JP5188757B2 - 結晶構造を有するベンゾオキサジン化合物、及びその製造方法 - Google Patents

結晶構造を有するベンゾオキサジン化合物、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な結晶構造を有する、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩、及びその製造方法に関する。該化合物は、優れたセロトニン−3受容体拮抗作用を有する。従って、シスプラチン等の抗悪性腫瘍剤投与により誘発される嘔吐などの症状を抑制する制吐剤や、慢性胃炎や過敏性腸炎症候群などの消化器系疾患の治療剤として有用である。
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩(以下、ベンゾオキサジン化合物と略記する場合がある。)は、いくつかの結晶構造を有する。安定な結晶構造のベンゾオキサジン化合物としては、Cu-Kα線を用いるX線回折により、2θ=15.76°、16.464°、20.639°に特徴的なピークを与える結晶構造を有するベンゾオキサジン化合物(特許文献1によれば、I型結晶と記載されている結晶構造)がある。
前記特許文献1に記載されているI型結晶構造を有するベンゾオキサジン化合物の製造方法は、以下に記載する方法である。この製造方法は、まず(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド(以下、ベンゾオキサジン化合物前駆体と略記する場合がある。)の含水エタノール懸濁液に塩酸を加えてベンゾオキサジン化合物前駆体を溶解する。その後、該溶解液のpHを希塩酸または希アルカリを用いて3.8〜4.2に調節する。次いで、40〜50℃に液温を保ちながら前記pHを調節した溶解液にエタノールを加えることにより、ベンゾオキサジン化合物のI型結晶を析出させる。
特許文献1には、種晶を用いる製造方法も記載されている。種晶を用いる方法の場合は、液温を30〜40℃に保ちながら、pHを調整した溶解液にエタノールを添加してベンゾオキサジン化合物のI型結晶を析出させる。
更には、エタノール性塩酸溶液から50〜60℃という比較的高温でI型結晶を晶出させる方法も記載されている(特許文献1)。
特許第3726291号(段落0007)
前記方法で、製造されるI型の結晶構造を有するベンゾオキサジン化合物は、結晶構造が安定である。該化合物を医薬品として取り扱う場合、とりわけ製剤製造上、結晶構造がより安定なものが望まれる。この観点から、このI型の結晶構造を有するベンゾオキサジン化合物は有用である。
本発明者らは、前記特許文献1に記載されている、含水エタノールと塩酸とを用いるベンゾオキサジン化合物の析出方法を検討した。その結果、前記特許文献1に記載されている方法で製造されるI型の結晶構造を有するベンゾオキサジン化合物を水に溶解させる場合、得られるベンゾオキサジン化合物水溶液のpHの値が、該化合物の製造ロット間で大きく変動することに気がついた。更に、このバラツキを制御することは非常に難しいことが判明した。
更に、特許文献1に記載されている、前記エタノール性塩酸溶液から晶出するI型結晶構造のベンゾオキサジン化合物を水に溶解させる場合も、同様の傾向を示すことが分った。即ち、異なる製造ロットの同化合物を溶解させて得られる各水溶液のpHは、製造ロット毎に変動して不安定であった。
また、前記特許文献1に記載の通り、前記エタノール性塩酸溶液から晶出させる方法により製造されるI型結晶構造のベンゾオキサジン化合物は、通常の乾燥方法で乾燥させると5%程度のエタノールが該結晶中に残留することが本発明者等によって確認された。
前記特許文献1には、10℃以下の低温において塩酸でpHを調節したベンゾオキサジン化合物の含水エタノール溶液にエタノールを添加することによりベンゾオキサジン化合物を析出させる方法が記載されている。この方法による場合、特開平2-28182号公報の実施例15に記載されている結晶であるII型結晶が得られることが記載されている。特開平2−28182号公報には、ベンゾオキサジン化合物前駆体結晶をエーテル性塩酸で処理し、II型結晶を得ることが記載されている。
さらに、特許文献1には、室温程度でベンゾオキサジン化合物をエタノール性塩酸溶液から晶出させると、III型結晶が得られることが記載されている。
本発明者等の検討によれば、II型結晶の場合にも、その水溶液のpHは、製造ロット毎に大きく変動することが分かった。
III型結晶については、製造の再現性が悪く、III型結晶を得ることができなかった。
ベンゾオキサジン化合物水溶液を調製する際に、水溶液のpH値にばらつきが生じると、その溶解速度に変動が生じることが予想される。溶解速度に変動を生じることは、人に投与する場合、バイオアベイラビリティーの観点から好ましくない。
本発明者らは、pH値が変動する原因は、結晶中に水や有機溶媒が残留することにより、結晶中に取り込まれる微量のHClの量が変動することにあると考えた。更に、結晶中に水や有機溶媒が残留する原因は、結晶構造に問題があると考えた。
そこで、本発明らは、ベンゾオキサジン化合物の製造方法に更に検討を加えた。その結果、新たな結晶構造を有するベンゾオキサジン化合物を見出した。この結晶構造のベンゾオキサジン化合物は、この化合物を水に溶解する場合、得られる水溶液のpHが製造ロット毎に変動し難い。
従って、本発明の目的とするところは、その水溶液のpH制御の容易な、新規な結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩、及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する本発明の第1の結晶型のベンゾオキサジン化合物(以下、α型ベンゾオキサジン化合物と記載する場合がある。)は、Cu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=7.1°、13.5°、14.2°、16.5°、21.5°、22.4°、23.2°に特徴的なピークを有する結晶構造の(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩である。
また本発明は、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミドの炭素数1〜5のアルコール溶液と、塩化水素が溶解したエーテルとを接触させて得られる混合液から(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩を、混合液温度を20℃以上に保ちながら析出させる工程を含むことを特徴とするCu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=7.1°、13.5°、14.2°、16.5°、21.5°、22.4°、23.2°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩(α型ベンゾオキサジン化合物)の製造方法である。
本発明の第2の結晶型のベンゾオキサジン化合物(以下、β型ベンゾオキサジン化合物と記載する場合がある。)は、
Cu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩である。
また、本発明は、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミドの炭素数1〜5のアルコール溶液と、塩化水素が溶解したエーテルとを接触させて得られる混合液から(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩を、混合液温度を−20℃以上20℃未満に保ちながら析出させる工程を含むことを特徴とするCu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩(β型ベンゾオキサジン化合物)の製造方法である。
更に本発明は、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミドの炭素数3〜5のアルコール溶液と、塩化水素が溶解したエステルとを接触させて得られる混合液から(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩を析出させる工程を含むことを特徴とするCu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩(β型ベンゾオキサジン化合物)の製造方法であり、前記エステルが、炭素数1〜5のカルボン酸と、炭素数1〜5のアルコールとのエステルである場合を含む。
本発明のベンゾオキサジン化合物は、新規な結晶構造を有する。この化合物は品質が安定しており、これを水に溶解する場合、得られる水溶液のpHは製造ロット間で変動が少なく、安定なものである。従って、特に医薬品等の用途に最適である。
本発明のベンゾオキサジン化合物の製造方法によれば、新規結晶構造を有するベンゾオキサジン化合物を、簡単に製造できる。
第1の結晶化合物(α型ベンゾオキサジン化合物)
