以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
本発明にかかる画像形成装置は反発弾性を利用したクリーナブレードを備える画像形成装置であって、プリンタ、複写機、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合した機器であるMFP(Multi Function Peripheral)などが該当する。本実施の形態においては、画像形成装置はタンデム方式のカラープリンタ(以下、プリンタと略す)であるものとする。
図1は、本実施の形態にかかるプリンタ100の中央部分の断面の具体例を示す概略図である。
図1を参照して、本実施の形態にかかるプリンタ100は、大きくは、作像部と、印字媒体である用紙の搬送部とそれらの動作を制御する制御機構とを含んで構成される。
作像部には、プリンタ100内部の略中央部に配される、内側から、中間従動ローラ9、一次転写ローラ10,15,20,25を含む複数のローラで懸架されて図中の矢印方向に回転する、像担持体である環状の中間転写ベルト8が含まれる。中間転写ベルト8に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色に対応したプロセスユニット112,113,114,115が配される。各プロセスユニット112,113,114,115には、各々、一次転写ローラ10,15,20,25と中間転写ベルト8を挟んで対を成す、中間転写ベルト8上にトナー画像を転写する像担持体である感光体11,16,22,26と、感光体の表面を一様に帯電させる帯電器14,19,24,29と、ピークホールド回路を含んで、感光体上に各色の画像パターンを露光して順次形成するための露光部13,18,23,28と、感光体にトナーを供給して感光体にトナー画像を現像する現像部であるスリーブローラ12,17,21,27と、各感光体表面に当接し、各感光体表面の付着物である残留トナーを除去するための感光体クリーナブレード130,131,132,133と、各プロセスユニットの動作情報などを記憶する記憶手段である不揮発性メモリ117,118,119,116とが含まれる。また、中間転写ベルト8を含むユニットには、中間転写ベルト8の回転距離情報等を記憶する記憶手段である不揮発性メモリ120が含まれる。
また、作像部には、中間転写ベルト8周囲に配置される、中間転写ベルト8表面に当接し中間転写ベルト8上の付着物である残トナー等を中間転写ベルト8から分離する転写ベルトクリーナブレード32と、各プロセスユニット112,113,114,115にトナーを補給するトナーカートリッジ111,110,109,108とが含まれる。トナーカートリッジ111,110,109,108には、各々、残トナー量情報等を記憶する記憶手段である不揮発性メモリ107,106,105,104が含まれる。
さらに作像部には、中間転写ベルト8を内側から懸架するローラと中間転写ベルト8を挟んで対を成す、中間転写ベルト8上に転写されたトナー画像を、搬送された用紙上に転写する二次転写ローラ5が含まれる。
搬送部には、プリンタ100内部の下部に配される、用紙を収納する給紙カセット1から用紙3を給紙する給紙ローラ2と、給紙された用紙3をいったん停止させるタイミングクラッチ30と、中間ローラ4と、上述の二次転写ローラ5と、搬送される用紙を挟んで配され、用紙上に転写されたトナー像を加熱して定着させる定着ローラ7とが含まれる。
また、中間転写ベルト8上に転写されたトナー画像の濃度を検出する濃度センサ31と、プリンタ100内の少なくとも転写ベルトクリーナブレード32または感光体クリーナブレード130,131,132,133周囲を含む機内温度を測定する温度検出手段としての環境センサ101とがさらに含まれる。
制御機構には、CPU(Central Processing Unit)を含んで全体を制御するエンジン部201と、エンジン部201からの制御信号に従って画像処理を行なうコントローラ部200とが含まれる。エンジン部201は、図示されない操作パネルから入力される印字要求や用紙のサイズや種類を指定する信号などを受取る。また、エンジン部201は環境センサ101に接続されて、環境センサ101から機内温度を取得する。エンジン部201は、それらに基づいて、各部を制御するための制御信号を生成する。
