JP5166056B2 - ゴルフボールの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ソリッドコア用ゴム組成物から作製された層を有するソリッドコアを具備するゴルフボールの製造方法に関する。
ポリブタジエンにアクリル酸亜鉛等が配合されてなるゴム組成物から形成された硬質で高反発性のソリッドコアの外側に、熱可塑性樹脂からなるカバーが被覆されたツーピースソリッドゴルフボールは、センタ部に糸ゴムが巻回された糸巻きコアの外側にカバーが被覆された、いわゆる糸巻きゴルフボールよりも飛距離性能に優れるという利点を有しており、広汎に使用されている。しかしながら、前記ツーピースソリッドゴルフボールには、打球時にプレイヤが感じる衝撃が比較的強い(打球感が柔らかくない)という不具合がある。
打球感を軟らかくするためには、ソリッドコアを軟質化して硬度を小さくすればよい。しかしながら、この場合、ソリッドコアの反発性が低下するために飛距離性能が低下するという不具合を招く。
そこで、近年、ソリッドコアとカバーとの間に軟質な中間層を介在させたゴルフボールや、ソリッドコア又はカバーの少なくともいずれか一方を多層構造とし、その中の1層を軟質な素材で形成したゴルフボール、すなわち、いわゆるマルチピースソリッドゴルフボールが開発されつつある。
例えば、特許文献1では、センター(ソリッドコア)と、内層及び外層の2層からなる中間層と、カバーとを具備し、この4層中、前記中間層における内層の硬度が最も高いフォーピースソリッドゴルフボールが提案されている。なお、内層の形成材料の具体例としては、アイオノマー樹脂が開示されている。
特開平10−179797号公報
近時、さらなる柔らかい打球感が得られ、なおかつ反発性が良好で飛距離性能に優れるゴルフボールが希求される傾向にある。しかしながら、上記から諒解されるように、打球感を軟らかくすることと反発性を確保することとは二律背反の関係にあるため、両特性を同時に兼ね備えるゴルフボールを得ることは容易ではない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、柔らかい打球感を得ることができ、しかも、優れた飛距離性能を示すソリッドコア用ゴム組成物からなる層を有するソリッドコアを具備するゴルフボールの製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、少なくとも1層を有するソリッドコアと、少なくとも1層を有し且つ前記ソリッドコアを被覆するカバーとを具備するゴルフボールであって、
前記ソリッドコアは、ポリブタジエンゴムと、前記ポリブタジエンゴム100重量部に対し、熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜10重量部含有する層を有し、
且つ該ソリッドコアを直径に沿って切断したとき、膨張した前記熱膨張性マイクロカプセルが前記層中で円状又は環状に存在するとともに、過加熱によって収縮した前記熱膨張マイクロカプセルが前記層中に含まれることを特徴とする。
膨張した熱膨張性マイクロカプセルは、多量の気体を内包している。このような熱膨張性マイクロカプセルは、プレイヤがゴルフボールを打撃した際、クッションとして機能する。すなわち、衝撃を緩和する作用を営み、このため、プレイヤが柔らかい打球感を得ることができる。
その一方で、ソリッドコアがブタジエンゴムを含むため、該ブタジエンゴムによって反発性が確保される。すなわち、本発明によれば、柔らかい打球感が得られながらも飛距離性能に優れるゴルフボールが得られる。
なお、膨張した熱膨張性マイクロカプセルがソリッドコア内で環状に存在する場合、ソリッドコアの中心と環状の熱膨張性マイクロカプセルとの距離に応じてゴルフボールの慣性モーメントが相違する。すなわち、前記距離が大きいほど慣性モーメントが大きくなり、スピンが生じ易いゴルフボールとなる。
熱膨張性マイクロカプセルを含有する層においては、膨張した熱膨張性マイクロカプセルを含む部位で硬度が最も小さくなることもある。この場合、ソリッドコア中に低硬度部位が存在することになり、このために柔らかい打球感が一層得られ易くなる。換言すれば、マルチピースソリッドゴルフボールのように軟質な層を設けることなく、従って、低コストで柔らかい打球感を得ることができるようになる。
