JP5178991B2 - カプセル型内視鏡 - Google Patents
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Description
また、カプセル型内視鏡は、観察対象である円筒状構造の壁面に密着することが多く、画像の周辺部分で壁面と照明手段との距離がより一層短くなる。このため、照明手段より出射して壁面で反射した光が、撮像光学系の結像作用により撮像素子の受光面に集光したときに、受光面での照度が撮像素子の許容できる強さを越えてしまい、画像の周辺部分で正常な画像再現ができない「ハレーション」と呼ばれる現象が発生しやすい。
さらに、カプセル型内視鏡では、病変をなるべく発見しやすくするために、広視野角の撮像光学系を用いることが望ましいが、広視野角の撮像光学系は、一般的に撮像素子の受光面での視野周辺部分の照度低下がないため、ハレーションがさらに発生しやすい。
ω ≧ 50° ・・・(1)
R(θ) ≦ R(0)×cos2(θ) ・・・(4)
但し、ωは前記対物光学系の視野角の1/2、R(θ)は前記対物光学系の視野角θ°に対する前記物体面上での照度、R(0)は前記対物光学系の光軸と交わる前記物体面上での照度である。
また、本発明のカプセル型内視鏡においては、前記対物光学系が、均一な面光源を観察した場合に、最大像高の1/2における前記撮像素子の撮像面上の照度が前記撮像素子の撮像面上における視野範囲内での最大照度の50%以下となるように構成されているのが好ましい。
また、本発明のカプセル型内視鏡においては、前記対物光学系が、少なくとも1枚の非球面レンズを用いて構成されているのが好ましい。
本発明のカプセル型内視鏡のように、前記対物光学系が、次の条件式(1)を満足し、かつ、次の条件式(3)を満足する反射率90パーセントの白色円筒を観察した場合における、カプセルの長手方向の中心軸と反射率90%の白色円筒の中心軸が一致した状態での前記撮像素子の撮像面上の照度が、次の条件式(2)を満足するように構成すれば、小腸等の円筒状構造の部位の観察及び検査を行った場合にも、良好な明るさ分布が得られる。
ω ≧ 50° …(1)
T1×0.5 ≦ T2 …(2)
D = 1.2×Φ …(3)
但し、ωは対物光学系の視野角の1/2、T1は撮像素子の撮像面における視野範囲内の最大照度、T2は最大像高の1/2における撮像素子面上の照度、Dは円筒の内径、Φはカプセル内視鏡の外径である。
上記条件式(1)を満足せずに、ω<50°となると、小腸等の管腔状臓器の内壁部位の検査を行った場合に視野範囲が狭くなり、観察及び検査に支障を来たしてしまう。上記条件式(1)を満足することにより、良好な視野範囲が得られ、観察及び検査に支障を来たさずに済む。
また、ω≧60°を満足するようにすると、生体組織がひだ状の凹凸構造を呈している部位に対しても、ひだの影になる部分を見落とし無く観察及び検査を行うことができるので好ましい。
(0.025×α)1/4 ×φ= D …(6)
但し、αは白色円筒の内壁面の反射率[%]、Dは前記白色円筒の内径[mm]、Φはカプセル型内視鏡の外径[mm]である。
そして、例えば、円筒内壁が白色光に対して90%の反射率を有するように設定すると、円筒の内径Dは上記条件式(3)のように表される。
T3×0.5 ≦ T4 …(5)
但し、T3は画像の中心から周辺までに測定される画像信号強度の最大値、T4は前記対物光学系の最大像高の1/2に対応する画像信号強度の値である。
図19中、TypeAは、一般的な内視鏡光学系の例、TypeB及びTypeCは、本発明のカプセル型内視鏡の光学系の例を示している。
円筒状物体を観察する場合、視野角が広くなると、観察対象である物体までの距離が短くなるため、被写体の反射光強度は強くなる。
従って、視野角が広くなったときに、視野の周辺部での撮像素子の受光面の照度が低くなるように設定しておくと、画像の明るさが均一になって、観察や診断を行う上で好ましくなる。
即ち、撮像素子の受光面での照度分布を照度の最大値で規格化した場合に、最大像高の1/2に対応する撮像素子の受光面位置での照度が高くなるように設定することで、最大像高における像面の照度を下げることが出来る。
