JP5150125B2 - 探知装置及び探知用プログラム並びに探知方法 - Google Patents

探知装置及び探知用プログラム並びに探知方法 Download PDF

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Description

本発明は、位相共役擬音掃引方式を用いることで、例えば海中に存在する物体などを探知する探知装置及び探知用プログラム並びに探知方法に関する。
種々の技術分野で物体を探知する試みがなされている。その一例を説明すると、例えば、海中に存在する物体(例えば、潜水艦や魚群等)を探知するには、一般的にソーナーが用いられている。
海底下に埋没する物体(例えば、沈没船,海底ケーブル,機雷等)の探知にもソーナーが用いられているが、海水と海底の堆積物との音響特性が異なるため、その利用には制約がある。すなわち、海水は、液体であるが、海底の堆積物は固体状(完全な固体ではない)である。音波は、海中と、海底の堆積物との境界、すなわち海底面に入射すると、その境界において、一部の音波は海底面で反射される(反射波)が、一部の音波は海底に埋没した堆積物に向けて侵入する。このように、音波は海中と同じ縦波成分(縦波)の他に、横波成分(横波)及びラテラル波成分(ラテラル波)の3つの波に分かれる。音波は、入射角度が臨界角度より大きい場合に、海底の堆積物に侵入せずに海底面で全反射する。また、ラテラル波は、入射角度が臨界角度より大きい場合に発生する。
これらの3つの波は、それぞれ伝搬速度及び伝搬方向が異なる。そのため、上述した3つの波は、それぞれ海底の堆積物に埋没した物体(埋没物)に当たって、そこから反射する波も異なる。したがって、海中の受波器では、海底面からの反射波と、埋没物で反射される3つの成分波とが複雑に干渉し合って受波される。このことからして、海底に存在する埋没物を探知することは、困難が伴うものである(非特許文献1,2,3)。
R.Lim,J.L.Lose,R/H/Hacman,D.G.Todoroff, "Scattering by objects buried in underwatter sediments. Theory and experiment"J.acoust. Soc. Am., 93,1762-1783(1993) F.A.Boyle and N.P.Chotiros, "A Model for high-frequency acoustic backscatter from gas bubbles in sandy sediments at shallow grazing angles" J.Acoust. Soc.Am.,98, 531-541 S.A. Swift and R.A. Stephen, "The scattering of a low angle pulse beam from seafloor volume heterogeneities" J.Acost. Soc. Am.96,,991-1001
上述した探知の困難性は、横波成分とラテラル成分とが生成しない条件で探知すれば、克服することが可能である。すなわち、音波が海底面に対して垂直或いは垂直に近い角度(ほぼ垂直な角度)で入射する場合は、横波成分もラテラル成分も発生しない。そのため、従来開発されている、例えばサブボトムプロファイラによる埋没物の探査方法は、船や潜水艦から真下に音波を放射しながら、探査領域を走査する方式のものが多い。
しかしながら、上述した探査方法では、探査領域を隈無く走査するには、その探査に多大な時間を要する。埋没物が機雷のように爆発する類のものでは、その真上で音波を放射することは、探査船に危害を及ぼすことになるため、その埋没物を探知することはできない。
本発明の目的は、物体と探知位置との位置関係に拘束されることなく、物体を探知できる探知装置及び探知用プログラム並びに探知方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の位相共役擬音源掃引による探知装置は、送波用音波が拡散伝搬する環境中に存在する探知物を探知する探知装置であって、
走査音波生成部と、監視ユニットとを有し、
前記走査音波生成部は、擬似音源から音響信号が放射された場合に送波アレイで受波されることになる音響信号に対してアクティブ位相共役処理を行って生成した走査音波を送波アレイから伝搬空間内に送波すると、走査音波が音響信号の発生源である擬似音源に集中する特性により、走査することによって擬似的に移動される擬似音源の位置が探知物の位置と重なったときに、走査音波が伝搬空間内の探知物の上方から探知物に集中させるものであり、
前記監視ユニットは、パッシブ位相共役処理を行うことで、前記探知物で反射した反射音波を抽出するものであることを特徴とするものである。
なお、以上の説明では、本発明をハードウェアとしての探知装置として構築したが、これに限られるものではない。本発明は、ソフトウェアとしての探知用プログラム、或いは探知方法として構築してもよいものである。
本発明に係る探知用プログラムは、送波用音波が拡散伝搬する環境中に存在する探知物を探知する探知装置を構成するコンピュータに、
擬似音源から音響信号が放射された場合に送波アレイで受波されることになる音響信号に対してアクティブ位相共役処理を行って生成した走査音波を送波アレイから伝搬空間内に送波すると、走査音波が音響信号の発生源である擬似音源に集中する特性により、走査することによって擬似的に移動される擬似音源の位置が探知物の位置と重なったときに、走査音波が伝搬空間内の探知物の上方から探知物に集中させる機能と、
パッシブ位相共役処理を行うことで、前記探知物で反射した反射音波を抽出する機能とを実行させることを特徴とする構成として構築する。
本発明に係る位相共役擬音源掃引による探知方法は、送波用音波が拡散伝搬する環境中に存在する探知物を探知する探知方法であって、
擬似音源から音響信号が放射された場合に送波アレイで受波されることになる音響信号に対してアクティブ位相共役処理を行って生成した走査音波を送波アレイから伝搬空間内に送波すると、走査音波が音響信号の発生源である擬似音源に集中する特性により、走査することによって擬似的に移動される擬似音源の位置が探知物の位置と重なったときに、走査音波が伝搬空間内の探知物の上方から探知物に集中させ、
パッシブ位相共役処理を行うことで、前記探知物で反射した反射音波を抽出する構成として構築する。
本発明によれば、位相共役擬音源の掃引によって、物体と探知位置との位置関係に拘束されることなく、物体を探知できる。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態は図1に示すように、探知物Tの真上から離れた位置から音波を海中Mに送波して、探知物Tの上方から音波を探知物Tに向けて入射させることで、探知物Tを探知することを特徴とするものである。すなわち、本発明の実施形態は、擬似音源1から放射される音響信号1aに対してアクティブ位相処理を行って生成した走査音波3を伝搬空間(M)内に送波し、前記走査音波3が前記音響信号1aの発生源である前記擬似音源1に集中する特性を利用して、前記走査音波3を前記伝搬空間(M)内の探知物Tに集中させ、前記伝搬空間(M)内を伝搬して受波された音波に対してパッシブ位相共役処理を行って、前記伝搬空間(M)内の探知物Tで反射した反射音波6を抽出し、前記反射音波6の有無に基づいて前記探知物を探知することを特徴とするものである。さらに、本発明に係る実施形態は、前記擬似音源1の位置を前記伝搬空間(M)内で擬似的に移動させることで、前記走査音波3で前記伝搬空間内を掃引・走査することを特徴とするものである。以下の説明では、伝搬空間を海中Mとし、探知物Tを海底Fに埋没した物体とした場合について説明するが、これに限られるものではない。