本発明の第1の結晶化合物である、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩(ベンゾオキサジン化合物)は、所定の結晶構造(以下、α型結晶構造と記載する場合がある。)を有する。即ち、Cu-Kα線を用いたX線回折により、少なくとも2θ=7.1°、13.5°、14.2°、16.5°、21.5°、22.4°、23.2°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する化合物である。この場合、X線回折角の測定誤差は、0.2°程度まで許容される。
このα型ベンゾオキサジン化合物は、図2に示す赤外線吸収スペクトルを示す。また、該ベンゾオキサジン化合物は、図3に示す熱天秤(TG)、示差熱分析(DTA)結果を与える。
α型ベンゾオキサジン化合物は特異な結晶構造を有するため、溶媒や水の含有量が少ない。その結果、該化合物を水に溶解(濃度5質量%)する場合、溶液のpH値は5.0〜5.2の狭い範囲に収まる。
(α型ベンゾオキサジン化合物の製造方法)
α型ベンゾオキサジン化合物の製造方法において、出発原料として使用される(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド(ベンゾオキサジン化合物前駆体ともいう。)は何れの方法で製造されたものでも良い。例えば、特開平2−28182号公報に記載の方法で製造されるベンゾオキサジン化合物前駆体を使用することができる。
本発明のα型ベンゾオキサジン化合物の製造方法においては、ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液と、塩化水素を溶解したエーテルとが接触されてこれらの混合液が形成され、次いで前記混合液から晶出されるベンゾオキサジン化合物が分離される。
ベンゾオキサジン化合物前駆体が溶解されるアルコールは、炭素数1〜5のアルコールである。炭素数が6を超えるアルコールは沸点が高いので、得られるベンゾオキサジン化合物の結晶中に該アルコールが残留しやすくなる。アルコールは、試薬或いは工業原料が何等制限なく使用できる。
使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、1−ブロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロピルアルコール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノ−ル、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノールなどの一価のアルコールが例示される。
これらの中でも、毒性の低い点、及び比較的沸点が低く、得られるα型ベンゾオキサジン化合物中に残留しにくい点で、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノールが好ましい。
これらアルコールの使用量は、ベンゾオキサジン化合物前駆体の各アルコールに対する溶解度により異なる。通常、ベンゾオキサジン化合物1gに対して0.5〜100mlのアルコールの使用量が好ましく、1〜50mlがより好ましい。アルコールの使用量が0.5ml未満の場合は、操作が困難になる。また、アルコールの使用量が100mlを超える場合は、ベンゾオキサジン化合物の収率が低下する。
本発明の製造方法において使用されるエーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等の炭素数が4〜12のアルキルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどが挙げられる。これらの中でも、毒性の点や、比較的沸点が低く、得られる製品中に残留しにくい点から、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンが好ましい。
本発明のα型ベンゾオキサジン化合物の製造方法において使用される、塩化水素が溶解されたエーテル(塩化水素エーテル溶液ともいう)は、上記エーテルに、次に記載されるようにして塩化水素ガスを吸収させることにより製造されたものであっても良い。即ち、塩化水素ガス、窒素ガス供給管が備えられた4つ口フラスコにエーテルが仕込まれ、冷却される。その後、冷却され低温に保たれたエーテル中に塩化水素ガスがゆっくりとバブリング状態で供給される。これにより、塩化水素が所定量溶解されたエーテルが得られる。更には、試薬或いは工業原料として市販されている、塩化水素が溶解されたエーテルも何等制限なく使用できる。
これらのエーテルに溶解される塩化水素の濃度は、各エーテルに対する塩化水素ガスの溶解度により異なる。通常、エーテル中の塩化水素濃度は0.01mol/L〜10mol/Lの範囲が好ましい。塩化水素の濃度が低い場合は、使用されるエーテル量が相対的に多くなるので、塩化水素の濃度は0.02mol/L〜8mol/Lがより好ましい。
本発明の製造方法においては、上記ベンゾオキサジン化合物前駆体溶液と塩化水素エーテル溶液とが接触させられる。接触方法としては特に制限がないが、両者を混合する方法が例示される。混合方法は特に限定されず、ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液に塩化水素エーテル溶液を添加しても、塩化水素エーテル溶液にベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液を添加してもよい。
ベンゾオキサジン化合物前駆体と塩化水素とは、ほぼ定量的に反応する。両溶液を混合する際には、ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液に含まれるベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して、使用する塩化水素エーテル溶液に含まれる塩化水素が0.8〜2.0mol、特に0.9〜1.5molとなるように両溶液量が調整されることが好ましい。両液を混合する際の温度は20℃以上であり、20〜60℃が好ましく、22〜55℃がより好ましい。両液を混合すると反応熱が発生し、液温の上昇が認められるが、液温は混合の際の両液の混合速度を制御することにより制御できる。適宜、加熱又は冷却することにより液温を制御しても良い。
両溶液が接触させられることにより、20℃以上の混合液から、本発明の2θに特徴的なピークを与える結晶構造を有するα型ベンゾオキサジン化合物、即ちCu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=7.1°、13.5°、14.2°、16.5°、21.5°、22.4°、23.2°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶が晶出する。晶出中の混合液温度は、20度以上であり、20〜60℃が好ましく、22〜55℃がより好ましい。
晶出温度が20℃未満の場合、後述するβ型ベンゾオキサジン化合物が得られる。なお、前記両溶液の混合と同時に結晶が析出する場合は、混合時の混合液温度を20℃以上に保つ必要がある。
晶出する上記ベンゾオキサジン化合物は、ろ過や遠心分離などの固液分離方法により分離され、更に必要により自然乾燥、送風乾燥、真空乾燥などの乾燥工程を経て乾燥される。
上記のようにして製造され、単離されるα型ベンゾオキサジン化合物は、極めて品質が均一で、この化合物を水に溶解する場合(濃度5質量%)、得られるベンゾオキサジン化合物の水溶液のpH値は5.0〜5.2の狭い範囲内に収まる。
第2の結晶化合物(β型ベンゾオキサジン化合物)
本発明の第2の結晶化合物である、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩(ベンゾオキサジン化合物)は、所定の結晶構造(以下、β型結晶構造と記載する場合がある。)を有する。即ち、Cu-Kα線を用いたX線回折により、少なくとも2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する化合物である。
X線回折角の測定誤差は、0.2°程度まで許容される。このβ型ベンゾオキサジン化合物は、図10に示すX線回折チャートを示す。
また、該ベンゾオキサジン化合物は、図11に示す赤外線吸収スペクトルを示す。
該ベンゾオキサジン化合物は、特異な結晶構造を有し、結晶内に水や有機溶剤の含有量が少ないため、この化合物を水に溶解(濃度5質量%)した場合、溶液のpH値は5.0〜5.2の狭い範囲に収まる。
(β型ベンゾオキサジン化合物の製造方法)
本発明のβ型ベンゾオキサジン化合物には、2つの製造方法がある。これらの製造方法において、出発原料として使用される(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド(ベンゾオキサジン化合物前駆体ともいう。)は、何れの方法で製造されたものでも良い。例えば、特開平2−28182号公報に記載の方法で製造されるベンゾオキサジン化合物前駆体を使用することができる。
(1)第1のβ型ベンゾオキサジン化合物の製造方法