いずれの場合においても、ソリッドコアの密度は、1.05〜1.20g/cm3であることが好ましい。ソリッドコアがこのように低密度であると、本発明に係るゴルフボールを一般的なゴルフボールと同一重量で作製した場合、本発明に係るゴルフボールの方が直径が著しく大きくなる。このため、プレイヤが初心者であっても打球し易い。すなわち、いわゆる空振りを回避することが容易となる。
また、本発明は、少なくとも1層を有するソリッドコアと、少なくとも1層を有し且つ前記ソリッドコアを被覆するカバーとを具備するゴルフボールの製造方法であって、
ブタジエンと、前記ブタジエンを架橋する架橋剤と、前記ブタジエンの架橋反応を開始させる架橋開始剤とを配合するとともに、前記ブタジエン100重量部に対し、加熱によって膨張する熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜10重量部配合してソリッドコア用ゴム組成物を調製する工程と、
前記ソリッドコア用ゴム組成物からなる層を具備する予備成形体を作製する工程と、
前記予備成形体を加熱することで前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてソリッドコアを設ける工程と、
前記ソリッドコアをカバーで被覆する工程と、
を有し、
前記ソリッドコアを設ける工程で、該ソリッドコアを直径に沿って切断したときに前記熱膨張性マイクロカプセルが前記層中で円状又は環状に分散するとともに、一部の前記熱膨張性マイクロカプセルが過加熱によって収縮する条件下で架橋を行うことを特徴とする。
このような工程を経ることにより、上記したように、打球感が柔らかく且つ反発性(飛距離性能)に優れるゴルフボールを得ることができる。しかも、熱膨張性マイクロカプセルが環状に存在する場合、ソリッドコアの中心からの距離に応じて慣性モーメントを制御することも可能となる。
しかも、従来技術においては、ソリッドコア用ゴム組成物の過剰量をキャビティに射出した後に圧縮しながら加熱を行うため、余剰のソリッドコア用ゴム組成物がキャビティから漏出するとともに、ソリッドコアに多量のバリが生成するのに対し、本発明によれば、ソリッドコア用ゴム組成物を膨張させるため、ソリッドコア用ゴム組成物がキャビティから漏出することはほとんどなく、ソリッドコアに生成するバリも極めて僅かである。従って、省資源化を図ることができるとともに、バリ取り作業を省略することが可能となる。
なお、膨張した熱膨張性マイクロカプセルを環状又は円状に存在させるには、前記加熱を、温度を130〜180℃として150〜500秒間行うことが好ましい。
さらに、本発明は、少なくとも1層を有するソリッドコアと、少なくとも1層を有し且つ前記ソリッドコアを被覆するカバーとを具備するゴルフボールのソリッドコア用ゴム組成物であって、
ポリブタジエンゴムと、前記ポリブタジエンゴムを架橋する架橋剤と、前記ポリブタジエンゴムの架橋反応を開始させる架橋開始剤とを含有し、
さらに、前記ポリブタジエンゴム100重量部に対し、加熱によって膨張する熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜10重量部含有することを特徴とする。
すなわち、本発明に係るゴルフボールのソリッドコアは、このソリッドコア用ゴム組成物を原材料として作製することができる。なお、加熱前のソリッドコア用ゴム組成物に含まれる熱膨張性マイクロカプセルは、膨張していない。
熱膨張性マイクロカプセルとしては、架橋温度において膨張を開始するものが選定される。通常、架橋したポリブタジエンを得るための架橋温度は140〜180℃であるので、熱膨張性マイクロカプセルは、70〜170℃の間の温度で膨張を開始するものであることが好ましい。
いずれの場合においても、熱膨張性マイクロカプセルは、平均粒径が5〜35μmの範囲内のものであることが好ましい。平均粒径がこのような範囲のものは、膨張した後に適度なクッション性を有するものとなるからである。ここで、平均粒径は、熱膨張性マイクロカプセルの製造メーカーによる公称値をいう。
本発明によれば、熱膨張性マイクロカプセルを含有するソリッドコア用ゴム組成物を膨張させてソリッドコアを作製するようにしているので、低密度でクッション性に優れるソリッドコアを具備するゴルフボールを得ることができる。このように構成されたゴルフボールにおいては、優れた反発性が確保される一方、プレイヤが打撃した際に柔らかい打球感が得られる。
しかも、膨張した熱膨張性マイクロカプセルの位置を制御することによって、ゴルフボールの慣性モーメントを所望のものに設定することもできる。