本発明の実施形態に係る探知装置は図1,図2及び図3に示すように、アクティブ位相共役処理を行う走査音波生成部1Aと、送波アレイ2と、受波アレイ7と、パッシブ位相共役処理を行って探知物Tの探知を行う監視ユニット20とを有している。
送波アレイ2と受波アレイ7とは図1に示すように、距離を保持して探知海域を平行して航行する2隻の探査船8,8にそれぞれ搭載され、探査船8,8からそれぞれ海中M中に吊下される。
送波アレイ2は図1に示すように、複数の送波素子2aを数珠状に一定間隔を保持して連結した構造である。送波素子2aは、擬似音源1から発生される音響信号(電気信号)1aに基づいて生成された走査音波3を海中Mに送波するとともに、後述する校正音源からの音波を受波して校正信号(電気信号)に変換する。走査音波3は、実際に海中Mを拡散しながら伝搬する音響波である。受波アレイ7は図1に示すように、複数の受波素子7aを数珠状に一定間隔を保持して連結した構造である。受波素子7aは、海中Mを伝搬する走査音波3及び探知物Tで反射した反射音波6を受波して、これを探知信号(電気信号)に変換する。反射音波6は、探知物Tで反射して、海中Mを拡散伝搬する音響波である。なお、送波アレイ2,受波アレイ7をそれぞれ構成する送波素子2a,受波素子7aの個数は、走査音波3の集中性、反射音波6の受波感度などを考慮することで、適宜選定する。
本発明の実施形態に係る探知装置は、音波を用いることで、大陸棚などの比較的浅い海域での探知に用いられる場合が多いものである。音源を海底の堆積物に埋設し、この音源を海底に沿って移動させる際、探知物が機雷のように爆発物であるときには、音源が機雷に接触して損傷を受ける場合がある。或いは、音源が海底の突起物などと干渉する場合も考えられる。このことからすると、音源を海底の堆積物内に設置し、かつ音源を海底に沿って移動させることは、事実上困難である。そのため、本発明の実施形態では、海底の堆積物に擬似的に埋設されたとする擬似音源1を用いる。
走査音波生成部1Aは擬似音源から音響信号が放射された場合に送波アレイで受波されることになる音響信号に対してアクティブ位相共役処理を行って生成した走査音波を送波アレイから伝搬空間内に送波すると、走査音波が音響信号の発生源である擬似音源に集中する特性により、走査することによって擬似的に移動される擬似音源の位置が探知物の位置と重なったときに、走査音波が伝搬空間内の探知物の上方から探知物に集中させるものであり、図2に示すように、入力部10と、比較校正部11と、掃引環境情報生成部12と、音場計算部14と、共役信号生成部15と、分配同期出力部16と、指示部17と、記憶部18と、制御部19とを有している。
入力部10は、投下又は吊下された校正音源から海中に送波されて送波アレイ2で受波変換された校正信号を取り込み、不要な信号を除去すると共にA/D変換し、その変換後のディジタル信号を校正信号として比較校正部11に出力する。送波アレイ2で受波された校正信号は、増幅器13で増幅されて入力部10に入力する。
比較校正部11は、入力部10からの信号と共役信号生成部14からの信号とを受けて、その両信号の差を割り出し、その差信号を掃引環境情報生成部12に向けて出力する。
掃引環境情報生成部12は、比較校正部11からの差信号に基づいて実海域の定数、すなわち、音波ビームが伝搬する実際の海域の定数(海洋の音響定数)を演算する。具体的に説明する。
本発明の実施形態に係る探知装置は、一般に大陸棚のような比較的浅い海域で用いられる。その環境における音波伝搬に関する海洋の音響定数は、水深、海水の音速、海底堆積物(音速,密度)等のデータである。また、前記環境における音波パルスに関する海洋の音響定数は、音波パルスの中心周波数、音波パルスのスペクトル及び音波パルスのバンド幅等のデータである。海洋の音響定数を決定するための水深のデータは、測深機などの測定機器を用いることで直接計測により求められる。海洋の音響定数を決定するための海水の音速データは、水温の計測により、例えばメドイン(H.Medwin)の式などの既知の音速の式から求められる。
海洋の音響定数を決定するための海底堆積物のデータは、海図などから大凡の値を推定できるが、より正確な値は、既知の校正法により求められる。すなわち、探知物が埋没していると予想される探知海域に吊下した校正音源から送波された信号を送波アレイ2で受波し、その受波信号と予測した海底堆積物の定数とを変化させながら演算することで、実海域での堆積物のデータを取得する。ここに、海洋の音響定数とは、実際に音波が海中を伝搬する際に前記音波の伝搬に影響を及ぼす要因となる環境因子を意味する。
掃引環境情報生成部12には、上述した音波伝搬及び音波パルスに関する実海域での海洋の音響定数を決定するためのデータが入力され、掃引環境情報生成部12は、前記入力された海洋の音響定数を決定するためのデータと、比較校正部11から入力される差信号とに基づいて実海域の海洋の音響定数を決定する。掃引環境情報生成部12は、決定した実海域での海洋の音響定数を音場計算部14に向けて出力する。
音場計算部14,共役信号生成部15及び分配同期出力部16を説明する前に、海中の音波伝搬について説明する。
図16は、音源4から音波を右方向に向けて海中に送波した場合における音波の伝搬する状況をシミュレーションして示すものである。図16では、音波が左側の音源4から右側に向けて伝搬している。図17は、図16で示す音波を時間反転させた波形を示すものであって、海中を拡散伝搬して受波された音波に対して位相共役処理を施して再度海中に送波すると、左側の音源4に集中する状況をシミュレーションして示すものであって、再度送波された音波は、図の右側から左側の音源4に向けて集中する様子を示している。
海中を伝搬する周波数領域の位相共役波の音波は図16及び図17に示すように、海面P,海底面,海底に堆積された堆積物などでの反射、及び海水の温度変化による音速の変化等の環境因子に基づいて屈折する。なお、前記周波数領域の位相共役波の音波は、図16及び図17に基づいて説明する場合、単に音波として表記する。
海水と海底の堆積物との音響特性が異なるため、海底の堆積物中に侵入する音波は図16に示すように、一部の音波に限られ、その大部分が海中を拡散伝搬する。図16及び図17は、水深を100m、音源4を設置した水深を50m、前記音源4から送波される音波の周波数を500Hzに設定した場合における、周波数領域の位相共役波の音圧分布をシミュレーションした図である。図16及び図17において、水深100m以上の部分は、海底に堆積された堆積物等である。図16及び図17において、前記音源4からの音波の音圧が強い部分は白色で示し、音圧が弱い部分は黒色で示し、その中間強度の音圧をその強さに比例して白色に近づくように階調を付けた灰色で示してある。
海水中の音速を1500m/s、海底中の音速を1600m/s、海水の密度を1000kg/m、及び海底の密度を1500kg/mとした場合、図16に示すように、音源4の付近では、一部の音波が海底の堆積物に侵入するが、図の横軸に示す距離が約100mを越えると、音波は、海底の堆積物に殆ど侵入しなくなり、海面と海底面で反射しながら拡散していくことが分かる。
図16から明らかなように、海中に設置された音源4から送波された音波は、海中Mを拡散しながら伝搬していく。図16の場合、図の左側に設置した音源4からの音波は、図の左側から右側に拡散伝搬する。しかし、最近研究されている位相共役波は図17に示すように、複雑な環境中で反射や屈折を繰り返した音波でも、一旦受波して位相共役処理を施した後、再び海中に送波すると、その音波は始めに送波された点、すなわち音源4に集中することが知られている。
