JP5148645B2 - 流体循環システム、および、温度調節システム - Google Patents

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Description

本発明は、流体を利用する温度調節装置との間で流体を循環する流体循環システム、および、温度調節システムに関する。
従来、電気やガスを利用する加熱装置で加熱された温水や空気により、室内などの温度を調節する構成が知られている。しかしながら、このような構成では、電気やガスなどの使用量が増大して、低コスト化を図りにくいという問題点がある。そこで、堆肥などの発酵熱源の熱を利用して、温水や空気などを加熱する検討がなされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1では、発酵堆肥化貯蔵所内で発酵させた有機性廃棄物の発酵熱により、熱源部の熱交換器内の伝熱用媒体物(水など)の温度を上昇させる。そして、この温度が上昇した伝熱用媒体物を放熱部の熱交換器に流入させることで、暖房を行っている。
特許文献2では、発酵槽での発酵燃料の発酵により発生するメタンガスを加熱室に入れて、この加熱室内の加熱触媒に熱を発生させる。そして、この熱で加熱された温水を循環させることにより、暖房を行っている。
特許文献3では、ループ状に配設された水循環用パイプを有する熱捕集用パネルを堆肥中に埋設して、堆肥の発酵熱で加熱された温水で暖房を行っている。
登録実用新案第3152480号公報 特開平9−289836号公報 実開平5−90266号公報
しかしながら、特許文献1〜3のような構成では、温水を発酵熱源の発酵熱で加熱する構成が暖房装置から離れた位置にある場合、温水の温度が暖房装置から戻ってくる間に下がってしまう。また、発酵熱源を使用していくと、新たに発生する発酵熱量が温水加熱に利用される熱量よりも少なくなり、発酵熱の温度も下がってしまう。このため、温度が下がった温水の加熱を繰り返し続けると、温水を目的の温度まで加熱できなくなるという問題点が一例として挙げられる。
本発明の目的は、低コスト化を図りつつ長期間にわたって流体を目的の温度まで加熱可能な流体循環システム、および、温度調節システムを提供することである。
本発明の流体循環システムは、流体を利用する温度調節装置との間で流体を循環する流体循環システムであって、発酵熱源を収容する発酵室と、前記流体を加熱する流体加熱部と、この流体加熱部で加熱された流体を前記温度調節装置と前記流体加熱部との間で循環させる流体循環部と、前記流体加熱部を制御して流体を略一定の温度に加熱させる加熱制御部と、前記流体循環部を循環する流体の熱を利用して、前記発酵熱源をその外側およびその内側のうちいずれか一方から加熱する第1の発酵熱源加熱部と、地熱を利用して、前記発酵熱源をその外側およびその内側のうちいずれか他方から加熱する第2の発酵熱源加熱部と、を備えていることを特徴とする。
ここで、温度調節装置とは、加熱された流体を利用して、暖房と冷房のうち少なくとも一方を行う装置のことである。
また、循環させる流体としては、水などの液体、空気などの気体が例示できる。
また、発酵熱源としては、メタンガスなどのガスが発生するものであっても良いが、安全性の確保を容易にするために、ガスが発生しないものが好ましい。ガスが発生しない発酵熱源としては、竹材、葦、藁を発酵させたものが例示できる。さらに、発酵熱源は、液体であっても良いし、固体であっても良い。発酵熱源としては、発酵室に1個だけ収容可能な大きさの大型熱源から構成されていても良いし、複数個収容可能な大きさの小型熱源から構成されていても良い。そして、発酵熱源の外側から加熱するとは、外周面表面あるいは当該表面から若干発酵熱源の内部に入った位置から加熱すること、外周面表面から外側に若干離れた位置から加熱することを意味する。
