JP5183157B2 - 新規な塞栓形成組成物 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は組成物のカテーテル送出により血管病変を治療するのに特に適している血管塞栓形成に新規な組成物に関する。特に、本発明の組成物は生体適合性ポリマー、生体適合性溶媒及び約10μm以下の平均粒子サイズを有することを特徴とする生体適合性水不溶性造影剤を含む。
下記の刊行物が上付き数字としてこの出願に引用される。
1Mandaiら,"セルロースアセテートポリマーによる動脈瘤の直接の塞栓形成",J.Neurosurg.,77:497-500(1992)
2Kinugasaら,"セルロースアセテートポリマーによる動脈瘤の直接の塞栓形成"J.Neurosurg.,77:501-507(1992)
3Casarett及びDoullの毒物学,Amdurら編集,PergamonPress,NewYork,661-664頁(1975)
4Greffらの1995年7月27日に出願された"血管塞栓形成用の新規な組成物"に関する米国特許出願第08/507,863号
5Greffらの1995年7月27日に出願された"血管塞栓形成用のセルロースジアセテート組成物"に関する米国特許出願第08/508,248号
6Kinugasaら,"動脈瘤の破裂を阻止した後のクモ膜下出血の早期治療",J.Ne-urosurg.,83:34-41(1995)
7Kinugasaら,"新たな出血を阻止し、動脈瘤手術を遅らせるための予防塞栓形成",Neurosurg.,36:661 (1995)
8Takiら,"巨大な動脈瘤の治療における種々の血管内技術の選択及び組み合わせ",J.Neurosurg.,77:37-42(1992)
9Evansらの1996年5月31日に出願された"血管塞栓形成用の新規な組成物"に関する米国特許出願第08/655,822号
10Castaneda-Zunigaら,介入放射線学,Vascular Embolotherapy,Part 1,1:9-32,Williams&Wilkins,Publishers(1992)
11Rabinowitzらの9/8/70に発行された"組織を一緒に手術により結合する方法"に関する米国特許第3,527,224号
12Hawkinsらの7/6/71に発行された"外科用接着剤組成物"に関する米国特許第3,591,676号
13Evansらの代理人書類番号018413-007として1996年5月31日に出願された"雄哺類の可逆滅菌方法"に関する米国特許出願第08/655,987号
14Evansらの代理人書類番号018413-014として1996年5月31日に出願された"雌哺乳類の可逆滅菌方法"に関する米国特許出願第08/656,394号
血管の塞栓形成は、腫瘍の治療、病変、例えば、動脈瘤、動静脈異常形成(AVM)、動静脈痩(AVF)、調節されない出血等の治療を含む種々の目的のために行われる。
本発明は、水不溶性造影剤の粒子サイズが組成物のカテーテル送出中に一致して視覚化し得る塞栓形成組成物を得るのに重要であるという新規かつ予測されない発見に関する。詳しくは、塞栓形成組成物のX線透視視覚化が約10μm以下の平均粒子サイズを有する水不溶性造影剤を使用することにより一致して得られることがわかった。
(a)約2.5重量%から約8.0重量%までの生体適合性ポリマー、
(b)約10μm以下の平均粒子サイズを有する約10重量%から約40重量%までの水不溶性、生体適合性造影剤、及び
(c)約52重量%から約87.5重量%までの生体適合性溶媒
(ポリマー、造影剤及び生体適合性溶媒の重量%は全組成物の合計重量を基準とする)
を含む組成物に関する。
(a)約2.5重量%から約8.0重量%までの生体適合性ポリマー、
(b)約10pm以下の平均粒子サイズを有する約10重量%から約40重量%までの水不溶性、生体適合性造影剤、
