JP5189093B2 - 過剰瘢痕化の治療および予防 - Google Patents

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Description

本発明は、水和剤および麻酔薬を含む組成物を用いた、ケロイドおよび肥厚性瘢痕によって現れるような過剰瘢痕化の治療および予防に関する。
ケロイド瘢痕または「ケロイド」は、通常の創傷治癒における変異の結果生じる緻密線維組織の異常増殖である。ケロイドの緻密線維組織は元々の創傷の境界を越えて広がり、通常自発的に退行しない。よって、ケロイド瘢痕化は、原因となる創傷の重症度に比例しない。
同様に、肥厚性瘢痕は、異常な創傷治癒の結果生じる緻密な線維組織の異常増殖である。ケロイドとは対照的に、肥厚性瘢痕は創傷の元々の境界を越えては広がらない。また、ケロイドと異なり、肥厚性瘢痕は典型的には一定の大きさに到達し、次いで安定または退行する。
通常の創傷治癒の過程は1から2年間にわたり、概念的に3つの異なる期間からなる。第1の段階、即ち炎症期は極めて分解性である。この期間は負傷直後より始まり、損傷組織および創傷からの異物を除去する手段を与える。負傷の数日後、第2の段階、即ち増殖および基質合成期が始まる。この期間の間、周囲の組織からの線維芽細胞が創傷中へ移動し増殖する。線維芽細胞は活発にコラーゲンを産生し、線維芽細胞はコラーゲンを細胞外基質に分泌する。新たに合成されたコラーゲンは架橋された原線維を形成し、原線維は構造的完全性を創傷に与える。数週間後、最終段階、即ち再形成期が始まる。再形成期の間、それまで無秩序な方向を向いていたコラーゲン原線維が機械的張力の方向に配向し、創傷に機械的強度を更に与える。全ての過程が完了すれば、皮膚は化学的および物理的な障壁性を回復する。
通常の創傷治癒の過程では、6から8週間で、同化作用および異化作用の過程が平衡に達する。この時点で、瘢痕の強度は健康な皮膚の強度のおよそ30〜40%で、瘢痕は典型的には充血しており厚みが増している。次の数ヶ月にわたって、異化作用および同化作用の過程は衰え、コラーゲン線維の架橋が進行し、創傷の引張強度が向上する。また、平坦で、白色で、柔軟な成熟した瘢痕が生じるまでに、充血および厚みの増しは治まる。
過剰瘢痕化は、同化作用および異化作用の創傷治癒過程が不釣合いである結果生じる。過剰瘢痕の形成においては、分解されるよりも多くのコラーゲンが産生される。結果として、細胞、コラーゲンおよびプロテオグリカンの過剰産生により、創傷治癒に必要とされるよりも瘢痕が大きく成長する。ケロイドは全ての方向に成長し、皮膚より盛り上がり、充血したままである。過剰瘢痕化の正確な機構は十分には理解されていないが、ケロイドおよび肥厚性瘢痕の両方の形成には共通の機構が根底にあると考えられている。形質転換成長因子β1(TGF-β1)の発現の増加が、過剰瘢痕化に役割を果たしていることを示唆する証拠がある。TGF-β1は細胞外基質の産生を促進し、ケロイド線維芽細胞によって高いレベルで産生される。
ケロイドおよび肥厚性瘢痕には主に外見上の懸念があるが、痙縮が起きる可能性があり、関節上を覆っている場合、機能を失う結果となりえる。加えて、過剰瘢痕は、有痛性で、掻痒性で、周囲の皮膚と異なる色素沈着を有しており、灼熱感が起きる可能性がある。一旦ケロイド病斑が生じると、それらは、数週間から数ヶ月、更に数年の間、成長し続ける傾向にある。成長は通常ゆっくり進行するが、ケロイドはしばしば急速に大きくなり、数ヶ月で3倍もの大きさになる可能性がある。上記のように、肥厚性瘢痕は安定しており、時間とともに退行する傾向にある。しかしながら、この退行は極めて遅い可能性があり、しばしば不完全である。
ケロイドおよび肥厚性瘢痕の管理は、依然として大きな未解決の臨床問題である。多くの形態の治療が用いられてきたが、いずれも一貫して信頼性があることは証明されていない。治療の現在の形態としては、閉鎖包帯の使用、圧縮療法、病巣内副腎皮質ステロイド注射、放射線療法、および手術が挙げられる。ケロイドのための実験的療法は、カルシウム拮抗薬、抗ヒスタミン剤、インターフェロンアルファおよびガンマ、局所的レチノイド、ならびに抗アレルギー剤を使用するが、これらの実験的療法が有効であるかには疑問の余地がある。それらの研究の多くは、客観的な応答基準に劣っており、作用機構が知られておらず、患者の追跡が不十分であることを特徴とする。
シリコーンゲルシートなどの閉鎖包帯、および圧縮装置は、これらの手段で治療される大多数の患者が殆どまたは全く改善を示さないため、予測不可能な治療形態である。加えて、これらの治療形態の順守は非現実的な可能性がある。例えば、包帯および圧縮装置を1日24時間で最長12ヶ月間、装着する必要がある可能性がある。目に付くか敏感な位置の瘢痕に対しては、これは簡単には行えない可能性がある。
