JP5187788B2 - 複素バンドパスδσad変調器及びデジタル無線受信機 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、例えば無線通信システム等で用いられる複素バンドパスΔΣAD変調器及びそれを備えたデジタル無線受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば携帯電話や無線LAN(Local Area Network)等の無線通信システムのRF(Radio Frequency)受信機において、Low−IF(Low-Intermediate Frequency)方式がしばしば適用される。そして、近年、このようなLow−IF方式の受信機に対して、バンドパスΔΣAD(Delta Sigma Analog to Digital)変調器の適用が検討されている。
【0003】
Low−IF方式の受信機へのバンドパスΔΣAD変調器の適用例の一つとしては、2つの実バンドパスΔΣAD変調器(1入力1出力)を用いる手法が挙げられる。この手法では、実バンドパスΔΣAD変調器で入力信号の信号成分だけでなくイメージ成分もAD変換を行う。そのため、この手法では消費電力が大きくなり、非効率であるという問題がある。
【0004】
上記問題を解決する手法として、2入力2出力の複素バンドパスΔΣAD変調器をLow−IF方式の受信機に適用することが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。複素バンドパスΔΣAD変調器は、DC領域(直流領域)に対して非対称のスペクトル特性を得られるように伝達関数が設計されており、信号成分のみをAD変換する。そのため、複素バンドパスΔΣAD変調器を用いた場合には、低消費電力で高いSQNDR(Signal to Quantization Noise and Distortion Ratio)が得られ、効率の良いAD変換を実現することができる。
【0005】
ここで、一般的な複素バンドパスΔΣAD変調器の構成及び特性を、図面を参照しながら説明する。図14及び15に、複素バンドパスΔΣAD変調器の概略回路構成を示す。なお、図14は、複素バンドパスΔΣAD変調器の信号フロー図である。また、図15は、複素バンドパスΔΣAD変調器の構成をより具体的に示した図である。
【0006】
複素バンドパスΔΣAD変調器300は、図14に示すように、主に、減算部310、複素バンドパスフィルタ320、アナログデジタル変換部330(以下、ADC(Analog to Digital Converter)部という)及びデジタルアナログ変換器340(以下、DAC(Digital to Analog Converter)部という)で構成される。なお、複素バンドパスフィルタ320は、通常、オペアンプを含む積分回路を多段接続して構成される。各部の接続関係は次の通りである。
【0007】
減算部310の入力端子は、外部から入力される入力複素信号X(z)(以下、単に、入力信号X(z)という)の入力端子(不図示)及びDAC部340の出力端子に接続され、減算部310の出力端子は、複素バンドパスフィルタ320の入力端子に接続される。複素バンドパスフィルタ320の出力端子は、ADC部330の入力端子に接続される。そして、ADC部330の出力端子は、出力信号Y(z)の出力端子(不図示)及びDAC部340の入力端子に接続される。
【0008】
また、複素バンドパスΔΣAD変調器300内の回路は、図15に示すように、入力信号X(z)の同相成分Iinが処理される経路301(以下、I経路という)と、直交成分Qinが処理される経路302(以下、Q経路という)とに分離される。それゆえ、減算部310は、I経路301及びQ経路302にそれぞれ配置された2つの減算器311及び312で構成される。また、ADC部330は、I経路301及びQ経路302にそれぞれ配置された2つのAD変換器(量子化器)331及び332で構成される。さらに、DAC部340もまた、I経路301及びQ経路302にそれぞれ配置された2つのDA変換器341及び342で構成される。
【0009】
複素バンドパスΔΣAD変調器300には、同相成分Iin及び直交成分Qinからなる複素形式の信号X(z)(=Iin+jQin:jは虚数)が入力され、同相成分Iout及び直交成分Qoutからなる複素形式の信号Y(z)(=Iout+jQout)が出力される。なお、図14中のX(z)及びY(z)は、それぞれ連続した入力及び出力信号をz変換したものであり、変数zは、下記式で表される。
【0010】
【数1】
【0011】
ただし、上記式1中のTsはサンプリング周期であり、Fsはサンプリング周波数であり、そして、Finは入力信号周波数である。
【0012】
いま、複素バンドパスフィルタ320の伝達関数をH(z)とし、ADC部330の量子化ノイズをE(z)=EI+jEQとすると、出力信号Y(z)は、次式で与えられる。
【0013】
【数2】
【0014】
上記式2中の右辺第2項の係数1/{1+H(z)}は量子化ノイズE(z)に対する伝達関数であり、ノイズ伝達関数NTF(Noise Transfer Function)と呼ばれる。複素バンドパスΔΣAD変調器300は、ノイズ伝達関数NTF(z)の零点(NTF(z)=0になるzの解)が入力信号の信号成分の周波数帯域内で生成されるように、すなわち、量子化ノイズE(z)が信号成分の周波数帯域で減衰するように設計される。なお、このように、量子化ノイズE(z)が所望の周波数帯域で減衰するようにノイズ伝達関数NTF(z)を調整(設計)する技術は、ノイズシェープ技術と呼ばれる。
【0015】
例えば、信号成分の周波数帯域(以下、信号帯域という)をFin/Fs=0.25付近とし、この帯域で量子化ノイズE(z)が減衰するようにノイズシェープするためには、ノイズ伝達関数がNTF(z)=(1−jz−1)Nとなるように、すなわち、ノイズ伝達関数NTF(z)の零点がz=j(Fin/Fs=0.25に対応、上記式1参照)となるように設計される。なお、Nは変調器の次数であり、1以上の整数である。
【0016】
このように設計された複素バンドパスΔΣAD変調器300の出力パワースペクトルの一例を図16に示す。なお、図16の横軸は入力信号周波数Finをサンプリング周波数Fsで規格化した周波数であり、縦軸は複素バンドパスΔΣAD変調器300の出力パワーのレベルである。また、図16には、Fin/Fs=0.5〜−0.5の範囲のスペクトル特性を示す。図16から明らかなように、上述のように複素バンドパスΔΣAD変調器300を設計することにより、Fin/Fs=0.25付近(信号帯域)でノイズが低減される。
【0017】
なお、図14に示す構成以外の複素バンドパスΔΣAD変調器としては、従来、例えばフィードフォワード型の複素バンドパスΔΣAD変調器が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。図17に、フィードフォワード型の複素バンドパスΔΣAD変調器の概略構成を示す。なお、図17において、図14に示す複素バンドパスΔΣAD変調器300と同じ構成には同じ符号を付して示す。このタイプでは、複素バンドパスフィルタ420とADC部330との間に加算部430を設け、複素バンドパスΔΣAD変調器400の入力信号X(z)と複素バンドパスフィルタ420の出力信号とが加算部430で加算される。このような構成の複素バンドパスΔΣAD変調器400においても、複素バンドパスフィルタ420の伝達関数H(z)を適宜設計することにより、図16と同様の出力パワースペクトルが得られる。
【0018】
