JP5147190B2 - アルカリ蓄電池、それに用いる正極の製造方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池、それに用いる正極の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5147190B2
JP5147190B2 JP2006085124A JP2006085124A JP5147190B2 JP 5147190 B2 JP5147190 B2 JP 5147190B2 JP 2006085124 A JP2006085124 A JP 2006085124A JP 2006085124 A JP2006085124 A JP 2006085124A JP 5147190 B2 JP5147190 B2 JP 5147190B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nickel
positive electrode
amount
steel sheet
storage battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006085124A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007265631A (ja
Inventor
康洋 工藤
誠 越智
育幸 原田
正夫 武江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP2006085124A priority Critical patent/JP5147190B2/ja
Publication of JP2007265631A publication Critical patent/JP2007265631A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5147190B2 publication Critical patent/JP5147190B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Description

本発明はアルカリ蓄電池とそれに用いる正極の製造方法に関し、更に詳しくは、低温充電時でも充電カットを容易に制御することができ、過充電の恐れがなく、安全性の高いアルカリ蓄電池と、それに用いる焼結式正極の製造方法に関する。
近年、二次電池の用途が拡大し、たとえば携帯電話、パーソナルコンピュータ、電動工具、電動自転車、ハイブリッド自動車、電気自動車など広範囲に亘って二次電池が使用されている。
これら用途のうち、とくにハイブリッド自動車や電気自動車のような車両関係の用途においては、現に各種のアルカリ蓄電池が使用されているが、それらは高出力であることが要求される。また、車両関係の用途においては、高出力であることと並んで耐久性に優れることが要求されているが、この耐久性に関しては、焼結式正極が組み込まれている蓄電池の方が、非焼結式正極を組み込んだ蓄電池よりも有利である。
ところで、アルカリ蓄電池に組み込まれる焼結式正極は、通常、次のようにして製造されている。まず、ニッケル粉末と例えばカルボキシメチルセルロースのような増粘剤と水とを所定の割合で混練して粘稠なスラリーを調製する。
ついで、このスラリーを導電性芯体の表面に塗着する。導電性芯体としては、通常、鋼板に所定厚みのニッケルめっきが施されたニッケルめっき鋼板が使用される。また、スラリーの各成分の混合割合やスラリーの塗着量は、最終的に正極に充填されるべき活物質の量との関係で適宜決められる。
ついで、スラリーが塗着されているニッケルめっき鋼板を、例えば水素のような還元性雰囲気中において所定温度で加熱して、塗着されているスラリーの焼結処理が施される。
この焼結処理時にスラリー中の増粘剤や水は揮散し、ニッケル粉末が相互に焼結することによって、スラリーは所定厚みの多孔質ニッケル焼結体に転化し、この多孔質ニッケル焼結体でニッケルめっき鋼板の表面が被覆されている多孔質ニッケル焼結基板が製造される。このときの焼結温度は当然ながらニッケルの融点より低い温度であり、通常800〜1100℃の温度が採用されている。
ついで、多孔質ニッケル焼結基板の多孔質ニッケル焼結体の細孔内に水酸化ニッケルを主体とする活物質が充填される。具体的には、この焼結基板を例えば所定温度の硝酸ニッケル水溶液に浸漬して、細孔内に硝酸ニッケルを保持させ、ついで焼結基板を例えば所定温度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して細孔内の硝酸ニッケルを水酸化ニッケルに転換させる。この操作を必要回数反復することにより、焼結基板の表面に目標量の水酸化ニッケル(活物質)を充填して正極にする。
このようにして製造された正極を用いてアルカリ蓄電池が組み立てられる。
まず、正極と例えば水素吸蔵合金電極から成る負極とを、例えばポリプロピレン製の不織布から成るセパレータを介して重ね合わせて全体を渦巻き状に巻回して電極群を製造する。
ついで、この電極群の正極と負極のそれぞれに正極集電体と負極集電体を取り付けたのち、この電極群を負極端子も兼ねる有底の外装缶の中に収納し、更に例えば水酸化カリウム水溶液のようなアルカリ電解液を所定量注液する。そして外装缶の開口部に封口体を配置したのち、例えば加締加工を行なって開口部を密閉することによりアルカリ蓄電池が組立られる。
ところで、車両関係用途のアルカリ蓄電池の場合、正極と負極の対向面積をできるだけ大きくして高出力を引き出すということが行われている。そのため、焼結式正極にあっては、前記した渦巻き状の電極群における正極の巻回量を増大させるために、当該正極の長さを長くし、また厚みを薄くする傾向にある。
しかしながら、その後の研究において、正極の厚みが薄くなると、低温充電時に電圧が上昇せず、そのため充電カットを制御することが困難であるという問題の生ずることが判明した。このような現象は、過充電を招く原因にもなり、安全性を重視する車両関係の用途にとっては解決しなければならない問題である。
本発明者らは、上記した問題を解決するために後述する実験を重ねた結果、低温充電時のピーク電圧と正極活物質中のFeの量が高い相関を有しているという事実を把握するに至った。すなわち、正極活物質中のFeが増量すると低温充電特性(ΔV)が低下するという知見を得た。
そして、本発明者らは、この正極活物質中のFeは、正極の製造時における焼結処理の過程で導電性芯体であるニッケルめっき鋼板から表面のニッケルめっき層を通過してニッケル焼結体に熱拡散し、そこに存在する正極活物質中に析出しているとの推論を立てた。
そして、これらの知見と推論に基づき、本発明者らは、ニッケルめっき鋼板のFe成分を活物質中に移動させないための条件につき検討した結果、本発明の正極の製造方法を開発し、それが組み込まれているアルカリ蓄電池を開発するに至った。
すなわち、本発明は、低温充電時でも充電カットを容易に制御することができ、過充電の恐れがなく、安全性の高いアルカリ蓄電池と、それに組み込む焼結式正極の製造方法の提供を目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明においては、ニッケルめっき鋼板を導電性芯体とする多孔質ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする活物質が充填されている正
極と、負極と、セパレータと、アルカリ電解液とを外装缶の中に具備するアルカリ蓄電池において、前記正極に充填されている前記活物質の量が850g/m2以下であり、かつ、前記ニッケルめっき鋼板におけるめっき厚が4.0μm以上であり、前記ニッケルめっき鋼板におけるリンの量が110ppm以下であり、かつマンガンの量が800ppm以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池が提供される。

