JP5176664B2 - 高分子電解質膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池の燃料電池の高分子電解質膜及びその製造方法に係り、特にスルホン酸基を有した高分子電解質を有した膜として好適な高分子電解質膜及びその製造方法に関する。
高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池は、低温における作動が可能であり、かつ、小型軽量化が可能であるため、自動車などの移動体への適用が検討されている。特に、固体高分子型燃料電池を搭載した燃料電池自動車はエコロジーカーとして社会的な関心が高まっている。
このような固体高分子型燃料電池は、図7に示すように、膜電極接合体(MEA)を主要な構成要素とし、それを燃料(水素)ガス流路および空気ガス流路を備えたセパレータ96,96で挟持して、単セルと呼ばれる1つの燃料電池90を形成している。膜電極接合体は、イオン交換膜である高分子電解質膜91の一方側にアノード側の電極(アノード触媒層)93aを積層し、他方の側にカソード側の電極(カソード触媒層)93bを積層した構造であり、アノード触媒層93aとカソード触媒層93bには、それぞれ拡散層94a,94bが配置されている。
このような固体高分子型燃料電池90は、発電時に、特に低加湿下で燃料である水素と酸化剤である酸素が膜を介してクロスリークして、電極(触媒層)において、水と酸素から過酸化水素(H)が生成されたり、過酸化水素から水酸化ラジカル(・OH)が生成されたりすることがある。この過酸化水素及び水酸化ラジカルは、膜内を拡散移動する際に、高分子電解質膜の劣化を進行させる要因となっていた(非特許文献1参照)。
このような課題を鑑みて、例えば、スルホン酸基を有する含フッ素重合体からなる高分子電解質膜中に、難溶性セリウム化合物を含有させた燃料電池用の高分子電解質膜が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような高分子電解質膜は、図5に示すように、スルホン酸基を有する含フッ素重合体からなる高分子電解質膜70を準備し、この高分子電解質膜70をセリウムイオンを含む溶液L中に浸漬して、スルホン酸基の一部をセリウムイオンによりイオン交換する。そして、このセリウムイオンをさらに所定の溶液に浸漬させ(図示せず)、高分子電解質膜70中にセリウムイオンから難溶性セリウム化合物を生成する。このようにして、得られたセリウム化合物は、セリウムイオンとなって水酸化ラジカルと反応し、水酸化ラジカル(ヒドロキシラジカル)を水酸化イオンに変えることができる。
また、図6に示すように、高分子電解質溶液Ldに遷移金属化合物Cを分散させた溶液を、シート73の上でバーコータ74を用いてキャスト成形して、成膜する方法も提案されている。
特開2006−107914号公報 燃料電池と高分子(2005)、P44、高分子学会
しかし、特許文献1に記載の製造方法で高分子電解質膜を製造した場合には、高分子電解質膜を溶液に浸漬中に、膜そのものが膨張し、しわ、膨れ、凹凸などが発生することがあった。さらに、浸漬後に、高分子電解質膜の水分を乾燥除去する際に、膜が著しく収縮するため、しわや凹凸によるひずみが発生することがあった。このような高分子電解質膜を燃料電池に適用した場合には、発電効率が低下したり、信頼性が低いなどの懸念があった。また、同様にキャスト成形した場合であっても、高分子電解質膜の水分を乾燥させなければならないので上記問題を充分に回避することができない。
特に、スルホン酸基を有する高分子電解質中にセリウム化合物を直接介在させた場合には、セリウム化合物がセリウムイオンとして膜内に溶出した際に、高分子電解質膜のスルホン酸基に配位し、膜抵抗が増加し、その結果として、高分子電解質膜のプロトン伝導性の低下に伴い燃料電池の発電効率が低下してしまうおそれがあった。
さらに特許文献1に記載の製造方法の如く、遷移金属化合物の溶液に高分子電解質膜を浸漬させる方法は、上述する工程において、イオン交換する工程だけでなく、純水洗浄、リン酸処理、純水洗浄等の一連の工程を経なければならず、工程が複雑なものであり、製造コストの増加を招くおそれがあった。また、前記製造方法によれば、溶液に遷移金属化合物を溶解しているが、溶存できる濃度は限られるので、高分子電解質膜に対して添加できる遷移金属化合物の割合が制限される場合がある。この結果、セリウム化合物の添加量を制御することは難しい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、水酸化ラジカルによる高分子電解質の劣化を確実に抑制すると共に、燃料電池に使用した場合に、発電効率の低下を抑制することができる高分子電解質膜を提供することにある。また、このような高分子電解質膜を容易かつ安価に製造することができる製造方法を提供することにある。
