<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置及びこれに用いる映像表示方法について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、後述する液晶モジュール部30内の液晶パネル34に表示する映像信号は、映像信号処理部10内の最大階調検出部11及びフレームメモリ13に供給される。後に詳述するように、バックライト装置35は複数の領域に区画されており、液晶パネル34はバックライト装置35のそれぞれの領域に対応するように複数の領域に区分けされて、液晶パネル34のそれぞれの領域毎にバックライトの明るさ(光量)が制御される。
図2は、液晶パネル34とバックライト装置35における領域分割の一例であり、液晶パネル34の領域とバックライト装置35の領域との対応関係を概略的に示す斜視図である。ここでは理解を容易にするため、液晶パネル34とバックライト装置35とを離間させた状態としている。図2に示すように、バックライト装置35は領域35a〜35dに区画されており、領域35a〜35dはそれぞれバックライトを備える。液晶パネル34は例えば水平方向1920画素、垂直方向1080画素よりなる複数の画素を備えており、この複数の画素を有する液晶パネル34はバックライト装置35の領域35a〜35dに対応して領域34a〜34dに区分けされている。この例では、液晶パネル34が垂直方向の1次元的に4つの領域34a〜34dに区分けされているので、1つの領域には垂直方向270画素が含まれることになる。勿論、4つの領域34a〜34dで垂直方向の画素数に多少のばらつきがあってもよい。
液晶パネル34における領域34a〜34dはそれぞれの領域を物理的に分離するように区画しているということではなく、液晶パネル34上には複数の領域(ここでは領域34a〜34d)が設定されているということである。そして、液晶パネル34に供給する映像信号は、液晶パネル34上に設定した複数の領域に対応して、その複数の領域それぞれに表示する領域毎の映像信号として処理される。液晶パネル34に設定した複数の領域はそれぞれ、バックライトの明るさが個別に制御される。
図2に示す例では、液晶パネル34を垂直方向に4つの領域に区分けし、これに対応してバックライト装置35を垂直方向に4つの領域に区画しているが、さらに多くの領域に区分け(区画)してもよい。また、後述するように、液晶パネル34を垂直方向と水平方向の双方で複数の領域に区分けし、これに対応してバックライト装置35を垂直方向と水平方向の双方で複数の領域に区画してもよい。区分け(区画)する領域数は多い方が好ましく、垂直方向のみに区分け(区画)するよりも垂直方向と水平方向の双方で区分け(区画)する方が好ましい。ここでは説明を簡略化するため図2に示す垂直方向の4分割を例として図1の動作を説明する。
図1に戻り、最大階調検出部11は、映像信号のフレーム毎に、液晶パネル34のそれぞれの領域34a〜34dに表示する映像信号の最大階調を検出する。映像信号の1フレーム毎に最大階調を検出することが好ましいが、場合によっては2フレーム毎としてもよく、予め定めた単位時間毎に最大階調を検出すればよい。最大階調検出部11で検出された領域34a〜34d毎の最大階調を示すデータは、映像信号処理部10内の映像ゲイン演算部12とバックライト輝度制御部20内の非均一化処理部21とに供給される。映像ゲイン演算部12に次のようにして領域34a〜34dに表示する映像信号に乗じるゲインを演算する。
図3は映像ゲイン演算部12で求めるゲインの演算過程を説明するための図である。映像信号に乗じるゲインは液晶パネル34の領域34a〜34dそれぞれに供給する映像信号毎に求められる。従って、以下説明するゲインの演算は、領域34a〜34dに供給するそれぞれの映像信号に対して行われる。なお、図3では、横軸に示す入力信号(映像信号)が8ビットで、入力信号が階調0〜255の値を取る場合を示している。また、縦軸に示す液晶パネル34の表示輝度(表示階調)は液晶パネル34の透過率を無視し、便宜上0〜255の値を取るとして説明する。映像信号のビット数は8ビットに限定されることはなく、例えば10ビットでもよい。
図3(A)に示す曲線Cv1は階調0〜255の入力信号が液晶パネル34にどのような表示輝度で表示されるかを示している。曲線Cv1は、横軸をx、縦軸をyとすると、yはxの2.2乗〜2.4乗で表される曲線であり、一般的にガンマ2.2〜2.4と称されるガンマ曲線である。液晶パネル34の種類によっては図3(A)のガンマ曲線Cv1とは異なる場合もある。
ここで一例として、図3(B)に示すように、入力信号の最大階調が127であり、入力信号が階調0〜127の値を取る場合を考える。この場合の液晶パネル34の表示輝度は曲線Cv2で表される曲線となり、表示輝度は0〜56の値を取る。このとき、バックライトが最大輝度の階調255で発光していると考える。バックライトの最大輝度とは映像信号が最大階調255(即ち、白)であるときにバックライトが発光すべき輝度のことである。図3(B)に曲線Cv2で示す映像信号に約4.5のゲインを乗じると、図3(C)に示す曲線Cv3となる。ゲインの約4.5は255/56から得られる。図3(C)の状態でもバックライトは最大輝度で発光していると考える。
この状態では、曲線Cv3で示す特性を有する映像信号は図3(B)に曲線Cv2で示す特性を有する本来の映像信号ではなく、また、バックライトで無駄な電力が消費されてしまうことになる。そこで、バックライトの発光輝度を最大輝度の約1/4.5倍とすると、図3(D)に示すように、表示輝度0〜255の曲線Cv3は表示輝度0〜56の曲線Cv4となる。これにより、曲線Cv4で示す特性を有する映像信号は曲線Cv2で示す特性を有する本来の映像信号と実質的に等価となると共に、バックライトの消費電力が低減される。
即ち、領域34a〜34dにそれぞれ表示する映像信号の1フレーム期間内の最大階調をGmax1とし、映像信号のビット数で決まる映像信号が取り得る最大階調をGmax0とすると、映像ゲイン演算部12は、領域34a〜34d毎のGmax0/Gmax1を領域34a〜34dに表示する映像信号に乗じるゲインとする。ゲインGmax0/Gmax1の逆数であるGmax1/Gmax0は、バックライト輝度制御部20において、バックライトの輝度を制御する際に用いられる。領域34a〜34dに表示する映像信号の絵柄が異なれば当然ながら領域34a〜34dそれぞれの最大階調Gmax1は異なるので、Gmax0/Gmax1は領域34a〜34d毎に異なることになる。バックライト輝度制御部20の構成及び動作については後に詳述する。
図1において、映像ゲイン演算部12で得られた領域34a〜34d毎のゲインは乗算器14に入力される。乗算器14は、フレームメモリ13より出力された領域34a〜34dに表示する映像信号にそれぞれのゲインを乗じて出力する。
乗算器14より出力された映像信号は液晶モジュール部30のタイミング制御部31に供給される。液晶パネル34は前述のような複数の画素341を備えており、画素341のデータ信号線にはデータ信号線駆動部32が接続され、ゲート信号線にはゲート信号線駆動部33が接続されている。タイミング制御部31に入力された映像信号はデータ信号線駆動部32へと供給される。タイミング制御部31は、データ信号線駆動部32とゲート信号線駆動部33とによって映像信号を液晶パネル34に書き込むタイミングを制御する。データ信号線駆動部32に入力された映像信号の各ラインを構成する画素データは、ゲート信号線駆動部33によるゲート信号線の駆動によって1ラインずつ順次各ラインの画素に書き込まれる。これにより映像信号の各フレームは順次液晶パネル34に表示され
ることになる。
バックライト装置35は液晶パネル34の背面側に配置されている。バックライト装置35としては、液晶パネル34の直下に配置する直下型とバックライトから発せられた光を導光板に入射して液晶パネル34に照射する導光板型とがあり、このいずれであってもよい。バックライト装置35はバックライト駆動部36によって駆動される。バックライト駆動部36には電源部40からバックライトを発光させるための電力が供給される。なお、電源部40からは電力を必要とする回路の各部に電力が供給される。液晶モジュール部30はバックライト装置35の温度を検出する温度センサとバックライト装置35から発せられる光の色温度を検出するカラーセンサを備える。
ここで、バックライト装置35の具体的な構成例について説明する。図4は図2と同様、バックライト装置35を垂直方向に4つの領域に区画した例を示している。図4に示すバックライト装置35の第1構成例をバックライト装置35Aと称し、後述する図5に示すバックライト装置35の第2構成例をバックライト装置35Bと称することとする。また、バックライト装置35は、バックライト装置35A,35B及び他の構成例の総称であるとする。図4(A)はバックライト装置35Aの上面図、図4(B)はバックライト装置35Aを垂直方向に切断した状態を示す断面図である。
図4(A),(B)に示すように、バックライト装置35Aは所定の深さを有する矩形の筐体351にバックライトの光源352を水平方向に配列させて取り付けた構成となっている。光源352は例えばLEDである。領域35a〜35dは、筐体351の底面から光源352の最上面(頂部)よりも高い所定の高さで突出している区画壁353によって互いに区画されている。筐体351の内側及び区画壁353の表面は反射シートによって覆われている。
筐体351の上部には光を拡散させる拡散板354が装着され、拡散板354上には例えば3枚の光学シート類355が装着されている。光学シート類355は光を拡散させる拡散シート、プリズムシート、DBEF(Dual Brightness Enhancement Film)と称されている輝度上昇フィルム等の複数のシートを組み合わせたものである。反射シートよりなる区画壁353の高さは拡散板354まで達していないので領域35a〜35dは完全に分離されておらず、互いに完全に独立した状態となっていない。即ち、バックライト装置35Aにおいては、領域35a〜35dそれぞれの光源352から発せられた光は他の領域に漏れ出ることを許容した構造となっている。後に詳述するように、第1実施形態では、それぞれの領域35a〜35dから他の領域に漏れ出る光量を考慮して、領域35a〜35dから発せられる光の輝度を制御する。
図5は、液晶パネル34を垂直方向に4つの領域に区分けし、さらに水平方向に4つの領域に区分けした場合、即ち、液晶パネル34を2次元的に16の領域に区分けした場合の、バックライト装置35の第2構成例であるバックライト装置35Bを示している。図5(A)はバックライト装置35Bの上面図、図5(B)はバックライト装置35Bを垂直方向に切断した状態を示す断面図、図5(C)はバックライト装置35Bを水平方向に切断した状態を示す断面図である。ここでは、図5(B)は図5(A)の左端部の領域の列を切断した状態、図5(C)は図5(A)の上端部の領域の行を切断した状態を示している。なお、図5において、図4と同一部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略することとする。
