JP5155255B2 - シロキサン官能性環状オレフィン(共)重合体の非対称膜及びその製造方法 - Google Patents

シロキサン官能性環状オレフィン(共)重合体の非対称膜及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、微小孔が表面に形成された非対称膜及びその製造方法に関する。これら微小孔を有する特性を利用することにより、回路基盤、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御剤、低誘電率材料、アンテナ、各種電池セパレーター、クッション剤、インク受像シート、断熱材、絶縁材、細胞培養基材等、広範囲な基盤材料として利用可能である。
従来、各種の高分子材料によって形成された非対称膜が知られている。例えば、含フッ素ポリイミドを被膜材料として使用したもの(特許文献1、2)、ポリアクリロニトリルを使用したもの(特許文献3)、ポリオレフィンを使用したもの(特許文献4)、ポリエーテルスルホンを使用したもの(特許文献5)、ポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)(PTMSP)を使用したもの(特許文献6、7)がある。しかし、これらの非対称膜はいずれも気体の透過やイオンの透過で十分なものではなく、また表面に微小孔を持たない非対称膜として得られる。
表面に微小孔を有する薄膜は従来から知られており、特許文献8に開示されているように、パルスレーザーを照射することでフィルムの厚み方向に貫通細孔を生じさせる方法が知られている。
上記以外の製法による製膜法として、特許文献9,10に開示されているようにフィルム延伸で空孔を生じさせる方法が知られている。
特開平05−7749号公報 特開平06−188167号公報 特開平05−184891号公報 特表2002−535115公報 特開平09−285723号公報 特開昭60−132605号公報 特開平02−222715号公報 特開2004−247123号公報 特許第4234392号明細書 特開2005−343928号公報
しかしながら、これらの方法はどれも製造工程が複雑であり、簡便な製造方法が求められている。また、その表面微細孔の大きさはミクロンオーダーに限るものであり、ナノオーダーまで制御するためには更なる改良が必要である。
本研究の目的は空孔特性に優れ、表面にナノレベルの微細孔を有する非対称膜及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために誠意検討した結果、表面に微小孔を有するにあたり、非対称膜を構成すべき下記の高分子成分を含んでいる高分子溶液をフィルム上に流延し、その後、これを凝固溶媒中に浸漬し、次いで乾燥に付する、すなわち乾湿式転換法を採用することによって、下記の単量体組成物を用いた場合、表面に多数の微小孔が形成した非対称膜が得られることを見出した。
上記高分子成分の重合体は、下記式(1)で示されるシロキサン官能性環状オレフィンを含む単量体組成物を付加重合することで得られる環状オレフィン重合体である。

(式中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基及び/又は炭素数6〜10のアリール基であり、Xは下記式(i)で示される基及び/又は下記式(ii)で示される基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数である。)

(Rは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基であり、dは1〜5の整数であり、cは3〜5の整数である。)
上記非対称膜は、緻密層表面に平均孔径が0.01〜10μmの微小孔を有することが好ましい。
上記環状オレフィン重合体における上記式(1)で示されるシロキサン官能性環状オレフィン由来の繰り返し単位が5〜100モル%であることが好ましい。
上記の単量体組成物から得られる重合体は、上記式(1)で示されるシロキサン官能性環状オレフィン由来の下記式(7)で示される繰り返し単位を有する。

