JP5170427B2 - 食品、薬品等の保存に適した袋状容器 - Google Patents

食品、薬品等の保存に適した袋状容器 Download PDF

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Description

本発明は、食品、薬品等の保存に関し、酸素バリア性と保香性、耐内容物性に優れた包装体に関するものである。
食品の流通過程、店頭または家庭における貯蔵・保存は、常に解決を求められる課題であり、そのための対策として、あらゆる物理的あるいは化学的方法がこれまでに考案されてきた。例えば、冷凍、冷蔵、乾燥、塩蔵、糖蔵、加熱滅菌、過熱殺菌、包装過熱、包装内部の気相置換などのほかに、酢漬け、安息香酸、ソルビン酸などの化学的保存料の使用などがそれらの対応策として採られてきた。
また、食品の保存性を高めるために香辛料も多用される。香辛料は食品の味を変化させて食欲を増進させる目的や、食品独特の臭みを消すといった作用もある一方で、防腐・殺菌作用が強いものも多い。
しかしながら、食品を保存する場合、香辛料による殺菌作用だけでは十分ではなく、食品の酸化を防止するための酸素バリア性や、保香性も包装容器に付与することが必要である。こうした包装体に保香性や酸素バリア性を付与するために、従来はアルミ箔の積層、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルムの積層やPVDCによるコートフィルム、ポリビニルアルコール(PVA)によるコートフィルムやエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)の積層、無機酸化物を蒸着したフィルムの積層といった手法を用い、酸素バリア性と保香性を付与している。また、これらの積層フィルムを作製するにあたり、接着剤を使用する場合は、ポリウレタン系接着剤を使用することが一般的である。
しかしながら、アルミ箔は各種ガスの保存性に優れているが包装後に商品を金属探知機にかけることができないばかりでなく、焼却時にアルミ残渣が残るといった不利な点がある。また、PVDC、PVAあるいはEVOHを使用したフィルムは各種ガスに関してはバリア性が良好であるが、保香性が実用的に十分ではない場合もある。PVAコートフィルムでは高湿度下でのバリア性が劣るといった問題が、PVDCコートフィルムに関しては焼却時のダイオキシン発生の懸念がある。また、無機酸化物を蒸着したフィルムを使用した場合は、不意の折り曲げ等による蒸着層のクラックに注意を要する。
本発明者らが食品、薬品等の保存方法について検討したところ、前記の各材料は、酸素バリア性能や保香性を十分に有していながら、一般的なポリウレタン系接着剤を使用すると、得られる積層フィルムの耐内容物性が優れておらず、該フィルムを用いて食品、薬品等を保存すると、保存前のフィルムのラミネート強度と比較し、食品、薬品等を保存した後でのラミネート強度が著しく低下する問題があることが明らかになった。
本発明の目的は、食品、薬品等を安定的に、香気を逃すことなく、かつ、包装用積層材料のラミネート強度の低下もなく保存する方法を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のエポキシ樹脂組成物を主成分とする高ガスバリア性接着剤を用いて積層した積層材料を使用して、食品、薬品等を充填して密封保存することで、食品、薬品等を安定に保存できるばかりでなく、優れた保香性も得られ、かつ積層材料のラミネート強度の低下もないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
1. 基材、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層およびエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物層を含むガスバリア性積層フィルムを製袋してなる袋状容器であって、該エポキシ樹脂硬化剤が下記の(A)と(B)と(D)の反応生成物、または(A)と(B)と(C)と(D)の反応生成物であることを特徴とする袋状容器。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成し、且つオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
(D)ポリアミンとの反応によりカーバメート部位を形成する、カーボネート部位を少なくとも1つ有する官能性化合物
2. 前記エポキシ樹脂硬化物層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数が10ml・mm/m・day・MPa以下である第1項記載の袋状容器。
3. 前記ガスバリア性積層フィルムが、熱可塑性樹脂もしくは紙からなる基材、前記エポキシ樹脂硬化物からなる接着剤層、およびシーラント層からなる積層フィルムである第1項記載の袋状容器。
4. 第1項〜第3項のいずれかに記載の袋状容器内に内容物を密封することを特徴とする内容物の保存方法。
本発明の袋状容器によれば、食品、薬品等を安定的に、かつ、香気を逃すことなく、袋状容器のラミネート強度の低下もなく保存することができる。
本発明の袋状容器は、基材、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層およびエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物層を含むガスバリア性積層フィルムを製袋することにより得られる。
製袋する際には、基材は袋外面、シーラント層は袋内面に用いられる。
前記基材としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシリレンアジパミド(N-MXD6)などのポリアミド系フィルム、ポリ乳酸などの生分解性フィルム、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリアクリロニトリル系フィルム、ポリ(メタ)アクリル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム等の熱可塑性樹脂フィルム、カートンなどの紙類、アルミや銅などの金属箔、およびこれらの基材として用いられる各種材料にポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂やポリビニルアルコール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物系樹脂、アクリル系樹脂などの各種ポリマーによるコーティングを施したフィルム、シリカ、アルミナ、アルミなどの各種無機化合物あるいは金属を蒸着させたフィルム、無機フィラーなどを分散させたフィルム、酸素捕捉機能を付与したフィルムなどが使用できる。また、コーティングする各種ポリマーについても無機フィラーを分散させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどが挙げられるが、モンモリロナイトなどの層状珪酸塩が好ましく、またその分散方法としては例えば押出混錬法や樹脂溶液への混合分散法など従来公知の方法が使用できる。酸素捕捉機能を付与させる方法としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等を含む組成物を少なくとも一部に使用する方法等が挙げられる。
本発明では、熱可塑性樹脂もしくは紙からなる基材が好ましい。
これらのフィルム等の材料の厚さとしては10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、熱可塑性樹脂フィルムの場合は一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。また、フィルムの表面には火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。
