画素ごとに処理を行い、特定の周波数帯域の画像信号のみを通過させる。
ノイズ除去部120は、第1ノイズ除去手段122と、第2ノイズ除去手段124とを備える。第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、第1ノイズ除去手段122は、第1周波数帯域検出手段112が画素ごとにフィルタリングした画像信号のノイズを除去し、画素ごとに振幅特性値を出力する。また、第2ノイズ除去手段124は、第2周波数帯域検出手段114が画素ごとにフィルタリングした画像信号のノイズを除去する。
平均値算出部430は、第1平均値算出手段432と、第2平均値算出手段434とを含む。上述したように、本発明の第1の実施形態に係る第1平均値算出手段132は、第1ノイズ除去手段122によりノイズが除去された画素ごとの振幅特性値が入力され、画像全体における振幅特性値の絶対値の平均値を算出する。これに対して、本発明の第4の実施形態に係る第1平均値算出手段432は、第1ノイズ除去手段122によりノイズが除去された画素ごとの振幅特性値が入力され、図7(b)に示すような局所領域ごとに、振幅特性値の絶対値の平均値を算出することができる。
同様に、本発明の第4の実施形態に係る第2平均値算出手段434は、第2ノイズ除去手段124によりノイズが除去された画素ごとの振幅特性値が入力され、図7(b)に示すような局所領域ごとに、振幅特性値の絶対値の平均値を算出することができる。
なお、局所領域は、図7(b)に示すように全てが均一な大きさの領域である必要はなく、任意の大きさの領域とすることができることは、言うまでもない。また、局所領域同士は一部重なり合っていても構わない。
また、各局所領域の位置、大きさなどの局所領域に係る情報は、例えば、平均値算出部430が記憶手段を備え、当該記憶手段に保持されてもよい。ここで、平均値算出部430が備える記憶手段としては、例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、平均値算出部430が平均値の算出に用いる局所領域に係る情報は、例えば、画像判定装置400の記憶部(図示せず)に記憶され、平均値算出部430が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。
相対値算出部440は、平均値算出部430で算出された局所領域ごとの平均値を用いて局所領域ごとに相対値を算出する。ここで、相対値算出部440は、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に相対値を算出することができる。
画像判定部450は、相対値算出部440が算出した局所領域ごとの相対値に基づいて、画像の判定を局所領域ごとに行うことができる。
〔第4の実施形態に係る画像判定装置の変形例〕
なお、図8では、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の構成を示したが、本発明の第4の実施形態に係る画像判定装置は上記の構成に限られない。例えば、第4の実施形態に係る画像判定装置は、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200、あるいは、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300と同様の構成をとることができる。したがって、本発明の第4の実施形態に係る画像判定装置は、構成に応じて一つ、あるいは、複数の相対値を算出して、画像を判定することができる。
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る画像判定装置400は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行う。また、画像判定装置400は、局所領域ごとに画像の判定を行うことができるので、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在している画像であっても、画像の判定を正確に行うことができる。
したがって、本発明の第4の実施形態に係る画像判定装置400は、従来の画像判定装置のように、SD解像度の画像がアップコンバートされるときにサイドパネルが付加されることを必要とはせず、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。
また、本発明の第4の実施形態に係る画像判定装置400は、画像全体を局所領域に分け、局所領域ごとに画像の判定を行うことにより、従来の画像判定装置において想定されていないHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在している画像に対しても、画像の判定を行うことができる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第4の実施形態に係る画像判定装置400をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。また、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在している画像であっても、画像の判定を正確に行うことができる。
(第5の実施形態)
次に、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在している画像に対して画像の判定が可能な他の実施形態である、本発明に係る第5の実施形態について説明する。図9は、本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置500を示す説明図である。
