JP5189180B2 - 移動無線通信システムにおける送信パワーの制御方法 - Google Patents

移動無線通信システムにおける送信パワーの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、一般に、移動無線通信システムに関し、特に、いわゆる符号分割多重接続(AMRCまたはCDMA:「Code Division Multiple Access」)に関する。
本発明は、特に、UMTS(「Universal Mobile Telecommunication System」)等の、いわゆる第三世代のシステムに適用される。
一般に、これらのシステムにおける一つの目的は性能の向上にあり、すなわち特に、容量増加およびまたはサービス品質の改良にある。
通常、使用されている技術は、いわゆるパワー制御技術であり、特に、閉ループパワー制御技術(「closed loop power control」)である。
閉ループパワー制御の目的は、基地局と移動局との間の各リンクに対して、このリンクにおける伝送品質を示すパラメータ(たとえば信号対干渉比またはSIR:「Signal−to−Interference Ratio」)をできるだけ目標値に近い値に維持することにある。たとえば、下り方向(すなわち基地局から移動局)では、移動局が定期的にSIRを推定し、推定SIRを目標SIR値(「target SIR」)と比較する。推定SIRが目標SIR未満である場合、移動局は、送信パワーを増加するよう基地局に要求する。反対に、推定SIRが目標SIRより大きい場合、移動局が、送信パワーを減少するよう基地局に要求する。
目標SIR値は、こうしたシステムでは重要なパラメータである。実際、目標SIRが、必要な値より高い値に定められていると、システムにおける干渉レベルが無用に上がるため、システムの性能が不必要に劣化する。目標SIRが、必要な値よりも低い値に定められていると、考慮されたリンクに対するサービス品質が落ちる。
目標SIR値は、一般に、必要なサービス品質に応じて選択され、通常は、いわゆる外部ループアルゴリズム(内部ループアルゴリズムとも呼ばれる先述アルゴリズムと対置される)によって調整される。外部ループアルゴリズムの原理は、サービス品質を定期的に推定し、推定したサービス品質と必要なサービス品質とを比較することにある。サービス品質は、一般に、音声サービスに対しては、ビットエラーレート(BER:「bit error rate」)またはフレームエラーレート(FER:「frame error rate」)によって、パケットデータサービスに対してはブロックエラーレート(BLER「block error rate」)によって示される。推定されるサービス品質が、必要なサービス品質より低い場合、目標SIRが高くされ、そうでない場合は目標SIRが低くされる。
内部ループアルゴリズムは、SIRの変動にできるだけ近く沿うために速くなければならないが、それと反対に、外部ループアルゴリズムは、信頼性のある推定を得るために品質を一定期間内で平均化する必要があることから、遅くなければならない。一般に、伝送情報がフレームとして構成され、フレーム自体が、タイムスロット(「time−slots」)として構成されるシステムでは、受信信号のSIRが推定され、フレームの各タイムスロットで目標SIRと比較され、一方で、品質は、複数のフレームで平均化される。
しかしながら、外部ループアルゴリズムの速度が遅いことは、特に、必要なサービス品質を以下のように変える場合、様々な問題を提起する。
非圧縮モードから圧縮モードに、あるいはその逆に伝送モードを変更する場合
必要なサービスを変更する場合(特に伝送ビットレートの変更)
必要な所定のサービスに対して伝送ビットレートを変更する場合(たとえばパケットによるデータサービスに対して)
環境条件を変更する場合(たとえば移動体の速度、無線伝播条件)
その他
以下、パワー制御に対して、圧縮モード(「compressed mode」)の使用により提起された問題に特に着目する。
たとえばUMTS等のシステムでは、移動局(またはユーザ設備またはUE:「User Equipment」)が、下り方向の伝送周波数とは異なる周波数で測定を実施できるようにするために、下り方向で圧縮モードが導入される。これは、ここでは伝送遮断時間と呼ばれる一定の持続時間中、下り方向の伝送を停止することから主に構成される(この伝送遮断は、「transmission gap」とも呼ばれる)。これは、図1によって示されており、この図は、伝送情報がフレームとして構成され、一連の連続フレームが、圧縮フレーム(たとえばT1)および非圧縮フレーム(たとえばT2)を含む場合を示している。
圧縮フレームでは、瞬間的なビットレートが高くなるので(符号化率を上げるか、または拡散係数を小さくすることによって)、目標SIRは、ほぼ同じ割合で高くならなければならない。
しかも、閉ループにおけるパワー制御は、伝送遮断中、もはや作動しないので、主に圧縮フレーム中、および一つまたは複数のいわゆる回復フレーム中(「recovery frames)」、圧縮フレームに応じて性能が著しく劣化する。劣化は、数デシベルに達しうる。通常モード(非圧縮モード)と同じサービス品質を保持するために、これらのフレーム中で目標SIRを増加することによって、この作用を同様に補償しければならない。
だが、外部ループアルゴリズムは緩慢な方法であるため、対応して目標SIRを変更する前におそらく複数のフレームが必要になり、圧縮フレームまたは回復フレームの直後で、望ましくないときに目標SIRが増大するおそれさえある。その結果、いずれにしても、性能が劣化する。
