JP5185788B2 - 空気導入装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の単電池を備えるバッテリモジュールに空気を導入する空気導入装置に関する。
電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池自動車等の車両には、リチウムイオン型等の単電池を複数備えるバッテリモジュールが搭載される。このようなバッテリモジュール(単電池)が充電又は放電すると、単電池が発熱するので、バッテリモジュール内に空気(冷却風)を通流させ、単電池を冷却する技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2001−105894号公報
このようなバッテリモジュールを構成する単電池の冷却に関連して、本願発明者らは、外部の空気を1つの吸気口から吸気し、この吸気した空気を二股で分岐した後、この分岐した空気を、平型の直方体を呈するバッテリモジュールの両端面側からそれぞれ導入すると、単電池を効率的に冷却できるという知見を得た。
しかしながら、吸気した空気を二股で分岐させるダクト本体は、例えばバッテリモジュールが車両に搭載される場合、搭載スペースや他の機器との都合上、余分スペースに沿うように形成されることが通常であるため、ダクト本体の分岐点から、二股に分岐した2つの下流端までのダクト長さや、ダクト形状が異なる場合が多い。
そして、このように分岐点から各下流端までのダクト長さ等が異なると、分岐点から各下流端までにおいて、通流する空気が受ける圧力損失が異なることになり、空気が分岐点において均等に分配されず、各分岐路を通流する空気の流量が異なることになる。よってて、バッテリモジュールの両端面側から導入される空気の流量が同一にならず、バッテリモジュール内の温度がばらつく虞がある。
そこで、本発明は、対向する面に空気導入孔をそれぞれ有するバッテリモジュールに、冷却風としての空気を好適に分配しつつ導入する空気導入装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、車両に搭載され、前記車両の駆動用の電源であると共に充放電可能な複数の単電池を備えるバッテリモジュールに、前記バッテリモジュールの対向する面側から前記単電池を冷却するための空気を導入する空気導入装置であって、前記バッテリモジュールの周囲に発熱デバイスが配置されると共に、当該発熱デバイスは、前記バッテリモジュールの前記対向する面の間の仮想的な中心面から、前記対向する面の一方面側にずれており、外部の空気を1つの吸気口から吸気路に吸気し、吸気した空気を2つの分岐路に分岐した後、この分岐した空気を前記バッテリモジュールの前記対向する面側からそれぞれ導入するダクト本体と、前記ダクト本体の分岐部分に設けられ、前記吸気路を通流する空気に向かうように凸すると共に、前記吸気路から前記各分岐路に向かう空気の各流路断面積を設定し、前記吸気路から前記2つの分岐路に空気を分配することで、前記バッテリモジュール内の温度分布を均一にする凸部と、を備え、前記凸部は、その頂点が前記吸気路に向かって突出した三角形状であることを特徴とする空気導入装置である。
このような空気導入装置によれば、ダクト本体の分岐部分に設けられ、吸気路を通流する空気に向かうように凸する凸部によって、吸気路から各分岐路に向かう空気の各流路断面積が設定され、バッテリモジュール内の温度分布を均一にする、つまり、複数の単電池の温度を略等しくできる。
つまり、レイアウト等の都合上、ダクト本体の形状が分岐点の下流側で異なり、つまり、各分岐路の長さや流路形状等が異なり、ダクト本体における分岐点から各分岐路の下流端までの圧力損失が異なったとしても、これを考慮した上で、吸気路から各分岐路に向かう空気の各流路断面積が好適な割合となるように凸部を設けることにより、分岐点から各分岐路の下流端までの圧力損失を略同一にできる。
これにより、各分岐路を通流する空気の流量を略等しく、つまり、空気を吸気路から各分岐路に略均等流量で分配できる。したがって、バッテリモジュールの対向する面側からそれぞれ導入される空気の流量が略等しくなり、バッテリモジュール内の複数の単電池を好適に冷却し、バッテリモジュール内の温度分布を均一にできる。
すなわち、分岐点の下流における圧力損失が異なるダクト本体に対して、このような凸部を設けることにより、ダクト本体の形状は変更せずに、各分岐路を通流する空気の流量が均等になるように分配できる。
