[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置の概要を示している。
この画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されるものであり、筐体(図示せず)の内部に、公知の電子写真方式、静電記録方式等を利用して入力画像情報に基づいて乾式の現像剤としてのトナー(着色等がされた微粉体)で現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、作像装置10で形成されたトナー像を保持して最終的に記録媒体としての用紙9に転写する中間転写装置20と、中間転写装置20でトナー像が転写された用紙9を通過させてトナー像の定着を行う定着装置30とが主に設置されている。図中の矢付き一点鎖線は用紙9の主な搬送経路を示す。
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(黒:K)の4色のトナー像を専用に形成することができる4つの作像装置(10Y,10M,10C,10K)を適用しており、それらの作像装置10を直列に並べた状態で配置している。また、この各作像装置(10Y,10M,10C,10K)は、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
各作像装置10(Y,M,C,K)は、図2に示すように、所定の方向に回転する感光ドラム12を備えており、この感光ドラム12の周囲に、次のような各装置を主に配置した構成になっている。主な装置とは、感光ドラム12の像保持面(トナー像を保持することが可能な表面部分)を所定の電位に帯電させる帯電装置13と、感光ドラム12の帯電された像保持面に画像情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する潜像形成装置としての露光装置14と、その潜像に対して各色(Y,M,C,K)のトナーを転移付着させる現像をしてトナー像を形成する現像装置15(Y,M,C,K)と、そのトナー像を中間転写装置20(の中間転写ベルト)に転写する一次転写装置16と、転写後の感光ドラム12の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を掻きとって除去する清掃装置17と、感光ドラム12の像保持面に潤滑剤を塗布する塗布装置19とである。
感光ドラム12は、接地処理される円筒又は円柱状の基材の周面に有機感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光ドラム12は、回転自在に支持されているとともに、モータ、駆動伝達機構等で構成される回転駆動装置12bにより矢印方向(この例では図中に示す時計回りの方向)Xに所定の速度で回転させられる。帯電装置13は、感光ドラム12の像保持面に接触して回転する状態で配置されるとともに帯電用電圧が印加される帯電ロール12aを備えた接触型の帯電装置である。この帯電装置13は、その帯電ロール12aに帯電用電圧として交流成分が重畳された直流成分からなる電圧が帯電用電源12bから印加される。帯電用電圧における直流成分としては、現像装置15が反転現像を行うものである場合、その現像装置から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧が印加される。
露光装置14は、LED(発光ダイオード)記録ヘッド、レーザ走査装置等で構成されている。このような露光装置14には、画像形成装置1に装備されているか又は接続される原稿読取装置や、記憶媒体読取装置や、パーソナルコンピュータ(PC)等の機器から画像入力部(51)を通して入力される画像情報を画像処理装置(61)で所要の処理を施し、その処理後に得られる各色成分ごとの画像信号がそれぞれ入力される。なお、露光装置14は、4つの作像装置10に個々に独立して配置される構成のものに限らず、4つの作像装置10の各感光ドラム12に対して露光を配分して行うことができる1つの露光装置で構成されたものであってもよい。
現像装置15は、現像剤(例えば非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤など)を収容する現像剤収容部を有し、その現像剤収容部に収容されている現像剤を回転しながら保持して感光ドラム12と対向する現像領域に搬送する現像ロール15aや、その収容されている現像剤を回転して攪拌しながら現像ロール15aに搬送する攪拌搬送部材15bを有している。また、現像装置15は、その現像ロール15aに交流成分が重畳された直流成分からなる現像用電圧が電源装置15cから印加されるとともに、その現像ロール15a及び攪拌搬送部材15bが回転駆動装置15dにより所定の方向に回転させられる。
一次転写装置16は、感光ドラム12の像保持面に接触して回転するとともに一次転写用電圧が印加される一次転写ロール16aを備えた接触型の転写装置である。この一次転写装置は、その一次転写ロール16aに一次転写用電圧として直流成分の電圧(トナーの帯電極性と逆極性の直流電圧)が帯電用電源12bから印加される。
清掃装置17は、感光ドラム12の一次転写装置16を通過した後の像保持面においてその回転軸方向にほぼ沿った状態で接触する弾性のある板状部材18(クリーニングブレード)と、その板状部材18でかき取ったトナー等を回収する容器部17bを少なくとも有したものである。清掃装置17は、その板状部材18(の自由端部)が、感光ドラム12の像保持面のうち一次転写装置16による転写位置(この例では一次転写ロール16aが接触する位置)P1から感光ドラム12の回転方向に沿って帯電装置13による帯電位置(この例では帯電ロール13aが接触する位置)P2に至るまでの領域内で接触するように設置されている。