本出願人が1999年7月13日付で出願した欧州特許出願第99401766.3号では、圧縮モードにおけるこのような性能劣化を回避するために一つの解決方法を提案した。
手短に言えば、この先行出願の基本概念は、目標SIRの変動を先取りすることにあり、すなわち目標SIRに対応する変動ΔSIRを先取りして付与することにある。
前記先行出願に含まれる別の概念によれば、瞬間ビットレートの増大による目標SIRの増大と、圧縮フレームにおける劣化性能による(すなわち伝送遮断による)SIRの増大δSIRとを分離することができる。
たとえば下り方向の場合、ビットレートの変動はUEから分かるので、圧縮フレーム中に劣化する性能による付加的な目標SIRの増大δSIRだけを、ネットワークによりUEに知らせることが必要である。必要な信号リソースの追加は、この変動が圧縮モードの他のパラメータ(伝送遮断の持続時間、周期などを含む)とともに知らされる場合、少なくすることができる。
UEは、圧縮フレームの直前(または圧縮フレームの伝送遮断直後)に目標SIRをΔSIRだけ増加し、圧縮フレームの直後に同じ値だけ目標SIRを減少することができる。こうした目標SIRの変動が、従来の外部ループアルゴリズムに加わるので、これを考慮に入れなければならない。
上記の先行出願に含まれる別の概念によれば、少なくとも伝送遮断が圧縮フレームの終了時に行われるとき、回復フレームにおける性能もまた、伝送遮断中のパワー制御の遮断のために劣化することがある。従って、回復フレームにおける目標SIRを増大し、目標SIRのこうした増大をUEに知らせることが同様に望ましい。あるいは、必要な信号量を減らすように、圧縮フレームの場合と同じ値δSIRを使用してもよい。
従って、先行出願によれば、圧縮フレームおよび回復フレーム中、目標SIRの変動を先取りすることによって、圧縮モードにおけるパワー制御外部ループの有効性が高められる。
先行出願で得られる別の概念によれば、UEは、圧縮フレームの前に同じ割合で送信パワーを増大し、同様に圧縮フレームの後に同じ割合でこれを減少することを同時に行える。これによって、特に内部ループアルゴリズムのピッチ動作による欠点を回避し、新しい目標SIRの値に速く到達できる(たとえば、目標SIRの変動が5dBである場合、またパワー制御のピッチが1dBである場合、従来の内部ループアルゴリズムでは、新しい目標値に達するのに5個のタイムスロットが必要であった)。
このため、送信パワー変動を同様に先取りすることによって、圧縮モードにおけるパワー制御内部ループの有効性が同様に高められる。
しかし、目標SIRの変動に対応する送信パワーの先取り変動を得るには、一つの問題が提起される。事実、こうした送信パワーの先取り変動を決定およびまたは適用する役目をもつシステムのエンタティが、実際には、必ずしも目標SIRの変動を決定およびまたは適用する役目をもつシステムのエンタティと一致しないので、これらの様々なエンタティにおいて、このように決定およびまたは適用される変動は異なったものになり、その場合、性能が劣化することがある。
一般には、図3に示したように、移動無線通信システムは、移動局(UMTSシステムにおけるユーザ設備またはUE:「User Equipment」)、基地局(UMTSにおける「Node B(ノードB)」)、基地局コントローラ(RNC:「Radio Network Controller」)といった様々なエンタティを含む。「ノードB」およびRNCから形成される全体は、UTRAN(「UMTS Terrestrial Radio Access Network」)とも呼ばれる。
欧州特許出願第99401766.3号明細書
一般に、パワー制御外部ループは、むしろ受信機で実施される(たとえば下り方向ではUE)。何故なら、パワー制御外部ループに必要な品質(BER、FER、BLER、...)の推定を受信機で実行することが、より論理的であるからである。目標値の変動ΔSIRは、この場合、受信機から分かる。反対に、送信パワーの先取り変動は、送信機で適用されなくてはならないので(たとえば下り方向ではノードB)、同じく送信機に知られることになる。
さらに、UMTS等のシステムでは、RNCが、ネットワーク制御と、UEが実行する作用とを担当し、一方、ノードBは主に送受信機である。従って、上り方向のパワー制御外部ループがRNCで実施される。パワー制御内部ループは、一部がUEで、一部がノードBで実施される。たとえば、上り方向では、ノードBが推定SIRを目標SIRと比較してUEにパワー制御コマンドを送信し、UEは、ノードBから送られるパワー制御コマンドに応じて伝送パワーを修正する。下り方向のパワー制御外部ループは、UEで実施される(値ΔSIRの決定に必要な幾つかのパラメータ、たとえば上記パラメータδSIRは、RNCによりUEに知らされる)。このような理由から、ノードBは、下り方向の値ΔSIR(RNCによりUEに知らされる成分δSIRを含めて)を知らないが、上り方向の値ΔSIRだけを知っている。
この問題に対する解決方法は、下り方向で考慮した例の場合、RNCが、UEだけではなくノードBに対して、こうした目標SIRの変動を決定するのに必要なパラメータδSIRを知らせることである。
しかしながら、このような解決方法は、必要な信号交換を著しく増大させるため、利用可能な伝送リソースが有効に使用されないという欠点がある。
従って、上記の欠点を回避可能な、もしくは、性能を劣化せずに必要な信号量を減らすことができる解決方法が求められる。
