JP5169533B2 - インパルス応答加工装置、残響付与装置およびプログラム - Google Patents

インパルス応答加工装置、残響付与装置およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、音響信号に残響を付与するために使用されるインパルス応答を加工する技術に関する。
既存のインパルス応答(以下「初期インパルス応答」という)を音響的な特性が相違する新規なインパルス応答(以下「新規インパルス応答」という)に加工する技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、2種類の初期インパルス応答の各々に加重値を乗算してから加算(線形結合)することで新規インパルス応答を生成する技術が開示されている。
特開2004−294712号公報
しかし、特許文献1の技術においては初期インパルス応答の波形の全体が変化するから、新規インパルス応答と初期インパルス応答とで残響音の音響的な特性が過度に相違する場合がある。以上の事情に鑑みて、本発明は、初期インパルス応答の残響音の特徴を維持しながら、受聴者の知覚する音場の空間的な広がり感を変化させた新規インパルス応答を生成することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明に係るインパルス応答加工装置は、初期インパルス応答を、強度のピークを含む主要反射音ブロックと主要反射音ブロック以外の反射音間ブロックとに時間軸上で区分する波形区分手段と、反射音間ブロックを時間軸上で伸長または短縮して補間ブロックを生成する伸縮手段と、波形区分手段が区分した主要反射音ブロックと伸縮手段が生成した補間ブロックとを連結することで新規インパルス応答を生成する波形合成手段とを具備する。以上の構成においては、初期インパルス応答の主要反射音ブロックと反射音間ブロックの伸縮で生成された補間ブロックとを連結することで新規インパルス応答が生成されるから、初期インパルス応答の残響音の音響的な特徴(主要反射音ブロック)を維持しながら残響音の空間的な広がり感を制御することが可能である。伸縮手段は、反射音間ブロックの伸長および短縮の少なくとも一方を実行する。
残響音の聴感上の印象を特徴づける直接音や初期反射音の殆どは初期インパルス応答のうちの初期反射音区間に含まれる。そこで、本発明の好適な態様における波形区分手段は、初期インパルス応答の初期反射音区間のみを主要反射音ブロックと反射音間ブロックとに区分する。以上の構成においては、初期反射音区間の経過後の後部残響音区間については主要反射音ブロックと反射音間ブロックとに区分されないから、受聴者が知覚する音場の広がり感を有効に変化させながら、主要反射音ブロックと反射音間ブロックとの区分に必要な演算量が削減される。
波形区分手段が初期インパルス応答を主要反射音ブロックと反射音間ブロックとに区分する方法は任意である。例えば、本発明の具体的な態様において、波形区分手段は、初期インパルス応答の強度の時間的な変動を抑制した第1波形を生成する第1平滑手段と、初期インパルス応答の強度の時間的な変動を第1波形よりも抑制した第2波形を生成する第2平滑手段とを含み、第1波形の強度が第2波形の強度を上回る区間を主要反射音ブロックとして特定する。さらに具体的には、初期インパルス応答における第1個数のサンプルの移動平均の時系列を第1平滑手段が第1波形として算定し、初期インパルス応答における第1個数よりも多い第2個数のサンプルの移動平均の時系列を第2平滑手段が第2波形として算定する構成が好適である。以上の態様においては、第1平滑手段および第2平滑手段による簡素な処理で主要反射音ブロックと反射音間ブロックとを高精度に区別できるという利点がある。
本発明の好適な態様において、伸縮手段は、反射音間ブロックを伸張する場合に、反射音間ブロックの少なくとも一部(例えば図8のブロックC0)の波形を変形させた中間ブロックを生成する第1処理手段を含み、中間ブロックから補間ブロックを生成する。例えば、第1処理手段は、両端部に接近するほど関数値が減少する窓関数を反射音間ブロックの少なくとも一部に乗算して中間ブロックを生成する窓掛手段を含む。以上の態様においては、両端部に接近するほど関数値が減少する窓関数の乗算で中間ブロックが生成されるから、中間ブロックと前後のブロックとが滑らかに連続する自然な残響音の新規インパルス応答を生成できるという利点がある。
また、本発明の好適な態様において、第1処理手段は、反射音間ブロックの少なくとも一部について相異なる角度だけ位相を回転させた複数の中間ブロックを生成する移相手段を含み、伸縮手段は、移相手段が生成した複数の中間ブロックを時間軸上に配列することで補間ブロックを生成する。以上の態様においては、相異なる角度だけ位相を回転させることで複数の中間ブロックが生成されるから、複数の中間ブロックの波形が共通する構成と比較して、新規インパルス応答の残響音は聴感上で自然な音響となる。
本発明の好適な態様において、伸縮手段は、反射音間ブロックを伸張する場合に、当該反射音間ブロックのうち始点を含む区間を強度が経時的に減少するように加工した第1ブロック(例えば図8のブロックD1)と、当該反射音間ブロックのうち終点を含む区間を強度が経時的に増加するように加工した第2ブロック(例えば図8のブロックD2)とを生成する第2処理手段を含み、第1ブロックを先頭に配置するとともに第2ブロックを最後尾に配置することで補間ブロックを生成する。以上の態様においては、強度が経時的に減少する第1ブロックを先頭に配置するとともに強度が経時的に増加する第2ブロックを最後尾に配置することで補間ブロックが生成されるから、補間ブロックと前後の主要反射音ブロックとが滑らかに連続する自然な残響音の新規インパルス応答を生成することが可能である。