図9を参照すると、本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置500は、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の構成を有しており、周波数帯域信号検出部110とノイズ除去部120と平均値算出部130とは、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の機能を有する。
また、本発明の第1の実施形態〜第4の実施形態に係る画像判定装置では、画像判定装置に入力される画像信号が、画像全体を表す信号である構成であったのに対して、本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置500には、局所領域ごとの画像信号が予め入力される。上記構成により、画像判定装置500は、画像判定装置100と比較すると、画像判定部550が本発明の第1の実施形態に係る画像判定部150と異なる。
また、画像判定装置500は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、例えば、MPUなどで構成される制御部(図示せず)や、ROM(図示せず)、RAM(図示せず)、記憶部(図示せず)、受信部(図示せず)、操作部(図示せず)などを備えてもよい。
画像判定部550は、相対値算出部140が算出した相対値、すなわち、局所領域ごとの相対値に基づいて、画像の判定を局所領域ごとに順次行う。ここで、画像判定部550は、周波数帯域信号検出部110が備える第1周波数帯域検出手段112と第2周波数帯域検出手段114とが所定の周波数帯域の信号を検出する時点から、画像の判定を行うまで一貫して局所領域の画像信号を処理するので、局所領域の画像の判定を、局所領域の画像の周波数振幅特性のみで行うことができる。したがって、本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置500は、画像全体の画像信号から局所領域の信号へと分ける処理が不要であり、処理が不要な分だけノイズなどが信号にのる可能性を低くすることができる。
また、画像判定部550は、判定結果を保持する判定結果保持手段を備えてもよい。判定結果保持手段を備えることにより、局所領域の画像判定だけでなく、画像全体としての画像判定を行うこともできる。ここで、画像判定部550が備える判定結果保持手段としては、例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリ(volatile memory)が挙げられるが、上記に限られず、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであってもよい。
〔第5の実施形態に係る画像判定装置の変形例〕
なお、本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置の構成は、図9に示す構成に限られない。例えば、第5の実施形態に係る画像判定装置を図9に示す構成を並列に複数設ける構成とすれば、本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置は、複数の局所領域の画像の判定を同時に行うことができる。
また、図9では、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の構成を示したが、上記の構成に限られず、第5の実施形態に係る画像判定装置は、本発明の第2の実施形態に係る画像判定装置200、あるいは、本発明の第3の実施形態に係る画像判定装置300と同様の構成をとることもできる。したがって、本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置は、構成に応じて一つ、あるいは、複数の相対値を算出して、画像を判定することができる。
以上のように、本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置500は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。
また、本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置500は、周波数帯域の信号を検出する時点から画像の判定を行うまで、一貫して局所領域の画像信号を処理することができるので、局所領域の画像の判定を、局所領域の画像の周波数振幅特性のみで行うことができる。したがって、画像判定装置500は、画像全体の画像信号から局所領域の信号へと分ける処理が不要であり、ノイズなどが信号にのる可能性を低くすることができるので、より正確な画像の判定を行うことができる。
したがって、本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置500は、従来の画像判定装置のように、SD解像度の画像がアップコンバートされるときにサイドパネルが付加されることを必要とはせず、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。
また、画像判定装置500は、局所領域ごとの画像信号が入力され、局所領域ごとに画像の判定を行うことができるので、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在している画像であっても、画像の判定を正確に行うことができる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第5の実施形態に係る画像判定装置500をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。また、HD解像度の画像と擬似HD解像度の画像とが混在している画像であっても、画像の判定を正確に行うことができる。
