以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施形態のシステムの一例を概略的に示す図である。このシステムは、ローカル・エリア・ネットワークなどのネットワーク500に接続された予定管理システム100,1以上の機器200,及び利用許可判定部300を含んでいる。
予定管理システム100は、各ユーザの予定を記憶すると共に、記憶している予定の情報を各ユーザに提供する。各ユーザは、ユーザPC(パーソナルコンピュータ)400から予定管理システム100にアクセスして、自分の予定を登録する。登録される予定の情報(予定情報)には、その予定が実行される時間と場所の情報が含まれている。
機器200は、ユーザが利用する装置であり、様々な場所250に設置されている。場所250は、典型的には建物の中の部屋であるが、部屋が大きい場合にはその部屋を複数の区画に分割し、個々の区画を場所250として取り扱ってもよい。機器200の具体例としては、ネットワーク接続可能な複合機(すなわち、プリンタ、スキャナ、コピー機の機能を備えた装置)、ネットワークプリンタ、場所250に設置されている端末装置、その場所250に設けられたネットワーク接続ポートを挙げることができるが、これに限定されるものではない。機器200は、ユーザから利用要求を受けた場合に、その要求に応じて当該機器200の利用を許可してよいか否かを、利用許可判定部300に問い合わせる。
利用許可判定部300は、機器200からの問合せに対し、予定管理システム100を参照して回答する。すなわち、予定管理システム100に登録された予定情報の中に、利用要求を行ったユーザ、要求先の機器200の設置場所及び現在時刻の3者の組合せに合致する予定情報があれば、利用を許可する旨の回答を機器200に送る。 この例を、図2を参照して更に詳細に説明する。図2に示すように、予定管理システム100は、予定登録部110と予定情報記憶部120を備える。予定登録部110は、各ユーザから予定の登録を受け付ける。予定登録部110は、以下に説明する機能を記述したプログラムをコンピュータに実行させることにより実現される。
例えば、予定登録部110は、予定の登録のためのユーザインタフェース(UI)画面をユーザPC400に提供する。このUI画面は、例えばWebページとして用意すればよい。ユーザは、ユーザPC400を操作してネットワーク500経由で予定管理システム100にログインし、そのUI画面を取得して、予定の登録を行う。ログインの際にユーザ認証を行うことにより、予定管理システム100はそのユーザのユーザIDを特定することができる。また、予定管理システム100には、予定が実行される場所の候補が選択肢として登録されており、予定登録のためのUI画面には、それら候補が選択肢として提示される。ユーザは、それら候補の中から当該予定が実行される「場所」を選択する。また、予定が実行される時間は、従来の予定管理システムと同様、例えば、予定登録用のUI画面における開始時刻及び終了時刻の入力欄に、ユーザに時刻を入力してもらえばよい。予定登録部110は、これらユーザID、時間、場所の組を1つの予定を特定する予定情報として、予定情報記憶部120に登録する。なお、この他に、予定内容の説明文を入力する欄をUI画面内に設け、ユーザがその欄に入力したテキストを予定情報の一項目として登録してもよい。予定情報記憶部120に登録される予約情報の例を、図3に示す。この例では、個々の予定情報は、当該予定の主体であるユーザのID、その予定が実行される時間(例えば予定の開始時刻と終了時刻との組)、その予定が実行される場所、及び、予定内容の説明文を含んでいる。このうち予定内容の説明文は必須ではない。また、図3に例示した以外の項目が予定情報に含まれていてもよい。
なお、予定情報記憶部120は、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶装置と、予定情報のデータ構造を管理するプログラムなどとの組合せにより実現することができる。
予定管理システム100は、予定情報記憶部120が記憶する各ユーザの予定情報群を、例えば1日単位、1週間単位、1月単位などの単位で一覧表示するスケジュール画面を提供してもよい。また、ユーザグループごとに、そのグループの属する各ユーザの予定の一覧表示を生成して提供してもよい。
以上に示した予定管理システム100の機能は、既存の各種の予定管理システムにて既に実現されている機能である。本実施形態の予定管理システム100は、そのような既存システムの機能に加え、更に利用許可判定部300からの問合せに応答する機能(詳細は後述)を有していればよい。