さらに、従来、ノイズ結合型の複素バンドパスΔΣAD変調器も提案されている(例えば、非特許文献2及び3参照)。図18に、ノイズ結合型の複素バンドパスΔΣAD変調器の概略構成を示す。なお、図18において、図14に示す複素バンドパスΔΣAD変調器300と同じ構成には同じ符号を付して示す。ノイズ結合型の複素バンドパスΔΣAD変調器500は、ADC部330の量子化ノイズを抽出し、その抽出した量子化ノイズをADC部330の入力側にフィードバックする(加算部530に入力する)ノイズ抽出回路部540を備える。ただし、抽出した量子化ノイズを加算部530に入力する際には、その信号を反転させて入力する。このタイプの複素バンドパスΔΣAD変調器500では、複素バンドパスフィルタ520内の積分回路の段数(オペアンプの数)を増やすことなく、信号帯域における変調器の次数を増加させることができ、低消費電力でより高次のAD変換が可能になる。
【0019】
しかしながら、上述した種々の複素バンドパスΔΣAD変調器の実際の回路では、回路中の容量のばらつき等が存在し、これにより入力信号の同相成分Iinを処理するI経路と、直交成分Qinを処理するQ経路との間にミスマッチ(信号間の振幅または位相のずれ)が発生する。I及びQ経路間にミスマッチが生じると、周波数応答の複素共役を引き起こし、所望の信号帯域にイメージ成分の量子化ノイズが発生する(回り込む)。その結果、信号帯域でのSQNDRが低下するという問題が生じる。ここで、この問題をより具体的に説明する。
【0020】
図19に、I及びQ経路間にミスマッチが存在する際の複素バンドパスΔΣAD変調器の等価回路図を示す。なお、図19の例は、図15に示す複素バンドパスΔΣAD変調器において、I及びQ経路間にミスマッチが存在する場合の例である。また、図19において、図15に示す複素バンドパスΔΣAD変調器300と同じ構成には同じ符号を付して示す。
【0021】
ここでは、同相成分の信号振幅がミスマッチ量αの分だけ所定の振幅より大きく、直交成分の信号振幅がミスマッチ量αの分だけ所定の振幅より小さい場合を考える。このミスマッチは、図19中のI及びQ経路にそれぞれ設けられた積算ブロック351及び352により表される。この場合、出力信号Y(z)=Iout+jQoutは、次式で与えられる。
【0022】
【数3】
【0023】
I及びQ経路間にミスマッチが存在する場合、出力信号Y(z)を表す上記式3の右辺には、入力信号のイメージ成分(Iin−jQin)の項と、量子化ノイズのイメージ成分(EI−jEQ)の項が現れる。これらのイメージ成分が信号帯域に回り込み、信号成分のSQNDRを低下させる。この様子を示したのが、図20である。
【0024】
図20は、I及びQ経路間にミスマッチが存在する場合における複素バンドパスΔΣAD変調器の出力パワースペクトルの一例である。なお、図20の横軸は規格化周波数Fin/Fsであり、縦軸は出力パワーレベルである。また、図20の例では、複素バンドパスΔΣAD変調器のノイズ伝達関数がNTF(z)=(1−jz−1)Nとなるように設計されている。それゆえ、図20に示す規格化周波数Fin/Fs=0.5〜−0.5の範囲では、信号帯域は、図16の例と同様に、Fin/Fs=0.25付近となり、イメージ成分の周波数帯域(以下、イメージ帯域という)は、Fin/Fs=−0.25付近となる。
【0025】
図20から明らかなように、I及びQ経路間にミスマッチが存在する場合、イメージ帯域(Fin/Fs=−0.25付近)では、ノイズレベルが増大する。その結果、信号帯域(Fin/Fs=0.25付近)のノイズレベルも増大し、信号帯域のSQNDRが低下する。
【0026】
上述したI及びQ経路間のミスマッチの問題を解消するため、従来、ノイズ伝達関数NTF(z)の零点が、信号帯域だけでなく、イメージ帯域においても生成されるように複素バンドパスΔΣAD変調器を構成する手法が提案されている(例えば、非特許文献4参照)。具体的には、非特許文献4では、イメージ帯域に零点(減衰極)を生成するための積分回路(オペアンプを含む)を、複素バンドパスΔΣAD変調器内に別途設けて上記問題を解決している。
【0027】
図21に、非特許文献4で提案されている複素バンドパスΔΣAD変調器のノイズ伝達関数NTF(z)のゲイン特性を示す。なお、図21の横軸は規格化周波数であり、縦軸はノイズ伝達関数NTF(z)のゲインである。また、図21の例では、信号帯域の規格化周波数が0.5付近であり、イメージ帯域が−0.5付近である。
【0028】
非特許文献4の複素バンドパスΔΣAD変調器では、ノイズ伝達関数NTF(z)の零点を信号帯域だけでなくイメージ帯域においても生成するので、そのノイズ伝達関数NTF(z)のゲイン特性には、図21に示すように、規格化周波数±0.5で減衰極(ノッチ)が生成される。この場合、I及びQ経路間にミスマッチが存在しても、イメージ成分が低減され、信号帯域のSQNDRの低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】
特許第3970266号
【特許文献2】
特許第3992287号
【特許文献3】
特開2006−13705号公報
【特許文献4】
特開2006−352455号公報
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】
K. W. Martin:“Complex Signal Processing is Not Complex”,IEEE Trans. on Circuits Syst. I,vol.51,no.9,pp.1823-1836,Sep. 2004
【非特許文献2】
傘 昊,小林春夫:「複素ノイズ結合型バンドパスΔΣAD変調器」,電子情報通信学会総合大会,基礎・境界講演論文集,A−1−9,2008年
【非特許文献3】
傘 昊,小林春夫:「ノイズ結合型複素バンドパスΔΣAD変調器」,第21回 回路とシステム 軽井沢ワークショップ論文集,第75−80頁,2008年
【非特許文献4】
S. Jantzi, et al.:“Quadrature bandpass ΔΣ modulator for digital radio”,IEEE Journal of Solid-State Circuits,vol.32,pp.1935-1949,Dec. 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
上述したように、複素バンドパスΔΣAD変調器のI及びQ経路間のミスマッチの問題を解消するために、非特許文献4では、イメージ帯域に減衰極を生成するためのオペアンプを含む積分回路をさらに設ける。しかしながら、この手法では、能動的な回路素子であるオペアンプを増やすことになるので、複素バンドパスΔΣAD変調器の回路規模が大きく且つ複雑になり、消費電力も増大するという問題が生じる。
【0032】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、より簡易な構成で且つ低消費電力で、I及びQ経路間のミスマッチの問題を解消できる複素バンドパスΔΣAD変調器及びそれを備えるデジタル無線受信機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記問題を解決するために、本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器は、アナログデジタル変換部と、デジタルアナログ変換部と、減算部と、複素バンドパスフィルタと、ノイズ抽出回路部と、加算部とを備える構成とし、各部の機能及び構成は次のようにする。アナログデジタル変換部は、アナログの複素信号をデジタルの複素信号に変換する。デジタルアナログ変換部は、アナログデジタル変換部から出力される複素信号をアナログの複素信号に変換する。減算部は、外部から入力される入力複素信号から、デジタルアナログ変換部から出力される複素信号を減算する。複素バンドパスフィルタは、減算部から出力される複素信号に対して所定の周波数帯域の信号成分を通過させる。ノイズ抽出回路部は、アナログデジタル変換部に入力される複素信号及びデジタルアナログ変換部から出力される複素信号に基づいてアナログデジタル変換部の量子化ノイズ信号を抽出し、該抽出した量子化ノイズ信号を1サンプル時間遅延し、該遅延した信号を所定角度で位相回転させ、且つ、該位相回転した信号をアナログデジタル変換部の入力側にフィードバックする。そして、加算部は、入力複素信号、複素バンドパスフィルタから出力される複素信号、及び、ノイズ抽出回路部から出力される複素信号を加算し、該加算した信号をアナログデジタル変換部に出力する。また、本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器では、ノイズ伝達関数の零点が所定の周波数帯域、及び、そのイメージ帯域に生成される。
