以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態であるMRI装置について説明する。
図1はMRI装置の概略構成図であり、図1の(A)はトンネル型MRI装置、図1の(B)はオープン型MRI装置を示す図である。
図1の(A)において、MRI装置100は、矢印zで示す円筒の中心軸方向の静磁場を発生する円筒状のマグネット101を有するMRI装置本体100と、このMRI装置本体100の静磁場内に被検体(検査対象103)を挿入するためのベッド部60と、図示しない電源部や画像等を処理する計算機等を備えている。
また、図1の(B)において、MRI装置200は、垂直方向zの静磁場を発生する上下に配置される一対のマグネット201を有するMRI装置本体200と、MRI装置本体200の静磁場内に被検体(検査対象103)を挿入するためのベッド部70と、図示しない電源部や画像等を処理する計算機等を備えている。
MRI装置本体100は、マグネット101を内蔵した円筒状の支持部102を備え、円筒の中心に検査対象103を挿入するための開口部104及びフラットなテーブル面105が形成されている。
MRI装置本体200は、マグネット201の上部を内蔵した上部本体202とマグネット201の下部を内蔵した下部本体203、この下部本体203の上部に上部本体202を連結支持するする支柱部204とを備えている。上部本体202と下部本体203との間には、検査対象103を挿入するための所定の大きさの空間が形成され、下部本体203の上面には、検査対象103を挿入するためのフラットなテーブル面205が形成されている。
ベッド部60は、検査対象103を載せる天板61と、この天板61を床面上に支持するベッド筐体62と、天板61とを備える。ベッド筐体62は、図示しない昇降機能を備え、検査対象103を載せる際には低くなり、検査対象103を載せて検査を行う際には天板61の底面に形成される摺動面をテーブル面105上に摺動可能な位置に移動させることができる。更に、このベッド筐体62は、天板61をその長手方向に沿って静磁場内に挿入する図示しない摺動機構部を備えている。
ベッド部70は、検査対象103を載せる天板71と、この天板71を床面上に支持するベッド筐体72と、天板71とを備える。ベッド筐体72は、図示しない昇降機能を備え、検査対象103を載せる際には低くなり、検査対象103を載せて検査を行う際には天板71の底面に形成される摺動面をテーブル面205上に摺動可能な位置に移動させることができる。更に、このベッド筐体72は、天板71をその長手方向に沿って静磁場内に挿入する図示しない摺動機構部を備えている。
ここで、ベッドの移動方向は、図1の(A)及び図1の(B)の天板61及び71の長手方向と同一であり、天板61及び71に載る検査対象103の体軸方向(HF方向)と同じである(z1及びy1と示す)。すなわち、静磁場方向zは、図1の(A)の場合には、検査対象103の体軸方向(HF方向)及び天板61の長手方向z1と一致し、図1の(B)の場合には、検査対象103の体厚方向(AP方向)と一致し、天板71の長手方向y1と直交する。
そして、この発明の実施形態の大きな特徴の1つは、天板61もしくは天板71の上部に、あるいは、この天板61もしくは天板71に代えて、被検体深部感度が高くかつ全身のような広い領域の任意断面を高速撮像することが可能な受信コイルユニット500を設置可能とした点である。
次に、図2を用いて、受信コイルユニット500を説明する。この受信コイルユニット500は、検査対象103の近接を囲うように配置される内部コイルユニット501と、その長手方向を検査対象103の体軸方向と一致させるベッドコイルユニッド502と、ベッドコイルユニット502に着脱可能に取り付けられる上部コイルユニット503と、ベッドコイルユニット502及び上部コイルユニット503に着脱可能な外部コイルユニット504を備えている。
内部コイルユニット501は、柔軟性のある素材の中に検査対象103の形状に沿った形で配置される複数の内部サブコイル1000を備え、検査対象103の天面を長手方向に沿って分割可能であり、その分割面を境として開閉可能な構造で、検査時は図示していないマジックテープ(登録商標)やベルトなどで固定される。つまり、内部コイルユニット501は、シート状の柔軟性素材の中に複数のコイルが配置されており、シート状の内部コイルユニット501上に被検体103が配置され、被検体103を包み込むようにしてシート状コイルユニット501が湾曲され、マジックテープ(登録商標)やベルトなどで固定される。
なお、内部コイルユニットが内部に配置される柔軟性素材としては、ウレタン、スポンジ、布等がある。ウレタンを成形し内部に複数のコイルユニットを配置したり、複数のスポンジの間にコイルユニットを配置し、スポンジどうしを接着剤で固定することで第1のコイル層を形成することができる。また、布を縫製して、第1のコイル層を形成あすることができる。
ベッドコイルユニット502は、その長手方向をz1方向やy1方向と一致する長方形の上面形状を有する板状であり、その中央には、内部コイルユニット501や検査対象103を乗せるための載置面21、その両側にはz1又はy1方向に沿って形成される複数のジョイント受部23が設けられ、載置面21の下方にはジョイント受部23と連通する複数の下部サブコイル2000が備えられ、載置面21とほぼ平行な平面には外部コイルユニット504を挿抜するための下側ガイド部22が設けられている。
上部コイルユニット503は、複数の上部サブコイル3000が備えられ、載置面21とほぼ平行な平面に外部コイルユニット504を挿抜するための上側ガイド部32と、下部サブコイル2000と連通するジョイント受部23を接続・勘合するためのジョイント端子33が設けられている。そして、下部サブコイル2000と上部サブコイル3000はジョイント端子33とジョイント受部23を介して接続される。
外部コイルユニット504は、第1の端子411と第2の端子412をもつ第1の外部サブコイル4100を含む第1外部ユニット41と、第3の端子421と第4の端子422を有する第2の外部サブコイル4200を含む第2外部ユニット42と、第1導体431と第2導体432の2つの導体を柔軟性のある支持体で支持した第3外部ユニット43とを備えている。この第3外部ユニットの第1導体431と第2導体432は同軸ケーブルで形成することができる。同軸ケーブルはフレキシブルな素材の導体の一例である。
更に、図3、図4、及び図5を用いて、内部サブコイル1000を説明する。
内部サブコイル1000は、図4の(A)の6−1及び図5の(A)の7−1に示すような1つのコイルが検査対象103の下面から側面にかけて2〜3のループを描きながら上面にまで延びるパターンを、図4の(B)の6−1−1と6−1−2、及び図5の(B)の7−1−1と7−1−2に示すように体軸(z1方向やy1方向)に沿って複数個並べた構造を基本としたコイル群である。
図3の(A)に示されるように、内部コイルユニット501の中に、これら2種類のコイルパターンが同じ平面状に配線され内部サブコイル1000のパターンを形成する(図では内部サブコイル1000が露出されているが実際には内部コイルユニット501の中に配線されるので露出されない)。いずれのパターンも、図3の(A)の天面センターライン1001を交差しないので、内部コイルユニット501は図3の(B)のようにライン1001を境に開閉が可能となり、検査対象103及びマット部1002の設置と取出が可能となる。
次に、図6を用いて、下部サブコイル2000と上部サブコイル3000を説明する。ベッドコイルユニット502の中には、図6の(B)の3−1−2及び、4−1−3と4−1−4の3つの導体から成るパターンで基本ブロックが構成される下部サブコイル2000が配線されており、3つの導体の両端部はそれぞれジョイント受部23と導通している。一方、上部コイルユニット503の中には、図6の(B)の3−1−1及び、4−1−1と4−1−2の3つの導体から成るパターンで基本ブロックが構成される下部サブコイル3000が配線されており、3つの導体の両端部はそれぞれジョイント端子33と導通している。
そして、図6の(A)のように、ジョイント受部23にジョイント端子33をA−Bライン及びC−Dラインで勘合・接続することによって、図6の(C)に示されるようなコイルパターン3−1及び4−1が形成される。ジョイント受部23及びジョイント端子33によって、下部サブコイル2000と上部サブコイル3000は脱着が可能となり、検査対象103の設置と取出が可能となる。
以上の構成により、内部サブコイル1000は、それ自身で第1のコイル層を形成し、上部サブコイル3000と下部サブコイル2000は、上部コイルユニット503をベッドコイルユニット502に端子2001及び端子3001を介して取り付けることにより接続されて第2のコイル層を形成し、これらのコイル層を層ごとに選択・切替えることにより、複数種のサブコイルを形成する。
第1のコイル層を単独で形成する内部コイルユニット501は、それ単独でも動作可能であり、このままの状態、もしくは内部コイルユニット501をベッドコイルユニット502の上に置いた状態で、図1の(A)のトンネル型MRI装置100にも、図1の(B)のオープン型MRI装置200にも使用可能である。すなわち、簡易的にMRI計測したい場合に簡単な1つのコイルユニットを装着するだけで撮像可能となり、煩わしいコイルの設置が不要となる。また、内部コイルユニット501をベッドコイルユニット502の上に置き、更に、上部コイルユニット503を取り付けることで、第1のコイル層と第2のコイル層を形成し、第1のコイル層と第2のコイル層を共に動作させることで、図1の(B)のオープン型MRI装置200に使用可能な受信コイルとなる。
この場合、ソレノイドコイル(3−1)とそれに直交するサドルコイル(6−1)から成るQDコイルを形成するため、より深部感度の高いコイルを実現できる。更には、第1のコイル層にはRL方向に感度分布をもつサブコイル(7−1)が、第2のコイル層にはHF方向に感度分布をもつサブコイル(4−1)がそれぞれ備えられるため、RL方向もしくはHF方向に位相エンコード方向を設定して行うパラレルイメージングの際に、該当するコイル層を動作させれば、高速撮像が可能となる。