本発明の好適な態様において、伸縮手段は、反射音間ブロックを短縮する場合に、ブロックの始点を含む第1ブロック(例えば図7のブロックA1a)と反射音間ブロックの終点を含む第2ブロック(例えば図7のブロックA2a)との時間差を短縮することで補間ブロックを生成する短縮処理手段を含む。以上の構成においては、第1ブロックが反射音間ブロックの始点を含むとともに第2ブロックが反射音間ブロックの終点を含むから、補間ブロックと前後の主要反射音ブロックとが滑らかに連続する自然な残響音の新規インパルス応答を生成することが可能である。さらに好適な態様において、短縮処理手段は、第1ブロックと第2ブロックとをクロスフェードすることで補間ブロックを生成する。以上の構成においては、第1ブロックと第2ブロックとを滑らかに連続させることが可能である。
本発明に係る残響付与装置は、以上の各態様に係るインパルス応答加工装置と、インパルス応答加工装置が生成した新規インパルス応答と音響信号との畳込み演算を実行する残響付与手段とを具備する。本発明の残響付与装置によれば、以上の各態様に係るインパルス応答加工装置と同様の作用および効果が実現される。
また、以上の各態様に係るインパルス応答加工装置は、インパルス応答の加工に専用されるDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェア(電子回路)によって実現されるほか、CPU(Central Processing Unit)などの汎用の演算処理装置とプログラムとの協働によっても実現される。本発明に係るプログラムは、初期インパルス応答を、強度のピークを含む主要反射音ブロックと主要反射音ブロック以外の反射音間ブロックとに時間軸上で区分する波形区分処理と、反射音間ブロックを時間軸上で伸縮することで補間ブロックを生成する伸縮処理と、波形区分処理で区分した主要反射音ブロックと伸縮処理で生成した補間ブロックとを連結することで新規インパルス応答を生成する波形合成処理とをコンピュータに実行させる。本発明のプログラムによれば、以上の各態様に係るインパルス応答加工装置と同様の作用および効果が奏される。本発明のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で利用者に提供されてコンピュータにインストールされるほか、通信網を介した配信の形態でサーバ装置から提供されてコンピュータにインストールされる。
図1は、本発明の実施の形態に係る残響付与装置のブロック図である。残響付与装置100には、音響(楽音や音声)の波形を表す音響信号SINが供給される。音響信号SINの供給元(図示略)は、例えば、周囲の音響に応じた音響信号SINを生成する収音機器や、記録媒体から音響信号SINを取得して出力する再生装置である。残響付与装置100は、音響信号SINに残響を付加した残響音信号SRを生成および出力する。残響音信号SRは、スピーカ装置やヘッドホンなどの放音装置(図示略)に供給されることで音波として再生される。
図1に示すように、残響付与装置100は、演算処理装置12と記憶装置14と入力装置16とで構成されるコンピュータシステムである。記憶装置14は、演算処理装置12が実行するプログラムや演算処理装置12が使用するデータを記憶する。例えば初期インパルス応答H0の波形を表すサンプル系列(畳込み演算の係数列)が記憶装置14に格納される。初期インパルス応答H0は、例えば特定の音響空間内でインパルス音を発生させたときの残響音を採取することで事前に生成される。半導体記憶装置や磁気記憶装置などの公知の記録媒体が記憶装置14として任意に採用される。
演算処理装置12は、記憶装置14に格納されたプログラムを実行することで複数の要素(インパルス応答加工部22,残響付与部24)として機能する。なお、演算処理装置12の各要素を複数の集積回路に分散的に搭載した構成や、音響信号SINの処理に専用される電子回路(DSP)が各要素を実現する構成も採用される。
インパルス応答加工部22は、記憶装置14に格納された初期インパルス応答H0を加工することで、初期インパルス応答H0とは音響的な特性が相違する新規インパルス応答HNEWのサンプル系列を生成する。本形態の新規インパルス応答HNEWは、残響音の受聴者が知覚する音場の空間的な広がり感を初期インパルス応答H0から変化させた波形の信号である。残響付与部24は、インパルス応答加工部22が生成した新規インパルス応答HNEWを利用したフィルタ処理(畳込み演算)を音響信号SINに対して実行することで残響音信号SRを生成する。残響付与部24による残響音信号SRの生成には公知の技術が任意に採用される。
入力装置16は、残響付与装置100に対する指示の入力のために利用者が操作する操作子で構成される。例えば、利用者は、入力装置16に対する操作に応じて制御値Rを可変に指定する。制御値Rは、新規インパルス応答HNEWの残響音の受聴者が知覚する音場の空間的な広がり感の指標となる数値である。制御値Rが「1」を下回る場合、初期インパルス応答H0の残響音の受聴時に知覚される音場よりも狭い音場内の残響音として受聴者に知覚される新規インパルス応答HNEW(すなわち初期インパルス応答H0と比較して広がり感が弱い新規インパルス応答HNEW)が生成される。一方、制御値Rが「1」を上回る場合、初期インパルス応答H0の残響音の受聴時に知覚される音場よりも広い音場内の残響音として受聴者に知覚される新規インパルス応答HNEW(すなわち初期インパルス応答H0と比較して広がり感が強い新規インパルス応答HNEW)が生成される。
