以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下では、ベクトルを用いた説明を行っており、図面、数式等では、ベクトルを太字で示している。
<第1実施形態>
図1(a)、(b)は、本発明の第1実施形態による無線フレーム同期回路の構成例を示すブロック図である。図1(a)において、無線フレーム同期回路は、同期語生成部1−1、バッファ部1−2、評価関数値算出手段1−3、評価関数値記憶手段1−4、評価関数値加算手段1−5、加算数m制御部1−6、及びフレーム同期判定手段1−7からなる。同期語生成部1−1は、評価関数値算出手段1−3に同期語ベクトルSを供給する。バッファ部1−2は、受信信号系列を蓄積し、評価関数値算出手段1−3に受信信号ベクトルRkを供給する。
評価関数値算出手段1−3は、受信信号ベクトルRkと同期語ベクトルSとの一致性を定量化する評価関数値C(Rk)=fs(Rk)を算出する。評価関数値記憶手段1−4は、該評価関数値C(Rk)を受信信号点毎に記憶する。加算数m制御部1−6は、評価関数値加算手段1−5に加算数mを指示する。評価関数値加算手段1−5は、フレーム周期毎に同一受信信号点の該評価関数値を加算する。フレーム同期判定手段1−7は、加算された評価関数値と閾値とを比較し、比較結果に基づいてフレーム同期位置を決定する。また、フレーム同期判定手段1−7は、図1(b)に示すように、閾値制御部1−7−1、及び比較器1−7−2から構成されている。
次に、各構成要素の具体的動作について説明する。
同期語生成部1−1は、当該TDMA無線伝送システムにおいて、次式(1)で示される、無線送信局と無線受信局と間で予め定められた信号系列である同期語ベクトルSを出力し、評価関数値算出手段1−3に供給する。
また、バッファ部1−1は、受信信号系列(ベクトル)R=(r1,r2,…)を蓄積し、受信信号点rkごとにrkを先頭とした該同期語(ベクトル)Sの区間長d分の受信信号系列、すなわち、次式(2)で示される受信信号ベクトルRkを評価関数値算出手段1−3に供給する。
評価関数値算出手段1−3は、同期語生成部1−1及びバッファ部1−2から供給された同期語ベクトルS、受信信号ベクトルRkに対して、両者の一致性を定量化する評価関数値fs(Rk)を、各受信信号点rkで算出する。
なお、評価関数値の具体的例として、同期語ベクトルS、受信信号ベクトルRkの相互相関値として、次式(3)に示すように、
あるいは、同期語ベクトルSが周期aの周期系列とし、受信信号ベクトルRkの時間間隔aの自己相関値として、次式(4)に示すように、
あるいは、同期語ベクトルSが原系列Bの差動符号化として、受信信号ベクトルRk+1とRkの各要素を遅延検波した系列Rdiff(k)と原系列Bとの相互相関値として、次式(5)に示すように、
などが考えられる。
但し、<X|Y>は複素ベクトルX,Yの内積を示し、|X|はXのノルムを示すとする。なお、数式(3)〜(5)の具体的実施形態と効果については後述する。また、説明を簡単にするため、評価関数値fs(Rk)をC(Rk)と表記することとする。
次に、評価関数値記憶手段1−4は、評価関数値C(Rk)を受信信号点毎に記憶し、評価関数値加算手段1−5に対して、加算数m制御部1−6から指定される加算数mの値に基づいて、mフレーム区間(mは1以上の整数)での各フレームの同一受信信号点に対する評価関数値C(Rk)を供給する。具体的には各受信信号点rkに対して、次式(6)で示す、自信号点を含めた過去mフレーム区間内のフレーム内同一受信信号点m個分の評価関数値を供給する。
但し、fはフレーム周期とする。そして、評価関数値加算手段1−5は、受信信号点rk毎に評価関数値記憶手段1−4から供給されるm個の評価関数値(数式(6))全てを、次式(7)に従って加算する。
なお、加算数m制御部1−6が指定する加算数mの値は、固定値mでも良いし、ある基準時間からの経過時間に応じて変化させても良い。経過時間に応じて変化させる場合の一例として、経過時間内に対象となる受信信号点の含まれる数、すなわち、経過時間がフレーム周期fの何倍分を示す量が挙げられる。次式(8)に示す。
但し、roundup(X)はXの小数点1以下を切り上げ、kは基準時刻0からの経過時間を示す。なお、数式(8)について、その詳細は後述する。
また、上記Tk,f,mが算出できれば、同期語生成部1−1〜評価関数値加算手段1−7の構成は、図1に示す構成に限らず、どのような構成でも良い。例えば、図2に示すように、数式(7)を逐次的に加算演算する構成が考えられる。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付けている。具体的には、評価関数値加算手段1−5が評価関数値算出手段1−3から供給される現受信信号点rkの評価価関数値C(Rk)と関数値記憶手段2−4から供給される数式(7)の加算演算のそれまでの値Tk−f,f,j(jは1≦j≦m−1を満たす整数)とを加算し、加算した結果Tk,f,j+1を評価関数記憶手段2−4が記憶するような構成などが考えられる。
次に、評価関数値加算手段1−5が算出したTk,f,mは、受信信号点rkごとにフレーム同期判定手段1−7へ供給される。フレーム同期判定手段1−7は、閾値制御部1−7−1から指定される閾値とTk,f,mとを比較部1−7−2により比較し、比較結果に基づいてフレーム同期位置を確定する。確定方法としては、Tk,f,mが一番初めに閾値以上となった受信信号点をフレーム同期位置と決定する方法、あるいは、同一フレーム内でTk,f,mが閾値以上となった受信信号点が何点かある場合には、その中でも、Tk,f,mが最大となる点をフレーム同期位置と決定する方法などが考えられる。なお、閾値は、固定値でもよいし、加算数mに応じて変化、例えば増加させても良い。
上述した動作により、本第1実施形態の無線フレーム同期回路は、従来技術の無線フレーム同期回路で各フレーム「検出」or「未検出」の硬判定により行っていた後方保護動作を、複数フレームの評価関数値を加算することによって、軟判定により後方保護動作を行う。
この本発明の第1実施形態による無線フレーム同期回路の後方保護動作の効果を明らかにする。図3は、本第1実施形態の無線フレーム同期回路を、フェージング変動などによりフレーム間で受信レベルが変動する環境下で動作させた場合の後方保護動作のシーケンス図である。以下、本発明の後方保護動作を、図3を参照して説明する。なお、加算数mは、固定値とし、4とする。図35と同様に、フレームF1〜F5のうち、フレームF3のみ受信信号レベルが著しく落ち込んだとする。さらに、フレームF1、F2よりも、フレームF4、F5の方が受信信号レベルは高いとする。
すなわち、
受信信号レベルLow:フレームF3、
受信信号レベルMiddle:フレームF1、F2、
受信信号レベルHigh:フレームF4、F5
とする。
また、評価関数値は、受信信号レベルが高い程、雑音信号の影響が少なく、同期語ベクトルとの一致性が高くなるため、大きくなる。従って、評価関数値も
評価関数値Low:フレームF3(C(Rk−2f))
評価関数値Middle:フレームF1、F2(C(Rk−4f),C(Rk−3f))
評価関数値High:フレームF4、F5(C(Rk−f),C(Rk))
の大小関係とする。