前記位相共役波の音場は、式(1)に基づいて求められる。
Figure 0005150125
式(1)は、文献D.R. Jackson and D.R. Dowling, "Phase conjugation in underwater acoustics" J.Acoust. Soc. Am, 89,171(1991)で確立されている。
式(1)を図1の構成に対応させて、各変数を説明すると、式(1)において、変数Gω(r,r)は、海中に設置した音源4の位置rから送波アレイのn番目の送波素子の位置rに及ぼすグリーン関数である。変数Gω(r,r)は送波アレイのn番目の送波素子の位置rから任意の点rに及ぼすグリーン関数である。Nは送波アレイの送波素子の個数、*は共役をそれぞれ示す。グリーン関数は、音源から放射された音波によって形成される音場に関する音場関数と見なせるので、音場内のある点での音圧は、ノーマルモード法や結合モード法を用いることで算出することができる。例えば、結合モード法を用いて音場内での音圧を算出する方法が文献;F.B. Jense, W.S. Kuperman, M.B. Porter, W.L.Porte, H. Schmidt, Computational Ocean Acoustic, AIP Press, New Yrk 1994 によって示されている。
上述した周波数領域の位相共役波は図16及び図17に示すように、音場を視覚的に表現できるので、原理の説明には適しているが、そのまま実用化を図ることは困難である。すなわち、周波数領域の位相共役波は連続波の音場に等しいものである。したがって、周波数領域の位相共役波を探知物に集中した場合、探知物からの反射波は連続した音波信号であるから、前記反射波を分離、識別することは困難である。
そこで、本発明の実施形態では、周波数領域の位相共役波に代えて、時間領域の位相共役波、すなわち擬似音源1から放射される音響信号1aに対してアクティブ位相処理(時間反転処理)を行って走査音波3を生成している。具体的に説明する。
音場計算部14は図4及び図5に示すように、擬似音源1から放射されて受波点である送波アレイ2の各送波素子2aで受波されるとして仮定した音響信号1aの音圧を式(2)に基づいて演算し、音響信号1aによる音場(位相共役場)を求め(伝搬計算処理S1)、基礎信号W1の波形を形成する(波形形成処理S2)。
Figure 0005150125
式(2)における変数を説明する。変数S(ω)は擬似音源1から放射される音響信号1aの周波数スペクトルを示している。前記周波数スペクトルS(ω)は、音響信号1aの波形形状によって異なるが、一般に音響信号1aとしてトーンバースト波のパルスを用いるので、音場計算部14は、パルス状トーンバースト波の波形をフーリェ変換することにより,前記周波数スペクトルS(ω)を求める。
式(2)において、変数P(r,z;t)は、角周波数ωの音波の任意の点(r,z)における音圧である。これは音波伝搬理論により、ノーマルモード理論や結合モード法や放物型方程式法などを用いることが可能である。以下の説明では、音圧を示す前記変数の誤差を少なくするために結合モード法を用いる。
音場計算部14は、結合モード法を用いることで、角周波数ωの音波の任意の点(r、z)における変数P(r,z;t)を式(3)に基づいて求める。
Figure 0005150125
ここで、jは水平方向の区分領域を意味している。φ(z,λj、m)はモード関数であり、A,Bは振幅である。
式(3)は、R.B. Evans,"A coupled mode solution for acoustic propagation in a waveguide with stepwisedepth variations of a penetable bottom." J. Acoust. Soc. Am., 74, 188-193(1983) によって確立されている。
式(3)において、
Figure 0005150125
Figure 0005150125
である。
また、Hは0次のハンケル関数、H0 (1)は第1種のハンケル関数、H0 (2)は第2種のハンケル関数である。φ(z,λj、m)はモード関数、Aj,mとBj,mとは振幅係数である。添字jとmとは、それぞれ水平方向の区域領域の番号とモード数である。音場計算部14は、既知の方法を用いることで、モード関数と振幅係数との値を、掃引環境情報生成部12で決定された実海域の海洋の音響定数に基づいて求める。
音場計算部14が計算する、擬似音源1から送波アレイ2の各送波素子2aまでの距離r,r,r・・・rは次のように求める。すなわち図4に示すように、鉛直に吊下して配置された送波アレイ2と海底面との交点Oから各送波素子2aまでの鉛直方向での深さをz、交点Oから擬似音源1までの横方向の距離をxとすると、擬似音源1から各送波素子2aまでの距離r(r,r,r・・・r)は次の式(6)に基づいて求める。距離rは式(2)における変数rに相当する。
Figure 0005150125
x,zの添字nは、擬似音源1から各送波素子2aの距離rの添字に対応する。
以上のように、音場計算部14は、擬似音源1から送波アレイ2の各送波素子2aまでの距離r(r,r,r・・・r)を求め、掃引環境情報生成部12で決定された実海域の海洋定数に基づいてモード関数と振幅係数とを求め、これらの情報に基づいて、角周波数ωの音響信号1aで形成された音場内の任意の点での音圧を式(3)に基づいて求め、さらに式(3)を式(2)に代入し、かつ、パルス状トーンバースト波の波形をフーリェ変換することで、周波数スペクトルS(ω)を求めて式(2)に代入し、式(2)に基づいて擬似音源1から放射された音響信号1aに基づく音圧を求め、基礎信号W1の波形を形成する。
すなわち、音場計算部14は図5に示すように、P(r、z、t〜t),P(r、z、t〜t)・・・P(rnー1、zn−1、t〜t),P(r、z、t〜t)のような基礎信号W1を送波素子2a毎に形成する。P(r、z、t〜t),P(r、z、t〜t)・・・P(rnー1、zn−1、t〜t),P(r、z、t〜t)で示される基礎信号W1は、t1〜t2のパルス長をもっている。前記パルス長は、音波が最初に届く時間t1と音波が最後に届く時間t2との時間差で表される。図5において、P(r、z、t〜t),P(r、z、t〜t)・・・P(rnー1、zn−1、t〜t),P(r、z、t〜t)の各基礎信号W1は、擬似音源1から送波アレイ2の各送波素子2aまでの伝搬距離r、r・・・rがそれぞれ異なるため、時間上のずれをもって形成される。
音場計算部14は図4及び図5に示す、パルス長t1−t2をもつ基礎信号W1を同期させて共役信号生成部15に向けて出力する。
共役信号生成部15は、音場計算部14からの基礎信号W1のデータを受け取り、その基礎信号W1に対して時間反転処理を行い、時間領域の位相共役信号W2を生成する。
具体的に説明すると、音場計算部14から出力される基礎信号W1は図7に示すように、P(r、z、t〜t),P(r、z、t〜t)・・・P(rnー1、zn−1、t〜t),P(r、z、t〜t)のように送波素子2a毎に形成される。P(r、z、t〜t),P(r、z、t〜t)・・・P(rnー1、zn−1、t〜t),P(r、z、t〜t)で示される基礎信号W1は、t1〜t2のパルス長をもっている。