β型ベンゾオキサジン化合物の第1の製造方法においては、先ずベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液と、塩化水素を溶解したエーテルとが接触されてこれらの混合液が形成される。次いで、前記混合液から晶出されるベンゾオキサジン化合物が分離される。
ベンゾオキサジン化合物前駆体が溶解されるアルコールは、前記α型ベンゾオキサジン化合物の製造方法において用いたアルコールと同一アルコールが用いられる。
これらアルコールの使用量も、前記α型ベンゾオキサジン化合物の製造方法と同じ使用量である。
この製造方法において使用されるエーテルは、前記α型ベンゾオキサジン化合物の製造方法において用いたエーテルが使用できる。
本発明の製造方法において使用される、塩化水素が溶解されたエーテル(塩化水素エーテル溶液ともいう。)は、前記α型ベンゾオキサジン化合物の製造方法において記載した製造方法で得ることができる。更には、試薬或いは工業原料として市販されている、塩化水素が溶解されたエーテルも何等制限なく使用できる。
また、これらのエーテルに溶解されている塩化水素の濃度も、前記α型ベンゾオキサジン化合物の製造方法で述べた濃度が好ましい。
本発明の第1の製造方法においては、上記ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液と塩化水素エーテル溶液とが接触させられる。接触方法としては特に制限がないが、両者を混合する方法が例示される。混合方法は特に限定されず、ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液に塩化水素エーテル溶液を添加しても、塩化水素エーテル溶液にベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液を添加してもよい。
ベンゾオキサジン化合物前駆体と塩化水素とは、ほぼ定量的に反応する。両溶液を混合する際には、ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液に含まれるベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して、使用する塩化水素エーテル溶液に含まれる塩化水素が0.8〜2.0mol、特に0.9〜1.5molとなるように両溶液量が調整されることが好ましい。
両溶液を混合すると、ベンゾオキサジン化合物が析出してくる。この混合に際しては、混合溶液の温度が−20〜20℃未満の範囲、好ましくは−15〜15℃の範囲となるように、これら両溶液の温度を調整して混合する。通常、混合の際には若干の発熱があるが、ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液及び塩化水素エーテル溶液の温度を適宜調整することにより、混合液の温度を前記範囲内に制御できる。例えば混合前の両溶液の温度を−20〜18℃、好ましくは−15〜15℃の範囲に調節し、溶液を混合する際の混合速度を制御することにより、混合液の温度を上記範囲内に容易に制御できる。混合を行う環境温度にも依存するが、必要に応じて混合液を加熱又は冷却することにより、晶析温度を制御することができる。
両溶液が接触させられることにより、−20〜20℃未満の温度の混合液から、本発明の2θに特徴的なピークを与える結晶構造を有するβ型ベンゾオキサジン化合物、即ちCu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩のβ型結晶が晶出する。晶出中の混合液温度は、−20〜20℃未満の範囲であり、−15〜15℃が好ましい。
なお、前記両溶液の混合と同時に結晶が析出する場合は、混合時の混合液温度を−20〜20℃未満に保つ必要がある。
晶出温度が20℃以上の場合は、前記α型ベンゾオキサジン化合物が得られる。
晶出する上記ベンゾオキサジン化合物は、ろ過や遠心分離などの固液分離手段により単離され、更に必要により自然乾燥、送風乾燥、真空乾燥などの乾燥工程を経て乾燥される。
上記のようにして製造され、単離されたベンゾオキサジン化合物は、極めて品質が均一で、この化合物を水に溶解する場合(濃度5質量%)、得られるベンゾオキサジン化合物の水溶液のpH値は5.0〜5.2の範囲内に収まる。
(2)第2のβ型ベンゾオキサジン化合物の製造方法
本発明のβ型ベンゾオキサジン化合物の第2の製造方法においては、ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液と、塩化水素を溶解したエステルとが接触されてこれらの混合液が形成され、次いで前記混合液から晶出されるベンゾオキサジン化合物が分離される。
ベンゾオキサジン化合物前駆体が溶解されるアルコールは、炭素数3〜5のアルコールである。炭素数が6を超えるアルコールは、沸点が高く、得られるベンゾオキサジン化合物結晶中にアルコールが残留しやすくなる。従って、アルコールは、上記炭素数の範囲内のものが好ましい。
アルコールは、試薬或いは工業原料のアルコールが何等制限なく使用できる。
使用されるアルコールとしては、1−ブロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロピルアルコール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノ−ル、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノールなどの1価のアルコールが例示される。
これらの中でも、毒性の低い点、及び比較的沸点が低く、得られるβ型ベンゾオキサジン結晶中に残留しにくい点で、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノールが好ましい。
これらアルコールの使用量は、ベンゾオキサジン化合物前駆体の各アルコールに対する溶解度により異なるが、通常ベンゾオキサジン化合物1gに対して0.5〜100mlが好ましく、1〜50mlがより好ましい。アルコールの量が0.5ml未満の場合は、操作が困難になる。また、アルコールの量が100mlを超える場合は、ベンゾオキサジン化合物の収率が低下する傾向にある。
第2のβ型ベンゾオキサジン化合物の製造方法において使用される溶媒としてのエステルは、炭素数1〜5のカルボン酸と、炭素数1〜5のアルコールとのエステルが好ましい。
エステルの分子量が大きくなりすぎると、沸点が高くなり、得られるβ型ベンゾオキサジン化合物結晶中にエステルが残留しやすくなる。従って、エステルは、上記炭素数の範囲内のカルボン酸とアルコールとのエステルが好ましい。
エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸1−プロピル、酢酸エチルメチル、酢酸1−ブチル、酢酸1−メチルプロピル、酢酸2−メチルプロピル、酢酸1,1−ジメチルエチル、酢酸1−ペンチル、酢酸1−メチルブチル、酢酸2−メチルブチル、酢酸3−メチルブチル、酢酸1−エチルプロピル、酢酸2−エチルプロピル、酢酸1,1−ジメチルプロピル、酢酸1,2−ジメチルプロピル、酢酸2,2−ジメチルプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸1−プロピル、プロピオン酸エチルメチル、プロピオン酸1−ブチル、プロピオン酸1−メチルプロピル、プロピオン酸2−メチルプロピル、プロピオン酸1,1−ジメチルエチル、プロピオン酸1−ペンチル、プロピオン酸1−メチルブチル、プロピオン酸2−メチルブチル、プロピオン酸3−メチルブチル、プロピオン酸1−エチルプロピル、プロピオン酸2−エチルプロピル、プロピオン酸1,1−ジメチルプロピル、プロピオン酸1,2−ジメチルプロピル、プロピオン酸2,2−ジメチルプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸1−プロピル、酪酸エチルメチル、酪酸1−ブチル、酪酸1−メチルプロピル、酪酸2−メチルプロピル、酪酸1,1−ジメチルエチル、酪酸1−ペンチル、酪酸1−メチルブチル、酪酸2−メチルブチル、酪酸3−メチルブチル、酪酸1−エチルプロピル、酪酸2−エチルプロピル、酪酸1,1−ジメチルプロピル、酪酸1,2−ジメチルプロピル、酪酸2,2−ジメチルプロピル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸1−プロピル、ペンタン酸エチルメチル、ペンタン酸1−ブチル、ペンタン酸1−メチルプロピル、ペンタン酸2−メチルプロピル、ペンタン酸1,1−ジメチルエチル、ペンタン酸1−ペンチル、ペンタン酸1−メチルブチル、ペンタン酸2−メチルブチル、ペンタン酸3−メチルブチル、ペンタン酸1−エチルプロピル、ペンタン酸2−エチルプロピル、ペンタン酸1,1−ジメチルプロピル、ペンタン酸1,2−ジメチルプロピル、ペンタン酸2,2−ジメチルプロピル等が例示される。
これらの中でも毒性の観点から、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸1−ブチル、酢酸2−メチルプロピル、酢酸エチルメチル、酢酸1−プロピルが好ましい。
第2のβ型ベンゾオキサジンの製造方法において使用される、塩化水素が溶解されたエステル(塩化水素エステル溶液ともいう。)は、エステルに塩化水素ガスを吸収させることにより製造されたものであっても良い。その製造方法は、前記第1のβ型ベンゾオキサジン化合物の製造方法で述べた塩化水素エーテル溶液の製造方法と同様である。