板状部材18は、所定のゴム硬度からなるウレタンゴム等のゴム材料を用いて、感光ドラム12の像保持面の回転軸方向に沿う領域全体にわたって接触し得る長さを有するほぼ長方形状の板状形態で形成されたものである。また、板状部材18は、その長辺方向の自由端部の角部が感光ドラム12の回転方向と対向し合う状態となり、像保持面に対して所定の接触角(接触点での接線となす小さい方の角度が8〜16°)及び圧接力(0.0147〜0.050N/mm)で接触するように設置される。
塗布装置19は、固形潤滑剤19aと、この固形潤滑剤19aと感光ドラム12の像保持面とに同時に接触した状態で回転してその固形潤滑剤19aを少しずつ削り取って微粉末化したものを当該像保持面に供給して塗布するロール状の回転ブラシ19bと、潤滑剤の塗布条件を変更する調整装置19cで主に構成されている。また、塗布装置19は、その回転ブラシ19bが、感光ドラム12の像保持面のうち一次転写装置16による転写位置(この例では一次転写ロール16aが接触する位置)P1から感光ドラム12の回転方向に沿って清掃装置17による清掃位置(この例では板状部材18が接触する位置)P3に至るまでの領域内で接触するように設置されている。さらに、塗布装置19は、後記する例外を除いて、通常、回転ブラシ19が感光ドラム12の像保持面に接触する位置(塗布位置)に固定された状態にある。
固形潤滑剤19aとしては、潤滑剤が感光ドラム12の像保持面の回転軸方向に沿う全域に相当する長さを有するほぼ直方体の形状に成形されたものである。潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛を用いている。潤滑剤は、作像作業に悪影響を及ぼすことなく像保持面に潤滑性を付与できるものであればよく、ステアリン酸亜鉛以外のもの(例えば金属石鹸、ワックスなど)であってよい。回転ブラシ19bは、円筒状の心材の周囲に導電性のブラシ毛を所定の密度となるようにほぼ均一に設けたものであり、そのブラシ毛の先端部が感光ドラム12の像保持面の回転軸方向に沿う領域全域に所定の圧力で接触して回転するように設置され、図示しない回転駆動装置により所定の速度で回転させられる。調整装置19cは、後述するように塗布装置19による潤滑剤の塗布動作の有無やその塗布量の調整などを行うことにより、潤滑剤の塗布条件を必要に応じて変更するものである。
中間転写装置20は、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光ドラム12と一次転写装置16(一次転写ロール16a)の間(一次転写位置)を通過しながら矢印方向(図中において反時計回りとなる方向)に回転する中間転写ベルト21と、この中間転写ベルト21を所望の状態に架け回して回転自在に支持する複数の支持ロール22〜24と、支持ロール24に支持されている中間転写ベルト21に所定の圧力で接触して回転する二次転写ロール25と、二次転写ロール25を通過した後に中間転写ベルト21に残留して付着するトナー等を除去するベルト清掃装置26とで主に構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボン等の抵抗調整剤を所定量分散した材料を用いて所定の厚さからなる無端状のベルトに形成されたものが使用される。支持ロール22は、駆動ロールとして構成されており、回転駆動装置22bにより所定の速度(作像装置の感光ドラム12とほぼ同じ速度)で回転する。支持ロール24又は二次転写ロール25には、トナーの帯電極性とは逆極性の直流成分からなる二次転写用電圧が電源装置27から所定の時期に印加される。
定着装置30は、筐体31の内部に、矢印方向に回転駆動するとともに表面温度が所定の温度に保持されるように加熱手段によって加熱される加熱ロール32と、この加熱ロール32の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するロール形式、ベルト形式等の加圧用回転体33とを設置したものである。この定着装置30による定着は、加熱された状態で回転する加熱ロール32と加圧用回転体33が接触する接触部に、トナー像が転写された用紙9が導入され、その接触部を通過する際に加熱及び加圧されることで行われる。
用紙9は、図示しない給紙装置に収容されており、画像形成動作時に1枚ずつ二次転写位置(中間転写ベルト21と二次転写ロール25の間)に搬送されて供給される。給紙装置と二次転写位置とを接続する用紙搬送路において、その二次転写位置の手前側となる位置には、用紙搬送路を経由して搬送される用紙9を一旦停止させた後に、所定のタイミングで二次転写位置に送り出す搬送時期調整用ロール対41が設置されている。また、二次転写位置と定着装置30の間には、二次転写が終了した後の用紙9を定着装置30まで搬送するベルト形式等の用紙搬送装置42が設置されている。
また、この画像形成装置1においては、図3に示すように、各作像ユニット10(Y,M,C,K)、中間転写装置20などを制御する制御手段としての制御装置5が設けられている。
