JP5166395B2 - 移植組織片の固定 - Google Patents

Description

本出願は、２００６年３月２０日に出願された米国特許仮出願第６０／７８３，４０３号明細書の利益を主張し、この米国仮出願の全内容は、ここに参照によって取り込まれる。

本発明は、移植組織片の固定に関し、とりわけ移植片固定部材に関する。

断裂、且つ修復不可能な、前十字靱帯（Anterior Cruciate Ligament；ＡＬＣ）などの靱帯は、一般的に移植組織片で関節鏡視下置換される。移植組織片は、いわゆる“骨ブロック（bone block）”を有する膝蓋腱の一部、及び半腱様筋、薄筋から採取することができる。また移植組織片は、合成材料から、若しくは合成及び天然材料の組み合わせから形成することができる。

代わりの移植組織片は、大腿内の通路に形成される関節部の窩（socket）に移植組織片の一端を固定し、脛骨内に形成された通路を経て移植片の他方の端部を通すことによって移植される。一般的に、縫合糸は移植組織片のそれぞれの端部を留め具（例えば、干渉ねじ（interference screw）又は杭など）に固定するのに用いられ、結果として骨に固定される。

また、本明細書において参考のため包含される特許文献１に記載されているとおり、移植組織片を大腿皮質（femoral cortex）に固定するのに例えば固定ボタン（fixation member）などの移植片固定部材を用いることも知られている。移植片固定部材は移植組織片と係合され、縫合糸若しくは他の引き抜き手法が骨トンネル（bone tunnel）を経て固定部材／移植組織片の組み合わせを引っ張るのに用いられる。しかしながら、これらの固定部材は、穴部及び部材における縫合糸ループの配置が移植片を貫通するのを困難とし、且つ部材の様々な大きさが大腿トンネルの上部開口部に部材を中心合わせすることから、使用するのに扱いづらい。さらに、固定部材が骨トンネルを貫通するにつれて、部材はほぼ縦方向に保持されるよりはむしろ、高い頻度で軸外回転する。

骨トンネルを通過する間に骨トンネル内に中心合わせされてとどまり、且つ骨トンネルへの開口部に対して移植片若しくは縫合糸の中心合わせを容易にする移植片固定部材が技術的に求められる。
米国特許第５３０６３０１号明細書

本発明は、上記課題を考慮して開発された。

本発明の一態様において、移植片固定部材は、骨トンネルに対して概して縦方向に方向付けられたとき骨トンネルを貫通、且つ骨トンネルに対して概して横方向に方向付けられたときに骨トンネルへの開口部を形成する骨に対して存在するように構成され、且つ配置された本体を含有する。移植組織片が縦の範囲に実質的一様に分布されるように本体は移植組織片を収容するよう構成された閉鎖型チャネル（enclosed channel）を形成し、よって本体はトンネルを通過する間ずっと、ほぼ縦方向に保持され、且つ本体が骨トンネルに開口部が形成された骨に対して備わっているとき、移植組織片が環状をしたクロスバー（cross bar）を含有する。

一つの実施形態において、本体は、穴部を形成する前方端部と、穴部を形成する後方端部とを含有する。他の実施形態によると、後方端部は開放端もしくは閉鎖端を有する。さらなる実施形態によると、後方端部は閉鎖端を有し、その閉鎖端は本体に対して約４５度の角度αを成す。さらなる実施形態によると、本体は開口端を有する後方端部と、開放端を有する前方端部とを含有する。

本発明の他の実施態様において、移植片固定部材は、少なくとも二つのタブ（tab）を有する中間部を含有し、タブは中間部へ横断して延在し、該中間部は少なくとも一つの穴部を含有し、該穴部がタブの間に配置される。

一つの実施形態において、部材はさらに少なくとも一つの穴部を含有する第一の末端部と、少なくとも一つの穴部を含有する第二の末端部を含む。他の実施形態において、中間部は少なくとも二つの穴部を含有する。さらなる他の実施形態において、移植片固定部材はさらに中間部の穴部を貫通する連続したループ状の要素を含有する。この要素は縫合糸を含んでもよい。

本発明のさらなる実施態様において、移植片固定部材は、中間部と係合されたヒンジ部（hinge）を含有する中間部を含み、ヒンジ部及び中間部は移植組織片を収容するように構成されたチャネルを形成する。