病巣内副腎皮質ステロイドは、ケロイド治療の主力であった。副腎皮質ステロイドは、コラーゲン合成を低下させ、グルコサミノグリカン合成を変更し、炎症性メディエーターの産生および線維芽細胞の増殖を創傷治癒の間、低下させることで過剰瘢痕化を低下させる。しかしながら、全てのケロイドのほぼ半数が副腎皮質ステロイドに反応することなく、副腎皮質ステロイド治療によって完全に解消された瘢痕のほぼ半数が再発する。加えて、副腎皮質ステロイド注射は、萎縮、毛細管拡張症形成、および皮膚脱色を含む幾つかの合併症を引き起こすことがある。
放射線療法は、現在利用できるケロイドのための唯一の予測可能な効果を有する治療である可能性がある。しかしながら癌を引き起こす可能性があり、この理由のために、放射線療法はケロイド治療として一般に推奨されないか認められていない。更に、放射線療法のみで治療されたケロイドのほぼ20パーセントが、1年以内に再発する。
切除、凍結手術およびレーザー療法を含む外科的手法は、ケロイド組織を有効に除去でき、現在、肥厚性瘢痕のために選ばれる治療である。しかしながら、これらの技法によって組織に外傷がしばしば生じ、更なる肥厚性またはケロイド瘢痕が結果として生じる。実際、外科的切除、凍結手術、およびレーザー療法で治療された患者の半数より十分に多くで、ケロイドが再発する。加えて、これらの手法は痛みを引き起こし、感染の危険性を提示する。冷凍外科も、患者によっては皮膚脱色を引き起こす。
過剰瘢痕について提案された1つの療法は、タモキシフェンおよびその誘導体などの選択的エストロゲン受容体修飾因子の投与を伴う。生体外において、タモキシフェンはケロイド線維芽細胞の増殖を阻害し、コラーゲン産生を減少させる。明らかに、タモキシフェンは、コラーゲンの形成を促進するTGF-β1の発現を下方制御することで、この阻害効果を生じさせる。関連する静脈において、米国特許出願公開第2005/0032910号には、水性アルコールゲル中に製剤化された4-ヒドロキシタモキシフェンにより過剰瘢痕化を治療することが記載されている。しかしながら、そのような治療は、広くは受け入れられてこなかった。
米国特許出願公開第2005/0032910号
Baryza MJ、Baryza GA、(1995)「The Vancouver Scar Scale: an administration tool and its interrater reliability」、J Burn Care Rehabil、16(5): 535〜8
よって、広範囲にわたる利用可能な治療があるにもかかわらず、過剰瘢痕を予防または治療するために広く認められ有効と予想される手段は存在していない。よって、ケロイドおよび肥厚性瘢痕を軽減する有効な手法は、重要な利益を提供するはずである。
本発明は、ケロイド瘢痕および肥厚性瘢痕に例示される過剰瘢痕化を治療するための方法を提供する。その方法は、瘢痕または瘢痕の症状を最小限にするために十分な期間、水和剤および麻酔薬を含む医薬組成物を有効量投与する段階を含む。また、本発明は、過剰瘢痕化を治療するための医薬組成物も提供する。本発明の医薬組成物は、選択的エストロゲン受容体修飾因子(SERM)、ホルモンまたは副腎皮質ステロイド有効成分を含まない。特定の実施形態においては、有効成分が水和剤および麻酔薬のみからなる。本発明の治療手法は、瘢痕のための他の治療よりも幾つかの利点を供与し、(1)全身性の副作用が殆どない、(2)安全性プロフィールにより優れる、(3)患者が順守しやすいことが挙げられる。
本発明の方法を行うにあたっては、生体内において瘢痕組織に有効成分を送達する任意の手段により組成物を投与できる。好ましくは、瘢痕部位における局所的投与または瘢痕中へ直接注射するなどにより、投与を局所的に行う。本発明の手順は単独形態の療法として行うことができ、または他の形態の療法と組み合わせることもできる。
広範囲の局所用製剤が、本発明を行うことに適している。そのような製剤において、水和剤はエモリエント、ゲル化剤、保湿剤、またはそれらの組み合わせでよい。麻酔薬は、アルコールなど任意の局所用麻酔薬でよい。好ましくは、局所用製剤は水性アルコールゲルである。具体的な実施例において、そのようなゲルは、
a)約0.5重量%から2.0重量%のイソプロピルミリステートと、
b)約60重量%から75重量%の無水アルコールと、
c)約25重量%から40重量%の水性ビヒクルと、
d)約0.5重量%から5.0重量%のゲル化剤と
を含み、成分のパーセンテージは組成物の重量に対する重量である。
本発明者らは、水和剤および麻酔薬を含む医薬組成物を投与することで、たとえ任意の副作用があるとしても僅かな副作用で過剰瘢痕を治療できることを見出した。医薬組成物は、SERM、ホルモンまたは副腎皮質ステロイド有効成分を含まない。実際、特定の実施形態において、医薬組成物中の唯一の有効成分は水和剤および麻酔薬である。したがって、本発明の手法は、他の治療方法と比較して、優れた安全性プロフィールおよび患者のより簡単な順守を提供する。