制御装置5は、演算処理装置、記憶装置(ROM,RAMなど)、入出力装置等から構成されており、作像動作を行うために必要な制御プログラムを記憶装置に予め格納し、画像情報入力部からの入力信号などに基づいて制御プログラムを演算処理装置で実行することにより所要の制御信号を生成する。制御装置5で生成された各制御信号は、感光ドラム12の回転駆動装置12aを制御するドラム駆動制御部52、帯電装置13の電源装置13bを制御する帯電制御部53、露光装置14(発光動作、光学系の駆動など)を制御する露光制御部54、現像装置15の電源装置15c及び回転駆動装置15dを制御する現像制御部55、一次転写装置16の電源装置16bを制御する帯電制御部56、二次転写装置20の中間転写ベルト21の回転駆動装置22bを制御するベルト駆動制御部57、二次転写ロール25の電源装置27を制御する二次転写制御部58、塗布装置19の調整装置19cを制御する潤滑剤塗布制御部59等に必要に応じて送信される。
そして、この画像形成装置1では、画像情報入力部において、入力される画像情報が単色モードに設定されたものか又はフルカラーモードに設定されたものであるかが、その入力画像情報に含まれるモード設定情報により判別される。ここで、単色モードは、4つの作像装置10の1つを使用して形成される1色のトナー像で構成される画像を形成する動作であり、この例では例えば作像装置10Kを使用した白黒画像を形成する動作パターンとする。また、フルカラーモードは、4つの作像装置10をすべて使用して形成される前記4色のトナー像で構成されるフルカラー画像を形成する動作パターンである。
また、この画像形成装置1においては、単色モードによる単色(白黒)画像の形成を行う場合、4つの作像装置10(Y,M,C,K)のうち単色画像の形成動作時に関与しない3つの作像装置10(Y,M,C)について、図4に示すようにフルカラーモード時とは異なる制御が実行されるようになっている。詳細については後述するが、フルカラーモードの画像形成時には通常の制御が行われ、フルカラーモードでない(単色モードの)画像形成時には特殊な制御が行われる。
次に、この画像形成装置1における各動作について説明する。
ここでは、画像形成装置1に対して単色(白黒)画像の形成が連続して行われた後にフルカラー画像の形成が行われる画像形成動作が要求された場合を前提にして説明する。
はじめに、画像形成動作の要求がされると、図4に示すように、画像情報入力部51においてその要求された画像形成動作に関する画像情報が受信され(ステップ10:S10)、画像情報入力部51及び制御装置5においてその要求される画像形成動作がフルカラーモードであるか否かが判断される(S11)。
要求された画像形成動作がフルカラーモードである場合は、その画像形成動作に使用される作像装置10Y,10M,10Cについて後述するような通常の制御が行われる(S12)。
フルカラーモードの対象であるフルカラー画像の形成は、基本的に以下のようにして行われる。
制御装置5及び所定の制御部52〜59の制御により、作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、定着装置30等の各構成部品が始動する。まず、図1や図5(画像情報が「カラー」であるときのチャート部分を参照)に示すように、立ち上げサイクル(a)として、作像装置10(Y,M,C,K)における感光ドラム12、現像装置15の現像ロール12a及び塗布装置19の回転ブラシ19bと二次転写装置20における中間転写ベルト21とがそれぞれ所定の速度で回転し始めるとともに、その作像装置10(Y,M,C,K)における帯電装置13が感光ドラム12の像保持面を所定の極性(例えばマイナス極性)及び電位に帯電し始めるという立ち上げ動作が実行される。
この際、感光ドラム12の像保持面は、塗布装置19により固形潤滑剤19aから微粉末化された潤滑剤が回転ブラシ19bを介して塗布され始めるとともに、清掃装置17のクリーニングブレード18により残留しているトナー等の付着物が除去されて清掃される。また、上記帯電時には、各帯電装置13の帯電ロール13aに対して電源装置13bから画像形成時の条件に設定された直流成分に交流成分(画像形成時の周波数及びピーク間電圧)を重畳した帯電用電圧が印加される。
続いて、画像形成サイクル(b)に入ると、各作像装置10(Y,M,C,K)における露光装置14が帯電後の感光ドラム12に対して各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像信号に基づく露光をそれぞれ行い、これにより感光ドラム11の像保持面に所定の電位差で構成される各色成分の静電潜像を形成する。しかる後、現像装置15が所定の極性(例えばマイナス極性)に帯電された状態のトナーを現像ロール15a等から供給してその静電潜像を現像することによりトナー像として顕像化する。これにより、各作像装置10(Y,M,C,K)における感光ドラム12上に各色(Y,M,C,K)のトナー像が専用に形成される。この現像時には、現像ロール15aに対して電源装置15cから画像形成時の条件に設定された直流成分に交流成分を重畳した現像用電圧が印加される。
各作像装置10(Y,M,C,K)における感光ドラム12上の各色のトナー像が一次転写装置16及び中間転写ベルト21と対向する一次転写位置に到達すると、一次転写装置16が、その各感光ドラム12のトナー像を静電的作用等により中間転写ベルト21に順番に一次転写させる。この一次転写時には、一次転写ロール16aに対して電源装置16bから画像形成時の条件に設定された所定の極性(例えばプラス極性)の直流成分からなる一次転写用電圧が印加される。また、この一次転写後の感光体ドラム12は、塗布装置19により潤滑剤が塗布されるとともに、その潤滑剤が塗布された像保持面が清掃装置17(のクリーニングブレード17a)により清掃される。