このような環境下で、本第1実施形態の無線フレーム同期回路を動作させる。加算数mを4とし、フレーム同期がフレームF1の直前から開始したとすると、加算数m=4に達するフレームF4までは、各フレームの各受信信号点の評価関数値を算出し、加算数m=4に達するフレームF4において、Tk−f,f,4が計算され、初めて閾値と比較される。
すなわち、Tk−f,f,4=C(Rk−4f)+C(Rk−3f)+C(Rk−2f)+C(Rk−f)が閾値と比較される。仮に、フレームF4内にTk−f,f,4が閾値以上となった受信信号点が無ければ、フレームF4中には、フレーム同期は確立されれずに、次のフレームF5へ移行する。図3に示す例の場合、Tk−f,f,4は、評価関数値Highの項が1個しか無いため、閾値以上となることができずにフレームF5へ移行したとする。フレームF5では、同様にTk,f,4が計算され、閾値と比較される。
すなわち、Tk,f,4=C(Rk−3f)+C(Rk−2f)+C(Rk−f)+C(Rk)が閾値と比較される。そして、Tk,f,4は、評価関数値Highの項が2個含まれるため、閾値を超え、フレーム同期を確立したとする。
このように、本第1実施形態の無線フレーム同期回路は、閾値との判定を複数フレームの評価関数値の加算値Tk,f,4で行うため、受信信号レベルの落ち込みにより評価関数値が著しく落ち込んだフレームが存在しても、その前後フレームで受信信号レベルが十分高く、その評価関数値が落ち込んだフレームの評価関数分を十分補完できれば、最終的な加算値Tk,f,4が閾値を超えることが可能であり、フレーム同期を確立できる。
すなわち、従来技術の無線フレーム同期回路では、「最終的に未検出」となるような後方保護段数+1フレーム間で受信信号レベルが落ち込むフレームが存在する状況下でも、本第1実施形態による無線フレーム同期回路では、フレーム同期を確立することができる。また、あるフレームで受信信号レベルが落ち込んだときも、従来技術の無線フレーム同期回路のように初期状態に戻らず、継続して次フレームでも同様の後方保護操作を継続するため、フレーム同期確立時間を、伝搬チャネルが変化しない静環境下と同程度に抑えることが可能である。
また、従来技術の無線フレーム同期回路にあった「最終的に検出」となる受信信号点が複数あった場合に、信頼度の低い受信信号点を選択してしまうという問題も、本第1実施形態の無線フレーム同期回路では、仮に、Tk,f,4が閾値を超える受信信号点が複数ある場合、各受信信号点がフレーム同期位置としての信頼度を反映する軟判定値のTk,f,4を持つため、Tk,f,4の値に基づき、各受信信号点の中から最も信頼度の高い受信信号点を選択することが可能となる。この選挙択は、閾値には依存しないので、従来技術の無線フレーム同期回路のようなシビアな閾値設定も不要となる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本第2実施形態は、上述した第1実施形態の無線フレーム同期回路において、加算数mを基準時刻からの経過時間に応じて変化させることを目的としている。
図4は、本第2実施形態による無線フレーム同期回路の構成例を示すブロック図である。また、また、図5は、本第2実施形態による後方保護動作を説明するためのシーケンス図である。本第2実施形態では、加算数m制御部4−6は、加算数mを経過時間に応じて数式(8)により変化させるために、バッファ部1−2と接続されている。すなわち、加算数m制御部4−6は、バッファ部1−2からの受信信号点をカウントすることによって、基準時刻からの経過時間をカウントし、加算数mを数式(8)に応じて変化させる。なお、前記加算数m制御部4−6が基準時刻から経過時間をカウントできる構成であれば図3に示す構成以外でも構わない。以降、加算数m制御部4−6が加算数mを、評価関数値加算手段1−5に対して指定した後は、前述した第1実施形態と全く同様の動作を行う。
次に、本第2実施形態による後方保護動作を、図5を参照して説明する。例えば、フレーム同期開始時刻を基準時刻とし、同期語部分のTk,f,mに着目する。なお、基準時刻は、任意の時刻で構わない。基準時刻から1番目のフレームF1に対しては、数式(8)からm=1となるので、Tk,f,mは、加算数1個のみの1番目のフレーム:Tk−4f,f,1=C(Rk−4f)となる。基準時刻から2番目のフレームF2に対しては、数式(9)からm=2となるので、Tk,f,mは、加算数2個のみの2番目のフレーム:Tk−3f,f,2=C(Rk−4f)+C(Rk−3f)となる。
以下、同様にして、基準時刻から3、4、5番目のフレームF3、F4、F5に対しては、数式(9)からm=3、4、5となるので、3番目のフレーム:Tk−2f,f,3=C(Rk−4f)+C(Rk−3f)+C(Rk−2f)、4番目のフレーム:Tk−f,f,4=C(Rk−4f)+C(Rk−3f)+C(Rk−2f)+C(Rk−f)、5番目のフレーム:Tk,f,5=C(Rk−4f)+C(Rk−3f)+C(Rk−2f)+C(Rk−f)+C(Rk)となる。そして、フレーム毎に算出したTk,f,mを閾値と比較してフレーム同期判定を行う。
なお、図6は、本第2実施形態による無線フレーム同期回路の他の構成例を示すブロック図である。図6に示す無線フレーム同期回路は、前述した第1実施形態における他の構成(図2)に対応するものであり、数式(7)を逐次的に加算演算する構成である。すなわち、評価関数値加算手段1−5が評価関数値算出手段1−3から供給される現受信信号点rkの評価価関数値C(Rk)と評価関数値記憶手段4−4から供給される数式(7)の加算演算のそれまでの値Tk−f,f,j(jは1≦j≦m−1を満たす整数)とを加算し、加算した結果Tk,f,j+1を評価関数記憶手段4−4が記憶する。
上述した動作により、フレーム同期開始の1番目のフレームからフレーム同期確立することが可能となる。加算数mを固定する場合には、フレーム同期開始のm番目のフレームで初めてTk,f,mと閾値、すなわちフレーム同期判定を行うため、フレーム同期確立時間がフレームm周期以上要していたが、本第2実施形態では、この問題を解決することが可能となる。
また、例えば、図5において、加算数m=4に固定すると、フレームF5でのTk,f,mは、C(Rk−3f)+C(Rk−2f)+C(Rk−f)+C(Rf)となるが、フレームF4、F5とも、加算数m=4のTk,f,mがいずれも閾値を下回る場合、すなわち、C(Rk−4f)+C(Rk−3f)+C(Rk−2f)+C(Rk−f)<閾値、C(Rk−3f)+C(Rk−2f)+C(Rk−f)+C(Rf)<閾値の場合、未検出となり、フレームF5時点でフレーム同期が確立できない。
一方、本第2実施形態では、フレームF5において、加算数m=5となり、フレームF4に比べ加算数が1個増えるため、例えば、フレームF1、F5の受信信号レベルが高く、フレームF2〜F5の評価関数値の加算では、閾値を超えずに未検出となるが、フレームF1〜F5の評価関数値の加算では、閾値を超えて検出することができる。すなわち、本第2実施形態は、経過時間に応じて加算数mを増やすため、経過時間の増加に伴い、未検出確率を下げることが可能となる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本第3実施形態は、上述した第2実施形態の無線フレーム同期回路において、基準時刻を経過時間に応じてリセットすることにより、加算数mに上限を設けることを目的としている。