本発明によれば、用語「過剰瘢痕」および「過剰瘢痕化」は、異常な創傷治癒の結果生じる緻密線維組織の異常増殖を意味する。過剰瘢痕は通常の創傷治癒に必要とされるよりも大きく成長し、細胞、コラーゲンおよび/またはプロテオグリカンの過剰産生を特徴とする。
「ケロイド瘢痕」は緻密線維組織が元々の創傷または切断の境界を越えて広がっている過剰瘢痕で、通常自発的に退行しない。ケロイドは他の肥厚性瘢痕としばしば外見上似ているため、瘢痕がケロイドであるかを決定することは難しい可能性がある。しかしながら、ケロイドには特異的な組織学的特徴がある。そのような特徴の1つは、高度に組織化され、区別できる配向性での高密度の線維芽細胞および一方向性コラーゲン原線維を含むコラーゲン結節である。加えて、ケロイドは、豊かな血管系、高い間葉細胞密度、および厚い表皮細胞層を有する。
また、ケロイドの形成と相関する皮膚の色および遺伝的特徴も、瘢痕がケロイドであるかを決定することを補助する可能性がある。16%もの黒人アフリカ人がケロイドを有する一方で、ポリネシア人、中国人、インド人およびマレーシア人はより少ない。白人およびアルビノは、最も少ない。ケロイド瘢痕の患者は関連する強い家族歴を有する傾向にあり、伝達における常染色体優位性および常染色体劣性の両様式が報告されている。
「肥厚性瘢痕」は、緻密線維組織が元々の創傷または切断の境界を越えては広がらない過剰瘢痕である。肥厚性瘢痕は、通常の創傷治癒が起こるのに必要なよりも大きな傾向にある。組織学的には、肥厚性瘢痕はケロイドより更に組織化されたコラーゲン線維を有し、粘液様基質が不足気味である。肥厚性病斑は、一軸配向の細胞外基質および細胞からなる無秩序に分布する組織束を特徴とする。
本発明によれば、過剰瘢痕の「治療」とは、瘢痕を決定付ける特徴または症状の低減をいう。治療は、瘢痕の長さ、幅または厚さによって測定される瘢痕の大きさの低減でよい。また、治療は、瘢痕に伴う痛みの低減または瘢痕に伴う痒みの低減でもよい。また、治療は、瘢痕内における色素沈着の正常化、瘢痕内の柔軟性の増加または瘢痕内の血管増生の減少(これは、瘢痕内の紫から赤、ピンク、白への色の変化により証明できる)でもよい。これらの要因の任意の1つの改善を、治療の成功と考える。
「水和剤」とは、皮膚の水分含有量を保持または増加する物質である。過剰瘢痕(例えば、肥厚性およびケロイド瘢痕)からは、正常な瘢痕および皮膚からのおよそ4倍の速さで水が蒸発することが研究によって示された。本発明者らによって、水のその損失の抑制が過剰瘢痕および過剰瘢痕化の症状の治療に寄与することが見出された。本発明において有用な水和剤としては、エモリエント、ゲル化剤および保湿剤が挙げられる。本発明においては、水和剤の組み合わせも使用できる。
「エモリエント」とは、皮膚を柔軟にする物質である。それらの密封性のため、多くのエモリエントが皮膚の湿潤を改善する。エモリエントは先行技術で良く知られており、ミネラルオイル、ペトロラタム、ポリデセン、イソヘキサデカン、10から30個の炭素原子を有する脂肪酸およびアルコール;ペラルゴン、ラウリン、ミリスチン、パルミチン、ステアリン、イソステアリン、ヒドロキシステアリン、オレイン、リノール、リシノール、アラキジン、ベヘン、およびユーリシン酸(euricic acid)およびアルコール;トリグリセリドエステル、ヒマシ油、ココアバター、サフラワー油、ヒマワリ油、ホホバ油、綿実油、コーンオイル、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、スクアレン、キクイオイル、大豆油、アセトグリセリドエステル、エトキシル化グリセリド、エトキシル化グリセリルモノステアレート、10から20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルキルエステル、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソヘキシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、デシルオレエート、イソデシルオレエート、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソヘキシルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、アセチルラクテート;10から20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルエステル、オレイルミリステート、オレイルステアレート、オレイルオレエート、エトキシル化脂肪族アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールエステル、エチレングリコールモノおよびジ-脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ-およびジ-脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ワックスエステル、蜜ロウ、鯨ロウ、ミリスチルミリステート、ステアリルステアレート、シリコーンオイル、ジメチコーン、シクロメチコーンが挙げられる。室温において液体であるエモリエントが好ましい。本発明の目的にとって特に好ましいエモリエントは、イソプロピルミリステートである。
