JP5185788B2 - 空気導入装置 - Google Patents
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つまり、レイアウト等の都合上、ダクト本体の形状が分岐点の下流側で異なり、つまり、各分岐路の長さや流路形状等が異なり、ダクト本体における分岐点から各分岐路の下流端までの圧力損失が異なったとしても、これを考慮した上で、吸気路から各分岐路に向かう空気の各流路断面積が好適な割合となるように凸部を設けることにより、分岐点から各分岐路の下流端までの圧力損失を略同一にできる。
これにより、各分岐路を通流する空気の流量を略等しく、つまり、空気を吸気路から各分岐路に略均等流量で分配できる。したがって、バッテリモジュールの対向する面側からそれぞれ導入される空気の流量が略等しくなり、バッテリモジュール内の複数の単電池を好適に冷却し、バッテリモジュール内の温度分布を均一にできる。
すなわち、ファンの回転数が増加した場合、これに連動して、一方面側への空気の流量を増加させるので、ファンの熱によって一方面側の単電池が過昇温しにくくなる。
本実施形態に係る空気導入装置1が組み込まれた二次電池装置100について、図1を参照して説明する。二次電池装置100は、燃料電池スタック(図示しない)を備える燃料電池自動車(移動体)に搭載されており、燃料電池スタックをアシストするため、その充電電力を放電したり、走行モータ等からの回生電力や燃料電池スタックの余剰電力を充電する装置である。このような二次電池装置100は、バッテリモジュール110と、空気導入装置1とを備えている。
まず、バッテリモジュール110について、図1〜図4を参照して説明する。
バッテリモジュール110の外形は平形の直方体を呈しており、バッテリモジュール110は、リアシートの下方であって、フロアパネル下のセンタートンネル内に配置されている。このようなバッテリモジュール110は、後記する仮想的な中心面A1を中心とした略左右対称となっており(図3、図4参照)、複数の単電池111と、これを収容する電池ボックス120とを備えている。
各単電池111は、リチウムイオン型等の充放電可能な二次電池であって、充放電すると発熱する。そして、複数の単電池111は、バスバー(図示しない)によって直列で接続されている。
ただし、単電池111の外形は円柱状に限定されず、例えば角柱状(角型)でもよい。また、左右方向及び上下方向における単電池111の数は、これに限定されず適宜変更してよい。
電池ボックス120は、水や埃等から保護するため、複数の単電池111を収容する箱体であり、その外形は平形の直方体を呈している。そして、電池ボックス120は、2本の前後フレーム131及びこれに接合した3本のクロスメンバ132によって井桁状に構成されたサブフレーム130(図2参照)上に固定されている。
また、前後フレーム131、クロスメンバ132の下面には、アンダーカバー133が取り付けられている。そして、前後フレーム131、クロスメンバ132、アンダーカバー133、及び、後記する底パネル125で囲まれた空間が、電池ボックス120から排出された冷却後の空気の排出路134、134として機能している(図2、図3参照)。
すなわち、電池ボックス120を構成する側パネル122、122は、車幅方向において電池ボックス120(バッテリモジュール110)の両端部にそれぞれ配置されると共に、電池ボックス120(バッテリモジュール110)の対向する面(左側面、右側面)を構成している。そして、単電池111を冷却する空気が、この対向する側パネル122の空気導入孔122aから、電池ボックス120内に導入するようになっている。
なお、空気導出孔125a、125aは、前記した電池ボックス120の仮想的な中心面A1上に配置されており、燃料電池自動車の中心面A2から、右側にずれている(図3、図4参照)。
次に、空気導入装置1について説明する。
空気導入装置1は、図5〜図6に示すように、ダクト本体10と、ダクト本体10の分岐部分Dにスライド可能(移動可能)に設けられたスライド凸部21と、スライド凸部21をスライドさせるモータ41(駆動手段)と、空気を通流させる動力源であるファンユニット50と、温度センサ61(図3参照)と、これらを電子制御するECU70(Electronic Control Unit、制御手段、図3参照)と、を備えている。
ダクト本体10は、外部の空気を1つの吸気口11bから吸気し、この吸気した空気を分岐部分D(分岐点)で分岐し、この分岐した空気を電池ボックス120の左右の空気導入孔122aに導く、下流側が二股に分岐した管路であり、後方視において、略逆T字形を呈している。このようなダクト本体10は、吸気部11と、吸気部11の下流に形成され吸気された空気を分岐する2つの分岐部、詳細には、左分岐部12及び右分岐部13と、を備えている。
なお、吸気部11は、レイアウトの都合上、車幅方向におけるバッテリモジュール110中心面である前記した仮想的な中心面A1から右方にずれている(図4、図6参照)。