前記シーラント層としては可撓性ポリマーフィルムを使用することが好ましく、良好なヒートシール性の発現を考慮し、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムを選択することが好ましい。これらのフィルムの厚さは、10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、フィルムの表面には火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。
前記エポキシ樹脂硬化物は、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を硬化させたものであって、該エポキシ樹脂硬化剤は下記の(A)と(B)と(D)の反応生成物、または(A)と(B)と(C)と(D)の反応生成物である。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成し、且つオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
(D)ポリアミンとの反応によりカーバメート部位を形成する、カーボネート部位を少なくとも1つ有する官能性化合物
本発明によれば、23℃、相対湿度60%における酸素透過係数が10ml・mm/m・day・MPa以下の酸素バリア性を有するエポキシ樹脂硬化物を得ることもできる。
以下に、エポキシ樹脂組成物の主成分であるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤について説明する。
本発明におけるエポキシ樹脂は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環式化合物のいずれであってもよいが、高いバリア性の発現を考慮した場合には芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましく、(1)式の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂がより好ましい。具体的にはメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基および/またはグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂などが使用できるが、中でもメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましい。
Figure 0005170427
更に、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂やメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することがより好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することが特に好ましい。
また、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を適切な割合で混合して使用することもできる。
前記エポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類とエピハロヒドリンの反応により得られる。例えば、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂は、メタキシリレンジアミンにエピクロルヒドリンを付加させることで得られる。メタキシリレンジアミンは4つのアミノ水素を有するので、モノ−、ジ−、トリ−およびテトラグリシジル化合物が生成する。グリシジル基の数はメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンとの反応比率を変えることで変更することができる。例えば、メタキシリレンジアミンに約4倍モルのエピクロルヒドリンを付加反応させることにより、主として4つのグリシジル基を有するエポキシ樹脂が得られる。
前記エポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対し過剰のエピハロヒドリンを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下、20〜140℃、好ましくはアルコール類、フェノール類の場合は50〜120℃、アミン類の場合は20〜70℃の温度条件で反応させ、生成するアルカリハロゲン化物を分離することにより合成される。
生成したエポキシ樹脂の数平均分子量は各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対するエピハロヒドリンのモル比により異なるが、約80〜4000であり、約200〜1000であることが好ましく、約200〜500であることがより好ましい。
本発明におけるエポキシ樹脂硬化剤は、下記の(A)と(B)と(D)の反応生成物、または(A)と(B)と(C)と(D)の反応生成物である。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成し、且つオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
(D)ポリアミンとの反応によりカーバメート部位を形成する、カーボネート部位を少なくとも1つ有する官能性化合物
前記(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンとしては、メタキシリレンジアミンが好ましい。
前記(B)多官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸などのカルボン酸およびその誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体のように、アシル基と共役系にある炭素−炭素二重結合を有するものが好ましい。
また、前記(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸などの一価のカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられる。これらを前記(B)多官能性化合物と併用してポリアミンと反応させても良い。反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、エポキシ樹脂硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高い酸素バリア性および各種フィルム材料への良好な接着強度が得られる。
また前記(D)官能性化合物は、ポリアミンとの反応によりカーバメート部位を形成する、少なくとも1つのカーボネート部位を有するものである。このような化合物としては、カーボネート部位を有する鎖状の化合物(以下、鎖状カーボネート化合物ということがある)や、カーボネート部位を有する環状の化合物(以下、環状カーボネート化合物ということがある)などが挙げられ、鎖状カーボネート化合物及び環状カーボネート化合物としては、各々以下の一般式(2)及び一般式(3)で示されるものが、好ましく挙げられる。
Figure 0005170427