プリント、コピー動作、またはプロセス条件を最適化するための画像調整動作においては、プロセスユニット112,113,114,115にて現像されたトナー像が中間転写ベルト8に転写され(一次転写)、プリント、コピー動作であれば、二次転写ローラ5によって用紙3等のメディアに転写される(二次転写)。転写しきれず中間転写ベルト8上に残留したトナーや、用紙3と中間転写ベルト8等画像形成装置内部とのこすれによって発生した紙粉は、中間転写ベルト8上に残留し、中間転写ベルト8の回転によって転写ベルトクリーナブレード32まで運ばれて除去される。転写ベルトクリーナブレード32によって除去された残留トナー等は、図示しない回収機構によって図示しない廃棄トナーボックスに回収される。
図2は、両クリーナブレードを代表させ、転写ベルトクリーナブレード32と中間転写ベルト8との当接部分を拡大した概略図である。ここで、転写ベルトクリーナブレード32および感光体クリーナブレード130,131,132,133の、少なくとも回転体(中間転写ベルト8,感光体11,16,22,26)と当接する部分の素材はウレタンであるものとし、その反発弾性値の温度特性を表わす曲線の具体例を図3に示す。図3に示されるように、ウレタンの反発弾性値は温度に依存し、高温環境では反発弾性値が高く、低温環境では低い。なお、以降の説明では、クリーナブレードの素材はウレタンであるものとするが、必ずしもウレタンに限定されず、図3に示された反発弾性値の温度特性と同様な、温度の低下に伴って反発弾性値が低下する特性を示す素材であれば他の素材であってもよい。
図2を参照して、転写ベルトクリーナブレード32のカット面は中間転写ベルト8に接触している。そのため、中間転写ベルト8の回転に従って転写ベルトクリーナブレード32は図2中矢印に示された方向に振動する。この振動はウレタンの反発弾性値に依存し、図3に示されたように、高温環境では反発弾性値が高いために振動が大きく、低温環境では反発弾性値が低いために振動が小さい。
図4および図5は、両クリーナブレードを代表させ、転写ベルトクリーナブレード32で中間転写ベルト8上の残留トナーを除去するプロセスを説明する図である。図4は、機内の温度環境が高温時の残留トナーを除去するプロセスを説明する図であり、図5は、低温時の残留トナーを除去するプロセスを説明する図である。
図4および図5を参照して、転写ベルトクリーナブレード32によって中間転写ベルト8上に残留するトナー等は転写ベルトクリーナブレード32の中間転写ベルト8との接触面によって掻き取られる。図4を参照して、先述のように、高温環境では反発弾性値が高いために転写ベルトクリーナブレード32の振動が大きく、転写ベルトクリーナブレード32で掻き取られた残留トナーは、中間転写ベルト8と転写ベルトクリーナブレード32との接触面に留まるのではなく、振動によって接触面から離間する。つまり、転写ベルトクリーナブレード32の反発弾性値が残留トナーの圧力よりも大きいため、転写ベルトクリーナブレード32の反発弾性値によって残留トナーが接触面から離間する。
一方、図5を参照して、先述のように、低温環境では反発弾性値が低いために転写ベルトクリーナブレード32の振動が小さく、転写ベルトクリーナブレード32によって掻き取られた残留トナーは、中間転写ベルト8と転写ベルトクリーナブレード32との接触面に次第に蓄積していく。そして、蓄積した残留トナーの圧力が転写ベルトクリーナブレード32の反発弾性値に勝った時には、残留トナーが中間転写ベルト8と転写ベルトクリーナブレード32との間をすり抜けていくような現象が発生する。この結果、中間転写ベルト8にトナーが残留したままとなり、その上に次のトナー画像を転写してしまうという現象を起こしやすくなる。また、先述のように、低温環境では反発弾性値が低いために、転写ベルトクリーナブレード32先端部に残留トナー等が噛み込んだ状態のまま放置すると転写ベルトクリーナブレード32が変形した状態が保持される。その結果、転写ベルトクリーナブレード32の変形を引起し、その後は図5のような残留トナーがすり抜ける現象が発生し易くなる。