また、中間転写ベルト21に重ね合わせられるように転写されたトナー像が二次転写ロール25と対向する二次転写位置に到達すると、そのトナー像の到来時期に合わせて図示しない給紙装置や用紙搬送路によって二次転写位置まで搬送して供給される用紙9に対して、二次転写ロール25等が中間転写ベルト21上のトナー像を静電的作用等により二次転写する。この二次転写時には、二次転写ロール25又は支持ロール24に対して電源装置27から画像形成時の条件に設定された所定の極性(例えば二次転写ロール25側にはプラス極性)の直流成分からなる二次転写用電圧が印加される。
トナー像が二次転写されて二次転写位置から排出される用紙9は、搬送装置42が作動して搬送され定着装置30に導入される。定着装置30では、そのトナー像が転写された用紙9を加熱ロール32と加圧用回転体33の接触部を通過させる際に加熱及び加圧させることでトナー像のトナーを溶融させて用紙9に定着させる。この定着が終了した後の用紙9は、その片面への画像形成を行うだけの場合には図示しない排紙部に搬送されて収容される。
これにより、用紙1枚に対する基本的なフルカラー画像の形成動作が終了する。なお、フルカラーモードの画像形成動作が複数枚分のフルカラー画像の形成を連続して行う要求内容であるときには、上記したフルカラー画像の形成に係る一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。画像形成動作が連続する場合は、用紙1枚に対する画像形成動作どうしの間に所定の時間のイメージギャップ(非画像形成)サイクル(d)が入る。
先に要求されたモードの画像形成動作がすべて終了すると、その都度、各モードの画像形成動作が終了したか否か確認され(S14)、それが終了しない場合には、その後続の画像形成動作がフルカラーモードであるか否かが再び判断される(S11)。
次に、先に要求された画像形成動作がフルカラーモードでなく単色モードである場合には、その画像形成動作に関与しない作像装置10Y,10M,10Cについては後述するような特殊な制御が行われる(S13)。このときの単色モードの対象である白黒画像の形成は、以下のようにして行われる。
白黒画像の形成時には、制御装置5及び所定の制御部の制御により、白黒画像形成に使用されるブラック色用の作像装置10K、中間転写装置20、定着装置30等の各構成部品が画像形成動作時と同じ制御条件で稼動し始め、その白黒画像形成に使用されない作像装置10(Y,M,C)が特殊な制御条件で稼動し始める。
まず、ブラック色用の作像装置10Kでは、図5(画像情報が「白黒」であるときのチャート部分を参照)に示すように、その感光ドラム12と現像装置15の現像ロール15aとがそれぞれ所定の速度で回転し始めるとともに、その帯電装置13が感光ドラム12の像保持面を所定の極性及び電位に帯電し始める。また、塗布装置19が感光ドラム12の像保持面に潤滑剤を塗布する。
これに対し、作像装置10(Y,M,C)では、図5(画像情報が「白黒」であるときのチャート部分を参照)に示すように、その各現像装置15の現像ロール15aの回転を停止させるとともに塗布装置19における潤滑剤の塗布条件を変更し、これ以外については画像形成動作時と同じ条件で各感光ドラム12を回転始動するとともに各現像装置15の現像ロール15aに現像用電圧を印加するという特殊な制御を行う(S13)。
この際、塗布装置19における潤滑剤の塗布条件の変更は、潤滑剤の塗布を停止するものである。この塗布装置19における潤滑剤の塗布の停止は、図6に示すように、回転ブラシ19bを感光ドラム12の像保持面に対して接触する位置(塗布位置)D1及び離した位置(非塗布位置)D2との間で変位させるように取り付け、調整装置19cにより回転ブラシ19bを離した位置D2に変位させることで行う(図6b)。この場合、この実施形態では、固形潤滑剤19aを回転ブラシ19bと一体となって変位するように構成しているが、回転ブラシ19cとは独立させて固定し変位しないように構成してもよい。
そして、白黒画像の画像形成サイクル(b)に入ると、作像装置10Kにおいてのみ前記したような一連の画像形成動作(主に帯電、露光及び現像の動作)が実行されて、その感光ドラム12にブラック色(K)のトナー像が形成される。
一方、作像装置10(Y,M,C)では、その各感光ドラム12が回転して帯電装置13により画像形成時と同じ電位に帯電されるが、露光装置14による露光(潜像の形成)が行われず、現像装置15の現像ロール12a等の回転が停止されるので、その各感光ドラム12にはトナー像が形成されない。
続いて、作像装置10Kの感光ドラム12に形成されたブラック色のトナー像が、通常の一次転写電圧が印加される一次転写装置16により中間転写ベルト21に一次転写される。
この際、作像装置10(Y,M,C)では、その各一次転写装置16(の一次転写ロール16a)に画像形成時と同じ条件の通常の一次転写電圧が印加されるが、その各感光ドラム12上にはトナー像が形成されていないため各一次転写位置においてトナー像の中間転写ベルト21への転写が行われることはない。
また、4つの作像装置10(Y,M,C,K)ではいずれも、その各感光体ドラム12の像保持面が清掃装置17(のクリーニングブレード18)によりそれぞれ清掃されるが、そのうち作像装置10Kでは塗布装置19により感光ドラム12の像保持面に潤滑剤が塗布された状態で清掃装置17による清掃が行われるのに対し、作像装置10(Y,M,C)では塗布装置19による潤滑剤が新たに塗布されない状態で清掃装置17による清掃が行われる。