共役信号生成部15は図4及び図5に示すように、音場計算部14で形成された基礎信号W1に対して時間反転処理を行い、t´−t´のパルス長をもつ時間領域の位相共役波W2を生成する。共役信号生成部15により時間反転処理された位相共役波W2は、
P(r、z、t´〜t´),P(r、z、t´〜t´)・・・P(rnー1、zn−1、t´〜t´),P(r、z、t´〜t´)で示される信号波であり、そのパルス長t´−t´が音場計算部14で生成される基礎信号W1のパルス長t−tと同一であって、時間反転されている。共役信号生成部15は、時間反転処理した時間領域の位相共役波W2を分配同期出力部16に向けて出力する。
分配同期出力部16は図4及び図5に示すように、共役信号生成部15からの位相共役波W2を送波アレイ2の各送波素子2aに分配し、時間反転された位相共役波W2に基づく走査音波3が前記音響信号1aの発生源である擬似音源1に集中する特性を利用するため、P(r、z、t´〜t´),P(r、z、t´〜t´)・・・P(rnー1、zn−1、t´〜t´),P(r、z、t´〜t´)の各位相共役波W2を同期させて、送波アレイ2の各送波素子2aから同時に出力する。分配同期出力部16は、位相共役波W2を増幅器13でそれぞれ増幅して送波アレイ2の各送波素子2aに供給する。
送波アレイ2は、分配同期出力部16から時間領域の位相共役波W2を受け取ると、電気信号である位相共役波W2を海中Mを伝搬する音響信号に変換して、各送波素子2aから走査音波3を伝搬空間である海中Mに向けて送波する。送波アレイ2は、探査船8から吊下されているため、走査音波3は、海中Mに横方向、すなわち対峙する探査船8に向かう方向に送波される。
送波アレイ2の各送波素子2aから送波された走査音波3、時間領域の位相共役波は上述したように最近の研究結果に基づくと、図4,図5及び図9に示すように、音響信号1aの発生源である擬似音源1に集中する特性を有している。
以上のように、走査音波生成部1Aは図4,図5及び図9に示すように、擬似音源1から放射した音響信号(電気信号)1aに対してアクティブ位相共役処理を行って生成した走査音波3が音響信号1aの発生源である擬似音源1に集中する特性を利用して、送波アレイ2を通して走査音波3を海中Mに送波する。送波アレイ2の各送波素子2aから送波された走査音波3が、音響信号1aの発生源である擬似音源1に集中した際における音圧は、式(7)で求められる。
Figure 0005150125
式(7)において、変数Gω(R;z、z)は擬似音源1を設置したと仮定した音源深度zから送波アレイ2のn番目の送波素子2aの深度zに及ぼすグリーン関数である。変数Rは、擬似音源1と送波アレイ2の各送波素子2aとの間の距離rに相当する。変数Gω(r,z,z)は、送波アレイ2のn番目の送波素子2aの深度zから海中Mの任意の点(r,z)に及ぼすグリーン関数である。*は共役を表す。
制御部19は、走査音波生成部1Aの動作を総合的に制御するものであって、音場計算部14及び共役信号生成部15並びに分配同期出力部16による基礎信号W1及び時間領域の位相共役波W2の生成及び分配に至る一連の動作を、送波アレイ2に対する擬似音源1の位置を擬似的に順次移動させる、すなわち図1に示すように海底の堆積物中での擬似音源1の位置を一方の探査船8から他方の探査船8へ向けて擬似的に移動させることで、走査音波3で探知海域を走査する制御を行う。
18は、制御部19の動作に必要な情報、及び演算に必要な作業領域を提供する記憶部、17は、制御部19を通して出力されるデータを外部に出力する指示部である。
なお、以上の説明では、図2に示す本発明の実施形態における走査音波生成部1Aをハードウェアとして構築した場合について説明したが、これに限られるものではない。走査音波生成部1Aを構成する、入力部10と、比較校正部11と、掃引環境情報生成部12と、音場計算部14と、共役信号生成部15と、分配・同期出力部16とのそれぞれの機能をプログラム上で実行させるソフトウェアとして構築してもよいものである。
次に、実施形態における走査音波生成部1Aについて検証する。
周波数領域における位相共役波の特性は、元の音源への集中特性を調べることによって明らかにすることが可能である。これに対して、実施形態における時間領域の位相共役波(走査音波3)の特性は、元の擬似音源1の設置位置における音波パルスの生成特性によって示すことができる。
通常、音源から放射される音源パルスは、トーンバースト波やガウス分布パルスである。実施形態では、中心周波数が500Hz、パルス幅が10サイクルのトーンバースト波を用いている。前記トーンバースト波は、フェーリ変換することで音波パルスの周波数スペクトル((2)式のS(ω))が得られる。なお、トーンバースト波は、上記の例に限定されるものではない。
掃引環境情報生成部12が決定した実海域での海洋の音響定数の下において、距離2100m、深度101mの擬似音源1から放射された音波パルス(音響信号1a)にたいしてアクティブ位相処理を行って生成した走査音波3を海中Mに送波し、その音波3を送波アレイ2で受波して時間反転処理した後に再度海中Mに送波した音波のうち、元の擬似音源1付近に集中した音波をシミュレーションした結果を図10A及び図10Bに示す。前記距離は、一方の探査船8の位置を基準として他方の探査船8に向けて2100m離れた位置までの距離を示す。
図10A及び図10Bは、深度102mに設置したとして仮定した擬似音源1からの音響信号1aに基づいて生成され、送波された走査音波3であって、その送波位置から距離2100m離れた海底面(深度100m)の位置での音波の波形を示してある。図10Bには、深度102mに設置したとして仮定した擬似音源1からの音響信号1aに基づいて生成され、送波された走査音波3であって、その送波位置から距離2100m離れた海底の堆積物中(深度102m)の位置(走査音波3が集中する元の擬似音源1の位置)での音波の波形を示してある。図10A及び図10Bの横軸は時間、縦軸はパルスの振幅をそれぞれ示している。
図10A及び図10Bにおいて、擬似音源1から放射される音響信号1aのスペクトルを有限値としたことによる波形の崩れは若干認められるものの、図10Bに示す走査音波3の波形は、図1に示す音響信号1aの元の波形に近い形状であることが分かる。図10A及び図10Bから明らかなように、パルスの前後に位置する、いわゆるサイドローブは殆ど認められない。したがって、走査音波生成部1Aから提供される音響信号1aのパルスは、実際に海中Mに向けて送波する走査音波3のパルスとして、ほぼ完全に再現されていると考えられる。なお、図10Aと図10Bとにおける波形の振幅では、その両者間に差が生じているが、その差は、海底面の反射などによる影響であると考えられる。
走査音波生成部1Aから提供される走査音波(パルス)3の特性は、上述した時間的特性の他に、空間的にも検証する必要がある。すなわち、送波アレイ2から送波される走査音波3が元の擬似音源1付近で、どのように変化するかを調べた結果を図11に示す。図11は、擬似音源1の付近に集中した走査音波3の水平振幅分布をシミュレーションした結果を示す図である。
図11には、擬似音源1からの音響信号1aに基づいて生成され、送波された走査音波3であって、深度102mに設置したと仮定した元の擬似音源(送波された走査音波3が集中する擬似音源)1に集中する過程における走査音波3のパルス幅が水平方向に変化する様子を、深度100m、101.5m、103mの位置でプロットした結果を示している。
図11から明らかなように、走査音波3は、そのいずれもが単峰の鋭い振幅分布を示し、横方向のサイドローブを殆ど有しないことが分かる。すなわち、狭い範囲に元の擬似音源1から提供される音響信号1aと同じ特性の明確なパルス状の走査音波3を、元の擬似音源1の位置に集中させることができる。