筐体351は水平方向及び垂直方向の区画壁353によって、領域35a1〜35a4,35b1〜35b4,35c1〜35c4,35d1〜35d4の16の領域に区画されている。バックライト装置35Bにおいても、領域35a1〜35a4,35b1〜35b4,35c1〜35c4,35d1〜35d4それぞれの光源352から発せられた光は他の領域に漏れ出ることを許容した構造となっている。第1実施形態では、それぞれの領域35a1〜35a4,35b1〜35b4,35c1〜35c4,35d1〜35d4から他の領域に漏れ出る光量を考慮して、領域35a1〜35a4,35b1〜35b4,35c1〜35c4,35d1〜35d4から発せられる光の輝度を制御する。
LEDは指向性の高い光源であるため、光源352としてLEDを用いた場合には反射シートで覆われた区画壁353は図4,図5に記載の状態よりさらに低くしてもよく、場合によっては削除することも可能である。光源352の素子をドーム状のレンズによって覆うことによって区画壁353を設けるのと同様の効果を持たせることも可能である。バックライトの光源としてはLED以外であってもよく、CCFLや外部電極蛍光ランプ(EEFL)等の他の光源を用いることも可能である。但し、LEDは発光輝度と発光面積の制御が容易であるので、第1実施形態で用いる光源352としてはLEDが好適である。バックライト装置35の具体的な構成は図4や図5に示す構成に限定されるものではない。
図4,図5に示す光源352は具体的には次のように構成される。図6(A)に示す光源352の第1構成例は、基板356上にGのLED357G,RのLED357R,BのLED357B,GのLED357Gをこの順で実装したものである。基板356は例えばアルミ基板またはガラスエポキシ基板である。図4,図5に示す光源352は、この図6(A)の光源352を複数個一列に配列させたものに相当する。図6(B)に示す光源352の第2構成例は、基板356上にRのLED357R,GのLED357G,BのLED357B,GのLED357Gを菱形状に実装したものである。図4,図5に示す光源352は、この図6(B)の光源352を複数個一列に配列させたものに相当する。
図6(C)に示す光源352の第3構成例は、基板356上にRのLED357R,GのLED357G,BのLED357Bを一体的に備えたLEDチップ358を12個実装したものである。図4,図5に示す光源352は、この図6(C)の光源352を複数個一列に配列させたものに相当する。図6(D)に示す光源352の第4構成例は、基板356上に白(W)のLED357Wを2つ実装したものである。図4,図5に示す光源352は、この図6(D)の光源352を複数個一列に配列させたものに相当する。なお、LED357Wとしては、BのLEDから放射される光で黄色の蛍光体を励起して白色の光を得るものと、LEDから放射される紫外線でR,G,Bの蛍光体を励起して白色の光を得るものとがあり、このいずれでもよい。
次に、図1に戻り、バックライト輝度制御部20の構成及び動作について説明する。バックライト輝度制御部20は非均一化処理部21の他に、発光輝度演算部22とホワイトバランス調整部23とPWMタイミング発生部24とを備える。ここでも簡略化のため、バックライト装置35は図4に示すバックライト装置35Aであるとして説明する。バックライトの最大輝度をBmaxとすると、バックライト装置35の領域35a〜35dそれぞれのバックライトが発光すべき輝度は、最大輝度Bmaxに領域34a〜34d毎に求めたGmax1/Gmax0を乗じればよい。非均一化処理部21はこのようにして領域35a〜35dのバックライトが発光すべき輝度B1〜B4を求める。
この計算上の発光輝度B1〜B4は、バックライトである光源352が発光した場合の光源352直上の輝度ということではなく、バックライト装置35から発せられる光の輝度ということである。即ち、図4,図5の構成例では、発光輝度B1〜B4は光学シート類355上の輝度である。なお、バックライト装置35の1つの領域から発すべき計算上の発光輝度をBと総称する。以下の説明では、バックライト装置の領域35a〜35dから発せられる光の輝度分布が各領域内でほぼ一様であるとして説明するが、1つの領域内で輝度分布が一様でない場合もある。この場合は、1つの領域内における任意の点上の明るさが発光輝度B1〜B4であればよい。
従来では、領域34a〜34d全ての映像信号の階調が同じであれば、領域35a〜35dの発光輝度B1〜B4は全て同じである。即ち、これは、計算上の発光輝度B1〜B4をそのまま用いて実際の発光輝度とするということである。これに対して、第1実施形態では、非均一化処理部21が計算上の発光輝度B1〜B4に非均一化係数p1〜p4を乗じて、領域35a〜35dから実際に発せられる光の発光輝度を、p1B1,p2B2,p3B3,p4B4とする。係数p1〜p4は0より大きく、1以下の値である。本発明者は、液晶パネル34の画面全体でバックライトを計算上の発光輝度そのままで発光させるより、画面周辺部でバックライトを計算上の発光輝度より若干下げた発光輝度で発光させた方が液晶パネル34に表示される映像の品位が向上することを見出した。
そこで、バックライト装置35の領域を1次元的に4分割した図4の例では、領域35a〜35dの内、画面の上下端部に対応する領域35a,35dからの発光輝度B1,B4を領域35b,35cからの発光輝度B2,B3よりも下げることが好ましい。具体的には、一例として、p1を0.8、p2,p3を1、p4を0.8とする。
液晶パネル34の全体に白を表示した全白状態で、液晶パネル34の領域34b,34cの輝度が500[cd/m2]であったとすると、領域34a,34dでは400[cd/m2]となる。従って、バックライト装置35の領域35a,35dにおける消費電力は20%削減できる。このように、第1実施形態では、非均一化処理部21を設けることにより、液晶パネル34に表示される映像の品位を下げることなく、むしろ品位を向上させつつ、バックライト装置35の消費電力を削減することが可能である。映像の品位と消費電力の削減との双方を考慮すると、係数p1〜p4は0.8以上1.0以下が好ましい。即ち、画面中心部ではバックライトの発光輝度に乗じる係数pを1とし、画面周辺部では発光輝度に乗じる係数pを下限値の0.8までの範囲で設定する。
さらに、液晶パネル34及びバックライト装置35を2次元的に領域分割した場合の非均一化係数pについて説明する。ここでは、水平方向及び垂直方向双方で8つの領域に分割した場合、即ち、2次元的に64の領域に分割した場合を例とする。この場合のバックライト装置35の領域は、図7に示すように、35a1〜35a8,35b1〜35b8,35c1〜35c8,35d1〜35d8,35e1〜35e8,35f1〜35f8,35g1〜35g8,35h1〜35h8となる。特に図示しないが、液晶パネル34はバックライト装置35の64の領域に対応して64に区分けされる。
図8(A)は、バックライト装置35の垂直方向の中央部の4行の領域35c1〜35c8,35d1〜35d8,35e1〜35e8,35f1〜35f8における水平方向の8つの領域それぞれの計算上の発光輝度に乗じる係数pの一例である。図8(A)の左右方向は水平方向の位置であり、左側が画面左端部、右側が画面右端部である。この例では、水平方向の中央部である4つの領域に対して係数pを1とし、その左右に位置する領域に対して係数pを0.9とし、左右端部の領域に対して係数pを0.8としたものである。
係数pは係数pを1とする中央部から画面の左右端部に近付くに従って、順次段階的に小さくしていくことが好ましい。このとき、係数pが左右で対称となるようにすることが好ましい。ここでは、中央部の4つの領域における係数pを1としたが、中央部の2つの領域における係数pを1とし、2つの領域の左右に位置する領域から左右端部の領域まで係数pを1未満の値から0.8までの範囲で順次小さくするようにしてもよい。また、分割数が奇数の場合には、係数pを1とする水平方向の領域を1つのみとしてもよい。係数pの水平方向の特性は実際の画面で最も好ましい映像の品位となるように適宜設定すればよい。
図8(B)は、バックライト装置35の水平方向の中央部の4列の領域35a3〜35h3,35a4〜35h4,35a5〜35h5,35a6〜35h6における垂直方向の8つの領域それぞれの計算上の発光輝度に乗じる係数pの一例である。図8(B)の左右方向は垂直方向の位置であり、左側が画面上端部、右側が画面下端部である。この例では、垂直方向の中央部である4つの領域に対して係数pを1とし、その上下に位置する領域に対して係数pを0.9とし、上下端部の領域に対して係数pを0.8としたものである。
垂直方向においても、係数pは係数pを1とする中央部から画面の上下端部に近付くに従って、順次段階的に小さくしていくことが好ましい。このとき、係数pが上下で対称となるようにすることが好ましい。ここでは、中央部の4つの領域における係数pを1としたが、中央部の2つの領域における係数pを1とし、2つの領域の上下に位置する領域から上下端部の領域まで係数pを1未満の値から0.8までの範囲で順次小さくするようにしてもよい。また、分割数が奇数の場合には、係数pを1とする垂直方向の領域を1つのみとしてもよい。係数pの垂直方向の特性は実際の画面で最も好ましい映像の品位となるように適宜設定すればよい。なお、係数pの水平方向の特性と垂直方向の特性とを異ならせてもよい。
以上のようにして、図1の非均一化処理部21からは、バックライト装置35のそれぞれの領域から実際に発すべき光の発光輝度を示すデータが得られる。非均一化処理部21で用いる係数pは制御部50より供給される。制御部50はマイクロコンピュータによって構成することができ、係数pは任意に可変可能である。この発光輝度を示すデータは発光輝度演算部22に入力され、以下のようにそれぞれの光源352が発光すべき光の輝度が演算される。まず、バックライト装置35が領域35a〜35dを有するバックライト装置35Aであり、領域35a〜35dから実際に発すべき光の発光輝度がp1B1,p2B2,p3B3,p4B4の場合の光源352が発光すべき光の輝度の演算方法について説明する。
図9(A)は図4(B)の断面図を横にした状態であり、ここでは光学シート類355を省略している。領域35a〜35dからの光の発光輝度はp1B1,p2B2,p3B3,p4B4であり、p1B1=B1’,p2B2=B2’,p3B3=B3’,p4B4=B4’とする。「’」を付した発光輝度B’は非均一化処理部21によって非均一化処理を施した発光輝度であり、「’」を付していない発光輝度Bは非均一化処理を施していない発光輝度を意味することとする。領域35a〜35dそれぞれの光源352が単独で発光したときの光源352直上の発光輝度をBo1,Bo2,Bo3,Bo4とする。前述のように、領域35a〜35dそれぞれの光源352から発せられた光は他の領域に漏れ出ることを許容した構造となっているので、発光輝度B1’,B2’,B3’,B4’は発光輝度Bo1,Bo2,Bo3,Bo4と同じではない。なお、拡散板354や光学シート類355による光の減衰はごくわずかであり考慮しない。なお、バックライト装置35の1つの領域の光源352が単独で発光したときの光源352直上の発光輝度をBoと総称する。
