JP5164168B2 - 複合材料 - Google Patents

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Description

本願発明は、低膨張材料および低膨張材料の製造方法に関する。
産業技術の高度化・精密化に伴い、様々な産業分野で、熱膨張の小さい、すなわち温度による形状や寸法の変化が小さい低膨張材料への強い要請がある。従来、低膨張材料のほとんどが、正の熱膨張を持つ材料と負の熱膨張を持つ材料との複合材料であった。これらの複合材料は、1)種類の異なる材料界面での熱膨張の差が大きいため、界面が熱サイクルに対して不安定で、機能の信頼性・耐久性で問題がある、2)作製プロセスが複雑なため、価格が高い、といった欠点を有する。これらの欠点は、単一の物質で低膨張を実現することで克服できると考えられる。
本願発明者は、先に、マンガン窒化物を含む熱膨張抑制剤を開示している(特許文献1および非特許文献1、2)。このマンガン窒化物を含む熱膨張抑制剤は構成元素の種類や比率を調整することで、単一物質として、顕著なマイナス膨張性を含む、広い範囲で線膨張率を自在に制御できるという著しい特長を備えており、熱膨張制御材料として広汎な利用が期待される。そして、一部の組成では単一物質で低膨張が実現されていた。しかしながら、これらマンガン窒化物において低熱膨張のものは、上記の文献に記載されている通り、GaやGeといった高価な元素が含まれるものであり、コストの点で実用に著しい制約があった。当該窒化物において、安価なNi、Cu、Zn、Snといった元素を主成分とするものは、顕著な負熱膨張を示すものの、線膨張率の絶対値が大きく、単一物質としては低膨張材料に利用できなかった。
国際公開WO2006/011590号パンフレット 竹中康司、日本応用磁気学会第150回研究会資料、7 (2006). K. Takenaka and H. Takagi, Appl. Phys. Lett. 87, 261902 (2005).
本願発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、従来の低膨張材料より、安価な、低膨張材料を提供する。
上記課題のもと、本願発明者が、鋭意検討した結果、驚くべきことに、下記手段により、上記課題を解決しうることを見出した。
(1)一般式(1)で表される組成からなるマンガン窒化物結晶を含み、10℃以上の温度域に渡って、線膨張率が−2μ/℃〜+2μ/℃である低膨張材料。
一般式(1)
Mn4-xSnx1x2x3
(一般式(1)中、AはNi、Cu、Znのうち少なくとも1種を表し、Eは原子を表し、Dは一部が他の原子で置換されていてもよい窒素原子である。ここでx=x1+x2+x3であり、0<x1<1.0、0<x2<1.0、0≦x3≦1.0である。)
(2)一般式(1)のEが、Mg、Al、Si、Scおよび周期表第4〜6周期の4〜15族の原子(ただし、Mn、Ni、Cu、Zn、Snを除く)から選択される1種以上の原子である、(1)に記載の低膨張材料。
(3)一般式(1)のDが、その30モル%以下が他の原子で置換されていてもよい窒素原子である、(1)または(2)に記載の低膨張材料。
(4)一般式(1)のDが、その一部がBおよび/またはCで置換されている窒素原子である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の低膨張材料。
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の低膨張材料であって、50℃以上の温度域に渡って、線膨張率が−2μ/℃〜+2μ/℃である低膨張材料。
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の低膨張材料であって、線膨張率が−1μ/℃〜+1μ/℃である低膨張材料。
(7)一般式(1)のDが、0より大きく30モル%以下の割合で、Cで置換されている、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の低膨張材料。
(8)前記マンガン窒化物結晶は、830℃〜980℃で焼成してなる(1)〜(7)のいずれか1項に記載の低膨張材料。
(9)前記マンガン窒化物結晶は、ペロフスカイト型結晶構造である、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の低膨張材料。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の低膨張材料を含む、複合材料。
(11)さらに、強化剤を含む、(10)に記載の複合材料。
(12)原料材料を、830℃〜980℃で焼成してマンガン窒化物結晶とすることを含み、前記原料材料は、少なくとも、Mn3SnNおよび/またはMn3SnCを含む、線膨張率が−2μ/℃〜+2μ/℃である低膨張材料の製造方法。
(13)原料材料を、830℃〜980℃で焼成してマンガン窒化物結晶とすることを含む、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の低膨張材料の製造方法。