(第6の実施形態)
例えば、テレビ受信装置は、表示される場面が同一であっても、NTSC(National Television Standards Committee)規格で30フレーム/秒というようなフレームレートで画像を逐次書き換えて表示している。このため、例えば、同一の場面において相対値が大きく変動すること、すなわち、同一の場面で画像の判定結果が大きく異なることは好ましくない。したがって、次に、所定の期間において、画像の判定結果が大きく変動することを抑制することが可能な本発明に係る第6の実施形態について説明する。図10は、本発明の第6の実施形態に係る画像判定装置600を示す説明図である。
図10を参照すると、本発明の第6の実施形態に係る画像判定装置600は、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100の構成に加えて、正規化処理部610と、時間平滑部620とをさらに備えている。
また、画像判定装置600は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、例えば、MPUなどで構成される制御部(図示せず)や、ROM(図示せず)、RAM(図示せず)、記憶部(図示せず)、受信部(図示せず)、操作部(図示せず)などを備えてもよい。
周波数帯域信号検出部110とノイズ除去部120と平均値算出部130と相対値算出部140とは、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の機能を有しており、相対値算出部140からは、画像判定に用いる相対値が出力される。
正規化処理部610は、相対値算出部140が算出した相対値を正規化し、相対値算出部140で算出された相対値を、0≦相対値≦1の範囲の正規化された相対値に補正する。また、正規化処理部610は、相対値算出部140で算出された相対値が正規化を必要としない値である場合は、正規化処理を行わない。ここで、正規化処理部610における正規化は、例えば、相対値算出部140で算出された相対値が1以上の値の場合に1とすることで行うことができる。なお、正規化の方法は、上記に限られないことは、言うまでもない。
時間平滑部620は、正規化処理部610から出力される相対値を平滑化する。時間平滑部620における平滑化は、例えば、以下に示す数式3で示す関係を満たすように行われる。
Ym=(1−α)Xm+αYm−1
・・・(数式3)
数式3において、Ym(mは、2以上の整数)は、時間平滑部620から出力される平滑化された相対値を示している。また、Xmは、正規化処理部610から出力される相対値、そして、Ym−1は、時間平滑部620が前回出力した相対値である。また、α(0<α<1)は重み付け係数であり、αを予め設定することにより、時間平滑部620の平滑化の能力を定めることができる。
ここで、重み付け係数αは、例えば、時間平滑部620が記憶手段を備え、当該記憶手段に保持されてもよい。時間平滑部620が備える記憶手段としては、例えば、EEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、重み付け係数αは、例えば、画像判定装置600の記憶部(図示せず)に記憶され、時間平滑部620が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。また、重み付け係数αは、例えば、予め設定された固定の値とすることができるが、上記に限られない。例えば、重み付け係数αは、画像判定装置600の操作部(図示せず)からのユーザ入力に応じて適宜変更可能としてもよい。
また、時間平滑部620は、ローパス・フィルタなどで構成することができるが、係る構成に限られない。
画像判定部150は、時間平滑部620から出力される平滑化された相対値に基づいて、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に画像の判定を行うことができる。
〔第6の実施形態に係る画像判定装置の変形例〕
なお、図10では、本発明の第6の実施形態に係る画像判定装置として本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の構成を示したが、第6の実施形態に係る画像判定装置の構成は、図10に示す構成に限られない。例えば、第6の実施形態に係る画像判定装置は、本発明の第2〜第5の実施形態に係る画像判定装置と同様の構成をとることもできる。したがって、本発明の第6の実施形態に係る画像判定装置は、構成に応じて一つ、あるいは、複数の相対値を算出して相対値の平滑化を行い、画像を判定することができる。
以上のように、本発明の第6の実施形態に係る画像判定装置600は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。
また、本発明の第6の実施形態に係る画像判定装置600は、相対値を正規化し、予め定めた重み付け係数αに基づいて相対値の平滑化を行い、相対値の変動を制御することができる。
したがって、本発明の第6の実施形態に係る画像判定装置600は、従来の画像判定装置のように、SD解像度の画像がアップコンバートされるときにサイドパネルが付加されることを必要とはせず、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。
