JP5190893B2 - ベンゾキサゾール誘導体 - Google Patents

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本発明は、コンフォメーション病の診断プローブ、特に画像診断プローブ、詳細には、陽電子放出核種により標識されたプローブ、ならびに該プローブを含む画像診断用組成物に関する。さらに、本発明は、例えば、脳材料中のアミロイドβ蛋白および神経原線維変化の検出・染色、例えば、アルツハイマー病患者脳における老人斑の検出・染色、ならびにコンフォメーション病の予防および/または治療用の医薬組成物にも関する。また、本発明は、上記プローブを含むコンフォーメーション病診断組成物などにも関する。
コンフォメーション病特有のβシート構造をとった蛋白が蓄積する疾患には、体内の種々の器官や組織への不溶性原線維性蛋白の沈着を特徴とする種々の疾病がある。これらの疾病には、アルツハイマー病、プリオン病、レビー小体病、パーキンソン病、ハンチントン病、球脊髄性筋萎縮症、歯状核・淡蒼球ルイ体萎縮症、脊髄・小脳変性症、Machado−Joseph Disease、Amyophic Lateral Sclerosis(ALS), ダウン症候群、ピック病、FTDP−17(Frontotemporal Dementia and Parkinsonism linked to Chromosome 17)、LNTD(Limbic Neurofibrillary Tangle Demetia)、Sudanophiloc Leukodystrophy、アミロイドーシス等が含まれる。
このうち、アルツハイマー病(AD)は、現在最も治療の困難な疾病の1つとされており、正確な早期診断が望まれている疾患である。アルツハイマー病は、主として、初老期から老年期にかけて起こる進行性の認知症を特徴とする疾患である。病理学的には、大脳の全体的な萎縮、神経細胞の著しい変性と脱落、神経原線維変化と老人斑の出現を特徴とする。アルツハイマー病に代表される認知症の最大のリスクファクターは、加齢であることが知られている。したがって、老齢人口の増加に伴う患者の増加は、特に、高齢化社会となっている日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国において顕著であり、それに対する医療コストは、これらの国の医療システムを危機におとしめている。
なお、我が国においては、アルツハイマー病患者数は、約100万人と推定され、今後人口の高齢化に伴い、その患者数は増大することが確実視されている。アルツハイマー病患者にかかわる費用は、介護費用を含めると年間患者1人あたり100万円から300万円を考えられていることから、すでに我が国では1兆円から3兆円の社会経済コストを払っていることになる。アルツハイマー病において症状が、顕在化する以前ないしは、できるだけ早期に治療を加えることは、大きな医療経済効果をもたらすことはいまや世界の常識となっている。
現在のアルツハイマー病診断方法は、各種あるが、我が国においては、長谷川式、ADAS、MMSE等の、アルツハイマー病が疑われる個体の認知機能の低下を定量的に評価する方法が一般的であり、まれに画像診断法(MRI、CT等)が補助的に用いられている。しかし、これらの診断法では、病気を確定するには不十分であり、確定診断には生前における脳の生検(バイオプシー)、死後脳の病理組織学的検査が必要である。このように、アルツハイマー病の診断法についても精力的な研究が行われているにもかかわらず、それほどの進歩がみられないでいる。多くの研究の結果、最初の臨床症状が現れるかなり以前(長い場合は約40年前)にはすでにアルツハイマー病特徴的な神経変性が始まっていることが判ってきた。また、同病においては、患者を取り巻く家族または臨床家が最初の臨床症状に気づいた時には、すでに脳内病理像は取り返しのつかない状態まで進行していることが知られている。上述のような病状の進行特性および患者数の激増を考え合わせあると、アルツハイマー病の正確な早期診断の必要性ならびに意義は極めて大きい。
アルツハイマー病の病理組織像は、2つの主徴に代表される。すなわち、老人斑および神経原線維変化である。前者の主構成成分は、βシート構造をとったアミロイドβ(Aβ)蛋白であり、後者のそれは、過剰リン酸化されたアミロイドβ蛋白である。アルツハイマー病の確定診断は、これらの病理学的特徴が患者脳内に出現することをよりどころとしている。
アミロイドβ蛋白はアルツハイマー病を包含するコンフォーメーション病に特徴的であり、密接な関連性を有している。したがって、体内、特に、脳内にβシート構造をとったアミロイドβ蛋白をマーカーとして検出することが、コンフォメーション病、特に、アルツハイマー病の重要な診断方法の1つになる。アルツハイマー病をはじめとするアミロイドが蓄積する疾患の診断を目的として、体内、特に脳内アミロイドβ蛋白に特異的に結合し、これを染色する物質の検索が従来から行われている。かかる物質としては、コンゴーレッド(非特許文献1参照)およびチオフラビンS(非特許文献2参照)、チオフラビンT(非特許文献3参照)ならびにクリサミンGおよびその誘導体(特許文献1および特許文献2参照)等が知られているが、アミドロイドβ蛋白に対する結合特異性、血液−脳関門透過性、溶解度、毒性等の面から問題が少なくない。本発明者らは、アミロイドβ蛋白に対して特異性が高く、血液−脳関門透過性、溶解度が大きく、毒性が小さい等の特徴を有する種々の化合物を見出している(特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7参照)。
脳内蛋白がβシート構造をとることによって、その蛋白自身が病因となる疾患が知られている。アルツハイマー病においては、アミロイドβ蛋白およびタウ蛋白がβシート構造をとることによって、蛋白自身が病因または病因の一部となっていると考えられている。Yankerらはアミロイドβ蛋白にβシート構造をとらせることにより神経細胞毒性を発揮することを初めて報告した(非特許文献4参照)。その後、多くの追試が行われ、βシート構造をとったアミロイドβ蛋白が、神経細胞毒性を有することが確認された。このようにβシート構造をとったアミロイドβ蛋白、タウ蛋白に神経細胞毒性が見られることから、その細胞毒性を抑制する化合物は蛋白自身がβシート構造をとることによって病因、または病因の一部となる疾患、すなわちコンフォーメーション病、例えば、アルツハイマー病の治療薬になりうることが示唆される。しかしながら、かかる治療薬の開発も十分な成果が得られていないのが現状である。
したがって、アルツハイマー病をはじめとするコンフォーメーション病の診断、アミロイドβ蛋白の特異的染色剤、ならびにコンフォーメーション病の治療および予防のための、アミロイドβ蛋白に対する特異性の高い化合物に対する必要性が高まっている。
アルツハイマー病のもう1つの病理組織学主徴は神経原線維変化およびその主構成成分である過剰リン酸化されたタウ蛋白であるが、一般的にこれらはアミロイドβ蛋白よりは遅れて実現すると考えられている。しかし、神経原線維変化はアミロイドβ蛋白に比し痴呆の程度とよく相関すると考えられている(非特許文献5および非特許文献6参照)。
また、アルツハイマー病以外にタウ蛋白の脳内蓄積を主徴とする疾病(タウオパチイ)には、ピック病、進行性核上性麻痺(PSP)などがあげられる。これらの疾病もコンフォーメーション病に含まれる。
このようにタウ蛋白はアルツハイマー病を包含するタウ蛋白が蓄積する疾患に特徴的であり、密接な関連を有している。従って体内、特に脳内でβシート構造をとったタウ蛋白をマーカーとして検出することが、タウ蛋白が蓄積する疾患、特にアルツハイマー病の重要な診断法の1つとなる。
アルツハイマー病をはじめとするタウが蓄積する疾患の診断を目的として、体内、特に脳脊髄液中のタウを定量する方法が2、3のグループから報告されている(非特許文献7および非特許文献8参照)。しかし、非侵襲的にインビボでのタウを定量することを目的としたプローブは世界的にみても全く見当たらない。
したがって、アルツハイマー病をはじめとする神経原線維変化が病因または病因の一部となる疾患の診断や治療のための、あるいは神経原線維変化を染色するための、神経原線維変化に対する特異性の高い化合物に対する必要性が高まっている。
これまでアミロイドβ蛋白および神経原線維変化に対する特異性の高い化合物が報告されてきた(特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11参照)。これらの化合物をインビボにおいて、特にヒト患者の体内において使用する場合、変異原性が極めて低いか、あるいはないことが望ましい。またあるいは骨集積が極めて少ないか、あるいはないことが望ましい。したがって、変異原性が極めて低いか、あるいはない、および/または骨集積が極めて少ないか、あるいはないコンフォーメーション病診断用プローブとして使用できる化合物の検索が必要である。
特許文献1:国際特許出願PCT/US96/05918明細書
特許文献2:国際特許出願PCT/US98/07889明細書
特許文献3:特願平第2000−080082号明細書
特許文献4:特願平第2001−080083号明細書
特許文献5:特願平第2001−76075号明細書
特許文献6:国際特許出願PCT/JP01/02204明細書
特許文献7:国際特許出願PCT/JP01/02205明細書
特許文献8:国際特許出願PCT/JP03/01783明細書
特許文献9:国際特許出願PCT/JP03/15269明細書
特許文献10:国際特許出願PCT/JP03/15229明細書
特許文献11:国際特許出願PCT/JP03/01546明細書
非特許文献1:Puchtlerら、Journal of Histochemistry、第10巻、35頁、1962年
非特許文献2:Puchtlerら、Journal of Histochemistry、第77巻、431頁、1983年
非特許文献3:LeVine、Protein Science、2巻、404−410ページ
非特許文献4:Yanknerら、Science、245巻、417−420ページ、1989年
非特許文献5:Braak H and Braak E、Acta Neuropathol、82巻、239−259ページ、1991年
非特許文献6:Wischikら、Neurobiology of Alzheimer’s Disease、103−206ページ、Oxford University Press、 Oxford、2001年
非特許文献7:Ishiguroら、Neufosci.Lett.、270巻、81−84ページ、1999年
非特許文献8:Itohら、Ann.Neurol.、50巻、150−156ページ、2001年
本発明は上記事情に鑑み、アミロイドβ蛋白および/または神経原線維変化に対する特異性が高く、脳移行性が高く、しかも変異原性が低い、あるいはない、および/または骨集積が極めて少ないか、あるいはないコンフォーメーション病の診断プローブとして使用できる物質を提供するものである。また、本発明は、コンフォーメーション病の画像診断プローブとして用いられる標識されたかかる物質、ならびにかかるプローブを含む画像診断用組成物およびキットをも提供する。さらに、本発明は、脳材料中のアミロイドβ蛋白および神経原線維変化の検出および/または染色方法、そのためのキット、ならびにコンフォーメーション病の予防および/または治療用の医薬組成物も提供する。また、本発明は、コンフォーメーション病の早期診断に有用な化合物、それを含む画像診断用組成物なども提供する。
本発明らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、式(I)
[式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基を示すか、或いは、
、R及びそれらが互いに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環(該含窒素脂肪族環を構成する炭素原子は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子に置き換わっていてもよく、炭素原子が窒素原子で置き換わっている場合には、該窒素原子は、低級アルキル基で置換されていてもよい)を示し、
及びXは、それぞれ独立して、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を示し、
は、−O−低級アルキル基(該アルキル基は、ハロゲン原子で置換されており、さらに、ヒドロキシ基で置換されていてもよい)を示し、
mは、1乃至3の整数を示す]で表される化合物(ただし、Rがハロゲン原子のみで置換された−O−低級アルキル基であり、かつ、R及びRがそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基である場合を除く)又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、アミロイドβ蛋白および/または神経原線維変化に対する特異性が高く、脳移行性が高く、しかも変異原性が低いか、あるいはない、コンフォーメーション病の診断プローブとして使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
特に、一方の末端にモルホリノ基を有する本発明の化合物は、変異原性が極めて低いか、あるいは、実施例に示すように変異原性が認められないものである。かかる変異原性の低い、あるいは無い化合物群を包含することは本発明の1つの特徴である。
また、もう一方の末端に、−O−低級アルキル基(該アルキル基は、ハロゲン原子で置換されており、さらに、ヒドロキシ基で置換されていてもよい)を有する化合物は、骨集積が低い、或いは、極めて低いものが多い。かかる骨集積の低い、或いは極めて低い化合物を包含することは本発明の1つの特徴である。
本発明は、式(I)で表される化合物のうち、一方の末端にモルホリノ基を有し、及び/又は他の末端に、−O−低級アルキル基(該アルキル基は、ハロゲン原子で置換されており、さらに、ヒドロキシ基で置換されていてもよい)で表される基を有することにより、従来のアミロイドPETプローブと比較して、より安全性の高い化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供するものである。
それゆえ、本発明の化合物はきわめて安全性の高いものである。また、本発明の化合物は、アミロイドβ蛋白を特異的かつ鮮明に染色することから、特に、アルツハイマー病、ダウン症候群などの正確な早期診断を可能にするものといえる。さらに本発明の化合物は、脳移行性、すなわち、血液−脳関門透過性も高い。これらの特徴から、本発明の化合物を用いて、インビボにおける、特に、ヒト患者における非侵襲性の早期診断が可能となる。
アミロイドPETプローブ診断用薬剤として、例えば、WO2004/035522には、多くのベンゾキサゾール誘導体が開示されている。しかしながら、この明細書には、一方の末端がモルホリンである化合物は開示されていないし、また、他方の末端が、−O−低級アルキル基(該低級アルキル基は、ハロゲン原子で置換されており、さらに、ヒドロキシ基で置換されている)である化合物も開示されていない。
本発明は、アミロイドβ蛋白および/または神経原線維変化に対する特異性が極めて高く、血液−脳関門透過性が高く、しかも変異原性が低いか、あるいはない、極めて安全性の高い化合物を提供する。また、本発明は、アミロイドβ蛋白および/または神経原線維変化に対する特異性が極めて高く、血液−脳関門透過性が高く、しかも、骨への集積が低い、或いは、ほとんどない、極めて安全性の高い化合物を提供する。したがって、本発明の化合物を用いて、コンフォーメーション病の診断、治療および/または予防を行うことができる。また、本発明によれば、コンフォーメーション病の画像診断、特にPETを用いた画像診断も可能となる。したがって、本発明により、コンフォーメーション病の早期における正確な診断、効果的な治療および予防が可能となる。
図1はアミロイドβ蛋白が蓄積するTgマウス(Tg2576)にTHK−097(0.2mg/kg)を静脈内投与した際の蛍光顕微鏡画像(エクスビボ)である。 図2はアミロイドβ蛋白が蓄積するTgマウス(Tg2576)にTHK−525(4mg/kg)を静脈内投与した際の蛍光顕微鏡画像(エクスビボ)である。白抜き矢印は、アミロイドβ蛋白を示す。 図3はアミロイドβ蛋白が蓄積するTgマウス(APPswe2576/TauJPL3)にTHK−727(4mg/kg)を静脈内投与した際の蛍光顕微鏡画像(エクスビボ)である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図4はアミロイドβ蛋白が蓄積するTgマウス(Tg2576)にTHK−702(4mg/kg)を静脈内投与した際の蛍光顕微鏡画像(上段パネル)および同一切片の抗アミロイドβ(Aβ)抗体染色像(下段パネル)。 図5は図4の拡大顕微鏡像を示す。A、B、Cはそれぞれ図4のA、B、Cに対応する。白および黒矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図6はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−097(左パネル)染色像および抗アミロイドβ(Aβ)抗体染色像(右パネル:左パネルの隣接切片)である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図7はアルツハイマー病患者脳切片における THK−184染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図8はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−185染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白、白抜きアローヘッドは神経原線維変化を示す。 図9はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−203染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図10はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−207染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図11はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−248染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図12はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−254染色像である。白抜きアローヘッドは神経原線維変化を示す。 図13はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−258染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白、白抜きアローヘッドは神経原線維変化を示す。 図14はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−262染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図15はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−276染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図16はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−281染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図17はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−308染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図18はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−317染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白、白抜きアローヘッドは神経原線維変化を示す。 図19はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−383染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図20はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−385染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図21はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−386染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白、白抜きアローヘッドは神経原線維変化を示す。 図22はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−525(左パネル)染色像および抗アミロイドβ(Aβ)抗体染色像(右パネル:左パネルの隣接切片)である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図23はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−556染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図24はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−558染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図25はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−559染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図26はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−561染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図27はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−562染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図28はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−563染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図29はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−565(左パネル)染色像および抗アミロイドβ(Aβ)抗体染色像(右パネル:左パネルの隣接切片)である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図30はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−585染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図31はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−702染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図32はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−708染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図33はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−727染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を、白抜きアローヘッドは神経原線維変化を示す。 図34はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−752染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図35はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−761染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図36はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−763染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図37はアルツハイマー病患者脳切片におけるTHK−766染色像である。白抜き矢印はアミロイドβ蛋白を示す。 図38は、マウスにおける、18Fで標識されたTHK−702、THK−763、THK−761及びBF−227の2分後、30分後、60分後の骨集積を示したものである。
本発明の化合物は以下に説明する式(I)、(I’)−(VI)で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物である。本明細書において、「本発明の化合物」、「本発明に係る化合物」という場合には、特に断らないかぎり、式(I)、(I’)−(VI)の化合物、ならびにそれらの塩および溶媒和物を包含するものとする。
本明細書において、「低級アルキル基」とは、炭素数1乃至6の直鎖又は分岐を有するアルキル基を意味し、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基等が挙げられる。
本明細書において、「シクロアルキル基」とは、炭素数3乃至7のシクロアルキル基を意味し、具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられる。
本明細書において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
本明細書において、「アミロイドベータ蛋白」、「アミロイドβ蛋白」、「Aβ蛋白」、「アミロイドベータ」、「アミロイドβ」、「Aβ」は同義である。
本発明の化合物中の2つの環の間に二重結合が存在する場合には、シス、トランス双方の異性体が存在しうる。
また、本発明の化合物中に、不斉炭素原子が存在する場合には、異性体の混合物、それらの個々の異性体も本発明の化合物に包含される。
例えば、本発明の化合物に不斉炭素が1つ存在する場合には、光学的に活性な化合物は、それぞれを別個に合成するか、或いは、カラムクロマトグラフィーによって、各々の光学異性体を分離することができる。
カラムクロマトグラフィーによって、光学異性体を分離する場合、用いられるカラムとしては、例えば、キラルパックAD(ダイセル社製)等が挙げられる。
また、用いられる溶媒としては、通常異性体を分離するのに用いられる溶媒であればよく、例えば、クロロホルム、アセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、水等を単独で用いるか、或いは、これらの溶媒を2又はそれ以上組み合わせて用いることもできる。
本発明に係る式(I)
[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合物について、さらに、具体的に開示するために、式(I)において用いられる各種記号について、具体例を挙げて説明する。
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基を示すか、或いは、R、R及びそれらが互いに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環(該含窒素脂肪族環を構成する炭素原子は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子に置き換わっていてもよく、炭素原子が窒素原子で置き換わっている場合には、該窒素原子は、低級アルキル基で置換されていてもよい)を示す。
及びRが示す「低級アルキル基」とは、前記定義の低級アルキル基と同様の基を意味し、中でも、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
及びRが示す「シクロアルキル基」とは、前記定義のシクロアルキル基と同様の基を意味する。
、R及びそれらが互いに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環(該含窒素脂肪族環を構成する炭素原子は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子に置き換わっていてもよく、炭素原子が窒素原子で置き換わっている場合には、該窒素原子は、低級アルキル基で置換されていてもよい)としては、具体的には、例えば、
[式中、Zは、O、S、CH又はNRであり、Rは、水素又はC1−4アルキル基を示す]で表される基等が挙げられ、これらのうち、モルホリノ基が好ましい。
[式中、各記号は前記に同じ]で表される基としては、ジメチルアミノ基又はメチルアミノ基、モルホリノ基が好ましく、ジメチルアミノ基又はモルホリノ基がより好ましい。
は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を示すが、これらのうち、酸素原子が好ましい。
は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を示すが、これらのうち、硫黄原子が好ましい。
mは、1乃至3の整数を示すが、これらのうちmが1である場合が好ましい。
は、−O−低級アルキル基(該アルキル基は、ハロゲン原子で置換されており、さらに、ヒドロキシ基で置換されていてもよい)を示すが、これらのうち、ハロゲン原子で置換された−O−低級アルキル基又はハロゲン原子及びヒドロキシ基で置換された−O−低級アルキル基が好ましく、
で表される基がより好ましい。
本発明の化合物、その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のうち、好ましいものは、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のうち、式(I)中の
で表される基が、モルホリノ基である場合、又は、式(I)中のRが、
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である場合がより好ましい。
式(I)中の