前記課題を解決すべく、本発明に係る高分子電解質膜の製造方法は、スルホン酸基を有する高分子電解質と、過酸化水素を水及び酸素に分解してヒドロキシラジカルの発生を抑制するための遷移金属酸化物と、を含む高分子電解質膜の製造方法であって、高分子樹脂からなる多孔質のシート状の補強材の表面に、物理気相成長法(PVD)によって、前記遷移金属酸化物の薄膜を成膜する工程と、前記薄膜を成膜した補強材に、前記高分子電解質を含浸させる工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明に係る高分子電解質膜の製造方法よれば、ドライプロセスである補強材に物理気相成長法(PVD)を用いて前記遷移金属酸化物の薄膜を成膜するので、成膜後の高分子電解質膜が収縮し難く、しわや凹凸によるひずみも発生し難い。また、1つの工程のみで、所望の割合の遷移金属酸化物を添加することができるので、高分子電解質膜を容易にかつ安価に製造することができる。
そして、このような製造方法により製造された高分子電解質膜によれば、遷移金属酸化物が、スルホン酸基を有する高分子電解質膜の超強酸水が溶け、遷移金属イオンとなる。この遷移金属イオンは濃度勾配により、高分子電解質膜中の高分子電解質だけではなく、高分子電解質膜に積層された触媒層中の高分子電解質にも拡散する。これにより、高分子電解質膜の耐酸化性及び持続性は向上し、電極(触媒層)において発生した過酸化水素は、膜内を拡散移動する際に、遷移金属イオンにより酸素及び水に分解され、水酸化ラジカルの生成を抑制する。この結果、高分子電解質膜の劣化を抑制することができ、固体高分子型燃料電池の発電効率の低下を抑制することなく、耐久性の向上を図ることができる。
また、前記物理気相成長法(PVD)としては、例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、レーザビーム蒸着法(例えばレーザーアブレーション法)、などを挙げることができる。
また、本発明に係る遷移金属酸化物としては、セリウム、タングステン、ルテニウム、パラジウム、銀、ロジウム、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、マンガン、モリブデン、鉛、バナジウム、チタンなどの酸化物などを挙げることができ、特に、前記遷移金属酸化物に酸化セリウム(CeO)を用いることがより好ましい。
本発明によれば、セリウム酸化物(CeO)は、スルホン酸基を有する高分子電解質膜中の超強酸に溶け込み、高分子電解質膜や触媒層の高分子電解質中で過酸化水素から生成する水酸化ラジカルを下の式の如く、水酸化イオンに容易にすること(すなわち、過酸化水素を水及び酸素に分解してヒドロキシラジカルの発生を抑制すること)ができ、効率的に高分子電解質の劣化を抑制することができる。
Ce3++・OH(水酸化ラジカル)→Ce4++OH(水酸化イオン)
また、本発明に係る高分子電解質膜の製造方法において、前記高分子電解質の含浸は、シート状の高分子電解質によって前記補強材を挟み込んだ状態で行う。本発明によれば、補強材の両面にシート状の高分子電解質を挟み込むことにより、高分子樹脂からなる多孔質のシート状の補強材に高分子電解質膜を含浸させた第一の高分子電解質層と、前記第一の高分子電解質層を挟むように、該第一の高分子電解質層の表面に形成された第二の高分子電解質層と、を少なくとも含む高分子電解質膜を容易に得ることができる。
本発明に係る高分子電解質はスルホン酸基を有した高分子電解質であり、例えば、フルオロアルキルエーテル側鎖とパーフルオロアルキル主鎖を有するフルオロアルキル共重合体のパーフルオロ系プロトン交換樹脂が好ましく用いられる。例えば、デュポン社製ナフィオン(商標名)、旭化成製アシプレックス(商標名)、旭硝子製フレミオン(商標名)、ジャパンゴアテックス社製ゴア−セレクト(商標名)等が例示され、部分フッ素樹脂では、トリフルオロスチレンスルホン酸の重合体やポリフッ化ビニリデンにスルホン酸基を導入したものなどがある。また、炭化水素系プロトン交換樹脂である、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリイミド系樹脂などにスルホン酸基を導入したものなどがある。これらは燃料電池が用いられる用途や環境に応じて適宜選択されるべきものであるが、パーフルオロ系が燃料電池寿命の点から好ましい。