「ゲル化剤」とは、液体製剤の粘度を増加する物質である。ゲル化剤も先行技術で良く知られている。好ましいゲル化剤としては、ポリアクリル酸ポリマー、カルボマー、セルロース誘導体、ポロキサマー、ポロキサミンが挙げられる。より特には、好ましいゲル化剤は、キトサン、デキストラン、ペクチン、天然ガム、ならびにエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体である。非常に好ましいゲル化剤の1つは、ヒドロキシプロピルセルロースである。また、本発明においては、ゲル化剤の組み合わせも使用できる。
「保湿剤」とは、空気から水を吸収する吸湿性物質である。好ましい保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリルトリアセテート、ポリオール、ソルビトール、マルチトール、高分子ポリオール、ポリデキストロース、キラヤ、乳酸、尿素が挙げられる。乳酸および尿素は、皮膚に湿潤を与え柔軟にして整える天然成分である。また、本発明においては、保湿剤の組み合わせも使用できる。
「麻酔薬」とは神経機能を可逆的に低下させ、痛みおよび/または他の感覚を認識する能力の喪失を与える物質である。局所麻酔薬は、身体の特定領域内または特定の神経経路に沿って、この効果を有する。本発明のためには、局所麻酔薬が好ましい。これらは、身体部位の表面の感覚を失わせる。好ましい局所的麻酔薬は、アルコール、ベンゾカイン、ベンジルアルコール、メントール、ブタンベン、ジブカイン、リドカイン、プラモキシン、およびテトラカインである。アルコール、特に、低級炭化水素鎖(C1〜C7、好ましくはC1〜C4)アルコールが非常に好ましい。これらの中でも、エタノールおよびイソプロパノールが最も非常に好ましい。それらの麻酔特性に加えて、アルコールは、過剰瘢痕によって生じる灼熱感を低減できる冷却効果を与える。
局所的投与のために本発明において使用される組成物は、軟膏、クリーム、ゲル、エマルション(ローション)、粉末、オイルまたは同様の調剤でよい。このためには、本発明における製剤は、通例の賦形添加剤を含むことができる。
本発明の組成物は、好ましくは水性アルコールゲルである。そのようなゲル中で使用されるアルコール成分は、好ましくは低い沸点を有しており、好ましくは大気圧において100℃未満であり、瘢痕と接触した際に急速に蒸発できる。好ましいアルコール成分は、エタノールおよびイソプロパノールである。本発明による製剤中の無水アルコールの量は、一般に約35重量%および約99.9重量%の間の範囲であり、好ましくは約50重量%および約85重量%の間であり、より好ましくは約60重量%および約75重量%の間である。よって、ゲル製剤中の無水アルコールの量は、組成物の総重量に対して、約60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%または75重量%でよい。
そのようなゲル中で使用される水性成分は、本発明の製剤中の任意の親水性分子を可溶化し、また、皮膚の湿潤を促進できる。また、水性成分はpHを制御することもでき、好ましくは約4から約12の範囲内、より好ましくは約6から約11の範囲内、更により好ましくは約8から約10の範囲内、最も好ましくは約9である。
水性成分としてはアルカリ化および塩基性緩衝溶液が挙げられ、リン酸緩衝溶液(例えば、リン酸二または一ナトリウム)、クエン酸緩衝溶液(例えば、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム)および単純に純水が挙げられる。本発明によれば、リン酸緩衝液が好ましい。水性成分の量は、好ましくは医薬組成物の約0.1重量%および約65重量%の間の範囲であり、より好ましくは約15重量%および約50重量%の間であり、更により好ましくは約25重量%および約40重量%の間である。よって、水性成分の量は、組成物の総重量に対して、約25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%または40重量%でよい。水性成分を含有する製剤において、製剤中の無水アルコールビヒクルの量は、好ましくは約60重量%から約75重量%である。