この発明によれば、冬の場合、気温よりも高い温度である10℃〜15℃に維持された地熱と、流体加熱部で加熱された流体(以下、加熱流体と適宜いう)とにより、発酵熱源を長期にわたって加熱できる。したがって、発酵熱の温度上昇にしたがって流体加熱部の出力を下げることで流体を略一定の温度に加熱できるため、流体加熱部の駆動源である電気やガスの使用量を最小限に抑えることができ、低コスト化を図れる。さらに、地熱と加熱流体とにより、発酵熱源を外側と内側から加熱するため、発酵熱源全体が所定温度に加熱されるまでの時間を短縮でき、流体加熱部の駆動源の使用量を早いタイミングで減らすことができる。また、発酵熱源を発酵室に収容してから流体加熱部を駆動させるまでの時間が長くなっても、この間に地熱で発酵熱源を加熱することができ、流体加熱部の駆動開始から発酵熱源が目的温度まで加熱されるまでの時間を短縮できる。
また、本発明の流体循環システムでは、前記第1の発酵熱源加熱部は、前記発酵熱源をその外側から加熱し、前記第2の発酵熱源加熱部は、前記発酵熱源をその内側から加熱することが好ましい。
この発明によれば、発酵熱源の保温効果を高めることができ、長期間にわたって発酵熱を発生させることができる。
さらに、本発明の流体循環システムでは、前記第2の発酵熱源加熱部は、一端が前記発酵熱源の内側に位置するとともに他端が地中に埋没された略筒状に形成されており、前記第2の発酵熱源加熱部の内部に設けられ、前記流体循環部を循環する流体の熱を使用して前記発酵熱源をその内側から加熱する第3の発酵熱源加熱部を備えていることが好ましい。
この発明によれば、第3の発酵熱源加熱部により、流体循環部で送られる流体の熱を利用して発酵熱源を内側から加熱するので、発酵熱源の加熱効率を上げることができる。
また、本発明の流体循環システムでは、前記第3の発酵熱源加熱部は、前記流体を下方に送った後に上方に戻すことが可能な形状に形成され、前記流体加熱部で加熱されていない流体を冷却する流体冷却部としても機能することが好ましい。
ここで、気温が高い夏季においては、大気よりも地中の温度が低く、さらに、深さが深いほど温度が低くなる。
このため、第3の発酵熱源加熱部を流体冷却部として機能させて、流体を下方に送ることで流体を冷却することができ、温度が低い流体を用いて温度調節する温度調節装置にも、本発明の流体循環システムを利用でき、汎用性を向上できる。
そして、本発明の流体循環システムでは、前記第2の発酵熱源加熱部の一端には、前記発酵熱源の当該第2の発酵熱源加熱部内への侵入を防止する発酵熱源侵入防止部が設けられていることが好ましい。
この発明によれば、発酵熱源が第2の発酵熱源加熱部内へ侵入することを防止するので、第2の発酵熱源加熱部の開口部よりも小さい発酵熱源も利用でき、汎用性を向上できる。
また、本発明の流体循環システムでは、前記第1の発酵熱源加熱部は、螺旋状に設けられていることが好ましい。
この発明によれば、第1の発酵熱源加熱部を螺旋状に設けることにより、単位時間あたりの発酵熱源の周囲に流れる流体の量を増やすことができ、発酵熱源の加熱効率を向上できる。
本発明の温度調節システムは、流体を利用する温度調節装置と、この温度調節装置との間で流体を循環する上述の流体循環システムと、を備えていることを特徴とする。
この発明によれば、上述の流体循環システムと同様の作用効果を奏する温度調節システムを提供できる。
本発明の一実施形態に係る温度調節システムの概略構成を示す模式図である。 前記一実施形態に係る流体循環システムの概略構成を模式的に示す断面図である。
[温度調節システムの構成]
まず、本発明の一実施形態に係る温度調節システムの構成について説明する。
図1は、温度調節システムの概略構成を示す模式図である。図2は、流体循環システムの概略構成を模式的に示す断面図である。
図1において、温度調節システム1は、発酵熱で加熱された流体としての水や空気を利用して室内空間Aの暖房を行ったり、冷却された水や空気を利用して冷房を行う。そして、温度調節システム1は、水や空気を利用して冷暖房を行う温度調節装置2と、この温度調節装置2との間で水や空気を循環する流体循環システム3と、この流体循環システム3をコントロールする加熱制御部としてのコントローラ9と、を備えている。
温度調節装置2は、空気を利用するヒートポンプ21と、水を利用するファンコンベクタ22と、を備えている。
ヒートポンプ21は、流体循環システム3で加熱された空気(暖気)あるいは冷却された空気(冷気)の圧力を調整することで冷暖房を行い、冷暖房に利用した空気を流体循環システム3に戻す。
