JP5159159B2 - 内燃機関用潤滑油基油および内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents
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内燃機関には、摺動部分の潤滑のために潤滑油が用いられるが、潤滑油は一般に温度が高くなるほど粘度が低くなる。一方、摺動部分の潤滑性や耐摩耗性を維持するには高温における粘度維持特性も重要である。例えば、ガソリンエンジン油においては150℃での高温高せん断粘度を2.6mPa・S以上に維持することが必要と言われている。一方、燃費には80℃付近でのせん断粘度が影響するといわれており、この粘度が低いほど低燃費化を実現できる。従って粘度指数の高い潤滑油が有効である。潤滑油は基油に各種添加剤を加えて使用する例が大半であるが、粘度指数を上げるために粘度指数向上剤と呼ばれる添加剤を加える場合がある。この粘度指数向上剤はポリマー分子でできているため、添加量に応じて潤滑油の粘度が増加する。その効果をより発揮させるためには、より多量に添加できることが必要であり、そのため基油はできるだけ低粘度であることが必要である。もちろん、基油自体の粘度指数が高い方が添加後の潤滑油の粘度指数も高くなり好ましい。粘度指数向上剤を添加しない場合は、潤滑油の粘度性状は基油自体の粘度性状が反映されることになり、基油自体が低粘度、高粘度指数であることが強く求められている。
そこで、従来から用いられてきた鉱油系の潤滑油基油のかわりにエステル化合物を潤滑油基油として用いることが提案されている。例えば、特許文献1には、分岐構造のカルボン酸と分岐構造のアルコールからなるモノエステルを用いたエステル系エンジン油が開示されている。また、特許文献2には、エステル化合物とAPI分類グループIII、IVの鉱油とを混合してなるエンジン油が開示されている。
また、内燃機関をはじめ、一般的な機器は、鉱油を基油とする潤滑油の使用を想定し設計されている。このため、鉱油と極端に性質の異なる潤滑油の使用は好ましくない。特に、極性の問題は大きい。例えば、鉱油よりも粘度性状(粘度指数、流動点等)に優れるポリ-α-オレフィン(PAO)をエンジン油の基油として用いることも多いが、PAOは、鉱油よりも極性が低いため、ニトリルゴムなどで構成されるシール材を収縮させてしまうおそれがある。これは、一般に、ゴム製品にはプロセスオイル等が練りこまれており、低極性液体に接することにより、オイル等が溶出してしまうためである。それ故、PAOを使用する場合には、ジエステルやポリオールエステルのような高極性の化合物を混合して用いることも多い。一方、ジエステルやポリオールエステルのようなエステル化合物は、PAOよりも更に粘度性状に優れているだけでなく、低蒸発性でもあり、より多くの量をPAOに混合したほうが好ましい。しかし、あまり混合量を多くすると、混合基油の極性が高くなりすぎて、内燃機関のシール材を膨潤させてしまうおそれがある。それ故、PAOに対する、ジエステルやポリオールエステルの配合量はせいぜい20質量%程度であり、エステル化合物の特性が活かされていない。従って、PAOに対して混合量を多くできるような鉱油に近い低極性のエステル系化合物(基油)が望まれている。
また、潤滑油として使用するには適度な流動点を有する必要がある。これは用途に応じて求められる性能であるが、一般に使用される鉱油と同等以下の温度であることが好ましい。
〔1〕下記式(1)で示されるモノエステル化合物、およびポリ-α-オレフィンを含んでなる内燃機関用潤滑油基油であって、
R1-COO-R2 (1)
(式中、R1は、炭素数5〜11の飽和炭化水素であり、R2は、炭素数16〜20の飽和炭化水素を示す。)
前記式(1)で示されるモノエステル化合物は、R1およびR2のいずれか一方のみが分岐構造を有することを特徴とする内燃機関用潤滑油基油。
〔3〕上記〔1〕または〔2〕に記載の内燃機関用潤滑油基油において、R1またはR2における分岐位置がα位ではないことを特徴とする内燃機関用潤滑油基油。
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の内燃機関用潤滑油基油において、R1が直鎖構造であり、R2が分岐構造であることを特徴とする内燃機関用潤滑油基油。
〔5〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の内燃機関用潤滑油基油において、R1が分岐構造であり、R2が直鎖構造であることを特徴とする内燃機関用潤滑油基油。
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の内燃機関用潤滑油基油を用いたことを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