また、前記凸部は、前記分岐部分に移動可能に設けられており、当該凸部は移動することで前記吸気路から前記各分岐路に向かう空気の各流路断面積を可変するものであって、前記凸部を移動させる駆動手段と、前記バッテリモジュール内の温度分布が均一となるように、前記駆動手段を制御し前記各流路断面積を可変する制御手段と、を備えることを特徴とする空気導入装置である。
このような空気導入装置によれば、制御手段が、バッテリモジュール内の温度分布が均一となるように、駆動手段を制御して凸部を移動させることにより、各流路断面積を可変できる。
また、記制御手段は、前記発熱デバイスが高発熱状態である場合、前記一方面側への空気の流量が増加するように、前記駆動手段を制御することを特徴とする空気導入装置である。
このような空気導入装置によれば、制御手段は、発熱デバイスが高発熱状態である場合、一方面側への空気の流量が増加するように、駆動手段を制御する。このように一方面側への空気の流量を増加させると、一方面側からバッテリモジュール内に導入する空気の流量が増加し、高発熱状態である発熱デバイスに暖められた一方面側のバッテリモジュール内の単電池を適切に冷却できる。つまり、バッテリモジュール内の温度分布が不均一になることを防止できる。
また、前記発熱デバイスは、前記一方面側に配置されると共に、前記単電池の発熱状態に基づいて前記バッテリモジュールを通流する空気の流量を制御するファンを含み、前記制御手段は、前記ファンの回転数が増加すると、前記一方面側への空気の流量が増加するように、前記駆動手段を制御することを特徴とする空気導入装置である。
このような空気導入装置によれば、制御手段は、ファンの回転数が増加し、ファンが高発熱状態である場合、一方面側への空気の流量が増加するように、駆動手段を制御する。このように一方面側への空気の流量を増加させると、一方面側からバッテリモジュール内に導入する空気の流量が増加し、高発熱状態であるファン(発熱デバイス)に暖められた一方面側のバッテリモジュール内の単電池を適切に冷却できる。
すなわち、ファンの回転数が増加した場合、これに連動して、一方面側への空気の流量を増加させるので、ファンの熱によって一方面側の単電池が過昇温しにくくなる。
また、前記発熱デバイスは、発電すると発熱する燃料電池を含み、前記制御手段は、前記燃料電池の出力が増加すると、前記一方面側への空気の流量が増加するように、前記駆動手段を制御することを特徴とする空気導入装置である。
このような空気導入装置によれば、制御手段は、燃料電池の出力が増加すると、一方面側への空気の流量が増加するように、駆動手段を制御する。このように一方面側への空気の流量を増加させると、一方面側からバッテリモジュール内に導入する空気の流量が増加し、高発熱状態である燃料電池(発熱デバイス)に暖められた一方面側のバッテリモジュール内の単電池を適切に冷却できる。
本発明によれば、対向する面に空気導入孔をそれぞれ有するバッテリモジュールに、冷却風としての空気を好適に分配しつつ導入する空気導入装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図1から図10を参照して説明する。
≪二次電池装置の構成≫
本実施形態に係る空気導入装置1が組み込まれた二次電池装置100について、図1を参照して説明する。二次電池装置100は、燃料電池スタック(図示しない)を備える燃料電池自動車(移動体)に搭載されており、燃料電池スタックをアシストするため、その充電電力を放電したり、走行モータ等からの回生電力や燃料電池スタックの余剰電力を充電する装置である。このような二次電池装置100は、バッテリモジュール110と、空気導入装置1とを備えている。
<バッテリモジュール>
まず、バッテリモジュール110について、図1〜図4を参照して説明する。
バッテリモジュール110の外形は平形の直方体を呈しており、バッテリモジュール110は、リアシートの下方であって、フロアパネル下のセンタートンネル内に配置されている。このようなバッテリモジュール110は、後記する仮想的な中心面A1を中心とした略左右対称となっており(図3、図4参照)、複数の単電池111と、これを収容する電池ボックス120とを備えている。
[単電池]
各単電池111は、リチウムイオン型等の充放電可能な二次電池であって、充放電すると発熱する。そして、複数の単電池111は、バスバー(図示しない)によって直列で接続されている。
また、各単電池111は、略円柱状を呈しており、その軸方向は車両の前後方向に沿っている。そして、複数の単電池111は、左右方向(車幅方向)及び上下方向において、所定の隙間を隔てて配置されており(図3参照)、各単電池111を冷却する空気(冷却風)が、前記隙間を通流するようになっている。
ただし、単電池111の外形は円柱状に限定されず、例えば角柱状(角型)でもよい。また、左右方向及び上下方向における単電池111の数は、これに限定されず適宜変更してよい。