TypeB、及びTypeCの例は、いずれも、視野周辺部での受光面の照度が強いことに加えて、最大像高の1/2での像面照度が約0.51、及び0.65と大きくなっている。このためカプセル型内視鏡として、視野周辺にハレーションが発生せず、視野の全域にわたって良好な画像を得ることが出来ている。
なお、TypeBの例とTypeCの例との違いは、上記条件式(2)を満足するために、TypeBの例では撮像光学系の視野絞りの配置を工夫しているのに対して、TypeCの例では撮像光学系の歪曲収差をコントロールしているということである。
上記対物光学系の歪曲収差の発生量を上記のように設定すれば、視野周辺にハレーションが発生せず、視野の全域にわたって良好な画像を得ることができるカプセル型内視鏡に適した撮像手段の対物光学系を構成することができる。
図2は実施例1のカプセル型内視鏡を用いた画像を表示するカプセル型内視鏡システムの構成を示す概念図である。図3は実施例1のカプセル型内視鏡における出射角に対する照明光の強度分布を示すグラフ、図4(a)は実施例1のカプセル型内視鏡における対物光学系の構成を示す光軸に沿う断面図、図4(b)は図4(a)の対物光学系の歪曲収差を表す収差図、図5は均一な面光源を観察した場合における対物光学系の視野角に対する照度特性を示すグラフ、図6は実施例1のカプセル型内視鏡で白色円筒の内壁を撮像した場合における対物光学系の視野角に対する撮像素子面上での照度特性を示すグラフ、図7は実施例1で使用している管腔状構造を示す模式図である。
その他、撮像素子としては、CMOSチップ38の代わりにCCDチップを用いてもよい。
また、照明手段であるチップ型LED2は、4個の配置ではなく、2個、6個、8個というように個数はいくつでもよい。
図1(a)に示すアンテナユニット41から無線等で送信された画像信号は、図2に示すように、患者の体外に設けられたアンテナユニット22で受信され、パソコン24で画像処理された後、モニタ23に画像表示される。
数値データ中、fは焦点距離、FはFナンバー、IHは撮像素子の像高、OBJは物点距離、ωは対物光学系の最大像高における画角を示している。
なお、非球面形状Z(y)は、光軸方向をZ、光軸からの高さをyとして、光の進行方向を正としたとき、次式にて表される。
但し、Rはレンズの曲率半径、kは円錐係数、A2は2次の非球面係数、A4は4次の非球面係数、Anはn次の非球面係数である。また、レンズ形状は光軸中心に対して対称形であるため、このように偶数次数にて構成する必要がある。
これらの記号は以下の各実施例において共通である。
数値データ1
f=1.000 、 F=2.706 、IH=1.179 、 OBJ=15.000 、2ω=119.96
面番号 曲率 面間隔 屈折率 アッベ数 k
0 ∞ 15.0000 1
1 ∞ 0.5797 1.51633 64.50
2(絞り) ∞ 0.9697 1.72916 54.68
3 -1.4844 0.1932 1
4 ∞ 1.0771 1.56348 60.69
5(非球面) -0.7176 0.1932 1 -1.8791
6 3.1282 0.6803 1.51633 64.15
7 ∞ 0 1
8(撮像面)
第5面は円錐係数のみの非球面式により形成される非球面である。
なお、実施例1のカプセル型内視鏡では、対物光学系に非球面レンズを使用し、図4(b)に示すように最大像高における歪曲収差の発生量を35%以下にすることにより、視野周辺の光量を制御している。
ω=60°
T1:T2=1:0.65
となる。このことから、実施例1のカプセル型内視鏡が、条件式(1)、(2)を満足することがわかる。条件式(1)、(2)を満足する実施例1のカプセル型内視鏡によれば、広い視野範囲をもち、円筒状構造を観察した場合、撮像素子38の撮像面上で良好な明るさ分布が得られ、視野周辺でハレーションが発生するのを防止することができる。
