JP5162751B2 - 急性腎不全の検出方法 - Google Patents
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Description
(2) 被検体の尿中のアクアポリン1の量を測定する工程と、
被検体の尿中のアクアポリン1の量を、対照検体の尿中のアクアポリン1の量と対比する工程と、
被検体の尿中のアクアポリン1の量が、対照検体の尿中のアクアポリン1の量と対比して有意に少ないときに、被検体が急性腎不全に罹患している、あるいは対照検体と比較してより重度の急性腎不全であると判断する工程とを含む、
(1)記載の方法。
(3) アクアポリン1の量の測定に用いる尿試料が、尿をフィルター法および/または超遠心法により処理して得られた試料である、(1)または(2)記載の方法。
(4) 被検体がヒトである、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) アクアポリン1の測定が、アクアポリン1に特異的に結合する抗体を用いた免疫学的測定法により行われる、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) アクアポリン1に特異的に結合し得る抗体を含有する、(5)記載の方法に使用するための急性腎不全の診断薬。
(7) アクアポリン1に特異的に結合し得る抗体を含有する、(5)記載の方法に使用するための急性腎不全の診断キット。
本発明において「被検体」とは急性腎不全を発症しうる動物であれば限定されないが、ヒトが特に好ましい。ヒト以外の被検体としては、例えば、サル、チンパンジー等の非ヒト霊長類や、イヌ、ウシ、マウス、ラット、モルモット等の他の哺乳類が挙げられる。ヒト以外の動物を被検体とした場合に得られる情報(判定結果)は、当該非ヒト動物の急性腎不全の診断にも利用され得るが、むしろそれをヒトの急性腎不全の診断法の確立に利用できる点で有用である。図1に示す通り、アクアポリン1のアミノ酸配列は種を超えて保存性が高い。また、ラットなどの疾患モデル動物で見られた尿中アクアポリン排泄量の変化が、患者においても見られることが報告されている。よって、非ヒト動物での実験結果はヒトに対しても外挿可能であると言える。
本発明では被検体からの尿を試料として用いる。尿に例えば次のような処理を施した試料を、アクアポリン1を測定するために用いることができる。
氷上で尿にタンパク質分解酵素阻害剤溶液を加えた後、遠心(1,000 g、10分間、4℃)し上清を得る。上清の一部を10倍希釈した後、化学分析器を用いて尿中のクレアチニン濃度を測定する。残る上清を以下に述べる、フィルター法および超遠心法の2種類の方法を用いて、尿中タンパク質を分離する。
本明細書においてアクアポリン1とは、典型的にはアクアポリン1の成熟体または完全体であり、糖鎖修飾されたアクアポリン1分子も包含される。糖鎖の種類、結合位置などは限定されない。アクアポリン1のアミノ酸配列は被検体の動物種により若干異なる。一例として、配列表には配列番号1としてイヌ (Canis familiaris) 由来アクアポリン1を、配列番号2としてウシ (Bos taurus) 由来アクアポリン1を、配列番号3としてヒト (Homo sapiens) 由来アクアポリン1を、配列番号4としてラット (Rattus norvegicus) 由来アクアポリン1を、配列番号5としてマウス (Mus musculus) 由来アクアポリン1を、それぞれ示す。
アクアポリン1の測定は、アクアポリン1に特異的に結合し得る抗体を用いて行われることが好ましい。このような抗体としては、測定しようとする動物種のアクアポリン1又はその部分配列を含むポリペプチドを抗原として用い、常法により作成された抗体を好適に使用できる。
抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。また抗体はアクアポリン1に特異的に結合し得る限り断片として使用することもできる。抗体の断片としては、例えば、Fab断片、F(ab)’2断片、単鎖抗体(scFv)等が挙げられる。
モノクローナル抗体は例えば次の手順で作成することができる。
ポリクローナル抗体は、例えば、抗原とキャリアーとの複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から活性型ハプトグロビン対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。ポリクローナル抗体の作成に使用する抗原はモノクローナル抗体の作成におけるのと同様である。抗原とキャリアーとの複合体を形成する際に、キャリアーの種類および抗原とキャリアーとの混合比は、キャリアーに架橋させた抗原に対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよい。キャリアーとしては、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等が用いられる。また、抗原とキャリアーのカップリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
本発明の方法は、被検体からの尿中のアクアポリン1の量を評価する工程を含むが、アクアポリン1の絶対的な量を測定する必要はなく、対照となる尿中のアクアポリン1の量との相対的な関係を明らかにできれば評価としては十分である。
