図2に、本発明者らが計算機シミュレーションにより得た、異なる系列番号のZC系列間の相互相関特性を示す。ここでは、式(2)において系列長NZC=13とする。また、ZC系列(シンボル番号n=0〜12)において、ZC系列の末尾に位置するシンボル番号n=12をトランケーションして得られる12サブキャリアのZC系列間の相互相関特性(点線)と、ZC系列の中央に位置するシンボル番号n=6をトランケーションして得られる12サブキャリアのZC系列の相互相関特性(実線)とを示す。図2において、横軸は受信タイミングの遅延時間τを示し、縦軸はZC系列のすべての系列番号の組み合わせによる相互相関値の平均値を示す。図2に示すように、シンボル番号n=12をトランケーションして得られるZC系列の相互相関特性では、遅延時間=128付近で、相互相関ピークが生じる。これに対して、シンボル番号n=6をトランケーションして得られるZC系列の相互相関特性では、遅延時間=128付近でも相互相関ピークは生じず、全遅延時間帯で最も低い相互相関値を示すことが分かる。このように、ZC系列をトランケ
ーションする場合、トランケーションするシンボルの位置に応じて相互相関特性が異なる。
次に、図3に、本発明者らが計算機シミュレーションにより得たZC系列の波形を示す。ここでは、図2に示す計算機シミュレーションと同様、式(2)で系列長NZC=13とする。また、図3では、系列番号u=1のZC系列(シンボル番号n=0〜12)の波形(実部成分:実線、虚部成分:破線)を示す。図3から、ZC系列の波形は、実部成分および虚部成分の双方において、ZC系列の中央に位置するシンボル番号n=6を中心に偶対称の波形となることが分かる。すなわち、図3では、シンボル番号n=0のシンボルの振幅とシンボル番号n=12のシンボルの振幅とが同一となり、シンボル番号n=1のシンボルの振幅とシンボル番号n=11のシンボルの振幅とが同一となる。同様に、シンボル番号n=2〜5のシンボルのそれぞれの振幅とシンボル番号n=10〜7のシンボルのそれぞれの振幅とが、同一となる。
ここで、図2に示すように相互相関ピークが発生する場合、つまり、シンボル番号n=12のシンボルをトランケーションする場合のZC系列の波形は、図3に示すZC系列の波形のうちシンボル番号n=12のシンボルを除いた波形となる。つまり、図3に示すように、シンボル番号n=12のシンボルとシンボル番号n=0のシンボルとの間の対称の関係が無くなる。これにより、トランケーション後のZC系列全体の対称性が崩れてしまう。これに対し、図2に示すように、相互相関ピークが発生しない場合、つまり、シンボル番号n=6のシンボルをトランケーションする場合のZC系列の波形は、図3に示すZC系列の波形のうちシンボル番号n=6のシンボルを除いた波形となる。ここで、図3に示すように、シンボル番号n=6のシンボルは他のいずれのシンボルとも対称の関係ではないため、トランケーション後のZC系列の対称性は保たれた状態のままである。
つまり、ZC系列をトランケーションまたはエクステンションする場合、ZC系列全体の対称性が保たれていれば、異なる系列番号のZC系列間の相互相関特性で相互相関ピークが発生することを防止することができる。すなわち、ZC系列が有する良好な相互相関特性を保つことができる。
そこで、本発明では、ZC系列を構成する各シンボルの対称性を維持したままZC系列をトランケーションまたはエクステンションする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図4は、本実施の形態に係る送信側の無線通信装置100の構成を示すブロック図である。
図4において、送信側の無線通信装置100が備えるZC系列生成部1000は、受信側の無線通信装置200(図5にて後述)が備えるZC系列生成部207と同様であって、系列長設定部101、ZC系列生成部102および系列長調整部103を備える。ZC系列生成部1000は、ZC系列の系列長NZC、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRBに基づきトランケーションまたはエクステンションしたZC系列を生成し、マッピング部104へ出力する。
系列長設定部101は、ZC系列の系列長NZCをZC系列生成部102に出力し、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRBを系列長調整部103に出力する。
ZC系列生成部102は、系列長設定部101から入力される系列長NZCを用いて、式(1)または式(2)に従いZC系列を生成し、生成されたZC系列を系列長調整部103に出力する。
系列長調整部103は、ZC系列生成部102から入力されるZC系列の対称性を維持したままZC系列をトランケーションまたはエクステンションして、系列長を系列長設定部101から入力されるサブキャリア数NRBに調整する。具体的には、系列長調整部103は、ZC系列を構成する複数のシンボルのいずれかをトランケーションまたはエクステンションすることによりZC系列をトランケーションまたはエクステンションする。ここで、系列長調整部103は、NZCがNRBより大きい場合、ZC系列生成部102から入力されるZC系列をトランケーションし、NZCがNRBより小さい場合、ZC系列生成部102から入力されるZC系列をエクステンションする。そして、系列長調整部103は、調整後の系列長NRBのZC系列をマッピング部104に出力する。なお、系列長調整部103における系列長調整処理の詳細については後述する。
マッピング部104は、ZC系列生成部1000の系列長調整部103から入力される系列長調整後のZC系列をRSの送信帯域に対応するリソースブロックにマッピングし、マッピングされたZC系列をIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部105に出力する。
IFFT部105は、マッピング部104から入力されるZC系列に対しIFFT処理を施し、IFFT処理が施されたZC系列を巡回シフト部106に出力する。
巡回シフト部106は、IFFT部105から入力されるZC系列に対し、自装置用に設定された所定時間長の巡回シフトを施し、巡回シフトが施されたZC系列、つまり、CS−ZC系列を送信RF部107に出力する。
送信RF部107は、巡回シフト部106から入力されるZC系列に対しD/A変換、アップコンバート、増幅等の送信処理を施し、送信処理が施された信号をアンテナ108を介して送信する。