(14)前記焼成は、窒素分圧1気圧以下で行う、(12)または(13)に記載の低膨張材料の製造方法。
(15)下記一般式(1)で表される組成中の、AおよびEの種類、x1、x2およびx3の値を調整することを含む、マンガン窒化物結晶を、10℃以上の温度域に渡って、線膨張率が−2μ/℃〜+2μ/℃となるように低膨張化する方法。
一般式(1)
Mn4-xSnx1x2x3
(一般式(1)中、AはNi、Cu、Znのうち少なくとも1種を表し、Eは原子を表し、Dは一部が他の原子で置換されていてもよい窒素原子である。ここでx=x1+x2+x3であり、0<x1<1.0、0<x2<1.0、0≦x3≦1.0である。)
(16)下記一般式(1)で表される組成中の、AおよびEの種類、x1、x2およびx3の値を調整することを含む、マンガン窒化物結晶を、10℃以上の温度域に渡って、線膨張率が−2μ/℃〜+2μ/℃となる温度領域を調整する方法。
一般式(1)
Mn4-xSnx1x2x3
(一般式(1)中、AはNi、Cu、Znのうち少なくとも1種を表し、Eは原子を表し、Dは一部が他の原子で置換されていてもよい窒素原子である。ここでx=x1+x2+x3であり、0<x1<1.0、0<x2<1.0、0≦x3≦1.0である。)
本願発明により、低膨張材料の提供が可能になった。
図1は、本願発明の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図2は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図3は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図4は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図5は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図6は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図7は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図8は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図9は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図10は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図11は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図12は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図13は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図14は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図15は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図16は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図17は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図18は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図19は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。 図20は、本願発明の他の一の低膨張材料の効果を示す図である。
以下において、本願発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本願発明におけるマンガン窒化物は、特に断らない限り、通常の結晶格子(特に、ペロフスカイト型のマンガン窒化物)において生じうる原子の欠陥や過剰がないものをもって記載しているが、この種の結晶格子において通常生じうる欠陥や過剰があっても、本願発明の趣旨を逸脱しない限り、本願発明の範囲内に含まれる趣旨である。ここで、この種の結晶格子において通常生じうる欠陥や過剰は、合金の一般論に従う。例えば、窒素などの侵入元素は欠損しやすいことが知られており、このことは、西川精一・新版金属工学入門・アグネ技術センター(2001)、A. H. Cottrell, An Introduction to Metallurgy (Edward Arnold Ltd., 1967) など多数の文献に記載されている。すなわち、窒素などの侵入元素が欠損しているものも、本願発明の効果を奏する限り、本願発明の範囲に含まれる。
本願発明の低膨張材料に含まれるマンガン窒化物は、一般式(1)で表される組成からなるマンガン窒化物結晶からなる。ここで、「からなる」とは、一般式(1)で表される組成をマンガン窒化物結晶の主成分とするが、該組成が、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲において、不純物等を含んでいてもよい趣旨である。