一つの実施形態において、部材はさらに少なくとも一つの穴部を有する第一の末端部と、少なくとも一つの穴部を有する第二の末端部とを含有する。他の実施形態によると、ヒンジ部はＵ字型である。さらなる他の実施形態によると、ヒンジ部は固定部材に対して回転可能である。

別の一般的な実施態様において、方法は、移植片固定部材の開口部を通じて移植片を輪にするステップと、骨トンネルを通じて移植片固定部材及び輪になった移植片を引っ張るステップとを含む。骨トンネルを通じて引っ張られる際、移植片固定部材はトンネルに対して実質的に縦方向に保持される。

本態様の実施形態は、膝関節を経て概して横方向に延在する少なくとも一つの骨トンネルを含有し得る。さらなる他の実施形態によると、方法はさらに複数から成る移植片固定部材の開口部を通じて移植片が輪になるステップと、膝関節を経て概して横方向に延在する複数の骨トンネルを穿孔するステップと、骨トンネルを通じてぞれぞれの移植片固定部材及び輪になった移植片を引っ張るステップとを含有する。それぞれの移植片固定部材は、移植片固定部材がトンネルを通じて引っ張られる際にトンネルに対して実質的に軸方向に保持されるように構成される。

さらなる実施態様において、方法は、少なくとも二つのタブを含有する中間部を有する移植片固定部材を提供するステップであって、タブは中間部へ横断して延在し、該中間部は少なくとも一つの穴部を含有し、該穴部がタブの間に配置されて連続したループ状の要素を含有するステップと、膝関節を通じて概して横方向に延在する骨トンネルを穿孔するステップと、連続したループ状の要素を通じて移植組織片がタブの間に位置されるように移植組織片を輪にするステップと、骨トンネルを通じて移植片固定部材及び輪になった移植片を引っ張るステップであって、骨トンネルを通じて引っ張られる間、移植片固定部材がトンネルに対して実質的に縦方向に保持されるように移植片固定部材が構成されるステップとを含有する。上記の要素は縫合糸を含有してもよい。

一つの実施形態において、方法は、タブが骨トンネル内に延在するように骨トンネルへの開口部の上に固定部材を配置することをさらに含有する。他の実施形態において、移植片固定部材はさらに、少なくとも一つの穴部を含有する第一の末端部と、少なくとも一つの穴部を含有する第二の末端部とを含む。

さらなる他の実施形態において、方法は、複数の移植片固定部材を提供するステップであって、移植片固定部材のそれぞれが少なくとも二つのタブを含有する中間部を有し、タブは中間部へ横方向に延在し、該中間部は少なくとも一つの穴部を含有し、該穴部がタブ間に配置され且つ連続したループ状の要素を含有するステップと、膝関節を通じて概して横方向に延在する複数の骨トンネルを穿孔するステップと、移植片固定部材のそれぞれのタブの間に移植組織片が位置されるように連続したループ状の要素のそれぞれを通じて移植組織片を輪にするステップと、骨トンネルを通じて移植片固定部材及び輪になった移植片を引っ張るステップであって、骨トンネルを通じて引っ張られる間、移植片固定部材がトンネルに対して実質的に縦方向に保持されるように移植片固定部材が構成されるステップと、をさらに含有する。移植片固定部材のそれぞれはさらに、少なくとも一つの穴部を有する第一の末端部と、少なくとも一つの穴部を有する第二の末端部とを含有し得る。

さらなる実施態様において、中間部に連接された回転可能なヒンジ部を含む中間部を有する移植片固定部材を提供するステップであって、ヒンジ部及び中間部には移植組織片を収容するのに構成されたチャネルが形成されるステップと、膝関節を通じて概して横方向に延在する骨トンネルを穿孔するステップと、チャネルを通じて移植組織片を輪にするステップと、骨トンネルを通じて移植片固定部材及び輪になった移植片を引っ張るステップであって、骨トンネルを通じて引っ張られる際、移植片固定部材がトンネルに対して実質的に縦方向に保持されるように移植片固定部材が構成されるステップとを含有する。

一つの実施形態において、方法は、ヒンジ部が骨トンネル内に延在するように、固定部材に対してヒンジ部を回転するステップと、骨トンネルへの開口部の上に固定部材を配置するステップとをさらに含む。他の実施形態において、移植片固定部材は、少なくとも一つの穴部を含有する第一の末端部と、少なくとも一つの穴部を含有する第二の末端部とをさらに含む。

