JP5187974B2 - サボニウス型風力発電装置とサボニウス型風車 - Google Patents
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Description
一方、曝気装置に使用される二対のサボニウス型風車が、それぞれ帯同士相互を互いに回転方向を反対にして対毎のシャフトの下方に連結された撹拌部材を互いに反対方向に回転させて装置全体の回転を抑制する技術が、特許文献3に開示されている。
前記の特許文献1、2の技術からは、翼形の形態の異なるブレードの組み合わせによる高トルク発現の技術思想は創出できないものである。
また、特許文献3に開示された技術は、各一対のサボニウス型風車が、同方向に回転し入力された風力エネルギーを下方のスクリューに伝達するに過ぎず、両風車から得られる風力エネルギーを集合して発電機へ入力する技術は、何ら開示されていないものである上、ブレードの翼形も一般的に公知なものである。
さらに、風車の風向方向制御としては、特許文献4や特許文献5に開示されているように、尾翼による制御である。
また、風車の過回転制御としては、特許文献6に提案されているように、風車翼の翼ピッチ角度を変えるものや、特許文献7に提案されているように、ブレードの回転を停止させるものなどである。
このような特許文献4乃至7に提案された風向制御技術や過回転制御技術は、ボックス内に収納される一対のサボニウス型風車には採用できない技術である。
前記風車が、タワー頂部で動力伝達装置の出力軸を中心に回転自在に軸支される風車装置のボックス内に対設されるとともに、左右の導風路から各個に風力が導入され、各個の回転方向が相互に逆回転状に軸支され、両者の回転力が前記ボックス下面に垂下される差動歯車装置に伝達されて成る一対のサボニウス型風車から成り、
前記風向方向制御部が、風車装置のボックスの回転中心(前記出力軸中心)から前方所要位置で左右側方に開口される導風路と、該回転中心から該導風路始端までの側面の面積より、該回転中心から後端までの側面の面積を大にしてボックスを風上に回動する面積比で形成して成る側板と、ボックスの左右方向中心を頂点として左右に導風斜面を形成する山形受風突起部とから成り、
前記過回転制御部が、風車装置のボックスにおける前記山形受風突起部の両導風斜面の中間部の上下に配設される軸受と、該軸受に軸支される支軸と、該支軸に一体で導風路を開閉自在に閉塞するとともに、風車の回転側へ風力を導く風導板と、前記支軸を駆動する駆動源とから成り、
前記動力伝達装置が、両サボニウス型風車のそれぞれの垂直回転軸にその一方が軸着され、他方が水平軸に軸着される傘歯車対と、各水平軸がそれぞれ入力軸となる差動歯車装置と、該差動歯車装置の出力軸と発電機の入力軸間に接合される増速機とから成る。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載したサボニウス型風力発電装置において、
前記サボニウス型風車が、複数のブレードを垂直回転軸に対して点対称に配設して成るサボニウス型風車において、
前記ブレードが、円弧状のブレードと舟底状のブレードとの交互に配設される2形態の翼形の各2枚から成り、一方の円弧状のブレードの内面と他方の舟底状のブレードの外面との下端間に、一方の舟底状のブレードの内面に直角な絞り流路が形成される。
請求項3に記載したサボニウス型風車は、
複数のブレードを垂直回転軸に対して点対称に配設して成るサボニウス型風車において、
前記ブレードが、円弧状のブレードと舟底状のブレードとの交互に配設される2形態の翼形の各2枚から成り、一方の円弧状のブレードの内面と他方の舟底状のブレードの外面との下端間に、一方の舟底状の内面に直角な絞り流路が形成される。
また、風向きの変動に対しては、ボックスの回転中心(前記出力軸中心)に対するボックスの側板面積比による風上姿勢に向かうトルクの発現と、風向側の導風路から導風される風力によって回転するサボニウス型風車の回転力により誘発されるトルクの発現とによってボックスを自動的に風上姿勢に向かわせるものである。
さらに、過回転制御部では山形受風突起部の斜板(導風斜面)に開口する各導風路が風導板で閉塞されるから、内部の両サボニウス型風車の過回転が防止されるとともに、ボックス自体も前記山形受風突起部により風圧抵抗がボックスの回転中心に対して左右にバランスして負荷されるためブレることなく、風上に追従するのみであるから、強風時のカットアウトが簡易となる。