図7は、本第3実施形態による後方保護動作を説明するためのシーケンス図である。本第3実施形態の無線フレーム同期回路のブロック構成は、上述した第2実施形態の構成と全く同一であり、加算数m制御部4−6によって加算数mを調整する。加算数m制御部4−6は、加算数mについて上限値Mを所持しており、経過時間がフレーム周期f×Mに達した場合、経過時間を0に、すなわち、基準時刻をその時刻に設定し直す。これにより、次フレームでは、加算数mは、m=1にリセットされる。
図7において、例えば、上限値M=4に設定した場合、フレームF4までは、図5と同様に動作し、経過時間f×4に達した場合、基準時刻がリセットされ、次フレームのフレームF5からは、m=1でTk,f,mが算出される。以降、フレームF6、F7、F8は、m=2、3、4で算出される。
上述した動作により、第2実施形態において、加算数mに上限を設けることができる。伝搬チャネルの変動などにより受信信号レベルが長期間著しく落ち込み、同期語が長期間雑音信号に埋もれた場合、この期間の評価関数値の信頼度は低いが、加算数mに制限が無い場合、この信頼度の低い評価関数値を長期間加算してしまう。このような状況でフレーム同期を確立するためには、この信頼度の低い評価関数値の寄与が無視できるくらい受信信号レベルの高い状態の評価関数値をある程度長期間加算していく必要があり、フレーム同期確立時間が長期化する可能性がある。このような場合には、加算値Tk,f,mを一旦ゼロクリアにして、改めて加算数m=1から取得し直す方がトータル的なフレーム同期時間を短縮できると考えられる。
本第3実施形態は、正に該加算値Tk,f,mのゼロクリアを実現する動作であり、加算数mに制限が無い場合よりも、フレーム同期確立時間を短縮することが可能である。また、閾値が加算数mに応じて変化する場合、加算数mに制限が無い場合、無限の閾値をフレーム同期判定手段1−7は、記憶及びmに応じた演算をする必要があるが、加算数mに上限があれば、記憶および演算する閾値も有限ですむ。したがって、本第3実施形態の無線フレーム同期回路は、加算数mに制限が無い場合よりも、回路規模を縮小することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本第4実施形態は、前述した第2、第3実施形態の無線フレーム同期回路において、閾値を加算数mに応じて増加させることを目的としている。
図8は、本第4実施形態による無線フレーム同期回路の構成例を示すブロック図である。なお、図4に対応する部分には同一の符号を付けている。図8において、加算数m制御部4−6は、フレーム同期判定手段6−7と接続されている。フレーム同期判定手段6−7では、閾値制御部8−7−1により、閾値を加算数mの値に応じて増加させる。すなわち、本第4実施形態では、前述した第2、第3実施形態の発明の動作に加えて、加算数m制御部4−6が指定する加算数mをフレーム同期判定手段8−7に通知し、フレーム同期判定手段8−7は、閾値を加算数mの値に応じて増加させる動作が加わる。閾値の具体的増加方法は、加算数mに応じて線形増加でも良いし、二次増加でも良く、加算数mに対する単調増加関数であれば任意の増加方法で良い。
なお、図9は、本第4実施形態による無線フレーム同期回路の他の構成例を示すブロック図である。図9に示す無線フレーム同期回路は、前述した第1実施形態における他の構成(図2)に対応する、本第4実施形態による無線フレーム同期回路の他の構成であり、数式(7)を逐次的に加算演算する構成である。すなわち、評価関数値加算手段1−5が評価関数値算出手段1−3から供給される現受信信号点rkの評価価関数値C(Rk)と評価関数値記憶手段9−4から供給される数式(7)の加算演算のそれまでの値Tk−f,f,j(jは1≦j≦m−1を満たす整数)とを加算し、加算した結果Tk,f,j+1を評価関数記憶手段9−4が記憶する。
フレーム同期判定時に閾値と比較するTk,f,mは、数式(7)より加算数mに応じて増加する。したがって、閾値を固定にすると、加算数mが増えるに伴い、同期語以外の受信信号点部分においても、Tk,f,mが閾値を超える可能性が高くなる。すなわち、誤検出確率が高まる。本第4実施形態は、加算数mに応じて閾値を増加させることにより、Tk,f,mに対応する適切な閾値を設定することを可能とし、閾値固定で生じる加算数mが増加することによる誤検出確率の増加を防ぐことができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
本第5実施形態は、前述した第2乃至第4実施形態の無線フレーム同期回路において、閾値に上限閾値と下限閾値を設けることにより、上限閾値により未検出確率を、下限閾値により誤検出確率を低減することを目的としている。
図10は、本第5実施形態による後方保護動作を説明するためのシーケンス図である。図10には、上述した第4実施形態の場合、すなわち閾値を加算数mに応じて増加させる場合を示しており、以下の本発明の他の実施形態の詳細も該図10を参照して説明する。なお、加算数mが固定の場合も全く同様の動作である。なお、本第5実施形態の無線フレーム同期回路は、図4または図8と全く同一である。
本第5実施形態は、前述した第2乃至第4実施形態の動作に加えて、以下の動作が加わる。フレーム同期判定手段1−7または8−7は、閾値として、基準時間からの経過時間ごとに上限閾値と下限閾値とを保持する。なお、上限閾値>下限閾値とする。フレーム同期判定手段1−7または8−7は、フレーム同期開始時刻を基準時刻として開始時刻から1フレーム目(フレームF1)では、1フレーム目、すなわち、加算数「1」に対応する上限閾値U1、下限閾値D1を設定する。そして、各受信信号rkの前記評価関数値C(Rk)を上限閾値U1、下限閾値D1と比較する。評価関数値C(Rk)が上限閾値U1以上の受信信号点rkは、フレーム同期位置の信頼性が十分あると判断し、その受信信号点rkをフレーム同期位置として確定して、フレーム同期処理を終了する。
フレームF1内で上限閾値U1以上の受信信号点が複数ある場合には、フレーム同期確立時間軽減を重視して最初に超えた受信信号点をフレーム同期位置にしても良いし、フレーム同期位置の信頼度、すなわち、誤検出確率の軽減を重視して、評価関数値が最大の受信信号点をフレーム同期位置にしても良い。評価関数値C(Rk)が上限閾値U1を下回るが、下限閾値D1以上の受信信号点は、フレーム同期位置候補として、その受信信号点位置と評価関数値C(Rk)とを、評価関数値記憶手段1−4(4−4、9−4)が記憶する。一方、評価関数値C(Rk)が下限値D1を下回る受信信号点は、フレーム同期位置の可能性が無いと判断して、フレーム同期位置候補からは外し、次フレーム以降からは評価関数値を計算しないものとする。
フレームF1内にて下限閾値D1以上の受信信号点が存在しなかった場合には、フレーム同期位置候補点無しと判断し、初期状態にリセット、すなわち、基準時刻を、再度、1にリセットする。以上より、次フレームにフレーム同期処理が継続するのは、フレームF1内で評価関数値C(Rk)が上限閾値U1以上の受信信号点が存在せず、かつ下限閾値D1以上の受信信号点が存在する場合である。図10では、このケースを例に挙げ、下限閾値D1以上の受信信号点をrk1、rk2、rk3、それに対応する評価関数値をC(Rk1)、C(Rk2)、C(Rk3)とする。