機器200は、利用制御部210,認証処理部220及び機器情報記憶部230を備える。利用制御部210は、ユーザから機器200の利用要求を受け取ると、利用許可判定部300に問合せを行い、その問合せに対する回答に応じて機器200の状態を制御する。すなわち、利用を許可する場合は、機器200を利用可能状態に遷移させる。利用可能状態では、機器200は、ユーザからの指示を受け取り、その指示に応じた動作を行う。認証処理部220は、機器200に利用要求を発したユーザに対し、ユーザ認証処理を行う。認証処理部220が行うユーザ認証の方式には特に限定はない。パスワード認証、ICカード認証、指紋認証など、既存のどの認証方式を用いてもよい。いずれの場合も、認証処理部220による認証が成功すると、そのユーザのユーザIDが特定される。機器情報記憶部230には、当該機器200が設置された場所250を特定するための機器情報が記憶される。ここで、機器情報は、例えば、当該機器200が設置された場所250を表す場所識別情報である。また、別の例では、機器情報は当該機器200の識別情報である。この例では機器の識別情報とその機器が設置された場所250の識別情報との対応関係の情報が、ネットワーク500上のコンピュータに保持されており、そのコンピュータに問い合わせることで機器が設置された場所の識別情報を得ることができる。そのコンピュータは、例えば利用許可判定部300であってもよいし、予定管理システム100であってもよい。利用制御部210及び認証処理部220は、上述のような機能を記述したプログラムをコンピュータに実行させることにより実現される。機器情報記憶部230は、不揮発性メモリ等の記憶装置を用いて実現すればよい。
機器200は、「利用可能状態」と「利用不可状態」という2つの状態をとり得る。「利用可能状態」は当該機器200が自身の機能をユーザに提供する状態であり、「利用不可状態」は当該機器200が自身の機能をユーザに提供しない状態である。例えば、機器200が複合機などのようにUI機構(表示画面や操作ボタンなど)を介するユーザの指示に応じて処理を行う装置の場合、利用可能状態では機器200はユーザからの指示を受け付けてその指示に応じた処理を実行するのに対し、利用不可状態では機器200がユーザからの指示を受け付けないか、或いは指示が入力されてもその指示に応じた処理は実行しない。また、例えば機器200がネットワーク接続ポートである場合、ネットワーク接続ポートが利用可能状態であればそのポートは有効化され、そのポートに接続された端末はそのポートを介してネットワークに接続される。これに対し、ネットワーク接続ポートが利用不可状態であれば、そのポートは無効化され、そのポートに接続された端末はネットワークに接続できない。ネットワーク接続ポートの有効化、無効化は、例えば、そのポートを制御するブリッジ、ルータ又はゲートウェイなどのような装置により制御される。
以下、機器200がUI機構を備えた複合機などの装置である場合を代表として、図2に例示したシステムの処理を説明する。
この処理では、機器200の利用制御部210は、UI機構を介してユーザから利用要求を受けた場合、認証処理部220に当該ユーザの認証を行わせる。認証が成功した場合、認証により特定されたユーザIDと、機器情報記憶部230が記憶している機器情報(前述)とを含んだ利用可否の問合せを利用許可判定部300に送る(A1)。この問合せを受けた利用許可判定部300は、予定管理システム100に対して、当該ユーザの予定を問い合わせる(A2)。この問合せには、機器200からの問合せに含まれるユーザIDが含まれる。予定管理システム100は、利用許可判定部300からの問合せに含まれるユーザIDに対応する予定情報のうち、現在時刻に該当する予定情報を予定情報記憶部120から検索する。すなわち、例えば項目「ユーザID」の値がその問合せに含まれるユーザIDに一致し、かつ項目「時間」が表す時間帯が現在時刻を含む予定情報を検索する。そして、検索した予定情報を利用許可判定部300に対し回答する(A3)。なお、予定管理システム100は、検索した予定情報全体ではなく、その中の項目「場所」の値のみを回答してもよいし、「場所」と「時間」の値を回答してもよい。
なお、問い合わせ中のユーザID及び現在時刻の組に該当する予定情報が予定情報記憶部120から見つからなかった場合は、予定管理システム100は、問合せに該当する予定がない旨を回答すればよい。また、この代わりに、各ユーザについてそれぞれデフォルトの居所(例えば当該ユーザが席を持っている部屋)を予定管理システム100に登録しておき、ユーザが予定を登録していない時間帯については、ユーザはデフォルトの居所に居るとした仮の予定情報を予定管理システム100が生成し、予定情報記憶部120に登録してもよい。