た本発明においては、ニッケル粉末と増粘剤と水とを混練してスラリーを調製し、前記スラリーをニッケルめっき鋼板に塗着し、ついで還元性雰囲気中で焼結処理を施して多孔質ニッケル焼結基板を製造したのち、前記多孔質ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする活物質を充填する正極の製造方法において、前記焼結処理時における温度を、前記多孔質ニッケル焼結基板の表面温度が1051℃以下となるように調整しており、前記正極に充填されている前記活物質の量が850g/m 2 以下であり、かつ、前記ニッケルめっき鋼板におけるめっき厚が4.0μm以上であり、前記ニッケルめっき鋼板におけるリンの量が110ppm以下であり、かつマンガンの量が800ppm以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池用正極の製造方法が提供される。

本発明のアルカリ蓄電池に組み込まれる焼結式正極では、芯体であるニッケルめっき鋼板のめっき厚が4.0μm以上になっているので、また焼結処理時における基板の焼結温度を基板の表面温度が1051℃以下となるように制御しているので、得られた焼結基板に正極活物質を充填する際に、正極へのFeの混入が抑制される。そのため、この正極が組み込まれているアルカリ蓄電池では、低温充電特性が向上し、充電カットの制御が容易になり、過充電の恐れが解消する。
また、正極における活物質の充填量を850g/m2以下に設定したので、アルカリ蓄電池には高率放電特性が確保されている。
更に、ニッケルめっき鋼板のP量とMn量をそれぞれ110ppm以下、800ppm以下と規制することにより、正極へのFeの混入を抑制し、もって低温充電特性の向上が可能となる。
本発明のアルカリ蓄電池には、正極とセパレータと負極とから成る電極群がアルカリ電解液とともに、外装缶の中に密封された構造であることは、前記した従来のアルカリ蓄電池の場合と変わることはないが、組み込まれている焼結式正極が後述する構成をとるところに最大の特徴がある。
用いる正極において、まず、表面の多孔質ニッケル焼結体に充填される活物質の量が正極の単位面積(m2)当たり850g以下に規定されている。
活物質の量が850g/m2より多い場合は、組み立てた蓄電池の高率放電特性が劣化して、高出力が要求されている車両関係の動力源としては性能不足になるからである。
また、正極の導電性芯体としてはニッケルめっき鋼板が使用されるが、その場合のニッケルめっきの厚みは4.0μm以上に設定される。
ニッケルのめっき厚が4.0μmよりも薄い場合は、正極の製造時における焼結処理の過程で、コアである鋼板からのFeの熱拡散を有効に阻止するバリアとしての機能が低下し、その結果、活物質中へのFeの析出が増量して組み立てた蓄電池の低温充電特性が劣化する。
しかし、ニッケルめっきの厚みが厚くなりすぎると、正極の薄長化に逆行するだけではなく、めっき層の蓄積歪みが大きくなって鋼板との間での剥離やめっき層のクラック発生などの不都合が起こりやすくなるので、めっき厚は最大でも20μmに規制することが好ましい。
また、芯体であるニッケルめっき鋼板としては、鋼板におけるP量とMn量がそれぞれ110ppm以下、800ppm以下であるものを用いる必要がある