図2は、インパルス応答加工部22のブロック図である。図2に示すように、インパルス応答加工部22は、波形区分部32と伸縮部34と波形合成部36とを含んで構成される。波形区分部32は、記憶装置14に格納された初期インパルス応答H0を、時間軸上で複数の主要反射音ブロックBaと複数の反射音間ブロックBbとに区分する。
図3の部分(A)は、初期インパルス応答H0における主要反射音ブロックBaと反射音間ブロックBbとの関係を示す概念図である。図3の部分(A)に示すように、初期インパルス応答H0は初期反射音区間Q1と後部残響音区間Q2とに大別される。初期反射音区間Q1は、初期インパルス応答H0の始点から特定の時間長が経過するまでの区間であり、後部残響音区間Q2は、初期反射音区間Q1の終点から初期インパルス応答H0の終点までの区間である。初期反射音区間Q1は、初期インパルス応答H0の収録時に音響空間内のインパルス音の発生点から収音点に直接的に到来する成分(直接音)や音響空間の壁面で1回だけ反射して初期的に収音点に到来する成分(初期反射音)を豊富に含む。
波形区分部32は、初期インパルス応答H0を時間軸上で初期反射音区間Q1と後部残響音区間Q2とに区分したうえで、初期反射音区間Q1のみを主要反射音ブロックBaと反射音間ブロックBbとに区分する。図3の部分(A)に示すように、主要反射音ブロックBaは、初期インパルス応答H0の強度のピークを含む区間(図3にて便宜的に斜線を付加した区間)であり、初期インパルス応答H0の収録時における直接音や初期反射音など、残響音の聴感上の印象を特徴づける重要な成分を豊富に含む。反射音間ブロックBbは、相前後する主要反射音ブロックBaの間隙の区間である。すなわち、反射音間ブロックBbは、音響空間内で複数回の反射や散乱を経て収音点に到達した成分で構成される。
なお、初期反射音区間Q1と後部残響音区間Q2との区分には公知の技術が任意に採用される。例えば、初期インパルス応答H0の包絡線の傾きが不連続に変化する時点や初期インパルス応答H0の始点から所定の時間が経過した時点が初期反射音区間Q1と後部残響音区間Q2との境界点として特定される。また、高域成分を抑制(ローパスフィルタ処理)した初期インパルス応答H0のピークを含む所定長の範囲を初期反射音区間Q1とする構成も採用される。
図4は、波形区分部32の具体的なブロック図である。図4に示すように、波形区分部32は、第1平滑部41と第2平滑部42と比較部44とを含んで構成される。第1平滑部41は、初期インパルス応答H0の強度の時間的な変動(変動の高域成分)を抑制した波形W1を生成し、第2平滑部42は、初期インパルス応答H0の強度の時間的な変動を抑制した波形W2を生成する。
図5に示すように、波形W2は、波形W1と比較して変動の抑制の度合が高い(つまり、波形W1と比較して平坦度が高い)。例えば、波形W1は、初期インパルス応答H0におけるn1個のサンプルの移動平均の時系列として第1平滑部41で算定され、波形W2は、n1個よりも多いn2個のサンプルの移動平均の時系列として第2平滑部42で算定される。
図4の比較部44は、波形W1の強度と波形W2の強度とを比較することで主要反射音ブロックBaと反射音間ブロックBbとを区別する。すなわち、図5に示すように、比較部44は、波形W1の強度が波形W2の強度を上回る各区間を主要反射音ブロックBaとして特定し、相前後する主要反射音ブロックBaの間隙の各区間(すなわち波形W1の強度が波形W2の強度を下回る各区間)を反射音間ブロックBbとして特定する。
図2の伸縮部34は、初期インパルス応答H0のうち波形区分部32が特定した各反射音間ブロックBbを時間軸上で伸長または短縮することで複数の反射音間ブロックBbの各々について補間ブロックBcを生成する。図6に示すように、伸縮部34は、伸長処理部342と短縮処理部344とを含んで構成される。伸長処理部342は、利用者から指示された制御値Rが「1」を上回る場合に、反射音間ブロックBbを伸長することで補間ブロックBcを生成する。一方、短縮処理部344は、利用者から指示された制御値Rが「1」を下回る場合に、反射音間ブロックBbを短縮することで補間ブロックBcを生成する。以上のように伸長処理部342と短縮処理部344とは制御値Rに応じて選択的に動作する。
図7は、短縮処理部344による処理の具体例を説明するための概念図である。波形区分部32が特定した複数の反射音ブロックBbの各々について図7の処理が順次に実行される。図7の部分(A)には、初期インパルス応答H0のうちM個のサンプルで構成される反射音間ブロックBbが例示されている。
短縮処理部344は、反射音間ブロックBbからブロックA1aとブロックA2aとを抽出する。ブロックA1aおよびブロックA2aの各々は、反射音間ブロックBbのサンプルの個数Mと制御値R(R<1)との乗算値に相当する個数(M・R)のサンプルで構成される。図7の部分(B1)に示すように、ブロックA1aは、反射音間ブロックBbのうち先頭から計数してM・R個のサンプルの時系列である。一方、図7の部分(C1)に示すように、ブロックA2aは、反射音間ブロックBbのうち最後尾から手前に計数してM・R個のサンプルの時系列である。