以下、本発明に係るゴルフボールの製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係るゴルフボールを直径に沿って切断した概略断面図を図1に示す。このゴルフボール10は、ソリッドコア12がカバー14で被覆されることによって構成されたツーピースソリッドゴルフボールである。
この場合、ソリッドコア12は、1,4−シス−ブタジエンを基材とするソリッドコア用ゴム組成物が加熱されることによって形成され、架橋したポリブタジエンゴムを主成分とする。なお、必要に応じて、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤や、老化防止剤、着色剤等がさらに配合されていてもよい。
ソリッドコア12には、複数個の膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が含まれている。直径に沿って切断した状態を示す図1において、各熱膨張性マイクロカプセル16は、ソリッドコア12の中心Oから略同等の距離だけ離間した位置に存在する。すなわち、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16は、ソリッドコア12中で環状層18を形成している。
各熱膨張性マイクロカプセル16は、ソリッドコア12を得るためのソリッドコア用ゴム組成物(後述)に予め配合されたものである。ここで、熱膨張性マイクロカプセル16とは、液状炭化水素が熱可塑性高分子からなる外殻に内包されたものであり、加熱によって膨張する。すなわち、前記外殻が軟化するとともに前記液状炭化水素が加熱に伴って気化し、これにより体積が増加して外殻を押圧するからである。この種の熱膨張性マイクロカプセル16は様々なものが市販されており、容易に入手可能である。
一旦膨張した熱膨張性マイクロカプセル16は、冷却されても収縮することはない。従って、熱膨張性マイクロカプセル16は、ソリッドコア12内に膨張した状態で存在することが可能である。なお、熱膨張性マイクロカプセル16は、後述するように、ソリッドコア12を作製する過程で膨張する。
その一方で、熱膨張性マイクロカプセル16は、過度に高温で加熱した場合、気化した炭化水素が外殻を透過するために収縮する。従って、本実施の形態においては、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16がソリッドコア12中に残存するように、ソリッドコア用ゴム組成物からソリッドコア12を作製する際の加熱(架橋)条件が設定される。
この加熱条件に応じて、環状層18から中心Oまでの距離Dが変化する。なお、距離Dは特に限定されるものではなく、例えば、ソリッドコア12の半径rが19.15mmである場合、12mmとすることも可能である。
ゴルフボール10の慣性モーメントは、この距離Dに応じて変化する。すなわち、距離Dが大きいほど慣性モーメントが大きくなり、スピンがし易いものとなる。換言すれば、距離Dを制御することによって所望の慣性モーメントに設定することができる。
図1において、環状層18よりも内側には未膨張の熱膨張性マイクロカプセル16が含有され、一方、環状層18よりも外側には、一旦膨張して収縮した熱膨張性マイクロカプセル16が含有される。未膨張の熱膨張性マイクロカプセル16、及び収縮した熱膨張性マイクロカプセル16では、内包される気体の量が少ない。従って、環状層18の内側及び外側では、環状層18が存在する部位に比して硬度が高くなる。換言すれば、ソリッドコア12は、環状層18が存在する部位において硬度が最小となる。
環状層18の厚みは、特に限定されるものではないが、概ね1〜3mmであり、典型的には約2mmである。また、環状層18中に存在する膨張した熱膨張性マイクロカプセル16の粒径は、およそ20〜200μm程度である。このような環状層18(膨張した熱膨張性マイクロカプセル16)が存在することにより、後述するように、打球感が柔らかいゴルフボール10が得られる。
熱膨張性マイクロカプセル16は、膨張したもの、未膨張のもの、膨張した後に収縮したもの全てを含め、ソリッドコア12の主成分であるポリブタジエン100重量部に対し、0.1〜10重量部の割合で存在する。0.1重量部未満では、打球感を軟らかくする効果に乏しい。一方、10重量部を超えると、ソリッドコア12の反発性が低下してしまう。熱膨張性マイクロカプセル16のより好ましい割合は、1〜5重量部である。