ファンコンベクタ22は、流体循環システム3で加熱された水(温水)あるいは冷却された水(冷水)を利用して、温風あるいは冷風を生成することで冷暖房を行う。そして、冷暖房に利用した水を流体循環システム3に戻す。
なお、ヒートポンプ21、ファンコンベクタ22としては、少なくとも暖房機能を備えていれば、冷房機能を備えていなくても良い。
流体循環システム3は、図1および図2に示すように、発酵熱源Hを収容する発酵室30と、地熱で発酵熱源Hを中心から加熱する第2の発酵熱源加熱部としての杭35と、水を加熱する液体加熱室40と、発酵室30内とファンコンベクタ22との間で水を循環させる流体循環部としての液体循環配管45と、発酵室30内とヒートポンプ21との間で空気を循環させる気体循環配管70と、を備えている。
発酵室30は、開口面が地面Sと略同一面となるように地中に埋められた四角箱状の本体部31と、この本体部31の開口面を塞ぐ蓋部32と、を備えている。
本体部31は、コンクリート、樹脂などで、例えば幅(図2の左右方向)と奥行き(図2の紙面垂直方向)がそれぞれ3m(メートル)、深さ(図2の上下方向)が2.5mの大きさに形成されている。
そして、発酵室30は、発酵熱源Hを密閉空間に収容することで、発酵熱源Hの発酵を促す。なお、発酵熱源Hとしては、メタンガスを発生しない竹材、葦、藁を発酵させたものが例示できる。また、発酵熱源Hは、棒状やブロック状あるいは粒状であるが、各構成要素の理解を容易にするために、図2では、その形状を詳細に図示していない。
杭35は、円筒状あるいは角筒状に形成されており、上端が発酵室30内の発酵熱源Hの中心(完全な中心、または、この中心から若干ずれた位置を意味する)に位置し、発酵室30の下面を貫通して下方に突出するように設けられている。また、杭35の下端は、地下約6.0m〜約8.0mのところに位置している。この杭35は、気温が地熱よりも低い例えば冬季の場合、下端の開口面から流入する地熱を上端の開口面から流出させ、この地熱で発酵熱源Hを中心から加熱する。また、杭35の上端面は、発酵熱源Hの杭35内への落下を防止するとともに、杭35内の地熱を発酵熱源Hに伝達可能な発酵熱源侵入防止部としての網36で覆われている。
液体加熱室40は、伝熱性を有する材料により、上面、下面が閉塞された筒状に形成されている。この液体加熱室40の内部には、コントローラ9の制御により水を加熱する流体加熱部としての液体ヒータ41と、水の温度を検出する温度センサ42と、が設置されている。また、液体加熱室40の下側の側面には、液体循環配管45の液体戻し配管60が温水を流入可能に接続され、上側の側面には、液体循環配管45の液体送り配管50が温水を流出可能に接続されている。液体ヒータ41は、電力により駆動する。そして、液体加熱室40は、温水の温度を発酵熱源Hに伝達して、発酵熱源Hを中心から加熱する。
液体循環配管45は、液体加熱室40で加熱された水をファンコンベクタ22へ送る流体送り部としての液体送り配管50と、ファンコンベクタ22で利用された水を液体加熱室40に戻す流体戻し部としての液体戻し配管60と、ファンコンベクタ22で利用された水を液体加熱室40を介さずに液体送り配管50に送るバイパス管67と、を備えている。
液体送り配管50は、例えば架橋ポリエステルのホースであり、伝熱性を有している。この液体送り配管50は、発酵室30とポンプ室33とを貫通するように設けられている。この液体送り配管50には、ポンプ室33に配置された液体ポンプ51が設けられている。この液体ポンプ51は、温水を循環させるための圧力を温水に与える。さらに、液体送り配管50の上流側には、温水の流量を調節する送り側バルブ52が設けられている。
液体戻し配管60は、例えば伝熱性を有する架橋ポリエステルのホースであり、ファンコンベクタ22に接続された上流側液体戻し部61と、この上流側液体戻し部61に連続する第1の発酵熱源加熱部としての液体螺旋加熱部62と、この液体螺旋加熱部62に連続する第3の発酵熱源加熱部としての液体U字部63と、この液体U字部63に連続し液体加熱室40に接続された下流側液体戻し部64と、から構成されている。なお、液体戻し配管60は、複数のホースをつなげたものであっても良い。
上流側液体戻し部61は、発酵室30と、この発酵室30に隣接するポンプ室33とを貫通するように設けられており、ファンコンベクタ22からの温水を液体螺旋加熱部62に送る。