これにより、スライド凸部21が設けられてないダクト本体10のみでは、左分岐路12aを通流する空気が受ける圧力損失は、右分岐路13aを通流する空気が受ける圧力損失よりも、大きくなる。よって、ダクト本体10のみでは、分岐部分Dにおいて、圧力損失の小さい右分岐路13aに流入する空気の流量が、圧力損失の大きい左分岐路12aに流入する空気の流量よりも、多くなる。
スライド凸部21は、吸気路11aから左分岐路12aに向かう空気の流路断面積S3と、吸気路11aから右分岐路13aに向かう空気の流路断面積S4との大きさの割合を設定することにより(図7参照)、左分岐路12aを通流する空気の流量と、右分岐路13aを通流する空気の流量とを等しくするものである。つまり、スライド凸部21は、吸気路11aを通流する空気を、左分岐路12aと右分岐路13aとに、均等で分配するものである。
ここで、前記したように、左分岐路12aの圧力損失は、右分岐路13aの圧力損失よりも大きいので、「流路断面積S3>流路断面積S4(距離L3>距離L4)」に設定、つまり、スライド凸部21の初期位置は、吸気路11aの中心を通る軸線A3よりも、やや右方に設定される(図6、図7参照)。
また、左角部C1(左角面)は、スライド凸部21の頂点23と相対するダクト本体10の内壁面であって、空気が吸気路11aから左分岐路12aに向かう際に左に曲がる部分である。右角部C2(右角面)は、同じく頂点23と相対する内壁面であって、空気が吸気路11aから右分岐路13aに向かう際に右に曲がる部分である。
さらに、簡単に説明するため、ここでは、吸気路11a、左分岐路12a、及び、右分岐路13aの奥行き(前後方向における幅)が同一である場合を例示し、流路断面積S3、S4の比が、距離L3、L4の比に依存することとして説明する。
なお、スライド自在とするには、例えば、内壁面14に左右方向にスライド溝を形成し、このスライド溝に係合するスライド爪をスライド凸部21に設けるとよい。
なお、長孔15には、中央に連結棒24が貫通するスリット(図示しない)が形成されたシール部材(図示しない)が取り付けられており、バッテリモジュール110に導入されるべき空気が、長孔15を通って、外部に漏れないようになっている。
モータ41は、スライド凸部21をスライドさせる電動モータ(DCモータ等)であって、ブラケット(図示しない)を介して、ダクト本体10の下面に取り付けられている。そして、モータ41の出力軸にはピニオン42が取り付けられており、ピニオン42はラック26に係合している。
なお、モータ41及びスライドアーム25を下方から覆うように、カバー43が取り付けられており、このカバー43によって、モータ41等は水、埃等から保護されている。
ファンユニット50は、作動することで冷却風となる空気の流れを生じさせるものであり、ファン51と、ファンダクト52とを備えている。ファンダクト52は、排出路134、134からの空気を集合するものであり、電池ボックス120の左方において、サブフレーム130の上に固定されている(図2、図3参照)。ファン51は、ファンダクト52の左方であって、ファンダクト52の下流に配置されている。
温度センサ61、61は、左右に振り分けられた単電池111の温度(電池ボックス120内の温度)を検出する温度センサであり(図3参照)、中心面A1を中心として左右対称に配置されている。そして、温度センサ61、61は、検出した単電池111の温度をECU70に出力するようになっている。
ただし、温度センサ61の位置はこれに限定されず、例えば、電池ボックス120の外に温度センサ61を取り付け、検出される温度に基づいて、単電池111の温度や、電池ボックス120内の温度を推定する構成でもよい。
ECU70は、二次電池装置100を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、モータ41、ファン51等の機器を制御し、各種処理を実行するようになっている。
また、ECU70は、アクセル(図示しない)等から入力される発電要求量に従って、燃料電池スタック(図示しない)の出力(発電電力)を、燃料電池スタックの出力端子に接続された電力制御器により、制御する機能を備えている。
さらに、ECU70は、バッテリモジュール110の出力端子に接続された昇降圧コンバータ(図示しない)によって、バッテリモジュール110を放電したり、回生電力や燃料電池スタックの余剰電力を、バッテリモジュール110に充電する機能を備えている。
次に、このような二次電池装置100の作用効果を説明する。
左分岐路12a、右分岐路13aの圧力損失の差を考慮した上で、流路断面積S3、S4(距離L3、L4)を設定し、その分岐部分Dにスライド凸部21を設けるのみで、分岐部分Dから左分岐路12a又は右分岐路13aの下流端までの圧力損失を同一にできる。つまり、ダクト本体10の形状は変更せずに、圧力損失を同一にできる(図6、図7参照)。
次に、例えば、周辺環境の温度差により、左右の単電池111の温度がばらついた場合において、スライド凸部21を制御し、バッテリモジュール110内の温度分布を均一にする場合を説明する。