で表される基が、モルホリノ基を有する化合物は、変異原性が極めて低いか、或いは実施例に示すように変異原性が認められなかった。
また、
式(I)中のRが、
である基を有する化合物は、実施例に示すように、骨集積がほとんど認められないか、極めて低いものである。
さらに、実施例に示すように、これらの化合物、その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、Aβに対する特異性が高く、そのうえ、毒性が低く、また、脳内移行性が高く、一定時間経過後、速やかに脳から大部分の薬剤が消失する。
したがって、本発明の化合物は、コンフォーメーション病の画像診断のための、安全なプローブとして使用することができる。
また、本発明は、式(I)で表される化合物の合成のための前駆体として使用される化合物も提供する。当業者は、かかる前駆体を目的とする本発明の化合物から容易に設計することができ、その合成をすることができる。あるいは、かかる前駆体は市販されているものを修飾することによっても得ることができる。
該前駆体としては、例えば、式(I’)
[式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基を示すか、或いは、
、R及びそれらが互いに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環(該含窒素脂肪族環を構成する炭素原子は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子に置き換わっていてもよく、炭素原子が窒素原子で置き換わっている場合には、該窒素原子は、低級アルキル基で置換されていてもよい)を示し、
及びXは、それぞれ独立して、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を示し、
は、−O−低級アルキル基(該アルキル基は、トシル基で置換されており、さらに、ヒドロキシ基で置換されていてもよい)を示し、
mは、1乃至3の整数を示す]で表される化合物(ただし、Rがハロゲン原子のみで置換された−O−低級アルキル基であり、かつ、R及びRがそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基である場合を除く)又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が挙げられる。
式(I’)中のR、R、X、Xは、式(I)と同様である。
のうち、
で表される基が好ましい。
本発明のさらなる化合物は、式(II)
[式中、
Gはフラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾールまたはインドール環であり;
上記環はハロゲン、OH、COOH、SOH、NO、SH、NR、C1−6アルキル、O−C1−6アルキル、CNまたはC=Oで置換されていてもよく;
は水素、ハロゲン、OH、COOH、SOH、NO、SH、NR、C1−6アルキル、O−C1−6アルキル、CNまたはC=Oであり;
は水素、ハロゲン、OH、COOH、SOH、NO、SH、NR、C1−6アルキル、O−C1−6アルキル、CN、C=O、ピロリジン環、または
であり;
およびRは独立して水素またはC1−4アルキルであり;
pは1ないし4の整数であり;
IIはO、CH、N−Re'であり;
e'は水素またはC1−4アルキルであり、
上記アルキルはハロゲンで置換されていてもよい]で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物である。
好ましい式(II)の化合物の置換基は以下のとおりである:
好ましいGはフラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンまたはインドール環であり;
上記環はハロゲン、C1−6アルキルまたはO−C1−6アルキルで置換されていてもよく;
好ましいRは水素であり;
好ましいRは水素またはNRまたは
であり;
好ましいZIIはOであり;
好ましいRおよびRは独立して水素またはメチルであり;
pは1ないし4の整数であり;
上記アルキルはハロゲンで置換されていてもよい。
式(II)の化合物のうち、Rがモルホリン環であるものは、変異原性が極めて低いか、あるいはないので、より好ましい化合物である。かかる式(II)の化合物はTHK−383、THK−384、THK−385、THK−386およびTHK−387などである。アミロイドβに対する特異性が高い式(II)の化合物はTHK−258、THK−262、THK−383、THK−385およびTHK−386などである。したがって、アミロイドβに対する特異性が高く、変異原性が極めて低いか、あるいは無い式(II)の化合物は、THK−383、THK−385およびTHK−386などである。
本発明のさらなる化合物は、式(III)
[式中、
IIIおよびYIIIは独立してCHまたはC=Oであり;
は水素、ハロゲン、OH、COOH、SOH、NO、SH、NR、C1−6アルキル、O−C1−6アルキル、CNまたはC=Oであり;
およびRは独立して水素またはC1−4アルキルであり;
*には下記の部分が結合し:
または
Lは
または
であり;
IIIおよびBIIIは独立してCHまたはNであり;
10、R11、R12、R14は独立して水素、ハロゲン、OH、COOH、SOH、NO、SH、NRII、C1−6アルキル、O−C1−6アルキル、CN、C=O、ピロリジン環、または
であり;
13は水素、ハロゲンまたはC1−4アルキルであり;
10'、R11'、R12'、R14'は独立して水素、ハロゲンまたはC1−4アルキルであり;
rは0ないし2の整数であり;
a'は1ないし4の整数であり;
b'は1または2の整数であり;
c'は1ないし4の整数であり;
d'は1ないし4の整数であり;
IIIはO、CH、N−Re''であり;
e''は水素またはC1−4アルキルであり、
上記アルキルはハロゲンで置換されていてもよく;
2つの環部分をつなぐ二重結合まわりの配置は、可能な場合はシス型、トランス型のいずれであってもよい]で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物である。
好ましい式(III)の化合物の置換基は以下のとおりである:
好ましくはXIIIおよびYIIIの一方または両方がC=Oであり;
好ましいRは水素であり;
*には下記の部分が結合し:
または
Lは
または
であり;
好ましいAIIIおよびBIIIはCHであり;
好ましいR10、R11、R12、R14は独立して水素、C1−6アルキルまたはモルホリン環であり;
好ましいR13は水素またはメチルであり;
好ましいR10'、R11'、R12'、R14'は独立して水素またはC1−4アルキルであり;
好ましいrは0または1の整数であり;
置換基が水素以外の場合の好ましいa'、b'、c'、d'は独立して1または2の整数であり;
上記アルキルはハロゲンで置換されていてもよく;
2つの環部分をつなぐ二重結合まわりの配置は、可能な場合にはシス型、トランス型のいずれであってもよい。
式(III)の化合物のうち、R10、R11、R12またはR14がモルホリン環であるものは、変異原性が極めて低いか、あるいはないので、より好ましい化合物である。アミロイドβに対する特異性が高い式(III)の化合物はTHK−184およびTHK−248などである。
本発明のさらなる化合物は、式(IV):
[式中、
IVはNまたはNRIVであり;
NRIVは水素またはC1−4アルキルであり;
IVはCHまたはC=Oであり;
破線は存在してもよい一重結合であり;
**には下記の部分が結合し:
または
IV
または
であり;
IVおよびBIVは独立してCH、CCHまたはNであり;
15、R16、R17、R19は独立して水素、ハロゲン、OH、COOH、SOH、NO、SH、NR、C1−6アルキル、O−C1−6アルキル、CN、C=O、ピロリジン環、または
であり;
およびRは独立して水素またはC1−4アルキルであり;
18は水素、ハロゲンまたはC1−4アルカリであり;
15'、R16'、R17'、R19'は独立して水素、ハロゲンまたはC1−4アルカリであり;
r'は0ないし2の整数であり;
a''は1ないし4の整数であり;
b''は1または2の整数であり;
c''は1ないし4の整数であり;
d''は1ないし4の整数であり;
IVはO、CH、N−Re'''であり;
e'''は水素またはC1−4アルキルであり、
上記アルキルはハロゲンで置換されていてもよく;
2つの環部分をつなぐ二重結合まわりの配置は、可能な場合はシス型、トランス型のいずれであってもよい]で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物である。
好ましい式(IV)の化合物の置換基は以下のとおりである:
好ましいXIVはN、NHまたはNCHであり;
好ましいYIVはCHまたはC=Oであり;
破線は存在してもよい一重結合であり;
**には下記の部分が結合し:
または
IV
または
であり;
好ましいAIVおよびBIVは独立してCHまたはNであり;
15、R16、R17、R19は水素、NH、N(CHまたはモルホリン環
であり;
好ましいR18は水素であり;
好ましいR15'、R16'、R17'、R19'は独立して水素またはC1−4アルカリであり;
好ましいr'は1であり;
a''は1ないし4の整数であり;
b''は1または2の整数であり;
c''は1ないし4の整数であり;
d''は1ないし4の整数であり;
IVはO、CH、N−Re'''であり;
e'''は水素またはC1−4アルキルであり、
上記アルキルはハロゲンで置換されていてもよく;
2つの環部分をつなぐ二重結合まわりの配置は、可能な場合はシス型、トランス型のいずれであってもよい。
式(IV)の化合物のうち、R15、R16、R17またはR19がモルホリン環であるものは、変異原性が極めて低いか、あるいはないので、より好ましい化合物である。かかる式(IV)の化合物はTHK−276、THK−277およびTHK−308などである。アミロイドβに対する特異性が高い式(IV)の化合物はTHK−185、THK−254、THK−276、THK−308などである。したがって、したがって、アミロイドβに対する特異性が高く、変異原性が極めて低いか、あるいは無い式(IV)の化合物は、THK−276およびTHK−308などである。
本発明のさらなる化合物は、式(V):
[式中、
20は水素またはC1−4アルキル、ピロリジン環、または
であり;
はO、CHまたはN−ReVであり;
eVは水素またはC1−4アルキルである]で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物である。
好ましい式(V)の化合物の置換基は以下のとおりである:
好ましいR20は水素、メチルまたはモルホリン環である。R20がモルホリン環であるものは、変異原性が極めて低いか、あるいはないので、より好ましい化合物である。アミロイドβに対する特異性が高い式(V)の化合物はTHK−317などである。
本発明のさらなる化合物は、式(VI):
[式中、
VIは水素、C1−6アルキル、ハロゲン、またはC1−6アルキル−ハロゲンであり、
VIおよびR VIはそれぞれ独立して水素またはC1−6アルキルであり、
VIは水素またはC1−6アルキルであり、
VIはCHまたは不存在であり、
VIは5員環または6員環で、下記の構造:
または
または
を有し;
VIおよびYVIは独立してNまたはCHであり;
VIはO、S、CHまたはN−C2p+1であり;
VIはNまたはCHであり;
VIはO、S、CHまたはN−C2q+1であり;
VIは水素、C1−6アルキル、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、またはNR VIII VIであり、
VIは水素、C1−6アルキル、またはハロゲンであり、
VI、RII VIはそれぞれ独立して水素またはC1−6アルキルであるか、あるいは一緒になってピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環または窒素原子がC1−3アルキルで置換されていてもよいピペラジン環を形成し、
VIは1ないし4の整数であり;
1' VIは1ないし4の整数であり;
VIは1ないし4の整数であり;
VIは1ないし4の整数であり;
VIは1ないし4の整数であり;
上の式では2つの環部分をつなぐ二重結合まわりの配置がトランス型であるが、この配置はシス型、トランス型のいずれであってもよい]
で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
好ましい式(VI)の化合物の置換基は以下のとおりである:
好ましいR VIは水素、C1−3アルキル、フッ素、塩素もしくは臭素であり、
好ましいR IVおよびR VIはメチルであり、
好ましいR IVは水素であり、
VIはCHまたは不存在であり、
VIは5員環または6員環で、下記の構造:
または
または
を有し;
VIおよびYVIは独立してNまたはCHであり;
好ましいZVIはSであり;
VIはNまたはCHであり;
好ましいJVIはO、SまたはCHであり;
好ましいR VIは水素、N(CHまたはモルホリン環であり;
好ましいR VIはすべて水素であり;
好ましいn VIは1または2の整数であり;
2つの環部分をつなぐ二重結合まわりの配置はシス型、トランス型のいずれであってもよい。
式(VI)の化合物のうち、R VIがモルホリン環であるものは、変異原性が極めて低いか、あるいはないので、より好ましい化合物である。かかる式(VI)の化合物はTHK−330、THK−336、HK−533、THK−651、THK−652、THK−653、THK−655などである。アミロイドβに対する特異性が高い式(VI)の化合物はTHK−556、THK−558、THK−559、THK−561、THK−562、THK−563、THK−565、THK−585などである。
式(I)及び(I’)で表される具体的化合物の例を下表に示す。
[表1−1]
[表1−2]
[表1−3]
[表1−4]
[表1−5]
[表1−6]
[表1−7]
式(II)で表される具体的化合物の例を下表に示す。
[表1−8]
式(III)で表される具体的化合物の例を下表に示す。
[表1−9]

式(IV)で表される具体的化合物の例を下表に示す。
[表1−10]

式(V)で表される具体的化合物の例を下表1に示す。
[表1−11]