本発明の内燃機関用潤滑油基油(以下、単に「基油」ともいう。)は、下記式(1)で示されるモノエステル化合物を含んでいる。
R1-COO-R2 (1)
なお、シクロアルカンは、基油粘度の増大や粘度指数を低下させる傾向がやや認められるので、R1は、鎖状飽和炭化水素であることが好ましい。
また、R1の炭素数が2以下であると、基油を所定以上の粘度とするためには、R2(例えば、組み合わせるアルコール成分)の分子量が大きくせざるを得ず、その結果流動点の上昇を招いてしまう。そのような不都合を避けるためには複雑な分岐構造を有するR2(アルコール成分)が必要となる。また、加水分解した際に低級脂肪酸を生じるので腐食等の観点からも好ましくない。一方、R1の炭素数が24以上であると、やはり流動点の上昇を招いてしまう。また、実用上、炭素数24以上のアルコールを大量・安価に入手することは困難である。
R2の炭素数が3以下であると、基油を所定以上の粘度とするためには、R1(例えば、組み合わせるカルボン酸成分)の分子量が大きくなり、その結果流動点の上昇を招く。そのような不都合を避けるためには、複雑な分岐構造を有するR1(カルボン酸成分)が必要となる。一方、R1の炭素数が25以上であると、やはり流動点の上昇を招いてしまう。また、実用上、炭素数25以上のカルボン酸を大量・安価に入手することは困難である。
ここで、R1が直鎖構造であり、R2が分岐構造であってもよく、逆にR1が分岐構造であり、R2が直鎖構造であってもよい。
R1が直鎖構造の場合、炭素数は3〜11であることが好ましく、特に5〜9がより好ましい。炭素数が12以上であると、流動点が上昇しすぎるおそれがある。
R2が直鎖構造の場合、炭素数は4〜12であることが好ましく、特に6〜10がより好ましい。炭素数が13以上であると流動点が上昇しすぎるおそれがある。
R1が分岐構造の場合、炭素数が13〜23であることが好ましく、特に15〜19がより好ましい。炭素数が24以上であると流動点が上昇しすぎるおそれがある。
R2が分岐構造の場合、炭素数が14〜24であることが好ましく、特に16〜20がより好ましい。炭素数が25以上であると流動点が上昇しすぎるおそれがある。
なお、後述するように、R1とR2の合計炭素数は所定の範囲にあることが好ましく、一方の炭素数を少なくしても、他方の炭素数を増やす必要があり、結果的に流動点が上昇してしまうおそれがある。それ故、流動点の観点より、R1とR2の炭素数の下限値は、上述した値が好ましい。
R1またはR2における分岐位置がα位であると、分子量が同じである他の分岐構造のものと比較して蒸発量の増大を招いてしまい好ましくない。
また、原料入手の容易性の観点より、R1が直鎖構造であって、R2が分岐構造であることが好ましい。直鎖あるいは、α位に分岐を持つ構造のカルボン酸は、比較的容易に製造できるが、α位でない位置に分岐構造を持つカルボン酸は、通常の合成法では製造が困難だからである。
モノエステル化合物の炭素数が24以下であると、潤滑油組成物となったときに蒸発減量が多くなってしまう。また、この炭素数が37以上であると流動点が高くなり、低温特性が悪化する。また、基油の粘度も高くなりすぎて燃費が悪化する。
ここで、R1を含むカルボン酸としては、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ウンデカン酸、n−ドデカン酸、n−トリデカン酸、n−テトラデカン酸、n−ペンタデカン酸、n−ヘキサデカン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸、イソテトラデカン酸、イソペンタデカン酸、イソヘキサデカン酸などが挙げられる。
また、R2を含むアルコールとしては、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘキサデカノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソペンタデカノール、イソヘキサデカノールなどが挙げられる。
エステル化触媒としては、ルイス酸類、アルカリ金属類、スルホン酸類等が例示され、具体的にルイス酸としてはアルミニウム誘導体、錫誘導体、チタン誘導体が例示され、アルカリ金属類としてはナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等が例示され、更にスルホン酸類としてはパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等が例示される。その使用量は、例えば原料であるカルボンおよびアルコールの総質量に対して0.