なお、パソコン24でアンテナユニット41より送信されてきた信号に対してγ補正等の処理を行うが、本実施例ではモニタの逆γ特性で補正するのみで、特別な明るさ調整をすることはない。このため、モニタ23に映し出される画像の信号強度分布と、撮像素子38の撮像面上の照度分布は同じ分布形状として表される。そこで、モニタに出力される画像信号の強度を画像中心から周辺まで測定して、画像信号の強度分布を描出することで、撮像面上の照度分布を容易に確認することができる。
2ω=60°
T1:T2=1:0.32
となり、条件式(2)を満足しないことがわかる。条件式(2)を満足しない比較例のカプセル内視鏡では、視野の周辺部においてハレーションが発生しやすい他に画面中心部が暗くなってしまい、円筒状構造を観察した場合、良好な明るさ分布が得られない。
なお、実施例2では、カプセル型内視鏡の大きさ及び照明光学系等は、上述の実施例1と同じ条件である。対物光学系のみ図11に示されているものを使用しており、実施例1と異なる。
対物光学系1は、物体側から順に、平行平板11と、物体側が平面で像側が凸面の平凸レンズ12と、物体側が凸面で像側が平面の平凸レンズ13’とで構成されている。また、開口絞りSが平行平板11と平凸レンズ12との間に設けられている。さらに、フレア絞りS’が平凸レンズ12と平凸レンズ13’との間に設けられている。
数値データ2
f=1.2331 、 F=4.473 、IH=1.179 、 OBJ=11.9731 、2ω=119.96
面番号 曲率 面間隔 屈折率 アッベ数 Φ
0 ∞ 11.9731 1
1 ∞ 0.3862 1.51633 64.15
2(絞り) ∞ 0.8690 1.51633 64.15
3 -0.8536 -0.0984 1
4(フレア絞り) ∞ 0.3107 1 1.08
5 2.1841 0.8111 1.51633 64.15
6 ∞ 0.6571 1
7(撮像面)
ω=60°
T1:T2=1:0.54
となる。このことから、実施例2のカプセル型内視鏡が、条件式(1)、(2)を満足することがわかる。条件式(1)、(2)を満足する実施例2のカプセル型内視鏡によれば、広い視野範囲をもち、円筒状構造を観察した場合、視野の周辺部でハレーションが発生するのを防ぐことができ、撮像素子38の撮像面上で円筒の内壁を観察するのに適した明るさ分布が得られる。
また、実施例2のカプセル型内視鏡では、遮光部材として、フレア絞りS’を用いたが、間隔管等のメカ枠での周辺光量の遮光手段や、レンズ周辺部における面取り及び黒インクを利用した周辺光量の遮光手段でも同様の効果が得られる。また、視野周辺の光束の強度を減衰するように構成したNDフィルタを配置しても同様の効果が得られる
また、実施例2の対物光学系1では、第一の凸レンズ12と第二の凸レンズ13’は、いずれも球面レンズを用いた構成となっているが、第一の凸レンズ12または第二の凸レンズ13’のいずれかに非球面レンズを使用してもかまわない。また、レンズ構成として、凸レンズを二枚用いて構成したが、非球面レンズ一枚で構成しても構わない。
このように、照明手段2の中心軸を、対物光学系1の光軸に対して傾けることにより、対物光学系の前方に例えば50mm程度離して配置した球面状物体に対して照明したときの物体面上での照度分布を条件式(4)を満たすように調整することが可能となる。これにより、上記のような球面状物体を撮像したときに、撮像素子の撮像面上での照度分布が視野の周辺に行くほど高くなるという広視野角の対物光学系の収差特性に起因する現象を補正することができるので、円筒の内壁を撮像した場合における撮像素子面上での照度分布特性をも制御することが可能となる。このように照明手段を工夫することにより制御された、対物光学系の視野角に対する撮像素子の撮像面での照度分布は、対物光学系側に工夫を施した場合に得られる図19のTypeB,TypeCに示される照度分布と同等の分布形状とすることができる。
本実施例の対物光学系1は、物体側から順に、物体側が平面で像側が凸面の平凸レンズ11’と、物体側が凸面で像側が平面の平凸レンズ12’と、平行平板13”とで構成されている。
次に、実施例3のカプセル型内視鏡を構成する対物光学系の数値データを示す。
数値データ3
f=1.558 、 F=3.829 、IH=1.179 、 OBJ=14.339 、2ω=100.19