本発明の水性アルコールゲル中の水和剤および麻酔薬の量は、特定の水和剤および麻酔薬によって変化する。これらの成分の医薬的有効量の決定は、十分に通常の技術的水準内である。いずれにせよ、イソプロピルミリステートを水和剤として使用する場合、水性アルコールゲル中の量は、ゲル100グラム当たり約0.1から約5.0グラムの範囲でよい。好ましくは、イソプロピルミリステートの量は、ゲル100グラム当たり約0.5から約2.0グラムの範囲である。そのような実施形態において、イソプロピルミリステートは、総組成物の約0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%または2.0重量%を占め得る。
製剤の粘度を増加するため、および/または可溶化剤として機能するために、水性アルコールゲルは1つまたは複数のゲル化剤を含んでよい。ゲル化剤の性質に依存して、ゲル化剤は製剤の約0.1重量%および約20重量%の間を、好ましくは約0.5重量%および約10重量%の間であり、より好ましくは約0.5重量%および約5重量%の間を占め得る。よって、ゲル化剤の量は、組成物の総重量に対して、約0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%または5.0重量%でよい。
製剤がゲル化剤、特に予め中和されていないアクリルポリマーを含む場合、製剤は中和剤も好都合に含んでよい。中和剤/ゲル化剤の比は、好ましくは約10:1および約0.1:1の間であり、より好ましくは約7:1および約0.5:1の間であり、更により好ましくは約4:1および約1:1の間である。よって、中和剤/ゲル化剤の比は、約7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1または0.5:1でよい。中和剤は、ポリマーの存在下において可溶性の塩を形成しなければならない。また、中和剤は、電荷の中和時にポリマー鎖を最適に膨潤させ、ポリマーの塩を形成させなければならない。有用な中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アルギニン、アミノメチルプロパノール、トロラミンおよびトロメタミンが挙げられる。製剤中で用いられるゲル化剤の型によって、当業者は中和剤を選択するであろう。しかしながら、セルロース誘導体をゲル化剤として使用する場合、中和剤は必要ない。
特定の実施形態において、水性アルコールゲルは、
a)約0.5重量%から2重量%のイソプロピルミリステートと、
b)約60重量%から75重量%の無水アルコールと、
c)約25重量%から40重量%の水性成分と、
d)約0.5重量%から5重量%のゲル化剤と
を含み、成分のパーセンテージは前記組成物の重量に対する重量である。よって、イソプロピルミリステートは、水性アルコールゲルの約0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%または2.0重量%を占め得る。非常に好ましい実施形態においては、エチルアルコールまたはイソプロパノールがアルコール成分であり;ポリアクリル酸ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースまたは他のセルロース誘導体がゲル化剤であり;およびリン酸緩衝溶液が水性成分である。
上記の通り、本発明の組成物は、SERM、ホルモンまたは副腎皮質ステロイド有効成分を含まない。SERMは、それらの代謝および組織によって、エストロゲン受容体に作用し種々の効果を及ぼす化合物のクラスを構成する。つまり、SERMは、組織内においてエストロゲン様の作用を選択的に阻害または刺激する。SERMクラスのメンバーとしては、タモキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、ラロキシフェン、クロミフェン、トレミフェン、バゼドキシフェン、ラソフォキシフェン、チボロン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、オルメロキシフェン、アルゾキシフェン、オスペミフェン、ナフォキシデン、トリオキシフェン、それらのプロドラッグ、およびそれらの活性代謝物質;ならびに、エストロゲンまたはエストロゲン受容体と結合する抗体が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、ホルモンとはステロイドホルモンをいう。ステロイドホルモンは、4個の環に配置される17個の炭素原子の構造に基づく脂溶性有機化合物である。ステロイドホルモンは、それらが結合する受容体に基づいて、5つの群に分類できる:グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、アンドロゲン、エストロゲンおよびプロゲスターゲンである。