(ここで、R、X、a、bは上述の通りである。)
上記非対称膜は、乾湿式相転換法によって得られ、厚みが0.01μm〜1000μmであることが好ましい。
上記重合体を用いることで、乾湿式転換法による非対称膜化により、表面に任意の口径を有する非対称膜が簡便に作成することが可能となった。本発明の非対称膜は、空孔特性に優れ、表面にナノ〜ミクロンレベルの微細孔を有し、柔軟性と耐熱性に優れる。
実施例1で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像である。 実施例2で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像である。 実施例3で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像である。 実施例4で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像である。 実施例5で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像である。 実施例6で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像である。 実施例7で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像である。 実施例8で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像である。 比較例1で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像である。 実施例3で得られた非対称膜の断面のSEM像である。
以下、(I)単量体、(II)付加重合体、(III)非対称膜の製造方法の順に説明する。
(I)単量体
本発明で使用される重合体は下記式(1)で表されるシロキサン官能性環状オレフィンを含む単量体組成物を付加重合することで得られる。単量体組成物は、下記式(4)で表される環状オレフィンを含んでいてもよい。
式(1)において、R1は炭素数1〜12のアルキル基及び/又は炭素数6〜10のアリール基である。炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられ、メチル基が好ましい。炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、フェニル基が好ましい。
aは1〜3の整数であり、これらの組合せ、例えばaが2の繰り返し単位と3の繰り返し単位が混合して存在する重合体、であってよい。aは、好ましくは3である。bは0〜2の整数であり、これらの組合せであってもよい。重合性の点で、好ましくは、bは0、1又はこれらの組合せであり、最も好ましくは0である。
Xは、下記式(i)又は(ii)で示される、鎖状又は環状ジオルガノポリシロキサン残基、またはこれらの組合せである。
式中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基であり、例えば、Rについて上述した基が包含され、好ましくはメチル基である。dは1〜5の整数であり、cは3〜5の整数である。
式(4)において、R〜Rは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又はオキセタニル基及びアルコキシカルボニル基、ポリオキシアルキレン基から選ばれる極性基、又はアルコキシシリル基から選ばれる基である。また、RとR又はRとRとが、それぞれが結合する炭素原子とともに脂環構造、芳香環構造、カルボイミド基又は酸無水物基を形成してよい。bは0〜2の整数である。好ましくは、Rは水素原子である。
該有機ケイ素化合物(1)は、下記式(5)又は(6)で表されるビニル基含有化合物とシクロペンタジエンのDiels−Alder反応によって調製することができる。調製法の詳細は、後記実施例で説明する。

(ここで、R1、X、aは上述の通りである。)
式(1)において、Xが上記式(i)のものを調製するビニル基含有化合物の例として、トリストリメチルシロキシビニルシランを、Xが上記式(ii)のものを調製するビニル基含有化合物の例として、下記式(6)の化合物を例示することができる。

(ここで、R1、R、aは上述の通りである。)
式(1)の有機ケイ素化合物としては、下記のものが例示され、ここでMeはメチル基を表す。また、これらの混合物を使用してもよい。

一方、式(4)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、炭素数1〜10のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリーロキシ基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基から選ばれる基、又はオキセタニル基、メトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の好ましくはアルコキシ基の炭素数が1〜10、特に1〜6のアルコキシカルボニル基から選ばれる極性を有する置換基である。また、RとR又はRとRとは、それぞれが結合する炭素原子と共に脂環構造、カルボンイミド基を形成してもよい。bは0又は1を示す。
この場合、脂環構造としては炭素数4〜10のものが挙げられる。これらの構造を例示すると下記の通りである。なお、下記例において、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。
(II)付加重合体
環状オレフィン付加重合体は、上記式(1)で示される化合物を付加重合に付することによって、形成される下記式(7)で示される繰り返し単位を含む。

(ここで、R、X、a、bは上述の通りである。)
上記繰返し単位(7)に加えて、上記式(4)で示される化合物由来の下記式(8)の繰返し単位を含む共重合体であってもよい。単位(7)と(8)の結合は、ランダムである。式中(8)において、R〜Rは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又はオキセタニル基及びアルコキシカルボニル基、ポリオキシアルキレン基から選ばれる極性基、又はアルコキシシリル基から選ばれる基である。また、RとR又はRとRとが、それぞれが結合する炭素原子とともに脂環構造、芳香環構造、カルボイミド基又は酸無水物基を形成してよい。bは0〜2の整数である。好ましくは、Rは水素原子である。

