JP5187839B2 - カンチレバーシステム及び走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents
カンチレバーシステム及び走査型プローブ顕微鏡 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5187839B2 JP5187839B2 JP2008152127A JP2008152127A JP5187839B2 JP 5187839 B2 JP5187839 B2 JP 5187839B2 JP 2008152127 A JP2008152127 A JP 2008152127A JP 2008152127 A JP2008152127 A JP 2008152127A JP 5187839 B2 JP5187839 B2 JP 5187839B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- voltage
- cantilever
- lever portion
- resistor
- lever
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01Q—SCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
- G01Q70/00—General aspects of SPM probes, their manufacture or their related instrumentation, insofar as they are not specially adapted to a single SPM technique covered by group G01Q60/00
- G01Q70/08—Probe characteristics
- G01Q70/14—Particular materials
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01G—WEIGHING
- G01G3/00—Weighing apparatus characterised by the use of elastically-deformable members, e.g. spring balances
- G01G3/12—Weighing apparatus characterised by the use of elastically-deformable members, e.g. spring balances wherein the weighing element is in the form of a solid body stressed by pressure or tension during weighing
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01G—WEIGHING
- G01G9/00—Methods of, or apparatus for, the determination of weight, not provided for in groups G01G1/00 - G01G7/00
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01Q—SCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
- G01Q10/00—Scanning or positioning arrangements, i.e. arrangements for actively controlling the movement or position of the probe
- G01Q10/04—Fine scanning or positioning
- G01Q10/045—Self-actuating probes, i.e. wherein the actuating means for driving are part of the probe itself, e.g. piezoelectric means on a cantilever probe
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01Q—SCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
- G01Q60/00—Particular types of SPM [Scanning Probe Microscopy] or microscopes; Essential components thereof
- G01Q60/24—AFM [Atomic Force Microscopy] or apparatus therefor, e.g. AFM probes
- G01Q60/32—AC mode
Landscapes
- Physics & Mathematics (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Radiology & Medical Imaging (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Power Engineering (AREA)
- Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)
Description
この振動モードSPMとしては、例えば、共振させたカンチレバーの振動振幅が一定になるように探針と試料との間の距離を制御しながら走査を行うDFM(共振モード測定−原子間力顕微鏡:Dynamic Force Mode Microscope)や、AFM動作中に、試料を試料表面に垂直なZ方向に微小振動、又は、カンチレバーを試料表面に垂直なZ方向に微小振動させて、周期的な力を加え、この際のカンチレバーの撓み振幅や、sin成分、cos成分を検出することで粘弾性分布を測定するVE−AFM(マイクロ粘弾性測定−原子間力顕微鏡:Viscoelastic AFM)や、AFM動作中に、試料を試料表面に平行な水平方向に横振動させ、又はカンチレバーを試料表面に平行な水平方向に横振動させ、この際のカンチレバーのねじれ振動振幅を検出することで摩擦力分布を測定するLM−FFM(横振動摩擦力顕微鏡:Lateral Force Modulation Friction Force Microscope)等がある。
即ち、加振源を利用してカンチレバーを振動させる方法では、加振源の振動がカンチレバー以外の周辺構造物にも伝わってしまい、これらを振動させてしまうものであった。そのため、カンチレバーの振動特性に影響を与えてしまい、理想的な振動状態とは異なった振動特性になってしまっていた。その結果、カンチレバーの共振特性を正確に識別することが難しく、振動周波数や振幅、位相の振動特性に対して、正確な設定をすることが困難であった。よって、試料を高精度に測定することが難しかった。
まず、カンチレバーに磁性体を取り付ける必要があるため、カンチレバーの材質が限定されてしまうものであった。よって、多様な振動特性を有するカンチレバーの中から最適なものを幅広く選択するといったことができず、選択範囲が狭まってしまう不都合があった。
また、別の目的としては、上記カンチレバーシステムを有する走査型プローブ顕微鏡を提供することである。
本発明に係るカンチレバーシステムは、基端側が本体部に支持されたレバー部と、該レバー部に形成され、電圧の印加によって発熱し、該発熱による熱膨張によって該レバー部を変形させ、該変形によってのみ前記レバー部を振動させる抵抗体と、を備えるカンチレバーと、前記抵抗体に対して電圧を印加する電圧印加部と、前記レバー部の変位を測定する変位測定機構と、を備え、前記レバー部は、変位量に応じて抵抗値が変化する歪抵抗を有する、自己変位検出型のレバーであり、前記変位測定機構は、前記歪抵抗に流れる電流値の変化に基づいて前記レバー部の変位を測定し、前記電圧印加部は、前記歪抵抗に電圧を印加して発熱させ、該歪抵抗を前記抵抗体として動作させると共に、(1)前記レバー部が共振周波数付近の周波数で、且つ、正電圧領域又は負電圧領域で周期するように、振幅中心ラインが電圧中心ラインからオフセットされた交流電圧を周期的に印加、又は、(2)前記レバー部が共振周波数の略1/2倍の周波数で、且つ、正電圧領域と負電圧領域とで周期するように設定された交流電圧を周期的に印加し、前記電圧印加部と前記変位測定機構とを、下記式を満たす時間差を空けて交互に作動させることを特徴とする。
S≦q/f (S:時間差、q:Q値、f:カンチレバーの共振周波数)
加えて、(1)正電圧領域又は負電圧領域で周期するように振幅中心ラインが電圧中心ラインからオフセットされた交流電圧を印加した場合には、交流電圧の正弦波のうち、+側の最大地点で抵抗体が最も発熱し、−側の最大地点で抵抗体の発熱が最小となる。つまり、+側の最大地点に達する度に、レバー部が最も変形して撓んだ状態となる。そのため、交流電圧と略同じ周期でレバー部を振動させることができる。その結果、カンチレバーを共振周波数付近の周波数で確実に振動させることができる。特に、交流電圧の周波数をオフセット調整するだけで、レバー部を共振周波数で確実に振動させることができるので、容易である。
また、熱膨張を利用して振動させるので、加振源や磁場を利用してレバーを振動させる場合とは異なり、カンチレバーの周辺の構成品に振動を何ら伝えることなくレバー部自身を直接振動させることができる。よって、カンチレバー単独の共振特性を得ることができる。よって、Qカーブ測定の際に余分なノイズ等が含まれていない理想的なQカーブを得ることができ、カンチレバーの共振特性を正確に識別することができる。従って、カンチレバーの振動周波数や振幅、位相等の振動特性に対して正確な設定を行うことができる。
更に、(2)電圧印加部が、レバー部の共振周波数の略1/2倍の周波数で、且つ、正電圧領域と負電圧領域とで周期するように設定された交流電圧を印加した場合には、交流電圧の正弦波のうち、+側の最大地点と−側の最大地点とで抵抗体は最も発熱する。つまり、これら両地点に達する度に、レバー部が同一方向に最も変形して撓んだ状態となる。そのため、交流電圧の2倍の周期でレバー部を振動させることができる。その結果、カンチレバーを共振周波数付近の周波数で振動させることができる。特に、交流電圧の周波数を調整するだけで、レバー部を共振周波数で確実に振動させることができるので、設定が容易である。