次フレーム、すなわち、基準時間からフレーム2番目(フレームF2)では、受信信号点rk1、rk2、rk3と同一受信信号点rk1+f、rk2+f、rk3+fのみ、評価関数値C(Rk1+f)、C(Rk2+f)、C(Rk3+f)を計算し、経過時間2フレーム目に対応する評価関数値の加算値Tk1+f,f,2、Tk2+f,f,2、Tk3+f,f,2を算出する。なわち、
Tk1+f,f,2=C(Rk1)+C(Rk1+f)、
Tk2+f,f,2=C(Rk2)+C(Rk2+f)、
Tk3+f,f,2=C(Rk3)+C(Rk3+f)
を算出する。
そして、2番目のフレームF2の上限閾値U2と下限閾値D2と、各々、比較し、フレームF1と同様の処理を行う。すなわち、上限閾値U2以上の受信信号点が存在する場合には、その受信信号点をフレーム同期位置と確定し、フレーム同期処理を終了する。上限閾値U2を下回るが、下限閾値D2以上の受信信号点は、フレーム同期位置候補して継続し、評価関数値記憶手段1−4(4−4、9−4)が受信信号点位置とこれまでの評価関数値加算値とを記憶する。なお、次フレームで評価関数値の加算値が計算できれば、これまでの各フレームの評価関数値などのような形で記憶しても良い。また、下限閾値D2以上の受信信号点が存在しない場合には、初期状態に戻り、基準時刻を0にリセットする。以降、次フレーム、すなわち、基準時間から3番目のフレームF3以降で、同様の処理を行う。
図10においては、フレームF2では、Tk2+f,f,2が下限閾値D2を下回るため、受信信号点rk2をフレーム同期位置候補から外し、Tk1+f,f,2,Tk3+f,f,2が上限閾値U1を下回り、下限閾値D1以上となるため、受信信号点rk1,rk3をフレーム同期位置候補として残して、3番目のフレームF3へ移行している。
フレームF3では、フレーム同期位置候補に残った受信信号点rk1,rk3に対して、経過時間3フレーム目に対応する評価関数値の加算値Tk1+2f,f,3,Tk3+3f,f,3を算出する。そして、フレーム3番目に対応する上限閾値U3、下限閾値D3と比較した結果、いずれの受信信号点も下限閾値D3を下回ったため、初期状態にリセット、すなわち、基準時刻が0にリセットされている。そして、フレームF4では、基準時刻からの経過時間フレーム1番目としてフレームF1と同じ処理を行う。以下、フレームF5、F6では、基準時刻からの経過時間フレーム2番目、3番目としてフレームF2、F3と同じ処理を行う。そして、フレームF6にて、受信信号点rj1の評価関数値の加算値Tj1,f,3が上限閾値U3を超えたため、受信信号点rj1をフレーム同期位置として確立し、フレーム同期処理を終了する。
上述した動作により、毎フレーム、評価関数値の加算値を上限閾値Ui(i=1、2、3)と下限閾値Di(i=1、2、3)を比較することができる。上限閾値Uiは、フレーム同期位置を確立させるための、前述した第1乃至第4実施形態の閾値と同等の役割を持ち、下限閾値Diは、フレーム同期位置の可能性が著しく低い受信信号点を、次フレーム以降で評価関数値の加算演算させることを省く役割持つ。したがって、本第5実施形態により、第1乃至第4実施形態と同等の「未検出」、「誤り検出」確率を維持しながら、第1乃至第4実施形態よりも、評価関数値記憶手段1−4(2−4、4−4、9−4)の記憶量、及び評価関数値算出手段1−3、評価関数値加算手段1−5の演算量を軽減することが可能となる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
本第6実施形態は、前述した第1乃至第5実施形態において、評価関数値算出手段が算出する評価関数値C(Rk)の具体的関数形を指定したものである。
まず、第6実施形態の変形例1について説明する。該変形例1は、評価関数値C(Rk)を、受信信号ベクトルRkと同期語ベクトルSとの相互相関値としたものであり、具体的演算式は、数式(7)である。
図11は、本第6実施形態の変形例1において、相互相関値を演算する評価関数値算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。該変形例1の評価関数値算出手段1−3は、複素内積演算部8−1、ノルム演算部8−2、8−3、徐算部8−4から構成される。
複素内積演算部8−1、ノルム演算部8−2、8−3により、受信信号ベクトルRkと同期語ベクトルSの複素内積値、及びノルムが各々算出され、徐算部8−4により互いを徐算することにより、最終的に数式(7)で示される相互相関値が計算される。該相互相関値は、同期語ベクトルSのマッチドフィルタに相当するため、同期語ベクトルS区間で伝搬チャネルが変動しなければ、同期語ベクトルS部分での評価関数値を最大にする。同期語ベクトルS部分での評価関数は、未検出確率と比例関係であることから、本第6実施形態は、未検出確率を最小にすることができる。
次に、本第6実施形態の変形例2について説明する。該変形例2は、同期語ベクトルSが周期aの周期系列とし、評価関数値C(Rk)を受信信号ベクトルRkの時間間隔aの自己相関値としたものである。具体的演算式は、数式(8)である。
図12は、本第6実施形態の変形例2において、自己相関値を演算する評価関数値算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。該変形例2の評価関数値算出手段1−3は、上記変形例1に対して、遅延部Z−a9−1を付け加えたものである。
受信信号ベクトルRk+aに対して、遅延部Z−a9−1によりRk+aをaだけ遅延させた受信信号系列Rkを生成し、Rk+a,aとRk,aの相互相関を演算することによって、数式(8)に示される時間間隔aの自己相関値が生成される。同期語ベクトルSが周期aを有することから時間間隔aの自己相関値は、同期語ベクトルS部分でその他の部分よりも大きな値を持つ。キャリア周波数オフセットなどで同期語ベクトルS区間内に一定の位相回転が生じる場合、上記変形例1の相互相関値は、複素内積演算時の各項が異なる位相を持つため、積和時に互いに打ち消し合い、相互相関値が低下する。これに対して、該変形例2の自己相関値は、複素内積演算時に各項の位相が揃うため、自己相関値が低下することがない。したがって、該変形例2は、キャリア周波数オフセットなどで同期語ベクトルS区間内に位相回転する場合でも、未検出確率の劣化を防ぐことができる。
次に、本第6実施形態の変形例3について説明する。該変形例3は、同期語ベクトルSが原系列Bの差動符号化として、評価関数値C(Rk)を、受信信号ベクトルRk+1とRkの各要素を遅延検波した系列Rdiff(k)と原系列Bとの相互相関値としたものである。具体的演算式は、数式(9)である。
図13は、本第6実施形態の変形例3において、相互相関値を演算する評価関数値算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。該変形例3の評価関数値算出手段1−3は、上記変形例1(図11)に対して、遅延部Z−110−1、複素共役部10−2、乗算部10−3を付け加えたものである。
受信信号ベクトルRk+1に対して、遅延部Z−110−1によりRk+1を1だけ遅延させた受信信号系列Rkを生成する。そして、Rkの各要素を複素共役部10−2により複素共役した後、Rk+1の各要素と乗算部10−3により乗算する。その後、同期語ベクトルSの原系列Bと相互相関値とを演算することによって、数式(9)で示される相互相関値を算出する。該相互相関値は、キャリア周波数オフセットなどで同期語ベクトルS区間内に位相が回転しても、変形例2の自己相関値と同様、複素内積演算時に各項の位相が揃うため、相互相関値が低下することが無い。また、変形例2と異なり、同期語ベクトルSの周期性を必要とせず、任意の信号列に対して実現することが可能である。すなわち、任意の同期語ベクトルSに対して、キャリア周波数オフセットなどで同期語ベクトルS区間内に位相回転する場合でも、未検出確率を維持することが可能となる。