また、本発明に係る高分子電解質膜に用いる補強材とは、電解質膜を補強することを目的とした高分子樹脂材料からなる多孔質のシートである。このような、補強材の材質としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、熱可塑性フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフロライド三元共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフロロアルキルビニルエーテルの三元共重合共体(EPA)、又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)などを用いることができ、より好ましくは、本発明に係る高分子電解質膜の製造方法に用いる補強材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
本発明として、前記課題を達成するようになされた高分子電解質膜をも開示する。本発明に係る高分子電解質膜は、スルホン酸基を有する高分子電解質と、過酸化水素を水及び酸素に分解してヒドロキシラジカルの発生を抑制するための遷移金属酸化物と、を含む高分子電解質膜であって、該高分子電解質膜は、第一の高分子電解質層と、該第一の高分子電解質層の両面に形成された第二の高分子電解質層と、を備え、前記第一の高分子電解質層は、前記遷移金属酸化物の薄膜が表面に形成された、高分子樹脂からなる多孔質のシート状の補強材を有しており、該補強材には、前記高分子電解質が含浸されていることを特徴とする。
本発明によれば、補強材の表面に遷移金属酸化物からなる薄膜が形成されていることにより、水酸化ラジカルによる高分子電解質の劣化を抑制するだけでなく、この高分子電解質膜を燃料電池に用いることにより、発電効率の低下を抑制することができる。すなわち、本発明の高分子電解質膜は、高分子電解質中に遷移金属酸化物を含まず補強材の表面に遷移金属酸化物からなる薄膜が形成されているので、遷移金属酸化物の遷移金属イオンが過多に高分子電解質膜のスルホン酸基に配位することによる膜抵抗の増加を抑制し、発電効率の低下を抑えることができる。
また、前記遷移金属酸化物は、過酸化水素を水及び酸素に分解してヒドロキシラジカルの発生を抑制することができるものではれば、上述した遷移元素の酸化物を挙げることができるが、より好ましくは、酸化セリウム(CeO)である。前記遷移金属化合物を酸化セリウムにすることにより、スルホン酸基を有する高分子電解質膜中の超強酸水に溶け込み、高分子電解質膜や触媒層の高分子電解質中で過酸化水素から生成する水酸化ラジカルを、水酸化イオンに容易にすることができ、効率的に高分子電解質の劣化を抑制することができる。
本発明によれば、水酸化ラジカルによる高分子電解質の劣化を抑制すると共に、燃料電池に使用した場合に、発電効率の低下を抑制することができる。また、このような高分子電解質膜を容易かつ安価に製造することができる。
以下に、図面を参照して、本発明に係る高分子電解質膜を製造するに好適な製造方法の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る高分子電解質膜の製造方法を示した模式図である。まず、図1(a)に示すように、高分子樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)からなる多孔質のシート状の補強材11を準備する。
次に、図1(b)に示すように、高分子樹脂の多孔質の補強材11の表面11aに過酸化水素を水及び酸素に分解してヒドロキシラジカルの発生を抑制するための遷移金属酸化物として酸化セリウム(CeO)を付着させる。具体的には、物理気相成長法(PVD)を用いて酸化セリウム(CeO)の薄膜12を成膜する。物理気相成長法(PVD)としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、レーザビーム蒸着法(例えばレーザーアブレーション法)、などを挙げることができ、より好ましくは、本実施形態では、スパッタリングにより、酸化セリウム(CeO)の薄膜12を成膜する。薄膜12の厚みは、0.5〜10μm(CeO量0.5〜7μg/cm)が好ましい。