(c)約52重量%から約87.5重量%までの生体適合性溶媒
(ポリマー、造影剤及び生体適合性溶媒の重量%は全組成物の合計重量を基準とする)
を含む組成物を、血管を塞栓形成する沈殿が生成される条件下で血管にカテーテルにより送出することによる血管の塞栓形成方法に関する。
(a)生体適合性プレポリマー、
(b)約10μm以下の平均粒子サイズを有する生体適合性水不溶性造影剤、及び
(c)必要により、生体適合性溶媒
を含む組成物に関する。
(a)生体適合性プレポリマー、
(b)約10μm以下の平均粒子サイズを有する生体適合性水不溶性造影剤、及び
(c)必要により、生体適合性溶媒
を含む組成物を血管にカテーテルにより送出することによる血管部位の塞栓形成方法であって、前記送出は前記プレポリマーが前記血管部位で水不溶性造影剤の存在下でin situ重合する条件下で行われ、それにより血管を塞栓形成する塞栓形成方法に関する。
好ましい実施態様において、水不溶性、生体適合性造影剤は硫酸バリウム、タンタル粉末及びタンタル酸化物からなる群から選ばれる。更に別の好ましい実施態様において、生体適合性溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノールまたはアセトンである。
(a)生体適合性ポリマー、生体適合性溶媒及び約10μm以下の平均粒子サイズを有する生体適合性、水不溶性造影剤を含むポリマー組成物、及び
(b)カテーテル
を含む部品のキットに関する。
(a)生体適合性プレポリマー、約10μm以下の平均粒子サイズを有する生体適合性、水不溶性造影剤、及び、必要により、生体適合性溶媒を含むプレポリマー組成物、及び
(b)カテーテル
を含む部品のキットに関する。
好ましい実施態様において、キットは血流を減少または停止するためのミクロバルーンカテーテルを更に含む。
本発明は組成物のカテーテル送出により血管病変を治療するのに特に適している新規な血管の塞栓形成用組成物に関する。
本発明を更に詳しく説明する前に、以下の用語が最初に定義される。
使用される特別な生体適合性ポリマーは重要ではなく、得られるポリマー溶液の粘度、生体適合性溶媒中の生体適合性ポリマーの溶解性、等に関して選ばれる。このような因子は当業者に公知である。
本発明の方法に使用されるポリマー組成物またはプレポリマー組成物は通常の方法により調製され、それにより成分の夫々が添加され、全組成物が実質的に均一になるまで得られる組成物が一緒に混合される。
プレポリマー組成物は、充分な量の造影剤を溶液(例えば、液体プレポリマー)に添加して全ポリマー組成物に有効な濃度を得ることにより調製し得る。プレポリマー組成物は、好ましくは約10重量%から約40重量%まで、更に好ましくは約20重量%から約40重量%まで、更に好ましくは約30重量%の造影剤を含むであろう。造影剤が生体適合性プレポリマー組成物に可溶性ではない場合、撹拌が得られる懸濁液の均一性を得るのに使用される。懸濁液の生成を増進するために、造影剤の粒子サイズは好ましくは約10μm以下、更に好ましくは約1μmから約5μmまで(例えば、約2μmの平均サイズ)に維持される。
次いで上記組成物は哺乳類の血管のカテーテル補助塞栓形成方法に使用し得る。このような方法において、充分な量のこの組成物がX線透視下のカテーテル送出手段により選択された血管に導入され、その結果、ポリマーの沈殿またはプレポリマーの重合後に、血管が塞栓形成される。使用される塞栓形成組成物の特別な量は塞栓形成すべき脈管構造の合計体積、組成物中のポリマー/プレポリマーの濃度、ポリマーの沈殿(固体生成)の速度、等により指示される。このような因子は当業者の技能内にある。