以上の検証からして、実際に海底の堆積物に音源を設置することなく、擬似音源1を用いることにより、探知物の真上から離れた位置から音波を放射して、探知物の上方から走査音波3を探知物Tに入射させることが実現されていることが立証できる。
次に、海中を拡散伝搬して受波された音波に対してパッシブ位相共役処理を行って、海中M内の探知物Tで反射した反射音波6を抽出し、反射音波6の有無によって探知物Tを探知するための監視ユニット20の構成について説明する。
監視ユニット20は図3に示すように、受波アレイ7の各受波素子7aに対してそれぞれ設けた時間窓/AD変換器21及び相関処理部22と、複数の相関処理部22からデータを受け取ってパッシブ処理を行うパッシブ位相共役処理部23と、複数の相関処理部22からデータを受け取って処理を行う波形解析部24と、制御部25と、指示部26と、記憶部27とを有している。
受波アレイ7は、図1に示す探知物Tで反射した反射音波6を含めて海中Mを伝搬する音波を電気信号である受波信号に変換し、その受波信号を時間窓/AD変換器22に向けて出力する。なお、図1に示すように、送波アレイ2から送波された走査音波3は海中Mを拡散して伝搬し、その一部が元の擬似音源1の位置に集中するため、擬似音源1の掃引によって擬似音源1と探知物Tとが一致した場合、走査音波3は探知物Tで反射し、反射音波6として受波アレイ7に向けて伝搬する。なお、探知物Tで反射されることなく、直接受波アレイ7にも伝搬する走査音波3が存在するため、受波アレイ7は、反射音波6に加えて、これ以外の走査音波3も含めて受波する。
時間窓/AD変換器21は、受波アレイ7の受波素子7aから出力される信号のうち、解析に必要な信号のみを抽出し、その抽出した信号をデジタル信号にAD変換する。時間窓/AD変換器21は、デジタル信号を相関処理部22に出力する。
相関処理部22は図12に示すように、それぞれの時間窓/AD変換器21から出力される信号を基準信号S1とデータ信号S2として扱うことで、基準信号S1とデータ信号S2との自己相関を行う。さらに、相関処理部22は図12に示すように、波形解析部24に記憶されている前回の擬似音源1の掃引によって求めたデータを基準信号S3,S4とし、今回の擬似音源1の掃引によって求めたデータをデータ信号S5として、基準信号S3,S4とデータ信号S5との相互相関を行い、相関値を求める。相関処理部22は、自己相関処理及び相互相関処理で求めた相関値データをパッシブ位相共役処理部23に向けて出力する。
Figure 0005150125
式(8)において、PとPは受波アレイ7のm番目の受波素子2aの位置rに入射した前記基準信号と前記データ信号である。したがって、Ridは、前記基準信号と前記データ信号との相関値である。
図12に示すように、一方の探査船81から他方の探査船82に向けて擬似音源1の位置を擬似的に移動させる(擬似音源の1の掃引)ことで、探知領域内の探知物Tを探知する。擬似音源1の掃引によって探知物Tを探知できなかった場合、探査船8,8は図12に示すように、例えばn−6,n−5,n−4,n−3,n−2,n−1、そしてn航過目のように位置を移動させて探知物Tの探知が行われる。
そこで、波形解析部24は、各航過目で得られるパッシブ位相共役処理部23の自己相関処理によるデータを取得し、n−1航過目までのデータS3を個別に記憶すると共に、n航過目までのデータの平均値を割り出して平均値のデータS4を記憶している。
パッシブ位相共役処理部23は、相関処理部22で自己相関処理された信号を受け取ると、式(9)に基づいてパッシブ位相共役処理を行う。
Figure 0005150125
式(8),(9)に基づくパッシブ位相共役処理は、文献;D. Rouseff, D. R. Jackson, W.L. Fox, C.D. Jones, J.A. Ritcey and D.R. Dowing "Underwatter Acoustic Communication by Passive Phase Conjugation; Theory and Experimental Results." IEEE J. Ocanic Eng., 26, 821-831(2001)で確立されている。
相関処理部22が式(8)に基づいて求めた相関値Ridは、前記基準信号と前記データ信号との相関値であり、この相関値は、受波アレイ7の受波素子7aの総数Mで加算した値S(t)(式(9))は等価的に位相共役性を有することが知られている。すなわち、図2に示す擬似音源1によるアクティブ位相共役による走査音波3が、その位置が擬似音源1と一致した探知物Tに集中した特性、すなわち、探知物Tの位置での反射音波6と等価になることが知られている。言葉を換えると、パッシブ位相共役処理部23は、式(9)に基づいて、探知物Tで反射した後に次第に延伸して複雑な形状に変化した反射音波6を圧縮する。なお、式(9)におけるwは、受波アレイ7の受波素子7aのばらつきを補正する重み係数である。
パッシブ位相共役処理部23と相関処理部22とによる処理について具体的に説明する。探知物Tが海底の堆積物に埋没していると予想される海域で、上述したアクティブ位相共役処理に基づく擬似音源1からの走査音波3で海底に沿って走査する。もし、ある距離で走査音波3が海底の堆積物に埋没している探知物Tに当たると、探知物Tから反射音波6が反射される。この反射音波6を探査船8から吊下した受波アレイ7で受波する。
しかし、探知物Tで反射した反射音波6は、海中Mを拡散して伝搬する。そして、反射音波6は、海面や海底で反射しながら次第に延伸した複雑な形状のパルスに変化する。この変化した音波パルスを探知物Tで反射した反射音波6の波形に戻すために、パッシブ位相共役法を適用する。
すなわち、パッシブ位相共役処理は、1)基準信号とデータ信号とを同一とする場合と、2)基準信号とデータ信号とが異なる場合とでは、処理法を異ならせて実行する。パッシブ位相共役処理部23は、1)の場合に上述した自己相関処理を行い、2)の場合に上述した相互相関処理を行う。
海底中の探知物Tと送波アレイ2及び受波アレイ7との位置関係を図8に示す。図8では、送波アレイ2と探知物Tとの間の距離は2.1km、探知物Tと受波アレイ7との間の距離は1.5kmにそれぞれ設定した例を用いて説明するが、この数値に限定されるものではない。また、図8では、探知物Tの構造を拡大して表示したが、探知物Tは、その上辺が1m、底辺が3mである台形のものであって、鉄製である。探知物Tの深度は101m〜103mの範囲である。ここでは、500Hzの走査音波3aを擬似音源1から送波することを前提としているから、走査音波3の波長は3mである。したがって、探知物Tは波長とほぼ同じ大きさと見なせる。なお、図8に示す探知物Tは、台形形状以外の形状をもつものであってもよい。
一般に、散乱理論によると、物体を探知できる範囲は波長以上の大きさまでと言われている。探知物Tが海底に存在しない状態で、上述したように擬似音源1からの走査音波3に基づいて海底を走査し、その音波を受波アレイ7の一つの受波素子7a(深度5m)で受波した波形を図13Aに示す。図13Aの横軸は走査音波3の伝搬時間を示し、縦軸は走査音波3の振幅を示している。図13Aにおいて、音波のパルスが伝搬時間1秒の位置に現れている。この音波のパルスは、擬似音源1から直接受波アレイ7に向かって拡散伝搬した走査音波3に相当する。それ以外に如何なる信号も見ることはできない。