[0034]
また、本発明のデジタル無線受信機は、上述した本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器と、複素バンドパスΔΣAD変調器の出力信号に対して所定のデシメーション処理を行うデシメーション回路部とを備える構成とする。
[0035]
本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器では、ノイズ抽出回路部は、抽出した量子化ノイズ信号を、1サンプル時間遅延し且つ所定角度だけ位相回転させて、アナログデジタル変換部の入力側にフィードバックする。このように構成することにより、ノイズ伝達関数NTF(z)において、信号帯域だけでなくイメージ帯域にも零点を生成することができる。また、上述のような機能を有するノイズ抽出回路部は、複数のキャパシタ及びスイッチにより構成することができる。すなわち、本発明では、イメージ帯域に減衰極を生成するために、従来のようにオペアンプのような能動的な回路素子を含む積分回路を用いる必要がなくなる。
[発明の効果]
[0036]
本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器では、受動的な回路素子により構成可能なノイズ抽出回路部を設けることにより、そのスペクトル特性において、信号帯域だけでなくイメージ帯域にも減衰極を生成することができる。それゆえ、本発明によれば、より簡易な構成で且つ低消費電力でI及びQ経路間のミスマッチの問題を解消することができ、効率よく且つ高精度のAD変換が可能になる。
【図面の簡単な説明】
[0037]
[図1]図1は、本発明の一実施形態に係る複素バンドパスΔΣAD変調器の信号フロー図である。
[図2]図2は、本発明の一実施形態に係る複素バンドパスΔΣAD変調器の概略ブロック回路図である。
[図3]図3は、本発明の一実施形態に係る複素バンドパスΔΣAD変調器の一例を示す概略ブロック回路図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る複素バンドパスΔΣAD変調器の実現回路の一例を示すブロック回路図である。
【図5】図5は、I経路のノイズ加算ブロックの実現回路の一例を示す回路構成図である。
【図6】図6は、Q経路のノイズ抽出ブロックの実現回路の一例を示す回路構成図である。
【図7】図7は、図5及び6の実現回路に用いられるクロック信号の波形図である。
【図8】図8は、本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器によりI及びQ経路間のミスマッチの問題を解消できる原理を説明するための図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に係る複素バンドパスΔΣAD変調器のノイズ伝達関数のゲイン特性の模式図である。
【図10】図10は、比較例の複素バンドパスΔΣAD変調器の出力パワースペクトル特性である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に係る複素バンドパスΔΣAD変調器の出力パワースペクトル特性である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態及び比較例の複素バンドパスΔΣAD変調器のSQNDR−OSR特性である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に係るデジタル無線受信機の一例を示す概略構成図である。
【図14】図14は、従来の複素バンドパスΔΣAD変調器の信号フロー図である。
【図15】図15は、従来の複素バンドパスΔΣAD変調器の概略ブロック回路図である。
【図16】図16は、従来の複素バンドパスΔΣAD変調器における出力パワースペクトル特性の一例である。
【図17】図17は、従来のフィードフォワード型の複素バンドパスΔΣAD変調器の信号フロー図である。
【図18】図18は、従来のノイズ結合型の複素バンドパスΔΣAD変調器の信号フロー図である。
【図19】図19は、I及びQ経路間にミスマッチが存在する場合の複素バンドパスΔΣAD変調器の等価ブロック回路図である。
【図20】図20は、I及びQ経路間にミスマッチが存在する場合の複素バンドパスΔΣAD変調器の出力パワースペクトルの一例である。
【図21】図21は、従来の複素バンドパスΔΣAD変調器におけるノイズ伝達関数のゲイン特性の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明の実施形態に係る複素バンドパスΔΣAD変調器及びそれを備えるデジタル無線受信機の例を、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
[複素バンドパスΔΣAD変調器の概略構成]
まず、本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器の一実施形態例の構成を図1〜3を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器の概略構成及び信号フローを示す図である。図2は、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器の回路ブロック構成を示す図である。また、図3は、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器の回路構成をさらに具体化した図である。なお、図3では、複素バンドパスフィルタ30を2段の積分回路で構成した例を示す。ただし、図1〜3において、同じ構成には、同じ符号を付して示す。
【0040】
また、本実施形態では、規格化周波数Fin/Fs=0〜1の範囲において、信号帯域がFin/Fs=0.25付近である場合を説明する。なお、この場合、イメージ帯域はFin/Fs=0.75付近となる。また、複素バンドパスΔΣAD変調器10内の回路構成は、従来と同様に、入力信号X(z)(入力複素信号)の同相成分信号Iinを処理するI経路11、及び、直交成分信号Qinを処理するQ経路12に分離される(図2及び3を参照)。
【0041】
複素バンドパスΔΣAD変調器10は、図1に示すように、主に、減算部20、複素バンドパスフィルタ30、加算部40、ノイズ抽出回路部50、ADC部60(アナログデジタル変換部)及びDAC部70(デジタルアナログ回路部)で構成される。各部の接続関係は次の通りである。
【0042】
減算部20の入力端子は、入力信号X(z)の入力端子(不図示)及びDAC部70の出力端子に接続され、減算部20の出力端子は、複素バンドパスフィルタ30の入力端子に接続される。加算部40の入力端子は、減算部20の入力端子、複素バンドパスフィルタ30の出力端子及びノイズ抽出回路部50の出力端子に接続され、加算部40の出力端子は、ADC部60の入力端子に接続される。ノイズ抽出回路部50は2つの入力端子を有し、その一方はDAC部70の出力端子に接続され、他方の入力端子はADC部60の入力端子に接続される。また、ADC部60の出力端子は、出力信号Y(z)の出力端子(不図示)及びDAC部70の入力端子に接続される。