面番号 曲率 面間隔 屈折率 アッベ数
0 ∞ 14.3390 1
1 ∞ 1.0156 1.88300 40.76
2 -2.3916 0.4570 1
3 2.6938 1.2694 1.88300 40.76
4 ∞ 1.0156 1.61090 50.20
5(撮像面)
このとき、照明手段2の中心軸は対物光学系1の光軸に対して25°程度傾けて設置されており、対物光学系1の最も物体側の面から50mm前方に置かれた球面状物体の物体面上での照度分布は概ね図18に示される形状となり、条件式(4)を満足していることがわかる。
撮像素子38の撮像面上に結像された反射光は、図17に示すような照度特性を有している。これを、条件式(1)、(2)に当てはめると、
ω=50.1
T1:T2=1:0.51
となる。このことから、実施例3のカプセル型内視鏡が、条件式(1)、(2)、(4)を満足することがわかる。本実施例のカプセル型内視鏡によれば、広い視野範囲をもち、円筒状構造を観察した場合、視野の周辺部でハレーションが発生するのを防ぐことができ、撮像素子38の撮像面上で円筒の内壁を観察するのに適した明るさ分布が得られる。
また、照明手段の直後に遮光部材や照明光の強度を減衰する部材を設け、照明手段から発せられる照明光の一部分を遮光したり減光したりすることで、照明光の配光分布を制御するようにしても構わない。
また、光源として狭角な配光分布をもつLEDを複数個使用して、対物光学系とLEDの中心軸のなす角度を個別に調整することで、照明光の配光分布を制御してもかまわない。
さらに、上述した各実施例のカプセル型内視鏡の構成要素を部分的に組み合わせて構成してもよい。このようなカプセル型内視鏡も本発明のカプセル型内視鏡に属することはいうまでもない。
11、13” 平行平板
12、13 物体側が平面で像側が凸面の平凸レンズ
13’、14 物体側が凸面で像側が平面の平凸レンズ
2 照明手段
3 透明カバー
21 小腸
22 アンテナユニット
23 モニタ
24 パーソナルコンピュータ
25 画像表示システム
37 対物光学系レンズ枠
38 CMOSチップ
39 ボタン型電池
40 電気基板
41 アンテナユニット。
42 外装カバー
43 対物光学系の光軸。
44 カプセル内視鏡本体
45 照明手段2の中心軸
50 円筒の側面
S 開口絞り
S’ フレア絞り
Claims (4)
- 少なくとも、被写体を照明する照明手段と、前記被写体を撮像する撮像手段と、前記照明手段と前記撮像手段を覆う透明カバーとを有するカプセル型内視鏡であって、
前記撮像手段が、対物光学系と撮像素子からなり、
前記対物光学系が、該対物光学系の射出瞳近傍に配置されていて視野内の周辺部分に像を形成する光束の一部を遮光する遮光部材を有し、且つ、次の条件式(1)を満足し、
前記対物光学系の最も物体側の面と光軸の交わる点を中心とし該点から等距離にある物体面上での照度分布が、次の条件式(4)を満足するように構成されていることを特徴とするカプセル型内視鏡。
ω ≧ 50° ・・・(1)
R(θ) ≦ R(0)×cos2(θ) ・・・(4)
但し、ωは前記対物光学系の視野角の1/2、R(θ)は前記対物光学系の視野角θ°に対する前記物体面上での照度、R(0)は前記対物光学系の光軸と交わる前記物体面上での照度である。 - 前記照明手段が、中心軸を前記対物光学系の光軸に対し傾けて配置された複数のLEDで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
- 前記対物光学系が、均一な面光源を観察した場合に、最大像高の1/2における前記撮像素子の撮像面上の照度が前記撮像素子の撮像面上における視野範囲内での最大照度の50%以下となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
- 前記対物光学系が、少なくとも1枚の非球面レンズを用いて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
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