特に作像装置10(Y,M,C)における清掃装置17による清掃は、上記したように潤滑剤が新たに塗布されない状態で行われることに加えて、感光ドラム12上にトナー像が形成されない関係上、トナーが存在しない状態で行われる。しかし、この白黒画像の形成を行った後の作像装置10(Y,M,C)における清掃装置17のクリーニングブレード18の感光ドラム12と接触する自由端部の磨耗の状態を確認したところ、後記の試験結果でも示すとおり、その磨耗の進行は特に認められなかった。
続いて、中間転写ベルト21に転写されたブラック色のトナー像が、通常の二次転写用電圧が印加される二次転写ロール25又は支持ロール24のある二次転写位置において用紙9に二次転写される。ブラック色のトナー像が二次転写された用紙9は、フルカラー画像の形成時の場合と同様にして、搬送装置42により定着装置30に搬送されて前記したような定着処理がされた後、図示しない排紙部に搬送されて収容される。これにより、用紙1枚に対する基本的な白黒画像の形成動作が終了する。
この単色モードの画像形成動作がすべて終了した後、その後続の画像形成動作が要求されている場合には、その後続の画像形成動作がフルカラーモードであるか否かが再び判断された(S11)後に要求されたフルカラーモード又は単色モードの画像形成動作が実行されるが、その後続の画像形成動作の要求がない場合は、画像形成装置1の画像形成動作が終了する。
ちなみに、図5に示すように、単色モードの次に後続のフルカラーモードがある場合には、単色モードの白黒画像を形成した後にフルカラーモードのフルカラー画像を形成することになり、作像装置10(Y,M,C)も使用されることになる。しかし、作像装置10(Y,M,C)では、その各感光ドラム12が、先行の単色モード時において画像形成時と同じ帯電用電圧を印加した状態で帯電されているため、画像形成時に要する帯電電位に保持されており、すぐに作像動作(露光工程など)に移行することができ、生産性の低下を招くことがない。
また、この後続のフルカラーモードがあって画像形成に関与しなかった作像装置10(Y,M,C)を使用したフルカラー画像の形成が直後に行われるときには、制御装置5及び潤滑塗布制御部59の制御により、図5や図7に示すように、作像装置10(Y,M,C)における塗布装置19の潤滑剤の塗布を、作像装置(Y,M,C)における感光ドラムの像保持面のうち当該直後のフルカラー画像の形成開始可能な先頭位置Psが塗布装置19による塗布位置P4に到達する前の時点で再開するように構成されている。すなわち、その時点で、塗布装置19の回転ブラシ19bが調整装置19cによって感光ドラム12の像保持面と接触する位置D1に変位させられる(図6a)。
ここで、直後の画像形成の開始可能な先頭位置Psは、制御装置5から発生する基準信号(例えば、中間転写ベルト21に形成された基準マークを検知した信号)を基準にして決定されるものであり、例えば露光装置14の潜像書き出しの最先端位置に相当するものである。また、その画像形成の開始可能な先頭位置Psは、例えば、図7に示すように前記した転写装置16による転写位置P1から感光ドラム12の回転方向Xに沿って塗布装置19による塗布位置(この例では回転ブラシ19bが接触する位置)P4に至るまでの領域E内のいずれかの位置に設定することが好ましい。また、このときの潤滑剤の塗布の再開(塗布装置19が接触する位置に変位する動作)は、図5に例示するように白黒画像の形成動作終了時点からその直後のフルカラー画像の形成動作開始前までに設けられる前記イメージギャップサイクル(d)の時期に行われる。
このような時期に塗布装置19による潤滑剤の塗布動作が再開されるので、画像形成に関与しない作像装置(Y,M,C)を使用したフルカラー画像の形成が直後に行われるときであっても、その作像装置における感光ドラム12の像保持面にはその直後のフルカラー画像の形成動作に合わせて潤滑剤が塗布される。これにより、その作像装置(Y,M,C)における感光ドラム12の像保持面と清掃装置17のクリーニングブレード18の間の摩擦抵抗が潤滑剤の不足により上昇することがなく、清掃装置17のクリーニングブレード18による清掃性能が潤滑剤の欠乏に起因して低下することもない。この結果、清掃不良による画質不良の発生が防止される。
最後に、画像形成装置1では、要求されたモードの画像形成動作がすべて終了すると、図5に示すように立ち下げサイクル(e)に入り、各作像装置10(Y,M,C,K)における現像装置15の現像ロール15aの回転と現像用電圧の印加を停止させた後、感光ドラム12の回転と中間転写ベルト21の回転を停止させる。
<評価試験>
図8は、この画像形成装置1を用いてフルカラーモードの画像形成と単色モードの画像形成を別々に行い、その各画像形成動作が終了した後の1つの作像装置10(イエロー色の作像装置10Y)における清掃装置17のクリーニングブレード18の接触部(自由端部の角部)の磨耗量を測定した結果を示すものである。フルカラーモードの画像形成と単色モードの画像形成は、塗布装置19による潤滑剤の塗布を同じ条件で行った場合と、その潤滑剤の塗布を行わない条件で行った場合(単色モードのみ)とに分けて行った。
この試験では、感光ドラム12として、有機感光材料を用いて機能分離型の感光層を形成した感光ドラム(ドラム外径84mmφ)を使用した。クリーニングブレード18としては、ウレタンゴム(ゴム硬度JISA:78°)からなる長方形の板(厚さ2mm)を使用し、それを接触角が12°で圧接力が0.035N/mmとなる条件で設置した。塗布装置19は、潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)の塗布割合が約6mg/kcycとなるように構成したものを使用した(kcyc:1000回転)。トナーとして、シリカの外添剤が外添されたトナー(平均粒径:5.9μm)を使用した。