また、本発明の第6の実施形態に係る画像判定装置600は、算出された相対値の時間平滑化を行うことにより、所定の期間の間に画像の判定結果が大きく変化することを抑えることができるので、正確な画像の判定を行うことができる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第6の実施形態に係る画像判定装置600をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定を行うことができる。また、所定の期間の間に画像の判定結果が大きく変化することを抑えることができる。
(第7の実施形態)
上述した第1〜第6の実施形態に係る画像判定装置では、入力される画像信号に基づいて画像の判定を行う構成について説明した。しかしながら、入力される画像信号によっては、入力される画像信号に基づく画像の判定結果が妥当なものとならない(判定結果の信頼度が低い)場合がありうる。そこで、次に、本発明の第7の実施形態として、画像の判定における信頼度を高めることが可能な画像判定装置について説明する。
[第7の実施形態に係る画像判定装置が対象とする信頼度の低下要因]
まず、第7の実施形態に係る画像判定装置が対象とする信頼度の低下要因について説明する。第7の実施形態に係る画像判定装置は、主に以下の(1)、(2)を画像の判定結果の信頼度を低下させる要因として捉える。
(1)振幅特性値の標本数
本発明の実施形態に係る画像判定装置は、例えば、数式1に示すHD度(相対値)を用いて画像の判定を行う。しかしながら、数式1に示す平均値を算出するための標本数が少なければ少ない程、当該平均値の統計的な信頼度は低下する。したがって、統計的な信頼度が低い平均値を用いてHD度が算出された場合には、画像判定装置は、入力される画像信号が示す画像がHD解像度の画像であるか擬似HD解像度の画像であるかを正確に判定できるとは限らない。
(2)振幅特性値の平均値の値
上述したように、本発明の実施形態に係る画像判定装置は、例えば、数式1に示すHD度(相対値)を用いて画像の判定を行う。しかしながら、数式1に示す平均値が微小な値である場合には、例えば、ノイズ(例えば、画像判定装置が備えるノイズ除去部で除去しきれなかったノイズ)などの影響が大きくなるため、当該平均値の信頼度は低下しうる。したがって、信頼度が低い平均値を用いてHD度が算出された場合には、画像判定装置は、入力される画像信号が示す画像がHD解像度の画像であるか擬似HD解像度の画像であるかを正確に判定できるとは限らない。
第7の実施形態に係る画像判定装置は、上記(1)、(2)に示すような信頼度の低下要因を取り除くことによって、画像の判定における信頼度を向上を図る。
[第7の実施形態に係る画像判定装置の構成例]
次に、本発明の第7の実施形態に係る画像判定装置について説明する。図11は、本発明の第7の実施形態に係る画像判定装置700を示す説明図である。
図11を参照すると、本発明の第7の実施形態に係る画像判定装置700は、本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100の構成に加えて、標本数信頼度設定部710と、平均値信頼度設定部720と、信頼度設定部730とをさらに備えている。
また、画像判定装置700は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、例えば、MPUなどで構成される制御部(図示せず)や、ROM(図示せず)、RAM(図示せず)、記憶部(図示せず)、受信部(図示せず)、操作部(図示せず)などを備えてもよい。
周波数帯域信号検出部110とノイズ除去部120と平均値算出部130と相対値算出部140とは、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の機能を有しており、相対値算出部140からは、画像判定に用いる相対値が出力される。
標本数信頼度設定部710は、上記要因(1)に対応し、振幅特性値が非0(零)の画素の数(標本数)に基づく第1信頼度を設定する。より具体的には、標本数信頼度設定部710は、第1ノイズ除去手段122から出力される画像信号に基づいて第1信頼度を設定する第1標本数信頼度設定手段712と、第2ノイズ除去手段124から出力される画像信号に基づいて第1信頼度を設定する第2標本数信頼度設定手段714とを備える。
ここで、第1標本数信頼度設定手段712および第2標本数信頼度設定手段714それぞれにおける第1信頼度の設定は、例えば、以下の(a)、(b)の手順により行うことができる。また、以下では、第1標本数信頼度設定手段712における第1信頼度の設定を例として示すが、第2標本数信頼度設定手段714も同様に第1信頼度を設定することができる。
〔第1信頼度の設定手順の一例〕
(a)標本数の算定
第1標本数信頼度設定手段712は、画素ごとに振幅特性値が非0(零)であるか否かを判定し、標本数を算定する。ここで、標本数の算定方法としては、例えば、振幅特性値が非0(零)と判定されるごとに、カウンタの値を1増加させることが挙げられるが、上記に限られない。
(b)第1信頼度の設定
第1標本数信頼度設定手段712は、算定された標本数に基づいて第1信頼度を設定する。ここで、第1標本数信頼度設定手段712は、例えば、算定された標本数と所定の閾値とを比較することにより第1信頼度を設定することができる。第1標本数信頼度設定手段712は、例えば、算定された標本数が所定の閾値以上の場合に第1信頼度を“1”(すなわち、当該標本数は、数式1に示す平均値算出のために使用可能な値である。)に設定し、また、算定された標本数が所定の閾値未満の場合に第1信頼度を“0”(すなわち、当該標本数は、数式1に示す平均値算出のために使用できない値である。)に設定することができる。第1信頼度を設定するために用いる所定の閾値は、例えば、予め規定された固定の値とすることができるが、上記に限られず、ユーザ入力に応じて可変する値であってもよい。なお、第1信頼度の設定方法が、上記に限られないことは、言うまでもない。