[電池ボックス]
電池ボックス120は、水や埃等から保護するため、複数の単電池111を収容する箱体であり、その外形は平形の直方体を呈している。そして、電池ボックス120は、2本の前後フレーム131及びこれに接合した3本のクロスメンバ132によって井桁状に構成されたサブフレーム130(図2参照)上に固定されている。
なお、車幅方向における電池ボックス120(バッテリモジュール110)の仮想的な中心面A1は、燃料電池自動車の車幅方向における中心面A2から、電池ボックス120の左側方に配置されるファンユニット50の分、右側にずれている(図3、図4参照)。
また、前後フレーム131、クロスメンバ132の下面には、アンダーカバー133が取り付けられている。そして、前後フレーム131、クロスメンバ132、アンダーカバー133、及び、後記する底パネル125で囲まれた空間が、電池ボックス120から排出された冷却後の空気の排出路134、134として機能している(図2、図3参照)。
電池ボックス120は、上パネル121と、2枚の側パネル122、122と、前パネル123と、後パネル124と、2枚の底パネル125、125を備えている。
側パネル122、122は、電池ボックス120の左壁部又は右壁部を構成し、各側パネル122には、電池ボックス120内に向かう空気が通る4つの空気導入孔122aが形成されている(図2、図4参照)。
すなわち、電池ボックス120を構成する側パネル122、122は、車幅方向において電池ボックス120(バッテリモジュール110)の両端部にそれぞれ配置されると共に、電池ボックス120(バッテリモジュール110)の対向する面(左側面、右側面)を構成している。そして、単電池111を冷却する空気が、この対向する側パネル122の空気導入孔122aから、電池ボックス120内に導入するようになっている。
底パネル125、125は、サブフレーム130上に固定され、電池ボックス120の底壁部を構成している。底パネル125、125は、車幅方向において、所定間隔を隔てて配置されており、底パネル125、125の間は、電池ボックス120内の空気(冷却後の空気)を、電池ボックス120下に導出する空気導出孔125a、125aとなっている(図3、図4参照)。
なお、空気導出孔125a、125aは、前記した電池ボックス120の仮想的な中心面A1上に配置されており、燃料電池自動車の中心面A2から、右側にずれている(図3、図4参照)。
<空気導入装置>
次に、空気導入装置1について説明する。
空気導入装置1は、図5〜図6に示すように、ダクト本体10と、ダクト本体10の分岐部分Dにスライド可能(移動可能)に設けられたスライド凸部21と、スライド凸部21をスライドさせるモータ41(駆動手段)と、空気を通流させる動力源であるファンユニット50と、温度センサ61(図3参照)と、これらを電子制御するECU70(Electronic Control Unit、制御手段、図3参照)と、を備えている。
[ダクト本体]
ダクト本体10は、外部の空気を1つの吸気口11bから吸気し、この吸気した空気を分岐部分D(分岐点)で分岐し、この分岐した空気を電池ボックス120の左右の空気導入孔122aに導く、下流側が二股に分岐した管路であり、後方視において、略逆T字形を呈している。このようなダクト本体10は、吸気部11と、吸気部11の下流に形成され吸気された空気を分岐する2つの分岐部、詳細には、左分岐部12及び右分岐部13と、を備えている。
吸気部11は、上下方向に延び、その内部に吸気路11aを有している。吸気路11aの上流端は、後方に開口しており、吸気口11bが形成されている。そして、後記するファン51が作動すると、外部の空気が、吸気口11bから吸気路11aに吸気されるようになっている。
なお、吸気部11は、レイアウトの都合上、車幅方向におけるバッテリモジュール110中心面である前記した仮想的な中心面A1から右方にずれている(図4、図6参照)。
左分岐部12は、吸気部11の下流端から、左方に延びた後、前方に延びるように形成されており、その下流端は、左側の側パネル122に接続される。そして、左分岐部12内には左分岐路12aが形成されており、左方に分岐した空気は、左分岐路12a、左側の側パネル122の4つの空気導入孔122aを順に通って、電池ボックス120(バッテリモジュール110)の左側内に導入するようになっている(図3、図4参照)。