図13Bは、パッシブ位相共役処理部23が式(9)に基づいて処理した音波の波形を示している。すなわち、受波アレイ7の受波素子7aで受波した信号を式(8)のPとする。この場合、基準信号とデータ信号とを等しいとしている。すなわち、相関処理部22は、前記基準信号とデータ信号との自己相関関数を求め、パッシブ位相共役処理部23は、相関処理部22から出力される自己相関値を全ての受波素子7aについて式(9)に基づいて加算する、すなわち圧縮する(パッシブ位相共役処理)。パッシブ位相共役処理部23で処理した値を図13Bに示している。図13Bから明らかなように、パルスの形が整形されていることが明らかであり、これ以外のパルスは現れないことが分かる。
次に、海底の堆積物に探知物Tを埋没させた場合に受波アレイ7で受波した信号及びパッシブ位相共役処理した信号を図14A、図14Bに示す。図14Aは、深度5mの受波アレイ7で受波した信号を表している。図14A及び図14Bの横軸は音波の伝搬時間、縦軸は音波の振幅レベルを示している。
図14Aにおいて、音波パルスが伝搬時間1秒の位置に現れているが、これは、図13Aと同様に擬似音源1から受波アレイ7の受波素子7aに直接向かった走査音波3である。図14Aにおいて、約3.8秒の所に現れた信号は、探知物Tで反射した反射音波6である。図14Aにおいて、伝搬時間約3.8秒の所に現れた信号は、その振幅が小さくなっているが、その理由は、伝搬距離が長くなったことと、探知物Tのサイズが小さい、すなわち、走査音波3の反射面積が小さいことによるものである。
図14Bは、図13Bと同様に、パッシブ位相共役処理した波形を表している。探知物Tの探知時には、擬似音源1から走査音波3のパルスを周期的に送波して走査するため、パッシブ位相共役処理の場合、一周期前の音波パルスとの相関波形が現れる。前記相関波形のパルスが最初のパルスB1である。次のパルスは、擬似音源1から受波アレイ7に直接向かった音波パルス(走査音波3)B2であり、3番目のパルスは、探知物Tで反射した音波パルス(反射音波6)B3である。
図13と図14とを比較すると明らかなように、探知物Tの有無による差が明確に現れるため、指示部26から出力されるデータを図12に示す画像データD1,D2,D3として表示することにより、探知物T5を容易に探知することができる。
制御部25は、波形解析部24の動作、相関処理部22での相関処理及びパッシブ位相共役処理部23でのパッシブ位相共役処理を総合的に制御するものである。27は、制御部25の動作に必要な情報、及び演算に必要な作業領域を提供する記憶部、26は、制御部25を通して出力されるデータを外部に出力する指示部である。
次に、本発明の実施形態に係る探知装置を用いて海底に埋没する探知物Tを探知する場合を図6及び図7に基づいて説明する。
図1に示すように、2隻の探査船8,8を距離を保持して探知海域に平行に航行させる。そして、探査船8,8に搭載した送波アレイ2及び受波アレイ7とを探査船8,8から海中Mに吊下する。
次に、探査海域の海洋の音響定数を決定するための環境情報を収集する。この情報収集の一連の動作として、探知物Tが埋没していると予想される探知海域に校正音源を投下又は吊下し、その校正音源から送波された校正信号を波形アレイ2で受波し、掃引環境情報生成部12は、その受波信号と予測した海底堆積物の定数とを変化させながら演算することで、実海域での海底堆積物のデータを取得する。
掃引環境情報生成部12は、探査海域の環境における音波伝搬に関する海洋の音響定数、例えば、水深、海水の音速、海底堆積物(音速,密度)等のデータ、また、前記環境における音波パルスに関する海洋の音響定数、例えば、音波パルスの中心周波数、音波パルスのスペクトル及び音波パルスのバンド幅等のデータ、水深データ、音速データ等を入手する(図6のステップS1)。
入力部10は、送波アレイ2で受波した前記校正音源からの音波を入力とし、その音波に含まれる不要な信号を除去し、かつ、その信号をデジィタル信号にA/D変換し、そのデジィタル信号を掃引環境情報生成部12に出力する。
掃引環境情報生成部12は、入力部10からの信号と、前記入力された海洋定数を決定するためのデータとに基づいて実海域の海洋の音響定数を決定し、その決定した実海域での海洋の音響定数を音場計算部14に向けて出力する(図6のステップS2;YES)。
音場計算部14は、擬似音源1から放射されて受波点である送波アレイ2の各変換素子2aで受波されるとして仮定された音響信号1aの音圧を式(2)に基づいて演算し、音波1aによる音場を求める(伝搬計算処理S1)。
次に、音場計算部14は、結合モード法などの音波伝搬計算モデルを用いることで、角周波数ωの音波で形成された音場内での任意の点(r、z)における変数P(r,z,ω)を式(3)に基づいて求める。
以上のように、音場計算部14は、擬似音源1から送波アレイ2の各変換素子2aまでの距離r(r,r,r・・・r)を求め、掃引環境情報生成部12で決定された実海域の海洋の音響定数に基づいてモード関数と振幅係数を求め、これらの情報に基づいて、角周波数ωの音波で形成された音場内の任意の点での音圧を式(3)に基づいて求め、さらに式(3)を式(2)に代入し、かつ、パルス状トーンバースト波の波形をフーリェ変換することで、周波数スペクトルS(ω)を求めて式(2)に代入し、式(2)に基づいて擬似音源1から放射された音響信号1aによる音場を演算し(図6のステップS3;YES)、図5に示すように、P(r、z、t〜t),P(r、z、t〜t)・・・P(rnー1、zn−1、t〜t),P(r、z、t〜t)のような基礎信号W1を送波素子2a毎に形成する(図6のステップS4;YES)。
音場計算部14は図4及び図5に示す、パルス長t1−t2をもつ基礎信号W1を同期させて共役信号生成部15に向けて出力する(図6のステップS4;YES)。
共役信号生成部15は図4及び図5に示すように、音場計算部14で形成された基礎信号W1に対して時間反転処理を行い、t´−t´のパルス長をもつ時間領域の位相共役波W2を生成する(図6のステップS5;YES)。
分配同期出力部16は図4及び図5に示すように、共役信号生成部15からの位相共役波W2を送波アレイ2の各送波素子2aに分配し、時間反転された位相共役波W2に基づく走査音波3が前記音響信号1aの発生源である擬似音源1に集中する特性を利用するため、P(r、z、t´〜t´),P(r、z、t´〜t´)・・・P(rnー1、zn−1、t´〜t´),P(r、z、t´〜t´)の各位相共役波W2を同期させて、送波アレイ2の各送波素子2aから同時に出力する。
送波アレイ2は、分配同期出力部16から時間領域の位相共役波W2を受け取ると、電気信号である位相共役波W2を海中Mを伝搬する音響信号に変換して、各送波素子2aから走査音波3を伝搬空間である海中Mに向けて送波する。送波アレイ2は、探査船8から吊下されているため、走査音波3は、海中Mに横方向、すなわち対峙する探査船8に向かう方向に送波される(図6のステップS6)。
以上の過程を経て、走査音波生成部1Aは、音響信号1aに対してアクティブ位相処理を行って生成した走査音波3を海中M内に送波し、前記走査音波3が前記音響信号1aの発生源である前記擬似音源1に集中する特性を利用して、前記走査音波3を海中M内の探知物Tに集中させる。
制御部19は図1及び図5に示すように、音場計算部14及び共役信号生成部15による音波W2を生成する一連の動作を、擬似音源1の変換器アレイ2に対する距離を順次移動させ、すなわち図5に示すように海底での擬似音源1の位置を一方の探査船8から他方の探査船8へ向けて掃引しながら繰り返し行うことで、海底Fを変換アレイ2から放射される音波3により走査する。