予定管理システム100から回答を受け取った利用許可判定部300は、その回答に含まれる「場所」の値が、機器200からの問合せ(A1)に含まれる機器情報に対応する場所の識別情報と一致するか否かを判定し、一致する場合は「許可」の回答を、不一致の場合は「不許可」の回答を、機器200に送る(A4)。すなわち、この例のシステムでは、ユーザが、自分の予定情報に登録した時間内に、その予定情報に登録した場所に設置された機器200を利用しようとした場合にはその機器200の利用が許可される。なお、予定管理システム100からの回答が、問合せに該当する予定情報がない旨を示すものである場合は、利用許可判定部300は、不許可の回答を機器200に送ればよい。
利用許可判定部300から回答を受け取った機器200の利用制御部210は、その回答が「許可」であれば機器200を利用可能状態に遷移させ、「不許可」であれば利用不可状態のまま維持する。
以上に説明した処理における機器200の利用制御部210の詳細な手順の一例を、図4を参照して説明する。利用制御部210は、電源投入時には機器200を利用不可状態に設定し、UI機構に対しユーザが利用要求の操作を行うのを待つ(S101)。利用不可状態では、機器200は、利用要求や認証情報など限られた範囲の入力は受け付けるが、その他の機能についての入力は受け付けないか、受け付けたとしてもその入力に応じた処理は実行しない。利用要求の操作を受けると、利用制御部210は、認証処理部220にユーザ認証処理を依頼する(S102)。この依頼に応じ、認証処理部220は、ユーザに認証情報(例えばユーザIDとパスワードの組)の入力を求め、その求めに応じて入力された認証情報があらかじめ登録された正当なものであるか否かを判定する。なお、そのような判定を行う認証サーバをネットワーク500上に設け、認証処理部220はその認証サーバに認証情報を渡して判定を依頼してもよい。
ユーザ認証が失敗した場合(ステップS103の判定結果が否定(N))は、認証不合格のメッセージをUI機構に表示する等のエラー処理を行う。この場合は、機器200は利用不可状態のまま維持される。
ユーザ認証が成功した場合(ステップS103の判定結果が肯定(Y))は、利用制御部210はユーザ認証により特定されたユーザIDと、機器情報記憶部230内の機器情報とを含む問合せを利用許可判定部300に送り(S104)、利用許可判定部300から回答を受け取る(S105)。そして、利用制御部210は、その回答が「許可」であるか否かを判定し(S106)、「許可」でなければ、機器200を利用不可状態のまま維持し、利用要求を行ったユーザに対し、当該機器200は利用できない旨を通知する(S107)。この通知は、例えば、UI機構の表示装置に、当該機器200は利用できない旨を示すメッセージを表示することで行えばよい。
一方、ステップS106で回答が「許可」であると判定されると、利用制御部210は機器200を利用可能状態へと移行させる(S108)。
その後、利用制御部210は、ステップS104の問合せに対応して予定管理システム100が検索した予定情報の項目「時間」が規定する当該予定の終了時刻が到来するまでは、機器210を利用可能状態に維持する(S109)。予定の終了時刻は、予定管理システム100から取得することができる。そして、予定の終了時刻が到来すると、利用制御部210は機器200を利用不可状態に移行させる(S110)。なお、予定終了時刻の到来前でも、ユーザから明示的に利用終了の旨の入力を受けた場合には、利用制御部210は機器200を利用不可状態へと移行させる。
次に、図5を参照して、図2の処理における利用許可判定部300の詳細な手順の一例を説明する。利用許可判定部300は、機器200から利用可否の問合せ(A1)を受ける(S201)と、ステップS202以降の手順を実行する。すなわち利用許可判定部300は、その問合せ中のユーザIDと現在時刻のペアに該当する予定情報を予定管理システム100から取得し(S202)、取得した予定情報中の項目「場所」の値が機器200からの問合せ(A1)中の機器情報に対応した場所と一致するか否かを判定する(S203)。一致すれば(ステップS203の判定結果が肯定(Y))、機器200に対して「許可」の旨を回答する(S204)。この回答に、ステップS202で取得した予定情報中の「時間」、特に終了時刻、の情報を含めてもよい。また、ステップS203の判定結果が否定(N)であれば、機器200に「不許可」の旨を回答する(S205)。
以上、機器200がUI機構を備える装置である場合の例を説明した。一方、機器200がネットワーク接続ポートである場合は、ブリッジやルータなどのようにそのポートを管理する接続装置が、利用制御部210、認証処理部220及び機器情報記憶部230の機能を担う。