右分岐部13は、吸気部11の下流端から、右方に延びた後、前方に延びるように形成されており、その下流端は、右側の側パネル122に接続される。そして、右分岐部13内には右分岐路13aが形成されており、右方に分岐した空気は、右分岐路13a、右側の側パネル122の4つの空気導入孔122aを順に通って、電池ボックス120(バッテリモジュール110)の右側内に導入するようになっている(図3、図4参照)。
ここで、図5に示すように、左分岐路12aにおける空気の流路断面積S1と、右分岐路13aにおける空気の流路断面積S2とは、本実施形態では略同一であるが、前記したように、吸気部11が仮想的な中心面A1から右方にずれているため、左分岐路12aの長さL1は、右分岐路13aの長さL2よりも、長い。
これにより、スライド凸部21が設けられてないダクト本体10のみでは、左分岐路12aを通流する空気が受ける圧力損失は、右分岐路13aを通流する空気が受ける圧力損失よりも、大きくなる。よって、ダクト本体10のみでは、分岐部分Dにおいて、圧力損失の小さい右分岐路13aに流入する空気の流量が、圧力損失の大きい左分岐路12aに流入する空気の流量よりも、多くなる。
[スライド凸部]
スライド凸部21は、吸気路11aから左分岐路12aに向かう空気の流路断面積S3と、吸気路11aから右分岐路13aに向かう空気の流路断面積S4との大きさの割合を設定することにより(図7参照)、左分岐路12aを通流する空気の流量と、右分岐路13aを通流する空気の流量とを等しくするものである。つまり、スライド凸部21は、吸気路11aを通流する空気を、左分岐路12aと右分岐路13aとに、均等で分配するものである。
このようなスライド凸部21は、ダクト本体10の後方視で略逆T字形を呈する分岐部分Dにおいて、吸気路11aを下向きで通流する空気が衝突する内壁面14にスライド可能に設けられており、前記下向きで通流する空気に向かうように上向きで凸し、後方視で略正三角形(山型)を呈している。すなわち、スライド凸部21の側面はそれぞれ傾斜面22、22であり、これにより、空気の通流向きが左向き又は右向きに良好に変化しつつ、好適に分配されるようになっている。
そして、左分岐路12aと右分岐路13aとの圧力損失差を考慮した上で、左分岐路12a、右分岐路13aを通流する空気の流量が等しくなるように、スライド凸部21の頂点23と左角部C1との間の距離L3と、頂点23と右角部C2との間の距離L4、つまり、頂点23と左角部C1との間における流路断面積S3と、頂点23と右角部C2との間における流路断面積S4との初期値、及び、スライド凸部21の初期位置が設定される。
ここで、前記したように、左分岐路12aの圧力損失は、右分岐路13aの圧力損失よりも大きいので、「流路断面積S3>流路断面積S4(距離L3>距離L4)」に設定、つまり、スライド凸部21の初期位置は、吸気路11aの中心を通る軸線A3よりも、やや右方に設定される(図6、図7参照)。
なお、前記初期値及び初期位置は、例えば、ファン51等によって、バッテリモジュール110内の単電池111が暖められないと仮定したうえで設定される。
また、左角部C1(左角面)は、スライド凸部21の頂点23と相対するダクト本体10の内壁面であって、空気が吸気路11aから左分岐路12aに向かう際に左に曲がる部分である。右角部C2(右角面)は、同じく頂点23と相対する内壁面であって、空気が吸気路11aから右分岐路13aに向かう際に右に曲がる部分である。
さらに、簡単に説明するため、ここでは、吸気路11a、左分岐路12a、及び、右分岐路13aの奥行き(前後方向における幅)が同一である場合を例示し、流路断面積S3、S4の比が、距離L3、L4の比に依存することとして説明する。
また、スライド凸部21は、左右方向(車幅方向)においてスライド自在となるように、ダクト本体10に取り付けられている。すなわち、スライド凸部21は、左右方向にスライドすることで、流路断面積S3、S4及び距離L3、L4の比を、可変するようになっている。
なお、スライド自在とするには、例えば、内壁面14に左右方向にスライド溝を形成し、このスライド溝に係合するスライド爪をスライド凸部21に設けるとよい。
さらに、スライド凸部21の下部には連結棒24が取り付けらており、この連結棒24は分岐部分Dに形成された長孔15を通ってダクト本体10外に延出している。そして、連結棒24の下端には、左右方向に延びるスライドアーム25の左端部が固定されており、スライドアーム25の右端部の下面には、ラック26が形成されている。ラック26には、後記するピニオン42が係合している。
なお、長孔15には、中央に連結棒24が貫通するスリット(図示しない)が形成されたシール部材(図示しない)が取り付けられており、バッテリモジュール110に導入されるべき空気が、長孔15を通って、外部に漏れないようになっている。
[モータ]