本願発明における低膨張材料とは、一般式(1)で表される組成からなるマンガン窒化物結晶を含み、10℃以上の温度域に渡って、線膨張率が−2μ/℃〜+2μ/℃である低膨張材料をいう。
一般式(1)
Mn4-xSnx1x2x3
(一般式(1)中、AはNi、Cu、Znのうち少なくとも1種を表し、Eは原子を表し、Dは一部が他の原子で置換されていてもよい窒素原子である。ここでx=x1+x2+x3であり、0<x1<1.0、0<x2<1.0、0≦x3≦1.0である。)
従来、低膨張材料には、GaやGeが多用されていたが、これらの元素は、高価であった。これに対し、本願発明では、安価なSnを採用することによって、安価な低膨張材料の作製に成功したものである。
一般式(1)中、AはNi、Cu、Znのうち少なくとも1種を表し、Cuおよび/またはZnであることがより好ましい。
一般式(1)中、Eは原子を表す。本願発明においては、Eの原子は、本願発明で採用するマンガン窒化物結晶に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。すなわち、本願発明では、マンガン窒化物結晶であって、該結晶中に、Snと、Ni、Cu、Znのうち少なくとも1種を所定の割合で有することが重要であり、一般式(1)中のEの種類は特に定めるものではない。
Eとしては、例えば、Mg、Al、Si、Scおよび周期表第4〜6周期の4〜15族原子(ただし、Mn、Ni、Cu、Zn、Snを除く)から選択される1種以上の原子を選択することができる。
また、AとEが、例えば、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Sb、Ta、Wから選択される1種以上の原子とすることもできる。
特に本願発明では、一般式(1)のEの成分として、Ga、GeおよびNbなどの高価な元素は、それぞれについてx3が0.1以下、さらには含めない組成とすることができるので、経済的な観点から好ましい。
一般式(1)中、Dは一部が他の原子で置換されていてもよい窒素原子である。ここで、一部が他の原子で置換されていてもよいとは、マンガン窒化物において、本来窒素原子が存在する位置に、他の原子が、位置していることをいう。かかる構成とすることにより、より低膨張になりやすい傾向にあり好ましい。
Dの置換率は、その30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは25モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下である。下限値としては、0より大きいことが好ましく、より好ましくは2モル%以上、さらに好ましくは5モル%以上、最も好ましくは10モル%以上である。
Dが置換されていてもよい他の原子は、本願発明の趣旨を逸脱しない限り、特に定めるものではなく、合金の一般論に従って定めることができるが、例えば、H、B、C、O、SおよびPのいずれか1種以上で置換されていることが好ましく、H、B、CおよびOのいずれか1種以上で置換されていることがさらに好ましく、Bおよび/またはCで置換されていることがよりさらに好ましく、Cで置換されていることが特に好ましい。
また、窒素原子は、マンガン窒化物の結晶格子の中心に存在することが好ましい。ここでの窒素原子等は、通常のマンガン窒化物において生じうる窒素原子等の欠陥や過剰がなかった場合に中心に存在することをいう。例えば、立方晶系がわずかにひずんだものについては、立方晶系における八面体中心に相当する位置をいう。
一般式(1)中、x=x1+x2+x3であり、0<x1<1.0、0<x2<1.0、0≦x3≦1.0である。
x1は、例えば、0.1≦x1≦0.8とすることができ、さらには、0.2≦x1≦0.7とすることもでき、特には、0.3≦x1≦0.65とすることもできる。
x2は、例えば、0.1≦x2≦0.8とすることができ、さらには、0.2≦x2≦0.7とすることもでき、特には、0.3≦x2≦0.65とすることもできる。
x3は、0≦x3≦0.4(ただし、Ga、GeおよびNbのいずれかの場合にはそれぞれについて0≦x3≦0.1)とすることができ、例えば、0≦x3≦0.2とすることができ、さらには、0≦x3≦0.15とすることもできる。
さらにx=x1+x2+x3については、0.7≦x≦1.3とすることができ、さらには0.8≦x≦1.2とすることができる。
ここで、本願発明の低膨張材料に含まれるマンガン窒化物は「逆ペロフスカイト」構造を持つことが好ましい。これは代表的な合金であるCu3Au型合金の間隙(中心)に窒素が侵入したもので、侵入型規則合金の1種である。
ここで、本願発明の低膨張材料に含まれる逆ペロフスカイト結晶格子のモデルを示す。この場合、化学式はMn3XNとなる。しかしながら、本願発明は下記構造に限定されるものではない。
Figure 0005164168
ここで、中央部分には、一般式(1)のDに相当するものが入る。すなわち、通常は、窒素原子が入る。黒丸部分には、主として、Snおよび一般式(1)のAに相当するものが入る。白丸部分は、主としてMnが入る。Mnは、一般式(1)中で3より過剰になるとき、黒丸の位置にも入る。一般式(1)のEは、白丸および/または黒丸に入る。