そこで、本実施の形態において、プリンタ100では、所定のタイミングを判断して中間転写ベルト8を逆回転させるための処理を行なって、転写ベルトクリーナブレード32先端部に噛み込んだ状態となっている残留トナー等を解放する。なお、以下の例では、中間転写ベルト8を逆回転させるタイミングを判断して中間転写ベルト8を逆回転させる処理について説明するが、先述のように、感光体クリーナブレード130,131,132,133においても同様の問題が発生するので、同様の処理を行なって、各感光体11,16,22,26を逆回転させるタイミングを判断して各感光体11,16,22,26を逆回転させてもよい。
図6は、本実施の形態において、中間転写ベルト8を逆回転させるタイミングを判断して逆回転させるための処理を行なうための、プリンタ100の機能構成の具体例を示すブロック図である。図6に示される機能は、主に、エンジン部201に搭載されるCPUが、図示されない記憶手段に記憶されているプログラムを読み出して実行することでCPUに形成されるものであってもよい。
図6を参照して、プリンタ100の上記機能は、環境センサ101から機内温度Tを取得する温度取得部301と、上記タイミングを判断するためのプリント枚数の基準である基準プリント枚数NTを記憶する枚数記憶部305と、中間転写ベルト8を逆回転させるか否かを規定するフラグを記憶するフラグ記憶部307と、第1判断部303と、プリント枚数Nをカウントするカウンタ308と、フラグ記憶部307に記憶された上記フラグ、枚数記憶部305に記憶された基準プリント枚数NT、および/またはカウンタ308でカウントされたプリント枚数Nを参照して中間転写ベルト8を逆回転させるか否かを判断する第2判断部309と、中間転写ベルト8を逆回転させるための制御信号を生成し、逆回転させるよう中間転写ベルト8の駆動機構に対して制御信号を出力する制御部311とを含んで構成される。
中間転写ベルト8を逆回転させるタイミングとしては、たとえば、処理要求に応じて回転駆動する中間転写ベルト8の連続した回転駆動、すなわち連続した回転量に対して定期的な間隔が挙げられる。ここで、「連続した回転駆動」とは、1つの処理要求に応じて開始された回転駆動であって、途中に逆回転を含まない回転駆動を指す。したがって、1つの処理要求に応じて開始された回転駆動が一時停止し、同じ処理要求に応じて再度回転駆動を開始した場合であっても、その一時停止が逆回転でない場合には、前の回転駆動と再開後の回転駆動とをあわせて「連続した回転駆動」と扱うものとする。
さらに、先述のように、低温環境において転写ベルトクリーナブレード32先端部に残留トナー等が噛み込んだ状態となる可能性が高いため、低温環境のときにはその他の環境のときよりも上記間隔を短くすることが好ましい。さらに、低温環境においては、転写ベルトクリーナブレード32先端部に残留トナー等が噛み込んだ状態のまま放置することで転写ベルトクリーナブレード32の変形につながるため、低温環境のときにはその他の環境のときよりも上記間隔を短くするだけでなく、上述の状態で放置されることがないように、中間転写ベルト8の停止の都度逆回転させることがより好ましい。
本実施の形態においては、中間転写ベルト8の連続した回転駆動に対して定期的な間隔をプリント枚数で定義するものとする。上記カウンタ308はプリント要求を受け付けてプリントを開始してからのプリント枚数Nをカウントする。また、プリント中に中間転写ベルト8の逆回転が行なわれた場合にはカウンタ308はリセットされ、そこからのプリント枚数Nを新たにカウントする。
第1判断部303は、予め基準温度T1を記憶して、基準温度T1と温度取得部301で取得した機内温度Tとを比較することで、温度環境が低温環境か否かを判断する。基準温度T1は特定の値に限定されないが、好ましくは、クリーニングブレードの素材(ウレタン)の反発弾性値の温度特性により決定される温度である。たとえば、基準とする反発弾性値を20%と設定して図3に示される反発弾性値の温度特性より22℃を読取り、予め第1判断部303に記憶させておいてもよい。