まず、高分子樹脂の補強材11を接地する。補強材11に対向する位置に、酸化セリウムのターゲット41を配置し、印加電源42に接続する。そして、補強材11、酸化セリウムのターゲット41との間に電圧を印加するとともに、アルゴンイオンを酸化セリウムのターゲット41に照射する。これにより、酸化セリウムのターゲット41のスパッタを補強材11の表面11aを付着させ、両面に、酸化セリウムからなる薄膜12を補強材11の両面に成膜する。この際に、成膜条件である印加電圧等を適宜調整して、酸化セリウムのスパッタにより、補強材11の表層の多孔質の空孔を潰さない(空孔を埋めない)ことが重要である。後述する高分子電解質を、補強材11に含浸できないからである。
このように、乾燥状態で、補強材11の表面11aに物理気相成長法(PVD)を用いて酸化セリウムの薄膜12を成膜するので、成膜後の高分子電解質膜は収縮し難く、しわや凹凸によるひずみも発生し難い。また、1つの工程のみで、所望の割合の酸化セリウムを添加することができるので、後述する高分子電解質膜30を容易にかつ安価に製造することができる。
次に、図1(c)に示すように、酸化セリウムの薄膜12が両面に形成された補強材11に、スルホン酸基を有する高分子電解質を含浸させる。具体的には、シート状の高分子電解質40によって、補強材11を挟み込んだ状態で、補強材11の多孔質に、スルホン酸基を有する高分子電解質を含浸させる。
このようにして、図1(d)に示すように、スルホン酸基を有する高分子電解質と、過酸化水素を水及び酸素に分解してヒドロキシラジカルの発生を抑制するための遷移金属酸化物と、を含む高分子電解質膜30を製造することができる。具体的には、高分子電解質膜30は、補強材11を有した第一の高分子電解質層31と、該第一の高分子電解質層31の両面に形成された第二の高分子電解質層33と、を備えることになる。補強材11は、高分子樹脂からなる多孔質のシート状の補強材であり、両面に多孔を有した遷移金属酸化物の薄膜12が形成されており、補強材11には、高分子電解質が含浸されている。また、第二の高分子電解質層33は、高分子電解質からなる層となる。
そして、このような製造方法により製造された高分子電解質膜30によれば、酸化セリウムが、スルホン酸基を有する高分子電解質膜30の超強酸水が溶け、セリウムイオンとなる。このセリウムイオンは濃度勾配により、高分子電解質膜30中の高分子電解質だけではなく、後工程で、高分子電解質膜30に積層された触媒層(図示せず)中の高分子電解質にも拡散する。これにより、高分子電解質膜30の耐酸化性及び持続性は向上し、電極(触媒層)において発生した過酸化水素は、膜内を移動する際に、セリウムイオンにより酸素及び水に分解され、水酸化ラジカルの生成を抑制する。この結果、高分子電解質膜30の劣化を抑制することができ、固体高分子型燃料電池の発電効率の低下を抑制することなく、耐久性の向上を図ることができる。
本実施形態では、過酸化水素を水及び酸素に分解してヒドロキシラジカルの発生を抑制する遷移金属酸化物として酸化セリウムを用いたが、タングステン、ルテニウム、パラジウム、銀、ロジウム、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、マンガン、モリブデン、鉛、バナジウム、チタンなどの酸化物などであってもよい。
特に、セリウム酸化物(CeO)は、スルホン酸基を有する高分子電解質膜中の超強酸水に溶け込み、高分子電解質膜や触媒層の高分子電解質中で過酸化水素から生成する水酸化ラジカルを、水酸化イオンに容易にすることができ、効率的に高分子電解質の劣化を抑制することができるので好適である。
以下に本発明を実施例に基づいて、説明する。尚、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
[実施例1]
本実施形態に係る高分子電解質膜を製造した。具体的には、補強材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる、厚さ25μm、気孔度80体積%、細孔径0.1μm(バルブポイント法により測定)の多孔質のシート状の補強材を準備した。次に、図2に示す装置を用いて、物理気相成長法(PVD)の1つである(RFマグネトロン)スパッタリング法により、この補強材の両面に酸化セリウム(CeO)の薄膜を成膜した。具体的には、接地した補強材に対向させて、酸化セリウムターゲットを配置した。この酸化セリウムに連続的なパルスレーザを照射し、ターゲットイオンのプルームを発生させ、補強材の表面に酸化セリウムを蒸着した。