グルココルチコイドまたは副腎皮質ステロイドは、コルチゾール受容体と結合する。ヒドロコルチゾンとしても知られるコルチゾールは、原型的なグルココルチコイドである。他のグルココルチコイドは、コーチゾンアセテート、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルドロコルチゾンアセテート、デオキシコルチコステロンアセテート(DOCA)およびアルドステロンである。
ミネラルコルチコイドは、細胞質ミネラルコルチコイド受容体と結合する。アルドステロンが、主要な例である。典型的な合成ミネラルコルチコイドは、フルドロコルチゾンである。
アンドロゲンは、アンドロゲン受容体と結合する。主要なアンドロゲンは、テストステロンである。その他は、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、硫酸デヒドロピアンドロステロン(DHEA-S)、アンドロステンジオン、アンドロスタンジオール、アンドロステロンおよびジヒドロテストステロン(DHT)である。多くの合成アンドロゲンが存在し、オキサンドロロンおよびデカデュラボリンが挙げられる。
エストロゲンは、エストロゲン受容体と結合する。主要な例として、エストラジオール、エストリオールおよびエストロンが挙げられる。ジエチルスチルベストロールは、合成物例である。
プロゲスターゲンは、黄体ホルモン受容体と結合する。黄体ホルモンが、主要な例である。その他として、シプロテロンアセテート、ジドロゲステロン、メドロキシプロゲステロンアセテート、クロルマジノンアセテート、メゲストロール、プロメゲストン、ノルエチステロン、ノルエチンドロンアセテート、(レボ)ノルゲストレル、リネストレノール、デソゲストレル、ドロスピレノン、エチノジオールジアセテート、ノルエルゲストロミン、ノルゲスチメート、ゲストデンおよびチボロンが挙げられる。
実施形態によっては、組成物は1つまたは複数の水和剤と、1つまたは複数の麻酔薬と、および任意成分として、1つまたは複数の中和剤とからなる。他の実施形態においては、組成物は1つまたは複数の水和剤と、1つまたは複数の麻酔薬と、および任意成分として、1つまたは複数の中和剤とから本質的になる。本明細書中で使用される場合、語句「から本質的になる」は、SERM、ホルモンまたは副腎皮質ステロイド有効成分などの、組成物の基本的および新規な特徴に物質的に影響する任意の追加成分を組成物が含まないことを意味する。1つまたは複数の水和剤と、1つまたは複数の麻酔薬と、および任意成分として、1つまたは複数の中和剤とから本質的になる組成物は、局所的および/または注射可能な医薬調剤において通例の不活性賦形添加剤を含んでもよい。
特定の実施形態において、組成物は水性ビヒクルおよび1つまたは複数の水和剤と、1つまたは複数の麻酔薬と、および任意成分として、1つまたは複数の中和剤とからなる。他の実施形態においては、組成物は水性ビヒクルおよび1つまたは複数の水和剤と、1つまたは複数の麻酔薬と、および任意成分として、1つまたは複数の中和剤とから本質的になる。本明細書中で使用される場合、語句「から本質的になる」は、SERM、ホルモンまたは副腎皮質ステロイド有効成分などの、組成物の基本的および新規な特徴に物質的に影響する任意の追加成分を組成物が含まないことを意味する。水性ビヒクルおよび1つまたは複数の水和剤と、1つまたは複数の麻酔薬と、および任意成分として、1つまたは複数の中和剤とから本質的になる組成物は、局所的および/または注射可能な医薬調剤において通例の不活性賦形添加剤を含んでもよい。
本発明によれば、任意の投薬形態中で、生体内で瘢痕に有効成分を送達する任意の系により医薬組成物を投与できる。好ましくは、組成物を瘢痕の表面に局所的に適用するか、または瘢痕内に注射する。瘢痕化を治療するために最適な投与方法は、瘢痕の位置および瘢痕化の程度に依存する。
用量および投与計画の決定は、当該分野の通常技術内である。一般に、任意の可能性のある副作用を最小としながら瘢痕の最適な治療を得るための所定の試験により適切な用量および投与計画を決定できる。更に、薬物動態/薬力学的モデリング系により用量および投与計画を最適化できる。例えば、1つまたは複数の用量処方を選択でき、1つまたは複数の用量処方の薬物動態/薬力学的プロフィールを決定するために薬物動態/薬力学的モデルを使用できる。次いで、特定の薬物動態/薬力学的プロフィールに基づいて所望の薬物動態/薬力学的応答を達成する、投与のための1つの用量処方を選択できる。
具体的には、1週間に少なくとも1回および好ましくは毎日少なくとも1回、数週間から数ヶ月の期間にわたって医薬組成物を投与できる。1つの実施形態においては、1から6ヶ月にわたって1週で少なくとも1回または1日で少なくとも1回、組成物を投与する。優れた安全性プロフィールのため、組成物を延長して使用することが可能である。