P量とMn量が上記した値より多いニッケルめっき鋼板を用いると、正極活物質中のFe量が増量して低温充電特性の劣化を招くからである。
この現象は、鋼板のP量とMn量が多い場合には、正極の製造時における焼結過程でニッケルめっき層に粒界割れが発生してその粒界割れから鋼板が部分的に露出し、活物質の充填過程で用いるニッケル塩溶液やアルカリ水溶液にFeが溶解し、更に、活物質中に析出するからであると考えられる。
このような正極は、次のようにして製造される。
まず、上記したニッケルめっき鋼板の表面に、常法に従ってニッケル粉末と増粘剤と水を混錬して成るスラリーを塗着する。
このときのそれぞれの成分の混練割合やスラリーの塗着量は、活物質の目標充填量との関係で適宜調整されることは従来の場合と同様である。
ついで、還元性雰囲気中でスラリーに焼結処理を施す。この焼結処理を下記のように行うことが、本発明の製造方法における特徴である。
すなわち、スラリーが塗着されているニッケルめっき鋼板を、例えばN2雰囲気炉に挿入して加熱する。そのとき、鋼板の表面温度が1051℃以下となるように、ニッケルめっき鋼板の加熱温度が調整される。
表面温度が1051℃よりも高くなると、最終的に得られた正極における法物質中のFe量が増加して蓄電池の低温充電特性は劣化する。しかし、焼結時の温度が低すぎると、スラリーのニッケル粉末の焼結が充分に進まないので、焼結温度としては、表面温度が最低でも800℃を示すような温度に設定されている。
焼結時間は、格別限定されるものではないが、通常5〜8分間程度であればよい。
このようにして製造された多孔質ニッケル焼結基板に対して、その細孔に常法に従って活物質の所定量が充填されて、目的とする正極が得られる。
そしてその正極とセパレータから電極群を製造し、それをアルカリ電解液とともに外装缶の中に密封することにより、本発明のアルカリ蓄電池が得られる。
1.正極の製造
公称容量6.0Ahのニッケル水素蓄電池に組込むべき正極を次のようにして製造した。
まず、幅は同じであるが、厚みと長さが異なる値に制御されている複数の鋼板(SPCC−1B)を用意した。そして、各鋼板の両面にニッケルめっきを施こし、表1で示した厚み(片面の厚みを表示)のニッケルめっき層が形成されているニッケルめっき鋼板を製造した。
このニッケルめっき鋼板から、後述するように、多孔質ニッケル焼結鋼板が製造され、その表面には容量6.0Ahに相当する一定量の活物質が充填されるわけであるが、その場合、全ての正極でその容量は同じであるが、用いたニッケルめっき鋼板の厚みと表面寸法が異なっているので、各正極における単位面積当りの活物質の充填量(g/m)はそれぞれ異なってくる。
一方、ニッケル粉末(フィッシャーサイズ2.2〜2.8μm)とカルボキシメチルセルロースと水を質量比100:5:125で混練してスラリーを調製した。
このスラリーをニッケルめっき鋼板に塗着したのち、N雰囲気炉中で焼結処理を行なった。このとき、鋼板の表面温度が表1で示した温度になるように炉運転を行なった。処理時間は6分間とした。
表面に多孔度約85%のニッケル焼結体が形成されている多孔質ニッケル焼結基板が得られた。
ついで、硝酸ニッケルと硝酸コバルトが溶解している水溶液(比重1.75、ニッケルとコバルトの濃度は原子比で10:1)を調製し、ここに、各焼結基板を浸漬してその細孔内に硝酸ニッケルと硝酸コバルトを保持させた。
ついで、各焼結基板を、濃度25%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、細孔内の硝酸ニッケルと硝酸コバルトをそれぞれ水酸化ニッケルと水酸化コバルトに転換したのち、充分に水洗し、更に乾燥して水酸化ニッケルを主体とする活物質を充填した。
各焼結基板につき、容量6.0Ahに相当する活物質量が充填されるまで上記した一連の操作を反復し、充填されている活物質の絶対量は全て同じである各種の正極を製造した。
そして、各正極における活物質の充填量を以下のようにして測定した。
すなわち、後述するようにして蓄電池を組立てたのち、当該電池を解体して正極のみを取出し、ついで当該正極を所定寸法(50mm×50mm)に切断し、その切断片を、マスプラット液(酢酸アンモニウム1mol/L、アンモニア水5mol/Lの混合水溶液)に浸漬して活物質を溶出させ、浸漬前後における質量差を測定し、その値を切断片の表面積で除算した。その結果を表1に示した。