また、レバー部が自己変位検出型のレバーであるので、レバー部自身がどの程度変形したかを確実に把握することができる。従って、光てこ方式を利用せずにレバー部の変形状態を把握することができるので、光てこ方式特有のアライメント作業が不要であり、使い易い。
また、レバー部が撓んで変形すると、その変位量に応じて歪抵抗の抵抗値が変化する。よって、歪抵抗に流れる電流値をモニタすることで、レバー部がどの程度変形したかを確実に把握することができる。従って、レバー部の変形をより高精度に制御することができる。特に、発熱を利用してレバー部を変形させる動作と、その変形による抵抗値変化からレバー部の変形を確認するという動作と、を両方同時に行うことができるので、非常に使い易い。
また、レバー部が撓んで変位すると、その変位量に応じて歪抵抗の抵抗値が変化する。よって、変位測定機構は、歪抵抗に流れる電流値の変化に基づいてレバー部の変位を確実に測定することができる。よって、レバー部の変形を高精度に制御することができる。また、変位測定機構の測定結果に基づいて、各種の測定や観察(例えば、試料の表面形状観察や試料の磁気、電位分布測定等)を行うことができる。特に、レバー部が自己変位型のレバーであるので、レバー部の変位を測定するにあたって、光てこ方式等の一般的な方法を採用する必要がない。従って、変位測定機構の構成を簡略化することができると共に、カンチレバーを利用して各種の測定をスピーディで簡便に行うことができる。
また、歪抵抗を抵抗体として動作させることができる。つまり、発熱によりレバー部を変形させる役割と、レバー部の変位を測定する役割という2つの役割を歪抵抗に兼用させることができる。そのため、カンチレバーの構成を簡略化することができるうえ、カンチレバーの製造に費やすコストを低減することができる。
さらに、レバー部の加振とレバー部の測定とを時間差を空けて交互に行うので、それぞれの作動を安定且つ確実に行うことができる。特に、時間差Sが、(Q値/共振周波数)以下に設定されているので、レバー部を極端に減衰させることなく再度加振させることができる。従って、レバー部を共振させた状態に確実に維持することができる。
ところで、電圧印加部は、上述したようにルート回路によって平方根演算された電圧信号に応じた電圧を、上記式のVに相当する印加電圧としている。そのため、見かけ上、入力する電圧に比例するようにレバー部を変形させることができる。従って、熱膨張を利用してカンチレバーを変形させる場合であっても、従来と同じ感覚で電圧調整を行うことができる。よって、扱い易くなり、操作性をより向上することができる。
ここで、歪抵抗は、レバー部の変位とは別に温度変化によっても抵抗値が変化してしまう。しかしながら、変位測定機構は、温度補償用レファレンス電極側の歪抵抗に流れる電流値を参照しているので、温度変化による不要な抵抗値変化分をキャンセルすることができ、温度影響をなくすことができる。よって、カンチレバーを利用して、より高精度に各種の測定を行うことができる。
以下、本発明に係る第1実施形態を、図1から図5を参照して説明する。なお、本実施形態では、カンチレバー2を備えたカンチレバーシステム9を走査型プローブ顕微鏡1に適用した場合を例に挙げて説明する。また、レバー部10cを加振させ、光てこ方式で該レバー部10cの振動状態の変位を検出すると共に、試料S側を3次元方向に移動させる試料スキャン方式を例にして説明する。
また、レバー部10cと本体部10bとの接合部であるレバー部10cの基端側には、開口10dが形成されており、レバー部10cが基端側でより屈曲して撓み易くなっている。なお、この開口10dの数は、1つに限定されるものではなく、自由に形成して構わないし、形成しなくても構わない。
また、電圧印加部3には、図1に示すように、入力された電圧信号(レバー部10cを変形させたい量に比例した信号)V0を平方根演算するルート回路3aが組み込まれており、演算後の電圧信号に応じた電圧を上記加振電圧V1として印加するようになっている。
これらXYスキャナ25及びZスキャナ26は、例えば、ピエゾ素子等の圧電素子であり、ドライブ回路27から電圧を印加されると、その電圧印加量及び極性に応じて、試料表面S1に平行なXY方向及び試料表面S1に垂直なZ方向にそれぞれ微小移動するようになっている。即ち、これらXYスキャナ25、Zスキャナ26及びドライブ回路27は、探針10aと試料表面S1とを、XY方向及びZ方向の3方向に対して相対的に移動させる上記移動機構5として機能する。
即ち、これらZ電圧フィードバック回路36及び制御部37は、走査時に、探針10aと試料表面S1との距離を、レバー部10cの振動状態が一定となるように移動機構5を制御すると共に、測定データを取得する上記制御機構7として機能する。なお制御部37は、上述した各構成品を総合的に制御している。
まず始めに、カンチレバー2をカンチレバーホルダ22に固定して、該カンチレバー2を試料Sに対して対向配置させる設定工程を行う。これにより、レバー部10cの先端の探針10aと、ステージ4上に載置された試料Sとが対向した状態となる。
次いで、レバー部10cの反射面に確実にレーザ光Lが入射するように、また、反射したレーザ光Lが光検出部33に確実に入射するように、光照射部31及び光検出部33の位置や、レバー部10cの取付状態等を調整するアライメント作業を行う。