式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ベンゾチアゾール基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケン基、下記一般式(4)で示される1価の基を示す。R及びRにおけるアルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。R及びRは、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン原子、アミノ基などが挙げられ、R及びRが芳香環、あるいは複素環を有する場合は、前記のほか、例えばアルコキシ基、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルキリジン基や、チオール基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基などの硫黄原子あるいは窒素原子を含む官能基などが挙げられる。R及びRが芳香環、あるいは複素環を有する場合は、当該環系を構成する原子のなかに、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、上記したR及びRの基は、一例であり、例えば芳香環や複素環を有する基としては、単環式の他、多環式、縮合多環式のいずれであってもよい。
Figure 0005170427
式(4)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ベンゾチアゾール基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケン基、及び−ORで示される1価の基などを示す。Rは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、フェニレン基、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルケニレン基などの2価の基を示す。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ベンゾチアゾール基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケン基などの1価の基を示す。R、R及びRにおけるアルキル基、アルケニル基、アルキレン基、及びアルケニレン基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。R、R及びRは、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン原子、アミノ基などが挙げられ、R及びRが芳香環、あるいは複素環を有する場合は、前記のほか、例えばアルコキシ基、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルキリジン基や、チオール基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基などの硫黄原子あるいは窒素原子を含む官能基などが挙げられる。R、R及びRが芳香環、あるいは複素環を有する場合は、当該環系を構成する原子のなかに、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、上記したR、R及びRの基は、一例であり、例えば芳香環や複素環を有する基としては、単環式の他、多環式、縮合多環式のいずれであってもよい。
式(3)中、Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ベンゾチアゾール基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケン基、下記一般式(5)で示される1価の基を示す。mは1〜4の整数を示し、kは0〜2×(m+1)の整数を示す。Rにおけるアルキル基、アルケニル基、アルキレン基、及びアルケニレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。Rは、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン原子、アミノ基などが挙げられ、R及びRが芳香環、あるいは複素環を有する場合は、前記のほか、例えばアルコキシ基、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルキリジン基や、チオール基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基などの硫黄原子あるいは窒素原子を含む官能基などが挙げられる。Rが芳香環、あるいは複素環を有する場合は、当該環系を構成する原子のなかに、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、上記したRは、一例であり、例えば芳香環や複素環を有する基としては、単環式の他、多環式、縮合多環式のいずれであってもよい。複数のRは、たがいに同じでも異なっていてもよい。
Figure 0005170427
式(5)中、Rはハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ベンゾチアゾール基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケン基などの1価の基を示す。nは1〜4の整数を示し、lは0〜2×nの整数を示す。Rにおけるアルキル基、アルケニル基、アルキレン基、及びアルケニレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。Rは、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン原子、アミノ基などが挙げられ、R及びRが芳香環、あるいは複素環を有する場合は、前記のほか、例えばアルコキシ基、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルキリジン基や、チオール基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基などの硫黄原子あるいは窒素原子を含む官能基などが挙げられる。Rが芳香環、あるいは複素環を有する場合は、当該環系を構成する原子のなかに、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、上記したRは、一例であり、例えば芳香環や複素環を有する基としては、単環式の他、多環式、縮合多環式のいずれであってもよい。複数のRは、たがいに同じでも異なっていてもよい。
上記した一般式(2)で示される鎖状カーボネート化合物としては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1−クロロエチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、アリルメチルカーボネート、ジアリルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、エチル−m−トリルカーボネート、エチル−3,5−キシリルカーボネート、tert−ブチルフェニルカーボネート、tert−ブチル−4−ビニルフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、tert−ブチル−8−キノリニルカーボネート、α−ジクロロベンジルメチルカーボネート、ビストリクロロエチルカーボネート、1−クロロエチル−4−クロロフェニルカーボネート、tert−ブチル−2,4,5−トリクロロフェニルカーボネート、メチル−2,3,4,6−テトラクロロフェニルカーボネート、イソプロピル−2,3,4,6−テトラクロロフェニルカーボネート、tert−ブチル−4−ホルミルフェニルカーボネート、1−クロロエチル−3−トリフルオロメチルフェニルカーボネート、4−メトキシベンジルフェニルカーボネート