図5は、本実施の形態に係る受信側の無線通信装置200の構成を示すブロック図である。
受信RF部202は、アンテナ201を介して受信した信号に対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を施し、受信処理が施された信号を分離部203に出力する。
分離部203は、受信RF部202から入力される信号を参照信号およびデータ信号に分離し、参照信号をFFT(Fast Fourier Transform)部204に出力し、データ信号をFFT部212に出力する。
FFT部204は、分離部203から入力される時間領域の参照信号に対しFFT処理を施して周波数領域の信号に変換し、周波数領域に変換された参照信号を伝搬路推定部205のデマッピング部206に出力する。
伝搬路推定部205は、デマッピング部206、除算部208、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)部209、マスク処理部210、DFT(Discrete Fourier
Transform)部211を備え、FFT部204から入力される参照信号に基づいて伝搬路推定を行う。
デマッピング部206は、FFT部204から入力される周波数領域の参照信号から、各送信側の無線通信装置100の送信帯域に対応した周波数領域の参照信号を抽出し、抽出された信号を除算部208に出力する。
ZC系列生成部207は、送信側の無線通信装置100のZC系列生成部1000(図4)と同様にして、各送信側の無線通信装置100において用いられるZC系列を生成し、除算部208に出力する。
除算部208は、デマッピング部206から入力される信号を、ZC系列生成部207から入力されるZC系列で除算し、除算された信号をIDFT部209に出力する。
IDFT部209は、除算部208から入力される信号に対しIDFT処理を施し、IDFT処理が施された信号をマスク処理部210に出力する。
マスク処理部210は、IDFT部209から入力される信号にマスク処理を施すことにより、所望のCS−ZC系列の相関値が存在する区間、すなわち、所望のCS−ZC系列の検出範囲の相関値を抽出し、抽出した相関値をDFT部211に出力する。
DFT部211は、マスク処理部210から入力される相関値に対しDFT処理を施し、DFT処理が施された相関値を周波数領域等化部214に出力する。ここで、DFT部211が出力する、DFT処理が施された相関値は、伝搬路の周波数応答を表す信号である。
一方、FFT部212は、分離部203から入力される時間領域のデータ信号に対しFFT処理を施して周波数領域に変換し、周波数領域に変換されたデータ信号をデマッピング部213に出力する。
デマッピング部213は、FFT部212から入力されるデータ信号から各送信側の無線通信装置100の送信帯域に対応した周波数領域のデータ信号を抽出し、抽出した各信号を周波数領域等化部214に出力する。
周波数領域等化部214は、伝搬路推定部205のDFT部211から入力される、伝搬路の周波数応答を表す信号を用いて、デマッピング部213から入力されるデータ信号に対し等化処理を施し、等化処理が施されたデータ信号をIDFT部215に出力する。
IDFT部215は、周波数領域等化部214から入力されるデータ信号に対しIDFT処理を施し、IDFT処理が施された信号を復調部216に出力する。
復調部216は、IDFT部215から入力されるIDFT処理が施された信号に対し復調処理を施し、復調処理が施された信号を復号部217に出力する。
復号部217は、復調部216から入力される復調処理が施された信号に対し復号処理を施し、受信データを抽出する。
次に、系列長調整部103における系列長調整処理の詳細について説明する。
以下、式(2)に示すZC系列において、トランケーションまたはエクステンションするシンボル数に応じた系列長調整処理について説明する。
<調整例1:トランケーションするシンボル数が1の場合>
ここでは、系列長NZC=13とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=12とする。すなわち、系列長調整部103は、1シンボルをトランケーションする。
そこで、系列長調整部103は、ZC系列を構成する複数のシンボルのうち、中央に位置するシンボルをトランケーションする。具体的には、系列長調整部103は、図6に示すように、ZC系列を構成するシンボル番号n=0〜12の13シンボルのうち、中央に位置するシンボル番号n=6のシンボルをトランケーションする。これにより、系列長調整部103では、図6に示すように、シンボル番号n=0〜5およびn=7〜12の順に構成される12シンボルのZC系列が得られる。
ここで、図3で上述したように、シンボル番号n=0〜5のシンボルと、シンボル番号n=12〜7のシンボルとは、それぞれ同一の振幅となり、中央に位置するシンボル番号n=6のシンボルを中心に偶対称の関係となる。一方、中央に位置するシンボル番号n=6のシンボルは他のいずれのシンボルとも対称の関係にない。よって、シンボル番号n=6のシンボルがトランケーションされる場合でも、ZC系列全体では対称性が維持される。
図7に本発明者らが計算機シミュレーションにより得たBLER特性の結果を示す。ここでは、図1と同様、系列長NZC=13とする。また、図1ではZC系列の末尾に位置するシンボル番号n=12のトランケーションしたのに対し、図7では、ZC系列の中央に位置するシンボル番号n=6のシンボルをトランケーションする。
図7より、図1でBLER特性が最も悪かったCS−ZC系列#4のBLER特性が最も良くなっていることが分かる。また、BLER=0.1(10%)を満たす所要Es/Noは、CS−ZC系列#4とBLER特性の最も悪いCS−ZC系列#5とでは、約0.2dBの差があることが分かる。これより、図1に示すBLER特性と比較して、CS−ZC系列番号#1〜6の間のBLER特性のばらつきが低減していることが分かる。
このように、ZC系列の対称性を維持したままトランケーションすることで、一部のCS−ZC系列のBLER特性が劣化することを防ぐことができる。
このように、本調整例によれば、ZC系列の中央に位置するシンボルをトランケーションすることで、トランケーション後のZC系列の対称性が維持される。これにより、CS−ZC系列を使用する場合でも、異なるCS−ZC系列番号(異なる巡回シフト量)のCS−ZC系列間において、相互相関ピークが発生しないため、BLER特性が劣化することを低減することができる。