また、第1判断部303は、温度環境に対応した基準プリント枚数の候補を予め記憶する。T≦T1と判断された場合、つまり低温環境と判断された場合には、第1判断部303は、基準プリント枚数NTとして、記憶されている基準プリント枚数の候補の中から低温環境に対応したN1を選択してNT=N1と設定し、枚数記憶部305に記憶する。T>T1と判断された場合、つまり、低温環境でないと判断された場合には、基準プリント枚数NTとして、記憶されている基準プリント枚数の候補の中からその温度環境に対応したN2を選択してNT=N2と設定し、枚数記憶部305に記憶する。ここで、N1とN2とはN1<N2を満たす。つまり、第1判断部303は、プリンタ100内の温度環境が低温環境であると判断されたときには、低温環境でないと判断されたときよりも基準プリント枚数NTを少なく設定する。また、第1判断部303は、T≦T1と判断された場合、つまり低温環境と判断された場合には、中間転写ベルト8を逆回転させるか否かを規定するフラグをセット、つまり中間転写ベルト8を逆回転させることを規定し、フラグ記憶部307に記憶する。
第2判断部309は、プリント中に、カウンタ308のカウンタ値である現在のプリント枚数Nと基準プリント枚数NTとを逐次比較し、現在のプリント枚数Nが基準プリント枚数NTに達した場合に、中間転写ベルト8を逆回転させるタイミングであると判断して、逆回転を指示する指示信号を制御部311に入力する。また、中間転写ベルト8の回転動作終了時に上記フラグがセットされているか否かをチェックして、フラグがチェックされている場合には、逆回転を指示する指示信号を制御部311に入力する。
なお、本実施の形態において、中間転写ベルト8を逆回転させるタイミングを判断して逆回転させるための処理は、中間転写ベルト8の回転動作を伴う処理において行なわれるものとする。具体的には、プリント処理、画像調整処理、およびクリーニング処理が挙げられる。
画像調整時には、中間転写ベルト8上に転写された画像調整用のトナー像が用紙には転写されずそのまま転写ベルトクリーナブレード32に供給されることとなる。この時のトナー像は、濃度センサ31にて中間転写ベルト8からの反射光量などの測定に使用されるため、中間転写ベルト8の進行(回転)方法に対して特定の位置にのみ形成されている。そのため、転写ベルトクリーナブレード32の特定の部分にのみトナーが集中して供給されることから、供給されるトナーの全体量は少量であるが、転写ベルトクリーナブレード32に対しては、ある程度の負荷を与える要因となっている。
図7は、プリンタ100においてプリント処理時に行なわれる、本実施の形態にかかる、中間転写ベルト8を逆回転させるタイミングを判断して逆回転させるための処理の具体例を示すフローチャートである。図7のフローチャートに示される処理は、エンジン部100に搭載されるCPUが、図示されない記憶手段に記憶されているプログラムを読み出して実行し、図6に示される各部を制御することによって実現される。なお、ここではプリント処理時に行なわれるものとしているが、他の例としてコピー処理時においても同様に行なわれ得る。
図7を参照して、始めに、図示しない操作パネル等からプリント要求が入力されると(ステップS001)、第1判断部303において、後述する逆回転判断処理が実行される(ステップS002)。
ステップS002で実行される逆回転判断処理の具体例については、図8に示される。図8を参照して、始めに、環境センサ101によって機内温度Tが検知され(ステップS301)、温度取得部301で機内温度Tが取得される。そして、第1判断部303において基準温度T1と比較される(ステップS302)。ステップS302でT≦T1と判断された場合(ステップS302でYES)、つまり低温環境と判断された場合には、第1判断部303は基準プリント枚数NTをNT=N1と設定する(ステップS303)。さらに、中間転写ベルト8を逆回転させるか否かを規定するフラグをセットする(ステップS304)。T>T1と判断された場合(ステップS302でNO)、つまり、低温環境でないと判断された場合には、第1判断部303は基準プリント枚数NTをNT=N2と設定する(ステップS305)。ここで、N1とN2とはN1<N2を満たす。さらに、中間転写ベルト8を逆回転させるか否かを規定するフラグをリセットする(ステップS306)。
再び図7のフローチャートに戻り、ステップS002での逆回転判断処理が終了すると、ステップS001での要求に応じてプリント動作が開始され(ステップS003)、プリント動作のために中間転写ベルト8が正方向(図1中の矢印方向)への回転を開始する(ステップS004)。