(ここで、R〜R、bは上述の通りである。)
式(8)の繰返し単位の割合は、全繰返し単位数の5%〜50%の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜30%である。該割合が、前記下限値未満であると、得られるポリマーの分子量が低いものしか得られず、被膜性が得られない場合があり、上限値を超えると、式(1)のXによる効果が十分でない場合がある。
該重合体は、GPCで求められるポリスチレン換算の数平均重量分子量が、10,000〜2,000,000であることが好ましく、より好ましくは100,000〜500,000である。該分子量が前記上限値を越えるものは現実的に合成が難しく、一方、該分子量が前記下限値未満では皮膜の強度が著しく低下する場合がある。
付加重合は、定法に従い、トルエンやキシレンなどの芳香族系炭化水素溶媒にモノマーを溶解して、重合触媒と助触媒の存在下で、常圧下20〜40℃の温度で、不活性ガス雰囲気下攪拌して重合させる。前記重合触媒としては、周期律表第8族元素、9族元素、10族元素より選択された、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pb)及び白金(Pt)などの中心金属とするメタロセン錯体が挙げることができ、好ましくはニッケル(Ni)又はパラジウム(Pd)のメタロセン触媒が挙げられる。助触媒としては有機アルミニウム化合物を用いることができ、好ましくはメチルアルミノキサンである。
上記触媒及び助触媒は、以下の範囲の使用量で用いられる。
触媒は式(1)及び(4)で示される単量体の合計1モルに対して0.01〜100ミリモル原子が好ましい。また助触媒は触媒1モルに対して0.5〜10,000モルが好ましい。
また、必要に応じて、分子量調整剤を重合系中に添加してもよい。分子量調整剤としては水素、エチレン、ブテン、ヘキセンなどのα―オレフィン、スチレン、3−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物、エチルビニルエーテルなどの不飽和エーテル、トリス(トリメチルメトキシ)ビニルシラン、ジビニルジヒドロシラン、ビニルシクロテトラシロキサンなどのビニルケイ素化合物が挙げられる。
なお、上述した溶媒と単量体との比率、重合温度、重合時間、分子量調整剤の量は、用いる触媒、単量体構造などに著しく影響を受けるため、一概に限定することが難しい。上記特定構造の重合体を得るべく、目的に応じて使い分ける必要がある。
重合触媒の量と分子量調整剤の添加量、単量体から重合体への転化率、あるいは重合温度によって、重合体の分子量が調節される。
重合停止は、水、アルコール、ケトン、有機酸などから選ばれた化合物によって行われる。重合体溶液に、乳酸、リンゴ酸、シュウ酸などの酸の水とアルコール混合物を添加することで、触媒残渣を重合体溶液から分離・除去することができる。また、触媒残渣の除去には、活性炭、珪藻土、アルミナ、シリカなどを用いての吸着除去や、フィルターなどによるろ過分離除去などが適用できる。
重合体は、重合溶液をメタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類中に入れて、凝固し、通常60℃〜150℃で6〜48時間減圧乾燥することにより得ることができる。この工程で、重合体溶液中に残存する触媒残渣や未反応モノマーも除去される。また、本発明において用いられる、シロキサンを含有する未反応モノマーは、上記アルコール類やケトン類にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状ポリシロキサンを混合した溶媒を用いることで容易に除去することができる。
(III)非対称膜の製法
本発明の非対称膜は、例えば、環状オレフィンポリマー溶液を基材上に塗布して溶液層を形成するステップと、溶液層から溶媒を部分的に除去して、環状オレフィンポリマーを含む緻密層を混合液層の基材とは反対側の表層部に形成させるステップと、緻密層が形成された混合液層を高分子材料の貧溶媒(凝固溶媒)中に浸漬して、環状オレフィンポリマーを含む多孔質層を形成させるステップとを備える方法により得ることができる。
環状オレフィンポリマーを溶解する溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、又はケトン類が好ましく用いられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられる。脂肪族炭化水素としてはヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン及びシクロヘキサンが挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、クロロホルム、塩化メチレン及び四塩化炭素が挙げられる。エーテル類としてはテトラヒドロフラン及びジオキサンが挙げられる。ケトン類としてはエチルメチルケトンが挙げられる。