この電圧印加により、2つの外部接続端子12aに電気接続された発熱抵抗体11は発熱する。すると、この発熱によって発熱抵抗体11の周辺が局所的に熱膨張するので、レバー部10cが変形する。しかも、加振電圧V1が交流電圧なので、変形が周期的に繰り返される。その結果、レバー部10cは、振動した状態となる。
しかしながら、本実施形態では、ルート回路3aによって平方根演算した電圧信号に応じた電圧を上記式のVに相当する加振電圧V1としている。そのため、見かけ上、入力した電圧に比例するように振動振幅を変化させることができる。従って、熱膨張を利用してレバー部10cを振動させる場合であっても、従来と同じ感覚で振動調整を行うことができる。よって、扱い易くなり、操作性に優れている。また、交流電圧である加振電圧の周波数を調整するだけで、レバー部10cを共振周波数で確実に振動させることができるので、加振工程時での設定が容易である。
また、発熱抵抗体11としては、できるだけ熱膨張係数の大きい材料で形成することが好ましい。
しかも、レバー部10cの両面のうち、探針が形成されている一方の面側にのみ熱膨張部38を形成している。そのため、レバー部10cは、一方の面側が発熱の影響により大きく伸縮して積極的に変位する。従って、この点においてもレバー部10cを効率よく変形させて振動させることができる。
なお、加振電圧V1として、図5に示すように、共振周波数fと略等しい周波数で、且つ、正電圧領域又は負電圧領域で周期するように振幅中心ラインL1が電圧中心ラインL2からオフセットされた交流電圧を用いても構わない。なお、図5では、正電圧領域で周期するようにオフセットした場合を図示している。また、図5では、若干周期が遅れた状態で、共振周波数fを図示している。
特に、交流電圧の周波数をオフセット調整するだけで、レバー部10cを共振周波数で容易且つ確実に振動させることができるので、設定が容易である。よって、加振電圧V1として、このような交流電圧であっても好ましい。
次に、本発明に係る第2実施形態を、図6から図10を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、光てこ方式によりレバー部10cの振動状態を測定したが、第2実施形態では自己検知方式によりレバー部10cの振動状態を測定する点である。
本実施形態の場合には、測定工程を行うにあたって、変位測定部48によって検出電圧V2を印加し、該歪抵抗41に流れる電流値をモニタしておく。そして、この状態で試料Sの走査を行う。すると、探針10aと試料Sとの間に働く原子間力の作用によりレバー部10cの振動状態が変位するので、その変位量に応じて歪抵抗41の抵抗値が変化する。よって、歪抵抗41に流れる電流値が変化する。すると増幅回路45は、この電流変化に応じた出力信号を差分測定部46に出力する。
その結果、検出されたレバー部10cの振動状態の変位が一定となるように高さ制御しながらカンチレバー42を走査させることができ、試料SをDFM測定することができる。
この温度補償用レファレンス電極50は、例えばレバー部10cに隣接した状態で本体部10bに片持ち支持されている。但し、カンチレバー42と一体的に温度補償用レファレンス電極50を形成する必要はなく、カンチレバー42とは関係なく単独のレバーで構成しても構わない。但し、一体的に形成することで、レバー部10cのより近傍に温度補償用レファレンス電極50を配置できるので好ましい。
そして、レバー部10c側の2つの外部接続端子44aと、温度補償用レファレンス電極50側の2つの外部接続端子44aとには、増幅回路45に代えてホイートストンブリッジ回路51が接続されている。このホイートストンブリッジ回路51は、2つの歪抵抗41に流れる電流値を比較して差分を算出し、算出した差分の電流値に応じた出力信号を増幅した後、差分測定部46に出力するようになっている。つまり、この場合の変位測定部48は、差分した電流値の変化に基づいて、レバー部10cの振動状態の変位を測定するようになっている。
また、温度補償用レファレンス電極50とレバー部10cとの厚みが同じ場合には、温度補償用レファレンス電極50の長さをレバー部10cよりも短くすると良い。但し、極端に短くしてしまうと、熱的な特性に差が出てしまうので、レバー部10cの長さの1/5〜4/5の間に収まる長さにすると良い。
特に、発熱抵抗体11だけで、レバー部10cを振動させる役割と、レバー部10cの振動状態を測定する役割と、いう2つの役割を兼用できるので、カンチレバーの構成を簡略化することができるうえ、カンチレバーの作製に費やす部品コストを低減することができる。
また、同時ではなく、加振工程と測定工程とを、時間差を空けて交互に行っても構わない。この場合には、レバー部10cの加振と、レバー部10cの振動状態の測定とを交互に行えるので、それぞれの作動を安定且つ確実に制御し易い。
即ち、S≦q/f(S:時間差、q:Q値、f:共振周波数)を満たすように設定すると良い。こうすることで、レバー部10cを極端に減衰させることなく、再度加振させることができる。従って、レバー部10cを共振させた状態に確実に維持することができる。
更には、複数本のレバー部10cが本体部10bに片持ち状態に支持されたマルチタイプのカンチレバーを採用し、使用するレバー部10cだけを強制的に試料S側に撓ませて測定に使用しても構わないし、使用するレバー部10c以外のものを強制的に試料Sから離間するように撓ませるようにすることも可能である。このように、熱膨張を利用することで、従来にはない多様な使い方を行うことができる。