プリント動作中にはカウンタ308よってプリント枚数Nがカウントされ、プリント枚数Nが上記ステップS002の逆回転判断において設定された基準プリント枚数NT(N1またはN2)に達したか否かが逐次比較されることで、第2判断部309によってプリント動作を中断する必要があるか否かが判断される(ステップS005)。ステップS001で要求されたプリント終了まで、ステップS005の判断においてプリント枚数Nが基準プリント枚数NTよりも少なく、プリント動作の中断が不要と判断された場合には(ステップS005でNO、かつステップS007でYES)、プリント動作が終了し(ステップS008)、中間転写ベルト8の正方向への回転が停止する(ステップS009)。
その後、第2判断部309において、上記ステップS002の逆回転判断においてセットまたはリセットされたフラグが参照されて、中間転写ベルト8の逆回転が必要であるか否かが判断される(ステップS010)。その結果、上記フラグが設定されていて中間転写ベルト8の逆回転が必要と判断された場合には(ステップS010でYES)、制御部311において中間転写ベルト8を逆回転するための制御信号が生成されて中間転写ベルト8が所定時間(または所定回数)逆回転され(ステップS011)、その後、中間転写ベルト8の逆回転が停止する(ステップS012)。
一方、プリント動作中に、ステップS005の判断においてプリント枚数Nが基準プリント枚数NTに達したことが判断されてプリント動作の中断が必要と判断されたとする(ステップS05でYES)。その場合、プリント動作が中断されて、制御部311において中間転写ベルト8を逆回転するための制御信号が生成されて中間転写ベルト8が逆回転される(ステップS011)。また、カウンタ308のカウント値がクリアされ(ステップS014)、中間転写ベルト8の逆回転後からのプリント枚数が新たにカウントされる。
図9は、プリンタ100において画像調整処理時に行なわれる、本実施の形態にかかる、中間転写ベルト8を逆回転させるタイミングを判断して逆回転させるための処理の具体例を示すフローチャートである。図9のフローチャートに示される処理もまた、エンジン部100に搭載されるCPUが、図示されない記憶手段に記憶されているプログラムを読み出して実行し、図6に示される各部を制御することによって実現される。
図9を参照して、始めに、図示しない操作パネル等から画像調整要求が入力されると(ステップS101)、第1判断部303において、逆回転判断処理が実行される(ステップS102)。ステップS102で実行される逆回転判断処理は、図7に示された逆回転判断処理と同様とすることができるが、ステップS303,S305での基準プリント枚数NTの設定を行なわず、ステップS304でのフラグのセットまたはステップS306でのフラグのリセットのみを行なうようにしてよい。
次に、ステップS101での要求に応じて画像調整動作が開始され(ステップS103)、画像調整動作のために中間転写ベルト8が正方向(図1中の矢印方向)への回転を開始する(ステップS104)。そして、ステップS101での要求に応じた画像調整動作が終了すると(ステップS105)、中間転写ベルト8の正方向の回転が停止する(ステップS106)。
その後、第2判断部309において、上記ステップS102の逆回転判断においてセットまたはリセットされたフラグが参照されて、中間転写ベルト8の逆回転が必要であるか否かが判断される(ステップS107)。その結果、上記フラグが設定されていて中間転写ベルト8の逆回転が必要と判断された場合には(ステップS107でYES)、制御部311において中間転写ベルト8を逆回転するための制御信号が生成されて中間転写ベルト8が所定時間(または所定回数)逆回転され(ステップS108)、その後、中間転写ベルト8の逆回転が停止する(ステップS109)。
図10は、プリンタ100においてクリーニング処理時に行なわれる、本実施の形態にかかる、中間転写ベルト8を逆回転させるタイミングを判断して逆回転させるための処理の具体例を示すフローチャートである。図10のフローチャートに示される処理もまた、エンジン部100に搭載されるCPUが、図示されない記憶手段に記憶されているプログラムを読み出して実行し、図6に示される各部を制御することによって実現される。