ECU70は、左右の温度センサ61、61から入力される左右の単電池111、113の温度がばらついている場合(例えば所定温度差ΔT以上ある場合)、高温の単電池111を冷却するために、この高温の単電池111が配置されている側(左側又は右側)への空気の流量を増加させるべく、モータ41を制御し、スライド凸部21を右側又は左側にスライドさせる。
次に、バッテリモジュール110への充電量又は放電量が増加し、充放電に伴い昇温する単電池111を冷却するべく、ファン51の回転速度を増加する場合において、スライド凸部21を制御するときを説明する。
次に、燃料電池スタック200(発熱デバイス)の出力に基づいて、スライド凸部21を制御する場合を説明する。
前提として、図10に示すように、バッテリモジュール110は、燃料電池スタック200の後方に配置されている。燃料電池スタック200は、フロアパネル下のセンターコンソール内であって、燃料電池自動車300の車幅方向における中心面A2上に配置されており、バッテリモジュール110の中心面A1は、前記中心面A2から左方にずれている。すなわち、バッテリモジュール110から見て、発電すると自己発熱する燃料電池スタック200は、バッテリモジュール110の中心面A2から、右方向にオフセットしている。
また、スライド凸部21のスライド量(モータ41の回転量)は、例えば、燃料電池スタック200の出力(発電電力)と、単電池111が過昇温しない流路断面積S4との関係を事前試験等により求め、ECU70にマップとして記憶しておき、ECU70が現在の燃料電池スタック200の出力の指令値と、このマップとを参照することにより、決定される。
前記した本実施形態では、二次電池装置100(空気導入装置1)が燃料電池自動車に搭載された構成を例示したが、その他に例えば、電気自動車やハイブリッド車、自動二輪車、船舶等の移動体に搭載された構成、据え置き型の燃料電池システムに組み込まれた構成でもよい。
10 ダクト本体
11a 吸気路
11b 吸気口
12a 左分岐路
13a 右分岐路
21 スライド凸部
41 モータ(駆動手段)
51 ファン(発熱デバイス)
61 温度センサ
70 ECU(制御手段)
100 二次電池装置
110 バッテリモジュール
113 単電池
120 電池ボックス
200 燃料電池スタック(発熱デバイス)
A1 バッテリモジュールの仮想的な中心面
A2 燃料電池自動車の仮想的な中心面
D 分岐部分
L3、L4 距離
S3、S4 流路断面積
Claims (5)
- 車両に搭載され、前記車両の駆動用の電源であると共に充放電可能な複数の単電池を備えるバッテリモジュールに、前記バッテリモジュールの対向する面側から前記単電池を冷却するための空気を導入する空気導入装置であって、
前記バッテリモジュールの周囲に発熱デバイスが配置されると共に、当該発熱デバイスは、前記バッテリモジュールの前記対向する面の間の仮想的な中心面から、前記対向する面の一方面側にずれており、
外部の空気を1つの吸気口から吸気路に吸気し、吸気した空気を2つの分岐路に分岐した後、この分岐した空気を前記バッテリモジュールの前記対向する面側からそれぞれ導入するダクト本体と、
前記ダクト本体の分岐部分に設けられ、前記吸気路を通流する空気に向かうように凸すると共に、前記吸気路から前記各分岐路に向かう空気の各流路断面積を設定し、前記吸気路から前記2つの分岐路に空気を分配することで、前記バッテリモジュール内の温度分布を均一にする凸部と、
を備え、
前記凸部は、その頂点が前記吸気路に向かって突出した三角形状である
ことを特徴とする空気導入装置。 - 前記凸部は、前記分岐部分に移動可能に設けられており、当該凸部は移動することで前記吸気路から前記各分岐路に向かう空気の各流路断面積を可変するものであって、
前記凸部を移動させる駆動手段と、
前記バッテリモジュール内の温度分布が均一となるように、前記駆動手段を制御し前記各流路断面積を可変する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の空気導入装置。 - 前記制御手段は、前記発熱デバイスが高発熱状態である場合、前記一方面側への空気の流量が増加するように、前記駆動手段を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の空気導入装置。 - 前記発熱デバイスは、前記一方面側に配置されると共に、前記単電池の発熱状態に基づいて前記バッテリモジュールを通流する空気の流量を制御するファンを含み、
前記制御手段は、前記ファンの回転数が増加すると、前記一方面側への空気の流量が増加するように、前記駆動手段を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の空気導入装置。 - 前記発熱デバイスは、発電すると発熱する燃料電池を含み、
前記制御手段は、前記燃料電池の出力が増加すると、前記一方面側への空気の流量が増加するように、前記駆動手段を制御する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の空気導入装置。
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