式(VI)で表される具体的化合物の例を下表1に示す。
[表1−12]
本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のうち、好ましいものは、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。また、式(I)の化合物の前駆体である式(I’)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物も好ましいものである。
したがって、本発明は:
(1)上記式(I)で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物;
(2)Xが、酸素原子である(1)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(3)Xが、酸素原子であり、かつ、Xが、硫黄原子である(1)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(4)Rがヒドロキシ基及びハロゲン原子で置換された−O−低級アルキル基である(1)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(5)式(I)中の式:
[式中、各記号は前記に同じ]で表される基が、モルホリノ基又はジメチルアミノ基である(1)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(6)R
で表される基である(1)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(7)式(I)で表される化合物が、
6−(2−フルオロ−エトキシ)−2−[2−(2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−ビニル]ベンゾキサゾール、
トルエン−4−スルホニックアシド 2−[2−[2−(2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−ビニル−ベンゾキサゾール−6−イロキシ]エチル エステル、
2−フルオロメチル−3−[2−[2−(2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−ビニル]ベンゾキサゾール−6−イルオキシ]−プロパン−1−オール、
(E)−2−[2−(2−モルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−ジメチルアミノ−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−メチルアミノチアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(2−フルオロメチル−3−ヒドロキシ)プロポキシ]−2−[2−(2−ピペリジノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−(2−ピペリジノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)チアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(2−フルオロメチル−3−ヒドロキシ)プロポキシ]−2−[2−[2−(ピロリジン−1−イル)チアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−(ピロリジン−1−イル)−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−([1,3]オキサジナン−3−イル)−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−ホモピペリジン−1−イル]チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−(2−ホモモルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、、及び
(E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−(2−チオモルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール
からなる群より選択される化合物である(1)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(8)標識された(1)乃至(7)のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(9)標識が放射性核種によるものである、(8)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(10)放射性核種がγ線放出核種である、(9)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(11)標識が陽電子放出核である(8)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(12)陽電子放出核が、11C、13N、15O、18F,62Cu、68Ga及び76Brからなる群より選択されるものである、(11)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(13)陽電子放出核が11C又は18Fである(11)記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(14)(1)乃至(13)のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する医薬組成物;
(15)(1)乃至(13)のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と溶解補助剤とを含む医薬組成物;
(16)溶解補助剤がポリソルベート80、ポリエチレングリコール、エタノール及びプロピレングリコールからなる群より選択されるものである、(15)記載の医薬組成物;
(17)注射剤である(14)乃至(16)のいずれか1項に記載の医薬組成物;
(18)(1)乃至(13)のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する、コンフォーメーション病診断用組成物;
(19)(1)乃至(13)のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する、コンフォーメーション病を治療及び/又は予防するための医薬組成物;
(20)(1)乃至(13)のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を必須の構成要素として含む、コンフォーメーション病診断用キット;
(21)(1)1乃至(13)のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を必須の構成要素として含む、βシート構造をとった蛋白又は神経原線維変化を検出又は染色するための組成物又はキット;
(22)画像診断用である、(20)記載又は(21)記載のキット;
(23)(1)乃至(13)のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを特徴とする、対象におけるコンフォーメーション病の治療及び/または予防方法;
(24)(1)乃至(13)のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを特徴とする、対象におけるコンフォーメーション病の診断方法;
(25)対象におけるコンフォーメーション病の診断用組成物又はキットを製造するための、(1)乃至(13)のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用;
(26)対象におけるコンフォーメーション病の治療及び/又は予防のための医薬組成物を製造するための、(1)乃至(13)のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用;
(27)(1)乃至(13)のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を用いて試料を染色することを特徴とする、試料中のβシート構造をとった蛋白または神経原線維変化を検出又は染色する方法;
(28)試料中のβシート構造をとった蛋白又は神経原線維変化を検出又は染色するための組成物またはキットを製造するための、(1)乃至(13)のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用;
(29)化合物が6−(2−フルオロ−エトキシ)−2−[2−(2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−ビニル]ベンゾキサゾール、2−フルオロメチル−3−[2−[2−(2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−ビニル]ベンゾキサゾール−6−イルオキシ]−プロパン−1−オール、(E)−2−[2−(2−モルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]ベンゾキサゾール又は(E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−ジメチルアミノ−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾールである(21)記載の組成物又はキット、(27)記載の方法、或いは、(28)記載の使用;
(30)式(I’)
[式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基を示すか、或いは、
、R及びそれらが互いに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環(該含窒素脂肪族環を構成する炭素原子は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子に置き換わっていてもよく、炭素原子が窒素原子で置き換わっている場合には、該窒素原子は、低級アルキル基で置換されていてもよい)を示し、
及びXは、それぞれ独立して、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を示し、
は、−O−低級アルキル基(該アルキル基は、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基又はトリフルオロメタンスルホニル基で置換されており、さらに、ヒドロキシ基で置換されていてもよい)を示し、
mは、1乃至3の整数を示す]で表される化合物(ただし、Rがハロゲン原子のみで置換された−O−低級アルキル基であり、かつ、R及びRがそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基である場合を除く);
(31)Rが式
で表される基である(30)記載の化合物;
(32)式(I’)で表される化合物が、
トルエン−4−スルホニックアシド 2−[2−[2−(2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−ビニル−ベンゾキサゾール−6−イロキシ]エチル エステル、
(E)−6−[(3−ヒドロキシ−2−トシロキシメチル)プロポキシ]−2−[2−(2−モルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[2−ヒドロキシ−1−トシロキシメチル)エトキシ]−2−[2−[2−ジメチルアミノ−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(2−ヒドロキシ−1−トシロキシメチル)エトキシ]−2−[2−[2−メチルアミノチアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(3−ヒドロキシ−2−トシロキシメチル)プロポキシ]−2−[2−(2−ピペリジノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、
(E)−6−[(2−ヒドロキシ−1−トシロキシメチル)エトキシ]−2−[2−(2−ピペリジノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、又は
(E)−6−[(1−ヒドロキシメチル−2−トシロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−(ピロリジン−1−イル)−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール
である(30)記載の化合物。
を提供するものである。
次に、本発明に係る化合物の製造方法について説明する。式(I)または(I’)で表される化合物は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
[式中、Xは、ハロゲン原子を示し、Rはジメチルアミノ基、モルホリノ基等を示し、R’は、Rを意味するか、又は、Rがヒドロキシ基を有する場合には、ヒドロキシ基が保護されたRを意味し、Msはメシル(メタンスルホニル)基を示し、他の記号は前記に同じ]
の記号は前記に同じ]
(工程1)
本工程は、化合物(A−1)とアミノ化合物(B−1)とを反応させることにより、化合物(A−2)を製造する方法である。
(A−1)中のXとしては、臭素原子が好ましい。
用いられる化合物(B−1)の量は、化合物(A−1)1当量に対して、通常、1乃至溶媒量である。
本工程における反応時間は、通常1乃至24時間、好ましくは、1乃至10時間である。
本工程における反応温度は、通常50乃至200℃、好ましくは、80乃至150℃である。
本工程における反応溶媒としては、(B−1)を溶媒量用いるか、或いは、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
このようにして得られる化合物(A−2)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
また、化合物(A−2)は、公知化合物を用いるか、或いは、公知化合物を原料として、有機化学の分野において、通常用いられる方法、これに準じた方法により製造することもできる。
(工程2)
本工程は、塩基の存在下、化合物(A−2)と化合物(B−2)とを反応させることにより、化合物(A−3)を製造する方法である。
用いられる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等が挙げられ、これらのうち、リチウムジイソプロピルアミドが好ましい。また、リチウムジイソプロピルアミドは、ブチルリチウム及びジイソプロピルアミンとから、用時調製して使用することもできる。
用いられる塩基の量は、化合物(A−2)1当量に対して、通常0.5乃至10当量、好ましくは、1乃至3当量である。
反応温度は、通常−78℃乃至50℃、好ましくは、−78℃乃至室温である。
反応時間は、通常0.1時間乃至24時間、好ましくは、0.1時間乃至6時間である。
反応溶媒としては、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、1−メチルイミダゾリジノン等が挙げられる。
このようにして得られる化合物(A−3)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、結晶化、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
(工程3)
本工程は、化合物(A−4)と化合物(B−3)とを反応させることにより、化合物(A−5)を製造する方法である。本工程における反応は、いわゆる光延(Mitsunobu)反応であり、ホスフィン化合物及びアゾ化合物の存在下、文献記載の方法(例えば、ミツノブ(Mitsunobu.O)著、「ユース オブ ジエチル アゾジカルボキシレート アンド トリフェニルホスフィン イン シンセシス アンド トランスフォーメーション オブ ナチュラル プロダクツ(The use of diethylazodicarboxylate and triphenylphosphine in synthesis and transformation of natural products)」、シンセシス(synthesis)、第1巻、1981年、p1−28)、それに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
用いられる化合物(A−4)は、公知化合物を用いるか、或いは、公知化合物を原料として、有機化学の分野で通常用いられる方法又はこれに準じた方法により製造したものを用いてもよい。
用いられる化合物(B−3)の量は、化合物(A−4)1当量に対し、通常0.5乃至10当量、好ましくは1乃至5当量である。
本工程において用いられるホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等が挙げられる。
用いられるホスフィン化合物の量は、化合物(A−4)1当量に対して、通常1乃至10当量、好ましくは1乃至5当量である。
用いられるアゾ化合物としては、例えば、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート等が挙げられる。
用いられるアゾ化合物の量は、化合物(A−4)1当量に対して、通常0.5乃至10当量、好ましくは1乃至5当量である。
反応時間は、通常1乃至48時間、好ましくは1乃至24時間である。
反応温度は、通常0℃乃至反応溶媒の還流温度、好ましくは、10乃至50℃である。
本工程において用いられる反応溶媒としては、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン等が挙げられる。
このようにして得られる化合物(A−5)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
(工程4)
本工程は、塩基の存在下、化合物(A−5)と化合物(A−3)とを反応させることにより、化合物(A−6)を製造する方法である。
用いられる塩基の量は、化合物(A−5)1当量に対して、通常0.5乃至10当量、好ましくは、1乃至5当量である。
用いられる塩基としては、例えば、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等が挙げられる。
反応温度は、通常−78℃乃至50℃、好ましくは、−78℃乃至室温である。
反応時間は、通常0.1乃至24時間、好ましくは、0.1乃至6時間である。
反応溶媒としては、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
このようにして得られる化合物(A−6)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は、単離精製することなく、次工程に付すことができる。
(工程5)
本工程は、塩基の存在下、化合物(A−6)とMsClとを反応させることにより、化合物(A−7)を製造する方法である。
用いられる塩基の量は、化合物(A−6)1当量に対して、通常1乃至10当量、好ましくは1乃至5当量である。
用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
用いられるMsClの量は、化合物(A−6)1当量に対して、通常1乃至10当量、好ましくは1乃至5当量である。
反応温度は、通常0℃乃至50℃、好ましくは0℃乃至室温である。
反応時間は、通常0.1時間乃至48時間、好ましくは0.1乃至24時間である。
反応溶媒としては、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
このようにして得られる化合物(A−7)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、単離精製することなく、次工程に付すことができる。
化合物(A−7)中のRにヒドロキシ基の保護基を有していない場合には、化合物(A−7)が、本発明に係る化合物(I)に相当する。
化合物(A−7)中のRにヒドロキシ基の保護基を有する場合には、次工程6を行うことにより、本発明に係る化合物(I)を製造することができる。
(工程6)
本工程は、化合物(A−7)中のRのヒドロキシ基の保護基を除去することにより、本発明に係る化合物(I)を製造する方法である。
のヒドロキシ基の保護基の導入及び該保護基の除去は、文献記載の方法(例えば、プロテクティブ グル−プス イン オ−ガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年、等)、それに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる本発明に係る化合物(I)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
また、工程1で用いられる化合物(B−1)のR1又はRの一方が、水素原子である場合には、化合物(B−1)のアミノ基に保護基を導入し、必要に応じて、該アミノ基の保護基を除去することができる。該アミノ基の保護基の導入及び該保護基の除去は、前記Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年、等に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
前記式(A−7)で表される化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。
(工程7)
本工程は、化合物(A−8)と化合物(B−3)とを反応させることにより、化合物(A−7)を製造する方法である。本工程における反応は、いわゆる光延(Mitsunobu)反応であり、前記工程3と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(A−7)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
前記工程7で用いた化合物(A−8)は、例えば、以下の方法により製造するこができる。
[式中、Proは、水酸基の保護基を示し、他の記号は前記に同じ]
(工程8)
本工程は、塩基の存在下、化合物(A−9)と化合物(A−3)とを反応させることにより、化合物(A−10)を製造する方法である。
用いられる塩基としては、例えば、NaOH等が挙げられる。
用いられる塩基の量は、化合物(A−9)1当量に対して、通常1乃至50当量、好ましくは1乃至20当量である。
反応温度は、通常0℃乃至50℃、好ましくは0℃乃至室温である。
反応時間は、通常1乃至100時間、好ましくは、1乃至30時間である。
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、DMSO、メタノール、エタノール、或いは、これらと水の混合溶媒等が挙げられる。
このようにして得られる化合物(A−10)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
(工程9)
本工程は、化合物(A−10)の有するヒドロキシ基の保護基を除去することにより、化合物(A−8)を製造する方法である。該ヒドロキシ基の保護基の除去は、前記Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年、等に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(A−8)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
また、本発明に係る化合物(I−2)
[式中、C1−6alkylは、炭素数1乃至6の直鎖または分岐のアルキル基を示し、他の記号は前記に同じ]で表される化合物は、例えば、以下の式(A−11)
[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合物を用いて製造することができる。
(工程10)
本工程は、化合物(A−4)と化合物(B−4)とを反応させることにより、化合物(A−11)を製造する方法である。
本工程における反応は、前記工程3と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより製造することができる。
用いられる化合物(B−4)の量は、化合物(A−4)1当量に対し、通常0.5乃至10当量、好ましくは1乃至5当量である。
このようにして得られる化合物(A−11)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
式(I)に包含される化合物(I−2)は、前記化合物(A−11)を用いて、前記工程4、5、6と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより製造することができる。
また、本発明に係る式(I)に包含される式(I−3)
[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合物は、例えば、以下の方法によって製造される化合物(A−17)から合成することができる。
[式中、Proは、ヒドロキシ基の保護基を示し、Bnはベンジル基を示し、他の記号は前記に同じ]
(工程11)
本工程は、化合物(A−4)と化合物(B−5)とを反応させることにより、化合物(A−12)を製造する方法である。本工程における反応は、いわゆる光延(Mitsunobu)反応であり、前記工程3又は7と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
用いられる化合物(B−5)の量は、化合物(A−4)1当量に対し、通常0.5乃至10当量、好ましくは1乃至5当量である。
化合物(B−5)は、市販の化合物を用いるか、グリセロールを原料として、当業者に周知の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより製造することができる。
このようにして、得られる化合物(A−12)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
(工程12)
本工程は、化合物(A−12)の有するヒドロキシ基の保護基を除去することにより、化合物(A−13)を製造する方法である。
ヒドロキシ基の保護基の除去は、前記Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年、等に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができ、例えば、ヒドロキシ基の保護基として、Bn(ベンジル)基を用いた場合には、水素雰囲気下、Pd−Cを用いることにより当該保護基を除去することができる。
このようにして得られる化合物(A−13)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
(工程13)
本工程は、化合物(A−13)の2つのヒドロキシ基のうちの1つを保護して、化合物(A−14)を製造する方法である。
本工程における保護基の導入は、前記Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年、等に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができ、保護基としては、例えば、TBS(tert−ブチルジメチルシリル)基等が挙げられる。
このようにして得られる化合物(A−14)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
(工程14)
本工程は、塩基の存在下、化合物(A−14)とMsClとを反応させることにより、化合物(A−15)を製造する方法である。
用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等が挙げられる。
用いられる塩基の量は、化合物(A−14)1当量に対して、通常1乃至10当量、好ましくは1乃至5当量である。
用いられるMsClは、化合物(A−14)1当量に対して、通常1乃至10当量、好ましくは1乃至5当量である。
反応温度は、0℃乃至室温である。
反応時間は、0.1時間乃至10時間、好ましくは0.1時間乃至5時間である。
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
このようにして得られる化合物(A−15)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
(工程15)
本工程は、化合物(A−15)にフッ素原子を導入し、かつ、ヒドロキシ基の保護基であるTBS基を除去することにより、化合物(A−16)を製造する方法である。
フッ素原子の導入及びTBS基の除去は、TBAF(テトラブチルアンモニウムフルオライド)を用いることにより行うことができる。
用いられるTBAFの量は、化合物(A−15)1当量に対して、通常1乃至50当量、好ましくは、1乃至20当量である。
反応温度は、通常0℃乃至50℃、好ましくは、0℃乃至室温である。
反応時間は、通常1乃至48時間、好ましくは、1乃至24時間である。
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
このようにして得られる化合物(A−16)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程16)
本工程は、化合物(A−16)の有するヒドロキシ基に保護基を導入することにより、化合物(A−17)を製造する方法である。
ヒドロキシ基の保護基の導入は、前記Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年、等に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(A−17)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
本発明に係る化合物(I−3)は、化合物(A−17)を原料として、前記工程4、5及び6と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより製造することができる。
本発明に係る式(I−3)
[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合物又は式(I’−1)
[式中、Tsはトシル(p−トルエンスルホニル基)を示し、他の記号は前記に同じ]で表される化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。
[式中、各記号は前記に同じ]
(工程19)
本工程は、化合物(A−13)と2,2−ジメトキシプロパンとを反応させて、化合物(A−18)を製造する方法である。本工程における反応は、前記Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年、等に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(A−18)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程20)
本工程は、塩基の存在下、化合物(A−18)と化合物(A−3)とを反応させることにより、化合物(A−19)を製造する方法である。本工程における反応は、前記工程8と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(A−19)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程21)
本工程は、化合物(A−19)の有するジオールの保護基を除去することにより、化合物(A−20)を製造する方法である。
本工程における反応は、前記Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年、等に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(A−20)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程22)
本工程は、塩基の存在下、化合物(A−20)とp−トルエンスルホン酸無水物とを反応させることにより、本発明に係る化合物(I’−1)を製造する方法である。
用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
また、反応系中に、ジメチルアミノピリジン等を触媒量加えてもよい。
用いられる塩基の量は、化合物(A−20)1当量に対して、通常1乃至10当量、好ましくは、1乃至5当量である。
用いられるp−トルエンスルホン酸の量は、化合物(A−20)1当量に対して、通常0.5乃至1当量である。
反応温度は、通常室温乃至溶媒の沸点温度、好ましくは、50℃乃至80℃である。
反応時間は、通常1乃至48時間、好ましくは、1乃至24時間である。
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
このようにして得られる化合物(I’−1)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程23)
本工程は、化合物(I’−1)をTBAFとを反応させることにより、本発明に係る化合物(I−3)を製造する方法である。
本工程における反応は、前記工程15と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(I−3)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
また、本発明に係る式(I’−2)
[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合物は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
[式中、R"OHは、
を意味し、他の記号は前記に同じ]
(工程24)
本工程は、化合物(A−4)と化合物(B−6)とを反応させることにより、化合物(A−21)を製造する方法である。
本工程における反応は、いわゆる光延(Mitsunobu)反応であり、前記工程3と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(A−21)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程25)
本工程は、塩基の存在下、化合物(A−21)と化合物(A−3)とを反応させることにより、化合物(A−22)を製造する方法である。
本工程は、前記工程8、20等と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(A−22)は、公知に分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程26)
本工程は、化合物(A−22)を酸で処理することにより、化合物(A−23)を製造する方法である。
本工程における反応は、前記Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年、等に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(A−23)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程27)
本工程は、塩基の存在下、化合物(A−23)とp−トルエンスルホン酸無水物とを反応させることにより、本発明に係る化合物(I’−2)を製造する方法であり、前記工程22と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
このようにして得られる化合物(I’−2)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
また、本発明に係る化合物(I−4)
[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合物は、例えば、前記(I’−2)とTBAFとを反応させることにより、製造することができ、該反応は、前記工程23と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
また、前記工程24で用いた2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−メタノールの代わりに、2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−オールを用いて、前記工程24、25、26及び27と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、(I’−1)を製造することもできる。
本発明に係る化合物(I)または(I’)を製造する際に、アミノ化合物の塩酸塩等を用いた場合には、反応系中に塩基を共存させてもよい。
本発明の化合物の塩も本発明に包含される。当該塩は、本発明によって提供される式(I)または(I’)で示される化合物を用いて、常法にしたがって製造することができる。
具体的には、上記式(I)または(I’)の化合物が、当該分子内に例えば、アミノ基、ピリジル基等に由来する塩基性基を有している場合には、当該化合物を酸で処理することにより、相当する塩に変換することができる。
当該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩等の低級アルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のアリ−ルスルホン酸塩;フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及びグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸等の有機酸である酸付加塩を挙げることができる。
また、本発明の化合物が酸性基を当該基内に有している場合、例えばカルボキシル基等を有している場合には、当該化合物を塩基で処理することによっても、相当する薬学的に許容される塩に変換することができる。当該塩基付加塩としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、グアニジン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の有機塩基による塩が挙げられる。
以上、本発明の式(I)および(I’)の化合物の調製方法およびそれらの塩について説明したが、本発明の式(II)−(VI)の化合物およびそれらの塩についても当業者は容易に調製することができる。
さらに本発明の化合物は、遊離化合物又はその塩の任意の水和物又は溶媒和物として存在してもよい。
コンフォーメーション病の診断においては、本発明の化合物を標識せずにプローブとして用いることができる。例えば、生検資料に本発明の化合物を接触させて、染色される部分の有無を調べてもよい。しかしながら、標識した本発明の化合物をコンフォーメーション病の診断用プローブとして使用するのが一般的である。標識には、蛍光物質、アフィニティー物質、酵素基質、放射性核種等があろう。コンフォーメーション病の画像診断には通常、放射性核種で標識したプローブを使用する。当該分野においてよく知られた方法により種々の放射性核種で本発明の化合物を標識することができる。例えば、H、14C,35S、131I等は以前から使用されている放射性核種であり、インビトロでの利用が多い。画像診断プローブおよびその検出手段に求められる一般的要件としては、インビボで画像診断できること、患者へのダメージが少ないこと(特に、非侵襲的であること)、検出感度が高いこと、半減期が適当な長さであること(標識プローブ調製時間、診断時間が適当であること)等が挙げられる。そこで最近では、高い検出感度と物質透過性を示すγ線を利用した陽電子断層撮影法(PET)またはγ線放出核種によるコンピューター断層撮影法(SPECT)が用いられるようになってきた。このうち、PETは、陽電子放出核種から正反対の方向に放射される2本のγ線を1対の検出器により同時計数法により検出するので、解像力や定量性に優れた情報が得られるので好ましい。SPECT用には、99mTc、111In、67Ga、201Tl、123I、133Xe等のγ線放出核種で本発明の化合物を標識することができる。99mTcおよび123IがSPECT用によく用いられている。PET用には11C、13N、15O、18F,62Cu、68Ga、76Br等の陽電子放出核種で本発明の化合物を標識することができる。陽電子放出核種のなかでも、半減期が適当であること、標識しやすさ等の点から、11C、13N、15O、18Fが好ましく、18Fおよび11Cがより好ましく、18Fが特に好ましい。放射性核種、例えば、陽電子放出核種、γ線放出核種等の放射線放出核種での本発明の化合物の標識位置はいずれの位置であってもよいが、好ましい標識位置は化合物中のアルキル基および/フェニル環上である。このような標識された本発明の化合物も本発明に包含される。例えば、本発明の化合物を18Fで標識する場合、側鎖のいずれかの基が18Fで標識されていてもよく、あるいは環上の水素が18Fで置換されていてもよい。また、例えば、アルキル置換基のいずれかに含まれる水素を18Fで置換してもよい。また、本発明の化合物を11Cで標識する場合、側鎖のアルキル置換基のいずれかに含まれる炭素を11Cで置換してもよい。なお、当業者には自明であるが、99mTcのmとは準安定状態の核異性体を示す。
本発明に係る化合物に用いられる放射性核種はサイクロトロンまたはジェネレーターと呼ばれる装置により産生される。当業者は、産生核種に応じた産生方法および装置が選択可能である。そのようにして産生された核種を用いて本発明の化合物を標識することができる。
これらの放射性核種で標識された標識化合物の製造方法は当該分野においてよく知られている。代表的な方法としては、化学合成法、同位体交換法および生合成法がある。化学合成法は従来から広く用いられており、放射性の出発物質を用いること以外は通常の化学合成法と本質的に変わらない。この方法により種々の核種が化合物に導入されている。同位体交換法は、簡単な構造の化合物中のH、35S、125I等を複雑な構造の化合物中に移して、これらの核種で標識された複雑な構造の化合物を得る方法である。生合成法は、14C、35S等で標識した化合物を微生物等の細胞に与えてこれらの核種が導入された代謝産物を得る方法である。
標識位置については、通常の合成と同様に合成スキームを目的に応じて設計することにより、所望位置に標識を導入することができる。かかる設計は当業者によく知られている。
また、例えば、比較的半減期の短い11C、13N、15O、18F等の陽電子放出核種を用いる場合、病院等の施設内の設置された(超)小型サイクロトロンから所望核種を得て、上記の方法により所望化合物を所定位置で標識して、即座に診断、検査、治療等に使用することも可能となっている。
これらの当業者に公知の方法により、本発明の化合物の所望位置に所望核種を導入して標識することができる。
本発明標識化合物の対象への投与は局所的であってもよく、あるいは全身的であってもよい。投与経路としては、皮内、腹腔内、静脈、動脈、もしくは脊髄液への注射または輸液等があるが、疾病の種類、使用核種、使用化合物、対象の状態、検査部位の要因により選択できる。本発明プローブを投与して、アミロイドβ蛋白への結合および崩壊のための十分な時間経過後、PET、SPECT等の手段で検査部位を調べることができる。これらの手段は、疾病の種類、使用核種、使用化合物、対象の状態、検査部位等の要因に応じて適宜選択できる。
放射性核種で標識された本発明の化合物の用量は、疾病の種類、使用核種、使用化合物、対象の年齢、身体的状態、性別、疾病の程度、検査部位等により様々である。特に、対象の被爆量については十分注意する必要がある。例えば、11C、13N、15O、18Fのごとき陽電子放出核種により標識された本発明の化合物の放射能量は、通常には、3.7メガベクレル乃至3.7ギガベクレル、好ましくは18メガベクレル乃至740メガベクレルの範囲である。
本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物には、以下に述べるコンフォーメーション病の治療方法、診断方法、治療用組成物、診断用組成物、診断用キット、これらの組成物およびキットを製造するための使用、ならびにその他の使用に適しているが、式(I)−(VI)の化合物に関する上記説明において例示した化合物またはその塩もしくは溶媒和物が好ましく、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物に包含されるものが特に好ましい。本発明の化合物のうち、モルホリノ基、特に末端基としてのモルホリノ基を有するものは、変異原性がないか、極めて低いので人体へ投与に適している。また、本発明化合物のうち、式(I)中のRとして
を有するものは、骨への集積が極めて低いか、ほとんどないので人体への投与に適している。
本発明は、本発明の化合物を含む、コンフォーメーション病の画像診断用組成物を提供する。本発明組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を含む。組成物中の本発明の化合物は標識されていることが好ましい。上記のごとき標識法は様々であるが、インビボでの画像診断用途には放射性核種(特にPET用には11C、13N、15O、18Fのごとき陽電子放出核種)で標識されていることが望ましい。本発明組成物の携帯は、その目的からすれば注射あるいは輸液可能な形態であることが好ましい。したがって、薬学的に許容される担体は液体であるものが好ましく、リン酸カリウム緩衝液、生理食塩水、リンゲル液、蒸留水等のごとき水性溶媒、あるいはポリエチレングリコール、植物性油脂、エタノール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコール等のごとき非水性溶媒があるが、これらに限らない。担体と本発明の化合物の配合比率は、適用部位、検出手段等に応じて適宜選択できるが、通常には10万対1乃至2対1の比率であり、好ましくは1万対1乃至10対1の比率である。また本発明組成物はさらに公知の抗菌剤(例えば、抗生剤等)、局所麻酔剤(例えば、塩酸プロカイン等)、バッファー(例えば、トリス−塩酸バッファー、ヘペスバッファー等)、浸透圧調節剤(例えば、グルコース、ソルビトール、塩化ナトリウム等)等を含有していてもよい。
さらに本発明は、本発明の化合物を必須の構成成分として含む、コンフォーメーション病の画像診断用キットを提供する。通常には、キットは、本発明の化合物、それを溶解する溶剤、バッファー、浸透圧調節剤、抗菌剤、局所麻酔剤等の各成分を別個に、あるいはいくつかを一緒にしてそれぞれの容器に入れたものをひとまとめにしたものである。本発明の化合物は未標識であっても、標識されていてもよい。未標識の場合、上記で説明したような通常の方法により、使用前に本発明の化合物を標識することができる。また、本発明の化合物は凍結乾燥粉末等の固形として提供してもよく、あるいは適当な溶媒中に溶解して提供してもよい。溶剤としては上述の本発明組成物に用いる担体と同様のものであってよい。また、バッファー、浸透圧調節剤、抗菌剤、局所麻酔剤等の各成分も上述の本発明組成物に使用するものと同様のものであってよい。容器は種々のものを適宜選択できるが、本発明の化合物への標識導入操作に適した形状とすることもでき、化合物の性質に応じて遮光性の材質のものとしてもよく、あるいは、患者への投与に便利なようにバイアル、または注射器等の形状とすることもできる。また、キットは診断に必要な器具類、例えば、注射器、輸液セット、あるいはPET装置やSPECT装置に使用する器具等を適宜含んでいてもよい。通常、キットには説明書を添付する。
さらに、本発明の化合物がアミロイドβ蛋白に特異的に結合することから、本発明の化合物を未標識のまま、あるいは標識して、インビトロにて試料標本と接触させることにより、標本中のアミロイドβ蛋白の検出、定量等に使用することもできる。例えば、顕微鏡標本のアミロイドβ蛋白染色、試料中のアミロイドβ蛋白の比色定量、あるいはシンチレーションカウンターを用いたアミロイドβ蛋白の定量等に本発明の化合物を使用してもよい。顕微鏡標本の調製ならびに本発明の化合物を用いた染色は、当業者に知られた通常の方法により行うことができる。
先にも述べたように、本発明の化合物はアミロイドβ蛋白に特異性が高い。したがって、本発明の化合物は、例えば、アミロイドβ蛋白蓄積性疾患の研究あるいは生前または死後における診断等に有用であり、例えば、アルツハイマー病患者脳の老人斑の染色剤として有用と考えられる。本発明の化合物を用いた標本、例えば脳切片の染色は、当業者に知られた通常の方法で行うことができる。
上述のごとく、本発明化合物のうち、とりわけ末端基としてモルホリノ基を有するものは変異原性が極めて小さいか、変異原性がないものであり、また、、本発明化合物のうち、式(I)中のRとして、
を有するものは、骨への集積が極めて低いか、ほとんどない。したがって、これらの本発明の化合物は極めて安全なコンフォーメーション病診断プローブであるばかりでなく、後述のような治療薬または予防薬として用いた場合にも安全性が高い。
しがたって、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む試料中のアミロイドβ蛋白の染色用組成物、ならびに本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を必須の構成成分として含む、試料中のアミロイドβ蛋白の染色用キットに関する。さらに、本発明は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を用いることを特徴とする試料中のアミロイドβ蛋白の染色方法にも関する。これらの染色に適した試料は、脳切片である。
上述のごとく、βシート構造をとったアミロイドβ蛋白に神経細胞毒性がみられることが判明している。本発明の化合物は、βシート構造をとったアミロイドβ蛋白に特異的に結合するので、その神経細胞毒性を抑制すると考えられる。したがって、本発明の化合物は、蛋白自身がβシート構造をとることによって病因、または病因の一部となるコンフォーメーション病、例えばアルツハイマー病の治療薬または予防薬になると考えられる。
したがって、本発明は、
式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とするアミロイドβ蛋白蓄積性疾患の治療および/または予防方法;
式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を用いることを特徴とするアミロイドβ蛋白蓄積性疾患の診断方法;ならびに
アミロイドβ蛋白蓄積性疾患の治療、予防または診断するための組成物またはキットを製造するための式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用
を提供する。
かかる医薬組成物の形態は特に限定されないが、液体処方が好ましく、特に注射用処方が好ましい。かかる注射用処方を脳内に直接注入することもでき、あるいは、実施例に示すように本発明の化合物は血液/脳関門透過性が高いので、上記医薬組成物を静脈注射または静脈点滴用に処方して投与することもできる。かかる液体処方の調製は当該分野にて、公知の方法で行うことができる。溶液の調製は、例えば、本発明の化合物を適当な担体、注射用水、生理食塩水、リンゲル液等に溶解し、フィルター等で滅菌し、その後、適当な容器、例えば、バイアルまたはアンプルに充填する。また、溶液を凍結乾燥させ、使用時に適当な担体で再度溶液に復元することも可能である。懸濁液の調製は、例えば、本発明の化合物を例えばエチレンオキサイドにさらすことにより滅菌し、次いで、滅菌済み液体担体に懸濁することにより行うことができる。
かかる医薬組成物を液体処方、特に注射用処方として用いる場合、本発明に係るベンゾキサゾール誘導体に溶解補助剤を加えて、注射剤とすることができる。
該溶解補助剤としては、当該技術分野で用いられる非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。これらのうち、溶解補助剤としては、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール、エタノール又はプロピレングリコールが好ましく、ポリソルベート80がより好ましい。
上記治療方法、予防方法、および使用における本発明の化合物のヒト対象への投与量は、患者の病状、性別、年齢、体重等に左右されるが、一般的には、体重70kgの成人の場合、1日あたり0.1mg乃至1g、好ましくは1mg乃至100mg、より好ましくは5mg乃至50mgである。一定期間かかる投与量で処置を行い、結果により投与量を増減することができる。
さらに、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、コンフォーメーション病の診断プローブとして、好ましくは放射線核種にて標識された画像診断プローブとしても使用できる。さらに、本発明の化合物はコンフォーメーション病の治療および/または予防にも効果を有する。
したがって、本発明は、
コンフォーメーション病の画像診断プローブとして使用される本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物;
本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を含むコンフォーメーション病の画像診断用組成物またはキット;
本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物および薬学的に許容される担体を含有する、コンフォーメーション病の予防および/または治療用医薬組成物;
本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を用いることを特徴とする、コンフォーメーション病の診断方法;
コンフォーメーション病を診断するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用;
本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを特徴とする、コンフォーメーション病の予防および/または治療方法;
コンフォーメーション病を予防および/または治療するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用;ならびに
コンフォーメーション病を予防および/または治療するための医薬組成物の製造における、本発明の化合物の使用
にも関する。
上記治療方法および予防方法における本発明の化合物のヒト対象への投与量は、上述のとおりである。
本発明の化合物のうち、ある種のものは神経原線維変化を認識するので、神経原線維変化の検出用プローブ、あるいは神経原線維変化の染色剤として使用することができる。したがって、本発明は、神経原線維変化の診断プローブ、特に画像診断プローブとしての、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の用途にも関する。神経原線維変化の染色剤として好ましい本発明の化合物は、THK−185、THK−258、THK−317、THK−386、THK−702、THK−761、THK−727、THK−763などである。
したがって、本発明は:
本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を含む、神経原線維変化を検出あるいは染色するための組成物;
本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を含む、神経原線維変化を検出あるいは染色するためのキット;
本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を用いることを特徴とする神経原線維変化を検出あるいは染色する方法;ならびに
神経原線維変化を検出あるいは染色するための組成物を製造するための本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用
を提供する。
上述の神経原線維変化を検出あるいは染色における試料標本の調製、染色などの方法は当業者に公知の方法を適用することができる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細かつ具体的に説明するが、実施例によって、本発明は何ら限定されるものではない。
本発明の化合物の合成
以下に、本発明の化合物の合成例を示す。
実施例のシリカゲルカラムクロマトグラフィーには、富士シリシア化学社製のシリカゲルBW300を用いた。アミノ基結合型シリカゲルを用いる塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーは富士シリシア化学社製クロマトレックスNH−DM1020を用いた。
H−NMRはVARIAN社製UNITY INOVA500(500MHz)、日本電子社製JNM−LA400(400MHz)、VARIAN社製Gemini 2000(300MHz)テトラメチルシランを標準物質として用いて測定し、全δ値をppmで測定した。
またマススペクトルはThermoQuest社製LCQ−Advantage、またはFinniganMAT社製SSQ−7000Cを使用し、大気圧化学イオン化法(APCI)で測定した。
赤外線スペクトルについてはPerkin−Elmer社製Paragon1000 FT−IRを用い、融点測定にはBUCHI社製B−545を用いた。
NMR測定における略号の意味を以下に示す。
s:シングレット
d:ダブレット
dd:ダブルダブレット
ddd:ダブルダブルダブレット
t:トリプレット
dt:ダブルトリプレット
q:カルテット
m:マルチプレット
br:ブロード
J:カップリン定数
Hz:ヘルツ
CDCl:重クロロホルム
DMSO−d:重ジメチルスルホキシド
THK−525(6−(2−フルオロ−エトキシ)−2−[2−(2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−ビニル]ベンゾキサゾール):7の製造