なお、内部コイルユニット501をトンネル型MRI装置100で単独で用いてパラレルイメージングを行う場合でも、RL方向に感度分布をもつサブコイル(7−1)の他、体軸方向に複数のコイルが並べられていることによっても適度な感度分布が得られるため、RL方向にもHF方向にも位相エンコード設定が可能である。
また、上部コイルユニット503において、内蔵される上部サブコイル3000は、複数の同形コイルパターンが体軸方向に反復して並ぶため、図2のコイルユニット503a及び503bのように配置することも可能である。これと同様に、内部コイルユニット501、及びベッドコイルユニット502、及び外部コイルユニット504も、同形コイルパターンが体軸方向に反復して並ぶため、同じ構成要素に分割可能であり、反復配列が可能である。
本発明の実施形態におけるもう一つの大きな特徴は、第1のコイル層及び第2のコイル層に加えて、第1の外部サブコイル4100と第2の外部サブコイル4200は、第1の端子411と第3の端子421を第1導体431で接続し、かつ第2の端子412と第4の端子422を第2導体432で接続することによって外部コイル4000(外部コイルユニット504)を形成し、第1外部ユニット41を上側ガイド部32へ、第2外部ユニット42を下側ガイド部22へそれぞれ被検体103を動かすことなく挿抜可能にした点である。
また、第1外部ユニット41を上側ガイド部32へ、第2外部ユニット42を下側ガイド部22へそれぞれ挿入してから第1の端子411と第3の端子421を第1導体431で接続し、かつ第2の端子412と第4の端子422を第2導体432で接続しても良い。いずれに場合も外部コイルユニット504を挿入時は、第1のコイル層及び第2のコイル層に加えて第3のコイル層が形成され、第1から第3までのコイル層を層毎に選択切替えることにより複数種のサブコイルを形成し、天板61もしくは天板71の上部に、あるいは、天板61もしくは天板71に替えて、被検体深部感度は高く、かつ、全身のような広い領域の任意断面を高速撮像することが可能な受信コイルユニット500を設置可能となる。また、外部サブコイル4000を物理的に削除することで、第1の外部サブコイル4100と第2の外部サブコイル4200が片方のみ存在する時に生じる電気的な不平衡状態に起因した他のコイル層との電磁気的カップリングを完全になくすことができ、それによる画質劣化を防ぐことができる。
次に、図7を用いて、外部コイルユニット504を説明する。外部コイルユニット504は、第1の端子411と第2の端子412を有する第1の外部サブコイル4100を含む第1外部ユニット41と、第3の端子421と第4の端子422を有する第2の外部サブコイル4200を含む第2外部ユニット42と、第1導体431と第2導体432の2つの導体を柔軟性のある支持体で支持した第3外部ユニット43とを備えている。第1の外部サブコイル4100は、交差部4110を有する8の字型の導体から成り、第2の外部サブコイル4200は交差部4210を有する8の字型の導体から成る。そして、それら8の字導体の両端は端子411と端子412、及び端子421と端子422とそれぞれ導通して、第1外部ユニット41及び第2外部ユニット42を形成している。
そして、第3外部ユニット43を用いて端子411と端子421及び端子412と端子422をそれぞれ結線することによって、外部サブコイルユニット504を形成し、その中に外部サブコイル4000が備えられる。ただし、図7の(A)ではコイルパターンが露出されているが実際にはパターンがユニット内に配線されるため露出されず、外観は図7の(B)のようになる。外部サブコイルユニット504は、図7の(C)に示すように、第1外部ユニット41を上部コイルユニット503の上側ガイド部32に挿入し、第2外部ユニット42をベッドコイルユニット502の下側ガイド部22に挿入し、第3外部ユニット43で端子411と端子421、及び端子412と端子422をそれぞれ接続する。
なお、第3外部ユニット43として伸縮自在で柔軟な素材を用いた同軸ケーブルなどを用いれば、装着性が向上する上、検査対象の大きさに合わせて上部コイルユニット503やベッドコイルユニット502の大きさを変えた場合でも容易に装着できる。また、検査対象を動かすことなく挿抜可能である。また、本発明の実施形態では、上部コイルユニット503やベッドコイルユニット502に配列されるコイル群は、長手方向(z1やy1)に沿って同じコイルの配列を備えた複数のブロックに分割されているのと同様に、同じコイルパターンを備えた複数の外部コイルユニット504を装着することができる。
この時、交差部4110及び4210の位置が、図6の(C)のコイルパターン3−1の存在する平面(AP−RL平面)上になるように装着すると、コイルパターン同士の電磁気的結合が最小となり、かつAP方向に位相エンコードを選択した場合のGファクタを最小に抑えることができるので画質の劣化を抑えたまま高速撮像が可能となる。
すなわち、オープン型MRI装置201と第1のコイル層と第2のコイル層と第3のコイル層を全て動作状態にした受信コイルユニット500を用いて、広範囲にわたって深部感度が高く、かつ任意方向に位相エンコード選択可能なパラレルイメージングによる高速撮像が可能となる。
本発明の実施形態におけるもう一つの大きな特徴は、外部コイルユニット504として、第1の端子411と第2の端子412を有する第1の外部サブコイル4100を含む第1外部ユニット41と、第3の端子421と第4の端子422を有する第2の外部サブコイル4200を含む第2外部ユニット42と、第1導体431と第2導体432の2つの導体を柔軟性のある支持体で支持した第3外部ユニット43とを備え、第1の外部サブコイル4100は、交差点4110を有する8の字型の導体から成る。
また、第2の外部サブコイル4200は交差点4210を有する8の字型の導体から成り、それら8の字導体の両端は端子411と端子412、及び端子421と端子422とそれぞれ導通して第1外部ユニット41及び第2外部ユニット42を形成し、柔軟な素材で形成された第3外部ユニット43を用いて端子411と端子421及び端子412と端子422をそれぞれ結線するという構造としたため、外部コイルユニット504は挿入する向きを90度回転させることができる。また、これによって垂直磁場用としても水平磁場用としても使用可能にした点である。
水平磁場用として外部サブコイルユニット504を用いる場合、内部コイルユニット501との組合せで、水平磁場に対して高感度を保ち、かつ任意方向に適度な感度分布をもつことができる。また、垂直磁場用として外部サブコイルユニット504を用いる場合、内部コイルユニット501と、ベッドコイルユニット502と、上部コイルユニット503との組合せで、垂直磁場に対して高感度を保ち、かつ任意方向に適度な感度分布をもつことができる。以上の結果から、本発明の外部コイルユニット504を用いた受信コイルユニット500は、水平磁場を発するトンネル型MRI装置でも垂直磁場を発するオープン型MRI装置でも高い深部感度を保ち、任意の方向を位相エンコードとして選択可能なパラレルイメージング用の受信コイルユニットとして使用可能である。
また、特定の方向にのみ位相エンコードとして設定したい場合は、該当するコイルの存在する層のみを選択してパラレルイメージングできるので、装着の手間も最小限に抑えつつ、高速撮像も可能となる。
次に、図7及び図8を用いて、垂直磁場用コイルと水平磁場用コイルとの使い分けが可能な外部コイルユニット504を説明する。図7は外部コイルユニット504を垂直磁場用コイルとして用いる場合の図で、図8は外部コイルユニット504を水平磁場用コイルとして用いる場合の図である。
図7の(A)、(B)及び図8の(A)、(B)において構成要素は同一であり、いずれも同じ外部コイルユニット504の中に外部コイル4000が具備されることを示すが、図7の(C)と図8の(C)に示す通り、上部ガイド部32と下部ガイド部22への装着の向きが90度異なる。これは、外部コイルユニット504として、第1の端子411と第2の端子412を有する第1の外部サブコイル4100を含む第1外部ユニット41と、第3の端子421と第4の端子422を有する第2の外部サブコイル4200を含む第2外部ユニット42と、第1導体431と第2導体432の2つの導体を柔軟性のある支持体で支持した第3外部ユニット43とを備え、第1の外部サブコイル4100は、交差点4110を有する8の字型の導体から成り、第2の外部サブコイル4200は交差点4210を有する8の字型の導体から成る。
また、それら8の字導体の両端は端子411と端子412、及び端子421と端子422とそれぞれ導通して第1外部ユニット41及び第2外部ユニット42を形成し、柔軟な素材で形成された第3外部ユニット43を用いて端子411と端子421及び端子412と端子422をそれぞれ結線するという構造にしたことによって実現可能となる。
以上の実施形態においては、体軸方向(z1及びy1)に沿って、内部コイルユニット501及びベッドコイルユニット502に対して、上部コイルユニット503は、3つのブロックに分割されている。そして、1つのブロックに対して、1つの上部コイルユニット503と1つの外部コイルユニット504が覆われ、この1つのブロックの連結により、この1つのブロック内で覆われる検査対象103の部位の検査を行うことができる。
また、上述した実施形態では、全身のような長手方向に長い検査対象を検査する場合は、上部コイルユニット503を2つないしは3つ用意して、これをベッドコイルユニット502に取り付けることにより、検査対象103の体軸方向(z1及びy1)に複数のコイル群を配置することにより、検査対象103の全身をカバーすることができる。これらのブロックは、静磁場内への挿入に伴って、必要により、順次ON、OFFすることにより検査対象103の全身の検査が可能となる。
