以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのパーツの整列装置を例示するものであって、本発明は整列装置を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図2の平面図と図3の断面図に示すパーツの整列装置は、テーパーローラベアリングに使用されるテーパーローラのように、両端部の形状が異なる非対称なパーツを特定の方向に整列して排出する。以下、パーツPをテーパーローラとして詳述するが、本発明の装置は、方向を整列するパーツには、たとえば円筒状、円柱状、角筒状、角柱状、あるいはこれらを連結した形状であって、両端の形状が異なるものも使用できる。
整列装置は、パーツPを載せて移送する移送機構30と、この移送機構30で移送されるパーツPの姿勢を検出して正常姿勢パーツP’を通過し、非正常姿勢パーツP”を移送機構30から落下させる姿勢選別機構50とを備える。
図2と図3の移送機構30は、水平ないしほぼ水平面内に回転できるように配設している内側円盤1と、この内側円盤1の外側に配設している外側リング板2と、この外側リング板2と内側円盤1とを回転する駆動機構3とを備える。移送機構30の外側リング板2で移送されるパーツPの移送路に姿勢選別機構50を配設している。姿勢選別機構50は、外側リング板2で移送されるパーツPの姿勢を選別し、正常な姿勢の正常姿勢パーツP’を外側リング板2に載せて移送するが、非正常姿勢である非正常姿勢パーツP”を外側リング板2から内側円盤1に落下して選別する。
外側リング板2は、内側円盤1に対して傾斜する姿勢に配設している。さらに、外側リング板2は、その一部を内側円盤1と同一平面に配設して、内側円盤1から方向性のあるパーツPを供給できるようにしている。この外側リング板2は、内側円盤1からパーツPが供給される供給部5と、内側円盤1よりも上昇位置に配設されてなる上昇落下部6とを備え、内側円盤1から供給されたパーツPを供給部5から上昇落下部6に移送するようにしている。外側リング板2は、内側円盤1に対して相対的に傾斜して配設される。このことを実現するには、図3に示すように、内側円盤1を水平にして外側リング板2のみを傾斜させ、あるいは、内側円盤と外側リング板の両方を逆方向に傾斜させ、あるいはまた、外側リングを水平にして内側円盤を傾斜させる。
図3に示すように、外側リング板2のみを傾斜させる移送機構30は、内側円盤1を水平面内に配置して、外側リング板2を供給部5から上昇落下部6に向かって上り勾配に傾斜させて、上昇落下部6で外側リング板2と内側円盤1とに落差を設ける。図示しないが、内側円盤と外側リング板の両方を水平面に対して傾斜させる移送機構は、外側リング板をパーツの供給部から上昇落下部に向かって上り勾配に傾斜して、内側円盤を供給部から外側リング板の上昇落下部に向かって下り勾配に傾斜させる。この移送機構は、内側円盤と外側リング板の傾斜角を小さくして、上昇落下部における外側リング板と内側円盤の落差を大きくできる。また、外側リング板を水平に配設する移送機構は、内側円盤を供給部から外側リング板の上昇落下部に向かって下り勾配に傾斜して、上昇落下部で外側リング板と内側円盤とに落差を設ける。
内側円盤1と外側リング板2は、1枚の金属板を、レーザーやプレスで円形に切断して製作できる。内側円盤1の外周縁が外側リング板2の内周縁に接近するからである。ただし、内側円盤と外側リング板とを別々の金属板で製作できるのはいうまでもない。内側円盤1は、供給される多数のパーツPを蓄えることができるように、たとえば外径を10〜80cmとする。内側円盤1を大きくすると、大きなパーツを多数に蓄えることができる。外側リング板2は、この上にパーツPを載せて移送できるように、パーツPの外形に比べて充分な幅に設計される。
互いに傾斜する内側円盤1と外側リング板2は、一部を同一面に配設して、内側円盤1から外側リング板2にパーツPを供給する供給部5としている。外側リング板の供給部は、内側円盤からパーツを供給する部分であるから、内側円盤よりも低い位置に配置することもできる。内側円盤1と外側リング板2は、供給部5から離れるにしたがって上下の差が大きくなり、もっとも上下差の大きくなる部分、あるいはその近傍を上昇落下部6としている。外側リング板2の内周縁と内側円盤1の外周縁の間には隙間ができる。外側リング板2を内側円盤1に対して傾斜しているからである。図2と図3に示す移送機構30は、この隙間からパーツPが漏れないように、外側リング板2の下面に連結壁11を固定している。この連結壁11は、外側リング板2を回転させる円盤12に連結している。
外側リング板2は、その上面に、パーツPの移送方向に連続する移送溝4を設けている。外側リング板2は回転してパーツPを円軌道に移送する。したがって、移送溝4は、外側リング板2の回転中心を中心とする円軌道に連続するように設けられる。図3の移送溝4は、U溝としている。U溝である移送溝4は、パーツPの外径よりも小さい曲率半径の溝とすることができる。この移送溝4は、パーツを移送溝4の中心に沿う軌跡に載せて移送できる。すなわち、パーツを横ずれしないように、直線状に一例に並べて移送できる。ただし、移送溝は、V溝とすることも、あるいはパーツの下面に接触するコ字溝として、パーツを横ずれしないように、一列に直線状に並べて移送することもできる。
図2と図4に示す外側リング板2は、パーツPの移送方向に連続する移送溝4を外側リング板2の円周方向に延長して設けている。この外側リング板2は、移送溝4に案内するパーツPを、円周の接線方向に向く姿勢で移送する。
駆動機構3は、外側リング板2と内側円盤1とを回転させる。図3の駆動機構3は、内側円盤1と外側リング板2とを一緒に同じ回転数で回転させる。この駆動機構3は、内側円盤1の中心に固定している回転軸8に連結している減速モーター9を備える。減速モーター9は、内側円盤1を図2の矢印で示す方向に回転させる。外側リング板2は、フレーム10に回転できるように連結している。図の外側リング板2は、連結壁11を介して下面に円盤12を固定しており、この円盤12の中心に筒状の回転軸13を固定している。筒状の回転軸13がベアリング14を介してフレーム10に回転できるように連結されて、外側リング板2を回転できるようにフレーム10に連結している。外側リング板2と内側円盤1とは傾斜する姿勢に配設されるので、外側リング板2と内側円盤1の回転中心は相対的に傾斜している。
図の駆動機構3は、ひとつの減速モーター9で、内側円盤1と一緒に外側リング板2も回転させる。減速モーター9で内側円盤1と外側リング板2とを一緒に回転させるために、内側円盤1は、下面に突出する駆動ピン15を固定している。この駆動ピン15を案内する一対の平行ピン16を外側リング板2に固定して、平行ピン16の間に摺動スリットを設けている。平行ピン16は、外側リング板2に固定している円盤12が固定される回転軸13の上面に、中心に向かって固定している。平行ピン16の間の摺動スリットに駆動ピン15を出入りできるように、しかも平行ピン16に沿って、すなわち摺動スリットに沿って移動できるように挿入している。この駆動機構3は、減速モーター9が駆動ピン15を回転し、駆動ピン15が平行ピン16を介して外側リング板2を回転させる。内側円盤1と外側リング板2とは回転中心が互いに傾斜しているので、駆動ピン15は平行ピン16の間の摺動スリットを摺動しながら、外側リング板2を回転させる。図示しないが、駆動機構は、内側円盤に半径方向に伸びる摺動スリットを設け、この摺動スリットに案内される駆動ピンを外側リング板の回転軸に固定して、内側円盤と外側リング板を一緒に回転することもできる。
図2と図3に示す移送機構30は、内側円盤1と外側リング板2の間からパーツPが漏れるのを阻止するために、内側円盤1と外側リング板2の隙間を閉塞壁7で閉塞している。閉塞壁7は回転しないように固定される。閉塞壁7は、上昇落下部6を含む部分に設けている落下壁部7Aと、その両側にあって内側円盤1と外側リング板2の上下差の低い部分に配設しているガイド壁部7Bとからなる。落下壁部7Aは、上昇落下部6でパーツPを外側リング板2から内側円盤1に落下させる落下ガイド17に併用している。落下ガイド17を併用する図の落下壁部7Aは、外側リング板2から内側円盤1に向かって下り勾配の傾斜面としている。この落下ガイド17は、パーツPを、衝撃を少なく落下させて、衝撃による損傷をさらに少なくできる。また、落下ガイド17である落下壁部7Aは、フッ素樹脂等の合成樹脂で製作される。フッ素樹脂製の落下ガイド17は、パーツPを極めてスムーズに落下できる。
図に示すパーツの整列装置は、外側リング板2の外周縁に沿って外周壁18を配設している。外周壁18のある外側リング板2は、回転速度を速くして、パーツPが遠心力で外側リング板2から外部に飛び出して落下するのを防止できる。このため、このパーツの整列装置は、外側リング板2を速く回転して、単位時間に多量のパーツPを排出できる。ただし、外周壁は、必ずしも設ける必要はない。外側リング板を遅く回転するパーツの整列装置は、外側リング板に載ったパーツが加速度で外側に落下しないからである。
さらに、図2と図3に示すパーツの整列装置は、内側円盤1の上に供給されたパーツPを、下部供給部5において外側リング板2にスムーズに供給するために、パーツガイド40を配設している。パーツガイド40は、内側円盤1の上方にあって、回転される内側円盤1で移送されるパーツPに接触して、パーツPの移送方向を変更する。パーツガイド40は、下面を内側円盤1の表面に沿う形状としてなる板状で、一端を内側円盤1の中心部に、他端を内側円盤1と外側リング板2の境界部分まで延長して配設している。パーツガイド40は、内側円盤1に載って移送されるパーツPを外周方向に移送できるように、内側円盤1の半径方向に対して傾斜させている。図2に示すパーツガイド40は、中心から外周に向かって、内側円盤1の回転方向に傾斜させている。内側円盤1で移送されるパーツPは、このパーツガイド40に沿って外周方向に移送されて、内側円盤1から外側リング板2に供給される。
さらに、図に示すパーツガイド40は、内側円盤1の表面に沿って移動できるように、所定の角度範囲で回転自在に配設している。パーツガイド40は、内側円盤1の中心側の一端を、垂直姿勢の回動軸42を介して回転できるように配設している。この回動軸42を所定の位置に配置するために、図2と図3に示す整列装置は、内側円盤1と外側リング板2の上方に位置して、これらの直径方向に延びる固定フレーム27を配設している。この固定フレーム27は、両端を支柱28で支持しており、支柱28の下端を基台フレーム10の上面に固定して、固定フレーム27を所定の位置に配置している。この固定フレーム27の中央部分に、パーツガイド40の回動軸42を支持する軸受台43を固定している。この軸受台43は、固定フレーム27から突出する位置に回動軸42を支承する軸受部を設けている。回動軸42は、上部を軸受台43に挿通して回転できるように支持されると共に、下部にパーツガイド40を垂直姿勢で固定している。このパーツガイド40は、回動軸42を中心として、内側円盤1の表面に沿って回動する。
以上のパーツガイド40は、内側円盤1から上方に突出する回転軸8で回転されるカム41で駆動されて、内側円盤1の表面に沿って移動する。内側円盤1は、中心に固定している回転軸8を上方に突出させており、この回転軸8の突出部にカム41を固定している。カム41は、外周部を凹凸形状に成形しており、この凹凸の表面にパーツガイド40を接触させて、パーツガイド40を移動させる。図のパーツガイド40は、カム41の表面に接触するアーム44を固定しており、このアーム44の先端部をカム41の外周面に沿って移動させて、回動軸42を中心として回動して、内側円盤1に沿って移動する。図に示すアーム44は、カム41の凹凸に沿ってスムーズに移動できるように、先端部に接触ローラー45を設けている。
さらに、パーツガイド40は、内側円盤1の外周側の先端部を、弾性体46を介して所定の方向に付勢している。この弾性体46は、パーツガイド40を、半径方向に対する傾斜角が小さくなる方向、いいかえると、パーツガイド40の先端を、パーツPの移送方向と逆方向に付勢している。図に示す弾性体46は、引きバネであるコイルスプリングである。さらに、図に示す整列装置は、弾性体46で付勢されるパーツガイド40が所定の位置で停止するように、ストッパ47を設けている。このストッパ47は、弾性体46で付勢されるパーツガイド40の先端部に当接して、パーツガイド40を所定の停止位置で停止させる。図に示す整列装置は、パーツガイド40が停止位置にある状態では、アーム44の先端がカム41に接触しないようにしている。
以上のパーツガイド40は、内側円盤1のパーツPを外側リング板2に、確実に移送できる。ただし、整列装置は、内側円盤1のパーツPを外側リング板2に移送する機構を、図に示す供給ガイド40には特定しない。それは、空気流でパーツを内側円盤から外側リング板に移送し、あるいは磁気的な吸引力や反発力を利用して、磁性材であるパーツを内側円盤から外側リング板に移送することもできるからである。
さらに、図2に示すパーツの整列装置は、供給部5において、内側円盤1から外側リング板2に供給されたパーツPをスムーズに移送溝4に供給するために供給ガイド19を配設している。供給ガイド19は、移送溝4の外側に沿って設けられた案内壁で、一端を外周壁18に固定すると共に、他端をパーツPの移送方向に向かって、次第に移送溝4に接近するように配置している。この供給ガイド19は、回転しないように外周壁18に固定している。供給ガイド19は、外側リング板2に供給されたパーツPの向きを移送溝4に沿う方向に整列して、パーツPを速やかに移送溝4に案内する。
さらに、図2の移送機構30は、外側リング板2で移送されるパーツPを一列に並べる一列ガイド21を配設している。一列ガイド21は、外側リング板2で移送されるパーツPの移送路に配設されて、2列以上に並べて移送されるパーツPを、一列に並べて移送する。一列ガイド21は、その先端で2列以上に並べて移送されるパーツPを、外側リング板2から内側円盤1に排出する。したがって、一列ガイド21は、その先端縁と外側リング板2の内周縁との間隔が、一列のパーツPのみを移送できる間隔に調整している。
さらに、外側リング板2に移送されたパーツPは、起立姿勢や重なった姿勢で移送されることがある。図のパーツの整列装置は、外側リング板2の移送路に積層解除材20を配設して、パーツPを所定の姿勢で、すなわちパーツPの中心軸が移送溝4の中心に沿う姿勢で移送するようにしている。積層解除材20は、下端縁と外側リング板2の上面との間隔を、移送溝4の中心に沿う一段のパーツPのみが通過できる隙間としている。さらに、積層解除材20は、半径方向に対して傾斜する姿勢として、外側リング板2のパーツPを内側円盤1に移送する。いいかえると、パーツPを外側リング板2から内側円盤1に移送できる方向に、半径方向に対して傾斜させている。したがって、起立姿勢や重なった姿勢のパーツPが外側リング板2で移送されると、中心軸が移送溝4の中心に沿う姿勢で移送される一段目のパーツPのみを通過させて、一段目のパーツPの上に載ったパーツや起立姿勢のパーツを、外側リング板2から内側円盤1に排出する。したがって、外側リング板2に載って移送されるパーツPは、積層解除材20を通過して、必ず中心軸が移送溝4の中心に沿う姿勢のパーツとなる。この機構は、簡単な機構で、外側リング板2の上に積層して移送されるパーツPを正しい姿勢にできる。ただし、外側リング板の上に積層して移送されるパーツは、このことを光センサーで検出して、空気流等で起立姿勢のパーツや重なった姿勢で移送されるパーツを除去することもできる。
図の移送機構30は、内側円盤1から外側リング板2に供給されたパーツPを、一列ガイド21に通過させて一列とし、さらに、積層解除材20に通過させて中心軸が移送溝4の中心に沿う正しい姿勢として上昇落下部6に移送する。上昇落下部6において、姿勢選別機構50がパーツPの方向を検出して、逆方向の姿勢にある非正常姿勢パーツP”を外側リング板2から内側円盤1に落下させる。姿勢選別機構50は、正常な姿勢にある正常姿勢パーツP’を、外側リング板2から落下させることなく通過させて、排出機構25で外部に排出する。
パーツの整列装置は、移送機構30で移送されるパーツPの移送路である外側リング板2の上昇落下部6に、姿勢選別機構50を配設している。整列装置は、図4と図5に示すように、回転される外側リング板2の上方に位置して、姿勢選別機構50を配置している。姿勢選別機構50は、外側リング板2に接触しないようにベースプレート55を配置すると共に、このベースプレート55の上面に、回転軸56を介して選別回転体51を回転できるように連結している。
選別回転体51は、移送されるパーツPに回転されて、正常姿勢パーツP’と非正常姿勢パーツP”とを選別する。すなわち、正常姿勢パーツP’を外側リング板2の移送溝4で移送して、非正常姿勢パーツP”を移送溝4から排出して外側リング板2から内側円盤1に落下させる。選別回転体51は、図4に示すように、移送機構30の外側リング板2で移送されるパーツPに引っ掛けられて、パーツPで回転される引掛部52と、この引掛部52に引っ掛けられる非対称なパーツPを案内する選別凹部53を外周に設けている。図の選別回転体51は、外周に一定のピッチで8組の選別凹部53を設けている。
選別回転体51は、選別凹部53に案内されるパーツPを引掛部52に接触させて、このパーツPで回転される。いいかえると、引掛部52に引っ掛けられるパーツPが選別凹部53に案内されて、選別回転体51を回転させる。したがって選別回転体51は、選別凹部53の一端、回転方向において選別凹部53の前方に引掛部52を設けている。図4の選別回転体51は、移送溝4を移動するパーツPに押されて左に回転されるので、移送溝4と重なる部分において、選別凹部53の図において左端に引掛部52を設けている。
さらに、回転する選別回転体51は、慣性による回転が抑制されるように、制動機構57を介してベースプレート55に連結している。選別回転体51は、移送溝4を移送されるパーツPが引掛部52を押圧する状態で回転されるが、このとき、選別回転体51が早く回転しすぎると、供給されるパーツPの先端面で確実に引掛部52を押圧して回転させながら、パーツPを選別凹部53に供給できなくなる。このため、選別回転体51を、多少は抵抗のある状態で回転できるように、制動機構57を設けている。図5に示す姿勢選別機構50は、選別回転体51の中心に固定した回転体58の中心に設けた貫通部に摩擦部材59を介して回転軸56を配設している。この摩擦部材59は、回転軸56に対する回転体58の摩擦力が、慣性による選別回転体51の回転を抑制するが、パーツPに押圧される状態でスムーズに回転できる大きさとなるように調整している。この選別回転体51は、供給されるパーツPの先端面が引掛部52を押圧する状態で、無理なく回転される。ただ、制動機構は、必ずしも選別回転体と回転軸との間に配設される摩擦部材に特定しない。制動機構は、たとえば、摩擦部材を、選別回転体とベースプレートとの間に配設することもできる。また、制動機構は、摩擦部材に限らず、選別回転体の回転を制動できる他の機構も採用できる。
さらに、選別回転体51は、パーツPの移送路であって移送溝4の上方に引掛部52及び選別凹部53が位置するように配置している。選別回転体51は、図5に示すように、引掛部52及び選別凹部53を有する外周部の高さが、移送溝4に載せて移送されるパーツPの中央部分の高さとなるように配置している。
引掛部52は、選別回転体51の外周から突出して、移送溝4で移送されるパーツPの先端に接触して、選別回転体51を回転する。したがって、引掛部52は、移送溝4で移送されるパーツPの移送路に突出するように設けられる。
選別凹部53は、移送溝4で移送されるパーツPを案内して、非正常姿勢パーツP”を移送溝4から落下させることなく移送して、非正常姿勢パーツP”を移送溝4の外部に排除して、外側リング板2から内側円盤1に落下させる。本発明の整列装置は、両端部の形状が異なる非対称なパーツPの方向を選別して、特定方向のパーツのみを排出して、逆方向のパーツを除く。選別凹部53は、非正常姿勢パーツP”を移送溝4から押し出す押出部53aを有する。選別凹部53は、押出部53a以外の部分で深く、いいかえると中心からの距離を短く加工して、正常姿勢パーツP’と非正常姿勢パーツP”を押し出さない形状とする。図の選別凹部53は、正常姿勢パーツP’が移送される状態で側面が当接する凹部底面を、パーツPの外径が小さくなる小径部分Pxから、パーツPの外径が大きくなる大径部分Pyに向かって次第に深くなる傾斜面としており、非正常姿勢パーツP”の大径部分Pyが接触する部分を押出部53aとしている。ただ、選別凹部は、必ずしも凹部底面を傾斜面とする必要はなく、非正常姿勢パーツP”の大径部分Pyが接触する部分に突出部を設けて押出部とすることもできる。押出部53aは、図6ないし図17に示すように、パーツPの外径が小さくなる小径部分Pxに接触して正常姿勢パーツP’を移送溝4から排除しないで移送するが、パーツPの外径が大きくなる大径部分Pyに接触して非正常姿勢パーツP”を移送溝4から押し出して排除する。テーパーローラは、一端の外径が小さくて、他端の外径が大きいので、外径の小さい部分が小径部分Pxとなり、外径の大きい部分が大径部分Pyとなる。押出部53aは、小径部分Pxに接触しても、正常姿勢パーツP’を移送溝4から排除しない。非正常姿勢パーツP”が移送溝4に移送されると、押出部53aはパーツPの大径部分Pyを押圧して、移送溝4から排除する。
図6ないし図12は、正常姿勢パーツP’を移送溝4で移送する状態を示し、図13ないし図17は、非正常姿勢パーツP”を移送溝4から排除して落下させる状態を示している。これらの図に示すように、正常姿勢パーツP’は、小径部分Pxが押出部53aに接触してもその重心は移送溝4の内側にある。ところが、非正常姿勢パーツP”は、押出部53aが外径の大きい大径部分Pyに接触して移送溝4から押し出されるので、その重心が移送溝4の外側となって、外部に排除されて外側リング板2から内側円盤1に落下される。両端部を非対称な形状とするパーツPは、正常な姿勢と正常でない姿勢とで小径部分Pxの位置が反対側の端部となる。したがって、選別回転体51の選別凹部53は、特定の姿勢で小径部分Pxとなる部分を選別凹部53の押出部53aで押圧して、パーツPを移送溝4に移送しながら、反対方向に移送されるパーツPを移送溝4から排除する形状に加工される。図6ないし図17に示すテーパーローラは、一端が小径部分Pxとなるので、選別凹部53の形状を、小径部分Pxを押出部53aで押圧しても正常姿勢パーツP’を移送溝4で移送できるが、非正常姿勢パーツP”を押出部53aで移送溝4から排除する形状にように加工される。
本発明の装置は、選別する非対称なパーツをテーパーローラには特定しない。図18や図19に示すように、両端部の形状が異なる非対称なパーツPの姿勢を揃えて排出できる。これ等の図に示すパーツPの姿勢を選別する選別回転体51は、選別凹部53に設ける押出部53aが、パーツPの小径部分Pxを押圧して、正常姿勢パーツP’を移送して、非正常姿勢パーツP”を排除する。図18のパーツPは、一端部にリング溝Prを設けている。このパーツPを選別する選別回転体51は、選別凹部53の案内される正常姿勢パーツP’のリング溝Prに接触し、あるいは接近して正常姿勢パーツP’を移送溝4で移送して、非正常姿勢パーツP”を移送溝4から押し出す押出部53aを選別凹部53に設ける。また、図19のパーツPは、一端を小径部分Pxとしている。このパーツPを選別する選別回転体51は、選別凹部53に案内される正常姿勢パーツP’の小径部分Pxに接触ないし接近する押出部53aを選別凹部53に設けている。この選別回転体51は、正常姿勢パーツP’が選別凹部53に案内されると押出部53aが小径部分Pxに接触または接近して、パーツPを移送溝4で移送する。しかしながら、選別凹部53に非正常姿勢パーツP’が案内されると、選別凹部53は小径部分Pxに接触しないで小径部分Pxよりも大きな外径部分Pyに接触する。この状態で非正常姿勢パーツP”は移送溝4から押し出されて排除される。
選別回転体51は、選別凹部53に案内して移送するパーツPの位置が、図8と図15に示すように、正常な姿勢と正常でない姿勢とで変化する。正常姿勢パーツP’は、移送溝4から押し出されることなく移送されるが、非正常姿勢パーツP”は、移送溝4から押し出される位置に移送される。移送溝4から押し出されて移送されるパーツPは、図15に示すように、重心が移送溝4よりも外側となって、それ自体の重量でバランスを崩して移送溝4から排除される。すなわち、外側リング板2の内側に押し出されて、内側円盤1に落下する。
姿勢選別機構50は、図12と図17に示すように、異なる位置に移送される正常姿勢パーツP’と非正常姿勢パーツP”とを接触選別部54で選別して、非正常姿勢パーツP”を移送溝4から押し出して排除することができる。図12は、接触選別部54が正常姿勢パーツP’を移送溝4から排除することなく移送する状態を、図17は、接触選別部54が非正常姿勢パーツP”を移送溝4から排除する状態をそれぞれ示している。正常姿勢パーツP’は、移送溝4に載せて移送されるが、非正常姿勢パーツP”は、押出部53aに押し出されて、移送溝4からはみ出すように移送される。したがって、正常姿勢パーツP’と非正常姿勢パーツP”とは、移送される位置が異なる。したがって、移送路の上方に接触選別部54を配設して、この接触選別部54が、非正常姿勢パーツP”のみを移送溝4から排除するように配置できる。すなわち、図12と図17に示すように、接触選別部54は、正常姿勢パーツP’と非正常姿勢パーツP”とで、最も高い部分よりも反対側に配置される。
接触選別部54は、図8と図12に示すように、正常姿勢パーツP’の最も高い部分(大径部分Pyの中心線上)よりも押出部53aから離れる場所に位置し、かつ、図15と図17に示すように、非正常姿勢パーツP”の最も高い部分(大径部分Pyの中心線上)よりも押出部53aに接近して配設される。最も高い部分よりも外側に配設される接触選別部54は、パーツPを移送溝4から排除する方向には押し出さないので、正常姿勢パーツP’は接触選別部54に接触しても移送溝4から排除されない。ただ、非正常姿勢パーツP”は最も高い部分よりも内側が接触選別部54に接触するので、図16に示すように、移送溝4から排除する方向に押し出される。正確には、非正常姿勢パーツP”は、最も高い部分よりも内側が接触選別部54に接触する状態で、回転する選別回転体51によって移送溝4から押し出されて、それ自体の重量で外側リング板2から落下する。
以上のようにして、本発明のパーツの整列装置は、姿勢選別機構50が、正常姿勢パーツP’を移送溝4から排除することなく通過させると共に、非正常姿勢パーツP”を移送溝4から排除して外側リング板2から落下させて、正常姿勢パーツP’のみを移送溝4で移送して排出する。
以上の実施例の整列装置の姿勢選別機構50が、図4に示すように、前方を小径部分Pxとし、後方を大径部分Pyとして移送されるパーツPを正常姿勢パーツP’として整列する。ただ、姿勢選別機構50は、図20に示すように、前方を大径部分Pyとし、後方を小径部分Pxとして移送されるパーツPを正常姿勢パーツP’として選別する構造とすることもできる。この姿勢選別機構50は、図に示すように、パーツPの移送方向に対する選別回転体51の選別凹部53の形状を、図4に示す選別回転体51の選別凹部53の形状と逆にする。すなわち、この選別回転体51は、非正常姿勢パーツP”の後方に位置する大径部分Pyに接触して非正常姿勢パーツP”を移送溝4から排除する押出部53aを、選別回転体51の回転方向において、選別凹部53の後方に設けている。この選別回転体51は、後方を小径部分Pxとして移送される正常姿勢パーツP’を選別凹部53の内部に案内して移送溝4で移送するが、後方を大径部分Pyとして移送される非正常姿勢パーツP”は、押出部53aで後方の大径部分Pyを押圧して移送溝4から押し出して、外側リング板2から落下させる。したがって、この選別回転体51は、選別凹部53に設ける押出部53aを、非正常姿勢パーツP”を移送溝4から排除するが、正常姿勢パーツP’は選別凹部53の内部に案内して移送溝4で移送できる形状とする。
以上の構造の整列装置は、移送機構30が、外側リング板2の上面に、パーツPの移送方向に連続する移送溝4を備えているので、テーパーローラのように、側面を湾曲面とするパーツPをこの移送溝4に案内して、横ずれしないように直線状に並べて移送できる。ただ、移送機構は、必ずしも、パーツの移送方向に連続する移送溝を設ける必要はない。移送機構は、移送溝を設けることなく、パーツを上に載せて移送することもできる。図21に示す整列装置は、外側リング板2の上面に移送溝を設けることなく、外側リング板2の内周縁部の上にパーツPを載せて移送する構造としている。この移送機構30は、たとえば、平面状の側面を有するパーツを直線状に並べて移送できる。
さらに、前述の実施例の整列装置は、両端部の形状が異なる非対称なパーツPの姿勢を、移送方向の前後における形状から、正常姿勢パーツP’と非正常姿勢パーツP”とに選別する。したがって、この整列装置は、テーパーローラのように、前後の形状から正常姿勢パーツP’と非正常姿勢パーツP”とを区別できるパーツの選別に最適である。ただ、本発明の整列装置は、両端部の形状が異なる非対称なパーツの前後の姿勢だけでなく、表裏の姿勢も選別することができる。この整列装置は、例えば、図22に示すように、板状あるいはブロック状のパーツであって、両端部の形状に加えて、両側部の形状が異なる非対称なパーツPの姿勢を検出して、特定の姿勢にあるパーツを選別して排出する。図22に示す非対称パーツPは、全体の平面形状を、細長い台形状であるくさび形としている。このパーツPは、両端部において、幅が狭くなる幅狭部分Paと幅が広くなる幅広部分Pbとを有すると共に、両側部において、幅狭部分Paから幅広部分Pbに向かって傾斜するテーパー部Ptと、このテーパー部Ptと対向する非テーパー部Psとを有している。
図21に示す整列装置は、図22に示す非対称なパーツPの姿勢を検出して、特定の姿勢にあるパーツを選別して排出する。この整列装置の姿勢選別機構50がパーツPを選別する状態を図23ないし図26に示す。これらの図に示す整列装置は、パーツPの前後の姿勢に加えて、表裏の姿勢も判別して選別する。これらの図に示す姿勢選別機構50は、パーツPの一方のフラット面である第1面(図においてA面)を上面とする姿勢であって、幅広部分Paを前方として、幅広部分Pbを後方とする姿勢で移送されるパーツを正常姿勢パーツP’として選別する。なお。図21、及び図23ないし図26において、前述の実施例と同じ構成要素については、同符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図に示す姿勢選別機構50は、移送されるパーツPの表裏の姿勢と前後の姿勢を選別するために、選別凹部53の形状を正常姿勢パーツP’を落下させることなく移送できる形状とし、非正常姿勢パーツP”を落下させる形状としている。図に示す姿勢選別機構50は、パーツPの表裏を判別するために、非テーパー部Psを選別凹部53側とし、テーパー部Ptを外側リング2の中心側とする姿勢で移送されるパーツPを選別凹部53に案内するが、テーパー部Ptを選別凹部53側として、非テーパー部Psを外側リング2の中心側とする姿勢で移送されるパーツPを選別凹部53に案内することなく落下させる構造としている。このことを実現するために、姿勢選別機構50は、選別回転体51に設ける選別凹部53の開口幅(W)を、パーツPの非テーパー部Psの幅(L2)とほぼ等しく、あるいはやや大きくし、テーパー部Ptの幅(L1)よりも小さくしている。この姿勢選別機構50は、図23と図24に示すように、非テーパー部Psを選別凹部53側として移送されるパーツPを選別凹部53に深く案内する。パーツPの非テーパー部Psの幅(L2)が選別凹部53の開口幅(W)とほぼ等しいからである。これに対して、姿勢選別機構50は、図25と図26に示すように、テーパー部Ptを選別凹部53側として移送されるパーツPを選別凹部53に深く案内しない。それは、パーツPのテーパー部Ptの幅(L1)が選別凹部53の開口幅(W)よりも大きいからである。選別凹部53に深く案内されない非正常姿勢パーツP”は、図25と図26に示すように、外側リング板2の内周縁からはみ出すように押し出されて内側円盤1に落下する。以上ようにして、非正常姿勢パーツP”の上面である第2面(図においてB面)を上面とする姿勢で移送されるパーツPを非正常姿勢パーツP”として排除する。
さらに、姿勢選別機構50は、正常姿勢パーツP’の上面である第1面(図においてA面)を上面とする姿勢で移送されるパーツPの前後の姿勢を判別するために、選別回転体51の選別凹部53には、非正常姿勢パーツP”を押し出す押出部53aを設けている。選別凹部53は、押出部53a以外の部分を深く加工して、パーツPを押し出さない形状とする。図の選別凹部53は、正常姿勢パーツP’の非テーパー部Ptに当接する凹部底面を、幅狭部分Pa側から幅広部分Pb側に向かって次第に深くなる傾斜面として、非テーパー部Ptの幅狭部分Pa側の端部が接触する部分を押出部53aとしている。ただ、選別凹部は、必ずしも凹部底面を傾斜面とする必要はなく、非テーパー部の幅狭部分側の端部が接触する部分に突出部を設けて押出部とすることもできる。押出部53aは、図23に示すように、正常姿勢パーツP’を案内する状態では、非テーパー部Ptの幅狭部分Pa側に接触して正常姿勢パーツP’を外側リング板2から落下させない状態で移送するが、非正常姿勢パーツP”を案内する状態では、非テーパー部Ptの幅広部分Pb側に接触して非正常姿勢パーツP”を外側リング板2から押し出して排除する。
以上のようにして、整列装置は、移送されるパーツPの表裏の姿勢と前後の姿勢の両方を姿勢選別機構50で判別して、非正常姿勢パーツP”を外側リング板2から落下させて排除し、正常姿勢パーツP’を落下させることなく移送して排出する。
さらに、図21に示す整列装置は、外側リング板2の移送路に積層解除材20を配設して、パーツPが積層状態で移送されるのを阻止している。図22に示すように、板状のパーツは、面積の広いフラット面を上下とする姿勢で移送されるので、複数のパーツPが積層状態で移送されやすくなる。積層解除材20は、下端縁と外側リング板2の上面との間隔を、一段のパーツPのみが通過できる隙間としている。さらに、積層解除材20は、半径方向に対して傾斜する姿勢として、外側リング板2のパーツPを内側円盤1に落下させる構造としている。したがって、起立姿勢や重なった姿勢のパーツPが外側リング板2で移送されると、一段目のパーツPのみを通過させて、一段目のパーツPの上に載ったパーツや起立姿勢のパーツを、外側リング板2から内側円盤1に排除する。すなわち、外側リング板2に載って移送されるパーツPは、積層解除材20を通過して、一段に整理される。
さらに、図21に示す整列装置は、積層解除材20を通過して、一段に整理されたパーツPを一列に並べて姿勢選別機構50の選別凹部53に供給する一列ガイド21を配設している。一列ガイド21は、外側リング板2で移送されるパーツPの移送路に配設されて、2列以上に並べて移送されるパーツPを、一列に並べて移送する。図の一列ガイド21は、外側リング板2の内周縁に沿って設けられた案内壁で、その先端部をパーツPの移送方向に向かって、次第に外側リング板2の内周縁に接近するように配置している。この一列ガイド21は、2列以上に並べて移送されるパーツPを、外側リング板2から内側円盤1に排除する。したがって、一列ガイド21は、その先端部の内側縁と外側リング板2の内周縁との間隔が、一列のパーツPのみを移送できる間隔となるように調整して、この部分に、パーツPを移送する移送スペース22を設けている。図に示す一列ガイド21は、その先端を、姿勢選別機構50の選別凹部53の開口部の近傍まで延長している。この一列ガイド21は、移送スペース22に沿って移送されるパーツPを確実に選別凹部53に案内できる。