2の製造
1(7.19g、43.84mmol)のモルホリン(18.7ml)溶液を120℃で9時間攪拌した。反応液を放冷、不溶物をろ別、ろ液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=5/1)で精製し2(7.46g、100%)を淡黄色油状物として得た。
IR(Neat)2854、1524cm−1、APCI−MS m/z171[M+H]

3の製造
ジイソプロピルアミン(7.41ml、52.58mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.58M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(33.3ml、52.58mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で2(7.46g,43.82mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を滴下し−78℃で1 時間撹拌した。同温で、ジメチルホルムアミド(5.08ml,65.73mmol)を一度に加え同温で30分撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチル/n−ヘキサンで再結晶し3(7.54g,87%)を淡黄色結晶として得た。
mp164〜165℃、IR(Nujol)1650cm−1
APCI−MS m/z199[M+H]

5の製造
4(0.95g、6.37mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液に2−フルオロエタノール(0.82ml、14.01mmol)、トリフェニルホスフィン(3.67g、14.01mmol)を加え、氷冷攪拌下ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(2.76ml、14.01mmol)を滴下し室温で16時間撹拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し5(0.82g、66%)を淡黄色油状物として得た。
IR(Neat)1726、1632、1618cm
APCI−MS m/z196[M+H]

6の製造
ジイソプロピルアミン(0.88ml、6.23mmol)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.54M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(4.04ml、6.23mmol)を滴下、除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で5(0.81g、4.15mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温で、3(1.23g、6.23mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液を一度に加え同温で1時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜酢酸エチル)で精製し6(1.40g、86%)を淡黄色結晶として得た。
mp157.5〜158.0℃、IR(Nujol)3306、1628、1617cm−1APCI−MS m/z394[M+H]

7の製造
6(0.88g、2.24mmol)のジクロロメタン(100ml)溶液にトリエチルアミン(1.25ml、8.95mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(0.35ml、4.47mmol)を滴下し室温で30分撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチル/n−ヘキサンで再結晶し7(0.49g、59%)を黄色結晶として得た。
mp174.5〜175.2℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 3.57(4H、t、J=5.0Hz),3.83(4H、t、J=5.0Hz)、4.27(2H、dt、J=27.8、4.2Hz)、4.79(2H、dt、J=47.2、4.2Hz)、6.42(1H、d、J=15.6Hz)、6.94(1H、dd、J=8.7、2.2Hz)、7.04(1H、d、J=2.2Hz)、7.36(1H、s)、7.54(1H、d、J=8.7Hz)、7.68(1H、d、J=15.6Hz)
IR (Nujol) 1631cm−1、APCI−MS m/z376[M+H]
THK−575(トルエン−4−スルホニックアシド 2−[2−[2−(2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−ビニル−ベンゾキサゾール6−イロキシ]エチルエステル):(12)の製造

8の製造
エチレングリコール(130ml)を入れ、アルゴン雰囲気室温攪拌下60%水素化ナトリウム(4.83g、120.6mmol)を少しづつ加え室温40分攪拌、トルエンスルホニルクロライド(20.00g、104.9mmol)を加え同温で6時間攪拌した。ジクロロメタン(100ml)を加え室温で16時間攪拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=5/1〜1/1)で精製し8(7.30g、32%)を無色油状物として得た。

10の製造
9(1.00g、5.18mmol)及び3(1.03g、5.18mmol)をジメチルスルホキシド(10ml)溶液に室温撹拌下50%(w/w)水酸化ナトリウム水溶液(2.0ml)を加え室温で30分撹拌した。反応液に水を加え、ろ取、水洗、乾燥し10(1.55g、80%)を黄色結晶として得た。
mp156.0〜156.6℃、IR(Nujol)1631cm−1
APCI−MS m/z374[M+H]

11の製造
10(1.55g、4.14mmol)のジクロロメタン(25ml)溶液に氷冷撹拌下トリフルオロ酢酸(17.5ml)を滴下し室温で40分撹拌した。反応液に冷水を加え、炭酸カリウム溶液でpH10とし、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチルで再結晶し11(1.04g、76%)を黄色結晶として得た。
mp233〜234℃、IR(Nujol)3491、1631cm−1
APCI−MS m/z330[M+H]

12の製造
11(0.50g、1.52mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に8(0.72g、3.34mmol)、トリフェニルホスフィン(0.88g、3.34mmol)を加え、氷冷攪拌下ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.66ml、3.34mmol)を滴下し室温で16時間撹拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン/酢酸エチル=2/1)で精製、酢酸エチルで再結晶し12(0.38g、48%)を橙色結晶として得た。
mp168〜169℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 2.44(3H、s),3.55〜3.62(4H、m)、3.77〜3.87(4H、m)、4.11〜4.22(2H、m)、4.37〜4.43(2H、m)、6.38(1H、d、J=15.7Hz)、6.78(1H、dd、J=8.7、2.3Hz)、6.90(1H、d、J=2.3Hz)、7.34(2H、dd、J=7.6、0.7Hz)、7.37(1H、s)、7.49(1H、d、J=8.7Hz)、7.67(1H、d、J=15.7Hz)、7.71〜7.84(2H、m)
IR (Nujol) 1633cm−1、APCI−MS m/z528[M+H]
THK−727(2−フルオロメチル−3−[2−[2−(2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−ビニル]ベンゾキサゾール6−イルオキシ]−プロパン−1−オール):(20)の製造

14の製造
13(4.90g、46.17mmol)のテトラヒドロフラン(150ml)懸濁液に室温攪拌下アセトンジメチルアセタール(6.56ml、53.54mmol)、トルエンスルホン酸・水和物(0.26g、1.39mmol)を加え室温3時間攪拌した。反応液にトリエチルアミン(3ml)を加え減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し14(6.38g、95%)を無色油状物として得た。
APCI−MS m/z147[M+H]

15の製造
14(6.38g、43.64mmol)のジクロロメタン(100ml)溶液にトリエチルアミン(9.08ml、65.47mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(3.69ml、48.01mmol)を滴下し同温で30分撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2)で精製し15(9.66g、99%)を淡黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z225[M+H]

16の製造
15(9.66g、43.07mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液に室温攪拌下1Mテトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(260ml、260mmol)を加え還流30分した。反応液を放冷、冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=9/1)で精製し16(5.22g、82%)を淡黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z149[M+H]

17の製造
16(5.22g、35.23mmol)のアセトン(100ml)溶液に1N塩酸(10ml、10mmol)を加え室温2時間攪拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=4/1〜1/1)で精製し17(3.16g、83%)
を無色油状物として得た。
APCI−MS m/z126[M+NH4]

18の製造
17(3.16g、29.23mmol)のジクロロメタン(40ml)溶液にトリエチルアミン(10.19ml、73.08mmol)を加え氷冷攪拌下t−ブチルジメチルシリルクロライド(4.41g、29.23mmol)を加え室温16時間攪拌した。反応懸濁液を減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチルで懸濁し、ろ別、ろ液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=9/1)で精製し18(5.16g、79%)を無色油状物として得た。
APCI−MS m/z223[M+H]

19の製造
11(0.55g、1.67mmol)のテトラヒドロフラン(40ml)懸濁液に18(0.82g、3.67mmol)、トリフェニルホスフィン(0.96g、3.67mmol)を加え、氷冷攪拌下ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.72ml、3.67mmol)を滴下し室温で16時間撹拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=4/1)で精製し19(0.67g、75%)を黄色粘体物として得た。
APCI−MS m/z:534[M+H]

20の製造
19(0.67g、1.26mmol)のジクロロメタン(50ml)溶液に氷冷攪拌下1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(1.26ml、1.26mmol)を滴下し室温で40分攪拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=4/1〜1/1)で精製、酢酸エチル/n−ヘキサンで再結晶し20(0.34g、65%)を黄色結晶として得た。
mp134〜135℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 2.38〜2.53(1H、m),3.64(4H、m)、3.85(4H、m)、3.92(2H、d、J=5.2Hz)、4.16(2H、d、J=5.5Hz)、4.71(2H、dd、J=47.2、5.3Hz)、6.42(1H、d、J=15.8Hz)、6.92(1H、dd、J=8.8、2.3Hz)、7.04(1H、d、J=2.3Hz)、7.39(1H、s)、7.54(1H、d、J=8.8Hz)、7.67(1H、d、J=15.8Hz)
IR (Nujol) 3324、1634cm−1、APCI−MS m/z420[M+H]
THK−702((E)−2−[2−(2−モルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]ベンゾキサゾール):(29)の製造

21の製造
4(3.00g、20.11mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液に1,3−ジベンジルオキシ−2−プロパノール(6.57g、24.14mmol)、トリフェニルホスフィン(6.33g、24.14mmol)を加え、アルゴン雰囲気氷冷攪拌下40%ジエチルアゾジカルボキシレート/トルエン溶液(10.51g、24.14mmol)を滴下し室温で3日間撹拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をイソプロピルエーテルで不溶物を懸濁させ、ろ別、ろ液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=9/1)で精製し21(7.22g、89%)
を無色油状物として得た。
APCI−MS m/z404[M+H]

22の製造
21(7.22g、17.89mmol)のメタノール/酢酸(50/10ml)溶液にアルゴン雰囲気下10%パラジウムー炭素(0.7g)を加え、水素雰囲気下、常圧、50℃24時間攪拌した。反応液のパラジウムー炭素をろ別、ろ液を減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチルで希釈し、炭酸カリウム水溶液洗、水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=3/1〜1/1)で精製し22(3.01g、75%)を赤茶色固体として得た。
APCI−MS m/z224[M+H]

23の製造
22(3.01g、13.48mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液にトリエチルアミン(4.70ml、33.71mmol)を加え、室温攪拌下t−ブチルジメチルシリルクロライド(2.03g、13.48mmol)を加え室温2日間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=9/1〜1/1)で精製し23(2.00g、44%)を赤色油状物として得た。
APCI−MS m/z338[M+H]

24の製造
23(2.00g、5.93mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液にトリエチルアミン(1.24ml、8.89mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(0.55ml、7.11mmol)を滴下し同温で30分撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製し24(2.46g、100%)を淡黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z416[M+H]

25の製造
24(2.46g、5.92mmol)に1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(23.7ml、23.7mmol)を加え70℃16時間攪拌した。反応液を放冷、冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=9/1)で精製し25(0.89g、67%)を淡黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z226[M+H]

26の製造
25(0.75g、3.33mmol)のジメチルホルムアミド(10ml)溶液にイミダゾール(0.27g、4.00mmol)を加え、室温攪拌下t−ブチルジメチルシリルクロライド(0.60g、4.00mmol)を加え室温16時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=9/1〜4/1)で精製し26(0.99g、88%)を無色油状物として得た。
APCI−MS m/z340[M+H]

27の製造
ジイソプロピルアミン(0.62ml、4.37mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.57M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(2.79ml、4.37mmol)を滴下し、除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で26(0.99g、2.92mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を滴下し−78℃で1 時間撹拌した。同温で、3(0.64g、3.21mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を一度に加え、同温で30分撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜1/2)で精製し27(1.26g、80%)を黄色泡状物として得た。
APCI−MS m/z538[M+H]

28の製造
27(1.26g、2.34mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液にトリエチルアミン(1.31ml、9.36mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(0.40ml、5.15mmol)を滴下し室温で50分撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し28(1.22g、100%)を黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z520[M+H]

29の製造
28(1.22g、2.35mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に室温攪拌下1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(2.35ml、2.35mmol)を加え室温30分した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し29(0.44g、46%)を黄色結晶として得た。
mp152〜153℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 2.06(t、J=5.3Hz、DO消去)、3.57(4H、t、J=5.0Hz)、3.83(4H、t、J=5.0Hz)、3.94(2H、m)、4.50〜4.57(1H、m)、4.67(1H、dd、J=46.8、2.2Hz)、4.69(1H、dd、J=46.8、2.3Hz)、6.38(1H、dd、J=15.8、0.5Hz)、6.98(1H、dd、J=8.7、2.3Hz)、7.13(1H、d、J=2.3Hz)、7.37(1H、t、J=0.6Hz)、7.54(1H、d、J=8.7Hz)、7.69(1H、dd、J=15.8、0.8Hz)
IR (Nujol) 3284、1631cm−1、APCI−MS m/z406[M+H]
THK−726((E)−6−[(3−ヒドロキシ−2−トシロキシメチル)プロポキシ]−2−[2−(2−モルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール):(33)の製造

30の製造
4(1.74g、11.67mmol)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液に14(2.05g、14.00mmol)、トリフェニルホスフィン(3.68g、14.00mmol)を加え、氷冷攪拌下40%ジエチルアゾジカルボキシレート/トルエン溶液(6.11g、14.00mmol)を滴下し室温で3日間撹拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=4/1)で精製し30(2.80g、87%)を無色固体として得た。
APCI−MS m/z278[M+H]

31の製造
30(2.06g、 7.43mmol)及び3(1.47g、7.43mmol)のジメチルスルホキシド(20ml)溶液に室温撹拌下50%(w/w)水酸化ナトリウム水溶液(2.8ml)を加え室温で1.5時間撹拌した。反応液に水を加え、ろ取、水洗、乾燥し31(2.58g、76%)を黄色結晶として得た。
mp182.0〜182.5℃、IR(Nujol)1621cm−1
APCI−MS m/z458[M+H]

32の製造
31(2.58g、5.64mmol)のメタノール(40ml)懸濁液に1N塩酸(11.3ml、11.3mmol)を加え室温1時間攪拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣を水/酢酸エチルで溶解、炭酸カリウム溶液でpH10とし、分液後、有機層を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチル/n−ヘキサンで再結晶し32(2.35g、100%)を黄色結晶として得た。
mp162.0〜163℃、APCI−MS m/z418[M+H]

33の製造
32(1.85g、4.43mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(220ml)懸濁液にトリエチルアミン(0.93ml、6.65mmol)、トルエンスルホン酸無水物(1.45g、4.43mol)、ジメチルアミノピリジン(0.054g、0.44mmol)を加え、70℃で16時間攪拌した。反応液を放冷、酢酸エチルで希釈、水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し33(1.00g、39%)を黄色結晶として得た。
mp139〜140℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 1.84(1H、t、J=5.6Hz、DO消去)、2.37(3H、s)、2.43(1H、m)、3.52〜3.62(4H、m)、3.78〜3.87(6H、m)、4.29(2H、dd、J=5.2、1.0Hz)、6.38(1H、dd、J=15.8、0.6Hz)、6.76(1H、dd、J=8.8、2.3Hz)、6.90(1H、d、J=2.3Hz)、7.26(2H、dd、J=8.6、0.5Hz)、7.37(1H、t、J=0.6Hz)、7.49(1H、d、J=8.8Hz)、7.68(1H、dd、J=15.8、0.8Hz)、7.77(2H、d、J=8.2Hz)IR (Nujol) 3490、1633cm−1、APCI−MS m/z572[M+H]
THK−703((E)−6−[2−ヒドロキシ−1−トシロキシメチル]エトキシ]−2−[2−[2−モルホリノチアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール):(38)の製造

35の製造
4(1.00g、6.70mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液に34(1.45g、8.05mmol)、トリフェニルホスフィン(2.11g、8.05mmol)を加え、氷冷攪拌下40%ジエチルアゾジカルボキシレート/トルエン溶液(3.50g、8.05mmol)を滴下し室温で4日間撹拌した。更に34(1.45g、8.05mmol)、トリフェニルホスフィン(2.11g、8.05mmol)を加え、氷冷攪拌下40%ジエチルアゾジカルボキシレート/トルエン溶液(3.50g、8.05mmol)を滴下し室温で1日間撹拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=4/1)で精製し35(1.71g、82%)を無色固体として得た。
APCI−MS m/z312[M+H]

36の製造
35(0.80g、2.57mmol)及び3(0.51g、2.57mmol)のジメチルスルホキシド(8ml)溶液に室温撹拌下50%(w/w)水酸化ナトリウム水溶液(0.96ml)を加え室温で1時間撹拌した。反応液に水を加え、ろ取、水洗、乾燥した。得られた粗結晶を酢酸エチル/n−ヘキサンて゛再結晶し36(0.74g、59%)を黄色結晶として得た。
mp202〜203℃、IR(Nujol)1637cm−1
APCI−MS m/z492[M+H]

37の製造
36(0.74g、1.51mmol)のメタノール(40ml)懸濁液に1N塩酸(3.01ml、3.01mmol)を加え70℃1時間攪拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣を水(5ml)/トリエチルアミン(3ml)/酢酸エチルで加熱溶解、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製、酢酸エチル/n−ヘキサンで再結晶し37(0.52g、85%)を黄色結晶として得た。
mp172〜174℃、APCI−MS m/z404[M+H]

38の製造
37(1.37g、3.40mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(200ml)懸濁液にトリエチルアミントルエン(0.71ml、5.10mmol)、トルエンスルホン酸無水物(1.11g、3.40mol)、ジメチルアミノピリジン(0.041g、0.34mmol)を加え70℃16時間攪拌した。反応液を放冷、酢酸エチルで希釈、水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し38(0.42g、22%)を黄色結晶として得た。
mp184〜185℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 2.03(t、J=6.4Hz、DO消去)、2.42(3H、s)、3.55〜3.63(4H、m)、3.80〜3.94(6H、m)、4.28(2H、d、J=4.9Hz)、4.49〜4.56(1H、m)、6.38(1H、dd、J=15.8、0.6Hz)、6.84(1H、dd、J=8.8、2.4Hz)、7.00(1H、d、J=2.4Hz)、7.30(2H、dd、J=8.6、0.7Hz)、7.37(1H、t、J=0.7Hz)、7.48(1H、d、J=8.8Hz)、7.69(1H、dd、J=15.8、0.6Hz)、7.76(2H、d、J=
8.2Hz)
IR (Nujol) 3320、1733、1632cm−1
APCI−MS m/z558[M+H]
THK−762((E)−6−[2−ヒドロキシ−1−トシロキシメチル)エトキシ]−2−[2−[2−ジメチルアミノ−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール):(44)、及び
THK−763((E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−ジメチルアミノ−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール):(45)の製造

40の製造
ジオール22(3.7g、16.57mmol)をトルエン(100ml)に加え、さらに2,2−ジメトキシプロパン39(2.08g,20mmol),p−トルエンスルホン酸(100mg)を加えて加熱攪拌し95℃にて1時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて中和した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥。溶媒留去後、得られた粗生成物はへキサンージイソプロピルエーテル中で固化し、40(3.10g、71%)を無色結晶として得た。
mp66−68℃
IR(Nujol)1621cm−1
APCI−MS m/z264[M+H]
HNMR(CDCl) δ1.460(3H,s)1.504(3H,s)2.60(3H,s)3.93(2H,dd)4.13(2H,dd)4.31−4.39(1H,m)6.91(1H、dd、J=11.5Hz,J=3.2Hz)7.03(1H,d、J=3.2Hz)7.51(1H,d、J=11.5Hz)