また、上述した実施形態では、検査対象103の外周を包む複数のコイル群を、脱着可能な第1のコイル層、第2のコイル層、及び第3のコイル層に分けて配列し、それぞれ単独でも動作できるようにMRI装置に設置される。そして、所望の使用形態によって用いるコイル層を選択し、最低限のコイルパターンのみ使用することによって、余計なコイル設置動作を減らして操作性の煩わしさを軽減したり、導体が存在することによって生じるコイル同士のカップリングを減らして画質の劣化を防止することができる。
以上の実施形態に係る受信コイルユニット500は、被検体深部感度が高く、かつ全身のような広い領域の任意断面を高速撮像するために、5種類のサブコイルをそれぞれ被検体の長手方向に沿って複数並べた配置となっているが、1つのブロックのみでも、複数のブロックを順次ON、0FFして切替えてもどちらでも使用できる。
つまり、1つのブロックにおいては、検査対象103の表面に配置された2つの電流ループを有するコイル(サドルコイル)からなる第1種類目のサブコイル6−1と、検査対象103の表面に配置された3つの電流ループを有するコイルからなる第2種類目のサブコイル7−1を第1のコイル層に、検査対象103の外周に配置されたソレノイドコイルからなる第3種類目のサブコイル3−1と、検査対象103の外周に2つの電流ループと検査対象103の底面に1つのループを形成するサブコイル4−1からなる第4種類目のサブコイルを第2のコイル層に、被検体103に対して前後に8の字導体が対向配置される第5種類目のサブコイル5−1を第3のコイル層に、それぞれ配置した構成となっているからである。
第1のコイル層のみ用いる場合、図3に示すように、検査対象103の周りに柔軟な素材で覆われたコイルパターン1000の、所望の検査領域にあるコイルをONさせることにより検査を行う。この場合、コイルパターン1000は、サドルコイル(6−1)を含むため、水平磁場及び垂直磁場に対して高い感度を有するので、トンネル型MRI装置及びオープン型MRI装置の両方に使用可能である。実際の使用形態においては、MRI装置の上にベッドコイルユニット502とその上に内部コイルユニット501を常に載せておき、検査対象503を載せて、柔軟素材の内部コイルユニット501を検査対象の周りに巻くだけで検査可能となり、コイル設置の煩わしさが大きく軽減される。これは、簡単な画像取得を数多くの検査対象に対して行う際に便利な使用形態と言える。
また、第2のコイル層のみ用いる場合、図6に示すように、ベッドコイルユニット502に上部コイルユニット503を取り付けることにより形成されるコイルパターン3−1及び4−1を、検査対象503の長手方向に複数配列させ、検査対象領域にあるコイルパターンをONさせることにより検査を行う。この場合のコイルパターンは、ソレノイドコイル(3−1)を含み、最大感度方向が検査対象503の体軸方向と一致するため、垂直磁場に対して高い感度をもつが水平磁場に対しては感度を持たない。従って、第2のコイル層は、垂直磁場を発するオープン型MRI装置にのみ有効である。
第3のコイル層は、検査対象103のAP方向に2つ配置された8の字導体に近いコイル近傍部に高い感度を持ちコイルの中心では感度を持たないため、単独では,あまり使用されないが、図7の(C)や図8の(C)のように本発明のコイルに付加的に用いたり、他の既存コイルに付加的に用いたりすることで、体厚方向に適度な感度分布を与えることができる。すなわち、パラレルイメージングによる高速撮像を行う場合でAP方向に位相エンコードを設定したい場合に有効なコイル層である。本発明の構成によれば、垂直磁場装置及び水平磁場装置に対しても感度をもつように設置できるので汎用的なサブコイルとして用いることができる。
そして、オープン型MRI装置においては、第1のコイル層のみ又は第2のコイル層のみで用いる他に、第1のコイル層と第2のコイル層を共に用いることによって互いに直交するソレノイドコイル(3−1)とサドルコイル(6−1)を含むコイルパターンを形成し、更に深部感度が高いコイルとして用いることができる。また、第1のコイル層のサブコイル(7−1)で検査対象のRL方向に、第2のコイル層のサブコイル(4−1)で検査対象のHF方向にそれぞれ感度分布をもたせることができるので、RL方向及びHF方向を位相エンコードに選択可能なパラレルイメージングを実施できる。更には、第3のコイル層を付加すれば、検査対象のAP方向に感度分布をもたせることができる。その結果、受信コイルユニット500は、オープン型MRI装置において深部感度が高く、任意方向に位相エンコード設定可能なパラレルイメージングが可能な受信コイルとなる。
また、トンネル型MRI装置においては、.第1のコイル層のみで用いる他に、第1のコイル層と第3のコイル層を同時に用いることによってサドルコイル(6−1)で深部の均一感度をもたせ、第1のコイル層のサブコイル(7−1)で検査対蒙のRL方向に、第3のコイル層のサブコイルで検査対象のAP方向にそれぞれ感度分布をもたせることができる。また、2つ以上の複数の表面コイルが検査対象表面に沿ってその長手方向に並べられることによって検査対象のHF方向に感度分布をもたせることができる。
その結果、受信コイルユニット500は、トンネル型MRI装置において深部感度が高く、任意方向に位相エンコード設定可能なパラレルイメージングが可能な受信コイルとなる。
また、検査対象に対して密接にするほど高い感度を示すサドルコイルを含んだ内部コイルユニット501を柔軟性のある素材で構成し、かつ、検査対象から多少離れた所を周回させても大視野に渡って高い感度を示すソレノイドコイルを含んだ上部コイルユニット503を、内部コイルユニット501の外側と上部コイルユニットの503の内側にゆとりのある空間を確保することにより、ある程度のサイズの異なる検査対象103に対しても密着させることが可能になる。これにより、どんな検査対象に対しても高い感度で検査が可能となる。
また、本発明の実施形態では、MRI装置本体と受信コイルユニット500を結ぶコネクタは、内部コイルユニット501からの線路とベッドコイルユニット502からの線路と外部コイルユニット504からの線路をそれぞれ独立に受けることが可能な形状であって、天板61あるいは天板71あるいはベッド筐体62あるいはベッド筐体72に備えられている。
これにより、各コイル層毎に脱着可能となる。但し、内部コイルユニット501を単独で用いる場合でも、ベッドコイルユニット502を土台として用いたり、水平磁場の場合でベッドコイルユニット502や上部コイルユニットが不要な場合でも外部コイルユニット504を挿入するための土台として用いることができる。
次に、図2から図17を参照して、本発明の実施形態に係る受信コイルユニット500を備えたMRI装置、及び、ここで用いられる各サブコイルパターンとその特性を更に詳細に説明する。
先ず、図9を参照してMRI装置の構成を具体的に説明する。図9の(A)はMRI装置を模式的に示した機能ブロック図である。MRI装置は、垂直方向の静磁場を発生するマグネット201、傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル206、RFパルスを照射する照射コイル207、検査対象103から発生した核磁気共鳴信号は受信する受信コイル216、シーケンサ210、計算機219等を備えている。照射コイル207及び受信コイル216はマグネット201及び傾斜磁場発生コイル206内に設置される。また、図9は垂直磁場を発生するタイプのMRI装置の構成を示しているがマグネット201として、図1の水平磁場を発する円筒型のマグネット101を用いれば、水平磁場を発生するMRI装置となる。
傾斜磁場発生コイル206は、互いに直交する3軸の傾斜磁場コイルから構成される。3軸の傾斜磁場発生コイル206は、それぞれ傾斜磁場電源211に接続されている。照射コイル207は、RFパワーアンプ208を介してRFパルス発生器209に接続されている。シーケンサ210はRFパルス発生器209と傾斜磁場電源211に命令を送り、RFパルス及び傾斜磁場をそれぞれ照射コイル207及び傾斜磁場コイル206より発生させる。RFパルス発生器209の出力をRFパワーアンプ208により増幅し照射コイル207に印加することにより、照射コイル207を通じてRFパルスが被検体103に印加される。
被検体103から発生した核磁気共鳴信号は受信サブコイル216から成る受信コイルユニット500により受波される。受信コイルユニット500は、複数個の受信サブコイル216−1〜216−n及びプリアンプ217−1〜217−nから構成される。受信サブコイル216−1〜216−nにより受波された信号は、それぞれのプリアンプ217−1〜217−nで検波に必要なレベルまで増幅された後、受信器218でA/D変換(サンプリング)、検波が行われる(必要に応じて、受信器に入力される前に合成器によって信号合成される)。検波の基準とする中心周波数(磁気共鳴周波数)は、シーケンサ210によりセットされる。検波された信号は計算機219に送られ、ここでリサンプリング処理された後、画像再構成等の信号処理が行われる。結果はディスプレイ220に表示される。
図9の(B)は、受信コイルユニット500の詳細ブロック図である。図9の(B)において、複数の受信サブコイル216と、それぞれのサブコイルに接続される複数のプリアンプ217で一つのコイル層を形成し、第1のコイル層601、第2のコイル層602、第3のコイル層603を構成する。受信コイルユニット500は、3つのコイル層601、602、603で構成されるが、各プリアンプから出力される信号が受信器218でA/D変換される。コイル層601、602、603と受信器218との間にコイル選択回路19−4が接続され、このコイル選択回路19−4を用いて各コイル層単独でも複数のコイル層でも用いられる。
なお、必要に応じて、記憶媒体221に信号や測定条件を記憶させることもできる。静磁場均一度を調整する必要がある時は、シムコイル212を使う。シムコイル212は複数のチャネルからなり、シム電源213により電流が供給される。複数のチャネルの各コイルに流れる電流をシーケンサ210により制御し、静磁場不均一を補正するような付加的な磁場をシムコイル212より発生させる。