詳細な成膜条件は、スパッタ出力200W、補強材の温度130℃、スパッターガスフロー(アルゴンArのガスに10体積%の酸素ガスを含有したガス)8Pa、T/S(ターゲット(Target)/基板(Substrate)距離)を200mmとすることで、成膜レートを約2〜3nm/secの成長速度で、膜厚を1μm未満として成膜した。なお、膜厚は、水晶振動式成膜コントローラCRTM6000(ULVAC社製)を用いて測定した。
また、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)分析により、PTEF多孔質補強材表面に、セリウム元素の存在を確認した。そして、酸化セリウムが蒸着された部分の表面粗さをAFMにより確認したところ、全体的にRaが8nm程度であった。
このように、酸化セリウムの薄膜が形成された補強材を、NafionDE2020(Dupont社製)のシート状の電解質に挟み込むようにして、キャスト法により電解質を補強材に含浸させ、膜厚45μmの補強材を第一の電解質層として有した高分子電解質膜を製造した。
[評価方法]
製作した高分子電解質膜を4×5cmの試料に切り出し、フェントン試験液(H:1%、Fe2+:100ppm)に浸漬し、80℃、8時間保持させた後、試験液のフッ素イオン(Fイオン量(フッ素イオンの溶出量)をイオン電極により測定した。この結果を表1に示す。
高分子電解質膜のプロトン伝導度Kの評価も行なった。具体的には、含水状態の資料をL1cm×W1.5cmに切り出して、膜厚t(cm)をダイヤルゲージ(目盛0.001mm、測定子φ5mm、測定荷重1.5N)で測定した。試料をPTFE治具の白金電極間に挟み込み、治具を10kgf/cmのトルクで締め付けた。一方、表面張力で試料にイオン交換水を付着させて、25℃下の電極間の抵抗R(Ω)をインピーダンスアナライザ(周波数10−2〜10Hz,印加電圧10mV)で測定した。これらの得られた結果から、下式によりプロトン伝導度K(s/cm)を算出した。なお、以下に示すLは電極間長さであり、0.5cmであり、Wはサンプル幅1.0cmである。
K=L/(W×t×R)
また、表1に示すフッ素イオンの溶出量、プロトン伝導度は、後述する比較例1の結果を100としたときの割合である。
Figure 0005176664
[実施例2]
実施例1と同じようにして、高分子電解質膜を製造した。実施例1と相違する点は、図3に示すように、物理気相成長法(PVD)の1つである(電子ビーム)真空蒸着法により、酸化セリウムに連続的なパルスレーザを照射し、ターゲットイオンのプルームを発生させ、補強材の表面に酸化セリウムを蒸着し、この補強材の両面に酸化セリウム(CeO)の薄膜を成膜した点である。具体的には、補強材の温度を130℃、真空度を6.7×10−3Pa、加速電圧を5.0kV、エミッション電流を100〜200mAに調節し、成膜レートを約0.3〜0.5nm/secの成長速度で、膜厚を1μm未満となるように成膜した。尚、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)分析により、PTEF多孔質補強材表面に、セリウム元素の存在を確認した。そして、酸化セリウムが蒸着された部分の表面粗さをAFMにより確認したところ、全体的にRaが2nm程度であった。そして、実施例1と同じ評価方法で、フッ素イオンの溶出量、プロトン伝導度を測定した。この結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同じようにして、高分子電解質膜を製造した。実施例1と相違する点は、図4に示すように、物理気相成長法(PVD)の1つである(レーザアブレーション法)レーザビーム蒸着法により、酸化セリウムに連続的なパルスレーザを照射し、ターゲットイオンのプルームを発生させ、補強材の表面に酸化セリウムを蒸着し、この補強材の両面に酸化セリウム(CeO)の薄膜を成膜した点である。具体的には、レーザ光源としてKrFのエキシマレーザ(248nm)を用い、レーザ光強度を7.5J/pulse、発振周波数を4Hz、ターゲット温度500℃、チャンバー内圧(酸素分圧)1.0×10−1〜1.0Paとして、成膜レートを約20〜50nm/secの成長速度で、膜厚を1μm未満となるように成膜した。