さらに、特にUMTS等のシステムでは、専用物理チャンネル(「dedicated physical channels」)とも呼ばれる様々なチャンネルが、同一の物理チャンネルで同時に伝送可能である。
次の二つのタイプの専用物理チャンネルが区別される。
いわゆるデータ専用物理チャンネル(DPDCH:「dedicated physical data channels」)
いわゆる制御専用物理チャンネル(DPCCH:「dedicated physical control channels」)
接続モードにある各UEに、必要に応じて、DPCCHチャンネルと、一つまたは複数のDPDCHチャンネルとが割り当てられる。
たとえば下り方向では、図2に示すように、DPDCHおよびDPCCHチャンネルが、フレーム(「frame」)の各タイムスロット(「time−slot」)の内部で時間で多重化される。
同じく図2に示したように、DPCCHチャンネルは、
ネットワークに対して移動局を同期し続けて、移動局が伝播チャンネルの推定を実施できるようにする制御信号を含む「Pilote(パイロット)」フィールドと、
パワー制御内部ループにより使用されるパワー制御コマンドのビットを含む「TPC」(「Transmit Power Control command」)フィールドと、
伝送フォーマット指示ビットを含み、DPDCHチャンネルの各々に対して、使用される伝送フォーマットを指示する(特に、対応するサービスに応じて、符号化、インターリーブ等の構成を含む)「TFCI」(「Transport−Format Combination Indicator」)フィールドとの3つのフィールドを含む。
3GPP(「3rd Generation Partnership Project」)により発行された資料3G TS25.214 V3.2.0(2000−03)に記載されているように(当該資料5.2.1.1章参照)、パワー制御アルゴリズムは、DPCCHおよびDPDCHチャンネルのパワーを同時に制御し、「TFCI」、「TPC」、および「パイロット」フィールド各々の送信パワーは、一つまたは複数のDPDCHチャンネルの送信パワーに対して、ネットワークにより決定されるオフセット(「offset」)PO1、PO2、PO3だけオフセットされている。
しかしながら、この技術を上記の先行出願に記載したような送信パワーの変動先取り技術と組み合わせて用いる場合、前記先行出願では主な解決目標とされなかった様々な問題が提起されることがある。特に、DPCCHチャンネルの少なくとも一つのフィールドに対する送信パワーは、実際に必要なパワーよりも瞬間的に高くなるので、ネットワークにおける干渉レベルが不必要に高くなり、およびまたはネットワークの容量が不必要に減少し、考慮された送信設備におけるパワー消費が無用に増える。
このような欠点を回避可能な解決方法、一般的には、これらの様々なフィールドまたはチャンネル各々に対して最適な送信パワーの先取り変動を得られる解決方法が同様に求められる。
本発明の目的は、伝送品質の目標値に応じてパワー制御アルゴリズムにより送信パワーを制御する、移動無線通信システムにおける送信パワーの制御方法であり、この方法は主に、
いわゆる圧縮伝送モードの作用を補償するために目標値の変動を与え、伝送遮断中は伝送を遮断し、対応してビットレートを増加して伝送遮断を補償し、
前記目標値の変動が、前記ビットレートの増加作用を補償するための第一の成分と、他の伝送遮断作用を補償するための第二の成分とを含み、
対応して送信パワーの先取り変動を与え、
前記送信パワーの先取り変動が、前記第二の成分の近似によって得られた前記目標値の変動の近似値に対応することを特徴とする。
別の特徴によれば、所定の伝送方向に対して、前記記第二の成分の近似値が、反対の伝送方向に対する前記第二の成分によって得られる。
別の特徴によれば、
前記パワー制御アルゴリズムが、データチャンネルと制御チャンネルとの少なくとも2個のチャンネルの送信パワーを、伝送品質の目標値に応じて同時に制御し、
前記制御チャンネルの送信パワーが、前記データチャンネルに対してオフセットされており、
前記目標値が変動した場合、データチャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに、前記目標値の変動の近似値に対応するデータチャンネルの送信パワーの先取り変動を得られる先取り変動を与える。
別の特徴によれば、目標値が変動した場合、前記データチャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルとデータチャンネルの送信パワーのオフセットに与えられる前記先取り変動が、前記目標値の変動の前後で、また同一の基準周期で、制御チャンネルに伝送される信号のエネルギーを同一にするように決定される。
ある実施形態によれば、目標値が変動した場合、制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに、前記目標値の変動の近似値の反対に対応する先取り変動を与える。
別の実施形態によれば、目標値が変動した場合、データチャンネルの送信パワーおよび制御チャンネルの送信パワーに、前記目標値の近似変動に対応する先取り変動を与える。
別の特徴によれば、前記目標値が、それ自体、必要なサービス品質に応じて調整アルゴリムにより調整され、必要なサービス品質が変わった場合、前記目標値の変動は、前記調整アルゴリズムにより調整された目標値の対応する変動を先取りするように構成される。
本発明のもう一つの特徴は、移動無線通信システムにあり、このシステムは、本発明による方法を実施するために、