モータ41は、スライド凸部21をスライドさせる電動モータ(DCモータ等)であって、ブラケット(図示しない)を介して、ダクト本体10の下面に取り付けられている。そして、モータ41の出力軸にはピニオン42が取り付けられており、ピニオン42はラック26に係合している。
そして、モータ41が、ECU70からの指令に従って、正回転又は逆回転で回転すると、スライドアーム25及びこれに連結されたスライド凸部21が、左右方向にスライドし、流路断面積S3、S4及び距離L3、L4の比が、可変するようになっている。
なお、モータ41及びスライドアーム25を下方から覆うように、カバー43が取り付けられており、このカバー43によって、モータ41等は水、埃等から保護されている。
[ファンユニット]
ファンユニット50は、作動することで冷却風となる空気の流れを生じさせるものであり、ファン51と、ファンダクト52とを備えている。ファンダクト52は、排出路134、134からの空気を集合するものであり、電池ボックス120の左方において、サブフレーム130の上に固定されている(図2、図3参照)。ファン51は、ファンダクト52の左方であって、ファンダクト52の下流に配置されている。
そして、ファン51がECU70の指令に従って作動すると、排出路134、134の空気が、ファンダクト52内を介して、ファン51に吸気されるようになっている。そうすると、電池ボックス120内の空気が、空気導出孔125a、125aを介して、排出路134、134に導出され、さらに、外部の空気がダクト本体10内に吸気され、二股に分岐された後、左右の空気導入孔122a、122a…を介して、電池ボックス120内に導入されるようになっている。
すなわち、ファン51が作動すると、外部の空気が、吸気口11bから吸気路11aに吸気され、分岐部分Dで分岐された後、左分岐路12a又は右分岐路13aを通り、電池ボックス120の左側又は右側からその内部に導入し、電池ボックス120内を仮想的な中心面A1に向かって、単電池111間の隙間を通流しながら、単電池111を冷却し、その後、空気導出孔125aを通って、排出路134に導出するようになっている。
また、ファン51の回転速度は、ECU70によって適宜に制御され、回転速度が高まると、電池ボックス120等内と通流する空気の流量が増加するようになっている。つまり、ファン51は、電池ボックス120等内を通流する空気の流量を制御する。
さらに、ファン51は作動すると発熱し、このファン51の作動熱や廃熱は、ファンダクト52等や周囲雰囲気を介して、バッテリモジュール110の左側に配置された単電池111に伝達し、単電池111が暖められるようになっている。
[温度センサ]
温度センサ61、61は、左右に振り分けられた単電池111の温度(電池ボックス120内の温度)を検出する温度センサであり(図3参照)、中心面A1を中心として左右対称に配置されている。そして、温度センサ61、61は、検出した単電池111の温度をECU70に出力するようになっている。
ただし、温度センサ61の位置はこれに限定されず、例えば、電池ボックス120の外に温度センサ61を取り付け、検出される温度に基づいて、単電池111の温度や、電池ボックス120内の温度を推定する構成でもよい。
[ECU]
ECU70は、二次電池装置100を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、モータ41、ファン51等の機器を制御し、各種処理を実行するようになっている。
また、ECU70は、アクセル(図示しない)等から入力される発電要求量に従って、燃料電池スタック(図示しない)の出力(発電電力)を、燃料電池スタックの出力端子に接続された電力制御器により、制御する機能を備えている。
さらに、ECU70は、バッテリモジュール110の出力端子に接続された昇降圧コンバータ(図示しない)によって、バッテリモジュール110を放電したり、回生電力や燃料電池スタックの余剰電力を、バッテリモジュール110に充電する機能を備えている。
≪二次電池装置の作用効果≫
次に、このような二次電池装置100の作用効果を説明する。
左分岐路12a、右分岐路13aの圧力損失の差を考慮した上で、流路断面積S3、S4(距離L3、L4)を設定し、その分岐部分Dにスライド凸部21を設けるのみで、分岐部分Dから左分岐路12a又は右分岐路13aの下流端までの圧力損失を同一にできる。つまり、ダクト本体10の形状は変更せずに、圧力損失を同一にできる(図6、図7参照)。