尚、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)分析により、PTEF多孔質補強材表面に、セリウム元素の存在を確認し、酸化セリウムが蒸着された部分の表面粗さをAFMにより確認したところ、全体的にRaが19nm程度であった。そして、実施例1と同じ評価方法で、フッ素イオンの溶出量、プロトン伝導度を測定した。この結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同じようにして、高分子電解質膜を製造した。実施例1と相違する点は、酸化セリウムの薄膜を補強材の表面に設けていない点である。そして、実施例1と同じ評価方法で、フッ素イオンの溶出量、プロトン伝導度を測定した。この結果を表1に示す。
[比較例2]
高分子電解質膜として、5cm×5cm厚さ50μmのスルホン酸基を有するNafionN112(Dupont社製)を準備し、この膜全体の重さを乾燥窒素中で16時間放置し、質量を測定した。次に、この膜の全質量に対して、3.1%の量に相当するセリウムイオン(+3価)を含むように、硝酸セリウム(Ce(NO・6HO)24.0mgを500mLの蒸留水に溶解し、この中にイオン交換膜を浸漬し、室温で40時間、スターラーを用いて撹拌を行ってイオン交換膜中のスルホン酸基の一部をセリウムイオンによりイオン交換した。次いで、この膜を1モル/Lのリン酸水溶液に室温で60時間浸漬した。そして、実施例1と同じ評価方法で、フッ素イオンの溶出量、プロトン伝導度を測定した。この結果を表1に示す。
[結果及び考察]
実施例1〜3は比較例1に比べて、フッ素イオンの溶出量は少なかった。これは、セリウム酸化物(CeO)が、スルホン酸基を有する高分子電解質膜中の超強酸水に溶け込み、高分子電解質膜や触媒層の高分子電解質中で過酸化水素から生成する水酸化ラジカルを下の式の如く、水酸化イオンに容易にすること(すなわち、過酸化水素を水及び酸素に分解してヒドロキシラジカルの発生を抑制すること)ができ、効率的に高分子電解質の劣化を抑制することができたことによると考えられる。
Ce3++・OH(水酸化ラジカル)→Ce4++OH(水酸化イオン)
また、実施例1〜3の高分子電解質膜は、比較例1のものに比べて、プロトン伝導性が殆ど低下していないが、比較例2の高分子電解質膜は、実施例1〜3のものに比べてプロトン伝導性が20%程度低下していた。
これは、比較例2の電解質膜は、電解質膜外からセリウムイオンにイオン交換を行なうため、触媒層成形性の悪化や、界面抵抗が増大したと考えられる。また、実施例1〜3は、比較例2のような酸化セリウムのセリウムイオンが過多に高分子電解質膜のスルホン酸基に配位することによる膜抵抗の増加、を抑制することができ、その結果、発電効率の低下を抑えることができたと考えられる。
本実施形態に係る高分子電解質膜の製造方法を説明するための図であり(a)は、補強材を準備する工程、(b)は、補強材の両面に酸化セリウムを成膜する工程、(c)は、補強材を挟むようにシート状の電解質を含浸させる工程、(d)は、製造後の本実施形態に係る高分子電解質膜を示した図。 実施例1に係る高分子電解質膜の製造方法において、物理気相成長法の1つであるスパッタリング法による成膜を説明するための図。 実施例2に係る高分子電解質膜の製造方法において、物理気相成長法の1つである真空蒸着法による成膜を説明するための図。 実施例3に係る高分子電解質膜の製造方法において、物理気相成長法の1つであるレーザビーム蒸着法による成膜を説明するための図。 固体高分子型燃料電池(単セル)の一例を説明する模式図。 従来の高分子電解質膜の製造方法を説明するための図。 従来の高分子電解質膜の別の製造方法を説明するための図。
符号の説明
11:補強材、11a:表面、12:薄膜、12a:薄膜層、30:高分子電解質膜、31:第一の高分子電解質層、33:第二の高分子電解質層、40:シート状の電解質

Claims (2)

  1. スルホン酸基を有する高分子電解質と、過酸化水素を水及び酸素に分解してヒドロキシラジカルの発生を抑制するための酸化セリウムと、を含む高分子電解質膜の製造方法であって、
    高分子樹脂からなる多孔質のシート状の補強材の表面に、物理気相成長法(PVD)によって、前記酸化セリウムの薄膜を成膜する工程と、
    前記薄膜を成膜した補強材に前記高分子電解質を含浸させる工程と、を少なくとも含むことを特徴とする高分子電解質膜の製造方法。
  2. 前記高分子電解質の含浸は、シート状の高分子電解質によって前記補強材を挟み込んだ状態で行うことを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質膜の製造方法。
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