【0043】
図1と図17との比較から明らかなように、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10は、従来のフィードフォワード型の複素バンドパスΔΣAD変調器400にノイズ抽出回路部50をさらに設けた構造を有する。そして、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10は、ノイズ抽出回路部50で抽出した量子化ノイズをADC部60の入力側にフィードバックする構造(エラーフィードバック構造)を有する。すなわち、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10は、ノイズ結合型の変調器であり、ノイズ結合型時間インタリーブΔΣAD変調器を拡張した変調器である。以下、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10の各部の機能及び構成を図1〜3を参照しながらより詳細に説明する。
【0044】
減算部20は、図1に示すように、外部から複素バンドパスΔΣAD変調器10に入力される複素形式の信号X(z)(=Iin+jQin)からDAC部70の出力信号B(z)を減算する。また、減算部20は、図2に示すように、I経路11及びQ経路12にそれぞれ設けられた減算器21及び22を備える。I経路11の減算器21は、入力信号X(z)の同相成分Iinから後述するI経路11のデジタルアナログ変換器71(DACI)の出力信号を減算して、その減算信号を出力する。一方、Q経路12の減算器22は、入力信号X(z)の直交成分Qinから後述するQ経路12のデジタルアナログ変換器72(DACQ)の出力信号を減算して、その減算信号を出力する。
【0045】
複素バンドパスフィルタ30は、オペアンプを含む積分回路を備え、その積分回路を1段以上接続して構成される。この際、複素バンドパスフィルタ30の伝達関数H(z)は、信号帯域(Fin/Fs=0.25付近)で量子化ノイズE(z)が減衰するように、すなわち、複素バンドパスΔΣAD変調器10のノイズ伝達関数NTF(z)の零点が信号帯域で生成されるように設計される。より具体的には、本実施形態では、ノイズ抽出回路部50を備えない場合の複素バンドパスΔΣAD変調器10のノイズ伝達関数NTF(z)が下記式で表わされるように、複素バンドパスフィルタ30を構成する。
【0046】
【数4】
【0047】
なお、上記式4中のNは、積分回路の段数(信号帯域における変調器の次数)である。上記式4では、ノイズ伝達関数NTF(z)はz=jで零になり、z=jの零点は規格化周波数Fin/Fs=0.25に対応する(上記式1参照)。
【0048】
ここで、例えば、複素バンドパスフィルタ30を2段の積分回路で構成した場合の例を簡単に説明する。この場合、複素バンドパスフィルタ30は、図3に示すように、主に、1段目の積分回路31と、その後段に接続された2段目の積分回路32と、積分回路32に後段のI経路11及びQ経路12にそれぞれ設けられた加算ブロック33及び34と、I経路11及びQ経路12にそれぞれ設けられた2倍の積算ブロック35及び36とで構成される。
【0049】
各積分回路は、加算ブロックとその後段に直列接続された遅延ブロックとで構成され、遅延ブロックの出力信号を加算ブロックにフィードバックする構造になっている。なお、このような積分回路は、オペアンプ(能動的な回路素子)等を用いて実現される。また、I経路11及びQ経路12にそれぞれ設けられた2倍の積算ブロック35及び36は、2次の変調器特性を設計するために設けられたものであり、これらの積算ブロックの係数は、変調器の設計要素(次数、零点等)に応じて適宜変更される。
【0050】
加算部40は、図1に示すように、入力信号X(z)、複素バンドパスフィルタ30の出力信号、及び、ノイズ抽出回路部50の出力信号を加算して出力する。また、加算部40は、図2に示すように、I経路11及びQ経路12にそれぞれ設けられた加算器41及び42(第1及び第2加算部)を備える。I経路11の加算器41は、入力信号X(z)の同相成分Iin、複素バンドパスフィルタ30のI経路11の出力信号、及び、後述するQ経路12のノイズ抽出回路52の出力信号の反転信号を加算して出力する。一方、Q経路12の加算器42は、入力信号X(z)の直交成分Qin、複素バンドパスフィルタ30のQ経路12の出力信号、及び、後述するI経路11のノイズ抽出回路51の出力信号を加算して出力する。
【0051】
ノイズ抽出回路部50は、入力されるADC部60の入力信号A(z)及びDAC部70の出力信号B(z)に基づいて、ADC部60の量子化ノイズE(z)(=EI+jEQ:図1中のC(z))を抽出する。具体的には、ADC部60の入力信号A(z)=Y(z)−E(z)であり、DAC部70の出力信号B(z)=Y(z)であるので、DAC部70の出力信号B(z)からADC部60の入力信号A(z)を差し引くこと(B(z)−A(z))によりADC部60の量子化ノイズE(z)(=C(z))を抽出する。図1中のノイズ抽出回路部50内の減算ブロック50aが、この抽出動作を表している。
【0052】
また、ノイズ抽出回路部50は、抽出した量子化ノイズE(z)を1サンプル時間(Ts)遅延し、その遅延信号をπ/2だけ位相回転させる。そして、ノイズ抽出回路部50は、1サンプル遅延及び位相回転させた量子化ノイズ信号E′(z)を加算部40に出力する。図1中のノイズ抽出回路部50内のjz−1ブロック50bが、この遅延及び位相回転の動作を表している。ノイズ抽出回路部50のより具体的な構成及び動作は、次の通りである。
【0053】
ノイズ抽出回路部50は、図2に示すように、I経路11及びQ経路12にそれぞれ設けられたノイズ抽出回路51及び52(第1及び第2ノイズ抽出回路)を備える。なお、ノイズ抽出回路51は、機能的には、減算ブロック51a及び遅延ブロック51bを備え、ノイズ抽出回路52は、減算ブロック52a及び遅延ブロック52bを備える。
【0054】
I経路11のノイズ抽出回路51は、減算ブロック51aにより、後述するI経路11のデジタルアナログ変換器71の出力信号IbからI経路11のアナログデジタル変換器61の入力信号Iaを差し引いて(Ib−Ia)、量子化ノイズE(z)の同相成分EI(=Ic)を抽出する。次いで、ノイズ抽出回路51は、抽出信号Icを、遅延ブロック51bで1サンプル時間遅延し、その遅延した信号をQ経路12の加算器42に出力する。
【0055】
一方、Q経路12のノイズ抽出回路52は、減算ブロック52aにより、後述するQ経路12のデジタルアナログ変換器72の出力信号QbからQ経路12のアナログデジタル変換器62の入力信号Qaを差し引いて(Qb−Qa)、量子化ノイズE(z)の直交成分EQ(=Qc)を抽出する。次いで、ノイズ抽出回路52は、抽出信号Qcを、遅延ブロック52bで1サンプル時間遅延する。そして、ノイズ抽出回路52は、遅延ブロック52bで遅延した信号を反転してI経路11の加算器41に出力する。
【0056】
すなわち、本実施形態では、ノイズ抽出回路部50内で抽出した量子化ノイズ信号を1サンプル時間遅延した後、加算部40に入力する際に、I経路11及びQ経路12のノイズ抽出回路51及び52から出力される量子化ノイズの同相成分EI及び直交成分EQを、図2に示すように、それぞれQ経路12及びI経路11の加算器42及び41に交差させて入力する。そして、量子化ノイズの直交成分EQをI経路11の加算器41に入力する際には、その信号の反転信号を入力する。本実施形態では、このようにして、ノイズ抽出回路部50内のjz−1ブロック50bの要素「j」の機能を実現する。ここで、上記構成により、jz−1ブロック50bの要素「j」の機能が実現できる原理について簡単に説明する。