、4−メトキシフェニル−N−(ブトキシカルボニルオキシメチル)カーボネート、ビス−ニトロフェニルカーボネート、ビス−(2−メトキシカルボニルフェニル)カーボネート、メチル−2−メチル−6−ニトロフェニルカーボネート、エチル−3−メチル−4−ニトロフェニルカーボネート、ベンジル−4−ニトロフェニルカーボネート、4−ニトロフェニル−2−トリメチルシリルエチルカーボネート、2,4−ジニトロ−1−ナフチルメチルカーボネート、3,6−ジクロロ−2,4−ジニトロフェニルエチルカーボネート、2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェニルプロピルカーボネート、2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェニルイソプロピルカーボネート、4−ニトロフェニル[(2S,3s)−3−フェニル−2−オキシラニル]メチルカーボネート、2,4−ジクロロ−6−ニトロフェニルメチルカーボネート、2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロフェニルエチルカーボネート、メチル−2−メチル−4,6−ジニトロフェニルカーボネート、2−クロロ−4−メチル−6−ニトロフェニルイソプロピルカーボネート、4−クロロ−3,5−ジメチル−2,6−ニジトロフェニルメチルカーボネート、2−メチルスルフォニルエチル−4−ニトロフェニルカーボネート、エチル−4−スルフォ−1−ナフチルカーボネート、3−ジメチルアミノプロピルエチルカーボネート、エチル−4−フェニルアゾフェニルカーボネート、4−クロロ−3,5−ジメチルフェニルメチルカーボネート、1,3−ベンゾチアゾール−2−イル−2−プロピニルカーボネート、イソブチル−3−オキソ−3H−フェノキサジン−7−イル−カーボネート、4−(イミノメチレン−スルフェニル)−2,5−ジメチルフェニルメチル、5−o−メトキシカルボニル−1,2−o−(1−メチルエチリデン)−α−D−キシロフラノース、エチレングリコールビス−(メチルカーボネート)、o−カルボメトキシ−サリチル酸、カルボン酸−1,1−ジメチル−2−オキソプロピルエステルメチルエステル、カルボン酸−ジ−o−トリルエステル、カルボン酸−2−エチニルシクロヘキシルエステルフェニルエステル、カルボン酸−エチルエステル−(2−オキソベンゾトリアゾール−3−イル)メチルエステル、カルボン酸−2−クロロエチルエステル−(2−オキソベンゾトリアゾール−3−イル)エステル、カルボン酸−アリルエステル−(2−オキソベンゾチアゾール−3−イル)メチルエステル、カルボン酸−ヘキシルエステル−(2−オキソベンゾチアゾール−3−イル)メチルエステル、カルボン酸−ベンジルエステル−(2−オキソベンゾチアゾール−3−イル)メチルエステル、カルボン酸−(ジナフタレン−1−イル)エステル、ジメチルジカーボネート、ジエチルジカーボネート、ジ−tert−ブチルジカーボネート、ジ−tert−アミルジカーボネート、ジアリルジカーボネート、ジベンジルジカーボネートなどが挙げられる。
上記した一般式(3)で示される環状カーボネート化合物としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,3−ジオキサン−2−オン、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メトキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、(クロロメチル)エチレンカーボネート、5,5−ジエチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−メチル−5−プロピル−1,3−ジオキサン−2−オン、エリスリトールビスカーボネート、4,5−ジフェニル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,6−ジフェニルチエノ−[3,4−d]−1,3−ジオキソール−2−オン−5,5−ジオキシドなどが挙げられる。
上記したなかでも、一般式(2)で示される鎖状カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、トリメチレンカーボネートが好ましく、一般式(3)で示される環状カーボネート化合物としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。ポリアミンとの反応性の観点から、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリエチレンカーボネートがより好ましく、それぞれ単独又は任意の範囲で混合して用いても良い。
(A)と(B)と(D)の反応生成物、または(A)と(B)と(C)と(D)の反応生成物は、(A)に対して(B)と(C)と(D)、または(B)と(D)を反応させることにより得られる。反応は、(B)と(C)と(D)、または(B)と(D)を任意の順序もしくは混合して反応することができるが、始めに(A)と(B)とを反応させることが好ましい。
(A)と(B)との反応は、(B)としてカルボン酸、エステル、アミドを使用する場合には0〜100℃の条件下で(A)と(B)とを混合し、100〜300℃、好ましくは130〜250℃の条件下で脱水、脱アルコール、脱アミンによるアミド基形成反応を行うことにより実施される。
アミド基形成反応の際には反応を完結させるために必要に応じて反応の最終段階において反応装置内を減圧処理することもできる。また、必要に応じて非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。更に脱水剤、脱アルコール剤として、亜リン酸エステル類などの触媒を添加することもできる。
一方、(B)として酸無水物、酸塩化物を使用する場合には0〜150℃、好ましくは0〜100℃の条件下で混合後、アミド基形成反応を行うことにより実施される。
アミド基形成反応の際には反応を完結させるために必要に応じて反応の最終段階において反応装置内を減圧処理することもできる。また、必要に応じて非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。更にピリジン、ピコリン、ルチジン、トリアルキルアミンなどの3級アミンを添加することもできる。
上記反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、アミン系硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高い酸素バリア性および金属やコンクリート、プラスチックなどの基材への良好な接着強度が得られる。
また、(A)と(B)の反応比は、モル比((B)/(A))が0.3〜0.95の範囲が好ましい。上記範囲とすることにより、エポキシ樹脂硬化剤中に十分な量のアミド基が生成するとともに、エポキシ樹脂との反応に必要なアミノ基の量が確保されるので、高いガスバリア性と優れた接着性を発現し、塗布時の作業性も良好なエポキシ樹脂硬化剤を得ることができる。
(A)と(D)との反応は、40〜200℃の条件下で(A)と(D)とを混合し、40〜200℃、好ましくは60〜180℃の条件下で付加反応によるウレタン基形成反応を行うことにより実施される。また必要に応じナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、t-ブチトキシカリウムなどの触媒を使用することが出来る。
カーバメート部位形成反応の際には、反応を促進するために必要に応じて(D)を溶融もくしは非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。