アクアポリン1の量の評価方法としては、典型的には、上記の抗アクアポリン1抗体を用いた免疫学的測定法が挙げられる。免疫学的測定法としては、特に制限はなく、従来公知の方法、例えば酵素免疫測定法(EIA法)、ラテックス凝集法、免疫クロマト法、ウエスタンブロット法、放射免疫測定法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)、ルミネッセンス免疫測定法、スピン免疫測定法、抗原抗体複合体形成に伴う濁度を測定する比濁法、抗体固相膜電極を利用し抗原との結合による電位変化を検出する酵素センサー電極法、免疫電気泳動法などを採用することができる。これらの中でもEIA法またはウエスタンブロット法が好ましい。なお、EIA法には、競合的酵素免疫測定法や、サンドイッチ酵素結合免疫固相測定法(サンドイッチELISA法)等が包含される。
本発明では尿中のアクアポリン1の量を測定し、同量の減少を指標として急性腎不全を診断する。
本発明において「診断」とは、典型的には、被検体が急性腎不全に罹患しているか否かの判定(狭義の診断)を意味するが、これには限定されず、急性腎不全の重症度の判定、治療の効果の判定、および治療後に急性腎不全を再発する危険性が存在するか否かの判定をも包含する概念(広義の診断)である。実施例に示すように尿中のアクアポリン1の量は早期の急性腎不全においても顕著に減少することから、本発明の方法は急性腎不全の早期診断に有用であるといえる(なおこの場合、「診断」は狭義の意味で用いられる)。また尿を試料として使用することから、被検体にとり負荷がほとんどない方法であるといえる。
本発明はまた、アクアポリン1に特異的に結合し得る抗体を含む、急性腎不全の診断薬に関する。
本発明の診断薬は、必要な試薬とともにキット化することもできる。例えば診断キットには、抗アクアポリン1抗体、標識化された二次抗体、検出のための試薬等の必要な構成要素が含まれ得る。
キットには更に、緩衝液、洗浄液、使用説明書等が含まれていてもよい。
これらの診断薬又は診断キット中の抗体は、本明細書に開示する、尿中のアクアポリン1の量を指標とした急性腎不全の診断方法のために使用される。
ラットを用いて実験を行った。まず、ラットを麻酔した後に開腹し、右腎動脈を露出させた。次にその動脈にクリップをかけ、60分間血流を遮断した後に血液を再灌流させた(急性腎不全群)。閉腹後、血液を再灌流させた直後から6時間(6時間尿)、および血液を再灌流させてから24〜30時間(30時間尿)それぞれの時間において6時間の採尿を行った。偽手術群では、クリップによる血流遮断以外は同様の手術を行った。
血液をヘパリンと混濁した後、12,000 rpmで10分間遠心することで血漿を分離した。化学分析器を用いて血漿中のクレアチニン値と尿素窒素値を測定した。
(1)ヒト及びラットのアクアポリン1の配列
ヒトおよびラットのアクアポリン1(以下「AQP1」という)分子種のアミノ酸配列を、マウス、イヌ、およびウシの配列とともに図1に示す。ヒトのAQP1は、94%とマウスと最も相同性が高く、ついでラット(93%)、イヌ(92%)、ウシ(91%)の順番である。以下の配列から明らかなように、AQP1は種を越えて良く保存されており、また、今回用いた抗体は、ヒト、ラットおよびマウスの腎および尿中のAQP1を認識できることを確認している。よって、本実験の結果はヒト等の他のほ乳動物に対しても外挿可能であると言える。
今回の実験の目的は、軽度な急性腎不全における早期診断方法の開発である。今回用いたモデルが軽度な急性腎不全を示しているかどうかを、尿量、血中クレアチニン値、血漿尿素窒素値から評価した。表に示すように、尿量において、偽手術群及び急性腎不全群の間に、有意な差は認められなかった。血漿クレアチニン値と尿素窒素値については、急性腎不全群において、有意な増加が認められた。しかしこの増加はいずれも軽微で、正常範囲内であった。以上より、今回のモデルでは、急性腎不全は発症していたが、その程度が著しく軽かったことが考えられた。
表1に、6時間尿および30時間尿それぞれにおけるAQP1排泄量を示した。フィルター法および超遠心法いずれを用いても、急性腎不全発症6時間後において有意なAQP1排泄量の減少が認められた。したがって尿中AQP1は、軽症の急性腎不全において、その発症を早期に診断する上で、有効なマーカーであると考えられた。
Claims (7)
- 被検体の尿中のアクアポリン1の量を測定する工程を含む、急性腎不全の検出方法。
- 被検体の尿中のアクアポリン1の量を測定する工程と、
被検体の尿中のアクアポリン1の量を、健常検体の尿中のアクアポリン1の量と対比する工程と、
被検体の尿中のアクアポリン1の量が、健常検体の尿中のアクアポリン1の量と対比して統計学的に有意に少ないときに、被検体が急性腎不全に罹患していると判断する工程とを含む、
請求項1記載の方法。 - アクアポリン1の量の測定に用いる尿試料が、尿をフィルター法および/または超遠心法により処理して得られた試料である、請求項1または2記載の方法。
- 被検体がヒトである、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- アクアポリン1の測定が、アクアポリン1に特異的に結合する抗体および/またはその断片を用いた免疫学的測定法により行われる、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
- アクアポリン1に特異的に結合する抗体および/またはその断片を含有する、請求項5記載の方法に使用するための急性腎不全の検出薬。
- アクアポリン1に特異的に結合する抗体および/またはその断片を含有する、請求項5記載の方法に使用するための急性腎不全の検出キット。
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