液体螺旋加熱部62は、発酵室30の下端から上方に向けて、かつ、発酵室30の内周面に沿って、螺旋状に設けられている。この液体螺旋加熱部62は、温水の熱を一部放出して発酵熱源Hを外部から加熱するとともに、温水を液体U字部63へ送る。また、温水を流すことにより、発酵熱源Hを保温する機能も有している。また、液体螺旋加熱部62内の温水は、発酵熱源Hの発酵熱でも加熱される。ここで、発酵熱源Hの加熱効果や保温効果を高めるために、液体螺旋加熱部62の螺旋の間隔は、小さい方が好ましい。
なお、理解を容易にするために、液体螺旋加熱部62の螺旋の間隔を大きく図示しているが、実際には、100m以上の長さを有している。
液体U字部63は、杭35内において略U字状に設けられている。具体的には、液体U字部63は、上端が地下約2.5m〜約3.0mのところに位置し、下端が杭35の下端と略等しい位置(地下約6.0m〜8.0mのところ)に位置している。この液体U字部63は、冬季の場合、温水の熱を一部放出して、この熱を杭35の上端面から流出させることで発酵熱源Hを中心から加熱する。また、液体U字部63は、夏季の場合、液体加熱室40で加熱されていない水を下方に送ることで冷却し、この冷水を上方に戻して液体螺旋加熱部62に送る流体冷却部としても機能する。
下流側液体戻し部64の下流側には、温水の流量を調節する戻し側バルブ65が設けられている。
バイパス管67は、例えば伝熱性を有する架橋ポリエステルのホースであり、下流端が液体送り配管50における液体ポンプ51と送り側バルブ52との間に接続され、上流端が下流側液体戻し部64における戻し側バルブ65の上流側に接続されている。このバイパス管67の下流側には、温水の流量を調節するバイパスバルブ68が設けられている。
気体循環配管70は、液体送り配管50と同様に、伝熱性を有する架橋ポリエステルのホースである。この気体循環配管70は、流体循環システム3で循環された空気をヒートポンプ21へ送る気体送り部75と、ヒートポンプ21で利用された空気を流体循環システム3に戻す気体戻し部80と、から構成されている。なお、気体循環配管70は、複数のホースをつなげて構成しても良い。
気体送り部75は、液体加熱室40と略等しい高さ位置から下方に延びる上流側気体送り部76と、この上流側気体送り部76に連続する気体U字部77と、この気体U字部77に連続する気体螺旋加熱部78と、この気体螺旋加熱部78に連続しヒートポンプ21に接続された下流側気体送り部79と、から構成されている。
気体U字部77は、杭35内において略U字状に設けられている。この気体U字部77は、液体U字部63と近接し、かつ、略平行に設けられている。そして、気体U字部77内を流れる空気は、冬季の場合、液体U字部63の放熱で加熱される。また、気体U字部77は、夏季の場合、空気を下方に送ることで冷却し、この冷気を上方に戻して気体螺旋加熱部78に送る流体冷却部としても機能する。
気体螺旋加熱部78は、液体螺旋加熱部62と平行に、かつ、螺旋状に設けられている。この気体螺旋加熱部78内を流れる空気は、冬季の場合、液体螺旋加熱部62の放熱あるいは発酵熱源Hの発酵熱で加熱され、暖気が下流側気体送り部79に送られる。なお、気体螺旋加熱部78は、液体螺旋加熱部62と同様に、実際には、100m以上の長さを有している。また、気体螺旋加熱部78の配置としては、液体螺旋加熱部62の内側であっても良いし、外側であっても良い。また、空気を効率的に加熱するために、気体螺旋加熱部78と液体螺旋加熱部62とは、接触していることが好ましい。
下流側気体送り部79は、発酵室30とポンプ室33とを貫通するように設けられており、空気をヒートポンプ21に送る。
気体戻し部80は、発酵室30とポンプ室33とを貫通するように設けられている。この気体戻し部80には、ポンプ室33に配置された気体ポンプ81が設けられている。
コントローラ9は、例えば、室内空間A内に設けられている。なお、コントローラ9の詳細な動作については、後述する。
[温度調節システムの動作]
次に、温度調節システム1の動作について説明する。
なお、以下で示す具体的な温度は、一例にすぎず、環境などに応じて異なる温度とすることができる。