短縮処理部344は、ブロックA1aとブロックA2aとの時間差を短縮することで補間ブロックBcを生成する。補間ブロックBcの生成にはブロックA1aとブロックA2aとのクロスフェード処理が好適に利用される。さらに詳述すると、短縮処理部344は、図7の部分(B1)および部分(B2)に示すように、始点から終点にかけて強度(振幅)が経時的に減少するように先頭側のブロックA1aを加工する(例えば、時間長M・Rの始点から終点にかけて「1」から「0」に減少する係数をブロックA1aの各サンプルに乗算する)ことでブロックA1を生成する。同様に、短縮処理部344は、図7の部分(C1)および部分(C2)に示すように、始点から終点にかけて強度が経時的に増加するように後尾側のブロックA2aを加工する(例えば、時間長M・Rの始点から終点にかけて「0」から「1」に増加する係数をブロックA2aの各サンプルに乗算する)ことでブロックA2を生成する。
そして、短縮処理部344は、図7の部分(D)に示すように始点と終点とが合致するようにブロックA1とブロックA2とを重複させたうえで、時間軸上の同じ時点に対応する各サンプルの数値を加算することで補間ブロックBcを算定する。したがって、補間ブロックBcは、図7の部分(E)に示すようにM・R個のサンプルで構成される。すなわち、補間ブロックBcは、M個のサンプルで構成される反射音間ブロックBbを時間軸上でR倍に短縮した波形を表す。
次に、図8を参照して、伸長処理部342による処理の具体例を説明する。波形区分部32が特定した複数の反射音間ブロックBbの各々について図8の処理が順次に実行される。図8の部分(A)には、M個のサンプルで構成される反射音間ブロックBbが例示されている。伸長処理部342が生成する補間ブロックBcは、反射音間ブロックBbのサンプルの個数Mと制御値R(R>1)との乗算値に相当する個数(M・R)のサンプルで構成される。
図9に示すように、伸長処理部342は、第1処理部51と第2処理部52と合成部53とを含んで構成される。第1処理部51は、図8の部分(B1)から部分(B4)に示すように、反射音間ブロックBbからK個(Kは自然数)の中間ブロックCb(Cb[1]〜Cb[K])を生成する。図8においては3個の中間ブロックCb(Cb[1]〜Cb[3])が生成される場合(K=3)が例示されている。各中間ブロックCb(Cb[1]〜Cb[K])は、反射音間ブロックBbを変形した波形を表すサンプルの時系列である。K個の中間ブロックCb(Cb[1]〜Cb[K])の生成には、図8の部分(A)および部分(B1)に示すように、反射音間ブロックBbのM個のサンプルのうち先頭からN個(N<M)のサンプルで構成されるブロックC0が使用される。個数Nは、離散フーリエ変換に必要な個数(2のべき乗)に設定される。なお、反射音間ブロックBbの終点を含むN個のサンプルの集合や反射音間ブロックBbの全部をブロックC0として利用してもよい。
一方、第2処理部52は、図8の部分(C1)および部分(C2)に示すように、反射音間ブロックBbからブロックD1とブロックD2とを生成する。ブロックD1およびブロックD2の各々は、反射音間ブロックBbを変形した波形を表すN/2個のサンプルの時系列である。
図9の合成部53は、図8の部分(D)および部分(E)に示すように、第1処理部51が生成したK個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]と第2処理部52が生成したブロックD1およびブロックD2とを時間軸に沿って配列することで補間ブロックBcを生成する。K個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]は、第1番目の中間ブロックCb[1]の始点が補間ブロックBcの始点に合致し、かつ、相前後する各中間ブロックCbがサンプルのN/2個分に相当する時間差で相互に重複するように時間軸上に配列される。一方、第2処理部52が生成したブロックD1は補間ブロックBcの先頭(第1番目の中間ブロックCb[1]の始点)に配置され、ブロックD2は補間ブロックBcの最後尾(第K番目の中間ブロックCb[K]の終点)に配置される。
合成部53は、以上のように時間軸上に配置された各中間ブロックCbとブロックD1およびブロックD2とについて、時間軸上の同じ時点に対応する各サンプルの数値を加算することで補間ブロックBcを算定する。すなわち、補間ブロックBcは、各中間ブロックCbとブロックD1およびブロックD2との各サンプルの加算値(M・R個)の時系列である。以上のように、補間ブロックBcは、M個のサンプルで構成される反射音間ブロックBbを時間軸上でR倍に伸長した波形を表す。
次に、第1処理部51および第2処理部52による処理の具体例を説明する。図9に示すように、第1処理部51は、窓掛部512と移相部514と振幅調整部516とを含んで構成される。図8の部分(B1)および部分(B2)に示すように、窓掛部512は、反射音間ブロックBbから抽出されたブロックC0に窓関数Fwを乗算することで中間ブロックCa(N個のサンプルの時系列)を生成する。両端部に接近するほど関数値が減少する関数(理想的には両端部で関数値がゼロとなる関数)が窓関数Fwとして好適である。図8の部分(B2)においては、窓関数Fwの乗算後の中間ブロックCaが、窓関数Fwの形状を表す図形で代替的に図示されている(以下でも同様)。本形態においては式(1)で定義されるハニング窓w(n)を窓関数Fwとして採用する。ただし、窓関数Fw(または窓関数FwAや窓関数FwB)の内容は任意であり、公知の窓関数(例えばハミング窓や三角窓)が任意に採用される。
w(n)=0.5−0.5cos(nπ/N) ……(1)