目標値が変動した場合、前記目標値の近似変動に対応する送信パワーの先取り変動を与える手段を含むことを特徴とする。
別の特徴によれば、前記システムは、
前記目標値が変動した場合、データチャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに、前記目標値の変動の近似値に対応するデータチャンネルの送信パワーの先取り変動を得られる先取り変動を与える手段を含む。
別の特徴によれば、前記システムはさらに、
前記目標値が変動した場合、データチャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルとデータチャンネルの送信パワーのオフセットに与えられる前記先取り変動によって、前記目標値の変動の前後で、また同一の基準周期で、制御チャンネルに伝送される信号のエネルギーを同一にできる手段を含む。
ある実施形態によれば、前記システムは、
前記目標値が変動した場合、制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに、前記目標値の変動の近似値の反対に対応する先取り変動を与える手段を含む。
別の実施形態によれば、前記システムは、
目標値が変動した場合、前記データチャンネルおよび前記制御チャンネルの送信パワーに、前記目標値の変動の近似値に対応する先取り変動を与える手段を含む。
本発明の別の特徴は、基地局にあり、この基地局は、本発明による方法を実施するために、下り方向のパワー制御に対して、
目標値が変動した場合、前記目標値の変動の近似値に対応して、送信パワーの先取り変動を与える手段を含むことを特徴とする。
別の特徴によれば、前記基地局が、
前記目標値が変動した場合、データチャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに、前記目標値の変動の近似値に対応するデータチャンネルの送信パワーの先取り変動を得られる先取り変動を与える手段を含む。
別の特徴によれば、前記基地局がさらに、
前記目標値が変動した場合、データチャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに与えられる前記先取り変動によって、前記目標値の変動の前後で、また同一の基準周期で、制御チャンネルに伝送される信号のエネルギーを同一にできる手段をさらに含む。
ある実施形態によれば、前記基地局が、
制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに、前記目標値の変動の近似値の反対に対応する先取り変動を与える手段を含む。
別の実施形態によれば、前記基地局は、
前記データチャンネルの送信パワーおよび前記制御チャンネルの送信パワーに、前記目標値の変動の近似値に対応する先取り変動を与える手段を含む。
本発明の別の目的は基地局にあり、この基地局は、本発明による方法を実施するために、下り方向のパワー制御の場合、
下り方向に対して前記目標値の変動の近似値を決定するために、上り方向のパワー制御用基地局コントローラによって知らされる前記第二の成分の使用手段を含む。
本発明の別の目的は移動局にあり、この移動局は主に、本発明による方法を実施するために、上り方向のパワー制御に対して、
目標値が変動した場合、前記目標値の変動の近似値に対応して、送信パワーの先取り変動を与える手段を含むことを特徴とする。
別の特徴によれば、前記移動局は、
目標値が変動した場合、データチャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに、前記目標値の変動の近似値に対応して、データチャンネルの送信パワーの先取り変動を得られる先取り変動を与える手段を含む。
別の特徴によれば、前記移動局はさらに、
前記目標値が変動した場合、データチャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに与えられる前記先取り変動によって、前記目標値の変動の前後で、また同一の基準周期で、制御チャンネルに伝送される信号のエネルギーを同一にできる手段をさらに含む。
ある実施形態によれば、前記移動局が、
制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに、前記目標値の変動の近似値の反対に対応する先取り変動を与える手段を含む。
別の実施形態によれば、前記移動局が、
前記データチャンネルの送信パワーおよび前記制御チャンネルの送信パワーに、前記目標値の変動の近似値に対応する先取り変動を与える手段を含む。
本発明の別の目的は移動局にあり、この移動局は主に、本発明による方法を実施するために、上り方向の場合、
上り方向に対して前記目標値の変動の近似値を決定するために、下り方向のパワー制御用基地局コントローラによって知らされる前記第二の成分の使用手段を含む。
本発明の別の目的は、基地局コントローラにあり、この基地局コントローラは、本発明による方法を実施するために、
双方向の伝送に対して、前記第二の成分の場合と同じ値を基地局および移動局に知らせる手段を含む。
本発明の他の目的および長所は、添付図面に関してなされた実施例の以下の説明を読めば、明らかになるであろう。
圧縮モードによる伝送原理を示す図である。 特にUMTSシステム等のシステムにおけるフレーム構成を示す図である。 移動無線通信システムの一般構成を示す図である。 データチャンネルおよび制御チャンネルで、本発明によるパワー制御のための二つの実施形態を示す図である。 下り方向のパワー制御の場合、本発明による方法を実施するために、移動無線通信システムで設けられる手段の一例を示す図である。 上り方向のパワー制御の場合、本発明による方法を実施するために、移動無線通信システムで設けられる手段の一例を示す図である。