ここで、合金の一般論として、Nの他、H、B、C、O等が侵入元素になり得ることは、例えば、西川精一・新版金属工学入門・アグネ技術センター(2001)、A. H. Cottrell, An Introduction to Metallurgy (Edward Arnold Ltd., 1967) はじめ、多くの文献に記載されている。
本願発明のように、Cu3Au型合金の間隙(中心)に窒素などの侵入元素が位置した逆ペロフスカイト構造は元素置換に対して大変に安定となり、さまざまな金属・典型元素をこの結晶構造中に取り込むことができる。この点は、J.-P. Bouchaud, Ann. Chim. 3, 81 (1968) 、D. Fruchart and E. F. Bertaut, J. Phys. Soc. Jpn. 44, 781 (1978) 等、多数の文献に記載されている通り公知である。また、例えばMn3(Cu0.5Sn0.5)Nなどの混晶系(固溶系)を、様々な組成について作製可能であることは、特許文献1および非特許文献1、2以外にも、R. Fruchart, R. Madar, M Barberon, E. Fruchart, and M. G. Lorthioir, J. Phys. (Paris) 32 C1, 982 (1971)、G. Lorthioir, E. Fruchart, M. Nardin, P. l'Heritier, and R. Fruchart, Mat. Res. Bull. 8, 1027 (1973), D. Fruchart and E. F. Bertaut, J. Phys. Soc. Jpn. 44, 781 (1978)、Ph. l'Heritier, D. Boursier, R. Fruchart, and D. Fruchart, Mat. Res. Bull. 14, 1203 (1979)など、多数の文献に記載されている。
すなわち、一般式(1)で表される組成からなるマンガン窒化物結晶は、該一般式(1)のEおよびDとしてさまざまな元素を含ませることは技術上、容易である。そして、本願発明では、一般式(1)のEの種類に関係なく、低膨張材料とすることができる。
本願発明の低膨張材料に含まれるマンガン窒化物は、立方晶系、および、立方晶系がわずかにひずんだもの(例えば、六方晶系、単斜晶系、斜方晶系、正方晶系、三方晶系等)のいずれであってもよいが、立方晶系が好ましい。
本願発明の低膨張材料は、少なくとも10℃の温度域、好ましくは、少なくとも15℃の温度域、より好ましくは、少なくとも20℃の温度域、さらに好ましくは、少なくとも30℃の温度域、よりさらに好ましくは、少なくとも40℃以上の温度域に、特に好ましくは、50℃以上の温度域、最も好ましくは、60℃以上の温度域に渡って低膨張性を有する。
この場合の線膨張率は、−2μ/℃〜+2μ/℃、さらには、−1.5μ/℃〜+1.5μ/℃、特には−1μ/℃〜+1μ/℃とすることもできる。
また、このような低膨張性が認められる温度領域は、例えば、(1)−20℃〜120℃の間(好ましくは−10℃〜100℃、より好ましくは−5℃〜80℃、特に好ましくは0℃〜60℃)、(2)50℃以上(好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは70℃〜200℃、最も好ましくは80〜160℃)、(3)0℃以下(好ましくは−120℃〜0℃、より好ましくは−100℃〜−20℃)、(4)−200℃〜−100℃の間のいずれか1つ以上とすることができる。
以下に、本願発明で採用するマンガン窒化物の好ましい組成を記載する。これらの組成であって、さらに、その窒素原子の一部が、他の原子で置換された組成も好ましい。また、下記組成は、諸条件を設定することにより、カッコ内の温度域の全域または一部の域で、線膨張率が−2μ/℃〜+2μ/℃である低膨張を示すものとすることができる。
Mn3〜3.2Zn0.3〜0.5Sn0.4〜0.7(N0.7〜0.90.1〜0.3)(−90℃〜120℃);
Mn3〜3.2Cu0.3〜0.5Sn0.4〜0.7N(−60℃〜130℃);
Mn3Zn0.4〜0.5Sn0.4〜0.6Ge0.02〜0.07(N0.8〜0.90.1〜0.2)(−90℃〜10℃);
Mn3Zn0.3〜0.5Sn0.5〜0.7(N0.6〜0.90.05〜0.20.05〜0.15)(−269℃〜0℃);
Mn3〜3.2Zn0.3〜0.5Sn0.3〜0.7N(0℃〜230℃);
Mn2.8〜3Fe0〜0.2Zn0.3〜0.5Sn0.3〜0.7N(−20℃〜230℃);
Mn3〜3.2Zn0.3〜0.5Sn0.4〜0.7(N0.7〜0.90.1〜0.3)(−10℃〜150℃);
Mn2.8〜3Fe0〜0.2Cu0.3〜0.6Sn0.4〜0.7N(−30℃〜120℃);
Mn3〜3.2Cu0.3〜0.6Sn0.4〜0.7(N0.7〜10〜0.3)(−30℃〜120℃);
Mn3〜3.2Cu0.3〜0.6Sn0.4〜0.7(N0.7〜10〜0.3)(−110℃〜90℃);