また、熱膨張性マイクロカプセル16としては、ポリブタジエンを得る際の架橋温度で膨張可能なものが選定される。架橋温度は概ね140〜180℃であるので、熱膨張性マイクロカプセル16は、70〜170℃の間の温度で膨張を開始するものが好ましい。
さらに、熱膨張性マイクロカプセル16は、平均粒径が5〜35μmの範囲内のものであることが好ましい。この場合、膨張後の熱膨張性マイクロカプセル16の粒径が上記したように20〜200μm程度となり、その結果、クッション性に優れるソリッドコア12が得られ、このためにゴルフボール10を打球した際に柔らかい打球感が得られる。
しかも、このソリッドコア12は、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16を含むため、見かけ上、気泡を含む多孔質体となっている。このため、従来技術に係るソリッドコアに比して密度が小さい。具体的には、従来技術に係るソリッドコアの密度が概ね1.15〜1.20g/cm3であるのに対し、このソリッドコア12の密度は概ね1.05〜1.20g/cm3である。換言すれば、ソリッドコア12は、体積が同一であれば、従来技術に係るソリッドコアに比して軽量である。
なお、環状層18が存在する部位の密度は概ね1.0g/cm3未満であり、典型的には0.9g/cm3以下である。
カバー14は、ゴルフボールのカバー素材として一般的に採用されているものであればよく、好適には熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー等からなる。
熱可塑性樹脂の好適な例としては、ゴルフボールの原材料として使用されている公知の物質、特に、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との2元系共重合体ないし該共重合体が金属イオンで部分的に中和されたアイオノマー樹脂が挙げられる。
一方、熱可塑性エラストマーの好適な例としては、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系エラストマー、シリコーン系エラストマー等が挙げられ、このうち、柔軟であるために柔らかい打球感が得られ、且つ反発性も良好であることから、ポリウレタン系エラストマーが特に好ましい。
なお、ポリウレタン系エラストマーとしては、ポリオールと、イソシアネートと、鎖伸張剤とからなるものが例示される。ポリオールの具体例としては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられ、イソシアネートの具体例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート等が挙げられる。また、鎖伸張剤の具体例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーは、少なくともいずれか一方が配合されていればよく、勿論、双方がともに配合されていてもよい。
カバー14には、上記した組成物の他、酸化防止剤、着色剤、充填剤、光安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、分散剤、帯電防止剤等が必要に応じて配合されていてもよい。
このように構成されたゴルフボール10は、ソリッドコア12が低密度であるために軽量である。これを換言すれば、ゴルフボールを、ゴルフ競技規則で許容されている最大重量とした場合、一般的なゴルフボールに比して直径が大幅に大きくなる。このような大直径のゴルフボールは、プレイヤが初心者であっても比較的容易に打球することが可能である。すなわち、いわゆる空振りを回避することができる。
その一方で、このソリッドコア12には、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16(環状層18)が含有されている。このために硬度が低下する部位(環状層18が存在する部位)が存在するとともに、熱膨張性マイクロカプセル16が内包する気体が打球時にクッションとして機能し、衝撃力を緩和する。その結果、柔らかい打球感が得られる。
しかも、ソリッドコア12の主成分であるポリブタジエン、及びカバー14の形成材料である熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーのいずれも、反発性が良好である。従って、ゴルフボール10は打球時に優れた反発性を示し、このために初速度が大きく、飛距離性能も良好となる。