〔暖房を行う場合の動作〕
まず、気温が地熱(10℃〜15℃)以下となる日(例えば、冬季)において、温度調節システム1で暖房を行う場合の動作について説明する。
利用者は、まず、田畑に放置してあった竹材、葦、藁などを混ぜ合わせ、これを発酵熱源Hとして発酵室30の本体部31に収容して蓋部32をセットする。そして、利用者は、コントローラ9を操作して流体循環システム3を暖房モードに設定するとともに、温度調節装置2を駆動させる。
ここで、発酵熱源Hの温度は、発酵室30に収容された時点では、気温とほぼ等しくなる。このため、流体循環システム3が動作していない状態でも、発酵熱源Hの中心は、杭35を介して伝達される地熱(10℃〜15℃)で加熱される。
コントローラ9は、暖房モードに設定されると、液体加熱室40と、液体送り配管50と、液体戻し配管60と、ファンコンベクタ22との間で水を循環させるために、送り側バルブ52と戻し側バルブ65を開状態にするとともに、バイパスバルブ68を閉状態にする。さらに、液体ヒータ41の出力を加熱開始値に設定して、水を目的温度(例えば80℃)まで加熱するのに必要な熱を発生させ、液体加熱室40内の水を加熱する。この後、液体ポンプ51を駆動させて温水の循環を開始するとともに、気体ポンプ81を駆動させて空気の循環を開始する。
ここで、流体循環システム3から80℃まで加熱された温水は、ファンコンベクタ22に到達する時点では、放熱により温度が下がる。また、ファンコンベクタ22から発酵室30に戻ってきた時点では、さらなる放熱により温度がさらに下がる。
まず、温水は、液体送り配管50を通ってファンコンベクタ22に供給され、ファンコンベクタ22で暖房に利用された後、液体戻し配管60に戻される。また、空気は、運転開始直後では、加熱されていない状態でヒートポンプ21に供給され、ヒートポンプ21で暖房に利用された後、発酵室30に戻されるが、運転開始からしばらくすると、温水と発酵熱により加熱されて、暖気としてヒートポンプ21に供給される。
そして、ファンコンベクタ22で利用された温水は、液体螺旋加熱部62を通りながら発酵熱源Hの外周面に沿って螺旋状に下降して、発酵熱源Hを外部から加熱するとともに、液体螺旋加熱部62と近接する気体螺旋加熱部78を流れる空気を加熱する。さらに、温水が液体U字部63に到達すると、液体U字部63から温水の熱が一部放出される。この熱により、気体U字部77を通る気体が加熱される。さらに、液体U字部63からの放熱は、杭35を介して発酵熱源Hの中心に伝達され、発酵熱源Hを加熱する。つまり、発酵熱源Hの中心は、温水が流れていない時点では、地熱で加熱され、温水が流れ始めると、地熱よりも温度が高い温水で加熱される。そして、温水は、下流側液体戻し部64を通って、液体加熱室40に戻される。
この後、温水と暖気は、上述のように、流体循環システム3と温度調節装置2との間で循環する。
ここで、温水と暖気の循環を開始してからしばらくの間、発酵熱源Hは、液体螺旋加熱部62と気体螺旋加熱部78とにより横側(外側)から加熱され、液体加熱室40により上方から加熱され、地熱により中心から徐々に加熱されるが、発酵はあまり進まないため発酵熱が発生しない。したがって、この時点では、ファンコンベクタ22で利用された温水は、発酵熱で加熱されずに液体加熱室40に戻ってくるので、コントローラ9は、液体ヒータ41の出力を加熱開始値に維持して、温水を加熱する。この後、発酵熱源Hの発酵が進み発酵熱が発生すると、温水は、液体加熱室40に戻ってくる前に発酵熱で加熱される。このため、加熱開始値よりも出力を下げても温水を目的温度まで加熱することができるようになるので、コントローラ9は、温水の温度が目的温度でほぼ一定になるように、液体ヒータ41の出力を下げる。
この後、コントローラ9は、発酵熱の温度が高くなるにしたがい液体ヒータ41の出力を下げる。このような制御により、発酵熱の温度が発酵熱最高温度(発酵熱源Hが発生させることができる最高の温度。例えば、70℃)で安定すると、液体ヒータ41の出力も一定になる。
また、温度調節装置2で利用された温水と暖気は、発酵室30に戻ってくるまでの間に温度が下がってしまうが、液体ヒータ41の発熱と発酵熱とにより目的温度まで加熱されて、温度調節装置2に供給される。