従って、本発明は、移動無線通信システムにおけるパワー制御に関する。
より詳しくは、本発明は、移動無線通信システムにおける送信パワー制御方法に関し、伝送品質の目標値に応じてパワー制御アルゴリズムにより送信パワーを制御する。
本発明によれば、
圧縮伝送モードの作用を補償するために目標値の変動を与え、伝送遮断中は伝送を遮断し、対応してビットレートを増加して伝送遮断を補償し、
前記目標値の変動が、前記ビットレートの増加作用を補償するための第一の成分と、他の伝送遮断作用を補償するための第二の成分とを含み、
対応して送信パワーの先取り変動を与え、
前記送信パワーの先取り変動が、前記第二の成分の近似によって得られた前記目標値の変動の近似値に対応する。
圧縮モード中にビットレートの増加作用を補償するための第一の成分は、送信機(たとえば下り方向のノードB)ならびに受信機(たとえば下り方向のUE)から知ることができる。そのため、こうした第一の成分は、一般には、ここで考慮される通知する問題の原因とはならない。この問題はむしろ、圧縮モードの他のあらゆる作用(ビットレートの増加以外)を補償するための第二の成分に対して提起される。これは、たとえば、圧縮モード中のパワー制御遮断による劣化、押抜き等による(punched)圧縮モードの場合の符号化の劣化等である。ここで考慮される通知の問題に対する解決方法は、パワー制御内部ループの場合の送信パワーの先取り変動に対しては、この第二の成分を考慮しない。しかし、この解決方法は最適ではなく、本出願人が注目しているように、たとえ近似値にすぎなくとも第二の成分を考慮することからなる解決方法があれば、いっそう良好な結果が得られ、性能の劣化が少なくなり、従って、必要な信号量を同様に減らすことができる。これは、こうしたシステムでは同様にきわめて重要な目標である。
このような近似値は、たとえばシミュレーションや、以前に得られた値からの統計など、あらゆる手段によって得られる。
さらに、所定の伝送方向に対して、前記第二の成分の近似値は、反対の伝送方向に対する前記第二の成分を用いて得られる。
反対の伝送方向に対する前記第二の成分は、考慮された伝送方向に対して第二の成分の適切な近似を構成するものとみなされるが、これは、上りおよび下りの伝播チャンネルが、一般には同じ特徴を有するものとみなせるからである。このことは、有利には、上記の問題を解消するために使用可能である。たとえば、上り方向における目標値の変動に対する第二の成分は、RNCによってノードBに知らされるので、ノードBは、この第二の成分を、下り方向における送信パワーの先取り変動に対して使用することができ、RNCが別の値をノードBに知らせる必要はない。
さらに、前記目標値の変動の近似値を得る方法では、この近似値が、目標値の変動の正確な値に対応する可能性を考慮する。しかも、このような近似はまた、第二の成分の値がゼロである場合を考慮する。
前記パワー制御アルゴリズム(または内部ループアルゴリズム)によって使用される前記目標値は、必要なサービス品質に応じて、それ自体が調整アルゴリズム(または外部ループアルゴリズム)により調整可能であり、前記目標値の変動は、必要なサービス品質を変更した場合、前記調整アルゴリズムによって調整される目標値の対応する変動を先取りするように構成される。
本発明の以下の説明では、非圧縮モードから圧縮モードへの伝送モードの変更に対応して目標値を変動する場合(または必要なサービス品質を変更する場合)を考慮する。圧縮モードから非圧縮モードへの伝送モードの変更に対しても同じ原理が適用される。
さらに、例として、下り方向すなわちノードBからUEへの伝送の場合を考慮する。
また、例として、UMTSで定義されたようなDPDCHおよびDPCCHチャンネルの場合を考慮する。DPCCHチャンネルの「TFCL」、「TPC」、および「パイロット」フィールド各々の送信パワーは、それぞれPO1、PO2、PO3と記されるオフセットにより、一つまたは複数のDPDCHチャンネルの送信パワーに対してオフセットされている。
もちろん、本発明は、これらの例に制限されるものではない。
目標値の変動ΔSIRは、本出願人により2000年2月8日に出願された欧州特許出願第00400357.0号に記載されたように得られる。
UMTS等のシステムの特徴は、同一の接続で複数のサービスを伝送する可能性にあり、すなわち同一の物理チャンネルで複数の伝送チャンネルを伝送する可能性にある。このような伝送チャンネル(TrCH「Transport Channels」)は、チャンネル符号化構成に応じて別々に処理され(エラー検知符号化、エラー修正符号化、ビットレートのマッチングおよびインターリーブを含む)、その後で時分割多重化されて符号化複合伝送チャンネル(CCTrCH「Coded Composite Transport Channel」)を形成し、一つまたは複数の物理チャンネルに配分される。こうしたチャンネル符号化構成による処理は、伝送時間間隔(TTI:「Transmission Time Interval」)により行われる。チャンネル符号化構成では、ビットレートのマッチングが、押抜き(POINCONNAGE)と反復の二つの技術を含む。さらに、フレーム間のインターリーブが、伝送時間間隔TTIの長さ、もしくはインターリーブ深度で実施される。次いで、各TTIがフレームに分割され、その後、時分割多重化と物理チャンネルにおける配分とがフレーム毎に実施される。また、符号化複合伝送チャンネルCCTrCHを形成するために多重化される様々な伝送チャンネルTrCHi(i=1、...n)の各々が、伝送時間間隔TTIの固有の長さTTIiを有する。UMTSのこれらの特徴についての詳しい情報は、3GPPによって発行された資料3G TS25.212 V3.0.0に記載されている。