上記反応により導入されるカーバメート部位は高い凝集力とエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応性を低下する特性を有しており、アミン系硬化剤中に高い割合でカーバメート部位が存在することにより、より長いポットライフ、すなわちより良い作業性とより高い酸素バリア性および金属やコンクリート、プラスチックなどの基材への良好な接着強度が得られる。
また、(A)と(D)の反応比は、モル比((D)/(A))が0.05〜1.5の範囲の任意の比率で可能であり、0.1〜0.7の範囲が好ましい。上記範囲とすることにより、アミン系硬化剤中に十分な量のカーバメート部位が生成し、高いガスバリア性と長いポットライフが発現する良好なエポキシ樹脂硬化剤を得ることが出来る。
(A)と(C)との反応は、(A)と(B)との反応と同様な条件で行うことができる。
(A)と(B)と(D)の反応、または(A)と(B)と(C)と(D)の反応を行う際、(B)、(C)、(D)の比率に制約はないが、(A)と(B)と(D)の反応、または(A)と(B)と(C)と(D)の反応を行う際の(A)の活性水素数(1分子あたり4個)に対する、(B)の炭素−炭素二重結合数、(B)のアシル基数の2倍、(C)のカルボキシル基およびその誘導官能基の数ならびに(D)のカーボネート部位数の和の比が、0.25〜0.99の範囲であることが好ましく、0.3〜0.95の範囲がより好ましい。上記範囲とすることにより、エポキシ樹脂硬化剤中に十分な量のアミド基およびカーバメート部位が生成するとともに、エポキシ樹脂との反応に必要なアミノ基の量が確保されるので、高いガスバリア性と優れた塗膜性能を発現し、塗装時の作業性も良好なエポキシ樹脂硬化剤を得ることができる。
高いバリア性、長いポットライフおよび良好な接着性の発現を考慮した場合には、(A)と(B)と(D)との反応モル比((A)対(B)対(D))を、1対0.7〜0.95対0.1〜0.7、好ましくは1対0.75〜0.9対0.1〜0.5、特に好ましくは1対0.8〜0.9対0.1〜0.4の範囲とし、反応生成物であるオリゴマーの平均分子量を高くしたエポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。
より好ましいエポキシ樹脂硬化剤は、(a)メタキシリレンジアミンと、(b)アクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体と、(d)エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートまたはトリメチレンカーボネートとの反応生成物である。ここで、(a)と(b)と(d)の反応モル比((a)対(b)対(d))は、好ましくは1対0.7〜0.95対0.1〜0.7、より好ましくは1対0.75〜0.9対0.1〜0.5、特に好ましくは1対0.8〜0.9対0.1〜0.4である。
前記エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の配合割合については、一般にエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応によりエポキシ樹脂硬化物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素数の比が0.2〜5.0、好ましくは0.2〜4.0、より好ましくは0.3〜3.0の範囲である。この範囲とすることにより、良好な密着性とバリア性を発現できる。
また、本発明において、前記エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂組成物、ポリアクリル系樹脂組成物、ポリウレア系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を混合してもよい。
また、前記エポキシ樹脂組成物には、各種フィルム材料に塗布時の表面の湿潤を助けるために、必要に応じてシリコンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加しても良い。適切な湿潤剤としては、ビック・ケミー社から入手しうるBYK331、BYK333、BYK340、BYK347、BYK348、BYK354、BYK380、BYK381などがある。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜2.0重量%の範囲が好ましい。
また、前記エポキシ樹脂組成物には各種フィルム材料に塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
また、前記エポキシ樹脂組成物には必要に応じ、低温硬化性を増大させるための例えば三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体などの三フッ化ホウ素のアミン錯体、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジ-n-ブチルエーテル錯体などの三フッ化ホウ素のエーテル錯体、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類、安息香酸、サリチル酸、N-エチルモルホリン、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸コバルト、塩化第一錫などの硬化促進触媒、ベンジルアルコールなどの有機溶剤、リン酸亜鉛、リン酸鉄、モリブデン酸カルシウム、酸化バナジウム、水分散シリカ、ヒュームドシリカなどの防錆添加剤、フタロシアニン系有機顔料、縮合多環系有機顔料などの有機顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、カーボンブラックなどの無機顔料等の各成分を必要割合量添加しても良い。
また、前記エポキシ樹脂組成物により形成される接着層(硬化物層)のガスバリア性、耐衝撃性、耐熱性などの諸性能を向上させるために、エポキシ樹脂組成物の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機フィラーを添加しても良い。フィルムの透明性を考慮した場合には、このような無機フィラーが平板状であることが好ましい。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。
また、前記エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
さらに、前記エポキシ樹脂組成物により形成される接着層のプラスチックフィルム、金属箔、紙などの各種フィルム材料に対する接着性を向上させるために、エポキシ樹脂組成物の中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
本発明におけるガスバリア性積層フィルムは、例えば、前記エポキシ樹脂組成物からなる接着剤を使用して基材とシーラント層をラミネートすることで得られるが、この3層構成に限定されず、基材として使用できる各種フィルム材料を更に積層した多層構成としてもよい。本発明では少なくとも1個所に前記エポキシ樹脂組成物からなる接着剤を使用すればよく、他の個所については、ポリウレタン系接着剤等、他の接着剤を使用してもよいし、樹脂同士を溶着させてもよい。