制御部19の制御の下に、図1に示すように海底での擬似音源1の位置を一方の探査船8から他方の探査船8へ向けて掃引しながら繰り返し行うと、送波アレイ2から送波される走査音波3は、掃引する毎に元の擬似音源1の位置に焦点を結ぶ。したがって、擬似音源1の位置を海底に沿って移動させると、送波アレイ2から送波される走査音波3は図15A、図15B、図15C及び図15Dに示すように、その集中する位置を一方の探査船8側から他方の探査船8側に変化させながら、海底を走査する。
探知物Tの真上から離れた位置から放射された走査音波3は図15A〜図15Dに示すように、海底に対して上方から入射することで海底の狭い範囲に集中する。しかも、擬似音源1の位置を海底に沿って擬似的に移動させると、擬似音源1の移動に伴って、走査音波3が集中する位置は図15A〜図15Bに示すように、擬似音源1の移動方向、すなわち一方の探査船8から他方の探査船8に向けて移動する。
送波アレイ2から送波された走査音波3は、その一部が海面Pと海底Fとの間で反射を繰り返されて、一方の探査船8から他方の探査船8に向けて海中Mを伝搬し、直接受波アレイ7に到達する場合もある。
送波アレイ2から送波された走査音波3は、その一部が海中Mを拡散して伝搬し、元の擬似音源11の位置に集中するものであるから、図1に示すように、擬似音源1の掃引によって擬似音源1と探知物Tとが一致した場合、音波3は探知物Tで反射し、反射音波6として海中Mに散乱する。
探知物Tで反射された音波6は、受波アレイ7に向けて伝搬するため、受波アレイ7は、音波Tを含めて海中M内の音波を受波し、その受波した音波を電気信号(探知信号)に変換して、その電気信号を時間窓/AD変換器21に出力する(図7のステップS7;YES)。
時間窓/AD変換器22は、受波アレイ7の受波素子7aから出力される信号に含まれる不必要な反射波や雑音等を除去し、雑音等が除去されたアナログ信号をデジタル信号にAD変換し、そのデジタル信号を相関処理部22に出力する。
相関処理部23は、基準信号とデータ信号とを用いて自己相関及び相互相関の処理を行う(図7のステップS8,S9)。
パッシブ位相共役処理部23は、相関処理部22から出力される相関値に基づいて、パッシブ位相共役処理を行い、探知物Tで反射して拡散しながら伝搬した反射音波6の波形を探知物Tで反射した時点の音波の波形に戻す(図7のステップS10)。
パッシブ位相共役部23でパッシブ位相共役処理されたデータを指示部26に画像データD1,D2,D3として表示することにより、探知物Tを監視して探知する(図8のステップS11)。図12に示す画像データD1は探知物Tが存在しない場合であり、図12に示す画像データD2,D3が表示された時に、探知物Tが存在すると判定する。
本発明の実施形態によれば、位相共役擬音源掃引によって、物体と探知位置との位置関係を拘束されることなく、物体を探知できる。
本発明の実施形態によれば、探知物の真上から離れた位置から音波を放射して、探知物の上方から音波を探知物に入射させることで、探知物を探知するため、探知物が例えば機雷のように爆発性を有するものであっても、安全性を確保することで容易に探知することができる。
以上の説明では、対峙する一方の探査船8から送波アレイ2で走査音波3を海中に送波し、海中を拡散伝搬する音波を受波アレイ7で受波することで、反射音波6の有無を探知しているが、これに限られるものではない。すなわち、対峙する双方の探査船8,8のそれぞれに擬似音源1及び送波アレイ2、受波アレイ7及び監視ユニット20を搭載し、双方の探査船8、8から交互に擬似音源1による走査音波3を出力することで、探査を行うようにしてもよいものである。
また、一隻の探査船に、擬似音源1及び送波アレイ2、受波アレイ7及び監視ユニット20を搭載し、探知を行うようにしてもよいものである。
以上の説明では、本発明を海底に埋没する探知物を探知する例に適用した場合を説明したが、これに限られるものではない。例えば、トンネル等のように音響が反響しやすい環境であって、かつ暗闇の中で探知物を探知する場合にも適用できるものである。要は、本発明は、アクティブ位相共役処理を行うことで、音波を探知物に収束させ、パッシブ位相共役処理を行うことで、前記探知物で反射して複雑に広がった(拡散した)音波を圧縮し、拡散した音波を前記探知物で反射した時点の音波に戻すことで、探知物を探知することが可能なものであれば、いずれのものであっても適用できるものである。
本発明によれば、広範囲の探知物を対象として、これらの探知物を容易に探知することができる
本発明の実施形態において、擬似音源からの音波に基づいて海底を音波で走査している状態を示す図である。 本発明の実施形態におけるアクティブ位相共役処理を行う走査音波生成部の具体的構成を示す図である。 本発明の実施形態におけるパッシブ位相共役処理ユニットの具体的構成を示す図である。 本発明の実施形態における走査音波生成部で走査音波を生成し、その走査音波を送波アレイから送波する一連の動作を説明する動作説明図である。 本発明の実施形態における走査音波生成部で走査音波を生成し、その走査音波を送波アレイから送波する一連の動作を説明する動作説明図である。 本発明の実施形態で行われるアクティブ位相共役処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態で行われるパッシブ位相共役処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態において、探知物を探知する場合を示す図である。 送波アレイから送波された音波が元の擬似音源の位置に集中する状態を示す図である。 擬似音源の検証を行った結果を示す図であって、走査音波生成部から送波される音波との一致した状態を示す図である。 擬似音源の検証を行った結果を示す図であって、走査音波生成部から送波される音波との一致した状態を示す図である。 擬似音源の検証を行った結果を示す図であって、走査音波が海底で集中する領域で、深さを異ならせて音波パルスの振幅がどのように変化するかを検証した結果を示す図である。 本発明の実施形態におけるパッシブ位相共役処理を具体的に説明する動作説明図である。 探知物が存在せず、送波アレイから送波されて直接受波アレイで受波された音波の波形を示す図である。 図13Aに示す受波音波に基づいて相関処理した信号の波形を示す図である。 探知物で反射した音波を受波した波形を示す図である。 探知物で反射した音波に基づいて相関処理した信号の波形を示す図である。 走査音波で海底を走査する際に、送波アレイから送波する走査音波が集中する位置が変化することを示す図である。 走査音波で海底を走査する際に、送波アレイから送波する走査音波が集中する位置が変化することを示す図である。 走査音波で海底を走査する際に、送波アレイから送波する走査音波が集中する位置が変化することを示す図である。 走査音波で海底を走査する際に、送波アレイから送波する走査音波が集中する位置が変化することを示す図である。 周波数領域の位相共役波の伝搬状態を説明する図である。 周波数領域の位相共役波の伝搬状態を説明する図である。
1 擬似音源
1A 走査音波生成部
2 送波アレイ
3 走査音波
T 探知物
6 反射音波
7 受波アレイ
10 入力部
11 比較校正部
12 掃引環境情報生成部
14 音場計算部
15 共役信号生成部
16 分配同期出力部
20 監視共役ユニット
21 時間窓/AD変換器
22 相関処理部
23 パッシブ位相共役処理部
24 波形解析部

Claims (23)

  1. 送波用音波が拡散伝搬する環境中に存在する探知物を探知する探知装置であって、
    走査音波生成部と、監視ユニットとを有し、