上記の第二の先行特許出願に記載したように、値ΔSIRは、次の式により得られる。
ΔSIR=max(ΔSIR1_compression、...、ΔSIRn_compression)+ΔSIR_coding
ここで、「n」は、符号化複合伝送チャンネルCCTrChの全ての伝送チャンネルTrChに対する伝送時間間隔TTIの長さの数であり、Fiは、i番目のTTIの長さをフレーム数として示す。ΔSIR_codingは、以下に定義される。
−全ての圧縮フレームに対して、ΔSIR_coding=Delta SIR
−回復フレームに対して、ΔSIR_coding=Delta SIRafter
−その他の場合 ΔSIR_coding=0
ΔSIRi_compressionは、次のように定義される。
・フレームが押抜き(puncturing)により圧縮される場合
フレーム長さFiの現行の伝送時間間隔TTIに伝送遮断がある場合、
ΔSIRi_compression=10log(N*Fi/(N*Fi−TGLi))
ここで、TGLiは、フレーム長さFiの現行TTIにおいて、伝送遮断時間(「Transmission Gap Length」)をタイムスロット数として示す(伝送遮断は一回であるか、あるいは複数の伝送遮断の和である)。
反対の場合、ΔSIRi_compression=0
・フレームが拡散係数の減少により圧縮される場合
各圧縮フレームに対して、ΔSIRi_compression=10log(RCF/R)
ここで、Rは、圧縮フレーム前後の瞬間的な正味ビットレートであり、RCFは、圧縮フレーム中の瞬間的な正味ビットレートである(「瞬間的な正味ビットレート」という表現は、圧縮フレームに対して、このビットレートを計算するために使用される周期が、フレームの全体の周期ではなく、データが伝送されるこのフレーム周期の一部にすぎないことを意味する)。たとえば、下り方向では、10log(RCF/R)は、UMTSの場合、3dBに等しく、ビットレートのマッチング(「rate matching」)は、係数2により拡散係数を減少した圧縮モードを使用するとき、圧縮フレームおよび非圧縮フレームに対して同じである。上り方向では、反対に、ΔSIRi_compressionが10log((15−TGL)/15)に等しい。何故なら、ビットレートのマッチングが圧縮フレームおよび非圧縮フレームに対して同じではないからである。さらに、反復/押抜き率およびまたは拡散係数を修正することによってフレームを圧縮する必要がないように、単に情報ビットレートを減少する場合(この方法は、「higher layer scheduling」とも呼ばれる)、ΔSIRi_compressionは0に等しい。
その他の場合、ΔSIRi_compression=0
このアルゴリズムでは、前記目標値の変動に対して、max(ΔSIRi_compression、...、ΔSIRn_compression)が前記第一の成分に対応し、ΔSIR_codingが前記第二の成分に対応する。
このアルゴリズムにおいて、第二の成分ΔSIR_codingが、圧縮フレームDeltaSIRと、回復フレームDeltaSIRafterに対して異なる値をとる。
特に前記第二の先行特許出願に同様に記載したように、他のアルゴリズムまたは変形を検討することもできる。
伝送遮断が第一のフレームで開始し、第二の連続するフレームで終了する特別な場合(このケースは、UMTSでは、いわゆる二重フレーム方法(「double−frame method」)に対応する。)、第二の圧縮フレーム(伝送遮断の第二の部分を備える)が、回復フレームとみなされる(ΔSIR_coding=Delta SIRafter)。この場合、考慮された2個の連続フレームに続く第一のフレームは、回復フレームとはみなされない(ΔSIR_coding=0)。
代替として、第二の圧縮フレームを圧縮フレームとみなすことができ(ΔSIR_coding=Delta SIR)、その二つの連続するフレームに続く最初のフレームは回復フレームとみなしうる(ΔSIR_coding=Delta SIRafter)。
あるいはまた、第二の圧縮フレームを、圧縮フレームおよび回復フレームとみなすことができる(ΔSIR_coding=DeltaSIR+SIRafter、もしくは他のあらゆる組み合わせ)。一般的には、必要な信号量と複雑度とを低減するために、成分ΔSIR_codingは、DeltaSIRおよびDelta SIRafterの値を基にして決定可能であり、他の如何なる値も知らせなくてもよい。
たとえば、一つまたは複数のDPDCHチャンネルと、DPCCHチャンネルの「制御」フィールドの場合、一般的には、少なくとも一つのデータチャンネルおよび制御チャンネルの場合で、送信パワーが同一のパワー制御アルゴリズムにより同時に制御され、制御チャンネルの送信パワーがデータチャンネルに対してオフセットされている場合を考慮すると、
本発明によれば、
前記目標値が変動した場合、データチャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに、前記目標値の変動の近似値に対応するデータチャンネルの送信パワーの先取り変動を得られる先取り変動を与える。