2.電極の製造
組成がNd0.9Mg0.1(Ni0.9Co0.03Al0.073.5となるように各金属原料を秤量して全体を混合し、その混合物を高周波溶解炉で溶解したのち冷却して水素吸蔵合金のインゴットを製造した。
このインゴットを温度1000℃のAr雰囲気において10時間加熱して結晶構造を調整したのち、不活性雰囲気中で機械的に粉砕し、更に分級して粒度が400メッシュ〜200メッシュの合金粉末を得た。
なお、この合金粉末は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて重量積分50%にあたる平均粒径(D50値)を測定したところ25μmであった。
この合金粉末100質量部に対し、非水溶性結着材としてスチレンブタジエンラテックス0.5質量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース0.3質量部、そして適量の純水を加えて全体を混練してスラリーを調製した。
そしてこのスラリーをパンチングニッケルシートに塗着し、室温で乾燥したのち圧延、裁断して負極を製造した。
3.セパレータの製造
芯材がポリプロピレンから成り、鞘材が低融点ポリエチレンからなる熱接着性の芯鞘型複合繊維と、高強度ポリプロピレン繊維とを用いて漉きあげたウェブを約130℃の乾燥温度(結合温度)で乾燥させる湿式法で、目付量50g/mの不織布を製造し、これをセパレータとして用いた。
4.ニッケル水素蓄電池の組立て
各正極と負極の間にセパレータを介装した状態で渦巻状に巻回して電極群を製造した。
このとき、電極群の一端からは正極の導電性芯体であるニッケルめっき鋼板の端部が突出し、他端からは負極のパンチングニッケルシートの端部が突出するように巻回作業を行なった。
この電極群の一端から突出するニッケルめっき鋼板の端部には、面内に多数の開口を有する円板状の正極集電体を溶接して取付け、他端から突出するパンチングニッケルシートの端部には、同じく多数の開口を有する円板状の負極集電体を溶接して取付けた。
そして、正極集電体の直径上に、ニッケルから成り、断面が長円形状をしたパイプ(肉厚は0.3mm)で、両端部が斜めに切り落とされた形状の筒状体を正極リードとして配置し、その下面をスポット溶接した。
この電極群を、負極集電体を下にして上部が開口する有底外装缶の中に収納し、外装缶の底面に負極集電体を溶接した。ついで、濃度30質量%の水酸化カリウム水溶液を電解液として外装缶に減圧注液したのち、正極リードの上面に、蓋板、絶縁ガスケット、弁体、圧縮コイルばね、および正極端子を備えている封口体を配置し、蓋板と正極リードの上面を溶接した。
ついで、封口体を電極群に向けて押圧し、筒状体の正極リードを圧縮変形させるとともに、外装缶の上部開口を内方に加締め加工して密閉構造を形成し、公称容量6.0Ahの円筒型ニッケル水素蓄電池にした。
5.測定
(1)高率放電特性の評価
表1の各正極が組込まれているニッケル水素蓄電池につき、下記の仕様で出力を測定し、各蓄電池の高率放電特性を評価した。
各蓄電池につき、1Itの充電電流で、10サイクル目の容量に対して電池容量の50%、すなわちSOC(State of charge:充電深度)が50%に到達するまで30分間充電した。その後、40Aで放電→40Aで充電→80Aで放電→80Aで充電→120Aで放電→120Aで充電→160Aで放電→160Aで充電の順に充放電を反復した。
このとき、各ステップの間に10分間の休止期間を設け、各放電ステップを実施したのち10分間の休止を置いて10秒間ずつ放電を行ない、この10秒間経過点における電池電圧を放電電流に対してプロットし、最小2乗法に基づいて求めた直線が0.9Vに達するときの電流値を出力とした。
そして、正極1が組込まれている蓄電池の出力を100としたときの各蓄電池の出力の比率を計算して高率放電性を評価した。以上の結果を表1に示した。
(2)正極活物質中のFe量の測定
各正極から表面層の部分(ニッケル焼結体の部分)を1.5g採取し、これを塩酸で完全に溶解したのち、溶解液を100mLに希釈した。そしてこの希釈液を原子吸光分析にかけ、Fe量を定量した。
結果を表1に示した。またニッケルめっき鋼板のめっき厚、焼結時の表面温度とFe量との関係を図1に示した。
(3)低温充電特性の測定