1〜1.0質量%程度を用いることが好ましい。
エステル化の温度としては、150〜230℃が好ましく、3〜30時間程度で反応は完結する。エステル化反応終了後、過剰の原料を減圧下または常圧下にて留去する。引き続き、慣用の精製方法、例えば、中和、水洗、液液抽出、減圧蒸留、活性炭処理等の吸着精製等により生成したエステル化合物を精製すればよい。
本発明においては、基油として、前記したエステル化合物を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
鉱油としては、例えばパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、中間基系鉱油などが挙げられ、具体例としては、溶剤精製または水添精製による軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油、ブライトストックなどを挙げることができる。一方合成油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン(PAO)、α−オレフィンコポリマー、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、多価アルコールエステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、シクロアルカン系化合物などを挙げることができる。また、GTL(Gas To Liquid)油を用いてもよい。
混合量は、混合基油の極性に影響するが、具体的には、内燃機関で使用するゴム材料等への影響の範囲内で決定すればよい
混合基油とする場合、本発明の潤滑油基油の含有割合は、潤滑油基油全量基準で20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは25〜80質量%、さらに好ましくは、30〜60質量%である。
ここで、極性の尺度としては、アニリン点を用いるのが簡便で好適である。アニリン点は、内燃機関用潤滑油組成物としたときに、90〜110℃程度であることが好ましい。ただし、混合前の基油の段階で、アニリン点が前述の範囲よりかけ離れている場合は混合量が制限されるため、基油として20〜120℃が好ましいが、特に30℃以上であることがより好ましい。
摩擦調整剤としては、例えば、有機モリブデン系化合物、脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、油脂類、アミン、アミド、硫化エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられる。これらの粘度指数向上剤は、単独で又は複数種を任意に組合せて含有させることができるが、通常その含有量は、潤滑油組成物基準で0.05〜4質量%の範囲である。
金属系清浄剤としては、例えば、アルカリ金属(ナトリウム(Na)、カリウム(K)等)又はアルカリ土類金属(カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)等)のスルホネート、フェネート、サリシレート及びナフテネート等が挙げられる。これらは単独で又は複数種を組合せて使用できる。これらの金属系清浄剤の全塩基価及び添加量は、要求される潤滑油の性能に応じて任意に選択でき、全塩基価は、過塩素酸法で通常0〜500mgKOH/g、望ましくは20〜400mgKOH/g、その配合量は、通常、潤滑油組成物基準で0.1〜10質量%の範囲である。
消泡剤としては、液状シリコーンが適しており、例えば、メチルシリコーン,フルオロ
シリコーン,ポリアクリレートが使用可能である。これら消泡剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.0005〜0.01質量%である。
活性剤、および両性界面活性剤などが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩等がある。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩などの四級アンモニウム塩等がある。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテルや、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのエステル、脂肪酸アルカノールアミドのようなアミドが挙げられる。両性界面活性剤としては、ベタイン系としてアルキルベタインなどが挙げられる。これら抗乳化剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.01〜10質量%である。