図9(A)に示すように、領域35a〜35d全ての光源352が発光しているとき、それぞれの光源352から発せられた光は発光輝度Bo1,Bo2,Bo3,Bo4のk倍の漏れ光L1となって隣接する領域に漏れ出る。kは光が漏れ出る際の減衰係数であり、0より大きい1未満の値である。光を発した領域以外の他の領域への漏れ光についてさらに検討する。図9(B)は、領域35aの光源352のみが発光している場合の領域35b〜35dへの漏れ光の状態を示している。領域35aの光源352から発光輝度Bo1で発せられた光は、輝度kBo1の漏れ光L1となって領域35bに漏れ出る。輝度kBo1の漏れ光L1はさらにk倍の漏れ光となるので、輝度k2Bo1の漏れ光L2となって領域35cに漏れ出る。輝度k2Bo1の漏れ光L2はまたさらにk倍の漏れ光となるので、輝度k3Bo1の漏れ光L3となって領域35dに漏れ出る。
この図9(B)の場合、領域35aからはほぼ発光輝度Bo1の光が発せられ、領域35bからは輝度kBo1の漏れ光L1によって光が発せられ、領域35cからは輝度k2Bo1の漏れ光L2によって光が発せられ、領域35dからは輝度k3Bo1の漏れ光L3によって光が発せられる。
領域35a〜35dの光源352をそれぞれ単独で点灯したときの領域35a〜35dからの発せられる光の輝度は図10に示す通りとなる。領域35a〜35d全ての光源352を点灯した場合に領域35a〜35dそれぞれから発せられる光の輝度は図10の表に示す輝度を縦方向に全て加算した合計の輝度となる。即ち、領域35aから発せられる光の輝度はBo1+kBo2+k2Bo3+k3Bo4、領域35bから発せられる光の輝度はkBo1+Bo2+kBo3+k2Bo4となる。領域35cから発せられる光の輝度はk2Bo1+kBo2+Bo3+kBo4、領域35dから発せられる光の輝度はk3Bo1+k2Bo2+kBo3+Bo4となる。領域35a〜35dから発すべき光の発光輝度はB1’〜B4’であるので、領域35aではBo1+kBo2+k2Bo3+k3Bo4をB1’、領域35bではkBo1+Bo2+kBo3+k2Bo4をB2’、領域35cではk2Bo1+kBo2+Bo3+kBo4をB3’、領域35dではk3Bo1+k2Bo2+kBo3+Bo4をB4’とすればよいことが分かる。
図11(A)に示す(1)式は、光源352から発せられる光の発光輝度Bo1,Bo2,Bo3,Bo4から発光輝度B1’,B2’,B3’,B4’を得るための変換式を行列演算式で表現したものである。図11(B)に示す(2)式は、発光輝度B1’,B2’,B3’,B4’から発光輝度Bo1,Bo2,Bo3,Bo4を得るための変換式を行列演算式で表現したものである。図11(C)に示す(3)式は、発光輝度演算部22での回路上で計算しやすくするために(2)式を整理したものである。図11(D)に示す(4)式は、(3)式の定数a,b,cを示している。図11(C)の(3)式より分かるように、発光輝度Bo1,Bo2,Bo3,Bo4は、領域35a〜35dの光源352から発せられた光が自己の領域以外の他の領域に漏れ出る光量に基づいた係数(変換係数)を発光輝度B1’,B2’,B3’,B4’に乗じることによって求めることができる。
バックライト装置35における1つの領域から隣接する領域への漏れ光L1は計測することができるので、図9,図10で説明した減衰係数kの値は予め求めておくことができる。従って、図11(C)の(3)式及び図11(D)の(4)式に基づいて、領域35a〜35dそれぞれの光源352が発すべき光の発光輝度Bo1,Bo2,Bo3,Bo4を正確に計算することができる。
なお、隣接する領域への漏れ光の減衰係数kが小さいときには、kの2乗以上の項は無視できるほど小さくなる。この場合は、1つの領域から発せられた光が隣接する領域のみに漏れ出るとして近似的に計算してもよい。即ち、kの2乗以上の項を0として計算してもよい。また、バックライト装置35の構造によっては、1つの領域から発せられた光がk2倍,…,kn倍(ここではn=3)とは異なる減衰の仕方で漏れ出ることもあるが、それぞれの領域への漏れ光は予め計測することができるので、この場合でも光源352が発すべき光の発光輝度Bo1,Bo2,Bo3,Bo4を正確に計算することが可能である。このことは領域分割の仕方が異なる図5や図7の場合でも同様である。
なお、バックライト装置35を垂直方向に8分割した場合、8つの領域から発光すべき光の発光輝度がB1’〜B8’であり、8つの領域における光源352が単独で発光したときの光源352直上の発光輝度をBo1〜Bo8とすると、発光輝度Bo1〜Bo8は図12に示す(5)式によって計算することができる。さらに、垂直方向にn分割(nは2以上の整数)と一般化すると、発光輝度B1’〜Bn’は図13(A)に示す(6)式で得られ、発光輝度Bo1〜Bonは図13(B)に示す(7)式によって計算することができる。
次に、バックライト装置35が図5に示すバックライト装置35Bの場合の光源352が発光すべき光の輝度の演算方法について説明する。図14に示すように、バックライト装置35Bの領域35a1〜35a4,35b1〜35b4,35c1〜35c4,35d1〜35d4の光源352から水平方向に隣接する領域に漏れ出る漏れ光は、光源352から発せられた光のm倍であるとする。水平方向の減衰係数mは0より大きい1未満の値である。垂直方向に隣接する領域に漏れ出る漏れ光は、バックライト装置35Aの場合と同様、光源352から発せられた光のk倍である。バックライト装置35Bの領域35a1〜35a4,35b1〜35b4,35c1〜35c4,35d1〜35d4から実際に発すべき光の発光輝度を、B11’〜B14’,B21’〜B24’,B31’〜B34’,B41’〜B44’とする。この発光輝度B11’〜B14’,B21’〜B24’,B31’〜B34’,B41’〜B44’を得るために、それぞれの領域の光源352が発すべき光の発光輝度をBo11〜Bo14,Bo21〜Bo24,Bo31〜Bo34,Bo41〜Bo44とする。
図9,図10で説明した漏れ光を考慮した発光輝度の計算方法を水平方向にも適用すると、行列演算式は図15に示す通りとなる。図15(A)に示す(8)式は、光源352から発せられる光の発光輝度Bo11〜Bo14から発光輝度B11’〜B14’を得るための行列演算式による変換式である。図15(B)に示す(9)式は、発光輝度B11’〜B14’から発光輝度Bo11〜Bo14を得るための行列演算式による変換式である。(9)式を整理すると、図15(C)に示す(10)式となる。図15(D)に示す(11)式は、(10)式の定数a,b,c,d,e,fを示している。図14の場合も、減衰係数k,mの値は予め求めておくことができるので、図15(C)の(10)式及び図15(D)の(11)式に基づいて、領域35a1〜35d4それぞれの光源352が発すべき光の発光輝度Bo11〜Bo44を正確に計算することができる。
バックライト装置35を水平方向及び垂直方向双方で8つの領域に分割した場合、64の領域から発光すべき光の発光輝度がB11’〜B88’であり、64の領域における光源352が単独で発光したときの光源352直上の発光輝度をBo11〜Bo88とすると、発光輝度B11’〜B88’は図16(A)に示す(12)式で得られ、発光輝度Bo11〜Bo88は図16(B)に示す(13)式によって計算することができる。さらに、水平方向及び垂直方向双方でn分割(nは2以上の整数)と一般化すると、発光輝度Bo11〜Bon,nは発光輝度がB11’〜Bn,n’を用いて図17に示す(14)式によって計算することができる。図示は省略するが、水平方向にnh分割(nhは2以上の整数)、垂直方向にnv分割(nvは2以上の整数であり、nhとは異なる値)の場合でも同様に行列演算式を用いることによって、それぞれの光源352が発すべき光の発光輝度を正確に計算することが可能である。
図1に戻り、発光輝度演算部22で用いる減衰係数k,mは制御部50より供給される。減衰係数k,mは任意に可変可能である。以上のようにして得られたバックライト装置35の複数の領域におけるそれぞれの光源352が発すべき光の発光輝度を示すデータは、ホワイトバランス調整部23に供給される。ホワイトバランス調整部23には、温度センサ37より出力されたバックライト装置35の温度を示す温度データとカラーセンサ38より出力されたバックライト装置35から発せられる光の色温度を示す色温度データとが入力される。
前述のように、バックライト装置35の温度が変化するとLED(特にRのLED)から発せられる光の輝度が変化する。そこで、ホワイトバランス調整部23は、光源352が3色LEDの場合には温度データと色温度データとに基づいてR,G,BのLEDの光量を調整し、最適なホワイトバランスとなるよう調整する。なお、バックライト装置35のホワイトバランスは、制御部50から供給される外部制御信号Sctlによっても調整することができる。なお、ホワイトバランス調整部23は光源352の温度変化や経時変化によるバックライトのホワイトバランスの変化が小さい場合には削除することも可能である。
ホワイトバランス調整部23より出力されたバックライト装置35の複数の領域におけるそれぞれの光源352が発すべき光の発光輝度を示すデータは、PWMタイミング発生部24に供給される。光源352がLEDの場合には各色のLEDは例えばパルス幅が変調されたパルス幅変調信号によって発光が制御される。PWMタイミング発生部24は、パルス幅変調信号を発生させるタイミングと、発光量(発光時間)を調整するためのパルス幅とを含むPWMタイミングデータをバックライト駆動部36に供給する。バックライト駆動部36は入力されたPWMタイミングデータに基づいてパルス幅変調信号である駆動信号を発生して、バックライト装置35の光源352(LED)を駆動する。
ここではLEDをパルス幅変調信号によって駆動する例を示したが、LEDに流す電流値を調整することによってLEDの発光輝度を制御することも可能である。この場合は、PWMタイミング発生部24の代わりにLEDに電流を流すタイミングと電流値を決めるためのタイミングデータを発生するタイミング発生部を設ければよい。また、光源352がLED以外の場合には光源の種類に応じた発光量の制御を行えばよく、光源の種類に応じたタイミングデータを発生するタイミング発生部を用いればよい。
図1では、バックライト輝度制御部20を制御部50と別体としているが、制御部50にバックライト輝度制御部20内の回路の全てまたは一部を設けることも可能である。また、図1の構成における例えば最大階調検出部11と映像ゲイン演算部12やバックライト輝度制御部20の部分はハードウェアで構成してもソフトウェアで構成してもよく、両者を混在させた構成であってもよい。改めて説明するまでもないが、映像信号処理部10より出力された映像信号の各フレームの液晶パネル34での表示と、バックライト輝度制御部20による各フレームの映像信号の最大輝度に応じたバックライト輝度の制御とは互いに同期が取られている。図1では両者の同期を取るための構成の図示を省略している。