また、第1標本数信頼度設定手段712が第1信頼度の設定のために用いる所定の閾値は、例えば、標本数信頼度設定部710が記憶手段を備え(または、第1標本数信頼度設定手段712が記憶手段を備えていてもよい。)、当該記憶手段に保持されてもよい。ここで、標本数信頼度設定部710が備える記憶手段としては、例えば、EEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、第1信頼度の設定のために用いる所定の閾値は、例えば、画像判定装置700の記憶部(図示せず)に記憶され、第1標本数信頼度設定手段712が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。
標本数信頼度設定部710は、例えば、上記(a)、(b)の手順によって、第1信頼度を設定することができる。
平均値信頼度設定部720は、上記要因(2)に対応し、平均値算出部130が算出した平均値に基づく第2信頼度を設定する。より具体的には、平均値信頼度設定部720は、第1平均値算出手段132から出力される平均値に基づいて第2信頼度を設定する第1平均値信頼度設定手段722と、第2平均値算出手段134から出力される平均値に基づいて第2信頼度を設定する第2平均値信頼度設定手段724とを備える。
ここで、第1平均値信頼度設定手段722および第2平均値信頼度設定手段724それぞれにおける第2信頼度の設定は、例えば、以下に示すように行うことができる。また、以下では、第1平均値信頼度設定手段722における第2信頼度の設定を例として示すが、第2平均値信頼度設定手段724も同様に第2信頼度を設定することができる。
〔第2信頼度の設定手順の一例〕
第1平均値信頼度設定手段722は、第1平均値算出手段132から出力される平均値と所定の閾値とを比較することにより第2信頼度を設定することができる。第1平均値信頼度設定手段722は、例えば、第1平均値算出手段132から出力される平均値が所定の閾値以上の場合に第2信頼度を“1”(すなわち、当該平均値は、数式1に示すHD度算出のために使用可能な値である。)に設定し、また、第1平均値算出手段132から出力される平均値が所定の閾値未満の場合に第2信頼度を“0”(すなわち、当該平均値は、数式1に示すHD度算出のために使用できない値である。)に設定することができる。第2信頼度を設定するために用いる所定の閾値は、例えば、予め規定された固定の値とすることができるが、上記に限られず、ユーザ入力に応じて可変する値であってもよい。なお、第2信頼度の設定方法が、上記に限られないことは、言うまでもない。
また、第1平均値信頼度設定手段722が第2信頼度の設定のために用いる所定の閾値は、例えば、平均値信頼度設定部720が記憶手段を備え(または、第1平均値信頼度設定手段722が記憶手段を備えていてもよい。)、当該記憶手段に保持されてもよい。ここで、平均値信頼度設定部720が備える記憶手段としては、例えば、EEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、第2信頼度の設定のために用いる所定の閾値は、例えば、画像判定装置700の記憶部(図示せず)に記憶され、第1平均値信頼度設定手段722が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。
平均値信頼度設定部720は、例えば、上記の手順によって、第2信頼度を設定することができる。
信頼度設定部730は、標本数信頼度設定部710から出力される第1信頼度と、平均値信頼度設定部720から出力される第2信頼度とに基づいて、相対値算出部140が算出する相対値、すなわち数式1のHD度に対する信頼度である第3信頼度を設定する。
〔第3信頼度の設定手順の一例〕
信頼度設定部730は、第1標本数信頼度設定手段712が設定した第1信頼度(第1の第1信頼度)、第2標本数信頼度設定手段714が設定した第1信頼度(第2の第1信頼度)、第1平均値信頼度設定手段722が設定した第2信頼度(第1の第2信頼度)、および第2平均値信頼度設定手段724が設定した第2信頼度(第2の第2信頼度)に基づいて第3信頼度を設定することができる。
信頼度設定部730は、例えば、第1の第1信頼度、第2の第1信頼度、第1の第2信頼度および第2の第2信頼度が全て“1”の場合に第3信頼度を“1”(すなわち、相対値算出部140が算出する相対値は、画像の判定に使用可能である。)に設定することができる。また、信頼度設定部730は、例えば、第1の第1信頼度、第2の第1信頼度、第1の第2信頼度および第2の第2信頼度のいずれかが“0”の場合に第3信頼度を“0”(すなわち、相対値算出部140が算出する相対値は、画像の判定に使用可能ではない。)に設定することができる。なお、第3信頼度の設定基準が、上記に限られないことは、言うまでもない。
信頼度設定部730は、例えば、上記のような設定基準により第3信頼度を設定することができる。
画像判定部740は、相対値算出部140が算出した相対値と、信頼度設定部730において設定された第3信頼度に基づいて、例えば、以下の(A)、(B)に示すように画像の判定を行うことができる。
〔画像判定部740における画像の判定〕
(A)第3信頼度が“1”の場合
第3信頼度が“1”の場合には、画像判定部740は、第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様に、相対値算出部140が算出した相対値を用いて画像の判定を行うことができる。また、画像判定部740は、画像の判定に用いた相対値を記録することができる。ここで、画像判定部740は、例えば、画像判定部740が備える記憶手段に相対値を記録することができるが、上記に限られず、画像判定装置700が備える記憶部(図示せず)に記録してもよい。画像判定部740が備える記憶手段としては、例えば、EEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られず、例えば、SRAMなどの揮発性メモリであってもよい。