すなわち、接続装置は、自身が持つネットワーク接続ポート(又は当該ポートから延びるネットワークケーブルの端子)にコンピュータのネットワークIF(インタフェース)が接続された場合に、そのコンピュータ又はネットワークIFのアドレス情報(例えばネットワークIFのMAC(media access control)アドレス)を受け取り、そのアドレス情報をいわばユーザの認証情報としてユーザ認証を行う。各ユーザのコンピュータのアドレス情報とユーザIDとの対応関係の情報が接続装置、又はその接続装置が接続可能なネットワーク上のサーバにあらかじめ登録されており、接続装置はネットワーク接続ポートに接続されたコンピュータから取得したアドレスに対応するユーザIDを前述の対応関係の情報から求める。なお、この例では、コンピュータ側から提供されるアドレス情報を信頼したが、その代わりに、接続装置が認証情報の入力UI画面をコンピュータに提供し、ユーザID、パスワードなどの認証情報の入力を求めてもよい。また、接続装置は、ネットワーク接続ポート又はそのポートから延びるケーブルの端子が位置する場所の識別情報を記憶(機器情報記憶部230に該当)しており、この識別情報と前述のようにして求めたユーザIDとを含んだ問合せを利用許可判定部300に送信し、許否の回答を受ける。
以上説明したように、この例のシステムでは、機器200を単に予定情報が示す時間帯の間利用可能状態とするのではなく、その予定情報を登録したユーザがその時間帯内にその機器200にてユーザ認証に成功して初めて機器200を利用可能状態とするようにした。
以上の例は、ユーザが機器200のある場所に居て、その機器200をローカルで利用する場合の例である。一方、機器200が複合機やネットワークプリンタのように、ネットワーク500を介してリモートの装置から指示を受け付ける装置である場合、そのようなリモートからの指示に対する機器200の利用制御は、図6〜図10に示す第1の変形例のようにしてもよい。
この第1の変形例のシステムでは、図6に示すように、機器200は、リモートのユーザPC400からの印刷ジョブを記憶するためのジョブ記憶部240を備える。ユーザがユーザPC400を操作して、機器200に対する印刷要求を行った場合、ユーザPC400は印刷対象データ及び印刷パラメータなどの情報を含んだ印刷ジョブと、そのユーザの認証情報とを機器200に送る(B0)。ここでは、例えばユーザPC400にインストールされたプリンタドライバプログラムが、認証情報の入力を求めるUI画面を提示し、その画面に対してユーザが認証情報を入力すればよい。ユーザPC400から機器200への印刷ジョブの送信が、機器200に対する利用要求に該当する。
機器200の利用制御部210は、印刷ジョブ及び認証情報を受け取ると(図7のS111)、認証処理部220によりユーザ認証を行い(S112,S113)、ユーザ認証が成功した場合には利用許可判定部300に対して利用可否の問合せを送る(S114,B1)。このとき送られる問合せには、ユーザIDと機器情報の他に、「リモート印刷」属性が含まれる。リモート印刷属性は、ユーザからの利用要求が(機器200自体のUI機構に対する直接入力されたものではなく)リモートの装置からの印刷要求であることを示す情報である。利用要求が機器200のUI機構に直接入力されたものである場合には、機器200が利用許可判定部300に送る問合せには、リモート印刷属性が含まれない。
利用許可判定部300は、機器200から問合せを受け取ると(図8のS211)、その問合せにリモート印刷属性が含まれているか否かを判定する(S212)。リモート印刷属性が含まれない場合は、図5の手順のステップS202に進み、上述の例と同様の処理を行う。問合せ(B1)にリモート印刷属性が含まれている場合、利用許可判定部300は、その問合せに含まれるユーザIDと、現在時刻以降の予定情報群を検索する旨の指示とを含んだ問合せを予定管理システム100に送る(S213,B2)。
予定管理システム100は、利用許可判定部300から問合せ(B2)を受け取ると、その問合せが現在時刻以降の予定情報群を検索する旨の指示を含んでいれば、その問合せに含まれるユーザIDに対応する、現在時刻以降のすべての予定情報を検索する。ただし、「現在時刻以降」といってもあまりに遠い未来の予定まで検索したのでは現実的ではないので、「問合せのあった日のうち」、或いは「問合せから2日以内」などといった検索範囲の制限を設けておき、現在時刻以降且つその制限を満足する予定情報を検索する。そして、その検索の結果、1以上の予定情報が検索された場合は、検索された各予定情報を含む回答を利用許可判定部300に返す(B3)。
利用許可判定部300は、予定管理システム100からの回答(B3)を受け取ると(S213)、その回答に含まれる各予定情報の中から、項目「場所」の値が、機器200から受け取った問合せ(B1)中の機器情報が示す場所と一致する予定情報を探す(S214)。そして、一致する予定情報が見つかれば、機器200に対して「許可」の旨を回答する(S215,B4)。この回答(B4)には、ステップS214で見つかった予定情報に含まれる項目「時間」の情報が含まれる。この「時間」の情報は、当該印刷ジョブを印刷出力してよい時間帯を示すので、出力許可時間帯と呼ぶことにする。一方、ステップS214で、項目「場所」の値が問合せ(B1)中の機器情報が示す場所と一致する予定情報が見つからなかった場合は、機器200に対して「不許可」の旨を回答する(S216,B4)。