また、試験は、温度28℃、湿度80%RHという環境下で、潤滑剤を塗布する場合については、フルカラーモードの画像形成としてテスト用のフルカラー画像(感光ドラムの回転軸方向において画像部と非画像部が並存する画像)の形成を総計で用紙10000枚分行い(詳しくは1ジョブ125枚の単位の画像形成動作を80回繰り返した)、単色モードの画像形成として一定の白黒画像の形成を総計で用紙10000枚分行った(詳しくは1ジョブ1枚の単位の画像形成動作を10000回繰り返した)。また、潤滑剤を塗布しない(塗布動作を停止した)場合については、単色モードの画像形成を上記の場合と同様に総計で用紙10000枚分行った。クリーニングブレード18の接触部の磨耗量は、レーザ顕微鏡(keyence社製:VK8500)を用いて複数の個所における欠損面積の量を調べることで測定した。図8においてフルカラーモードの画像部とはテスト用画像が形成された領域に相当するブレード部分、その非画像部とはテスト用画像が形成されない領域に相当するブレード部分を示す。単色モードについては、画像が形成されないため、非画像部のみとなる。なお、磨耗量については複数の測定値のうちの最大値を示している。
図8に示すように、画像形成を行うときと同量の潤滑剤を塗布した場合は、単色モードの画像形成に使用されない作像装置10Yでクリーニングブレード18の磨耗量が悪化することがわかる。なお、フルカラーモードの画像形成を行った場合でも、画像の形成が行われない非画像部では潤滑剤を塗布しているにもかかわらずクリーニングブレード18が少し磨耗することが確認される。一方、潤滑剤を塗布せずに単色モードの画像形成を行った場合は、その画像形成に使用されない作像装置10Yでクリーニングブレード18の磨耗量が抑制されている。
このようなブレード磨耗量に関する測定結果の違いは、本発明者らの研究によれば、以下の理由により発生しているものと推測される。
まず、クリーニングブレード18の自由端部18aは、図9aに示すように、感光ドラム12の像保持面12cに実際に接触している角部18eがその像保持面12cの回転による移動方向Xに引っ張られるように弾性変形して歪んだ状態になる。図中のα1は、角度部18eの像保持面12cと本来接触する位置から変形してずれた先端までの距離(歪み量)を示す。
そして、像保持面12cに潤滑剤が塗布されていない場合には、ブレード18によりかき取られて滞留するトナー粒子70に付着していたトナー粒子よりも小径な外添剤71がトナー粒子から離脱してブレード自由端部の角部18eと像保持面12cとの間をすり抜け(図9a)、これにより、クリーニングブレード18と像保持面12cの間の摩擦抵抗が低減されてブレード自由端部の角部18eの弾性変形量(歪み量)が減少する。
一方、像保持面12cに潤滑剤が塗布された場合は、像保持面12に潤滑剤の塗布膜19dが形成されるので、その塗布膜19dによってクリーニングブレード18と像保持面12cの間の摩擦抵抗が低減するが、その塗布膜19dの離型性により外添剤71がかきとられ易くなって、ブレード自由端部の角部18eと像保持面12cとの間をすり抜けることが抑制される。この結果、外添剤71のすり抜けが減少する分、クリーニングブレード18と像保持面12cの間の摩擦抵抗が増え、これにより、ブレード角部18eの弾性変形量(歪み量)が、塗布膜19dのないときの歪み量(α1)よりも増える(図9bに示す歪み量:α2)。
従って、潤滑剤が塗布された場合は、ブレード角部18eの像保持面12cとの接触面積が増えるのでブレード18が磨耗しやすくなる。
このことから、単色モード時のようにトナー像が形成されない作像装置においては、潤滑剤の塗布を画像形成時と同じ条件で行うと、トナー粒子による潤滑剤の吸着除去がなされないので、ブレード自由端部18aに達する潤滑剤の量が増える。このため、外添剤71がさらにすり抜け難くなってしまい、上記したブレード角部18eの像保持面12cとの接触面積が増えてさらに磨耗しやすくなる。
これに対し、トナー像が形成されない作像装置において潤滑剤の塗布を停止させれば(又は塗布量を減少させれば)、ブレード自由端部18aに達する潤滑剤の量が減り、外添剤71のすり抜け現象が確保され、最終的にブレード角部18eの像保持面12cとの接触面積が減少して磨耗が抑制される。
[第2の実施形態]
図10は、第2の実施形態に係る画像形成装置における要部(制御動作の構成)を示すものである。この実施形態に係る画像形成装置は、制御装置5等による制御動作の一部について変更した以外は第1の実施形態に係る画像形成装置1と同じ構成のものである。
すなわち、この画像形成装置では、単色モードの画像形成が要求されたとき、制御装置5により、その画像形成に関与しない作像装置10(Y,M,C)の塗布装置19における潤滑剤の塗布条件の変更として、(第1の実施形態における潤滑剤の塗布を停止するという制御内容の構成に代えて)潤滑剤の塗布量を画像形成時の塗布量よりも減少させるという制御を実行するように構成している。
この場合、塗布装置19における潤滑剤の塗布量の減少は、図10に例示するように、固形潤滑剤19aを回転ブラシ19bに対して接触する位置(通常の塗布量を保持する位置)G1及び離した位置(塗布量を減少させる位置)G2との間で変位させるように取り付け、調整装置19cにより固形潤滑剤19aを回転ブラシ19bから離した位置G2に変位させることで行う(図10b)。潤滑剤の塗布量の減少度合いについては、適宜設定することができるが、例えば、画像形成時の塗布量を「1」とした場合はその0.5倍程度におさまるように設定するとよい。より好ましくは、上記減少度合いについては、その0.2倍〜0.5倍程度の範囲内に収まるように設定する。