〔冷房を行う場合の動作〕
次に、気温が地熱以上となる日(例えば、夏季)において、温度調節システム1で冷房を行う場合の動作について説明する。
利用者は、発酵熱源Hが発酵室30に収容されていない状態で、コントローラ9を操作して流体循環システム3を冷房モードに設定するとともに、温度調節装置2を駆動させる。
コントローラ9は、冷房モードに設定されると、液体加熱室40を経由せずに、バイパス管67と、液体送り配管50と、液体戻し配管60と、ファンコンベクタ22との間で水を循環させるために、送り側バルブ52と戻し側バルブ65を閉状態にするとともに、バイパスバルブ68を開状態にする。この後、液体ポンプ51を駆動させて、加熱されていない水の循環を開始するとともに、気体ポンプ81を駆動させて空気の循環を開始する。
そして、水および空気は、ファンコンベクタ22、ヒートポンプ21に供給され、ファンコンベクタ22とヒートポンプ21で冷房に利用された後、液体U字部63と気体U字部77により杭35の下端まで送られて冷やされる。そして、この冷水および冷気は、上述のように、流体循環システム3と温度調節装置2との間で循環して、ファンコンベクタ22とヒートポンプ21で利用される。
[温度調節システムの効果]
上述したような温度調節システム1では、以下のような作用効果を期待できる。
すなわち、地熱により発酵熱源Hを内部から加熱するとともに、液体加熱室40で加熱された温水と、この温水の放熱で加熱された暖気とにより発酵熱源Hを外部から加熱することで、長期にわたって、発酵熱源Hから発酵熱を発生させている。このため、液体ヒータ41の出力を下げても、液体ヒータ41による加熱と発酵熱源Hの発酵熱とにより水を目的温度まで加熱でき、液体ヒータ41に使用する電気の量を最小限に抑えることができ、低コスト化を図れる。また、発酵熱源Hを外側と内側から加熱するため、発酵熱源H全体が所定温度に加熱されるまでの時間を短縮でき、液体ヒータ41の出力を早いタイミングで減らすことができる。また、液体ヒータ41を駆動させなくても、予め地熱で発酵熱源Hを加熱することができるため、発酵熱源Hを目的温度まで加熱するまでの時間を短縮できる。
特に、ヒートポンプ21やファンコンベクタ22に温水や暖気を供給することで、ヒートポンプ21やファンコンベクタ22において暖房を行う際の負荷を減らすことができ、電気の使用量を減らすことができる。
そして、液体螺旋加熱部62と気体螺旋加熱部78を発酵熱源Hの外側を覆うように設けているため、発酵熱源Hの保温効果を高めることができ、長期間にわたって発酵熱を発生させることができる。
また、杭35の内部に、液体U字部63と気体U字部77とを設けているため、これらからの放熱を杭35を介して発酵熱源Hの中心に導くことができ、発酵熱源Hの加熱効率を上げることができる。
さらに、液体U字部63と気体U字部77により水や空気を一度下方まで流して、水や空気を冷やすことができる。したがって、これらを用いて、効率的に冷房できる。
また、杭35に網36を設けているので、杭35の開口部よりも小さい発酵熱源Hを利用でき、流体循環システム3の汎用性を向上できる。
そして、螺旋状の液体螺旋加熱部62と気体螺旋加熱部78により、単位時間あたりの発酵熱源Hの周囲に流れる温水と暖気の量を増やすことができ、発酵熱源Hの加熱効率を向上できる。
また、液体加熱室40の放熱でも発酵熱源Hを上面側から加熱するので、発酵熱源Hの加熱効率を向上できる。
[変形例]
なお、本発明は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成を含み、以下に示すような変形例なども本発明に含まれる。
すなわち、温水と暖気とで発酵熱源Hを加熱する場合を例示したが、温水または暖気のみで加熱しても良い。ただし、暖気のみで加熱する場合には、空気を加熱するヒータを設ける必要がある。また、温水や暖気で発酵熱源Hを内側から加熱するとともに、地熱で発酵熱源Hを外側から加熱しても良い。さらに、液体加熱室40の放熱で発酵熱源Hを加熱しなくても良い。
また、液体U字部63を設けずに、液体螺旋加熱部62と下流側液体戻し部64とを直接連結しても良い。