    前記走査音波生成部は、擬似音源から音響信号が放射された場合に送波アレイで受波されることになる音響信号に対してアクティブ位相共役処理を行って生成した走査音波を送波アレイから伝搬空間内に送波すると、走査音波が音響信号の発生源である擬似音源に集中する特性により、走査することによって擬似的に移動される擬似音源の位置が探知物の位置と重なったときに、走査音波が伝搬空間内の探知物の上方から探知物に集中させるものであり、
    前記監視ユニットは、パッシブ位相共役処理を行うことで、前記探知物で反射した反射音波を抽出するものであることを特徴とする探知装置。
  2. 前記走査音波生成部は、
    前記音響信号の受波点での音場を演算し、基礎信号の波形を形成する音場計算部と、
    前記音場計算部で形成された基礎信号に対して時間反転処理を行い、時間領域の位相共役波を生成する共役信号生成部とを含む、請求項1に記載の探知装置。
  3. 前記音場計算部は、音波が拡散伝搬する環境の音響定数を考慮して前記音場を演算するものである、請求項2に記載の探知装置。
  4. 前記擬似音源は、その位置が前記伝搬空間内に擬似的に移動されるものである、請求項1に記載の探知装置。
  5. 前記走査音波生成部は、前記音響信号としてトーンバースト波のパルスを用いる、請求項1に記載の探知装置。
  6. 前記監視ユニットは、前記伝搬空間内を伝搬して受波された音波に基づいて自己相関処理を行うことにより、前記反射音波を抽出するものである、請求項1に記載の探知装置。
  7. 前記監視ユニットは、自己相関処理の結果と相互相関処理の結果とを比較することにより、前記反射音波を抽出するものである、請求項6に記載の探知装置。
  8. 前記走査音波生成部はさらに
    音波伝搬及び音波パルスに関する実海域での海洋の音響定数を決定するためのデータが入力され、前記入力された海洋の音響定数を決定するためのデータに基づいて実海域の海洋の音響定数を決定する掃引環境情報生成部を有し、
    前記音場計算部は、前記掃引環境情報生成部で決定された実海域の海洋の音響定数に基づいて、実海域内に仮想した擬似音源から音波が発せられた場合に送波アレイで受波すると仮想される音響信号に基づく音圧を求めてこれを基礎信号とし、その基礎信号の波形を形成するものであり、
    前記共役信号生成部前記音場計算部で形成された基礎信号に対して時間反転処理を行い、時間領域の位相共役波を生成するものであり、
    前記監視ユニットは、前記実海域内を伝搬して受波された音波に基づいて自己相関処理を行うことにより、前記探知物で反射した反射音波を抽出するものである、請求項2に記載の探知装置。
  9. 送波用音波が拡散伝搬する環境中に存在する探知物を探知する探知装置を構成するコンピュータに、
    擬似音源から音響信号が放射された場合に送波アレイで受波されることになる音響信号に対してアクティブ位相共役処理を行って生成した走査音波を送波アレイから伝搬空間内に送波すると、走査音波が音響信号の発生源である擬似音源に集中する特性により、走査することによって擬似的に移動される擬似音源の位置が探知物の位置と重なったときに、走査音波が伝搬空間内の探知物の上方から探知物に集中させる機能と、
    パッシブ位相共役処理を行うことで、前記探知物で反射した反射音波を抽出する機能とを実行させることを特徴とする探知用プログラム。
  10. 前記コンピュータに、
    前記音響信号の受波点での音場を演算し、基礎信号の波形を形成する機能と
    前記形成された基礎信号に対して時間反転処理を行い、時間領域の位相共役波を生成する機能とを実行させる、請求項に記載の探知用プログラム。
  11. 前記コンピュータに、
    音波が拡散伝搬する環境の音響定数を考慮して前記音場を演算させる機能を実行させる、請求項10に記載の探知用プログラム。
  12. 前記コンピュータに、
    走査することにより前記擬似音源の位置を前記伝搬空間内に擬似的に移動させる機能を実行させる、請求項に記載の探知用プログラム。
  13. 前記コンピュータに、
    前記伝搬空間内を伝搬して受波された音波に基づいて自己相関処理を行うことにより、前記反射音波を抽出させる機能を実行させる、請求項に記載の探知用プログラム。
  14. 前記コンピュータに、
    自己相関処理の結果と相互相関処理の結果とを比較することにより、前記反射音波を抽出する機能を実行させる、請求項13に記載の探知用プログラム。
  15. 前記コンピュータに、
    音波伝搬及び音波パルスに関する実海域での海洋の音響定数を決定するためのデータが入力され、前記入力された海洋の音響定数を決定するためのデータに基づいて実海域の海洋の音響定数を決定する機能と、
    前記決定された実海域の海洋の音響定数に基づいて、実海域内に仮想した擬似音源から音波が発せられた場合に送波アレイで受波すると仮想される音響信号に基づく音圧を求めてこれを基礎信号とし、その基礎信号の波形を形成する機能と、
    前記形成された基礎信号に対して時間反転処理を行い、時間領域の位相共役波を生成する機能と、
    前記実海域内を伝搬して受波された音波に基づいて自己相関処理を行うことにより、前記探知物で反射した反射音波を抽出する機能とを実行させる、請求項10に記載の探知用プログラム。
  16. 送波用音波が拡散伝搬する環境中に存在する探知物を探知する探知方法であって、
    擬似音源から音響信号が放射された場合に送波アレイで受波されることになる音響信号に対してアクティブ位相共役処理を行って生成した走査音波を送波アレイから伝搬空間内に送波すると、走査音波が音響信号の発生源である擬似音源に集中する特性により、走査することによって擬似的に移動される擬似音源の位置が探知物の位置と重なったときに、走査音波が伝搬空間内の探知物の上方から探知物に集中させ、
    パッシブ位相共役処理を行うことで、前記探知物で反射した反射音波を抽出することを特徴とする探知方法。
  17. 前記音響信号の受波点での音場を演算し、基礎信号の波形を形成し、
    前記基礎信号に対して時間反転処理を行い、時間領域の位相共役波を生成する、請求項16に記載の探知方法。
  18. 音波が拡散伝搬する環境の音響定数を考慮して前記音場を演算する、請求項17に記載の探知方法。
  19. 走査することにより前記擬似音源の位置を前記伝搬空間内に擬似的に移動させる、請求項15に記載の探知方法。
  20. 前記音響信号としてトーンバースト波のパルスを用いる、請求項15に記載の探知方法。
  21. 前記伝搬空間内を伝搬して受波された音波に基づいて自己相関処理を行うことにより、前記反射音波を抽出する、請求項14に記載の探知方法。
  22. 自己相関処理の結果と相互相関処理の結果とを比較することにより、前記反射音波を抽出する、請求項19に記載の探知方法。
  23. 音波伝搬及び音波パルスに関する実海域での海洋の音響定数を決定するためのデータが入力され、前記入力された海洋の音響定数を決定するためのデータに基づいて実海域の海洋の音響定数を決定し、
    実海域内に仮想した擬似音源から送波アレイまでの距離を求め、前記掃引環境情報生成部で決定された実海域の海洋定数に基づいて、前記擬似音源から放射された音響信号に基づく音圧を求め、基礎信号の波形を形成し、
    前記形成された基礎信号に対して時間反転処理を行い、時間領域の位相共役波を生成し、
    前記実海域内を伝搬して受波された音波に基づいて自己相関処理を行うことにより、前記探知物で反射した反射音波を抽出する、請求項16に記載の探知方法。
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