前記ガスバリア性積層フィルムの各層を構成するフィルム材料の表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されることが望ましい。このような処理は各種フィルム材料に対する接着層の良好な接着を促進する。また、フィルム材料の表面に適切な表面処理がなされた後で、必要に応じて印刷層を設けることもできる。印刷層を設ける際には、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来のポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。また、印刷層を形成するインキについても、アゾ系、フタロシアニン系などの顔料、ロジン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンなどの樹脂、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの溶剤等から形成される従来のポリマーフィルムへの印刷層に用いられてきたインキが同様に適用され得る。
本発明において、接着剤塗布面はプライマー(メジウム)層を形成していてもよい。その場合、基材との密着性を有している限り1液系、2液系とも様々な化学構造のプライマーが使用可能であり、好ましくは接着剤の主溶剤として好適に用いられるメタノールなどのアルコールの浸透性が低いポリエステル系プライマーが実用的である。またプライマー層の厚さは0.01〜20μm、好ましくは0.1〜5μmが実用的である。0.01μm未満では十分な密着性が発揮し難く、一方20μmを超えると均一な厚みのプライマー層を形成することが困難になる。
前記エポキシ樹脂組成物からなる接着剤を使用して、各種フィルム材料をラミネートする場合には、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、押出しラミネート等公知のラミネート法を用いることが可能であるが、本発明においては、ドライラミネートが好ましい。
前記接着剤を各種材料に塗布し、ラミネートする場合には、接着剤層となるエポキシ樹脂硬化物を得るのに十分なエポキシ樹脂組成物の濃度および温度で実施されるが、これは開始材料およびラミネート方法の選択により変化し得る。すなわち、エポキシ樹脂組成物の濃度は選択した材料の種類およびモル比、ラミネート方法などにより、溶剤を用いない場合から、ある種の適切な有機溶剤および/または水を用いて約5重量%程度の組成物濃度に希釈して塗布液を調製する場合までの様々な状態をとり得る。使用される有機溶剤としては、接着剤との溶解性を有するあらゆる溶剤が使用し得る。例えばトルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトンなどの非水溶性系溶剤、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどのアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。
溶剤で希釈した接着剤(塗布液)は、そのザーンカップ(No.3)粘度が5〜30秒(25℃)の範囲となるような濃度で希釈され得る。ザーンカップ(No.3)粘度が5秒未満では接着剤が被塗物に十分塗布されず、ロールの汚染などの原因となる。またザーンカップ(No.3)粘度が30秒を超えると、接着剤がロールに十分移行せず、均一な接着剤層を形成するのは困難となる。たとえばドライラミネートではザーンカップ(No.3)粘度はその使用中に10〜20秒(25℃)であることが好ましい。
本発明における塗布液を調製する際に塗布液の泡立ちを抑えるために、塗布液の中に、シリコンあるいはアクリル系化合物といった消泡剤を添加しても良い。適切な消泡剤としては、ビック・ケミー社から入手しうるBYK019、BYK052、BYK065、BYK066N、BYK067N、BYK070、BYK080、などがあげられるが、特にBYK065が好ましい。また、これら消泡剤を添加する場合には、塗布液中のエポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜3.0重量%の範囲が好ましく、0.02重量%〜2.0重量%がより好ましい。
また、溶剤を使用した場合には、接着剤を塗布後の溶剤乾燥温度は20℃から140℃までの様々なものであってよいが、溶剤の沸点に近く、被塗物への影響が及ばない温度が望ましい。乾燥温度が20℃未満ではラミネートフィルム中に溶剤が残存し、接着不良や臭気の原因となる。また乾燥温度が140℃を超えると、ポリマーフィルムの軟化などにより、良好な外観の積層フィルムを得るのが困難となる。例えば接着剤を延伸ポリプロピレンフィルムに塗布する際は、40℃〜120℃が望ましい。
接着剤を塗布する際の塗装形式としては、ロール塗布やスプレー塗布、エアナイフ塗布、浸漬、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。ロール塗布またはスプレー塗布が好ましい。例えば、ポリウレタン系接着剤成分をポリマーフィルムに塗布し、ラミネートする場合と同様のロールコートあるいはスプレー技術および設備が適用され得る。
続いて、各ラミネート方法での具体的な操作について説明する。ドライラミネート法の場合には、基材を含むフィルム材料に前記塗布液をグラビアロールなどのロールにより塗布後、溶剤を乾燥させ直ちにその表面に新たなフィルム材料をニップロールにより貼り合わせることにより積層フィルムを得ることができる。接着剤を調製する際の溶剤としては、溶解性が良く、比較的沸点が低い、炭素数3以下のアルコールを含む溶剤であることが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびn−プロパノールからなる群から選ばれる1種以上を主成分とする溶剤が例示される。さらに、エポキシ樹脂とポリアミンとの反応を遅延し接着剤の増粘を抑え作業時間を長くする効果があるエステル基、ケトン基、アルデヒド基のいずれかの官能基を有する溶剤を混合した混合液であることが好ましい。エステル基、ケトン基、アルデヒド基のいずれかの官能基を有する溶剤を混合した混合液としては、比較的沸点が低い、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上を混合した混合液が例示される。得られる積層フィルムに残留する溶剤量が少ないフィルムを得るために、エステル基、ケトン基、アルデヒド基のいずれかの官能基を有する溶剤の含有量は、全溶剤中の20重量%以下が好ましい。ここで、積層フィルムに残留する溶剤が多い場合、悪臭の原因となるため、残留する溶剤量は7mg/m以下が実用的であり、7mg/mより多い場合は、フィルムから異臭が感じられる原因となる。フィルムの臭気を厳密に管理する場合には5mg/m以下が好ましく、3mg/m以下が特に好ましい。
ドライラミネート法において、接着剤は、シーラント層に塗布することも可能であり、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムに塗布、乾燥後、延伸ポリプロピレン、ポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの基材を貼りあわせる事により、積層フィルムを製造することができる。
ニップロールにより貼り合せる場合、ニップロールは20℃〜120℃に加熱して貼り合せることができるが、40〜100℃が望ましい。
この場合、ラミネート後に必要に応じて20℃〜60℃で一定時間のエージングを行ない、硬化反応を完了することが望ましい。一定時間のエージングを行なうことにより、十分な反応率でエポキシ樹脂硬化物が形成され、高いガスバリア性が発現する。エージングが20℃以下もしくはエージングなしでは、エポキシ樹脂組成物の反応率が低く、十分なガスバリア性及び接着力が得られない。また60℃以上のエージングはポリマーフィルムのブロッキングや添加剤の溶出などの問題が起こり得る。
また、ノンソルベントラミネート法の場合には、基材を含むフィルム材料に予め40℃〜100℃程度に加熱しておいた前記接着剤を40℃〜120℃に加熱したグラビアロールなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることにより積層フィルムを得ることができる。この場合もドライラミネート法の場合と同様にラミネート後に必要に応じて一定時間のエージングを行うことが望ましい。