図10を参照して、始めに、図示しない操作パネル等からクリーニング要求が入力されると(ステップS201)、第1判断部303において、逆回転判断処理が実行される(ステップS202)。ステップS202で実行される逆回転判断処理は、図7に示された逆回転判断処理と同様とすることができるが、上記ステップS102での逆回転判断処理と同様に、ステップS303,S305での基準プリント枚数NTの設定を行なわず、ステップS304でのフラグのセットまたはステップS306でのフラグのリセットのみを行なうようにしてよい。
次に、ステップS201での要求に応じてクリーニング動作が開始され(ステップS203)、プリント動作のために中間転写ベルト8が正方向(図1中の矢印方向)への回転を開始する(ステップS204)。そして、ステップS201での要求に応じたクリーニング動作が終了すると(ステップS205)、中間転写ベルト8の正方向の回転が停止する(ステップS206)。
その後、第2判断部309において、上記ステップS202の逆回転判断においてセットまたはリセットされたフラグが参照されて、中間転写ベルト8の逆回転が必要であるか否かが判断される(ステップS207)。その結果、上記フラグが設定されていて中間転写ベルト8の逆回転が必要と判断された場合には(ステップS207でYES)、制御部311において中間転写ベルト8を逆回転するための制御信号が生成されて中間転写ベルト8が所定時間(または所定回数)逆回転され(ステップS208)、その後、中間転写ベルト8の逆回転が停止する(ステップS209)。
なお、上述の例では、中間転写ベルト8の連続した回転駆動に対して定期的な間隔をプリント枚数で定義するものとしたが、不揮発性メモリ120から得られる中間転写ベルト8の回転距離や、不揮発性メモリ107,106,105,104から得られる残トナー量や、不揮発性メモリ116,117,118,119から得られる各プロセスユニットの動作情報などで定義してもよい。そこで、上述の処理の他の具体例として、中間転写ベルト8の連続した回転駆動に対して定期的な間隔を、中間転写ベルト8の連続した回転距離で定義する場合について説明する。
この場合、カウンタ308はプリント枚数Nに換えて、不揮発性メモリ120から得られる中間転写ベルト8の回転距離に基づいて、処理要求を受け付けて回転駆動を開始してからの中間転写ベルト8の回転距離Tをカウントする。また、中間転写ベルト8の回転駆動中に逆回転が行なわれた場合にはカウンタ308はリセットされ、そこからの回転距離Tを新たにカウントする。ここで、中間転写ベルト8を逆回転させるタイミングを判断するための中間転写ベルト8の回転距離の基準を基準回転距離TTとする。第1判断部303は、温度環境に対応した基準回転距離の候補を予め記憶する。
図11は、中間転写ベルト8の連続した回転駆動に対して定期的な間隔を中間転写ベルト8の回転距離で定義する場合の上記ステップS002の逆回転判断処理の具体例を示すフローチャートである。図11を参照して、この場合、第1判断部303は、ステップS501で取得された機内温度Tと基準温度T1とを比較して、T≦T1と判断された場合(ステップS502でYES)、つまり低温環境と判断された場合には、基準回転距離TTとして、記憶されている基準回転距離の候補の中から低温環境に対応したT3を選択してTT=T3と設定し、記憶させる(ステップS503)。さらに、中間転写ベルト8を逆回転させるか否かを規定するフラグをセットする(ステップS504)。T>T1と判断された場合(ステップS502でNO)、つまり、低温環境でないと判断された場合には、第1判断部303は基準回転距離TTとして、記憶されている基準回転距離の候補の中からその温度環境に対応したT4を選択肢てTT=T4と設定し、記憶させる(ステップS505)。ここで、T3とT4とはT3<T4を満たす。さらに、中間転写ベルト8を逆回転させるか否かを規定するフラグをリセットする(ステップS506)。
プリント処理時に上記処理が行なわれる場合、上記ステップS005では、プリント動作中に中間転写ベルト8の回転距離Tが上記ステップS002の逆回転判断において設定された基準回転距離TT(T3またはT4)に達したか否かが逐次比較されることで、第2判断部309によってプリント動作を中断する必要があるか否かが判断される。