Mn3〜3.2Ni0.4〜0.7Sn0.3〜0.6N(−140℃〜20℃);
Mn2.8〜3Fe0〜0.2Ni0.5〜0.7Sn0.3〜0.6N(−140℃〜40℃);
Mn3〜3.2Ni0.5〜0.7Sn0.3〜0.6(N0.7〜0.90.1〜0.3)(−100℃〜60℃);
Mn3〜3.2Ni0.5〜0.7Sn0.3〜0.6(N0.7〜0.90.1〜0.3)(−140℃〜40℃);
Mn2.8〜3Cr0〜0.2Cu0.3〜0.6Sn0.3〜0.7N(−50℃〜100℃);
Mn2.8〜3Ti0〜0.2Cu0.3〜0.6Sn0.3〜0.7N(−30℃〜120℃);
Mn3〜3.2Cu0.3〜0.6Sn0.3〜0.7Ag0.1〜0.3N(−70℃〜60℃);
Mn3〜3.2Cu0.3〜0.6Sn0.3〜0.7Si0.05〜0.2N(−100℃〜60℃);
Mn3〜3.2Cu0.3〜0.6Ni0.1〜0.3Sn0.1〜0.6N(−150℃〜0℃);
Mn2.8〜3Cr0〜0.2Zn0.3〜0.6Sn0.3〜0.7N(−30℃〜120℃);
Mn2.8〜3Ti0〜0.2Zn0.3〜0.6Sn0.3〜0.7N(−10℃〜140℃);
Mn3〜3.2Zn0.3〜0.6Sn0.3〜0.7Ag0.1〜0.3N(−50℃〜80℃);
Mn3〜3.2Zn0.3〜0.6Sn0.3〜0.7Si0.05〜0.2N(−80℃〜80℃);
Mn3〜3.2Zn0.3〜0.6Ni0.1〜0.3Sn0.1〜0.6(N0.8〜10〜0.2)(−130℃〜20℃);
Mn2.8〜3Cr0〜0.2Ni0.3〜0.6Sn0.3〜0.7N(−180℃〜20℃);
Mn2.8〜3Ti0〜0.2Ni0.3〜0.6Sn0.3〜0.7N(−180℃〜20℃);
Mn3〜3.2Ni0.3〜0.6Sn0.3〜0.7Ag0.1〜0.3N(−180℃〜10℃);
Mn3〜3.2Ni0.3〜0.6Sn0.3〜0.7Si0.05〜0.2N(−180℃〜10℃)
本願発明の低膨張材料の製造方法は特に定めるものではなく、公知の方法を広く採用できる。
本願発明の低膨張材料は、好ましくは、原料材料を、焼成する方法により製造される。具体的には、原料材料の組成と、焼成温度を調整することにより、10℃以上の温度域に渡って、線膨張率が−2μ/℃〜+2μ/℃である低膨張材料を作製できる。
ここで、原料材料としては、必要な組成を含んでおり、かつ、焼成により、所定の低膨張を実現するマンガン窒化物結晶を形成するものであれば、特に定めるものではない。
より具体的には、Mn31NおよびMn32N(A1およびA2は、Mg、Al、Si、Scおよび周期表第4〜6周期の4〜15族原子のいずれかの原子等)を、焼成して得ることができる。一例として、Mn3SnNおよび/またはMn3SnCと、Mn31N(A1は、Ni、Cu、Znのいずれかである)を焼成して得る方法が挙げられる。また、これらと、Mg、Al、Si、Scおよび周期表第4〜6周期の4〜15族原子のいずれかの単体またはこれらの窒化物、炭化物、硼化物、Mn33N(A3は、Mg、Al、Si、Scおよび周期表第4〜6周期の4〜15族原子)とを焼成して得ることもできる。その他、Mn33C、Mn33Bを焼成して得ることもできる。また、マンガンの窒化物としては、Mn2Nの他、Mn4Nを原料材料とすることもできる。
さらに、金属Mn、Mn2N、Mn4Nのいずれかまたは混合物と原子(Mg、Al、Si、Scおよび周期表第4〜6周期の4〜15族原子等)または該原子の窒化物を原料とし、窒化雰囲気中(例えば窒素ガス1気圧)、500〜770℃で60〜70時間加熱・焼成して得ることもできる。
この他、Mn、上記A1、上記A2を3:(1−x):xのモル比で混合・撹拌した後、窒化雰囲気中(例えば窒素ガス1気圧)で500〜800℃、30〜80時間の加熱を行い、まず粉末を得て、次にそれを窒化雰囲気中(例えば窒素ガス1気圧)で800〜980℃、30〜80時間の加熱を行い、焼成することもできる。この際、出発原料の一部または全部を当該金属・単体の窒化物(例えば、Mn2N、Mn4N、Zn32など)としてもよい。
この他、Mn31 1-x2 xNと単体X(XはB、C)を適当なモル比で混合・撹拌した後、石英管に真空封入し、800〜980℃、60〜80時間焼成することで、Mn31 1-x2 x1-yyを得ることもできる。
本願発明において、焼成温度は、製造するマンガン窒化物結晶の組成に応じて、適宜定めることができるが、例えば、800℃以上であることが好ましく、830℃〜980℃であることがより好ましく、850℃〜960℃であることがさらに好ましく、860℃〜940℃であることが特に好ましい。特に、焼成温度を高くすることにより、低膨張化に成功しやすい傾向にある。
また、焼成は、窒素分圧1気圧以下で行うことが好ましく、窒素分圧0.5気圧以下であることがさらに好ましい。窒素気圧1気圧以下とするためには、石英管などに真空封入するほか、減圧して窒素分圧1気圧以下としてもよいし、アルゴンなどの不活性ガス存在下で、窒素分圧1気圧以下の条件を作製してもよい。窒素の替わりにアンモニアガスを使うこともできる。原料材料が窒素を多く含有する場合は、石英管封入に替えて、ガスによる窒素分圧調整が好ましい。