これらの固形分の溶液としてはその濃度が好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.2〜20重量%である。濃度が40重量%よりの大きいと粘度が高すぎて流延しにくい。一方、0.1重量%よりも小さいと粘度が低すぎて流延しにくくまた、得られた膜の膜厚が小さくなる。
高分子溶液の調製に際しては、相分離を促したり、ポリマーの溶解度、高分子溶液粘度を調節するために他の物質を加えたりして製膜することがしばしばある。この様な製膜調製剤として高分子溶液に対して0.1%以上相溶性のある化合物を用いることができる。調整剤としては高分子溶液に溶解性のある塩、水、低級アルコール(メタノール、エタノール)、アミド系極性溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)などを用いることができる
この様にして得られた該固体分の溶液をキャスト板に一定の厚みで流延し、一定時間溶媒を蒸発させた後、凝固溶媒と溶媒を置換して得ることができる。流延はアプリケータ、バーコーターなどを用いて行うことができる。ここでキャスト板とは、平滑な表面をもつガラス板、テフロン(登録商標)板、金属板などを用いることができる。
また、非対称膜が支持体上に形成されていてもよいし、非対称膜が中空糸状の膜であってもよい。
溶媒の蒸発時間は用いる溶媒、ポリマーの種類、温度などによって異なるが、好ましくは0.01〜60分であり、より好ましくは0.01〜30分である。時間が長すぎると溶媒の大部分が蒸発してしまい得られた膜の構造は非対称膜になりづらく、表面の細孔も形成されない。ここで蒸発は好ましくは0〜100℃で行うのが良い。また流延及び蒸発は空気、窒素、その他のガスの気流あるいは雰囲気中で行うのが良い。
多孔質層を形成させるために用いられる貧溶媒(凝固溶媒)としては、メタノール、エタノール及びプロパノール等のアルコール類、アセトン、又は水など及びこれらどうしあるいはこれらと他の溶媒との混合溶媒が挙げられる。が好ましく用いられる。
これらの溶媒と該固体分の溶液の溶媒との置換は一般に流延して一定時間溶媒を乾燥させた後これを置換する該凝固溶媒中に投入して行われる。
これらの製膜条件について、蒸発時間が短い、固体分の溶媒が非揮発性である、あるいは蒸発の面風速が小さい場合、得られた非対称膜の緻密層が薄くなり、表面に細孔が得られる。本発明により、溶媒系では特に混合溶媒、温度、風速、時間、凝固溶媒系では温度、濃度等で膜表面を制御することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(モノマー製造)
モノマーの製造例1:トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネンの合成
ジシクロペンタジエン31g(0.238mol)とトリストリメチルシロキシビニルシラン75g(0.476mol)を200mlの反応器に仕込み、窒素シール下160〜170℃で8時間反応させた。反応液を減圧蒸留したところ、沸点が118〜120℃/5mmHgの留分が76g得られた。H−NMR分析(測定装置 JEOL社製LAMBDA LA−300W)及び赤外分光分析(測定装置 Perkin Elmer社製FT−IR Spectrometer Spectrum One)で構造を確認し、下記構造式(12)で表されるモノマーであることが確認された。これを単量体Aとする。
モノマーの製造例2:ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルノルボルネンの合成
ジシクロペンタジエン13g(0.10mol)とビストリメチルシロキシメチルビニルシラン50g(0.20mol)を100mlの反応器に仕込み、窒素気流下160〜175℃で4時間反応させた。反応液を減圧蒸留したところ、沸点が97〜102℃/9mmHgの留分が37g得られた。該留分は、屈折率(n25)が1.444であった。H−NMR分析(測定装置 JEOL社製LAMBDA LA−300W)及び赤外分光分析(測定装置 Perkin Elmer社製FT−IR SpectrometerSpectrum One)で構造を確認し、この留分は下記構造式(13)で表されるモノマーであることが確認された。これを単量体Cとする。
(重合体製造)
重合体製造例1:トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン−b−ノルボルネン付加共重合体(ポリマーA)の合成