【0057】
ノイズ抽出回路部50内では、上述のようにjz−1ブロック50bにより、抽出した量子化ノイズE(z)に対して1サンプル遅延及び90度位相回転を行う。量子化ノイズE(z)に対して90度位相回転を行うことは、量子化ノイズE(z)に虚数「j」を掛け合わせることと等価であるので、ノイズ抽出回路部50の出力信号E′(z)=j(EI+jEQ)=−EQ+jEIとなる。この場合、ノイズ抽出回路部50の出力信号E′(z)の同相成分は−EQとなり、直交成分はEIとなる。それゆえ、I経路11及びQ経路12のノイズ抽出回路51及び52の出力信号をそれぞれ他方の経路の加算器に交差させて入力する際には、上述のように、Q経路12のノイズ抽出回路52から出力される量子化ノイズの直交成分EQを反転させてI経路11の加算器41に入力する。
【0058】
本実施形態では、ノイズ抽出回路部を上述のような構成にすることにより、ノイズ伝達関数NTF(z)において、信号帯域だけでなくイメージ帯域にも零点を生成することができる。この原理については、後で詳述する。なお、上述したノイズ抽出回路部50で抽出した量子化ノイズをADC部60に再注入する手法は、低次のループフィルタを用いて高次のノイズシェープを与えるカスケード(またはMASH:Multistage Noise Shaping)スキームと類似している。
【0059】
また、ADC部60(内部ADC)は、図1に示すように、入力されたアナログ信号A(z)を量子化してデジタル信号(Y(z))に変換し、出力する。この際、ADC部60は、出力信号Y(z)を複素バンドパスΔΣAD変調器10の後段に配置された処理回路に出力するとともに、DAC部70にも出力する。
【0060】
また、ADC部60は、図2に示すように、I経路11及びQ経路12にそれぞれ設けられたアナログデジタル変換器(量子化器)61及び62(以下、それぞれADCI61及びADCQ62という)を備える。ADCI61(第1のアナログデジタル変換部)は、入力されたアナログ信号Iaをデジタル信号Ioutに変換して出力する。一方、ADCQ62(第2のアナログデジタル変換部)は、入力されたアナログ信号Qaをデジタル信号Qoutに変換して出力する。
【0061】
なお、ADCI61及びADCQ62は、ともに例えばマルチビット量子化器(マルチビットAD変換器)で構成することができる。この場合、次のような効果が得られる。ADC部60をマルチビット量子化器で構成した場合には、量子化ノイズはビジーノイズ(白色雑音)と仮定することができるので、ADC部60に再注入される量子化ノイズは、ADC部60の出力スペクトルに現れるトーンや高調波歪み成分を低減するディザ信号として作用する。したがって、ADCI61及びADCQ62にマルチビットの量子化器を用いることにより、フィードバック前後の2つの量子化ノイズをADC部60で結合させても、変調器全体の安定性が維持される。
【0062】
DAC部70(内部DAC)は、図1に示すように、入力されたデジタル信号(Y(z))をアナログ信号B(z)に変換して、そのアナログ信号B(z)を減算部20及びノイズ抽出回路部50にフィードバックする。
【0063】
また、DAC部70は、図2に示すように、I経路11及びQ経路12にそれぞれ設けられたデジタルアナログ変換器71及び72(以下、それぞれDACI71及びDACQ72という)を備える。DACI71(第1のデジタルアナログ変換部)は、入力されたデジタル信号Ioutをアナログ信号Ibに変換して出力する。一方、DACQ72(第2のデジタルアナログ変換部)は、入力されたデジタル信号Qoutをデジタル信号Qbに変換して出力する。
【0064】
なお、DACI71及びDACQ72は、ともに例えばマルチビットDA変換器で構成することができる。DACI71及びDACQ72にマルチビットDA変換器を用いることにより変調器全体の安定性が維持される。ただし、マルチビットDA変換器は非線形性を有するので、変調器のSQNDRを低下させる場合がある。この場合には、マルチビットDA変換器の非線形性による性能劣化を軽減するための複素DWA(Data Weighted Averaging)アルゴリズムの処理回路をDAC部70内に設ければよい。
【0065】
[複素バンドパスΔΣAD変調器の実現回路]
次に、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10の実現回路の一例について説明する。図4に、複素バンドパスΔΣAD変調器10の実現回路の概略構成ブロック図を示す。なお、図4に示す構成例は、図3に示す複素バンドパスΔΣAD変調器10の実現回路の一例である。
【0066】
図3に示す複素バンドパスΔΣAD変調器10を実際の回路で実現する際には、図3中の複素バンドパスフィルタ30内の最も出力側に位置する加算ブロック33及び34は、それぞれ加算部40の加算器41及び42と一つにまとめて構成される。図4中の破線で囲まれた回路ブロック75及び76(以下、それぞれノイズ加算ブロック75及び76という)が、それらに対応する回路部である。
【0067】
また、図3に示す複素バンドパスΔΣAD変調器10を実際の回路で実現する際には、図3中の複素バンドパスフィルタ30内の最も入力側に位置する加算ブロック31a及び31bは、それぞれ減算部20の減算器21及び22と一つにまとめられて構成される。図4中の減算ブロック73及び74が、それらに対応する回路部である。
【0068】
さらに、図3に示す複素バンドパスΔΣAD変調器10を実際の回路で実現する際には、デジタルアナログ変換部(DAC部)は、2つのDAC部に分けて構成される。一方のDAC部は、減算部20にフィードバックする複素バンドパスΔΣAD変調器10の出力信号をDA変換し、他方のDAC部は、ノイズ抽出回路部50にフィードバックする複素バンドパスΔΣAD変調器10の出力信号をDA変換する。
【0069】
具体的には、I経路11のDACI71は、図4に示すように、I経路11の減算ブロック73に接続された第1DACI71a(DACI1)と、I経路11のノイズ抽出回路51内の減算ブロック51aに接続された第2DACI71b(DACI2)とで構成される。一方、Q経路12のDACQ72は、Q経路12の減算ブロック74に接続された第1DACQ72a(DACQ1)と、Q経路12のノイズ抽出回路52内の減算ブロック52aに接続された第2DACQ72b(DACQ2)とで構成される。
【0070】
また、以下では、図4中のI経路11の第2DACI71b、並びに、ノイズ抽出回路51内の減算ブロック51a及び遅延ブロック51bを含む回路ブロック77(図4中の一点鎖線で囲まれた回路ブロック)をI経路11のノイズ抽出ブロック77という。さらに、Q経路12の第2DACQ72b、並びに、ノイズ抽出回路52内の減算ブロック52a及び遅延ブロック52bを含む回路ブロック78(図4中の点線で囲まれた回路ブロック)をQ経路12のノイズ抽出ブロック78という。
【0071】
ここで、図5及び6に、I経路11のノイズ加算ブロック75、及び、Q経路12のノイズ抽出ブロック78の実現回路の一例をそれぞれ示す。なお、Q経路12のノイズ加算ブロック76の実現回路は、I経路11のノイズ加算ブロック75と同様にして構成することができ、I経路11のノイズ抽出ブロック77の実現回路は、Q経路12のノイズ抽出ブロック78と同様にして構成することができる。ただし、ノイズ加算ブロック及びノイズ抽出ブロックの実現回路は図5及び6に示す構成例に限定されず、他の回路構成も可能である。それらは用途、回路規模等を考慮して適宜設計される。また、ノイズ加算ブロック及びノイズ抽出ブロック以外の回路ブロックの実現回路は、従来のフィードフォワード型の複素バンドパスΔΣAD変調器と同様に構成することができる。
【0072】