図9の移相部514は、窓掛部512が生成した中間ブロックCaの位相を相異なる角度だけ回転することでK個の中間ブロックCb(Cb[1]〜Cb[K])を生成する。さらに詳述すると、移相部514は、離散フーリエ変換で中間ブロックCaを周波数領域に変換し、図8の部分(B3)に示すように、変換後の中間ブロックCa(周波数スペクトル)の位相を角度θk(k=1〜K)だけ回転する処理を相異なるK種類の角度θ1〜θKについて反復したうえで各々に離散フーリエ逆変換を実行することで時間領域のK個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]を生成する。
中間ブロックCbの個数Kは制御値Rに応じて可変に設定される。例えば、図8の部分(B3)に示すように、中間ブロックCbの個数Kは、各中間ブロックCbを時間差N/2で配列した場合のK個の中間ブロックCb(Cb[1]〜Cb[K])の時間長の合計((K+1)・N/2))が補間ブロックBcの時間長M・R以上となる最小の自然数に設定される。図8においては移相部514が3個の中間ブロックCb(Cb[1]〜Cb[3])を生成した場合(K=3)が図示されている。
図8の部分(B4)に示すように、補間ブロックBcの生成時には第1番目の中間ブロックCb[1]から時間差N/2でK個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]が配列されるから、移相部514が生成したK個の中間ブロックCbの時間長の合計((K+1)・N/2))が補間ブロックBcの時間長M・Rを上回る場合、最終段(第K番目)の中間ブロックCb[K]とブロックD2との間隔はN/2を下回る。したがって、移相部514が生成した中間ブロックCb[K]をそのまま補間ブロックBcの生成に利用した場合、補間ブロックBcのうち中間ブロックCb[K]とブロックD2とが重複する区間の振幅が初期インパルス応答H0と比較して過大となる。
そこで、図8の振幅調整部516は、中間ブロックCb[K]が表す波形の振幅(各サンプルの数値)を低減する。さらに詳述すると、振幅調整部516は、図8の部分(B4)に示すように、第(K−1)番目の中間ブロックCb[K-1]の中点と補間ブロックBcの終点(ブロックD2の終点)との時間差{MR−(K−1)・N/2}が小さいほど調整後の中間ブロックCb[K]の振幅が減少するように中間ブロックCb[K]を調整する。振幅調整部516による処理後の中間ブロックCb[K]は、図8の部分(B4)に示すように、処理前の中間ブロックCb[K]のうち中央の{MR−(K−1)・N/2}個以外のサンプルの数値をゼロに設定する(すなわち両端部を除去する)ことで生成された{MR−(K−1)・N/2}個のサンプルの系列である。したがって、振幅調整部516による処理後のK個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]の時間長の合計は補間ブロックBcの時間長M・Rに合致する。なお、移相部514が生成したK個の中間ブロックCbの時間長の合計((K+1)・N/2))が補間ブロックBcの時間長M・Rに合致するように制御値Rが設定された場合、振幅調整部516は中間ブロックCb[K]の時間長および振幅の調整を実行しない。
図9の第2処理部52は、図8の部分(C1)および部分(C2)に示すように、波形区分部32が特定した複数の反射音間ブロックBbの各々からブロックD1とブロックD2とを生成する。図9に示すように、第2処理部52は、ブロックD1を生成する第1加工部521とブロックD2を生成する第2加工部523とで構成される。
第1加工部521は、ブロックD1aからブロックD1を生成する。図8の部分(C1)に示すように、ブロックD1aは、反射音間ブロックBbを構成するM個のサンプルのうち先頭から計数してN/2個のサンプルの系列である。第1加工部521は、経時的に強度が減少するようにブロックD1aを加工することでブロックD1を生成する。例えば、ブロックD1は、窓関数FwAをブロックD1aに乗算したN/2個のサンプルの系列である。図8の部分(C2)に示すように、関数値が「1」となる左端部から右端部に接近するほど関数値がゼロに近づく関数(例えば、式(1)で定義されるハニング窓の右半分に相当する関数)が窓関数FwAとして使用される。
一方、第2加工部523は、ブロックD2aからブロックD2を生成する。ブロックD2aは、反射音間ブロックBbを構成するM個のサンプルのうち最後尾から手前側に位置するN/2個のサンプルの系列である。第2加工部523は、経時的に強度が増加するようにブロックD2aを加工することでブロックD2を生成する。例えば、ブロックD2は、窓関数FwBをブロックD2aに乗算したN/2個のサンプルの系列である。窓関数FwAとは逆に、関数値が「1」となる右端部から左端部に接近するほど関数値がゼロに近づく関数(例えば、式(1)で定義されるハニング窓の左半分に相当する関数)が窓関数FwBとして使用される。
図9の合成部53は、第1処理部51が生成したK個の中間ブロックCb(Cb[1]〜Cb[K])を第2処理部52が生成したブロックD1(先頭)とブロックD2(最後尾)との間に配置し、時間軸上の同じ時点に対応する各サンプルの数値を加算したM・R個のサンプルの時系列を補間ブロックBcとして生成する。以上が図6の伸長処理部342による具体的な処理の内容である。