<調整例2:エクステンションするシンボル数が1の場合>
ここでは、系列長NZC=11とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=12とする。すなわち、系列長調整部103は、1シンボルをエクステンションする。
そこで、系列長調整部103は、ZC系列を構成する複数のシンボルのうち、中央に位置するシンボルをエクステンションする。具体的には、系列長調整部103は、図8に示すように、ZC系列を構成するシンボル番号n=0〜10の11シンボルのうち、中央に位置するシンボル番号n=5のシンボルをエクステンションする。なお、エクステンションにより新たに生成されるシンボルは、エクステンションされるシンボルに隣接した位置に配置される。これにより、系列長調整部103では、図8に示すように、シンボル番号n=0〜5、n=5、n=6〜10の順に構成される12シンボルのZC系列が得られる
。
ここで、シンボル番号n=0〜4のシンボルと、シンボル番号n=10〜6のシンボルとは、それぞれ同一の振幅であり、対称の関係である。また、エクステンション前のZC系列の中央に位置するシンボル番号n=5のシンボルとエクステンションにより生成されるシンボル番号n=5のシンボルとは同一の振幅である。よって、シンボル番号n=5の2つのシンボルは対称の関係となる。つまり、図8に示すエクステンション後のZC系列のうち、シンボル番号n=0〜5の先頭からの6シンボルと、シンボル番号n=12〜5の末尾からの6シンボルとは、シンボル番号n=5の2シンボルの中間点を中心に偶対称となる。よって、エクステンション後のZC系列では、ZC系列全体の対称性が維持される。
このように、本調整例によれば、エクステンション後のZC系列の対称性が維持されるため、調整例1と同様の効果を得ることができる。
<調整例3:トランケーションするシンボル数が複数で奇数の場合>
ここでは、系列長NZC=17とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=12とする。すなわち、系列長調整部103は、5シンボルをトランケーションする。
そこで、系列長調整部103は、ZC系列を構成する複数のシンボルのうち、中央に位置するシンボルおよびその中央に位置するシンボルから前方および後方に等間隔に位置するシンボルをトランケーションする。具体的には、系列長調整部103は、図9に示すように、ZC系列を構成するシンボル番号n=0〜16の17シンボルのうち、中央に位置するシンボル番号n=8のシンボルをトランケーションする。また、系列長調整部103は、図9に示すように、シンボル番号n=8のシンボルから、前方および後方に4シンボルだけ離れて位置するシンボル番号n=4のシンボルおよびn=12のシンボルの2シンボルをトランケーションする。同様に、系列長調整部103は、シンボル番号n=8のシンボルから、前方および後方に5シンボルだけ離れて位置するシンボル番号n=3のシンボルおよびn=13のシンボルの2シンボルをトランケーションする。これにより、系列長調整部103では、図9に示すように、シンボル番号n=0〜2、n=5〜7、n=9〜11、n=14〜16の順に構成される12シンボルのZC系列が得られる。
ここで、シンボル番号n=3のシンボルとn=13のシンボルとは対称の関係であり、シンボル番号n=4のシンボルとn=12のシンボルとは対称の関係である。よって、これらの対称の関係のシンボル同士である4シンボルをトランケーションしても、他のシンボルの間の対称性が崩れないため、ZC系列全体の対称性は維持される。また、ZC系列の中央に位置するシンボル番号n=8のシンボルをトランケーションしても、調整例1と同様にして、ZC系列全体の対称性は維持される。
このように、本調整例によれば、トランケーションするZC系列のシンボル数が複数で奇数の場合でも、調整例1と同様の効果を得ることができる。
<調整例4:トランケーションするシンボル数が複数で奇数の場合>
本調整例は、ZC系列の中央に位置するシンボルの両側に隣接したシンボルから順に連続して位置するシンボルをトランケーションする点において調整例3と相違する。
ここでは、調整例3と同様、系列長NZC=17とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=12とする。すなわち、系列長調整部103は、5シンボルをトランケーションする。
本調整例に係る系列長調整部103は、ZC系列を構成する複数のシンボルのうち、中央に位置するシンボル、および、その中央に位置するシンボルの両側に隣接した連続シンボルをトランケーションする。具体的には、図10に示すように、系列長調整部103は、ZC系列を構成するシンボル番号n=0〜16の17シンボルのうち、調整例3と同様、シンボル番号n=8のシンボルをトランケーションする。また、系列長調整部103は、シンボル番号n=8の両側に隣接して位置するシンボル番号n=7のシンボルおよびn=9のシンボルの2シンボルをトランケーションする。さらに、系列長調整部103は、シンボル番号n=7およびn=9のシンボルにそれぞれ隣接するシンボル番号n=6のシンボルおよびn=10のシンボルの2シンボルをトランケーションする。つまり、系列長調整部103は、ZC系列を構成する17シンボルのうち、シンボル番号n=8のシンボルを中心とした、シンボル番号が連続した5シンボルをトランケーションする。これにより、系列長調整部103では、図10に示すように、シンボル番号n=0〜5およびn=11〜16の順に構成される12シンボルのZC系列が得られる。
ここで、図10に示す本調整例におけるトランケーション後のZC系列と図9に示す調整例3のトランケーション後のZC系列とを比較する。調整例3では、図9に示すように、シンボル番号n=2のシンボルとn=5のシンボルとの間、シンボル番号n=7のシンボルとn=9のシンボルとの間、および、シンボル番号n=11のシンボルとn=14のシンボルとの間の3箇所でシンボル番号が不連続となる。このように、不連続点が多くなるほど、CM(Cubic Metric)(または、PAPR(Peak to Average Power Ratio))がより増大してしまう。これに対し、本調整例では、図10に示すように、シンボル番号n=5のシンボルとn=11のシンボルとの間の1箇所のみでシンボル番号が不連続となる。