より具体的には、約2週間1日少なくとも1回、約3週間1日少なくとも1回、約4週間1日少なくとも1回、約5週間1日少なくとも1回、約6週間1日少なくとも1回、約7週間1日少なくとも1回、約2ヶ月間1日少なくとも1回、約3ヶ月間1日少なくとも1回、約4ヶ月間1日少なくとも1回、約5ヶ月間1日少なくとも1回、約6ヶ月間1日少なくとも1回、約7ヶ月間1日少なくとも1回、約8ヶ月間1日少なくとも1回、約9ヶ月間1日少なくとも1回、約10ヶ月間1日少なくとも1回、約11ヶ月間1日少なくとも1回、または約1年間もしくはそれより長く1日少なくとも1回、医薬組成物を投与できる。
あるいは、上記期間の間、毎日約1回、毎日約2回、毎日約3回、2日ごとに約1回、3日ごとに約1回、4日ごとに約1回、5日ごとに約1回、6日ごとに約1回または7日ごとに約1回、医薬組成物を投与できる。
本発明を他のケロイド療法と組み合わせることができることが予期される。本発明によれば、したがって、記載された治療方法を、閉鎖包帯の使用、圧縮療法、病巣内副腎皮質ステロイド注射、放射線療法、ならびに凍結療法およびレーザー療法を含む手術と併用できる。
以下の例示的な実施例を参照すると、本発明をより完全に理解する助けとなる。
水性アルコールゲルを用いたケロイドの臨床治療
この実施例によって、4-ヒドロキシタモキシフェンまたは他の活性薬剤なしで水和剤および麻酔薬を含む水性アルコールゲルが、ケロイド瘢痕の症状を低減することが示される。
6ヶ月間の研究を、ケロイド瘢痕を有する62人の女性について行った、研究のための選択基準は、年齢が18歳を超えており、痛み/不快および/または痒みに対する視覚的アナログ尺度において最小40mmレベルと評価されるような症候性ケロイド瘢痕を呈することを必要とした。いずれの瘢痕も、先の3ヶ月内においてステロイド、外部放射線またはシリコーンシートを含む任意の他の薬剤で一切治療されていなかった。既に記載の通り、ケロイドは一般的に自発的に退行しない。
参加者を無作為に2つの群にした。第1の群においては、32人の女性が0.5mlの水性アルコールゲルを彼女たちのケロイド瘢痕へ毎日2回6ヶ月間適用した。水性アルコールゲルは、1%のイソプロピルミリステート、1.5%のヒドロキシプロピルセルロース、70.9%のエタノール(96%アルコール容量/容量)、および26.5%のリン酸緩衝溶液を含有していた。第2の群においては、30人の女性が、選択的エストロゲン受容体修飾因子(SERM)を含む0.5mlの殆ど同一の水性アルコールゲルを彼女たちのケロイド瘢痕へ毎日2回6ヶ月間適用した。2つのゲル組成物間の唯一の違いは、0.05%のSERMが存在するか存在しないかであった。どちらのゲルも透明で、無色で、瘢痕上に広げてから2分以内で乾燥した。ゲルは、定量無気ポンプを備える小型缶を用いて分注した。
研究は、病院内で特殊化された場所において皮膚科医により行われた。参加者の追訪は、1、3および6ヶ月で行った。研究を通してゲル適用に対する順守は、両群について98%であった。
研究の結果(両方の治療群)は、以下の通りであった:
(a)痛み/不快が10%を超えて減少した場合と定義される応答率は、1ヶ月目の終わりで65%で、2〜5ヶ月目で68%、および6ヶ月目で66%に達した。
(b)痒みが10%を超えて減少した場合と定義される応答率は、1ヶ月目の終わりで59%で、2ヶ月目で72%、3および4ヶ月目で78%、5ヶ月目で62%、および6ヶ月目で69%に達した。
(c)痛み/不快の全体的変化(視覚的アナログ尺度(VAS)によって測定される)は、ベースライン平均が59±25から1ヶ月目で37±28へ、および6ヶ月目で32±32へ減少した。
(d)VASにおける痒みの全体的変化は、ベースライン平均が69±22から1ヶ月目で45±31へ、および6ヶ月目で35±31へ減少した。
これらの結果を、臨床医および被験者の臨床全般印象で確認した:
(a)良くまたは非常に良く改善されたと感じた研究集団のパーセントは、3ヶ月目において29%および6ヶ月目において39%であった。
(b)3ヶ月目において32%および6ヶ月目において35%の患者が良くまたは非常に良く改善されたと臨床医は評価した。
(c)局所的ゲルの適用の安全性および許容性は優れていた。
2つの解析集団に対して、有効性データを作成した。第1の解析集団は包括(ITT)集団で、少なくとも1つの治療有効性が測定され、上記2つの集団に無作為化された全ての被験者を含んでいた。第2の解析集団はプロトコル当たりの集団で、(a)少なくとも4ヶ月間研究に参加し、(b)4ヶ月目後に少なくとも1つの正当な有効性評価を受け、(c)プロトコルの要請を重大に違反することなく、および(d)水性アルコールゲルの適用に応じることでプロトコルを順守した全ての被験者を含んでいた。データを解析することで、以下の結果が示された:
(a)ITTおよびプロトコル当たりの両集団が、1、2、3、4、5および6ヶ月目においてベースラインを超える統計的に有意な改善(p<0.001)を痛み/不快において経験した。
(b)ITTおよびプロトコル当たりの両集団が、1、2、3、4、5および6ヶ月目においてベースラインを超える統計的に有意な改善(p<0.001)を痒みにおいて経験した。