さらなる実施態様において、複数の移植片固定部材を提供するステップであって、移植片固定部材のそれぞれが中間部に連接される回転可能なヒンジ部を有する中間部を含み、ヒンジ部及び中間部には移植組織片を収容するためのチャネルが形成されるステップと、膝関節を通じて概して横方向に延在する複数の骨トンネルを穿孔するステップと、複数の移植片固定部材のチャネルのぞれぞれを通じて移植組織片を輪にするステップと、複数の骨トンネルを通じて移植片固定部材のそれぞれ及び輪になった移植片を引っ張るステップであって、骨トンネルを通じて引っ張られる際に、移植片固定部材のそれぞれがトンネルに対して実質的に縦方向に保持されるように移植片固定部材が構成されるステップとを含む。移植片固定部材のそれぞれが、少なくとも一つの穴部を含有する第一の末端部と、少なくとも一つの穴部を含有する第二の穴部とをさらに含んでもよい。

他の実施態様において、移植片固定部材は、中間部の表面に隆起を有する中間部を含有する。隆起は、部材が骨トンネルを通じて引っ張られるにつれて、部材との移植組織片の位置合わせを容易にする。

本発明の開示は、従来の部材及び技術と比較していくつかの利点を有している。第一に、固定部材に付随された移植組織片若しくは縫合糸が固定部材の縦方向の範囲に好ましくは均一に分配されることから、骨トンネルを貫通する際に固定部材が有利に骨トンネル内に中心合わせされ、結果として固定部材が骨トンネルの壁に引っかかる傾向が制限される。第二に、クロスバー、タブ、及びヒンジ部は全て、骨トンネルへの開口部に対する移植片若しくは縫合糸の中心あわせを容易とし、結果として移植組織片もしくは縫合糸が骨皮質に対してもつれる傾向が制限される。

本発明のさらなる特徴、形態、及び利点と同様に、本発明の様々な実施形態の機構及び作用は、添付図面に関連して以下に詳細に説明する。

本明細書の一部に組み込まれ、且つそれを構成する添付の図は、本発明の実施形態を説明し、本発明の概要と共に本発明の原理を説明するのに用いられる。

図１を参照すると、複合束群（multiple-bundle）の靭帯の修復及び再建手術の際、移植組織片２００ａ，２００ｂは、開口部１９ａ，１９ｂにおいて膝１０内の大腿管腔（femoral channel）１４ａ，１４ｂへ移植片固定部材３００ａ，３００ｂを用いて固定される。移植組織片２００ａ，２００ｂは、外科医によって固定部材３００ａ，３００ｂから管腔１４ａ，１４ｂの反対端にて引っ張られ、脛骨管腔（tibial channel）内の骨アンカー部２０ａ，２０ｂで適所に固定される。

例えば、一つ以上の大腿管腔１４、脛骨管腔１６、移植組織片２００、及び固定部材３００などの複合束群の技法を使用することは、例えば単一の大腿管腔１４、移植組織片２００、及び固定部材３００などの単一束群技法と比較して結果的により解剖学的に正確な修復された関節をもたらす。複合束群の技法は、複数のアンカー箇所が膝関節にわたって均一に緊張力を作用させ、且つ／若しくは、外科医は、より横方向に方向付けられ、脛骨１３と腓骨（fibia）１５との間の関節により近接し、膝関節から一般的に遠位の方向へ穿孔される故により深い骨管腔（bone channels）より奥行きのない、大腿及び脛骨管腔を穿孔することを可能とする。さらに、移植組織片２００ａ，２００ｂの直接固定部材３００ａ，３００ｂへの固定は、中間縫合糸が移植組織片を固定部材に連結するのに用いる際、外科医が可能かもしれない深さより浅い骨管腔を穿孔することを許容し、例えば、Smith & Nephew, Inc.より入手可能なＥｎｄｏｂｕｔｔｏｎ（登録商標） ＣＬ（製品番号７２０９３５２）などの従来の固定部材と比較しても固定部材がより大きいことから、骨トンネルが移植組織片及び固定部材の両方を収容する一定の横断面を有することを可能にする。とりわけ、より大きな固定部材は、固定部材が大腿トンネルへの開口部における表層に対して位置するとき、固定部材がより大きな骨トンネルの上に位置することを可能にする。