つまり、本調整例では、調整例3よりもトランケーション後のZC系列において不連続点を少なくすることができる。このため、ZC系列の不連続点に起因するCMを低減することができる。
このように、本調整例によれば、トランケーションするZC系列のシンボル数が複数で奇数の場合、RSの送信帯域でのZC系列の不連続点を最小限に抑えることができる。これにより、調整例1と同様の効果を得つつ、トランケーションによって生じるCMを低減することができる。
<調整例5:エクステンションするシンボル数が複数で奇数の場合>
ここでは、系列長NZC=9とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=12とする。すなわち、系列長調整部103は、3シンボルをエクステンションする。
そこで、系列長調整部103は、ZC系列を構成する複数のシンボルのうち、中央に位置するシンボル、および、その中央に位置するシンボルから前方および後方に等間隔に位置する複数のシンボルをエクステンションする。具体的には、系列長調整部103は、図11に示すように、ZC系列を構成するシンボル番号n=0〜8の9シンボルのうち、中央に位置するシンボル番号n=4のシンボルをエクステンションする。また、系列長調整部103は、図11に示すように、シンボル番号n=4のシンボルから前方および後方に3シンボルだけ離れて位置するシンボル番号n=1のシンボルおよびn=7のシンボルの2シンボルをエクステンションする。なお、エクステンションされて生成されるシンボルは、エクステンションされるシンボルに隣接した位置に配置される。これにより、系列長調整部103では、図11に示すように、シンボル番号n=0、1、1、2、3、4、4、5、6、7、7、8の順に構成される12シンボルのZC系列が得られる。
ここで、エクステンション前のZC系列のシンボル番号n=1のシンボルとn=7のシンボルとは対称の関係である。また、エクステンションされて新たに生成されたシンボル番号n=1のシンボルとn=7のシンボルは、エクステンションされたシンボルに隣接する位置に配置される。このため、エクステンション後のZC系列のシンボル番号n=1の2シンボルとn=7の2シンボルとは、エクステンション前のZC系列と同様、ZC系列の中心に対して偶対称となる。また、エクステンション後のZC系列の中央に位置するシンボル番号n=4の2シンボルは、調整例2と同様、対称の関係となる。よって、図11に示すようにZC系列のシンボルをエクステンションする場合でも、ZC系列全体の対称性は維持される。
このように、本調整例によれば、エクステンションするZC系列のシンボル数が複数で奇数の場合でも、調整例1と同様の効果を得ることができる。
<調整例6:エクステンションするシンボル数が複数で奇数の場合>
本調整例は、ZC系列の中央に位置するシンボルの両側に隣接したシンボルから順に連続して位置するシンボルをエクステンションする点において調整例5と相違する。
ここでは、調整例5と同様、系列長NZC=9とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=12とする。すなわち、系列長調整部103は、3シンボルをエクステンションする。
本例に係る系列長調整部103は、ZC系列を構成する複数のシンボルのうち、中央に位置するシンボル、および、その中央に位置するシンボルの両側に隣接した連続するシンボルをエクステンションする。具体的には、図12に示すように、系列長調整部103は、ZC系列を構成するシンボル番号n=0〜8の9シンボルのうち、調整例5と同様、シンボル番号n=4のシンボルをエクステンションする。また、系列長調整部103は、シンボル番号n=4のシンボルの両側に隣接して位置するシンボル番号n=3のシンボルおよびn=5のシンボルの2シンボルをエクステンションする。つまり、系列長調整部103は、ZC系列を構成する9シンボルのうち、シンボル番号n=4のシンボルを中心とした、シンボル番号が連続した3シンボルをエクステンションする。これにより、系列長調整部103では、図12に示すように、シンボル番号n=0〜5、n=3〜8の順に構成される12シンボルのZC系列が得られる。
ここで、図12に示す本調整例におけるエクステンション後のZC系列と図11に示す調整例5のエクステンション後のZC系列とを比較する。調整例5では、図11に示すように、シンボル番号n=1の2シンボルの間、シンボル番号n=4の2シンボルの間、および、シンボル番号n=7の2シンボルの間の3箇所でシンボル番号が不連続となる。これに対し、本調整例では、図12に示すように、エクステンション後のZC系列の中心付近に位置するシンボル番号n=5のシンボルとn=3のシンボルとの間の1箇所のみでシンボル番号が不連続となる。
つまり、本調整例では、調整例5よりもエクステンション後のZC系列において不連続点を少なくすることができるため、CMを低減することができる。
このように、本調整例によれば、エクステンションするZC系列のシンボル数が複数で奇数の場合でも、RSの送信帯域でのZC系列の不連続点を最小限に抑えることができる。これにより、調整例1と同様の効果を得つつ、エクステンションによって生じるCMを低減することができる。
<調整例7:トランケーションするシンボル数が偶数の場合>
ここでは、系列長NZC=17とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=13とする。すなわち、系列長調整部103は、4シンボルをトランケーションする。
そこで、系列長調整部103は、ZC系列を構成する複数のシンボルのうち、中央に位置するシンボルから、前方および後方に等間隔に位置する複数のシンボルをトランケーションする。具体的には、系列長調整部103は、図13に示すように、ZC系列を構成するシンボル番号n=0〜16の17シンボルのうち、中央に位置するシンボル番号n=8のシンボルから前方および後方に4シンボルだけ離れて位置するシンボル番号n=4のシンボルおよびn=12のシンボルの2シンボルをトランケーションする。同様にして、系列長調整部103は、シンボル番号n=8のシンボルから前方および後方に5シンボルだけ離れて位置するシンボル番号n=3のシンボルおよびn=13のシンボルの2シンボルをトランケーションする。これにより、系列長調整部103では、図13に示すように、シンボル番号n=0〜2、n=5〜11、n=14〜16の順に構成される13シンボルのZC系列が得られる。