なお、図1においては、ソリッドコア12が単層からなるゴルフボール10を示しているが、ソリッドコア12は複数層であってもよい。すなわち、例えば、図2に示すように、ソリッドコア12が内層20と外層22からなるゴルフボール24(スリーピースソリッドゴルフボール)であってもよい。図示しないが、カバー14も複数層からなるものであってもよい。
図2においては、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が外層22のみに含まれている場合を示しているが、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が含まれるのは内層20のみであってもよい。勿論、内層20及び外層22の双方に膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が含まれていてもよい。
さらに、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16は、ソリッドコア12中に環状に存在する必要は特になく、図3に示すように、ソリッドコア12の中心O近傍に偏在したゴルフボール30であってもよい。この場合、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16は、未膨張の熱膨張性マイクロカプセル16とともにソリッドコア12中に円状に存在し、その外方には、収縮した熱膨張性マイクロカプセル16が存在する。
いずれの場合においても、未膨張の熱膨張性マイクロカプセル16、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16、収縮した熱膨張性マイクロカプセル16の合計を100体積%としたとき、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が占める割合は、20体積%以上であることが好ましい。これにより、反発性(飛距離性能)に優れるとともにクッション機能に優れるソリッドコア12を構成することが容易となる。
次に、本実施の形態に係るゴルフボールの製造方法につき、図1に示すゴルフボール10を製造する場合を例示して説明する。
はじめに、ソリッドコア12を作製するためのソリッドコア用ゴム組成物を調製する。すなわち、1,4−シス−ブタジエンに対し、架橋剤(例えば、アクリル酸亜鉛等の不飽和カルボン酸金属塩)、架橋反応を開始させる架橋開始剤(例えば、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物)、さらには熱膨張性マイクロカプセル16を配合する。通常、ポリブタジエンを得る際の架橋温度は概ね140〜180℃であるので、熱膨張性マイクロカプセル16は、70〜170℃の間の温度で膨張を開始するものが好ましい。
ここで、各々の好適な割合は、1,4−シス−ブタジエンを100重量部とするとき、架橋剤は10〜40重量部、架橋開始剤は0.1〜5重量部、熱膨張性マイクロカプセル16は0.1〜10重量部である。必要に応じ、5〜80重量部の無機充填剤を配合するようにしてもよいし、老化防止剤、着色剤等をさらに配合するようにしてもよい。
次に、球形状のキャビティが形成された金型に前記ソリッドコア用ゴム組成物を射出する。
なお、後述する加熱が行われる間、熱膨張性マイクロカプセル16に内包された液状炭化水素が気化することに伴って熱膨張性マイクロカプセル16が膨張する。これに追従してソリッドコア用ゴム組成物も体積が大幅に増加するため、キャビティへの射出量は、従来技術に係るソリッドコア用ゴム組成物に比して少量でよい。具体的には、直径38.3mmのソリッドコア12を得る場合、従来技術では38g程度の射出量が必要であるが、本実施の形態に係るソリッドコア用ゴム組成物を用いた場合、射出量は35g程度で十分である。
そして、このように射出量が低減することに伴い、低密度のソリッドコア12を得ることができる。
キャビティに射出されたソリッドコア用ゴム組成物は、金型ごと加熱される。この加熱に伴って、前記架橋剤及び前記架橋開始剤の作用下に1,4−シス−ブタジエンが架橋してポリブタジエンが形成される。
その一方で、上記したように、熱膨張性マイクロカプセル16が膨張を開始する。その結果、ソリッドコア用ゴム組成物がキャビティの壁に堰き止められるまで膨張する。すなわち、球形状に成形され、ソリッドコア12を形成する。