更には、試薬或いは工業原料として市販されている、塩化水素が溶解されたエステルも何等制限なく使用できる。
これらのエステルに溶解されている塩化水素の濃度は、エステルに対する塩化水素ガスの溶解度により異なる。通常、エステル中の塩化水素の濃度は0.01mol/L〜10mol/Lの範囲が好ましい。塩化水素の濃度が低い場合は、使用される塩化水素エステル溶液の量が相対的に多くなる。従って、塩化水素の濃度は0.02mol/L〜8mol/Lがより好ましい。
第2のβ型ベンゾオキサジン化合物の製造方法においては、上記ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液と塩化水素エステル溶液とが接触させられる。接触方法としては特に制限がないが、両者を混合する方法が例示される。混合方法は特に限定されず、ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液に塩化水素エステル溶液を添加しても、塩化水素エーテル溶液にベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液を添加してもよい。
ベンゾオキサジン化合物前駆体と塩化水素とは、第1の製造方法と同様に、ほぼ定量的に反応する。両溶液を混合する際には、ベンゾオキサジン化合物前駆体のアルコール溶液に含まれるベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して、使用する塩化水素エステル溶液に含まれる塩化水素が0.8〜2.0mol、特に0.9〜1.5molとなるように両溶液量が調整されることが好ましい。
両液を混合する際の温度は、使用する溶媒の沸点以下であれば特に制限がない。一般的には、−20〜60℃が好ましく、−15〜55℃がより好ましい。両液を混合すると反応熱が発生し、液温の上昇が認められる。液温は、両液の混合の際の混合速度を制御することにより制御できる。適宜、混合液を加熱又は冷却することにより液温を制御しても良い。
両溶液が接触させられることにより、混合液から、本発明の2θに特徴的なピークを与える結晶構造を有するβ型ベンゾオキサジン化合物、即ちCu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶が晶出する。晶出中の温度は、特に制限がないが、通常−20〜60℃が好ましく、−15〜55℃がより好ましい。
晶出する上記ベンゾオキサジン化合物は、ろ過や遠心分離などの公知の固液分離方法により単離され、更に必要により自然乾燥、送風乾燥、真空乾燥などの乾燥工程を経ることにより乾燥される。
上記のようにして製造され、単離されたベンゾオキサジン化合物は、極めて品質が均一である。この化合物を水に溶解する場合(濃度5質量%)、得られるベンゾオキサジン化合物の水溶液のpH値は5.0〜5.2の狭い範囲内に収まる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等制限されることはない。
(α型ベンゾオキサジン化合物の製造)
実施例1
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、これに1−ブタノールを25mL加えて溶解させた。1−ブタノール溶液の液温を25℃に調節した後、1mol/L塩化水素/ジエチルエーテル8mL(基質1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、温度は40℃まで上昇していた。混合液の温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した。その後、得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.10g(収率95.1%)を得た。
この結晶を試料として、粉末X線回折(以下、XRDと称す)を測定すると、図1に示すX線回折チャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=7.08°、13.54°、14.24°、16.52°、21.46°、22.40°、23.22°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する化合物であることが分かった。また、図2に赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)、図3にTG−DTA曲線を示した。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するα型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.0であった。また、得られた乾燥後の塩(乾燥塩)の残留溶媒量をガスクロマトグラフィー(以下、GCと称す)で分析した。ジエチルエーテルの含有量は120質量ppm(0.0120質量%)であり、1−ブタノールの含有量は3210質量ppm(0.3210質量%)であった。
実施例2
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、1−ブタノールを25mL加え、溶解させた。1−ブタノール溶液の液温を25℃に調節した。温度調整はフラスコを温調したウォーターバスに浸漬することより行った。その後、1mol/L塩化水素/ジエチルエーテル8mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、温度は28℃まで上昇していた。混合液の温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した。その後、得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.11g(収率95.5%)を得た。
XRDを測定すると、図1と同様の結果となり、2θ=7.08°、13.54°、14.24°、16.52°、21.46°、22.40°、23.22°に特徴的なピークを与える新規な結晶構造を有するα型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.2であった。また、得られた乾燥塩についてGCで残留溶媒量を分析したところ、ジエチルエーテルの含有量は310質量ppm(0.0310質量%)であり、1−ブタノールの含有量は3310質量ppm(0.3310質量%)であった。
実施例3
実施例1の1−ブタノールをエタノールに代えた以外は、実施例1と同様に操作した。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.11g(収率95.5%)を得た。XRDを測定すると、図1と同様の結果となり、2θ=7.08°、13.54°、14.24°、16.52°、21.46°、22.40°、23.22°に特徴的なピークを有する新規な結晶構造を持つα型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.1であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析した。ジエチルエーテルの含有量は180質量ppm(0.0180質量%)であり、エタノールの含有量は2650質量ppm(0.2650質量%)であった。
実施例4
実施例1の1−ブタノールを2−プロパノールに代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.11g(収率95.5%)を得た。XRDを測定すると、図1と同様の結果となり、2θ=7.08°、13.54°、14.24°、16.52°、21.46°、22.40°、23.22°に特徴的なピークを有する新規な結晶構造を持つα型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.2であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析した。ジエチルエーテルの含有量は150質量ppm(0.0150質量%)であり、2−プロパノールの含有量は2770質量ppm(0.2770質量%)であった。
実施例5
実施例1の1mol/L塩化水素/ジエチルエーテル8mLを2mol/L塩化水素/テトラヒドロフラン4mLに代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.16g(収率97.8%)を得た。XRDを測定すると、図1と同様の結果となり、2θ=7.08°、13.54°、14.24°、16.52°、21.46°、22.40°、23.22°に特徴的なピークを有する新規結晶構造を持つα型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.2であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析した。、テトラヒドロフランの含有量は1010質量ppm(0.1010質量%)であり、1−ブタノールの含有量は3120質量ppm(0.3120質量%)であった。