次に、本第6実施形態の変形例4について説明する。該変形例4は、変形例1の相互相関値の演算を、受信信号系列Rkをビット列に復調してから行うことによって、相互相関演算を2値演算で済ますことを目的としている。
図14は、本第6実施形態の変形例4における、評価関数算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。該変形例4の評価関数値算出手段1−3は、上記変形例1(図11)に対して、復調部11−1を追加したものである。
受信信号ベクトルRkを復調部11−1でビット列に復調した後、上記変形例1と全く同じ動作をさせる。同期語ベクトルSを2値とすれば、相互相関値の演算は、全て2値演算となり、複素内積演算部8−1を、排他的論理和後に加算するだけの簡単な内積演算回路に置き換えることが可能である。また、ノルム演算部8−2、8−3が算出するノルムは、一定値√dとなるので、ノルム演算部8−2、8−3を、単純に一定値√dを出力する回路に置き換えることが可能である。したがって、該変形例4は、上述した変形例1より評価関数値算出手段1−3の演算規模を大幅に軽減することが可能である。
次に、本第6実施形態の変形例5について説明する。該変形例5は、変形例2の自己相関値の演算を、受信信号系列Rkをビット列に復調してから行うことによって、自己相関演算を2値演算で済ますことを目的としている。
図15は、本第6実施形態の変形例5における、評価関数算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。該変形例5の評価関数値算出手段1−3は、上述した変形例2(図12)に対して、復調部11−1を追加したものである。
受信信号ベクトルRkを復調部11−1でビット列に復調した後、上記変形例2と全く同じ動作をさせる。自己相関値の演算は、全て2値演算となり、複素内積演算部8−1を、排他的論理和後に加算するだけの簡単な内積演算回路に置き換えることが可能である。また、ノルム演算部8−2、8−3が算出するノルムは、一定値√(d−a)となるので、ノルム演算部8−2、8−3を、単純に一定値√(d−a)を出力する回路に置き換えることが可能である。したがって、該変形例5は、上述した変形例2より評価関数値算出手段1−3の演算規模を大幅に軽減することが可能である。
次に、本第6実施形態の変形例6について説明する。該変形例6は、上記変形例3の相互相関値の演算を、受信信号系列Rkをビット列に復調してから行うことによって、相互相関演算を2値演算で済ますことを目的としている。
図16は、本第6実施形態の変形例6における、評価関数算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。該変形例6の評価関数値算出手段1−3は、上述した変形例3(図13)に対して、遅延部Z−110−1、複素共役部10−2、徐算部10−3の代わりに遅延検波復調部13−1を追加したものである。
受信信号ベクトルRkを遅延検波復調部13−1でビット列に復調した後、上述した変形例4と全く同じ動作をさせる。同期語ベクトルSを2値とすれば、相互相関値の演算は、全て2値演算となり、複素内積演算部8−1を、排他的論理和後に加算するだけの簡単な内積演算回路に置き換えることが可能である。また、ノルム演算部8−2、8−3が算出するノルムは一定値√(d−1)となるので、ノルム演算部8−2、8−3を、単純に一定値√(d−1)を出力する回路に置き換えることが可能である。したがって、該変形例6は、上述した変形例4より評価関数値算出手段1−3の演算規模を大幅に軽減することが可能である。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について説明する。本第7実施形態は、前述した第1実施形態に対して、各フレームの同一受信信号点の受信信号ベクトルRkを、1つの受信信号ベクトルと見なすことによって、同期語ベクトルSの同期語長を実質的に延長化することを目的としている。
図17は、本第7実施形態による無線フレーム同期回路の構成例を示すブロック図である。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付ける。無線フレーム同期回路は、同期語生成部1−1、バッファ部1−2、拡張同期語ベクトル生成部14−4、拡張受信信号ベクトル生成部14−5、要素数m制御部14−3、評価関数値算出手段1−3、及びフレーム判定手段1−7から構成される。
拡張同期語ベクトル生成部14−4は、同期語生成部14−1から供給される同期語ベクトルをm個分並べた拡張同期語ベクトルを生成する。拡張受信信号ベクトル生成部14−5は、バッファ部14−2から供給される受信信号ベクトルRkから、受信信号点rkに対してm−1フレーム前の同一受信信号点の受信信号ベクトルを並べた拡張受信信号ベクトルを生成する。要素数m制御部14−3は、拡張同期語ベクトル生成部14−4、拡張受信信号ベクトル生成部14−5における、要素数mを制御する。
次に、各構成要素の具体的動作について説明する。同期語生成部14−1から同期語ベクトルSが出力され、拡張同期語ベクトル生成部14−4は、要素数m制御部14−3から指定されるmに基づいて、同期語ベクトルSをm個分並べて、次式(9)で示される拡張同期語ベクトルSmを生成する。
また、バッファ部14−2は、各受信信号点rkから受信信号ベクトルRkが出力され、拡張受信信号ベクトル14−5は、受信信号手点rkに対して、要素数m制御部14−3から指定されるmに基づいて、m−1フレーム前からの同一受信信号点rk−(m−1)f、rk−(m−2)f、…、rk−2f、rk−f、rkの受信信号ベクトルRk−(m−1)f、Rk−(m−2)f、…、Rk−2f、Rk−f、Rkをm個並べて、次式(10)で示される拡張受信信号ベクトルR(k,m)を生成する。
なお、要素数m制御部14−3が指定するmは、固定値でも良いし、基準時間からの経過時間に応じて変化させても良い。例えば、前述したように、m=round(k/f)が挙げられる。
次に、評価関数値算出手段1−3は、拡張同期語ベクトルSmと拡張受信信号ベクトルR(k,m)との一致性を定量化する評価関数値fs(R(k,m))を各受信信号点で算出する。なお、評価関数値fs(R(k,m))の具体的例として、前述した第1実施形態と同様に、拡張同期語ベクトルSm、拡張受信信号ベクトルR(k,m)の相互相関値として、次式(11)で求める。
あるいは、同期語ベクトルSが周期aの周期系列とし、拡張受信信号ベクトルR(k,m)の時間間隔aの自己相関値として、次式(12)で求める。
但し、R(k、m)(A:B)は、R(k、m)の第A列目から第B列目を抜き取ったベクトルである。
あるいは、同期語ベクトルSが原系列Bの差動符号化として、拡張受信信号ベクトルR(k,m)の各要素の各受信信号ベクトルRkに対して、各受信信号ベクトルRk+1とRkの各要素を遅延検波した系列Rdiff(k)を作り、これを各受信信号ベクトル分だけ並べた系列と原系列Bをm個分並べた系列との相互相関値として、次式(13)で求める。