例えば、物質を吸着させて、その吸着量から物質の微小な重量を測定する質量センサにカンチレバーシステム9を適用しても構わない。また、試料の弾性を計測する弾性計測装置に適用しても構わないし、試料等を把持する等の各種の取り扱いを行うことができるマニピュレーション装置に適用しても構わない。また、このような各種装置にカンチレバーシステム9を適用する場合には、レバー部10cの先端に探針10aが形成されていないカンチレバーを採用しても構わない。つまり、本発明に係るカンチレバーは、探針が必須な構成ではない。
次に、実際に抵抗体に周期的に電圧を印加して、レバー部を共振周波数付近の周波数で振動させた場合の実施例について以下に説明する。
初めに、従来から一般的に用いられている圧電素子を利用した加振源を用いてカンチレバーのレバー部を加振させ、そのときに測定したQカーブ(共振特性を示すカーブ)を図11に示す。なお、測定周波数の下限は1kHz、上限は100kHzに設定した。その結果、図11に示すように、39.485kHzにピークトップを確認することができた。しかしながら、これと同時にレバー部以外の振動(副次振動)の影響によってQカーブが乱れてしまっていることも確認することができた。この原因としては、加振源の振動がカンチレバー以外の周辺構造物に伝わってしまい、これらを振動させたことが原因とされる。その結果、カンチレバーの振動特性に影響を与えてしまい、理想的なQカーブを得ることができなかった。
その結果、図12に示すように、レバー部の共振周波数(39.485kHz)の略1/2倍の周波数である19.743kHzで大きな振幅を確認することができた。このことから、図3で説明したように、レバー部の共振周波数の略1/2倍の周波数の交流電圧を抵抗体に印加することで、レバー部を共振周波数で振動させることができる点を実際に確認することができた。
その結果、図13に示すように、レバー部の共振周波数(39.485kHz)と略等しい周波数である39.500kHzで大きな振幅を確認することができた。このことから、図5で説明したように、周波数をオフセット調整しながらレバー部の共振周波数付近の周波数で交流電圧を印加することで、レバー部を共振周波数で振動させることができる点を実際に確認することができた。
特に、図12及び図13のいずれの場合であっても、図11に示す場合とは異なり、副次振動がない非常にきれいな(共振特性に忠実な)カーブを得ることができた。これは、加振源を用いた場合とは異なり、抵抗体の熱膨張を利用しているので、周辺構造物を振動させることなくレバー部だけを直接的に振動させることができた為である。このように、従来にはない、格別な効果を奏することを実際に確認することができた。
L2…電圧中心ライン
S…試料
S1…試料表面
1、40…走査型プローブ顕微鏡
2、42…カンチレバー
3…電圧印加部
3a…ルート回路
4…ステージ
5…移動機構
6…変位測定機構
7…制御機構
9…カンチレバーシステム
10a…探針
10b…本体部
10c…レバー部
11…発熱抵抗体(抵抗体)
38…熱膨張部
41…歪抵抗
48…変位測定部
50…温度補償用レファレンス電極
51…ホイートストンブリッジ回路
Claims (11)
- 基端側が本体部に支持されたレバー部と、該レバー部に形成され、電圧の印加によって発熱し、該発熱による熱膨張によって該レバー部を変形させ、該変形によってのみ前記レバー部を振動させる抵抗体と、を備えるカンチレバーと、
前記抵抗体に対して電圧を印加する電圧印加部と、
前記レバー部の変位を測定する変位測定機構と、を備え、
前記レバー部は、
変位量に応じて抵抗値が変化する歪抵抗を有する、自己変位検出型のレバーであり、
前記変位測定機構は、
前記歪抵抗に流れる電流値の変化に基づいて前記レバー部の変位を測定し、
前記電圧印加部は、
前記歪抵抗に電圧を印加して発熱させ、該歪抵抗を前記抵抗体として動作させると共に、
(1)前記レバー部が共振周波数付近の周波数で、且つ、正電圧領域又は負電圧領域で周期するように、振幅中心ラインが電圧中心ラインからオフセットされた交流電圧を周期的に印加、又は、
(2)前記レバー部が共振周波数の略1/2倍の周波数で、且つ、正電圧領域と負電圧領域とで周期するように設定された交流電圧を周期的に印加し、
前記電圧印加部と前記変位測定機構とを、下記式を満たす時間差を空けて交互に作動させることを特徴とするカンチレバーシステム。
S≦q/f (S:時間差、q:Q値、f:カンチレバーの共振周波数) - 請求項1に記載のカンチレバーシステムにおいて、
前記レバー部の一部に該レバー部よりも熱膨張係数が大きい素材による熱膨張部が前記抵抗体の近傍に形成されていることを特徴とするカンチレバーシステム。 - 請求項2に記載のカンチレバーシステムにおいて、
前記熱膨張部は、前記レバー部の両面のうち一方の面側に形成されていることを特徴とするカンチレバーシステム。 - 請求項2に記載のカンチレバーシステムにおいて、
前記熱膨張部は、絶縁性物質であることを特徴とするカンチレバーシステム。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のカンチレバーシステムにおいて、