42の製造
アルデヒド41(2g、12.8mmol) とベンゾキサゾール誘導体40 (3.3g、12.8mmol)を溶解させたジメチルスルホキシド(30ml)溶液に50%水酸化ナトリウム水溶液(5ml)を滴下し、室温にて2時間攪拌反応させた。黄色の固体が析出した。反応液に水100mlを加え20分程攪拌した後、黄色固体をろ取、水洗し、70℃にて減圧乾燥し、42(3.34g,65%)を得た。
mp161〜163℃
IR(Nujol)1635cm−1
APCI−MS m/z402[M+H]+

43の製造
メタノール120mlに42(3.52g、8.89mmol)を加え、室温にて攪拌しながら1N 塩酸(18ml)を滴下した。反応液はしばらく攪拌すると均一な透明溶液になった。2時間反応させた後、溶媒を減圧にて留去し、残渣を水に溶解し、続いて炭酸カリウム水溶液でアルカリ性にすると黄色の沈殿物が析出した。これをろ取し、水洗、減圧乾燥により43(2.82g、87.5%)を得た。
mp190〜192℃
IR(Nujol)3236,1629cm−1
APCI−MS m/z362[M+H]

44の製造
ジオール43(3.0g、8.3mmol)を無水ジメトキシエタン(170ml)に加え、更にp−トルエンスルホン酸無水物(2.71g、8.3mmol)とジメチルアミノピリジン(90mg),トリエチルアミン(1.3g)を加えて攪拌、油浴にて加熱し、70〜75℃にて8 時間反応させた。反応液を冷却し、不溶物をろ去し、ろ液を濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/2、1/4、酢酸エチル、酢酸エチル/メタノール=1/10)にて精製し、未反応の43(1.44g、48%)と44(1.64g、38%)を得た。
mp201〜202℃
IR(Nujol)3200,1617cm−1
APCI−MS m/z:516[M+H]
H−NMR(DMSO−d)δ2.360(3H,s)3.131(6H,s)3.54−3.62(2H,m)4.18−4.33(2H,m)4.54(1H,br)5.06(1H,t,J=5.5Hz)6.33(1H,dd,J=15.7Hz,J=0.54Hz)6.84(1H,dd,J=8.8Hz,2.4Hz)7.187(1H,d,J=2.4Hz)7.39((2H,d)7.48(2H,d,J=8.8Hz)7.60(1H,s)7.72(1H,d,J=8.3Hz)7.76(1H,dd,J=15.7Hz,J=0.54Hz)

45の製造
トシレート44(1.6g、3.1mmol)をテトラヒドロフラン(15ml)に溶解させ、フッ化テトラn−ブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン 1モル溶液15ml
(15mmol)を加えて攪拌、2時間加熱還流させた。反応終了後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水洗、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥。溶媒留去後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/アセトン=5/4)で分離精製し、45(660mg)を得た。さらに酢酸エチルから再結晶し淡黄色結晶として45(490mg、44%)を得た。
mp164−165℃
IR(Nujol)3173,1633cm−1
APCI−MS m/z364[M+H]
H−NMR(DMSO−d)δ3.127(6H,s)3.61−3.67(2H,m)4.54−4.82(3H,s)5.06(1H,t,J=5.7Hz)6.33(1H,dd,J=15.75Hz,J=0.54Hz)6.99(1H,dd,J=8.8Hz,J=2.4Hz)7.36(1H,d,J=2.4Hz)7.53(1H,d,J=8.6Hz)7.59(1H,br,s)7.75(1H,dd,J=15.75Hz,J=0.54Hz)7.53(1H,d,J=8.6Hz)7.59(1H,br,s)7.75(1H,dd,J=15.75Hz,J=0.54Hz)
THK−761((E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−メチルアミノチアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール):(53)の製造

47の製造
46(10.0g、99.9mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に(Boc)2O(27.5ml、119.9mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去、得られた結晶にn−ヘキサンを加えて粉砕し47(19.25g、96%)を無色結晶として得た。
mp181.5〜182.5℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 1.60(9H、s)、6.88(1H、d、J=3.7Hz)、7.38(1H、d、J=3.7Hz)、11.9(1H、s)
IR(Nujol)1713 cm−1、APCI−MS m/z201[M+H]+

48の製造
47(10.0g、49.9mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液に0℃攪拌下、t−ブトキシカリウム(6.72g、59.9mmol)を加え、同温で10分攪拌、ヨードメタン(4.66ml、74.9mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応液の不溶物をろ別、ろ液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し48(6.53g、61%)を無色固体として得た。
mp51〜52℃、H NMR(500MHz、DMSO−D)δ 1.53(9H、s)、3.47(3H、s)、7.25(1H、d、J=3.5Hz)、7.45(1H、d、J=3.5Hz)、IR(Neat)1734cm−1、APCI−MS m/z215[M+H]

49の製造
ジイソプロピルアミン(5.12ml、36.4mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液に、アルゴン雰囲気下、−60℃以下で1.58M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(23.0ml、36.4mmol)を滴下、除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で48(7.08g、33.1mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を滴下し、−78℃で1 時間撹拌した。同温で、N−ホルミルモルホリン(4.98ml、49.6mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を一度に加え、同温で30分撹拌した。反応液に冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し49(6.40g、80%)を黄色固体として得た。
mp80〜81℃、 H NMR(500MHz、DMSO−D)δ 1.55(9H、s)、3.52(3H、s)、8.38(1H、s)、9.90(1H、s)
IR(Nujol)1714、1659cm−1、APCI−MS m/z243[M+H]

50の製造
ジイソプロピルアミン(0.90ml、6.36mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液に、アルゴン雰囲気下、−60℃以下で1.57M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(4.05ml、6.36mmol)を滴下、除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で26(1.44g、4.24mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下し、−78℃で1 時間撹拌した。同温で、49(1.23g、5.09mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を一度に加え、同温で30分撹拌した。反応液に冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し50(2.06g、84%)を淡黄色粘体物として得た。
APCI−MS m/z582[M+H]

51の製造
50(2.06g、3.54mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液にトリエチルアミン(1.98ml、14.16mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(0.60ml、7.79mmol)を滴下し室温で1時間撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し51(1.85g、93%)を淡黄色固体として得た。
APCI−MS m/z564[M+H]

52の製造
51(1.85g、3.28mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に氷冷攪拌下1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(3.28ml、3.28mmol)を滴下し室温で1時間攪拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1〜1/1)で精製、酢酸エチルで再結晶し52(1.02g、69%)を黄色結晶として得た。
mp181.0〜181.5℃、IR (Nujol) 3352、1700、1631cm−1
APCI−MS m/z450[M+H]

53の製造
52(1.13g、2.51mmol)のジクロロメタン(18ml)懸濁液に氷冷攪拌下トリフルオロ酢酸(12ml)を滴下し室温で1時間20分攪拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで希釈、炭酸カリウム液でpH=9とし、分液後抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し53(0.72g、82%)を黄色結晶として得た。
mp178〜179℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 3.06(3H、s)、3.89〜4.01(2H、m)、4.50〜4.78(3H、m)、5.50(1H、m、DO消去)、6.38(1H、d、J=15.7Hz)、6.99(1H、dd、J=8.7、2.4Hz)、7.14(1H、d、J=2.4Hz)、7.32(1H、s)、7.55(1H、d、J=8.7Hz)、7.69(1H、d、J=15.7Hz)
IR (Nujol) 3231、1631cm−1、APCI−MS m/z350[M+H]
THK−760((E)−6−[(2−ヒドロキシ−1−トシロキシメチル)エトキシ]−2−[2−[2−メチルアミノチアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール):(59)の製造

54の製造
22(5.51g、24.68mmol)のジメチルホルムアミド(50ml)溶液にイミダゾール(4.03g、59.24mmol)を加え、室温攪拌下t−ブチルジメチルシリルクロライド(8.93g、59.24mmol)を加え室温2時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=50/1〜20/1)で精製し54(11.2g、100%)を無色油状物として得た。

55の製造
ジイソプロピルアミン(2.38ml、16.91mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液に、アルゴン雰囲気下、−60℃以下で1.59M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(10.63ml、16.91mmol)を滴下、除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で54(5.09g、11.27mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液を滴下し、−78℃で1 時間撹拌した。同温で、49(2.73g、11.27mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液を一度に加え、同温で30分撹拌した。反応液に冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1〜3/1)で精製し55(6.90g、88%)を黄色粘体物として得た。
APCI−MS m/z695[M+H]

56の製造
55(6.90g、9.94mmol)のジクロロメタン(70ml)溶液にトリエチルアミン(5.55ml、39.8mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(1.69ml、21.9mmol)を滴下し室温で50分撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=9/1)
で精製し55(6.20g、92%)を淡黄色固体として得た。
APCI−MS m/z677[M+H]

57の製造
56(6.20g、9.17mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)溶液に室温攪拌下1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(18.34ml、18.34mmol)を加え室温1時間した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し57(3.21g、78%)を黄色結晶として得た。
mp180〜181℃、APCI−MS m/z448[M+H]

58の製造
57(3.21g、7.17mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(200ml)懸濁液にトリエチルアミン(1.50ml、10.8mmol)、トルエンスルホン酸無水物(2.34g、7.17mol)、ジメチルアミノピリジン(0.088g、0.72mmol)を加え、還流24時間した。反応液を放冷、酢酸エチルで希釈、水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し58(1.65g、38%)を黄色結晶として得た。
mp108〜109℃、APCI−MS m/z602[M+H]

59の製造
58(0.78g、1.30mmol)のジクロロメタン(18ml)懸濁液に氷冷攪拌下トリフルオロ酢酸(12ml)を滴下し室温で1時間15分攪拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで希釈、炭酸カリウム液でpH=9とし、分液後抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し59(0.52g、79%)を黄色結晶として得た。
mp174.5〜175.5℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 2.36(3H、s)、2.89(3H、d、J=4.6Hz、DO、s)、3.53〜3.64(2H、m)、4.19〜4.33(2H、m)、4.54(1H、m)、5.06(1H、t、J=5.6Hz、DO消去)、6.29(1H、d、J=15.8Hz)、6.84(1H、dd、J=8.7、2.3Hz)、7.18(1H、d、J=2.3Hz)、7.39(2H、d、J=8.1Hz)、7.48(1H、d、J=8.7Hz)、7.52(1H、s)、7.73(2H、d、J=8.1Hz)7.75(1H、d、J=15.8Hz)、8.27(1H、q、J=4.6Hz、DO消去)、IR (Nujol) 3227、1634、1621cm−1
APCI−MS m/z502[M+H]
THK−711((E)−6−[(2−フルオロメチル−3−ヒドロキシ)プロポキシ]−2−[2−(2−ピペリジノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール):(65)の製造
60の製造
1(15.0g 91.45mmol)のピペリジン(70ml)溶液を100℃で2.5時間攪拌した。反応液を放冷、不溶物をろ別、ろ液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し60(15.39g、100%)を無色油状物として得た。
APCI−MS m/z 169[M+H]

61の製造
ジイソプロピルアミン(15.47ml、109.7mmol)のテトラヒドロフラン(200ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.59M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(69.0ml、109.7mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で60(15.39g,91.45mmol)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液を滴下し−78℃で1 時間撹拌した。同温で、ジメチルホルムアミド(14.15ml、182.9mmol)を一度に加え同温で40分撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し61(17.55g、98%)を淡黄色固体として得た。
mp 58〜59℃、APCI−MS m/z 197[M+H]

62の製造
4(0.53g、3.55mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に18(0.79g、3.55mmol)、トリフェニルホスフィン(0.93g、3.55mmol)を加え、氷冷攪拌下40%ジエチルアゾジカルボキシレート/トルエン溶液(1.55g、3.55mmol)を滴下し室温で3日撹拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し62(1.12g、89%)を淡黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z 354[M+H]

63の製造
ジイソプロピルアミン(0.67ml、4.75mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.57M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(3.03ml、4.75mmol)を滴下し、除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で62(1.12g、3.17mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温で、61(0.75g、3.80mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を一度に加え、同温で30分撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1.5/1)で精製し63(1.50g、86%)を黄色粘体物として得た。
APCI−MS m/z 550[M+H]

64の製造
63(1.50g、2.73mmol)のジクロロメタン(30ml)溶液にトリエチルアミン(1.52ml、10.9mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(0.46ml、6.00mmol)を滴下し室温で20分撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し64(1.31g、90%)を黄色固体として得た。
mp 96〜98℃、IR (Nujol) 1628cm−1
APCI−MS m/z 532[M+H]

65の製造
64(1.31g、2.46mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に室温攪拌下1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(2.46ml、2.46mmol)を加え室温で40分した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1〜1/1)で精製、酢酸エチルで再結晶し65(0.68g、66%)を黄色結晶として得た。
mp 169〜170℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 1.72(6H、s)、2.38〜2.53(1H、m)、3.62(4H、s)、3.91(2H、d、J=5.7Hz)、4.16(2H、dd、J=5.8、0.5Hz)、4.71(2H、dd、J=47.0、5.3Hz)、6.35(1H、d、J=15.7Hz)、6.91(1H、dd、J=8.7、2.3Hz)、7.03(1H、d、J=2.3Hz)、7.35(1H、s)、7.52(1H、d、J=8.7Hz)、7.64(1H、dd、J=15.7Hz)
IR (Nujol) 3343、1623cm−1、APCI−MS m/z 418[M+H]
THK−710((E)−6−[(3−ヒドロキシ−2−トシロキシメチル)プロポキシ]−2−[2−(2−ピペリジノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール):(68)の製造

66の製造
30(1.50g、5.41mmol)及び61(1.06g、 5.41mmol)のジメチルスルホキシド(14.2ml)溶液に室温撹拌下50%(w/w)水酸化ナトリウム水溶液(2.03 ml)を加え室温で1.5時間撹拌した。反応液に水を加え、ろ取、水洗、乾燥、粗結晶を酢酸エチルで再結晶し66(1.26g、51%)を黄色結晶として得た。
mp 151.0〜151.5℃、IR(Nujol)1601cm−1
APCI−MS m/z 456[M+H]

67の製造
66(1.26g、2.77mmol)のメタノール(30ml)懸濁液に1N塩酸(5.53ml、5.53mmol)を加え室温1時間攪拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣を水/酢酸エチルで溶解、炭酸カリウム溶液でpH10とし、分液後、有機層を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチルで再結晶し67(1.09g、95%)を黄色結晶として得た。
mp 170〜171℃、APCI−MS m/z 416[M+H]

68の製造
67(1.09g、2.62mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(100ml)懸濁液にトリエチルアミン(0.55ml、3.93mmol)、トルエンスルホン酸無水物(0.86g、2.62mol)、ジメチルアミノピリジン(0.032g、0.26mmol)を加え、70℃16時間攪拌した。反応液を放冷後、酢酸エチルで希釈し、水洗、乾燥、減圧溶媒留去の操作後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し68(0.76g、51%)を黄色結晶として得た。
mp 149〜150℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 1.72(6H、m)、2.37(3H、s)、2.41(1H、m)、3.63(4H、m)、3.83(2H、d、J=5.7Hz)、4.02(2H、dd、J=5.8、4.3Hz)、6.35(1H、d、J=15.7Hz)、6.77(1H、dd、J=8.8、2.4Hz)、6.90(1H、d、J=2.4Hz)、7.24〜7.28(2H、m)、7.36(1H、s)、7.49(1H、d、J=8.8Hz)、7.64(1H、d、J=15.7Hz)、7.66〜7.79(2H、m)
IR (Nujol) 3298、1630cm−1、APCI−MS m/z 570[M+H]
THK−713((E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−(2−ピペリジノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール):(72)及び
712((E)−6−[(2−ヒドロキシ−1−トシロキシメチル)エトキシ]−2−[2−(2−ピペリジノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール
):(71)の製造

69の製造
35(3.00g、9.64mmol)及び61(3.28g、16.71mmol)のジメチルスルホキシド(36.5ml)溶液に室温撹拌下50%(w/w)水酸化ナトリウム水溶液(5.23ml)を加え室温で1.5時間撹拌した。反応液に水を加え、ろ取、水洗、乾燥、粗結晶を酢酸エチルで再結晶し69(3.55g、75%)を黄色結晶として得た。
mp 207〜208℃、IR(Nujol)1631cm−1
APCI−MS m/z 490[M+H]

70の製造
69(3.55g、7.25mmol)のメタノール(60ml)懸濁液に1N塩酸(14.5ml、14.5mmol)を加え70℃1時間攪拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をトリエチルアミン(3ml)、水(5ml)及び酢酸エチルで溶解、溶解液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し70(2.57g、88%)を黄色結晶として得た。
mp 161.0〜161.5℃、IR(Nujol)3332、1632cm−1
APCI−MS m/z 402[M+H]

71の製造
70(2.57g、6.40mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(100ml)懸濁液にトリエチルアミン(1.34ml、9.60mmol)、トルエンスルホン酸無水物(2.09g、6.40mol)、ジメチルアミノピリジン(0.078g、0.64mmol)を加え、70℃24時間攪拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し71(1.47g、41%)を黄色結晶として得た。
mp 170〜172℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 1.72(6H、m)、2.15(1H、m、DO消去)、2.42(3H、s)、3.62(4H、m)、3.81〜3.95(2H、m)、4.28(2H、d、J=5.1Hz)、4.48〜4.56(1H、m)、6.34(1H、d、J=15.7Hz)、6.84(1H、dd、J=8.7、2.2Hz)、7.00(1H、d、J=2.2Hz)、7.30(1H、d、J=8.7Hz)、7.36(1H、s)、7.48(2H、d、J=8.5Hz)、7.66(1H、d、J=15.7Hz)、7.76(2H、d、J=8.5Hz)
IR (Nujol) 3332、1632cm−1、APCI−MS m/z 556[M+H]

72の製造
71(1.05g、1.89mmol)にテトラヒドロフラン(10ml)懸濁液に1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(9.45ml、9.45mmol)を加え還流7.5時間した。反応液を放冷、冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)で精製、酢酸エチルで再結晶し72(0.35g、46%)を黄色結晶として得た。
mp 146.5〜147.5℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 1.71(6H、m)、2.35(1H、m、DO消去)、3.60(4H、m)、3.95(2H、m)、4.55(1H、m)、4.68(2H、ddd、J=47.7、4.6、2.6Hz)、6.33(1H、d、J=15.7Hz)、6.98(1H、dd、J=8.7、2.3Hz)、7.13(1H、d、J=2.3Hz)、7.34(1H、s)、7.53(1H、d、J=8.7Hz)、7.66(1H、d、J=15.7Hz)
IR (Nujol) 3323、1625cm−1、APCI−MS m/z 404[M+H]
THK−707((E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール):(77)の製造

73の製造
1(10g、61.0mmol)とN−メチルピペラジン(40ml)の混合物を、140℃で1時間攪拌した。反応液を放冷し、氷−10%水酸化ナトリウム水溶液で希釈して酢酸エチルで抽出した。抽出液を乾燥後、減圧下溶媒を留去して残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し73(8.62g、77%)を黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z 184[M+H]

74の製造
ジイソプロピルアミン(3.39g、33.5mmol)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.59M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(21.1ml、33.5mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で73(5g、30.5mmol)のテトラヒドロフラン(40 ml)溶液を滴下し−78℃で40分撹拌した。同温で4−ホルミルモルホリン(5.26g、45.7mmol)のテトラヒドロフラン(40 ml)溶液を滴下し、同温で30分撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水を加え、飽和重曹水で塩基性として酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順に洗浄後、乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をn−ヘキサン−ジイソプロピルエーテルで洗浄して74(4.14g、65%)を淡黄色固体として得た。
APCI−MS m/z 212[M+H]

75の製造
ジイソプロピルアミン(326mg、3.22mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.59M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(2.03ml、 3.22mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で26(911mg、2.68mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下し−78℃で40分撹拌した。同温で74(680mg、3.22mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下し、同温で30分撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水を加え、飽和重曹水で塩基性として酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順に洗浄後、乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1および酢酸エチル)で精製し75(1.28g、87%)を黄色固体として得た。

76の製造
75(1.28g、2.32mmol)のクロロホルム(25ml)溶液にトリエチルアミン(1.94ml、13.9mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(0.36ml、4.65mmol)を滴下し室温で30分撹拌した。反応液に氷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順に洗浄後、乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/3)で精製し76(1.07g、86%)を黄色油状物質として得た。
APCI−MS m/z 533[M+H]

77の製造
76(1.07g、2.01mmol)のテトラヒドロフラン(25ml)溶液に室温攪拌下1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(2.21ml、2.21mmol)を加え室温で30分攪拌した。反応液に氷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順に洗浄して、乾燥後溶媒を減圧留去した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルムおよびクロロホルム/メタノール=50/1)で精製後、酢酸エチルで洗浄し77(485mg、58%)を黄色固体として得た。
mp 151〜153℃
IR (Nujol) 1629cm−1、APCI−MS m/z 419[M+H]
THK−708((E)−6−[(2−フルオロメチル−3−ヒドロキシ)プロポキシ]−2−[2−[2−(ピロリジン−1−イル)チアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール):(83)の製造

78の製造
1(10.21g、62.25mmol)のピロリジン(60ml)溶液を90℃で1.3時間攪拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し78(9.47g、99%)を無色固体として得た。
mp 45〜46℃、APCI−MS m/z 155[M+H]

79の製造
ジイソプロピルアミン(10.38ml、73.68mmol)のテトラヒドロフラン(150ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.59M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(46.34ml、73.68mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で78(9.47g,61.40mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温で、ジメチルホルムアミド(9.50ml、122.8mmol)を一度に加え同温で40分撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製、n−ヘキサン/酢酸エチルで再結晶し79(10.41g、93%)を淡黄色結晶として得た。
mp 92.0〜92.5℃、IR (Nujol) 1635cm−1
APCI−MS m/z 183[M+H]

80の製造
30(3.00g、10.82mmol)及び79(1.97g、 10.82mmol)のジメチルスルホキシド(15.0ml)溶液に室温撹拌下50%(w/w)水酸化ナトリウム水溶液(4.07ml)を加え室温で1時間撹拌した。反応液に水を加え、ろ取、水洗、乾燥、粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1:1〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し80(2.10g、44%)を黄色結晶として得た。
mp 175〜176℃、IR(Nujol)1633cm−1
APCI−MS m/z 442[M+H]