各蓄電池を温度−10℃の環境に3時間放置したのち、1Itの充電電流で電池容量の100%まで充電した。SOC40%充電時における電圧Vと、ピーク電圧Vとの電圧差をΔVとして算出した。
結果を表1に示した。また、ニッケルめっき鋼板のニッケルめっき厚、焼結時における表面温度、およびΔV値との関係を図2に、正極中のFe量とΔV値との関係を図3に示した。
Figure 0005147190
(4)P量、Mn量の影響
製造ロットが異なる鋼板(SPCC−1B)を3種類用意した。各鋼板の表面に、厚み3.98μmのニッケルめっきを施し、ニッケルめっき鋼板にした。
各ニッケルめっき鋼板につき、ICPでP量とM量を定量した。その結果を表2に示した。
ついで、各ニッケルめっき鋼板を水素雰囲気中で表面温度を1051℃に保持した状態で5分間加熱したのち、冷却をまって表面状態をEPMAで観測し、Fe/Ni比を測定した。結果を表2に示した。
また、ニッケルめっき鋼板a,cにつき、加熱処理後の表面の顕微鏡写真を図4,図5に示した。
Figure 0005147190
6.評価と考察
以上のことから次のことが明らかである。
(1)まず、表1の正極1,正極2,正極3を対比して明らかなように、単位面積当たりの活物質の量が少なくなればなるほど、それを組み込んだ蓄電池の高率放電特性は向上している。
これは、単位面積当たりの活物質の量が少ない正極ほど薄長化しているので、電極群における反応対向面積が増加しているからである。
そして、高出力特性が要求される、例えば自動車関連用途を考えると、活物質の量が1400g/m2である正極1を用いた蓄電池では高率放電特性が不足している。このようなことから、正極における活物質の量は、正極1を用いた蓄電池に比べて160以上の高率放電特性を発揮させるために、850g/m2以下に設定されるべきである。
(2)表1から明らかなように、正極中のFe量はニッケルめっき鋼板のめっき厚と焼結処理時の表面温度の影響を受けている。すなわち、正極中のFe量は焼結処理時の表面温度が高くなるほど、まためっき厚が薄くなるほど増加している。
したがって、正極中のFe量を低減するためには、ニッケルめっき鋼板のめっき厚を厚くし、また焼結処理時に基板の表面温度が低くなるように焼結温度を調節すればよいことになる。
(3)表1から明らかなように、ΔV値は正極中のFe量、ニッケルめっき鋼板のめっき厚、焼結処理時の表面温度の影響を受けている。
まず、図3から明らかなように、正極中のFe量が増加するにつれてΔV値は小さくなって低温充電特性が劣化していく。また図2から明らかなように、めっき厚が薄くなり、焼結処理時の表面温度が高くなるにつれて、やはりΔV値は小さくなって低温充電特性が劣化する。
このようなことから、低温充電特性を高めるためには、正極中のFe量を低減することが必要であり、それはめっき厚を厚くし、また焼結処理時に表面温度が低い状態で焼結することが必要であることがわかる。
そして、車両関係用途では、充電カットの信頼性を確保するためには、−10℃環境下でもΔV値が0.07(V)以上の低温充電特性が必要とされることを考えると、図3から明らかなように、正極中のFe量を65ppmより少なくすべきであることがわかる。
そして、また、図2から明らかなように、めっき厚は4.0μm以上で、焼結処理時の表面温度は1051℃以下に制御されるべきであることがわかる。
(4)表2のニッケルめっき鋼板a,b,cを対比して明らかなように、鋼板中のP量とMn量が増加するにつれて、加熱処理後のめっき層表面におけるFe量は増加していく。一方、図4と図5を対比して明らかなように、P量とMn量が少ないニッケルめっき鋼板aの場合、加熱処理後におけるめっき層の表面粒界の割れは認められないが、P量とMn量が多いニッケルめっき鋼板cの場合、数多くの大きな粒界割れがめっき層に認められる。
したがって、鋼板中のP,Mnが多い場合は、それを用いたニッケルめっき鋼板では焼結処理の過程でめっき層に多数の大きな粒界割れが発生し、そこから鋼板が部分的に露出するものと考えられる。そのため、活物質の充填作業を行うと、そのときに用いる硝酸ニッケルなどの薬液で露出する鋼板のFeが溶解し、それが活物質に析出するものと考えられる。
このようなことから、用いるニッケルめっき鋼板としては、鋼板中のP量とMn量ができるだけ少ないもの、具体的には、P量は110ppm以下、Mn量は800ppm以下である必要がある