さらに、液体循環配管45における杭35内部を通過する部分をU字状(液体U字部63)にしたが、水平(図2の左右)に延びる形状にしても良い。このような構成にしても、当該水平部分からの放熱で発酵熱源Hを中心から加熱できる。
また、同様に、気体U字部77を設けなくても良いし、気体循環配管70における杭35内部を通過する部分を水平に延びる形状としても良い。
さらに、発酵熱源Hとして、杭35の開口部よりも大きいもの、あるいは、杭35の開口部よりも小さい発酵熱源Hを固めたもの、のみを用いる場合、網36を設けなくてもよい。
そして、液体循環配管45における発酵熱源Hの外側を通過する部分を螺旋状(液体螺旋加熱部62)にしたが、垂直(図2の上下)に延びる形状にしても良い。
また、杭35を円筒状や角筒状でなく、地熱を伝達可能な材料により円柱状や角柱状に形成してもよい。
そして、温度調節装置2で利用された温水や暖気で発酵熱源Hを加熱したが、液体加熱室40での加熱後で温度調節装置2で利用される前の温水や暖気で加熱しても良い。
本発明は、流体を利用する温度調節装置との間で流体を循環する流体循環システム、および、温度調節システムとして利用できる。
1…温度調節システム
2…温度調節装置
3…流体循環システム
9…加熱制御部としてのコントローラ
30…発酵室
35…第2の発酵熱源加熱部としての杭
36…発酵熱源侵入防止部としての網
41…流体加熱部としての液体ヒータ
45…流体循環部としての液体循環配管
62…第1の発酵熱源加熱部としての液体螺旋加熱部
63…流体冷却部としても機能する第3の発酵熱源加熱部としての液体U字部

Claims (7)

  1. 流体を利用する温度調節装置との間で流体を循環する流体循環システムであって、
    発酵熱源を収容する発酵室と、
    前記流体を加熱する流体加熱部と、
    この流体加熱部で加熱された流体を前記温度調節装置と前記流体加熱部との間で循環させる流体循環部と、
    前記流体加熱部を制御して流体を略一定の温度に加熱させる加熱制御部と、
    前記流体循環部を循環する流体の熱を利用して、前記発酵熱源をその外側およびその内側のうちいずれか一方から加熱する第1の発酵熱源加熱部と、
    地熱を利用して、前記発酵熱源をその外側およびその内側のうちいずれか他方から加熱する第2の発酵熱源加熱部と、
    を備えていることを特徴とする流体循環システム。
  2. 請求項1に記載の流体循環システムにおいて、
    前記第1の発酵熱源加熱部は、前記発酵熱源をその外側から加熱し、
    前記第2の発酵熱源加熱部は、前記発酵熱源をその内側から加熱する
    ことを特徴とする流体循環システム。
  3. 請求項2に記載の流体循環システムにおいて、
    前記第2の発酵熱源加熱部は、一端が前記発酵熱源の内側に位置するとともに他端が地中に埋没された略筒状に形成されており、
    前記第2の発酵熱源加熱部の内部に設けられ、前記流体循環部を循環する流体の熱を使用して前記発酵熱源をその内側から加熱する第3の発酵熱源加熱部を備えている
    ことを特徴とする流体循環システム。
  4. 請求項3に記載の流体循環システムにおいて、
    前記第3の発酵熱源加熱部は、前記流体を下方に送った後に上方に戻すことが可能な形状に形成され、前記流体加熱部で加熱されていない流体を冷却する流体冷却部としても機能する
    ことを特徴とする流体循環システム。
  5. 請求項3または請求項4に記載の流体循環システムにおいて、
    前記第2の発酵熱源加熱部の一端には、前記発酵熱源の当該第2の発酵熱源加熱部内への侵入を防止する発酵熱源侵入防止部が設けられている
    ことを特徴とする流体循環システム。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の流体循環システムにおいて、
    前記第1の発酵熱源加熱部は、螺旋状に設けられている
    ことを特徴とする流体循環システム。
  7. 流体を利用する温度調節装置と、
    この温度調節装置との間で流体を循環する請求項1から請求項6のいずれかに記載の流体循環システムと、
    を備えていることを特徴とする温度調節システム。
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