本願発明における低膨張性は、マンガン窒化物のもつ「磁気体積効果」に由来するものである。磁気体積効果とは「磁気モーメントの変化に伴って体積が変化する現象」のことであり(物性科学事典・東京大学物性研究所編・東京書籍 (1996); E. F. Wasserman, in Ferromagnetic Materials Vol. 5, edited by K. H. J. Buschow and E. P. Wohlfarth (Elsevier, 1990), 237)、Fe-Niインバー合金はじめ多くの金属磁性体に見られる。本願発明の場合、低温磁気秩序相で磁気モーメントが大きくなり、それに伴って温度が低下すると体積が増大する。この磁性に由来する効果と、通常の正の熱膨張との足し合わせによりこの物質の正味の熱膨張が決まる。したがって、この発明で定義される低膨張材料の動作温度の上限は、マンガン窒化物の磁気転移温度程度となることが、原理的に予測される。例えば、D. Fruchart and E. F. Bertaut, J. Phys. Soc. Jpn. 44, 781 (1978)には、この物質群の最高の磁気転移温度がおよそ550K(280℃)とあり、少なくともこの温度程度以下の、ある特定の温度区域において低膨張材料として動作し得る。
本願発明の成果は、材料の焼成条件と低膨張性との相関を見出した点にある。すなわち、本願発明において、焼成温度を高くするほど、磁気体積効果に由来する負熱膨張性が緩慢になり、顕著な負熱膨張から小さな負熱膨張、ゼロ膨張、小さな正熱膨張へと連続的に変化してゆくことを見出した。ゼロ膨張を実現するために必要な焼成温度は、構成元素の種類や比率により異なるため、必ずしも一義的に定まるものではないが、この傾向自体は共通していることを見出した。すなわち、本願発明により、一般式(1)で表されるような従来低膨張化が困難とされていた組成のマンガン窒化物結晶においても熱膨張の制御に成功した点に本願発明の特徴がある。
さらに、本願発明では、上述のとおり、焼成時の窒素分圧を減じることで、同じ雰囲気(例えば石英管真空封入など)のもとで焼成温度を高くするのと同様の効果があることも見出した。両者はともに脱窒化作用(還元作用)を持つと考えられる点で共通であり、本願発明での熱膨張制御法は、「脱窒化雰囲気での熱処理により磁気体積効果を緩慢にする方法」として定義できる。
脱窒化雰囲気は、焼成温度を高くする、もしくは、焼成時の窒素分圧を低くする等の方法で得られる。窒素分圧は例えば、材料を石英管などに真空封入したり、アルゴンArなどの不活性ガスと窒素N2の混合ガスを用いたりすることで実現できる。
より具体的には、本願発明では、一般式(1)のAおよびEの種類、x1、x2およびx3の値、さらには、Dにおける置換する原子の種類およびその置換割合を適宜調整することにより、10℃以上の温度域に渡って、線膨張率を−2μ/℃〜+2μ/℃の範囲で任意に、また、その動作温度域を適宜調整することができる。
さらに、焼成温度および焼成雰囲気を調整することにより、従来低膨張化が困難であった物質についても、低膨張化が可能になる。
すなわち、本願発明の低膨張材料を、用いる用途に応じて、適宜、低膨張の度合いと低膨張が生じる温度領域を調整できる。本発明は実施例に限らず、広い物質あるいは組成に適用できるものであり、低膨張の度合い、および低膨張の生じる温度領域も、実施例に限られるものではない。
本願発明の低膨張材料は、そのまま用いてもよいし、他の材料を添加・混合して複合材料として用いてもよい。複合材料として用いる場合、例えば、強化剤を添加することが挙げられる。強化剤としては、該マンガン窒化物低膨張材料を構成するMn、Sn、Zn、Cuなどの金属やWなどの硬い金属・合金はじめ、各種金属・酸化物・窒化物・炭化物等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本願発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本願発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本願発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(1)低膨張材料の作製
Mn31NおよびMn32N(A1およびA2は、それぞれ、Ni、Cu、ZnまたはSn、以下同じ)を、Mn2NおよびAがMn:A1またはA2=3:1のモル比になるよう秤量・撹拌した後、石英管に真空封入(〜10―3 torr)し、500〜770℃で60〜70時間加熱・焼成して得た。また、Mn4Nについては金属Mnを原料とし、窒素ガス1気圧、450℃で120時間焼成して得た。
そして、Mn31 1-x12 x1Nは、上記の方法で作製したMn31NとMn32Nの粉末を目的のモル比(1−x):x1で混合・撹拌した後、錠剤型に押し固めて、真空封入もしくは窒素ガス1気圧の雰囲気で800〜960℃、60時間の加熱を行い、焼成して得た。