従来技術においては、ソリッドコア用ゴム組成物の過剰量をキャビティに射出した後に圧縮しながら加熱を行うため、余剰のソリッドコア用ゴム組成物がキャビティから漏出するとともに、ソリッドコアに多量のバリが生成する。これに対し、本実施の形態によれば、上記のようにソリッドコア用ゴム組成物を膨張させるため、ソリッドコア用ゴム組成物がキャビティから漏出することはほとんどなく、ソリッドコア12に生成するバリも極めて僅かである。従って、本実施の形態によれば、省資源化を図ることができるとともに、バリ取り作業を省略することが可能となるという利点が得られる。
熱膨張性マイクロカプセル16は、キャビティの壁に近接する側(外方)から膨張を開始する。上記したように、熱膨張性マイクロカプセル16は、過度に加熱を行うと収縮する。従って、加熱温度及び加熱時間等の加熱条件を設定することによって、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が存在する位置を制御することが可能となる。例えば、架橋条件を140℃、400秒とした場合、38.3mmのソリッドコア12の半径rの略半分まで、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が存在することになる。すなわち、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が円状に存在する。これに対し、140℃、480秒とすると、38.3mmのソリッドコア12の半径rの略40〜60%の位置に熱膨張性マイクロカプセル16が分布した環状層18が形成される。
また、温度が160℃であるときには、240秒でソリッドコア12の半径rの35〜65%の位置に熱膨張性マイクロカプセル16が分布した環状層18が形成され、時間が長くなるにつれて環状層18の幅が小さくなる。340秒、360秒では、環状層18がソリッドコア12の半径rの35〜50%、30〜40%を占める位置となり、380秒では、ソリッドコア12の半径rの15〜20%を占める位置となる。
さらに、温度が180℃であるときには、200秒、240秒でソリッドコア12の半径rの40〜55%、40〜50%を占める位置に環状層18が形成され、300秒では、環状層18がソリッドコア12の半径rの30〜35%を占める位置となる。
このように、温度と時間によって、環状層18の位置(ソリッドコア12の中心Oからの距離)が制御される。この位置に応じて、ゴルフボール10の慣性モーメントが変化する。
なお、さらなる高温とし且つ長時間とすると、熱膨張性マイクロカプセル16の全てが収縮する。この場合、クッション性が乏しくなる。
以上のようにして、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16を含有するソリッドコア12が得られるに至る。熱膨張性マイクロカプセル16を含有しないソリッドコア用ゴム組成物から直径38.3mmのソリッドコアを作製する場合、架橋時間は15分程度とするのが通例であるが、上記から諒解されるように、本実施の形態においては、環状層18の厚みを大きくするべく、架橋時間を200〜240秒程度とすることが好ましい。従って、従来技術に係るソリッドコア用ゴム組成物に比して短時間でソリッドコア12を得ることができる。
なお、架橋時間を短くしているために、ソリッドコア12の特に環状層18よりも内側には、架橋していない1,4−シス−ブタジエンが含まれることもあるが、特に差し支えはなく、寧ろ、未架橋の1,4−シス−ブタジエンが残存することによってソリッドコア12が軟質となり、このために柔らかい打球感が得られる傾向にある。
次に、このソリッドコア12を被覆するように、上記したような熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーが射出成形され、これによりカバー14が形成される。その後、該カバー14にディンプルが形成され、ゴルフボール10が得られるに至る。
図4に示す割合で、シス−1,4−ポリブタジエン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アクリル酸亜鉛、ジクミルパーオキサイド、老化防止剤、熱膨張性マイクロカプセルを混合してソリッドコア用ゴム組成物を調製した。次に、このソリッドコア用ゴム組成物を球形状のキャビティに射出した後、表記の温度・時間で加熱を行うことでソリッドコアを作製した。場合によっては、同様の作業を2回行うことによって、内層及び外層を具備する2相構造のソリッドコアを作製した。