(B)第3信頼度が“0”の場合
第3信頼度が“0”の場合には、画像判定部740は、前回画像の判定が正常に行われたときに使用された相対値を用いて画像の判定を行うことができる。ここで、画像判定部740は、例えば、画像判定部740が備える記憶手段から相対値を読み出してもよいし、または、画像判定装置700が備える記憶部(図示せず)から読み出すこともできる。なお、画像判定部740が相対値を読み出せない場合には、画像判定部740は、例えば、予め規定された画像の判定結果を出力することができるが、上記に限られず、例えば、画像の判定を行わないとしてもよい。
画像判定部740は、例えば、上記(A)、(B)に示すように画像の判定を行うことができる。
〔第7の実施形態に係る画像判定装置の変形例〕
なお、図11では、画像判定装置が平均値信頼度設定部720として第1平均値信頼度設定手段722と第2平均値信頼度設定手段724とを備える構成を示したが、第7の実施形態に係る画像判定装置の構成は、図11に示す構成に限られない。例えば、第7の実施形態に係る画像判定装置は、平均値信頼度設定部として第1平均値信頼度設定手段のみを備える構成であってもよい。数式1に示すHD度は、特に分母の値により値が大きく変動する。したがって、第7の実施形態に係る画像判定装置は、少なくとも数式1の分母の値に相当する振幅特性値の平均値の信頼度を確認することによって、上記(2)に示す画像の判定結果の信頼度を低下させる要因を取り除いた上で画像の判定を行うことができる。
また、図11では、本発明の第7の実施形態に係る画像判定装置として本発明の第1の実施形態に係る画像判定装置100と同様の構成を示したが、第7の実施形態に係る画像判定装置の構成は、図11に示す構成に限られない。例えば、第7の実施形態に係る画像判定装置は、本発明の第2〜第6の実施形態に係る画像判定装置と同様の構成をとることもできる。したがって、本発明の第7の実施形態に係る画像判定装置は、構成に応じて一つ、あるいは、複数の相対値を算出して画像を判定することができる。
以上のように、本発明の第7の実施形態に係る画像判定装置700は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。
したがって、本発明の第7の実施形態に係る画像判定装置700は、従来の画像判定装置のように、SD解像度の画像がアップコンバートされるときにサイドパネルが付加されることを必要とはせず、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、画像の判定をより厳密に行うことができる。
また、本発明の第7の実施形態に係る画像判定装置700は、振幅特性値の標本数に対する第1信頼度と、振幅特性値の平均値の値に対する第2信頼度とに基づいて、相対値に対する第3信頼度を設定することができる。そして、画像判定装置700は、設定した第3信頼度と相対値とに基づいて画像の判定を行うことができる。
したがって、画像判定装置700は、(1)振幅特性値の標本数、(2)振幅特性値の平均値の値、という画像の判定結果の信頼度を低下させる要因を取り除いた上で画像の判定を行うことができるので、画像の判定における信頼度を高めることが可能となる。
(画像判定に係るプログラム)
上述した本発明の第7の実施形態に係る画像判定装置700をコンピュータとして機能させるためのプログラムにより、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、また画像の判定結果の信頼度を低下させる要因を取り除いた上で、画像の判定を行うことができる。
以上、本発明の第1〜第7の実施形態として、画像判定装置を挙げて説明したが、本発明の第1〜第7の実施形態は、係る形態に限られず、テレビ受信機、有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display)とも呼ばれる。)やFED(Field Emission Display;電界放出ディスプレイ)あるいはPDP(Plasma Display Panel;プラズマディスプレイ)などの表示装置、PDA(Personal Digital Assistants)やUMPC(Ultra Mobile Personal Computer)などのコンピュータ、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などの携帯型通信装置などに適用することができる。
(第2の画像判定方法)
次に、本発明の実施形態に係る第2の画像判定方法について説明する。図12は、本発明の実施形態に係る第2の画像判定方法の一例を示す流れ図である。
まず、画像判定装置は、第1の画像判定方法と同様に、入力された画像信号から、複数の周波数帯域の信号を検出する(S200)。ここで、上記信号の検出は、画素ごとに行うことができる。
画像判定装置は、ステップS200において検出された複数の周波数帯域の信号ごとに第1信頼度を設定する(S202)。ここで、ステップS202における第1信頼度の設定は、例えば、振幅特性値が非0(零)の画素の数(標本数)と、所定の閾値との比較により行うことができる。
画像判定装置は、ステップS200において画素ごとに検出された複数の周波数帯域の信号ごとに、振幅特性値の平均値を算出する(S204)。ここで、上記振幅特性値は、振幅の値そのものであってもよいし、また、パワースペクトルとすることもできる。また、平均値の算出方法は、相加平均に限られず、例えば、相乗平均、あるいは、重み付け平均など、様々な算出方法を用いることができる。