本発明の塞栓形成組成物を選択された血管部位にカテーテル送出するのに特に好ましい一つの方法は小さい直径の医療用カテーテルによるものである。使用される特別なカテーテルは、ポリマーカテーテル成分が塞栓形成組成物と適合性であること(即ち、カテーテル成分が塞栓形成組成物中で容易に分解しないこと)を条件として重要ではない。これに関して、カテーテル成分にポリエチレンを使用することが、本明細書に記載された塞栓形成組成物の存在下のその不活性のために好ましい。塞栓形成組成物と適合性のその他の物質は当業者により容易に決定でき、例えば、その他のポリオレフィン、フルオロポリマー(例えば、テフロン(登録商標)TM)、シリコーン、等が挙げられる。
1.in vivoのミクロカテーテル配置が水溶性造影剤の注射により確認される。
2.ミクロカテーテルルーアーハブ上のキャップが固定され、次いで組成物中の水不溶性造影剤を激しく振とうし、次いでこれを離れて沈降させることにより充分に分散させる。
3.1ccのシリンジに無菌DMSO 0.8ccを吸引する。ミクロカテーテルハブからキャップを除去する。DMSO 0.30ccを典型的な150cmのミクロカテーテルに注入する。シリンジを除去し、ルーアーハブをDMSO 0.3ccで過剰充填/洗浄する。直ちにキャップをミクロカテーテルルーアーハブの上に置き、固定して逆流及び混合を防止する。
4.再度、組成物を良く振とうして水不溶性造影剤を充分に分散させる。1ccのシリンジを21ゲージニードルにより組成物で満たす。ミクロカテーテルハブからキャップを除去し、ハブ中の空間に残りのDMSOを満たし、直ちに組成物シリンジをカテーテルハブに接続し、空気が接続中にハブ中に存在しないことを確実にする。
5.組成物シリンジを上に向けてDMSOと塞栓形成組成物の間に鮮明な界面境界を生じ、最初の0.25ccを1分の期間で徐々に注射してミクロカテーテル中のDMSOを置換し、DMSOを血液中で希釈する。
6.X線透視下で、塞栓形成組成物はミクロカテーテルボディの遠位部分で目視し得るべきである。シリンジ先端を下げ、臨床状況の必要に応じて塞栓形成組成物を注射する。満たされる血管間隙の容積に相当するように注射された塞栓形成組成物の容積を監視し、そして
7.塞栓形成組成物注射の完結後に、塞栓形成シリンジで軽く吸引してカテーテル先端を塞栓形成組成物の塊から分離する。数秒待って、シリンジプランジャーを解放し、ミクロカテーテルを取り出す。
動脈瘤の場合、哺乳類が回転させられて動脈瘤を下向きの位置に配置して動脈瘤血液の置換を促進することが好ましい。
血管部位に導入される場合、生体適合性溶媒は血液に迅速に拡散し、固体沈殿が生成し、その沈殿はその中に封入された造影剤を含む水不溶性ポリマーである。如何なる理論にも制限されないが、最初に、軟質のゲル〜スポンジ状固体の沈殿が血液と接触した後に生成すると考えられる。次いでこの沈殿が血流を制限し、赤血球を閉じ込め、それにより血管の血餅塞栓形成を生じる。
本明細書に記載された組成物は哺乳類の血管を塞栓形成するのに有益であり、これが順に出血(例えば、臓器出血、胃腸出血、血管出血、動脈瘤と関連する出血)を防止/調節し、または疾患組織(例えば、腫瘍、等)を切除するのに使用し得る。それ故、これらの組成物は血管の塞栓形成を必要とするヒト及びその他の哺乳類被験者に用途がある。更に、これらの組成物はEvansらにより同時に出願された出願13,14に記載されたような哺乳類患者の可逆滅菌に使用し得る。
以下の実施例は本発明を説明するために示され、その限定と見なされるべきではない。
cc =立方センチメートル
cm =センチメートル
DMSO =ジメチルスルホキシド
EVOH =エチレンビニルアルコールコポリマー
g =グラム
ID =内径
in. =インチ
min. =分
mL =ミリリットル
mm =ミリメートル
OD =外径
sec.=秒
μm =ミクロン
この実施例の目的は、全てのその他の因子が一定に保たれる場合に、小さい直径の医療用カテーテルにより送出される水不溶性造影剤の量が造影剤の平均粒子サイズと相関関係があることを実証することである。
詳しくは、平均粒子サイズ以外の全ての面で同一の2種のEVOHポリマー組成物を以下のようにして調製した。