ノイズ加算ブロック75は、図5に示すように、第1クロック信号clk1で開閉制御される4つのスイッチ81〜84と、第2クロック信号clk2で開閉制御される5つのスイッチ85〜89と、容量Cの3つのキャパシタ90〜92と、容量2Cのキャパシタと、差動オペアンプ94とで構成される。そして、これらの回路素子は、各回路素子が所定の機能を果たすように、図5に示すような形態で適宜接続される。
【0073】
ノイズ加算ブロック75内の各スイッチの動作タイミングを制御する第1クロック信号clk1及び第2クロック信号clk2の信号は、周期がサンプリング周期Tsのクロック信号である。そして、第1クロック信号clk1及び第2クロック信号clk2間の位相差は180度である。図7に、第1クロック信号clk1及び第2クロック信号clk2の信号波形を示す。なお、ADCI61は、図5に示すように、第1クロック信号clk1で駆動制御される。
【0074】
また、ノイズ加算ブロック75に入力される信号I1、I2及びI3は、それぞれ、入力信号の同相成分Iin、複素バンドパスフィルタ30内のI経路11の積算ブロック35の出力信号、及び、複素バンドパスフィルタ30内の2段目の積分回路32のI経路11の出力信号である(図4参照)。なお、図5中のVcmは参照電圧である。また、図5の例ではADCI61からIout +及びIout −の2つの信号が出力されるが、これは、複素バンドパスΔΣAD変調器10内の全ての回路が差動回路で動作するためである。なお、ADCI61の出力信号Iout +及びIout −間の位相差は180度である(反転している)。
【0075】
ノイズ抽出ブロック78は、図6に示すように、第3クロック信号clk3で開閉制御される4つのスイッチ101〜104と、第4クロック信号clk4で開閉制御される4つのスイッチ105〜108とを備える。また、ノイズ抽出ブロック78は、Q経路12のADCQ62の出力信号Qout +により開閉制御される2つのスイッチ111,113と、ADCQ62の出力信号Qout −により開閉制御される2つのスイッチ112,114と、容量Cの2つのキャパシタ115,116とを備える。そして、これらの回路素子は、各回路素子が所定の機能を果たすように、図6に示すような形態で適宜接続される。なお、図6中の一点鎖線で囲まれた領域の回路部はDA変換を行う部分、すなわち、第2DACQ72bの機能を果たす回路部である。
【0076】
ノイズ抽出ブロック78の内の各スイッチの動作タイミングを制御する第3クロック信号clk3及び第4クロック信号clk4の信号は、周期がサンプリング周期2Tsのクロック信号である。そして、第3クロック信号clk3及び第4クロック信号clk4間の位相差は180度である。図7に、第3クロック信号clk3及び第4クロック信号clk4の信号波形を示す。また、ADCQ62の出力信号Qout +及びQout −間の位相差は180度である。
【0077】
また、ノイズ抽出ブロック78に入力される信号SoQは、Q経路12のADCQ62の入力信号であり、ノイズ抽出ブロック78から出力される信号SiIは、図5中の差動オペアンプ94の「−」端子に入力される。なお、図6中のVcm、Vrefm及びVrefpは参照電圧である。
【0078】
本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10では、図6に示すように、受動的な回路素子である複数のスイッチ及び複数のキャパシタを用いてノイズ抽出回路部50を実現することができる。
【0079】
[イメージ成分の抑制原理]
次に、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10において、I及びQ経路間にミスマッチが存在してもイメージ成分を抑制できる原理について説明する。
【0080】
図1に示す複素バンドパスΔΣAD変調器10において、入力信号X(z)(=Iin+jQin)、出力信号Y(z)(=Iout+jQout)及びADC部60の量子化ノイズ信号E(z)(EI+jEQ)の関係は、次式で与えられる。
【0081】
【数5】
【0082】
上記式5中のNTF(z)は、ノイズ抽出回路部50を備えない場合の複素バンドパスΔΣAD変調器10のノイズ伝達関数である。ここで、複素バンドパスフィルタ30が、N段(N≧1)の積分回路で構成されており、ノイズ伝達関数NTF(z)の零点が信号帯域(z=j)で生成されるように構成されているものとすると、NTF(z)は下記式で表される。
【0083】
【数6】
【0084】
それゆえ、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10全体のノイズ伝達関数NTF′(z)は、下記式で表される。
【0085】
【数7】
【0086】
上記式7から、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10は、ノイズ抽出回路部50を設けることにより実質、N+1次の変調器となることが分かる。また、上記式7から、本実施形態では、ノイズ伝達関数NTF′(z)は、z=jだけなく、z=−jにおいても零となることが分かる。すなわち、図1に示す複素バンドパスΔΣAD変調器10の構成では、量子化ノイズ信号E(z)に対してz=±jで零点が生成される。その様子を図8に示す。
【0087】
図8は、規格化周波数Fin/Fsが変化した際の変数z(=exp{j2π(Fin/Fs)})の軌跡を現したものである。変数zの軌跡は、半径1の円(図8中の太実線)を描き、上記式7で示されるノイズ伝達関数NTF′(z)では、図8中の丸印の位置で零点になる。なお、変数zの軌跡1周分が規格化周波数Fin/Fs=0〜1に対応しており、z=1、j、−1及び−jの点がそれぞれFin/Fs=0(または1)、0.25、0.5及び0.75に対応する。すなわち、本実施形態では、Fin/Fs=0.25及び0.75でノイズ伝達関数NTF′(z)が零になる。それゆえ、本実施形態では、ノイズ伝達関数のスペクトル特性において、信号帯域となるFin/Fs=0.25付近及びイメージ帯域となるFin/Fs=0.75付近でそれぞれ減衰極(ノッチ)が生成される。その様子を図9に示す。
【0088】
図9は、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10におけるノイズ伝達関数NTF′(z)のゲイン特性の模式図であり、横軸は規格化周波数Fin/Fsであり、縦軸はゲインである。図9に示すように、本実施形態では、ノイズ抽出回路部50を設けることにより、信号帯域となるFin/Fs=0.25付近及びイメージ帯域となるFin/Fs=0.75付近でそれぞれ減衰極が生成され、非特許文献4で得られるノイズ伝達関数のゲイン特性(図21参照)と同様の特性が得られる。すなわち、本実施形態では、ノイズ抽出回路部50で抽出した量子化ノイズをADC部60に再注入する構造にすることにより、信号帯域だけでなく、イメージ帯域においても量子化ノイズが抑制できるようにノイズ伝達関数をノイズシェープすることができる。それゆえ、本実施形態では、I及びQ経路間にミスマッチが存在してもイメージ成分を抑制することができる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10では、ノイズ抽出回路部50を設けることにより、ノイズ伝達関数のスペクトル特性において信号帯域だけでなくイメージ帯域にも減衰極を生成することができる。これにより、本実施形態では、I及びQ経路間にミスマッチが存在してもイメージ成分の信号成分への影響を抑制することができる。その結果、信号帯域でのSQNDRの低下を抑制することができ、効率よく且つ高精度のAD変換が可能になる。
【0090】