なお、シーケンサ210は、各装置がプログラムされたタイミング、強度で動作するように制御を行う。このプログラムのうち、特にRFパルスの印加、傾斜磁場の印加、核磁気共鳴信号の受信のタイミングや、RFパルスと傾斜磁場の強度を記述したものは撮影シーケンスと呼ばれている。
次に、本発明のMRI装置に用いられる受信コイルの外観構造について図2を用いて説明する。なお、以下の説明では、静磁場方向をz方向とするが、水平磁場の場合と垂直磁場の場合で被検体の体軸とz軸の位置関係が異なるため、被検体103の左右方向をRL方向、体軸方向をHF方向、体厚方向をAP方向として説明することにすると、水平磁場用のコイルの場合はz軸とHF方向が一致し、垂直磁場用のコイルの場合はz軸とAP方向が一致する。ここで、図2は受信コイルユニットの外観及び部品展開図である。図2において、本発明の実施形態においては、受信コイルユニット500は、内部コイルユニット501をベッドコイルユニット502の上に置き、その上に検査対象103を置き、3つの上部コイルユニット503a、503b、503をHF方向に沿って並べることで検査対象103の全身をカバーすることができる。
更に、上部コイルユニット503に設けられた上側ガイド部32に第1外部ユニット41を置き、ベッドコイルユニット502に設けられた下側ガイド部22に第2外部ユニット42を挿し込み、第3外部ユニット43で第1外部ユニット41と第2外部ユニット42を接続して外部コイルユニット504を装着する。ここで、上部コイルユニット503及び外部コイルユニット504は、検査対象103を内部コイルユニット501から出し入れすることなく脱着可能である。
ベッドコイルユニット502は、HF方向に沿って、3つのブロックQ1、Q2、Q3に分かれており、この3つのブロックのコイルの配列は互いに同じとなっている。したがって、上部コイルユニット503を各ブロックにそれぞれ接続することにより、接続されたブロックの領域の検査を行うことができる。また、外部コイルユニット504を該当ブロックに装着することにより、装着されたブロックの領域の検査を行うことができる。例えば、脚部近傍であればブロックQ1に、腰部近傍であればブロックQ2に、胸近傍であればブロックQ3に、上部コイルユニット503(及び外部コイルユニット504)を取り付ければ、取り付けられたブロックの領域の検査が可能である。そして、3つのブロック全部に上部コイルユニット503(及び外部コイルユニット504)を取り付ければ検査対象103の全身を検査することができる。
次に、図10、図11を用いて、本発明の実施形態に係る受信コイルについて、各サブコイルの構成と動作原理を説明する。
本発明の実施形態における受信コイルは、5種類のサブコイルをそれぞれ被検体の体軸方向に沿って複数並べた配置を有し、受信コイル全体で被検体のほぼ全身を覆うように構成することができるが、図10に示した例は、全身を覆う受信コイル全体の1つのブロックの基本構成を示す図であり、図10の(A)は斜視図、(B)〜(D)はそれぞれHF軸上の点から見たAP−RL断面、AP軸上の点から見たHF−RL断面、及びRL軸上の点から見たAP−HF断面の図である。図11は図10の(A)を拡大した図である。なお、実際の受信コイルは、コイル導体をキャパシタで複数箇所分割し、コイルの共振周波数を核磁気共鳴周波数とマッチングさせているが、図10、図11ではキャパシタは適宜省略している。
ここで、内部コイルユニット501、ベッドコイルユニット502には、上述したようにキャパシタ(コンデンサ)によりコイル導体が分割されているが、このコンデンサの容量値は調整可能である。そのため、内部コイルユニット502、ベッドコイルユニット502、上部コイルユニット503、外部コイルユニット504が組み立てられた後でもコンデンサの容量値が調整可能なように、内部コイルユニット501、ベッドコイルユニット502には、容量調整用装置がアクセス可能な開口部が形成されている(図示せず)。
図10、図11に示すように、実施形態における受信コイルは、被検体103の外周に電流ループを形成するサブコイル3−1と、サブコイル3−1の電流ループが形成される面(AP−RL面)を挟んでほぼ等距離にある2つの面内に、互いに逆向きの電流が流れる2つの電流ループを形成するサブコイル4−1と、被検体103を挟んで上下(A側−P側)に配置されたサブコイル5−1と、被検体103の側面(R側、L側)を覆うように配置されたサブコイル6−1−1、6−1−2及びサブコイル7−1−1、7−1−2とからなる。サブコイル6−1−1、6−1−2及びサブコイル7−1−1、7−1−2は、それぞれ同種のコイル2つで受信コイルの1ブロックを構成する。
これら5種類のサブコイルは、サブコイル3−1の電流ループが形成される面(RL−AP面)に対して面対称には位置されており、図10、図11に示すブロックを単位として、この面と直交する方向、即ちHF方向に複数ブロックを配列することができる。
なお、サブコイル3−1の電流ループが形成される面(RL−AP面)を基準面A0−P0と呼び、被検体103の中心を通る図10の(D)の直線A0−P0を含む面である。また、基準面A0−P0と直交するHF−RL面で、被検体103の中心を通る図10の(D)の直線H0−F0を含む面を基準面H0−F0と呼ぶ。
次に、図4から図8、及び図10から図18を用いて、受信コイルを構成する5種類のサブコイルの具体的な構成とそれらの特性、及びサブコイル同士の関係について、水平磁場装置に用いた場合と垂直磁場装置に用いた場合とに分けて詳述する。
最初に、垂直磁場装置に用いた場合の各サブコイルの構成と動作原理を説明する。先ず、第1種類目のサブコイル6−1は、図4の(A)に示すような、被検体103の表面に配置された2つの電流ループを有するコイル(サドルコイル)である。図4の(A)では第1種類目のコイルの一つのみを示しているが、図4の(B)に示すように体軸方向に配置された2つのサブコイル6−1−1、6−1−2で受信コイルの1ブロックが構成され、2つのサブコイルのほぼ中央に基準面A0−P0が位置するように配置される。受信コイル全体では、サブコイル6−1を体軸方向に連続して配置し、被検体103全体を覆う構成となる。この際、隣接する2つのコイルは適度にオーバーラップ(面積で10%程度)させて配置される。
これにより、隣接コイル間同士の磁気結合を除去する。また、サブコイル6−1は被検体103の両側面を取り囲むように湾曲部を有している。このような構成のサブコイル6−1の垂直磁場に対するRL方向感度分布を図12の(A)の曲線601に示す。図12の(A)に示すように、サブコイル6−1は、サブコイル3−1と同様に被検体深部における感度が高い感度分布となる。従ってサブコイル6−1は大視野用コイルとも呼ばれる。
次に、第2種類目のサブコイル7−1は、図5の(A)に示すような被検体103の表面に配置された3つの電流ループを有するコイルであり、被検体103の両側面を取り囲むように湾曲部を有している。図5の(A)には第2種類目のコイルの一つのみを示しているが、図5の(B)に示すようにH−F軸方向に配置された2つのサブコイル7−1−1、7−1−2で受信コイルの1ブロックが構成される。
1ブロックにおいて、これら2つのサブコイル7−1−1、7−1−2は、2つのサブコイルのH−F軸方向のほぼ中央に基準面A0−P0が位置するように配置される。受信コイル全体では、サブコイル7−1をH−F方向に連続して配置し、被検体103全体を覆う構成となる。第2種類目のサブコイルについても、H−F方向に隣接する2つのコイルを適度にオーバーラップ(面積で10%程度)させることにより、隣接コイル間の磁気結合を除去している。
このような構成のサブコイル7−1は、2箇所の交差点において、交差している2本の導線には同じ向きの電流が流れているため、交差点における感度が最も高い。また、それぞれの交差点における電流の向きは互いに逆向きであるため、交差点での感度を最大にして、2つの交差点を結ぶ線分の垂直2等分線上では感度が最小となる。
このようなサブコイル7−1の垂直磁場に対するRL方向感度分布は、図13の(A)の曲線701で表すような分布となる。なお、給電点に1Wの電力を与えた場合に実際に発生する磁場分布は、2つの交差点を結ぶ線分の垂直2等分線を軸として左右で正負反対の符号を持つが、ここではその絶対値を取って感度分布曲線としている(以下、同様に、感度分布曲線を定義する)。
ここで、図示したように、2つの電流ループを有するサブコイル6−1の感度が最小となる2箇所の領域の近辺に3つの電流ループを有するコイル7−1の感度が最大となる2箇所の領域(2つの交差点の存在する領域)をおおむね一致させて配置すれば、一方に電流を流したときに、他方に発生する誘導磁場は実用上無視できる程度とすることができ、サブコイル6−1とサブコイル7−1の問の電磁気的カップリングは実用上問題ないレベルに抑制される。
第3種類目のサブコイル3−1は、図6の(C)に示すような被検体103の外周に配置されたソレノイドコイルである。サブコイル3−1の垂直磁場に対するH−F軸方向感度分布は、図12の(A)の曲線301に示すように、その電流ループが存在する面において最大となる分布で、高感度領域が大きいため、大視野用コイルとも呼ばれる。サブコイル3−1の電流ループが形成される面は、他の種類のサブコイルを配置する場合の基準となるので、以下、基準面A0−P0とする。なお図6の(C)では1ターンのソレノイドコイルを示したが、ターン数は複数でもよい。
第4種類目のサブコイル4−1は、図6の(C)に示した被検体103の外周に2つの電流ループと被検体103の底面に1つのループを形成するサブコイルである。サブコイル4−1は、図6の(C)に示すように、サブコイル3−1の基準面A0−P0に対し対称の位置にある2つの電流ループをAP−RL面内に形成し、それぞれの電流ループには互いに逆向きの電流が流れるように被検体103の底面でループを作って結線されたコイルである。サブコイル4−1に給電した場合、2つの電流ループには互いに逆向きの電流が流れるので、それぞれのループ近傍では電流ループによる磁場が強く発生するが、ループから離れるに従ってもう一つの電流ループによって発生する磁場によって打ち消される成分が大きくなり、2つのループの中央にあたる基準面A0−P0では磁場はほぼゼロとなる。