機器200の利用制御部210は、利用許可判定部300から回答(B4)を受け取ると(S115)、その回答が「許可」であるか否かを判定する(S116)。回答が「許可」でなければ、利用制御部210はステップS111でユーザPC400から受信した印刷ジョブを廃棄する(S117)。この場合、利用制御部210は、ユーザに対して、依頼された印刷ジョブは出力できない旨を示すメッセージを通知してもよい。この通知は、例えば、印刷ジョブの依頼に対する応答としてユーザPC400に返してもよいし、当該ユーザの電子メールアドレス宛に電子メールとして送信してもよい。ユーザの電子メールアドレスは、例えば、利用許可判定部300又は予定管理システム100に登録しておけばよい。
一方、ステップS115で受信した回答が「許可」であれば(ステップS116の判定結果が肯定)、利用制御部210は、ステップS111で受信した印刷ジョブをジョブ記憶部240に保存するとともに、その回答に含まれる出力許可時間帯の情報を、その印刷ジョブに対応づけて記憶する(S118)。この処理により、ジョブ記憶部240には、例えば図9に示すような管理情報が記憶される。図9の例では、管理情報は、ジョブ記憶部240に記憶された印刷ジョブの識別情報(ジョブID)と、これに対応する利用許可判定部300からの回答(B4)に含まれる出力許可時間帯との情報を含む。更に、当該印刷ジョブを依頼したユーザのユーザIDを管理情報に含めてもよい。
利用制御部210は、この管理情報を参照し、記憶された印刷ジョブについての出力許可時間帯が到来すると、機器200の印刷機能にその印刷ジョブを印刷させる。この処理手順の例を、図10に示す。この例では、利用制御部210は、例えば所定時間間隔(例えば数秒或いは数分など)ごとの判定タイミングが到来するごとに(S121)、管理情報に含まれる各印刷ジョブの出力許可時間帯を現在時刻と比較する(S122)。この比較により出力許可時間帯が到来した印刷ジョブが見つかれば、その印刷ジョブを機器200の印刷機構に実行させる(S123)。印刷ジョブの実行が完了すると、利用制御部210はその印刷ジョブをジョブ記憶部240から削除し、管理情報(図9参照)からもそのジョブについてのレコードを削除する。
以上のような処理によれば、ユーザがリモートから機器200に送信した印刷ジョブは、そのユーザがその機器200が設置された場所における予定を予定管理システム100に登録していれば、その予定の開始時刻が到来した時点で印刷出力される。そのような予定が登録されていない場合には、その印刷ジョブは実行されない。なお、この例では、管理情報には、予定の開始時刻が印刷ジョブと対応づけて登録されていればよい。
以上の例は、機器200がジョブ記憶部240に記憶された印刷ジョブを、対応する予定情報の開始時刻が到来したら自動的に印刷するものであったが、これは一例に過ぎない。別の例として、印刷ジョブを依頼したユーザが当該機器200の設置場所における予定情報を登録しており、且つその予定の時間帯(出力許可時間帯)内にそのユーザが機器200に対して直接(即ちローカルのUI機構から)そのジョブの出力指示を行った場合に、そのジョブが実行されるように制御してもよい。この場合、機器200は、出力指示を行うユーザを認証し、そのユーザが印刷ジョブを依頼したユーザと一致するかを管理情報(図9参照)のユーザIDに基づき判定すればよい。
また、この変形例において、ジョブ記憶部240に記憶された印刷ジョブの出力部数を、予定管理システム100に登録された各ユーザの予定情報に基づき自動設定してもよい。例えば、印刷ジョブを依頼したユーザの予定情報群の中から項目「場所」の値が当該ジョブの出力先の機器200の設置場所と一致する予定情報がステップS214にて見つかった場合、その見つかった予定情報と同じ「場所」及び「時間」の予定情報を登録しているユーザの数を利用許可判定部300が予定管理システム100から求め、そのユーザ数を出力部数として、機器200に通知すればよい。機器200は、その出力部数を当該印刷ジョブのジョブIDと対応づけて管理情報に登録しておき、そのジョブを出力する際に参照すればよい。例えば図3の例の場合、ユーザAとBは10時から12時までの間、同じ場所の予定を登録しているので、ユーザA又はBがその場所の機器200に予め印刷ジョブを送っておけば、その予定の時間にあわせてその機器200がそのジョブを2部出力することとなる。