押出しラミネート法の場合には、基材を含むフィルム材料に接着補助剤(アンカーコート剤)として前記接着剤の主成分であるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤の有機溶剤および/または水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、20℃〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行なった後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることにより積層フィルムを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
これらのラミネート法およびその他の一般的に使用されうるラミネート法は必要に応じて組み合わせることも可能であり、用途や形態に応じて積層フィルムの層構成は変化し得る。
前記接着剤を各種材料等に塗布、乾燥、貼り合わせ、熱処理した後の接着剤層の厚さは0.1〜100μm、好ましくは0.5〜10μmが実用的である。0.1μm未満では十分なガスバリア性および接着性が発揮し難く、一方100μmを超えると均一な厚みの接着剤層を形成することが困難になる。
前記積層フィルムは優れたラミネート強度を有する。熱処理後の300mm/minの剥離速度でのラミネート強度は、基材やシーラント層の材質により異なるが、例えば、基材が延伸ポリプロピレンの場合は、80g/15mm以上が好ましく、100g/15mm以上がより好ましく、特に好ましくは120g/15mm以上である。一方、基材が延伸ナイロンやポリエチレンテレフタレートの場合は、シーラント層が低密度ポリエチレンであれば600g/15mm以上が好ましく、700g/15mm以上がより好ましく、特に好ましくは800g/15mm以上であり、シーラント層が無延伸ポリプロピレンであれば300g/15mm以上が好ましく、400g/15mm以上がより好ましく、特に好ましくは500g/15mm以上である。このラミネート強度が十分でない場合、積層フィルムのトンネリングやフィルムを巻き取る際の巻きズレなどの問題が発生する。
前記ガスバリア性積層フィルムを製袋して袋状容器とすることにより、食品や医薬品などの保存や保護をすることができる。該袋状容器は、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。
本発明の袋状容器は、前記ガスバリア性積層フィルムを使用し、そのシーラント層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺端部をヒートシールしてシール部を形成して製造することができる。その製袋方法としては、例えば、前記ガスバリア性積層フィルムを折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールする方法が挙げられる。包装用袋は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
前記袋状容器にその開口部から食品、薬品等を充填し、しかる後、その開口部をヒートシールして密封することで、食品、薬品等を保存することができる。
例えば食品としては、香辛料含有食品、醤油、酢、ソース、コーヒー、紅茶、ココア、レモン果汁、カレー粉などが挙げられる。薬品としては、サリチル酸メチル、リモネン、L-メントール、ナフタレン、p-ジクロロベンゼンなどが挙げられる。また、リモネンを含有する食品や薬品(リモネン含有物品)であってもよい。
前記リモネン含有物品とは、リモネンを含有する種々の物品を指す。例えば、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、シリアルフーズなどのステープル類、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼ、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、柚子などの果肉/柑橘類、チルド惣菜などの調理済食品、クリーム、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、ペットフードなどの食品類が挙げられる。また、詰め替えシャンプーやリンス、ボディーソープなどの液体洗剤、防虫剤、消臭剤、芳香剤、医薬品、化粧品なども挙げられる。
前記香辛料含有食品とは、各種香辛料を含有する種々の物品を指す。該香辛料としては、例えば、ミント、サボリー、バジル、シソ、マジョラム、オレガノ、セージ、タイム、ローズマリーなどのシソ科植物類、トウガラシ、パプリカ、などのナス科植物類、ゴマなどのゴマ科植物類、タラゴンなどのキク科植物類、コショーなどのコショー科植物類、ナツメグ、メースなどのニクズク科植物類、ローレル、シナモン、カシアなどのクスノキ科植物類、スターアニスなどのモクレン科植物類、マスタード、ワサビ、ホースラディッシュなどのアブラナ科植物類、フェネグリークなどのマメ科植物類、サンショーなどのミカン科植物類、クローブ(チョウジ)、オールスパイスなどのフトモモ科植物類、ディル、セロリー、キャラウェイ、コリアンダー、クミン、フェンネル、パセリ、アニスなどのセリ科植物類、ガーリック、オニオンなどのユリ科植物類、サフランなどのアヤメ科植物類、ジンジャー、ターメリック、カルダモンなどのショウガ科植物類、バニラビーンズなどのラン科植物類が挙げられる。本発明においては、シソ科植物類、クスノキ科植物類、アブラナ科植物類あるいはフトモモ科植物類を含有する食品を特に好ましく保存することができる。
前記で挙げた他にも、充填できる内容物としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。また、タバコ、使い捨てカイロ、医薬品、化粧品などの包装材料としても使用され得る。
以下に本発明の実施例を紹介するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<エポキシ樹脂硬化剤A>
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。メタノールを1.5時間かけて滴下して固形分濃度65%とし、65℃に冷却した後、溶融したエチレンカーボネート0.27molを30分かけて滴下し、5時間65℃に保持し、エポキシ樹脂硬化剤Aを得た。
また、酸素バリア性(酸素透過度、酸素透過率、酸素透過係数)、ラミネート強度、保香性の評価方法は以下の通りである。
<酸素バリア性>
フィルム面積200cmの四方シール袋内に窒素ガス(酸素濃度0.03%以下)100mlを密封した後、温度23℃、相対湿度60%で7日間保存した。GC(島津製作所製 GC-14B)にて袋内酸素濃度を測定することにより酸素透過度(ml/袋・7days・MPa)を求め、酸素透過率(ml/m2・day・MPa)を算出した。
酸素透過係数については、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/21)を使用して、塗料溶液(エポキシ樹脂組成物)を基材に塗布して硬化させて得たコートフィルム、及び基材そのものの酸素透過率を23℃、相対湿度60%の条件下で測定し、塗膜の酸素透過係数(ml・mm/m・day・MPa)を以下の式を用いて計算した。
1/R=1/R+DFT/P
ここで、
=コートフィルムの酸素透過率(ml/m・day・MPa)
=基材の酸素透過率(ml/m・day・MPa)
DFT=塗膜の厚み(mm)
P=塗膜の酸素透過係数(ml・mm/m・day・MPa)
以下に塗料溶液及び基材の条件を示す。