前記電圧印加部は、電圧値を平方根演算するルート回路を有し、変形させたい量に比例した電圧信号をルート回路にて変換した後、前記抵抗体に印加することを特徴とするカンチレバーシステム。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のカンチレバーシステムにおいて、
前記電圧印加部は、前記電圧を、放熱又は熱伝導の遅れによる前記抵抗体の温度低下を補うように増加させた後に、抵抗体に印加することを特徴とするカンチレバーシステム。 - 請求項1に記載のカンチレバーシステムにおいて、
前記変位測定機構は、前記電圧印加部が前記歪抵抗に印加した電圧とそれによって発生する電流とに基づく歪抵抗の抵抗値変化を検出して、前記レバー部の変位を測定することを特徴とするカンチレバーシステム。 - 請求項1に記載のカンチレバーシステムにおいて、
前記カンチレバーは、前記歪抵抗が組み込まれた温度補償用レファレンス電極を有し、
前記変位測定機構が、2つの前記歪抵抗にそれぞれ流れる電流値の差に基づいて、前記レバー部の変位を測定することを特徴とするカンチレバーシステム。 - 請求項8に記載のカンチレバーシステムにおいて、
前記変位測定機構は、ホイートストンブリッジ回路又は差動増幅回路を利用して2つの前記歪抵抗にそれぞれ流れる電流値の差を検出することを特徴とするカンチレバーシステム。 - 請求項1に記載のカンチレバーシステムにおいて、
前記カンチレバーを複数有し、
これら複数のカンチレバーは、前記レバー部の先端にそれぞれ試料に対向配置される探針を有し、
前記電圧印加部は、複数の前記カンチレバーのうち任意に選択した1本以上のカンチレバーに形成された前記抵抗体に電圧を印加して発熱させ、前記探針を前記試料に対して強制的に接触又は離間させることを特徴とするカンチレバーシステム。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載のカンチレバーシステムを備えていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008152127A JP5187839B2 (ja) | 2008-06-10 | 2008-06-10 | カンチレバーシステム及び走査型プローブ顕微鏡 |
US12/455,556 US8214915B2 (en) | 2008-06-10 | 2009-06-03 | Cantilever, cantilever system, scanning probe microscope, mass sensor apparatus, viscoelasticity measuring instrument, manipulation apparatus, displacement determination method of cantilever, vibration method of cantilever and deformation method of cantilever |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008152127A JP5187839B2 (ja) | 2008-06-10 | 2008-06-10 | カンチレバーシステム及び走査型プローブ顕微鏡 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009300116A JP2009300116A (ja) | 2009-12-24 |
JP2009300116A5 JP2009300116A5 (ja) | 2011-06-16 |
JP5187839B2 true JP5187839B2 (ja) | 2013-04-24 |
Family
ID=41547188
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008152127A Active JP5187839B2 (ja) | 2008-06-10 | 2008-06-10 | カンチレバーシステム及び走査型プローブ顕微鏡 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US8214915B2 (ja) |
JP (1) | JP5187839B2 (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7958563B2 (en) * | 2006-07-04 | 2011-06-07 | Consejo Superior De Investigaciones Cientificas | Method for using an atomic force microscope |
JP5226481B2 (ja) * | 2008-11-27 | 2013-07-03 | 株式会社日立ハイテクサイエンス | 自己変位検出型カンチレバーおよび走査型プローブ顕微鏡 |
JP5461917B2 (ja) * | 2009-08-12 | 2014-04-02 | 株式会社日立ハイテクサイエンス | 軟化点測定装置および熱伝導測定装置 |
US8869310B2 (en) * | 2010-03-19 | 2014-10-21 | Bruker Nano, Inc. | Low drift scanning probe microscope |