Mn3AX(AはCu、ZnまたはSn、XはBまたはC)は、Mn、A、Xを、順に、3:1:1.05のモル比で、秤量・撹拌した後、石英管に真空封入(〜10-3 torr)し、550〜850℃で80〜120時間加熱・焼成して得た。ここで、Xの比率が1.05であるのは、焼成中のX元素欠損を補うためである。得られたMn3AXを用い、下記組成となるよう、例えば、Mn31 1-x2 x1-yyの場合、Mn31N、Mn32N、Mn31Cの粉末を(1−x−y): x: yのモル比で混合・撹拌した後、錠剤型に押し固めて、石英管に真空封入し、800〜960℃、60〜80時間加熱・焼成して、炭素置換体を得た。
Mn4-x1 x12 x23 x3N(x=x1+x2+x3)は、原料をMn2N、A1、A2、A3(Ge、Si、Ag、Fe、Cr、Ti)もしくはA3の窒化物(Geの場合Ge34など)、として、Mn:A1:A2:A3=(4−x):x1:x2:x3のモル比となるよう秤量・撹拌した後、石英管に真空封入したものを650〜770℃で60〜70時間加熱してまず粉末試料を作製し、それを錠剤型に押し固めたものを真空封入もしくは窒素ガス1気圧の雰囲気で800〜960℃、60時間の加熱を行い、焼成して得た。
上記の試料作製において、原料は全て純度99.9%以上の粉末であった。原料粉などの撹拌は全て窒素ガス中で行った。なお、用いた窒素ガスはフィルター(日化精工、DC−A4およびGC−RX)により水分と酸素を除去した。作製した試料は粉末X線回折(デバイ・シェラー法)により評価し、室温で立方晶のペロフスカイト構造であることを確認した。
(2)低圧窒素処理
さらに、一部の試料においては、(1)における試料焼成の後、アルゴンArと窒素N2の混合ガス中で800〜860℃、60時間の加熱を行った。混合ガスの圧力は全体で1気圧であり、窒素分圧は0(アルゴン100%)から1(窒素100%)まで変化させた。
(3)線熱膨張の測定
固体材料の熱膨張は、線熱膨張ΔL/L0で定量的に評価した。線熱膨張は基準温度での長さL0に対する、当該温度Tでの伸びΔL=L(T)−L0の比率で定義される。本出願で実施例においては基準温度を全て絶対温度300K(26.8℃)に設定した。つまり、L0=L(300K)である。なお、等方的な物質の場合、体熱膨張ΔV/Vを3で割ったものが、線熱膨張に相当し、本実施例のものはすべて等方的なものである。この線熱膨張の温度微分、すなわち、図における傾きが線膨張率αと定義される量である。線膨張率の単位はμ/℃である(μ=10-6)。低膨張とは、αがゼロに近いことを意味する、つまり、図においてΔL/L(300K)が温度に対して変化せず、水平に近いほど、低膨張である。なお、後述の実施例図には動作温度領域におけるαの代表的な値を記している。
線熱膨張の測定には歪みゲージ(共和電業、KFL−02−120−C1−11)を用いた。4×4×1mm3の板状に成形した焼成体試料に、接着剤(共和電業、PC−6)を用いて歪みゲージを貼り付けた。文書用ダブルクリップ(コクヨJ−35)で挟むことで荷重をかけた状態で、窒素ガス1気圧の雰囲気のもと、80℃で1時間、130℃で2時間、150℃で2時間維持した後、クリップをはずして、さらに窒素ガス1気圧の雰囲気のもと、150℃で2時間維持して、焼き付けを行った。歪みゲージの抵抗値Rは物理特性評価システム(カンタム・デザイン、PPMS6000)で測定した。参照試料として無酸素銅板(純度99.99%)を用い、その銅板に同様の方法で焼き付けた歪みゲージの抵抗歪み値ΔR/R(300K)をまず測定した。次にCuについての線熱膨張の文献値(G. K. White and J. G. Collins, J. Low Temp. Phys. 7, 43 (1972)、G. K. White, J. Phys. D: Appl. Phys. 6, 2070 (1973) )から、試料に焼き付けた歪みゲージの抵抗歪み値から差し引くべき補正値を算出した。それを用いて試料の線熱膨張ΔL/L(300K)を求めた。上記の方法では4Kから400K(−269.2℃から126.8℃)の範囲で測定を行った。
100Kから500K(−173.2℃から226.8℃)の範囲においては、レーザー熱膨張計(アルバック理工、LIX−2)を用いて線熱膨張を測定した。一部試料については上述した歪みゲージの方法とレーザー熱膨張計による方法、両方の測定を行い、共通温度区域で両者の測定結果が一致していることを確認した。
以下の表に、本実施例において測定したマンガン窒化物の組成、焼成温度、線膨張率α、図の番号を示す。
Figure 0005164168
表1中、低圧窒素処理とは、上記(2)低圧窒素処理の有無を示す。
本願発明により、半導体製造装置、液晶製造装置、精密工作機械、精密光学機器、各種の精密機械部品など、温度による形状や寸法の変化を著しく嫌う様々な産業分野において、各種部品への応用が可能になった。とりわけ、本願発明では、安価な材料のみで製造することができるので、小型部品だけでなく、大規模な構造部材としての実用も可能になった。また、様々な材料と複合化し、材料の熱膨張制御を行うこともできるようになった。
本出願は、日本で出願された特願2006−352329および特願2007−153847を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。

Claims (4)