なお、この変形例は、機器200に対して印刷ジョブを依頼したユーザがその機器200の設置場所にて実行される予定を予定管理システム100に登録している場合に、その印刷ジョブをその予定の時間帯内に出力するよう機器200を制御するというものである。このような制御が実現できるものであれば、具体的な処理手順は図6〜図10を参照した説明したものに限らず、どのようなものでもよい。
次に、図11及び図12を参照して、第2の変形例を説明する。この変形例では、各ユーザが予定管理システム100に登録した予定情報を、承認権限を持つ承認者がチェックし、承認を与えるか否かを判断する。そして、利用要求を行ったユーザと要求対象の機器200の設置場所の組が、予定管理システム100に登録された予定情報と合致する場合でも、その予定情報が承認者から承認を受けていない場合には、機器200の利用を許可しない。
この第2の変形例では、図11に示すように、予定管理システム100が承認処理部130を備える。承認処理部130は、一般ユーザが登録した予定情報に対して承認者から承認操作を受けるための処理を行う。例えば、承認処理部130は、各ユーザが登録した予定情報を承認者に提示し、各予定情報について承認者から承認又は不承認の操作を受け付ける。承認処理部130は、個々の予定情報ごとに承認操作を受け付けるUIだけでなく、ユーザ単位や日単位で承認を受け付けるUIを承認者に提供してもよい。ユーザの予定を承認する承認者は、予定管理システム100を管理する特定の管理者であってもよいし、そのユーザの上司のようにユーザごとに異なっていてもよい。後者の場合、予定管理システム100には、ユーザに対応する承認者を特定するためのルール情報をあらかじめ登録しておけばよい。このルール情報は、ユーザとそれに対応する承認者とのペアを表すようなテーブルでもよい。また、予定情報に示された「場所」の管理者がその予定情報に承認を与える枠組みを採用してもよい。この場合は、各「場所」の管理者を特定する情報を予定管理システム100に登録しておけばよい。
承認処理部130は、例えば、承認者が予定管理システム100にログインしたときに、その承認者が承認可否を判断すべき予定情報が予定情報記憶部120内にあれば、承認のためのUI画面を提供し、承認操作を受け付ける。その操作の結果は、予定情報記憶部120に記憶される。例えば、図12に示すように、承認者が承認操作を行った予定情報には承認ステータスとして「承認済」が、承認者が不承認の操作を行った予定情報には承認ステータスとして「不承認」が、それぞれ登録される。なお、ユーザが予定情報を登録した後、承認者が承認又は不承認の操作を行うまでの間は、その予定情報の承認ステータスは「未定」となっている。承認者に提供される承認UI画面には、承認ステータスが「未定」である予定情報が提示され、承認者の判断を求めるようにすればよい。
なお、ユーザが予定情報を予定管理システム100に新たに登録した場合に、承認処理部130が承認者に電子メール等で承認を求める旨の通知を行うようにしてもよい。
また、承認者からの承認を必要とする予定情報を限定してもよい。例えば、特定の場所(例えば、有料の会議室や、特定の建物内の部屋など)での予定には承認が必要であるなどのルールを規定したルール情報を予定管理システム100に登録しておけばよい。この場合、承認処理部130は、そのルール情報に基づき、個々の予定情報について承認が必要か否かを判定し、承認が必要な予定情報のみについて、承認者から承認を求める。
図11に示した処理の流れは、おおむね図2の例と同様である。図2の例と異なる点は、利用許可判定部300からの問合せ(A2)に対し、予定管理システム100が返す予定情報が承認ステータスを含んでいる点(A3a)である。利用許可判定部300は、受け取った予定情報の承認ステータスが「承認済」でない場合には、ステップS203(図5参照)の判定結果が肯定であっても、機器200に対して「不許可」の旨を回答する。
図11の例は図2に示した例に基づいたものであるが、所定の承認者から承認を受けた予定情報によって裏付けられる場合に機器200の利用を許可するという第2の変形例の方式は、上述の第1の変形例にも適用可能である。
以上に説明した様々な例において、利用許可判定部300は、上述した当該利用許可判定部300の機能を記述したプログラムをコンピュータに実行させることにより実現することができる。利用許可判定部300は、予定管理システム100とも機器200とも別のハードウエア装置上に実装してもよいし、予定管理システム100の一部として実装してもよい。また、利用許可判定部300を機器200に組み込むことも考えられる。