有利には、前記データチャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーおよびまたは制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットに与えられる送信パワーの先取り変動は、さらに、前記目標値の変動前後で、また同一の基準周期で、制御チャンネルにおける伝送信号のエネルギーが同じになるように決定することができる。
「制御チャンネル」という表現は、一つのチャンネルを指す場合と、UMTSにおけるDPCCHチャンネルの「パイロット」、「TPC」または「TFCL」フィールドのような複数のフィールドを含む制御チャンネルでの一つのフィールドを指すために用いられる場合とがある。
・Nは、目標SIR変更前の最終タイムスロット(または基準周期)におけるパイロット信号のビットレート数であり、Nは、目標SIR変更後の第一のタイムスロットにおけるパイロット信号のビットレート数である。
・SF、SFは、それぞれ、この二つのタイムスロットにおける拡散係数である(拡散係数の減少により実施される圧縮モードの場合)。
・PO3、PO3は、この二つのタイムスロットでそれぞれPO3により考慮される値である(単位dB)。
PO3は、たとえば以下のように得られる。
Figure 0005189180
この式は、次のように得られる。
SF=NSF
ここで、P1、P2は、それぞれ、考慮された二つのタイムスロットにおけるパイロット信号の送信パワーである。
UMTSの場合、下り方向では、式10log(NSF/NSF)がゼロに等しい。
図4に概略的に示したように、データチャンネルおよび制御チャンネルに送信パワーの先取り変動を与えるために、たとえば二つの方法を使用できる。
図4は、特に、例として、10log(NSF/NSF)がゼロに等しい場合に対応する。
図4の左部分に示した方法によれば、データチャンネルの送信パワーPDPDCHと、制御チャンネルの送信パワーPDPCCHとが、前記目標値の変動の近似値ΔSIRに対応する値だけ増加されている。
従って、この方法では、制御チャンネルの送信パワーを修正しているが、制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットは、修正していない。
図4の右部分に示された方法によれば、制御チャンネルの送信パワーと、データチャンネルとのオフセットPOが、前記目標値の近似値ΔSIRに対応する値だけ減少されている。
従って、この方法では、制御チャンネルの送信パワーを修正せず、制御チャンネルの送信パワーとデータチャンネルの送信パワーとのオフセットを修正している。
図4の中央部は、目標値の変動がない場合を示している。
図4は、もちろん、10log(NSF/NSF)がゼロではない場合、修正しなければならない。
フィールドTFCL、TPCの送信パワーに関するオフセットPO1、PO2に対しては、オフセットPO3の場合と同じ方法を使用可能である。
オフセットPO3の場合に得られたものと同じ変動が、オフセットPO1、PO2に対して適用できる。これは、特に、比PO1/PO3、PO2/PO3を変えないという長所を有するので、たとえばPO1=PO2=PO3であるとき有効である。何故なら、前記送信パワーの先取り変動または、送信パワーのオフセットの対応する変動を与えた後も、この等式を保持できるからである。
本発明による方法の一例は、以下のアルゴリズムにより書くことができる。
この例は、特に図4に関して記載した第二の方法に対応し、オフセットPO1、PO2、PO3に対して同じ変動を与えている。この例はまた、特に、同一の伝送遮断パターン(「transmission gap pattern」)をなす2個の連続伝送遮断の場合に対応し、この二つの伝送遮断に対するパラメータDeltaSIRおよびDeltaSIRafterは、それぞれDeltaSIR1、DeltaSIRafter1、DeltaしR2、DeltaSIRafter2と記される。
圧縮フレームおよび回復フレームの間、送信パワーのオフセットPO1、PO2、PO3は、
max(ΔSIR1_compression、...、ΔSIRn_compression)+ΔSIR_codingだけ減少される。
ここで、「n」は、符号化複合伝送チャンネルCCTrChの全ての伝送チャンネルTrChに対する伝送時間間隔TTIの長さの数であり、ΔSIR_codingは、以下に定義される。
−前記パターンの第一の伝送遮断に対応する圧縮フレームに対して、ΔSIR_coding=DeltaSIR1
−前記パターンの第一の伝送遮断に対応する回復フレームに対して、ΔSIR_coding=DeltaSIRafter1
−前記パターンの第二の伝送遮断に対応する回復フレームに対して、ΔSIR_coding=DeltaSIR2
−前記パターンの第二の伝送遮断に対応する回復フレームに対して、ΔSIR_coding=DeltaSIRafter2
ΔSIRi_は、次のように定義される。
−フレームが、係数2による拡散係数の減少により圧縮される場合
圧縮フレームに対して、ΔSIRi_compression=3dB
その他の場合、ΔSIRi_compression=0dB
−フレームが押抜きにより圧縮される場合
フレーム長さFiの現行の伝送時間間隔TTIに伝送遮断がある場合、ΔSIRi_compression=10log(15*Fi/15*Fi−TGLi)
ここで、TGLiは、フレーム長さFiの現行TTIにおいて、伝送遮断時間(「Transmission Gap Length」)をタイムスロット数として示す(伝送遮断は一回であるか、あるいは複数の伝送遮断の和である)。
反対の場合、ΔSIRi_compression=0