すなわち、サブコイル4−1の垂直磁場に対するH−F軸方向の感度分布は図12の(A)の曲線401に示すように、サブコイル3−1の存在する断面(基準面A0−P0)上では感度がほぼゼロとなり、その断面を軸として左右対称の感度分布をもつようになる。このような配置により、サブコイル4−1とサブコイル3−1は互いに誘導電流を発生させないため、サブコイル3−1とサブコイル4−1の間では実用上問題ないレベルの電磁気的カップリングに抑制される。従って、サブコイル3−1とサブコイル4−1の発生する合成感度は、それぞれの感度の2乗和の平方根で計算でき、合成感度の分布は図12の(B)の曲線901のようになる。このように、サブコイル3−1とサブコイル4−1を合成して用いた場合の感度901は、サブコイル3−1及びサブコイル4−1のいずれか一方を用いた場合の感度より被写体存在領域全体で高くなる。
第5種類目のサブコイル5−1は、図7の(A)に示すような形状を有している。このサブコイル5−1は、被検体103に対して前後(A−P軸方向)に対向配置されるほぼ同形のコイル4100及び4200を導通させて、一つの給電点を有するコイルとしたものである。これらコイル4100及び4200は、2つの電流ループを図7の(A)に示すようにH−F方向もしくは図8の(A)に示すようにR−L方向に並べた形状のコイルで、2つの電流ループの間に交差点4110及び4210が形成されている。
サブコイル5−1は、図7の(A)のような向きの場合は、交差点4110及び4210が、サブコイル3−1電流ループが存在する面、すなわち基準面A0−P0と同一面内に位置し、且つ2つのコイル4100と4200が基準面H0−F0に対してほぼ対称の位置に収納されるように配置される。また、図8の(A)のような向きの場合は、交差点4110及び4210のある平面と、サブコイル3−1の電流ループが存在する面すなわち基準面A0−P0とが直交する位置関係となり、且つ2つのコイル4100と4200が基準面H0−F0に対してほぼ対称の位置に収納されるように配置される。
サブコイル5−1が発生する磁場については、図14の(A)及び(C)に示すように、コイル4100とコイル4200の導線上には矢印の方向に電流が流れるように端子411と端子421及び端子412と端子422が接続されるので、支配的な磁場の向きは、図14中の破線の矢印8−1、8−2、8−3、8−4の向きに生じる。この場合には被検体103が存在するコイル内部の領域では、互いに逆向きの磁場が発生し、被検体103の深部すなわち図10の(D)の基準面R0−F0付近では磁場が打ち消し合い、感度がほぼゼロになる。被検体103の存在するコイル内部の領域における感度分布で示すと、図14の(B)及び(D)の曲線501で示すように、垂直磁場に対するAP方向感度分布は、基準面H0−F0で磁場がゼロで、その平面に関して対称な分布となる。
次に、上述した第1種類目〜第5種類目のサブコイルについて、特に各サブコイル並存時の感度分布及び電磁気的カップリングについて説明する。
先ず、被検体103外周に配置されたサブコイル3−1とサブコイル4−1についてはコイル間の電磁気的カップリングは実用上問題ないレベルに抑制されること、また、被検体103の表面に配置された被検体103のサブコイル6−1とサブコイル7−1についても適切な配置とすることによりコイル間の電磁気的カップリングは実用上問題ないレベルに抑制される。
サブコイル3−1、サブコイル4−1、サブコイル6−1、サブコイル7−1の関係を考える。被検体103の外周に配置されたサブコイル3−1とサブコイル4―1とは最大感度方向がH−F軸方向である。一方、被検体103近傍に配置されたサブコイル6−1及びサブコイル7−1は最大感度方向がR−L軸方向である。
従って、例えば、図10の(A)に示すようにサブコイル3−1とサブコイル6−1を配置しても、これらは電気的に直交しており、電磁気的カップリングは実用上問題ないレベルに抑制される。しかも、サブコイル3−1とサブコイル6−1は、ともに、被検体103の深部における感度が高いコイルであるため、このような配置をすれば、被検体103の深部感度の更なる向上が期待できる(QD合成される)。サブコイル4−1の最大感度方向もH−F軸方向である。従って、図10の(B)に示すように、サブコイル6−1を、サブコイル3−1の存在する位置からサブコイル4−1の存在する位置までシフトさせて、サブコイル6−1−1とサブコイル6−1−2のように配置しても、同様にカップリングが生じることなく被検体103の深部における感度の更なる向上効果を期待できる。
サブコイル7−1についても同様であり、サブコイル7−1は、サブコイル3−1及びサブコイル4−1と電気的に直交しており、サブコイル3−1及びサブコイル4−1との電磁気的カップリングは実用上問題ないレベルに抑制される。
従って、H−F軸方向に連続配置されたサブコイル6−1−1とサブコイル6−1−2及びサブコイル7−1−1とサブコイル7−1−2は、いずれも、サブコイル3−1もしくはサブコイル4−1を含む平面付近でオーバーラップさせても、電磁気的カップリングは実用上問題ないレベルに抑制される。
このように、第1種類目のサブコイル6−1、第2種類目のサブコイル7−1、第3種類目のサブコイル3−1、第4種類目のサブコイル4−1に関しては、互いの配置を適切な関係にするとともにオーバーラップによる方法を併用することによって、電磁気的カップリングを除去できる。必要に応じて公知のデカップリング方法、例えば、信号検出に低入力インピーダンスのアンプを用い磁気結合を抑制する方法などを併用することも可能である。
また、サブコイル3−1とサブコイル4−1及びサブコイル6−1の直交性を利用して、被検体1−3の深部感度を高めることができる。図15に、被検体103の深部におけるH−F軸方向感度分布を示す。曲線301及び401は、それぞれサブコイル3−1及びサブコイル4−1のR−F軸方向感度分布で、図12の(A)内の曲線と同じである。曲線602及び603は、それぞれ図10の(B)のサブコイル6−1−1及び6−1−2のH−F軸方向感度分布である。サブコイル3−1とサブコイル6−1−1及びサブコイル6−1−2でQD合成され、感度向上させた場合のH−F軸方向感度分布が曲線801であり、更に、サブコイル4−1の感度と合成した場合の感度分布が曲線902である。第1種類目、第2種類目、第3種類目及び第4種類目のサブコイルを用いることによって、深部感度をH−:F軸方向の広範囲に渡って高められることがわかる。
次に、これら最大感度方向がR−L軸方向である第1種類及び第2種類目のサブコイル6−1、7−1と最大感度方向がH−F軸方向である第3種類目及び第4種類目のサブコイル3−1、4−1、及び第5種類目のサブコイル5−1との関係について説明する。図16の(A)にサブコイル6−1上の矢印方向に電流が流れる場合に生じる磁場の向きを破線矢印8−5で、図16の(B)にサブコイル7−1上の矢印方向に電流が流れる場合に生じる磁場の向きを破線矢印8−6及び矢印8−7で示す。
また、図16の(C)にサブコイル3−1上の矢印方向に電流が流れる場合に生じる磁場の向きを破線矢印8−8で、図16の(D)にサブコイル4−1上の矢印方向に電流が流れる場合に生じる磁場の向きを破線矢印8−9及び破線矢印8−10で示す。また、図17の(A)、(B)にそれぞれ、サブコイル7−1上の矢印方向に電流が流れる場合に生じる磁場の向きを破線矢印8−1〜8−4で示す。
一つの矢印は同じ向きに生じる支配的な磁場とその向きを示し、異なる向きの矢印が存在する直線上ではその矢印の変異点付近で磁場が打ち消しあうことを意味する。サブコイル5−1は、既に述べたように、2つの電流ループと1つの交差点を持つ同形状のコイル4100と4200を、基準面H0−F0について対称に配置し、両コイルを導通したコイルであり、電流ループは基準面H0−F0に対称な面(被検体103の背面側と腹側)に概ね位置している。そして、図17の(A)に示した向きで設置される場合、コイルの交差点4110と4120は、サブコイル3−1の電流ループが形成されるAP−L面(基準面A0−P0)に位置するように配置される。このような配置にすることにより、サブコイル5−1で生じる磁場8−1〜8−4はサブコイル3−1の形成する電流ループを貫通する際に打ち消しあって概ねゼロになり、サブコイル3−1上及びサブコイル5−1上には誘導電流が流れず、実質上電磁気的カップリングは生じない。一方、図17の(B)に示す向きで設置される場合は磁場の最大方向が直交するため、カップリングは生じない。
次に、第4種類目のサブコイル4−1との関係を説明する。第5種類目のサブコイル5−1が図17の(A)に示す向きで設置される場合、サブコイル4−1に給電した場合にサブコイル4−1に発生する磁場が図16の(D)に示すようになるように2つの電流ループに電流が流れるとすると、サブコイル4−1のループ近傍を通るサブコイル5−1のループに誘導電流が流れるとしても、サブコイル5−1のループには基準面H0−F0もしくは基準面A0−P0に対して対称の位置に必ず逆向きに流れる電流ループが存在し、その結果として誘導電流が流れない。
また、図17の(B)に示す向きで設置される場合は磁場の最大方向が直交するため、カップリングは生じない。最大感度方向がRL軸方向である第1種類目および第2種類目のサブコイル6−1やサブコイル7−1についても、磁場の直交性より同様にカップリングは問題ないレベルに抑制できる。また、サブコイル5−1をHF方向に連続配置する場合も、互いに適度にオーバーラップ(面積で10%程度)させることで隣接コイル間の電磁気的カップリングを除去できる。また、低入力インピーダンスのプリアンプを用いることによっても各コイル間同士の電磁気的カップリングを低減できる。このようにして、本発明の実施形態における受信コイルでは、5種類のサブコイルのそれぞれの電磁気的結合を抑制することができるので、電磁的結合を除去するための補助コイル等を不要にするか最小限とすることができる。また、5種類のサブコイルを組み合わせたものを1ブロックとして被検体103の体軸方向に複数個並べることが可能となり、被検体103の深部における感度も高いまま全身のような広い領域の撮影が可能となる。また、垂直磁場に対する各サブコイルの感度分布を、x軸方向、y軸方向およびz軸方向の3つの方向に付いて感度分布の異なるサブコイルの組み合わせが存在することにより、どの方向に位相エンコード方向を選んでもGファクタを小さくすることができ、パラレルイメージングを適用した場合にも良好な画像を得ることができる。