なお、数式(11)〜(13)の具体的実施形態と効果については後述する。また、説明を簡単にするため、評価関数値f’s(R(k,m))をC’(R(k,m))と表記することとする。
以上から、評価関数値算出手段1−3からフレーム同期判定手段1−7に、受信信号点rkごとにC’(R(k,m))が供給される。そして、フレーム同期判定手段1−7は、前述した第1実施形態と全く同様の動作により、フレーム同期位置を確定する。
上述した動作により、本第7実施形態は、前述した第1実施形態における評価関数値の加算値Tk,f,mの代わりに、評価関数値C’(R(k,m))を用いて、フレーム同期判定手段1−7により閾値判定を行う。すなわち、前述した第1実施形態では、各フレームの同期語ベクトルSと受信信号ベクトルRkを用いた評価関数値C(Rm)とを、mフレーム分加算することによって、誤検出確率を軽減していた。これに対し、本第7実施形態は、拡張同期語ベクトルSmと拡張受信信号ベクトルR(k,m)とを生成することにより、実質同期語長をd→d×f倍延長化することにより、誤検出確率を軽減する。
誤検出確率は、検出すべき同期語ベクトルS部分と比べ、その他の受信信号部分の評価関数値が小さいほど軽減できる。そこで、両者の評価関数値を、前述した第1実施形態と本第7実施形態の各場合について見積もり、本第7実施形態の方が同期語ベクトルS部分以外の評価関数値が低くなり、誤検出確率が低減できることを説明する。具体的には、同期語ベクトルS部分の評価関数値と同期語ベクトルS部分以外の評価関数値との比を比較する。なお、評価関数値としては、両者の相互相関値を用いる。
第1実施形態において、同期語ベクトルS部分の評価関数値は、受信信号ベクトルRkと同期語ベクトルSが完全に一致するので、次式(14)で示すようになる。
また、同期語ベクトルS以外の部分の評価関数値は、受信信号ベクトルRkと同期語ベクトルSの前記複素内積値はランダム値の和となるので、次式(15)で示すようになる。
但し、N(0,σ2)は、標準偏差σの正規分布とする。
上記数式(14)と数式(15)の比をとると、次式(16)に示すようになる。
次に、本第7実施形態において、同期語ベクトルS部分の評価関数値は、拡張受信信号ベクトルR(k,m)と拡張同期語ベクトルSmが完全に一致するので、次式(17)に示すようになる。
また、同期語ベクトルS以外の部分の評価関数値は、拡張受信信号ベクトルR(k,m)と拡張同期語ベクトルSmの複素内積値はランダム値の和となるので、次式(18)に示すようになる。
上記数式(17)と数式(18)の比をとると、次式(19)に示すようになる。
このように、本第7実施形態による数式(19)から明らかなように、第1実施形態による数式(16)に比べ、分散を1/√m倍小さくできる。したがって、第1実施形態よりも本第7実施形態の方が同期語ベクトルS以外の部分の評価関数値の分散値を低くくでき、誤検出確率を低減できる。なお、上述した比較は、評価関数値として相互相関値を用いたが、自己相関値や、差動符号化を用いた自己相関値を用いても同様である。
次に、本第7実施形態による後方保護動作について説明する。
図18は、本第7実施形態による後方保護動作を説明するためのシーケンス図である。なお、要素数mは、固定値とし、本第7実施形態では4とする。図18と図3から明らかな通り、本第7実施形態の後方保護動作は、前述した第1実施形態と全く同様の効果を持つ。すなわち、従来技術の無線フレーム同期回路では、「最終的に未検出」となるような後方保護段数+1フレーム間で受信信号レベルが著しく落ち込むフレームが存在しても、本第7実施形態では、その前後フレームで十分受信信号レベルが高ければ、最終的な評価関数値が閾値を上回ることが可能であり、フレーム同期を確立することができる。
また、あるフレームで受信信号が落ち込んだときも、従来技術の無線フレーム同期回路のように初期状態には戻らず、継続して次フレームでも同様の後方保護動作を継続するため、フレーム同期確立時間を伝搬チャネルが変化しない静環境下と同程度に抑えることが可能となる。また、最終的に評価関数値が閾値を超える受信信号点がある場合、フレーム同期位置としての信頼度を反映する軟判定値の評価関数値C’(R(k,m))を持つため、従来技術の無線フレーム同期回路と異なり、各受信信号点の中から最も信頼度の高い受信信号点をフレーム同期位置に選択することが可能となる。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
本第8実施形態は、前述した第2実施形態の第1実施形態に対する関係と全く同様に、第7実施形態に対して、要素数mを基準時刻からの経過時間に応じて変化させることを目的としている。
図19は、本第8実施形態による無線フレーム同期回路の構成例を示すブロック図である。本第8実施形態は、第2実施形態のブロック構成例と第1実施形態のブロック構成例の関係と全く同様に、図17に示す第7実施形態のブロック構成例に対して、要素数m制御部16−3がバッファ部1−2と接続されている点だけが異なる。要素数m制御部16−3は、バッファ部1−2からの受信信号点をカウントすることによって、基準時間からの経過時間をカウントする。なお、要素数m制御部16−3が経過時間をカウントできれば、どのような構成でも構わない。要素数mは、第2実施形態の加算数mと全く同様に決定される。
図20は、本第8実施形態による後方保護動作を説明するためのシーケンス図である。図20と図5から明らかな通り、本第8実施形態による後方保護動作は、図5に示す第2実施形態による後方保護動作と評価関数値の演算式以外は全く同様に動作する。したがって、本第8実施形態の効果は、第2実施形態と全く同様である。すなわち、要素数mを固定とする第7実施形態と比べ、本第8実施形態は、経過時間に応じて要素数mを増やすことができるため、経過時間の増加に伴い、未検出確率を軽減することが可能である。
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態について説明する。
本第9実施形態は、第3実施形態の第2実施形態に対する関係と全く同様に、第8実施形態に対して、基準時間を経過時間に応じてリセットし、要素数mに上限を設けることを目的としている。
図21は、本第9実施形態による後方保護動作を説明するためのシーケンス図である。図21と図7から明らかな通り、本第9実施形態による後方保護動作は、図7に示す第3実施形態による後方保護動作と評価関数値の演算式以外は全く同様に動作する。したがって、本第9実施形態の効果は、第3実施形態と全く同様である。すなわち、伝搬チャネルの変動などにより受信信号レベルが長期間著しく落ち込んだ場合、第8実施形態では、暫くこの期間の寄与を引きずるため、この期間の寄与が無視できる程度に受信信号レベルの高い区間が経過する。このため、フレーム同期位置を確立できないが、本第9実施形態では、要素数mをゼロリセットできるため、このような長期間落ち込んだ受信信号の影響をすぐに排除でき、フレーム同期確立時間を短縮することができる。
また、閾値が要素数mに応じて変化する場合、第8実施形態では、フレーム同期判定手段1−7は、閾値を無限に記憶またはmに応じた演算を行う必要がある。これに対して、本第9実施形態では、要素数mに上限があるため、閾値の記憶または演算が有限で済むため、回路規模を縮小することができる。