EP2428804B1 (en) * | 2010-09-14 | 2015-01-14 | Consiglio Nazionale Delle Ricerche | A method for driving a scanning probe microscope at elevated scan frequencies |
US8384020B2 (en) * | 2010-09-24 | 2013-02-26 | Ut-Battelle, Llc | Spatially resolved thermal desorption/ionization coupled with mass spectrometry |
TWI439695B (zh) * | 2011-07-12 | 2014-06-01 | Univ Nat Cheng Kung | 熱探針 |
GB201313725D0 (en) * | 2013-07-31 | 2013-09-11 | Salunda Ltd | Fluid sensor |
US20170023611A1 (en) * | 2014-02-17 | 2017-01-26 | Universität Basel | Atomic force microscope measuring device |
US10094724B2 (en) * | 2014-03-13 | 2018-10-09 | Seiko Instruments Inc. | Pressure sensor |
JP7048964B2 (ja) * | 2018-03-26 | 2022-04-06 | 株式会社日立ハイテクサイエンス | 走査型プローブ顕微鏡及びその走査方法 |
KR102240875B1 (ko) * | 2021-01-26 | 2021-04-16 | 에스케이씨 주식회사 | 무선충전 장치 및 이를 포함하는 이동 수단 |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4671058A (en) * | 1983-11-21 | 1987-06-09 | Nippondenso Co., Ltd. | Heating device |
US5822285A (en) * | 1997-03-31 | 1998-10-13 | International Business Machines Corporation | Atomic force microscopy disk data storage system with nonradial tracking lines |
US6126311A (en) * | 1998-11-02 | 2000-10-03 | Claud S. Gordon Company | Dew point sensor using mems |
JP2000329681A (ja) * | 1999-03-16 | 2000-11-30 | Seiko Instruments Inc | 自己励振、自己検知型プローブ及び走査型プローブ装置 |
JP2000266657A (ja) * | 1999-03-16 | 2000-09-29 | Seiko Instruments Inc | 自己励振型カンチレバー |
US6457360B1 (en) * | 2001-02-21 | 2002-10-01 | Conel Ltd. | High-precision integrated semiconductor peizoresistive detector devices and methods using the same |
US6642129B2 (en) * | 2001-07-26 | 2003-11-04 | The Board Of Trustees Of The University Of Illinois | Parallel, individually addressable probes for nanolithography |
JP2004306197A (ja) * | 2003-04-08 | 2004-11-04 | Kansai Tlo Kk | マルチプローブ及びこれを用いた微細加工方法 |
WO2004100362A2 (en) * | 2003-05-09 | 2004-11-18 | Technion Research & Development Foundation Ltd. | Thermoelastically actuated microresonator |
US7928343B2 (en) * | 2007-12-04 | 2011-04-19 | The Board Of Trustees Of The University Of Illinois | Microcantilever heater-thermometer with integrated temperature-compensated strain sensor |
-
2008
- 2008-06-10 JP JP2008152127A patent/JP5187839B2/ja active Active
-
2009
- 2009-06-03 US US12/455,556 patent/US8214915B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009300116A (ja) | 2009-12-24 |