本発明のアルカリ蓄電池は、高率放電特性が確保されており、かつ、低温充電特性が優れていて充電カットの制御が容易に実施できるので、ハイブリッド自動車や電気自動車など車両関係の駆動源として有用である。
正極中のFe量と正極の導電性芯体であるニッケルめっき鋼板のめっき厚との関係を示すグラフである。 低温充電特性の指標であるΔV値と正極の導電性芯体であるニッケルめっき鋼板のめっき厚との関係を示すグラフである。 低温充電特性の指標であるΔV値と正極中のFe量との関係を示すグラフである。 加熱処理後のニッケルめっき鋼板aの表面状態を示す顕微鏡写真である。 加熱処理後のニッケルめっき鋼板bの表面状態を示す顕微鏡写真である。

Claims (2)

  1. ニッケルめっき鋼板を導電性芯体とする多孔質ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする活物質が充填されている正極と、負極と、セパレータと、アルカリ電解液とを外装缶の中に具備するアルカリ蓄電池において、
    前記正極に充填されている前記活物質の量が850g/m2以下であり、かつ、前記ニッケルめっき鋼板におけるめっき厚が4.0μm以上であり、
    前記ニッケルめっき鋼板におけるリンの量が110ppm以下であり、かつマンガンの量が800ppm以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
  2. ニッケル粉末と増粘剤と水とを混練してスラリーを調製し、前記スラリーをニッケルめっき鋼板に塗着し、ついで還元性雰囲気中で焼結処理を施して多孔質ニッケル焼結基板を製造したのち、前記多孔質ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする活物質を充填する正極の製造方法において、
    前記焼結処理時における温度を、前記多孔質ニッケル焼結基板の表面温度が1051℃以下となるように調整しており、
    前記正極に充填されている前記活物質の量が850g/m 2 以下であり、かつ、前記ニッケルめっき鋼板におけるめっき厚が4.0μm以上であり、
    前記ニッケルめっき鋼板におけるリンの量が110ppm以下であり、かつマンガンの量が800ppm以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池用正極の製造方法。