図13に示す本調整例におけるトランケーション後のZC系列と図9に示す調整例3におけるトランケーション後のZC系列とを比較すると、本調整例は、ZC系列の中心に位置するシンボル番号n=8のシンボルをトランケーションしない点を除いて調整例3と同一である。ここで、図13に示すトランケーション前のZC系列は、シンボル番号n=8のシンボルを中心に偶対称であり、シンボル番号n=8のシンボルは他のいずれのシンボルとも対称の関係ではない。よって、本調整例のようにZC系列の中央に位置するシンボル番号n=8のシンボルをトランケーションしない場合でも、トランケーション後のZC系列は、シンボル番号n=8のシンボルを中心に偶対称となる。よって、本調整例では、調整例3と同様、トランケーション後の対称性が維持される。
つまり、系列長が奇数であるZC系列において、トランケーションするZC系列のシンボル数が奇数の場合(調整例1〜6)には、ZC系列の中央に位置するシンボルはトランケーションされ、トランケーションするZC系列のシンボル数が偶数の場合(本調整例および後述する調整例8)には、ZC系列の中央に位置するシンボルはトランケーションされない。これにより、トランケーション後のZC系列は、対称性を維持することができる。
このように、本調整例によれば、トランケーションするZC系列のシンボル数が偶数の場合でも、ZC系列全体の対称性が維持されるため、調整例1と同様の効果を得ることができる。
<調整例8:エクステンションするシンボル数が偶数の場合>
ここでは、系列長NZC=9とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=11とする。すなわち、系列長調整部103は、2シンボルをエクステンションする。
そこで、系列長調整部103は、ZC系列を構成する複数のシンボルのうち、中央に位置するシンボルから、前方および後方に等間隔に位置する複数のシンボルをエクステンションする。具体的には、系列長調整部103は、図14に示すように、ZC系列を構成するシンボル番号n=0〜8の9シンボルのうち、中央に位置するシンボル番号n=4のシンボルから前方および後方に3シンボルだけ離れて位置するシンボル番号n=1のシンボルおよびn=7のシンボルの2シンボルをエクステンションする。なお、エクステンションされて生成されるシンボルは、エクステンションされるシンボルに隣接した位置に配置される。これにより、系列長調整部103では、図14に示すように、シンボル番号n=0、1、1、2、3、4、5、6、7、7、8の順に構成される11シンボルのZC系列
が得られる。
図14に示す本調整例におけるエクステンション後のZC系列と図11に示す調整例5におけるエクステンション後のZC系列とを比較すると、本調整例は、ZC系列の中心に位置するシンボル番号n=4のシンボルがエクステンションされない点を除いて調整例5と同一である。つまり、図14に示すエクステンション後のZC系列は、シンボル番号n=4のシンボルを中心に偶対称となる。よって、本調整例では、調整例5と同様、トランケーション後のZC系列の対称性が維持される。
このように、本調整例によれば、エクステンションするZC系列のシンボル数が偶数の場合でも、ZC系列全体の対称性が維持されるため、調整例1と同様の効果を得ることができる。
以上、系列長調整部103における系列長調整例1〜8について説明した。
このように、本実施の形態によれば、ZC系列の対称性を維持したままZC系列をトランケーションまたはエクステンションするため、異なる系列番号のZC系列間での相互相関ピークの発生を防止することができる。これより、CS−ZC系列を使用する場合でも、異なるCS−ZC系列番号のCS−ZC系列間において相互相関ピークが発生しないため、BLERが劣化することを低減することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、トランケーションまたはエクステンションされるシンボルをZC系列の端にシフトする。
以下、本実施の形態について具体的に説明する。
図15は、本実施の形態に係る送信側の無線通信装置300の構成を示すブロック図である。
図15に示す送信側の無線通信装置300において、サブキャリア巡回シフト部301は、実施の形態1の系列長調整部103(図4)と同様にして、ZC系列生成部102から入力されるZC系列を構成する複数のシンボルから、系列長調整部302によってトランケーションまたはエクステンションされるシンボルを特定する。そして、サブキャリア巡回シフト部301は、特定されたシンボルがZC系列の端に位置するように、周波数領域で巡回シフトする。サブキャリア巡回シフト部301は、巡回シフト後のZC系列を系列長調整部302に出力する。
系列長調整部302は、サブキャリア巡回シフト部301から入力されるZC系列を構成する複数のシンボルのうち、ZC系列の端に位置するシンボルをトランケーションまたはエクステンションして、系列長をRSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRBに調整する。そして、系列長調整部302は、トランケーションまたはエクステンションされたZC系列をマッピング部104に出力する。
次に、サブキャリア巡回シフト部301におけるサブキャリア巡回シフト処理の詳細について説明する。
まず、ZC系列をトランケーションする場合について説明する。ここでは、実施の形態1の調整例1と同様、系列長NZC=13とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=12とする。すなわち、系列長調整部302は、1シンボルをトランケーシ
ョンする。
まず、サブキャリア巡回シフト部301は、図16に示すように、実施の形態1の送信側の無線通信装置100の系列長調整部103(図4)と同様にして、ZC系列を構成する複数のシンボルのうち、系列長調整部302によってトランケーションされるシンボルとして、ZC系列の中央に位置するシンボル番号n=6のシンボルを特定する。
次いで、サブキャリア巡回シフト部301は、トランケーションされるシンボルをZC系列の端に巡回シフトする。具体的には、サブキャリア巡回シフト部301は、図16に示すように、シンボル番号n=6のシンボルをZC系列の末尾に位置するように巡回シフトする。つまり、サブキャリア巡回シフト部301は、ZC系列を構成する13シンボル(シンボル番号n=0〜12)を昇順に6シンボル分だけ巡回シフトする。これにより、サブキャリア巡回シフト部301では、図16に示すように、シンボル番号n=7〜12、n=0〜6の順に構成される13シンボルのZC系列が得られる。