81の製造
80(3.53g、7.99mmol)のメタノール(90ml)懸濁液に1N塩酸(16.0ml、16.0mmol)を加え室温35分攪拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣を水/酢酸エチルで溶解、炭酸カリウム溶液でpH10とし、分液後、有機層を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチルで再結晶し81(3.10g、97%)を黄色結晶として得た。
mp 196.0〜196.5℃、IR(Nujol)3330、1624cm−1
APCI−MS m/z 402[M+H]

82の製造
81(3.10g、7.72mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(200ml)懸濁液にトリエチルアミン(1.62ml、11.6mmol)、トルエンスルホン酸無水物(2.52g、7.72mol)、ジメチルアミノピリジン(0.094g、0.77mmol)を加え、70℃16時間攪拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し82(1.26g、29%)を黄色結晶として得た。
mp 168〜170℃、IR (Nujol) 3311、1736、1636cm−1
APCI−MS m/z 556[M+H]

83の製造
82(1.26g、2.27mmol)にテトラヒドロフラン(10ml)懸濁液に1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(11.3ml、11.3mmol)を加え還流1時間10分した。反応液を放冷、冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2)で精製、酢酸エチルで再結晶し83(0.59g、64%)を黄色結晶として得た。
mp 175.5〜176.5℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 2.06〜2.18(4H、m)、2.35〜2.53(2H、m、DO、1H)、3.58(4H、t、J=6.4Hz)、3.91(2H、d、J=5.7Hz)、4.16(2H、d、J=6.0Hz)、4.70(2H、dd、J=47.0、5.5Hz)、6.35(1H、dd、J=15.7、0.6Hz)、6.90(1H、dd、J=8.7、2.4Hz)、7.03(1H、d、J=2.4Hz)、7.38(1H、s)、7.52(1H、d、J=8.7Hz)、7.65(1H、dd、J=15.7、0.6Hz)
IR (Nujol) 3218、1625cm−1、APCI−MS m/z 404[M+H]
THK−751((E)−6−[(1−ヒドロキシメチル−2−トシロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−(ピロリジン−1−イル)−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール):(86)及び
752((E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−(ピロリジン−1−イル)−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール):(87)の製造

84の製造
アルデヒド79(2.55g、14mmol) とベンゾキサゾール誘導体40 (3.7g、14mmol) を溶解させたジメチルスルホキシド(37.5ml)溶液に50%水酸化ナトリウム水溶液(5.4ml)を滴下し、室温にて2時間攪拌反応させた。黄色の固体が析出した。反応液に水150mlを加え20分程攪拌した後、黄色固体をろ取、水洗し、70℃にて減圧乾燥した。さらに酢酸エチルから再結晶させて84(2.85g, 48%)を得た。
mp193−194℃
IR(Nujol)1628,1600cm−1
APCI−MS m/z428[M+H]

85の製造
メタノール90mlに84(2.65g、6.08mmol)を加え、室温にて攪拌しながら1N塩酸(12ml)を滴下した。反応液は直ちに均一な透明溶液になった。4時間反応させた後、溶媒を減圧にて留去、残渣を水に溶解し、炭酸カリウム水溶液でアルカリ性にすると黄色の沈殿物が析出した。これを酢酸エチルにて抽出、有機層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して85(2.26g,96%)を得た。
mp179−182℃
APCI−MS m/z388[M+H]

86の製造
ジオール85(3.50g,9.68mmol)を乾燥ジメトキシエタン(200ml)に溶解させ、これにp−トルエンスルホン酸無水物(3.16g,9.68mmol)、トリエチルアミン(1.5g,14.85mmol)、ジメチルアミノピリジン(100mg)を加えて攪拌、75℃の加熱下に6時間半反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、沈殿物をろ去、ろ液を減圧留去して反応混合物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜1/2〜酢酸エチル)にて分離精製し、86(2.10g,40%)及び未反応ジオール85(1.40g,37%)を得た。
mp147−148℃
IR(Nujol)3231,1629,1613cm−1
APCI−MS m/z542[M+H]
HNMR(DMSO−d)δ1.98−2.05(4H,m)2.36(3H,s)3.42−3.50(4H,m)3.55−3.62(2H,m)4.26(2H,m)4.40−4.60(1H,m)5.06(1H,t,J=5.7Hz)6.32(1H,d,J=15.7Hz)6.48(1H.dd,J=8.6Hz,2.4Hz)7.18(1H,d,J=2.2Hz)7.39(2H,d,J=7.9Hz)7.48(1H,d,J=8.6Hz)7.61(1H,s)7.72(2H,d,8,0Hz)7.76(1H,d,J=15.7Hz)

87の製造
モノトシル体86(1.27g,2.34mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(12ml)に溶解させ、フッ化テトラn−ブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン1モル溶液(10ml)を加えて加熱2時間半還流下に反応させた。反応終了後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水を加えて分液し、有機層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製後、酢酸エチルにて再結晶させて87(520mg、57%)を得た。
mp159−161℃
IR(Nujol)3192,1630cm−1
APCI−MS m/z390[M+H]
HNMR(DMSO−d)δ1.97−2.04(4H,m)3.45(4H,br t)3.64(2H,br t)4.55−4.83(3H,m)5.06(1H,t,J=5.7Hz)6.31(1H,d,J=15.8Hz)6.99(1H,dd,J=8.6Hz,2.4Hz)7.36(1H,d,J=2.4Hz)7.53(1H,d,J=8.6Hz)7.60(1H,s)7.75(1H,d,J=15.7Hz)
THK−757((E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−([1,3]オキサジナン−3−イル)−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール):(97)の製造

89の製造
47(5.00g、25.0mmol)のジメチルホルムアミド(50ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下室温で60%水素化ナトリウム(1.50g、37.5mmol)を数回に分けて加え、室温20分攪拌した。次に88(12.65g、50.0mmol)を加え室温2時間攪拌した。反応液に氷片を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=30/1)で精製し89(7.89g、85%)を無色油状物として得た。
APCI−MS m/z 373[M+H]

90の製造
89(7.89g、21.18mmol)のジクロロメタン(30ml)溶液に氷冷撹拌下トリフルオロ酢酸(30ml)を滴下し室温で3日撹拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチルで希釈、炭酸カリウム溶液でpH8とし、分液後有機層を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1〜酢酸エチル)で精製し90(3.35g、100%)を淡黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z 159[M+H]

91の製造
90(2.95g、18.65mmol)の水(73ml)溶液に室温撹拌下36%ホルムアルデヒド水溶液(37ml)を加え室温で5分撹拌した。反応液に酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1(1100ml)を加え、室温16時間攪拌した。分液後、水層を酢酸エチルで抽出、有機層を合わせ、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製し91(1.75g、55%)を淡黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z 171[M+H]

92の製造
ジイソプロピルアミン(2.51ml、17.80mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.59M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(11.19ml、 17.80mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で91(2.02g,11.87mmol)のテトラヒドロフラン(40 ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温で、ジメチルホルムアミド(1.84ml、23.74mmol)を一度に加え同温で1時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製、n−ヘキサン/酢酸エチルで再結晶し92(1.89g、80%)を無色結晶として得た。
mp 94.0〜94.5℃、IR (Nujol) 1655cm−1
APCI−MS m/z 199[M+H]

93の製造
ジイソプロピルアミン(2.02ml、14.3mmol)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.59M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(8.99ml、 14.3mmol)を滴下し、除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で54(4.31g、9.54mmol)のテトラヒドロフラン(40 ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温で、92(1.89g、9.54mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液を一度に加え、同温で1時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1〜1/1)で精製し93(4.60g、74%)を黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z 650[M+H]

94の製造
93(4.60g、7.08mmol)のジクロロメタン(50ml)溶液にトリエチルアミン(3.95ml、28.3mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(1.21ml、15.6mmol)を滴下し室温で30分撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し94(3.90g、87%)を黄色固体として得た。
mp 131〜132℃、APCI−MS m/z 632[M+H]

95の製造
94(3.90g、6.17mmol)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液に室温攪拌下1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(12.34ml、12.34mmol)を加え室温1時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し95(1.96g、79%)を黄色結晶として得た。
mp 163〜165℃、IR (Nujol) 3276、1629cm−1
APCI−MS m/z 404[M+H]

96の製造
95(1.66g、4.11mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(80ml)懸濁液にトリエチルアミン(0.86ml、6.17mmol)、トルエンスルホン酸無水物(1.34g、4.11mol)、ジメチルアミノピリジン(0.050g、0.41mmol)を加え、70℃16時間攪拌した。反応液を放冷、酢酸エチルで希釈、水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチル/n−ヘキサンで再結晶し96(0.74g、32%)を黄色結晶として得た。
mp 115〜117℃、APCI−MS m/z 558[M+H]

97の製造
96(1.92g、3.44mmol)にテトラヒドロフラン(20ml)懸濁液に1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(17.22ml、17.22mol)を加え還流6時間した。反応液を放冷、冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し97(0.29g、21%)を黄色結晶として得た。
mp 162〜163℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 1.82〜1.92(2H、m)、1.97(1H、t、J=6.3Hz、DO消去)、3.80(2H、t、J=5.7Hz)、3.91〜4.00(4H、m)、4.51〜4.59(1H、m)、4.68(2H、ddd、J=46.7、4.7、2.3Hz)、5.10(2H、s)、6.40(1H、dd、J=15.8、0.6Hz)、6.98(1H、dd、J=8.8、2.4Hz)、7.14(1H、d、J=2.4Hz)、7.37(1H、t、J=0.6Hz)、7.54(1H、dd、J=8.8、0.4Hz)、7.69(1H、dd、J=15.8、0.6Hz)
IR (Nujol) 3265、1634cm−1、APCI−MS m/z 406[M+H]
THK−765((E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−ホモピペリジン−1−イル]チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール):(104)の製造
98の製造
1(10.0g、60.97mmol)のホモピペリジン(20.61ml、182.9mmo)及びトリエチルアミン(42.55ml、304.8mmol)溶液を95℃で16時間、115℃で8時間攪拌した。反応液を放冷、不溶物をろ別、ろ液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=9/1〜4/1)で精製し98(8.77g、79%)を無色油状物として得た。
APCI−MS m/z 183[M+H]

99の製造
ジイソプロピルアミン(10.17ml、72.17mmol)のテトラヒドロフラン(130ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.59M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(45.39ml、 72.17mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で98(8.77g、48.11mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温でジメチルホルムアミド(7.40ml、96.2mmol)を一度に加え、同温で30分撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1〜2/1)で精製し99(9.36g、93%)を黄色固体として得た。
mp 32〜34℃、APCI−MS m/z 211[M+H]

100の製造
ジイソプロピルアミン(1.61ml、11.4mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.57M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(7.26ml、 11.4mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で40(2.00g,7.60mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温で99(1.92g、9.12mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)溶液を一度に加え、同温で1時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製、酢酸エチル/n−ヘキサンで再結晶し100(2.80g、78%)を淡黄色結晶として得た。
mp 149〜150℃、IR (Nujol) 3273cm−1
APCI−MS m/z 474[M+H]

101の製造
100(2.80g、5.91mmol)のジクロロメタン(30ml)溶液にトリエチルアミン(3.30ml、23.7mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(1.01ml、13.0mmol)を滴下し室温で30分撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜1/2)で精製、酢酸エチル/n−ヘキサンで再結晶し101(2.35g、87%)を橙色結晶として得た。
mp 152〜153℃、APCI−MS m/z 456[M+H]

102の製造
101(2.35g、5.16mmol)のメタノール(60ml)懸濁液に1N塩酸(5.67ml、5.67mmol)を加え室温で4時間、60℃で30分攪拌した。反応液を減圧溶媒留去、残渣を水/酢酸エチルで溶解、炭酸カリウム溶液でpH10とし、分液後、有機層を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチルで再結晶し102(2.11g、98%)を黄色結晶として得た。
mp 161〜162℃、IR(Nujol)1624cm−1
APCI−MS m/z 416[M+H]

103の製造
102(2.11g、5.08mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(100ml)懸濁液にトリエチルアミン(1.06ml、7.62mmol)、トルエンスルホン酸無水物(1.66g、5.08mol)を加え80℃で16時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈、水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し103(1.35g、47%)を黄色泡状物として得た。
APCI−MS m/z 570[M+H]

104の製造
103(1.35g、2.37mmol)にテトラヒドロフラン(10ml)溶液に1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(11.85ml、11.85mmol)を加え4時間還流した。反応液を放冷、冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/メタノール/25%アンモニア水=1000/10/1)で精製、酢酸エチルで再結晶し104(0.42g、42%)を黄色結晶として得た。
mp 137〜138℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 1.54〜1.68(4H、m)、1.81〜1.91(4H、m)、2.00(1H、t、J=6.2Hz、DO消去)、3.64(4H、t、J=5.9Hz)、3.88〜4.02(2H、m)、4.50〜4.58(1H、m)、4.68(2H、ddd、J=46.8、4.6、2.3Hz)、6.31(1H、d、J=15.4Hz)、6.97(1H、dd、J=8.7、2.4Hz)、7.13(1H、d、J=2.4Hz)、7.36(1H、s)、7.53(1H、d、J=8.7Hz)、7.69(1H、d、J=15.4Hz)
IR (Nujol) 3232、1630cm−1、APCI−MS m/z 418[M+H]
THK−766((E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−(2−ホモモルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール):(109)の製造

105の製造
1(6.06g、36.9mmol)のジイソプロピルエチルアミン(64.5ml、369mmol)溶液にホモモルホリン塩酸塩(5.08g、36.9mmol)を加え、アルゴン雰囲気攪拌下125℃で24時間攪拌した。反応液を放冷、メタノールで溶解、シリカゲル(100ml)を加え減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=9/1〜2/1)で精製し105(2.10g、31%)を淡黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z 185[M+H]

106の製造
ジイソプロピルアミン(2.41ml、17.1mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.57M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(10.89ml、17.1mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で105(2.10g、11.4mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温でジメチルホルムアミド(1.75ml、22.8mmol)を一度に加え、同温で1時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し106(1.56g、65%)を黄色固体として得た。
mp 70〜72℃、IR (Nujol) 1633cm−1
APCI−MS m/z 213[M+H]

107の製造
ジイソプロピルアミン(0.50ml、3.53mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.57M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(2.25ml、3.53mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で26(0.80g、2.36mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温で106(0.60g、2.83mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を一度に加え、同温で40分撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製し107(1.30g、100%)を淡黄色粘体として得た。
APCI−MS m/z 552[M+H]

108の製造
107(1.30g、2.36mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液にトリエチルアミン(1.32ml、9.44mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(0.40ml、5.19mmol)を滴下し室温で30分撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し108(1.10g、87%)を黄色粘体として得た。
APCI−MS m/z 534[M+H]

109の製造
108(1.10g、2.06mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液に室温攪拌下1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(2.06ml、2.06mmol)を加え室温で1時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1〜酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し109(0.45g、53%)を黄色結晶として得た。
mp 119〜120℃、H NMR(300MHz、CDCl)δ 1.99(1H、t、J=6.3Hz、DO消去)、2.04〜2.18(2H、m)、3.77〜3.98(10H、m)、4.51〜4.59(1H、m)、4.68(2H、ddd、J=46.7、4.6、2.2Hz)、6.34(1H、d、J=15.3Hz)、6.98(1H、dd、J=8.8、2.4Hz)、7.13(1H、d、J=2.4Hz)、7.35(1H、s)、7.53(1H、d、J=8.8Hz)、7.69(1H、d、J=15.3Hz)
IR (Nujol) 3310、1624cm−1、APCI−MS m/z 420[M+H]
THK−767((E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−(2−チオモルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール):(115)の製造
110の製造
ブロモチアゾール1(8g,48.7mmol)にチオモルホリン(20g,194mmol)を加え、攪拌しながら加熱、85〜90℃で終夜反応させた。反応終了後、反応物を酢酸エチルに溶解させ、不溶物をろ去し、ろ液を減圧留去して粗生成物の混合物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−へキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、110(8.80g、100%)を褐色油状物として得た。
APCI−MS m/z187[M+H]

111の製造
5℃に冷却した乾燥ジメチルフォルムアミド(10.3g,0.14mol)にオキシ塩化リン(8.86g,57.8mmol)を滴下し、5℃で30分攪拌した。この溶液にチアゾール誘導体110(8.8g、47mmol)とジメチルフォルムアミド(35g,0.48mol)を含む1,2−ジクロルエタン(40ml)溶液を滴下した後、反応温度を上げて還流下、4時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、氷を含む炭酸カリウム水溶液に加えて中和させた後、生成物をクロロフォルムで抽出。有機層を分離し、水洗、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物を酢酸エチルから再結晶して、111(8.92g,88%)を得た。
mp137−138℃
IR(Nujol)1657cm−1
APCI−MS m/z215[M+H]

112の製造
アルデヒド111(2.35g、11mmol) とベンゾキサゾール誘導体40 (2.9g、11mmol) を溶解させたジメチルスルホキシド(30ml)溶液に50%水酸化ナトリウム水溶液(5.0ml)を滴下し、室温にて3時間半攪拌反応させた。黄色の固体が析出した。反応液に水50mlを加え20分程攪拌した後、黄色固体をろ取、水洗し、70℃にて減圧乾燥し、112(4.06g, 80%)を得た。
mp173−175℃
IR(Nujol)1633cm−1
APCI−MS m/z460[M+H]

113の製造
メタノール120mlに112(4.56g、9.92mmol)を加え、室温にて攪拌しながら1N塩酸(20ml)を滴下した。その後、反応液を加熱し、55℃にて3時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧にて留去、残渣を水に溶解し、続いて炭酸カリウム水溶液でアルカリ性にすると黄色の沈殿物が析出した。これをろ取、水洗を繰り返した後、酢酸エチル−メタノール混液中で洗浄後、再びろ取し減圧乾燥して113(3.77g,90%)を得た。
mp177−178℃
APCI−MS m/z420[M+H]

114の製造
ジオール113(3.70g,8.82mmol)を乾燥ジメトキシエタン(170ml)に溶解させ、これにp−トルエンスルホン酸無水物(2.87g,8.8mmol)、トリエチルアミン(1.38g,13.7mmol)、ジメチルアミノピリジン(95mg)を加えて攪拌、75℃に加熱、5時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、沈殿物をろ去、ろ液を酢酸エチル(200ml)で希釈した後、水を加えて分液した。有機層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロフォルム/メタノール=20/1)にて分離精製し、114(1.85g,36.5%)
及び未反応ジオール113(1.52g,41%)を得た。
mp191−193℃
APCI−MS m/z574[M+H]

115の製造
モノトシル体114(1.8g,3.13mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(16ml)に溶解させ、フッ化テトラn−ブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン1モル溶液(16ml)を加えて加熱1時間半還流下に反応させた。反応終了後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水を加えて分液し、有機層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/アセトン=3/2)で精製し、さらにエタノールにて再結晶させて115(470mg、36%)を得た。
mp137−138℃
IR(Nujol)3248,1633cm−1
APCI−MS m/z422[M+H]
HNMR(DMSO−d)δ2.70−2.75(4H,m)、3.62−3.64(2H,br.t)、3.84−3.90(4H,m)4.58−4.79(3H,m)5.07(1H,t,J=5.75Hz)6.37(1H,d,J=15.7Hz)7.00(1H,dd,J=8.7Hz,2.2Hz)7.37Hz(1H,d,J=2.3Hz)7.55(1H,d,J=8.7Hz)7.61(1H,s)7.77(1H,d,J=15.7Hz)
THK−775((E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−(1,2,4−トリアゾール−4−イル)−チアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール)(122)の製造

117の製造
ジイソプロピルアミン(4.15ml、29.5mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.58M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(18.64ml、 29.5mmol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で26(4.00g、11.78mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温で116(4.03g、17.7mmol)のテトラヒドロフラン(80ml)溶液を一度に加え、同温で30分撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル =4/1〜1/1)で精製し117(5.20g、78%)を淡黄色泡状物として得た。
APCI−MS m/z 568[M+H]

118の製造
117(5.20g、9.16mmol)のクロロホルム(80ml)溶液にトリエチルアミン(5.11ml、36.6mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(1.56ml、20.2mmol)を滴下し室温で1時間撹拌した。更にトリエチルアミン(2.56ml、18.3mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(0.78ml、10.1mmol)を滴下し室温で20分撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し118(5.03g、100%)を淡黄色固体として得た。
APCI−MS m/z 550[M+H]

119の製造
118(5.03g、9.16mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)溶液に室温攪拌下1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(18.3ml、18.3mmol)を加え室温40分攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1〜1/1)で精製し119(3.36g、84%)を黄色固体として得た。
mp 218〜219℃、APCI−MS m/z 436[M+H]

120の製造
119(3.36g、7.72mmol)のクロロホルム(36ml)溶液に氷冷撹拌下トリフルオロ酢酸(24ml)を滴下し室温で2時間40分撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈、炭酸カリウム溶液でpH9とし、分液後有機層を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製、酢酸エチル/n−ヘキサンで再結晶し120(1.97g、76%)を黄色結晶として得た。
mp 220〜220℃、APCI−MS m/z 336[M+H]

122の製造
120(1.97g、5.87mmol)、121(1.00g、7.04mmol)及びトルエンスルホン酸1水和物(56mg、0.29mmol)のトルエン(200ml)懸濁液を16時間還流した。
反応液を放冷、酢酸エチルで希釈、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製、酢酸エチルで再結晶し122(0.77g、34%)を黄色結晶として得た。
mp 205〜207℃、H NMR(500MHz、DMSO−D)δ 3.66(2H、t、J=5.0Hz)、4.59〜4.79(3H、m)、5.09(1H、t、J=5.6Hz、DO消去)、7.08(1H、d、J=16.3Hz)、7.06(1H、m)、7.44(1H、d、J=2.1Hz)、7.65(1H、d、J=8.7Hz)、7.96(1H、d、J=16.3Hz)、8.19(1H、s)、9.31(2H、s)
IR (Nujol) 3333、1637、1620cm−1
APCI−MS m/z 388[M+H]
THK−774(6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[4−(1,2,4−トリアゾール−4−イル)−フェニル]ベンゾオキサゾール):(131)の製造
124の製造
4−アミノ安息香酸エチルエステル123(20g,0.12mol)を溶解したトルエン(200ml)溶液に121(13.2g,0.093mol)、p−トルエンスルホン酸(300mg)、酢酸(20ml)を加え、終夜、加熱還流させた。反応液を5℃に冷却し、析出物をろ取、減圧にて乾燥し、6.87g(34%)の無色結晶124を得た。
APCI−MS m/z218[M+H]
IR(Nujol)1700,1630,1611cm−1