図18を用いて、以上説明した図1に示す液晶表示装置の動作、及び、図1に示す液晶表示装置で行われる映像表示方法の手順について改めて説明する。図18において、最大階調検出部11はステップS11にて液晶パネル34の複数の領域毎に映像信号の最大階調を検出する。映像ゲイン演算部12はステップS12にて液晶パネル34のそれぞれの領域に表示する映像信号に乗じるゲインを演算する。液晶モジュール部30はステップS13にてゲインを乗じたそれぞれの領域の映像信号を液晶パネル34に表示する。このステップS12,S13と並列的にステップS14〜S17が実行される。
非均一化処理部21はステップS14にてバックライト装置35の複数の領域から発せられるべき光の発光輝度Bを求め、ステップS15にて液晶パネル34の複数の領域の輝度を非均一化するよう発光輝度Bに係数pを乗じて発光輝度B’とする。発光輝度演算部22はステップS16にてバックライト装置35の複数の領域の光源352自体が発すべき光の発光輝度Boを発光輝度B’と変換係数とを用いた演算式によって求める。そして、PWMタイミング発生部24及びバックライト駆動部36はステップS17にて、ステップS13と同期させた状態で、バックライト装置35の複数の領域の光源352を発光輝度Boで発光させる。
図1に示す構成においては、非均一化処理部21で非均一化処理を施した発光輝度B’を求めて、発光輝度演算部22はこの発光輝度B’に基づいて発光輝度Boを求めているが、発光輝度演算部22によって発光輝度Boを求めた後に非均一化処理を施すようにしてもよい。即ち、非均一化処理部21と発光輝度演算部22とを入れ替えてもよい。この場合の動作及び手順について図19を用いて説明する。
図19において、ステップS21〜S23は図18のステップS11〜S13と同じである。発光輝度演算部22はステップS24にてバックライト装置35の複数の領域から発せられるべき光の発光輝度Bを求め、ステップS26にてバックライト装置35の複数の領域の光源352自体が発すべき光の発光輝度Boを発光輝度Bと変換係数とを用いた演算式によって求める。非均一化処理部21はステップS25にて発光輝度Boに係数pを乗じて発光輝度Bo’とする。そして、PWMタイミング発生部24及びバックライト駆動部36はステップS27にて、ステップS23と同期させた状態で、バックライト装置35の複数の領域の光源352を発光輝度Bo’で発光させる。
ところで、非均一化処理部21による非均一化処理は、バックライト装置35の消費電力を上記非特許文献1や上記特許文献1〜3に記載の構成よりもさらに削減したい場合には必要であるが、消費電力はそれらの文献に記載の構成と同等でよい場合には非均一化処理部21を省略することも可能である。この場合の動作及び手順について図20を用いて説明する。図20において、ステップS31〜S33は図18のステップS11〜S13と同じである。発光輝度演算部22はステップS34にてバックライト装置35の複数の領域から発せられるべき光の発光輝度Bを求め、ステップS36にてバックライト装置35の複数の領域の光源352自体が発すべき光の発光輝度Boを発光輝度Bと変換係数とを用いた演算式によって求める。そして、PWMタイミング発生部24及びバックライト
駆動部36はステップS37にて、ステップS33と同期させた状態で、バックライト装置35の複数の領域の光源352を発光輝度Boで発光させる。
以上説明したように、第1実施形態に係る液晶表示装置においては、バックライト装置35は複数の領域それぞれの光源352から発せられた光が自己の領域以外の他の領域に漏れ出ることを許容する構造を有しているので、液晶パネル34の領域とバックライト装置35の領域とを高精度に対応付ける必要はない。また、バックライト装置35の複数の領域それぞれから発すべき発光輝度Bを、それぞれの領域の光源352を単独で発光させた場合の光源352自体の発光輝度Boによって正確に計算することができる。従って、液晶パネル34上の複数の領域に照射するバックライトの輝度をその領域に表示する映像信号の明るさに応じて精度よく制御することができる。
さらに、バックライト装置35のそれぞれの領域は完全に独立しておらず、光源352から発せられた光が自己の領域以外の他の領域に漏れ出る構造を考慮した演算式を用いて発光輝度Boを求めているので、液晶パネル34上の複数の領域で明るさや色味にばらつきが生じにくく、液晶パネル34に表示される映像の品位を向上させることが可能となる。
<第2実施形態>
図21は本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。図21において図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。なお、図21においては、簡略化のため、図1における非均一化処理部21を省略した構成としているが、第1実施形態と同様、非均一化処理部21を備えた構成としてもよい。
上述したように、第1実施形態においては、発光輝度演算部22によってバックライト装置35の複数の領域の光源352自体が発すべき光の発光輝度Boを求めて複数の領域の光源352を発光させる。この発光輝度Boはそれぞれの領域の中心点における輝度値である。図22(A)は、図4(A)のようにバックライト装置35を垂直方向に4つの領域に区画したバックライト装置35Aにおける領域35bのみが発光した場合の輝度分布を示している。領域35bが図22(A)に示す発光輝度Bo2で発光した場合、領域35a,35cでは発光輝度kBo2、領域35dでは発光輝度k2Bo2となり、図示のような輝度分布となる。この場合の領域35bの光源352から発光される光の発光量は、図22(B)にハッチングを付した領域として示すことができる。即ち、図22(B)に示す光の発光量は図22(A)の輝度分布で示される範囲の光(光束)の積分値として表すことができる。
複数の領域から発光すべき光の発光輝度Bは、それぞれの領域の光源352自体からの光の発光輝度Boに基づいて求めるよりも、光源352から発光される積分値としての光の発光量に基づいて求めた方が好ましい。そこで、図21に示す第2実施形態においては、発光輝度演算部22とホワイトバランス調整部23との間に、発光輝度Boを積分値である発光量Boigに変換する発光量演算部25を設けている。発光量Boigは、発光輝度Boから発光量Boigへ変換する演算式によって簡単に求めることができる。
図23(A)は一例としてバックライト装置35Aの場合の演算式である。図23(B)は図23(A)に示す(15)式における定数s1〜s4であり、定数s1〜s4は減衰係数kを用いて(16)式で表すことができる。なお、図23(A),(B)は発光輝度Boから発光量Boigへ変換する演算式を近似式で表したものである。例えばバックライト装置35Aにおける領域35aが発光した場合に液晶パネル34に照射される光の積分値は、近似的に図24に示す(17)式で表すことができ、k3の項は十分に小さいので無視すると(18)式で表すことができる。また、バックライト装置35Aにおける領域35bが発光した場合に液晶パネル34に照射される光の積分値は近似的に(19)式で表すことができ、(19)式を書き換えると(20)式となる。バックライト装置35を垂直方向に複数の領域に分割した場合は、上下端部に位置する領域の発光輝度Boに乗じる係
数sは1+kであり、上下端部の領域に挟まれたそれぞれの領域の発光輝度Boに乗じる係数sは全て(1+k)/(1−k)である。
図25(A)は、図5,図14に示すバックライト装置35Bの場合の、発光輝度Boに基づいて発光量Boigを求める演算式である。図25(A)に示す(21)式における定数s1〜s4は図23(B)に示す(16)式であり、定数t1〜t4は減衰係数mを用いて図25(B)の(22)式で表すことができる。バックライト装置35を水平方向及び垂直方向双方で複数の領域に分割した場合は、上下端部に位置する領域の発光輝度Boに乗じる係数sは1+kであり、上下端部の領域に挟まれたそれぞれの領域の発光輝度Boに乗じる係数sは全て(1+k)/(1−k)であり、左右端部に位置する領域の発光輝度Boに乗じる係数tは1+mであり、左右端部の領域に挟まれたそれぞれの領域の発光輝度Boに乗じる係数tは全て(1+m)/(1−m)である。
図21において、発光量演算部25より出力された発光量Boigを示すデータはホワイトバランス調整部23を介してPWMタイミング発生部24に供給される。PWMタイミング発生部24は、発光量Boigを示すデータに基づいて、バックライト駆動部36が発生するパルス幅変調信号のパルス幅を調整するPWMタイミングデータを発生する。このように、第2実施形態においては、バックライト駆動部36は、バックライト装置35におけるそれぞれの領域の光源352で発光させるべき発光量Boigに応じてそれぞれの領域の光源352を駆動するので、複数の領域から発光すべき光の発光輝度Bを第1実施形態よりも的確に制御することが可能となる。
なお、図23〜図25を用いて説明した発光輝度Boから発光量Boigへ変換する演算式は上記のように発光量Boigを近似的に求める演算式であり、図22(B)に示すハッチングを付した領域である光の積分値を完全に表すものではないが、近似的な演算式でも光の積分値に相当する発光量Boigを得ることができる。さらに複雑な演算式を用いてより正確な光の積分値を求めるようにしてもよい。
<第3実施形態>
図26は本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。図26において図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。なお、図26においては、簡略化のため、図1における非均一化処理部21を省略した構成としているが、第1実施形態と同様、非均一化処理部21を備えた構成としてもよい。また、図26においては第2実施形態と同様の発光量演算部25を備えた構成としているが、発光量演算部25を削除した構成であってもよい。
図27(A)は、バックライト装置35Aの領域35a〜35dに対応して液晶パネル34が領域34a〜34dに区分けされている場合で、領域34a,34b,34dの階調が0(即ち、黒)で領域34cが最大階調255(即ち、白)の場合を示している。この場合のバックライト装置35Aの領域35a〜35dから発せられるべき光の発光輝度Bは、図27(B)に示すようにB1,B2,B3,B4となる。この場合、バックライト装置35Aの領域35a〜35dの光源352自体が発すべき光の発光輝度Boは、計算上では、図27(C)に示すようにBo1,Bo2,Bo3,Bo4となり、領域35a,35b,35dで負の値となってしまう。第3実施形態は、光源352を負の輝度値で発光させるというあり得ない状態が発生しないよう、発光輝度Boを求める際に工夫を施したものである。