図2の波形合成部36は、図7の部分(E)や図8の部分(E)に示すように、波形区分部32が区分した複数の主要反射音ブロックBaと伸縮部34が生成した複数の補間ブロックBcとを時間軸上で連結することで新規インパルス応答HNEWを生成する。各主要反射音ブロックBaと各補間ブロックBcとは、初期インパルス応答H0における各主要反射音ブロックBaと各反射音間ブロックBbとの配列に対応した順番で交互に配列する。初期インパルス応答H0の後部残響音区間Q2は、主要反射音ブロックBaと補間ブロックBcとの配列に後続するように連結される。
図3の部分(B)に示すように制御値Rが「1」を下回る場合には、各反射音間ブロックBbが短縮されたうえで各主要反射音ブロックBaの間に介挿される(すなわち、各主要反射音ブロックBaの間隔が短縮される)。したがって、新規インパルス応答HNEWから生成される残響音は、初期インパルス応答H0の残響音の受聴時に知覚される音場と比較して反射音が早く到来する狭い音場(広がり感が弱い音場)の音響として受聴者に知覚される。
一方、図3の部分(C)に示すように制御値Rが「1」を上回る場合には、各反射音間ブロックBbが伸張されたうえで各主要反射音ブロックBaの間に介挿される(すなわち、各主要反射音ブロックBaの間隔が伸長される)。したがって、新規インパルス応答HNEWから生成される残響音は、初期インパルス応答H0の残響音の受聴時に知覚される音場と比較して反射音の到来が遅れる広い音場(広がり感が強い音場)の音響として受聴者に知覚される。以上のように本形態においては、残響音の受聴者が知覚する音場の空間的な広がり感を制御値Rに応じて可変に制御することが可能である。
以上の形態における新規インパルス応答HNEWは、各反射音間ブロックBbの波形を変更することで生成され、初期インパルス応答H0の残響音の聴感上の印象を特徴づける各主要反射音ブロックBaは初期インパルス応答H0の波形のまま維持される。したがって、残響音の空間的な広がり感を制御値Rに応じて随時に変化させながら、初期インパルス応答H0の残響音の音響的な特徴(例えば音場の壁面の音響特性)を適度に維持した新規インパルス応答HNEWを生成することが可能である。
なお、窓掛部512が生成した中間ブロックCaをK個に複製したうえでブロックD1とブロックD2との間に配列することで伸長処理部342が補間ブロックBcを生成する構成(すなわち、中間ブロックCaを中間ブロックCb[1]〜Cb[K]として代用する構成)も採用される。しかし、同じ波形の複数の中間ブロックCaが反復的に補間ブロックBc内に配置されると、新規インパルス応答HNEWの残響音の受聴者が聴感上の違和感(うねり感)を知覚する場合がある。一方、波形が全く相違するK個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]の配列を補間ブロックBcの生成に使用した場合にも聴感上の違和感が知覚される。本形態においては、中間ブロックCaの位相を相異なる角度θ(θ1〜θK)だけ回転したK個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]が補間ブロックBcの生成に使用されるから、補間ブロックBcにおいては適度に類似する波形が反復される。したがって、新規インパルス応答HNEWの残響音は聴感上において自然な音響となる。
<変形例>
以上に例示した形態には様々な変形が加えられる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の例示から2以上の態様を任意に選択して組合せてもよい。
(1)変形例1
以上の形態においては初期反射音区間Q1のみについて反射音間ブロックBbを伸縮したが、初期反射音区間Q1と後部残響音区間Q2との区別は本発明において必須ではない。すなわち、後部残響音区間Q2についても主要反射音ブロックBaと反射音間ブロックBbとに区分したうえで反射音間ブロックBbを伸縮する構成が採用される。もっとも、残響音の聴感上の印象を特徴づける直接音や初期反射音の殆どは初期反射音区間Q1に含まれるから、後部残響音区間Q2について反射音間ブロックBbを伸縮しても、残響音の受聴者が知覚する音場の広がり感には殆ど影響しない。したがって、初期反射音区間Q1のみについて反射音間ブロックBbを伸縮する形態によれば、後部残響音区間Q2の伸縮させる構成と比較して、主要反射音ブロックBaと反射音間ブロックBbとの区分や各反射音間ブロックBbの伸縮のための演算量を削減しながら、受聴者が知覚する音場の広がり感を有効に制御できるという利点がある。
(2)変形例2
以上の形態においては初期反射音区間Q1内の総ての反射音間ブロックBbを伸縮したが、所定の条件を満たす反射音間ブロックBbのみを伸縮の対象とする構成も好適である。例えば、残響音の受聴者が知覚する音場の広がり感は、時間長が長い反射音間ブロックBbを伸縮した場合に特に顕著に変化する(時間長が短い反射音間ブロックBbを伸縮しても音場の広がり感には余り影響しない)という傾向を考慮すると、時間長(サンプルの個数)が所定の閾値を上回る反射音間ブロックBbのみを伸縮部34が伸縮する(閾値を下回る時間長の反射音間ブロックBbについては伸縮を省略する)構成も好適である。以上の構成によれば、受聴者が知覚する音場の広がり感の変化量を極端に減少させることなく、反射音間ブロックBbの伸縮のための演算量を削減することが可能である。
(3)変形例3
反射音間ブロックBbの伸縮に適用される制御値Rを経時的に変化させる構成も好適である。例えば、図10に示すように、初期反射音区間Q1の始点(t=0)から終点tEにかけて制御値Rを経時的に減少させる構成が採用される。制御値Rは、例えば以下の式(1)で定義されるように初期値R0から「1」まで減少する。初期値R0は、利用者が入力装置16から指示した数値である。