そして、この画像形成装置は、単色モードに関する白黒画像の立ち上げサイクル(a)や画像形成サイクル(b)になると、その画像形成に関与しない作像装置10(Y,M,C)では、その各現像装置15の現像ロール15aの回転が停止されるとともに塗布装置19における潤滑剤の塗布量が減少するように変更され、これ以外については画像形成動作時と同じ条件で各感光ドラム12が回転始動するとともに各現像装置15の現像ロール15aに現像用電圧が印加される(図4、図5:画像情報が「白黒」であるときのチャート部分を参照)。この際、塗布装置19においては、その固形潤滑剤19aが調整装置19cにより回転ブラシ19bから離した位置G2に変位させられる。
また、この白黒画像の画像形成サイクル(b)において4つの作像装置10(Y,M,C,K)ではいずれも、その各感光体ドラム12の像保持面が清掃装置17(のクリーニングブレード18)によりそれぞれ清掃され、このうち作像装置10Kでは塗布装置19により感光ドラム12の像保持面に潤滑剤が塗布された状態で清掃装置17による清掃が行われる。
これに対し、作像装置10(Y,M,C)では、固形潤滑剤19aが回転ブラシ19bから離れた状態となるが、感光ドラム12と接触している回転ブラシ19bに残存する潤滑剤がわずかながらでも供給されて塗布されるので、塗布装置19による潤滑剤の塗布量が減少した状態で清掃装置17による清掃が行われる。しかも、作像装置10(Y,M,C)における清掃装置17による清掃は、潤滑剤の塗布量が減少した状態で行われることに加えて、感光ドラム12上にトナー像が形成されない関係上、トナーが存在しない状態で行われる。しかし、この白黒画像の形成を行った後の作像装置10(Y,M,C)における清掃装置17のクリーニングブレード18の感光ドラム12と接触する自由端部の磨耗の状態を確認したところ、後記の試験結果でも示すとおり、その磨耗量は潤滑剤の塗布量を減少させない場合に比べて抑制されていることが認められた。
また、この画像形成装置では、図5に示すように、単色モードの次に後続のフルカラーモードがある場合には、制御装置5及び潤滑塗布制御部59の制御により、作像装置10(Y,M,C)における塗布装置19の潤滑剤の塗布量を、作像装置(Y,M,C)における感光ドラムの像保持面のうち当該直後のフルカラー画像の形成開始可能な先頭位置Psが塗布装置19による塗布位置P4に到達する前の時点で画像形成時の塗布量に戻すように構成されている(図5、図7)。すなわち、その時点で、塗布装置19の固形潤滑剤19aが調整装置19cによって回転ブラシ19bと接触する位置G1に変位させられる(図10a)。
このような時期に塗布装置19による潤滑剤の塗布量が画像形成時の塗布量に戻されるので、画像形成に関与しない作像装置(Y,M,C)を使用したフルカラー画像の形成が直後に行われるときであっても、その作像装置における感光ドラム12の像保持面にはその直後のフルカラー画像の形成動作に合わせて潤滑剤が画像形成時に必要な量だけ塗布される。これにより、その作像装置(Y,M,C)における感光ドラム12の像保持面と清掃装置17のクリーニングブレード18の間の摩擦抵抗が潤滑剤の不足により上昇することがなく、清掃装置17のクリーニングブレード18による清掃性能が潤滑剤の欠乏に起因して低下することもない。この結果、清掃不良による画質不良の発生が防止される。
<評価試験>
図11は、前記した評価試験で用いた画像形成装置1において、白黒画像を形成する際に使用しない1つの作像装置10(イエロー色の作像装置10Y)についてトナー像の形成を行わない(潜像の形成と現像ロールの回転を停止した)以外は画像形成時と同じ条件で稼動させたとき、潤滑剤の塗布量とそのときのクリーニングブレード18の接触部の磨耗量を測定した結果を示すものである。また参考までに、フルカラー画像を形成した場合に、そのイエロー色の作像装置10Yにおけるクリーニングブレード18の接触部の磨耗量を測定したので、その結果を図11に併せて示す。
また、試験は、温度28℃、湿度80%RHという環境下で、イエロー色の作像装置10Yにおいてトナー像を作成せずに画像形成時と同じ条件(感光ドラム12の回転と帯電、転写、清掃の実施)で稼動した場合、塗布装置19による潤滑剤の塗布量を種々の値に変更して感光ドラム12を10000回転させた後、その潤滑剤の各塗布量ごとにおけるクリーニングブレード18の接触部の磨耗量をそれぞれ測定した。フルカラー画像を形成する参考試験は、実施の形態1における評価試験で適用したテスト用のフルカラー画像を同様に(感光ドラムが1000回転分する量)形成した後に、潤滑剤の塗布量を変えたときのクリーニングブレードの各磨耗量を測定した。潤滑剤の塗布量については、後記する場合(図12)のように、固形潤滑剤19aの回転ブラシ19bに対する接触圧を調整することで変更した(実際には、固形潤滑剤を回転ブラシの上部に対して自重で接触する構造としたうえで、その固形潤滑剤の自重を潤滑剤自体の質量を変更することで調整した)。ちなみに、この作像装置10Yにおける画像形成時の潤滑剤の塗布量は、約6mg/kcycである。図11中の各点線はいずれも近似線を示す。