バックライト装置35を垂直方向にnの領域に区画した場合、上端部の領域の光源352自体が発すべき光の発光輝度をBo1、下端部の領域の光源352自体が発すべき光の発光輝度をBon、上下端部の領域に挟まれたそれぞれの領域の光源352自体が発すべき光の発光輝度をBoiとすると、Bo1,Boi,Bonが計算上負の値となるのは、それぞれの領域から発せられるべき光の発光輝度B1,Bi,Bnが図28(A)の(23)式に示す条件に当てはまる場合である。(23)式に示すように、発光輝度Boが計算上負の値となる条件は減衰係数kによって決まる。
そこで、第3実施形態においては、発光輝度B1〜Bnが(23)式に示す条件に当てはまる場合には、発光輝度B1〜Bnを図28(B)の(24)式を満たすような値に補正した上で発光輝度Boを求める。発光輝度Boが負の値とならないようにするには少なくとも図28(C)の(25)式を満たせばよい。(24)式のように(25)式よりも発光輝度Bの輝度値を増大させることを許容しているのは、発光輝度Boが負の値とならないように発光輝度Bを補正するだけでなく、視覚上の悪影響がない範囲で意図的に発光輝度Bを増大させてもよいからである。
図29は、バックライト装置35を水平方向及び垂直方向双方で複数の領域に分割した場合の発光輝度Boが負になる条件と発光輝度Bの補正値を示している。発光輝度Bに付した添え字のiは垂直方向の任意のi番目の領域、jは水平方向の任意のj番目の領域を示している。図29(A)の(26)式は、垂直方向に並んだそれぞれの領域で発光輝度Boが計算上負の値となる発光輝度Bの条件を示している。発光輝度Bが(26)式に示す条件に当てはまる場合には、発光輝度Bを図29(B),(C)の(27)式または(28)式を満たすような値に補正した上で発光輝度Boを求める。
さらに、図29(D)の(29)式は、水平方向に並んだそれぞれの領域で発光輝度Boが計算上負の値となる発光輝度Bの条件を示している。(29)式に示すように、水平方向の場合には発光輝度Boが計算上負の値となる条件は減衰係数mによって決まる。発光輝度Bが(29)式に示す条件に当てはまる場合には、発光輝度Bを図29(E),(F)の(30)式または(31)式を満たすような値に補正した上で発光輝度Boを求める。
図27(D)は、図27(C)のような負の値の発光輝度Boが発生しないよう輝度値を補正した発光輝度Bを示している。この図27(D)に示す発光輝度Bを用いて発光輝度Boを求めれば、図27(E)に示すように発光輝度Boが負となることはない。なお、ここでは負の発光輝度Boを輝度値0に補正するよう、発光輝度Bを図28(C)の(25)式によって補正した場合を示している。
図26に戻り、第3実施形態の構成及び動作について説明する。図1に示す第1実施形態においては、映像ゲイン演算部12は最大階調検出部11から入力された液晶パネル34のそれぞれの領域の最大階調を示すデータを用いてゲインを求めたが、図26に示す第3実施形態においては、次のように構成している。図26において、発光輝度演算部22は、図28,図29で説明したように、発光輝度Boが計算上負の値となる発光輝度Bの場合に発光輝度Boが輝度値0以上となるよう発光輝度Bを補正する。そして、発光輝度演算部22は、補正された発光輝度Bに基づいて発光輝度Boを求めて発光量演算部25に供給する。この補正された発光輝度Bは映像ゲイン演算部12に供給される。映像ゲイン演算部12は、補正された発光輝度Bに基づいて映像信号に乗じるゲインを演算する。
映像ゲイン演算部12がそれぞれの領域の映像信号の最大階調を示すデータを用いてゲインを求める場合であっても、補正された発光輝度Bを用いてゲインを求める場合であっても、映像ゲイン演算部12は、映像信号のビット数で決まる映像信号が取り得る最大階調をそれぞれの領域の映像信号の最大階調で除した値に相当する値を領域毎の映像信号に対するゲインとして求めていることになる。
この第3実施形態においては、最大階調検出部11から映像ゲイン演算部12へとそれぞれの領域の最大階調を示すデータを供給する必要はない。図26に最大階調検出部11から映像ゲイン演算部12へと破線の矢印で示すように、第1実施形態と同様、最大階調検出部11から映像ゲイン演算部12へとそれぞれの領域の最大階調を示すデータを供給してもよい。発光輝度Boが計算上負の値となるのみ、最大階調を示すデータの代わりに補正された発光輝度Bを用いてゲインを求めるようにすることも可能である。
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の全体構成は、上述した第1〜第3実施形態のいずれかである。第4実施形態は、バックライト装置35の光源352から発せられる光の輝度分布特性をどのようにするのが好ましいかを検討し、その好ましい輝度分布特性を有する光源352を採用した構成である。
図30(A)は、バックライト装置35における1つの領域の1つの光源352から発せられる光の輝度分布特性を示している。理解を容易にするため光源352は点光源であるとする。この図30(A)に示す輝度分布特性は、例えば図4,図5のバックライト装置35A,35Bのそれぞれの領域を垂直方向に切断して見た場合の特性に相当する。図30(A)において、縦軸は輝度値であり、横軸は光源352からの距離である。ここでは輝度値の最大値(中心輝度)を1に正規化して図示している。Wは1つの領域の垂直方向の幅である。この輝度分布特性が表す曲線を輝度分布関数f(x)とする。
本発明者は、種々実験を行った結果、例えばバックライト装置35の1つの領域を発光させた際に、輝度分布関数f(x)の状態によっては、液晶パネル34上でその領域の境界が境界段差として視認され、液晶パネル34に表示される画像の画質を損ねてしまうことを見出した。図30(B)は、輝度分布関数f(x)を微分した微分関数f’(x)を示している。実験の結果、微分関数f’(x)の最大値(輝度分布関数f(x)の微分最大値)が境界段差の視認性に影響を与えることが判明した。
下記の表1に示すように、本発明者は輝度分布特性の異なる輝度分布関数f(x)であるfc1〜fc8を有する複数の光源352を選択的にバックライト装置35に用いて、境界段差の視認性の有無を調べた。
図31(A)には表1における輝度分布関数fc1〜fc8の内、fc1,fc3,fc5,fc7,fc8を示しており、図31(B)には輝度分布関数fc1,fc3,fc5,fc7,fc8の微分関数f’c1,f’c3,f’c5,f’c7,f’c8を示している。表1に示すように、領域の境界が境界段差として視認されないようにするには、微分関数f’(x)の絶対値|f’(x)|の最大値|f’(x)max|が2.0以下の輝度分布関数f(x)を示す輝度分布特性を有する光源352を用いることが必要である。当然のことながら、最大値|f’(x)max|の下限値は0を超えることが必要である。即ち、微分関数f’(x)の絶対値|f’(x)|の最大値|f’(x)max|は、0<|f’(x)max|≦2.0を満たすことが必要である。
ここでは領域を垂直方向に切断して見た場合の特性について示したが、光源352からの光は光源352を中心として同心円状に光源352から離れるに従って減衰しながら広がるので、光源352からの光の輝度分布特性を垂直方向以外の水平方向やいずれの方向から見た場合でも同様である。
このように、第4実施形態の液晶表示装置においては、バックライト装置35の光源352として、輝度分布特性の曲線が示す輝度分布関数f(x)の傾きの変化量を示す微分値の絶対値の最大値が2.0以下の光源を用いているので、バックライト装置35の複数の領域の内、一部の領域のみを発光させた場合でも、領域の境界が境界段差として視認されることはなく、液晶パネル34に表示される画像の画質を損ねてしまうことがない。
さらに、バックライト装置35の消費電力の削減効果を考慮した好ましい輝度分布特性について説明する。図32は図30(A)と同様の輝度分布関数f(x)である。図32に示すように、光源352の中心輝度を1に正規化したとき、その光源352からの光は減衰係数kで隣接する領域に漏れ出るので、隣接する領域の中心輝度はkとなる。図33は、減衰係数kと消費電力相対値との関係を示す図である。図33において、横軸は減衰係数k、縦軸は消費電力相対値であり、バックライト装置35を映像信号の階調にかかわらず最大の発光輝度で発光させたときの消費電力を100%とする。また、図33において、Img1とImg2は互いに絵柄が異なる静止画における減衰係数kと消費電力相対値との関係を示す特性である。
図33に示すように、第1実施形態で説明したようなバックライト装置35の輝度制御を行うことによって消費電力は削減される。このとき、図33より分かるように、減衰係数kが0.3以下の範囲では減衰係数kが増加しても消費電力はさほど大きく変化しないが、減衰係数kが0.3を超える範囲では減衰係数kの増加に伴って消費電力が比較的大きく増大する。従って、バックライト装置35の消費電力の削減効果を考慮すれば、減衰係数kは0.3以下であることが好ましいと言える。ここでは垂直方向の減衰係数kについて示したが、水平方向の減衰係数mについても同様である。即ち、複数の領域それぞれの光源から発せられた光が自己の領域に水平方向または垂直方向に隣接する領域に漏れ出る際、自己の領域の中心輝度を1としたとき隣接する領域の中心輝度が0を越え0.3以
下であることが好ましい。
<第5実施形態>
図34は本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。図34において図1,図21,図26と同一部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。なお、図34においては、簡略化のため、図1における非均一化処理部21を省略した構成としているが、第1実施形態と同様、非均一化処理部21を備えた構成としてもよい。また、図34においては第2,第3実施形態と同様の発光量演算部25を備えた構成としているが、発光量演算部25を削除した構成であってもよい。
第5実施形態は、液晶パネル34に照射される光の輝度分布特性を考慮して、映像ゲイン演算部12においてそれぞれの領域に表示する映像信号に乗じるゲインを、領域内の位置に応じて(例えば画素単位で)演算するように構成したものである。これを実現するため、第5実施形態においては、映像信号処理部10の代わりに、輝度ビットマップ保持部15を有する映像信号処理部100を備えている。
図34において、最大階調検出部11に入力される映像信号をDin(x, y)と表すこととする。液晶パネル34に配列されている複数の画素における最上端・最左端の画素を原点(0, 0)とし、(x, y)におけるxは液晶パネル34上の水平方向の画素の位置、yは液晶パネル34上の垂直方向の画素の位置を表す。映像信号Din(x, y)は、ガンマ2.2を有する陰極線管で正しく映像が表示されるようにガンマ補正が施されたデータである。よって、映像信号Din(x, y)の入力階調に対する液晶パネル34上の明るさはガンマ0.45の曲線となる。