<第10実施形態>
次に、本発明の第10実施形態について説明する。
本第10実施形態は、第4実施形態の第2、第3実施形態に対する関係と全く同様に、第8、第9実施形態に対して、閾値を要素数mに応じて増加させることを目的としている。
図22は、本第10実施形態による無線フレーム同期回路の構成例を示すブロック図である。本第10実施形態は、第4実施形態のブロック構成例と第2実施形態のブロック構成例の関係と全く同様に、図19に示す第8実施形態のブロック構成例に対して、要素数m制御部19−3がフレーム同期判定手段19−7と接続されている点だけが異なる。フレーム同期判定手段19−7では、閾値制御部19−7−1により、閾値を加算数mの値に応じて増加させる。
本第10実施形態は、第8、第9実施形態請求項の動作に対して、要素数m制御部19−3が要素数mをフレーム同期判定手段19−7に通知し、フレーム同期判定手段19−7が閾値を要素数mに応じて増加させる動作が加わる。
したがって、本第10実施形態の効果は、第4実施形態と全く同様である。すなわち、要素数mに応じて適切な閾値を設定することが可能となるため、閾値を固定にした場合に生じる要素数mの増加に伴う誤検出確率が高くなることを防ぐことができる。
<第11実施形態>
次に、本発明の第11実施形態について説明する。
本第11実施形態は、第5実施形態における、第2乃至第4実施形態に対する関係と全く同様に、第8乃至第10実施形態に対して、閾値に上限閾値と下限閾値を設けることにより、上限閾値により未検出確率を低減し、下限閾値により誤検出確率を低減することを目的としている。
図23は、本第11実施形態による後方保護動作を説明するためのシーケンス図である。図23と図10から明かな通り、本第11実施形態による後方保護動作は、図10に示す第5実施形態による後方保護動作と評価関数値の演算式以外は、全く同様に動作する。したがって、本第11実施形態の効果は、第5実施形態と全く同様である。すなわち、毎フレーム、評価関数値C’(R(k,m))を上限閾値Ui(i=1、2、3)、下限閾値Di(i=1、2、3)と比較することができる。
上限閾値は、フレーム同期を確立させるための第7乃至第10実施形態の閾値と同等の役割を持ち、下限閾値は、フレーム同期位置の可能性が著しく低い受信信号点では、次フレーム以降で評価関数値を算出させない役割を持つ。したがって、本第11実施形態により、第7乃至第10実施形態よりも、評価関数値算出手段1−3の演算量を軽減することが可能となる。
<第12実施形態>
次に、本発明の第12実施形態について説明する。
本第12実施形態は、第6実施形態と第1乃至第5実施形態の関係と同様に、第7乃至第11実施形態において、評価関数値算出手段1−3が算出する評価関数値C’(R(k,m))の具体的関数形を指定したものである。以下、第12実施形態の変形例1から順に説明する。
本第12実施形態の変形例1は、前述した第6実施形態の変形例1と同様に、評価関数値C’(R(k,m))を、拡張受信信号ベクトルR(k,m)と拡張同期語ベクトルSmの相互相関値としたものであり、具体的演算式は、数式(11)である。
図24は、本第12実施形態の変形例1による評価関数値算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。図24は、第6実施形態の変形例1における評価関数値算出手段1−3(図11)と全く同一であり、各ブロックの動作と本第12実施形態の変形例1による効果も第6実施形態の変形例1による評価関数値算出手段1−3と同一である。したがって、その詳細はここでは割愛する。
次に、本第12実施形態の変形例2は、前述した第6実施形態の変形例2と同様に、同期語Sが周期aの周期系列とし、評価関数値C’(R(k,m))を拡張受信信号ベクトルR(k,m)の時間間隔aの自己相関値としたものである。具体的演算式は、数式(12)である。
図25は、本第12実施形態の変形例2による評価関数値算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。図25は、第6実施形態の変形例2における評価関数値算出手段1−3(図12)と全く同一であり、各ブロックの動作と本第12実施形態の変形例2による効果も第6実施形態の変形例2による評価関数値算出手段1−3と同一である。したがって、その詳細はここでは割愛する。
次に、本第12実施形態の変形例3は、前述した第6実施形態の変形例3と同様に、同期語ベクトルSが原系列Bの差動符号化列とし、評価関数値C’(R(k,m))を、拡張受信信号ベクトルR(k,m)を遅延検波した系列Rdiff(k,m)と原系列Bをm個並べた系列との相互相関値としたものである。但し、Rdiff(k,m)は、拡張受信信号ベクトルR(k,m)を構成する受信信号ベクトルRk−(m−1)f、Rk−(m−2)f、…、Rk−f、Rk毎に遅延検波を行い、各遅延検波後の受信信号ベクトルRdiff((m−1)k)、Rdiff((m−2)k)、…、Rdiff(k−f)、Rdiff(k)を並べたものとする。具体的演算式は、数式(13)である。
図26は、本第12実施形態の変形例3による評価関数値算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。図26は、第6実施形態の変形例3における評価関数値算出手段1−3(図13)に対して、遅延部Z−110−1の前段に受信信号ベクトル分解部23−1が加わり、複素内積演算器8−1の前段にバッファ部23−5、バッファ部23−6が加わる。
受信信号ベクトル分解部23−1は、拡張受信信号ベクトルR(k,m)に対して、R(k,m)を構成する各受信信号ベクトルRk−(m−1)f、Rk−(m−2)f、…、Rk−f、Rkに分解し、後段の遅延部Z−110−1、複素共役10−2、乗算器10−3は、受信信号ベクトルRk−(m−1)f、Rk−(m−2)f、…、Rk−f、Rk単位で処理が行われる。すなわち、受信信号ベクトルRk−(m−1)f、Rk−(m−2)f、…、Rk−f、Rk単位で遅延検波動作が行われる。
また、同期語ベクトルの差動符号化の原系列Bは、バッファ部23−5に入力され、原系列Bをm個並べた系列が生成される。また、同じくバッファ部23−6により、受信信号ベクトルRk−(m−1)f、Rk−(m−2)f、…、Rk−f、Rkを遅延検波したものを並べた系列が生成される。以下、複素内積演算部8−1、ノルム演算部8−2、ノルム演算部8−3、徐算器8−4により両者の相互相関値が演算される。本第12実施形態の変形例3の効果は、第6実施形態の変形例3と同一なので、ここでは割愛する。
次に、本第12実施形態の変形例4は、前述した第6実施形態の変形例4と、第6実施形態の変形例1との関係と同様に、第12実施形態の変形例1に対して、拡張受信信号ベクトルR(k,m)をビット列に復調してから行うことにより、相互相関演算を2値演算で済ますことを目的としている。
図27は、本第12実施形態の変形例4による評価関数値算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。図27は、本第12実施形態の変形例1による評価関数値算出手段1−3(図24)に対して、拡張受信信号ベクトル入力後にビット列に復調する復調部24−1を加えただけである。復調部24−1で各張受信信号ベクトルをビット列に復調した後は、第12実施形態の変形例1と全く同じ動作となる。本第12実施形態の変形例4の効果は、前述した第6実施形態の変形例4と同一なので、ここでは割愛する。