図２Ａに示すように、移植組織片２００は固定部材３００の開口部を通じて輪にされ、移植片固定部材３００の前方端部３００ａに形成される穴部３４０を通る縫合糸２１０を用いて、脛骨管腔１６及び大腿管腔１４を経て引っ張られる。

管腔１４及び１６を通過する際、固定部材３００は管腔内に縦方向に配置される。固定部材３００が管腔１４，１６の軸外に位置するいかなる傾向をも制限するために、固定部材が管腔を通じて引っ張られるにつれ移植組織片２００が固定部材３００のいずれかの面に均一に配給されるように移植組織片２００は固定部材を通じて輪になる。

図２Ｂを参照すると、固定部材３００は、横方向に延在するクロスバー３１０と、縦方向に延在する後方端部３２０と、縦方向に延在する前方端部３３０とを有する細長い部材である。後方端部３２０は、クロスバー３１０から延在するとともにアーム部の間に開放端を有する移植組織片のチャネル３５５を形成する、一組の長方形のアーム部３２０ａ，３２０ｂを含有する。アーム部３２０ａ，３２０ｂのそれぞれは、縫合糸の一つ以上の束２１２を収容する、互いに相対する穴部３２１ａ，３２１ｂの一つを形成し、下述の通り、縫合糸の一つ以上の束は、固定部材３００が大腿に対して配置され、且つ大腿開口部に集中されるように、大腿トンネル１４を貫通した後に固定部材３００を反転するのに用いられる。

前方端部３３０は、湾曲部分３４５によって連結される一組の長方形のアーム部３３０ａ，３３０ｂを含有し、これらは楕円形状の、閉鎖端を有する移植組織片の開口部３５０を形成する。移植組織片２００は前方端部の閉鎖端を有する移植片の開口部３５０を通じて輪にされ、移植片２００が固定部材３００に連結された状態であることを確実なものにする。湾曲部分３４５は縫合穴３４０を形成する。閉鎖端を有するよりもむしろ、前方端部３３０は後方端部３２０と同様に開放されていてもよい。この実施形態においては、固定部材は“Ｈ”字型の形状となり、それぞれの末端部は、一つ以上の縫合糸の束を収容するための相対する穴部を有する一組の長方形のアーム部を含有し得る。

チャネルを経る固定部材の通り抜け、及び大腿皮質に対する固定部材の配置、さらに後方の移植組織片の頚骨面への固定における移植組織片２００に与えられる張力を許容した後、クロスバー３１０は骨管腔内にて移植組織片２００の支点としての機能を果たす。

クロスバー３１０、アーム部３２０ａ，３２０ｂ，３３０ａ，３３０ｂ、及び縫合開口部３２１ａ，３２１ｂ，３４０のうちの一つ以上が、移植組織片及び／縫合糸と係合する滑らかな表面を提供するために、曲線的な、若しくは面取りをした端部を設けられ、それ故に移植組織片若しくは縫合糸への損傷が抑えられる。残りの固定部材に対するクロスバー３１０の厚さを小さくすることによって、クロスバー３１０を囲むように巻きつけられた移植片２００は、移植片２００の後方端部が固定部材から遠位の方向に導かれるときに比較的平らに配置することができ、その結果、例えば骨管腔１４内に移植片２００及び固定部材３００の組み合わせの比較的円滑な外形を確実なものにする。

典型的な固定部材３００は、全長が約１５ｍｍから約２５ｍｍの間、幅が約４ｍｍから約９ｍｍの間、高さが約１ｍｍから約３ｍｍの間、クロスバー３１０の幅が約１ｍｍから約２．５ｍｍの間、前方端部の溝３５０の長さが約５ｍｍから約１２ｍｍの間、前方端部の溝３５０の幅が約３ｍｍから約６ｍｍの間、且つ長方形状のアーム部分３３０ｂの厚さが約１ｍｍから約２ｍｍの間である。