実施例6
実施例1の1mol/L塩化水素/ジエチルエーテル8mLを1mol/L塩化水素/tert−ブチルメチルエーテル8mLに代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.15g(収率97.4%)を得た。XRDを測定すると、図1と同様の結果となり、2θ=7.08°、13.54°、14.24°、16.52°、21.46°、22.40°、23.22°に特徴的なピークを有する新規結晶構造を持つα型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.1であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、tert−ブチルメチルエーテルの含有量は1250質量ppm(0.1250質量%)であり、1−ブタノールの含有量は3180質量ppm(0.3180質量%)であった。
実施例7
滴下中の混合液温度を最初から最後まで25℃に保温し、滴下終了後25℃で30分間攪拌した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.14g(収率96.9%)を得た。XRDを測定すると、図1と同様の結果となり、2θ=7.08°、13.54°、14.24°、16.52°、21.46°、22.40°、23.22°に特徴的なピークを有する新規結晶構造を持つα型ベンゾオキサジンであることが分かった。
実施例1と同様にして5%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.0であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析した。ジエチルエーテルの含有量は150質量ppm(0.0150質量%)であり、1−ブタノールの含有量は3090質量ppm(0.3090質量%)であった。
実施例8
滴下中の混合液温度を最初から最後まで50℃に保温し、滴下終了後混合液温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.14g(収率96.9%)を得た。XRDを測定すると、図1と同様の結果となり、2θ=7.08°、13.54°、14.24°、16.52°、21.46°、22.40°、23.22°に特徴的なピークを有する新規結晶構造を持つα型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
実施例1と同様にして5%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.2であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、ジエチルエーテルの含有量は160質量ppm(0.0160質量%)であり、1−ブタノールの含有量は2990質量ppm(0.2990質量%)であった。
(β型ベンゾオキサジン化合物の製造)
(第1の製造方法)
実施例9
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、これにエタノールを25mL加えて溶解させた。このフラスコを温調したウォーターバスに浸漬して、エタノール溶液の液温を10℃に調整した後、1mol/L塩化水素/ジエチルエーテル8mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、温度は12℃まで上昇していた。12℃で30分間攪拌後、得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.2g(収率99.6%)を得た。
この結晶を試料として、XRDを測定すると、図10に示すX線回折チャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、図11に示す赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)が得られた。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.1であった。また、得られた乾燥後の塩(乾燥塩)の残留溶媒量をGCで分析したところ、ジエチルエーテルの含有量は360質量ppm(0.0360質量%)であり、エタノールの含有量は2850質量ppm(0.2850質量%)であった。
実施例10
ベンゾオキサジン化合物前駆体のエタノール溶液の液温を10℃から18℃に変えた以外は、実施例9と同様に操作した。なおこのときには、混合溶液の温度は最大で19℃まで上昇し、19℃で30分間攪拌した。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.1g(収率95.1%)を得た。XRDを測定すると、図10と同様の結果となり、2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを有する新規な結晶構造を持つβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.1であった。得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、ジエチルエーテルの含有量は380質量ppm(0.0380質量%)であり、エタノールの含有量は2670質量ppm(0.2670質量%)であった。
実施例11
ベンゾオキサジン化合物前駆体のエタノール溶液の液温を10℃から−15℃に変えた以外は、実施例9と同様に操作した。なおこのときには、混合溶液の温度は最大−13℃まで上昇し、−13℃で30分間攪拌した。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.1g(収率95.1%)を得た。XRDを測定すると、図10と同様の結果となり、2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを有する新規な結晶構造を持つβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.1であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、ジエチルエーテルの含有量は350質量ppm(0.0350質量%)であり、エタノールの含有量は2510質量ppm(0.2510質量%)であった。
実施例12
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、これに1−ペンタノールを25mL加え、該化合物を溶解させた。このフラスコを温調したウォーターバスに浸漬して、1−ペンタノール溶液の液温を5℃に調節した後、0.8mol/L塩化水素/THF10mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、温度は8℃まで上昇していた。8℃で30分間攪拌後、得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.2g(収率99.6%)を得た。XRDを測定すると、図10と同様の結果となり、2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを有する新規な結晶構造を持つβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.1であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、THFの含有量は1130質量ppm(0.1130質量%)であり、1−ペンタノールの含有量は4370質量ppm(0.4370質量%)であった。
(第2の製造方法)
実施例13
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、これに1−ブタノールを25mL加え、該化合物を溶解させた。このフラスコを温調したウォーターバスに浸漬して、1−ブタノール溶液の液温を40℃に調節した後、4mol/L塩化水素/酢酸エチル2mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、温度は45℃まで上昇していた。混合液の温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した。その後、得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.10g(収率95.1%)を得た。
この結晶を試料として、粉末X線回折を測定すると、実施例9のXRDチャートと同様のチャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、IRスペクトルも図11と同様であった。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.0であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、酢酸エチルの含有量は210質量ppm(0.0210質量%)であり、1−ブタノールの含有量は1490質量ppm(0.1490質量%)であった。