なお、Gファクタについては、チャネル数の増大を許容すれば改善効果が得られるが、例えば1ブロック8チャネルのサブコイルによって構成される受信コイルを被検体103の体軸方向に並べることによって全身撮像用の受信コイルを実現しようとする場合、チャネル数の増大は好ましくないことは当然である。また、製作精度などの制約から、交差点4110及び交差点4210の位置とサブコイル3−1の電流ループ面とを完全に一致させることや、外部コイル4110と外部コイル4200を、被検体103の中心(基準面H0−F0)に対して完全に対称にすることは困難であるが、サブコイル5−1のHF軸方向の長さに対して20%程度の誤差以内で、AP軸方向に関しては10%程度の誤差以内で一致させることが好ましい。
次に、水平磁場装置に用いた場合の各サブコイルの構成と動作原理を説明する。
本発明の実施形態の受信コイルを水平磁場で用いる場合、5種類のサブコイルのうち、被検体103の外周に電流ループを形成する3種類目のサブコイル3−1と、サブコイル3−1の電流ループが形成される面(AP−RL面)を挟んでほぼ等距離にある2つの面内に、互いに逆向きの電流が流れる2つの電流ループを形成する4種類目のサブコイル4−1は、発生する磁場が、水平方向の静磁場と一致するため、生体からの磁気共鳴信号を受信するための感度をもたない。従って、ベッドコイルユニット502に上部コイルユニット503を取り付けることによって形成されるサブコイルは意味をもたない。内部コイルユニット501のみ、もしくは内部コイルユニット501と外部コイルユニット504を同時に用いることで受信コイルユニット500を形成するが、ベッドコイルユニット502と上部コイルユニット503は、外部コイルユニット504を装着するためのガイド部を有する土台として用いる。
また、外部コイルユニットは、図7の(A)に示した向きで装着する場合と、図8の(A)に示した向きで装着する場合とで、感度分布が変わるので、使用形態によって使い分けることができる。各サブコイルがそれぞれ被検体103の体軸方向に沿って複数並べた配置を有し、受信コイル全体で被検体103のほぼ全身を覆うように構成され得る点では、使用形態は垂直磁場で用いる場合と全く同じである。また、内部コイルユニット501のみでも使用可能であり、被検体103を動かすことなく、必要に応じて外部コイルユニット504を脱着可能な2層構造になっている点も垂直磁場で用いる場合と全く同じである。また、実際の受信コイルは、コイル導体をキャパシタで複数箇所分割し、コイルの共振周波数を核磁気共鳴周波数とマッチングさせて用いる。
本発明の実施形態における受信コイルは、被検体103の側面(R側、L側)を覆うように配置されたサブコイル6−1−1、6−1−2及びサブコイル7−1−1、7−1−2と被検体103を挟んで上下に配置されたサブコイル5−1の合計3種類のサブコイルで1つのブロックが構成される。サブコイル6−1−1、6−1−2及びサブコイル7−1−1、7−1−2は、それぞれ同種コイル2つが基準面A0−P0に対して面対称には位置されており、この1ブロックを単位として、HF方向に複数ブロック配列することができる。
次に、受信コイルを構成する3種類のサブコイルの具体的な構成と水平磁場に対する感度分布、及び、これらサブコイル同士の関係について詳述する。
まず、サブコイル6−1は、図4の(A)に示すような、被検体103の表面に配置された2つの電流ループを有するコイル(サドルコイル)である。図4の(A)では一つのサブコイルのみを示しているが、図4の(B)に示すように体軸方向に配置された2つのサブコイル6−1−1、6−1−2で受信コイルの1ブロックが構成され、2つのサブコイルのほぼ中央に基準面A0−P0が位置するように配置される。受信コイル全体では、サブコイル6−1を体軸方向に連続して配置し、被検体103全体を覆う構成となる。この際、隣接する2つのコイルは適度にオーバーラップ(面積で10%程度)させて配置される。これにより、隣接コイル間同士の磁気結合を除去する。また、サブコイル6−1は被検体103の両側面を取り囲むように湾曲部を有している。このような構成のサブコイル6−1のRL方向感度分布を図13の(B)の曲線601に示す。図示するようにサブコイル6−1は、垂直磁場で用いる場合と同様、被検体深部における感度が高い感度分布となる。
サブコイル7−1は、図5の(A)に示すような被検体103の表面に配置された3つの電流ループを有するコイルであり、被検体103の両側面を取り囲むように湾曲部を有している。図5の(A)ではサブコイルをーつのみを示しているが、図5の(B)に示すようにHF軸方向に配置された2つのサブコイル7−1−1、7−1−2で受信コイルの1ブロックが構成される。1ブロックにおいて、これら2つのサブコイル7−1−1、7−1−2は、2つのサブコイルのH−F軸方向のほぼ中央に基準面A0−P0が位置するように配置される。受信コイル全体では、サブコイル7−1をH−F方向に連続して配置し、被検体103全体を覆う構成となる。この際、H−F方向に隣接する2つのコイルを適度にオーバーラップ(面積で10%程度)させることにより、隣接コイル間同士の磁気結合を除去する。
このような構成のサブコイル7−1は、2箇所の交差点において、交差している2本の導線には同じ向きの電流が流れているため、交差点における感度が最も高い。また、それぞれの交差点における電流の向きは互いに逆向きであるため、交差点での感度を最大にして、2つの交差点を結ぶ線分の垂直2等分線上では感度が最小となる。但し、垂直磁場に対しては2つの交差点を結ぶ線分の垂直2等分線上で感度ゼロになるが、水平磁場に対しては真ん中のループで感度を持つため、ゼロにはならない。このようなサブコイル7・1の感度分布は、図13の(B)の曲線701で表すような分布となる。垂直磁場で用いる場合と同様、2つの電流ループを有するサブコイル6−1の感度が最小となる2箇所の領域の近辺に3つの電流ループを有するコイル7−1の感度が最大となる2箇所の領域(2つの交差点の存在する領域)をおおむね一致させて配置すれば、一方に電流を流したときに、他方に発生する誘導磁場は実用上無視できる程度とすることができ、サブコイル6−1とサブコイル7−1の間の電磁気的カップリングは実用上問題ないレベルに抑制される。
サブコイル5−1は、図7の(A)あるいは図8の(A)に示すような形状を有している。このサブコイル5−1は、被検体103に対してA−P軸方向に対向配置されるほぼ同形のコイル4100及び4200を導通させて、一つの給電点を有するコイルとしたものである。但し、これらコイル4100及び4200は、外部コイルユニット504を装着する向きによって、2つの電流ループを、図7の(A)に示すようにHF方向に並べる場合と、図8の(A)に示すようにR−L方向に並べる場合とで水平磁場に対する感度分布が異なる。
いずれの場合も、2つの電流ループの間に交差点4110及び4210が形成されるが、図17の(A)に示す向きの場合、サブコイル5−1は、交差点4110及び4210が、基準面A0−P0と同一面内に位置し、且つ2つのコイル4100と4200が基準面H0−F0に対してほぼ対称の位置に収納されるように配置される。
一方、図17の(B)に示すの向きの場合、サブコイル5−1は、交差点4110及び4210が、被検体103のRL軸の真ん中に位置し、且つ2つのコイル4100と4200が基準面H0−F0に対してほぼ対称の位置に収納されるように配置される。サブコイル5−1が発生する磁場については、図17の(A)の向きに設置した場合、支配的な磁場の向きは破線矢印8−1、8−2の向きのように、基準面A0−P0付近でHF方向に、電流ループの真中付近ではAP方向にそれぞれ生じる。この場合には被検体103が存在するコイル内部の被検体103深部の基準面A0−P0付近においては静磁場方向と常に同じであるため、ほとんど感度を持たず、図17の(C)の曲線501のような感度分布となる。また、基準面A0−P0から離れた電流ループの真中付近の断面においてはAP方向成分の磁場をもつため、感度が生じ、図17の(C)の破線曲線502のような感度分布となる。一方、図17の(B)の向きに設置した場合、支配的な磁場の向きは、図17の(B)中の破線矢印8−3、8−4の向きに生じる。この場合には被検体103が存在するコイル内部の領域では常に静磁場方向に対して垂直方向に磁場成分をもつので感度を持つが、基準面H0−F0では互いに逆向きの磁場が発生し、磁場が打ち消し合い、感度がほぼゼロになる。そのため、感度分布は図17の(D)の曲線501で示すようになり、基準面H0−F0で磁場がゼロで、その平面に関して対称な分布となる。
次に、上述したサブコイル同士のHF方向に連続配置した場合の水平磁場に対するHF方向感度分布について説明する。被検体103の表面に配置されたサブコイル6−1とサブコイル7−1についても適切な配置とすることによりコイル間の電磁気的カップリングは実用上問題ないレベルに抑制される。また、HF方向に連続配置する場合は、互いにオーバーラップによると同時に公知のデカップリング方法、例えば、信号検出に低入力インピーダンスのアンプを用い磁気結合を抑制する方法などを併用すればコイル間の電磁気的カップリングは実用上問題ないレベルに抑制される。