基材:ポリエチレンテレフタレートフィルム(100μm)(東レ(株)製;ルミラー)
塗装:バーコーターNo.24使用
塗料溶液の固形分濃度:40%
<ラミネート強度 (g/15mm)>
フィルム面積200cmの四方シール袋内に食品、薬品等を100ml密封した後、温度23℃、相対湿度60%で14日間保存した。内容物保存前(初期)と14日間保存後の積層フィルムのラミネート強度を測定した。測定は、JISK−6854に指定されている方法を用い、T型剥離試験により300mm/minの剥離速度にて行った。
<保香性>
フィルム面積200cmの四方シール袋内に食品、薬品等を、液体の場合は20ml、固体の場合は20g密封し、この密封袋をガラス容器に密封して、温度23℃、相対湿度60%で1〜14日保存した。各経時毎に官能試験により臭気漏れの有無を確認した。内容物の保香性が保たれているものを○、若干の臭気漏れが確認されるものを△、明らかな臭気漏れが確認されるものを×とした。
<積層フィルムA>
エポキシ樹脂硬化剤Aを245重量部およびメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を50重量部、メタノール265重量部、酢酸エチル39重量部を含む溶液を作製し、そこにシリコン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.1重量部加え、よく攪拌することにより、塗布液を得た。
この塗布液を厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(東洋紡績(株)製;ハーデンN1102)に110線/inch深さ95μmのグラビアロール、硬度A70(JIS K 6253)の圧胴を圧胴圧2kg/cmにて使用して塗布し(塗布量:3.8 g/m(固形分))、次いで60℃(入り口付近)〜90℃(出口付近)の乾燥オーブンで乾燥させた後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)製TUX−MCS)を、70℃に加熱したニップロールにより貼り合わせ、巻取り速度120m/minで巻取り、40℃で2日間エージングすることによりラミネートフィルム(積層フィルムA)を得た。
<積層フィルムB>
厚み15μmの延伸ナイロンフィルムの代わりに、厚み20μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製;パイレンP2161)を用いた以外は積層フィルムAと同様の方法で積層フィルムBを得た。
<積層フィルムC>
塗布液として、ポリエーテル成分(東洋モートン(株)製;TM-329)を50重量部、ポリイソシアネート成分(東洋モートン(株)製;CAT-8B)を50重量部含む酢酸エチル溶液(固形分濃度;30重量%)からなるポリウレタン系接着剤塗布液を用いた以外は積層フィルムAと同様の方法でラミネートフィルム(積層フィルムC)を作製した。
<積層フィルムD>
厚み15μmの延伸ナイロンフィルムの代わりに、厚み20μmのポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)製 AOP−BH)を用いた以外は積層フィルムCと同様の方法で積層フィルムDを得た。
<積層フィルムE>
厚み15μmの延伸ナイロンフィルムの代わりに、厚み20μmのポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリプロピレンフィルム(ダイセル化学工業(株)製 セネシーKOP#6000)を用いた以外は積層フィルムCと同様の方法で積層フィルムEを得た。
<積層フィルムF>
厚み15μmの延伸ナイロンフィルムの代わりに、厚み20μmのポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)製 V−OP OL−D)を用いた以外は積層フィルムCと同様の方法で積層フィルムFを得た。
<実施例1>
12cm×12cmの積層フィルムAを2枚用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三辺シール型の包装用袋を作製した。作製した三辺シール型の包装用袋に窒素ガス、食品又は薬品を充填して開口部をヒートシールして四方シール袋(フィルム面積200cm2)とした後、前記方法にて酸素バリア性とラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。
<実施例2>
12cm×12cmの積層フィルムBを2枚用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三辺シール型の包装用袋を作製した。作製した三辺シール型の包装用袋に窒素ガス、食品又は薬品を充填して開口部をヒートシールした後、前記方法にて酸素バリア性と保香性を評価した。結果を表2に示す。
<比較例1>
積層フィルムAを用いる代わりに、積層フィルムCを用いた以外は実施例1と同様の方法で包装用袋を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
積層フィルムBを用いる代わりに、積層フィルムDを用いた以外は実施例2と同様の方法で包装用袋を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例3>
積層フィルムBを用いる代わりに、積層フィルムEを用いた以外は実施例2と同様の方法で包装用袋を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例4>
積層フィルムBを用いる代わりに、積層フィルムFを用いた以外は実施例2と同様の方法で包装用袋を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005170427
Figure 0005170427

Claims (4)

  1. 基材、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層およびエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物層を含むガスバリア性積層フィルムを製袋してなる袋状容器であって、該エポキシ樹脂硬化剤が下記の(A)と(B)と(D)の反応生成物、または(A)と(B)と(C)と(D)の反応生成物であることを特徴とする袋状容器。
    (A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
    (B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成し、且つオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
    (C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
    (D)ポリアミンとの反応によりカーバメート部位を形成する、カーボネート部位を少なくとも1つ有する官能性化合物
  2. 前記エポキシ樹脂硬化物層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数が10ml・mm/m・day・MPa以下である請求項1記載の袋状容器。
  3. 前記ガスバリア性積層フィルムが、熱可塑性樹脂もしくは紙からなる基材、前記エポキシ樹脂硬化物からなる接着剤層、およびシーラント層からなる積層フィルムである請求項1記載の袋状容器。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の袋状容器内に内容物を密封することを特徴とする内容物の保存方法。
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