実施例14
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、これに1−ブタノールを25mL加えて該化合物を溶解させた。このフラスコを温調したウォーターバスに浸漬して、1−ブタノール溶液の液温を−15℃に調節した後、4mol/L塩化水素/酢酸エチル2mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、液温は−12℃まで上昇していた。−12℃で30分間攪拌した。その後、得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.10g(収率95.1%)を得た。
この結晶を試料として、XRDを測定すると、図10と同様のX線回折チャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、実施例9の場合と同様のIRスペクトルであった。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.0であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、酢酸エチルの含有量は230質量ppm(0.0230質量%)であり、1−ブタノールの含有量は1630質量ppm(0.1630質量%)であった。
実施例15
4mol/L塩化水素/酢酸エチル2mLを4mol/L塩化水素/酢酸エチル2.5mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.75mol)に代えた以外は、実施例13と同様の操作を行った。滴下後の、温度は45℃まで上昇していた。混合液の温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した。得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.06g(収率93.3%)を得た。
この結晶を試料として、XRDを測定すると、図10に示すものと同様のX線回折チャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、IRスペクトルも実施例9の場合と同様であった。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.0であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、酢酸エチルの含有量は210質量ppm(0.0210質量%)であり、1−ブタノールの含有量は1550質量ppm(0.1550質量%)であった。
実施例16
4mol/L塩化水素/酢酸エチル2mLを4mol/L塩化水素/酢酸エチル1.55mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.09mol)に代えた以外は実施例13と同様の操作を行った。滴下後の温度は45℃まで上昇していた。混合液の温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した。その後、得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.06g(収率93.3%)を得た。
この結晶を試料として、XRDを測定すると、図10に示すものと同様のX線回折チャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、IRスペクトルも実施例9の場合と同様であった。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.2であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、酢酸エチルの含有量は250質量ppm(0.0250質量%)であり、1−ブタノールの含有量は1660質量ppm(0.1660質量%)であった。
実施例17
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、これにプロパノールを25mL加えて該化合物を溶解させた。温調したウォーターバスにこのフラスコを浸漬して、プロパノール溶液の液温を40℃に調節した後、2mol/L塩化水素/プロピオン酸エチル4.0mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、温度は43℃まで上昇していた。混合液の温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した。その後、得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.01g(収率91.0%)を得た。
この結晶を試料として、XRDを測定すると、図10に示すものと同様のX線回折チャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、IRスペクトルも実施例9の場合と同様であった。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.1であった。また、得られた乾燥塩についてGCで残留溶媒量を分析したところ、プロピオン酸エチルの含有量は760質量ppm(0.0760質量%)であり、プロパノールの含有量は1240質量ppm(0.1240質量%)であった。
実施例18
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、これに1−ペンタノールを25mL加えて該化合物を溶解させた。このフラスコを温調したウォーターバスに浸漬して、1−ペンタノール溶液の液温を40℃に調節した後、2.5mol/L塩化水素/酪酸1−ペンチル3.2mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、温度は44℃まで上昇していた。混合液の温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した。その後、得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.03g(収率91.9%)を得た。
この結晶を試料として、XRDを測定すると、図10に示すものと同様のX線回折チャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、IRスペクトルも実施例9の場合と同様であった。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.1であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、酪酸ペンチルの含有量は3200質量ppm(0.3200質量%)であり、1−ペンタノールの含有量は4470質量ppm(0.4470質量%)であった。
実施例19
ベンゾオキサジン化合物前駆体の1−ブタノール溶液の液温を40℃から55℃に代えた以外は実施例13と同様に操作した。なお、このときには、混合液の温度は58℃まで上昇していた。混合液の温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した。その後、得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.11g(収率95.5%)を得た。
この結晶を試料として、粉末X線回折を測定すると、図10のXRDチャートと同様のチャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、IRスペクトルも実施例9と同様であった。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.0であった。得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析したところ、酢酸エチルの含有量は250質量ppm(0.0250質量%)であり、1−ブタノールの含有量は1370質量ppm(0.1370質量%)であった。
比較例1
(特許文献1に記載の方法による結晶形I型の製造)
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド10.5gをフラスコに仕込み、これに50%含水エタノール21mLを加えて懸濁させた。これに、濃塩酸3g加え、該化合物を溶解させた。この溶解液に0.1mol/L塩酸を加えて、pHを約4に調整した。その後、エタノール105mLを加えて40〜50℃に保ち、結晶を析出させた。調温したウォーターバスにフラスコを浸漬することにより、析出温度の調整を行った。反応混合物を25℃に冷却後、30分間攪拌した。その後、結晶を濾別した。濾別した結晶を、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩9.62g(収率83.1%)を得た。