  1. 一般式(1)で表される組成からなるマンガン窒化物結晶であって830℃〜980℃で焼成してなり、ペロフスカイト型結晶構造であるマンガン窒化物結晶を含み、50℃以上の温度域に渡って、線膨張率が−1μ/℃〜+1μ/℃である低膨張材料と;強化剤と;を含む複合材料。
    一般式(1)
    Mn4-xSnx1x2x3
    (一般式(1)中、AはNi、Cu、Znのうち少なくとも1種を表し、Eは、Ge、Si、Ag、Fe、CrおよびTiから選択される1種以上の原子を表し、Dは0より大きく30モル%以下の割合でC(炭素)原子で置換されている窒素原子である。ここでx=x1+x2+x3であり、0.3≦x1≦0.65、0.3≦x2≦0.65、0≦x3≦0.4である。)
    但し、上記マンガン窒化物結晶の組成は、上記一般式(1)で表される組成を満たすとともに、以下に示す何れかの組成からなるという条件も満たす。
    Mn 3 3.2 Zn 0.3 0.5 Sn 0.4 0.7 (N 0.7 0.9 0.1 0.3 );Mn 3 3.2 Cu 0.3 0.5 Sn 0.4 0.7 N;Mn 3 Zn 0.4 0.5 Sn 0.4 0.6 Ge 0.02 0.07 (N 0.8 0.9 0.1 0.2 );Mn 3 Zn 0.3 0.5 Sn 0.5 0.7 (N 0.6 0.9 0.05 0.2 0.05 0.15 );Mn 3 3.2 Zn 0.3 0.5 Sn 0.3 0.7 N;Mn 2.8 3 Fe 0 0.2 Zn 0.3 0.5 Sn 0.3 0.7 N;Mn 3 3.2 Zn 0.3 0.5 Sn 0.4 0.7 (N 0.7 0.9 0.1 0.3 );Mn 2.8 3 Fe 0 0.2 Cu 0.3 0.6 Sn 0.4 0.7 N;Mn 3 3.2 Cu 0.3 0.6 Sn 0.4 0.7 (N 0.7 1 0 0.3 );Mn 3 3.2 Cu 0.3 0.6 Sn 0.4 0.7 (N 0.7 1 0 0.3 );Mn 3 3.2 Ni 0.4 0.7 Sn 0.3 0.6 N;Mn 2.8 3 Fe 0 0.2 Ni 0.5 0.7 Sn 0.3 0.6 N;Mn 3 3.2 Ni 0.5 0.7 Sn 0.3 0.6 (N 0.7 0.9 0.1 0.3 );Mn 3 3.2 Ni 0.5 0.7 Sn 0.3 0.6 (N 0.7 0.9 0.1 0.3 );Mn 2.8 3 Cr 0 0.2 Cu 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 N;Mn 2.8 3 Ti 0 0.2 Cu 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 N;Mn 3 3.2 Cu 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 Ag 0.1 0.3 N;Mn 3 3.2 Cu 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 Si 0.05 0.2 N;Mn 3 3.2 Cu 0.3 0.6 Ni 0.1 0.3 Sn 0.1 0.6 N;Mn 2.8 3 Cr 0 0.2 Zn 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 N;Mn 2.8 3 Ti 0 0.2 Zn 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 N;Mn 3 3.2 Zn 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 Ag 0.1 0.3 N;Mn 3 3.2 Zn 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 Si 0.05 0.2 N;Mn 3 3.2 Zn 0.3 0.6 Ni 0.1 0.3 Sn 0.1 0.6 (N 0.8 1 0 0.2 );Mn 2.8 3 Cr 0 0.2 Ni 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 N;Mn 2.8 3 Ti 0 0.2 Ni 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 N;Mn 3 3.2 Ni 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 Ag 0.1 0.3 N;Mn 3 3.2 Ni 0.3 0.6 Sn 0.3 0.7 Si 0.05 0.2
  2. 上記のEは、Si、Ag、Fe、CrおよびTiから選択される1種以上の原子を表す、請求項1に記載の複合材料。
  3. 上記焼成が850℃〜960℃で行われる、請求項1または2に記載の複合材料。
  4. 上記温度域が、−20℃〜120℃の間か60℃〜250℃の間である、請求項1〜3の何れか一項に記載の複合材料。
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