これにより、分岐部分Dにおいて、空気を均等に分配(分岐)することができ、左分岐路12a、右分岐路13aを通流する空気の流量を等しくできる。したがって、バッテリモジュール110の左右からその内部に導入する空気流量を同一にできる。そのため、単電池111の温度が左右でばらつきにくくなり、電池ボックス120内で温度差が生じにくく、つまり、バッテリモジュール110内の温度分布を均一にできる。また、スライド凸部21を設けることで、下流端までの圧力損失を同一にできるので、ダクト本体10の形状をレイアウトに応じて変形することも容易となる。
<単電池の温度に基づく制御>
次に、例えば、周辺環境の温度差により、左右の単電池111の温度がばらついた場合において、スライド凸部21を制御し、バッテリモジュール110内の温度分布を均一にする場合を説明する。
ECU70は、左右の温度センサ61、61から入力される左右の単電池111、113の温度がばらついている場合(例えば所定温度差ΔT以上ある場合)、高温の単電池111を冷却するために、この高温の単電池111が配置されている側(左側又は右側)への空気の流量を増加させるべく、モータ41を制御し、スライド凸部21を右側又は左側にスライドさせる。
具体的には、左側の単電池111の温度が高い場合、図8に示すように、スライド凸部21を右方にスライドして、流路断面積S3を大きくし(距離L3を長くし、図6参照)、左分岐路12aを通流する空気の流量を増加させる。そうすると、左側の側パネル122の空気導入孔122aから電池ボックス120内に導入する空気の流量が増加し、左側の単電池111が速やかに冷却される。
一方、右側の単電池111の温度が高い場合、図9に示すように、スライド凸部21を左方にスライドして、流路断面積S4を大きくし(距離L4を長くし、図6参照)、右分岐路13aを通流する空気の流量を増加させる。そうすると、右側の側パネル122の空気導入孔122aから電池ボックス120内に導入する空気の流量が増加し、左側の単電池111が速やかに冷却される。
なお、スライド凸部21のスライド量(モータ41の回転量)は、例えば、左右の単電池111の温度差ΔTと、この温度差ΔTを0にするためのスライド凸部21のスライド量(モータ41の回転量)との関係を事前試験等により求め、ECU70にマップとして記憶しておき、ECU70が現在の温度差ΔTと前記マップとを参照することにより、決定される。
<ファンの回転速度に基づく制御>
次に、バッテリモジュール110への充電量又は放電量が増加し、充放電に伴い昇温する単電池111を冷却するべく、ファン51の回転速度を増加する場合において、スライド凸部21を制御するときを説明する。
ECU70がファン51の回転速度を増加させると、ファン51(発熱デバイス)で生じる発熱量が大きくなり、ファン51が高発熱状態となる。そうすると、ファン51の熱によって、バッテリモジュール110の左側の単電池111が過昇温する虞がある。
そこで、ECU70は、ファン51の回転速度を増加することに連動して、スライド凸部21を右方にスライドさせ(図8参照)、流路断面積S3を大きくする(距離L3を長くする)。そうすると、左分岐路12aを通流する空気の流量が増加し、左側の側パネル122の空気導入孔122aから電池ボックス120内に導入する空気の流量が増加する。これにより、左側の単電池111が速やかに冷却される。このように、ファン51の回転数の増加に連動させて、予め左側への空気の流量を増加するので、左側の単電池111が過昇温することは防止される。
なお、スライド凸部21のスライド量(モータ41の回転量)は、例えば、ファン51の回転速度と、単電池111が過昇温しない流路断面積S3との関係を事前試験等により求め、ECU70にマップとして記憶しておき、ECU70が現在のファン51の回転速度の指令値と、このマップとを参照することにより、決定される。
<燃料電池スタックの出力に基づく制御>
次に、燃料電池スタック200(発熱デバイス)の出力に基づいて、スライド凸部21を制御する場合を説明する。
前提として、図10に示すように、バッテリモジュール110は、燃料電池スタック200の後方に配置されている。燃料電池スタック200は、フロアパネル下のセンターコンソール内であって、燃料電池自動車300の車幅方向における中心面A2上に配置されており、バッテリモジュール110の中心面A1は、前記中心面A2から左方にずれている。すなわち、バッテリモジュール110から見て、発電すると自己発熱する燃料電池スタック200は、バッテリモジュール110の中心面A2から、右方向にオフセットしている。
そして、燃料電池自動車300が走行することで生じる走行風は、フロントグリルからボンネット下、センタートンネル内に流入し、自己発熱する燃料電池スタック200で暖められるようになっている。次いで、この暖められた空気は、センタートンネル内を後方に向かって流れ、バッテリモジュール110の右側内の単電池111を暖める。これにより、バッテリモジュール110内の単電池111の温度がばらつきやすくなる。