図11に示すように、単色モードの場合、画像形成に関与しない作像装置(10Y)において潤滑剤の塗布量を画像形成時に要する塗布量(この例では6mg/kcyc)よりも小さい値にすると、清掃装置のクリーニングブレード18の磨耗量が抑制されることがわかる。ちなみに、このブレード磨耗量の許容レベルは3μm2/kcyc以下である。
<変形例>
単色モードの画像形成が要求されたとき、その画像形成に関与しない作像装置10(Y,M,C)の塗布装置19における潤滑剤の塗布量を画像形成時の塗布量よりも減少させる構成としては、その他にも、例えば図12や図13に例示するような構成を適用することもできる。
図12に示す構成例は、塗布装置10として固形潤滑剤19aの回転ブラシ19bに対する接触圧Fを変更できるようした塗布装置を適用するものであり、例えば、固形潤滑剤19を画像形成時に必要な接触圧F1を得るための接触位置位置(通常の塗布量を保持する位置)J1(図12a)と、画像形成時に必要な接触圧F1よりも小さい接触圧F2(<F1)を得るための接触位置(塗布量を減少させる位置)J2(図12b)との間で変位させるように取り付け、画像形成に関与しないときには調整装置19cにより固形潤滑剤19aを画像形成時の接触圧F1よりも小さい接触圧F2となる位置J2に変位させるように構成したものである(図12b)。この構成例では、固形潤滑剤19aの回転ブラシ19bに対する接触圧Fを小さくすることにより、固形潤滑剤19aの回転ブラシ19bによってかき取られて微粉末化される潤滑剤の量が減るので、その回転ブラシ19bを経由させた感光ドラム12に対する潤滑剤の塗布量も減少することになる。
図13に示す構成例は、塗布装置10として回転ブラシ19bの回転速度vを変更できるようした塗布装置を適用するものであり、例えば、回転ブラシ19bを画像形成時に必要な回転速度v1で回転させる場合(通常の塗布量を得る場合)(図13a)と、画像形成時に必要な回転速度v1よりも遅い回転速度v2(<v1)で回転させる場合(塗布量を減少させる場合)(図13b)とに切り替えることができるようにし、画像形成に関与しないときには調整装置19cにより回転ブラシ19bを画像形成時の回転速度v1よりも遅い回転速度v2で回転させるように構成したものである(図13b)。この構成例では、回転ブラシ19bの回転速度を遅くすることにより、固形潤滑剤19aの回転ブラシ19bによってかき取られて微粉末化される潤滑剤の量が減るので、その回転ブラシ19bを経由させた感光ドラム12に対する潤滑剤の塗布量も減少することになる。
この他にも、図10に示す構成例において、画像形成に関与しない時期に固形潤滑剤19aを回転ブラシ19bから継続して離間させる場合に代えてその固形潤滑剤19の回転ブラシ19bとの接触及び離間の変位を所定の時間割合で交互に繰り返して全体として塗布量を減少させるように構成してもよい。
[他の実施形態]
第1及び第2の実施形態などでは、単色モードとして白黒画像を形成する動作である場合について例示したが、単色モードとしては、前記したイエロー(Y)色、マゼンタ(M)色及びシアン(C)色のいずれか1色のトナーのみからなる単色画像を形成する動作であるとしてもよい。また、単色モードに代えて、4つの作像装置10(Y,M,C,K)の2つ又は3つの作像装置を使用して2色又は3色のトナー像を混合して構成される混合色画像を形成する動作(例えば混合色モード)を設け、その混合色モードの画像形成動作に寄与しない残りの1つ又は2つの作像装置10について、第1及び第2の実施形態などで説明したような制御を行うように構成することも可能である。前記した各実施形態では、単色モードとして複数の白黒画像を連続して行う場合においてその複数の白黒画像の形成に関与しない作像装置の制御例について例示したが、1つ(用紙1枚分)の白黒画像を形成する単色モードである場合においてもその1つの白黒画像の形成に関与しない作像装置について同様に制御するとよい。
また、作像装置10については、その感光ドラム12に代えてベルト形態の感光体を適用することや、その帯電ロール13aに代えてブレード形態、ブラシ形態等の固定型の帯電部材を適用することや、接触型の帯電装置13に代えてコロナ放電による帯電を行う非接触型の帯電装置を適用することや、一次転写装置16として転写用電圧が印加されるフィルム等の転写部材を備えた接触型の転写装置を適用すること又はコロナ放電による転写を行う非接触型の転写装置を適用すること、塗布装置19として潤滑剤の塗布を停止するか又はその塗布量を減少させる制御ができる構成の塗布装置を適用することなどが可能である。さらに、作像装置10の数は、4つに限らず、2つ又は3つであっても或いは5以上であっても構わない。
さらに、第1及び第2の実施形態等に係る画像形成装置において、複数の作像装置10で形成する各トナーを転写する対象となる部材(転写材)は、中間転写装置20の中間転写ベルト21に限られるものではなく、例えば、ドラム形態の中間転写体や、用紙9を吸着して複数の作像装置10の一次転写位置を通過させるように搬送するベルト形態、ドラム形態等の用紙搬送装置を設置し、その用紙搬送装置により搬送される用紙であってもよい。
1…画像形成装置、5…制御装置(制御手段の一部)、10Y,10M,10C,10K…複数の作像装置、12…感光体ドラム(像保持体)、13…帯電装置、13a…帯電ロール(帯電部材)、15…現像装置、15a…現像ロール(搬送部材)、15b…攪拌搬送部材(搬送部材)、17…清掃装置、17a…クリーニングブレード(板状部材)、19…塗布装置、21…中間転写ベルト(転写材)、59…潤滑剤塗布制御部(制御手段の一部)、X…回転方向、P1…転写位置、P2…帯電位置、P3…清掃位置、Ps…画像形成の開始可能な位置。