窒素置換したガラス製容器に単量体A34.7g(0.089mol)、単量体B(ノルボルネン)8.3g(0.089mol)及びトリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート{[PhC][B(C]}37mg(40μmol)をトルエン140mlに溶解した。そこへ別途調整した触媒溶液(シクロペンタジエニル(アリル)パラジウム[CPdC]9mg(40μmol)、トリシクロへキシルホスフィン[PCy]12mg(40μmol)をトルエン15mlに溶解したもの)を添加し、室温(25℃)で5時間重合反応を行った。
反応終了後、多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、濾別洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥したところ、30.5gのポリマーAが得られた。
得られたポリマーのGPC測定による分子量はMn=726,000、分子量分布Mw/Mn=1.51であった。H−NMRスペクトルにより、重合体中の単量体A由来の構造体及びノルボルネン由来の構造体の組成比はA/B=46/54(mol/mol)であることを確認した。
重合体製造例2:トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン−b−ノルボルネン付加共重合体(ポリマーB)の合成
重合体製造例1において、単量体Aと単量体Bの仕込み量をそれぞれ単量体A;44.7g(0.115mol)、単量体B;5.8g(0.062mol)とした以外は同様の方法で実験を行ったところ、34.1gのポリマーBが得られた。分子量はMn=601,000、分子量分布Mw/Mn=1.49であり、重合体中の単量体A由来の構造体及びノルボルネン由来の構造体の組成比はA/B=67/33(mol/mol)であることを確認した。
重合体製造例3:ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルノルボルネン−b−ノルボルネン付加共重合体(ポリマーC)の合成
重合体製造例1において、単量体Aを用いる代わりに単量体Cを用い、単量体Cを28.0g(0.089mol)とした以外は同様の方法で実験を行ったところ、29.4gのポリマーCが得られた。分子量はMn=892,000、分子量分布Mw/Mn=1.62であり、重合体中の単量体C由来の構造体及びノルボルネン由来の構造体の組成比はC/B=46/54(mol/mol)であることを確認した。
重合体製造例4:ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルノルボルネン−b−ノルボルネン付加共重合体(ポリマーD)の合成
重合体製造例3において、単量体Cと単量体Bの仕込み量をそれぞれ単量体C;36.2g(0.115mol)、単量体B;5.8g(0.062mol)とした以外は同様の方法で実験を行ったところ、29.4gのポリマーDが得られた。分子量はMn=724,000、分子量分布Mw/Mn=1.38であり、重合体中の単量体C由来の構造体及びノルボルネン由来の構造体の組成比はC/B=68/32(mol/mol)であることを確認した。
重合体製造例5:ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルノルボルネン付加重合体(ポリマーE)の合成
重合体製造例3において、単量体Cと単量体Bを用いる代わりに単量体Cのみを55.7g(0.177mol)を用いること以外は同様の方法で実験を行ったところ、30.6gのポリマーEが得られた。分子量はMn=632,000、分子量分布Mw/Mn=1.39であった。
重合体製造例6:トリメチルシロキシメチルフェニルシリルノルボルネン−b−ノルボルネン付加共重合体(ポリマーF)の合成
重合体製造例1において、単量体Aを用いる代わりに下記式(14)で表される単量体Dを用い、単量体Dを27.0g(0.089mol)とした以外は同様の方法で実験を行ったところ、18.5gのポリマーFが得られた。分子量はMn=736,000、分子量分布Mw/Mn=1.24であり、重合体中の単量体D由来の構造体及びノルボルネン由来の構造体の組成比はD/B=49/51(mol/mol)であることを確認した。
重合体製造例7:ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルノルボルネン−b−ノルボルネン付加共重合体(ポリマーG)の合成
重合体製造例6において、単量体Dと単量体Bの仕込み量をそれぞれ単量体D;34.8g(0.115mol)、単量体B;5.8g(0.062mol)とした以外は同様の方法で実験を行ったところ、20.7gのポリマーGが得られた。分子量はMn=479,000、分子量分布Mw/Mn=1.32であり、重合体中の単量体D由来の構造体及びノルボルネン由来の構造体の組成比はD/B=66/34(mol/mol)であることを確認した。