JP2006085124A 2006-03-27 2006-03-27 アルカリ蓄電池、それに用いる正極の製造方法 Active JP5147190B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006085124A JP5147190B2 (ja) 2006-03-27 2006-03-27 アルカリ蓄電池、それに用いる正極の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006085124A JP5147190B2 (ja) 2006-03-27 2006-03-27 アルカリ蓄電池、それに用いる正極の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007265631A JP2007265631A (ja) 2007-10-11
JP5147190B2 true JP5147190B2 (ja) 2013-02-20

Family

ID=38638432

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006085124A Active JP5147190B2 (ja) 2006-03-27 2006-03-27 アルカリ蓄電池、それに用いる正極の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5147190B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013015424A1 (ja) 2011-07-28 2013-01-31 株式会社Gsユアサ アルカリ蓄電池用負極、アルカリ蓄電池用外装缶及びアルカリ蓄電池

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10241697A (ja) * 1997-02-21 1998-09-11 Matsushita Electric Ind Co Ltd アルカリ蓄電池用電極及びその製造法
JP4251688B2 (ja) * 1998-09-29 2009-04-08 三洋電機株式会社 アルカリ蓄電池用電極及びアルカリ蓄電池
JP3913395B2 (ja) * 1999-03-16 2007-05-09 三洋電機株式会社 アルカリ蓄電池の製造方法
JP2000311680A (ja) * 1999-04-26 2000-11-07 Matsushita Electric Ind Co Ltd ニッケル水素電池用焼結型正極板とその製造方法およびニッケル水素電池
CN1307739C (zh) * 2001-03-05 2007-03-28 株式会社汤浅 镍氢电池的制造方法
JP4307020B2 (ja) * 2002-06-28 2009-08-05 三洋電機株式会社 アルカリ蓄電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007265631A (ja) 2007-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5241188B2 (ja) アルカリ蓄電池システム
JP3191752B2 (ja) ニッケル−水素二次電池およびその電極の製造方法
JP4710225B2 (ja) ニッケル電極材料の製造方法
JP5743780B2 (ja) 円筒型ニッケル−水素蓄電池
JP2008084649A (ja) アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金およびアルカリ蓄電池ならびにその製造方法
JP2011233423A (ja) アルカリ蓄電池
EP0975033A1 (en) Hydrogen storage alloy powder ane method of manufacturing the same
JP5322392B2 (ja) 水素吸蔵合金電極およびその製造方法ならびにアルカリ蓄電池
JP4698291B2 (ja) アルカリ蓄電池
JP5465478B2 (ja) アルカリ蓄電池用負極、アルカリ蓄電池及びアルカリ蓄電池の製造方法
JP2012238565A (ja) アルカリ蓄電池
JP5147190B2 (ja) アルカリ蓄電池、それに用いる正極の製造方法
JP5213312B2 (ja) アルカリ蓄電池
JP5147235B2 (ja) ニッケル水素蓄電池
JP5436825B2 (ja) アルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金粉末、その製造方法及びアルカリ蓄電池
JP2004281289A (ja) アルカリ蓄電池
JP2004296394A (ja) ニッケル−水素蓄電池および組電池
JP3895985B2 (ja) ニッケル・水素蓄電池
JP3895984B2 (ja) ニッケル・水素蓄電池
JP7128069B2 (ja) アルカリ二次電池用の正極及びこの正極を備えたアルカリ二次電池
JP2003168422A (ja) 角形アルカリ蓄電池
WO2012165519A1 (ja) アルカリ蓄電池およびアルカリ蓄電池システム
JP2005116381A (ja) アルカリ蓄電池
JP2005183339A (ja) アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池
JPH11260358A (ja) 水素吸蔵合金電極及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120516

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120702

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121031

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121127

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5147190

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151207

Year of fee payment: 3