画像判定装置は、ステップS204において算出された複数の周波数帯域の信号ごとの平均値に基づいて第2信頼度を設定する(S206)。ここで、ステップS206における第2信頼度の設定は、例えば、平均値と所定の閾値との比較により行うことができる。
画像判定装置は、第1の画像判定方法と同様に、ステップS204において複数の周波数帯域の信号ごとに算出された平均値のうち、一の平均値に対する他の平均値の相対値を算出する(S208)。ここで、相対値は、例えば、上記他の平均値を上記一の平均値で除算して求めることができるし、あるいは、上記他の平均値の対数をとった値から上記一の平均値の対数をとった値を減算して求めてもよい。
画像判定装置は、ステップS202において設定された第1信頼度とステップS206において設定された第2信頼度に基づいて、「第1信頼度=1」および「第2信頼度=1」であるか否かを判定する(S210;第3信頼度の設定/判定)。
ステップS210において、「第1信頼度=1」および「第2信頼度=1」であると判定された場合には、画像判定装置は、第1の画像判定方法と同様に、ステップS208において算出された相対値に基づいて画像を判定する(S212)。そして、画像判定装置は、ステップS212において画像の判定に用いた相対値を記録する(S214)。
また、ステップS210において、「第1信頼度=1」および「第2信頼度=1」ではないと判定された場合には、画像判定装置は、記録された相対値に基づいて画像を判定する(S216)。ここで、ステップS216における判定に用いられる相対値は、例えば、ステップS214において記録される相対値とすることができるが、上記に限られない。
以上のステップS200〜ステップS216に示すように、本発明の実施形態に係る第2の画像判定方法は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用し、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値に基づいて、画像の判定を行うことができる。
また、第2の画像判定方法は、振幅特性値の標本数に対する第1信頼度と振幅特性値の平均値の値に対する第2信頼度とに基づいて相対値に対する第3信頼度を設定することができる。そして、第2の画像判定方法は、設定した第3信頼度と相対値とに基づいて画像の判定を行うことができる。
したがって、本発明の実施形態に係る第2の画像判定方法は、従来の画像判定方法のように、アップコンバート時にサイドパネルが付加される必要はなく、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず、また画像の判定結果の信頼度を低下させる要因を取り除いた上で、画像の判定を行うことができる。
(画像判定装置の適用例)
次に、本発明の実施形態に係る画像判定装置の適用例について説明する。図13は、本発明の実施形態に係る画像判定装置が適用された表示装置1000を示す説明図である。以下では、本発明の実施形態に係る画像判定装置の適用例として、OLEDディスプレイ、FEDなどの表示装置を挙げて説明する。なお、本発明の実施形態に係る画像判定装置は、表示装置に限られず、例えば、PC(Personal Computer)やサーバ(Server)などのコンピュータ、携帯電話などの携帯型通信装置などに適用できることは、言うまでもない。
図13を参照すると、表示装置1000は、画像信号受信部1100と、画像種別判定部1200と、画像処理部1300と、表示部1400とを備えることができる。
また、表示装置1000は、例えば、MPUなどで構成され表示装置1000全体を制御することが可能な表示装置制御部(図示せず)や、表示装置制御部が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(図示せず)、表示装置制御部により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(図示せず)、画像処理部1300が処理した画像などを記憶可能な表示装置記憶部(図示せず)、ユーザが操作可能な表示装置操作部(図示せず)などを備えてもよい。表示装置1000は、例えば、データの伝送路としてのバスにより上記各構成要素間を接続することができる。ここで、表示装置記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。また、表示装置操作部としては、例えば、キーボードやマウスなどの操作入力デバイスや、ボタン、方向キー、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられるが、上記に限られない。
画像信号受信部1100は、例えば、放送局などから送信される画像信号を受信する。なお、画像信号受信部1100が受信する画像信号は上記に限られず、例えば、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して外部装置から送信される画像信号であってもよいし、または、表示装置記憶部(図示せず)に記憶された画像ファイルを表示装置1000が読み出したものであってもよい。また、画像信号受信部1100が受信する画像信号は、静止画像を示すものであってもよいし、または、動画像(いわゆる映像)であってもよい。
画像種別判定部1200は、本発明の実施形態に係る画像判定装置に対応する構成要素であり、入力される画像信号に基づいて、画像信号が示す画像がHD解像度の画像であるか擬似HD解像度の画像であるかを判定することができる。
[画像種別判定部1200の構成例]