他の実施形態は、特許請求の範囲内にある。

例えば、図３Ａ及び３Ｂを参照すると、他の固定部材４００は、クロスバー４１０と、前方縫合糸（lead suture）２５０の通路用の開口部４４０を形成する前方端部４００ａとを含有する。閉鎖端を有するチャネル及び開放端を有する移植組織片チャネルを含むよりむしろ、固定部材４００は一組の閉鎖端チャネル４５０，４５５を含有する。第一の移植組織片部分２４０ａ及び第二の移植組織片部分２４０ｂを含む移植片のループ部分２４０ｃを形成するのに移植組織片２４０の第一の部分２４０ａを固定部材４００の第一の閉鎖端チャネル４５０を経て通すことで、移植組織片２４０は固定部材４００と連結される。移植組織片の第一の部分は、次いでクロスバー４１０を囲むように通され、第二チャネル２５５を通じて戻る。同じように、引き込み縫合糸２５０は開口部４４０を経て通されるよりもむしろチャネル４５０を通じて輪にされてもよい。

固定部材４００は、第一の相対する後方端アーム部４２０ａ，４２０ｂの一組と、第二の相対する前方端アーム部４３０ａ，４３０ｂの一組とを含有する。第一のアーム部４２０ａ，４２０ｂの一組は、クロスバー４１０から縦方向に延在し、湾曲部分４４６にて結合される。湾曲部分４４６、クロスバー４１０、及びアーム部４２０ａ，４２０ｂは、第二の閉鎖端チャネル４５５を形成する。第二のアーム部４３０ａ，４３０ｂは、クロスバー４１０から第一のアーム部４２０ａ，４２０ｂとは反対の方向に縦方向へ延在し、湾曲部分４４５にて結合される。第二のアーム部４３０ａ，４３０ｂ、クロスバー４１０、及び湾曲部分４４５は、固定部材４００の前方端部４００ａに第二の閉鎖端チャネル４５０を形成する。閉鎖端チャネル４５０，４５５はそれぞれ、移植組織片の末端部２４０ａ，２４０ｂが適合される大きさの楕円形状のチャネルである。固定部材を反転する縫合糸は、チャネル４５５を通じて輪にされ得る。

図４Ａ及び図４Ｂを参照すると、固定部材４００と同類である他の固定部材５００は、移植組織片のループ部分２７０ｃを形成する第一及び第二の部分２７０ａ，２７０ｂを有する移植組織片２７０と連結される。固定部材５００は、前方端部５００ａ及び後方端部５００ｂを含み、それぞれは対応する縫合穴部５４０，５４２を形成し、後方端部５００ｂは移植組織片２７０の後方端部分を適合するための傾斜部分５０５を含有する。傾斜部分５０５は、移植組織片が固定部材の縦軸方向の周囲に均一に配給されることを可能にすることによって、管腔を経て通る際に管腔内における固定部材５００の中心合わせを容易にする。

固定部材５００は、第一及び第二の、一般的に楕円形状の、閉鎖端チャネル５００，５５５を形成する。固定部材５００は、第一のアーム部５２０ａ，５２０ｂ、第二のアーム部５３０ａ，５３０ｂ、及びクロスバー５１０を含有する。第二のアーム部５３０ａ，５３０ｂは湾曲部分５４５によって結合される。第一のアーム部は湾曲部分５４６によって結合される。第一のアーム部５２０ａ，５２０ｂ、クロスバー５１０、及び湾曲部分５４６は、チャネル５５５を形成する。傾斜部分５０５０を形成するのに、部材の残りの部分に対して平行ではあるが、同一平面状ではないズレを生じた面に沿って湾曲部分５４６が延在するようアーム部５２０ａ，５２０ｂのそれぞれは固定部材５００に対して約４５度の角度αで曲げられる。固定部材がトンネルを通じて引き出されるときに固定部材がトンネル内の中央にとどまることを可能にするよう移植片が固定部材のどちらかの面に均一に配給されるように、このズレは移植片部分２７０ｂが固定部材から牽引されるときに移植片部分２７０ｂ用の空間を提供する。