R=1+(R0−1)×{cos(nπ/tE)} ……(2)
式(2)の変数nは、各反射音間ブロックBbの先頭のサンプルの番号(初期反射音区間Q1の始点から計数してn番目)を意味し、変数tEは、初期反射音区間Q1の最後のサンプルの番号を意味する。式(2)から理解されるように、初期インパルス応答H0において後方に位置する反射音間ブロックBbほど伸縮部34による伸縮の度合(制御値R)が低下し、制御値Rが「1」となる終点tEの近傍の反射音間ブロックBbについては殆ど伸縮されない。以上の構成によれば、総ての反射音間ブロックBbについて共通の制御値Rが適用される構成と比較して、初期反射音区間Q1と後部残響音区間Q2との境界で残響音が聴感上において不連続と知覚される可能性が低減される。
(4)変形例4
伸長処理部342の構成は任意である。例えば第2処理部52は省略される。すなわち、第1処理部51が生成したK個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]を時間軸上に配列することで合成部53は補間ブロックBcを生成する。また、反射音間ブロックBbから抽出されたブロックD1aやブロックD2aが合成部53に供給される構成(すなわち窓関数FwAや窓関数FwBの乗算を省略した構成)も採用される。第1処理部51の窓掛部512や移相部514を省略してもよい。例えば、反射音間ブロックBbから抽出されたブロックC0を複数個に複製したうえで時間軸上に配列することで補間ブロックBcが生成される。
また、第1処理部51は伸長処理部342から省略される。すなわち、第2処理部52が生成したブロックD1を先頭に配置するとともにブロックD2を最後尾に配置することで合成部53は補間ブロックBcを生成する。ブロックD1とブロックD2との間隙の振幅は所定値(例えばゼロ)に設定される。
以上の例示のように窓関数Fw(FwA,FwB)の使用は本発明において必須ではない。ただし、ブロックD1aに窓関数FwAを乗算しない構成やブロックD2aに窓関数FwBを乗算しない構成においては、新規インパルス応答HNEWにおいて補間ブロックBcと前後の主要反射音ブロックBaとの境界で残響音が不連続となって音質が低下する場合がある。したがって、主要反射音ブロックBaと補間ブロックBcとを自然に連結するという観点からすれば、経時的に減少する窓関数FwAや経時的に増加する窓関数FwBを利用した構成が重要である。同様に、窓掛部512を省略した構成においては相前後するブロックC0の境界で残響音が不連続となって音質が低下する場合がある。したがって、ブロックC0に対する窓関数Fwの乗算に応じて生成された中間ブロックCb(Cb[1]〜Cb[K])を補間ブロックBcの生成に使用する構成が本発明においては重要であり、両端部に接近するほど関数値が減少する窓関数は格別に好適である。
(5)変形例5
K個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]の各々の周波数特性を相違させるための構成は、位相の回転角θkを中間ブロックCb毎に変化させる方法に限定されない。例えば、窓掛部512が生成した中間ブロックCaの波形の始点と終点とを時間軸の方向に逆転させた中間ブロックCbと窓掛部512が生成した中間ブロックCaとを交互に配列した集合がK個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]として利用される。もっとも、K個の中間ブロックCb[1]〜Cb[K]の波形(周波数特性)が共通する構成(すなわち移相部514を省略した構成)も採用される。
(6)変形例6
以上の形態においては初期インパルス応答H0の後部残響音区間Q2をそのまま新規インパルス応答HNEWにおいても使用したが、初期インパルス応答H0の後部残響音区間Q2を加工したうえで主要反射音ブロックBaと補間ブロックBcとの配列に後続させて新規インパルス応答HNEWを生成する構成も好適である。例えば、後部残響音区間Q2は、制御値Rが「1」を上回る場合には伸長され、制御値Rが「1」を下回る場合には短縮される。後部残響音区間Q2の伸長または短縮には公知の技術が任意に採用される。
(7)変形例7
以上の形態においては伸縮部34が反射音間ブロックBbの伸長および短縮の双方を実行する構成を例示したが、伸縮部34が反射音間ブロックBbの伸長および短縮の一方のみを実行する構成(すなわち伸長処理部342および短縮処理部344の一方を省略した構成)も採用される。
(8)変形例8
以上の形態においては利用者が制御値Rを指定したが、制御値Rを指定する方法は任意である。例えば、制御値Rを時系列に指定するデータを記憶装置14から順次に取得して新規インパルス応答HNEWの生成に適用する構成も採用される。
(9)変形例9
以上の形態においてはインパルス応答加工部22と残響付与部24とを具備する残響付与装置100を例示したが、図1の残響付与装置100から残響付与部24を省略したインパルス応答加工装置(インパルス応答加工部22)としても本発明は成立する。インパルス応答加工装置が生成した新規インパルス応答HNEWは、例えば、可搬型の記録媒体や通信網を介して別個の残響付与装置100(残響付与部24)に提供されて残響音の生成に使用される。