XRDを測定した結果を図4に示した。この結果から、得られた結晶は、前記特許文献1に記載のI型結晶であることが分かった。図5にIRスペクトル、図6にTG−DTAの測定結果を示した。実施例1と同様にして、この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると4.1であった。
比較例2
(特許文献1に記載の方法による結晶形I型の製造−pHの再現性検討1)
比較例1と同じ操作を繰返し、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩9.72g(収率83.8%)を得た。
XRDを測定すると、図4と同様の結果が得られ、前記特許文献1記載のI型結晶であることが分かった。実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると6.0であった。
比較例3
(特許文献1に記載の方法による結晶形I型の製造−仕込み量を代えてpHの再現性検討2)
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミドの仕込み量を2gとし、他の各試薬を仕込み量に比例させて増加させた以外は、比較例1と同様の操作を行った。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩1.82g(収率82.6%)を得た。
XRDを測定すると、図4と同様の結果となり、前記特許文献1記載のI型結晶であることが分かった。実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると3.3であった。
比較例4
(特許文献1に記載の別の方法による結晶形I型の製造)
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド5gをフラスコに仕込み、これにエタノール21mLを加えて該化合物を懸濁させた。その後、50℃に加温して溶解させた。調温したウォーターバスにフラスコを浸漬することにより、析出温度の調整を行った。この溶解液に2mol/L塩化水素/エタノール9.6mLを加えて結晶を析出させた。2時間攪拌後、氷冷し、結晶を濾別した。濾別した結晶を60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩5.31g(収率96.2%)を得た。
XRDを測定すると、図4と同様の結果となり、前記特許文献1記載のI型結晶であることが分かった。実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると4.6であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析すると、エタノール49010質量ppm(4.9010質量%)であり、エタノールの残留量が非常に高いことが分かった。
比較例5
(特許文献1に記載の別方法による結晶形I型の製造−仕込み量を代えてpHの再現性検討1)
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミドの仕込み量を2gとし、他の各試薬を仕込み量に比例させた以外は、比較例4と同様の操作を行った。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.11g(収率95.5%)を得た。
XRDを測定すると、図4と同様の結果となり、前記特許文献1記載のI型結晶であることが分かった。実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.8であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析すると、エタノール48520質量ppm(4.852質量%)であり、エタノールの残留量が非常に高いことが分かった。
比較例6
(特許文献1に記載の別の方法による結晶形I型の製造−仕込み量を代えてpHの再現性検討2)
比較例5と同じ操作を繰返し、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.11g(収率95.5%)を得た。
XRDを測定すると、図4と同様の結果となり、前記特許文献1記載のI型結晶であることが分かった。実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると4.0であった。また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析すると、エタノール48750質量ppm(4.8750質量%)であり、エタノールの残留量が非常に高いことが分かった。
比較例7
(特許文献1に記載の方法による結晶形II型の製造)
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、これに50%含水エタノール4mLを加えて該化合物を懸濁させた。これに濃塩酸0.57gを加え、溶解させた。この溶解液に0.1mol/L塩酸を加えて、pHを約4に調整した。その後、エタノール20mLを加えて3℃で結晶を析出させた。調温したウォーターバスにフラスコを浸漬することにより、析出温度の調整を行った。結晶を濾別し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩1.89g(収率85.6%)を得た。
XRDを測定すると、図7の結果となり、前記特許文献1記載のII型結晶であることが分かった。また、図8にIRスペクトル、図9にTG−DTAを示した。実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると3.7であった。
また、得られた乾燥塩の残留溶媒量をGCで分析すると、酢酸エチルの含有量は12270質量ppm(1.2270質量%)であり、エタノールの含有量は23290質量ppm(2.3290質量%)であった。
比較例8
(特開平2−218614号公報の方法による結晶形II型の製造)
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、これに2mol/L塩化水素/ジエチルエーテル4mLを加えた。析出した結晶を濾別し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.11g(収率95.5%)を得た。
XRDを測定すると、図7と同様の結果となり、前記特許文献1記載のII型結晶であることが分かった。また、IRスペクトル、TG−DTAは、それぞれ図8、図9に示すものと同様であった。
実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.7であった。
比較例9
(特許文献1に記載の方法による結晶形I型の製造−仕込量を変えてpHの再現性検討3)
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミドの仕込み量を3.5gとし、他の各試薬をベンゾオキサジン化合物前駆体の仕込み量に比例させて増加させた以外は、比較例1と同様の操作を行った。その結果、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩4.20g(収率99.9%)を得た。
XRDを測定すると、図4と同様の結果となり、前記特許文献1に記載のI型結晶であることが分かった。実施例1と同様にして5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると4.1であった。
参考例1
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、1−ヘキサノールを25mL加え、溶解させた。1−ヘキサノール溶液の液温を5℃に調節した。温度調整はフラスコを温調したウォーターバスに浸漬することより行った。その後、1mol/L塩化水素/ジエチルエーテル8mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、温度8℃まで上昇していた。8℃で30分間攪拌した。得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.2g(収率99.6%)を得た。
この結晶を試料として、XRDを測定すると、図10に示すX線回折チャートと同様のチャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、図11に示すIRスペクトルが得られた。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.1であった。また、得られた乾燥塩についてGCで残留溶媒量を分析したところ、ジエチルエーテルの含有量は380質量ppm(0.0380質量%)であり、1−ヘキサノールの含有量は11780質量ppm(1.1780質量%)であった。
この結果は、β型ベンゾオキサジン化合物の第1の製造方法において、炭素数が6以上のアルコールを使用すると、溶媒が多量に残留し、工業的製法には適さないことを示している。
参考例2