次に、本第12実施形態の変形例5は、前述した第6実施形態の変形例5と、第6実施形態の変形例2の関係と同様に、第12実施形態の変形例2に対して、自己相関値の演算を、拡張受信信号ベクトルR(k,m)をビット列に復調してから行うことにより、各相関演算を2値演算で済ますことを目的としている。
図28は、本第12実施形態の変形例5による評価関数値算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。図28は、上記第12実施形態の変形例2(図25)に対して、拡張受信信号ベクトル入力後にビット列に復調部24−1を加えただけである。復調部24−1で各張受信信号ベクトルをビット列に復調した後は、上記第12実施形態の変形例2と全く同じ動作となる。本第12実施形態の変形例5の効果は、前述した第6実施形態の変形例5と同一なので、ここでは割愛する。
次に、本第12実施形態の変形例6は、上記第6実施形態の変形例6と第6実施形態の変形例3の関係と同様に、本第12実施形態の変形例3に対して、相互相関値の演算を、拡張受信信号ベクトルR(k,m)を遅延検波によりビット列に復調してから行うことにより、自己相関演算を2値演算で済ますことを目的としている。
図29は、本第12実施形態の変形例6による評価関数値算出手段1−3の構成例を示すブロック図である。図29は、本第12実施形態の変形例3(図26)に対して、遅延部Z−110−1、複素共役部10−2、乗算部10−3の代わりに、遅延検波復調部26−1を加えたものである。遅延検波復調部26−1は、受信信号ベクトル分解部23−1により分解された受信信号ベクトルRk−(m−1)f、Rk−(m−2)f、…、Rk−f、Rkに対して、各受信信号ベクトルRk−(m−1)f、Rk−(m−2)f、…、Rk−f、Rk単位に遅延検波を行い、ビット列に復調する。以降の動作は、本第12実施形態の変形例3と全く同じである。本第12実施形態の変形例6の効果は、前述した第6実施形態の変形例6と同一なので、ここでは割愛する。
<第13実施形態>
次に、本発明の第13実施形態について説明する。
本第13実施形態は、前述した第12実施形態の変形例1、変形例3、変形例4、変形例6において、評価関数値C’(R(k,m))を、相互相関値に相関演算時の加算項数の平方根を乗算した値とすることにより、同期語ベクトルS部分以外の評価関数値C’(R(k,m))を要素数mに依存させないことを目的としている。
図30は、本第13実施形態による無線フレーム同期回路の構成例を示すブロック図である。図30において、要素数m制御部27−3は、前述した第7実施形態の無線フレーム同期回路(図17)に対して、評価関数値算出手段27−6と接続される。要素数m制御部27−3は、指定する要素数mを評価関数値算出手段27−6に通知し、評価関数値算出手段27−6は、指定された要素数mに基づいて、評価関数値を以下のように算出する。
以下、評価関数値の具体的算出式について、第12実施形態の変形例1、変形例3における数式(11)、(13)からの差異を示すことにより説明する。なお、上述した説明は、第7実施形態の無線フレーム同期回路のブロック構成例を基に説明したが、第8実施形態の無線フレーム同期回路のブロック構成例(図20)、第10実施形態の無線フレーム同期回路のブロック構成例(図22)を基にしても全く同様である。
まず、前述した第12実施形態の変形例1に対する評価関数形fs’(R(k、m))の差異について説明する。数式(11)において、fs’(R(k、m))に対して複素内積値<Sm|R(k、m)>のの加算項数のへ平方根√(m×d)を乗算する。すなわち、次式(20)で表わされる演算を行う。
なお、加算項数の平方根√(m×d)は拡張同期語ベクトルSmのノルム|Sm|に等しく、数式(20)は、次式(21)となる。
となる。
次に、前述した第12実施形態の変形例3に対する評価関数形fs’(R(k、m))の差異について説明する。数式(11)において、fs’(R(k、m))に対して複素内積値<Bm|Rdiff(k、m)>の加算項数の平方根√(m×(d−1))を乗算する。すなわち、次式(22)で表わされる演算を行う。
なお、加算項数の平方根√(m×(d−1))はベクトルBmのノルム|Bm|に等しく、数式(22)は、次式(23)となる。
すなわち、数式(11)、(13)において、各々、ノルム|Sm|、ノルム|Bm|を分母から消したものが、本第13実施形態における評価関数値C’(R(k,m))である。
ここで、図31は、上述した演算を実現する評価関数算出手段27−6の構成例を示すブロック図である。また、図32(a)、(b)は、上述した演算を実現する評価関数算出手段27−6の他の構成例を示すブロック図である。図31に示す構成例は、相互相関演算時加算項数算出部27−6−1により相関演算時の加算項数を算出し、乗算部27−6−2により該相関演算時の加算項数を相互相関値に対して乗算することによって、最終的な評価関数値C’(R(k,m))を算出する構成である。また、図32(a)、(b)に示す他の構成例は、図24、図26に示される第12実施形態の変形例1、変形例3のブロック構成例から、各々、|Sm|、|Bm|のノルム演算部8−3を省くことにより、最終的な評価関数値C’(R(k,m))を算出する構成であり、どちらを用いても良い。
次に、本第13実施形態の効果、すなわち、本第13実施形態における数式(21)、(23)の、第12実施形態の変形例1、変形例3における数式(11)、(13)に対する優位性を説明するために、数式(18)と同様に同期語ベクトルS部分以外の評価関数値を比較する。
まず、数式(11)と数式(21)の同期語ベクトルS部分以外の評価関数値C’(R(k,m))について説明する。拡張受信信号ベクトルR(k,m)と拡張同期語ベクトルSmの複素内積値は、ランダム値の和となるので、数式(11)は、次式(24)で表わされる。
また、数式(21)は、次式(25)で表わされる。
次に、数式(13)と数式(23)の同期語ベクトルS部分以外の評価関数値C’(R(k,m))について説明する。ベクトルRdiff(k,m)とベクトルBmとの複素内積値は、ランダム値の和となるので、数式(13)は、次式(26)で表わされる。
また、数式(23)は、次式(27)で表わされる。
なお、上記数式(24)〜(27)において、N(0,σ2)は、平均値0、標準偏差σの正規分布である。上述したように、第12実施形態の変形例1、変形例3における同期語ベクトルS部分以外の評価関数値の標準変差は、数式(24)、数式(26)により要素数mに依存する。誤検出確率は、この同期語ベクトルS部分以外の評価関数値と閾値の大小関係に依存するため、第12実施形態の変形例1、変形例3では、誤検出確率を要素数mによらずに所要確率値以下にするためには、要素数mに応じて適切な閾値に変更する必要がある。一方、本第13実施形態における同期語ベクトルS部分以外の評価関数値の標準偏差は、数式(25)、数式(27)により要素数mに依存しない。したがって、本第13実施形態では、要素数mによらず閾値一定により、誤検出確率を要素数mによらずに所要確率値以下にすることが可能となる。すなわち、第12実施形態の変形例1、変形例3よりも閾値設定が簡易にすることができる。