映像信号Din(x, y)を入力階調と明るさとの関係が線形になるよう変換したデータをdout(x, y)とする。G-1[ ]を、逆ガンマ補正を施す演算式とし、液晶パネル34上の任意の点P(x, y)におけるバックライト装置35の発光輝度をB(x, y)とする。dout(x, y)は、図35(A)に示す(32)式で表される。逆ガンマ補正を施す演算式G-1[ ]は入力されたデータを約2.2乗するものである。図34の乗算器14から出力される映像信号をDout(x, y)とすると、映像信号Dout(x, y)は、図35(B)に示す(33)式で表される。G[ ]はガンマ補正を施す演算式であり、入力されたデータを約0.45乗するものである。逆ガンマ補正やガンマ補正の際の乗数は液晶パネル34の特性によって多少の違いがあってもよい。(33)式に(32)式を代入すると、映像信号Dout(x, y)は図35(C)に示す(34)式となる。
図34における映像ゲイン演算部12は、(34)式におけるB(x, y)に対して逆ガンマ補正を施し、その逆数を求める演算を行っていることになる。そして、乗算器14は、B(x, y)に逆ガンマ補正を施した逆数に対して入力映像信号Din(x, y)を乗算する演算を行っていることになる。第5実施形態においては、(34)式より分かるように、入力映像信号Din(x, y)を線形なデータに変換することなく、液晶モジュール部30に供給する任意の点P(x, y)における映像信号Dout(x, y)が得られる。なお、上述した第1〜第4実施形態においてはこのような数式を用いて説明していないが、線形なデータに変換していないという点は第1〜第4実施形態でも同様である。
図30を用いて説明したように、バックライト装置35から発せられた光の輝度分布特性は液晶パネル34の1つの領域内で均一ではない。そこで、第5実施形態においては、輝度ビットマップ保持部15を設けることによって、バックライト装置35からの光の輝度分布特性を考慮して、それぞれの領域に表示する映像信号に乗じるゲインを画素単位で演算するよう構成している。図34に示すように、輝度ビットマップ保持部15は液晶パネル34のそれぞれの領域内の光の輝度分布特性fmn(x, y)で表される輝度ビットマップを備えており、この輝度分布特性fm,n (x, y)を映像ゲイン演算部12に供給する。輝度分布特性fの添え字mは領域の垂直方向に順に付した数(1, 2, …, m)であり、添え字nは領域の水平方向に順に付した数(1, 2, …, n)である。例えば液晶パネル34及びバックライト装置35を水平方向及び垂直方向の双方で4つの領域に区分けして16分割した場合には、輝度ビットマップ保持部15は輝度分布特性f11(x, y)〜f44(x, y)を保持する。
輝度ビットマップ保持部15がそれぞれの領域に対応して設定した輝度分布特性を保持することが好ましいが、複数の領域の内のいずれかの領域の輝度分布特性fmn(x, y)を代表の輝度分布特性として保持してもよい。また、複数の領域の平均的な輝度分布特性を保持してもよい。任意の輝度分布特性fmn (x, y)をf(x, y)と総称することとする。なお、輝度ビットマップ保持部15が保持する輝度ビットマップの量子化ビット数は8ビット以上であることが好ましい。
図36は、液晶パネル34の1つの領域及びその領域に隣接する領域内の光の輝度分布特性fmn(x, y)の一例を示している。xは水平方向の画素の座標を示しており、yは垂直方向の画素の座標を示している。ここでは、1つの領域の水平方向の幅と垂直方向の幅をそれぞれ1としており、水平及び垂直方向それぞれ、-0.5〜+0.5の範囲が1つの領域となる。従って、(x, y)が(0, 0)なる点が1つの領域の中心位置である。中心位置(0, 0)での発光輝度Boを1に正規化している。中心位置(0, 0)の輝度分布特性f(0, 0)と、(x, y)が(-1, 0)なる点での輝度分布特性f(-1, 0)または(1, 0)なる点での輝度分布特性f(1, 0)との比は水平方向の減衰係数mである。輝度分布特性f(0, 0)と、(x, y)が(0, -1)なる点での輝度分布特性f(0, -1)または(0, 1)なる点での輝度分布特性f(0, 1)との比は垂直方向の減衰係数kである。この図36に示す輝度ビットマップの輝度値(f(x, y)の
値)は線形のデータとなっている。
図34に示す第5実施形態においては、映像ゲイン演算部12には発光輝度演算部22より発光輝度Boが入力される。映像ゲイン演算部12は図37に示す(35)式により画素単位での発光輝度B(x, y)を演算し、この画素単位での発光輝度B(x, y)に基づいて画素単位で映像信号に乗じるゲインを演算する。
図37に示す(35)式に示す演算について図38を用いて説明する。図38において、バックライト装置35は、領域3511,3512,…,3521,3522,…,3531,3532,…,3541,3542,…を備えている。それぞれの領域の中心点の座標は、(x11,y11),(x12, y12),…,(x21, y21),(x22, y22),…,(x31, y31),(x32, y32),…,(x41, y41),(x42, y42),…である。例えば領域3522内の任意の位置P(x, y)における発光輝度B(x, y)は、破線にて示しているように、それぞれの領域から発せられる光の発光輝度Boの影響を受ける。上記のように液晶パネル34に配列されている複数の画素における最上端・最左端の画素を原点(0, 0)とし、それぞれの領域内での輝度分布特性f(x,y)は中心位置が原点(0, 0)となっていることから、領域3522内の位置P(x, y)に対するそれぞれの領域からの発光による明るさの寄与は、発光輝度Boと輝度分布特性f(x, y)とを用いて次のように表される。
領域3511からの発光による明るさの寄与はBo11×f11(x-x11, y-y11)、領域3512からの発光による明るさの寄与はBo12×f12(x-x12, y-y12)、領域3513からの発光による明るさの寄与はBo13×f13(x-x13, y-y13)、領域3514からの発光による明るさの寄与はBo14×f14(x-x14, y-y14)となる。領域3521からの発光による明るさの寄与はBo21×f21(x-x21, y-y21)、領域3522からの発光による明るさの寄与はBo22×f22(x-x22, y-y22)、領域3523からの発光による明るさの寄与はBo23×f23(x-x23, y-y23)、領域3524からの発光による明るさの寄与はBo24×f24(x-x24, y-y24)となる。
領域3531からの発光による明るさの寄与はBo31×f31(x-x31, y-y31)、領域3532からの発光による明るさの寄与はBo32×f32(x-x32, y-y32)、領域3533からの発光による明るさの寄与はBo33×f33(x-x33, y-y33)、領域3534からの発光による明るさの寄与はBo34×f34(x-x34, y-y34)となる。領域3541からの発光による明るさの寄与はBo41×f41 (x-x41, y-y41)、領域3542からの発光による明るさの寄与はBo42×f42(x-x42, y-y42)、領域3543からの発光による明るさの寄与はBo43×f43(x-x43, y-y43)、領域3544からの発光による明るさの寄与はBo44×f44(x-x44, y-y44)となる。
位置P(x, y)における発光輝度B(x, y)は、自己の領域と周囲の領域からの発光輝度を足し合わせたものになるので、上記のそれぞれの領域の発光による明るさの寄与を足し合わせたものとなる。従って、位置P(x, y)における発光輝度B(x, y)は、図37に示す(35)式となる。なお、(35)式は、図15(A)の(8)式を、任意の輝度分布特性f(x, y)を有する光源に対応するよう積分形式で表したものに相当する。発光輝度を足し合わせる複数の領域は図38の数に限定されるものではない。自己の領域とこれを取り囲む8個の領域との合計9個の領域からの発光輝度を足し合わせてもよいし、さらに周囲の領域を含む25個の領域からの発光輝度を足し合わせてもよい。9個以上の領域からの発光輝度を足し合わせることが好ましい。
図36に示す輝度分布特性f(x, y)を示す輝度ビットマップとしては、漏れ光の明るさが無視できるほど輝度が小さくなる範囲までデータを有することが好ましいが、回路規模を削減するという点では、画質に影響がない程度に制限した範囲のデータを有することが好ましい。少なくとも漏れ光の比率として中心輝度の5%以上となる範囲のデータを有することが好ましい。5%未満の範囲は0で近似してもよい。
以上によって、映像ゲイン演算部12からは[G[B(x, y)]]-1なるそれぞれの画素データに乗じるゲインが出力される。ゲイン[G[B(x, y)]] -1は、発光輝度演算部22によって求めた複数の領域の光源がそれぞれ単独で発光すべき光の発光輝度Boと輝度ビットマップにおける任意の位置P(x, y)に対応したデータとをそれぞれ乗算して積算した値をガンマ補正し、このガンマ補正した値の逆数である。そして、乗算器14からは図35(C)の(34)式に示す映像信号Dout(x, y)が得られることとなる。
第5実施形態においては、映像信号の画素単位での発光輝度B(x, y)を演算し、この画素単位での発光輝度B(x, y)に基づいて画素単位で映像信号に乗じるゲインを演算するよう構成しているが、輝度ビットマップのデータを画素単位よりも粗くすることにより、複数画素単位で映像信号に乗じるゲインを演算するよう構成してもよい。即ち、映像ゲイン演算部12は、液晶パネル34のそれぞれの領域で一定のゲインとするのではなく、輝度ビットマップに基づいて、複数の領域それぞれで領域内の位置に応じて異なる値を有するゲインを求めればよい。但し、画質を向上させるためには画素単位でゲインを演算することが好ましい。
<第6実施形態>
本発明の第6実施形態に係る液晶表示装置の全体構成は、上述した第1〜第3及び第5実施形態のいずれかと同様である。第6実施形態は、液晶パネル34の左端部及び右端部にサイドパネルが表示される場合に、バックライト装置35の消費電力の低減を図った構成である。
図39は、第1実施形態の図5及び図14に示したバックライト装置35と同様の領域分割であり、液晶パネル34Bの領域とバックライト装置35Bの領域との対応関係を概略的に示あす斜視図である。なお、図39は図5及び図14に示す第1実施形態と同一であるが、第1の実施形態とは別の符号を付して説明する。
図40は、第6実施形態に係る液晶パネル34Cとバックライト装置35Cにおける領域分割の一例であり、液晶パネル34Cの領域とバックライト装置35Cの領域との対応関係を概略的に示す斜視図である。なお、図39,図40に示す液晶パネル34は、共にフルハイビジョン放送の1920×1080画素やハイビジョン放送の1366×768画素に対応した16:9のアスペクト比を有するものとして説明する。
図39,図40に示す液晶パネル34B,34Cは、共にバックライト装置35B,35Cと離間させた状態としている。ここで、図39の領域分割は第1実施形態と同一であるが、第1の実施形態とは別の符号を付して説明する。バックライト装置35B,35Cのそれぞれの領域は35i,35i’として表す。またバックライト装置35B,35Cの領域35i,35i’に対応する液晶パネル34B,34Cの領域は34i,34i’とする。添え字iは左上端部から右下端部にかけて水平方向と垂直方向に順に付された領域番号を示す。