そして、系列長調整部302では、ZC系列の末尾に位置するシンボル番号n=6のシンボルがトランケーションされる。これにより、トランケーション後のZC系列は、図16に示すように、シンボル番号n=7〜12、n=0〜5の順に構成される12シンボルのZC系列となる。
ここで、ZC系列では、最小のシンボル番号(図16ではn=0)のシンボルと、最大のシンボル番号(図16ではn=12)のシンボルとは連続する。つまり、系列長調整部302におけるトランケーション後のZC系列は、先頭のシンボルから末尾のシンボルまで連続するため、不連続点が存在しない。
このように、ZC系列をトランケーションする場合でも、ZC系列を構成するシンボルに不連続点が存在しないため、トランケーションによって生じるCMを最小限に抑えることができる。
次に、ZC系列をエクステンションする場合について説明する。ここでは、実施の形態1の調整例2と同様、系列長NZC=11とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=12とする。すなわち、系列長調整部103は、1シンボルをエクステンションする。
まず、サブキャリア巡回シフト部301は、図17に示すように、実施の形態1の送信側の無線通信装置100の系列長調整部103(図4)と同様にして、ZC系列を構成する複数のシンボルのうち、系列長調整部302によってエクステンションされるシンボルとして、ZC系列の中央に位置するシンボル番号n=5のシンボルを特定する。
次いで、サブキャリア巡回シフト部301は、エクステンションされるシンボルをZC系列の端に巡回シフトする。具体的には、サブキャリア巡回シフト部301は、図17に示すように、シンボル番号n=5のシンボルをZC系列の先頭に位置するように巡回シフトする。つまり、サブキャリア巡回シフト部301は、ZC系列を構成する11シンボル(シンボル番号n=0〜10)を昇順に6シンボル分だけ巡回シフトする。これにより、サブキャリア巡回シフト部301では、図17に示すように、シンボル番号n=5〜10、n=0〜4の順に構成される11シンボルのZC系列が得られる。
そして、系列長調整部302では、ZC系列の先頭に位置するシンボル番号n=5のシンボルがエクステンションされる。なお、エクステンションにより新たに生成されるシンボル番号n=5のシンボルは、ZC系列の末尾に配置される。よって、エクステンション
後のZC系列は、図17に示すように、シンボル番号n=5〜10、n=0〜5の順に構成される12シンボルのZC系列となる。
このように、エクステンション後のZC系列は、上述したZC系列をトランケーションする場合と同様に、先頭のシンボルから末尾のシンボルまで連続するため、不連続点が存在しない。よって、ZC系列をエクステンションする場合でも、ZC系列を構成するシンボルに不連続点が存在しないため、CMを最小限に抑えることができる。
図18に、本発明者らが計算機シミュレーションにより得た、サブキャリア巡回シフト処理の有無によるCM特性の比較を示す。図18において、横軸は系列番号uを示し、縦軸はCMを示す。図18より、サブキャリア巡回シフト処理が有る場合のCM(実線)の方が、サブキャリア巡回シフト処理が無い場合のCM(破線)よりも低減されていることが分かる。
また、図19に、本発明者らが計算機シミュレーションにより得た、異なる系列番号のZC系列間の相互相関特性を示す。図19において、横軸は受信タイミングの遅延時間τを示し、縦軸はZC系列のすべての系列番号の組み合わせによる相互相関値の平均値を示す。図19に示すように、サブキャリア巡回シフト処理が有る場合のZC系列の相互相関特性(実線)と、サブキャリア巡回シフト処理が無い場合のZC系列の相互相関特性(点線)との差は無く、双方とも相互相関ピークは生じないことが分かる。
つまり、系列長調整部302によってトランケーションまたはエクステンションされるZC系列のシンボルをZC系列の端に巡回シフトすることで、実施の形態1と同様のBLER特性の劣化防止効果を得つつ、CMを最小限に抑えることができる。
また、受信側の無線通信装置200のZC系列生成部207(図5)は、サブキャリア巡回シフト部301と同様にして、ZC系列を構成する複数のシンボルを周波数領域で巡回シフトする。また、ZC系列生成部207は、系列長調整部302と同様にして、ZC系列の端に位置するシンボルをトランケーションまたはエクステンションする。
このようにして、本実施の形態によれば、トランケーション後のZC系列またはエクステンション後のZC系列に系列番号の不連続点が存在しなくなる。よって、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を得つつ、実施の形態1の調整例4および調整例6よりもさらにCMを低減させて、CMを最小限に抑えることができる。このように、CMが低減されることで、例えば、送信側の無線通信装置の無線アンプを効率良く使用することができるため、通信カバレージをより広くすることができる。
なお、本実施の形態では、ZC系列を構成する複数のシンボルを周波数領域で巡回シフトさせた後にトランケーションまたはエクステンションする場合について説明した。しかし、本実施の形態は、図20に示すように、送信側の無線通信装置400のサブキャリア巡回シフト部401が、系列長調整部103でトランケーションまたはエクステンションされたZC系列を周波数領域で巡回シフトしてもよい。この際、トランケーション後のZC系列では、図21に示すように、シンボル番号n=5のシンボルとn=7のシンボルとの間(エクステンション後のZC系列では、図22に示すように、シンボル番号n=5の2シンボルの間)が不連続点となる。
そこで、サブキャリア巡回シフト部401は、不連続点の前方に位置するシンボルをZC系列の末尾、すなわち、不連続点の後方に位置するシンボルをZC系列の先頭になるように巡回シフトする。具体的には、サブキャリア巡回シフト部401は、図21(図22)に示すようにZC系列に対して、昇順に6シンボル分だけ巡回シフトする。これにより