(c)ITTおよびプロトコル当たりの両集団が、3および6ヶ月目においてベースラインを超える統計的に有意な改善を色素沈着、柔軟性および高さにおいて経験した。また、両集団は、6ヶ月目において統計的に有意な改善を血管増生においても経験する。
以下の表に、水性アルコールゲル(非SERM)治療群に対する統計解析の詳細を示す。
表1.1は、水性アルコールゲルの適用が、ITT集団内で痛み/不快の統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。
Figure 0005189093
表1.2は、水性アルコールゲルの適用が、プロトコル当たりの集団内で痛み/不快の統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。
Figure 0005189093
表2.1は、水性アルコールゲルの適用が、ITT集団内で痒みの統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。
Figure 0005189093
表2.2は、水性アルコールゲルの適用が、プロトコル当たりの集団内で痒みの統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。
Figure 0005189093
表3.1は、水性アルコールゲルの適用が、ITT集団内で色素沈着、柔軟性、高さ、血管増生および総バンクーバー瘢痕尺度評価スコアの統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。
Figure 0005189093
Figure 0005189093
表3.2は、水性アルコールゲルの適用が、プロトコル当たりの集団内で色素沈着、柔軟性、高さ、血管増生および総バンクーバー瘢痕尺度評価スコアの統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。
Figure 0005189093
Figure 0005189093
表4.1は、水性アルコールゲルの適用が、ITT集団内でケロイド瘢痕の重篤性における変化の全般印象の統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。
Figure 0005189093
表4.2は、水性アルコールゲルの適用が、プロトコル当たりの集団内でケロイド瘢痕の重篤性における変化の全般印象の統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。
Figure 0005189093
表5.1は、水性アルコールゲルの適用が、ITT集団内で、写真から評価される変化の記述的統計の統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。
Figure 0005189093
表5.2は、水性アルコールゲルの適用が、プロトコル当たりの集団内で、写真から評価される変化の記述的統計の統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。
Figure 0005189093

Claims (6)

  1. 過剰瘢痕の治療で局所投与によって使用するための、水性アルコールゲルの形態の医薬組成物であって、選択的エストロゲン受容体修飾因子またはホルモンの非存在下で
    a)0.5重量%から2重量%のイソプロピルミリステートと、
    b)60重量%から75重量%の無水アルコールと、
    c)25重量%から40重量%の水性ビヒクルと、
    d)0.5重量%から5重量%のゲル化剤と
    を含み、成分のパーセンテージは前記組成物の重量に対する重量である、医薬組成物。
  2. 前記瘢痕がケロイドまたは肥厚性瘢痕である、請求項に記載の医薬組成物。
  3. 請求項1または2に記載の医薬組成物の製造における、選択的エストロゲン受容体修飾因子の非存在下でのイソプロピルミリステートおよび無水アルコールの使用。
  4. 前記ゲル化剤が、セルロース誘導体である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  5. 前記セルロース誘導体が、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースから選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 前記セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースである、請求項4に記載の医薬組成物。
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