フレームが、「higher layer scheduling」と呼ばれる方法により圧縮される場合
圧縮フレームおよび回復フレームに対して、ΔSIRi_compression=0dB
いわゆる二重フレーム方法の特別な場合、第二の圧縮フレーム(伝送遮断の第二部を備える)は、回復フレームとみなすことができる(ΔSIR_coding=DeltaSIRafter1またはΔSIR_coding=DeltaSIRafter2)。従って、この場合、2個の連続圧縮フレームに続く第一のフレームは、回復フレームとはみなされない(送信パワーのオフセットPO1、PO2、PO3は、通常モードと同じ値を取る)。
一般に、前記送信パワーの先取り変動およびまたは送信パワーのオフセットの先取り変動は、目標値の変動ΔSIRを与えた後に受信される第一のタイムスロットの伝送前か、あるいは、伝送後できるだけ早く、与えられなければならない。
図5は、移動無線通信システムにおいて、下り方向のパワー制御の場合に、本発明による方法を実施するために設けられる手段の一例を示す図である。
そのため、下り方向の場合、単なる例として、図5に概略的に示されているように以下を設けることができる。
ノードBにおいて、下り方向(たとえば上記のアルゴリズムに従ってUEで決定される)で目標値が変動した場合、たとえば上記のアルゴリズムによって決定される送信パワーのオフセットの先取り変動を与える手段1。
RNCにおいて、上り方向のパラメータDeltaSIRおよびDeltaSIRafterをノードB(下り方向の場合は送信機とみなされる)に知らせ、ノードBが、下り方向のパワー制御内部ループに対して、下り方向の目標値の変動の近似値と、送信パワーのオフセットの先取り変動とを決定できるようにする通知手段2。従って、この通知手段は、ノードB(上り方向の場合は受信機とみなされる)に同じパラメータを知らせるために既に設けられたものと同じものとすることができる。これらのパラメータは、ノードBが、上り方向のパワー制御外部ループに対して与えられる目標値の変動を決定できるようにするのに必要なものである。
図6は、上り方向のパワー制御に対して、本発明による方法を実施するために、移動無線通信システムに設けられる手段の一例を示す図である。
そのため、上り方向の場合、単なる例として、図6に概略的に示されているように以下を設けることができる。
UEにおいて、上り方向(たとえば上記のアルゴリズムに従ってノードBで決定される)で目標値が変動した場合、たとえば上記のアルゴリズムに従って決定される送信パワーのオフセットの先取り変動を与える通知手段3。
ネットワーク、たとえばRNCにおいて、下り方向のパラメータDeltaSIRおよびDeltaSIRafterをUE(上り方向の場合は送信機とみなされる)に知らせ、UEが、上り方向のパワー制御内部ループに対して、上り方向の目標値の変動の近似値と、送信パワーのオフセットの先取り変動とを決定できるようにする通知手段4。従って、この通知手段は、UE(下り方向の場合は受信機とみなされる)に同じパラメータを知らせるために既に設けられたものと同じものとすることができる。これらのパラメータは、UEが、下り方向のパワー制御外部ループに対して与えられる目標値の変動を決定できるようにするのに必要なものである。
図5、6に関して記載した例は、特に、所定の伝送方向に対して、前記第二の成分の近似値が、反対の伝送方向に対する前記第二の成分により得られる場合に対応する。もちろん、他の例を考えることもできる。
また、ノードBおよびUEにRNCにより知らされるパラメータDeltaSIRおよびDeltaSIRafterが、ノードBおよびUEに対して同じものであるように構成することができる。これによって、さらに、送信パワーの先取り変動が、各伝送方向に対して目標値の変動と同じになるようにすることができる。
本発明の範囲を逸脱することなく、他の例も考えられる。特に、UMTSシステム等のシステムでは、ノードBは、サーバRNC(あるいはSRNC:「Serving RNC」)と呼ばれるRNCと直接通信することはできない。サーバRNCでは、パワー制御外部ループが別のRNC(DRNC:「Drift RNC」)を介して実施されるからである。従って、本発明は、RNCとノードBとの間のインターフェースに関するのみならず、RNC間のインターフェースにも関与し、これらのインターフェースは、UMTSシステムではそれぞれ「lub」および「lur」と呼ばれている。

Claims (2)

  1. 伝送品質の目標値に応じて、下り方向の送信パワーを制御する手段と、
    圧縮モードで与えられる目標値の変動を決定するために、上り方向について前記基地局へ通知されるパラメータを使用する手段と、
    このように決定された目標値の変動に対応する、パワーオフセットを前記下り方向の送信パワーに与える手段を有する、基地局。
  2. 上り方向について前記基地局へ通知される前記パラメータは、
    圧縮フレームについてはパラメータ(DeltaSIR1、DeltaSIR2)を、
    伝送遮断が2つの連続する圧縮フレームの第1のフレームで開始し、前記2つのフレームの第2のフレームで終了する場合に前記2つの連続する圧縮フレームの第2のフレームについては又は、伝送遮断が単一の圧縮フレーム内にある場合の圧縮フレームに続くフレームについては、パラメータ(DeltaSIRafter1、DeltaSIRafter2)を、
    有する、請求項1に記載の基地局。
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