画像種別判定部1200は、例えば、画像種別判定値算出部1210と、判定値信頼度設定部1220と、画像判定部1230とを備えることができる。
画像種別判定値算出部1210は、画像を判定するための画像種別判定値を算出することができる。ここで、画像種別判定値算出部1210は、例えば、図11に示す周波数帯域信号検出部110、ノイズ除去部120、平均値算出部130、相対値算出部140に対応する。したがって、画像種別判定値算出部1210は、上記画像種別判定値として、低域の周波数帯域における振幅特性値の平均値に対する中域の周波数帯域における振幅特性値の平均値の相対値(数式1に示すHD度)を算出することができる。
判定値信頼度設定部1220は、上記画像種別判定値に対する信頼度を設定することができる。ここで、判定値信頼度設定部1220は、例えば、図11に示す標本数信頼度設定部710と、平均値信頼度設定部720と、信頼度設定部730とに対応する。したがって、判定値信頼度設定部1220は、相対値(数式1に示すHD度)に対する信頼度を設定することができる。
画像判定部1230は、画像種別判定値算出部1210が算出する画像種別判定値(相対値)と、画像種別判定値に対する信頼度に基づいて画像の判定を行うことができる。ここで、画像判定部1230は、例えば、図11に示す画像判定部740と同様に画像の判定を行うことができる。
画像種別判定部1200は、上記のような構成によって、入力される画像信号に基づいて、画像信号が示す画像がHD解像度の画像であるか擬似HD解像度の画像であるかを判定することができる。なお、図13では、画像種別判定部1200として図11に示す第7の実施形態に係る画像判定装置に対応する構成を示したが、画像種別判定部が図13の構成に限られないことは、言うまでもない。
画像処理部1300は、画像種別判定部1200における画像の判定結果に基づいて画像の処理を行うことができる。ここで、画像処理部1300は、例えば、画像種別判定部1200において画像が擬似HD解像度の画像であると判定された場合には、所定のパラメータで画像の処理を行い、画像がHD解像度の画像であると判定された場合は、画像の処理を行わないとするなど、2値の判定結果に基づいて画像の処理を行うことができる。
また、画像処理部1300は、画像種別判定部1200が算出する相対値(数式1のHD度)の値に基づいて処理を行うためのパラメータを適宜選択し、当該選択されたパラメータに応じて処理を変えることもできる。ここで、上記パラメータの選択は、例えば、画像処理部1300がパラメータを選択するパラメータ選択部(図示せず)を備えることで実現することができる。パラメータ選択部(図示せず)は、例えば、相対値とパラメータが対応付けられたルックアップテーブル(Look Up Table)を用いて画像種別判定部1200が算出する相対値に応じたパラメータを選択することができるが、上記に限られない。なお、パラメータの選択手段は上記に限られず、例えば、画像処理装置1000が画像処理部1300とは別体のパラメータ選択部(図示せず)を備えていてもよい。
さらに、画像処理部1300は、画像種別判定部1200における画像の判定結果に基づいて、例えば、画像の輪郭を強調させる処理(以下、「エンハンス処理」という。)、コントラスト処理、ノイズを低減させるノイズ・リデュースなどの様々な処理を行うこともできる。
表示部1400は、画像処理部1300で処理された画像信号に基づいた画像を表示することができる。
図13に示すように、表示装置1000は、入力された画像信号に基づいて画像の判定を行い、画像の判定結果に基づいて画像処理を行うことができる。したがって、表示装置1000は、入力される画像信号に応じた処理を行うことができるので、より高画質な画像を表示することができる。
以上のように、本発明の実施形態に係る画像判定装置が適用された装置は、入力された画像信号に基づいて画像の判定を行い、画像の判定結果に基づいて画像処理を行うことができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記本発明の第1〜第7の実施形態に係る画像判定装置では、平均値を算出する平均値算出部を設けたが、かかる構成に限られず、中央値(median)を算出する中央値算出部とすることもできる。相対値の算出を、平均値ではなく、中央値を用いて算出したとしても、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用することができるので、画像判定装置は、画像の判定を行うことができる。
また、上記本発明の第1〜第5、第7の実施形態に係る画像判定装置は、上記本発明の第6の実施形態に係る正規化処理部610を備えていない構成を示したが、かかる構成に限られず、上記本発明の第1〜第5の実施形態に係る画像判定装置が正規化処理部を備えてもよい。上述のように、正規化処理部は、相対値を常に0≦相対値≦1の範囲の正規化された相対値に補正するので、正規化処理部を備えた画像判定装置は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用して画像の判定を行うことができる。
さらに、上記本発明の第1〜第7の実施形態に係る画像判定装置では、ノイズ除去部を備える構成を示したが、かかる構成に限られず、ノイズ除去部を備えない構成とすることもできる。上述のように、本発明に係る画像判定装置は、図2に示されるようなHD解像度の画像と擬似HD解像度の画像との周波数振幅特性の差異を利用して画像の判定を行うので、ノイズの影響を受けたとしても、画像がいかなるアップコンバートの方式によってアップコンバートされたかによらず画像の判定を行うことができる。
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。