なんら限定されるものではない。
具体的には、所定のエステル化合物を合成して潤滑油基油としての基本的性状を評価した。また、エステル化合物に別種の基油を混合して得た混合基油についても同様に潤滑油基油としての基本的性状を評価した。
さらに、それらの基油に所定の添加剤を配合して内燃機関用潤滑油組成物とした後、各種の実用評価を行った。
攪拌機、ディーンシュターク型脱水装置付還流管、温度計付の5リットルセパラブルフラスコに2-オクチル-1-ドデカノール1493g(5.0mol)、n−オクタン酸1009g(7.0mol)を入れ、170〜180℃で8時間エステル化反応を行った。この際、反応と共に生成してくる水はディーンシュターク型脱水装置に捕集して除いた。
反応終了後、フラスコ内を100℃まで降温し、減圧下過剰n−オクタン酸、未反応2-オクチル-1-ドデカノール等の大半を除いた。この残渣を精留しn−オクタン酸-2-オクチル-1-ドデカノエート2000gを得た。
合成例1のn−オクタン酸をn−ヘキサン酸813g(7.0mol)に変更した以外は同様にしてn−ヘキサン酸-2-オクチル-1-ドデカノエート1800gを得た。
合成例1の2-オクチル-1-ドデカノールを2-ヘキシル-1-デカノール1212g(5.0mol)に変更し、n−オクタン酸をn−ドデカン酸1402g(7.0mol)に変更した以外は同様にして、n−ドデカン酸-2-ヘキシル-1-デカノエート2000gを得た。
合成例1のエステル化合物40質量%、ポリ-α-オレフィン(PAO)60質量%からなる混合基油を調製した。なお、PAOとしては、市販品(100℃動粘度:4mm2/s)を用いた。
合成例2のエステル化合物25質量%、PAO(混合基油1で用いたもの)75質量%からなる混合基油を調製した。
前記した合成例1〜3および混合基油1、2について、基本的性状を評価した。評価項目および評価方法は、以下の通りである。なお、比較例として、API分類グループIIIの鉱油2種(70N、100N)および前記した混合基油調製に用いたPAO単独についても同様に評価した。結果を表1に示す。
JIS K2283に準拠して測定した。動粘度は、他の条件を満足する範囲内で低いほど好ましい。
(粘度指数)
JIS K2283に準拠して測定した。粘度指数は、他の条件を満足する範囲内で高いほど好ましい。基油としては、100℃の動粘度が2.5〜3.5mm2/sの範囲で130以上が好ましく、また、動粘度が高いほど高い粘度指数が必要である。これは基油の動粘度が低いほど粘度指数向上剤の混合量を多くすることができ、潤滑油組成物としての粘度指数を高くできるからである。鉱油の粘度指数は120程度であり、最終的な潤滑油組成物としては粘度指数200以下のものが一般的であるが、低燃費化のためには250以上あることが好ましい。
JIS K2269に準拠して測定した。−25℃以下であることが好ましく、−35℃以下が特に好ましい。混合基油とする場合は、各基油とも−15℃以上であることが好ましく、これ以上であれば混合する相手や量が制限される。
(アニリン点)
JIS K2256に準拠して測定した。
(蒸発性)
JPI−5S−41−93に準拠して250℃で測定した(NOACK試験)。最終的な潤滑油組成物の性状として、NOACK試験(250℃、1時間)における蒸発量は15%以下になることが好ましい。それ故、基油としての蒸発性は、20%以下であることが好ましい。
表1の実施例1〜5に示すように、本発明の内燃機関用潤滑油は、いずれも本発明の構成要件を満たしており、粘度指数が高く、低温領域から高温領域まで粘度変化が少なく、また150℃における蒸発減量も少ないため内燃機関用の潤滑油基油として優れている。さらに、実施例4、5のように、他の潤滑油基油を混合して混合基油として用いた場合にも優れた性質を発揮する。