本発明の実施形態に係る残響付与装置のブロック図である。 インパルス応答加工部のブロック図である。 初期インパルス応答における主要反射音ブロックと反射音間ブロックとの関係を示す概念図である。 波形区分部のブロック図である。 波形区分部の動作を説明するための概念図である。 伸縮部のブロック図である。 短縮処理部による処理を説明するための概念図である。 伸長処理部による処理を説明するための概念図である。 伸長処理部のブロック図である。 制御値の経時的な変化を示すグラフである。
符号の説明
100……残響付与装置、12……演算処理装置、14……記憶装置、16……入力装置、22……インパルス応答加工部、24……残響付与部、32……波形区分部、34……伸縮部、36……波形合成部、41……第1平滑部、42……第2平滑部、44……比較部、342……伸長処理部、344……短縮処理部、51……第1処理部、512……窓掛部、514……移相部、516……振幅調整部、52……第2処理部、521……第1加工部、523……第2加工部、53……合成部、SIN……音響信号、SR……残響音信号、H0……初期インパルス応答、HNEW……新規インパルス応答、R……制御値。

Claims (12)

  1. 初期インパルス応答を、強度のピークを含む主要反射音ブロックと前記主要反射音ブロック以外の反射音間ブロックとに時間軸上で区分する波形区分手段と、
    前記反射音間ブロックを時間軸上で伸長または短縮して補間ブロックを生成する伸縮手段と、
    前記波形区分手段が区分した前記主要反射音ブロックと前記伸縮手段が生成した前記補間ブロックとを連結することで新規インパルス応答を生成する波形合成手段と
    を具備するインパルス応答加工装置。
  2. 前記波形区分手段は、前記初期インパルス応答の初期反射音区間のみを前記主要反射音ブロックと前記反射音間ブロックとに区分する
    請求項1のインパルス応答加工装置。
  3. 前記波形区分手段は、
    前記初期インパルス応答の強度の時間的な変動を抑制した第1波形を生成する第1平滑手段と、
    前記初期インパルス応答の強度の時間的な変動を前記第1波形よりも抑制した第2波形を生成する第2平滑手段とを含み、
    前記第1波形の強度が前記第2波形の強度を上回る区間を前記主要反射音ブロックとして特定する
    請求項1または請求項2のインパルス応答加工装置。
  4. 前記第1平滑手段は、前記初期インパルス応答における第1個数のサンプルの移動平均の時系列を前記第1波形として算定し、
    前記第2平滑手段は、前記初期インパルス応答における前記第1個数よりも多い第2個数のサンプルの移動平均の時系列を前記第2波形として算定する
    請求項3のインパルス応答加工装置。
  5. 前記伸縮手段は、前記反射音間ブロックを伸張する場合に、前記反射音間ブロックの少なくとも一部の波形を変形させた中間ブロックを生成する第1処理手段を含み、前記中間ブロックから前記補間ブロックを生成する
    請求項1から請求項4の何れかのインパルス応答加工装置。
  6. 前記第1処理手段は、両端部に接近するほど関数値が減少する窓関数を前記反射音間ブロックの少なくとも一部に乗算して中間ブロックを生成する窓掛手段を含む
    請求項5のインパルス応答加工装置。
  7. 前記第1処理手段は、前記反射音間ブロックの少なくとも一部について相異なる角度だけ位相を回転させた複数の中間ブロックを生成する移相手段を含み、
    前記伸縮手段は、前記移相手段が生成した複数の中間ブロックを時間軸上に配列することで前記補間ブロックを生成する
    請求項5または請求項6のインパルス応答加工装置。
  8. 前記伸縮手段は、前記反射音間ブロックを伸張する場合に、当該反射音間ブロックのうち始点を含む区間を強度が経時的に減少するように加工した第1ブロックと、当該反射音間ブロックのうち終点を含む区間を強度が経時的に増加するように加工した第2ブロックとを生成する第2処理手段を含み、前記第1ブロックを先頭に配置するとともに前記第2ブロックを最後尾に配置することで前記補間ブロックを生成する
    請求項1から請求項7の何れかのインパルス応答加工装置。
  9. 前記伸縮手段は、前記反射音間ブロックを短縮する場合に、前記反射音間ブロックの始点を含む第1ブロックと前記反射音間ブロックの終点を含む第2ブロックとの時間差を短縮することで前記補間ブロックを生成する短縮処理手段を含む
    請求項1から請求項8の何れかのインパルス応答加工装置。
  10. 前記短縮処理手段は、前記第1ブロックと前記第2ブロックとをクロスフェードすることで前記補間ブロックを生成する
    請求項9のインパルス応答加工装置。
  11. 請求項1から請求項10の何れかのインパルス応答加工装置と、
    前記インパルス応答加工装置が生成した新規インパルス応答と音響信号との畳込み演算を実行する残響付与手段と
    を具備する残響付与装置。
  12. 初期インパルス応答を、強度のピークを含む主要反射音ブロックと前記主要反射音ブロック以外の反射音間ブロックとに時間軸上で区分する波形区分処理と、
    前記反射音間ブロックを時間軸上で伸縮することで補間ブロックを生成する伸縮処理と、
    前記波形区分処理で区分した前記主要反射音ブロックと前記伸縮処理で生成した前記補間ブロックとを連結することで新規インパルス応答を生成する波形合成処理と
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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