次に第3の変形例を説明する。上述の各例では、機器200に対し利用要求を行ったユーザの予定情報が示す「場所」とその機器200の設置場所とが一致する場合には、その予定情報が示す時間帯の間はその機器200の利用が許可された。これに対し、この変形例では、そのような場合でも、その予定情報と同じ時間帯にその設置場所での予定を予定管理システム100に登録しているユーザの数が所定のしきい値以下の場合は、機器200の利用を許可しない。この変形例では、例えば、予定管理システム100は、利用許可判定部300からの問合せA2,B2(図2,図6,図11等を参照)を受けた場合に、その問合せに含まれるユーザIDに対応する予定情報のうち、現在時刻を予定の時間帯の中に含んだものを特定する。そして、予定管理システム100は、例えば、その特定した予定情報と時間及び場所が同じ他のユーザの予定情報を予定情報記憶部120から探し、探し出した予定情報の数に1を足した値を同じ予定を持つユーザの数として、問合せ対象のユーザの予定上での現在の居場所の情報と共に利用許可判定部300に返す。これを受けた利用許可判定部300は、上述の実施形態と同様、受け取った居場所が機器200の設置場所と一致するか否かの判定を行い、その判定で一致すると判定された場合、更に予定管理システム100から受け取ったユーザ数としきい値とを比較し、そのユーザ数がしきい値以下であれば、機器200の利用を不許可とする。
この変形例は、機器200の近くにいるユーザが少ない場合には、「他人の目」による監視機能が働きにくいため、ユーザによる機器200の不正使用(例えば、私的利用など、正当な業務以外の目的での利用)が行われやすいとの考え方に基づく。しきい値は、例えば1人、或いは2人など、機器200を管理する組織のポリシーに従って予め設定しておけばよい。なお、その予定情報と同じ時間帯にその設置場所での予定を予定管理システム100に登録しているユーザの数が前述のしきい値を超える場合には、利用許可判定部300は、利用要求を行ったユーザの予定情報が示す「場所」と機器200の設置場所とが一致すればその予定情報が示す時間帯の間そのユーザに機器200の利用を許可すればよい。
また、別の例として、予定管理システム100に対し複数のユーザが場所と時間が同一の予定情報を登録している場合に、それらユーザ全員がその場所の機器の利用を利用許可判定部300から許可された場合にのみ、その機器が利用可能になるようにしてもよい。この場合、例えば、予定管理システム100は、利用許可判定部300からの問合せA2,B2を受けた場合に、その問合せに含まれるユーザIDに対応する予定情報のうち、現在時刻を予定の時間帯の中に含んだものを特定する。そして、予定管理システム100は、例えば、その特定した予定情報と時間及び場所が同じ他のユーザの予定情報を予定情報記憶部120から探し、探し出した各予定情報に対応する各ユーザIDのリストを問合せ対象のユーザの予定上での現在の居場所の情報と共に利用許可判定部300に返す。これを受けた利用許可判定部300は、リストが空、すなわち時間及び場所が同じ予定情報を登録した他のユーザがいない場合には、問合せ対象のユーザの現在の居場所と、機器200からの問合せA1の機器情報に対応する機器200の位置とが一致すれば、機器200の利用を許可する。一方、予定管理システム100から送られてきたリストが空でない場合は、利用許可判定部300は、例えば、時間と場所が同一の予定情報を登録しているユーザを管理するために一時的な管理情報を作成する。この管理情報は、送られてきたリストに問合せ対象のユーザのIDを加えたものであり、当該予定情報の時間と場所との組合せに対応づけられる。そして、予定情報が示すユーザの現在の居場所と利用要求の対象である機器200の場所とが一致すれば、その管理情報内のユーザIDのリストのうち、当該問合せ対象のユーザのIDについて、利用許可済みである旨のフラグをセットする。管理情報内のリストの中にフラグが利用許可済みを示す値となっていないものが1つでもあるうちは、利用許可管理部300は、当該機器200の利用は許可しない。このような場合に、利用許可管理部300が機器200に対し、「共通の予定を持つ全員から利用要求を受けるまでは機器を利用できない」旨のメッセージを返し、機器200がそのメッセージを表示するようにしてもよい。そして、管理情報内のリストの全ユーザのフラグが利用許可済みを示す値となったときに、利用許可管理部300は、機器200に対して利用を許可する旨の回答を返す。この利用許可の回答により、機器200の利用制御部210は、機器200を利用可能な状態に移行させる。
なお、予定管理システム100から問合せ対象のユーザの予定情報と、前述のユーザのリストを受け取ったときに、その予定情報の時間と場所の組合せと同じ組合せに対応づけられた管理情報が既に存在する場合には、新たに管理情報は作成しない。この場合、その問合せ対象のユーザの居場所が機器200の場所に一致すれば、管理情報におけるそのユーザに対応するフラグを、利用許可済みを示す値にセットし、管理情報内のすべてのユーザに対応するフラグが利用許可済みを示す値になっているかを検査すればよい。