また、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10では、イメージ帯域に減衰極を生成するために設けるノイズ抽出回路部50を、受動的な回路素子であるキャパシタ及びスイッチで構成することができる。すなわち、本実施形態では、イメージ帯域に減衰極を生成するために、非特許文献4のようにオペアンプを含む積分回路を用いる必要がない。それゆえ、本実施形態では、従来に比べて簡易な構成で且つ低消費電力で複素バンドパスΔΣAD変調器10を駆動することができる。
【0091】
[シミュレーション評価]
上述した本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10の有効性をシミュレーション解析により評価した。具体的には、I及びQ経路のミスマッチ量を3%とした場合における複素バンドパスΔΣAD変調器10の出力スペクトルをシミュレーションで算出した。なお、このシミュレーション解析は、複素バンドパスフィルタ30を2段の積分回路で構成した場合(図3の構成)について実施した。また、比較のため、ノイズ抽出回路部50を備えない複素バンドパスΔΣAD変調器、すなわち、従来のフィードフォワード型複素バンドパスΔΣAD変調器400(比較例:図17参照)についても同様のシミュレーション解析を行った。なお、比較例の複素バンドパスΔΣAD変調器400の構成は、ノイズ抽出回路部50を備えないこと以外は、実施形態と同様にした。
【0092】
図10及び11に、シミュレーション解析の結果を示す。図10は、比較例の複素バンドパスΔΣAD変調器400の出力パワースペクトルであり、図11は、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10の出力パワースペクトルである。なお、図10及び11の横軸は規格化周波数(Fin/Fs)であり、縦軸は出力パワーのレベルである。
【0093】
比較例の複素バンドパスΔΣAD変調器400の出力パワースペクトル(図10)では、イメージ帯域(Fin/Fs=0.75付近)においてノイズレベルが若干増大する。その結果、信号帯域(Fin/Fs=0.25付近)でノイズレベルが十分減衰されない。
【0094】
一方、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10の出力パワースペクトル(図11)では、イメージ帯域(Fin/Fs=0.75付近)で減衰極(ノッチ)が形成され、イメージ帯域でのノイズレベルが十分抑制されている。その結果、信号帯域(Fin/Fs=0.25付近)でのノイズレベルが、比較例に比べて十分減衰されている。
【0095】
図10及び11の結果から、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10のようにノイズ抽出回路部50を設けることにより、I及びQ経路間のミスマッチにより生じるイメージ成分の信号成分への影響を抑制することができ、信号帯域でのSQNDRの劣化を防止することができることが分かる。
【0096】
また、本実施形態では、上述した出力パワースペクトルから信号帯域のSQNDRとオーバーサンプリング比(OSR)との関係を求めた。まお、比較のため、比較例の複素バンドパスΔΣAD変調器400についても同様に、SQNDRとOSRとの関係を求めた。図12に、その評価結果を示す。図12の横軸はOSRであり、縦軸はSQNDRである。また、図12中のプラス印の特性が本実施形態の特性であり、白抜き逆三角印の特性が比較例の特性である。
【0097】
図12から明らかなように、比較例の複素バンドパスΔΣAD変調器400では、OSRが増加すると、SQNDRは飽和する。一方、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10では、OSRが増加に伴いSQNDRは飽和せず、約15dB/Octの割合でSQDNRが増大する。これは、2次のΔΣAD変調器の特性を示している。この図12の結果からもまた、本実施形態では、I及びQ経路間のミスマッチにより生じるイメージ成分の信号成分への影響が十分抑制されていることが分かる。
【0098】
なお、本実施形態では、上述のように、ノイズ抽出回路部50を設けることにより変調器全体の次数は2次から3次に増大しているが、ノイズ抽出回路部50が主に作用する周波数帯域はイメージ帯域である。すなわち、本実施形態では、信号帯域に作用する変調器の実質的な次数は複素バンドパスフィルタ30による2次である。それゆえ、本実施形態の複素バンドパスΔΣAD変調器10の特性は、図12に示すように、2次の変調器と同等の特性となる。
【0099】
上記本実施形態では、規格化周波数Fin/Fs=0〜1の範囲において、信号帯域がFin/Fs=0.25付近であり、イメージ帯域がFin/Fs=0.75付近である場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。信号帯域がFin/Fs=0.25付近以外であってもよい。この場合には、複素バンドパスΔΣAD変調器のノイズ伝達関数NTF′(z)の零点が、例えば、信号成分に対してはz=c+jd(c及びdは係数)、イメージ成分に対してはz=c−jdとなるように複素バンドパスΔΣAD変調器内の複素バンドパスフィルタ30及びノイズ抽出回路部50等の構成を設計すればよい。
【0100】
より具体的には、信号成分に対しては、ノイズ伝達関数NTF′(z)の零点がz=c+jdとなるように、複素バンドパスフィルタ30の伝達関数H(z)を設計すればよい。一方、イメージ成分に対しては、ノイズ伝達関数NTF′(z)の零点がz=c−jdとなるように、ノイズ抽出回路50を、例えば、抽出した量子化ノイズを1サンプル遅延した後、z空間におけるz=c−jdの位置に対応する所定角度で、遅延した信号を位相回転させるような構成にすればよい。
【0101】
[デジタル無線受信機への適用例]
上述のように、本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器は回路構成が簡易であり、低消費電力で高精度のAD変調が可能であるので、無線通信システムで使用される様々なデジタル無線受信機に適用可能である。その一例を図13に示す。
【0102】
図13は、上述した本発明の複素ΔΣAD変調器を適用したデジタル無線受信機のブロック構成図である。デジタル無線受信機200は、主に、アンテナ201、高周波フロントエンド回路202、局部発振器203、π/2位相器204、2つの混合器205a,205b、中間周波数信号抽出回路206、AD変換回路207、及び、信号処理用デジタルシグナルプロセッサ(DSP)209で構成される。そして、AD変換回路207は、本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器10と、デシメーション回路208とで構成される。
【0103】
高周波フロントエンド回路202の入力端子はアンテナ201に接続され、アンテナ201で受信した無線信号は高周波フロントエンド回路202に入力される。高周波フロントエンド回路202は、入力された無線信号に対して低雑音高周波増幅などの処理を施し、その処理したアナログ信号を2つの混合器205a及び205bに出力する。
【0104】
局部発振器203は、混合器205a及びπ/2位相器204に接続される。そして、局部発振器203は、所定の周波数を有する局部発信信号を生成し、その信号を混合器205a及びπ/2位相器204に出力する。なお、π/2位相器204は、局部発振器203から入力された局部発信信号をπ/2だけ位相回転し、その信号を混合器205bに出力する。
【0105】
混合器205aの入力端子は、高周波フロントエンド回路202の出力端子及び局部発振器203の出力端子に接続されており、混合器205aは、高周波フロントエンド回路202のアナログ出力信号と局部発振器203から入力された局部発信信号とを混合する。また、混合器205aの出力端子は、中間周波数信号抽出回路206のI経路の入力端子に接続されており、混合器205aは混合したアナログI信号(入力信号の同相成分)を中間周波数信号抽出回路206のI経路に出力する。