US8214915B2 (en) | 2012-07-03 |
US20100107284A1 (en) | 2010-04-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5187839B2 (ja) | カンチレバーシステム及び走査型プローブ顕微鏡 | |
US8220318B2 (en) | Fast microscale actuators for probe microscopy | |
US7395698B2 (en) | Three-dimensional nanoscale metrology using FIRAT probe | |
US7107825B2 (en) | Method and apparatus for the actuation of the cantilever of a probe-based instrument | |
US7441447B2 (en) | Methods of imaging in probe microscopy | |
US5723775A (en) | Atomic force microscope under high speed feedback control | |
JP3892198B2 (ja) | マイクロプローブおよび試料表面測定装置 | |
JP2006258429A (ja) | 走査型プローブ顕微鏡 | |
JP4688643B2 (ja) | 加振型カンチレバーホルダ及び走査型プローブ顕微鏡 | |
US20080011065A1 (en) | Thermal mechanical drive actuator, thermal probe and method of thermally driving a probe | |
US20060260388A1 (en) | Probe and method for a scanning probe microscope | |
JP2008522187A (ja) | プローブ顕微鏡用スキャナー | |
JP2006105979A (ja) | 原子間力顕微鏡 | |
JP5340119B2 (ja) | 走査型プローブ顕微鏡における探針とサンプルの近接方法 | |
US20130312142A1 (en) | System and method for high-speed atomic force microscopy | |
EP3111239A1 (en) | Method and apparatus to compensate for deflection artifacts in an atomic force microscope | |
JP5164743B2 (ja) | カンチレバー、カンチレバーシステム及びプローブ顕微鏡並びに吸着質量センサ | |
JP4900594B2 (ja) | 試料操作装置 | |
JP4344850B2 (ja) | マイクロ材料試験装置 | |
JP2004163390A (ja) | 非接触式表面測定装置及びその測定方法 | |
JPH06258072A (ja) | 圧電体薄膜評価装置、原子間力顕微鏡 | |
JP4895379B2 (ja) | レバー加振機構及び走査型プローブ顕微鏡 | |
JP2005227139A (ja) | 原子間力顕微鏡用カンチレバー | |
JPH06323845A (ja) | 走査型力顕微鏡用薄膜式力検出プローブ | |
JP2009053017A (ja) | 走査プローブ顕微鏡及びこれを用いた局所的電気特性測定方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110422 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110422 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120614 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120619 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120810 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20120904 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121130 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20121210 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130108 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130117 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160201 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5187839 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |