JP5155855B2 - 多分化性幹細胞の単離 - Google Patents

多分化性幹細胞の単離 Download PDF

Info

Publication number
JP5155855B2
JP5155855B2 JP2008517214A JP2008517214A JP5155855B2 JP 5155855 B2 JP5155855 B2 JP 5155855B2 JP 2008517214 A JP2008517214 A JP 2008517214A JP 2008517214 A JP2008517214 A JP 2008517214A JP 5155855 B2 JP5155855 B2 JP 5155855B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
medium
differentiation
bone marrow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008517214A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009512419A (ja
Inventor
ソン,サン,ユーケイ
Original Assignee
ホメオ セラピー カンパニー リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ホメオ セラピー カンパニー リミテッド filed Critical ホメオ セラピー カンパニー リミテッド
Publication of JP2009512419A publication Critical patent/JP2009512419A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5155855B2 publication Critical patent/JP5155855B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0607Non-embryonic pluripotent stem cells, e.g. MASC

Description

関連出願の相互参照
本特許出願は、2005年6月17日に出願された米国特許仮出願第60/595,254号に基づく優先権の主張を伴うものであり、そのすべての内容は参照により本明細書に援用される。
1.本発明の分野
本発明は、細胞単離の分野に関する。本発明はまた、種々のタイプの幹細胞または前駆細胞を単離する方法に関する。
2.一般的背景および最新技術
骨髄は、造血幹細胞および間充織幹細胞および前駆細胞を含んでいることが知られている。造血幹細胞(HSC)は、種々の種類の血液細胞を生成することができ[1]、骨髄間質細胞(MSC)または間充織幹細胞は、軟骨、骨、および脂肪組織等の数種類の異なる組織に分化することができる[2、3、4]。MSCは、Friedensteinおよび彼の同僚らによって[5]、細胞培養皿への接着に基づいて発見された。未分化のMSCは、線維芽細胞のような形態を有し、自己再生能を有しており、主に中胚葉起源の結合組織、すなわち、軟骨、骨、および脂肪組織に分化することができる。特異的かつ一意的にMSCを同定することができる特定の細胞表面タンパク質はまだ存在しない。MSCに関連する特性の多様性は、研究室間における組織起源、単離方法、および培養方法の違いによって説明することができる[2、6、7、8]。一貫性はないものの、増幅されたMSCは、インビトロでCD29、CD44、CD73、CD105、CD106、およびCD166を発現するが[9]、CD11b、CD14、CD31、CD34、またはCD45等の造血性表面マーカーを欠くか、またはわずかに陽性である。
主に骨髄、臍帯血、および脂肪組織等の異なる供給源から得られる、MSCと同様の特性を有する細胞集団が知られている。特徴的なマーカーを欠くため、これらの細胞が独自の細胞種であるか否かについて同定することは困難であるが、これらは、おそらく個別の単離および培養方法に起因する、種々のレベルの表面マーカー発現能および種々の分化能を有する。MSCが分化する可能性を有する範囲は、中胚葉系統のみならず、内胚葉および/または外胚葉系統にも及ぶ。したがって、「多分化性幹細胞または前駆細胞(MLS/PC)」という語句は、中胚葉、外胚葉および/または内胚葉系統に分化することが可能なこのような種類の幹細胞または前駆細胞を示唆している。
成体の骨髄に由来するMSCは、単離及び培養が容易であり、インビトロにおいてこれらの表現型が安定であり、同種異系拒絶が低いかまたは起こらないため、医療における新たな戦略の可能性を開くものである。事実、ヒトおよび動物において、MSCの低免疫源性に関する実験的証拠が蓄積されている[10]。近年、種々の疾患の治療のために、成体の自己または同種異系MSCの臨床応用が実施され、非常に有望な結果が得られている[11]。
MSCの単離および増幅について、現在までに数種のプロトコールが開発されている。これらの方法は、密度勾配遠心分離法[12]、FACS細胞分取[13、14]、特異的細胞表面抗体[12、15、17、18]、ラミニンでコーティングしたプレートに対する選択的な接着[19]、ヘキスト色素排除、およびサイズふるい培養[24]に基づいている。臨床応用の観点から、これらの方法について考えられる欠点は、培養細胞の不均質性、高いコンタミネーションのリスク、および/または高い製造コストである。したがって、コンタミネーションの可能性がより低く、より低いコストで、非常に均質な細胞集団を単離する新規なプロトコールを、臨床状況で使用することが望ましい。
本出願は、臨床応用のために、コンタミネーションの可能性がより低く、より低いコストで、非常に均質なMLSCの集団を製造するために開発した新規な単離方法を開示する。この方法では、必ずしも密度勾配遠心分離、抗体選択、またはFACS細胞分取を用いる必要はないが、接着した骨髄細胞をそれらの細胞密度によって分離するために、好ましくは、コーティングをしてないか、コラーゲンまたはポリリジンでコーティングした培養皿中で、主に自然重力および亜分画細胞培養を用いる。単一細胞に由来するコロニーより取り出した、数種類のMLSC系の非常に均質な集団を、このプロトコールを用いてヒト骨髄から単離しおよび増幅した。これらの幹細胞系は、自己再生能を有し、軟骨形成細胞、骨形成原細胞、脂質生成細胞、神経原性細胞、および肝性細胞系統等の数種類の異なる系統に分化することができる。
発明の要約
本発明は、移植片対宿主病、変形性関節症、関節リウマチ、骨形成不全症等の疾患の治療、および皮膚、軟骨、骨、筋肉、および神経等の組織の修復に用いることができる成体幹細胞または前駆細胞を提供する。
本発明は、(i)細胞のサンプルを容器内に定着させる工程と、(ii)容器から得られる上清を別の容器に移す工程と、(iii)サンプル中で比較的密度が低い細胞を上清から単離する工程とを含む、細胞の生体サンプルを操作する方法を対象とする。
細胞のサンプルを培地と混合してもよい。さらに、上述の方法において、工程(i)および(ii)を少なくとも3回繰り返し、上清から単離した細胞を容器中で増幅してもよい。容器は平坦な底面を有していてもよく、細胞接着剤でコーティングしていてもよい。細胞接着剤は、正電荷または負電荷を有する分子であってよい。好ましくは、細胞接着剤は、コラーゲン、ポリリジン、またはポリアルギニン、ポリアスパラギン酸塩、ポリグルタミン酸塩等の、別の電荷を有するアミノ酸、またはこれらの組み合わせである。細胞のサンプルは、骨髄、末梢血、臍帯血、脂肪組織サンプル、またはサイトカインで活性化された末梢血から得られるものであってよく、多分化性幹細胞または前駆細胞の単一のコロニーを単離してもよい。
一態様では、本発明は、多分化性幹細胞の単離に関する。細胞は、前駆細胞であり得る。
一実施態様では、単離方法は、細胞のサンプルを遠心分離する工程を含まなくてもよい。別の実施態様では、細胞の生体サンプルは、任意の遠心分離を行う前に得てもよい。さらに別の実施態様では、細胞の生体サンプルは、遠心分離を行った後に得てもよく、好ましくは、MSCの単離に通常用いられる従来の密度勾配遠心分離法により単離または分画した単核細胞であってよい。
別の態様では、本発明は、適当な誘導媒体または形質転換/分化培地を、上述の調製方法により得た、単離した多分化性幹細胞と接触させることにより、内胚葉細胞系統、中胚葉細胞系統、または外胚葉細胞系統を製造する方法を対象とする。
本発明のこれらの目的および他の目的は、以下の本発明の説明、本明細書に添付した参照図面、および本明細書に添付した特許請求の範囲より、さらに十分に理解されるであろう。
本発明は、以下に示す詳細な説明、および実例としてのみ示し、したがって、本発明を限定するものではない添付図面により、さらに十分に理解される。
図1は、亜分画培養法を用いたヒト骨髄からの多分化性幹細胞の単離の全フローチャートを示す。簡潔に述べると、1mlのヒト骨髄を、15mlのDMEM−HG、DMEM−LG、またはMEM(20%FBS)と混合し、10cm2の細胞培養皿にプレートした。2時間インキュベートした後、上清のみを新しい皿に移した。これをもう1度繰り返した。次いで、上清をコーティングのない、またはコラーゲンもしくはポリリジンでコーティングした皿に移した。この段階から、細胞を1日間×2回、および2日間×1回インキュベートした。最終的に得た上清を、単一クローンの細胞が現れるまでインキュベートした。単一クローンの細胞が、6ウェルプレートに移すのに十分な大きさになった時、細胞を、さらに試験を行うために、さらに大きなプレートに増幅した。
図2A〜2Dは、骨髄からの単離した多分化性幹細胞の形態的特徴を示す。(AおよびB)骨髄細胞の最終亜分画後3日目のMLSC。細胞は、線維芽細胞のような形態を有している。倍率:(A)40倍、(B)200倍。(C)細胞は、7日目に、一貫性のあり均質な形状を有する集合体になった。(D)単離したMLSCを6代継代すると、MLSCのごく一部(2〜3%未満)の形態が、より初期の代のものに比べ、より幅が広く大きな形状に変化した。単離し増幅したMLSCの形態は、既知の骨髄間質幹細胞と同様な紡錘状である。
図3A〜3Dは、骨髄からの4つの多分化性樹立幹細胞株の形態を示す。4つの多分化性樹立幹細胞株の写真は、AがD4(#1)、BがD4(#3)、CがD5(#1)、DがD5(#2)と呼ばれ、70〜80%の集合体になるまで培養される。多分化性樹立幹細胞株の形態は紡錘状の形状を有し、これらの幹細胞は、他の線維芽細胞と同程度の速度で成長する。
図4は、亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSCの細胞表面タンパク質を示す。フローサイトメトリー分析の結果は、MLSCが常に通常のMSCのインテグリンタンパク質(CD29)およびマトリックス受容体(CD44およびCD105)に対して陽性であることを示した。HMSC8292(Cambrex Bio Science社、米国メリーランド州ウォーカーズビル)細胞を、対照として用いた。通常のMSCにおいて発現することが知られている細胞表面タンパク質がMLSCにおいても発現しており、MLSCがMSCの特徴を有しうることを示唆している。
図5は、亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSCにおいて、造血幹細胞の細胞表面タンパク質が観測されないことを示す。フローサイトメトリー分析の結果は、MLSCが、初期の造血幹細胞におけるHLA−DRおよびCD34マーカータンパク質に対して陰性であることを示した。HMSC8292(Cambrex Bio Science社、米国メリーランド州ウォーカーズビル)細胞を、対照として用いた。これらの結果は、単離したMLSCが、造血幹細胞の表現型を有しないことを示している。
図6は、亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSC系において観測したCD31(PECAM)の発現の比較を示す。D4(#1)、D4(#3)、D5(#1)およびD5(#3)における、FGFによるCD31の発現は、FACS分析により測定した。樹立MLSC系D4(#3)は、CD31に対してわずかに陽性であるが、他のMLSC系統は陰性である。培地中のFGFは、D5(#2)におけるCD31の発現を増大させる。これらの結果は、D4(#3)が、分化能および/または細胞機能において異なる細胞特性を有することを示している。
図7は、亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSC系において観測したCD105(SH2)の発現の比較を示す。D4(#1)、D4(#3)、D5(#1)およびD5(#3)における、FGFによるCD105の発現は、FACS分析により測定した。樹立MLSC系D5(#1)は、中程度のCD105の発現レベルを示すが、他のMLSC系は高いCD105のレベルを示す。これらの結果は、D5(#1)が、分化能および/または細胞機能において異なる細胞特性を有することを示している。
図8は、亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSC系において観測したCD73(SH3、SH4)の発現の比較を示す。D4(#1)、D4(#3)、D5(#1)およびD5(#3)における、FGFによるCD73の発現は、FACS分析により測定した。樹立MLSC系D4(#1)は、非常に低いCD73の発現レベルを示し、D4(#3)およびD5(#2)は、中程度の発現レベルを示すが、D5(#1)は、全く発現を示さなかった。これらの結果は、各幹細胞系が、分化能および/または細胞機能において固有の細胞特性を有することを示している。
図9は、亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSC系において観測したCD34の発現の比較を示す。D4(#1)、D4(#3)、D5(#1)およびD5(#3)における、FGFによるCD73の発現は、FACS分析により測定した。樹立MLSC系D4(#1)、D4(#3)およびD5(#2)は、低いCD73の発現レベルを示すが、D5(#1)CD34を発現しなかった。これらの結果は、各幹細胞系が、分化能および/または細胞機能において固有の細胞特性を有することを示している。
図10A〜10Dは、単離したMLSCの軟骨細胞分化を示す。トルイジンブルーによる組織化学的染色により、軟骨形成誘導後21日目に、軟骨細胞分化したMLSCは、染色に対し非常に陽性であることが示される。(AおよびB)通常培地中で培養した細胞ペレット。(CおよびD)軟骨形成誘導培地中で培養した細胞ペレット。結果は、軟骨形成誘導培地中で培養したMLSCは高レベルのプロテオグリカンを分泌し、軟骨細胞に分化できることを示している。
図11A〜11Dは、単離したMLSCの骨細胞分化を示す。von Kossa色素による組織化学的染色により、骨形成誘導後21日目に、骨細胞分化したMLSC中のマトリックスに結合した無機質が存在することが示される。(AおよびB)通常培地中で培養した細胞ペレット。(CおよびD)骨形成誘導培地中で培養した細胞ペレット。結果は、骨形成誘導培地中で培養したMLSCは高レベルのカルシウムを作り、骨細胞に分化することができることを示している。
図12A〜12Dは、単離したMLSCの脂肪組織への分化を示す。オイルレッドOによる組織化学的染色により、脂肪形成誘導後21日目に、脂肪細胞分化したMLSCは、染色に対し非常に陽性であることが示される。(AおよびB)通常培地中で培養した細胞ペレット。(CおよびD)脂肪形成誘導培地中で培養した細胞ペレット。結果は、脂肪形成誘導培地中で培養したMLSCは中性脂質の液胞を形成し、脂肪細胞に分化することができることを示している。
図13A〜13Iは、単離したMLSCの神経細胞分化を示す。GFAP、ネスチン、およびNeuN抗体による免疫化学染色は、神経細胞分化したMLSCが、神経発生誘導後7日目および14日目に、染色に対し非常に陽性であることを示した。(A、DおよびG)通常培地中で抗体とともに培養したMLSC。(B、EおよびH)神経発生誘導後7日目に、個々の抗体で染色したMLSC。(C、FおよびI)神経発生誘導後14日目に、個々の抗体で染色したMLSC。結果は、神経発生誘導培地中で培養したMLSCは、グリア細胞特異的タンパク質、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)、初期および後期神経細胞マーカータンパク質、ネスチン、およびNeuNをそれぞれ合成することができ、神経細胞に分化することができることを示している。
図14A〜14Iは、単離したMLSCのFGFによる神経細胞分化を示す。GFAP、ネスチン、およびNeuN抗体による免疫化学染色は、神経細胞分化したMLSCが、神経発生誘導後7日目および14日目に、染色に対し非常に陽性であることを示した。(A、DおよびG)通常培地中で抗体とともに培養したMLSC。(B、EおよびH)神経発生誘導後7日目に、個々の抗体で染色したMLSC。(C、FおよびI)神経発生誘導後14日目に、個々の抗体で染色したMLSC。結果は、神経発生誘導培地中でFGFとともに培養したMLSCも、グリア細胞特異的タンパク質、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)、初期および後期神経細胞マーカータンパク質、ネスチン、およびNeuNをそれぞれ合成することもでき、神経細胞に分化することができることを示している。
図15A〜15Dは、肝細胞形成誘導培地中で培養し、単離したMLSCの形態変化を示す。形態変化は、肝形成誘導培地中で培養後14日目に観察した。(A)通常培地中で培養したMLSCの形態。(B、C、およびD)14日間肝形成誘導培地中で培養したMLSCの肝細胞への形態変化。結果は、肝形成誘導培地中で培養したMLSCは、肝細胞に分化することができることを示している。
図16A〜16Eは、RT−PCR分析による軟骨細胞、骨細胞、脂肪細胞、肝細胞、および神経細胞に特異的な遺伝子の発現の観測結果を示す。(A)コラーゲンタイプII(軟骨源性、500bp)、(B)オステオポンチン(骨源性、330bp)、(C)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ2(PPARγ2)(脂肪細胞誘導性、352bp)、(D)ニューロフィラメント分子(NF−M)(神経源性、430bp)、および(E)αフェトプロテイン(αFP)(肝源性、216bp)の発現を観測するために、全RNAをRT−PCR分析により分析した。グリセロアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現を内部対照として用いた。M:DNA分子サイズマーカー、N:誘導されていないもの、C:軟骨形成誘導、O:骨形成誘導、A:脂肪細胞形成誘導、Ne:神経形成誘導、およびH:肝細胞形成。これらの結果は、単離したMLSCが、個々の分化条件下で細胞特異的な遺伝子を発現し、複数の系統に分化することができることを強く示している。
図17は、単離したMLSC系からのサイトカインの分泌を示す。MLSC培養液の上清の分画(50〜100μl)を、Quntikine(登録商標)ヒトTGF−β1、b−NGF、LIF、IL10、HGF、IL2、TGF−αおよびIL12を用いてELISAにより分析した。TGF−β1、LIF、TGF−αおよびIL10は高いレベルの分泌を示したが、他のものは、分泌が低いか、または分泌を示さなかった。単離したMLSCによるTGF−β1の高い分泌量は、これらの幹細胞が、T細胞の活性化の抑制に関与しうることを示している。また、LIF、TGF−αおよびIL10等の他のサイトカインが比較的高いレベルを示すことは、これらの細胞が、免疫調節活性を有することを示唆している。
好ましい実施態様の詳細な説明
本出願において、「a」および「an」は、物の単数および複数を言及するに用いる。
本明細書において、「身体サンプル」とは、単一種の細胞を単離することが望まれる哺乳類から得る任意のサンプルを意味する。該身体サンプルとしては、骨髄サンプル、末梢血、臍帯血、脂肪組織サンプル、およびサイトカインで活性化された末梢血が挙げられる。
本明細書において、「細胞のサンプル」とは、骨髄サンプル、末梢血、臍帯血、脂肪組織サンプル、およびサイトカインで活性化された末梢血等の、異なる種類の細胞の混合物を含む任意のサンプルを意味する。
本明細書において、「均質な」細胞の集団とは、通常、同一の種類の細胞が集団内に存在することを示す。ほぼ均質とは、約80%の均質性。または約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、もしくは99.9%の均質性を意味する。
本明細書において、「低密度細胞」とは、サンプル中の他のものよりも密度の低い細胞、および単離の対象となる細胞を意味する。低密度細胞としては、限定されることなく、多分化性幹細胞、前駆細胞、および他の骨髄間質細胞が挙げられる。
本明細書において、「MLSC」とは、多分化性幹細胞を意味する。
本明細書において、「MLSC/PC」とは、多分化性幹細胞または前駆細胞を意味する。
本明細書において、「MSC」とは、骨髄間質細胞または間質幹細胞を意味し、これらの用語は交換可能に用いられる。
亜分画手法
本出願は、亜分画培養法と名付けた、身体サンプルまたはヒトの骨髄等の供給源から多分化性幹細胞(MLSC)の非常に均質な集団を単離する新規な方法について記載する。1mlの骨髄吸引液から、全部で16種類の骨髄細胞系が樹立された。16種類のうち、FACS分析により別個の表現型を示す4種類の細胞系について、さらに評価を行った。これらの細胞系はすべて、自己再生能および中胚葉、外胚葉、内胚葉系細胞への分化能等の多分化性幹細胞の特徴を示した。
骨髄MSCは、造血細胞を混入させることなく単離することが困難であることが知られている[20、21]。臨床応用のためには、免疫源性の問題を回避し、治療効果を正確に評価する目的で、均質なMSCの集団を得ることが重要である。従来、均質なMSCの集団の単離は、MSCに特異的な抗体カラムによる精製が用いられていた。しかし、このように完全にMSCに特異的な抗体が未だに得られていないため、この方法は好適ではない。
骨髄サンプル等の身体サンプルからMLSCを単離するための本発明の原理は、多分化性幹細胞または前駆細胞の細胞密度が低いため、このことに基づいて、サンプル中の他の細胞からこれらが単離可能であることである。例えば、成熟したMSCは、迅速に自己再生する(RS)細胞よりも大きい[22、23]。RS細胞は、より大きな多分化性の分化能を有することが知られている。
別の態様では、より接着性の高い幹細胞を得るために、コラーゲンまたはポリリジンでコーティングされた培養皿が用いられる。本出願人は、電荷を有する任意の培養表面は、正電荷および負電荷のいずれであっても、コーティングしていない皿の表面に比べ、幹細胞の表面への接着を促進することを発見した。コラーゲンまたはポリリジンでコーティングした培養皿には、コーティングしていない皿よりも、それぞれ、約2〜3倍の細胞が付着する(データは示さず)。他のヒト脊髄吸引物、および3種類の血統のマウスの骨髄サンプルについて、単一細胞より誘導された骨髄細胞コロニーを得ることについて同様の結果が得られ(データは示さず)、このことは、他の骨髄吸引物についてもこのプロトコールが好適であり、他の種のMLSCの単離にも応用できることを示している。
このように、ある態様では、培養皿の底面は、幹細胞または前駆細胞が底面に接着するのを容易にするために、ポリリジン、ポリアルギニン等の正電荷を有するアミノ酸、もしくはポリアスパラギン酸塩、ポリグルタミン酸塩等の負電荷を有するアミノ酸、またはこれらの組み合わせでコーティングすることができる。
重いか、または密度の高い細胞のほとんどは、最初に2回行われる、2時間のインキュベート工程において除去されるため、本発明の亜分画培養法を実施するために、赤血球または白血球等の任意の種類の細胞をサンプルから予め分離するために、いかなる種類の遠心分離も行う必要がない。このように、本発明のシステムの利点の1つは、細胞培養液中に、ピコール、フィコール、またはフィコールハイパック等のコンタミネーションをもたらすおそれのある、従来用いている密度勾配遠心分離法および単核細胞分画法を避けることができることである。したがって、本発明の亜分画培養法は、身体サンプル、好ましくは骨髄サンプルから非常に均質なMLSCを単離するための、単純かつ効果的で、経済的なプロトコールである。
あるいは、従来の密度勾配遠心分離によるMSCの単離法により単離/分画された単核細胞も、単一細胞に由来するコロニーを得て、幹細胞または前駆細胞の均質な集団を単離するために、皿D1に供することができる。したがって、分画培養法は、従来の密度勾配遠心分離法により分画された単核細胞について用いることができる。
本出願は、生体サンプル、特に骨髄サンプル中に存在する幹細胞または前駆細胞には、例示するように種々の種類のものがあることを示す、単一細胞に由来する幹細胞系の細胞表面タンパク質の発現における特徴の多様性について記載する。単離したMLSCは、通常、CD34、HLA−DR、CD73、CD31、CD166、HLAクラスIに対しては陰性またはわずかに陽性であり、CD44、CD29、CD105に対しては非常に陽性であった。しかし、D4およびD5の皿より得られるいくつかの細胞系は、独特のレベルの表面タンパク質を示したが、このことは、骨髄中には数種類の異なる多分化性幹細胞または前駆細胞が存在しうることを示している。Hungらは、骨髄が、表面マーカー分析において異なる多くのグループのMSCを含むことができるという仮説を立てた[24]。これらの異なる表面マーカーを有するMSCは、異なる細胞分化能力を示しうる。このように、本発明の亜分画培養法により単一細胞より誘導された均質な幹細胞の単離により、これらの一群の細胞が骨髄または他の特異的に単離した身体サンプル注に存在し、かつ培養条件により、増幅中にこれらの能力が変化しない限り、組織特異的な幹細胞または関係する前駆細胞の単離が可能になる。MSCによる治療および細胞移植処理の安全性および有効性は、本出願に示すように、特定の性質を有する細胞の亜集団を特徴づけることができることにより向上する。
本出願は、任意の他の身体サンプル、特に骨髄から得る単一細胞に由来する、再生能および外胚葉、中胚葉、および内胚葉系細胞への多分化能を有する、非常に均質なMLSCの集団を単離する新規な方法を示す。密度勾配遠心分離および単核細胞分画工程を削除することにより、および幹細胞の分離に抗体を用いる必要なしに、本発明の亜分画培養法により、単純かつ効率的で経済的手段で、より均質なMLSCの集団ができ、治療状況に対してもっと安全な応用がなされる。
内胚葉細胞系統のための誘導、分化/形質転換剤
内胚葉細胞系統のための誘導、分化/形質転換剤は、以下の薬剤:肝細胞増殖因子、オンコスタチンM、上皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子4、塩基性線維芽細胞増殖因子、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸、BSA、リノレン酸、2−リン酸アスコルビン酸酸塩、VEGF、およびデキサメタゾンを含んでおり、以下の種類の細胞:肝細胞、肺細胞、腎細胞、甲状腺細胞、および腸細胞のためのものである。
中胚葉細胞系統のための誘導、分化/形質転換剤
中胚葉細胞系統のための誘導、分化/形質転換剤は、以下の薬剤:インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸、BSA、リノレン酸、TGF−β1、TGF−β3、2−リン酸アスコルビン酸塩、デキサメタゾン、β−グリセロリン酸、2−リン酸アスコルビン酸塩、BMP、およびインドメタシンを含んでおり、以下の種類の細胞:軟骨細胞、骨細胞、脂肪細胞、筋細胞、および血液細胞のためのものである。
外胚葉細胞系統のための誘導、分化/形質転換剤
外胚葉細胞系統のための誘導、分化/形質転換剤は、以下の薬剤:ジブチリル環状AMP、イソブチルメチルキサンチン、ヒト上皮増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子8、脳由来神経栄養因子、および/または他の神経栄養因子を含んでおり、以下の種類の細胞:神経細胞、皮膚細胞、脳細胞、および眼細胞のためのものである。
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施態様によって範囲が限定されるべきものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本発明の種々の改変は、上記の記載および添付した図面より当業者には明らかであろう。該改変は、添付した特許請求の範囲の範囲内であるように意図されている。以下の実施例は、本発明の実例として提供するものであり、いかなる意味においても限定するためのものではない。
実施例1−MLSCの単離および細胞培養
骨髄検査を受けた患者の腸骨陵から採取された1mlのヒト骨髄吸引物の廃液を、インフォームドコンセントおよびInha University Medical SchoolIRBの了解を得て、15mlの完全培地:20%ウシ胎児血清(FBS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む高グルコースまたは低グルコース含有ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(GIBCO- BRL, Life-technologies、米国メリーランド州)と混合後、100mmの培養皿中でインキュベートした。図1に示すように、37℃、5%COで2時間インキュベートした後、細胞培養液の上清のみを新たな皿に移した。新たな皿中でさらに2時間インキュベートした後、上清をコーティングなしの、またはポリリジンでコーティングした皿に移し、2時間インキュベートした(D1)。上清をもう一度新たな皿(D2)に移した後、1日インキュベートした(D3)。インキュベートを1日および2日行ってこの操作をさらに2回繰り返した(それぞれ、D4およびD5)。D4およびD5中で成長した単一のコロニーを、まず100mmのプレートに移し、次いで、大きな培養フラスコ中で増幅を続けた。通常、100mmプレート中で10〜14日後、0.25%トリプシンおよび1mMのEDTA(GIBCO-BRL製)を用いて細胞を回収し、1×10個/mlとなるように10%ジメチルスルホキシド(DMSO)および40%FBS中に懸濁させ、1mlを分取し、液体窒素中で凍結させた(第1継代)。単一のコロニーの剥離および単離のために、トリプシン/EDTAを、滅菌したシリンダーを用いて1〜2分間使用した。細胞が、80〜90%コンフルエンスに到達した後、トリプシン/EDTAを用いてこれらを回収し、50〜100個/cm2となるように再度プレートした。
実施例2−フローサイトメトリー分析
単一細胞から誘導したコロニーより単離し増幅した細胞を、細胞表面タンパク質のパネル評価のために、第3または第4継代について、フローサイトメトリー分析により評価を行った。細胞は、トリプシン/EDTA処理により75cmフラスコから回収し、PBSで2回洗浄した。細胞を、ブロッキングのために0.1%ヤギ血清を含むPBS中でインキュベートし、洗浄用緩衝液(0.4%BSAを含むPBS)で2回洗浄した。細胞をイソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)またはフィコエリスリン(PE)を結合した抗体と、40℃で40分間インキュベートした。試験に用いた抗原は、マトリックス受容体(CD13、CD44、CD105)、インテグリン(CD29)、PECAM(CD31)、ALCAM(CD166)、SH3およびSH4(CD73)、Thy−1(CD90)、および造血系統マーカー(CD34、HLA−DR、HLAクラスI)(BD Biosciences Pharmingen、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を含んでいた。次いで、細胞混合物を、洗浄用緩衝液で2回洗浄し、緑色のFITCの蛍光に対しては525nmフィルターを、赤色のPEの蛍光に対しては575nmフィルターを装着した蛍光励起細胞分取装置(FACS)を用いて分析した。対照として、ヒト間質幹細胞(HMSC 8292, Cambrex Bio Science、米国メリーランド州ウォーカーズビル)を用いた。
実施例3−多分化性分化の誘導
軟骨、骨、または脂肪細胞への分化実験のために、第3または第4継代の細胞を用いたペレット培養分析を使用した。0.5mlの培地中の2×10個の細胞を遠沈させてペレットを作製した。高グルコースおよび20%のFBSを含むDMEMに、以下の添加剤、軟骨細胞分化培地には:6.25μg/mlのインスリン(Sigma Chemical Co、米国ミズーリ州セントルイス)、トランスフェリン(Sigma)、6.25ng/mlの亜セレン酸(Sigma)、1.25mg/mlのBSA(Sigma)、5.35μg/mlのリノレン酸(Sigma)、TGF−β1 10ng/ml(R&D Systems、米国ミネソタ州ミネアポリス)、およびTGF−β3 10ng/ml(R&D Systems、米国ミネソタ州ミネアポリス);骨細胞分化培地には:50μg/mlの2−リン酸アスコルビン酸塩(Sigma)、10−8Mのデキサメタゾン(Sigma)、および10mMのβ−グリセロリン酸(Sigma);脂肪細胞分化培地には:50μg/mlの2−リン酸アスコルビン酸塩(Sigma)、10−7Mのデキサメタゾン(Sigma)、および50μg/mlのインドメタシン(Sigma)を加えたものを個々の系統に用いた。ペレット培養物を37℃、5%COでインキュベートし、培地を3日おきに交換した。
神経細胞分化のために、単離し、増幅した第3継代の細胞を6ウェル培養プレートに、基本培地を用いて、濃度が1×10個となるようにプレートした。24時間後、基本培地を廃棄し、神経形成培地に置換した。細胞を、1mMのジブチリル環状AMP(dbcAMP、Sigma、米国ミズーリ州セントルイス)、0.5mMのイソブチルメチルキサンチン(IBMX、Sigma、米国ミズーリ州セントルイス)、20ng/mlのヒト上皮増殖因子(hEGF、Sigma、米国ミズーリ州セントルイス)、40ng/mlの塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF、Sigma、米国ミズーリ州セントルイス)、10ng/mlの線維芽細胞増殖因子8(FGF−8、PEPROTECH INC、米国ニュージャージー州ロッキーヒル)、10ng/mlの脳由来神経栄養因子(BDNF、R&D Systems、米国ミネソタ州ミネアポリス)で培養した。1×B27添加剤(GIBCO BRL、米国メリーランド州ゲイサーズバーグ)を含むNEUROBASAL(商品名)培地(GIBCO BRL、米国メリーランド州ゲイサーズバーグ)は、海馬および他の中枢神経系のニューロンの長期生存のための無血清基礎培地である。
幹細胞分化のために、単離し、増幅した第4継代の細胞を60mmの皿に、濃度が1×10個となるようにプレートした。24時間後、20mg/mlの肝細胞増殖因子(R&D)、10ng/mlのオンコスタチンM(R&D)、10ng/mlの上皮増殖因子(Sigma)、20ng/mlの線維芽細胞増殖因子4(R&D)、10ng/mlの塩基性線維芽細胞増殖因子(Sigma)、50mg/mlのITS+プレミックス(Becton Dickinson、6.25μg/mlのインスリン、6.25μg/mlのトランスフェリン、1.25mg/mlのBSA、5.35mg/mlのリノレン酸)、0.1μMの2−リン酸アスコルビン酸塩(Sigma)、10−8Mのデキサメタゾン(Sigma)を含む分化培地で細胞を処理した。培地を3日おきに交換した。
実施例4−組織化学および免疫組織化学染色
組織化学染色および免疫組織化学試験を、分化培養開始後14日目または21日目に行った。分化培地を除去後、ペレットをPBSで2回洗浄した。ペレットをOCTコンパウンド(Sakura Finetek、米国カリフォルニア州トーランス)に包埋し、6μmの切片を染色した。軟骨形成、骨形成、および脂肪細胞分化を示すために、組織を、トルイジンブルー、von Kossa、およびオイルレッドOでそれぞれ染色した。組織の軟骨細胞分化を示すために、ヒトコラーゲンタイプIIの免疫組織化学染色も行った。
神経細胞の免疫組織化学染色のために、全てのウェルを99.9%エタノールで固定し、マウス抗神経核抗原(NeuN、10μg/ml)IgGモノクローナル抗体(Chemicon、米国カリフォルニア州テメキュラ)、マウス抗ネスチン(5μg/ml)IgGモノクローナル抗体(Chemicon、米国カリフォルニア州テメキュラ)、およびモノクローナル抗グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP、1:400、Sigma、米国ミズーリ州セントルイス)を用いて、室温で1時間標識化した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、Histostain-Plus Kit (Zymed Laboratories Inc、米国カリフォルニア州サンフランシスコ)を用いて免疫染色を検出した。DABは、色原体として作用した。神経特異的マーカーの陽性発現を評価するために、細胞をデジタルカメラで撮影した。
実施例5−RNAの抽出およびRT−PCR分析
未分化細胞および分化した細胞から、TRIZOL(登録商標)(Invitrogen Co、米国カリフォルニア州カールスバッド)試薬を用いて、全RNAを抽出した。全RNA(1μg)により、Reverse Transcription System Kit (Promega)を用いて、相補的DNAを合成した。PCRは、以下のような、個々の系統のために設計された特異的プライマーを用いて行った:col−2(500塩基対)、センス:5'−AAGATGGTCCCAAAGGTGCTCG−3'(SS101−F 配列番号1)およびアンチセンス:5'−AGCTTCTCCTCTGTCTCCTTGC−3'(SS101−R 配列番号2);オステオポンチン(330塩基対)、センス:5'−CTAGGCATCACCTGTGCCATACC−3'(SS102−F 配列番号3)およびアンチセンス:5'−CGTGACCAGTTCATCAGATTCATC−3'(SS102−R 配列番号4)、PPAR−γ2(352塩基対)、センス:5'−GCTGTTATGGGTGAAACTCTG−3'(SS103−F 配列番号5)およびアンチセンス:5'−ATAAGGTGGAGATGCAGGCTC−3'(SS103−R 配列番号6)、GAPDH(350塩基対):センス:5'−AACTCCCTCAAGATTGTCAGCA−3'(SS104−F 配列番号7)およびアンチセンス:5'−TCCACCACCCTGTTGCTTGTA−3'(SS104−R 配列番号8)、NF−M(430塩基対)、センス:5'−GAGCGCAAAGACTACCTGAAGA−3'(SS105−F 配列番号9)およびアンチセンス:5'−CAGCGATTTCTATATCCAGAGCC−3'(SS105−R 配列番号10)、およびαFP(216塩基対)、センス:5'−TGCAGCCAAAGTGAAGAGGGAAGA−3'(SS106−F 配列番号11)およびアンチセンス:5'−CATAGCGAGCAGCCCAAAGAAGAA−3'(SS106−R 配列番号12)。PCRは、95℃で1分間の変性、56℃で1分間のアニーリング、および72℃で1分間の伸長の各サイクルを35サイクル行った。増幅したDNA生成物を、1%アガロースゲルで泳動した。
実施例6−結果
実施例6.1−骨髄細胞コロニーの単離および増幅
図1に記載のように、亜分画培養法によりヒト骨髄幹細胞または前駆細胞を単離することが可能であるかを検討するために、骨髄を培地と混合し、細胞培養液の上清のみを新たな皿に移すことにより、分画された状態を維持した。この分画の原理は、骨髄幹細胞または前駆細胞が低い細胞密度を有するという仮説に基づいている。D1およびD2の皿では、十分に分離した単一のコロニーを得ることは通常不可能である。D1およびD2の皿では、固有の形態およびサイズを有する少なくとも数種類の異なる種類の細胞が観測され、骨髄由来の付着した単層培養物における細胞の不均質性が示される。D1またはD2培養皿に付着した細胞は、前の皿から細胞培養液の上清を移した後、それぞれ、7〜10日目、または14〜21日目に集合体になった。D3、D4、およびD5の皿において、十分に分離した、単一細胞由来のコロニーを得ることが可能になった。最初に付着した紡錘状の細胞は、前の皿から細胞培養液の上清を移した後14〜21日目には、コロニー状の外観を呈した。D3、D4およびD5の皿において、それぞれ、10個、3個、および3個の単一細胞由来のコロニーが現れた。
図2は、骨髄細胞の最終分画後3日目の、骨錘由来の多分化性幹細胞の形態的な多様性を示す。細胞は、線維芽細胞状の形態を有する。細胞は、7日目に一貫性および均質な形態を有する集合体になった。単離したMLSCを6代継代すると、ごく一部(2〜3%未満)のMLSCの形態が、より初期の代のものに比べ、より幅が広く大きな形状に変化した。単離し増幅したMLSCの形態は、既知の骨髄間質幹細胞と同様な紡錘状である。約200〜300個の細胞のコロニーが形成されると、細胞は、通常の線維芽細胞と同程度の速さで増殖した。D4およびD5の皿における個々のコロニーから得た6種類の細胞系のうち、4種類の細胞系が、FACS分析により固有の表現型を示し、さらに評価を行った。培養皿中で70〜80%が集合体であるこれらの細胞系を図3に示す。
実施例6.2−骨髄細胞系の表現型の評価
単一細胞から誘導した骨髄細胞系の表現型の評価を行うために、表1にまとめたように、細胞表面タンパク質のパネルを、FACS分析により分析した。
表1.FACS分析により分析し、単離したMLSC系の表面タンパク質発現のまとめ
Figure 0005155855
結果は、表面発現の全体的なプロファイルは同様であることを示し、例えば、全ての単離細胞系は、CD29、CD44、CD73(SH3、SH4)、CD90、CD105(SH2)、CD166、およびHLAクラスIに対し強い陽性を示した。しかし、検討した11種類の細胞表面タンパク質のうち、それぞれの細胞系は、9種類の細胞表面タンパク質の発現において相対的に固有の発現プロファイルおよび同程度のCD44およびCD90の発現レベルを有する。さらに、D5(#1)の細胞系は、CD31、CD34、およびHLA−DRに対して陰性であり、D5(#2)は、CD31、HLA−DRに対して陰性であったが、CD34に対してわずかに陽性であったのに対して、D5(#3)は、CD31、CD34、およびHLA−DRに対して陽性であった(図4)。これらの結果は、ヒト骨髄中に数種類の異なる種類の幹細胞が存在することを示している。
図5は、亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSCにおいて、造血幹細胞の細胞表面タンパク質が観測されないことを示す。フローサイトメトリー分析の結果は、MLSCが、初期の造血幹細胞におけるHLA−DRおよびCD34マーカータンパク質に対して陰性であることを示した。HMSC8292(Cambrex Bio Science社、米国メリーランド州ウォーカーズビル)細胞を、対照として用いた。これらの結果は、単離したMLSCが、造血幹細胞の表現型を有しないことを示している。
単離した細胞系における、数種類の代表的な表面タンパク質マーカーであるCD31、CD105、CD73およびCD34の発現に関して、図6〜9は、これらの比較を示す。図6は、亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSC系において観測したCD31(PECAM)の発現の比較を示す。D4(#1)、D4(#3)、D5(#1)およびD5(#3)における、FGFによるCD31の発現は、FACS分析により測定した。樹立MLSC系D4(#3)は、CD31に対してわずかに陽性であるが、別のMLSC系は陰性である。培地中のFGFは、D5(#2)におけるCD31の発現を増大させる。これらの結果は、D4(#3)が、分化能および/または細胞機能において異なる細胞特性を有することを示している。
図7は、細胞表面タンパク質CD105(SH2)の発現の比較を示す。樹立MLSC系D5(#1)は、中程度のCD105の発現レベルを示すが、他のMLSC系は高いCD105のレベルを示す。
図8は、細胞表面タンパク質CD73(SH3、SH4)の発現の比較を示す。樹立MLSC系D4(#1)は、非常に低いCD73の発現レベルを示し、D4(#3)およびD5(#2)は、中程度の発現レベルを示すが、D5(#1)は、全く発現を示していない。
図9は、細胞表面タンパク質CD34の発現の比較を示す。樹立MLSC系D4(#1)、D4(#3)およびD5(#2)は、低いCD73の発現レベルを示すが、D5(#1)CD34の発現を示していない。上記の結果は、個々の幹細胞系が、分化能および/または細胞機能において固有の細胞特性を有することを示している。
実施例6.3−骨髄細胞系の多分化性分化
単一細胞から誘導した骨髄細胞系の分化能を決定するために、それぞれの細胞に特異的な誘導培地中で、軟骨細胞分化、骨細胞分化、および脂肪細胞分化をペレット培養システムにより検討し、神経細胞分化および肝細胞分化を通常の細胞培養により検討した。単離した細胞系は全て、軟骨細胞、骨細胞、脂肪細胞、神経細胞、および肝臓細胞系に分化する能力を有していた(表2)。4種類の単離したMLSC系は、異なるレベルの分化能を示した。例えば、D5(#2)幹細胞系は、軟骨細胞、骨細胞、脂肪細胞、肝細胞、および神経細胞に分化する能力を有しているが、他の系は、軟骨細胞、神経細胞、または肝細胞系において、異なるレベルの分化能を有している。
表2.単離したMLSC系の分化能のまとめ
Figure 0005155855
実施例6.4−骨髄細胞系の軟骨細胞分化
4種類の単一細胞から誘導した、第3または第4継代の骨髄細胞系を骨髄形成誘導培地(6.25μg/mlのインスリン、トランスフェリン、6.25ng/mlの亜セレン酸、1.25mg/mlのBSA、5.35μg/mlのリノレン酸、10ng/mlのTGF−β1、および10ng/mlのTGF−β3)中でペレット培養した。処理後14〜21日で軟骨細胞分化が起こった。トルイジンブルーによる組織化学染色に対する陽性、および免疫組織化学染色により、細胞外マトリックスのコラーゲンタイプII含量が高いことは明らかである(図10)。それに対し、通常の培地中で培養した細胞系は、染色に対して陰性であった。
実施例6.5−骨髄細胞系の骨細胞分化
4種類の単一細胞から誘導した、第3または第4継代の骨髄細胞系を骨細胞分化培地(50μg/mlの2−リン酸アスコルビン酸塩、トランスフェリン、6.25ng/mlの亜セレン酸、1.25mg/mlのBSA、10−8Mのデキサメタゾン、および10mMのβ−グリセロリン酸)中でペレット培養した。処理後14〜21日で骨細胞分化が起こった。von Kossa染色に対する陽性は、骨細胞分化培地中で培養した細胞において明らかであったが、通常の培地中で培養した対照細胞では明らかではなかった(図11)。
実施例6.6−骨髄細胞系の脂肪細胞分化
4種類の単一細胞から誘導した、第3または第4継代の骨髄細胞系を脂肪細胞分化培地(50μg/mlの2−リン酸アスコルビン酸塩、トランスフェリン、6.25ng/mlの亜セレン酸、1.25mg/mlのBSA、10−7Mのデキサメタゾン、および50μg/mlのインドメタシン)中でペレット培養した。処理後14〜21日で骨細胞分化が起こった。オイルレッドO染色に対する陽性は、脂肪細胞分化培地中で培養した細胞において明らかであったが、通常の培地中で培養した対照細胞では染色が検出されなかった(図12)。
実施例6.7−骨髄細胞系の神経細胞分化
4種類の単一細胞から誘導した、第3または第4継代の骨髄細胞系を神経細胞分化培地(1mMジブチリル環状AMP、0.5mMイソブチルメチルキサンチン、20ng/mlのヒト上皮増殖因子、40ng/mlの塩基性線維芽細胞増殖因子8、10ng/mlの線維芽細胞増殖因子8、10ng/mlの脳由来神経栄養因子)中で培養した。処理後14〜21日で神経細胞分化が起こった。GAFP、NeuN、およびネスチン染色に対する陽性は、神経細胞分化培地中で培養した細胞において明らかであったが、通常の培地中で培養した対照細胞では染色が検出されなかった(図13)。
さらに、FGFとともに培養し単離したMLSCの神経細胞分化を示す。GFAP、ネスチン、およびNeuN抗体による免疫化学染色は、神経細胞分化したMLSCが、神経発生誘導後7日目および14日目に、染色に対し非常に陽性であることを示した。神経発生誘導培地中でFGFとともに培養したMLSCも、グリア細胞特異的タンパク質、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)、初期および後期神経細胞マーカータンパク質、ネスチン、およびNeuNをそれぞれ合成することができ、神経細胞に分化することができる。このことは、単離した細胞をFGFとともに培養することにより、神経細胞分化能が変化しなかったことを示している。
実施例6.8−骨髄細胞系の肝細胞分化
4種類の単一細胞から誘導した、第3または第4継代の骨髄細胞系を、20mg/mlの肝細胞増殖因子(R&D)、10ng/mlのオンコスタチンM(R&D)、10ng/mlの上皮増殖因子(Sigma)、20ng/mlの線維芽細胞増殖因子4(R&D)、10ng/mlの塩基性線維芽細胞増殖因子(Sigma)、50mg/mlのITS+プレミックス(Becton Dickinson、6.25μg/mlのインスリン、6.25μg/mlのトランスフェリン、1.25mg/mlのBSA、5.35mg/mlのリノレン酸)、0.1μMの2−リン酸アスコルビン酸塩(Sigma)、10−8Mのデキサメタゾン(Sigma)を含む肝細胞分化培地中で培養した。培地を3日おきに交換した(図15)。
実施例6.9−骨髄細胞系の軟骨、骨、脂肪、神経、および肝細胞特異的な遺伝子の発現
単一細胞から誘導した骨髄細胞系の軟骨、骨、脂肪、神経、および肝細胞特異的な遺伝子の発現を測定するために、第4または第5継代の細胞を用いてRT−PCR分析を行った。分化した細胞において、軟骨(コラーゲンタイプII)、骨(オステオポンチン)、脂肪(PPARγ2)、神経(NF−M)、および肝細胞(αFP)の系統に特異的な遺伝子の発現を検出した(図16)。それに対して、これらの遺伝子は、未分化の対照細胞中では発現しなかった。GAPDHの発現を内部標準として用いた。これらの結果は、単離したMLSCが、個々の特異的な分化条件下で細胞に特異的な遺伝子を発現し、複数の系統に分化することができることを強く示唆している。
実施例6.10−骨髄細胞系のサイトカインの発現
図17は、単離したMLSC系統からのサイトカインの分泌を示す。MLSC培養液の上清の分画(50〜100μl)を、Quntikine(登録商標)ヒトTGF−β1、b−NGF、LIF、IL10、HGF、IL2、TGF−αおよびIL12を用いてELISAにより分析した。TGF−β1、LIF、TGF−αおよびIL10は高いレベルの分泌を示したが、他のものは、分泌が低いか、または分泌を示さなかった。単離したMLSCによるTGF−β1の高い分泌量は、これらの幹細胞が、T細胞の活性化の抑制に関与しうることを示している。また、LIF、TGF−αおよびIL10等の他のサイトカインが比較的高いレベルを示すことは、これらの細胞が、免疫調節活性を有することを示唆している。
本明細書で引用した参考文献のすべての内容は、参照により本明細書に援用される。
参考文献
1.Shizuru JA, Negrin RS, Weissman IL. Hematopoietic stem and progenitor cells: Clinical and Preclinical Regeneration of the Hematolymphoid System. Annu Rev Med 2005;56:509-538.
2.Barry FP, Murphy JM. Mesenchymal stem cells: clinical applications and biological characterization. Int J Biochem Cell Biol 2004;36:568-584.
3.Pittenger MF, Mackay AM, Beck SC, Jaiswal RK, Douglas R, Mosca JD, Moorman MA, Simonetti DW, Craig S, Marshak DR. Multilineage potential of adult human mesenchymal stem cells. Science 1999;284:143-147.
4.Friedenstein AJP, Petrokova KV. Osteogenesis in transplants of bone marrow cells. Journal of Embyological Experimental Morphology 1966;16:381- 390.
5.Friedenstein AJ, Gorskaja JF, Kulagina NN. Fibroblast precursors in normal and irradiated mouse hematopoietic organs. Exp Hematol 1976;4:267-274.
6.Jiang Y, Jahagirdar BN, Reinhardt RL, Schwartz REら、Pluripotency of mesenchymal stem cells derived from adult marrow. Nature 2002;418:41-49.
7.Reyes M, Verfaillie CM. Characterization of multipotent adult progenitor cells, a subpopulation of mesenchymal stem cells. Ann N Y Acad Sci 2001 ;938:231-233.
8.Jorgensen C, Gordeladze J, Noel D. Tissue engineering through autologous mesenchymal stem cells. Curr Opin Biotechnol 2004;15:406-410.
9.Engineering mesenchymal stem cells for immunotherapy. Gene Ther 2003; 10:928-931.
10.Le Blanc K, Tammik C, Rosendahl K, Zetterberg E, Ringden O. HLA expression and immunologic properties of differentiated and undifferentiated mesenchymal stem cells. Exp Hematol 2003 ;31:890-896.
11.Kassem M, Kristiansen M, Abdallah BM. Mesenchymal stem cells: cell biology and potential use in therapy. Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology 2004;95:209-214.
12.Rickard DJ, Kassem M, Hefferan TEら、Isolation and characterization of osteoblast precursor cells from human bone marrow. J Bone Miner Res 1996; 11 :312-324.
13.Zohar R, Sodek J, McCulloch CA. Characterization of stromal progenitor cells enriched by flow cytometry. Blood 1997;90:3471-3481.
14.van Vlasselaer P, Falla N, Snoeck Hら、Characterization and purification of osteogenic cells from murine bone marrow by two-color cell sorting using anti-Sea- 1 monoclonal antibody and wheat germ agglutinin. Blood 1994;84:753-763.
15.Simmons PJ, Torok-Storb B. Identification of stromal cell precursors in human bone marrow by a novel monoclonal antibody, STRO-I. Blood 1991;78:55-62.
16.Long MW, Robinson JA, Ashcraft EAら、Regulation of human bone marrow-derived osteoprogenitor cells by osteogenic growth factors. J Clin Invest 1995;95:881-887.
17.Waller EK, Olweus J, Lund-Johansen Fら、The "common stem cell" hypothesis reevaluated: human fetal bone marrow contains separate populations of hematopoietic and stromal progenitors. Blood 1995;85:2422-2435.
18.Joyner CJ, Bennett A, Triffitt JT. Identification and enrichment of human osteoprogenitor cells by using differentiation stage-specific mAbs. Bone 1997;21:l-6.
19.Reyes M, Lund T, Lenvik T et al. Purification and ex vivo expansion of postnatal human marrow mesodermal progenitor cells. Blood 2001;98:2615-2625.
20.Clark BR, Keating A. Biology of bone marrow stroma. Ann NY Acad Sci 1995;770:70-78.
21.Phinney DG, Kopen G, Isaacson RLら、Plastic adherent stromal cells from the bone marrow of commonly used strains of inbred mice: variations in yield, growth, and differentiation. J Cell Biochem 1999;72:570-585.
22.Colter DC, Class R, DiGirolamo CMら、Rapid expansion of recycling stem cells in cultures of plastic-adherent cells from human bone marrow. Proc Natl Acad Sci USA 2000;97:3213-3218.
23.Prockop DJ, Sekiya I, and Colter DC. Isolation and characterization of rapidly self-renewing stem cells from cultures of human marrow stromal cells. Cytotherapy 2001;3(5):393-396.
24.Hung SC, Chen NJ, Hsieh SLら、Isolation and characterization of size- sieved stem cells from human bone marrow. Stem Cells 2002;20:249-258.
25.Schwarz EJ, Alexander GM, Prockop DJら、Multipotential marrow stromal cells transduced to produce L-DOPA: engraftment in a rat model of Parkinson disease. Hum Gene Ther 1999; 10:2539-2549.
26.Schwarz EJ, Reger RL, Alexander GMら、Rat marrow stromal cells rapidly transduced with a self-inactivating retrovirus synthesize L-DOPA in vitro. Gene Ther 2001;8:1214-1223.
27.Koc ON, Gerson SL, Cooper BWら、Rapid hematopoietic recovery after coinfusion of autologous-blood stem cells and culture-expanded marrow mesenchymal stem cells in advanced breast cancer patients receiving high-dose chemotherapy. J Clin Oncol 2000;18:307-316.
28.Horwitz EM, Prockop DJ, Fitzpatrick LAら、Transplantability and therapeutic effects of bone marrow-derived mesenchymal cells in children with osteogenesis imperfecta. Nat Med 1999;5:309-313.
29.Horwitz EM, Prockop DJ, Gordon PLら、Clinical responses to bone marrow transplantation in children with severe osteogenesis imperfecta. Blood 2001;97:1227-1231.
当業者であれば、単なる普通の実験により、本明細書に具体的に記載の具体的実施態様と同等な多くのものを理解するであろうし、または確認することができる。該同等なものも、特許請求の範囲内に含まれるように意図されている。
亜分画培養法を用いたヒト骨髄からの多分化性幹細胞の単離の全フローチャートを示す図である。 骨髄から単離した多分化性幹細胞の形態的特徴を示す図である。 骨髄からの4つの多分化性樹立幹細胞株の形態を示す図である。 亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSCの細胞表面タンパク質を示す図である。 亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSCにおいて、造血幹細胞の細胞表面タンパク質が観測されないことを示す図である。 亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSC系において観測したCD31(PECAM)の発現の比較を示す図である。 亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSC系において観測したCD105(SH2)の発現の比較を示す図である。 亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSC系において観測したCD73(SH3、SH4)の発現の比較を示す図である。 亜分画培養法によって骨髄から単離したMLSC系において観測したCD34の発現の比較を示す図である。 単離したMLSCの軟骨細胞分化を示す図である。 単離したMLSCの骨細胞分化を示す図である。 単離したMLSCの脂肪組織への分化を示す図である。 単離したMLSCの神経細胞分化を示す図である。 単離したMLSCのFGFによる神経細胞分化を示す図である。 肝細胞形成誘導培地中で培養し、単離したMLSCの形態変化を示す図である。 RT−PCR分析による軟骨細胞、骨細胞、脂肪細胞、肝細胞、および神経細胞に特異的な遺伝子の発現の観測結果を示す図である。 単離したMLSC系からのサイトカインの分泌を示す図である。

Claims (16)

  1. 以下の工程を含む、細胞密度を基にした哺乳類の骨髄の生体サンプルから単一の細胞由来のクローンの多分化性幹細胞の均一集団を取得する方法であって、
    (i)哺乳類の骨髄の生体サンプルを第一容器内で重力によって沈降させて、低密度細胞の第一上清を得る工程、
    (ii)該第一上清を、遠心分離を実施せずに、第二容器の培地に移し、そして該細胞を該容器の底に沈降させて、低密度細胞の第二上清を得る工程、
    (iii)該第二上清を、遠心分離を実施せずに、第三容器の培地に移し、そして該細胞を該容器の底に沈降させて、低密度細胞の第三上清を得る工程、
    (iv)該第三上清を、遠心分離を実施せずに、第四容器の培地に移し、そして該細胞を該容器の底に沈降させて、低密度細胞の第四上清を得る工程、
    (v)上清を移したいずれか1の容器の底に、単一の細胞由来のコロニーを見えるようにする工程、
    (vi)該単一の細胞由来のコロニーを分離する工程、並びに
    (vii)別の容器に移した単一の細胞由来のコロニーから細胞を増幅して、多分化性幹細胞の均一集団を得る工程、
    を含む方法。
  2. 該容器が平坦な底面を有する、請求項1記載の方法。
  3. 該容器が細胞接着剤でコーティングしてある、請求項1記載の方法。
  4. 該細胞接着剤が、任意の電荷を有するアミノ酸のポリマーを含む、請求項3記載の方法。
  5. 該細胞接着剤が、コラーゲン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、またはこれらの組み合わせである、請求項4記載の方法。
  6. 該単離した細胞を、結合組織細胞形質転換培地/結合組織細胞分化培地と接触させ、中胚葉細胞系統を形成させる、請求項1記載の方法。
  7. 該中胚葉細胞系統が結合組織細胞である、請求項6記載の方法。
  8. 該結合組織細胞が軟骨細胞であり、該形質転換培地/分化培地が軟骨形質転換培地/軟骨分化培地である、請求項7記載の方法。
  9. 該結合組織細胞が脂肪細胞であり、該形質転換培地/分化培地が脂肪細胞形質転換培地/脂肪細胞分化培地である、請求項7記載の方法。
  10. 該結合組織細胞が骨細胞であり、該形質転換培地/分化培地が骨細胞形質転換培地/骨細胞分化培地である、請求項7記載の方法。
  11. 該単離した細胞を、外胚葉組織細胞形質転換培地/外胚葉組織細胞分化培地と接触させ、外胚葉系細胞を形成させる、請求項1記載の方法。
  12. 該外胚葉系細胞が神経細胞であり、該形質転換培地/分化培地が神経細胞形質転換培地/神経細胞分化培地である、請求項11記載の方法。
  13. 該単離した細胞を、内胚葉組織細胞形質転換培地/内胚葉組織細胞分化培地と接触させ、内胚葉系細胞を形成させる、請求項1記載の方法。
  14. 該内胚葉組織細胞が肝性組織細胞であり、該形質転換培地/分化培地が肝性組織細胞形質転換培地/肝性組織細胞分化培地である、請求項13記載の方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかの方法であって、細胞の分離に抗体を用いないことを特徴とする方法。
  16. 請求項1〜15のいずれかの方法であって、前記(iii)の工程及び(iv)の工程を2回以上を行うことを特徴とする方法。
JP2008517214A 2005-06-17 2006-06-19 多分化性幹細胞の単離 Active JP5155855B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US59525405P 2005-06-17 2005-06-17
US60/595,254 2005-06-17
PCT/US2006/023817 WO2006138720A2 (en) 2005-06-17 2006-06-19 Isolation of multi-lineage stem cells

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009512419A JP2009512419A (ja) 2009-03-26
JP5155855B2 true JP5155855B2 (ja) 2013-03-06

Family

ID=37571293

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008517214A Active JP5155855B2 (ja) 2005-06-17 2006-06-19 多分化性幹細胞の単離

Country Status (5)

Country Link
US (2) US7781211B2 (ja)
EP (1) EP1917348B1 (ja)
JP (1) JP5155855B2 (ja)
CN (1) CN101198691B (ja)
WO (1) WO2006138720A2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20080105555A (ko) * 2007-05-31 2008-12-04 인하대학교 산학협력단 중간엽 골수세포를 이용한 이식편대숙주질환 치료제 및치료방법
US8796020B2 (en) 2005-06-17 2014-08-05 Inha-Industry Partnership Institute Manufacturing process for fresh and frozen stem cells
US20160296559A9 (en) * 2005-06-17 2016-10-13 Sun Uk SONG Method for treating pancreatitis with mesenchymal stem cells
US8309343B2 (en) 2008-12-01 2012-11-13 Baxter International Inc. Apparatus and method for processing biological material
EP2488632B1 (en) * 2009-10-16 2020-04-01 Rutgers, the State University of New Jersey Closed system separation of adherent bone marrow stem cells for regenerative medicine applications
KR101769551B1 (ko) * 2015-07-29 2017-08-18 에스씨엠생명과학 주식회사 층분리배양법을 이용한 지방-유래 줄기세포의 분리 및 이의 이용
KR101984227B1 (ko) * 2017-11-06 2019-06-25 에스씨엠생명과학 주식회사 줄기세포의 층분리 배양 및 증식 방법
US20220047640A1 (en) * 2018-12-13 2022-02-17 Scm Lifescience Co., Ltd. Pharmaceutical composition for treating pancreatitis, comprising clonal stem cells
JP2022528033A (ja) * 2019-03-19 2022-06-08 エスシーエム ライフサイエンス カンパニー リミテッド 単一クローナル幹細胞を用いたアトピー皮膚炎の治療方法
JP6712740B1 (ja) * 2019-03-25 2020-06-24 学校法人東海大学 Tie2陽性幹/前駆細胞を含む細胞集団の培養方法およびその利用
KR20230004559A (ko) * 2020-04-27 2023-01-06 토카이 유니버시티 에듀케이셔널시스템 연골 유래 Tie2 양성 세포를 포함하는 세포 집단의 배양 방법 및 그 이용
WO2023056053A1 (en) * 2021-10-01 2023-04-06 University Of Utah Research Foundation Human bone marrow-derived mesenchymal stem cell sheets and methods for their production

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5690926A (en) * 1992-10-08 1997-11-25 Vanderbilt University Pluripotential embryonic cells and methods of making same
US5827742A (en) * 1994-09-01 1998-10-27 Beth Israel Deaconess Medical Center, Inc. Method of selecting pluripotent hematopioetic progenitor cells
US6082364A (en) * 1997-12-15 2000-07-04 Musculoskeletal Development Enterprises, Llc Pluripotential bone marrow cell line and methods of using the same

Also Published As

Publication number Publication date
WO2006138720A3 (en) 2007-07-12
CN101198691B (zh) 2013-01-09
JP2009512419A (ja) 2009-03-26
EP1917348A2 (en) 2008-05-07
EP1917348A4 (en) 2009-12-02
CN101198691A (zh) 2008-06-11
WO2006138720A2 (en) 2006-12-28
US20110014704A1 (en) 2011-01-20
US7781211B2 (en) 2010-08-24
EP1917348B1 (en) 2014-07-30
US20060286669A1 (en) 2006-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5155855B2 (ja) 多分化性幹細胞の単離
Heo et al. Comparison of molecular profiles of human mesenchymal stem cells derived from bone marrow, umbilical cord blood, placenta and adipose tissue
Tondreau et al. Bone marrow–derived mesenchymal stem cells already express specific neural proteins before any differentiation
Bieback et al. Mesenchymal stromal cells from umbilical cord blood
Trivedi et al. Derivation and immunological characterization of mesenchymal stromal cells from human embryonic stem cells
Baksh et al. Adult mesenchymal stem cells: characterization, differentiation, and application in cell and gene therapy
Tondreau et al. Isolation of BM mesenchymal stem cells by plastic adhesion or negative selection: phenotype, proliferation kinetics and differentiation potential
EP2374871B1 (en) Pluripotent stem cells, method for preparation thereof and uses thereof
Rojewski et al. Phenotypic characterization of mesenchymal stem cells from various tissues
DK2292736T3 (en) Identification and isolation of multipotent cells from non-osteochondral mesenchymal tissue
US20100105132A1 (en) Human Mesenchymal stem cells and preparation thereof
Hematti Human embryonic stem cell-derived mesenchymal progenitors: an overview
Ortiz-Gonzalez et al. Neural induction of adult bone marrow and umbilical cord stem cells
Nadri et al. Multipotent mesenchymal stem cells from adult human eye conjunctiva stromal cells
KR100802011B1 (ko) 층분리배양법을 이용한 골수에서의 중간엽 줄기세포분리방법
Sreejit et al. Generation of mesenchymal stem cell lines from murine bone marrow
US8796020B2 (en) Manufacturing process for fresh and frozen stem cells
Song et al. Variations of clonal marrow stem cell lines established from human bone marrow in surface epitopes, differentiation potential, gene expression, and cytokine secretion
CN115011553A (zh) 一种躯干神经嵴来源骨髓间充质干细胞的制备方法及用途
US20080299656A1 (en) Isolation of multi-lineage stem cells
Monument et al. Salient features of mesenchymal stem cells—implications for Ewing sarcoma modeling
Case et al. In vitro clonal analysis of murine pluripotent stem cells isolated from skeletal muscle and adipose stromal cells
Croft et al. Mesenchymal stem cells from the bone marrow stroma: basic biology and potential for cell therapy
Yelick et al. Mesenchymal stem cells
Sobh Adipogenesis of Sprague Dawely rats mesenchymal stem cells: a morphological, immunophenotyping and gene expression follow-up study

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100409

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120306

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121207

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151214

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5155855

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250