なお、このような単電池111の温度のばらつきは、春秋冬等、外気温度が所定温度(例えば30℃)未満である場合に生じやすい。逆に、夏等、外気温度が所定温度(例えば30℃)以上である場合、単電池111全体が高温であるため、燃料電池スタック200の廃熱により、単電池111の温度はばらつきにくくなる。
そこで、発電要求量(アクセル開度等)に基づいて燃料電池スタック200の発電を制御するECU70は、燃料電池スタック200の発電電力を高めることに連動して、図9に示すように、スライド凸部21を左方にスライドさせる。そうすると、流路断面積S4が大きくなり、右分岐路13aを通流する空気の流量が増加し、電池ボックス120の右側からその内部に導入する空気の流量が増加する。
これにより、自己発熱量が高く高発熱状態となった燃料電池スタック200で暖められた走行風に、バッテリモジュール110の右側部が曝されたとしても、前記したように、電池ボックス120の右側からその内部に導入する空気の流量が増加しているので、右側の単電池111が過昇温することは防止され、単電池111の温度はばらつきにくくなる。
なお、前記したように、燃料電池スタック200の廃熱によって、単電池111の温度がばらつきやすくなるのは、外気温度が所定温度以上である場合であるから、外気温度が所定温度以上である場合のみ、燃料電池スタック200の出力(発電電力)に応じて、スライド凸部21を制御する構成としてもよい。
また、スライド凸部21のスライド量(モータ41の回転量)は、例えば、燃料電池スタック200の出力(発電電力)と、単電池111が過昇温しない流路断面積S4との関係を事前試験等により求め、ECU70にマップとして記憶しておき、ECU70が現在の燃料電池スタック200の出力の指令値と、このマップとを参照することにより、決定される。
この他、図11に示すように、バッテリモジュール110が、燃料電池スタック200の後方において平面視で縦置きされた構成である場合、つまり、単電池111の長手方向が車幅方向に沿っており、バッテリモジュール110を基準として、燃料電池スタック200がバッテリモジュール110の右方にずれて配置された構成の場合、燃料電池スタック200で暖められた空気は、バッテリモジュール110の右側を暖める。
したがって、図11のように縦置された構成の場合も、ECU70は、燃料電池スタック200の出力を高めることに連動して、図9に示すように、スライド凸部21を左方にスライドさせ、電池ボックス120の右側からその内部に導入する空気の流量が増加させる。これにより、右側の単電池111が過昇温することは防止され、単電池111の温度はばらつきにくくなる。
なお、図10及び図11のレイアウトの場合、燃料電池スタック200で暖められるバッテリモジュール110の右側部分と、ファン51の廃熱等で暖められるバッテリモジュール110の左側部分とが、相対することになるが、例えば、燃料電池スタック200の出力に基づいて決定されるスライド凸部21のスライド量と、ファン51の回転速度に基づいて決定されるスライド量とを加算し、加算後のスライド量を指令値として、スライド凸部21をスライドすればよい。また、左右の温度センサ61、61から入力される左右の単電池111、111の温度に基づいて、スライド量を補正する構成としてもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば次のように変更することができる。
前記した本実施形態では、二次電池装置100(空気導入装置1)が燃料電池自動車に搭載された構成を例示したが、その他に例えば、電気自動車やハイブリッド車、自動二輪車、船舶等の移動体に搭載された構成、据え置き型の燃料電池システムに組み込まれた構成でもよい。
前記した実施形態では、空気の流れを生じさせるファン51が、電池ボックス120の下流に配置された構成を例示したが、ファン51の位置はこれに限定されず、例えば、電池ボックス120の上流でもよい。
前記した実施形態では、スライドアーム25の右端部にラック26が設けられた構成としたが(図6参照)、図12に示すように、連結棒24の下端にラック27を取り付け、このラック27にモータ41のピニオン42が係合する構成でもよい。
また、図13に示すスライド凸部31でもよい。スライド凸部31は、可撓性(弾性)を有するゴム製の壁部16が、スライドアーム25の左端部上に取り付けられた押圧ローラ32によって、上方に押圧されることで形成されている。なお、壁部16は、分岐部分Dにおいて、吸気路11aを下向きで通流する空気の衝突するダクト本体10の下壁部である。そして、モータ41が正回転又は逆回転すると、押圧ローラ32が壁部16を押圧しながら、左右にスライドし、その結果、スライド凸部31が左右にスライドするようになっている。