一方、請求項3に記載したサボニウス型風車は、絞り流路における流体(風)の粘性抵抗によるトルクの発現と、該流路から噴出する風力と円弧状のブレードの外面から導入される風力とが、下方(一方)に位置取りされる舟底状のブレードの内面に略直角に滑りなく作用することによる高トルクの発現と、一度作用した風力がさらに、上方(他方)に位置取りされる舟底状のブレードの内面に略直角に滑りなく作用することによるトルクの発現とが、順次に繰り返されることにより、風力エネルギーを効率的に回転トルクとして入手できるものである。
図1、図2に示すように、本発明のサボニウス型風力発電装置Aは、風車装置3と、風向方向制御部5と、過回転制御部6と、動力伝達装置7と、発電機8と、タワー1とを構成要素とする。
前記タワー1頂部で動力伝達装置7の出力軸35を中心に回転自在に軸支される風車装置3のボックス14内に風車4,40が対設されるとともに、左右の導風路19,19から各個に風力が導入され、各個の回転方向が相互に逆回転状に軸支され、両者の回転力が前記ボックス14下面に垂下される差動歯車装置33に伝達されて成る一対のサボニウス型風車から成り、
図2に示すように、前記風向方向制御部5が、風車装置3のボックス14の回転中心(前記出力軸中心)18から前方所要位置で左右側方に開口される導風路19,19と、該回転中心18から該導風路19,19始端までの側面の面積より、該回転中心18から後端までの側面の面積を大にしてボックス14を風上に回動する面積比で形成して成る側板11,11と、ボックス14の左右方向中心を頂点として左右に導風斜面を形成する山形受風突起部12とから成り、
前記過回転制御部6が、風車装置3のボックス14における前記山形受風突起部12の両導風斜面の中間部の上下に配設される軸受20,20と、該軸受20,20に軸支される支軸21,21と、該支軸21に一体で導風路19,19を開閉自在に閉塞するとともに、風車4,40の回転側へ風力を導く風導板22,22と、前記支軸21,21を駆動する駆動源23,23とから成り、
図1に示すように、前記動力伝達装置7が、両サボニウス型風車4,40のそれぞれの垂直回転軸35にその一方が軸着され、他方が水平軸34,34に軸着される傘歯車対32,32と、各水平軸34,34がそれぞれ入力軸となる差動歯車装置33と、該差動歯車装置33の出力軸35と発電機8の入力軸間に接合される増速機36とから成る。
本発明のサボニウス型風力発電装置における一対のサボニウス型風車4,40が、ボックス14を介してタワー1の頂部で風上に向けてその受風姿勢が自動的に制御されるには、動力伝達装置7における差動歯車装置33の出力軸35において、ボックス14全体(風力装置)を回転自在に支持するとともに、該出力軸35を安全かつ安定的に軸支しなければならないから、ボックス14全体(風車装置全体)を旋回軸受で軸支するものから、前記出力軸35を含む近傍を軸受メタルで支持するとともに、ボックス14の下面を下端に滑動ボール39を備えた脚38で安定的にバランスよく支持して旋回自在とするなどである。
また、過回転制御部6で使用される駆動源23、23としては、旋回系に存在するものであるから、油圧や空圧によるアクチュエータではスイベルジョイントを介することとなり、モータによるものでは一般商用電源によるもののほか、太陽光発電により駆動されるものから、風力発電による電力の一部で旋回接点を介して駆動されるものなどである。
さらに、本発明のサボニウス型風車における異形翼形ブレード間に形成される絞り流路は、平行なものから絞りテーパ状のものまで選択される。
図1に示すように、タワー1と、該タワー1の頂部2で360°全方位に回転自在に支持される風車装置3と、該風車装置3に配設される一対のサボニウス型風車4、40と、風向方向制御部5と、過回転制御部6と、動力伝達装置7と、発電機8とを構成要素として成る。
そこで、先ず風車装置3について説明すると、図2の平面視でその輪郭を示すボックス14は、外郭五角形状の上板9と下板10、及び両板9、10の左右平行な側面に接合される各側板11と、前方の山形受風突起部12を形成すべく前記両板9、10の山形状の両導風斜面に接合される各斜板13とから成る。
このようにして成るボックス14には前記したサボニウス型風車4、40が、その垂直回転軸15において、相互に回転方向を逆回転状に上板9と下板10に配設される各軸受16、17に軸支される。そして、前記の両垂直回転軸15にはそれぞれその下端に直角な傘歯車対32の一方の大傘歯車が接合され、他方の小傘歯車はボックス14の下面に接合垂下される差動歯車装置33の各水平軸(入力軸)34に接合され、この差動歯車装置33の出力軸35はタワー1の頂部2に設けた軸受メタル37で軸支される。
また、ボックス14の下面4個所の均等部位に垂下された脚38の伸縮自在部31の下端には滑動ボール39を回転自在に装着して、風車装置3を安定的に、かつ軽やかにして旋回自在に支持して成る。
なお、ボックス14は下面に垂下される垂直回転軸15に係る動力伝達部は、仮想線で示すように、円筒状のカバーで被覆されるものである。
前記風向方向制御部5が左右何れかの一方から側方へ風圧を受けると、側板11の面積比により風上に向かうトルクが発現し、併せて風向方向の導風路19から導風される風力は、その側のサボニウス型風車4又は40を回転することとなり、その駆動力がボックス14の風上に向かうトルクを発現させ、このような作用でボックス14はタワー1の頂部2で自動的に風上に正対するまで回転される。
さらに、風上に正対後はその風力が図2の矢印に示すように、山形受風突起部12の左右の斜板13に沿って導風路19に導風され、両サボニウス型風車4、40の中心より外側半分に導風され、両サボニウス型風車4、40の中心より内側半分には導風されないので、導風された風が両サボニウス型風車4、40の回転の抵抗とならない。
しかも、風導板22により各風車4、40の外方側へ案内されるからボックス14の安定した受風姿勢で両サボニウス型風車4、40が回転効率よく相互に逆回転される。
すなわち、過回転制御部6では山形受風突起部12の斜板(導風斜面)13に開口する各導風路19が風導板22で閉塞されるから、内部の両サボニウス型風車4,40の過回転が防止されるとともに、ボックス14自体も前記山形受風突起部12により風圧抵抗がボックス14の回転中心に対して左右にバランスして負荷されるためブレることなく、風上に追従するのみであるから、強風時のカットアウトが簡易となる。
そこで、両風車4、40は左右対称の配置であるから、左方のサボニウス型風車4について2形態のブレードを説明する。
すなわち、一方の円弧状のブレード(以下、円弧ブレードという。)26と該円弧ブレード26に対して90°の位相で異形翼形の一方の舟底状のブレード(以下、舟底ブレードという。)27とを配設し、さらに、前記一方の円弧ブレード26に対して垂直回転軸15に点対称に同形翼形の他方の円弧ブレード28を配設し、さらに、前記一方の舟底ブレード27に対して垂直回転軸15に点対称に同形翼形の他方の舟底ブレード29を配設するものであるが、この状態で、一方の円弧ブレード26の内面(凹面)と他方の舟底ブレード29の外面との下端間に、一方の舟底ブレード27の内面に直角に対面する絞り流路30が形成されるものである。
したがって、一方の円弧ブレード26の外面(凸面)から導入される風力も、前記絞り流路30から噴出される風力も一方の舟底ブレード27の内面に矢印で示すように略直角に滑りなく作用すること、及び前記絞り流路30における粘性抵抗が作用すること、さらには一度作用した風力が他方の舟底ブレード29の内面に作用することなどによって高トルクが発現し、前記の作用が円弧ブレード28と舟底ブレード27及び舟底ブレード29との関係においても成立され、順次に繰り返されるから、風力エネルギーが効率的に回転トルクとして入手され得るものである。
このように風車装置3において、風力エネルギーによって両風車4、40は回転され、動力伝達装置7を介してその回転エネルギーが発電機8に入力電気エネルギーに変換されるものである。
したがって、両風車4、40から投入される風力エネルギーは、両垂直回転軸15から傘歯車対32に伝達されて差動歯車装置33の両水平軸34に入力され、両者に回転数の平均回転数で差動歯車装置33の出力軸35から出力され、高トルクの状態で増速機36に入力されるものである。
図4では説明し易くする便宜上、両風車4、40の姿勢を左右対称に示したが、実際の運転時(発電時)では、両風車4、40への風力の作用差によってその静止姿勢は別々である。
なお、本実施例で示したサボニウス型風車4、40は、2形態の翼形を特徴とするタイプのものであるが、本発明のサボニウス型風力発電装置Aにおいては、一般的な公知のサボニウス型風車も採用され得ることは勿論である。
このものは図6、図7に示すように、タワー1は円柱状にしてその上部に、前記と同様の風向方向制御部5と過回転制御部6と導風路19と風導板22と一対のサボニウス型風車4、40を備えた風車装置3、すなわちボックス14を360°全方位回転自在に軸支する支軸41が立設される。