重合体製造例8:ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルノルボルネン付加重合体(ポリマーH)の合成
重合体製造例6において、単量体Dと単量体Bを用いる代わりに単量体Dのみを53.6g(0.177mol)を用いること以外は同様の方法で実験を行ったところ、25.7gのポリマーHが得られた。分子量はMn=467,000、分子量分布Mw/Mn=1.35であった。
(非対称膜の作製)
実施例1
ポリマーAをテトラヒドロフラン(THF)とメタノールの混合溶液に溶解して、非対称膜作製用の溶液を準備した。溶液の組成はテトラヒドロフラン/メタノール/ポリマーA85/10/5質量%とした。ガラス板上に厚さ180μmの枠を置き、その枠内に上記混合液を流し入れた。その後25℃にて2秒間乾燥して、表層部に緻密層を形成させた。次いで、全体を凝固溶媒であるメタノールに浸漬したところ、ガラス板側に多孔質層が形成された。すなわち、多孔質層及び緻密層を有する非対称膜(膜厚:20μm)が形成された。
実施例2
ポリマーAに代えてポリマーBを用いたことの他は実施例1と同様にして非対称膜を作製した。
実施例3
ポリマーAに代えてポリマーCを用いたことの他は実施例1と同様にして非対称膜を作製した。
実施例4
ポリマーAに代えてポリマーDを用いたことの他は実施例1と同様にして非対称膜を作製した。
実施例5
ポリマーAに代えてポリマーEを用いたことの他は実施例1と同様にして非対称膜を作製した。
実施例6
ポリマーAに代えてポリマーFを用いたことの他は実施例1と同様にして非対称膜を作製した。
実施例7
ポリマーAに代えてポリマーGを用いたことの他は実施例1と同様にして非対称膜を作製した。
(非対称膜の作製)
比較例1
ポリマーAに代えてポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)(PTMSP)を用いたことの他は実施例1と同様にして非対称膜を作製した。
<膜の評価>
孔の有無の確認
実施例で得られた非対称膜について、その表面(緻密層側)、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、孔の有無を確認した。その結果を表1に示す。なお、図1〜8は、それぞれ実施例1〜8で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像であり、図9は、比較例1で得られた非対称膜の表面(緻密層側)のSEM像であり、図10は、実施例3の非対称膜の断面のSEM像である。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で示されるシロキサン官能性環状オレフィンを含む単量体組成物を付加重合することで得られる環状オレフィン重合体からなる非対称膜。

    (式中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基及び/又は炭素数6〜10のアリール基であり、Xは下記式(i)で示される基及び/又は下記式(ii)で示される基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数である。)

    (Rは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基であり、dは1〜5の整数であり、cは3〜5の整数である。)
  2. 緻密層表面に平均孔径が0.01〜10μmの微小孔を有する請求項1に記載の非対称膜。
  3. 前記環状オレフィン重合体における前記式(1)で示されるシロキサン官能性環状オレフィン由来の繰り返し単位が5〜100モル%である請求項1又は2記載の非対称膜。
  4. 乾湿式相転換法によって得られ、厚みが0.01μm〜1000μmである請求項1又は2に記載の非対称膜。
  5. 下記式(1)で示されるシロキサン官能性環状オレフィンを含む単量体組成物を重合することで得られる環状オレフィン重合体を、乾湿式相転換法によって成膜する非対称膜の製造方法。

    (式中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基及び/又は炭素数6〜10のアリール基であり、Xは下記式(i)で示される基及び/又は下記式(ii)で示される基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数である。)

    (Rは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基であり、dは1〜5の整数であり、cは3〜5の整数である。)
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