図18は、各サブコイルのR−:F軸方向感度分布を示す図である。図18において、曲線604及び605は、それぞれ図4の(B)のサブコイル6−1−1及び6−1−2のH−F軸方向感度分布である。曲線704及び705は、それぞれ図5の(B)のサブコイル7−1−1及び7−1−2のH−F軸方向感度分布である。曲線504及び505はそれぞれサブコイル5−1を図7の(A)の向き及び図8の(A)の向きに装着した場合のH−F軸方向感度分布である。そして、これらを同時に用いた場合のHF方向の合成感度分布が、サブコイル5−1を図7の(A)の向きに設置した場合が曲線904で、サブコイル5−1を図8の(A)の向きに設置した場合が曲線905で示され、水平磁場に対しても被検体の深部における感度が高いまま全身のような広い領域の撮影が可能であることがわかる。また、サブコイル5−1を図8の(B)の向きに設置した場合の方が、均一度は高くなる。更に、被検体103のP側表面に近いほど感度が高くなる。また、水平磁場に対する各サブコイルの感度分布は、図13の(B)、図17の(C)、(D)、及び図18に示したように、RL方向、HF方向およびAP方向の3つの方向について異なる感度分布をもつようになるので、どの方向に位相エンコード方向を選んでもGファクタを小さくすることができ、任意方向のパラレルイメージングが可能となる。
以上、本発明の実施形態における受信コイルの1ブロック及びそのブロックをHF方向に連続配置した場合の使用形態について説明したが、上述した5種類のサブコイルを3層構造に配し、被検体103の体軸方向に連続して配置して全身を覆う受信コイルユニットとした場合の3層構造の使用形態の利点について、垂直磁場装置の場合と水平磁場装置の場合それぞれについて説明する。
内部コイルユニット501のみで、図4のサブコイル6−1−1と6−1−2、及び図5のサブコイル7−1−1と7−1−2を形成し、それのみで使用可能である。そして、本発明の実施形態においては、被検体103を内部コイルユニット501の中に入れて検査したり、ベッドコイルユニット502の上に内部コイルユニット501を載せてその中に被検体103を入れて検査する。また、この場合、垂直磁場装置に対しても水平磁場装置に対しても感度を持ち、煩わしいコイルの設置を伴うことなく、計測可能であるため、多数の検査対象を次々と交換して簡易計測を行う場合に便利である。特に、水平磁場装置では、内部コイルユニット501のみで、図18に示した曲線903のように広い範囲にわたって高い感度をもち、且つHF方向とRL方向に感度分布をもつサブコイル構成を実現できるので、HF方向とRL方向の2方向を位相エンコードに設定可能なパラレルイメージングも可能である。一方、垂直磁場装置では、RL方向のみにパラレルイメージングが可能となる。
ベッドコイルユニット502の上に内部コイルユニット501を載せてその中に被検体103を入れ、更に上部コイルユニット503を取り付けた場合、被検体103の周りには、図4のサブコイル6−1−1と6−1−2、及び図5のサブコイル7−1−1と7−1−2、更に、図6のサブコイル3−1及びサブコイル4−1を形成する。この場合、垂直磁場に対しては、図15に示した曲線902のように広い範囲にわたって高い感度をもち、且つHF方向とRL方向に感度分布をもつサブコイル構成を実現できるため、内部コイルユニット501のみを使用する場合に比べて上部コイルユニット503を取り付けるという動作を加えるだけで、HF方向とRL方向の2方向に位相エンコードを設定可能なパラレルイメージングが可能になり、高速で、より高画質な検査が可能となる。
一方、水平磁場に対しては、図6のサブコイル3−1及びサブコイル4−1は感度を持たないので、内部コイルユニット501のみを使う場合と性能は同等であるので、上部コイルユニットを取り付けないで用いることになるが、図18に示した曲線903のように広い範囲にわたって高い感度をもち、且つHF方向とRL方向に感度分布をもつサブコイル構成を実現できる。
ベッドコイルユニット502の上に内部コイルユニット501を載せて、更に上部コイルユニット503を取り付け、更に外部コイルユニット504を図17の(A)に示す向きに取り付けた場合、被検体103の周りには、図4のサブコイル6−1−1と6−1−2、及び図5のサブコイル7−1−1と7−1−2、更に、図6のサブコイル3−1及びサブコイル4−1を形成し、更に、サブコイル5−1を形成する。垂直磁場に対しては、図15に示した曲線902のように広い範囲にわたって高い感度をもち、且つHF方向とRL方向に加えてAP方向にも感度分布をもつサブコイル構成を実現できるため、任意方向に位相エンコードを設定可能なパラレルイメージングが可能になる上、任意断面で高画質な検査が可能となる。
水平磁場に対しては、図18に示した曲線904のように広い範囲にわたって高い感度をもち、且つHF方向とRL方向に加えて基準面A0−P0以外の断面では図17の(C)の曲線502のようにAP方向にも感度分布をもつサブコイル構成を実現できるため、任意方向に位相エンコードを設定可能なパラレルイメージングが可能になる上、その断面で高画質な検査が可能となる。ここで、基準面A0−P0では、図17の(C)に示す曲線501のような感度分布になるため、AP方向には位相エンコードを設定したパラレルイメージングは出来ない。そのため、水平磁場に対して用いる場合は、ベッドコイルユニット502の上に内部コイルユニット501を載せて、更に上部コイルユニット503を取り付け、更に外部コイルユニット504を図17の(B)に示す向きに取り付ければ任意断面でパラレルイメージングが可能になる。但し、サブコイル5−1のRL方向の感度分布が、サブコイル7−1−1と7−1−2と似ているためにGファクタが悪化することがあるので、R−L方向に位相エンコード方向を選択する場合は、外部コイルユニット504を図17の(A)に示す向きに取り付ける方が良い。
以上のようにして、以下の(1)〜(3)の場合に用途に合わせて用いるコイル層を選択することで、最適な手段で撮像できるようになる。
(1)多くの被験者を簡易に検査したい場合。
(2)HF方向とRL方向にのみ位相エンコードを設定する高速撮像を実施したい場合。
(3)任意方向に相エンコードを設定する高速撮像を実施したい場合。
次に、図19及び図20を参照して5種類のサブコイルの連続配置例を説明する。図19はAP軸方向からみたHF−RL平面図、図20はRL軸方向からみたHF−AP平面図である。また、図19及び図20において、それぞれ、(A)はサブコイル3−1と4−1の配置方法、(B)はサブコイル5−1の配置方法、(C)はサブコイル6−1の配置方法、(D)はサブコイル7−1の配置方法をそれぞれ見やすくするために別々に示している。ただし、図19及び図20中、点線で囲って示した1ブロックを共通のブロックとして、同一ブロック内で各々のサブコイルが、被検体103に対して図10に示した位置関係となるように配置する。
体軸方向については、図19及び図20の(B)、(C)、(D)に示した通り、サブコイル5−1、6−1、7−1は、HF軸方向の長さがほぼ等しく、隣接するサブコイル同士は互いに適当な面積だけオーバーラップさせて連続配置することができる。特に、サブコイル6−1に関しては、垂直磁場に対してはサブコイル3−1及びサブコイル4−1とともに、水平磁場に対してはそれのみで被検体深部における感度の向上を図っているため、隣接するサブコイル同士をオーバーラップさせることによって、HF方向に関して常に高い感度を保つことができる。また、図19及び図20の(A)に示したサブコイル3−1とサブコイル4−1は、図のまま動作させると隣接するコイル同士間で互いの電磁気的カップリングが非常に大きく、公知の手法(例えば、信号検出に低入力インピーダンスのアンプを用い磁気結合を抑制する方法)を用いても磁気結合を十分抑制することができない。そのため、一つの撮影ブロックにサブコイル3−1及び4−1はそれぞれ一つずつ存在・動作するように設定・制御する。2つのサブコイル3−1、例えばサブコイル3−1−1と3−1−2と組み合わされるサブコイル4−1−1、4−1−2は、サブコイル3−1−1と3−1−2によって挟まれる導体部分を共有することも可能である。この構成の詳細については、受信コイルのサブコイル制御と併せて後述する。
次に、図21〜図23を参照して、上述した全身用受信コイルを全身撮像に適用した場合の制御方法について説明する。一般に、全身撮像においては撮影領域を被検体103の体軸方向に複数個のブロックに分割して撮影を行う。本発明の実施形態のMRI装置においても、全身用受信コイルを切替え、撮像ブロックに含まれるサブコイルのみが動作するように制御する。また、本発明の受信コイルユニットは、3層構造で形成されるので、使用アプリケーションによって、動作させるコイル層を選択できる。
図21は、切替回路を備えたサブコイル3−1及びサブコイル4−1の構成例を示す図であり、図21の(A)は、2ブロック分のサブコイル4−1(4−1−1及び4−1−2)を示す。被検体103の外周を囲む3つの電流ループのうち、中央に位置する電流ループは、2つのサブコイル4−1−1及び4−1−2で共用される。すなわち、図中左側の電流ループと中央の電流ループでサブコイル4−1−1が構成され、右側の電流ループと中央の電流ループでサブコイル4−1−2が構成されている。給電部20−1、20−2には、それぞれ図示しないプリアンプが接続され、被検体103から発する核磁気共鳴信号が受信されると、プリアンプにて増幅され、検波・AD変換後に信号処理される。また、各電流ループ及び電流ループの接続部には、電流ループに対して並列にキャパシタンス(コンデンサ)19−1(19−1−1〜19−1−5)が接続され、インダクタンス19−2(19−2−1〜19−2−5)とでループ回路を構成している。キャパシタンス19−1とインダクタンス19−2の値はこのループ回路が共鳴周波数で共振するように調整されている。また、各ループ回路には、電流ループを非動作とするための切替回路19−3(19−3−1〜19−3−5)が備えられている。
このような構成において、サブコイル4−1の切替回路19−3に直流電流が流れると、切替回路は導通状態になり、ループ回路が共振回路を形成し、キャパシタンス19−1に高抵抗の素子が挿入された場合と等価になり、サブコイル4−1自身には高周波電流が流れなくなる。すなわち、被検体103から発せされた核磁気共鳴信号を受信しなくなる。一方、直流電流が流れない切替回路19−3はオープン状態なので、サブコイル4−1に対して並列に接続されたキャパシタンス19−1とインダクタンス19−2とでループ回路は形成されず、サブコイル4−1とキャパシタンス19−1によってRF受信コイルを形成する。すなわち、被検体103から発する核磁気共鳴信号を受信する。例えば、切替回路19−3−1、19−3−2、19−3−4には直流電流が流れず、切替回路19−3−3、19−3−5に直流電流が流れるように制御すれば、サブコイル4−1−1は受信コイルとして動作するが、サブコイル4−1−2は受信コイルとして動作しないようにできる。すなわち、サブコイル4−1−1と4−1−2は電磁気的カップリングを生じない。