125の製造
エステル124(6.8g,31.3mmol)をエタノール(70ml)に分散させ、1N水酸化ナトリウム(70ml)を加えて、30分加熱還流させた。反応終了後、減圧にて溶媒を留去し、得られた残留物を水に溶解させた。1N塩酸(70ml)を加え、析出した無色固体をろ取、水洗後、減圧乾燥し、125(5.88g、99%)を得た。
>mp330℃
APCI−MS m/z190[M+H]
IR(Nujol)1692,1609cm−1

127の製造
アルコール126(24g、0.13mol)、ベンゾキサゾール誘導体4 (19.4g、0.13mol)を溶解した乾燥テトラヒドロフラン(500ml)溶液にトリフェニルフォスフィン(40.9g、0.16mol)を加えて溶解させ、この溶液を5℃に冷却下、40%ジエチルアゾジカルボキシレート(69.5g、0.16mol)のトルエン溶液を滴下した。その後、反応液を室温にて終夜攪拌反応させた。さらにトリフェニルフォスフィン(8.18g、0.031mol)、40%ジエチルアゾジカルボキシレート(13g、0.031mol)を反応液に加え、室温にて4時間攪拌させたのち、反応を終結させた。溶媒を減圧にて留去し、残渣をイソプロピルエーテルに溶解後、氷水にて冷却するとトリフェニルフォスフィンオキシドが析出、これをろ去し、ろ液をシリカゲルに吸着後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルBW300;溶出液 n−へキサン−酢酸エチル=3:1)により粗生成物を得た。さらにカラムクロマトグラフィー(シリカゲルBW300;溶出液 クロロフォルム:メタノール=50:1)にて精製し、無色透明油状物として127(27.7g、68%)を得た。
APCI−MS m/z316[M+H]

128の製造
ベンゾキサゾール誘導体127(10.0g、31.7mmol)をエタノール(50ml)に溶解させ、これに水(30ml)と6N塩酸(20ml)を加えて攪拌、加熱還流下で4時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、減圧にて溶媒を留去、得られた粗生成物を酢酸エチルと飽和重曹水にて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒留去後、得られた生成物をイソプロピルエーテルと酢酸エチル混液で処理して固化させ、無色固体として128(6.5g,71%)を得た。
mp115〜117℃
APCI−MS m/z292[M+H]

129の製造
カルボン酸125(1.89g、10mmol)を乾燥ジメチルフォルムアミド(50ml)に溶解させ、さらに1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.026g、15mmol)、水溶性カルボジイミド塩酸塩(WSC−HCl)(2.875g、15mmol)、トリエチルアミン(2.02g、20mmol)を加えて、室温にて2時間攪拌し反応させた。つぎに128(2.92g、10mmol)を反応液に加え温度を50℃に上げてさらに3時間反応させた。冷却後、反応液を水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥。溶媒留去後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルBW300、溶媒 クロロフォルム:メタノール=20:1)で精製して129(2.52g、54%)を得た。
mp175−177℃
IR(Nujol)3312,1652,1610cm−1
APCI−MS m/z463[M+H]

130の製造
アミド129(2.52g、5.4mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(80ml)に溶解させ、この溶液にトリフェニルフォスフィン(2.14g、8.17mmol)、40%ジエチルアゾジカルボキシレート(3.52g、8.17mmol)を加え、室温にて終夜攪拌反応させた。反応終了後、反応液をNH−シリカ(富士シリシア)に吸着させ、カラムクロマトグラフィー(NH−シリカ;溶媒 n−へキサン−酢酸エチル=1:3)にて精製し、130(2.22g、92%)を無色固体として得た。
mp105−107℃
APCI−MS m/z445[M+H]

131の製造
化合物130(2.22g、5mmol)をメタノール(100ml)、酢酸(10m)の混液に溶解させ、10%パラジウム炭素触媒(1.0g)を加えて、水素雰囲気下に50℃に加熱し7時間攪拌反応させた。反応終了後、ろ過して触媒を除き、ろ液を減圧にて留去し、131(1.25g、70%)を得た。メタノールより再結晶し無色結晶として131を得た。
mp219−220℃
IR(Nujol)3484,1618cm−1
APCI−MS m/z355[M+H]
H NMR(DMSO−d)δ3.68(2H,bt)、4.59−4.83(3H,m)、5.11(1H,t,J=5.6Hz)、7.10(1H,dd,J=8.8Hz,2.4Hz)、7.55(1H,d,J=2.4Hz)、7.73(1H,d,J=8.8Hz)、7.98(2H,bd,J=8.8Hz)、8.30(2H,bd,J=8.8Hz)、9.29(2H,s)
THK−683((E)−2−[2−(2,2−ジシアノエテニールチアゾール−5−イル)エテニール]−6−[(2−フルオロメチル−3−ヒドロキシ)プrッポキシ]ベンゾキサゾール):(152)の製造

146の製造
145(5.18g、45.78mmol)のエタノール(62ml)溶液にオルトギ酸トリエチル(10ml)及びSP−112[H](1.0g)を加え5時間還流した。反応液のSP−112[H]をろ別、ろ液を減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=4/1)で精製し146(8.57g、100%)を無色油状物として得た。
APCI−MS m/z 188[M+H]

147の製造
146(9.02g、48.17mmolのテトラヒドロフラン(100ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−70℃以下で1.60M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(45.2ml、72.3mmol)を滴下し、−78℃で1時間撹拌した。同温でジメチルホルムアミド(7.45ml、96.3mmol)を一度に加え、同温で30分撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル =9/1)で精製し147(5.55g、54%)を淡黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z 216[M+H]

148の製造
ジイソプロピルアミン(2.85ml、20.20mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)溶液に、アルゴン雰囲気攪拌下−60℃以下で1.60M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(12.62ml、 20.20mol)を滴下し除々に0℃まで昇温した。次に−70℃以下で62(4.76g、13.47mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下し−78℃で1時間撹拌した。同温で147(3.20g、16.16mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を一度に加え、同温で30分撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル =4/1〜1/1)で精製し148(5.25g、69%)を淡黄色油状物として得た。
APCI−MS m/z 569[M+H]

149の製造
148(5.25g、9.23mmol)のジクロロメタン(50ml)溶液にトリエチルアミン(5.15ml、36.9mmol)を加え、氷冷撹拌下メタンスルホニルクロライド(1.57ml、20.3mmol)を滴下し室温で2時間撹拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し149(4.24g、83%)を淡黄色固体として得た。
APCI−MS m/z 551[M+H]

150の製造
149(1.00g、1.82mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液に室温攪拌下1M テトラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒドロフラン溶液(1.82ml、1.82mmol)を加え室温で1.5時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1〜1/1)で精製し150(0.65g、82%)を黄色固体として得た。
APCI−MS m/z 437[M+H]

151の製造
150(0.65g、1.49mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液に2、4、6−コリジン(1.18ml、8.94mmol)を加え、氷冷撹拌下トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(1.08ml、5.96mmol)を滴下し同温で40分攪拌した。反応液に水(20ml)を加え室温で1時間攪拌、酢酸エチル(40ml) を加え70℃で12時間攪拌した。反応液を放冷、分液後有機層を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1〜1/1)で精製し151(0.48g、89%)を黄色固体として得た。
mp 134〜135℃、IR (Nujol) 1685cm−1
APCI−MS m/z 363[M+H]