前記風車装置3はボックス14における一対のサボニウス型風車4、40の両垂直回転軸15、15の中間(前記差動歯車装置33の出力軸35の中心)より所要寸法前方(重心より前方)で左右方向中心線上の上板9と下板10の部位に取着される両軸受42、43を介して支軸41に軸支される。
前記風向方向制御部5は、風力が図7の矢印に示すように、山形受風突起部12の左右の斜板13に沿って導風路19に導風され、両サボニウス型風車4、40の中心より外側半分に導風され、両サボニウス型風車4、40の中心より内側半分には導風されないので、安定した受風姿勢で両サボニウス型風車4、40が回転効率よく相互に逆回転される。
一方、動力伝達装置7の伝達系は、タワー1の支軸41に軸支される風車装置3に収められるものであり、両サボニウス型風車4、40の回転力は各垂直回転軸15より各傘歯車対32を経てそれぞれの水平軸34より差動歯車装置33に入力され、該差動歯車装置33の出力軸35に軸着されたタイミングプーリ44から増速機36の入力軸45に軸着されたタイミングプーリ46へ両者に噛合したタイミングベルト47を介して伝達され、さらに、増速機36の出力軸からカップリング48を介して発電機8の回転軸に伝達されて成る。
ここに、増速機36と発電機8はボックス14の下板10に設けた台座49に垂下されたものであるが、これに限定するものではなく、かご型の枠体を垂下してその枠体の底板に正常な姿勢(天地逆向きではなく)で取り付けたり、或いはボックス14の上板9の上板9の上面に傘歯車対32、差動歯車装置33を含み、増速機36と発電機8を設けて伝達系を構成させることもできる。
なお、前記のタイミングプーリ44、46をスプロケットホイールとし、タイミングベルト47を両スプロケットホイールに噛合するチェーンとすることもできる。
また、本発明のサボニウス型風車も、2形態の翼形の組み合わせに特徴を有し、高トルク発生の技術によって風車製造業界にも貢献できるものである。
2 頂部
3 風車装置
4、40 サボニウス型風車
5 風向方向制御部
6 過回転制御部
7 動力伝達装置
8 発電機
9 上板
10 下板
11 側板
12 山形受風突起部
13 斜板
14 ボックス
15 垂直回転軸
16、17 軸受
18 回転中心
19 導風路
20 軸受
21 支軸
22 風導板
23 駆動源
24 上端板
25 下端板
26、28 円弧ブレード
27、29 舟底ブレード
30 絞り流路
31 伸縮自在部
32 傘歯車対
33 差動歯車装置
34 水平軸
35 出力軸
36 増速機
37 軸受メタル
38 脚
39 滑動ボール
41 支軸
42、43 軸受
44、46 タイミングプーリ
45 入力軸
47 タイミングベルト
48 カップリング
49 台座
A、B サボニウス型風力発電装置
Claims (2)
- 風車と、風向方向制御部と、過回転制御部と、動力伝達装置と、発電機と、タワーとを構成要素とする風力発電装置において、
前記風車が、タワー頂部で動力伝達装置の出力軸を中心に回転自在に軸支される風車装置のボックス内に対設されるとともに、左右の導風路から各個に風力が導入され、各個の回転方向が相互に逆回転状に軸支され、両者の回転力が前記ボックス下面に垂下される差動歯車装置に伝達されて成る一対のサボニウス型風車から成り、
前記風向方向制御部が、前記風車装置のボックスの前記出力軸中心から前方所要位置で左右側方に開口される導風路と、前記出力軸中心から前記導風路始端までの側面の面積より、前記出力軸中心から後端までの側面の面積を大にして前記風車装置のボックスを風上に回動する面積比で形成して成る側板と、前記風車装置のボックスの左右方向中心を頂点として左右に導風斜面を形成する山形受風突起部とから成り、
前記過回転制御部が、前記風車装置のボックスにおける前記山形受風突起部の両導風斜面の中間部の上下に配設される軸受と、該軸受に軸支される支軸と、該支軸に一体で導風路を開閉自在に閉塞するとともに前記風車の回転側へ風力を導く風導板と、前記支軸を駆動する駆動源とから成ることを特徴としてなるサボニウス型風力発電装置。 - 前記サボニウス型風車が、複数のブレードを垂直回転軸に対して点対称に配設して成るサボニウス型風車において、
前記ブレードが、円弧状のブレードと舟底状のブレードとの交互に配設される2形態の翼形の各2枚から成り、一方の円弧状のブレードの内面と他方の舟底状のブレードの外面との下端間に、一方の舟底状のブレードの内面に直角な絞り流路が形成されることを特徴としてなる請求項1記載のサボニウス型風力発電装置。
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