同様にして、図21の(B)に示したサブコイル3−1についても、例えば、切替回路19−3−6には直流電流が流れず、切替回路19−3−7には直流電流が流れるように制御すれば、サブコイル3−1−1は受信コイルとして動作するが、サブコイル3−1−2は受信コイルとして動作しないようにできる。更に、ここでは図示していないが、他の種類のサブコイル5−1、6−1、7−1にも、それぞれのループに対して少なくとも一つの切替回路19−3及びキャパシタンス19−1及びインダクタンス19−2を備え、例えば、RF照射時に切替回路に直流電流が流れるように制御すれば、RF照射によるコイル及び受信系統回路の破損を防ぐと同時に、送受信間カップリングを防ぐことができる。更に、3層構造のサブコイルのうち、動作させないコイル層を含んで所望のコイル層のみ動作させる場合は、動作させないコイル層の切替回路に直流電流が流れるように制御すれば良い。但し、外部コイルユニット504に含まれるサブコイル5−1(サブコイル4100と4200)については、片方のみを切替回路で動作オフに制御すると、そのパターンが存在するだけで磁場の相殺による電気的な平衡が崩れるため、他のコイルと電磁気的カップリングを生じる。その場合は、外部コイルユニット504を取り付けない方が良い。
全身用受信コイルを用いる場合は、検査領域に応じてサブコイル3−1及び4−1をそれぞれ1つ動作させ、その領域に応じたサブコイル5−1、6−1、7−1をそれぞれ2つずつ動作させて、合計8チャネルのサブコイルを動作させ、それ以外のサブコイルは非動作状態にするとよい。
図22に受信コイルの制御システムの構成例を示す。ただし、図22では、受信コイルとして代表的にサブコイル3−1のみ示したが、その他の種類のサブコイルについても同様に構成できる。この制御システムは、動作させるブロックを選択的に検波回路19−5に接続するブロック選択回路19−4と、サブコイル毎に設けられた切替回路19−3への制御信号を切替えるDC電源切替装置19−6と、制御装置19−7とからなる。
選択回路19−4は、サブコイルの給電点に接続されるプリアンプと検波回路19−5との間に接続され、制御装置19−7から検査領域に応じた信号2001が送信されると、それに応じて検査領域ブロックにあるサブコイルを選択的に検波回路19−5に接続する。DC電源切替装置19−6は、制御装置19−7からは検査領域に応じた制御信号2002が送られると、それに応じて非動作状態のサブコイルの切替回路19−3に対して直流電流を流すように制御される。制御手段19−7は、好適には選択回路19−4で動作コイルを選択するための制御信号2001とDC電源切替回路19−6の制御信号2002を同期させて送信する。例えば、移動するベッドやテーブルに位置検知手段を設けて、ベッドやテーブルの位置に応じたトリガー信号2003を制御手段19−7に渡して制御することもできる。また、ベッドコイルユニット502のジョイント端子や上部コイルユニット503のジョイント受部、あるいは外部コイルユニットを挿入する上側ガイド部や下側ガイド部にコイルが設置されたことを検知する手段を設けて、同様にトリガー信号2003を制御手段19−7に渡して制御することもできる。
このような構成において、動作状態になったサブコイルは、被検体103からの核磁気共鳴信号を受信し、この核磁気共鳴信号は、給電部に接続されたプリアンプによって増幅された後、検波回路19−5に送られる。この時、撮像領域以外のコイルからの受信波は検波回路には送られない。また、同時に複数のサブコイルからの受信信号を一つの検波回路で処理することができる。
次に、本発明の実施形態である受信コイルを用いて、被検体103を載せたテーブルを移動しながら撮像する場合のコイル制御の具体例を説明する。本発明の受信コイルを用いたテーブル移動撮像では、各サブコイルの動作状態を検査領域に応じて選択的に切り換える。各コイルの動作タイムチャートの一例を図23に示す。図23は、撮影領域を(1)〜(7)の7つの領域に分けて、(1)から(7)まで順次撮影領域を切替えて撮影する場合のタイミングチャートである。タイミングチャートの立上り及び立下りのタイミングは、移動するテーブルに備えた位置検知手段が点線で示した位置を検出して発するトリガー信号によって同期される。
一例として、撮影領域(1)の撮影を終えて撮影領域(2)を経て撮影領域(3)までを撮影する場合を説明する。撮影領域(1)を撮影している間は、サブコイル3−1−1、4−1−1、5−1−1及び5−1−2、6−1−1及び6−1−2、7−1−1及び7−1−2が動作している。そして、移動するテーブルに備えられた位置検知手段が撮影領域(1)と撮影領域(2)の境界線(点線z3)を検知すると、点線t3のタイミングでサブコイル3−1−1及び4−1−1が非動作状態になると同時にサブコイル3−1−2及びサブコイル4−1−2が動作状態になる。撮影領域(2)の撮影中、撮影領域(2)のちょうど真中付近(点線z4)を位置検知手段が検知すると、点線t4のタイミングでサブコイル5−1−1が非動作状態になると同時にサブコイル5−1−3が動作状態になる。更に、位置検知手段が撮影領域(2)と撮影領域(3)の境界線(点線z5)を検知すると、点線t5のタイミングでサブコイル6−1−1及び7−1−1が非動作状態になると同時にサブコイル6−1−3及び7−1−3が動作状態になる。以後、位置検知手段が点線のz座標を検知すると同時に、図23で示したタイミングチャート図の各タイミングで各サプコイルが動作/非動作の状態を切替える。なお撮影領域の分割方法やタイミングは図示する例に限らず、任意に設定できる。
以上、本発明の実施形態による第1種類〜第5種類のサブコイルを組み合わせた全身用の受信コイルについて、1ブロックを構成するサブコイルの構造、配置、全身コイルとするための構造、制御方法等を説明した。しかし、本発明の受信コイルの基本的な特徴は、柔軟素材の中にサブコイル6−1−1と6−1−2、及びサブコイル7−1−1と7−1−2を内蔵した内部コイルユニット501で形成される第1のコイル層と、丈夫で耐重量性のある支持体であるベッドコイルユニット502に比較的固い素材でできた上部コイルユニット503を取り付けることによって形成されるサブコイル3−1とサブコイル4−1から成る第2のコイル層と、2つの導体を同軸ケーブルのような柔軟素材の2導体で接続した外部コイルユニット504を取り付けることによって形成されるサブコイル5−1から成る第3のコイル層とで1つのブロック形成するMRI用RFコイルを実現し、それぞれのコイル層を単独でも動作可能にして、被検体103を動かすことなく着脱も可能にした点である。
これにより、サイズ及び重量に関して操作性に優れた受信コイルを実現することができる。また、3層構造のコイルユニットを複数ブロック用いて体軸方向に並べ、適切なコイル層及び適切なブロックを必要に応じて動作可能に制御することで、各部位ごとの小範囲撮像から全身のような広範囲撮像にまで対応させることが可能となる。さらに、水平磁場でも垂直磁場でも用いることが可能であり、各部位ごとのコイルの共通化が図れると同時に、コイルの保管場所の節約や製造コストを削減することができる。
以上のように本発明によれば、水平磁場MRI装置でも垂直磁場MRI装置でも使用が可能で、深部感度が高く、且つGファクタが良好な複数のサブコイルからなる受信コイル及びこの受信コイルを備えたMRI装置を実現することができる。この受信コイルを構成するサブコイルの組合せは、被検体の体軸方向に連続して並べることにより、装着性の優れた全身用受信コイルを構成することができ、各部位ごとのMRI検査から全身のような広範囲の検査まで、被検体を動かすことなく測定できる。また、多層構造を形成しているため、一層のみ用いた簡易計測から全層用いた任意方向のパラレルイメージングによる高速撮像まで、様々な利用形態で使うことができる。いずれの利用形態においても、深部感度が高く、且つGファクタが良好で、コイル同士の電磁気的なカップリングも最小限に抑えられるため、高いS/Nの画像が任意断面で得ることができる。
3−1、4−1、5−1、6−1、7−1・・・サブコイル、19−3・・・切替回路、19−4・・・選択回路、19−5・・・検波回路、19−6・・・DC電源切替装置、19−7・・・制御装置、21・・・載置面、22・・・下側ガイド部、23・・・ジョイント受部、32・・・上側ガイド部、33・・・ジョイント端子、41・・・第1外部ユニット、42・・・第2外部ユニット、43・・・第3外部ユニット、60、70・・・ベッド部、61、71・・・天板、62、72・・・ベッド筐体、100・・・トンネル型MRI装置本体、101・・・静磁場発生磁石、102・・・支持部、103・・・被検体、104・・・開口部、105、205・・・テーブル面、200・・・オープン型MRI装置本体、201・・・静磁場発生磁石、202・・・上部本体、203・・・下部本体、204・・・支柱部、206・・・傾斜磁場コイル、207・・・照射コイル、208・・・RFパワーアンプ、209・・・RFパルス発生器、210・・・シーケンサ、211・・・傾斜磁場電源、212・・・シムコイル、213・・・シム電源、216・・・受信サブコイル、217・・・プリアンプ、218・・・受信器、219・・・計算機、220・・・ディスプレイ、221・・・記憶媒体、411、412、421、422・・・端子、431、432・・・導体、500・・・受信コイルユニット、501・・・内部コイルユニット、502・・・ベッドコイルユニット、503・・・上部コイルユニット、504・・・外部コイルユニット、601・・・第1のコイル層、602・・・第2のコイル層、603・・・第3のコイル層、1000・・・内部サブコイル、1002・・・マット部、2000・・・下部サブコイル、3000・・・上部サブコイル、4000、4100、4200・・・外部サブコイル、4110、4210・・・交差部