【0106】
一方、混合器205bの入力端子は、高周波フロントエンド回路202の出力端子及びπ/2位相器204の出力端子に接続されており、混合器205bは、高周波フロントエンド回路202のアナログ出力信号とπ/2位相器204のアナログ出力信号(π/2だけ位相回転した局部発信信号)とを混合する。また、混合器205bの出力端子は、中間周波数信号抽出回路206のQ経路の入力端子に接続されており、混合器205bは混合したアナログQ信号(入力信号の直交成分)を中間周波数信号抽出回路206のQ経路に出力する。
【0107】
中間周波数信号抽出回路206は、図示しないが、主に、複素アンチエイリアスフィルタ(バンドパスフィルタ)と、中間周波数増幅器とで構成される。中間周波数信号抽出回路206は、混合器205a及び205bからそれぞれI及びQ経路に入力されたアナログI信号及びアナログQ信号の中間周波数成分を抽出し増幅する。そして、中間周波数信号抽出回路206は、I経路及びQ経路でそれぞれ上記処理が施されたアナログI信号及びアナログQ信号を、複素バンドパスΔΣAD変調器10のI経路及びQ経路の入力端子にそれぞれ出力する。
【0108】
複素バンドパスΔΣAD変調器10は、I経路及びQ経路に入力されたアナログI信号及びアナログQ信号を、それぞれ、デジタルI信号及びデジタルQ信号を変換する。そして、複素バンドパスΔΣAD変調器10は、変換したデジタルI信号及びデジタルQ信号をデシメーション回路208のI経路及びQ経路の入力端子にそれぞれ出力する。
【0109】
デシメーション回路208は、デジタルフィルタ回路で構成されており、複素バンドパスΔΣAD変調器10から入力されるデジタル中間周波数の信号に対して所定のデシメーション処理を行う。具体的には、デシメーション回路208は、例えば3ビットで20Mbpsのビットレートを有する低ビット高速レートのデジタル信号を、例えば12ビットで1kbpsのビットレートを有する高ビット低速レートのデジタル信号に変換する。そして、デシメーション回路208は、上記処理を施したデジタル信号を信号処理用DSP209に出力する。
【0110】
信号処理用DSP209は、デシメーション回路208から入力されたデジタル信号に対してクロック再生や復調等の所定の処理を行う。これにより、受信信号の復調データを得る。上述のように、図13のデジタル無線受信機200では、本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器を備えているので、より低消費電力で高精度に、データを復調することができる。
【0111】
なお、本発明の複素バンドパスΔΣAD変調器が適用可能な受信機は、図13の例に限定されず、様々な無線通信システムに使用される受信機に適用可能であり、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0112】
10…複素バンドパスΔΣAD変調器、20…減算部、21,22…減算器、30…複素バンドパスフィルタ、31,32…積分回路、40…加算部、41,42…加算器、50…ノイズ抽出回路部、51,52…ノイズ抽出回路、60…ADC部、61,62…アナログデジタル変換器(量子化器)、70…DAC部、71,72…デジタルアナログ変換器、200…デジタル無線受信機、208…デシメーション回路
Claims (5)
- アナログの複素信号をデジタルの複素信号に変換するアナログデジタル変換部と、
前記アナログデジタル変換部から出力される複素信号をアナログの複素信号に変換するデジタルアナログ変換部と、
外部から入力される入力複素信号から、前記デジタルアナログ変換部から出力される複素信号を減算する減算部と、
前記減算部から出力される複素信号に対して所定の周波数帯域の信号成分を通過させる複素バンドパスフィルタと、
前記アナログデジタル変換部に入力される複素信号及び前記デジタルアナログ変換部から出力される複素信号に基づいて前記アナログデジタル変換部の量子化ノイズ信号を抽出し、該抽出した量子化ノイズ信号を1サンプル時間遅延し、該遅延した信号を所定角度で位相回転させ、且つ、該位相回転した信号を前記アナログデジタル変換部の入力側にフィードバックするノイズ抽出回路部と、
前記入力複素信号、前記複素バンドパスフィルタから出力される複素信号、及び、前記ノイズ抽出回路部から出力される複素信号を加算し、該加算した信号を前記アナログデジタル変換部に出力する加算部と
を備え、
ノイズ伝達関数の零点が前記所定の周波数帯域、及び、そのイメージ帯域に生成される
複素バンドパスΔΣAD変調器。 - 前記所定の周波数帯域の中心周波数が、サンプリング周波数の1/4の周波数であり、前記位相回転の所定角度が、π/2である
請求項1に記載の複素バンドパスΔΣAD変調器。 - 前記加算部は、前記複素バンドパスフィルタから出力される複素信号の同相成分信号が入力される第1加算部と、前記複素信号の直交成分信号が入力される第2加算部とを有し、
前記アナログデジタル変換部は、前記第1加算部の出力信号が入力される第1のアナログデジタル変換部と、前記第2加算部の出力信号が入力される第2のアナログデジタル変換部とを有し、
前記デジタルアナログ変換器は、前記第1のアナログデジタル変換部の出力信号が入力される第1のデジタルアナログ変換器と、前記第2のアナログデジタル変換部の出力信号が入力される第2のデジタルアナログ変換器とを有し、
前記ノイズ抽出回路部は、前記第1のアナログデジタル変換部の入力信号及び前記第1のデジタルアナログ変換部の出力信号が入力される第1ノイズ抽出回路と、前記第2のアナログデジタル変換部の入力信号及び前記第2のデジタルアナログ変換部の出力信号が入力される第2ノイズ抽出回路とを有し、
前記第1ノイズ抽出回路の出力信号が前記第2加算部に入力され、前記第2ノイズ抽出回路の出力信号の反転信号が前記第1加算部に入力される
請求項2に記載の複素バンドパスΔΣAD変調器。 - 前記アナログデジタル変換部が、マルチビットのアナログデジタル変換器を有し、
前記デジタルアナログ変換部が、マルチビットのデジタルアナログ変換器を有する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の複素バンドパスΔΣAD変調器。 - アナログの複素信号をデジタルの複素信号に変換するアナログデジタル変換部と、前記アナログデジタル変換部から出力される複素信号をアナログの複素信号に変換するデジタルアナログ変換部と、外部から入力される入力複素信号から、前記デジタルアナログ変換部から出力される複素信号を減算する減算部と、前記減算部から出力される複素信号に対して所定の周波数帯域の信号成分を通過させる複素バンドパスフィルタと、前記アナログデジタル変換部に入力される複素信号及び前記デジタルアナログ変換部から出力される複素信号に基づいて前記アナログデジタル変換部の量子化ノイズ信号を抽出し、該抽出した量子化ノイズ信号を1サンプル時間遅延し、該遅延した信号を所定角度で位相回転させ、且つ、該位相回転した信号を前記アナログデジタル変換部の入力側にフィードバックするノイズ抽出回路部と、前記入力複素信号、前記複素バンドパスフィルタから出力される複素信号、及び、前記ノイズ抽出回路部から出力される複素信号を加算し、該加算した信号を前記アナログデジタル変換部に出力する加算部とを有し、ノイズ伝達関数の零点が前記所定の周波数帯域、及び、そのイメージ帯域に生成される複素バンドパスΔΣAD変調器と、
前記複素バンドパスΔΣAD変調器の出力信号に対して所定のデシメーション処理を行うデシメーション回路と
を備えるデジタル無線受信機。
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