次に第4の変形例を、図13〜図14を参照して説明する。この変形例では、ネットワーク上に予定管理システムが複数存在し、予定管理システムごとにそれぞれ機器側から見た信頼度が異なることを想定する。例えば、一つの考え方では、多数のユーザが使用している予定管理システムほど信頼度が高いと考えられる。また、管理者が、ネットワーク上に存在する各予定管理システムの信頼度を定めてもよい。予定管理システムが複数のユーザに対して予定を相互に閲覧可能にしている場合、当該予定管理システムの信用度は高いものとされる。例えば、会社内の同じ部署のユーザ同士が互いにユーザの予定を閲覧可能である場合は、ユーザ同士が互いに監視を受けるため事実と異なるスケジュールを記入することがなくなる。これにより不実のスケジュールを記入することによる機器の不正利用が抑制されるため、信頼度が高いものとされる。このような観点から、例えば管理者が各予定管理システムの信頼度を定めてもよい。
そして、機器200は、利用要求を行ったユーザの予定情報が登録されている予定管理システム100の信頼度に応じて、ユーザに提供する機能を制限する。上述の各例では、機器200全体として利用を許可するか否かを制御したが、この第4の変形例では、機器200の機能群の提供を段階的に制御するのである。
図13に示す例では、3つの予定管理システム100A,100B,100Cがネットワーク500上に存在する。この例では、利用許可判定部300は、機器200内に設けられている。機器200は、信頼度の範囲ごとにユーザに提供する機能を記述した、図14のような提供機能判定情報を記憶している。図14の例は、機器200が複合機である場合の提供機能判定情報の一例である。この例では、機器200に対するユーザの利用要求の正当性がある予定情報によって裏付けられたとしても、その予定情報が登録されている予定管理システムの信頼度が3以下であれば、機器200の利用は許可されない。一方、その予定が登録されている予定管理システムの信頼度が3〜10の範囲にある場合は、機器200の提供する機能のうちカラーコピー機能とファクシミリ送信機能は許可されないが、白黒のコピーは10枚以内なら許可され、また原稿10枚以内のスキャンも許可される。
この変形例では、ユーザから利用要求を受けた場合、機器200は、ユーザ認証によりそのユーザを特定した後、各予定管理システム100A〜100Cに対し、それぞれそのユーザが登録されているか否かを問い合わせる。図示例では、利用要求を行ったユーザZは予定管理システム100Cに登録されている。このことが分かると、機器200は、予定管理システム100Cに対し、そのユーザの現在の予定情報(特に項目「場所」の値)を問い合わせ、その結果得られた場所が、当該機器200の設置場所と一致するか否かを判定する。一致しない場合は、機器200の利用は許可されない。一致する場合は、機器200は、更にその予定管理システム100Cの信頼度を判定する。図13の例は、予定管理システムに登録されているユーザ数に基づき信頼度を判定する場合の例であり、機器200は、信頼度判定のために、予定管理システム100Cに対し登録ユーザ数を問い合わせている。問合せに応じて得られた登録ユーザ数から、例えば関数を用いることで、信頼度の値を求めればよい。そして、機器200は、求めた信頼度に対応する提供機能を、提供機能判定情報から求める。そして、求めた提供機能の利用をそのユーザZに許可する。
なお、第4の変形例のように機器200が備える各機能を単位として利用の可否を制御することは、上述の他の例にも当然適用可能である。
以上に例示したいずれの例でも、ユーザに機器200の利用を許す時間は、予定情報中の時間情報が示す予定の開始時刻から終了時刻までの時間帯に厳密に限定しなくてもよい。例えば、予定情報に示される時間帯よりも所定時間(例えば、5分)早く機器200を利用可能としてもよい。この構成により、会議の準備等のために会議が開始される前から機器を利用することができる。また、予定情報に含まれる時間よりも所定時間(例えば、5分)延長して機器200を利用可能としてもよい。これにより、会議が延長された場合でも機器を利用することが可能となる。このように、機器200の利用を許可する時間帯を、予定情報中の時間情報が示す時間帯から所定の規則(例えば予定開始時刻より所定時間だけ早く許可可能とする、など)に従って求めるようにしてもよい。
また、以上の例では、その予定情報を登録したユーザが、その予定情報の示す時間帯内にその機器200にてユーザ認証に成功すると、機器200を利用可能状態とするようにした。別の観点では、ユーザが機器200にてユーザ認証に成功したとしても、そのユーザの予定情報に登録された現在の居場所と、その機器200の設置場所が一致しない場合は、機器200を利用不可状態としてもよい。