図39において、バックライト装置35Bは領域3511〜3514,3521〜3524,3531〜3534,3541〜3544に区画されており、3511〜3514,3521〜3524,3531〜3534,3541〜3544はそれぞれ光源352を備える。また、液晶パネル34Bは、バックライト装置35Bの領域3511〜3514,3521〜3524,3531〜3534,3541〜3544に対応して、領域3411〜3414,3421〜3424,3431〜3434,3441〜3444に区分けされている。
図40において、バックライト装置35Cは領域3511’〜3514’,3521’〜3524’,3531’〜3534’,3541’〜3544’に区画されており、領域3511’〜3514’,3521’〜3524’,3531’〜3534’,3541’〜3544’はそれぞれ光源352を備える。液晶パネル34Cは、バックライト装置35Cの領域3511’〜3514’,3521’〜3524’,3531’〜3534’,3541’〜3544’に対応して、領域3411’〜3414’,3421’〜3424’,3431’〜3434’,3441’〜3444’に区分けされている。
図40に示す液晶パネル34C及びバックライト装置35Cの具体的な構成は、領域のサイズが異なる点を除いて、図39に示す液晶パネル34B及びバックライト装置35Bと同様の構成である。また、図40に示すバックライト装置35Cの光源352の構成例は、図6(A)〜(D)のいずれかを基本としていることが好ましいが、これに限定されない。なお、液晶パネル34C及びバックライト装置35Cがそれぞれ16個の領域に分割されている構成として説明するが、これに限定されるものではない。
図41は、液晶パネル34B,34Cの領域分割とアスペクト比4:3の画像との関係を示している。図41(A)は、従来のアナログ放送のアスペクト比4:3の画像となる映像信号が映像信号処理部10に入力された場合に、液晶パネル34B,34Cに表示される画像の例を示している。
図41(A)中のハッチングを付した領域は、すべての画素が黒色で表されて帯状となり黒帯と呼ばれる画像、すべての画素が同一の低階調で表わされて帯状となる画像、すべての画素が低階調ではあるが画素の集合としては絵柄を表す画像などを示し、サイドパネルと称されることもある。アスペクト比4:3の画像となる入力映像信号の場合には、液晶パネル34B,34Cのアスペクト比と異なるので、液晶パネル34B,34Cは表示画面の左右端部の所定領域にサイドパネルを付加して表示する。
第6実施形態では、アスペクト比4:3の画像となる入力映像信号に対して、左右端部にサイドパネルを付加して液晶パネル34B,34Cに表示する場合を説明する。なお、第6実施形態には、アスペクト比4:3の画像の左右端部にサイドパネルを付加してアスペクト比16:9の画像とした映像信号が、映像信号処理部10に入力される場合も含む。
図41に示す液晶パネル34B,34Cの水平方向の幅Wと垂直方向の幅Hとの比は16:9である。また、左端部のサイドパネルにおける水平方向の幅WLと右端部のサイドパネルにおける水平方向の幅WRは同一とする。そして、液晶パネルの水平方向の幅Wと左端部のサイドパネルの幅WLまたは右端部のサイドパネルの幅WRとの比は16:2である。
図41(B)は、図41(A)に示す画像と図39に示す液晶パネル34Bの領域分割を合わせて表示した状態を説明する図、図41(C)は図41(A)に示す画像と図40に示す液晶パネル34Cの領域分割を合わせて表示した状態を説明する図である。
図41(B)に示すように、液晶パネル34Bの左端部の領域3411,3421,3431,3441の水平方向の幅W1及び右端部の領域3414,3424,3434,3444の水平方向の幅W2は、それぞれ左端部のサイドパネルの幅WL及び右端部のサイドパネルの幅WRより広い。
そのため、液晶パネル34Bの左端部の領域3411,3421,3431,3441及び右端部の領域3414,3424,3434,3444は、低階調な画素値で構成されるサイドパネル以外の画像も含まれ、最大階調検出部11にて検出される最大階調が高階調となる可能性がある。
第1実施形態から明らかなように、液晶パネル34の各領域における最大階調が高くなるほど、その液晶パネル34Bの各領域に対応するバックライト装置35の領域の発光輝度も高くなる。そのため、液晶パネル34Bの左端部の領域3411,3421,3431,3441及び右端部の領域3414,3424,3434,3444は、サイドパネルが多くの面積を占めるにもかかわらず、その領域に対応するバックライト装置35Bの左端部の領域3511,3521,3531,3541及び右端部の領域3514,3524,3534,3544の発光輝度は高くなる。
図41(C)に示すように、液晶パネル34Cの左端部の領域3411,3421,3431,3441の水平方向の幅W1及び右端部の領域3414,3424,3434,3444の水平方向の幅W2は、それぞれ図41(A)に示すサイドパネルの幅WL,WRに等しい。
そのため、液晶パネル34Cの左端部の領域3411’,3421’,3431’,3441’及び右端部の領域3414’,3424’,3434’,3444’は、低階調な画素で構成されるサイドパネルのみが含まれ、最大階調検出部11にて検出される最大階調が低階調となる。よって、液晶パネル34Cの左端部の領域3411’,3421’,3431’,3441’及び右端部の領域3414’,3424’,3434’,3444’のそれぞれに対応するバックライト装置35Cの左端部の領域3511’,3521’,3531’,3541’及び右端部の領域3514’,3524’,3534’,3544’の発光輝度は低く抑えられる。
図40,図41(C)に示すように、サイドパネル表示に合わせた液晶パネル34C及びバックライト装置35Cの領域分割によれば、左右端部の領域の発光輝度を低く抑えることができ、消費電力を低減する効果がある。特に、サイドパネルの階調がすべて0である場合は、バックライト装置35Cの左端部の領域3511’,3521’,3531’,3541’及び右端部の領域3514’,3524’,3534’,3544’を非点灯とすることができる。
液晶パネル34C及びバックライト装置35Cの領域分割は、図40,図41(C)に限定されるものではない。例えば、液晶パネル34Cの左端部の領域3411’,3421’,3431’,3441’の水平方向の幅W1及び右端部の領域3414’,3424’,3434’,3444’の水平方向の幅W2は、それぞれサイドパネルの水平方向の幅WL,WR以下としてもよい。なお、バックライト装置35Cの領域分割は、液晶パネル34Cの領域分割に対応している。その場合でも、左端部の領域3411’,3421’,3431’,3441’及び右端部の領域3414’,3424’,3434’,3444’はサイドパネルのみを含むので、上述とほぼ同等の効果が得られる。
また、図42(A),(B),(C)に示すように、液晶パネル34Cの領域分割は、種々の変形が可能である。なお、バックライト装置35Cの領域分割は、液晶パネル34Cのそれぞれの領域分割に合わせればよい。さらに、液晶パネル34Cの左端部の領域3411’,3421’,3431’,3441’及び右端部の領域3414’,3424’,3434’,3444’において、最大階調検出部11により検出された最大階調が所定の閾値以下である場合に、制御部50がその領域はサイドパネルであると判定してもよい。その場合、最大階調が所定の閾値以下である液晶パネル34Cの領域に対応するバックライト装置35Cの領域は、非点灯あるいは低い発光輝度に制御される構成としてもよい。
さらに、右端および左端領域の最大階調の値によってサイドパネルであるか否かを検出する方法には限定されず、例えば発光輝度演算部22において複数フレーム間の画像の特徴の変化の有無を判定してサイドパネルを検出する方法でもよい。その場合、発光輝度演算部22は1または複数のフレーム画像の特徴を蓄えるメモリを備える。
<第7実施形態>
本発明の第7実施形態に係る液晶表示装置の全体構成は、上述した第1〜第3及び第5実施形態のいずれかと同様である。第7実施形態は、液晶パネル34の上端部及び下端部にサイドパネルが表示される場合に、バックライト装置35の消費電力の低減を図った構成である。
図43は、第7実施形態に係る液晶パネル34Dとバックライト装置35Dにおける領域分割の一例であり、液晶パネル34Dの領域とバックライト装置35Dの領域との対応関係を概略的に示す斜視図である。なお、図43に示す液晶パネル34は、フルハイビジョン放送の1920×1080画素やハイビジョン放送の1366×768画素に対応した16:9のアスペクト比とする。また、バックライト装置35Dのそれぞれの領域は35i”として表す。またバックライト装置35Dの領域35”に対応する液晶パネル34Dの領域は34i”とする。添え字iは左上端部から右下端部にかけて水平方向と垂直方向に順に付された領域番号を示す。
図43に示す液晶パネル34Dは、バックライト装置35Dと離間させた状態としている。バックライト装置35Dは領域3511”〜3514”,3521”〜3524”,3531”〜3534”,3541”〜3544”に区画されており、領域3511”〜3514”,3521”〜3524”,3531”〜3534”,3541”〜3544”はそれぞれ光源352を備える。液晶パネル34Dは、バックライト装置35Dの領域3511”〜3514”,3521”〜3524”,3531”〜3534”,3541”〜3544”に対応して、領域3411”〜3414”,3421”〜3424”,3431”〜3434”,3441”〜3444”に区分けされている。
液晶パネル34D及びバックライト装置35Dの具体的な構成は、領域のサイズが異なる点を除いて、図39に示す液晶パネル34B及びバックライト装置35B,図40に示す液晶パネル34C及びバックライト装置35Cと同様の構成である。また、バックライト装置35Dの光源352の構成例は、図6(A)〜(D)のいずれかを基本としていることが好ましいが、これに限定されない。なお、第7実施形態では、液晶パネル34D及びバックライト装置35Dがそれぞれ16個の領域に分割されている構成として説明するが、これに限定されるものではない。
図44は、液晶パネル34B,34Dの領域分割と映画の撮影画像として用いられるスコープサイズの画像との関係を示している。図44(A)は、スコープサイズの画像となる映像信号が映像信号処理部10に入力された場合に、液晶パネル34B,34D上に表示される画像の例を示している。