以上の処理がプリンタ100においてプリント処理時、画像調整処理時、およびクリーニング処理時に行なわれることで、処理時に低温環境である場合には、上記処理による中間転写ベルト8の回転が停止した際に、中間転写ベルト8の逆回転が実行される。このため、低温環境では中間転写ベルト8の停止時には必ず中間転写ベルト8の逆回転が実行されることとなり、特に低温環境下で転写ベルトクリーナブレード32先端部に残留トナー等が噛み込んだ状態で放置されることが防止される。その結果、特に低温環境下で上述の状態で放置されることによって発生する転写ベルトクリーナブレード32の変形を防止することが可能となる。
さらに、プリント処理時に上記処理が実行されることで、連続したプリント枚数Nが所定枚数NTに達するごと、つまり中間転写ベルト8の回転駆動に対して所定の間隔で中間転写ベルト8の逆回転が実行される。これにより、転写ベルトクリーナブレード32の中間転写ベルト8との接触面に付着した残留トナー等を離間させ、接触面をフレッシュな状態とすることが可能となる。
さらに上記所定枚数NTは機内の温度環境に応じて設定され、低温環境の方がそうでない場合よりも所定枚数NTが少なく設定される。これにより、低温環境においてはそうでない温度環境と比較して、中間転写ベルト8の逆回転を行なう周期を短くすることができる。その結果、特に低温環境下で上記接触面に付着しやすい残留トナー等を離間させることができ、転写ベルトクリーナブレード32の変形の原因となる、転写ベルトクリーナブレード32先端部への残留トナー等の噛み込みを防止することが可能となる。
なお、上の説明においては、第1判断部303に予め基準温度T1が記憶されているものとしている。しかしながら、図3に示されたウレタンの反発弾性値の温度特性は、実際には、たとえばクリーナブレード材の生産ロットの差異等により、クリーナブレードごとに多少の差異のあるものである。そのため、備えられているクリーナブレードごとに記憶手段に基準温度を記憶し、第1判断部303が対象とするクリーナブレードごとに記憶手段から読み出して、逆回転判断処理に用いる基準温度T1に設定することが好ましい。転写ベルトクリーナブレード32についての基準温度を記憶する上記記憶手段には不揮発性メモリ120が該当し、感光体クリーナブレード130,131,132,133についての基準温度を記憶する上記記憶手段には、各々、不揮発性メモリ117,118,119,116が該当する。前述の通り、各感光体クリーナブレード130,131,132,133は、各々、不揮発性メモリ117,118,119,116とプロセスユニット112,113,114,115としてカートリッジ状態で一体化されて保持されており、各プロセスユニットが組み立てられる際に、それぞれの感光体クリーナブレードに適合する基準温度が不揮発性メモリに格納される。
このときの、上記ステップS002で実行される逆転判断処理については、図12のフローチャートに示される。図12を参照して、この場合、ステップS301において環境センサ101によって機内温度Tが検知され温度取得部301で機内温度Tが取得された後、第1判断部303は、対象とするクリーナブレード(ここでは転写ベルトクリーナブレード32とする)について記憶されている基準温度T1aを不揮発性メモリ120から読出し(ステップS402)、逆回転判断処理に用いる基準温度T1に設定し、T1=T1aとする(ステップS403)。
その後は、図8に示された処理と同様に、機内温度Tと基準温度T1aとを比較してT≦T1aと判断された場合(ステップS404でYES)、つまり低温環境と判断された場合には、第1判断部303は基準プリント枚数NTをNT=N3と設定する(ステップS405)。さらに、中間転写ベルト8を逆回転させるか否かを規定するフラグをセットする(ステップS406)。T>T1aと判断された場合(ステップS404でNO)、つまり、低温環境でないと判断された場合には、第1判断部303は基準プリント枚数NTをNT=N4と設定する(ステップS407)。さらに、中間転写ベルト8を逆回転させるか否かを規定するフラグをリセットする(ステップS408)。ここで、N3とN4とは、先述のようにN3<N4を満たす。