図５Ａ〜５Ｄを参照すると、他の固定部材６００は、固定部材６００の中間部６１０内の中心縫合穴部６８２，６８３を貫通する連続したループ２８１の要素によって、移植組織片のループ部２９０と間接的に連結されている。前方縫合糸２８０は、部材６００の第一の末端部６０５における前方縫合穴部６８０を通り抜け、第二の末端部６２０における後方端縫合糸（trailing suture）２８２は後方端縫合穴部６８１を通り抜ける。中間部６１０は、該中間部６１０の表面６４０上に隆起部６３０を含有する。隆起部６３０は、一組の横方向に延在するタブ６１５，６１６の形状を有する。タブ６１５，６１６は、移植片２９０の固定部材６００との位置合わせを容易とし、それ故に固定部材６００が骨トンネルを通じて引っ張られる際の固定部材の軸外の回転をいかなる傾向が制限される。さらに、固定部材６００がトンネルへの開口部における表層に対して配置されるとき、タブ６１５，６１６は大腿トンネル内に延在し、それによって部材６００は骨に配置される。要素２８１は縫合材料を含有してもよい。

図６Ａ及び６Ｂを参照すると、他の固定部材７００は、固定部材７００の中間部７１０と連結され、中間部７１０から延在するＵ字型の回転可能なヒンジ部７１６を含有する。Ｕ字型のヒンジ部７１６は、例えば金属などの硬質な部材であり、移植組織片２９４に直接連結される可動な取り付け面を提供する。中間部７１０及びヒンジ部７１６は、これらの間にチャネル７３０を形成し、移植組織片はチャネル７３０を通じて輪にされる。前方縫合糸２９２は、固定部材７００の前方、又は第一の末端部７００ａにて前方縫合穴部７２５を貫通し、もう一方の縫合糸２９３は、固定部材７００を骨管腔の開口部と横方向に配置するよう固定部材７００を反転させるために、後方又は第二の末端部７００ｂにて後方縫合穴部７２０を貫通する。Ｕ字型のヒンジ部７１６は、一組のアーム部７１５ａ，７１５ｂと、中間部７１０に形成される凹部７１８内に収容され、横方向に延在するヒンジピン７１１，７１２とを含有する。ヒンジピン部分７１１，７１２は、例えば凹部７１８内に圧入する、且つ／若しくは共通のピンについて回転可能である。移植組織片２９４は、骨トンネル１４を経て通るとき、固定部材が軸から外れて回転するいかなる傾向をも制限するために固定部材７００のいずれかの面に均一に配給されている。固定部材７００が骨トンネル１４を貫通した際に反転されたとき、固定部材７００の残材が骨表面に対して横たわる間にヒンジ７１６が骨トンネル１４内に延在するようにＵ字型ヒンジ７１６は固定部材７００の残材について回転し、固定部材７００を骨トンネルの開口部についての中心合わせ、及び移植組織片２９４を骨トンネル１４内にての中心合わせを促進する。

移植組織片を直接固定部材に結合させるよりはむしろ、移植組織片に付随された縫合糸を固定部材に連結することができる。下記に示した移植組織片の直接固定部材への結合と同じように、縫合糸は固定部材に連結することができる。

チャネルは、円形、長円形、楕円形、及び／又は長方形を含む様々な形状であってよい。アーム部も様々な形状を有してよい。

骨トンネル内における固定部材の位置付け、骨トンネルを経ての固定部材の牽引、及び固定部材の反転を容易にするのに、前方端部及び／又は後方端部はそれぞれ一つ以上の縫合穴部を設けることができる。縫合糸の束は、相対する穴部（図２ｂの３２１ａ，３２１ｂ）の間に延在することができ、束状の移植組織片の後方端部を固定部材の後方端部に固定するのに、縫合糸の束はチャネル３５５の別の開放端を閉じるための栓（stop）としての機能を果たす。移植片固定部材は、チタニウム若しくはポリエーテルテーテルケトン（ＰＥＥＫ）などの生体適合材料、又は生体吸収性材料から形作られる。移植組織片は、ヒト自家移植組織（autograft tissue）、同種移植組織（allograft tissue）、又は合成組織を含んでよい。さらに、大腿トンネルへの開口部において表層の外部面に対して配置されるかわりに、固定部材は骨の内部に配置されてよく、その結果、表層の近傍（near cortex）の骨内面に対して横たわる。上述のように、縫合材料が用いられる。しかしながら、骨トンネルを通じて固定部材／移植組織片の組み合わせの牽引に持ちこたえるのに十分に丈夫な、通常の当業者に知られたその他の材料を用いてもよい。

ここで開示された内容は複合束群の技術において用いた移植片固定部材及び方法に関するものであるが、移植片固定部材及び方法は、単一の骨トンネルの技術においても用いることができ、骨トンネルが図１に示すトンネル２００ｂのように配置されていると有利である。