、サブキャリア巡回シフト部401では、不連続点が存在するシンボル同士がZC系列の先頭と末尾とに分離して配置される。これにより、ZC系列全体において不連続点が存在しなくなる。よって、トランケーションまたはエクステンションされたZC系列において不連続点が存在しなくなるため、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、トランケーションまたはエクステンションされるシンボルがZC系列の端に位置するようにZC系列のパラメータを設定する。
以下、本実施の形態について具体的に説明する。
図23は、本実施の形態に係る送信側の無線通信装置500の構成を示すブロック図である。
図23に示す送信側の無線通信装置500において、パラメータ設定部501は、系列長調整部502によってトランケーションまたはエクステンションされるシンボルがZC系列の端に位置するように、ZC系列のパラメータを設定する。具体的には、パラメータ設定部501は、式(1)に示すZC系列において、qを次式に示す値に設定する。ここで、パラメータ設定部501は、トランケーションされるシンボルをZC系列の末尾に位置するようにqの値を設定し、エクステンションされるシンボルをZC系列の先頭に位置するようにqの値を設定する。
q=NZC−(NRB/2) (3)
系列長調整部502は、ZC系列をトランケーションする場合にはZC系列の末尾のシンボルをトランケーションし、ZC系列をエクステンションする場合にはZC系列の先頭のシンボルをZC系列の末尾にエクステンションする。
次に、パラメータ設定部501におけるqの設定処理について具体的に説明する。
ここでは、系列長NZC=13とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=12とする。よって、パラメータ設定部501は、式(1)に示すZC系列のqの値を式(3)に従って7に設定する。
図24に、q=7のZC系列の波形を示す。図24に示すように、ZC系列のシンボル番号n=0〜12の13シンボルのうち、シンボル番号n=0〜5の各シンボルと、シンボル番号n=11〜6の各シンボルとは、シンボル番号n=5とn=6との間を中心としてそれぞれ対称の関係となる。これに対し、ZC系列の末尾に位置するシンボル番号n=12のシンボルは、他のいずれのシンボルとも対称の関係にはない。
つまり、図24に示すシンボル番号n=12のシンボルは、実施の形態1で説明した図3に示すZC系列の波形のシンボル番号n=6のシンボル、すなわち、ZC系列の中央に位置するシンボルと等価である。すなわち、本実施の形態では、パラメータ設定部501においてqの値を式(3)に従って設定することにより、q=0のZC系列の中央に位置するシンボルがZC系列の末尾に移動した波形にすることができる。
これにより、系列長調整部502でZC系列の末尾に位置するシンボルをトランケーションする場合でも、トランケーション後のZC系列の対称性を維持することができ、かつ、シンボルの連続性も維持することができる。具体的には、系列長調整部502では、図24に示すZC系列においてシンボル番号n=12のシンボルを除いたシンボル番号n=0〜11の12シンボルのZC系列が生成される。この12シンボルのZC系列は、シン
ボル番号n=5のシンボルおよびn=6のシンボルの間を中心とした偶対称のシンボルで構成され、かつ、連続したシンボル番号n=0〜11の順のシンボルで構成される。
次いで、ZC系列のシンボルをエクステンションする場合について説明する。ここでは、系列長NZC=11とし、RSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数NRB=12とする。よって、パラメータ設定部501は、式(1)に示すZC系列のqの値を式(3)に従って5に設定する。
図25に、q=5のZC系列の波形を示す。図25に示すように、ZC系列のシンボル番号n=0〜10の11シンボルのうち、シンボル番号n=1〜5の各シンボルと、シンボル番号n=10〜6の各シンボルとは、シンボル番号n=5とn=6との間を中心としてそれぞれ対称の関係となる。これに対し、ZC系列の先頭に位置するシンボル番号n=0のシンボルは、他のいずれのシンボルとも対称の関係にはない。
つまり、トランケーションする場合と同様、パラメータ設定部501においてqの値を式(3)に従って設定することにより、ZC系列の中央に位置するシンボルがZC系列の先頭に移動した波形にすることができる。
これにより、系列長調整部502でZC系列の先頭に位置するシンボルをエクステンションする場合でも、エクステンション後のZC系列の対称性を維持することができ、かつ、シンボルの連続性も維持することができる。具体的には、系列長調整部502では、図25に示すZC系列において、シンボル番号n=10のシンボルの次にシンボル番号n=0のシンボルがエクステンションされたシンボル番号n=0〜11、n=0の12シンボルのZC系列が生成される。この12シンボルのZC系列は、シンボル番号n=5のシンボルおよびn=6のシンボルの間を中心とした偶対称のシンボルで構成され、かつ、連続したシンボル番号n=0〜10、n=0の順のシンボルで構成される。
このように、パラメータ設定部501では、式(1)に示すZC系列のqを設定することで、トランケーションまたはエクステンションされるシンボルをZC系列の端に位置することができる。つまり、パラメータ設定部501は、実施の形態2における送信側の無線通信装置300のサブキャリア巡回シフト部301(図15)と等価の処理を行うことができる。
また、受信側の無線通信装置200のZC系列生成部207(図5)は、パラメータ設定部501と同様にして、ZC系列のパラメータを設定してZC系列を生成するとともに、系列長調整部502と同様にして、ZC系列の端に位置するシンボルをトランケーションまたはエクステンションする。
このようにして、本実施の形態によれば、トランケーションまたはエクステンションされるシンボルをZC系列の端に位置するように、ZC系列のパラメータを設定する。これにより、送信側の無線通信装置では、ZC系列の対称性およびシンボルの連続性を維持して、トランケーションまたはエクステンションすることができるため、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
なお、上記実施の形態では、周波数領域のZC系列を用いる場合を例について説明したが、本発明はこれに限定されず、時間領域で生成したZC系列を用いてもよい。ただし、時間領域のZC系列と周波数領域のZC系列とは、次式に示すような関係を満たす。