なお、図4中のF−793D及びF−36Dは、それぞれ、松本油脂製薬社製の熱膨張性マイクロカプセルの商品名であり、各々の平均粒径及び膨張開始温度は、25〜35μm及び110〜120℃、5〜15μm及び75〜85℃である。
このソリッドコアに対し、図4に示すカバーを被覆するように設けてゴルフボールとした。各々を実施例1〜5とする。
以上のソリッドコアにおいて、実施例1〜3では膨張した熱膨張性マイクロカプセルが円状に存在していた。また、外層にのみ熱膨張性マイクロカプセルを含有させた実施例4〜6では、内層と外層との界面近傍に膨張した熱膨張性マイクロカプセルが偏在していた。
さらに、実施例7〜9ではソリッドコアの中心から11〜13mmの位置に、実施例10ではソリッドコアの中心からおよそ8mmの位置に環状層18が形成されていた。
各ソリッドコアの硬度及び密度を、図4に併せて示す。なお、図4において、太枠で囲繞するとともに斜字で硬度を示した箇所が、膨張した熱膨張性マイクロカプセルが円状又は環状に存在する部位である。他の部位に比して太枠が最も低硬度であることから、膨張した熱膨張性マイクロカプセルが存在する部位が他の部位に比して低硬度であることが分かる。
比較のため、熱膨張性マイクロカプセルを含有しない2層構造のソリッドコアを具備するゴルフボール、熱膨張性マイクロカプセルを含有しない単層構造のソリッドコアを具備するゴルフボール、熱膨張性マイクロカプセルを含有したソリッドコア用ゴム組成物を用いて加熱時間を長くすることで全ての熱膨張性マイクロカプセルが収縮したソリッドコアを具備するゴルフボールを作製した。各々を比較例1〜6とする。
なお、図4には、以上の実施例1〜10、比較例1〜6の各ゴルフボールにおけるソリッドコアに対して10kg荷重を付加した状態から130kg荷重を付加した状態までの変形量、各ゴルフボールを130フィート/秒の速度で400mm×800mm×50mm寸法の鉄製プレートに衝突させた際の反発係数、及び慣性モーメントを併せて示すとともに、カバーの厚み及びショアD硬度を示している。
以上の実施例1〜10、比較例1〜6の各ゴルフボールにつき、比較例1の反発指数を100として相対的な反発指数を測定した。反発指数が大きいほど反発性が高く、飛距離性能に優れるゴルフボールであることを意味する。その一方で、各ゴルフボールを実打評価することによって打球感を調べた。
以上の結果を、図4に併せて示す。この結果から、実施例1〜9の各ゴルフボールが飛距離性能に優れ、しかも、柔らかい打球感が得られるものであることが明らかである。
本実施の形態に係るゴルフボールの概略断面図である。 別の実施の形態に係るゴルフボールの概略断面図である。 また別の実施の形態に係るゴルフボールの概略断面図である。 実施例1〜10及び比較例1〜6のゴルフボールにおけるソリッドコア、カバーの原材料の成分及びその混合割合と、諸物性及び評価結果とを示す図表である。
符号の説明
10、24、30…ゴルフボール 12…ソリッドコア
14…カバー 16…熱膨張性マイクロカプセル
18…環状層 20…内層
22…外層

Claims (1)

  1. 少なくとも1層を有するソリッドコアと、少なくとも1層を有し且つ前記ソリッドコアを被覆するカバーとを具備するゴルフボールの製造方法であって、
    ブタジエンと、前記ブタジエンを架橋する架橋剤と、前記ブタジエンの架橋反応を開始させる架橋開始剤とを配合するとともに、前記ブタジエン100重量部に対し、加熱によって膨張する熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜10重量部配合してソリッドコア用ゴム組成物を調製する工程と、
    前記ソリッドコア用ゴム組成物からなる層を具備する予備成形体を作製する工程と、
    前記予備成形体を、温度を130〜180℃として150〜500秒間加熱することで前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてソリッドコアを設ける工程と、
    前記ソリッドコアをカバーで被覆する工程と、
    を有し、
    前記ソリッドコアを設ける工程で、該ソリッドコアを直径に沿って切断したときに前記熱膨張性マイクロカプセルが前記層中で円状又は環状に分散するとともに、一部の前記熱膨張性マイクロカプセルが過加熱によって収縮する条件下で架橋を行うことを特徴とするゴルフボールの製造方法。
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