152の製造
151(0.48g、1.32mmol)のエタノール(27ml)溶液にマロノニトリル(0.11g、1.58mmol)及びビペリジン(0.004ml、0.04mmol)を加え、60℃で40分攪拌した。
反応液を氷冷、ろ取、エタノール洗浄、乾燥し152(0.45g、83%)を赤紫色結晶として得た。、
mp 192〜193℃(dec)、H NMR(300MHz、CDCl)δ 2.39〜2.55 (1H、m)、3.93(2H、d、J=5.7Hz)、4.19(2H、d、J=5.9Hz)、4.72(2H、dd、J=47.1、5.4Hz)、6.97(1H、dd、J=8.8、2.3Hz)、7.07(1H、dd、J=16.1、0.4Hz)、7.08(1H、d、J=2.3Hz)、7.62 (1H、d、J=8.8Hz)、7.82(1H、dd、J=16.1、0.6Hz)、7.94(1H、s)、8.25(1H、s)
IR (Nujol) 2225、1617cm−1、APCI−MS m/z 411[M+H]
アミロイドβ蛋白脳内蓄積モデルにおける検討
アミロイドが脳内に蓄積するトランスジェニック(Tg)マウスを用いた検討
(1)Tgマウス(Tg2576またはAPPswe2576/Tau JPL3)を使用した。被検化合物をTgマウスの尾静脈より投与し、その1時間後にペントバルビタールNa深麻酔下で開胸、経心的に10%中性緩衝ホルマリンを潅流して固定した。
(2)開頭して脳を摘出し、30%シュークロースに12時間以上浸漬させた。次に、摘出された脳を微細に粉砕したドライアイス内で速やかに凍結させ、クリオスタット(Bright社、Model−OT)を用いて、ポリ−L−リジンコート付きのスライドグラス上に凍結切片を作成した。
(3)作成した脳切片を封入しない状態で、蛍光顕微鏡(ニコン、エクリプス80i)で鏡検し、デジタルカメラ(ニコンDxm1200FまたはPhotometrics社Cool SNAP ES)で写真撮影した。結果を図1−3に示す。
静脈内投与された被検化合物は、血液−脳関門を通過し、Tgマウス脳内アミロイド斑に結合した。
同一切片を免疫染色する場合は、以下のように行った。
(1)同一切片に90%蟻酸を約150μl滴下し、室温で5分間静置した。水道水で5分間洗浄した後、冷PBS−Tween20に2分間浸漬し、その後、0.05%トリプシン溶液を150μl滴下して、37℃、15分間反応させた。
(2)氷浴中、冷PBS−Tween20で5分間×2回洗浄した後、ブロッキング用血清を2滴滴下して、37℃、30分間反応させた、余分な水分を除去した後に、アミロイドβ蛋白の特異抗体である4G8(Chemicon社、1:100希釈)を約150μl滴下して、37℃、1時間反応させた。
(3)さらに、冷PBS−Tween20で2分間×5回洗浄した後、抗マウスIg(H+L)、ヤギ、ビオチン結合溶液を2滴滴下して37℃、1時間反応させ、冷PBS−Tween20で2分間×3回洗浄した上で、ABC溶液(ストレプトアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体溶液)を2滴滴下して、30分間静置した。再び、冷PBS−Tween20で2分間×3回洗浄した後、DAB溶液(20mlの0.05mol/トリス塩酸緩衝液にDAB10mgを溶解し、使用直前に3%過酸化水素水100μlを添加)を約150μl滴下して、十分な発色を得たのち、蒸留水で1分間洗浄し、反応を停止させ、封入後、鏡検した。
結果を図4および図5に示す。THK−702は血液−脳関門を通過し、Tgマウスのアミロイド斑に結合し(図3上段パネル)、同結合部位は同一切片の抗Aβ抗体染色部位と一致していた(図3下段パネル)。図4は図3の強拡大画像を示す。A、B、Cはそれぞれ図3のA、B、Cに対応。THK−702はTgマウスのアミロイド斑に結合し(図4左パネル)、同結合部位は同一切片の抗Aβ抗体染色部位と完全に一致していた(図4右パネル)。
本発明の化合物のアルツハイマー病患者脳切片上での染色性試験の手順について、以下に説明する。
(1)病理学的にアルツハイマー病と確定診断された患者および正常高齢者の、側頭葉または海馬における脳標本を使用した。標本は共同研究先である福祉村病院長寿医学研究所から提供を受け、患者遺族から研究目的での使用に対する承諾を得ている(福祉村病院倫理委員会許可No.20)。
(2)パラフィン包埋された脳組織は厚さ6μmあるいは8μmで薄切し、スライドグラス上に伸展、乾燥させた。パラフィン脳切片はキシレン10分×2、100%エタノール5分×2、90%エタノール5分、流水洗10分の順で脱パラフィン化した。
(3)本発明に化合物による染色の前処理として、リポフスチンによる自己蛍光を除去する処置を行った。はじめに、脳パラフィン化した切片を0.25%、KM溶液に20分間浸漬した。PBSにて2分間×2回洗浄した後、0.1%K/シュウ酸溶液中に約5秒間浸し、さらにPBSにて2分間×3回洗浄を行った。
(4)50%エタノールに溶解した100μM本発明化合物溶液を約150μl滴下し、10分間反応させた。水道水中に5回つけた後、Flour Save Reagent(Calbiochem)で封入し、蛍光顕微鏡(ニコン、エクリプス80i)を用いて鏡検した。画像はデジタルカメラ(ニコンDxin1200FまたはPhotometrics社Cool SNAP ES)にて撮影した。
免疫染色は、以下のように行った。
(a)アミロイドβ蛋白の免疫染色方法:
(1)脱パラフィン後、蒸留水中で2分×2で洗浄を行い、イムノペンにより組織を囲んだ後、蟻酸を約150μl滴下し、室温で5分間静置した。水道水で5分間洗浄した後、冷PBS−Tween20に2分間浸漬し、その後、0.05%トリプシン溶液を約150μl滴下して、37℃、15分間反応させた。
(2)氷浴中、冷PBS−Tween20で5分間×2回洗浄した後、ブロッキング用血清を2滴滴下して、37℃、30分間反応させ、余分な水分を除去した後に、アミロイドβ蛋白の特異抗体である6F/3D(DAKO社、1:50希釈)を約150μl滴下して、37℃、1時間反応させた。
(3)さらに、冷PBS−Tween20で2分間×5回洗浄した後、抗マウスIgG(H+L)、ヤギ、ビオチン結合溶液を2滴滴下して37℃、1時間反応させ、冷PBS−Tween20で2分間×3回洗浄した上で、ABC溶液(ストレプトアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体溶液)を2滴滴下して、30分間静置した。再び、冷PBS−Tween20で2分間×3回洗浄した後、DAB溶液(20mlの0.05mol/トリス塩酸緩衝液にDAB10mgを溶解し、使用直前に3%過酸化水素水100μlを添加)を約150μl滴下して、十分な発色を得たのち、蒸留水で1分間洗浄し、反応を停止させ、封入後、鏡検した。
(b)神経原線維変化の免疫染色方法
(1)脱パラフィン処理後、冷却PBS−Tween20に5分間×2回洗浄した後、ブロッキング用血清を2滴滴下して、37℃、30分間反応させた。余分な水分を除去した後に、タウの特異抗体であるAT−8(Mia Nobel社、1:100希釈)を2滴滴下して、4℃、1晩反応させた。
(2)翌日、冷PBS−Tween20で2分間×5回洗浄した後、抗ウサギIgG、ヤギ、ビオチン結合溶液を2滴滴下して、37℃、1時間反応させ冷PBS−Tween20で2分間×3回洗浄した上でABC溶液(ストレプトアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体溶液)を2滴滴下し、30分間静置した。
(3)再び、冷PBS−Tween20で2分間×3回洗浄した後、DAB溶液(20mlの0.05mol/トリス塩酸緩衝液にDAB10mgを溶解し、使用直前に過酸化水素水100μlを添加)を約150μl滴下して、十分な発色を得たのち、蒸留水で1分間洗浄し、反応を停止させ、封入後、鏡検した。なお、ブロッキング用血清、抗ウサギIgG、ヤギ、ビオチン結合溶液、ABC溶液は、Phosphorylated Tau Immunohistostain Kit(Wako299−57301)に含まれるものを使用した。
本発明の化合物についての上記染色試験の結果を図1〜図37に示す。THK−097(図1)、THK−525(図2)、THK−727(図3)、およびTHK−702(図4および図5)は、アミロイドβ蛋白が蓄積するTgマウスにおいてアミロイドβ蛋白を染色することが確認された。本発明の化合物はアルツハイマー病患者脳切片においてアミロイドβ蛋白に結合することも確認された(図6〜図37)。THK−097は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図6)。THK−184は、アルツハイマー病患者脳切片においてアミロイドβ蛋白に結合した(図7)。THK−185は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白および神経原線維変化に結合した(図8)。THK−203は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図9)。THK−207は、アルツハイマー病患者脳において、アミロイドβ蛋白に結合した(図10)。THK−248は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図11)。THK−254は、アルツハイマー病患者脳切片において、神経原線維変化に結合した(図12)。THK−258は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白および神経原線維変化に結合した(図13)。THK−262は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図14)。THK−276は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図15)。THK−281は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図16)。THK−308は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図17)。THK−317は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白および神経原線維変化に結合した(図18)。THK−383は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図19)。THK−385は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図20)。THK−386は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白および神経原線維変化に結合した(図21)。THK−525は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図22)。THK−556は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図23)。THK−558は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図24)。THK−559は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図25)。THK−561は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図26)。THK−562は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図27)。THK−563は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図28)。THK−565は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図29)。THK−585は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図30)。THK−702は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図31)。THK−708は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図32)。THK−727は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白および神経原線維変化に結合した(図33)。THK−752は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図34)。THK−761は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図35)。THK−763は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図36)。THK−766は、アルツハイマー病患者脳切片において、アミロイドβ蛋白に結合した(図37)。
このように、本発明の化合物は、アルツハイマー病患者脳切片においてアミロイドβ蛋白および神経原線維変化を特異的に認識することがわかった。また、上記以外の本発明の化合物も特異的にアミロイドβ蛋白に結合することがわかった。
以下に、本発明の化合物の特性に関する試験方法を説明する。
急性毒性試験
本発明の化合物の急性毒性についてはマウスを用いて静脈内投与で検討した。Crj:CDI系雄性マウスを一群4匹として使用した(各群の平均体重は、31〜32gであった)。各化合物は、1N HCl、ポリエチレングリコール400、蒸留水の混合液に溶解、またはDMSOに溶解後、蒸留水にて希釈し、尾静脈を介して投与し、以後7日まで観察した。観察結果を表2に示す。
脳内移行試験
I. HPLCを用いた脳内移行試験
マウスに本発明化合物を静脈内投与し、インビボにおける脳内移行性を測定した。
(1)マウスは30〜40g(n=3)のSlc:ICR(日本SLC)を用いた。
(2)被験化合物は、5%のTween80−5%エチルアルコール−5% 1NHCl−生理食塩水溶液の混合液で溶解して、尾静脈より注入して、投与より2分後にエーテル麻酔下で頸椎脱臼を行い、心臓からヘパリン処理注射筒を用いての採血、及び、脳の採材をおこなった。
(3)血液は、採血後4℃、10,000rpmで10分間遠心し、上澄みを血漿としてー80℃で保存した。脳(小脳を含む)は、採材後−80℃で保存した。
(4)血漿は0.1mlを取り、アセトニトリルを0.3ml加え、vortexした後、4℃、10,000Gで5分間遠心した。遠心を終えた上澄み0.2mlをMini−Uniprep(Whatman)に移し、20mMリン酸バッファーを0.2ml加え、ろ過した。ろ過した溶液のうち、0.2mlをHPLC(SHISEIDO NANOSPACE SI−2、ポンプ:3001、UV−VIS検出器:3002、カラム恒温槽:3004、蛍光検出器:3013)により分析した。
(5)脳はメタノールを2ml加えてホモジェナイズし、4℃、3000または4000rpmで10分間遠心した。遠心を終えた上澄みを500μとり、20mMリン酸bufferで10倍希釈した。固相抽出用カートリッジに(i)アセトニトリル2〜3ml、(ii)メタノール2〜5ml、(iii)超純水4〜6mlの順番で通し、固相抽出用カートリッジ(J.T.Baker Speedisk)に10倍希釈した上澄み溶液を通した。固相抽出用カートリッジに空のシリンジで空気を2〜3回通し水分除去した後、アセトニトリルまたはメタノール約500μlで溶出、20mMリン酸bufferで2倍希釈した。その溶液0.2mlをHPLCで分析した。
(6)血漿、脳それぞれについて、投与量に対する脳内および血漿の被験化合物含有量(%ID(injected dose)/gまたはml)を求めた。
表3にマウスにおける被験化合物静脈内投与2分後の脳移行を示した。中枢神経系を対象としたPETまたはSPECT用化合物の脳移行性は、0.5%ID/g以上あれば十分と考えられている。その意味で被験化合物は極めて脳移行性の高い化合物である。
脳内移行試験
II.[18F]標識体を用いた検討
本発明の化合物は、当業者に公知の方法を用いて標識体とすることができる。以下に、いくつかの本発明の化合物の[18F]標識体の合成例を示す。
18F]THK−525の標識合成
サイクロトロンHM12(住友重機械社製)で加速した12MeVの陽子ビームを同位体純度95%以上の[18O]HOに30分間照射して18を合成した。続いてその溶液を陰イオン交換樹脂(AG1−X8)に通して18を樹脂上に捕捉し、33mM KCO溶液で溶出させた。この18含有KCO水溶液300μL(3.28GBq)を褐色バイアル(容量10mL)にとり、Kryptofix222(16mg)、アセトニトリル(3mL)を加えてオイルバス(110℃)で加熱しながらHeガスを吹き付け、水を共沸させながらアセトニトリルを完全に除去した。さらにアセトニトリル(3mL)を加え同様に加熱条件下でアセトニトリルを除去する操作を3回繰り返して、バイアル内を無水の状態にした。そこに、標識前駆体のTHK−575(1.9mg)を溶解したDMSO溶液(0.8mL)を加え、オイルバス(110℃)で10分間加熱攪拌した。その後、このDMSO反応溶液をSep−Pak(登録商標) Aluminaカートリッジ(Waters社製)とフィルター(0.5μm)に通し、得られた濾液をセミ分取HPLC(カラム:Inertsil(登録商標) ODS−3(10×250mm)、移動相:EtOH/MeCN/20mM NaHPO=15/45/40、流速:5.0mL/min)にかけて、約11−12分に溶出する[18F]THK525由来の放射性ピークを分取した。このフラクションの放射能から求めた減衰補正後の放射化学的収率は42%であった。
18F]THK−702の標識合成
サイクロトロンHM12(住友重機械社製)で加速した12MeVの陽子ビームを同位体純度95%以上の[18O]HOに30分間照射して18を合成した。続いてその溶液を陰イオン交換樹脂(AG1−X8)に通して18を樹脂上に捕捉し、33mM KCO溶液で溶出させた。この18含有KCO水溶液200μL(3.24GBq)を褐色バイアル(容量10mL)にとり、Kryptofix222(16mg)、アセトニトリル(3mL)を加えてオイルバス(110℃)で加熱しながらHeガスを吹き付け、水を共沸させながらアセトニトリルを完全に除去した。さらにアセトニトリル(3mL)を加え同様に加熱条件下でアセトニトリルを除去する操作を3回繰り返して、バイアル内を無水の状態にした。そこに、標識前駆体のTHK−703(2.2mg)を溶解したDMSO溶液(0.8mL)を加え、オイルバス(110℃)で10分間加熱攪拌した。その後、反応溶液を蒸留水(8mL)で希釈してSep−Pak tC18カートリッジ(Waters社製)にロードし、蒸留水でカートリッジを洗浄後、EtOHで溶出した粗生成物の溶液をセミ分取HPLC(カラム: Inertsil(登録商標) ODS−3(10×250mm)、移動相:MeCN/20mM NaHPO=40/60、流速:7.0mL/min)にかけて、約11分に溶出する[18F]THK−702由来の放射性ピークを分取した。このフラクションの放射能から求めた減衰補正後の放射化学的収率は21%であった。
18F]THK−727の標識合成
サイクロトロンHM12(住友重機械社製)で加速した12MeVの陽子ビームを同位体純度95%以上の[18O]HOに30分間照射して18を合成した。続いてその溶液を陰イオン交換樹脂(AG1−X8)に通して18を樹脂上に捕捉し、33mM KCO溶液で溶出させた。この18含有KCO水溶液100μL(1.27GBq)を褐色バイアル(容量10mL)にとり、Kryptofix222(10mg)、アセトニトリル(3mL)を加えてオイルバス(110℃)で加熱しながらHeガスを吹き付け、水を共沸させながらアセトニトリルを完全に除去した。さらにアセトニトリル(3mL)を加え同様に加熱条件下でアセトニトリルを除去する操作を3回繰り返して、バイアル内を無水の状態にした。そこに、標識前駆体のTHK−726(1.9mg)を溶解したDMSO溶液(0.4mL)を加え、オイルバス(110℃)で10分間加熱攪拌した。その後、このDMSO反応溶液をSep−Pak(登録商標) Aluminaカートリッジ(Waters社製)とフィルター(0.5μm)に通し、さらに追加的にDMSO(0.2mL)を通して得られた濾液をセミ分取HPLC(カラム: Inertsil(登録商標) ODS−3(10×250mm)、移動相:MeCN/20mM NaHPO=40/60、流速:5.0mL/min)にかけて、約23分に溶出する[18F]THK−727由来の放射性ピークを分取した。このフラクションの放射能から求めた減衰補正後の放射化学的収率は44%であった。
18F]THK−761の標識合成
サイクロトロンHM12(住友重機械社製)で加速した12MeVの陽子ビームを同位体純度95%以上の[18O]HOに30分間照射して18を合成した。続いてその溶液を陰イオン交換樹脂(AG1−X8)に通して18を樹脂上に捕捉し、33mM KCO溶液で溶出させた。この18含有KCO水溶液400μL(3.73GBq)を褐色バイアル(容量10mL)にとり、Kryptofix222(16mg)、アセトニトリル(2mL)を加えてオイルバス(110℃)で加熱しながらHeガスを吹き付け、水を共沸させながらアセトニトリルを完全に除去した。さらにアセトニトリル(2mL)を加え同様に加熱条件下でアセトニトリルを除去する操作を3回繰り返して、バイアル内を無水の状態にした。そこに、標識前駆体のTHK−760(4.0mg)を溶解したDMSO溶液(0.7mL)を加え、オイルバス(110℃)で10分間加熱攪拌した。その後、反応溶液を蒸留水(7mL)で希釈してSep−Pak tC18カートリッジ(Waters社製)にロードし、蒸留水およびMeCN/20mM NaHPO(v/v=3/7、2mL)で順次カートリッジを洗浄後、EtOHで溶出した粗生成物の溶液をセミ分取HPLC(カラム: Inertsil(登録商標) ODS−3(10×250mm)、移動相:MeCN/20mM NaHPO=30/70、流速:5.5mL/min)にかけて、約15.5−16.0分に溶出する[18F]THK−761由来の放射性ピークを分取した。このフラクションの放射能から求めた減衰補正後の放射化学的収率は11%であった。
18F]THK−763の標識合成
サイクロトロンHM12(住友重機械社製)で加速した12MeVの陽子ビームを同位体純度95%以上の[18O]HOに30分間照射して18を合成した。続いてその溶液を陰イオン交換樹脂(AG1−X8)に通して18を樹脂上に捕捉し、33mM KCO溶液で溶出させた。この18含有KCO水溶液200μL(3.02GBq)を褐色バイアル(容量10mL)にとり、Kryptofix222(16mg)、アセトニトリル(2mL)を加えてオイルバス(110℃)で加熱しながらHeガスを吹き付け、水を共沸させながらアセトニトリルを完全に除去した。さらにアセトニトリル(2mL)を加え同様に加熱条件下でアセトニトリルを除去する操作を3回繰り返して、バイアル内を無水の状態にした。そこに、標識前駆体のTHK−762(3.1mg)を溶解したDMSO溶液(0.7mL)を加え、オイルバス(110℃)で10分間加熱攪拌した。その後、反応溶液を蒸留水(7mL)で希釈してSep−Pak tC18カートリッジ(Waters社製)にロードし、蒸留水およびMeCN/20mM NaHPO(v/v=3/7、5mL)で順次カートリッジを洗浄後、EtOHで溶出した粗生成物の溶液をセミ分取HPLC(カラム:Inertsil(登録商標) ODS−3(10×250mm)、移動相:MeCN/20mM NaHPO=35/65、流速:6.0mL/min)にかけて、約24−25分に溶出する[18F]THK−763由来の放射性ピークを分取した。このフラクションの放射能から求めた減衰補正後の放射化学的収率は38%であった。
(調製例)
18F]BF−227の標識合成
サイクロトロンHM12(住友重機械社製)で加速した12MeVの陽子ビームを同位体純度95%以上の[18O]HOに30分間照射して18を合成した。続いてその溶液を陰イオン交換樹脂(AG1−X8)に通して18を樹脂上に捕捉し、33mM KCO溶液で溶出させた。この18含有KCO水溶液200μL(1.58GBq)を褐色バイアル(容量10mL)にとり、Kryptofix222(16mg)、アセトニトリル(2mL)を加えてオイルバス(110℃)で加熱しながらHeガスを吹き付け、水を共沸させながらアセトニトリルを完全に除去した。さらにアセトニトリル(2mL)を加え同様に加熱条件下でアセトニトリルを除去する操作を3回繰り返して、バイアル内を無水の状態にした。そこに、標識前駆体(TsO体,2.0mg)を溶解したDMSO溶液(0.7mL)を加え、オイルバス(110℃)で10分間加熱攪拌した。その後、反応溶液を蒸留水(8mL)で希釈してSep−Pak tC18カートリッジ(Waters社製)にロードし、蒸留水およびMeCN/HO(v/v=1/1、1.5mL)で順次カートリッジを洗浄後、EtOHで溶出した粗生成物の溶液をセミ分取HPLC(カラム:YMC−Pack Pro C18 RS(10×250mm)、移動相:EtOH/MeCN/20mM NaHPO=15/40/45、流速:5.0mL/min)にかけて、約12−13分に溶出する[18F]BF−227由来の放射性ピークを分取した。このフラクションの放射能から求めた減衰補正後の放射化学的収率は42%であった。
標識化合物含有生理食塩液の調製
上記標識合成により得られた[18F]THK−702、[18F]THK−761、[18F]THK−763または[18F]BF−227を含有する分取HPLCフラクションを蒸留水(約20ml)で希釈してSep−Pak tC18カートリッジ(Waters社製)にロードし、蒸留水(5〜10ml)でカートリッジを洗浄後、EtOH(3〜5ml)で標識化合物を溶出した。このEtOH溶出液に5%ポリソルベート80エタノール溶液を適量加えて80℃で加熱しながらロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、得られた残渣(標識化合物とポリソルベート80の混合物)を生理食塩液に溶解させることで標識化合物含有生理食塩液を調製した。調製後の薬液の放射化学的純度は95%以上であった。
標識化合物のマウス脳移行性及び骨集積性の評価
18F]BF−227、[18F]THK−702、[18F]THK−761、または[18F]THK−763を含有する生理食塩液を雄性ICRマウス(6〜7週齢)に尾静脈内投与し、2、30、及び60分後における脳組織及び骨組織における放射能の集積性から各標識化合物の脳移行性及び骨集積性を評価した。
なお、BF−227(2−[2−(2−ジメチルアミノチアゾール−5−イル)エテニル]−6−(2−フルオロエトキシ)ベンゾキサゾール)はその化学構造が本発明化合物のそれらと比較的類似していること、また、BF−227は[11C]標識体として用いられてきたが、その化学構造の中にFを有している(Kudoら、Journal of Nuclear Medicine、48巻、553−561ページ、2007年)ことから、実験において、アルツハイマー病診断用PETプローブとしての[18F]BF−227と本発明の[18F]標識化合物の特性の相違を検討した。
使用した標識化合物含有生理食塩液の放射化学的純度は95%以上、比放射能は18.5〜148GBq/μmolであり、マウス1匹あたり1.11〜2.22MBqの標識化合物を投与した。放射集積性の評価では、全投与放射能に対する評価組織の単位重量あたりの放射能の割合(% Injected Dose/g of tissue;%ID/g)を指標とした。放射能の計測には、ガンマーカウンター(1480 WIZARD、パーキンエルマー社製)を使用した。実験手順としては、標識化合物を尾静脈内投与して2、30、及び60分後にエーテル麻酔下でマウスの頚椎脱臼を行い、速やかに心臓から血液を採取したのち、全脳(小脳、脳幹含む)及び大腿部骨を摘出した。そして各サンプルの放射能及び組織重量の計測を行い、そのデータを用いて%ID/gを算出した。
表4にこの評価実験の結果をまとめて示す。また、図38に骨集積性評価結果を示す。
中枢神経系を対象としたPETまたはSPECT用標識化合物の脳移行性は、0.5%ID/g以上あれば十分と考えられている。その意味で本発明の[18F]標識化合物は、極めて脳移行性の高い[18F]標識化合物である。
18F]標識化合物においてしばしば問題となるのはインビボにおける脱フッ素(defluorination)に基づく18Fイオンの骨集積である(Tipreら、Journal of Nuclear Medicine、47巻、345−353ページ、2006年)。18Fイオンは骨集積性が高いことから、もし脱フッ素を受けやすい[18F]標識化合物をアルツハイマー病等の診断プローブとして用いるならば、得られるPET画像はあたかも骨(頭蓋骨)画像となるであろう。しかしながら、現状では、満足のいく程度に脱フッ素を受けにくい標識化合物が得られているとはいえない(Caiら、Journal of Medicinal Chemistry、47巻、2208−2218ページ、2004年、Zhangら、Journal of Medicinal Chemistry、48巻、5980−5988ページ、2005年、Changら、Nuclear Medicine and Biology、33巻、811−820ページ、2006年、およびStephensonら、Bioconjugate Chemistry、18巻、238−246ページ、2007年参照)。
脳移行性評価時に同時に測定した[18F]THK−702、[18F]THK−761、[18F]THK−763および[18F]BF−227の骨集積性の結果を示すと表4の通りであった。[18F]THK−702、[18F]THK−761および[18F]THK−763には骨集積は認められなかったが、一方、[18F]BF−227には投与後時間依存性の著明な骨集積性が認められた。以上より、インビボにおいて[18F]THK−702、[18F]THK−761および[18F]THK−763は脱フッ素を受けないが、[18F]BF−227は容易に脱フッ素を受け18Fイオンが骨に集積することが示唆された。
以上の実験結果をまとめると、本発明の[18F]標識化合物、特に[18F]THK−702、[18F]THK−761および[18F]THK−763は明らかに脳からのウォッシュアウトにおいて[18F]BF−227よりも優れ(表4)、また[18F]BF−227において観察される脱フッ素に基づく18Fイオンの骨集積は、本発明の[18F]標識化合物、特に[18F]THK−702、[18F]THK−761および[18F]THK−763においてはほとんど認められず、満足のいく程度にまで脱フッ素が抑えられていることがわかった(表4)。
以上より、アルツハイマー病診断用PETプローブとして見た場合、本発明の[18F]標識化合物、特に[18F]THK−702、[18F]THK−761および[18F]THK−763は、本発明の化合物の構造を有していないBF−227と比較して極めて有用性が高い。
変異原性試験
本発明の化合物はその用途から、変異原性が無いか、あるいは問題とならないレベルであることが望ましい。本発明化合物の遺伝子突然変異誘発性を検討するために、ヒスチジン要求性のネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)TA100およびTA98株を用いる復帰突然変異試験を行った。試験は用量設定試験と本試験の2回実施した。
以下に試験方法および本発明化物の変異原性試験を示す。用量設定試験は、0.160、0.800、4.00、20.0、100および500μg/プレートを最高用量として、6用量程度(公比2)で本試験を実施した。
まず、被験化合物をDMSO溶解または懸濁させた後、順次希釈して各濃度の被験化合物液を調製した。
滅菌した試験管に被験化合物液あるいは陰性対照(DMSO)溶液を100μl分注し、次いで、代謝活性化系非存在下(−S9mix)の場合は、0.1mol/ナトリウム・リン酸緩衝液(pH7.4)を500μl、また代謝活性化系存在下(+S9mix)の場合は、S9mixを500μl分注した。
次いで、37℃で8時間振盪培養した試験菌株懸濁液を100μl加えた後、振盪恒温器を用いて37℃で20分間インキュベーションした。振盪終了後、トップアガー2mlを添加し、内容物を混合した。
その後、混合液を最小グルコース寒天平板培地(プレート)上に注ぎ一様に広げ、トップアガーを固化させ、プレート上の試験菌株の生育状態について、実体顕微鏡を用いて観察し、さらに被験物質の析出状態を肉眼で観察した後、復帰突然変異により生じたコロニー数を計測した。
計測に関しては、コロニーアナライザーを用い、面積補正ならびに数え落とし補正を実施してコロニー数を算出した。被験化合物の析出あるいは生育阻害等により、コロニーアナライザーの使用が不適当な場合、目視で計数した。
復帰突然変異コロニー数が陰性対照の2倍以上に増加し、かつその増加に用量依存性あるいは再現性が認められた場合に陽性と判定した。なお、陽性と判定した場合には、変異原性の強さの相対的比較値である比活性を下式で求めた。
比活性=
{(当該濃度によるプレート当たりのコロニー数)−(陰性対照のプレート当たりのコロニー数)}/当該濃度値(mg/プレート)
上で説明した方法により復帰後突然変異試験を行った。下表5に被験化合物の変異原性の強さの相対的比較値である比活性値を示した。
THK−097、THK−336、THK−525、THK−683、THK−702、THK−708、THK−711、THK−713、THK−727、THK−752はS9mix非存在および存在にかかわらず、復帰突然変異コロニー数が陰性対照の2倍以上に増加せず、その比活性はマイナスであり、またS9mix存在下のTHK−707、THK−761、THK−763の活性は弱かったが、一方FDDNP(Agdeppaら、ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(J.Neurosci.)、21巻、RC189ページ、2001年)およびIMPY(Kungら、ブレイン・リサーチ(Brain Research)、956巻、202ページ、2002年)のS9mix存在下の比活性は極めて高かった。表5に示す結果から、この試験に供された本発明化合物は変異原性が認められないか、または認められたとしてもその比活性はFDDNPおよびIMPYと比較して極めて弱いことが確かめられた。
次に本発明の化合物のスクリーニング方法について説明する。本発明化合物のなかにはチオフラビンT法では蛍光波長がチオフラビンTと重なるためにスクリーニングが不可能なものがあった。それらの化合物については、以下の新規スクリーニングを導入した。
蛍光コンゴーレッド法
(1)アミロイドβ蛋白1−40(ペプチド研より購入)はリン酸緩衝液(pH7.4)で溶解し、37℃で4日間放置した。
(2)同緩衝液に溶解したコンゴーレッド50μlを96穴マイクロプレートに分注した(最終濃度0.1、0.3、1μM)。
(3)アミロイドβ蛋白100μlずつを添加(最終濃度5μM)し、30分間放置した。
(4)同緩衝液に溶解した被験化合物を100μlずつ添加(最終濃度10μM)し、60分間放置した。
(5)蛍光マイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス社製、Spectra Max 190)を用いて、あらかじめ測定してあった、最適励起および測定波長で測定した。
(6)被験化合物とアミロイドβ蛋白とコンゴーレッド共存下の蛍光度をA、被験化合物とコンゴーレッド共存下のそれをB、被験化合物とアミロイドβ蛋白のそれをC、被験化合物単独のそれをDとすると被験化合物のβ構造認識度は以下の式で算出した。
被験化合物β構造認識度(%)={(A−B)/(C−D)}×100
(7)このβ構造認識度が大きいほど被験化合物はアミロイドβ蛋白に対する結合特異性が高いといえる。
表6に結果を示した。被験化合物のAβに対する結合はAβに特異的に結合するコンゴーレッドによって濃度依存的に抑制された。以上より被験化合物はAβのβ構造を認識していることが明らかとなった。
本発明のコンフォーメーション病診断プローブ用化合物、特に画像診断用プローブ化合物、ならびにそれを含有するコンフォーメーション病治療および/または予防用医薬組成物等は、現在最も難病とされているコンフォーメーション病、例えば、アルツハイマー病の早期発見、治療および予防において極めて有用であり、コンフォーメーション病の診断薬や診断キットの製造分野、コンフォーメーション病の治療薬および予防薬の製造分野、コンフォーメーション病の研究等に利用可能である。

Claims (25)

  1. 式I:
    [式中、
    及びRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基を示すか、或いは、
    、R及びそれらが互いに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環(該含窒素脂肪族環を構成する炭素原子は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子に置き換わっていてもよく、炭素原子が窒素原子で置き換わっている場合には、該窒素原子は、低級アルキル基で置換されていてもよい)を示し、
    及びXは、それぞれ独立して、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を示し、
    は、ヒドロキシ基及びハロゲン原子で置換された−O−低級アルキル基を示し、
    mは、1乃至3の整数を示す]で表される化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  2. が、酸素原子である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  3. が、酸素原子であり、かつ、Xが、硫黄原子である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  4. 式(I)中の式:
    [式中、各記号は前記に同じ]で表される基が、モルホリノ基又はジメチルアミノ基である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。

  5. で表される基である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  6. 式(I)で表される化合物が
    −フルオロメチル−3−[2−[2−(2−モルホリン−4−イル−チアゾール−5−イル)−ビニル]ベンゾキサゾール−6−イルオキシ]−プロパン−1−オール、
    (E)−2−[2−(2−モルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]ベンゾキサゾール、
    (E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−メチルアミノチアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
    (E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−ジメチルアミノ−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
    (E)−6−[(2−フルオロメチル−3−ヒドロキシ)プロポキシ]−2−[2−(2−ピペリジノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、
    (E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−(2−ピペリジノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、
    (E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)チアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、
    (E)−6−[(2−フルオロメチル−3−ヒドロキシ)プロポキシ]−2−[2−[2−(ピロリジン−1−イル)チアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、
    (E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−(ピロリジン−1−イル)−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
    (E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−([1,3]オキサジナン−3−イル)−チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
    (E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−[2−ホモピペリジン−1−イル]チアゾール−5−イル]エテニル]ベンゾキサゾール、
    (E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−(2−ホモモルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール、及び
    (E)−6−[(1−フルオロメチル−2−ヒドロキシ)エトキシ]−2−[2−(2−チオモルホリノチアゾール−5−イル)エテニル]ベンゾキサゾール
    からなる群より選択される化合物である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  7. 標識された請求項1乃至のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  8. 標識が放射性核種によるものである、請求項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  9. 放射性核種がγ線放出核種である、請求項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  10. 標識が陽電子放出核である請求項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  11. 陽電子放出核が、11C、13N、15O、18F、35mCl、76Br、45Ti、48V、60Cu、61Cu、62Cu、66Ga、89Zr、94mTc及び124Iからなる群より選択されるものである、請求項10記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  12. 陽電子放出核が11C又は18Fである請求項10記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する医薬組成物。
  14. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と溶解補助剤とを含む医薬組成物。
  15. 溶解補助剤がポリソルベート80、ポリエチレングリコール、エタノール及びプロピレングリコールからなる群より選択されるものである、請求項14記載の医薬組成物。
  16. 注射剤である請求項13乃至15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  17. 請求項1乃至12のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する、コンフォーメーション病診断用組成物。
  18. 請求項1乃至12のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する、コンフォーメーション病を治療及び/又は予防するための医薬組成物。
  19. 請求項1乃至12のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を必須の構成要素として含む、コンフォーメーション病診断用キット。
  20. 請求項1乃至12のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を必須の構成要素として含む、βシート構造をとった蛋白又は神経原線維変化を検出又は染色するための組成物又はキット。
  21. 画像診断用である、請求項19記載又は20記載のキット。
  22. 対象におけるコンフォーメーション病の診断用組成物又はキットを製造するための、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
  23. 対象におけるコンフォーメーション病の治療及び/又は予防のための医薬組成物を製造するための、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
  24. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を用いて試料を染色することを特徴とする、試料中のβシート構造をとった蛋白または神経原線維変化を検出又は染色する方法。
  25. 試料中のβシート構造をとった蛋白又は神経原線維変化を検出又は染色するための組成物またはキットを製造するための、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
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