A)EVOH 8g、
B)約15μm(狭いサイズ分布)の平均粒子サイズを有するタンタル30g、及び
C)DMSO 100mL。
第二組成物
A)EVOH 8g、
B)約3μm(狭いサイズ分布)の平均粒子サイズを有するタンタル30g、及び
C)DMSO 100mL。
夫々の成分を均一になるまで混合した。
2種の同一のカテーテル(ポリオレフィンミクロカテーテル、OD 0.036 in.xID 0.016in.、デードスペース0.45cc)の夫々を10ccの食塩水溶液でフラッシし、次いでDMSO 0.3ccで開始した。二つのlccのシリンジを21ゲージニードルにより上記の第一組成物または第二組成物で満たし、カテーテルのルーアーハブに接続した。カテーテル遠位先端を温かい水道水に沈めた。正確に0.50ccの夫々の組成物を5分の期間にわたって水に注入した。
タンタルは黒色であり、上記ポリマー組成物はそれ以外は白色である。それ故、注射された組成物中のタンタル混入の程度を、夫々の注射された組成物の色特性を測定することにより目視で監視する。この場合、夫々のカテーテルから生成された沈殿を評価し、この評価の結果を下記の表Iに報告する。
同様の組成物に関するその後の実験はこれらの結果を確認した。詳しくは、第一組成物は5.0分及び2.0分の注射時間で白色〜灰色の沈殿を生じ、一方、1.0分の注射時間は黒色の沈殿を生じた。
Claims (9)
- (a)エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、ウレタン/カーボネートのコポリマー、スチレン/マレイン酸のコポリマー、及びこれらの混合物からなる群より選択される、2.5重量%から8.0重量%までの生体適合性ポリマー、
(b)タンタル、酸化タンタル、硫酸バリウム、金、タングステンおよび白金からなる群から選ばれる、1〜5μmの平均粒子サイズを有する10重量%から40重量%までの水不溶性、生体適合性造影剤、及び
(c)該ポリマーを溶解する、52重量%から87.5重量%までの生体適合性溶媒
(ポリマー、造影剤及び生体適合性溶媒の重量%は全組成物の合計重量を基準とする)
を含む、血管の塞栓形成における使用のための組成物。 - 前記生体適合性溶媒がジメチルスルホキシド、エタノール及びアセトンからなる群から選ばれる請求項1に記載の組成物。
- 前記生体適合性溶媒がジメチルスルホキシドである請求項2に記載の組成物。
- 前記造影剤がタンタルである請求項3に記載の組成物。
- (a)ポリマー組成物であって、以下:
エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、ウレタン/カーボネートのコポリマー、スチレン/マレイン酸のコポリマー、及びこれらの混合物からなる群より選択される、2.5重量%から8.0重量%までの生体適合性ポリマー、
該ポリマーを溶解する、52重量%から87.5重量%までの生体適合性溶媒及び
タンタル、酸化タンタル、硫酸バリウム、金、タングステンおよび白金からなる群から選ばれる、1〜5μmの平均粒子サイズを有する10重量%から40重量%までの水不溶性、生体適合性造影剤(ポリマー、溶媒、及び造影剤の重量%は全組成物の合計重量を基準とする)を含むポリマー組成物、及び
(b)カテーテル
を含む、血管の塞栓形成における使用のための部品のキット。 - 前記生体適合性溶媒がジメチルスルホキシド、エタノール及びアセトンからなる群から選ばれる請求項5に記載の部品のキット。
- 前記生体適合性溶媒がジメチルスルホキシドである請求項6に記載の部品のキット。
- 前記造影剤がタンタルである請求項5に記載の部品のキット。
- 血流を減少または停止するためのミクロバルーンカテーテルを更に含む請求項5に記載の部品のキット。
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