これにより、クリーナブレード材の反発弾性値の、生産ロットの違いなどによる温度特性の違いを正確に把握することができるため、対象とする各クリーナブレード(転写ベルトクリーナブレード32,感光体クリーナブレード130,131,132,133)に関連する各ユニットに最適なタイミングで低温環境を判断するための基準温度T1、および基準枚数NTを設定することができる。さらに、長寿命/短寿命ユニットのように耐久性の異なるユニットに対しても、最適なタイミングでこれらを設定することができる。また、メンテナンスによりプロセスユニット112,113,114,115のいずれかが交換された場合にも、当該プロセスユニットに含まれる感光体クリーナブレードに適合する基準温度が、当該プロセスユニットに感光体クリーナブレードと一体化されて保持されている不揮発性メモリにすでに格納されているため、格別の付加的な調整を必要とせず、適切な逆回転判断処理を行なうことができる。
[変形例]
図3に示されたように、ウレタンの反発弾性値が低下する要因として、上記処理ではウレタンの反発弾性値の変化に関して温度特性に着目しているが、ウレタンの反発弾性値が低下する要因としては、さらに、ウレタンの耐久変化も挙げられる。図13は、ウレタンの反発弾性値の温度特性を示す曲線の、ウレタンの耐久変化前後の関係を示す概略図である。図13において、実線で示された曲線Aは初期状態のウレタンの反発弾性値の温度特性を示す曲線を表わし、破線で示された曲線Bは耐久変化後の反発弾性値の温度特性を示す曲線を表わしている。図13に示されるように、ウレタンが耐久変化するほど、つまりウレタンの使用期間が長くなり劣化が進むほど、環境温度に対してウレタンの反発弾性値は低下する。したがって、環境温度に加えて、クリーナブレードの耐久状態も加味して基準温度T1や基準プリント枚数NTを設定することが好ましい。
クリーナブレードの耐久状態は、中間転写ベルト8に対する印字枚数や、中間転写ベルト8の駆動距離などで定義される。そして、それらによって得られたクリーナブレードの耐久変化に応じて基準温度T1を演算にて求めてもよい。
第1判断部303が基準温度T1を取得する具体的な方法として、次のような方法が挙げられる。すなわち、転写ベルトクリーナブレード32について予め図13に示されるような、耐久変化ごとのウレタンの反発弾性値と温度との関係を不揮発性メモリ120が記憶しておく。そして、第1判断部303が、転写ベルトクリーナブレード32の耐久状態に応じた曲線から、必要な反発弾性値を得るための温度を読取る方法が挙げられる。たとえば図13の例において、上記曲線を破線で示された曲線Bとし、基準とする反発弾性値を20%としたとき、初期状態においてはT1であった基準温度がT1’として得られる。
このようにすることで、対象とするクリーナブレードの耐久状態に応じて上記基準温度T1を高めに設定したり、上記基準枚数NTを小さい値に設定したりでき、対象とするクリーナブレードの耐久状態に応じたよりきめ細かな制御を実施できる。
なお、以上の例では、機内環境が低温環境であるか否かの2段階の温度環境によって上記タイミングを判断するものとしているが、基準温度を複数記憶することで、2段階よりも多い多段階の温度環境によって上記タイミングを判断することにしてもよい。そのようにすることでも、機内の温度環境に応じたよりきめ細かな制御を実施できる。
さらに、上述の、対象とするクリーナブレード(転写ベルトクリーナブレード,感光体クリーナブレード等)に関連する各ユニットについて、クリーナブレードの当接する回転体を逆回転させるタイミングを判断して逆回転させるための処理を、コンピュータに実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 給紙カセット、2 給紙ローラ、3 用紙、4 中間ローラ、5 二次転写ローラ、7 定着ローラ、8 中間転写ベルト、9 中間従動ローラ、10,15,20,25 一次転写ローラ、11,16,22,26 感光体、12,17,21,27 スリーブローラ、13,18,23,28 露光部、14,19,24,29 帯電器、30 タイミングクラッチ、31 濃度センサ、32 転写ベルトクリーナブレード、100 プリンタ、101 環境センサ、104,105,106,107,116,117,118,119,120 不揮発性メモリ、108,109,110,111 トナーカートリッジ、112,113,114,115 プロセスユニット、130,131,132,133 感光体クリーナブレード、200 コントローラ部、201 エンジン部、301 温度取得部、303 第1判断部、305 枚数記憶部、307 フラグ記憶部、308 カウンタ、309 第2判断部、311 制御部。