(u×r)mod(NZC)=NZC−1 (4)
式(4)において、NZCはZC系列の系列長を示し、rは時間領域のZC系列の系列番号を示す。時間領域のZC系列と周波数領域のZC系列とは性質は同様であるため、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施の形態は、図4に示す巡回シフト部106における時間領域での巡回シフト処理に代えて、図26に示す位相回転部601における周波数領域での位相回転処理を実施してもよい。
また、上記実施の形態では、ZC系列を巡回シフトして使用する場合について説明したが、本発明は、巡回シフトしない場合についても適用することができる。巡回シフトしない場合、送信側の無線通信装置100の巡回シフト部106(図4)および受信側の無線通信装置200のマスク処理部210(図5)は不要となる。
また、上記実施の形態では、受信側の無線通信装置200の周波数領域等化部214(図5)でデータ信号の等化処理を周波数領域で実施する場合について説明した。しかし、本発明では、データ信号の等化処理を時間領域で行ってもよい。
また、上記実施の形態では、SC−FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiplexing Access)構成の場合について説明したが、本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)構成でもよい。
また、上記実施の形態では、ZC系列を伝搬路推定用参照信号として用いる場合を例について説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、チャネル品質推定用参照信号(Sounding RS)、同期チャネル(Synchronization Channel)、ランダムアクセスのプリアンブル信号、CQI信号、またはACK/NACK信号等としてZC系列を用いても良い。また、ZC系列を拡散符号として用いてもよい。
また、上記実施の形態では、移動局から基地局に対する参照信号としてZC系列を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、基地局から移動局に対する参照信号としてZC系列を用いる場合でも同様に適用できる。
また、上記実施の形態では、参照信号としてZC系列を用いる場合を例について説明したが、ZC系列を含む他の系列、例えば、下記の式(5)に示すGCL系列c
i(n)を参照信号として用いてもよい。
式(5)において、N
GCLはGCL系列の系列長を示し、N
GCL=sm
2(s,mは整数)あるいはN
GCL=tm(t,mは整数)である。また、x
u(n)は式(1)または式(2)で表されるZC系列を示し、b
i(k)(k=0,…,m)は下記の式(6)で表されるDFT系列または、式(7)で表されるHadamard系列が用いられる。
また、上記実施の形態では、ZC系列を用いて説明を行ったが、ZC系列とは、各式で表される系列に限定されず、ZC系列の一部を繰り返すことにより生成される系列、およびZC系列の一部を切り詰める、あるいは、一部を抜き取ることにより生成される系列も含む。
また、上記実施の形態では、式(1)および式(2)に示すuを系列番号と称したが、uは、入力番号、サブキャリア番号、サンプル番号、チップ番号等と呼称されることもある。
また、本発明では、ZC系列の中央に位置するシンボルのみを複数個コピーすることでエクステンションしてもよい。例えば、図27に示すように、系列長NZC=9のZC系列をNRB=12のZC系列にエクステンションする場合、送信側の無線通信装置では、ZC系列の各シンボル(シンボル番号n=0〜8)のうち、中央に位置するシンボル番号n=4のシンボルを3個コピーしてもよい。これにより、図27に示すように、シンボル番号n=0〜3、4、4、4、4、5〜8の順に構成される12シンボルのZC系列が得られる。エクステンションされて得られる4個のシンボル番号n=4のシンボルの振幅は同一であるため、ZC系列全体の対称性が維持される。よって、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本発明では、ZC系列を複製(レピティション)して生成される系列に対してトランケーションまたはエクステンションしてもよい。例えば、図28に示すように、系列長NZC=5のZC系列をレピティションして得られる10シンボルの系列を、系列長NRB=11のZC系列にエクステンションする場合、送信側の無線通信装置では、レピティションして得られた系列の対称性を維持したまま、エクステンションする。具体的には、送信側の無線通信装置は、ZC系列の中央に位置するシンボル番号n=2のシンボルを、レピティションして得られた系列の中央にエクステンションする。つまり、図28の中段に示す系列の中央付近のシンボル番号n=4とn=0との間にシンボル番号n=2のシンボルがエクステンションされる。これにより、系列長NRB=11のZC系列では、対称性を維持することができ、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本発明の適用範囲を限定してもよい。例えば、系列長が閾値より小さいZC系列(RSの送信帯域幅が小さい)に対してのみ本発明を適用し、系列長が閾値より大きいZC系列(RSの送信帯域幅が大きい)に対しては本発明を適用しなくてもよい。ZC系列の系列長が大きいほど(RSの送信帯域幅が大きいほど)、トランケーションまたはエクステンションすることによる相互相関特性への影響がより小さくなる。よって、系列長が閾値より小さいZC系列(RSの送信帯域幅が小さい)に対してのみ本発明を適用することで、トランケーションまたはエクステンションによるBLER特性の劣化防止効果をより効率良く得ることができる。そして、系列長が閾値より大きいZC系列(RSの送信帯域幅が大きい)では、トランケーションまたはエクステンションするシンボルを特定する処理を省略することができる。
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサ
で実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
2007年9月28日出願の特願2007−255414の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。