一方、比較例1の鉱油(70ニュートラル)では、粘度指数が低く、また、蒸発性が高い。比較例2の鉱油(100ニュートラル)では、蒸発性は低くできるものの、動粘度が高くなりすぎる。また、粘度指数も十分ではない。比較例3のPAO(単独)も、蒸発性は低いものの、粘度がやはり高すぎ、粘度指数も十分ではない。
前記した各基油を用いて内燃機関用潤滑油組成物(エンジン油)を調製した後、基本的性状の測定および実用性能の評価を行った。エンジン油の処方および評価結果を表2に示す。なお、比較例4は、従来公知の一般的なエンジン油を想定して処方を調製したものである。
前記した以外の基本的性状の評価方法および実用性能の評価方法は以下の通りである。
JIS K 2249に準拠して、15℃で測定した。
(CCS粘度)
JIS K2010に準拠して、−35℃で測定した。
(HT/HS粘度)
ASTM D4741に準拠して、150℃で測定した。
(酸価)
電位差法により求めた(JIS K2501)。
(塩基価)
塩酸法により求めた(JIS K2501)。
ASTM D2619−95に準拠して評価を行った。
(ゴム膨潤試験)
JIS K2256に準拠して評価を行った。
以下のような仕様のエンジンに表2に示す各処方のエンジン油を充填して、各回転数におけるトルクを測定した。結果は、比較例4(一般的なエンジン油)に対するトルク低減率として表示した。
エンジンタイプ:L−4 2.0L DOHC
バルブトレイン:ローラフォロワータイプ
構成:マニホールド外部、スパークプラグ
スロットル:ワイドオープン
オイル/冷却水温度:80/75℃
回転数:1500、2000、2500rpm
表2に示すように、実施例6における本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、比較例4として示した従来の鉱油系エンジン油と比べて、基本性状に何ら問題がないことはもちろん、粘度指数が高く、低温領域から高温領域に渡って安定して使用できることがわかる。
また、HT/HS粘度(TBS)を一定に保ったままCCS粘度を大幅に下げることができ、潤滑性と低燃費の両立が可能である。しかも、蒸発性は、従来の鉱油系エンジン油と同等である。
さらに、実施例6の組成物を用いてモータリングトルク試験を行った結果より、従来の鉱油系エンジン油を用いた場合に比べてトルクが3%程度低減していることがわかる。それ故、本発明の組成物は、低燃費化に有効であることが理解できる。ちなみに、80℃におけるモータリングトルクと10.15モード燃費が相関関係にあると一般に言われている。
なお、加水分解試験やゴム膨潤試験の結果より、これらの特性は、従来の鉱油系エンジン油と同等であり、実用上問題ないことも理解できる。
Claims (6)
- 下記式(1)で示されるモノエステル化合物、およびポリ-α-オレフィンを含んでなる内燃機関用潤滑油基油であって、
R1-COO-R2 (1)
(式中、R1は、炭素数5〜11の飽和炭化水素であり、R2は、炭素数16〜20の飽和炭化水素を示す。)
前記式(1)で示されるモノエステル化合物は、R1およびR2のいずれか一方のみが分岐構造を有することを特徴とする内燃機関用潤滑油基油。 - 請求項1に記載の内燃機関用潤滑油基油において、
前記モノエステル化合物の炭素数が25〜32であることを特徴とする内燃機関用潤滑油基油。 - 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用潤滑油基油において、
R1またはR2における分岐位置がα位ではないことを特徴とする内燃機関用潤滑油基油。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の内燃機関用潤滑油基油において、
R1が直鎖構造であり、R2が分岐構造であることを特徴とする内燃機関用潤滑油基油。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の内燃機関用潤滑油基油において、
R1が分岐構造であり、R2が直鎖構造であることを特徴とする内燃機関用潤滑油基油。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の内燃機関用潤滑油基油を用いたことを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
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