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、エタノールを25mL加え、溶解させた。エタノール溶液の液温を50℃に調節した。温度調整はフラスコを温調したウォーターバスに浸漬することより行った。その後、4mol/L塩化水素/酢酸エチル2mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、温度は53℃まで上昇していた。混合液の温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した。得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.1g(収率95.1%)を得た。
この結晶を試料として、XRDを測定すると、図10に示すX線回折チャートと同様のチャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、図11に示すIRスペクトルと同様のチャートが得られた。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.0であった。また、得られた乾燥塩についてGCで残留溶媒量を分析したところ、酢酸エチルの含有量は3420質量ppm(0.3420質量%)であり、エタノールの含有量は41520質量ppm(4.1520質量%)であった。
この結果は、β型ベンゾオキサジン化合物の第2の製造方法において、炭素数が2以下のアルコールを使用すると、溶媒が多量に残留し、工業的製法には適さないことを示している。
参考例3
(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド2gをフラスコに仕込み、1−ヘキサノールを25mL加え、溶解させた。1−ヘキサノール溶液の液温を25℃に調節した。温度調整はフラスコを温調したウォーターバスに浸漬することより行った。その後、1mol/L塩化水素/酢酸エチル8mL(ベンゾオキサジン化合物前駆体1molに対して1.4mol)をゆっくり滴下すると、結晶が析出した。その時、温度は28℃まで上昇していた。混合液の温度を25℃にし、25℃で30分間攪拌した。得られた結晶をろ過し、60℃、0.67kPaの条件下で12時間乾燥させ、(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩2.2g(収率99.6%)を得た。
この結晶を試料として、XRDを測定すると、図10に示すX線回折チャートと同様のチャートが得られた。この結果から、この結晶は2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有することが分かった。また、図11に示すIRスペクトルと同様のスペクトルが得られた。これらの結果から、この結晶は新規な結晶形を有するβ型ベンゾオキサジン化合物であることが分かった。
この結晶の5質量%水溶液のpHを温度補正型pHメーターで測定すると5.1であった。また、得られた乾燥塩についてGCで残留溶媒量を分析したところ、酢酸エチルの含有量は2080質量ppm(0.2080質量%)であり、ヘキサノールの含有量は12180質量ppm(1.2180質量%)であった。
この結果は、β型ベンゾオキサジン化合物の第2の製造方法において、炭素数が6以上のアルコールを使用すると、溶媒が多量に残留し、工業的製法としては適さないことを示している。

分析方法
X線粉末回折分析を、1.5406オングストロームの波長を有するCuKα放射線を使用して、rigaku RINT 1200X線粉末回折計において実施した。電圧は40kV、電流を40mAに設定した。サンプリング幅は0.020にセットし、スキャンスピードは2.0°/minに設定した。開始角は5°、終了角は35°の範囲で測定を行った。サンプルはホルダー内に均一に押し込むことによって分析に備えた。
TG/DTA測定をSIIEXSTAR 6000を用いて実施した。およそ10mgのサンプルを正確に秤量し、炉の中に挿入した。各サンプルを10℃/minの速度で、30℃から300℃の最終温度まで加熱して、TG−DTA曲線を得た。
赤外分光分析をPerkinElmer SpectrumOne FT-IR Spectrometerにおいて実施した。各スペクトルは4000〜400cm−1の範囲で、4回のスキャン回数、分光器分解能4.00cm−1の条件で測定した。測定にはATR法を用いた。
ベンゾオキサジン化合物の水溶液のpHは、温度補正型pHメーター(東亞ディーケーケーHM−60G)を用いて測定した。測定サンプルとしては、ベンゾオキサジン化合物を水に溶解した5質量%水溶液を用いた。
乾燥塩の残留溶媒量は、ヘッドスペース型ガスクロマトグラフィー(装置:GC14A+HSS−2B(島津製作所製)、カラム:DB−624(30mX0.53mm 膜厚 3μm J&W Scientific社製)を用いて測定した。サンプルを水に溶解させた後、残留溶媒を気化させて上記GCで測定した。
実施例1において製造された本発明のベンゾオキサジン化合物のX線回折チャートである。 実施例1において製造された本発明のベンゾオキサジン化合物の赤外線吸収スペクトルである。 実施例1において製造された本発明のベンゾオキサジン化合物のTG−DTA曲線である。 比較例1において製造されたI型ベンゾオキサジン化合物のX線回折チャートである。 比較例1において製造されたI型ベンゾオキサジン化合物の赤外線吸収スペクトルである。 比較例1において製造されたI型ベンゾオキサジン化合物のTG−DTA曲線である。 比較例7において製造されたII型ベンゾオキサジン化合物のX線回折チャートである。 比較例7において製造されたII型ベンゾオキサジン化合物の赤外線吸収スペクトルである。 比較例7において製造されたII型ベンゾオキサジン化合物のTG−DTA曲線である。 実施例において製造された本発明のベンゾオキサジン化合物のX線回折チャートである。 実施例において製造された本発明のベンゾオキサジン化合物の赤外線吸収スペクトルである。

Claims (6)

  1. Cu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=7.1°、13.5°、14.2°、16.5°、21.5°、22.4°、23.2°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶
  2. (±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミドの炭素数1〜5のアルコール溶液と、塩化水素が溶解したエーテルとを接触させて得られる混合液から(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶を、混合液温度を20℃以上に保ちながら析出させる工程を含むことを特徴とするCu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=7.1°、13.5°、14.2°、16.5°、21.5°、22.4°、23.2°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶の製造方法。
  3. Cu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶
  4. (±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミドの炭素数1〜5のアルコール溶液と、塩化水素が溶解したエーテルとを接触させて得られる混合液から(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶を、混合液温度を−20℃以上20℃未満に保ちながら析出させる工程を含むことを特徴とするCu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶の製造方法。
  5. (±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミドの炭素数3〜5のアルコール溶液と、塩化水素が溶解したエステルとを接触させて得られる混合液から(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶を析出させる工程を含むことを特徴とするCu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=6.7°、9.9°、14.5°、15.2°、22.7°、23.6°に特徴的なピークを与える結晶構造を有する(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶の製造方法。
  6. エステルが、炭素数1〜5のカルボン酸と、炭素数1〜5のアルコールとのエステルである請求項5に記載の(±)−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(3−キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−8−カルボキサミド塩酸塩の結晶の製造方法。
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