また、図14に示すスライド凸部33でもよい。スライド凸部33は、連結棒24の上端面に取り付けられた側面視で矩形状を呈する細長のスライド片によって構成されている。
本実施形態に係る二次電池装置の斜視図である。 本実施形態に係るバッテリモジュールの分解斜視図である。 図1に示すバッテリモジュールのX1−X1線断面図である。 図1に示すバッテリモジュールのX2−X2線断面図である。 本実施形態に係るダクト本体の斜視図である。 図5に示すダクト本体のX3−X3線断面図である。 本実施形態に係るスライド凸部が初期位置にある状況を示す図である。 本実施形態に係るスライド凸部が右方にスライドした状況を示す図である。 本実施形態に係るスライド凸部が左方にスライドした状況を示す図である。 本実施形態に係る燃料電池自動車の平面図である。 変形例に係る燃料電池自動車の平面図である。 変形例に係るスライド凸部の後方視図である。 変形例に係るスライド凸部の後方視図である。 変形例に係るスライド凸部の後方視図である。
符号の説明
1 空気導入装置
10 ダクト本体
11a 吸気路
11b 吸気口
12a 左分岐路
13a 右分岐路
21 スライド凸部
41 モータ(駆動手段)
51 ファン(発熱デバイス)
61 温度センサ
70 ECU(制御手段)
100 二次電池装置
110 バッテリモジュール
113 単電池
120 電池ボックス
200 燃料電池スタック(発熱デバイス)
A1 バッテリモジュールの仮想的な中心面
A2 燃料電池自動車の仮想的な中心面
D 分岐部分
L3、L4 距離
S3、S4 流路断面積

Claims (5)

  1. 車両に搭載され、前記車両の駆動用の電源であると共に充放電可能な複数の単電池を備えるバッテリモジュールに、前記バッテリモジュールの対向する面側から前記単電池を冷却するための空気を導入する空気導入装置であって、
    前記バッテリモジュールの周囲に発熱デバイスが配置されると共に、当該発熱デバイスは、前記バッテリモジュールの前記対向する面の間の仮想的な中心面から、前記対向する面の一方面側にずれており、
    外部の空気を1つの吸気口から吸気路に吸気し、吸気した空気を2つの分岐路に分岐した後、この分岐した空気を前記バッテリモジュールの前記対向する面側からそれぞれ導入するダクト本体と、
    前記ダクト本体の分岐部分に設けられ、前記吸気路を通流する空気に向かうように凸すると共に、前記吸気路から前記各分岐路に向かう空気の各流路断面積を設定し、前記吸気路から前記2つの分岐路に空気を分配することで、前記バッテリモジュール内の温度分布を均一にする凸部と、
    を備え
    前記凸部は、その頂点が前記吸気路に向かって突出した三角形状である
    とを特徴とする空気導入装置。
  2. 前記凸部は、前記分岐部分に移動可能に設けられており、当該凸部は移動することで前記吸気路から前記各分岐路に向かう空気の各流路断面積を可変するものであって、
    前記凸部を移動させる駆動手段と、
    前記バッテリモジュール内の温度分布が均一となるように、前記駆動手段を制御し前記各流路断面積を可変する制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の空気導入装置。
  3. 記制御手段は、前記発熱デバイスが高発熱状態である場合、前記一方面側への空気の流量が増加するように、前記駆動手段を制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載の空気導入装置。
  4. 前記発熱デバイスは、前記一方面側に配置されると共に、前記単電池の発熱状態に基づいて前記バッテリモジュールを通流する空気の流量を制御するファンを含み、
    前記制御手段は、前記ファンの回転数が増加すると、前記一方面側への空気の流量が増加するように、前記駆動手段を制御する
    ことを特徴とする請求項3に記載の空気導入装置。
  5. 前記発熱デバイスは、発電すると発熱する燃料電池を含み、
    前記制御手段は、前記燃料電池の出力が増加すると、前記一方面側への空気の流量が増加するように、前記駆動手段を制御する
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の空気導入装置。
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