図44(A)に示す画像は、アスペクト比2.35:1のスコープサイズの画像の上下端部にサイドパネルが付加されたアスペクト比16:9の画像である。図44(A)中のハッチングを付した領域は、図41(A)に示すハッチングを付した領域と同様のサイドパネルを示す。図44中、液晶パネル34Dの水平方向の幅Wと垂直方向の幅Hとの比が16:9である。また、上端部のサイドパネルにおける垂直方向の幅HTと下端部のサイドパネルにおける垂直方向の幅HBは同一とする。そして、液晶パネル34Dの垂直方向の幅Hと上端のサイドパネルの幅HTの比は約9:1.1である。
図44(B)は、図44(A)に示す画像と図39に示す液晶パネル34Bの領域分割を合わせて表示した状態を説明する図、図44(C)は図44(A)に示す画像を図43に示す液晶パネル34Dの領域分割を合わせて表示した状態を説明する図である。
図44(B)に示すように、液晶パネル34Bの上端部の領域3411,3421,3431,3441の垂直方向の幅H1及び下端部の領域3414,3424,3434,3444の垂直方向の幅H2は、それぞれ上端部のサイドパネルの幅HT及び下端部のサイドパネルの幅HBより広い。
そのため、液晶パネル34Bの上端部の領域3411,3421,3431,3441及び下端部の領域3414,3424,3434,3444は、低階調な画素値で構成されるサイドパネル以外の画像も含まれ、最大階調検出部11にて検出される最大階調が高階調となる可能性がある。よって、液晶パネル34Bの上端部の領域3411,3421,3431,3441及び下端部の領域3414,3424,3434,3444は、サイドパネルが多くの面積を占めるにもかかわらず、その各領域に対応するバックライト装置35の上端部の領域3511,3521,3531,3541及び下端部の領域3514,3524,3534,3544の発光輝度は高くなる。
図44(C)に示すように、液晶パネル34Dの上端部の領域3411”,3421”,3431”,3441”の垂直方向の幅H1”及び下端部の領域3414”,3424”,3434”,3444”の垂直方向の幅H2”は、それぞれ図44(A)に示すサイドパネルの幅HT,HBに等しい。
そのため、液晶パネル34Dの上端部の領域3411”,3421”,3431”,3441”及び下端部の領域3414”,3424”,3434”,3444”は、低階調な画素で構成されるサイドパネルのみが含まれ、最大階調検出部11にて検出される最大階調は低階調となる。そして、液晶パネル34Dの上端部の領域3411”,3421”,3431”,3441”及び下端部の領域3414”,3424”,3434”,3444”のそれぞれに対応するバックライト装置35の上端部の領域3511”,3521”,3531”,3541”及び下端部の領域3514”,3524”,3534”,3544”の発光輝度は低く抑えられる。
なお、映画の撮影画像として用いられる画面サイズには、1.85:1や2.4:1等の複数種のアスペクト比があるので、いずれか又は全てのアスペクト比に対応するように液晶パネル34D及びバックライト装置35Dを領域分割する構成としてもよい。
図43,図44(C)に示すサイドパネル表示に合わせた液晶パネル34D及びバックライト装置35Dの領域分割によれば、上下端部の領域の発光輝度を低く抑えることができ、消費電力を低減する効果がある。特に、サイドパネルの階調がすべて0となる場合は、バックライト装置35の上端部の領域3511”,3521”,3531”,3541”及び下端部の領域3514”,3524”,3534”,3544”を非点灯とすることができる。
また、第6実施形態と同様に、液晶パネル34D及びバックライト装置35Dの領域分割は、図43,図44(C)に限定されるものではなく、例えば、液晶パネル34Dの上端部の領域3511”,3521”,3531”,3541”の垂直方向の幅H1”、及び下端部の領域3514”,3524”,3534”,3544”の垂直方向の幅H2”は、それぞれサイドパネルの垂直方向の幅HT,HB以下としてもよい。
さらに、第6実施形態と同様に、液晶パネル34D及びバックライト装置35Dの領域分割は、種々変形した分割であってもよい。また、最大階調が所定の閾値以下である場合に、その領域をサイドパネルであると判定してもよい。さらに、上端および下端領域の最大階調の値によってサイドパネルであるか否かを検出する方法には限定されず、例えば発光輝度演算部22において複数フレーム間の画像の特徴の変化の有無を判定してサイドパネルを検出する方法でもよい。その場合、発光輝度演算部22は1または複数のフレーム画像の特徴を蓄えるメモリを備える。
次に、第6実施形態や第7実施形態に示した液晶パネル34C,34D及びバックライト装置35C,35Dのように、すべての領域のサイズが同一とはならない場合でもバックライト装置35C,35Dの発光輝度を正確に計算できる方法について説明する。なお、以下、領域の位置関係を分かり易く説明するために図39に示すバックライト装置35Bを用いて説明するが、バックライト装置35C,35Dにも適用可能である。
図39に示すバックライト装置35Bの領域3511〜3514,3521〜3524,3531〜3534,3541〜3544において、それぞれの光源352が単独で発光したときの光源352が発すべき光の発光輝度を、第1実施形態と同様にBo11〜Bo14,Bo21〜Bo24,Bo31〜Bo34,Bo41〜Bo44とする。また、バックライト装置35Bの領域3511〜3514,3521〜3524,3531〜3534,3541〜3544から実際に発すべき光の発光輝度を、B11’〜B14’,B21’〜B24’,B31’〜B34’,B41’〜B44’とする。
図45(A)は、領域3511の光源352のみが発光している場合の水平方向の領域3511〜3514への漏れ光の状態を示している。図45(A)において、領域3511の輝度は、その領域3511の光源352からの発光輝度Bo11となるが、説明上、輝度k11,11Bo11の漏れ光とも表すこととする。そして、領域3511の光源352から発光輝度Bo11で発せられた光は、輝度k11,12Bo11の漏れ光となって領域3512に、輝度k11,13Bo11の漏れ光となって領域3513に、輝度k11,14Bo11の漏れ光となって領域3514にそれぞれ漏れ出る。k11,11、k11,12、k11,13、k11,14は、光が漏れ出る際の減衰係数であり、k11,11=1である。減衰係数ki,jの添え字iは、発光輝度Boiが単独で発光する光源352の属する領域35iに対応する番号、添え字jは単独で発光する光源352が属する領域35iから漏れ出る光が到達する領域35jに対応する番号を示す。
図45(B)は、領域3511の光源352のみが発光している場合の垂直方向の領域3511,3521,3531,3541への漏れ光の状態を示している。図45(A)と同様に、領域3511の輝度はk11,11Bo11とする。領域3511の光源352から発光輝度Bo11で発せられた光は、輝度k11,21Bo11の漏れ光となって領域3521に、輝度k11,31Bo11の漏れ光となって領域3531に、輝度k11,41Bo11の漏れ光となって領域3541にそれぞれ漏れ出る。
図46は、領域3511の光源352のみが発光している場合の領域3511〜3514,3521〜3524,3531〜3534,3541〜3544での漏れ光の輝度を示している。図46と同様の方法で、各領域の光源352がそれぞれ単独で発光している場合の漏れ光の輝度を求めることができる。その結果、例えば、領域3511で実際に発せられる光の発光輝度B11’は、k11,11Bo11+k12,11Bo12+k13,11Bo13+k14,11Bo14+k21,11Bo21+k22,11Bo22+k23,11Bo23+k24,11Bo24+k31,11Bo31+k32,11Bo32+k33,11Bo33+k34,11Bo34+k41,11Bo41+k42,11Bo42+k43,11Bo43+k44,11Bo44となる。
図47に示す(36)式は、各領域の光源352より発せられる光の発光輝度Bo11〜Bo14,Bo21〜Bo24,Bo31〜Bo34,Bo41〜Bo44から各領域で実際に発すべき光の発光輝度B11’〜B14’,B21’〜B24’,B31’〜B34’,B41’〜B44’を得るための変換式を行列演算式で表現したものである。図48に示す(37)式は、各領域で実際に発すべき光の発光輝度B11’〜B14’,B21’〜B24’,B31’〜B34’,B41’〜B44’から各領域の光源352が発すべき光の発光輝度Bo11〜Bo14,Bo21〜Bo24,Bo31〜Bo34,Bo41〜Bo44を得るための変換式を行列演算式で表現したものである。
第1実施形態と同様に、(36)式及び(37)式中の減衰係数ki,jは、バックライト装置35の領域の構成や領域内の光学的な構造が決まれば予め計測することができる。よって、(37)式に基づいて、サイズの異なる領域に対しても光源352が発すべき光の発光輝度Bo11〜Bo14,Bo21〜Bo24,Bo31〜Bo34,Bo41〜Bo44を正確に計算することができる。そして、制御部50は、減衰係数ki,jを発光輝度演算部22に供給する。なお、減衰係数ki,jは、1つの領域から発せられた光が隣接しない領域へ漏れ出る光に対しては近似的に0とみなして計算することも可能である。
また、第2実施形態と同様に、複数の領域から発光すべき光の発光輝度は、それぞれの領域の光源352自体からの光の発光輝度Boiに基づいて求めるよりも、光源352から発光される積分値としての光の発光量Boigiに基づいて求めた方が好ましい。発光量Boigiは、第2実施形態と同様に、発光輝度Boを積分値である発光量Boigiへ変換する発光量演算部25を用いることにより簡単に求められる。
図49に示す(38)式は、バックライト装置35Bの各領域の発光輝度Boに基づいて発光量Boigiを求める演算式である。図50(A)に示す(39)式は、図49に示す(38)式における光束変換係数を表す定数s11を減衰係数k11,11〜k11,44用いて表したものである。図50(B)に示す(40)式は、図49に示す(38)式における光束変換係数を表す定数s44を減衰係数k44,11〜k44,44用いて表したものである。なお、他の光束変換係数s12〜s43も(39),(40)式と同様に表すことができる。
図49に示す発光量Boigiのデータは、図1等に示す発光量演算部25より出力され、ホワイトバランス調整部23を介してPWMタイミング発生部24に供給される。PWMタイミング発生部24は、発光量Boigiを示すデータに基づいて、バックライト駆動部36が発生するパルス幅変調信号のパルス幅を調整するPWMタイミングデータを発生する。このように、バックライト駆動部36は、バックライト装置35におけるそれぞれの領域の光源352で発光させるべき発光量Boigiに応じてそれぞれの領域の光源352を駆動するので、複数の領域から発光すべき光の発光輝度Boiのみを用いるよりも的確に制御することが可能となる。
本発明は以上説明した第1〜第7実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。液晶表示装置以外でバックライト装置が必要な画像表示装置が登場した場合には、当然のことながら、本発明はそのような画像表示装置でも採用することが可能である。