上記の移植組織片の固定方法は、膝の他の部位若しくは組織の再構成が必要な人体の他の部位に適用することができる。従って、他の実施形態は特許請求の範囲内にある。

ＡＣＬ再建手術における頚骨及び大腿骨トンネル内に固定された移植組織片を示す図である。 大腿骨トンネルを通じて移植組織片の引込みを図示した固定部材の側面図である。 図２Ａに示した固定部材の斜視図である。 他の実施形態における大腿骨トンネルを通じて移植組織片の引込みを図示した固定部材側面図である。 図３Ａに示した固定部材の斜視図である。 他の実施形態における大腿骨トンネルを通じて移植組織片の引込みを図示した固定部材側面図である。 図４Ａに示した固定部材の斜視図である。 他の実施形態における大腿骨トンネルを通じて移植組織片の引込みを図示した固定部材側面図である。 図５Ａに示した固定部材の斜視図である。 図５Ａに示した固定部材の底面図である。 図５Ａに示した固定部材の端面図である。 他の実施形態における固定部材の平面図である。 他の実施形態における大腿骨トンネルを通じて移植組織片の引込みを図示した固定部材側面図である。

符号の説明

１３ 脛骨
１４，１４ａ，１４ｂ 大腿管腔
１５ 腓骨
１６ 脛骨管腔
１９ａ，１９ｂ 開口部
２０ａ，２０ｂ 骨アンカー部
２００，２４０，２９４ 移植組織片
２１０，２９３ 縫合糸
２４０ａ 第一の移植組織片部分
２４０ｂ 第二の移植組織片部分
２４０ｃ，２７０ｃ，２９０ 移植片のループ部分
２５０，２８０，２９２ 前方縫合糸
３００，４００，５００，６００，７００ 移植片固定部材
３１０，４１０，５１０ クロスバー
３２０ 後方端部
３２０ａ，３２０ｂ，３３０ａ，３３０ｂ，５２０ａ，５２０ｂ，５３０ａ，５３０ｂ アーム部
３２１ａ，３２１ｂ，３４０，６８２，６８３ 穴部
３３０ 前方端部
３４５，４４６，５４６ 湾曲部分
３５０，４４０ 開口部
３５５，５５５ チャネル
４２０ａ，４２０ｂ 後方端アーム部
４３０ａ，４３０ｂ 前方端アーム部
４５０，４５５ 閉鎖端チャネル
５０５ 傾斜部分
６１０，７１０ 中間部
６１５，６１６ タブ
６３０ 隆起部
７１１，７１２ ヒンジピン
７１６ ヒンジ部
７１８ 凹部

Claims (8)

1. 骨トンネルに対して概して縦方向に方向付けられたとき前記骨トンネルを貫通し、且つ前記骨トンネルに対して概して横方向に方向付けられたときに前記骨トンネルへの開口部を形成する骨に対して存在するように構成され、且つ配置された本体を備え、
   前記本体は、移植組織片が縦の範囲に実質的一様に配給されるように、前記移植組織片を収容するよう構成された閉鎖型チャネルを形成し、よって前記本体はトンネルを通過する間ほぼ縦方向に保持され、且つ前記本体が前記骨トンネルへの前記開口部が形成された前記骨に対して備わっているとき前記移植組織片が環状をしたクロスバーを含有することを特徴とする移植片固定部材。
2. 前記本体が穴部を形成する前方端部を含有することを特徴とする請求項１に記載の移植片固定部材。
3. 前記本体が穴部を形成する後方端部を含有することを特徴とする請求項１に記載の移植片固定部材。
4. 前記本体が開放端を有する後方端部を含有することを特徴とする請求項１に記載の移植片固定部材。
5. 前記本体が閉鎖端を有する後方端部を含有することを特徴とする請求項１に記載の移植片固定部材。
6. 前記本体が、開放端を有する後方端部と、開放端を有する前方端部とを含有することを特徴とする請求項１に記載の移植片固定部材。
7. 前記閉鎖端が前記本体に対して角度αを成すことを特徴とする請求項５に記載の移植片固定部材。
8. 前記角度αが４５度であることを特徴とする請求項７に記載の移植片固定部材。

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